(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスおよび組み立て方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
A61M5/20
(21)【出願番号】P 2021557771
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2020058503
(87)【国際公開番号】W WO2020200995
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-15
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マルク・シャーダー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ティミス
(72)【発明者】
【氏名】トマス・コルレア
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ラバ-ロシュクステ
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-527036(JP,A)
【文献】特表2015-505513(JP,A)
【文献】特表2007-505677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(100)であって:
長手方向軸(A)に沿って延びる本体(102)と、
該本体(102)内に配置され、長手方向軸(A)に対して本質的に平行に延びる少なくとも1つのアーム部材(120)と、
薬物(DR)を排出するための力を提供するエネルギー貯蔵要素と、
エネルギー貯蔵要素を解放するように構成されているトリガ機構(112)、
ここで、少なくとも1つのアーム部材(120)は、該トリガ機構(112)にトリガ力を伝達するように構成されている、と、
薬物(DR)を保持する容器(101)と
を含み、
ここで、該容器(101)はフランジ(101b)を含み、該フランジは、長手方向軸に沿った軸方向位置(P1)に配置され、
フランジ(101b)は、長手方向軸(A)に対して第1の半径方向距離(RD1)を有する少なくとも1つの第1の半径方向エッジ領域(410)と、長手方向軸(A)に対して第2の半径方向距離(RD2)を有する少なくとも1つの第2の半径方向エッジ領域(412)とを有し、
第2の半径方向距離(RD2)は第1の半径方向距離(RD1)よりも大きく、
軸方向位置(P1)において、少なくとも1つのアーム部材(120)は、アーム部材(120)の少なくとも1つの位置合わせ機能(
430、432)が、第2の半径方向距離(RD2)よりも小さい、長手方向軸(A)に対する第3の半径方向距離(RD3)に配置されるように配置および構成され、
薬物送達デバイス(100)は、該薬物送達デバイス(100)が使用される場合、少なくとも1つのアーム部材(120)が本体(102)に対して軸方向に動くように構成され、
少なくとも1つのアーム部材(120)および/または本体(102)は、軸方向位置(P1)において少なくとも1つのアーム部材(120)の本体(102)に向かう半径方向運動を制限するように配置および構成された少なくとも1つの突出支
持機能(310)を含む、前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
薬物送達デバイス(100)であって:
長手方向軸(A)に沿って延びる本体(102)と、
該本体(102)内に配置され、長手方向軸(A)に対して本質的に平行に延びる少なくとも1つのアーム部材(120)と、
薬物(DR)を排出するための力を提供するエネルギー貯蔵要素と、
エネルギー貯蔵要素を解放するように構成されているトリガ機構(112)、
ここで、少なくとも1つのアーム部材(120)は、該トリガ機構(112)にトリガ力を伝達するように構成されている、と、
薬物(DR)を保持する容器(101)と
を含み、
ここで、該容器(101)はフランジ(101b)を含み、該フランジは、長手方向軸に沿った軸方向位置(P1)に配置され、
フランジ(101b)は、長手方向軸(A)に対して第1の半径方向距離(RD1)を有する少なくとも1つの第1の半径方向エッジ領域(410)と、長手方向軸(A)に対して第2の半径方向距離(RD2)を有する少なくとも1つの第2の半径方向エッジ領域(412)とを有し、
第2の半径方向距離(RD2)は第1の半径方向距離(RD1)よりも大きく、
軸方向位置(P1)において、少なくとも1つのアーム部材(120)は、軸方向位置(P1)の半径方向外側にあるアーム部材(120)の少なくとも1つの位置合わせ機能(
430、432)が、第2の半径方向距離(RD2)よりも小さい、長手方向軸(A)に対する第3の半径方向距離(RD3)に配置されるように配置および構成され、
アーム部材(120)および/または本体(102)は、軸方向位置(P)において少なくとも1つのアーム部材(120)の本体に向かう半径方向運動を制限するように配置および構成された少なくとも1つの突出支
持機能(310)を含む、前記薬物送達デバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの突出支持機能(310)は
、0.1ミリメートル~0.3mmの範囲、または0.15mm~0.25mmの範
囲だけアーム部材(120)から半径方向外側に突出する、請求項1または2に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項4】
少なくとも1つの突出支持機能(310)は
、0.1ミリメートル~0.3mmの範囲、または0.15mm~0.25mmの範
囲だけ本体(102)から半径方向内側に突出する、請求項1~3のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項5】
少なくとも1つの突出支持機能(310)は、2つの支持部材(312、314)または少なくとも3つの支持部材を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項6】
アーム部材(120)は、長手方向軸(A)に平行に延び、少なくとも1つの位置合わせ機能(430)を担持する少なくとも1つの内側案内リブ(420)を含み、
アーム部材(120)の少なくとも1つの内側案内リブ(420)は、長手方向軸に対してアーム部材から半径方向内側に延びる、請求項1~5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項7】
アーム部材(120)は、長手方向軸(A)に平行に延び、少なくとも1つの位置合わせ機能(430)を担持する少なくとも1つの内側局所的リブ(440)を含み、
アーム部材(120)の少なくとも1つの内側局所的リブ(440)は、長手方向軸に対してアーム部材から半径方向内側に延び、
少なくとも1つの内側局所的リブ(440)は、アーム部材(120)のエッジに隣接して配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項8】
突出支持機能(310)は、アーム部材(120)に強固に連結される、請求項1~7のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項9】
アーム部材(120)は、長手方向軸(A)に沿って延びる通路を囲む、環状または円筒状に形成されたアーム部材支持部(124)に連結される、請求項1~8のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項10】
アーム部材(120)の長さは、アーム部材(120)の角度幅と少なくとも等しく、または角度幅の少なくとも2倍、3倍もしくは4倍であり、角度幅は軸方向位置(P1)で測定される、請求項1~9のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項11】
少なくとも1つのアーム部材(120)は、第1のアーム部材(120)であり、
薬物送達デバイス(100)は、本体(102)内に配置され、長手方向軸(A)に対して本質的に平行に延びる第2のアーム部材(122)を含み、
第2のアーム部材(12
2)は、第1のアーム部材(12
0)の突出支持機能(310)と同様に構成された突出支持機能を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項12】
軸方向位置(P1)は、フランジ(101b)が第1の状態で配置される第1の軸方向位置(P1)であり、
第1の状態は、薬物送達デバイス(100)が使用前の状態であり、かつ/または薬物送達デバイス(100)が使用可能である状態である、請求項1~11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項13】
薬物送達デバイス(100)は、容器(101)のフランジ(101b)が、第1の軸方向位置(P1)とは異なる近位軸方向位置(P0)にある、組み立て前の状態であるように構成され、
少なくとも1つの突出支持機能(310)は、第1の突出支持機能(310)であり、
アーム部材(120)および/または本体(102)は、近位軸方向位置(P0)においてアーム部材(120)の本体(102)に向かう半径方向運動を制限するように配置および構成された、少なくとも1つの近位突出支
持機能(320)を含み、
近位突出支持機能(320)は、第1の突出支持機能(310)と同様に構成される、請求項12に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項14】
少なくとも1つの突出支持機能(310、320)は、スタッド
もしくは円周方向リブを含むか、またはスタッド
もしくは円周方向リブである、請求項1~13のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項15】
薬物送達デバイス(100
)の組み立て方法であって:
長手方向軸(A)に沿って延びる本体(102)を準備することと、
少なくとも1つのアーム部材(120)を本体(102)内に挿入することと、
ここで、少なくとも1つのアーム部材(120)は、薬物送達デバイス(100)のトリガ機構(112)にトリガ力を伝達するように構成されており、
薬物(DR)を保持し、または薬物(DR)を含む容器(101)を本体(102)内に、開口部(OP)を介して挿入することと
を含み、
ここで、容器(101)はフランジ(101b)を含み、該フランジは、長手方向軸(A)に沿った軸方向位置(P0)に配置され、
フランジ(101b)は、長手方向軸(A)に対して第1の半径方向距離(RD1)を
有する少なくとも1つの第1の半径方向エッジ領域(410)と、長手方向軸(A)に対して第2の半径方向距離(RD2)を有する少なくとも1つの第2の半径方向エッジ領域(412)とを有し、
第2の半径方向距離(RD2)は第1の半径方向距離(RD1)よりも大きく、
軸方向位置(P1)において、少なくとも1つのアーム部材(120)は、アーム部材(120)の少なくとも1つの位置合わせ機能(
430、432)が、第2の半径方向距離(RD2)よりも小さい、長手方向軸に対する第3の半径方向距離(RD3)に配置されるよう
に配置および構成され、
薬物送達デバイス(100)は、該薬物送達デバイス(100)が使用される場合、少なくとも1つのアーム部材(120)が本体(102)に対して軸方向に動くように構成され、少なくとも1つのアーム部材(120)および/または本体(102)は、近位軸方向位置(P0)において少なくとも1つのアーム部材(120)の本体(102)に向かう半径方向運動を制限するように配置および構成された少なくとも1つの突出支
持機能(320)を含む、前記方法。
【請求項16】
薬物送達デバイス(100
)の組み立て方法であって:
長手方向軸(A)に沿って延びる本体(102)を準備することと、
少なくとも1つのアーム部材(120)を本体(102)内に挿入することと、
ここで、少なくとも1つのアーム部材(120)は、薬物送達デバイス(100)のトリガ機構(112)にトリガ力を伝達するように構成されており、
薬物(DR)を保持し、または薬物(DR)を含む容器(101)を本体(102)内に、開口部(OP)を介して挿入することと
を含み、
ここで、容器(101)はフランジ(101b)を含み、該フランジは、長手方向軸(A)に沿った軸方向位置(P0)に配置され、
フランジ(101b)は、長手方向軸(A)に対して第1の半径方向距離(RD1)を有する少なくとも1つの第1の半径方向エッジ領域(410)と、長手方向軸(A)に対して第2の半径方向距離(RD2)を有する少なくとも1つの第2の半径方向エッジ領域(412)とを有し、
第2の半径方向距離(RD2)は第1の半径方向距離(RD1)よりも大きく、
軸方向位置(P1)において、少なくとも1つのアーム部材(120)は、アーム部材(120)の少なくとも1つの位置合わせ機能(
430、432)が、第2の半径方向距離(RD2)よりも小さい、長手方向軸に対する第3の半径方向距離(RD3)に配置されるように配置および構成され、
少なくとも1つのアーム部材(120)および/または本体(102)は、近位軸方向位置(P0)において少なくとも1つのアーム部材(120)の本体(102)に向かう半径方向運動を制限するように配置および構成された少なくとも1つの突出支
持機能(320)を含む、前記方法。
【請求項17】
容器(101)を開口部(OP)からさらに遠ざけて第1の軸方向位置(P1)に移動させ、それによってフランジを、組み立てられた薬物送達デバイス(100)において容器がアーム部材に対して配置される第1の軸方向位置に持って行くことを含み、
少なくとも1つのアーム部材(120)および/または本体(102)は、第1の軸方向位置(P1)において少なくとも1つのアーム部材(120)の本体(102)に向かう半径方向運動を制限するように配置および構成された少なくとも1つの第1の突出支
持機能(310)を含む、
請求項15または16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達デバイスに関する。さらに、薬物送達デバイスの組み立て方法が開示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本開示の目的は、薬物送達デバイス、特に、安全に動作し、患者の健康を損なわない使用を保証する薬物送達デバイスを提供することである。さらに、対応する組み立て方法を開示するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、請求項1に記載の薬物送達デバイスおよび独立請求項に記載の方法によって達成することができる。さらなる有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0004】
一態様では、薬物送達デバイスは、
-長手方向軸に沿って延びる、好ましくは細長い本体と、
-本体内に配置され、長手方向軸に対して本質的に平行に延びる少なくとも1つのアーム部材と、
-薬物を保持するかまたは薬物を含む容器と
を含み、
-容器はフランジを含み、フランジまたはその中心は、長手方向軸に沿った軸方向位置に配置され、
-フランジは、長手方向軸に対して第1の半径方向距離を有する少なくとも1つの第1の半径方向エッジ領域と、長手方向軸に対して第2の半径方向距離を有する少なくとも1つの第2の半径方向エッジ領域とを有し、
-第2の半径方向距離は第1の半径方向距離よりも大きく、
-軸方向位置において、少なくとも1つのアーム部材は、アーム部材の少なくとも1つの位置合わせ機能が、好ましくは第1の半径方向距離よりも大きく、第2の半径方向距離よりも小さい、長手方向軸に対する第3の半径方向距離に配置されるように配置および構成され、
-アーム部材および/または本体は、軸方向位置において少なくとも1つのアーム部材の本体に向かう半径方向運動、例えば半径方向外側への運動を制限するように配置および構成された、少なくとも1つの突出支持機能を含む。
【0005】
長手方向軸は、フランジの中心および/またはフランジ内の穴の中心を通ることができる。本体は本質的に円筒形であり、長手方向軸は、周囲で直線が回転して円筒が作り出される軸と考えられる円筒の軸に対応することができる。円筒形座標系を参照することができる、すなわち、各位置が、軸方向の値(高さ、ゼロ面までの距離)、軸までの半径方向距離、および現在の半径方向位置とゼロの角度を有するものとして定義される平面との間の角度の3つの座標によって画成される。本明細書では、「軸方向位置において」という言葉は、軸方向の座標を有することを意味することができる。他の座標、すなわち半径方向座標および角座標がどのような値を有するかは、文脈に応じる。
【0006】
他の座標、すなわち、角位置および半径方向位置の値が何であるかは特定の文脈に応じる。
【0007】
少なくとも1つのアーム部材、例えば2つのアーム部材または3つ以上のアーム部材は、例えば成形中、すなわち少なくとも1つのアーム部材を型部材から取り出す前の短い冷却時間を可能にするために、可能な限り薄くすることができる。冷却時間が短いことにより、製造中のハイスループットが得られる。少なくとも1つの薄いアーム部材は、例えば薬物送達デバイスの起動中に軸方向の圧力がかかると、外側に撓むことがある。本体は、この外側に向けられた撓みを制限することができる。しかし、本体とアーム部材との間には、両部材の互いに対する軸方向運動を可能にする隙間があってもよい。この隙間とアーム部材の柔軟性とは、薬物送達デバイスの非常に特殊な構成において不利になることがある。様々な部品、すなわち本体、アーム部材、さらには薬物を含む容器の製造に対する公差も考慮しなければならないことがある。最悪の場合、例えば、容器が回転してしまう構成になることがある。この容器の回転は、容器のフランジに伝達され、アーム部材を押すてことなる。結果として生じる圧力により、アーム部材が本体とアーム部材の間の隙間に入り込む外側への湾曲が生じることがある。この湾曲は、容器のさらなる回転につながることがあるが、これは、有害であり、最悪の場合、薬物送達デバイスの関連機能の妨害につながることがある。
【0008】
薬物送達デバイスの提案された構造は、支持突起または突出支持機能が重要な領域のみに使用される場合、薄いアーム部材が維持され、それにもかかわらず、外側への撓みが防止されるという知見に基づいている。突出支持機能は、アーム部材の外側方向への運動を制限することができる。突出支持機能の突起は、本体および/またはアーム部材上に配置される。突出支持機能は、フランジの軸方向位置に軸方向に、またはフランジの軸方向位置の軸方向近くに配置される。「近い」とは、近位方向または遠位方向において、0mm~10mm(ミリメートル)、または0~5mm、または0~2mmの範囲を含むことができる。突出支持機能は、例えば、フランジが薬物送達デバイスの作動状態に関連する少なくとも1つのアーム部材に対する相対的な位置にある場合、これらの範囲内にのみ配置され、その範囲外には配置されない。提案された突出支持機能の使用は、例えば、薬物送達デバイスの安全機能をもたらすことができる。例えば、薬物送達デバイスの使用者が薬物送達デバイスの使用後に彼自身または彼女自身または他の人を傷つけることを防止するために、針カバーシールドが薬物送達の使用後に十分な長さで針を確実に覆うようにすることが可能である。
【0009】
少なくとも1つのアーム部材は、本体と容器との間に配置される。フランジとアーム部材は、軸方向に重なっていてもよい。容器は、容器保持部材内に配置される。容器保持部材は、少なくとも一部分において非円形断面を有することができる。したがって、2つの曲がった側面間に2つの平坦な側面を配置することができる。容器のフランジは、同じ形状を有することができる。したがって、アーム部材は、第1の部分内で、本体および容器保持部材によってすべての側面から支持される。容器または容器にある針は、例えば2つのアーム部材を連結できるアーム部材支持部によって形成される通路内に配置される。容器は、針を一体的に含むシリンジであることができる。あるいは、容器は、使用前に針が挿入されるカートリッジであることができる。
【0010】
アーム部材は、いくつかの機能を有することができ、例えば、トリガ機構をトリガさせるために使用される。アーム部材を軸方向および近位方向に移動させて、トリガ機構をトリガすることができる。この軸方向運動が行われている間、アーム部材は、例えば機械的ばねなどのエネルギー貯蔵部材の力に対抗して作用することができる。
【0011】
容器のフランジは、平坦な側面、好ましくは互いに平行に配置され、2つの曲面によってつながっている2つの平坦面によって形成された少なくとも1つの平坦な部分を含むことができる。この非回転対称のフランジは、いくつかの利点を有する。したがって、例えば、テーブルの上など、ある角度で傾いた平面上に容器を置いた場合、重力によって容器が転がり得ない。さらに、フランジの平坦部は、平坦部のないフランジを有する容器用のデバイス設計と比較して、より小さな直径を有するデバイス設計を可能にすることができる。フランジは、例えば、軸方向および遠位方向に動き、容器に強い力を与えるピストンロッドを使用して、薬物を投与するときの軸方向および遠位方向の運動に対して容器を固定するために使用することができる。
【0012】
少なくとも1つのアーム部材は、部材部分から薬物送達デバイスの近位端まで、長手方向軸に本質的に平行に延びることができる。近位端は、注射に使用される端とは反対側の端であることができる。
【0013】
少なくとも1つのアーム部材の湾曲は、フランジの回転と、アーム部材の位置合わせ機能への平坦部の当接とによって引き起こされる。位置合わせ機能は、位置合わせエッジおよび/または位置合わせ表面であることができる。突出支持機能は、フランジと同じ断面内に配置される。あるいは、突出支持機能は、この断面の近くに、例えば、5ミリメートル(mm)よりも近くに配置される。それにもかかわらず、適切な支持は、可撓性アーム部材が、この短い距離内では硬質であることができるため可能である。
【0014】
結果として、フランジの最大回転角度は、2°よりも小さくても、または1°よりも小さくてもよい。フランジの最大回転角度は、0.01°より大きくてもよい。
【0015】
「本質的に」平行という用語は、平行な配置およびそこからのわずかな、例えば、成形などの製造の公差の範囲内の偏差を含むことができる。偏差は、1°の角度より小さくてもよい。
【0016】
少なくとも1つの突出支持機能は、アーム部材から半径方向外側に突出することができる。したがって、突出支持機能は、アーム部材の湾曲を防止するために補償しなければならない力が向けられる方向に突出できる。突出支持機能が突出支持機能の周囲の表面上に突出する距離または値は、0.1ミリメートル(mm)~0.3mmの範囲、または0.15mm~0.25mmの範囲であることができ、例えば、その距離は0.2mmであることができる。この距離は、突出支持機能の高さに対応することができる。本体とアーム部材の間の隙間は、わずかに大きくてもよく、例えば0.3mm~0.5mmの範囲内であってもよい。これらにより、突出支持機能の重要な効果を有することを可能にできる。さらに、突出支持機能が突出しすぎないようにすることで、これらの範囲を使用しない場合に生じ得る不都合を防止する。例えば、射出成形によって薬物送達デバイスの部品を製造するために使用される型の製造に関して、突出支持機能を本体の内側ではなくアーム部材の外側に配置する方が容易であり得る。
【0017】
あるいは、少なくとも1つの突出支持機能は、本体から半径方向内側に突出することができる。したがって、突出支持機能は、アーム部材の湾曲を防止するために補償しなければならない力が向けられる方向に突出できる。突出の距離または値、例えば突出支持機能の高さは、0.1ミリメートル(mm)~0.3mmの範囲、または0.15mm~0.25mmの範囲であることができ、例えば、その距離は0.2mmであることができる。本体とアーム部材の間の隙間は、例えば0.3mm~0.5mmの範囲内であってもよい。これらの範囲内の突出高さは、薬物送達デバイスの機能を妨げることがなく、アーム部材の湾曲の防止のために重要な効果を依然として有することができる。
【0018】
少なくとも1つの突出支持機能は、2つの支持部材または少なくとも3つの支持部材を含むことができる。2つの支持部材または少なくとも3つの支持部材は、例えば、アーム部材の近位端に対して同じ軸方向距離を有することができる。2つの支持部材または少なくとも3つの支持部材は、好ましくはリブまたはスタッドを含むことができる。リブは、長手方向軸上にその曲率中心を有する円状の曲線に沿って延びることができる。あるいは、リブは、直線、特に短い直線に沿って延びることができる。リブまたはスタッドは、例えば、円周方向に測定して、2mmより短くてもよい。リブまたはスタッドは、例えば、0.5mmより長くてもよい。アーム部材によって担持される位置合わせ機能から半径方向外側に配置される2つの比較的に短いリブ(ウェブ)またはスタッドを使用することが十分であり得る。リブの長さは、リブの最大幅の1.5倍または2倍超であってもよい。リブの長さは、リブの最大幅の20倍より短くてもよい。スタッドは、長さに等しい幅を有していてもよい。しかし、スタッドの幅は、その長さよりも10%未満小さくてもよい。断面が円形、方形、矩形または楕円形のスタッドを使用することもできる。
【0019】
アーム部材は、長手方向軸に平行に延び、少なくとも1つの位置合わせ機能を担持する少なくとも1つの内側案内リブを含むことができる。位置合わせ機能は、少なくとも1つの内側案内リブに配置された位置合わせエッジを含むことができる。アーム部材の少なくとも1つの内側案内リブは、長手方向軸に対してアーム部材から半径方向内側に延びることができる。少なくとも1つの内側案内リブの高さは、0.5mm~1mmの範囲内であることができる。少なくとも1つの内側案内リブは、アーム部材の隣接する長いエッジに対して距離を置いて配置される。エッジと内側案内リブとの間の距離は、0.5~2mmの範囲内であることができる。少なくとも1つの内側案内リブの長さは、少なくとも2センチメートル(cm)であることができる。内側案内リブは、位置合わせ機能を担持するだけでなく、容器が薬物送達デバイスに組み立てられた場合に、フランジの回転を防止するために使用することもできる。好ましくは、2つの内側案内リブが、少なくとも1つのアーム部材のうちの1つで使用することができる。
【0020】
アーム部材は、長手方向軸に平行に延び、少なくとも1つの位置合わせ機能を担持することができる少なくとも1つの内側局所的リブを含むことができる。位置合わせ機能は、少なくとも1つの内側局所的リブ上に配置された平面位置合わせ面を含むことができる。アーム部材の少なくとも1つの内側局所的リブは、長手方向軸に対してアーム部材から半径方向内側に延びることができる。少なくとも1つの内側局所的リブは、アーム部材のエッジに隣接して、例えば、エッジに対してオフセットまたは距離を置かずに配置される。少なくとも1つの内側局所的リブの長さは、最大1.5cm(センチメートル)または最大7ミリメートルであることができる。少なくとも1つの内側局所的リブは、面取り部を含むことができる。面取り部は、薬物送達デバイスのプライミング中、すなわち薬物送達デバイスの薬物送達のための準備中に傾斜面として用いることができる。面取り部は、局所的リブまたは各局所的リブの両側で用いることができる。薬物内の気泡は、例えば、プライミング中に、薬物送達デバイスのピストンロッドを可動式止め具要素によって閉じられる容器の端へと進めることによって除去することができる。少なくとも1つのアーム部材のうちの1つは、少なくとも2つの内側局所的リブを含むことができる。少なくとも1つの内側局所的リブの高さは、0.5mm~1mmの範囲内であることができる。少なくとも1つの内側局所的リブは、アーム部材の隣接するエッジに対して距離を置かずに配置される。
【0021】
突出支持機能は、少なくとも1つのアーム部材に強固に連結される。突出支持機能から、突出支持機能に対して互いに対向する少なくとも2つの側面の方向に延びる2つの連続領域内に、アーム部材の材料があってもよい。連続領域は、突出支持機能から、それぞれ一方の長い側面および/またはアーム部材の端まで延びることができる。さらなる連続領域があってもよい。このように、突出支持機能は、アーム部材の材料によってその側面のすべてが囲まれる。言い換えれば、突出支持機能の近くにアーム部材を通る凹部またはアパーチャがなく、特に突出支持機能の3つの側面にあって弾力性を与える凹部がない。
【0022】
アーム部材は、長手方向軸に沿って延びる通路を囲む、環状または円筒状に形成されたアーム部材支持部に連結される。この場合、少なくとも1つのアーム部材およびアーム部材支持部は、トリガ機構のためのトリガアームと組み合わせて針カバーを形成することができる。結果として得られる針カバーシールド部材は、例えば1つの単一の射出成形工程中に、一体的に形成される。このような針カバーシールド部材は、10個未満のプラスチック部材または8個未満のプラスチック部材を含む薬物送達デバイスの部材であることができる。この装置は、組み立てが容易であることができ、低コストのデバイスであることができる。
【0023】
アーム部材の長さは、アーム部材の角度幅と少なくとも等しく、または角度幅の少なくとも2倍、3倍、4倍であることができる。ここで、角度幅は軸方向位置で測定される。アーム部材は、その長さ故に可撓性であってもよい。これは、半径方向外側への湾曲が、突出支持機能によって防止されなければならない問題になり得ることを意味する。「角度(angular)」とは、長手方向軸にその頂点を有し、そのアームが長手方向軸に対して半径方向外側に向く角度を意味することができる。
【0024】
少なくとも1つのアーム部材は、第1のアーム部材であることができる。薬物送達デバイスは、本体内に配置され、長手方向軸に対して本質的に平行に延びる第2のアーム部材を含むことができる。第2のアーム部材は、第1のアーム部材の突出支持機能と同様に構成された突出支持機能を含むことができる。「本質的に平行」という用語は、平行およびそこからのわずかな、例えば、成形などの製造の公差の範囲内の偏差を含むことができる。2つのアーム部材は、両方のアーム部材を介してトリガ機構の2つの側面に圧力による力を伝達するために用いることができる。トリガ機構は、本体の長手方向軸に沿って配置され、外側に突出して2つのアーム部材の端部分まで延びる要素を含むことができる。これらの端部分は、近位端部分であることができる。トリガのために2つのアームが使用されるため、トリガ機構の信頼性は高くなり得る。2つ以上のアーム部材は、上記アーム部材支持部によって連結される。
【0025】
少なくとも1つのアーム部材は、薬物を排出するための力を提供するエネルギー貯蔵要素に連結されたトリガ機構に連結される。エネルギー貯蔵要素は、機械的ばね、高圧リザーバなどであることができる。このように、アーム部材は、フランジの位置合わせ、および/またはフランジの回転防止、および/またはトリガ機構へのトリガ力の伝達という多機能部材であることができる。この多機能により、薬物送達デバイスは単純なものにすることができる。エネルギー貯蔵要素は、トリガ機構内に配置される。
【0026】
軸方向位置は、フランジが第1の状態で配置される第1の軸方向位置であることができる。第1の状態は、薬物送達デバイスが使用前の状態であり、かつ/または使用可能である状態であることができる。提案された突出支持機能を使用して、フランジが第1の状態で適切に位置合わせされていることを確実にすることが重要であり得る。
【0027】
薬物送達デバイスは、容器のフランジが、第1の軸方向位置とは異なる、例えば第1の軸方向位置よりも近位の近位軸方向位置にある、組み立て前の状態であるように構成される。少なくとも1つの突出支持機能は、第1の突出支持機能であることができる。アーム部材および/または本体は、近位軸方向位置においてアーム部材の半径方向外側への運動を制限するように配置および構成された、少なくとも1つの近位突出支持機能を含むことができる。近位突出支持機能は、第1の突出支持機能と同様に構成され、かつ/または同一もしくは類似の機能を有することができる。近位軸方向位置は、アーム部材および第1の軸方向位置に対して、近位方向にオフセットされる。
【0028】
しかし、対応する突出支持機能を有するさらなる位置、例えば、第1の状態のための第1の位置からより遠位にあり得る第2の位置があってもよい。第2の位置は、第2の状態、例えば、薬物の注射がトリガ機構によってトリガされた状態、ならびに/または注射が開始および/もしくは実行された状態に達するフランジの位置に対応することができる。第2の位置に配置され、第1の突出支持機能と同じ機能を有することができる、少なくとも1つの第2の突出支持機能があり得る。
【0029】
第3の関連する状態は、人の体内に薬物を送達した後に到達することができる。第3の軸方向位置は、容器のフランジが第3の状態にある位置であることができる。第3の位置は、第1の軸方向位置と近位軸方向位置との間にあることができる。この場合、針カバーは、第1の状態と比較して、第3の状態では本体の上により多く延びる。これにより、デバイスが既に使用されたことを使用者に示すマークまたはマーク付き領域を示すことができる。第3の軸方向位置にあり、第1の突出支持機能と同様に構成され、かつ/または同一もしくは類似の機能を有する突出支持機能を有することができる、少なくとも1つの第3の突出支持機能があり得る。しかし、アーム部材の外側への湾曲を防止できる範囲を定義するために、第1の突出機能および近位突出機能が十分であり得る。
【0030】
薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスが使用される場合および/または使用時に、特に患者の体内に針を挿入するために、かつ/または患者の体内に薬物を排出するために、少なくとも1つのアーム部材が本体に対して軸方向に動くように構成される。この軸方向運動により、簡単なデバイスおよび/または使用が簡単なデバイスの構築が可能になり得る。薬物送達デバイスは、自己注射器であることができる。代わりに、他の配置も可能である。したがって、あるいは、針を挿入するために、容器を本体に対して相対的に動かすことができる。
【0031】
薬物送達デバイスは、容器用の保持部材を含むことができる。保持部材は、本体内に配置することができる。容器は、保持部材に対して回転可能に配置される。しかし、この回転は、提案された位置合わせ機能および/または提案された突出支持機能によって制限される。保持部材は、フランジの形状に適合した形状を有する断面を有する端部分をさらに含むことができる。保持部材は、特に、薬物を含む容器とともに本体内に挿入される保持部材が使用される場合、薬物送達デバイスの組み立てをかなり容易にすることができる。容器保持部材の端部分は、第3の半径方向距離を有する少なくとも1つの第3の半径方向エッジ領域と、第3の半径方向距離よりも大きい第4の半径方向距離を有する少なくとも1つの第4の半径方向エッジ領域とを有することができる。第3の半径方向距離は、第1の半径方向距離と同じであることができ、または1mm未満、または0.5mm未満だが、例えば0.01mm超の両距離(第1の距離および第3の距離)の差があってもよい。第4の半径方向距離は、第2の半径方向距離と同じであることができ、または1mm未満、または0.5mm未満だが、例えば0.01mm超の両距離(第2の距離および第4の距離)の差があってもよい。保持部材の中間部分は、端部分よりも円形の断面を有することができる。保持部材の端部分の平坦面は、少なくとも一方のアーム部材または両方のアーム部材に隣接および/または直接物理的に接触することができる。これにより、アーム部材がトリガ機構を起動するために使用される場合および/または使用される時に、特にエネルギー貯蔵部材の力に抗したアーム部材の軸方向運動によって、アーム部材の内側への運動を防止することができる。
【0032】
少なくとも1つのアーム部材は、少なくとも1つの突出支持機能が配置されている部分に平滑面を有することができ、少なくとも1つの突出支持機能は平滑面から突出する。したがって、突出支持機能は、軸方向位置において半径方向外側に延びる唯一の突出要素であることができる。
【0033】
あるいは、少なくとも1つのアーム部材は、少なくとも1つの突出支持機能が配置されている部分に構造化面を有することができる。少なくとも1つの突出機能は、構造化面の外側包囲面から突出することができる。構造化面は、少なくとも1つの長手方向ノッチ/リブ、または複数の長手方向ノッチおよび/もしくはリブを含むことができる。これらのノッチ/リブの目的は、アーム部材の剛性を高めることであることができる。長手方向ノッチ/リブの最大深さは、0.5mm未満または0.25mm未満だが、0.01mmまたは10マイクロメートル超であることができる。リブの高さについても同様であることができる。
【0034】
第2の態様は、薬物送達デバイス、好ましくは先行するいずれかの薬物送達デバイスの組み立て方法であって、
-長手方向軸に沿って延びる、好ましくは細長い本体を準備することと、
-少なくとも1つのアーム部材を本体内に、好ましくは本体の遠位側から挿入することと、
-薬物を保持し、かつ/または薬物を含む容器を本体内に、開口部を介して、好ましくは本体の近位側から挿入することと
を含み、
-容器は、フランジを含み、フランジまたはその中心は、長手方向軸に沿った近位軸方向位置に配置され、
-フランジは、長手方向軸に対して第1の半径方向距離を有する少なくとも1つの第1の半径方向エッジ領域と、長手方向軸に対して第2の半径方向距離を有する少なくとも1つの第2の半径方向エッジ領域とを有し、
-第2の半径方向距離は第1の半径方向距離よりも大きく、
-軸方向位置において、少なくとも1つのアーム部材は、アーム部材の少なくとも1つの位置合わせ機能が、好ましくは第1の半径方向距離よりも大きく、第2の半径方向距離よりも小さい、第3の半径方向距離に配置されるように配置および構成され、
-少なくとも1つのアーム部材および/または本体は、近位軸方向位置において少なくとも1つのアーム部材の本体に向かう半径方向運動、例えば半径方向外側への運動を制限するように配置および構成された、少なくとも1つの突出支機能を含む、方法に関する。
【0035】
容器は、重力によって、すなわち、容器を開口部から本体内に落とすまたは落下させることによって挿入される。容器の落下は、使用前に薬物送達デバイスの遠位キャップとともにグラバー(grabber)部分によって取り除かれる内側ニードルシールドのグラバー部分によって止めることができる。グラバー部分は、好ましくは金属で作られる。
【0036】
グラバー部分が完全にはその目標の位置にない、かつ/または長手方向軸に対して目標の角度を有していない場合があり得る。各グラバー要素は、同じグラバーの他のグラバー要素に対して、わずかに異なる位置および/または角度を有することができる。
【0037】
本方法は、
-容器を開口部からさらに遠ざけて第1の軸方向位置に移動させ、それによってフランジを、組み立てられた薬物送達デバイスにおいて容器がアーム部材に対して配置される、すなわち、容器が、使用可能な薬物送達デバイスに配置される第1の軸方向位置に持って行くことをさらに含むことができ、
好ましくは、少なくとも1つのアーム部材および/または本体は、第1の軸方向位置において少なくとも1つのアーム部材の本体に向かう半径方向運動を制限するように配置および構成された、少なくとも1つの第1の突出支機能を含むことができる。
【0038】
特別な工具を用いて、容器を薬物送達デバイス内にさらに挿入することができる。容器および/またはフランジは、このさらなる挿入工程中、回転する傾向を有し得る。しかし、第1の突出支持機能は、アーム部材の湾曲を制限し、それによってフランジの回転を制限および/または防止することができる。提案された構成の保護範囲を理論的に制限することなく、回転傾向は、キャップ内に配置され、さらなる挿入工程中に内側針キャップがそれに沿って移動するグラバー部分によってもたらされる不均衡に起因することが可能であり得る。グラバー部分は、内側針キャップに集中的かつ直接物理的に接触することができる。グラバー部分は、回転を促進する鋭いエッジを有することができる。内側ニードルシールドは、圧力嵌めによって薬物用容器に保持される。したがって、突出支持機能が、アーム部材の外側への湾曲を防止し、それによって容器およびそのフランジの回転を防止する場合、内側ニードルシールドにて誘発される回転は、圧力嵌めによって、すなわち、容器に対するニードルシールドの回転によって吸収される。あるいは、内側ニードルシールドの圧力嵌めが強い場合、突出支持機能がアーム部材の外側への湾曲を防止し、それによって容器およびそのフランジの回転を防止するため、グラバー要素によってもたらされる不均衡がある場合でも、回転はしない。さらに、フランジのアーム部材との引っかかり、特に、薬物の送達後ならびにアーム部材に恒久的に連結されているニードルシールドが針の上を再び移動する前および/または移動するまで、フランジによるアーム部材の軸方向移動の阻止を防止することができる。
【0039】
したがって、薬物送達デバイスおよびその実施形態に有効な構成、利点および技術的効果は、本方法にも有効であり、その逆もまた然りであり得る。
【0040】
現在の好ましい実施形態の作成および使用については、以下で詳細に説明する。しかしながら、本開示は、多種多様な特定の文脈で具現化することができる多くの適用可能な概念を提供することを理解すべきである。論じられる特定の実施形態は、開示された概念を作り、使用するための特定の方法を単に例示するものであり、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0041】
さらに、同じ参照符号は、別途記載がない限り、同じ技術的構成を指す。本願では、「may」が使用されている限り、実際の技術的実施だけでなく、そうできることを意味する。本開示の概念は、より具体的な文脈、すなわち薬物送達デバイス、特に自己注射器において、以下に好ましい実施形態に関して説明される。しかしながら、開示された概念は、他の状況および/または配置、特に自己注射器を含まない薬物送達デバイスにも適用することができる。
【0042】
上記は、本開示の実施形態の構成および技術的利点を大まかに概説した。本開示の実施形態、例えば、従属請求項の主題のさらなる構成および利点は、以下に記載される。開示される概念および特定の実施形態は、本明細書で具体的に論じられた概念と同一または類似の目的を有する概念を実現するための他の構造またはプロセスを修正または設計するための基礎として利用できることが、当業者によって容易に理解されるべきである。均等な構造は、添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の趣旨および範囲から逸脱しないことも、当業者に理解されるべきである。
【0043】
ここで開示される概念およびその利点のより完全な理解のために、ここで添付の図面に関連して以下の説明を参照する。図面は、縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図2】薬物送達デバイスのニードルシールド部材である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書では、薬物送達デバイス100の近位端Pは、薬物送達デバイス100の遠位端Dとは反対側を向く端に配置される。遠位端Dは、注射用の針を担持する、または担持できる端である。
図1は、容器保持部材101cを含む薬物送達デバイス100を示す。薬物送達デバイス100は、容器保持部材101cを完全または部分的に収容し、薬物送達デバイス100のさらなる部材を含む本体102を含むことができる。本体102は、直線状の長手方向軸Aを有する。半径方向Rは長手方向軸Aに対して垂直(90°の角度)である。
【0046】
あるいは、本体102は、容器保持部材101cに連結されているが、完全に容器保持部材101cを囲んでおらず、さらには容器保持部材101cの一部を取り囲んでいなくてもよい。容器保持部材101cは、容器保持部材101cに挿入される容器101を含む。容器101は、ガラスで作られる。容器101の一方の端は、小開口部および/または針110を備える。容器101の他端は、小開口よりも大きくてもよい容器101の第2開口部の周囲に部分的に配置されるフランジ101bを含むことができる。
【0047】
本体102内には、以下が配置される:
-容器101内にあり、容器101の近位端を閉鎖する容器101のピストン/止め具を移動させるように構成されたピストンロッド104、
-ピストンロッド104のための駆動機構106。駆動機構106は、エネルギー貯蔵要素、例えば自動または手動で負荷をかける機械的ばねを含むことができる、
-例えば、近位端Pにおいて、容器101内へのピストンロッド104の運動を開始するために使用され、それにより駆動機構106が使用される任意の起動要素108。以下に記載されるように、起動要素108の代わりにトリガ機構112を使用することができる。この場合、本体102の近位開口部OPを閉鎖するために、別個の近位キャップを使用することができる。
【0048】
薬物DRは、容器101から針110を介して、または薬物送達デバイス100の遠位端Dに連結可能および/もしくは連結されたノズルを介して投薬される。薬物送達デバイス100は、使い捨てデバイスであっても、または複数回使用のデバイスであってもよい。針110は、各使用前に交換することができる。
【0049】
容器101には、薬物DRまたは薬剤が充填される。薬物は、インスリン、ホルモン、抗体、または次のページに列挙される薬物DRのいずれか、または別の薬物DRを含むことができる。
【0050】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で使用可能であり、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0051】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含み得る。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(例えば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸例えばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0052】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、例えば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(例えば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルであり得る。例えば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(例えば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(例えば、約20℃)または冷蔵温度(例えば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(例えば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジであり得るか、またはそれを含み得る。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。例えば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(例えば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0053】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、例えば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症例えば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害例えば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(例えば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0054】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造例えばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかであり得る。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、例えば、1つまたはそれ以上の有機置換基(例えば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0055】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0056】
インスリン誘導体の例は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0057】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、例えば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標)、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0058】
オリゴヌクレオチドの例は、例えば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0059】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0060】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0061】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖例えばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0062】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(例えばネズミ)抗体、または一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。例えば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、例えば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体であり得る。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0063】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(例えば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、例えば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、例えば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0064】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得るか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
【0065】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(例えば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(例えば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0066】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0067】
当業者であれば、本明細書に記載のAPI、処方、装置、方法、システムおよび実施形態の様々な部品の改変(追加および/または削除)が、そのような改変およびあらゆる均等物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなくなされることを理解するであろう。
【0068】
さらに、
図1に関しては、
-トリガ機構112と、
-可撓性針カバー部材118
が本体102内に配置される。
【0069】
トリガ機構112は、様々な方法で構成することができる。そのため、トリガ機構112の詳細は詳細に図示されない。しかし、一実施形態を以下で説明する。トリガ機構112は、長手方向軸Aに沿って配置されたピストンロッド104を含むトリガ部材を含むことができる。ピストンロッド104は、針カバー部材118のアームの自由端内に形成されたアパーチャ内に半径方向外側に延びる2つの突起を含むことができる。これらの自由端は、
図2に示されている。参照符号230および232を参照されたい。
【0070】
トリガ機構112は、近位P方向への針カバー部材118の軸方向運動によってトリガされる。針カバー部材118の遠位端は、薬物送達デバイス100の使用者の身体の部位に押し付けられる。この圧力は、本体102に対する、ならびに/または容器101およびそのフランジ101bに対する、針カバー部材118の軸方向および近位方向の運動をもたらすことができる。この軸方向/近位方向の運動は、エネルギー貯蔵部材の力に抗してトリガ機構112に伝達され、トリガ機構112のトリガをもたらしてもよい。このトリガにより、エネルギー貯蔵要素を解放することができる。解放されたエネルギー貯蔵要素は、容器101内のピストンロッド104およびピストン/止め具を遠位D方向に押し、それにより、針110を介して薬物DRを送達することができる。
【0071】
針カバー部材118は、
-第1の、好ましくは細長いアーム部材120および第2の、好ましくは細長いアーム部材122と、
-アーム部材支持部124と
を含むことができる。
【0072】
アーム部材支持部124は、円筒形状を有し、両アーム部材120、122を連結することができる。さらに、アーム部材支持部124は、針110が配置される中央通路を含むことができる。アーム部材120およびアーム部材122は、それらの自由端230、232を、トリガ機構112の互いに対向する2つの側面上または2つの側面に配置される。針カバー部材118は、以下で
図2に関してより詳細に記載される。
【0073】
図1は、針カバー部材118に対するフランジ101cの複数の位置P0~P3を示す。これらの位置P0~P3は、薬物送達デバイスの異なる作動状態S0~S3に関連し得る:
-位置P0:これは、容器101が本体102内に緩く挿入され、針110を覆うことができる内側ニードルシールドの遠位端が、薬物送達デバイス100の外側キャップ内に配置されるグラバー要素に接触できる、組み立て前のデバイスの状態S0Oにおける組み立て前の位置であることができる、
-位置P1:薬物送達デバイス100の組み立てが終了し、薬物送達デバイス100が使用可能な状態S1の位置であることができる、
-位置P2:これは、ニードルシールド部材118によってトリガ機構112がトリガされ、針110がニードルシールド部材118に覆われていない、すなわち使用中の状況である状態S2における位置であることができる、
-位置P3:これは、薬物が送達され、ニードルシールド部材118が針110を再び、例えば状態S1のときよりもほんの少し多く覆う状態S3における位置であることができる。
【0074】
近位端Pから位置P0、P1、P2およびP3の延びる距離の大きさに対応するこれらの位置の順序または順番は、位置P0、位置P3、位置P1、位置P2となり得る。位置P3は、別の実施形態では、位置P1と同じであってもよい。あるいは、これら4つの位置P0~P3よりも関連する位置が多くても少なくてもよい。
【0075】
薬物送達デバイス100の組み立ては、本明細書の前半にも記載されているように、すなわち、以下のように行うことができる:
-本体102を準備し、
-アーム部材120、122を含むニードルシールド部材118を、本体102内に好ましくは本体102の遠位側Dから挿入し、
-容器101を好ましくは重力によって、開口部OPを介して本体102に挿入し、
-例えば、専用の組み立て工具を使用することによって、容器101をさらに挿入する。
【0076】
図2は、薬物送達デバイス100のニードルシールド部材118をより詳細に示す。ニードルシールド部材118の2つのアーム部材120、120間には、クリアランス200があってもよい。
図2は、アーム部材120の外側およびアーム部材122の内側を示す。2つの任意の案内リブ202、204、すなわち一対の案内リブ202、204が、アーム部材122上に示される。
図4は、アーム部材120上の対応する一対の任意の内側案内リブ420、422を示す。内側案内リブ202、204は、互いに平行であることができ、長手方向軸Aに平行に延びることができる。内側案内リブ202、204を用いて、薬物送達デバイス100の組み立て中にフランジ101bを案内することができる。内側案内リブ202、204をさらに用いて、薬物送達デバイス100の組み立て後にフランジ101bを位置合わせすることができる。内側案内リブ202、204の長さは、内側案内リブ202、204を担持する部分を円周方向に測定したアーム部材122の幅の少なくとも2倍であることができる。
【0077】
クリアランス200は、例えば、
-容器保持部材101cと、
-容器101と、
-トリガ機構112と、
-ピストンロッド104と、
-エネルギー貯蔵部材(図示せず)と
のための保持スペースとして使用することができる。
【0078】
クリアランス200によって、本体102に配置された1つの窓または2つの窓を通して、容器101に入っている薬物の量を見ることができる。任意のアパーチャ210、212は、アーム部材120、122の幅狭の部分よりも遠位にあり、より近位に配置された幅狭の部分よりも大きな幅を有するアーム部材120、122の部分に配置される。アパーチャ210、212は、ニードルシールド部材118の成形を容易にすることができる。
【0079】
ニードルシールド部材118のアーム部材120の領域220は、以下の
図3に関してより詳細に説明される突出支持機能を含む。アーム部材122は、アーム部材120の突出支持機能と同様に構成された機能を含む。しかしながら、アーム部材122の突出支持機能は、アーム部材122の外側に配置され、内側のみが見えるため、
図2には示されていない。
【0080】
端部分230は、アーム部材120の自由端を成す。同様に、端部分232は、アーム部材122の自由端を成す。端部分230、232は、トリガ機構112と係合し、トリガ機構112のトリガを可能にするアパーチャおよび/またはリブを含むことができる。
【0081】
アーム部材120および122は両方とも、例えばリブおよび/またはノッチなどの補強機能を用いてより剛性を高くすることができる。本実施形態では、アーム部材120の長さの半分を超えて延びる長いノッチ240が示されている。アパーチャ210は、アーム部材120の幅広の部分のエッジ間の中間に配置される。ノッチ240とアパーチャ210の間に配置される2つのさらなるノッチ242および244があってもよい。ノッチ242および244は、型のエジェクタがニードルシールド部材118を押し出す平滑および/または平坦面領域によって途切れている。しかし、この平滑面領域は任意であり、ノッチ242および244は、ノッチ240と同じ長さを有することができる。ノッチ240とアーム部材120のエッジとの間にリブを形成することができる。さらなるリブをノッチ240とノッチ242の間、ならびにノッチ242とノッチ244の間に形成することができる。このことは、
図3および
図4でより良く見てとれる。アーム部材122は、対応するノッチおよびリブを担持することができる。しかし、これらのリブおよびノッチは、
図2に示されている斜視図では見えない。
【0082】
ニードルシールド部材118のノッチ240~254は、より多くても少なくてもよい。さらに、ノッチ240~254の形状および/または寸法(例えば長さ、幅)および/または延伸方向は、例えば、ニードルシールド部材118を製造するために使用される型内のエジェクタ要素によって使用される領域の位置に応じて異なっていてもよい。
【0083】
図3は、
図2に示す領域200内のニードルシールド部材118のアーム部材120の詳細を示す。以下のノッチおよびリブ、すなわち、アーム部材120の別の長辺にある、リブ340、ノッチ240、リブ342、ノッチ242、リブ344、ノッチ244、中間リブ345、ノッチ250、リブ350、ノッチ252、リブ352、ノッチ254およびリブ354が下から上に示されている。中間リブ345は、隣り合うリブ344および345よりも幅広であることができる。ノッチ240~254はすべて、同じ深さおよび同じ幅を有することができる。
図3は、リブおよびノッチの実際の幅が歪んでいる斜視図である。外側のリブ340および354も、内側のリブ342、344、350および352よりも幅広であることができる。
【0084】
支持機能310は位置P1に配置される。容器100のフランジ101bは、薬物送達デバイス100の第1の状態において、位置P1に配置される。
図3に示すように、フランジ101bの近位端、またはフランジ101bの遠位端とフランジ101bの近位端との間の中間に配置される点を参照することができる。
【0085】
支持機能310は、2つの支持部材312、314を含むことができる。あるいは、支持機能310は、位置P1において、支持部材を2つよりも多くまたは少なく含むことができる。支持部材312および314は、図示されているように、リブの形態を有することができる。あるいは、例えばスタッドなどの他の形状が可能である。支持部材312は、ノッチ240を挟んで、例えば垂直に配置される。支持部材312の自由端は、ノッチ240に隣接するリブ340およびリブ342に位置する。支持部材314は、ノッチ254を挟んで、例えば垂直に配置される。支持部材314の自由端は、ノッチ254に隣接するリブ352およびリブ354に位置する。支持部材312および314の長手方向軸を横切る断面は、台形、矩形であることができ、または他の適切な形状を有していてもよい。このように、支持部材312および314は、アーム部材120の円周方向に延びる。支持部材312および314は、他のノッチ242~252および他のリブ344、345および350を覆わなくてもよい。
【0086】
さらなる支持機能320は、位置P0に配置される。容器100のフランジ101bは、薬物送達デバイス100の組み立て前の状態で位置P0に配置される。
図3で有効であり得るように、フランジ101bの近位端、またはフランジ101bの遠位端とフランジ101bの近位端との間の中間に配置される点を参照することができる。
【0087】
支持機能320は、2つの支持部材322、324も含むことができる。あるいは、支持機能320は、位置P0において、支持部材を2つよりも多くまたは少なく含むことができる。支持機能320は、支持機能310と同じ構成を含むことができる。あるいは、支持機能320は、支持機能310に含まれる構成とは異なる構成を含むことができる。支持機能320が、支持部材312、314とは異なるリブおよび/または異なるノッチを覆う支持部材を含むことが可能である。あるいは、以下で記載するように、同じリブおよび/または異なるノッチが覆われる。支持部材322および324は、図示されるリブの形態を有することができる。あるいは、例えばスタッドなどの他の形状が可能である。支持部材322は、ノッチ240を挟んで、例えば垂直に配置される。支持部材322の自由端は、ノッチ240に隣接するリブ340およびリブ342に位置する。支持部材324は、ノッチ254を挟んで、例えば垂直に配置される。支持部材324の自由端は、ノッチ240に隣接するリブ352およびリブ354に位置する。支持部材322および324の長手方向軸を横切る断面は、台形、矩形であることができ、または他の適切な形状を有していてもよい。このように、支持部材322および324は、アーム部材120の円周方向に延びる。支持部材322および324は、他のノッチ242~252および他のリブ344、345および350を覆わなくてもよい。
【0088】
したがって、支持機能310および320、特に支持部材312~324は、アーム部材120と本体102の内側との間に配置される。フランジ101bがそれ自体の長手方向軸(長手方向軸Aと同じ場所にあることができる)を中心に回転しようとする状態S0~S3では、圧力は、アーム部材120に対して半径方向外側に誘導される。しかし、アーム部材120は、支持部材312~324によって、より安定した本体102の内側に対して支持される。したがって、アーム部材120の外側への湾曲は、支持部材312~324によって防止することができる。フランジ101bの回転も、アーム部材120が外側に湾曲しなければ防止することができる。これは、アーム部材122についても同様である。このことは、
図3の位置P1の線に沿った薬物送達デバイス100を横切る断面からも見てとれる。この断面は、
図4に示されている。
【0089】
図4は、
図3に示す位置P1の線に沿った断面を示す。断面は、本体102、ニードルシールド部材120、およびフランジ101bを通っている。断面の上半分のみが示されている。断面の下半分は、上半分に対して鏡面対称であるため、さらなる情報を示していない。そのため、断面の下半分は省略されている。
【0090】
断面の中心点CPは、長手方向軸Aに配置されている。
図4に示す断面は、ゼロの軸方向位置を有することができる。したがって、この断面内のすべての部材または部材の一部分は、同じ軸方向位置、例えば0ミリメートル(mm)を有することができる。軸方向位置の正の値は、
図4に示す断面を含んだ平面から外を向く方向にカウントされる。軸方向位置の負の値は、
図4に示す断面を越えている。
【0091】
図4で見てとれるように、本体102は円状に湾曲することができる。本体102は、円筒形であることができ、すなわち、本体102によって形成されるケーシングは、円周方向を一周して延びている。アーム部材120も円状に湾曲することができるが、本体102の曲率半径に比べて小さい曲率半径を有する。アーム部材120は、円周方向の一周の一部にのみ、例えば円周方向の一周の4分の1または5分の1未満の部分に沿って延びる。
【0092】
フランジ101bは、上半分に平坦な半径方向エッジ部分410を、図示されていない下半分にさらなる平坦な半径方向エッジ部分を含むことができる。フランジ101bは、
図4に示す右側に、湾曲した半径方向エッジ部分412を含むことができる。フランジ101bの湾曲した半径方向エッジ部分414は、
図4の左側に示されている。フランジ101bの湾曲した半径方向エッジ部分412、414は、平坦な半径方向エッジ部分410の間に配置され、かつ/または湾曲した半径方向エッジ部分412、414は、平坦な半径方向エッジ部分410をつないでいると言うこともできる。
【0093】
案内リブ420、422は、アーム部材120の内側に配置される。位置合わせ機能430は、リブ420の外側の凹状エッジによって形成される。さらなる位置合わせ機能432は、リブ422の外側の凹状エッジによって形成される。案内リブ420、422は、案内リブ202および204と同じ形状および/または長さおよび/または延伸方向および/または機能を有することができる。
図2を参照のこと。位置合わせ機能430は、反時計回りの方向へのフランジ101bの回転を止めることができる。回転矢印470を参照のこと。位置合わせ機能432は、反時計回り方向へのフランジ101bの回転を止めることができる。さらなる位置合わせ機能が、アーム部材122の内側案内リブ202、204に配置することができる。
【0094】
長手方向軸A上の中心点CPから測定された以下の半径方向位置RP1~RP3は、薬物送達デバイス100の作動に関連し得る:
-平坦な半径方向エッジ部分410、より具体的には平坦な半径方向エッジ部分410の中央にある、すなわちフランジ101bの最小直径および最小半径である半径方向位置RP1、
-湾曲した半径方向エッジ部分414、すなわち、フランジ101bの最大直径および最大半径である半径方向位置RP2、および
-内側案内リブ422における位置合わせ機能432の位置合わせエッジ430にある半径方向位置RP3。
【0095】
すべての半径方向位置RP1~RP3は、
図4に示す断面の平面内に位置する。しかしながら、本体102とアーム部材120との間および/またはアーム部材120とフランジ101bとの間の距離は、縮尺通りに描かれていないが、主な問題を明確に示すものとする。
【0096】
半径方向位置RP1は、中心点CPから半径方向距離RD1を有する。半径方向位置RP2は、中心点CPから半径方向距離RD2を有する。さらに、半径方向位置RP3は、中心点CPから、すなわち長手方向軸Aから半径方向外側を向く方向に、半径方向距離RD3を有する。フランジ101bの適切な位置合わせを有効にするために、以下の関係が有効であり得る:
-半径方向距離RD1は、半径方向距離RD3よりも小さくてもよく、また
-半径方向距離RD3は、半径方向距離RD2よりも小さくてもよい。
【0097】
好ましくは、半径方向距離RD2と半径方向距離RD3との差はできる限り小さく、例えば0.01ミリメートル~0.25ミリメートルの範囲であるべきである。
【0098】
図4は、リブの形状を有することができる支持部材312および314に対する内側案内リブ420および422の可能な配置をはっきりと示す。このように、支持部材312は、内側案内リブ420から、さらに位置合わせ機能430から半径方向外側に配置される。したがって、支持部材312は、フランジ101bが位置合わせ機能430に当接している場合、アーム部材120の外側への湾曲を非常に効率的に防止できる。同様に、支持部材314は、内側案内リブ422から、さらに位置合わせ機能432から半径方向外側に配置される。したがって、支持部材314は、フランジ101bが位置合わせ機能432に当接している場合、アーム部材120の外側への湾曲を非常に効率的に防止できる。
【0099】
さらに、
図4は、
図2および
図3の図の遠近法に起因する歪みのない、ノッチ242、244、250および252ならびにリブ344、345および350の配置を示す。
【0100】
リブ460、462は、本体102内に容器101を保持する容器保持部材101cを案内して保持するために、本体102の内側に配置される。リブ460および462は、本体102の長さの少なくとも半分に沿って、特に本体102の近位側の半分以内で長手方向軸Aと平行に延びることができる。リブ460、462と同様のリブが、薬物送達デバイス100の断面の下半分内にも配置することができる。
【0101】
さらなる実施形態では、局所的リブ440、442は、内側案内リブ420、422の代わりに、またはそれらに加えて使用することができる。局所的リブ440、442は、
図4に示す断面の近くにのみ延びてもよい。局所的リブ440の長さは、5ミリメートル未満または3ミリメートル未満であることができる。局所的リブ442についても同じ長さが有効であり得る。局所的リブ440、442は、それぞれ容器位置合わせ機能450、452を含むことができる。位置合わせ機能450(452)は、平坦面または平面によって形成される。フランジ101bは、時計回りに回転する場合、位置合わせ機能452に当接する。回転矢印470を参照のこと。フランジ101bは、反時計回りに回転する場合、位置合わせ機能450に当接する。面取り部は、薬物送達デバイス100のプライミングを容易にするために、内側局所的リブ442のうちの1つまたは各内側局所的リブ442に配置される。面取り部は、プライミング中に傾斜面として機能することができる。面取り部は、局所的リブ440もしくは442または各局所的リブ440、442の両側で使用することができる。
【0102】
さらなる実施形態では、本体102の内側から延びるリブまたは他の突出支持機能は、本体102とアーム部材120との間にある隙間480に配置することができる。
図4に示す断面内で、本体102とアーム部材122との間に同様の隙間があってもよい。さらなる本体の突出機能は、この同様の隙間に配置される。これらのリブまたは他の突出支持機能は、支持部材312、314に加えて、またはこれらの支持部材312、314の代わりに形成することができる。
【0103】
言い換えれば、例えば自己注射器などの薬物送達デバイス100の針カバー118のアーム部材120、122にある固定および/または支持リブは、組み立ておよび使用中にシリンジおよび/または容器101の位置合わせを維持するために開示されている。
【0104】
固定および/または支持リブならびに以下に列挙する他の回転防止機能を用いて、例えば以下の理由により、例えば自己注射器などの薬物送達デバイス100の安全性を向上させ、より効率的な組み立てプロセスを促進することができる:
-特に、回転される「切断」型のシリンジのフランジまたは容器のフランジ101bによって引き起こされるさらなる摩擦によって、使用直後に再び伸長するために針カバー118の破損を防ぐこと、
-シリンジまたは容器101の挿入中に、アセンブリ器具が回転方向の位置合わせを維持する必要がないこと。
【0105】
「切断」型のシリンジのフランジまたは容器のフランジ101bは、例えば自己注射器などの薬物送達デバイス100に使用され、針カバー118(シュラウド)は、「切断」領域の周りにしっかりとフィットして、薬物送達デバイス100全体をコンパクトに保つ長い「脚」または「アーム」機能またはアーム部材120、122を含む。組み立て中または使用中にシリンジまた容器101が回転すると、フランジ101bの丸みを帯びた部材が針カバーのアーム部材120、122を押して、「弓」形状に押しつぶす。フランジ101bが十分に回転すると、フランジ101bは弓状のアームまたはアーム部材120、122に引っかかり、使用後に再伸長できなくなる。これは、針が安全である薬物送達デバイス100の破損につながる。
【0106】
固定または支持リブ(支持部材312~324)は、例えば、針カバーアーム部材120、122の外側から外側ケースまたは本体102の内側に延びて、アーム部材120、121が外側に反るのを防止することができる。これにより、シリンジまたは容器のフランジ101bが引っかかるほど回転する危険性を大幅に低減する。これは、薬物送達デバイス100の使用後の安全性を向上する結果となる。
【0107】
この機能により、挿入ストローク/組み立てストロークを通じて、シリンジまたは容器100の回転位置合わせを維持する必要がなくなるため、シリンジまたはや容器101の挿入に関わる組み立て器具をより簡単で、より低コストにすることができる。
【0108】
本概念は、例えば、針カバー118のアームから外側に延びる小さな円周方向リブまたは他の支持部材312~324からなることができる。それらの機能は、シリンジまたは容器のフランジ101bが各アーム部材120、122の内側に配置される案内リブ420、422へと回転した場合、またそのときに、アーム120、122の「反り」または外側への撓みもしくは湾曲を防止することであり得る。
【0109】
軸方向には、円周方向リブまたは他の支持部材312~324は、少なくとも組み立て中のシリンジのフランジまたは容器のフランジ101bの最終位置に配置され、組み立てストローク中の「反り」から保護するために、さらに後方、例えばより近位Pに配置することもできる。
【0110】
シリンジまたは容器のフランジ101bに対する固定/支持リブまたは他の支持部材312~324の位置、針カバーアーム部材120、122の幾何形状の大きさ、および薬物送達デバイス100の外側ケースまたは外側本体102は、
図1~
図4に示す通りであることができる。
【0111】
以下の解決策は、単独で、または任意の組合せで検討および適用することができる。
【0112】
1.針カバー部材118における内側案内リブ420、422の高さ
リブ420、422とシリンジまたは容器のフランジ101bの表面との間のクリアランスは好ましいが、あくまで好ましい「だけ」である。針カバー部材118における内側案内リブ420、422は十分な高さを有することができる。
影響を受ける部材:針カバー部材118(金属なしへの変更、すなわち、既に型が製造されている場合は金属を除去しなければならない)。
解決策の確実性:選択されたリブの高さによっては、最悪の場合、すなわち、型および/または成形部材の比較的大きいがコスト効率の良い公差を使用する場合、内側案内リブ420、422とシリンジまたは容器のフランジ101bとの間に依然としてクリアランスがあってもよい。これらの両部材の間には、4.5σで比較的に高い干渉が存在し得る。
リスク:成形性:低、機能:低、組み立て性(assembly):低。
【0113】
2.本体102の内側にあるリブまたは突起
アーム部材120、122が外側に反るのを防止することができる。
影響を受ける部材:本体102(金属なしへの変更)は、既に金型が存在する場合、工具を用いたかなりの再加工を伴い得る。
解決策の確実性:選択されたリブの高さによっては、最悪の場合、すなわち、型および/または成形部材の比較的大きいがコスト効率の良い公差を使用する場合、内側案内リブ420、422とシリンジまたは容器のフランジ101bとの間に依然としてクリアランスがあってもよい。これらの両部材の間には、4.5σで比較的に高い干渉が存在し得る。
リスク:成形性:両端から工具作業を必要とする、機能:低、組み立て性:中。
本体102の内側にあるリブまたは突起は、支持部材312、314に加えて、またはそれらの代わりに、例えば、隙間480内に配置される。
【0114】
3.針カバーアーム部材120、122の背面を、針カバー部材118の外側の外側リブまたは突起で固定または支持する(
図1~
図4を参照のこと)
アーム部材120、122が外側に反るのを防ぐことができる。
影響を受ける部材:針カバー部材118(金属なしへの変更)。
解決策の確実性:選択された支持部材312~324のリブの高さによっては、最悪の場合、すなわち、型および/または成形部材の比較的大きいがコスト効率の良い公差を使用する場合、内側案内リブ420、422とシリンジまたは容器のフランジ101bとの間に依然としてクリアランスがあってもよい。これらの両部材の間には、4.5σで比較的に高い干渉が存在し得る。
リスク:成形性:低、機能:低、組み立て性:中。
【0115】
4.解決策1~3の組合せ。
針カバー部材118の内側案内リブ420、422/突起に十分な高さを設け、針カバー118にある外側リブ/突起(支持部材312~324)で針カバーアーム部材120、122の背面を固定/支持する。これは、好ましい解決策であり得る。
影響を受ける部材:針カバー部材118(金属なしへの変更)。
解決策の確実性:中。選択されたリブ/突起の高さによっては、最悪の場合、すなわち、型および/または成形部材の比較的大きいがコスト効率の良い公差を使用する場合、内側案内リブ420、422/突起とシリンジまたは容器のフランジ101bとの間に依然としてクリアランスがあってもよい。4.5σでのこれらの両部材の間の干渉は、解決策3よりも高くなり得る。
リスク:成形性:低、機能:低、組み立て性:中。
【0116】
5.既存のリブ422の外側にあるか、または既存のリブ422の代わりにある針カバー部材118の新しいリブ440、442
(駆動ばねホルダ案内機能の変化を避けるために)シリンジまたは容器のフランジ101bの最終位置周辺の領域に局在し、所望により、プライミング中に傾斜面として機能する内側局所的リブ440、442に面取り部を設ける。面取り部は、局所的リブ440、442または各局所的リブ440、442の両側で使用することができる。
この解決策は、固定/支持機能と合わせて、アーム部材120、122が外側に反るのを防ぐことができる。
影響を受ける部材:針カバー(金属なしへの変更、さらなるアンダーカットの追加)、シリンジ/容器保持部材101c(金属ありへの変更、すなわち、既に型が存在する場合、金属を追加する必要があり、溶接は金属を追加するための1つの可能性である)。
解決策の確実性:中~高。
これらの機能は、シリンジ/容器のフランジ101bの最も有効な部材に作用し、回転を防止または元に戻す。
リスク:
-成形性:中、
-機能:高;新たな部材間の相互作用が加わる、
-組み立て性:高。
【0117】
固定/支持リブおよび他の解決策の意図は、剛性ニードルシールド(RNS)または内側ニードルシールドがグラバープロングに当たる時点で、容器101、例えばPFS(プレフィルドシリンジ)の回転を防止することであることができ、例えば432などの位置合わせ機能とフランジ101bとの間にクリアランスがあるべきではないことを意味する。剛性ニードルシールドは、針110の内側カバーを形成することができる。グラバープロングは、剛体ニードルシールドも保護する遠位キャップまたは遠位外側カバー内に含まれる。
【0118】
本開示の実施形態およびその利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、その中で様々な変更、置換および改変を行うことができることを理解すべきである。例えば、本明細書に記載の構成、機能、プロセスおよび方法の多くは、本開示の範囲内に留まりながらも変更してもよいことが、当業者には容易に理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、本開示に記載のシステム、プロセス、製造、方法または工程の特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者であれば、本開示から、本明細書に記載の対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすか、または実質的に同じ結果を達成する既存の、または後に開発される本開示のシステム、プロセス、製造、方法または工程の開示は本開示に従って利用されることを容易に理解できるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内にそのようなシステム、プロセス、方法または工程を含むことが意図されている。さらに、本明細書の第1の部で述べた実施形態を、
図1~
図4に関連する本明細書の第2の部の実施例と組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0119】
A 長手方向軸
D 遠位端
P 近位端
R 半径方向
OP 開口部
DR 薬物
100 薬物送達デバイス
101 容器
101b フランジ
101c 容器保持部材
102 本体(主ハウジング部材)
104 ピストンロッド
106 駆動機構
108 任意の起動要素
110 針
112 トリガ機構
118 可撓性針カバー部材
120、122 アーム部材
124 アーム部材支持部
P0~P3 位置
200 クリアランス
202、204 内側案内リブ
210、212 アパーチャ
220 領域
230、232 端部分
240~244 ノッチ
250~254 ノッチ
310 支持機能
312、314 支持部材
320 支持機能
322、324 支持部材
340~345 リブ
350~354 リブ
RP1~RP3 半径方向位置
RD1~RD3 半径方向距離
410 平坦な半径方向エッジ部分
412、414 湾曲した半径方向エッジ部分
420、422 案内リブ
430、432 位置合わせ機能
440、442 局所的リブ
450、452 位置合わせ機能
460、462 保持部材のためのリブ
470 回転矢印
480 隙間