(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】処理ガス吸入構造および排ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
F27D 17/00 20060101AFI20240828BHJP
B01D 53/46 20060101ALI20240828BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20240828BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
F27D17/00 104G
B01D53/46 ZAB
B01D53/68 220
B01D53/78
B01D53/68 120
(21)【出願番号】P 2020211316
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】関根 貴史
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 一知
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-087958(JP,A)
【文献】国際公開第2020/095358(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 17/00
B01D 53/46
B01D 53/68
B01D 53/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ガスを液体と接触させることにより無害化するための排ガス処理装置に適用可能な処理ガス吸入構造であって、
二重管構造体と、
前記二重管構造体を加熱する加熱装置と、を備え、
前記二重管構造体は、
前記処理ガスが流れる
、前記二重管構造体の内側の管を構成する処理ガス流路部と、
前記処理ガス流路部の外側に配置された
、前記二重管構造体の外側の管を構成する仕切部と、を備えて
おり、
前記仕切部は、前記仕切部と前記処理ガス流路部との間の第1加熱空間と、前記仕切部と前記二重管構造体に接続された壁構造体との間の第2加熱空間と、を仕切っており、
前記加熱装置は、加熱された不活性ガスを前記第1加熱空間に供給する不活性ガス供給構造を備えている、処理ガス吸入構造。
【請求項2】
処理ガスを液体と接触させることにより無害化するための排ガス処理装置に適用可能な処理ガス吸入構造であって、
二重管構造体と、
前記二重管構造体を加熱する加熱装置と、を備え、
前記二重管構造体は、
前記処理ガスが流れる、前記二重管構造体の内側の管を構成する処理ガス流路部と、
前記処理ガス流路部の外側に配置された、前記二重管構造体の外側の管を構成する仕切部と、を備えており、
前記仕切部は、前記仕切部と前記処理ガス流路部との間の第1加熱空間と、前記仕切部と前記二重管構造体に接続された壁構造体との間の第2加熱空間と、を仕切っており、
前記処理ガス吸入構造は、前記処理ガス流路部の外側に配置された環状のジグザグ流路部を備えている、処理ガス吸入構造。
【請求項3】
処理ガスを液体と接触させることにより無害化するための排ガス処理装置に適用可能な処理ガス吸入構造であって、
二重管構造体と、
前記二重管構造体を加熱する加熱装置と、を備え、
前記二重管構造体は、
前記処理ガスが流れる、前記二重管構造体の内側の管を構成する処理ガス流路部と、
前記処理ガス流路部の外側に配置された、前記二重管構造体の外側の管を構成する仕切部と、を備えており、
前記仕切部は、前記仕切部と前記処理ガス流路部との間の第1加熱空間と、前記仕切部と前記二重管構造体に接続された壁構造体との間の第2加熱空間と、を仕切っており、
前記処理ガス吸入構造は、
前記壁構造体を備えており、
前記加熱装置は、
前記第1加熱空間を加熱する第1加熱構造と、
前記第2加熱空間を加熱する第2加熱構造と、を備えている
、処理ガス吸入構造。
【請求項4】
前記第1加熱構造は、加熱された不活性ガスを前記第1加熱空間に供給する第1不活性ガス供給構造および前記第1加熱空間に配置されたヒータの少なくとも1つを備えており、
前記第2加熱構造は、加熱された不活性ガスを前記第2加熱空間に供給する第2不活性ガス供給構造および前記第2加熱空間に配置されたヒータの少なくとも1つを備えている、請求項
3に記載の処理ガス吸入構造。
【請求項5】
前記二重管構造体は、
前記第1不活性ガス供給構造から供給された、前記第1加熱空間を通過する不活性ガスの流路を絞る絞り部と、
前記第2不活性ガス供給構造から供給された、前記第2加熱空間を通過する不活性ガスの流路を絞る絞り部と、を備えている、請求項
4に記載の処理ガス吸入構造。
【請求項6】
処理ガスを液体と接触させることにより無害化するための排ガス処理装置に適用可能な処理ガス吸入構造であって、
環状流路構造体と、
前記環状流路構造体を加熱する加熱装置と、を備え、
前記環状流路構造体は、
前記処理ガスが流れる処理ガス流路部と、
前記処理ガス流路部の外側に配置された環状のジグザグ流路部と、を備えている、処理ガス吸入構造。
【請求項7】
前記ジグザグ流路部は、
前記処理ガス流路部の外面に形成された第1環状突起と、
前記処理ガス流路部の外面に近接する方向に延びる第2環状突起と、を備えている、請求項
6に記載の処理ガス吸入構造。
【請求項8】
前記加熱装置は、加熱された不活性ガスを前記ジグザグ流路部に供給する不活性ガス供給構造を備えている、請求項
6または請求項
7に記載の処理ガス吸入構造。
【請求項9】
請求項1~請求項
8のいずれか一項に記載の処理ガス吸入構造を備える吸入ケーシングと、
前記吸入ケーシングの内壁面に液膜を形成する液膜形成部と、を備えている、排ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理ガス吸入構造および排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプ装置は、半導体、液晶、太陽光パネル、または、LED等の製造設備の一つとして広く使用されている。これらの製造プロセス等においては、真空ポンプを真空チャンバに接続して、真空チャンバ内に導入された処理ガスを真空ポンプによって真空引きする。
【0003】
真空ポンプによって真空引きする気体には、シランガス(SiH4)、ジクロロシランガス(SiH2Cl2)、アンモニア(NH3)などの有害可燃性ガス、または、NF3,ClF3,SF6,CHF3,C2F6,CF4等のハロゲン系難分解性ガスが含まれる場合がある。したがって、このような気体をそのまま大気中に放出することができない。従来、真空ポンプ装置では、真空ポンプの後段に、真空引きしたガスを無害化処理する除害装置(排ガス処理装置の一例)を設けている。ガスの無害化処理としては、処理ガスを液体と接触させて異物および水溶性成分等を除去する湿式、並びに処理ガスを燃焼させることによる燃焼式などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
湿式排ガス処理装置において、処理ガスが吸入される排ガス処理装置の吸入部では、温度低下に起因して、処理ガスから生成物が発生してしまい、この生成物が吸入部に付着してしまうおそれがある。結果として、排ガス処理装置が故障したり、処理ガスの処理効率が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、温度低下に起因して処理ガスから生成物が発生することを防止する処理ガス吸入構造および排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、処理ガスを液体と接触させることにより無害化するための排ガス処理装置に適用可能な処理ガス吸入構造が提供される。処理ガス吸入構造は、二重管構造体と、前記二重管構造体を加熱する加熱装置と、を備える。前記二重管構造体は、前記処理ガスが流れる処理ガス流路部と、前記処理ガス流路部の外側に配置された仕切部と、を備えている。
【0008】
一態様では、前記処理ガス吸入構造は、前記二重管構造体に接続された壁構造体を備えており、前記加熱装置は、前記処理ガス流路部と前記仕切部との間に形成された第1加熱空間を加熱する第1加熱構造と、前記仕切部と前記壁構造体との間に形成された第2加熱空間を加熱する第2加熱構造と、を備えている。
一態様では、前記第1加熱構造は、加熱された不活性ガスを前記第1加熱空間に供給する第1不活性ガス供給構造および前記第1加熱空間に配置されたヒータの少なくとも1つを備えており、前記第2加熱構造は、加熱された不活性ガスを前記第2加熱空間に供給する第2不活性ガス供給構造および前記第2加熱空間に配置されたヒータの少なくとも1つを備えている。
一態様では、前記二重管構造体は、前記第1不活性ガス供給構造から供給された、前記第1加熱空間を通過する不活性ガスの流路を絞る絞り部と、前記第2不活性ガス供給構造から供給された、前記第2加熱空間を通過する不活性ガスの流路を絞る絞り部と、を備えている。
【0009】
一態様では、処理ガスを液体と接触させることにより無害化するための排ガス処理装置に適用可能な処理ガス吸入構造が提供される。処理ガス吸入構造は、環状流路構造体と、前記環状流路構造体を加熱する加熱装置と、を備え、前記環状流路構造体は、前記処理ガスが流れる処理ガス流路部と、前記処理ガス流路部の外側に配置された環状のジグザグ流路部と、を備えている。
【0010】
一態様では、前記ジグザグ流路部は、前記処理ガス流路部の外面に形成された第1環状突起と、前記処理ガス流路部の外面に近接する方向に延びる第2環状突起と、を備えている。
一態様では、前記加熱装置は、加熱された不活性ガスを前記ジグザグ流路部に供給する不活性ガス供給構造を備えている。
【0011】
一態様では、上記処理ガス吸入構造を備える吸入ケーシングと、前記吸入ケーシングの内壁面に液膜を形成する液膜形成部と、を備えている、排ガス処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
処理ガス吸入構造は、二重管構造体を加熱する加熱装置を備えている。したがって、処理ガス吸入構造は、温度低下に起因して、処理ガスから生成物が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】排ガス処理装置の一実施形態を示す図である。
【
図3】二重管構造体に供給された不活性ガスの流れを示す図である。
【
図4】絞り部を備える二重管構造体の効果を説明するための図である。
【
図6】処理ガス吸入構造の他の実施形態を示す図である。
【
図7】ジグザグ流路部に供給された高温の不活性ガスの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一のまたは相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。本実施形態の排ガス処理装置は、処理ガスを液体と接触させることにより無害化する湿式の排ガス処理装置であり、例えば半導体、液晶、太陽光パネル、または、LED等の製造設備の一つとして利用することができる。
【0015】
図1は、排ガス処理装置の一実施形態を示す図である。この排ガス処理装置10は、真空ポンプからの気体(処理ガス)を無害化するために設けられている。排ガス処理装置10の一次側(上流側)に図示しない真空ポンプが接続される。なお、本実施形態の排ガス処理装置は、真空ポンプからの気体を無害化するために単独で用いられてもよいし、燃焼式などの他の排ガス処理装置(例えば、除害装置)と共に用いられてもよい。例えば、真空ポンプが真空引きした気体に含まれる除去対象のガスがすべて水溶性成分である場合には、排ガス処理装置10が単独で用いられてもよい。また、他の排ガス処理装置と共に用いられる場合には、排ガス処理装置10の後段に他の排ガス処理装置が接続されることが好ましい。
【0016】
図1に示すように、排ガス処理装置10は、図示しない真空ポンプからの処理ガスが吸入される吸入ケーシング20、吸入ケーシング20に接続された液槽ケーシング40、および、液槽ケーシング40に接続された処理ケーシング50を備える。液槽ケーシング40および処理ケーシング50は、一体のケーシングとしてもよい。
【0017】
吸入ケーシング20に吸入された処理ガスは、液槽ケーシング40および処理ケーシング50を通って処理された後、外部に排出される、または続けて別の排ガス処理装置に導入される。吸入ケーシング20、液槽ケーシング40及び処理ケーシング50は、キャビネット11内に配置されており、キャビネット11の底部にはドレインパン13が設けられている。ドレインパン13には、水分を検知する漏液センサ14が設けられ、装置内の構成からの漏液を監視するように構成されている。
【0018】
排ガス処理装置10は、その各部を制御する制御装置99を備えている。制御装置99は、例えば、各種の設定データ及び各種のプログラムを格納したメモリと、メモリのプログラムを実行するCPUと、を有する。
【0019】
本実施形態の吸入ケーシング20は、全体として円筒状に形成されている。吸入ケーシング20の形状は、円筒状に限らず、任意の形状とすることができる。吸入ケーシング20の下端側(末端側)は、液槽ケーシング40内に配置される。吸入ケーシング20の下端の開口は、吸入ケーシング20から液槽ケーシング40内に処理ガスを導出する導出口24を構成している。
【0020】
吸入ケーシング20の上端近傍には、吸入配管23を介して図示しない真空ポンプに接続される吸入口22が形成されている。吸入口22から吸入ケーシング20内に吸入された処理ガスは、導出口24を通って液槽ケーシング40内に案内される。
【0021】
吸入口22から真空ポンプに向かう吸入配管23には、配管ヒータ(図示略)を設けることができる。配管ヒータは、処理ガスが吸入配管23内を流れるときに吸入配管23を所定温度(例えば180℃)に加温するものであり、ジャケットヒータ等、種々のヒータを採用することができる。こうした配管ヒータによって、吸入配管23及び吸入口22に異物が堆積してしまうことを抑制できる。また、吸込ケーシング20のガス流路(例えば、吸入口22、吸入配管23など)に処理ガスの圧力を計測する圧力計を設け、配管の閉塞の有無を監視するようにしてもよい。
【0022】
吸入ケーシング20の吸入口22と導出口24との間には、吸入ケーシング20の内壁面に液膜(濡れ壁)Lfを形成するための液膜形成部26が設けられている。本実施形態の液膜形成部26は、環状の吸入ケーシング20の周方向において全周にわたって設けられている。液膜形成部26によって、吸入ケーシング20の内壁面に液膜Lfが形成されることにより、配管21の内壁面近傍で異物が液膜によって流されるため、配管21に反応副生成物等の異物が堆積してしまうことを抑制できる。以下、反応副生成物を単に生成物と称する。
【0023】
本実施形態では、吸入ケーシング20の上端にスクレーパ32が設けられる。スクレーパ32は、常時または随時に動作され、吸入ケーシング20の内壁面に付着した生成物を機械的に掻き落とす。結果として、スクレーパ32は、吸入ケーシング20の内壁面に生成物が付着することを抑制する。
【0024】
図1に示すように、吸入ケーシング20の下端側は、液槽ケーシング40の内部に配置され、吸入ケーシング20の導出口24は、液槽ケーシング40内に開口している。液槽ケーシング40は、液体を貯留し、貯留した液体を排ガス処理装置10の処理に再利用するための循環タンクである。
【0025】
液槽ケーシング40は、液槽42aを有しており、この液槽42aには例えば液膜Lfとして流されている液体が流下する。液槽42aは、下流側、つまり吸入ケーシング20の導出口24よりも処理ケーシング50側に堰44を有する。堰44の下流側には、処理ケーシング50内の下部に設けられた液槽42b、液槽42cが配置されており、液槽42bと液槽42cとの間にはフィルタ45が配置されている。
【0026】
吸入ケーシング20の導出口24から流下した液体は、液槽42aに一旦入る。そして、液槽42aに溜められた液体は、堰44をオーバーフローして液槽42bに流れ込み、フィルタ45を通過して液槽42cに流れ込む。液槽42cには液体排出口43が設けられており、液槽42c内の液体は液体排出口43から排出される。
【0027】
液槽42aは、上方、下方及び側方を囲む壁40aと、液槽42aと液槽42bとを仕切る壁47と、を備えている。壁47には、液槽42a及び液槽42bを連通する開口部47aが設けられており、壁47の開口部47aの下方の部分が堰44を構成している。液槽42aは、貯留する液体が堰44をオーバーフローして液槽42bに流れ込むオーバーフロー方式の液槽であり、液槽42a内の液体の液面が安定して維持されるようになっている。
【0028】
液槽42aには、1または複数のスプレーノズル46が設けられている。この例では、複数のスプレーノズル46が設けられ、吸入ケーシング20の配管21の周囲に均等な間隔で配置されている。
図1では、2つのスプレーノズル46を示すが、スプレーノズル46の数は3つ以上であってもよい。
【0029】
各スプレーノズル46は、吸入ケーシング20の側方において導出口24より上方に配置されている。各スプレーノズル46は、液体流路72aに流体的に連絡され、液体流路72aから液体の供給を受けるように構成されている。各スプレーノズル46は、上方に向かって液体をスプレーする第1スプレーノズル461と、下方に向かって液体をスプレーする第2スプレーノズル462と、を備えている。
【0030】
第1スプレーノズル461は、液槽42a内において、上方に向かって液体をスプレー散水し、液槽42aの壁および吸入ケーシング20の外面を液体で覆うように構成されている。第2スプレーノズル462は、液槽42a内において、吸入ケーシング20の下端の導出口24の周囲の部分に対して、液体をスプレー散水するように構成されている。第2スプレーノズル462は、さらに、液槽42aの壁に対して液体をスプレー散水するように構成されてもよい。
【0031】
各スプレーノズル46からの液体のスプレーにより、液槽42a内に導入された処理ガスを液体と接触させて処理ガスを加水分解するとともに、加水分解時の生成物をスプレーされた液体により貯留液中にたたき落とすことができる。これにより、液槽ケーシング40内に生成物が浮遊することを抑制することができる。
【0032】
また、各スプレーノズル46から液槽42a内全体に対して液体をスプレーすることにより、液槽42a内全体(液槽42aの壁、吸入ケーシング20)を液体で覆うことができる。これにより、生成物の付着の要因となる界面全体を液体膜で覆い、液槽42aの壁面および吸入ケーシング20への生成物の付着を抑制することができる。第1スプレーノズル461は、上方に向かって液体をスプレーするため、液槽ケーシング40の天井部分も液体で効果的に覆うことができる。
【0033】
また、第2スプレーノズル462により、吸入ケーシング20の導出口24の周囲の部分に対して周りから液体をスプレーすることにより、吸入ケーシング20の導出口24の近傍において処理ガスと液体との反応により生成される生成物を、貯留液体中に落とすことができる。これにより、吸入ケーシング20の導出口24近傍から生成物が飛散することをさらに抑制することができる。
【0034】
図1において、液槽42aには、エダクター48が配置されている。エダクター48は、駆動液体により駆動され、駆動液体の数倍の量の液体を吸入して、吸入した液体
を駆動液体とともに吐出する装置である。エダクター48は、液槽42aの貯留液体中に液面近くに配置され、貯
留液体を吸入して、下流側(液槽42b側)に向かって液体を吐出するように方向付けられている。エダクター48による液体の吸入および吐出により、液槽42aの貯留液体が攪拌される。エダクター48による貯留液体の攪拌により、貯留液体に入った生成物を貯留液体中に溶かし込み、貯留液体中に生成物が滞留又は浮遊することを抑制することができる。エダクター48は、例えば、
液体流路72aから駆動液体が供給され、貯留液体を吸入して、駆動液体とともに吐出する。
【0035】
処理ケーシング50は、液槽ケーシング40に接続されており、液槽ケーシング40から流入する処理ガスをさらに除害処理して排出するものである。処理ケーシング50は、シャワー槽51aと、シャワー槽51bと、シャワー槽51cと、を備えている。シャワー槽51aとシャワー槽51bとは壁50aで仕切られ、シャワー槽51bとシャワー槽51cとは壁50bで仕切られている。本実施形態では、シャワー槽51a、シャワー槽51bの下部にそれぞれ液槽42b、液槽42cが設けられている。
【0036】
液槽42bは、壁47によって液槽42aと仕切られており、壁47の開口部47aの下方の堰44をオーバーフローした液体が流入するように構成されている。液槽42bの下流側は、壁50aによって液槽42cと仕切られており、液槽42bの液体が、壁50aの開口に設けられたフィルタ45を介して液槽42cに流れるようになっている。
【0037】
液槽42cは、壁50aによって液槽42bと仕切られ、液槽42bの下流側に位置する。液槽42cには、液槽42bからの液体が、フィルタ45により生成物等の異物を除去された後に流れ込む。液槽42cには、エダクター48bが配置されている。エダクター48bは、フィルタ45に向かって液体を吐出するように方向付けられている。エダクター48bによる液体の吐出により、フィルタ45の目詰まりが抑制される。また、液槽42cには、水位計41が設けられており、水位計41の検出値を使用して、後述するポンプ81および/または排出バルブ84により、液槽42cの水位が所定範囲(予め定められた第1閾値以上第2閾値未満の範囲)となるように制御される。
【0038】
1段目のシャワー槽51aは、上下に並んで配置される2つのスプレーノズル52と、スプレーノズル52の上方に配置されるスプレーノズルまたは噴射ノズル53と、を備えている。スプレーノズル52は、液体流路72bから液体を供給され、下方に向かって液体をスプレーする。スプレーノズルまたは噴射ノズル53は、液体流路72bから液体を供給され、下方および上方に向かって液体をスプレーする。液槽42aからの処理ガスは、シャワー槽51aを下方から上方に向かって流れ、シャワー槽51aの上端部付近で2段目のシャワー槽51bに流れ込む。
【0039】
シャワー槽51aを通過する間に、処理ガスは、スプレーノズル52,52、スプレーノズルまたは噴射ノズル53によりスプレーされた液体と接触して加水分解される。シャワー槽51aの上部には、過圧排気口65が設けられている。過圧排気口65は、槽内に過剰圧力がかかったときに槽内の圧力を逃がすものである。
【0040】
2段目のシャワー槽51bは、スプレーノズル又は噴射ノズル53と、スプレーノズルまたは噴射ノズル53の下方に配置されるスプレーノズル52と、スプレーノズル52の下方に配置される噴射ノズル54と、を備えている。スプレーノズル52、スプレーノズルまたは噴射ノズル53は、1段目のシャワー槽51aに配置されたスプレーノズル52、スプレーノズルまたは噴射ノズル53と同様のものであり、液体流路72bから液体を供給される。噴射ノズル54は、液体流路72aから液体の供給を受け、液槽42c内の液面に対して液体をたたきつけるように噴射する。
【0041】
シャワー槽51aからの処理ガスは、シャワー槽51bを上方から下方に向かって流れ、シャワー槽51bの下端部から3段目のシャワー槽51cに流れ込む。シャワー槽51bを通過する間に、処理ガスは、スプレーノズル52、スプレーノズルまたは噴射ノズル53、噴射ノズル54によりスプレーまたは噴射された液体と接触して加水分解される。また、噴射ノズル54からの液体の噴射により、液槽42c内の液面に浮遊する生成物を攪拌し、液体中に溶かし込むことができる。
【0042】
最終段のシャワー槽51cは、上下に並んで配置された2つのラシヒリング層57と、下側のラシヒリング層57に向かって液体をスプレーするスプレーノズル55と、上側のラシヒリング層57に向かって液体をスプレーするスプレーノズル56と、を備えている。シャワー槽51cの上端には、ミストトラップ61が接続されており、ミストトラップ61を介して処理ガスが排気口62から排出されるようになっている。
【0043】
ラシヒリング層57は、ミストの発生を防止するためのものであり、樹脂製のリングが多数積層されて形成されている。スプレーノズル55は、液体流路72bから液体の供給を受け、下側のラシヒリング層57に向かって下方に液体をスプレーする。スプレーノズル56は、液体流路63から新水(例えば市水)の供給を受け、上側のラシヒリング層57に向かって下方に液体をスプレーする。液体流路63には、流量計64が設けられており、流量計64の検出値に基づいて、スプレーノズル56に対する新水の供給量が制御されるようになっている。
【0044】
ミストトラップ61は、1または複数のバッフル板を備え、霧状になった処理ガスから水分を除去し、気体の状態で処理ガスを排出する。シャワー槽51bからの処理ガスは、シャワー槽51cを下方から上方に向かって流れ、スプレーノズル55およびスプレーノズル56によりスプレーされた液体と接触して、さらに加水分解され、ミストトラップ61で気体の状態に戻された後、排出口62から排出される。
【0045】
本実施形態の排ガス処理装置10は、液槽42cの液体排出口43から排出された液体を圧送するポンプ81を備えている。ポンプ81に接続された液体流路71,72には、液体に含まれる異物等を除去する除去機構(不図示)が設けられてもよい。ポンプ81は、液体排出口43から排出された液体を、液体流路72,72aを介して、スプレーノズル46,52および噴射ノズル54に供給する。
【0046】
ポンプ81は、液体排出口43から排出された液体を、液体流路72,72bを介して、スプレーノズル52、スプレーノズルまたは噴射ノズル53、スプレーノズル55、スプレーノズル56に供給する。また、ポンプ81は、液体排出口43から排出された液体を、液体流路72,72cを介して、吸入ケーシング20の液膜形成部26に供給する。このように液槽42a~42cに溜められた液体を再利用することにより、ランニングコストの低下を図ることができると共に、環境保全に資することができる。
【0047】
また、液体流路72cには、流量計83が設けられている。流量計83の検出結果に基づいて、ポンプ81を制御することにより、液膜形成部26への液体の流量を調節し、液膜Lfの厚さ等を適切に制御することができる。例えば、処理ガスの圧損が抑制され、かつ生成物の飛散を抑制されるように、液膜Lfの厚さを制御する。また、流量計83は、流量を検出する機能に加え、流量を制御する機能を有する流量制御弁であってもよい。例えば、流量計の検出値に基づいて流量が設定値になるように流量制御弁を自動的に制御するCLC(Closed Loop Controller)を採用することができる。また、液体流路72に流量計82を設け、ポンプ81からの液体の流量全体を監視して制御するようにしてもよい。流量計82は、流量計83と同様に、流量を制御する機能を有することができる。
【0048】
なお、ポンプ81により液体排出口43から排出された液体は、液体流路71に設けられた排出バルブ84の開閉に応じて、液体流路71を介して排ガス処理装置10外部に排出される。一例では、ポンプ81は、処理ガスの処理中、液体の循環のために常時運転され、液槽42cに設けられた水位計41の検出値に基づいて、液槽42cの水位が所定範囲(予め定められた第1閾値以上第2閾値未満の範囲)となるように、排出バルブ84の開閉が制御される。
【0049】
上述した本実施形態によれば、導出口24が液槽42aの液面から離間しているため、導出口24から流れ出る処理ガスの圧損を抑制し、処理ガスの流速を向上させ、排ガス処理装置の処理速度を向上させることができる。また、導出口24が貯留液体の液面との間の距離が近いため、周囲への生成物の飛散を抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、液槽42aがオーバーフロー方式の液槽であるため、導出口24の直下の液面の高さを安定させることができ、処理ガスの圧損の増大及び生成物の飛散を抑制することができる。
【0051】
本実施形態によれば、スプレーノズル46により液槽42a内全体(液面上方の構成全体)に液体をスプレーして液槽42a内の界面を液体で覆うことにより、液槽42a内の構成に生成物が付着することを抑制できる。また、スプレーノズル46により、吸入ケーシング20の導出口24の周囲の部分に対しても液体をスプレーするので、吸入ケーシング20の導出口24の近傍において処理ガスと液体との反応により生成される生成物を、貯留液体中に落とすことができる。これにより、吸入ケーシング20の導出口24近傍から生成物が飛散することを抑制することができる。また、吸入ケーシング20の液膜形成部26で形成された液膜Lfの液体が導出口24から流れ出るので、この点でも、導出口24における生成物の飛散が抑制される。
【0052】
吸入ケーシング20の内部の温度が低い場合、温度低下に起因して、吸入ケーシング20に吸入された処理ガスから生成物が発生するおそれがある。この生成物が吸入ケーシング20の内部に付着すると、排ガス処理装置10が故障したり、処理ガスの処理効率が低下するおそれがある。
【0053】
そこで、排ガス処理装置10の吸入ケーシング20は、吸入ケーシング20の上部に配置された処理ガス吸入構造100を備えている。処理ガス吸入構造100は、処理ガスを液体と接触させることにより無害化するための排ガス処理装置10に適用可能である。以下、処理ガス吸入構造100の構造について、図面を参照して説明する。
【0054】
図2は、処理ガス吸入構造を示す断面図である。なお、
図2では、吸入配管23およびスクレーパ32の図示は省略されている。
図2に示すように、処理ガス吸入構造100は、二重管構造体101と、二重管構造体101を加熱する加熱装置102と、を備えている。二重管構造体101は、吸入口22から導入された処理ガスが流れる処理ガス流路部105と、処理ガス流路部105の外側に配置された仕切部106と、を備えている。
【0055】
処理ガス流路部105および仕切部106のそれぞれは、筒形状を有している。仕切部106は処理ガス流路部105を取り囲んでおり、処理ガス流路部105および仕切部106は、同心状に配置されている。
【0056】
処理ガス吸入構造100は、吸入口22と、配管ベース部108と、を備えた配管構造体110を備えている。配管構造体110は、二重管構造体101に接続されており、二重管構造体101の上方に配置されている。この状態で、配管構造体110は、二重管構造体101に接続される。
【0057】
処理ガス吸入構造100は、二重管構造体101に接続された壁構造体115を備えている。壁構造体115は二重管構造体101の下方に配置されている。したがって、二重管構造体101は、配管構造体110と壁構造体115との間に配置されている。
図1に示す液膜形成部26は壁構造体115に設けられており、液膜Lfは壁構造体115の内周面に形成される。
【0058】
二重管構造体101と壁構造体115との間には、環状のシール部材(例えば、ガスケット)119が配置されている。より具体的には、二重管構造体101(より具体的には、仕切部106)はその外周面106aから外側に延びるフランジ部116を有しており、壁構造体115はその外周面115aから外側に延びるフランジ部117を有している。シール部材119は、二重管構造体101のフランジ部116と壁構造体115のフランジ部117との間に配置されている。
【0059】
加熱装置102は、処理ガス流路部105と仕切部106との間に形成された環状の第1加熱空間Hs1を加熱する第1加熱構造120と、仕切部106と壁構造体115との間に形成された環状の第2加熱空間Hs2を加熱する第2加熱構造121と、を備えている。第2加熱空間Hs2は、第1加熱空間Hs1の外側に配置されている。
【0060】
本実施形態では、第1加熱構造120および第2加熱構造121は同一の構造を有している。第1加熱構造120および第2加熱構造121のそれぞれは、所定温度(例えば、180℃)まで加熱された不活性ガス(例えば、窒素(N2)ガス)を二重管構造体101に供給する不活性ガス供給構造である。
【0061】
本実施形態によれば、処理ガス吸入構造100は、二重管構造体101を加熱する加熱装置102を備えているため、処理ガス吸入構造100は、温度低下に起因して、処理ガスから生成物が発生することを防止することができる。
【0062】
第1加熱構造120は、第1加熱空間Hs1に連通する第1ガス供給管125と、第1ガス供給管125に接続された第1ガスライン126と、第1ガスライン126および第1ガス供給管125を通じて、加熱された不活性ガスを第1加熱空間Hs1に供給するガス供給源127と、を備えている。
【0063】
同様に、第2加熱構造121は、第2加熱空間Hs2に連通する第2ガス供給管130と、第2ガス供給管130に接続された第2ガスライン131と、第2ガスライン131および第2ガス供給管130を通じて、加熱された不活性ガスを第2加熱空間Hs2に供給するガス供給源132と、を備えている。ガス供給源127およびガス供給源132は、共通の供給源であってもよい。
【0064】
本実施形態では、第1ガス供給管125は、第2ガス供給管130の上方に配置されており、仕切部106の上部に接続されている。第2ガス供給管130は、第1ガス供給管125の下方に配置されており、仕切部106の下部(より具体的には、フランジ部116)に接続されている。
【0065】
図3は、二重管構造体に供給された不活性ガスの流れを示す図である。
図3に示すように、第1加熱構造120(すなわち、第1不活性ガス供給構造)によって、第1加熱空間Hs1に供給された高温の不活性ガスは、処理ガス流路部105の外周面105aに沿って下方に流れ、処理ガス流路部105を通過する。このように流れる不活性ガスは、処理ガス流路部105および仕切部106に接触して、処理ガス流路部105および仕切部106の表面温度を高温に保持する。
【0066】
図3に示すように、二重管構造体101は、第1加熱構造120から供給された、第1加熱空間Hs1を通過する不活性ガスの流路を絞る絞り部140A,140Bを備えている。絞り部140Aは、仕切部106の下端に配置された下端側絞り部である。絞り部140Bは、絞り部140Aの上方に配置された上側絞り部である。本明細書では、下端側絞り部140Aおよび上側絞り部140Bを区別せずに、単に絞り部140と呼ぶことがある。
【0067】
本実施形態では、2つの絞り部140A,140Bが設けられているが、一実施形態では、1つの絞り部140が設けられてもよく、他の実施形態では、3つ以上の絞り部140が設けられてもよい。
【0068】
絞り部140A,140Bのそれぞれは、環状形状を有しており、仕切部106から処理ガス流路部105に向かって延びている。第1加熱空間Hs1における不活性ガスの流路は、処理ガス流路部105の外周面105aに隣接する位置において小さくなっている。
【0069】
図3に示すように、第2加熱構造121(すなわち、第2不活性ガス供給構造)によって、第2加熱空間Hs2に供給された高温の不活性ガスは、壁構造体115の内周面115bに沿って下方に流れ、仕切部106を通過する。このように流れる不活性ガスは、仕切部106および壁構造体115に接触して、仕切部106および壁構造体115の表面温度を高温に保持する。特に、壁構造体115の内周面115bには、液膜Lf(
図1参照)が形成されるため、壁構造体115の温度は低下するおそれがある。高温の不活性ガスを壁構造体115に接触させることにより、第2加熱構造121は、壁構造体115の表面温度を高温に保持することができる。
【0070】
二重管構造体101は、第2加熱構造121から供給された、第2加熱空間Hs2を通過する不活性ガスの流路を絞る絞り部141を備えている。絞り部141は、環状形状を有しており、仕切部106から壁構造体115に向かって延びている。第2加熱空間Hs2における不活性ガスの流路は、壁構造体115の内周面115bに隣接する位置において小さくなっている。本実施形態では、1つの絞り部141が設けられているが、一実施形態では、2つ以上の絞り部141が設けられてもよい。
【0071】
図4は、絞り部を備える二重管構造体の効果を説明するための図である。上述したように、絞り部140,141を形成することにより、不活性ガスの流路の断面積が小さくなり、結果として、不活性ガスは、勢いよく下方に流れる。不活性ガスの流速が小さい場合、不活性ガスは、二重管構造体101の円周方向において、偏った状態で下方に流れるおそれがある。つまり、不活性ガスは、二重管構造体101の円周方向における特定の領域だけ積極的に流れ、その他の領域ではあまり流れないおそれがある。このような不活性ガスの不均一な流れは、吸入ケーシング20の温度低下の原因となるおそれがある。
【0072】
本実施形態では、第1加熱空間Hs1に配置された絞り部140A,140Bおよび第2加熱空間Hs2に配置された絞り部141のそれぞれは、不活性ガスの流路の断面積を小さくする。したがって、処理ガス吸入構造100は、勢いよく不活性ガスを流すことができ、結果として、不活性ガスが二重管構造体101の円周方向において、偏った状態で下方に流れることを確実に防止することができる。
【0073】
図4に示すように、下端側絞り部140Aと処理ガス流路部105の外周面105aとの間の隙間を通過する不活性ガスは、二重管構造体101の先端部分101aの下方に位置する液膜Lfまで勢いよく流れる。このように流れる不活性ガスは、環状形状を有し、かつカーテン状に延びており、処理ガス流路部105を流れる処理ガスを取り囲むように、処理ガスの外側に形成される。したがって、カーテン状に形成された不活性ガスの流れは、処理ガスの、処理ガス流路部105の半径方向外側への流れを阻害する。結果として、処理ガス流路部105を通過する処理ガスは、拡散することなく、配管21に沿って下方にスムーズに流れる。
【0074】
壁構造体115の内周面115bと絞り部141との間の隙間を通過する不活性ガスも同様に、絞り部141の下方に位置する液膜Lfまで勢いよく流れる。このように流れる不活性ガスは、環状形状を有し、かつカーテン状に延びており、下端側絞り部140Aと処理ガス流路部105の外周面105aとの間の隙間を通過する不活性ガスを取り囲むように形成される。したがって、処理ガスの、処理ガス流路部105の半径方向外側への流れは、より確実に防止される。
【0075】
本実施形態によれば、加熱装置102は、処理ガス流路部105の外側に形成された二重のカーテン状に延びる不活性ガスの流れを形成することができるため、二重管構造体101を加熱するのみならず、処理ガス流路部105を通過する処理ガスの拡散をも確実に防止することができる。
【0076】
図4に示すように、二重管構造体101の先端部分101aは液膜Lfに隣接して配置されているため、この先端部分101aの温度は特に低くなってしまう。本実施形態によれば、
図4の矢印で示すように、加熱装置102は、第1加熱空間Hs1を通過する不活性ガスのみならず、第2加熱空間Hs2を通過する不活性ガスをも二重管構造体101の先端部分101aに接触させることができる。したがって、加熱装置102は、先端部分101aの温度低下を防止することができる。
【0077】
図5は、加熱装置の他の実施形態を示す図である。
図5に示すように、加熱装置102は、第1加熱空間Hs1に配置されたヒータ150を備えてもよい。ヒータ150は、二重管構造体101を所定温度(例えば、180℃)まで加熱することができれば、特に限定されない。例えば、ヒータ150は、カートリッジヒータであってもよく、シート状のヒータであってもよい。カートリッジヒータを採用する場合、複数のヒータ150は、処理ガス流路部105の周方向に沿って等間隔に配置されてもよい。シート状のヒータを採用する場合、ヒータ150は処理ガス流路部105に巻き付けられてもよい。
【0078】
第1加熱空間Hs1に配置されたヒータ150は、二重管構造体101(すなわち、処理ガス流路部105および仕切部106)を加熱することができる。本実施形態では、ヒータ150は、処理ガス流路部105に隣接して配置されているため、処理ガス流路部105を積極的に加熱することができる。一実施形態では、高温の不活性ガスが第1加熱空間Hs1を通過することができれば、加熱装置102は、第1不活性ガス供給構造120およびヒータ150の両方を備えてもよい。
【0079】
図示しないが、加熱装置102は、第2加熱空間Hs2に配置されたヒータをさらに備えてもよい。この場合であっても、高温の不活性ガスが第2加熱空間Hs2を通過することができれば、加熱装置102は、第2不活性ガス供給構造121およびヒータ(図示)の両方を備えてもよい。
【0080】
図6は、処理ガス吸入構造の他の実施形態を示す図である。
図6に示すように、処理ガス吸入構造100は、高温の不活性ガスが流れる環状流路構造体200と、環状流路構造体200を加熱する加熱装置210と、を備えている。環状流路構造体200は、処理ガスが流れる処理ガス流路部201と、処理ガス流路部201の外側に配置された環状のジグザグ流路部205と、を備えている。
【0081】
壁構造体115は、処理ガス流路部201の外側に形成されている。処理ガス流路部201および壁構造体115のそれぞれは、筒形状を有しており、壁構造体115は、処理ガス流路部201を取り囲んでいる。処理ガス流路部201および壁構造体115は、同心状に配置されている。
【0082】
ジグザグ流路部205は、処理ガス流路部201の外面201aに形成された第1環状突起202と、処理ガス流路部201の外面201aに近接する方向に延びる第2環状突起203と、を備えている。第1環状突起202および第2環状突起203は、互いに同心状に配置されている。第2環状突起203は、第1環状突起202の上方に配置されている。
【0083】
環状流路構造体200は、壁構造体115のフランジ部117に連結可能なフランジ部206を有しており、第2環状突起203は、このフランジ部206に接続されており、外面201aに向かって延びている。一実施形態では、第2環状突起203は、処理ガス流路部201の外側に配置された壁構造体115の内周面115bに形成されてもよい。
【0084】
加熱装置210は、加熱された不活性ガス(例えば、窒素(N
2)ガス)をジグザグ流路部205に供給する加熱構造(本実施形態では、不活性ガス供給構造)102を備えている。
図6に示すように、不活性ガス供給構造102は、ジグザグ流路部205に連通するガス供給管207と、ガス供給管207に接続されたガスライン208と、ガスライン208およびガス供給管207を通じて、加熱された不活性ガスをジグザグ流路部205に供給するガス供給源209と、を備えている。
【0085】
図7は、ジグザグ流路部に供給された高温の不活性ガスの流れを示す図である。第1環状突起202および第2環状突起203のそれぞれは、互いに環状形状を有しており、第2環状突起203および第1環状突起202は、不活性ガスの流れ方向において、この順に配置されている。
【0086】
したがって、ジグザグ流路部205に導入された不活性ガスは、処理ガス流路部201を取り囲むように、旋回して流れ、第2環状突起203と第1環状突起202との間の隙間に流入する。この隙間は、処理ガス流路部201と壁構造体115との間に形成された環状の空間である。この空間に流入した不活性ガスは、処理ガス流路部201および壁構造体115を加熱しながら、旋回して流れ、第2環状突起203および第1環状突起202の下方に流れる。
【0087】
図7に示すように、第2環状突起203および第1環状突起202を通過する不活性ガスは、処理ガス流路部201の下方に位置する液膜Lfまで勢いよく流れる。このように流れる不活性ガスは、環状形状を有し、かつカーテン状に延びる。
図6および
図7に示す実施形態においても、処理ガス吸入構造100は、温度低下に起因して、処理ガスから生成物が発生することを防止することができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 排ガス処理装置
11 キャビネット
13 ドレインパン
14 漏液センサ
20 吸入ケーシング
21 配管
22 吸入口
23 吸入配管
24 導出口
26 液膜形成部
32 スクレーパ
40 液槽ケーシング
40a 壁
41 水位計
42a 液槽
42b 液槽
42c 液槽
43 液体排出口
44 堰
45 フィルタ
46 スプレーノズル
461 第1スプレーノズル
462 第2スプレーノズル
47 壁
47a 開口部
48 エダクター
48b エダクター
51 シャワー槽
51a シャワー槽
51b シャワー槽
51c シャワー槽
52 スプレーノズル
53 噴射ノズル
54 噴射ノズル
55 スプレーノズル
56 スプレーノズル
57 ラシヒリング層
61 ミストトラップ
63 液体流路
64 流量計
65 過圧排気口
71 液体流路
72 液体流路
72a 液体流路
81 ポンプ
82 流量計
83 流量計
84 排出バルブ
99 制御装置
100 処理ガス吸入構造
101 二重管構造
101a 先端部分
102 加熱装置
105 処理ガス流路部
105a 外周面
106 仕切部
106a 外周面
108 配管ベース部
110 配管構造体
115 壁構造体
115a 外周面
115b 内周面
116 フランジ部
117 フランジ部
119 シール部材
120 第1加熱構造
121 第2加熱構造
125 第1ガス供給管
126 第1ガスライン
127 ガス供給源
130 第2ガス供給管
131 第2ガスライン
132 ガス供給源
140A 絞り部
140B 絞り部
141 絞り部
150 ヒータ
200 環状流路構造体
201 処理ガス流路部
201a 外面
202 第1環状突起
203 第2環状突起
205 ジグザグ流路部
206 フランジ部
207 ガス供給管
208 ガスライン
209 ガス供給源
210 加熱装置
Lf 液膜
Hs1 第1加熱空間
Hs2 第2加熱空間