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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電装ユニット及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240829BHJP
   B41J 29/377 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G03G21/00 530
B41J29/377 103
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021042907
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142651
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】坂元 章悟
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-138631(JP,A)
【文献】特開2014-065187(JP,A)
【文献】特開2020-124009(JP,A)
【文献】特開2009-069596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/377
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電装部品を覆うハウジングと、
エアを送風する送風手段と、
複数の電装部品のいずれか一つを冷却したエアを他の電装部品へ導くダクトとを有する電装ユニットにおいて、
前記ダクトは、防火壁部を有することを特徴とする電装ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電装ユニットにおいて、
前記ハウジング、前記ダクトおよび前記防火壁部は、不燃材料からなることを特徴とする電装ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電装ユニットにおいて、
前記ダクトの吸気口および排気口の少なくとも一方の口が、他方の口から前記防火壁部の壁面に対して垂直な平行光を当てたときにできる前記防火壁部の影となる領域に入るように形成されており、
前記防火壁部は、前記ダクトの流路を形成する複数の壁部のいずれか一つに対して隙間を有することを特徴とする電装ユニット。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電装ユニットにおいて、
前記防火壁部は、前記ダクトを仕切るように設けられており、
前記防火壁部は、複数の小孔を有することを特徴とする電装ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の電装ユニットにおいて、
前記ハウジングに前記ダクトが形成されていることを特徴とする電装ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の電装ユニットにおいて、
複数の電装部品の一つは、駆動モータであって、
前記送風手段は、前記駆動モータに設けられた自冷ファンであることを特徴とする電装ユニット。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載の電装ユニットにおいて、
前記送風手段は、前記ハウジングの外部に設けたことを特徴とする電装ユニット。
【請求項8】
電装ユニットを備えた画像形成装置において、
前記電装ユニットとして、請求項1乃至7いずれか一項に記載の電装ユニットを用いたことを特徴する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装ユニット及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電装部品を覆うハウジングと、エアを送風する送風手段と、複数の電装部品のいずれか一つを冷却したエアを他の電装部品へ導くダクトとを有する電装ユニットが知られている。
【0003】
特許文献1には、上記電装ユニットとして、電装部品たる駆動モータを冷却したエアを他の電装部品としての電磁クラッチへ導くダクトを有するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トラッキング現象などにより電装部品が万一発火したとき、その炎がダクトを介して延焼するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数の電装部品を覆うハウジングと、エアを送風する送風手段と、複数の電装部品のいずれか一つを冷却したエアを他の電装部品へ導くダクトとを有する電装ユニットにおいて、前記ダクトは、防火壁部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電装部品が発火した際のダクトを介して延焼を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプリンタを示す概略模式図。
図2】実施形態に係るプリンタにおける感光体とその周囲の構成を拡大して示す拡大模式図。
図3】開閉カバーが開いた状態を示すプリンタの概略模式図。
図4】駆動装置の概略斜視図。
図5】樹脂ハウジングを取り外した駆動装置の概略斜視図。
図6】取付板金を取り外した駆動装置を取付板金側から見た斜視図。
図7】駆動モータの斜視図。
図8】駆動モータ空冷後の空気の流れについて説明する図。
図9】外部ファンにより、ハウジング内に空気を取り込む例を示す図。
図10】本駆動装置のダクト内の構成を示す概略図。
図11】ダクト内での炎の燃え広がりについて説明する図。
図12】ダクトの変形例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式で画像を形成する電子写真プリンタ(以下、単にプリンタという)を例に挙げて説明する。
【0009】
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。なお、本発明は、電子写真方式による画像形成装置で説明するが、これに限定されるものではなく、インクジェット方式や孔版印刷方式等の画像形成装置にも適用できる。
【0010】
図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略模式図である。
同図において、本プリンタは、潜像担持体としての感光体1や、本体筐体50に対して着脱可能に構成されたシート収容手段としての給紙カセット100などを備えている。給紙カセット100は、複数の記録シートSをシート束の状態で収容している。
【0011】
給紙カセット100内の記録シートSは、本体給紙ローラ41の回転駆動によってカセット内から送り出され、本体給紙ローラ41と分離パッド48との分離ニップにおいて、最上位シートのみが分離されて送り出され、第一搬送路である本体給紙路R1内に至る。その後、記録シートSは上方の搬送ローラ対である中継ローラ対42の搬送ニップに挟み込まれて(挟持されて)、本体給紙路R1内を搬送方向の上流側から下流側へと搬送される。なお搬送ローラ対は少なくともどちらか一方がベルトの搬送部材対であってもよい。
【0012】
本体給紙路R1の下流端は、共通搬送路R3に連通しており、共通搬送路R3には、レジストローラ対43が配設されている。共通搬送路R3には、レジストローラ対43の搬送方向上流側に、記録シートSを検知するレジストセンサ49が配置されている。記録シートSは、停止中のレジストローラ対43のニップに先端を突き当てた状態で搬送が一時中止される。その突き当ての際、記録シートSのスキューが補正される。なお、レジストセンサ49は、イニシャル動作や装置異常停止解除時の残シートの確認動作などにも利用される。
【0013】
レジストローラ対43は、記録シートSを転写ニップで感光体1の表面のトナー像に重ね合わせ得るタイミングで回転駆動を開始し、記録シートSを転写ニップに向けて送り出す。この際、中継ローラ対42が同時に回転駆動を開始して、一時中止していた記録シートSの搬送を再開する。
【0014】
本プリンタの本体筐体50には、手差しトレイ31、手差し給紙ローラ32、分離パッド33、手差し底板34、手差し底板カム35などを備えた手差し給送部としての手差し給紙部30が設けられている。この手差し給紙部30の手差しトレイ31に手差しされた記録シートSは、手差し給紙ローラ32の回転駆動によって手差しトレイ31から第二搬送路である手差し給紙路R2へ送り出される。手差し給紙路R2の下流端は、本体給紙路R1の下流端とともに共通搬送路R3に合流している。手差し給紙ローラ32によって送り出された記録シートSは、手差し給紙路R2内において、手差し給紙ローラ32と分離パッド33との当接による分離ニップを経た後に、共通搬送路R3へ送り込まれ、レジストローラ対43へと搬送される。その後、この記録シートSは、給紙カセット100から送り出される記録シートSと同様に、レジストローラ対43を経た後に転写ニップに送られる。
【0015】
図2は、本プリンタにおける感光体1とその周囲の構成を拡大して示す拡大模式図である。
図中時計回り方向に回転駆動せしめられるドラム状の感光体1の周囲には、クリーニングブレード2、回収スクリュウ3、帯電ローラ4、帯電クリーニングローラ5、スクレーパ6、潜像書込装置7、現像装置8、転写ローラ10などが配設されている。導電性ゴムローラ部を具備する帯電ローラ4は、感光体1に接触しながら回転して帯電ニップを形成している。この帯電ローラ4には、帯電用電源から電圧が印加されている。これにより、帯電ニップにおいて、感光体1の表面と帯電ローラ4の表面との間に生じる帯電バイアスによって、感光体1の表面が一様に帯電せしめられる。
【0016】
潜像書込装置7は、LEDアレイを具備しており、感光体1の一様帯電した表面に対してLED光による光書き込みを行う。感光体1の一様帯電された表面部分のうち、書き込み光が照射された領域の電位が減衰し、感光体1の表面に静電潜像が形成される。
【0017】
静電潜像は、感光体1の回転に伴って、現像装置8に対向する現像領域を通過する。現像装置8は、循環搬送部や現像部を有しており、循環搬送部には、トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を収容している。循環搬送部は、現像ローラ8aに供給するための現像剤を搬送する第一スクリュウ8bや、第一スクリュウ8bの直下に位置する独立した空間で現像剤を搬送する第二スクリュウ8cを有している。更には、第二スクリュウ8cから第一スクリュウ8bへの現像剤の受け渡しを行うための傾斜スクリュウ8dも有している。現像ローラ8a、第一スクリュウ8b及び第二スクリュウ8cは、互いに平行な姿勢で配設されている。これに対し、傾斜スクリュウ8dは、それらから傾いた姿勢で配設されている。
【0018】
第一スクリュウ8bは、自らの回転駆動に伴って現像剤を同図の紙面に直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送する。この際、第一スクリュウ8bは、自らに対向配設された現像ローラ8aに一部の現像剤を供給する。第一スクリュウ8bによって同図の紙面に直交する方向における手前側の端部付近まで搬送された現像剤は、第二スクリュウ8cの上に落とし込まれる。
【0019】
第二スクリュウ8cは、現像ローラ8aから使用済みの現像剤を受け取りながら、受け取った現像剤を自らの回転駆動に伴って同図の紙面に直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送する。第二スクリュウ8cによって同図の紙面に直交する方向における手前側の端部付近まで搬送された現像剤は、傾斜スクリュウ8dに受け渡される。そして、現像剤は、傾斜スクリュウ8dの回転駆動に伴って、同図の紙面に直交する方向における手前側から奥側に向けて搬送された後、同方向における奥側の端部付近で、第一スクリュウ8bに受け渡される。
【0020】
現像ローラ8aは、筒状の非磁性部材からなる回転可能な現像スリーブと、現像スリーブに連れ回らないようにスリーブ内に固定されたマグネットローラとを具備している。第一スクリュウ8bによって搬送されている現像剤の一部は、マグネットローラの磁力によって現像スリーブの表面で汲み上げられる。現像スリーブの表面に担持された現像剤は、現像スリーブの回転に伴って搬送され、現像スリーブとドクターブレードとの対向位置を通過する際に、その層厚が規制される。その後、感光体1に対向する現像領域で、感光体1の表面に摺擦しながら搬送される。
【0021】
現像スリーブには、トナーや感光体1の一様帯電電位(地肌部電位)と同極性の現像バイアスが印加されている。この現像バイアスの絶対値は、潜像電位の絶対値よりも大きく、かつ、地肌部電位の絶対値よりも小さくなっている。このため、現像領域においては、感光体1の静電潜像と現像スリーブとの間にトナーを現像スリーブ側から感光体1側へ静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。この一方で、感光体1の地肌部と現像スリーブとの間には、トナーを感光体1側から現像スリーブ側へ静電移動させる地肌ポテンシャルが作用する。これにより、現像領域では、感光体1の静電潜像にトナーが選択的に付着して静電潜像が現像される。
【0022】
現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブの回転に伴って、現像スリーブと第二スクリュウ8cとの対向領域に進入する。この対向領域では、マグネットローラに具備される複数の磁極のうち、互いに同極性である2つの磁極によって反発磁界が形成されている。対向領域に進入した現像剤は、反発磁界の作用によって現像スリーブ表面から離脱して、第二スクリュウ8cに回収される。
【0023】
傾斜スクリュウ8dによって搬送される現像剤は、現像ローラ8aから回収された現像剤を含有しており、その現像剤は現像領域で現像に寄与していることからトナー濃度が低下している。現像装置8は、傾斜スクリュウ8dによって搬送される現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度センサを具備している。CPU等の半導体回路からなる制御部80は、トナー濃度センサによる検知結果に基づいて、必要に応じて、傾斜スクリュウ8dによって搬送される現像剤にトナーを補給するための補給動作信号を出力する。
【0024】
現像装置8の上方には、トナーカートリッジ9が配設されている。このトナーカートリッジ9は、内部に収容しているトナーを、回転軸部材9aに固定されたアジテータ9bによって撹拌している。そして、トナー補給部材9cが制御部80から出力される補給動作信号に応じて回転駆動されることで、回転駆動量に応じた量のトナーを現像装置8の傾斜スクリュウ8dに補給する。
【0025】
現像によって感光体1上に形成されたトナー像は、感光体1の回転に伴って、感光体1と転写ローラ10とが当接する転写ニップに進入する。転写ローラ10には、感光体1の潜像電位とは逆極性の電圧が印加されており、これにより、転写ニップ内には転写バイアスが形成されている。
【0026】
上述したように、レジストローラ対43は、記録シートSを転写ニップ内で感光体1上のトナー像に重ね合わせうるタイミングで転写ニップに向けて送り出す。転写ニップでトナー像に密着せしめられた記録シートには、転写バイアスやニップ圧の作用により、感光体1上のトナー像が転写される。
【0027】
転写ニップを通過した後の感光体1の表面には、記録シートSに転写されなかった転写残トナーが付着している。転写残トナーは、感光体1に当接しているクリーニングブレード2によって感光体1の表面から掻き落とされた後、回収スクリュウ3により搬送され、廃トナーボトルへと送られる。
【0028】
クリーニングブレード2によってクリーニングされた感光体1の表面は、除電手段によって除電された後、帯電ローラ4によって再び一様に帯電せしめられる。感光体1の表面に当接している帯電ローラ4には、トナー添加剤や、クリーニングブレード2で除去し切れなかったトナーなどの異物が付着する。この異物は、帯電ローラ4に当接している帯電クリーニングローラ5に転移した後、帯電クリーニングローラ5に当接しているスクレーパ6によって帯電クリーニングローラ5の表面から掻き落とされる。掻き落とされた異物は、上述した回収スクリュウ3の上に落下する。
【0029】
図1において、感光体1と転写ローラ10とが当接する転写ニップを通過した記録シートSは、定着装置44に送られる。定着装置44は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ44aと、これに向けて押圧される加圧ローラ44bとの当接によって定着ニップを形成している。定着ニップに挟み込まれた記録シートSの表面には、加熱や加圧の作用によってトナー像が定着せしめられる。その後、定着装置44を通過した記録シートSは、排紙路R4を経た後、排紙ローラ対46の排紙ニップに挟み込まれる。
【0030】
本プリンタは、記録シートSの片面だけに画像を形成する片面モードと、記録シートSの両面に画像を形成する両面モードとを切り替えて実行することができる。片面モードの場合や、両面モードであって既に記録シートの両面に画像を形成している場合には、排紙ローラ対46が正転駆動を続けることで、排紙路R4内の記録シートSを機外に排出する。排出された記録シートSは、本体筐体50の上面に設けられたスタック部にスタックされる。
【0031】
一方、両面モードであって、かつ記録シートSの片面だけにしか画像を形成していない場合には、排紙ローラ対46の排紙ニップに記録シートSの後端部が進入したタイミングで、排紙ローラ対46が逆転駆動される。このとき、排紙路R4の下流端付近に配設された切換爪47が作動して、排紙路R4を塞ぐとともに、反転再送路R5の入口を開く。排紙ローラ対46の逆転駆動によって逆戻りを開始した記録シートSは、反転再送路R5内に送り込まれる。反転再送路R5の下流端は、共通搬送路R3のレジストローラ対43の上流側に合流しており、反転再送路R5内を搬送された後、共通搬送路R3のレジストローラ対43へと再送される。その後、転写ニップでもう一方の面にもトナー像が転写された後、定着装置44と排紙路R4と排紙ローラ対46とを経て機外に排出される。
【0032】
本実施形態のユニットたる定着装置44は、接離対象たる加圧ローラ44bの表面に付着したトナーや紙粉などの付着物を除去する接離部材たるクリーニングローラ44dを備えている。このクリーニングローラ44dは、後述する接離機構により加圧ローラ44bに対して接離する。
【0033】
また、定着装置44は、排紙路R4の定着ニップから切換爪47までを構成する部材も備えている。具体的には、定着装置44は、排紙ガイド部材59と、排紙反転ガイド部材58と、中継搬送ローラ対51とを備えている。排紙ガイド部材59は、定着ニップを抜けた記録シートSの定着ローラ44aとの接触面に対向し、記録シートSを切換爪47まで案内するガイド部59aを有している。排紙反転ガイド部材58は、排紙ガイド部58aと、反転ガイド部58bとを備えている。排紙ガイド部58aは、定着ニップを抜けた記録シートSの加圧ローラ44bとの接触面に対向し、記録シートSを切換爪47まで案内する。反転ガイド部58bは、切換爪47を抜けた反転再送路R5の記録シートの画像形成面に対向しガイドする。また、排紙反転ガイド部材58は、反転再送路R5内の記録シートを搬送する反転搬送ローラ対52の従動コロ52bも取り付けられている。
【0034】
また、本プリンタの本体筐体50の図中左側側面には、開閉カバー55が設けられている。この開閉カバー55には、反転再送路R5の記録シートの非画像形成面に対向しガイドする反転ガイド部材57を備えており、反転ガイド部材57には、反転搬送ローラ対52の駆動ローラ52aが取り付けられている。
【0035】
図3は、開閉カバー55が開いた状態を示すプリンタの概略模式図である。
開閉カバー55が開くことで、定着装置44が露出し、定着装置44が、プリンタ本体に対して図中矢印A方向に着脱される。
【0036】
次に、本実施形態の特徴部である電装ユニットとしての駆動装置について説明する。
図4は、駆動装置60の概略斜視図である。
駆動装置60は、感光体1、現像装置8、レジストローラ対43、本体給紙ローラ41へ駆動モータの駆動力を伝達する。
駆動装置60は、難燃性樹脂で構成された樹脂ハウジング61と、取付板金62とを有している。樹脂ハウジング61は、駆動モータ63(図5参照)を覆うモータハウジング部61aと、ギヤを覆うギヤハウジング部61bとを有している。
モータハウジング部61aの図中上部には、後述するように、駆動モータ等を空冷する際に空気を取り込むとともに、駆動モータを制御部80や電源部に接続するハーネスを通すための開口部61cが形成されている。
【0037】
先端が感光体1に挿入される感光体駆動軸74と、現像駆動伝達部材90のカップリング部90aとが、ギヤハウジング部61bから貫通している。感光体駆動軸74には、感光体1のフランジ部に係合して感光体1に駆動力を伝達する感光体カップリング75が取り付けられている。
なお、図中の符号87は、レジストローラ対43へ駆動モータの駆動力を出力するレジスト出力ギヤである。
【0038】
図5は、樹脂ハウジング61を取り外した駆動装置60の概略斜視図であり、図6は、取付板金62を取り外した駆動装置60を取付板金62側から見た斜視図である。
【0039】
図6に示すように、電装部品としての駆動モータ63のモータ軸63aに直接設けられたモータギヤには、第一入力ギヤ71と、第二入力ギヤ81とが噛み合っている。第一入力ギヤ71には、アイドラギヤ72が噛み合っており、このアイドラギヤ72には、感光体ギヤ73が噛み合っている。感光体ギヤ73は、図5に示すように、感光体駆動軸74に取り付けられている。
第一入力ギヤ71、第二入力ギヤ81およびアイドラギヤ72は、取付板金62と、板金からなるモータブラケット63bとの間に設けられている。
【0040】
第二入力ギヤ81には、分岐ギヤ82が噛み合っており、この分岐ギヤ82は、給紙搬送ギヤ83の第一給紙ギヤ部83aと、レジスト第一ギヤ84とが噛み合っている。また、この分岐ギヤ82の同軸上には、電装部品ととしての現像電磁クラッチ88と、現像第一ギヤ89(図5参照)とが設けられている。現像第一ギヤ89は、現像電磁クラッチ88を介して分岐ギヤ82から駆動力が伝達される。現像第一ギヤ89は、現像駆動伝達部材90の現像ギヤ部90bに噛み合っている。
【0041】
給紙搬送ギヤ83の第一給紙ギヤ部83aと、第二給紙ギヤ部83bとを有しており、第二給紙ギヤ部83bが、本体給紙ローラ41に駆動力を伝達する給紙搬送駆動伝達機構へ駆動モータ63の駆動力を伝達する。
【0042】
レジスト第一ギヤ84の同軸上には、電装部品としてのレジスト電磁クラッチ85(図5参照)と、レジスト第二ギヤ86(図5参照)とが設けられている。レジスト第二ギヤ86は、レジスト電磁クラッチ85を介してレジスト第一ギヤ84から駆動力が伝達される。レジスト第二ギヤ86は、レジストローラ対43へ駆動モータの駆動力を出力するレジスト出力ギヤ87が噛み合っている。
【0043】
電装部品である駆動モータ63、現像電磁クラッチ88およびレジスト電磁クラッチ85は、駆動時に発熱する。駆動モータ63は、駆動すると、コイルが発熱する。電磁クラッチについてもONにして電磁力を発生させているときは、コイルが発熱する。
【0044】
本駆動装置60は、駆動モータ63、現像電磁クラッチ88およびレジスト電磁クラッチ85は、樹脂ハウジング61と取付板金62とで囲われた空間に収納されている。そのため、駆動モータ63、現像電磁クラッチ88およびレジスト電磁クラッチ85の駆動時の発熱は、樹脂ハウジング61と取付板金62とで囲われた空間に籠もってしまう。レジスト電磁クラッチ85については、記録シートSを転写ニップへ搬送するときだけONにして駆動連結しているため、発熱量もさほど多くなく、あまり温度上昇しない。しかし、駆動モータは、画像形成動作時は常に駆動しており、発熱量が多く温度上昇しやすい。また、現像電磁クラッチ88も画像形成動作時は、ほぼ駆動して、駆動連結しており、発熱量が多く温度上昇しやすい。
そのため、本駆動装置60は、駆動モータ63および現像電磁クラッチ88を空冷している。
【0045】
図7は、駆動モータ63の斜視図である。
図7に示すように、
駆動モータ63のモータ軸63aには、送風手段としての自冷ファン63cが設けられている。駆動モータ63を駆動してモータ軸63aが回転すると、図1に示すモータハウジング部61aの開口部61cから空気が取り込まる。取り込まれた空気は、図中矢印αに示すように、自冷ファン63cの羽根部163cによりロータと自冷ファン63cとの間へ送風される。これにより、ロータが空冷される。ロータを空冷した空気は、図中矢印βに示すように、ロータと自冷ファン63cとの間から法線方向に排出される。
【0046】
図8は、駆動モータ63空冷後の空気の流れについて説明する図である。図8(a)は、図6に示す構成から、駆動モータのモータブラケット63bに対向配置されている第二入力ギヤ81を取り外した状態の駆動装置の斜視図である。図8(b)は、図8(a)の構成から、駆動モータ63と、第一入力ギヤ71とアイドラギヤ72とを取り外した状態の駆動装置の斜視図である。
図8(b)に示すように、樹脂ハウジング61のモータハウジング部61aには、ダクト61eに連通する吸気口61dが開けられている。ロータと自冷ファン63cとの間から法線方向に排出されたロータを空冷した空気は、この吸気口61dから四方が囲まれたダクト61eへ流れ込む。空気は、ダクト61e内を流れた後、ダクト61eの排気口から現像電磁クラッチ88へ流れ込み、現像電磁クラッチ88を空冷する。現像電磁クラッチ88を空冷した空気は、第二給紙ギヤ部83bが、給紙搬送駆動伝達機構のギヤに噛み合うために開けられたギヤハウジング部61bの開口部161bから排出される。
【0047】
また、自冷ファン63cに替え、図9に示すように、送風手段たる外部ファン95を設け、この外部ファン95によりモータハウジング部61aの開口部61cからモータハウジング部61a内に空気を送り込むようにしてもよい。図9に示す構成でも、外部ファン95によりモータハウジング部61aの開口部61cからモータハウジング部61a内に流れ込んだ空気は、駆動モータを空冷する。その後、空気は、ダクト61eを通って、ギヤハウジング部内へ流れ込み、現像電磁クラッチ88を空冷した後、ギヤハウジング部61bの開口部161bから排出される。
【0048】
自冷ファン63cの回転数は、駆動モータ63が駆動力を伝達する回転体の回転数に依存するため、自冷ファン63cにより送風される空気の流量が少ない場合がある。これに対し、外部ファンの回転数は、上記のような制約がなく、自由に設定できる。これにより、駆動モータ63と現像電磁クラッチ88とを十分に空冷できる空気の流量を確保することができ、良好に駆動モータ63と現像電磁クラッチ88を空冷することができる。
【0049】
駆動装置60が備える各ギヤは、機械強度に優れ、耐摩耗性、摺動性がよいという特性から、POM(ポリアセタール)樹脂で構成している。しかしながら、POM樹脂は酸化指数が高く、UL94規格において、HB材(遅燃性)であることが多く、延焼するおそれがある。
【0050】
駆動モータ63の制御基板63d(図7参照)には、コンデンサーや、ドライバICなどが実装されており、トラッキング現象などによって、コンデンサ-やドライバIC等が発火するおそれがある。このような発火が生じないように、過剰電流が流れた場合に、駆動モータ63への電力供給が停止するなどの制御を行うなど発火しないような対策を複数講じている。しかし、このような制御が故障などして万が一コンデンサ-やドライバIC等が発火した場合、発火した際の炎が、POM樹脂で形成された各ギヤに延焼するおそれがある。
【0051】
本駆動装置60は、万が一コンデンサ-やドライバIC等が発火したときに、延焼が生じないように次のような構成を有している。すなわち、樹脂ハウジング61を難燃性樹脂で構成し、この樹脂ハウジング61のモータハウジング部61aと駆動モータ63の板金からなるモータブラケット63bとで、駆動モータ63の制御基板63d側を覆っている構成である。
【0052】
上述したように、樹脂ハウジング61のモータハウジング部61aには、ダクト61eに連通するダクトの流入口としての吸気口61dが開けられている。そのため、コンデンサ-やドライバIC等が発火した場合、その炎が吸気口61dからダクト61eを通って、ダクト61eの排気口から吹き出して、ギヤに延焼するおそれがあった。
そこで、本駆動装置60は、このダクト61eに防火壁を設けて、炎が排気口へ到達するのを防ぐようにしている。
【0053】
図10は、本駆動装置60のダクト61e内の構成を示す概略図である。
なお、図10では、ダクト内の構造が分かりやすいように、紙面垂直方向に開口した形状となっているが、ダクト61eは、吸気口61dと排気口61f以外は、閉じられた形状である。これは、吸気口61dか流れてきた空気を損失なく、排気口へ流すためと、吸気口61dからダクト内に吹き出した炎の他の部材へ延焼を防止するためである。
【0054】
ダクト61eの流路は、周囲よりも低い凹形状となっており、ダクト61eの排気口61fは、吸気口61d側と反対側端部の図10中上側に設けられている。排気口61fは、図10中の底面と、図10中上側面と、図10中左側側面とが開口した形状である。なお、排気口61fを、図10中の底面のみ開口した形状としてもよい。この排気口61fと吸気口61dとを遮るようにダクト61eに防火壁部61gが設けられている。この防火壁部61gは、難燃性樹脂からなる樹脂ハウジング61の一体成形されたものであり、難燃性を有している。
【0055】
防火壁部61gは、ダクト61e内の略中央に設けられており、図10中下側の側壁部162eと所定の隙間を有している以外は、ダクトの流路を形成する全ての側壁部に接続されている。ダクト61eの図10中上側の壁部161eから図10中下方へ延び出しており、ダクト61eの図10中下側の壁部162eと所定の隙間を有して対向している。これにより、吸気口61dからダクト61eへ流れ込んだ来た駆動モータ冷却後の空気は、図中矢印に示すように、防火壁部61gと下側の壁部162eとの隙間を通った後に、図10中上側へ移動し排気口61fから現像電磁クラッチ88へ流れる。
【0056】
図11は、ダクト内での炎の燃え広がりについて説明する図である。
図11に示す斜線が、ダクト内における炎の燃え広がる範囲を示している。
本駆動装置では、排気口61fを図中上側に配置し、吸気口61dから防火壁の壁面に対して垂直な平行光を当てたときにできる防火壁部61gの影となる領域に入るようにしている。そのため、吸気口61dからダクト61e内へ流れ込んできた炎は、そのまま排気口61fへ向かうことがなく、防火壁部61gにより遮断される。これにより、炎が排気口61fに到達するのが抑制され、排気口61fから吹き出し、ギヤハウジング部61b内のギヤに延焼するのを抑制することができる。
【0057】
また、この防火壁部61gにより遮断された炎は、防火壁部61gとダクトの図中下側の壁部162eとの間から防火壁部61gを回り込む。この防火壁部61gを回り込んだ炎は、先端から10mmの位置から防火壁部61gとの角度30°の範囲までしか燃え広がらない。本駆動装置60は、排気口61fを、防火壁部61gとダクトの図中下側の壁部162eとの隙間から最も離れたダクトの図中上部に設けている。よって、防火壁部61gとダクトの図中下側の壁部162eとの間から回り込んだ炎が、排気口61fに到達することがない。これにより、排気口61fから炎が吹き出すのを防止でき、ギヤハウジング部61b内のギヤに延焼するのを抑制することができる。
【0058】
図12は、ダクト61eの変形例を示す概略図である。
図12に示す変形例においては、防火壁部61gに空気は通すが、炎は通さないような複数の小孔161gを設け、防火壁部61gを図中上側の壁部161eから図中の下方の壁部162eまで設けて、防火壁部61gでダクト61eを仕切るようにしたものである。小孔161gの直径を3mm以下とすることで、炎を通さないようにできる。この変形例1においても、防火壁部61gにより吸気口61dから吹き出した炎を遮断することができる。これにより、排気口61fから炎が吹き出すのを防止でき、ギヤハウジング部61b内のギヤに延焼するのを抑制することができる。
【0059】
なお、小孔161gの形状は、断面円形状でなくてもよく、例えば、3mm×3mm以下の断面四角形状の小孔でもよい。また、この変形例では、成形上の理由で小孔161gを成形できず、防火壁部61gを樹脂ハウジング61と一体成形できない場合がある。この場合は、防火壁部61gを樹脂ハウジング61とは別部品としてもよい。防火壁部61gを樹脂ハウジング61とは別部品の場合は、防火壁部61gを難燃性樹脂に比べてより炎の遮断性を発揮する板金とするのが好ましい。このように、防火壁部61gを板金とした場合は、例えば、ダクト61eに取り付ける取付面を有し、この取付面から切り曲げて防火壁部61gを形成してもよい。
【0060】
また、この変形例1では、ダクト61eの中央に防火壁部61gを設けているが、例えば、吸気口61dに防火壁部61gを設けてもよい。また、この変形例では、図10に示した構成と異なり、防火壁部61gを回り込む炎がない。従って、排気口61fの位置や大きさに制約を受けない。よって、排気口61fから排出された空気で現像電磁クラッチ88を効率的に空冷できる位置に排気口61fを設けることができる。
【0061】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
駆動モータ63や電磁クラッチなどの複数の電装部品を覆う樹脂ハウジング61などのハウジングと、エアを送風する自冷ファン63cなどの送風手段と、複数の電装部品のいずれか一つを冷却したエアを他の電装部品へ導くダクト61eとを有する駆動装置60などの電装ユニットにおいて、ダクト61eは、防火壁部61gを有する。
これによれば、冷却対象の電装部品が万一発火し、その炎がダクトの吸気口から流れ込み、そのままダクト内を通って排気口へ向かうのを、防火壁で遮断することができる。その結果、電装部品から発火した炎がダクトを介して延焼するのを抑制することができる。
【0062】
(態様2)
態様1において、樹脂ハウジング61などのハウジング、ダクト61eおよび防火壁部61gは、不燃材料からなる。
これによれば、実施形態で説明したように、駆動モータ63の電装部品が万が一発火しても、ハウジング、ダクト、防火壁部に延焼することがない。
【0063】
(態様3)
態様1または2において、ダクト61eの吸気口61dおよび排気口61fの少なくとも一方の口は、他方の口から防火壁部61gの壁面に対して垂直な平行光を当てたときにできる防火壁部61gの影となる領域に入るように形成されており、
前記防火壁部は、前記ダクトの流路を形成する複数の壁部のいずれか一つに対して隙間を有する。
これよれば、実施形態で説明したように、冷却対象の電装部品が万一発火し、その炎がダクトの吸気口から流れ込み、そのままダクト内を通って排気口へ向かうのを、防火壁で遮断することができる。また、防火壁部61gとダクト61eの壁部162eとの隙間を通って流することができる。
【0064】
(態様4)
態様1または2において、防火壁部61gは、ダクト61eを仕切るように設けられており、防火壁部61gは、複数の小孔161gを有する。
これによれば、変形例で説明したように、ダクト61eのエアを、小孔161g通って流することができる。また、小孔とすることで、炎がこの小孔から吹き出すのを抑制することができる。
【0065】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、樹脂ハウジング61などのハウジングにダクトが形成されている。
これによれば、樹脂ハウジングとダクトとを難燃性にすることができる。
【0066】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、複数の電装部品の一つは、駆動モータ63であって、送風手段は、駆動モータ63に設けられた自冷ファン63cである。
これによれば、実施形態で説明したように、自冷ファン63cにより駆動モータ63を冷却したエアを、ダクト61eを介して現像電磁クラッチ88などの他の電装部品へ流すことができる。
【0067】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、送風手段は、樹脂ハウジング61などのハウジングの外部に設けた。
これによれば、図9を用いて説明したように、自冷ファン63cに比べて、複数の電装部品を空冷するのに必要なエアの流量を容易に得ることができ、複数の電装部品を良好に空冷することができる。
【0068】
(態様8)
駆動装置60などの電装ユニットを備えた画像形成装置において、電装ユニットとして、態様1乃至7いずれかの電装ユニットを用いた。
これによれば、画像形成装置に搭載されている可燃性部材への延焼を抑制することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 :感光体
8 :現像装置
41 :本体給紙ローラ
43 :レジストローラ対
60 :駆動装置
61 :樹脂ハウジング
61a :モータハウジング部
61b :ギヤハウジング部
61c :開口部
61d :吸気口
61e :ダクト
61f :排気口
61g :防火壁部
62 :取付板金
63 :駆動モータ
63a :モータ軸
63b :モータブラケット
63c :自冷ファン
63d :制御基板
71 :第一入力ギヤ
72 :アイドラギヤ
73 :感光体ギヤ
74 :感光体駆動軸
75 :感光体カップリング
81 :第二入力ギヤ
82 :分岐ギヤ
83 :給紙搬送ギヤ
83a :第一給紙ギヤ部
83b :第二給紙ギヤ部
84 :レジスト第一ギヤ
85 :レジスト電磁クラッチ
86 :レジスト第二ギヤ
87 :レジスト出力ギヤ
88 :現像電磁クラッチ
89 :現像第一ギヤ
90 :現像駆動伝達部材
90a :カップリング部
90b :現像ギヤ部
95 :外部ファン
161b :開口部
161e :壁部
161g :小孔
162e :壁部
163c :羽根部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【文献】特許第5140353号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12