(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20240829BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
H04N1/00 567Q
(21)【出願番号】P 2020158878
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】瓶子 史行
(72)【発明者】
【氏名】久保 宏
(72)【発明者】
【氏名】北岡 真也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義人
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 公治
(72)【発明者】
【氏名】兼谷 厚史
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072760(JP,A)
【文献】特開2017-225094(JP,A)
【文献】特開2010-245775(JP,A)
【文献】特開2018-170696(JP,A)
【文献】特開2007-312160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部に対向配置された色基準部材とを備え、
所定のタイミングで、前記色基準部材を前記画像読取部で読み取って色基準画像データを取得し、取得した前記色基準画像データに基づいて、前記画像読取部で読み取った画像データを補正する補正データを生成する補正データ生成動作を実行する画像読取装置において、
前記画像読取部に対して接離する方向と直交する方向に、前記画像読取部に対し前記色基準部材を相対的に移動させる
構成とし、
前記原稿を前記画像読取部と前記色基準部材との間へ搬送する原稿搬送部を備え、
前記色基準部材は、前記画像読取部に対して接離可能に設けられた板状部材であり、
前記色基準部材は、前記画像読取部と前記色基準部材との間に搬送されてきた原稿が、前記画像読取部に対して規定の距離で通過するように前記原稿をガイドするものであり、
前記画像読取部から離間する方向の前記色基準部材の移動を規制する規制機構を備え、
前記規制機構は、前記色基準部材の前記画像読取部から離間する方向の移動を規制する規制状態と、前記色基準部材の前記画像読取部から離間する方向の移動を許容する許容状態とに切り替え可能に構成されていることを特徴とする画像読取装置
。
【請求項2】
請求項
1に記載の画像読取装置において、
前記原稿の厚み情報を取得する厚み情報取得部を有し、
前記厚み情報取得部が取得した厚み情報に基づいて、前記規制機構による前記色基準部材の前記画像読取部から離間する方向の移動の規制を行うか否かを決定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部に対向配置された色基準部材とを備え、
所定のタイミングで、前記色基準部材を前記画像読取部で読み取って色基準画像データを取得し、取得した前記色基準画像データに基づいて、前記画像読取部で読み取った画像データを補正する補正データを生成する補正データ生成動作を実行する画像読取装置において、
前記画像読取部に対して接離する方向と直交する方向に、前記画像読取部に対し前記色基準部材を相対的に移動させる構成とし、
前記原稿を前記画像読取部と前記色基準部材との間へ搬送する原稿搬送部を備え、
前記色基準部材は、前記画像読取部に対して接離可能に設けられた板状部材であり、
前記色基準部材は、前記画像読取部と前記色基準部材との間に搬送されてきた原稿が、前記画像読取部に対して規定の距離で通過するように前記原稿をガイドするものであり、
前記画像読取部から離間する方向の前記色基準部材の移動を規制する規制機構を備え、
前記規制機構は、前記色基準部材の移動を規制する位置を変更可能に構成されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の画像読取装置において、
前記原稿の厚み情報を取得する厚み情報取得部を有し、
前記厚み情報取得部が取得した厚み情報に基づいて、前記色基準部材の移動を規制する位置を変更することを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項
1乃至4いずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記規制機構は、前記原稿の先端が前記色基準部材と前記画像読取部の間を抜けた後に、前記画像読取部から離間する方向の前記色基準部材の移動を規制することを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部に対向配置された色基準部材とを備え、
所定のタイミングで、前記色基準部材を前記画像読取部で読み取って色基準画像データを取得し、取得した前記色基準画像データに基づいて、前記画像読取部で読み取った画像データを補正する補正データを生成する補正データ生成動作を実行する画像読取装置において、
前記画像読取部に対して接離する方向と直交する方向に、前記画像読取部に対し前記色基準部材を相対的に移動させる構成とし、
前記色基準部材の原稿搬送領域の外側または前記画像読取部の前記色基準部材の原稿搬送領域の外側に前記色基準部材と前記画像読取部との間に規定の隙間を形成するスペーサ部材を設け、
前記スペーサ部材が、回転可能であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の画像読取装置において、
前記スペーサ部材の相手部材の接触部が、弾性部材で構成されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
原稿の画像を読み取る画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取った画像データに基づいて記録材上に画像を形成する画像形成装置であって、
前記画像読取装置として、請求項1乃至
7いずれか一項に記載の画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿の画像を読み取る画像読取部と、画像読取部に対向配置された色基準部材と、所定のタイミングで、色基準部材を画像読取部で読み取って色基準画像データを取得し、取得した色基準画像データに基づいて、画像読取部で読み取った画像データを補正するための補正データを生成する補正データ生成動作を実行する画像読取装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像読取装置として、搬送されてきた原稿を画像読取部に向けて付勢する押圧ローラを、色基準部材たる白基準板の原稿搬送方向の両側に備えるものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、原稿の画像を読み取った読取画像の画像品質が悪くなるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部に対向配置された色基準部材とを備え、所定のタイミングで、前記色基準部材を前記画像読取部で読み取って色基準画像データを取得し、取得した前記色基準画像データに基づいて、前記画像読取部で読み取った画像データを補正する補正データを生成する補正データ生成動作を実行する画像読取装置において、前記画像読取部に対して接離する方向と直交する方向に、前記画像読取部に対し前記色基準部材を相対的に移動させる構成とし、前記原稿を前記画像読取部と前記色基準部材との間へ搬送する原稿搬送部を備え、前記色基準部材は、前記画像読取部に対して接離可能に設けられた板状部材であり、
前記色基準部材は、前記画像読取部と前記色基準部材との間に搬送されてきた原稿が、前記画像読取部に対して規定の距離で通過するように前記原稿をガイドするものであり、前記画像読取部から離間する方向の前記色基準部材の移動を規制する規制機構を備え、前記規制機構は、前記色基準部材の前記画像読取部から離間する方向の移動を規制する規制状態と、前記色基準部材の前記画像読取部から離間する方向の移動を許容する許容状態とに切り替え可能に構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、原稿の画像を読み取った読取画像の画像品質が悪くなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】原稿自動搬送装置の要部構成をスキャナの上部とともに示す拡大構成図。
【
図4】固定画像読取部の電気回路の要部を示すブロック図。
【
図5】(a)は、第二面読取部付近の概略構成図であり(b)は、白基準ガイド板を第二面読取部側から見た概略構成図。
【
図6】色基準部材が白色基準ローラの場合の原稿搬送と、本実施形態の原稿搬送とを説明する図。
【
図7】先端折れ部を有する薄紙原稿の搬送ギャップの通過について説明する図。
【
図8】白基準ガイド板の軸方向の移動について説明する図。
【
図10】変形例1の第二面読取部付近の概略構成図。
【
図11】変形例2の第二面読取部付近の概略構成図。
【
図12】変形例3の第二面読取部付近の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式の複写機(以下、単に複写機1という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機1の基本的な構成について説明する。
図1は、複写機1を示す概略構成図である。複写機1は、画像形成手段としての画像形成部3と、転写紙給紙部7と、原稿搬送読取ユニット6とを備えている。原稿搬送読取手段としての原稿搬送読取ユニット6は、画像形成部3の上に固定された原稿読取装置であるスキャナ4と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置5とを有している。
【0009】
転写紙給紙部7は、カットシート状の転写紙Pを積層状態でそれぞれ収納可能な複数段の転写紙給紙カセット21(21a、21b、21c)を有している。個々の転写紙給紙カセット21(21a、21b、21c)には、例えば複数のシートサイズから予め選択されたシートサイズの転写紙P(例えば白紙)が、縦又は横の給紙方向に向けて収容されるようになっている。
転写紙給紙部7は、転写紙給紙カセット21(21a、21b、21c)に収納された転写紙Pをそれぞれの最上層側から順次ピックアップして分離給紙する転写紙給紙装置22(22a、22b、22c)を有している。転写紙給紙部7には、さらに、各種の搬送ローラ23等が設けられており、これらによって、個々の転写紙給紙装置22(22a、22b、22c)から給紙された転写紙Pを画像形成部3の所定の画像形成位置まで搬送する転写紙給紙経路24が形成されている。
【0010】
画像形成部3は、潜像形成手段である露光装置31と、潜像担持体であるドラム状の感光体32(K,Y,M,C)とを備える。さらに、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の各色のトナーが充填された現像装置33(K,Y,M,C)を備えている。また、画像形成部3は、中間転写体である中間転写ベルト34と、中間転写ベルト34上のトナー像を転写紙Pに転写する二次転写装置35と、トナー像が転写された転写紙Pにトナー像を定着させる定着装置36とを備えている。
【0011】
露光装置31は、例えば、スキャナ4で読み取った画像に基づいて各色の露光用のレーザ光Lを生成するようになっている。また、露光装置31は、レーザ光Lによって各色の感光体32(K,Y,M,C)を露光して、個々の感光体32(K,Y,M,C)の表層部に読取画像に対応した各色の静電潜像を形成するようになっている。
【0012】
現像装置33(K,Y,M,C)は、それぞれ対向する感光体32(K,Y,M,C)に薄層状のトナーを近接させ、感光体32(K,Y,M,C)の表面上の静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像を行うようになっている。
画像形成部3では、個々の感光体32(K,Y,M,C)上に現像されたトナー像を中間転写ベルト34に重ねて一次転写して中間転写ベルト34上にカラートナー像を形成する。このカラートナー像は、中間転写ベルト34の下方に配置された二次転写装置35の転写搬送ベルト35bと中間転写ベルト34と当接する二次転写ニップで、中間転写ベルト34上から転写紙Pに二次転写される。カラートナー像が転写された転写紙P上は、二次転写装置35の転写搬送ベルト35bによって定着装置36に搬送される。定着装置36で加熱・加圧されることで転写紙P上のカラートナー像が溶融し、転写紙Pにカラートナー像が定着され、転写紙P上にカラー画像を記録する。
【0013】
画像形成部3は、転写紙給紙部7から転写紙給紙経路24を経て搬入された転写紙Pを二次転写ニップに向けて搬送する転写紙搬送経路39aを有している。この転写紙搬送経路39aにおいては、まず、レジストローラ対37において、転写紙Pの搬送タイミングおよび搬送速度が調整されるようになっている。そして、転写紙Pは、中間転写ベルト34及び転写搬送ベルト35bのベルト速度に同期した状態で二次転写ニップおよび定着装置36を通過した後、排紙ローラ対90によって排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
【0014】
画像形成部3は、手差トレイ25上に載置される転写紙Pをレジストローラ対37よりも上流側の転写紙搬送経路39a内に給紙する転写紙手差給紙経路39bを有している。
二次転写装置35及び定着装置36の下方には、それぞれ複数の搬送ローラおよび搬送ガイド等を備えるスイッチバック搬送路39c及び反転搬送路39dが配設されている。
スイッチバック搬送路39cは、転写紙Pの両面に画像を形成する場合に、転写紙Pの一方の面に画像定着が済んだ転写紙Pを一端(
図1中の左側端部)から進入させた後に、後退(進入時とは逆方向に移動)させるスイッチバック搬送を行うようになっている。
反転搬送路39dは、スイッチバック搬送路39cによりスイッチバック搬送された転写紙Pの表裏を反転させて、レジストローラ対37に再度給紙するようになっている。
【0015】
これらのスイッチバック搬送路39c及び反転搬送路39dにより、一方の面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pは、その進行方向を逆向きに切り替えられた後に表裏反転されて、再び二次転写ニップに進入する。そして、転写紙Pは、他方の面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
【0016】
スキャナ4は、照明ユニットとミラー部材を搭載した第一キャリッジ41と、ミラー部材を搭載した第二キャリッジ42と、結像レンズ43と、撮像部44と、第一コンタクトガラス45とを備えている。さらに、原稿Sが載置される第二コンタクトガラス46と、原稿Sの一辺の突当ておよび位置決めを行う突当部材47を備える。スキャナ内部に配置されている第一キャリッジ41と、第二キャリッジ42と、結像レンズ43と、撮像部44は、第一コンタクトガラス45上に搬送される原稿Sの第一面の画像の読み取りをする第一面読取部40として機能する。ここにいう第一面とは、自動搬送される原稿Sの片面、例えば表側の画像面である。
【0017】
第一キャリッジ41は、第一コンタクトガラス45及び第二コンタクトガラス46の下方に、
図1中の左右方向に移動可能に及び位置制御可能に設けられている。そして、照明ユニットが備える光源からの照明光をミラー部材で反射して原稿Sの露光面側に照射する。
原稿Sの露光面で反射した反射光は、第一キャリッジ41および第二キャリッジ42に搭載された各ミラー部材を経由して結像レンズ43に入射し、結像レンズ43により結像され、撮像部44にてその結像した画像が読み取られる。
【0018】
スキャナ4は、光源点灯状態で第一キャリッジ41及び第二キャリッジ42を例えば「2:1」の速度比で移動させつつ、第二コンタクトガラス46上に置いた原稿Sの画像面を露光走査する。そして、スキャナ4は、この露光走査時に撮像部44により原稿画像を読み取る。このようにスキャナ4は、固定原稿読取機能(いわゆるフラットベッドスキャナ機能)を発揮できる。
スキャナ4は、第一キャリッジ41を第一コンタクトガラス45の直下の定位置に停止させる。そして、スキャナ4は、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、自動搬送中の原稿Sの第一面の画像を読み取る。このように、スキャナ4は、移動原稿読取機能(いわゆるDFスキャナ機能)も発揮できる。
【0019】
さらに、複写機1は、スキャナ4における第一面読取部40に加えて、原稿自動搬送装置5に内蔵された第二面読取部48を備えている。第二面読取部48は、第一コンタクトガラス45の上を通過した後の原稿Sの第二面、例えば裏側の画像面を走査するようになっている。
原稿自動搬送装置5は、複写機1の画像形成部3の上部に配置されたスキャナ4に対してヒンジ機構を介して開閉動作可能に連結されている。原稿自動搬送装置5は、スキャナ4における第一コンタクトガラス45及び第二コンタクトガラス46を露出させる開放位置と、第一コンタクトガラス45及び第二コンタクトガラス46を覆う閉鎖位置との間で回動操作されるようになっている。
【0020】
次に、原稿自動搬送装置5について説明する。
図2は、原稿自動搬送装置5の要部構成をスキャナ4の上部とともに示す拡大構成図である。原稿自動搬送装置5は、原稿セット部A、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。本実施形態の原稿自動搬送装置5の原稿搬送部54は、分離給送部Bの下流側の突き当てセンサ72による検知位置から、読取入口ローラ対97までの原稿Sが搬送される経路を構成する部分である。
【0021】
原稿自動搬送装置5を備える原稿搬送読取ユニット6は、被読み取り記録媒体である原稿Sを固定の読み取り装置部である第一面読取部40及び第二面読取部48に搬送し所定の速度で搬送しながら画像読み取りを行う。
原稿セット部Aは、原稿Sの第一面が上方となるように原稿Sの束がセットされる原稿載置台53を有している。分離給送部Bは、ピックアップローラ80、分離ベルト84及びリバースローラ85等を備え、原稿載置台53にセットされた原稿Sの束から原稿Sを一枚ずつ分離して給送するものである。レジスト部Cは、給送された原稿Sを一次突き当て整合する働きと、整合した後の原稿Sを引き出して搬送する働きとを有するものである。ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で搬送される原稿Sを折り返しながらその上下が反転するようにターンさせて、原稿Sの第一面を下方の第一面読取部40(
図1参照)に向けるように搬送するものである。
【0022】
第一読取搬送部Eでは、プラテンガラスからなる第一コンタクトガラス45の上で原稿Sが搬送される。そして、搬送しながら、第一コンタクトガラス45の下方からスキャナ4の内部に配設されている第一面読取部40に原稿Sの第一面を読み取らせる。
第二読取搬送部Fは、第一面読取部40による読取位置を通過した原稿Sを色基準部材としての白基準ガイド板96によりガイドしながら、原稿Sの第二面を第二面読取部48に読み取らせるものである。
また、排紙部Gは、第一面読取部40による読取位置、及び、第二面読取部48による読取位置を通過した原稿Sを機外のスタック部Hに向けて排出するものである。スタック部Hは、読取完了後の原稿Sを原稿スタック台55の上に積載保持するものである。
【0023】
図3は、原稿自動搬送装置5全体の制御ブロック図である。原稿自動搬送装置5の制御部であるコントローラ100は、各モータ、各種センサ部及び固定画像読取部500の、一連の動作を制御する。各モータ(101~105)は、原稿の搬送動作の駆動を行う駆動部であり、固定画像読取部500は第一面読取部40または第二面読取部48である。
【0024】
図4は、固定画像読取部500の電気回路の要部を示すブロック図である。固定画像読取部500は、光源部200、センサチップ201、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206及びインターフェイス回路(以下、I/F回路107と呼ぶ)等から構成されている。
光源部200は、LEDアレイ、蛍光灯、または冷陰極管等を備える。センサチップ201は、主走査方向(原稿幅方向に対応する方向)に複数並べて配置されている。複数のOPアンプ回路202は、複数のセンサチップ201のそれぞれに個別に接続されている。複数のA/Dコンバータ203は、複数のOPアンプ回路202のそれぞれに個別に接続されている。
【0025】
センサチップ201は、等倍密着イメージセンサと称される光電変換素子と集光レンズとを具備するものである。固定画像読取部500による読取位置に原稿Sが進入するのに先立って、コントローラ100から光源部200に点灯信号が送られる。これにより、光源部200が点灯し、その光を原稿の表面(第一面読取部40の場合は第一面、第二面読取部48の場合は第二面)に向けて照射する。原稿Sの表面で反射した反射光は、複数のセンサチップ201において、集光レンズによって光電変換素子に集光されて画像情報として読み取られる。それぞれのセンサチップ201で読み取られた画像情報は、OPアンプ回路202によって増幅された後、A/Dコンバータ203によってデジタル化され画像データに変換される。
【0026】
このようにして得られた画像データは、画像処理部204に入力されてシェーディング補正などが施された後、フレームメモリ205に一時記憶される。その後、画像データは、出力制御回路206によって本体制御部111(複写機1本体の制御部)に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路107を経由して本体制御部111に出力される。コントローラ100からは原稿Sの先端が固定画像読取部500による読取位置に到達するタイミングを知らせるためのタイミング信号や光源の点灯信号、電源等が出力されるようになっている。原稿Sの先端が読取位置に到達するタイミングを知らせるためのタイミング信号は、そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる。
【0027】
読取を行う原稿Sの束は、第一面が上向きとなるように載せられた状態で原稿載置台53上にセットされる。原稿載置台53は、原稿Sの先端側を支持し、原稿Sの束の厚みに応じて
図2中の矢印a-b方向に揺動可能な可動原稿テーブル53bと、原稿Sの後端側を支持する固定原稿テーブル53aとから構成されている。
また、原稿載置台53には、原稿Sの幅方向(原稿Sの搬送方向に直交する方向で、
図2の紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ突き当たる、サイドガイドが設けられている。そして、原稿Sが原稿載置台53にセットされたときには、原稿Sの幅方向の両端に対してそれぞれサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における原稿Sの位置決めがなされる。
【0028】
可動原稿テーブル53bの上方には、レバー部材であるセットフィラー62が揺動可能に配設されている。原稿載置台53に原稿Sがセットされていない状態では、セットフィラー62は、
図2中の破線で示す位置にある。この位置は、原稿セットセンサ63による検知位置であり、原稿セットセンサ63がセットフィラー62を検知することで、原稿載置台53に原稿Sがセットされていないことが分かる。
【0029】
原稿載置台53に原稿Sがセットされると、原稿Sの先端がセットフィラー62を押し上げる。これに伴って、原稿セットセンサ63の検知位置からセットフィラー62が移動し、原稿セットセンサ63がセットフィラー62を検知しなくなることで、原稿Sがセットされたことを検知する。そして、この検知信号を原稿セットセンサ63が、コントローラ100に送信する。この検知信号は、コントローラ100からI/F回路107を介して原稿搬送読取ユニット6の本体制御部111に送信される。
【0030】
固定原稿テーブル53aには、原稿Sの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサまたは原稿一枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサからなる複数の原稿長さセンサ58(58a、58b、58c)が配置されている。これらの原稿長さセンサにより、原稿Sの搬送方向の長さの概略が判定される。複数の原稿長さセンサ58としては、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要である。
【0031】
可動原稿テーブル53bの上方にはピックアップローラ80が配置されている。ピックアップローラ80は、給紙モータ102から駆動が伝達されることによって回転駆動する。また、分離部としての分離ニップを構成する分離ベルト84及びリバースローラ85は、給紙モータ102から駆動が伝達されることによって回転駆動する。
【0032】
可動原稿テーブル53bは、底板上昇モータ105の駆動により、駆動するカム機構によって
図2中の矢印a-b方向に揺動する。原稿Sが原稿載置台53にセットされたことをセットフィラー62及び原稿セットセンサ63によって検知すると、コントローラ100は、底板上昇モータ105を正転させる。底板上昇モータ105を正転させることで、可動原稿テーブル53bが
図2中の矢印a方向に回動し、可動原稿テーブル53bの自由端側(
図2中の左側)が上昇する。可動原稿テーブル53bの自由端側とともに原稿載置台53にセットされた原稿Sの束も上昇し、原稿Sの束の最上面がピックアップローラ80と接触する。
【0033】
ピックアップローラ80は、ピックアップブラケット252の一端(
図2中の右端)に回転可能に支持されている。また、ピックアップブラケット252は、その他端部側(
図2中の左端部側)の原稿給紙ユニット駆動軸253を中心に
図2中の矢印c-d方向に回動可能となっている。ピックアップブラケット252は、ピックアップ昇降モータ101によって駆動するカム機構によって、
図2中の矢印c-d方向に回動する構成である。そして、ピックアップブラケット252が、
図2中の矢印c-d方向に回動することによって、ピックアップローラ80が
図2中の矢印c-d方向に移動する構成となっている。
また、ピックアップローラ80を支持するピックアップブラケット252は、ブラケット被検知部254を備えている。さらに、ピックアップブラケット252の上方となる位置には、テーブル上昇センサ59が原稿自動搬送装置5本体のフレームに配置されている。
【0034】
テーブル上昇センサ59は、その検知位置におけるブラケット被検知部254の有無を検知することにより、ピックアップローラ80が上昇した位置にあるか否かを検出するセンサである。発光部と受光部との間の検知位置で発光部から発した光が遮られたか否かを検知する光透過型の光センサである。そして、ブラケット被検知部254が検知位置で光を遮ることで、テーブル上昇センサ59の検知位置にブラケット被検知部254が有ることを検知する。
【0035】
ピックアップローラ80は、
図2中の矢印d方向に回動して下降した状態で、可動原稿テーブル53bが上昇して可動原稿テーブル53b上の原稿Sの上面により押されると、図中の矢印c方向に回動して上昇する。これをテーブル上昇センサ59で検知することにより、可動原稿テーブル53bが上限まで上昇したことを検知可能となっている。可動原稿テーブル53bが上限まで上昇したことを検知することにより、ピックアップ昇降モータ101が停止するとともに底板上昇モータ105が停止し、可動原稿テーブル53bとピックアップローラ80との間で原稿Sが狭持される。
【0036】
テーブル上昇センサ59は、底板が上限まで上昇したことを検出して原稿Sの束の上面が適正な給紙高さに保たれていることを検出するセンサである。テーブル上昇センサ59がブラケット被検知部254を検知するONの状態となると底板である可動原稿テーブル53bの上昇を停止し、給紙を繰り返す。給紙を繰り返すことで原稿Sの束の上面位置が下がり、テーブル上昇センサ59の検知状態がOFFになると、可動原稿テーブル53bを上昇させてテーブル上昇センサ59が再びONとなるように制御を繰り返す。このような制御により、原稿Sの束の上面位置を常に給紙に適した高さに維持することができる。
【0037】
原稿載置台53にセットされた原稿Sが全て給紙されると、底板上昇モータ105を逆転させて、次の原稿Sの束をセットできるようにホームポジション位置へと可動原稿テーブル53bを下降させる。可動原稿テーブル53bがホームポジション位置まで下降すると、可動原稿テーブル53bの下部に設けたフィラーをホームポジションセンサ60が検知する。
【0038】
本実施形態では、可動原稿テーブル53bとピックアップローラ80との両方に昇降機構を備えている。しかし、原稿Sを狭持する機構としては、可動原稿テーブル53bとピックアップローラ80との何れか一方のみに昇降機構を備える構成であってもよい。
【0039】
使用者は、両面読取モードか片面読取モードかを指定し、原稿Sを原稿載置台53にセットした状態で、操作部108のコピースタートボタンを押下する。コピースタートボタンが押下されると、本体制御部111からI/F回路107を介して原稿自動搬送装置5の制御部であるコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、給紙モータ102が正転方向に駆動する。給紙モータ102の正転駆動によってピックアップローラ80が回転駆動し、原稿載置台53上の数枚(理想的には一枚)の原稿Sをピックアップする。このときのピックアップローラ80の回転方向は、原稿載置台53上の原稿Sの束の最上位の原稿Sを後述する分離ニップに向けて搬送する方向(
図2中の時計回り方向)である。
【0040】
ここで両面読取モードか片面読取モードかを設定する際、原稿載置台53上にセットされた原稿Sに対して全て同じように設定しても良いし、(一枚目、二枚目、・・・n枚目の)それぞれの原稿Sに対して異なる設定をしても良い。異なる設定としては、例えば、全十枚の原稿Sのうち、一枚目と十枚目との原稿Sは両面読取モードとし、その他の原稿Sは片面読取モードとする設定等である。
【0041】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿Sは、分離ベルト84とリバースローラ85との当接位置である分離ニップの分離入口49に送り込まれる。分離ベルト84は、給紙駆動ローラ82と給紙従動ローラ83とによって張架されており、給紙モータ102の正転に伴う給紙駆動ローラ82の回転によって給紙方向(
図2中の時計回り方向)に無端移動される。
【0042】
分離ベルト84の下部張架面にはリバースローラ85が当接している。リバースローラ85は、給紙モータ102の正転によって給紙方向とは逆方向(
図2中の時計回り方向)に回転する駆動が伝達される。このように、分離ベルト84とリバースローラ85との分離ニップにおける表面移動方向が逆方向であることにより、原稿Sの束の最上位の原稿Sとその下の原稿Sとを分離し、最上位の一枚の原稿Sのみを給紙できる構成となっている。
【0043】
詳しくは、分離ベルト84とリバースローラ85との当接部である分離ニップにおいては、分離ベルト84の表面が給紙方向に移動する。一方、リバースローラ85の表面は、給紙方向とは逆方向に移動しようとするが、リバースローラ85の駆動伝達部にはトルクリミッタを備える。このため、リバースローラ85の表面が給紙方向に向かう力がトルクリミッタの上限のトルクよりも大きいと、リバースローラ85は給紙方向に表面移動するように
図2中の反時計回り方向に回転する。
【0044】
リバースローラ85は、分離ベルト84に所定の圧力で当接している。リバースローラ85は、分離ベルト84に直接当接している状態、または、原稿Sの一枚だけを介して分離ベルト84に当接している状態(分離ニップに原稿Sが一枚だけ挟み込まれている状態)では、分離ベルト84または原稿Sに連れ回る。すなわち、リバースローラ85が、給紙方向である
図2中の反時計回り方向に回転する。
【0045】
一方、分離ニップに二枚以上の原稿Sが挟み込まれたときには、連れ回り力がトルクリミッタの上限のトルクよりも低くなるように、トルクリミッタが設定されている。このため、リバースローラ85は連れ回り方向とは逆方向である、
図2中の時計回り方向に回転駆動する。リバースローラ85が連れ回り方向とは逆方向に回転駆動することで、分離ニップに向けて搬送された原稿Sのうち、最上位の原稿S以外の原稿Sには、リバースローラ85によって給紙方向とは反対方向の移動力が付与される。これにより、余分な原稿Sが押し戻され、複数枚の原稿Sから最上位の原稿Sだけが分離され、重送が防止される。
【0046】
分離ベルト84とリバースローラ85との作用によって一枚に分離された原稿Sは、レジスト部Cに進入する。そして、この原稿Sは分離ベルト84によって更に送られ、突き当てセンサ72によって先端が検知され、更に進んで、回転が停止しているプルアウトローラ対86に原稿Sの先端が突き当たる。このとき駆動している給紙モータ102は、突き当てセンサ72による原稿Sの先端の検知から所定時間だけ駆動させて、その後停止させる。これにより、原稿Sが突き当てセンサ72による検知位置から所定量定められた距離だけ送られる。そして、結果的には、原稿Sがプルアウトローラ対86に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で分離ベルト84による原稿Sの搬送が停止する。
【0047】
突き当てセンサ72によって原稿Sの先端が検知されたときに、ピックアップ昇降モータ101を回転させることで、ピックアップローラ80を原稿Sの上面から退避させ原稿Sを分離ベルト84の搬送力のみで送る。これにより、原稿Sの先端は、プルアウトローラ対86の上下のローラによって形成されるニップに進入し、原稿Sの先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0048】
プルアウトローラ対86は、上述したように、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿Sを中間ローラ対66まで搬送するためのローラ対である。給紙モータ102を逆転駆動することにより、プルアウトローラ対86を構成する二つのローラのうちの一方が回転駆動し、原稿Sを搬送する。給紙モータ102を逆転駆動するときには、プルアウトローラ対86と中間ローラ対66とに駆動が入力され、ピックアップローラ80、分離ベルト84及びリバースローラ85には駆動が入力されない。すなわち、給紙モータ102を正転させたときには、ピックアップローラ80、分離ベルト84及びリバースローラ85に駆動を伝達し、給紙モータ102を逆転させたときには、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66に駆動を伝達する構成となっている。
【0049】
プルアウトローラ対86によって送り出された原稿Sは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知センサを原稿幅方向(
図2の紙面に直交する方向)に複数個並べたセンサである。そして、どの紙検知センサが原稿Sを検知するかに基づいて、原稿Sの幅方向のサイズを検出する。また、原稿Sの搬送方向の長さは、原稿Sの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿Sが突き当てセンサ72によって検知されなくなる(原稿Sの後端が通過する)までのタイミングに基づいてモータパルスから検出する。
【0050】
プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によって搬送される原稿Sは、中間ローラ対66及び読取入口ローラ対97によって搬送されるターン部Dに進入する。
原稿自動搬送装置5では、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿Sが搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定している。これにより、原稿Sを第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。
【0051】
原稿Sの先端が読取入口センサ67により検知されると、給紙モータ102の減速を開始する。これと同時に、読取モータ103を正転駆動する。読取モータ103を正転駆動することで読取入口ローラ対97、読取出口ローラ対92及び第二読取出口ローラ対93が搬送方向にそれぞれ回転駆動する。給紙モータ102を減速することで、給紙モータ102によって回転駆動する中間ローラ対66の回転速度を減速する。これにより、原稿Sの先端が読取入口ローラ対97の上下のローラによって形成されるニップに進入する前に、原稿Sの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度と同速にする。
【0052】
ターン部Dから第一読取搬送部Eに向かう原稿Sの先端をレジストセンサ65で検知すると、コントローラ100は、所定の時間をかけて各モータの駆動速度を減速する。これにより、原稿Sの搬送速度が所定の搬送距離をかけて減速する。そして、コントローラ100は、第一面読取部40によって原稿Sの第一面の画像を読み取る第一読取位置700の手前で、原稿Sを一時停止させるように制御する。さらに、この一時停止の制御と共に、コントローラ100は、本体制御部111にI/F回路107を介してレジストローラ対37を停止させる信号を送信する。
【0053】
続いて、コントローラ100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、読取モータ103の駆動を開始する。このとき、レジストローラ対37で停止していた原稿Sの原稿先端が第一読取位置700に到達するまでに、原稿Sの搬送速度が所定の搬送速度に立ち上がるように、読取モータ103の駆動を制御する。これにより、原稿Sは搬送速度が増速されつつ、第一読取位置700に向かって搬送される。
【0054】
次に、読取モータ103のパルスカウントに基づいて算出された原稿Sの先端が第一読取位置700に到達するタイミングの検出が成される。そして、検出されたタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して原稿Sの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号の送信は、原稿Sの後端が第一読取位置700を抜け出るまで続けられ、原稿Sの第一面が第一面読取部40によって読み取られる。
【0055】
また、
図2に示すように、突当部材47の上面は左端側の高さが低くなるように傾斜している。これにより、第一読取位置700を通過した原稿Sの先端は、突当部材47の傾斜にすくい上げられ、読取出口ローラ対92のニップに向かう。
【0056】
第一読取搬送部Eを通過した原稿Sは、読取出口ローラ対92のニップを通過した後、その先端が排紙センサ61によって検知され、さらに、第二読取搬送部Fへと搬送され、その後、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。
原稿Sの片面(第一面)のみを読み取る片面読取モードの場合には、第二面読取部48による原稿Sの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿の先端が検知されると、排紙モータ104の正転駆動が開始され、原稿排紙ローラ対94における
図2中の上側の排紙ローラが図中反時計回り方向に回転駆動される。
【0057】
また、排紙センサ61によって原稿Sの先端が検知されてからの排紙モータ104のパルスカウントに基づいて、原稿Sの後端が原稿排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿Sの後端が原稿排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度の減速を開始する。この減速の制御により、原稿スタック台55の上に排出される原稿Sが原稿スタック台55から飛び出さないような速度で排紙されるように制御される。
【0058】
一方、原稿Sの両面(第一面及び第二面)を読み取る両面読取モードの場合には、次のように制御がなされる。すなわち、排紙センサ61によって原稿Sの先端が検知された後、第二面読取部48に到達するまでのタイミングが読取モータ103のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ100から本体制御部111に対して原稿Sの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号の送信は、原稿Sの後端が第二面読取部48による第二読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿Sの第二面が第二面読取部48によって読み取られる。
【0059】
画像読取部としての第二面読取部48は、密着型イメージセンサ(CIS)からなる。そして、原稿Sに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦スジを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。また、原稿Sが通過するシート搬送路を挟んで第二面読取部48に対向する位置には、色基準部材としての白基準ガイド板96が配設されている。この白基準ガイド板96は、第二読取位置での第二面読取部48に対する原稿Sの浮きを抑えるとともに、第二面読取部48における補正データとしてのシェーディングデータを生成するための基準白部として機能する役割を担っている。
【0060】
また、本実施形態では、搬送される原稿Sの画像を読み取る搬送原稿読取手段として、第一面読取部40及び第二面読取部48の二つの固定画像読取部500を備えている。原稿Sの両面の画像を読み取る構成としては、固定画像読取部500を二つ備える構成に限らない。一つの固定画像読取部500でおもて面の読み取りがなされた原稿Sをスイッチバックさせて、再び固定画像読取部500の読取位置を通過するときに裏面の読み取りを行う構成であっても良い。
【0061】
図5(a)は、第二面読取部48付近の概略構成図であり、
図5(b)は、白基準ガイド板96を第二面読取部48側から見た概略構成図である。
色基準部材たる白基準ガイド板96は、第二面読取部48の読取面48aに平行な平行面と96a、この平行面96aの原稿搬送方向上流側端部から原稿搬送方向上流側に延設された傾斜面96bとを有している。少なくとも、平行面96aは、白色となっている。
【0062】
傾斜面96bは、原稿搬送方向上流にいくに従って第二面読取部48から離間するように傾斜している。傾斜面96bの原稿搬送方向上流側端部は、入口ガイド部材たる読取入口下ガイド151に潜り込んでおり、白基準ガイド板96の原稿搬送方向上流側が、読取入口下ガイド151に対して、A[mm]オーバーラップしている。
【0063】
また、第二面読取部48を通過した原稿をガイドする出口ガイド部材たる読取出口下ガイド152の原稿搬送方向上流側が、原稿搬送方向上流にいくに従って第二面読取部48から離間するように傾斜している。そして、読取出口下ガイド152の原稿搬送方向上流側端部は、白基準ガイド板96に潜り込んでおり、白基準ガイド板96の原稿搬送方向下流側が、読取出口下ガイド152に対して、B[mm]オーバーラップしている。
【0064】
白基準ガイド板96の軸方向(原稿の幅方向であり、主走査方向でもある)の両端には、それぞれ軸方向に垂直な支持面96dを有しており、この支持面96dの略中央には支持軸96cが設けられている。
【0065】
支持軸96cは、軸受121に軸方向移動可能に受けられている。軸受121は、装置本体に対して、第二面読取部48に対して接離する方向に所定範囲で移動可能に保持されている。かかる構成により、白基準ガイド板96が、軸受121とともに、第二面読取部48に対して接離する方向に所定範囲で移動できる。また、軸受121は、加圧スプリング122によって第二面読取部48に向けて付勢されている。これにより、白基準ガイド板96が、軸受121を介して第二面読取部48に向けて所定の付勢力で付勢される。
【0066】
また、本実施形態では、白基準ガイド板96を、軸方向に移動させる移動機構130を備えている。移動機構130は、カム部材134と、カム部材134を回転駆動させるカムモータ131とを備えている。カムモータ131のモータ軸にはモータギヤ132が取り付けられており、カム軸134aには、このモータギヤ132に噛み合う出力ギヤ133が設けられている。カム部材134のカム溝134bには、白基準ガイド板96に設けられたスタッド135の先端が入り込んでいる。このように、白基準ガイド板96のスタッド135がカム溝134bに入り込むことで、白基準ガイド板96の軸方向の移動は、カム部材134により規制され、カム部材134の回転でのみ、白基準ガイド板96が軸方向へ移動する構成にできる。
【0067】
また、
図5(a)に示すように、カム溝134bの底面は、スタッド135に対して原稿搬送方向下流側から対向するように構成されている。そのため、スタッド135は、カム溝134bに対して第二面読取部48に対して接離する方向の移動は規制されていない。よって、第二面読取部48に対して接離する方向については、白基準ガイド板96は、カム部材134により規制されておらず移動可能となっている。
【0068】
平行面96aの軸方向(原稿の幅方向であり、主走査方向でもある)両端には、スペーサ部材141が設けられている。このスペーサ部材141は、第二面読取部48の読取面48aに当接し、白基準ガイド板96(平行面96a)と第二面読取部48(読取面48a)との間に、規定の搬送ギャップMを確保する。
【0069】
スペーサ部材141は、シートまたはブロック形状である。スペーサ部材141の材質は、ガラス面である第二面読取部48の読取面48aに対して摺動性のよい材質が好ましい。これは、カム部材134の回転により白基準ガイド板96を軸方向に移動させたときに、スペーサ部材141が読取面48aに摺動する。従って、スペーサ部材141を摺動性のよい材質で構成することで、白基準ガイド板96の軸方向移動時のスペーサ部材141の読取面48aに対する摺動抵抗を低減することができ、スムーズに白基準ガイド板96を軸方向に移動させることができる。
【0070】
なお、本実施形態では、白基準ガイド板96にスペーサ部材を設けているが、第二面読取部48の読取面48aの原稿搬送領域外にスペーサ部材を設けてもよい。
【0071】
また、本実施形態の白基準ガイド板96の原稿搬送方向上流側を、原稿搬送方向上流にいくに従って第二面読取部48から離間するような傾斜面96bとしている。これは上述したように、読取入口下ガイド151に潜り込ませてオーバーラップさせるための他に、第二面読取部48の上流側で原稿を第二面読取部48から離間する方向に撓ませるためである。
【0072】
本実施形態では、読取出口ローラ対92の原稿搬送速度を、第二読取出口ローラ対93の搬送速度よりも速くし、読取出口ローラ対92と第二読取出口ローラ対93との間で原稿を撓ませる。傾斜面96bは、第二面読取部48から離間するように傾斜しており、搬送ギャップMよりも原稿搬送方向上流側は、下方にスペースが広がっている。そのため、原稿の搬送ギャップMよりも原稿搬送方向上流側が、傾斜面96b側に撓む。そして、傾斜面96bに案内される形で、第二面読取部48に向かって上昇する。その結果、搬送ギャップMにおいて、原稿を第二面読取部48の読取面48aに接触させて搬送することができる。このように原稿を第二面読取部48の読取面48aに接触させて搬送することで、読取面48aに付着したゴミなどの付着物を原稿に転移させることができ、読取面48aの清掃を行うことができる。また、第二面読取部48と原稿とのギャップを安定させて原稿を搬送することができる。
【0073】
白基準ガイド板96は、第二面読取部48よりも下方に設けるのが好ましい。白基準ガイド板96を、第二面読取部48よりも下方に設けることで、読取出口ローラ対92と第二読取出口ローラ対93との間で原稿を撓ませるとき、自重で原稿を傾斜面96b側に撓ませることができる。これにより、搬送ギャップMにおいて、良好に原稿を第二面読取部48の読取面48aに接触させて搬送することができる。
【0074】
図6は、色基準部材が白色基準ローラの場合の原稿搬送と、本実施形態の原稿搬送とを説明する図である。
図6(a1)、(a2)が白色基準ローラの場合の原稿搬送を示しており、
図6(b1)、(b2)が本実施形態における原稿の搬送の様子について説明する図である。
図6(a1)、(a2)に示すように、色基準部材がローラ形状の場合は、読取入口下ガイド151から白色基準ローラ196へ原稿を受け渡す上流側の原稿受け渡し部X1に原稿搬送方向に隙間が生じる。また、白色基準ローラ196から読取出口下ガイド152へ原稿を受け渡す下流側の原稿受け渡し部X2にも原稿搬送方向に隙間が生じる。
【0075】
そのため、原稿の先端が第二面読取部48から離間する方向にカールしていた場合、原稿Sの先端が上流側の原稿受け渡し部X1の隙間に入り込んだり、
図6(a2)に示すように、下流側の原稿受け渡し部X2の隙間に入り込んだりするおそれがある。このように、原稿Sの先端が、上流側の原稿受け渡し部X1の隙間に入り込んだり、下流側の原稿受け渡し部X2の隙間に入り込んだりすると、原稿詰まりが発生する不具合が発生するおそれがある。
【0076】
これに対し、本実施形態では、色基準部材を板状の白基準ガイド板96とすることで、
図6(b1)に示すように、白基準ガイド板96の原稿搬送方向上流側を読取入口下ガイド151にオーバーラップさせることができる。また、白基準ガイド板96の原稿搬送方向下流側を読取出口下ガイド152にオーバーラップさせることができる。
【0077】
白基準ガイド板96の原稿搬送方向上流側を読取入口下ガイド151にオーバーラップさせることで、上流側の原稿受け渡し部X1において、原稿搬送方向に隙間が生じるのを防止できる。これにより、原稿の先端が第二面読取部48から離間する方向にカールしていても、原稿を、読取入口下ガイド151から白基準ガイド板96へ良好に受け渡すことができる。よって、上流側の原稿受け渡し部X1で原稿詰まりが発生するのを抑制することができる。
【0078】
また、白基準ガイド板96の原稿搬送方向下流側を読取出口下ガイド152にオーバーラップさせることで、下流側の原稿受け渡し部X2において、原稿搬送方向に隙間が生じるのを防止できる。これにより、原稿の先端が第二面読取部48から離間する方向にカールしていても、
図6(b2)に示すように、原稿を、白基準ガイド板96から読取出口下ガイド152へ良好に受け渡すことができる。よって、下流側の原稿受け渡し部X2で原稿詰まりが発生するのを抑制することができる。
【0079】
図7は、先端折れSRを有する薄紙原稿の搬送ギャップMの通過について説明する図である。
【0080】
本実施形態ではスペーサ部材141により白基準ガイド板96と第二面読取部48との間に所定の搬送ギャップMを形成している。そのため、薄紙などの搬送ギャップMより厚みの薄い原稿は、加圧スプリング122の付勢力に抗して第二面読取部48から離間する方向へ白基準ガイド板96を押し下げることなく、搬送ギャップMを通過する。
【0081】
本来なら白基準ガイド板96を押し下げることなく白基準ガイド板96と第二面読取部48との間を通過可能な薄紙原稿の先端にステープラ跡等のダメージがあると、先端に折れが発生する場合がある。その結果、
図7(a)に示すように、先端折れSRを有する薄紙原稿が、第二面読取部48と白基準ガイド板96との間に搬送されることがある。
【0082】
本実施形態では、第二面読取部48として、焦点距離が浅い廉価なものを使用しており、平行面96aと読取面48aとの間の搬送ギャップMを狭く設定している。そのため、この先端折れSRの高さが、搬送ギャップMよりも高くなってしまう。その結果、本来なら白基準ガイド板96を押し下げることなく搬送ギャップを通過可能な薄紙原稿が、白基準ガイド板96を押し下げないと通過できなくなる。しかし、薄紙原稿はコシが弱いため、加圧スプリング122の付勢力に抗して白基準ガイド板96を押し下げることができず、原稿詰まりが発生するおそれがある。
【0083】
そのため、本実施形態においては、加圧スプリング122の付勢力を、搬送ギャップMより厚い搬送中の先端折れSRを有する薄紙原稿から受ける押圧力で白基準ガイド板96が第二面読取部48から離間する方向へ退避するような付勢力としている。
【0084】
よって、先端折れを有する薄紙原稿が搬送ギャップMに搬送されてきたとき、
図7(b)に示すように、白基準ガイド板96を加圧スプリング122の付勢力に抗して第二面読取部48から離間する方向へ押し下げることができる。これにより、
図7(c)に示すように、搬送ギャップMに原稿を搬送することができる。
【0085】
また、加圧スプリング122の付勢力が、コシの弱い薄紙からの押圧力で白基準ガイド板96が下がるような付勢力である。よって、搬送ギャップMよりも厚みの厚い原稿の場合、容易に白基準ガイド板96を押し下げることができる。これにより、白基準ガイド板96を押し下げる際の搬送負荷の増加を抑制でき、原稿の搬送速度の低下を抑制できる。原稿の先端で白基準ガイド板96を押し下げているときは、原稿の後端は、まだ、第一面読取部40により画像を読み取られている。よって、白基準ガイド板96を押し下げる際の原稿の搬送速度の低下が抑制されることで、第一面読取部40により読み取られた読取画像にショックジターや副走査方向の等倍誤差が生じるのを抑制できる。
【0086】
図8は、白基準ガイド板96の軸方向の移動について説明する図である。
カムモータ131を駆動してカム部材134を回転させると、カム溝134bに入り込んだ白基準ガイド板96のスタッド135がカム溝134b内を相対的に移動する。そして、カム溝134bの軸方向に傾斜したスタッド135が相対的に移動すると、スタッド135はカム溝134bにより軸方向へガイドされる。白基準ガイド板96は、軸受121に軸方向に所定範囲で移動可能に支持されているため、白基準ガイド板96は、カム溝134bの軸方向のガイドにより軸方向へ移動する。その結果、白基準ガイド板96の汚れKが、白基準ガイド板96とともに軸方向へと移動する。
【0087】
白基準ガイド板96の軸方向両端に設けられたスペーサ部材141が原稿搬送領域内に入らないように白基準ガイド板の軸方向移動量を設定する。具体的には、カム溝の構成や、カムモータ131の駆動量を制御することで、スペーサ部材141が原稿搬送領域内に入らない移動量に設定する。
【0088】
また、本実施形態では、スペーサ部材141を摺動性のよい材質で構成しているので、加圧スプリング122の弱い付勢力と相まって、スムーズに白基準ガイド板96を軸方向に移動させることができる。
【0089】
次に、第二面読取部48で読み取った画像データをシェーディング補正するための補正データたるシェーディングデータを生成する補正データ生成動作について説明する。
原稿に付着したトナー、インク、鉛筆の顔料などが白基準ガイド板96に転移し、白基準ガイド板96が汚れることがある。
図8に示すように、汚れKがある白基準ガイド板96を読み取って白色基準データを取得し、取得した白色基準データに基づいてシェーディングデータを生成した場合は、以下の不具合が生じる。すなわち、白基準ガイド板96の汚れKで白色でない部分も白色であるとしてシェーディングデータを生成する。そのため、シェーディングデータの白基準ガイド板96の汚れKの部分に対応する箇所のシェーディング補正値が誤った値となる。その結果、第二面読取部48で読み取った画像データをシェーディングデータで補正すると、補正後の画像に縦スジが入り、読取画像の画像品質が悪くなるという不具合である。
【0090】
そこで、本実施形態では、白基準ガイド板96を軸方向(主走査方向)に移動させながら、複数の白色基準データを取得し、複数の白色基準データに基づいて、シェーディングデータを生成するようにした。
【0091】
図9は、補正データ生成動作のフロー図である。
第二面読取部48は、連続運転により熱の影響から読み取った画像の画質の変化が起きるため、本実施形態では、原稿の紙間毎にシェーディングデータ生成動作を行う。
まず、コントローラ100(
図3参照)は、原稿の後端が搬送ギャップMを通過したら(S1のYes)、カムモータ131を駆動して、白基準ガイド板96の軸方向への移動を開始する(S2)。本実施形態では、読取出口ローラ対92と第二面読取部48との間に配置された排紙センサ61(
図2参照)が、原稿の後端を検知して、所定時間経過したら、原稿の後端が搬送ギャップMを通過したと判断する。
【0092】
次に、白基準ガイド板96が、
図8(a)の位置から
図8(b)の位置まで移動する間に、第二面読取部48は、複数回白基準ガイド板96を読み取り、複数の白色基準データを取得する(S3)。
【0093】
次に、コントローラ100は、取得した複数の白色基準データに基づいて、シェーディングデータを生成する(S4)。具体的には、主走査方向各位置について、取得した複数の白色基準データのうち、最も白に近いデータを抽出する。そして、抽出した最も白に近いデータに基づいて、主走査方向各位置におけるシェーディング補正値を算出し、シェーディングデータを生成する。
【0094】
図8を用いて説明したように、白基準ガイド板96を軸方向(主走査方向)に移動させることで、白基準ガイド板96の汚れKの位置が軸方向に移動する。これにより、ある白色基準データで白基準ガイド板の汚れを読み取った主走査方向の箇所が、別の白色基準データでは、汚れてない部分読み取る。よって、主走査方向各位置について、取得した複数の白色基準データのうち最も白に近いデータを抽出して、主走査方向各位置の最も白に近いデータに基づいてシェーディングデータを生成することで、シェーディングデータの主走査方向各位置のシェーディング補正値が、白基準ガイド板96の汚れのない部分を読み取った画像データに基づいて算出された値となる。その結果、第二面読取部48で読み取った画像を、良好にシェーディング補正を行うことができ、品質のよい読取画像を得ることができる。
【0095】
本実施形態では、白基準ガイド板96を軸方向に移動させて、複数の白色基準データを取得しているが、白基準ガイド板96を原稿搬送方向に移動させて、複数の白色基準データを取得してもよい。しかし、白基準ガイド板96の汚れは、搬送されている原稿により原稿搬送方向に引き延ばされ、原稿搬送方向に延びる線状の汚れとなっている場合がある。そのため、取得したすべての白色基準データの主走査方向同じ位置で汚れを読み取ってしまい、精度のよいシェーディングデータを生成できない可能性がある。よって、白基準ガイド板96を軸方向に移動させて、複数の白色基準データを取得する方が好ましい。
【0096】
なお、
図6(a1)、
図6(a2)に示した白色基準ローラ196は、搬送される原稿にとも回りする構成としており、第二面読取部48との対向箇所において、表面が原稿搬送方向に移動可能な構成となっている。しかし、シェーディングデータ取得動作中には、白色基準ローラ196は回転しないため、白基準ガイド板96の汚れた部分を読み取った画像データに基づいて補正値を算出してしまう。
【0097】
シェーディングデータの生成(
図9に示すS1~S4の動作)は、次の原稿が搬送ギャップMに到達する前に完了させる。次の原稿が到達する前の補正データ生成動作で白基準ガイド板96は、
図8(a)に示す位置から
図8(b)の位置へ移動している。そのため、白基準ガイド板96は、
図8(b)の位置で次の原稿を受け入れる。上述したように、スペーサ部材141が原稿搬送領域に入らないように白基準ガイド板96を移動させている。よって、白基準ガイド板96が
図8(b)に示す位置で待機していても、原稿は、スペーサ部材141に引っ掛かることなく、第二面読取部48と白基準ガイド板96との間を通過することができる。
【0098】
次の原稿が第二面読取部48と白基準ガイド板96との隙間を通過した後の補正データ生成動作は、白基準ガイド板96を
図8(b)の位置から
図8(a)の位置へ移動させながら、複数の白色基準データを取得する。
【0099】
本実施形態では、次の原稿の画像が、第二面読取部48に読み取られる前にシェーディングデータが生成させている。よって、第二面読取部48が読み取った次の原稿の画像は、次の原稿手前の紙間で生成されたシェーディングデータで補正することができる。その結果、刻々と変化する第二面読取部48の熱の影響による画質変化に良好に対応でき、品質の高い読取画像を取得することができる。
【0100】
例えば、補正データ生成動作を実行して、白基準ガイド板96を読み取って取得した白色基準データに汚れがあった場合は、白基準ガイド板96を移動させて、再度、補正データ生成動作を実行して、白基準ガイド板96を読み取るようにした場合、シェーディングデータを取得するまでの時間が長くなる。その結果、次の原稿が第二面読取部の到達までに、シェーディングデータを生成できない恐れがある。しかし、本実施形態では、白基準ガイド板96を移動させながら複数の白色基準データを取得するため、一回の取得動作で精度のよいシェーディングデータを取得することができる。これにより、次の原稿が第二面読取部48の到達までに、精度のよいシェーディングデータの生成を完了させることができる。
【0101】
なお、本実施形態では、第一面読取部40または第二面読取部48で読み取る原稿の紙間毎に第二面読取部48と白基準ガイド板96とで補正データ生成動作を実行しているが、例えば、第二面読取部48の温度を検知する温度センサを設け、温度センサの検知結果に基づいて、補正データ生成動作を実行するようにしてもよい。
【0102】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0103】
[変形例1]
図10は、変形例1の第二面読取部48付近の概略構成図である。
この変形例1は、スペーサ部材を球状のコロ241とし、このコロ241を、白基準ガイド板96の平行面96aの軸方向両端に回転自在に埋め込んだものである。コロ241の材質は、樹脂でもよいし、白基準ガイド板96の第二面読取部48に対する加圧で縮まない程度の硬度をもった弾性部材でもよい。かかる構成とすることで、白基準ガイド板96を第二面読取部48に対して相対的に軸方向に移動させたときに、コロ241が軸方向に転がる。これにより、白基準ガイド板96の軸方向移動時にスペーサ部材が読取面48aを摺動するものに比べて、読取面48aに擦り傷が発生するのを抑制することができる。また、白基準ガイド板96の軸方向移動時にスペーサ部材と読取面48aとの間で摺動音などの異音が発生を抑制することができる。
【0104】
また、コロ241を弾性部材で構成することで、コロ241の表面をガラス面の読取面48aよりも柔らかくでき、読取面48aが傷つくのを抑制することができる。
【0105】
また、スペーサ部材を軸方向に回転可能なローラとしてもよい。スペーサ部材をローラとした場合でも、コロの場合と同様、読取面48aの擦り傷の発生を防止でき、かつ、白基準ガイド板96の軸方向移動時の異音の発生を抑制できる。また、ローラの表面に弾性部材を巻き付けることで、読取面48aが傷つくのを抑制することができ好ましい。
【0106】
[変形例2]
図11は、変形例2の第二面読取部48付近の概略構成図である。
この変形例2は、白基準ガイド板96の第二面読取部48に対する接離方向の移動を規制する規制機構を設けたものである。
図11に示すように、白基準ガイド板96を軸方向に移動可能に支持する軸受121には、被規制突起121aが形成されている。第二面読取部48から離間側から被規制突起121aに対向する規制位置と、この規制位置から退避する退避位置との間を移動可能に構成された規制部材161を有している。この規制部材161には、規制部材161を規制位置と退避位置との間を移動させる規制駆動部162が接続されている。
【0107】
Z折りされた原稿および2つ折りされた原稿など、折られた原稿の画像を読み取る場合がある。この場合は、折られた原稿を広げて原稿載置台53にセットして搬送するため、搬送される原稿は折り目を有する。この原稿の折り目の部分が搬送ギャップMに搬送されると、この原稿の折り目の部分で白基準ガイド板96を押し下げるおそれがある。その結果、原稿の折り目の部分の画像面が第二面読取部48の焦点深度から外れてしまい、折り目部分の画像を良好に読み込むことができないおそれがある。
【0108】
そこで、この変形例2では、規制機構を設けて、原稿の折り目が搬送ギャップMを通過時に白基準ガイド板96の第二面読取部48から離間する方向の移動を規制できるようにした。
【0109】
この変形例では、突き当てセンサ72と読取入口ローラ対97との間に配置された厚み情報取得部としての紙厚検知センサ106(
図2参照)により搬送されてきた原稿の厚み情報を取得する。なお、ユーザーが操作部108を操作して、原稿載置台53にセットした原稿の紙厚情報を入力し、その入力した情報から原稿の紙厚情報を取得するようにしてもよい。このときは、操作部108が、厚み情報取得部として機能する。
【0110】
原稿の厚みが搬送ギャップMよりも厚い場合は、白基準ガイド板96の移動を規制すると、原稿が搬送ギャップMを通過できないため、規制機構による白基準ガイド板96の規制は行わない。一方、原稿の厚みが搬送ギャップM以下のときは、次のようにして白基準ガイド板96の移動を規制する。
【0111】
すなわち、まず、コントローラ100は、原稿の先端が搬送ギャップMを抜けるまでは、規制駆動部162を退避位置に位置させ、白基準ガイド板96の第二面読取部48から離間する方向の移動を許容する。これにより、搬送ギャップMに搬送されてきた原稿に、先端に折れが発生しているとき、白基準ガイド板96が第二面読取部48から離間する方向に移動する。これにより、搬送ギャップMの手前で原稿詰まりが発生することなく、原稿を搬送することができる。
【0112】
原稿の先端が、第二読取出口ローラ対93に到達し、原稿が第二読取出口ローラ対93により搬送されるようになったら、規制部材161を退避位置から規制位置へ切り替え移動させる。これにより、白基準ガイド板96の第二面読取部48から離間する方向の移動が規制される。一般的に、Z折りや2つ折りなどにより原稿に付けられた折り目は、原稿先端からある程度離れた位置にある。よって、原稿の先端が、第二読取出口ローラ対93に到達したタイミングで白基準ガイド板96の第二面読取部48から離間する方向の移動を規制しても、原稿の折り目が搬送ギャップMに到達する前に移動の規制を行うことができる。
【0113】
原稿の折り目が搬送ギャップMを通過するときは、白基準ガイド板96が原稿の折り目により押し下げられるのを規制部材161が規制する。これにより、原稿の折り目の画像面が、第二面読取部48の焦点深度から外れるのを防止でき、原稿の第二面の画像を良好に読み取ることができる。なお、白基準ガイド板96の移動が規制されることで、折り目が搬送ギャップMを通過するときの原稿の搬送負荷が増すが、原稿の先端は第二読取出口ローラ対93に到達し、第二読取出口ローラ対93により搬送力を付与されている。よって、搬送ギャップMで原稿が詰まることなく、良好に搬送することができる。
【0114】
原稿の後端が、搬送ギャップMを抜けたら、規制部材161を退避位置へ移動させ、白基準ガイド板96の第二面読取部48から離間する方向の移動を許容する状態にする。
【0115】
[変形例3]
図12は、変形例3の第二面読取部48付近の概略構成図である。
この変形例3は、カム部材134のカム溝134bに規制部134cを設け、白基準ガイド板96を、軸方向に移動させる移動機構130に、白基準ガイド板96の第二面読取部48から離間する方向の移動を規制する規制機構の機能を持たせたものである。
【0116】
規制部134cは、カム溝134bのカムの回転方向に真っ直ぐ延びる部分に軸方向に平行に設けられており、スタッド135と第二面読取部48から離間する側から対向している。スタッド135が規制部134cに突き当たることで、白基準ガイド板96の第二面読取部48から離間する方向の移動が規制される。
【0117】
この変形例3においては、カム部材134の停止位置を制御することで、規制部134cの位置を、第二面読取部48に対する接離方向に変更することができ、白基準ガイド板96の規制位置を変更することができる。
【0118】
この変形例3についても、変形例2と同様、原稿の先端が搬送ギャップMを通過するときは、規制部134cをスタッド135と当接しない退避位置(
図12に示す位置)に位置させている。これにより、
図12に示すように、搬送ギャップMに搬送されてきた原稿に先端折れSRが発生しているとき、白基準ガイド板96が第二面読取部48から離間する方向に移動する。よって、搬送ギャップMの手前で原稿詰まりが発生することなく、原稿を搬送することができる。
【0119】
原稿の先端が、第二読取出口ローラ対93に到達し、原稿が第二読取出口ローラ対93により搬送されるようになったら、カム部材134を図中時計回りに回転させて、規制部134cを搬送されている原稿の紙厚に応じた規制位置へ移動させる。具体的には、紙厚検知センサにより取得した紙厚情報またはユーザーの操作部の操作により取得した紙厚情報に基づいて、カムモータ131を制御して規制部134cを原稿の紙厚に応じた規制位置に位置させる。
【0120】
この変形例3では、紙厚が搬送ギャップMよりも厚い原稿についても、白基準ガイド板96の第二面読取部48から離間する方向への移動を規制することができる。これにより、紙厚が搬送ギャップMよりも厚い折り目のついた原稿についても、原稿の折り目の画像面が、第二面読取部48の焦点深度から外れるのを防止でき、原稿の第二面の画像を良好に読み取ることができる。
【0121】
また、上述では第二面読取部48に対向する白基準ガイド板96について説明したが、第一読取位置700で、第一面読取部40に対向配置される白基準ガイド部材にも本発明を適用することができる。
【0122】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
原稿の画像を読み取る第二面読取部48などの画像読取部と、画像読取部に対向配置された白基準ガイド板96などの色基準部材とを備え、所定のタイミングで、色基準部材を画像読み取り部で読み取って色基準画像データを取得し、取得した色基準画像データに基づいて、画像読取部で読み取った画像データを補正するシェーディングデータなどの補正データを生成する補正データ生成動作を実行する画像読取装置において、画像読取部に対して接離する方向と直交する方向に、画像読取部に対して相対的に色基準部材を移動させる。
原稿に付着したゴミなどの付着物が白基準ガイド板96などの色基準部材に転移し色基準部材が汚れる場合があった。このように、色基準部材が汚れると、汚れた部分の色が色基準部材の本来の色と異なってしまう。よって、色基準部材を読み取った色基準画像データに基づいて生成されたシェーディングデータなどの補正データの色基準部材の汚れた部分に対応する箇所の補正値が異常となる。その結果、読み取った画像データを正常に補正できない箇所が生じ、補正データにより補正された読取画像に縦スジなどの異常が生じ、読取画像の画像品質が悪くなる。
態様1では、補正データ生成動作中に、画像読取部に対して接離する方向と直交する方向に画像読取部に対し色基準部材を相対的に移動させることで、画像読取部の色基準部材の汚れた部分を読み取る箇所が移動する。よって、色基準部材を画像読取部に対して相対的に移動させながら複数の色基準画像データを取得することで、ある色基準画像データでは色基準部材の汚れた部分を読み取った箇所が、別の色基準画像データでは汚れてない部分を読み取る。この2つの色基準画像データを用いて、例えば、ある色基準画像データの色基準部材の汚れた部分を読み取った箇所については、その箇所に対応する別の色基準画像データの汚れていない部分を読み取っている画像データを用いて補正データを生成することができる。これにより、各位置において、色基準部材の本来の色に基づいた補正値を算出することができる。よって、読み取った画像データのすべての位置で良好な補正を行うことができ、読取画像に縦スジなどの異常が生じるのを抑制でき、原稿の画像を読み取った読取画像の画像品質が悪くなるのを抑制することができる。
【0123】
(態様2)
態様1において、補正データ生成動作は、白基準ガイド板96などの色基準部材を移動させながら、第二面読取部48などの画像読取部で複数の色基準画像データを取得し、複数の色基準画像データに基づいてシェーディングデータなどの補正データを取得する。
これによれば、実施形態で説明したように、取得した複数の白色基準データから、主走査方向各位置において、汚れのない白基準ガイド板96などの色基準部材の部分を読み取った画像データを抽出し、シェーディングデータなどの補正データを生成することができる。
【0124】
(態様3)
態様1または2において、原稿を搬送ギャップMなどの第二面読取部48などの画像読取部と白基準ガイド板96などの色基準部材との間へ搬送する原稿搬送部を備え、補正データ生成動作のとき、画像読取部と色基準部材との間を通過するときの原稿の搬送方向と直交する方向に、画像読取部に対し前記色基準部材を相対的に移動させる。
これによれば、実施形態で説明したように、原稿の搬送方向に白基準ガイド板96などの色基準部材を移動させる場合に比べて、取得したすべての白色基準データの主走査方向同じ位置で汚れを読み取るのを抑制でき、精度のよいシェーディングデータを生成できなる。
【0125】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、原稿を搬送ギャップMなどの第二面読取部48などの画像読取部と白基準ガイド板96などの色基準部材との間へ搬送する原稿搬送部を備え、原稿の搬送方向後端が、画像読取部と色基準部材との間を抜けた後に補正データ生成動作を開始し、次の原稿の搬送方向先端が前記画像読取部と前記色基準部材との間に到達するまでの間に、補正データ生成動作を完了する。
これによれば、実施形態で説明したように、第二面読取部48などの画像読取部が読み取った原稿画像を、読み取る直前に取得したシェーディングデータなどの補正データに基づいて補正することができる。よって、連続運転の熱の影響の画質の変化による読取画像の画質劣化を良好に抑制することができる。
【0126】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、原稿を搬送ギャップMなどの第二面読取部48などの画像読取部と白基準ガイド板96などの色基準部材との間へ搬送する原稿搬送部を備え、色基準部材は、画像読取部に対して接離可能に設けられた板状部材であり、色基準部材は、画像読取部と色基準部材との間に搬送されてきた原稿が、画像読取部に対して規定の距離で通過するように原稿をガイドする。
これによれば、実施形態で説明したように、良好に原稿の画像を読み取ることができる。
【0127】
(態様6)
態様5において、原稿を第二面読取部48などの画像読取部と白基準ガイド板96などの色基準部材との間へガイドする読取入口下ガイド151などの入口ガイド部材と、画像読取部を通過した原稿をガイドする読取出口下ガイド152などの出口ガイド部材とを備え、色基準部材の原稿の搬送方向上流側が入口ガイド部材に対してオーバーラップし、かつ、色基準部材の前記原稿の搬送方向下流側が、出口ガイド部材に対してオーバーラップしている。
これによれば、
図6を用いて説明したように、読取入口下ガイド151などの入口ガイド部材から白基準ガイド板96などの色基準部材へ原稿を受け渡す上流側の原稿受け渡し部X1および色基準部材から読取出口下ガイド152などの出口ガイド部材へ原稿を受け渡す下流側の原稿受け渡し部X2に原稿搬送方向に隙間が生じるのを防止できる。これにより、上流側の原稿受け渡し部X1および下流側の原稿受け渡し部X2で原稿詰まりが発生するのを抑制することができる。
【0128】
(態様7)
態様5または6において、白基準ガイド板96などの色基準部材を第二面読取部48などの画像読取部側へ付勢する加圧スプリング122などの付勢部材を備え、前記付勢部材の付勢力を、搬送ギャップMなどの画像読取部と色基準部材との間に搬送されてきた薄紙原稿の押圧で色基準部材が画像読取部から離間する方向へ退避するような付勢力とした。
これによれば、
図7を用いて説明したように、先端折れSRが発生した薄紙原稿が、搬送ギャップMの手前で詰まるのを抑制することができる。
【0129】
(態様8)
態様5乃至7いずれかにおいて、第二面読取部48などの画像読取部から離間する方向の白基準ガイド板96などの色基準部材の移動を規制する規制機構を備え、規制機構は、色基準部材の画像読取部から離間する方向の移動を規制する規制状態と、色基準部材の前記画像読取部から離間する方向の移動を許容する許容状態とに切り替え可能に構成されている。
これによれば、変形例2で説明したように、原稿の先端が搬送ギャップMを通過するときは、許容状態にすることで、原稿に先端折れが発生していても、搬送ギャップMを通過させることができ、原稿詰まりが発生するのを抑制することができる。また、原稿の折り目部分が、搬送ギャップMを通過するときは、規制状態とすることで、原稿の折り目部分を、画像読取部の焦点深度内で搬送でき、折り目部分の画像を良好に読み取ることができる。
【0130】
(態様9)
態様8において、原稿の厚み情報を取得する紙厚検知センサ106などの厚み情報取得部を有し、厚み情報取得部が取得した厚み情報に基づいて、規制機構による白基準ガイド板96などの色基準部材の画像読取部から離間する方向の移動の規制を行うか否かを決定する。
これによれば、変形例2で説明したように、白基準ガイド板96などの色基準部材の画像読取部から離間する方向の移動の規制をすると、原稿詰まりが発生するおそれがある厚みのある原稿について移動の規制を行わないようにできる。
【0131】
(態様10)
態様5乃至8いずれかにおいて、第二面読取部48などの画像読取部から離間する方向の白基準ガイド板96などの色基準部材の移動を規制する規制機構を備え、規制機構は、色基準部材の移動を規制する位置を変更可能に構成されている。
これによれば、変形例3で説明したように、原稿の厚みに応じて、規制位置を変更することが可能となる。
【0132】
(態様11)
態様10において、原稿の厚み情報を取得する紙厚検知センサ106などの厚み情報取得部を有し、厚み情報取得部が取得した厚み情報に基づいて、色基準部材の移動を規制する位置を変更する。
これによれば、変形例3で説明したように、厚みの厚い原稿でも、原稿の折り目部分が搬送ギャップMを通過するときに色基準部材の移動を規制することができ、折り目部分の画像を良好に読み取ることができる。
【0133】
(態様12)
態様8乃至11いずれかにおいて、規制機構は、原稿の先端が搬送ギャップMなどの白基準ガイド板96などの色基準部材と第二面読取部48などの画像読取部の間を抜けた後に、画像読取部から離間する方向の色基準部材の移動を規制する。
これによれば、変形例2、3で説明したように、原稿に先端折れが発生していても、搬送ギャップMを通過させることができ、原稿詰まりが発生するのを抑制することができる。また、原稿の折り目部分が、搬送ギャップMを通過するときは、規制状態であるので、原稿の折り目部分を、画像読取部の焦点深度内で搬送でき、折り目部分の画像を良好に読み取ることができる。
【0134】
(態様13)
態様1乃至12いずれかにおいて、白基準ガイド板96などの色基準部材の原稿搬送領域の外側または第二面読取部48などの画像読取部の原稿搬送領域の外側に搬送ギャップMなどの色基準部材と前記画像読取部との間に規定の隙間を形成するスペーサ部材を設け、スペーサ部材が、回転可能である。
これによれば、変形例1で説明したように、スペーサ部材が接触する相手部材に擦り傷が発生するのを抑制することができる。また、補正データ生成動作中に、スペーサ部材と相手部材との間で摺動音が発生するのを抑制することができる。
【0135】
(態様14)
態様13において、前記スペーサ部材の相手部材との接触部を、弾性部材で構成した。
これによれば、変形例1で説明したように、スペーサ部材が接触する相手部材が傷つくのを抑制することができる。
【0136】
(態様15)
原稿の画像を読み取る画像読取装置と、画像読取装置で読み取った画像データに基づいて記録材上に画像を形成する画像形成装置であって、上記画像読取装置として、態様1乃至14いずれかの画像読取装置を用いた。
これによれば、良好な画像を複写することができる。
【符号の説明】
【0137】
1 :複写機
3 :画像形成部
4 :スキャナ
5 :原稿自動搬送装置
40 :第一面読取部
48 :第二面読取部
48a :読取面
53 :原稿載置台
61 :排紙センサ
92 :読取出口ローラ対
93 :第二読取出口ローラ対
96 :白基準ガイド板
96a :平行面
96b :傾斜面
96c :支持軸
96d :支持面
100 :コントローラ
106 :紙厚検知センサ
108 :操作部
121 :軸受
121a :被規制突起
122 :加圧スプリング
130 :移動機構
131 :カムモータ
132 :モータギヤ
133 :出力ギヤ
134 :カム部材
134a :カム軸
134b :カム溝
134c :規制部
135 :スタッド
141 :スペーサ部材
151 :読取入口下ガイド
152 :読取出口下ガイド
161 :規制部材
162 :規制駆動部
196 :白色基準ローラ
204 :画像処理部
241 :コロ
M :搬送ギャップ
S :原稿
SR :先端折れ
X1 :原稿受け渡し部
X2 :原稿受け渡し部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0138】