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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】タングステンCMP用組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240829BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2021550288
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 US2019068659
(87)【国際公開番号】W WO2020142354
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】16/236,962
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】チャン ナー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ピー.ドッカリー
(72)【発明者】
【氏名】リウ チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ローマン エー.イバノフ
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/208667(WO,A1)
【文献】特開2016-030831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0259804(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0053381(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0081780(US,A1)
【文献】特表2021-509768(JP,A)
【文献】特表2020-536386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン層を有する基板を研磨するための化学機械研磨組成物であって、
水系液体担体と、
前記液体担体中に分散したカチオン性研削粒子と、
7未満の等電点を有する第1のアミノ酸化合物と、
7超の等電点を有する第2のアミノ酸化合物と、
1~5の範囲のpHと、含む、組成物。
【請求項2】
3~5の範囲のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1のアミノ酸化合物が、アラニン、フェニルアラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、チロシン、バリン、グルタミン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1のアミノ酸化合物が、グリシン、バリン、アラニン、およびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第2のアミノ酸化合物が、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1のアミノ酸化合物がグリシンであり、前記第2のアミノ酸化合物がアルギニンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
.05~1重量パーセントの前記第1のアミノ酸化合物、および
.005~0.2重量パーセントの前記第2のアミノ酸化合物、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記カチオン性研削粒子が、前記組成物中で10mV~40mVの範囲のゼータ電位を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記カチオン性研削粒子が、永久正電荷を有するコロイダルシリカ研削粒子を含み、
前記コロイダルシリカ研削粒子が、前記組成物中で10mV~40mVの範囲のゼータ電位を有し、
前記コロイダルシリカ研削粒子が、40nm超の平均粒径を有し、かつ
前記組成物が、3.5~5の範囲のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
鉄含有促進剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記鉄含有促進剤に結合した安定剤であって、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される安定剤をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
過酸化水素酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
タングステン層を有する基板を研磨するための化学機械研磨組成物であって、
水系液体担体と、
前記液体担体中に分散した永久正電荷および40nm超の平均粒径を有するコロイダルシリカ研削粒子であって、
前記組成物中で10mV~40mVの範囲のゼータ電位を有する、コロイダルシリカ研削粒子と、
未満の等電点を有する第1のアミノ酸化合物と、
超の等電点を有する第2のアミノ酸化合物と、
.5~5の範囲のpHと、を含む、組成物。
【請求項14】
前記第1のアミノ酸化合物が、グリシン、バリン、アラニン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、前記第2のアミノ酸化合物が、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
.05~1重量パーセントの前記第1のアミノ酸化合物、および
.005~0.2重量パーセントの前記第2のアミノ酸化合物、を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
鉄含有促進剤と、前記鉄含有促進剤に結合した安定剤であって、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される安定剤と、をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
過酸化水素酸化剤をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
タングステン層を有する基板を研磨するための化学機械研磨組成物であって、
水系液体担体と、
前記液体担体中に分散した90nm超の平均粒径を有するコロイダルシリカ研削粒子と、
前記コロイダルシリカ研削粒子に非永久正電荷を与えるカチオン性界面活性剤であって、
前記コロイダルシリカ研削粒子が前記組成物中で10mV~40mVの範囲のゼータ電位を有する、カチオン性界面活性剤と、
未満の等電点を有する第1のアミノ酸化合物と、
超の等電点を有する第2のアミノ酸化合物と、
3~4.5の範囲のpHと、を含む、組成物。
【請求項19】
前記第1のアミノ酸化合物が、グリシン、バリン、アラニン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、前記第2のアミノ酸化合物が、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
.05~1重量パーセントの前記第1のアミノ酸化合物、および
.005~0.2重量パーセントの前記第2のアミノ酸化合物、を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記カチオン性界面活性剤が、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルオクチルホスホニウム、およびベンジルトリブチルアンモニウムのうちの1つまたは組み合わせを含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
鉄含有促進剤と、前記鉄含有促進剤に結合した安定剤であって、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される安定剤と、をさらに含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
過酸化水素酸化剤をさらに含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項24】
タングステン層を含む基板を化学機械研磨する方法であって、
(a)前記基板を、
(i)水系液体担体と、
(ii)前記液体担体中に分散したカチオン性研削粒子と、
(iii)7未満の等電点を有する第1のアミノ酸化合物と、
(iv)7超の等電点を有する第2のアミノ酸化合物と、
(v)1~5の範囲のpHと、を含む研磨組成物と接触させることと、
(b)前記研磨組成物を前記基板に対して動かすことと、
(c)前記基板を研削して前記基板からタングステンの一部を除去し、それによって前記基板を研磨することと、を含む、方法。
【請求項25】
前記第1のアミノ酸化合物が、グリシン、バリン、アラニン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、前記第2のアミノ酸化合物が、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記研磨組成物が、
.05~1重量パーセントの前記第1のアミノ酸化合物、および
.005~0.2重量パーセントの前記第2のアミノ酸化合物、を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記カチオン性研削粒子が、永久正電荷を有するコロイダルシリカ研削粒子を含み、
前記コロイダルシリカ研削粒子が、前記組成物中で10mV~40mVの範囲のゼータ電位を有し、
前記コロイダルシリカ研削粒子が、40nm超の平均粒径を有し、かつ
前記組成物が、3.5~5の範囲のpHを有する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記カチオン性研削粒子が、コロイダルシリカ研削粒子を含み、
前記組成物が、前記コロイダルシリカ研削粒子に非永久正電荷を与えるカチオン性界面活性剤をさらに含み、
前記コロイダルシリカ研削粒子が、前記組成物中で10mV~40mVの範囲のゼータ電位を有し、
前記コロイダルシリカ研削粒子が、90nm超の平均粒径を有し、かつ
前記組成物が、3.0~4.5の範囲のpHを有する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、
鉄含有促進剤と、
前記鉄含有促進剤に結合した安定剤であって、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、安定剤と、
過酸化水素酸化剤と、をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
化学機械研磨(CMP)組成物および基板の表面を研磨(または平坦化)する方法は、当技術分野で周知である。半導体基板上の金属層(タングステンなど)を研磨するための研磨組成物(研磨スラリー、CMPスラリー、およびCMP組成物としても知られている)は、水溶液中に懸濁された研削粒子、酸化剤、キレート剤などの化学促進剤と、金属がCMPスラリー中でエッチングする速度を低下させるための腐食/エッチング抑制剤と、を含み得る。
【0002】
タングステンプラグおよび相互接続プロセスでは、タングステンは、通常、誘電体上と、誘電体内に形成された開口部内とに堆積される。誘電体層上の余分なタングステンは、その後、CMP操作中に除去され、誘電体内にタングステンプラグおよび相互接続が形成される。半導体デバイスの加工寸法が縮小し続けるにつれて、タングステンCMP操作などのCMP操作では、平面性および欠陥要件を含むデバイス要件を満たすことがより困難になっている。例えば、過度の局部腐食を含む、スラリーによって誘起される欠陥は、デバイスの歩留まりを低下させる可能性がある。過度のアレイ侵食、局部侵食、ならびにタングステンプラグおよびラインのくぼみも、全体的な電気的性能を損ない、デバイスの歩留まりを低下させる可能性がある。
【0003】
市販のタングステンCMPスラリーには、通常、過酸化水素酸化剤が使用される。過酸化水素の使用には多くの利点があるが、特定のCMP操作では、過剰なタングステンエッチングの一因となることが知られている。本産業では、タングステンに対してより腐食性の低いタングステンCMPスラリー(または組成物)に対するニーズが依然としてある。さらに、当該技術分野で周知であるように、半導体産業は、CMP消耗品自体(例えば、CMPスラリーおよびパッド)にまで及ぶ継続的かつ厳しい値下げ圧力にさらされている。そのような価格設定の圧力は、コスト削減の圧力が所望のスラリー性能指標とは相反することが多いので、スラリー配合者に困難をもたらす。したがって、本産業では、安定しており、かつ全体的なコストを削減しながら高い処理量を提供する、CMPスラリーが実に必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
タングステン層を有する基板を研磨するための化学機械研磨組成物が開示されている。研磨組成物は、水系液体担体と、液体担体中に分散したカチオン性研削粒子と、を含むか、これらからなるか、またはこれらから実質的になる。この組成物は、7未満の等電点を有するタングステン腐食抑制剤および7超の等電点を有するタングステン腐食抑制剤をさらに含む。この組成物のpHは、約1~約5の範囲にある。タングステン層を含む基板を化学機械研磨する方法がさらに開示されている。この方法は、基板を上記の研磨組成物と接触させることと、研磨組成物を基板に対して動かすことと、基板を研削して基板からタングステンの一部を除去し、それによって基板を研磨することと、を含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0005】
タングステン層を有する基板を研磨するための化学機械研磨組成物が開示されている。研磨組成物は、水系液体担体と、液体担体中に分散したカチオン性研削粒子と、7未満の等電点を有する第1のタングステン腐食抑制剤(例えば、第1のアミノ酸化合物)と、7超の等電点を有する第2のタングステン腐食抑制剤(例えば、第1のアミノ酸化合物とは異なる第2のアミノ酸化合物)を含むか、これらからなるか、またはこれらから実質的になる。この組成物のpHは、約1~約5の範囲にある。研磨組成物は、任意選択的に、可溶性鉄促進剤などの鉄含有促進剤、鉄含有促進剤に結合した安定剤、および過酸化水素酸化剤をさらに含み得る。一実施形態では、第1のアミノ酸化合物は、グリシンおよび/またはバリンであり得て、第2のアミノ酸化合物は、ヒスチジン、アルギニン、および/またはリジンであり得る。
【0006】
開示されている研磨組成物および対応する(CMP方法)は、重要かつ予想外の利点をもたらし得る。例えば、開示されている研磨組成物は、組成物のpHおよび組成物中の研削粒子の平均サイズがどちらも経時的に安定したまま(例えば、経時的に実質的に変化しない)であるように、化学的かつコロイド的に安定した傾向を示す。研磨組成物は、改善された防食性能(例えば、タングステンエッチングの低減)、ならびに改善された貯蔵寿命およびポットライフをさらに提供することができる。さらに、研磨組成物および対応するCMP方法は、アレイ侵食、局部侵食、ならびにタングステンプラグおよびラインのくぼみの改善を含む、平面性の改善を提供することができる。
【0007】
開示されているCMP組成物は、バルクタングステン除去および/またはタングステンバフCMP操作に有利に利用することができると理解されるであろう。バルク除去操作では、より高いタングステン除去速度が必要とされる場合があり、バフ操作では、より低い欠陥レベルおよび/またはより厳重な腐食制御が必要とされる場合がある。開示されているCMP組成物は、単一ステップのタングステンCMP操作にも有利に利用することができる。開示されている実施形態は、タングステンバフ操作に特によく適し得るが、これらは、任意の特定のタングステンCMP操作に限定されることを意図してはいない。
【0008】
研磨組成物は、液体担体中に懸濁された金属酸化物(研削)粒子を含む研削材を含有する。研削材としては、例えば、コロイダルシリカ粒子および/またはヒュームドシリカ粒子を含む、実質的に好適な金属酸化物粒子が挙げられ得る。本明細書で使用されるコロイダルシリカ粒子という用語は、一般に、構造的に異なる粒子を生成する熱処理プロセスまたは火炎加水分解プロセスではなく、むしろ湿式プロセスを介して調製されるシリカ粒子を指す。このようなコロイダルシリカ粒子は、凝集していても凝集していなくてもよい。非凝集粒子は、球形またはほぼ球形の形状の個別の粒子であるが、他の形状(一般に、楕円形、正方形、または長方形の断面など)を有することもできる。凝集粒子は、複数の離散粒子がクラスター化または結合して、一般に不規則な形状の凝集体を形成する粒子である。
【0009】
コロイダルシリカは、ゾルゲル法またはケイ酸塩イオン交換などによる、当業者に既知の任意の方法を使用して調製することができる、沈殿または凝集-重合シリカであり得る。凝集-重合シリカ粒子は、多くの場合、Si(OH)4を凝集させて実質的に球形の粒子を形成することによって調製される。前駆体Si(OH)4は、例えば、高純度アルコキシシランの加水分解によって、またはケイ酸水溶液の酸性化によって得ることができる。そのような研削粒子は、例えば、米国特許第5,230,833号に従って調製されてもよいか、または例えば、EKA Chemicals、Fuso Chemical Company、Nalco、DuPont、Bayer、Applied Research、Nissan Chemical、およびClariantを含む、多くの商業的供給業者のうちのいずれかから入手されてもよい。
【0010】
熱処理シリカは、好適な原料蒸気(四塩化ケイ素など)が水素および酸素の火炎で燃焼される、火炎加水分解プロセスを介して生成される。ほぼ球形の融解した粒子が燃焼プロセスで形成され、その直径は、プロセスパラメータを介して変動し得る。一般に一次粒子と呼ばれるこれらの融解した球体は、それらの接触点で衝突を受けることによって互いに融合して、分岐した三次元の鎖様の凝集体を形成する。ヒュームドシリカ研削材は、例えばCabot Corporation、Evonic、Wacker Chemieを含む、多くの供給業者から市販されている。
【0011】
研磨組成物は、実質的に任意の好適な量の研削粒子を含み得る。研磨組成物が含む研削材が少なすぎる場合、組成物は十分な除去速度を呈さない可能性がある。対照的に、研磨組成物に含まれる研削材が多すぎる場合、研磨組成物は、望ましくない研磨性能を呈し得、かつ/または費用効果がない可能性があり、かつ/または安定性に欠ける可能性がある。研磨組成物は、約0.01重量%以上(例えば、約0.05重量%以上)の研削粒子を含み得る。研磨組成物は、約0.1重量%以上(例えば、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、または0.5重量%以上)の研削粒子を含み得る。研磨組成物中の研削粒子の濃度は、通常、約20重量%未満、より一般には約10重量%以下(例えば、約5重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1.5重量%以下、または約1重量%以下)である。研削粒子は、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される濃度で、研磨組成物中に存在し得ると理解されるであろう。例えば、研磨組成物中の研削粒子の濃度は、約0.01重量%~約20重量%、より好ましくは約0.05重量%~約10重量%(例えば、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.2重量%~約2重量%、約0.2重量%~約1.5重量%、または約0.2重量%~約1重量%)の範囲にあり得る。
【0012】
研削材は、カチオン性(正電荷)研削粒子を含み得る。例えば、研削材は、カチオン性シリカ研削粒子を含み得る。カチオン性シリカ粒子は、永久正電荷または非永久正電荷を有し得る。例えば、カチオン性シリカ研削粒子は、永久正電荷を有し得る。永久正電荷とは、例えば、フラッシング、希釈、濾過などによって、シリカ粒子の正電荷が容易に可逆的でないことを意味する。永久正電荷は、例えば、カチオン性化合物をコロイダルシリカと共有結合した結果であり得る。永久正電荷は、例えば、カチオン性化合物とコロイダルシリカ間の静電相互作用の結果であり得る可逆的な正電荷とは対照的である。
【0013】
それにもかかわらず、本明細書で使用される場合、少なくとも10mVの永久正電荷とは、コロイダルシリカ粒子のゼータ電位が、以下の3ステップの限外濾過試験後に10mV超のままであることを意味する。ある体積の研磨組成物(例えば、200ml)を、Millipore Ultracell再生セルロース限外濾過ディスク(例えば、100,000ダルトンのMWカットオフおよび6.3nmの細孔サイズを有する)に通過させる。残った分散液(限外濾過ディスクによって保持される分散液)を収集し、元の容量までpH調整した脱イオン水を補充する。硝酸などの好適な無機酸を使用して、脱イオン水により、研磨組成物を元のpHにpH調整する。合計3回の限外濾過サイクルで、この手順を繰り返す(各サイクルは、限外濾過ステップおよび補充ステップを含む)。次いで、三重に限外濾過し補充した研磨組成物のゼータ電位を測定し、元の研磨組成物のゼータ電位と比較する。この3ステップの限外濾過試験は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、同一出願人による米国特許第9,422,456号の実施例10にさらに詳述されている。
【0014】
永久正電荷を有するカチオン性シリカ研削粒子は、同一出願人による米国特許第7,994,057号および同第9,028,572号または米国特許第9,382,450号に開示されているように、シリカ粒子をアミノシラン化合物で処理することによって調製することができ、これらはそれぞれ、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。例示的なカチオン性シリカ粒子は、カチオン性粒子を得るための任意の適切な処理方法を使用して処理され得る。例えば、第4級アミノシラン化合物およびコロイダルシリカを、研磨組成物の他の成分のうちの一部またはすべてと同時に添加してもよい。あるいは、シリカ粒子は、研磨組成物の他の成分と混合する前に、第4級アミノシラン化合物で(例えば、コロイダルシリカとアミノシランとの混合物を加熱することによって)処理してもよい。また、永久正電荷を有するコロイダルシリカ粒子は、同一出願人による米国特許第9,422,456号に開示されているように、アミノシラン化合物などの化学種をコロイダルシリカ粒子に組み込むことによって得ることもできる。
【0015】
非永久正電荷を有するカチオン性シリカ研削粒子は、例えば、同一出願人による米国特許第9,631,122号に開示されているように、カチオン性界面活性剤を研磨組成物に導入することによって調製することができ、これは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。そのようなカチオン性界面活性剤としては、例えば、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルオクチルホスホニウム、およびベンジルトリブチルアンモニウムのうちの1つまたは組み合わせが挙げられ得る。
【0016】
上記のように、研削粒子(シリカ粒子など)は、研磨組成物中で正電荷を有し得る。分散粒子上における電荷は、当該技術分野では、一般にゼータ電位(または界面動電位)と呼ばれている。粒子のゼータ電位とは、粒子を取り巻くイオンの電荷と研磨組成物のバルク溶液の電荷との間の電位差を指す(例えば、液体担体とその中に溶解した任意の他の成分)。ゼータ電位は、通常、水性媒体のpHに依存する。所与の研磨組成物について、粒子の等電点は、ゼータ電位がゼロになるpHとして定義される。等電点から離れてpHが増加または減少すると、それに応じて表面電荷(および、したがってゼータ電位)が減少または増加する(負または正のゼータ電位値に)。研磨組成物などの分散液のゼータ電位は、Malvern Instrumentsから入手可能なZetasizer、Brookhaven Instrumentsから入手可能なZetaPlus Zeta Potential Analyzer、および/またはDispersion Technologies Inc.から入手可能な電気音響分光計などの市販の機器を使用して取得できる。
【0017】
特定の実施形態では、カチオン性シリカ研削粒子は、研磨組成物中で(例えば、約1~約5のpH範囲、かつ以下に開示されている第1および第2のアミノ酸化合物および他の任意選択的な添加剤の存在下で)、約10mV以上(例えば、約15mV以上、約20mV以上、約25mV以上、または約30mV以上)のゼータ電位を有する。カチオン性シリカ研削粒子は、研磨組成物中で約50mV以下(例えば、約45mV以下または約40mV以下)のゼータ電位を有し得る。カチオン性シリカ研削粒子は、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される範囲のゼータ電位を有し得ると理解されるであろう。例えば、カチオン性シリカ研削粒子は、研磨組成物中で約10mV~約50mV(例えば、約10mV~約45mVまたは約20mV~約40mV)の範囲のゼータ電位を有し得る。
【0018】
研削粒子は、実質的に任意の好適な粒径を有し得る。液体担体中に懸濁された粒子の粒径は、さまざまな手段を使用して業界で定義され得る。例えば、粒径は、粒子を取り囲む最小の球体の直径として定義され得、例えば、CPS Disc Centrifuge、Model DC24000HR(CPS Instruments、ルイジアナ州、プレーリービルから入手可能)またはMalvern Instruments(登録商標)から入手可能なZetasizer(登録商標)を含む多くの市販の機器を使用して測定され得る。研削粒子は、約5nm以上(例えば、約10nm以上、約20nm以上、または約30nm以上)の平均粒径を有し得る。研削粒子は、約250nm以下(例えば、約200nm以下、約150nm以下、約120nm以下、または約100nm以下、または約80nm以下)の平均粒径を有し得る。したがって、研削粒子は、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される範囲の平均粒径を有し得ると理解されるであろう。例えば、研削粒子は、約5nm~約250nm(例えば、約10nm~約200nm、約20nm~約150nm、約20nm~約120nm、または約30nm~約100nm)の範囲の平均粒径を有し得る。
【0019】
研削粒子が、永久正電荷を有するカチオン性シリカ粒子を含む実施形態では、カチオン性シリカ粒子は、有利には、約40nm超(例えば、約40nm~約200nm、約40nm~約150nm、約40nm~約120nm、または約40nm~約80nmの範囲)の粒径を有し得る。研削粒子が、非永久正電荷を有するカチオン性シリカ粒子を含む実施形態では、カチオン性シリカ粒子は、有利には、約90nm超(例えば、約90nm~約250nm、約90nm~約200nm、約90nm~約150nm、または約90nm~約120nmの範囲)の粒径を有し得る。
【0020】
液体担体を使用して、研磨される基板の表面への研削材および任意の任意選択の化学添加剤の塗布を促進する(例えば、平坦化)。液体担体は、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、水、およびこれらの混合物を含む任意の好適な担体(例えば、溶媒)であり得る。好ましくは、液体担体は、水、より好ましくは脱イオン水を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0021】
研磨組成物は、通常、約7未満のpHである酸性である。研磨組成物は、約1以上(例えば、約2以上、約2.5以上、約3以上、または約3.5以上)のpHを有し得る。さらに、研磨組成物は、約6以下(例えば、約5以下、約4.5以下、または約4以下)のpHを有し得る。研磨組成物は、例えば、約1~約5の範囲(例えば、約2~約5、約2~約4、約2.5~約5、約3~約5、約3~約4.5、または約3.5~約5)の範囲にある、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される範囲のpHを有し得ると理解されるであろう。研削粒子が、永久正電荷を有するカチオン性シリカ粒子を含む実施形態では、pHは、有利には、約3.5~約5の範囲にあり得る。研削粒子が、非永久正電荷を有するカチオン性シリカ粒子を含む実施形態では、pHは、有利には、約3~約4.5の範囲にあり得る。
【0022】
研磨組成物のpHは、任意の好適な手段によって達成および/または維持され得ると理解されるであろう。研磨組成物は、実質的に任意の好適なpH調整剤または緩衝系を含み得る。例えば、好適なpH調整剤としては、硝酸、硫酸、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、水酸化アンモニウムなどが挙げられ得て、好適な緩衝剤としては、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム塩などが挙げられ得る。しかしながら、開示されている実施形態は、この点に限定されることはない。
【0023】
研磨組成物の任意の実施形態は、鉄含有促進剤をさらに含有していてもよい。本明細書で使用される鉄含有促進剤は、タングステンCMP操作中にタングステンの除去速度を高める鉄含有化学物質である。例えば、鉄含有促進剤は、米国特許第5,958,288号および同第5,980,775号に開示されているような可溶性鉄含有触媒を含んでいてもよい。そのような鉄含有触媒は、液体担体に可溶であり得て、例えば、硝酸鉄、硫酸鉄や、フッ化物、塩化物、臭化物、およびヨウ化物ならびに過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩を含むハロゲン化鉄、などの第二鉄(鉄III)または第一鉄(鉄II)化合物、ならびに酢酸鉄、カルボン酸鉄、鉄アセチルアセトネート、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、マロン酸鉄、シュウ酸鉄、フタル酸鉄、およびコハク酸鉄などの有機鉄化合物、ならびにそれらの混合物を含み得る。
【0024】
鉄含有促進剤は、米国特許第7,029,508号および同第7,077,880号に開示されているような、コロイダルシリカ粒子の表面に結び付いた(例えば、コーティングまたは結合された)鉄含有活性剤(例えば、フリーラジカル生成化合物)または鉄含有触媒を含み得る。例えば、鉄含有促進剤は、コロイド表面粒子の表面上のシラノール基と結合していてもよい。
【0025】
研磨組成物中の鉄含有促進剤の量は、酸化剤が使用されるか否か、ならびに促進剤および任意選択的な酸化剤の化学形態に応じて変わり得る。過酸化水素酸化剤(またはその類似体のうちの1つ)が使用され、可溶性鉄含有触媒(硝酸第二鉄など)が使用される場合、触媒は、組成物の総重量を基準として、約0.5~約3000ppmの範囲のFeを提供するのに十分な量で組成物中に存在し得る。研磨組成物は、約1ppm以上のFe(例えば、約2ppm以上、約5ppm以上、または約10ppm以上)を含み得る。研磨組成物は、好ましくは、約500ppm以下(例えば、約200ppm以下、約100ppm以下、または約50ppm以下)のFeを含む。したがって、研磨組成物は、約1~約500ppm(例えば、約2~約200ppm、約5~約100ppm、または約10~約50ppm)の範囲のFeを含み得る。バルクタングステン除去に使用される研磨組成物は、約5~約50ppmのFe(例えば、約10~約40ppmのFe)を含み得る。タングステンバフ操作に使用される研磨組成物は、約0.5~約20ppmのFe(例えば、約1~約10ppmのFe)を含み得る。
【0026】
鉄含有促進剤を含む研磨組成物の実施形態は、安定剤をさらに含み得る。そのような安定剤がなければ、鉄含有促進剤および存在する場合には酸化剤は、酸化剤を経時的に急速に分解するように反応する可能性がある。安定剤の添加は、鉄含有促進剤の有効性を低下させる傾向があり、研磨組成物に添加される安定剤の種類と量の選択が、CMP性能に大きな影響を与える可能性がある。安定剤の添加は、酸化剤が存在する場合、促進剤の酸化剤との反応を阻害する安定剤/促進剤複合体の形成をもたらし、同時に、急速なタングステン研磨速度を促進するための十分に活性を促進剤が維持することを可能にする。
【0027】
有用な安定剤には、リン酸、有機酸、ホスホン酸化合物、ニトリル、および金属に結合し、過酸化水素分解に対する反応性を低下させる他のリガンド、およびそれらの混合物が含まれる。酸安定剤はそれらの共役形態で使用されてもよく、例えば、カルボン酸の代わりにカルボン酸塩が使用されてもよい。本明細書で有用な安定剤を説明するために使用される「酸」という用語は、酸安定剤の共役塩基も意味する。例えば、「アジピン酸」という用語は、アジピン酸とその共役塩基を意味する。安定剤は単独または組み合わせて使用でき、過酸化水素などの酸化剤が分解する速度を大幅に低下させる。
【0028】
安定剤としては、リン酸、酢酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、およびそれらの混合物が挙げられ得る。そのような安定剤は、鉄含有促進剤あたり約1当量~約3.0重量パーセント以上(例えば、約3~約10当量)の範囲の量で、開示されている組成物に添加され得る。本明細書で使用する場合、「鉄含有促進剤あたりの当量」という用語は、組成物中の鉄イオンあたり1分子の安定剤を意味する。例えば、鉄含有促進剤あたり2当量とは、各鉄イオンに対して2分子の安定剤を意味する。
【0029】
研磨組成物は、酸化剤を任意選択的にさらに含み得る。そのような任意選択的な酸化剤は、スラリー製造プロセス中に、またはCMP操作の直前に(例えば、半導体製造施設に位置するタンク内で)研磨組成物に添加され得る。好ましい酸化剤には、無機または有機の過化合物(per-compound)が含まれる。本明細書で定義される過化合物は、少なくとも1つのペルオキシ基(-O-O-)を含有する化合物、または最も高い酸化状態の元素を含有する化合物である。少なくとも1つのペルオキシ基を含有する化合物の例には、過酸化水素およびその付加物例えば尿素過酸化水素および過炭酸塩、有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル、過酢酸、およびジ-t-ブチル過酸化物、モノ過硫酸塩(SO5 =)、二過硫酸塩(S28 =)、および過酸化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。最も高い酸化状態の元素を含有する化合物の例には、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過ホウ酸、過ホウ酸塩および過マンガン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。最も好ましい酸化剤は過酸化水素である。
【0030】
酸化剤は、使用される場合、例えば、約0.1~約10重量パーセントの範囲の量で研磨組成物中に存在し得る。過酸化水素酸化剤および可溶性鉄含有促進剤が使用される実施形態では、酸化剤は、研磨組成物中に、約0.1~約6重量パーセント(例えば、約0.2~約5重量パーセント、約0.3~約4重量パーセント、または約0.5~約3重量パーセント)の範囲の量で存在し得る。
【0031】
開示されている研磨組成物は、液体担体中に溶液でアミノ酸化合物などの双性イオン性キレート化合物を含む、少なくとも第1および第2のタングステン腐食抑制剤をさらに含む。第1のタングステン腐食抑制剤は、研磨組成物のpHにある中性の双性イオン性キレート化合物である。第2のタングステン腐食抑制剤は、研磨組成物のpHにあるカチオン性の双性イオン性キレート化合物である。第1および第2のタングステン腐食抑制剤は、それらの対応する等電点によって特徴付けられ得る。有機酸化合物の等電点(pI)とは、双性イオン形態が大部分となるように化合物全体が中性(非電荷)となるpHであると理解されるであろう。等電点は、当技術分野では、等電子点および等イオン点とも呼ばれる。
【0032】
第1および第2のタングステン腐食抑制剤は、アミノ酸の入手性、手頃な価格、および低毒性を理由の一部として、有利にはアミノ酸化合物であり得る。一実施形態では、第1のタングステン腐食抑制剤は、7未満(例えば、6未満)の等電点を有する第1のアミノ酸化合物であり得る。例えば、第1のアミノ酸化合物としては、アラニン、フェニルアラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、チロシン、バリン、およびグルタミン酸が挙げられ得る。第1のアミノ酸化合物はまた、約4~約7の範囲(例えば、約5~約6の範囲)の等電点も有し得る。例えば、第1のアミノ酸化合物は、グリシン、バリン、アラニン、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0033】
特定の実施形態では、第1のアミノ酸化合物としては、非極性側鎖を有するアミノ酸化合物が挙げられ得る。そのような実施形態では、第1のアミノ酸化合物は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびそれらの混合物(例えば、グリシン、アラニン、バリン、およびそれらの混合物を含む)から選択され得る。
【0034】
第2のタングステン腐食抑制剤は、7超(例えば、8超または9超)の等電点を有する第2のアミノ酸化合物であり得る。第2のアミノ酸化合物は、必然的に第1のアミノ酸化合物とは異なると理解されるであろう。第2のアミノ酸化合物としては、塩基性側鎖を有するアミノ酸化合物が挙げられ得る。そのような実施形態では、第2のアミノ酸化合物は、リジン、アルギニン、ヒスチジン、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0035】
特定の好ましい実施形態では、第1のアミノ酸化合物は、グリシンであり得て、第2のアミノ酸化合物は、リジン、アルギニン、および/またはヒスチジンであり得る。他の好ましい実施形態では、第1のアミノ酸化合物は、バリンであり得て、第2のアミノ酸化合物は、リジン、アルギニン、および/またはヒスチジンであり得る。
【0036】
第1および第2のアミノ酸化合物は、アミノ酸モノマー単位を有するポリマー化合物(当技術分野では、ポリアミノ酸とも呼ばれる)をさらに含み得る。例えば、第1のアミノ酸化合物としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびそれらの混合物から選択されるモノマー単位を有するポリアミノ酸が挙げられ得る。同様に、第2のアミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン、およびそれらの混合物から選択されるモノマー単位を有するポリアミノ酸が挙げられ得る。ポリマー化合物を含む実施形態では、ポリアミノ酸は、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。コポリマーは、2つ以上の異なるモノマー単位を含む。好適なコポリマーでは、モノマー単位の少なくとも1つがアミノ酸である。
【0037】
研磨組成物は、実質的に任意の好適な量の第1および第2のタングステン腐食抑制剤(例えば、アミノ酸化合物)を含み得る。以下により詳細に記載されるように、研磨組成物は、有利には、第2の抑制剤よりも多い量の第1の抑制剤を含み得る(例えば、第1の抑制剤は、第2の抑制剤よりも約3倍~約30倍多い)が、開示されている実施形態は、この点に限定されることはない。研磨組成物が過剰の抑制剤を含む場合、これは、不所望な研磨性能(例えば、除去速度の低下)を呈する可能性、および/または費用効果が悪化する可能性、および/または安定性を欠く可能性がある。研磨組成物は、約0.01重量パーセント以上(例えば、約0.02重量パーセント以上、約0.03重量パーセント以上、約0.04重量パーセント以上、または約0.05重量パーセント以上)の第1の抑制剤を含み得る。例えば、研磨組成物は、約0.08重量パーセント以上(例えば、約0.1重量パーセント以上、約0.12重量パーセント以上、約0.14重量パーセント以上、または約0.2重量パーセント以上)の第1の抑制剤を含み得る。研磨組成物はまた、約2重量パーセント以下(例えば、約1.5重量パーセント以下、約1重量パーセント以下、または約0.5重量パーセント以下)の第1の抑制剤を含み得る。第1のタングステン腐食抑制剤は、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される濃度で研磨組成物中に存在し得ると理解されるであろう。例えば、研磨組成物中の第1の抑制剤の濃度は、約0.01重量パーセント~約2重量パーセント(例えば、約0.05重量パーセント~約1重量パーセント、約0.8重量パーセント~約1重量パーセント、または約0.1重量パーセント~約1重量パーセント)の範囲にあり得る。
【0038】
研磨組成物はまた、約0.001重量パーセント以上(例えば、約0.002重量パーセント以上、約0.003重量パーセント以上、または約0.004重量パーセント以上)の第2のタングステン腐食抑制剤を含み得る。例えば、研磨組成物は、約0.005重量パーセント以上(例えば、約0.008重量パーセント以上、約0.01重量パーセント以上、約0.02重量パーセント以上、約0.03重量パーセント以上、または約0.05重量パーセント以上)の第2の抑制剤を含み得る。研磨組成物はまた、約1重量パーセント以下(例えば、約0.5重量パーセント以下、約0.2重量パーセント以下、約0.1重量パーセント以下、または約0.05重量パーセント以下)の第2の抑制剤を含み得る。第2のタングステン腐食抑制剤は、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される濃度で研磨組成物中に存在し得ると理解されるであろう。例えば、研磨組成物中の第2の腐食抑制剤の濃度は、約0.001重量パーセント~約1重量パーセント(例えば、約0.002重量パーセント~約0.5重量パーセント、約0.005重量パーセント~約0.2重量パーセント、または約0.005重量パーセント~約0.1重量パーセント)の範囲にあり得る。
【0039】
開示されている実施形態の一態様は、上記のような第1および第2の異なるタングステン抑制剤化合物を含む組み合わされたタングステン抑制剤系の使用によって、(i)好適な防食性能(タングステン腐食抑制)、ならびに(ii)化学的安定性およびコロイド安定性が提供されて、結果的に、組成物のpHおよび組成物における研削粒子の平均サイズの両方が経時的に実質的に安定したままになる、という驚くべき発見である。開示されている研磨組成物は、適切な処理量と、貯蔵寿命およびポットライフの改善と、タングステンCMP操作中のアレイ侵食、局部侵食、ならびにタングステンプラグおよびラインのくぼみの改善を含む、改善された平面性と、をさらに提供し得ることがさらに発見された。
【0040】
研磨組成物は、任意選択的に殺生物剤をさらに含んでいてもよい。殺生物剤は、任意の好適な殺生物剤、例えばイソチアゾリノン殺生物剤を含んでいてもよい。研磨組成物中の殺生物剤の量は、一般に、約1ppm~約50ppm、好ましくは約1ppm~約20ppmの範囲にある。
【0041】
研磨組成物は、その多くが当業者には既知である任意の好適な技術を使用して調製することができる。研磨組成物は、バッチプロセスまたは連続プロセスで調製することができる。一般に、研磨組成物は、その成分を任意の順序で組み合わせることによって調製することができる。本明細書で使用される場合、「成分」という用語は、個々の成分(例えば、研削粒子、鉄含有促進剤、第1および第2のアミノ酸化合物など)を含む。
【0042】
例えば、シリカは水性液体担体に分散されてもよい。次いで、鉄含有促進剤、安定剤、第1および第2のアミノ酸化合物、ならびに殺生物剤などの他の成分を、成分を研磨組成物に組み込むことができる任意の方法によって添加および混合することができる。任意選択的な酸化剤は、研磨組成物の調製中にいつでも添加することができる。例えば、研磨組成物は、使用前に調製することができ、酸化剤などの1つ以上の成分を、CMP操作の直前に(例えば、CMP操作の約1分以内、または約10分以内、または約1時間以内、または約1日以内、または約1週間以内)に添加することができる。研磨組成物はまた、CMP操作中に基板の表面で(例えば研磨パッド上で)成分を混合することによっても調製することができる。
【0043】
本発明の研磨組成物はまた、使用前に適切な量の水で希釈されることを意図する濃縮物として提供することもできる。そのような実施形態では、研磨組成物濃縮物は、この濃縮物を、適切な量の水で、および適切な量でまだ存在しない場合には酸化剤で希釈する際に、研磨組成物の各成分が、各成分について上記の適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在するような量で、酸化剤ありまたはなしで、研削粒子と、第1および第2のアミノ酸化合物と、任意選択的な鉄含有促進剤と、安定剤と、任意選択的な殺生物剤と、水と、を含み得る。例えば、研削粒子、第1および第2のアミノ酸化合物、ならびに任意選択的な鉄含有促進剤、ならびに安定剤はそれぞれ、研磨組成物中に、各成分の上記の濃度の約2倍(例えば、約3倍、約4倍、または約5倍)の量で存在し得て、それによって、濃縮物が、等量の水(例えば、それぞれ1等量の水、2等量の水、3等量の水、または4等量の水)で好適な量の酸化剤と一緒に希釈される場合に、各成分は、各成分の上記の範囲内の量で研磨組成物中に存在することになるだろう。その上、当業者には理解されるように、濃縮物は、他の成分が少なくとも部分的にまたは完全に濃縮物中に溶解することを確実にするために、最終研磨組成物中に存在する水の適切な割合を含有し得る。
【0044】
本発明の研磨組成物は任意の基板を研磨するために使用され得るが、研磨組成物は、タングステンを含む少なくとも1つの金属および少なくとも1つの誘電材料を含む基板の研磨に特に有用である。タングステン層は、例えばチタンおよび/または窒化チタン(TiN)を含む1つ以上のバリア層の上に堆積されてもよい。誘電体層は、金属酸化物、例えばテトラエチルオルトシリケート(TEOS)に由来する酸化ケイ素層、多孔質金属酸化物、多孔質または非多孔質炭素ドープ酸化ケイ素、フッ素ドープ酸化ケイ素、ガラス、有機ポリマー、フッ素化有機ポリマー、または他の適切な高誘電率(high-k)または低誘電率(low-k)絶縁層であってもよい。
【0045】
本発明の研磨方法は、化学機械研磨(CMP)装置とともに使用するのに特に好適である。通常、装置は、使用時に運動し、軌道運動、直線運動、または円運動から生じる速度を有するプラテンと、プラテンと接触し、運転時にプラテンとともに運動する研磨パッドと、研磨パッドの表面に対して接触し、それに対して動かすことにより、基板が研磨されるように保持する担体と、を含む。基板の研磨は、研磨パッドおよび本発明の研磨組成物と接触して配置される基板と、次いで基板(例えば、本明細書に記載のタングステン、チタン、窒化チタン、および/または誘電材料)の少なくとも一部を研削するように基板に対して動かす、研磨パッドによって行われる。
【0046】
基板は、任意の好適な研磨パッド(例えば、研磨表面)とともに化学機械研磨組成物で平坦化または研磨することができる。好適な研磨パッドには、例えば、織布および不織布の研磨パッドが含まれる。さらに、好適な研磨パッドは、さまざまな密度、硬度、厚さ、圧縮率、圧縮時に反発する能力、および圧縮弾性率の任意の好適なポリマーを含み得る。好適なポリマーには、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの共形成品、およびそれらの混合物が含まれる。
【0047】
本開示は多数の実施形態を含むと理解されるであろう。これらの実施形態には、以下の実施形態が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
第1の実施形態では、タングステン層を有する基板を研磨するための化学機械研磨組成物は、水系液体担体と、液体担体中に分散したカチオン性研削粒子と、7未満の等電点を有する第1のアミノ酸化合物と、7超の等電点を有する第2のアミノ酸化合物と、約1~約5の範囲のpHと、を含む。
【0049】
第2の実施形態は、約3~約5の範囲のpHを有する、第1の実施形態を含み得る。
【0050】
第3の実施形態は、第1のアミノ酸化合物が、アラニン、フェニルアラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、チロシン、バリン、グルタミン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1および2のいずれか1つを含み得る。
【0051】
第4の実施形態は、第1のアミノ酸化合物が、グリシン、バリン、アラニン、およびそれらの混合物から選択される、実施形態1~3のいずれか1つを含み得る。
【0052】
第5の実施形態は、第2のアミノ酸化合物が、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1~4のいずれか1つを含み得る。
【0053】
第6の実施形態は、第1のアミノ酸化合物がグリシンであり、第2のアミノ酸化合物がアルギニンである、実施形態1~5のいずれか1つを含み得る。
【0054】
第7の実施形態は、組成物が、約0.05~約1重量パーセントの第1のアミノ酸化合物および約0.005~約0.2重量パーセントの第2のアミノ酸化合物を含む、実施形態1~6のいずれか1つを含み得る。
【0055】
第8の実施形態は、カチオン性研削粒子が、組成物中で約10mV~約40mVの範囲のゼータ電位を有する、実施形態1~7のいずれか1つを含み得る。
【0056】
第9の実施形態は、カチオン性研削粒子が、永久正電荷を有するコロイダルシリカ研削粒子を含み、コロイダルシリカ研削粒子が、組成物中で約10mV~約40mVの範囲のゼータ電位を有し、コロイダルシリカ研削粒子が、約40nm超の平均粒径を有し、組成物が、約3.5~約5の範囲のpHを有する、実施形態1~8のいずれか1つを含み得る。
【0057】
第10の実施形態は、カチオン性研削粒子が、コロイダルシリカ研削粒子を含み、組成物が、コロイダルシリカ研削粒子に非永久正電荷を与えるカチオン性界面活性剤をさらに含む、実施形態1~8のいずれか1つを含み得る。
【0058】
第11の実施形態は、カチオン性界面活性剤が、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルオクチルホスホニウム、およびベンジルトリブチルアンモニウムのうちの1つまたは組み合わせを含む、第10の実施形態を含み得る。
【0059】
第12の実施形態は、コロイダルシリカ研削粒子が、組成物中で約10mV~約40mVの範囲のゼータ電位を有し、コロイダルシリカ研削粒子が、約90nm超の平均粒径を有し、組成物が、約3.0~約4.5の範囲のpHを有する、第10の実施形態を含み得る。
【0060】
第13の実施形態は、組成物が鉄含有促進剤をさらに含む、実施形態1~12のいずれか1つを含み得る。
【0061】
第14の実施形態は、組成物が、鉄含有促進剤に結合した安定剤であって、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される安定剤をさらに含む、第13の実施形態を含み得る。
【0062】
第15の実施形態は、組成物が過酸化水素酸化剤をさらに含む、実施形態1~14のいずれか1つを含み得る。
【0063】
第16の実施形態では、タングステン層を有する基板を研磨するための化学機械研磨組成物が、水系液体担体と、液体担体中に分散した永久正電荷および約40nm超の平均粒径を有するコロイダルシリカ研削粒子であって、組成物中で約10mV~約40mVの範囲のゼータ電位を有する、コロイダルシリカ研削粒子と、約7未満の等電点を有する第1のアミノ酸化合物と、約7超の等電点を有する第2のアミノ酸化合物と、約3.5~約5の範囲のpHと、を含む。
【0064】
第17の実施形態は、第1のアミノ酸化合物が、グリシン、バリン、アラニン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、第2のアミノ酸化合物が、ヒスチジン、アルギニン、リジンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、第16の実施形態を含み得る。
【0065】
第18の実施形態は、組成物が、約0.05~約1重量パーセントの第1のアミノ酸化合物および約0.005~約0.2重量パーセントの第2のアミノ酸化合物を含む、第16または第17の実施形態を含み得る。
【0066】
第19の実施形態は、組成物が、鉄含有促進剤と、鉄含有促進剤に結合した安定剤であって、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される安定剤と、をさらに含む、実施形態16~18のいずれか1つを含み得る。
【0067】
第20の実施形態は、組成物が過酸化水素酸化剤をさらに含む、実施形態16~19のいずれか1つを含み得る。
【0068】
第21の実施形態では、タングステン層を有する基板を研磨するための研磨組成物は、水系液体担体と、約90nm超の平均粒径を有するコロイダルシリカ研削粒子と、コロイダルシリカ研削粒子に非永久正電荷を与えるカチオン性界面活性剤であって、コロイダルシリカ研削粒子が組成物中で約10mV~約40mVの範囲のゼータ電位を有する、カチオン性界面活性剤と、約7未満の等電点を有する第1のアミノ酸化合物と、7超の等電点を有する第2のアミノ酸化合物と、約3~約4.5の範囲のpHと、を含む。
【0069】
第22の実施形態は、第1のアミノ酸化合物が、グリシン、バリン、アラニン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、第2のアミノ酸化合物が、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、第21の実施形態を含み得る。
【0070】
第23の実施形態は、組成物が、約0.05~約1重量パーセントの第1のアミノ酸化合物および約0.005~約0.2重量パーセントの第2のアミノ酸化合物をさらに含む、実施形態21または22のいずれか1つを含み得る。
【0071】
第24の実施形態は、カチオン性界面活性剤が、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルオクチルホスホニウム、およびベンジルトリブチルアンモニウムのうちの1つまたは組み合わせを含む、実施形態21~23のいずれか1つを含み得る。
【0072】
第25の実施形態は、組成物が、鉄含有促進剤と、鉄含有促進剤に結合した安定剤であって、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される安定剤と、をさらに含む、実施形態21~24のいずれか1つを含み得る。
【0073】
第26の実施形態は、組成物が過酸化水素酸化剤をさらに含む、実施形態21~25のいずれか1つを含み得る。
【0074】
第27の実施形態では、タングステン層を含む基板を化学機械研磨するための方法が、(a)基板を、水系液体担体と、液体担体中に分散したカチオン性研削粒子と、約7未満の等電点を有する第1のアミノ酸化合物と、約7超の等電点を有する第2のアミノ酸化合物と、約1~約5の範囲のpHと、を含む研磨組成物と接触させることを含む。この方法は、b)研磨組成物を基板に対して動かすことと、c)基板を研削して基板からタングステンの一部を除去し、それによって基板を研磨することと、を含み得る。
【0075】
第28の実施形態は、第1のアミノ酸化合物が、グリシン、バリン、アラニン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、第2のアミノ酸化合物が、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、第27の実施形態を含み得る。
【0076】
第29の実施形態は、組成物が、約0.05~約1重量パーセントの第1のアミノ酸化合物および約0.005~約0.2重量パーセントの第2のアミノ酸化合物を含む、実施形態27または28のいずれか1つを含み得る。
【0077】
第30の実施形態は、カチオン性研削粒子が、永久正電荷を有するコロイダルシリカ研削粒子を含み、コロイダルシリカ研削粒子が、組成物中で約10mV~約40mVの範囲のゼータ電位を有し、コロイダルシリカ研削粒子が、約40nm超の平均粒径を有し、組成物が、約3.5~約5の範囲のpHを有する、実施形態27~29のいずれか1つを含み得る。
【0078】
第31の実施形態は、カチオン性研削粒子がコロイダルシリカ研削粒子を含み、組成物が、コロイダルシリカ研削粒子に非永久正電荷を与えるカチオン性界面活性剤をさらに含み、コロイダルシリカ研削粒子が、組成物中で約10mV~約40mVの範囲のゼータ電位を有し、コロイダルシリカ研削粒子が、約90nm超の平均粒径を有し、組成物が、約3.0~約4.5の範囲のpHを有する、実施形態27~29のいずれか1つを含み得る。
【0079】
第32の実施形態は、組成物が、過酸化水素酸化剤と、鉄含有促進剤と、鉄含有促進剤に結合した安定剤であって、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される安定剤と、をさらに含む、実施形態27~31のいずれか1つを含み得る。
【0080】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0081】
実施例1
いくつかの研磨組成物を調製して、これらの組成物の化学的安定性(pH安定性)を評価した。各組成物は、3重量パーセントのPL-5コロイダルシリカ(Fuso Chemical Companyから入手可能)、0.09重量パーセントの水酸化テトラブチルアンモニウム、0.002重量パーセントの硝酸第二鉄九水和物、0.004重量パーセントのマロン酸、0.0008重量パーセントのKathon LX殺生物剤、および1ミリモルのアミノ酸腐食抑制剤を含んでいた。実施例1Aは、アミノ酸抑制剤を含んでいなかった。実施例1B~1Jは、表1に示されるような以下のアミノ酸を含んでいた;アルギニン(1B)、リジン(1C)、ヒスチジン(1D)、グルタミン酸(1E)、イソロイシン(1F)、バリン(1G)、アスパラギン酸(1H)、プロリン(1I)、およびグルタミン(1J)。
【0082】
各組成物を以下のように調製した:PL-5コロイダルシリカと、水酸化テトラブチルアンモニウムと、硝酸第二鉄九水和物と、マロン酸と、Kathon LXと、アミノ酸腐食抑制剤と、を含む分散液を調製した。硝酸または水酸化カリウムでpHを3.4に調整した。
【0083】
研磨組成物、対応するアミノ酸腐食抑制剤、アミノ酸タイプ(グループAまたはグループB)、および7日後のpHドリフトを表1に示す。グループAのアミノ酸は7未満の等電点を有し、グループBのアミノ酸は7超の等電点を有することに留意したい。
【表1】
【0084】
表1のデータは、CMP組成物での問題の1つを際立たせている。アルギニン、リジン、およびヒスチジンを含む組成物のpHは、タングステン抑制剤を有しない組成物と比較して、わずか7日で大幅にドリフトすることに留意したい(組成物のpHは、1pH単位を超えて上昇する)。グルタミン酸、イソロイシン、バリン、アスパラギン酸、プロリン、またはグルタミンを含む組成物のpHは、大幅にはドリフトしない。
【0085】
実施例2
タングステンの静的エッチング速度を、22種の組成物について評価した。各組成物は、3重量パーセントのPL-5コロイダルシリカ、0.09重量パーセントの水酸化テトラブチルアンモニウム、0.002重量パーセントの硝酸鉄九水和物、0.004重量パーセントのマロン酸、0.0008重量パーセント(8ppm)のKathon LX殺生物剤、0.35重量パーセントの過酸化水素、および1mMのアミノ酸腐食抑制剤を含んでいた。硝酸または水酸化カリウムでpHを3.4に調整した。第1および第2のアミノ酸腐食抑制剤を含む組成物において、アミノ酸の組み合わせの総濃度は1mMであり、第1および第2のアミノ酸は1:1のモル比で含まれていた。これらの組成物を、先で実施例1に記載のように調製した。
【0086】
各研磨組成物についてのタングステンのエッチング速度を得るために、組成物をまず60℃に加熱し、その後、過酸化水素を0.35重量パーセントの濃度で添加した。温度が60度に戻るのを5分間待った後に、8000Åの厚さのタングステン層を有するSilybタングステンウェハ(1インチの正方形のクーポン)を研磨組成物に5分間沈めた。タングステン除去速度を、研磨組成物にウェハを浸漬する前後に行った抵抗力測定によって特定した。アミノ酸化合物(複数可)、アミノ酸タイプ(グループAまたはグループB)、およびタングステンの静的エッチング速度を表2に示す。組成物2Aは、抑制剤を含んでいなかった。
【表2】
【0087】
表2に記載の結果から明らかであるように、タイプBのアミノ酸化合物(特にアルギニンおよびヒスチジン)を含む組成物は、60℃で低いタングステンのエッチング速度を呈した(例えば、毎分約60オングストローム以下)。タイプAおよびタイプBのアミノ酸を含む組成物もまた、低いタングステンのエッチング速度を呈した。
【0088】
実施例3
半導体業界では、複数のタングステン蒸着法が使用されており、蒸着法は、タングステンの腐食に影響を与えることが観察されている。この実施例では、26種の組成物(3A~3Z)についてタングステンの静的エッチング速度を評価した。各組成物は、4重量パーセントのFuso PL-5コロイダルシリカ、0.09重量パーセントの水酸化テトラブチルアンモニウム、0.0018重量パーセントの硝酸鉄九水和物、0.004重量パーセントのマロン酸、8ppmのKathon LX殺生物剤、0.15重量パーセントの過酸化水素、および1つ以上のアミノ酸化合物を含んでいた。硝酸でpHを3.5に調整した。これらの組成物を、先で実施例1に記載のように調製した。
【0089】
各研磨組成物についてのタングステンのエッチング速度を得るために、組成物をまず60℃に加熱し、その後、過酸化水素を0.15重量パーセントの濃度で添加した。温度が60度に戻るのを5分間待った後に、2000Åの厚さのタングステン層を有するSilybタングステンウェハ(1インチの正方形のクーポン)を研磨組成物に5分間沈めた。タングステン除去速度を、研磨組成物にウェハを浸漬する前後に行った抵抗力測定によって特定した。アミノ酸化合物(複数可)およびそれらの対応する濃度、アミノ酸タイプ(グループAおよび/またはグループB)、100万分の1単位の濃度、およびタングステンの静的エッチング速度を表3に示す。組成物3Aは、抑制剤を含んでいなかった。
【表3】
【0090】
表3に記載の結果から明らかであるように、タイプBのアミノ酸化合物(特にアルギニンおよびヒスチジン)を含む組成物は、60℃で低いタングステンのエッチング速度を呈した(例えば、毎分約30オングストローム以下)。タイプAおよびタイプBのアミノ酸を含む組成物もまた、低いタングステンのエッチング速度を呈した。
【0091】
実施例4
22種の研磨組成物(4A~4V)を調製して、アミノ酸化合物を含む研磨組成物、特に、タイプAおよびタイプBのアミノ酸化合物の組み合わせを含む組成物の化学的安定性およびコロイド安定性を、タイプBのアミノ酸化合物のみを含む組成物と比較して評価した。各研磨組成物は、3倍の濃縮物として調製され、12重量パーセントの示したコロイダルシリカ(Fuso PL-2、PL-5、またはPL-7)、0.27重量パーセントの水酸化テトラブチルアンモニウム、0.0054重量パーセントの硝酸鉄九水和物、0.012重量パーセントのマロン酸、および15ppmのKathon LX殺生物剤を含んでいた。表4Aは、各組成物に含まれる、アミノ酸化合物(複数可)および希釈前のそれらの対応する濃度、pH、ならびにシリカを示す。
【表4】
【0092】
表4Aに示されるように、組成4Hは、Fuso PL-2(40nm)を含んでいた。組成物4Iは、Fuso PL-7(120nm)を含んでいた。残りの組成物(4A~4Gおよび4J~4V)は、Fuso PL-5(100nm)を含んでいた。硝酸を使用して、組成物4GのpHを2.3に調整した。硝酸を使用して、残りの組成物のpHを3.5に調整した。これらの組成物を、先で実施例1に記載のように調製した。
【0093】
希釈された研磨組成物を、上記の組成物を脱イオン水で希釈することによって調製した(2部の水に対して1部の研磨組成物)。希釈された組成物は、CMP操作で使用される例示的な使用時点研磨組成物を表す。これらの希釈された組成物を、室温で3週間後に、化学的安定性およびコロイド安定性(pH、粒径、およびゼータ電位)について監視した。研削粒径およびゼータ電位を、Malvern Instrumentsから入手可能なZetasizer(登録商標)を使用して測定した。アミノ酸化合物(複数可)およびそれらの対応する希釈後の濃度、アミノ酸タイプ(グループAおよび/またはグループB)、pH、粒径、およびゼータ電位を表4に示す。
【表5】
【0094】
表4に記載のデータから、タイプAおよびタイプBのアミノ酸化合物の組み合わせを含む研磨組成物が、タイプBのアミノ酸化合物のみを含む研磨組成物よりも優れた化学的安定性およびコロイド安定性を有することが明らかである。表2および3に記載のデータをさらに比較することによって、タイプAおよびタイプBのアミノ酸化合物の組み合わせを含む研磨組成物のみが、適切な化学的安定性およびコロイド安定性および許容可能な低いタングステンのエッチング速度を有することが明らかである。特に、タイプAの抑制剤のみを含む研磨組成物が、高いタングステンの静的エッチング速度を呈する一方で、タイプBの抑制剤のみを含む研磨組成物は、化学的およびコロイド的に不安定である。
【0095】
実施例5
研磨組成物4A~4V(先で実施例4の表4Aで定義したもの)および組成物5A~5Hの研磨性能を評価した。組成物5Bを除いて、各研磨組成物は、3倍の濃縮物として調製され、12重量パーセントのコロイダルシリカ、0.27重量パーセントの水酸化テトラブチルアンモニウム、0.0054重量パーセントの硝酸鉄九水和物、0.012重量パーセントのマロン酸、および15ppmのKathon LX殺生物剤を含んでいた。研磨組成物5Bは、1.5倍の濃縮物として調製され、6重量パーセントのコロイダルシリカ、0.14重量パーセントの水酸化テトラブチルアンモニウム、0.0027重量パーセントの硝酸鉄九水和物、0.006重量パーセントのマロン酸、および8ppmのKathon LX殺生物剤を含んでいた。硝酸を使用して、各組成物をpH3.5に調整した。表5Aは、各組成物に含まれる、アミノ酸化合物(複数可)および希釈前のそれらの対応する濃度、ならびに特定のシリカを示す。
【表6】
【0096】
表5Aに示されるように、組成物5A~5Dは、Fuso PL-5(100nm)を含んでいた。組成物5Eは、Fuso PL-7(120nm)を含んでいた。組成物5Fは、Nalcoから入手可能なDVSTS006(60nm)を含んでいた。組成物5Gは、Tama 14(72nm)を含んでいた。組成物5Hは、Nyacol Nano Technologiesから入手可能なNexSil(登録商標)85K-40(75nm)を含んでいた。この実施例は、タングステンバフ研磨CMPにおける開示されている実施形態の特定の利点を示す。粒子成長(>15%)またはpHドリフト(>1単位)を呈することなどによって不安定であると見出された研磨組成物は、研磨に好適であるとは見なされなかった(実施例4を参照)。タングステンパターンウェハ(Silyb W854 L&S patterns)を、Applied MaterialsのMirra研磨工具およびCabot Microelectronics Corpから入手可能なW8051タングステンCMPスラリーを使用して、エンドポイント+10%まで研磨することによって調製した。これらの予備研磨されたウェハを、表4Aおよび5Aから選択される希釈された研磨組成物を使用してバフ研磨した。予備研磨した各ウェハを、Mirra研磨工具、NexPlanar E6088研磨パッド(Cabot Microelectronicsから入手可能)、Saesol C1調整剤(6ポンドでin-situモード)を使用して、2.5psiの下向きの力、プラテン速度100rpm、ヘッド速度101rpm、およびスラリー流量180ml/分を使用してバフ研磨した。ブランケットタングステンウェハ(Novatiから入手可能な8000Å)およびTEOSウェハ(WRS Materialsから入手可能な20000Å)も同じ条件で60秒間研磨した。パターン化されたウェハを、600ÅのTEOS除去を目標としたブランケットTEOS除去速度に基づいて、対応する時間にわたって研磨した。
【0097】
表5Bは、研磨組成物4A~4C、4F~4J、および5A~5Hについて、ブランケットおよびパターン化されたウェハの研磨データを提示している。各研磨組成物は、研磨前に(シリカ3重量パーセントに)希釈され、0.3重量パーセントの過酸化水素を含んでいた。表5Bには、各研磨組成物について、ブランケットTEOS除去速度(RR)、ブランケットタングステン除去速度(RR)、パターン化されたウェハから除去されたフィールド酸化物、1μmの隔たれたタングステンラインにおける局部侵食(本産業では牙と呼ばれることもある)、1×9μmのアレイ(10%のW)におけるアレイ酸化物侵食、および1×9μmのアレイ(10%のW)におけるタングステンライン隆起が一覧にされている。
【表7】
【0098】
表5Bに記載のデータから明らかであるように、グループAのアミノ酸化合物およびグループBのアミノ酸化合物を含む開示されている研磨組成物は、アレイ酸化物侵食およびWライン隆起が低いこと、ならびに隔たれたラインにおける局部侵食が検出されないことを呈する。
【0099】
実施例6
永久正電荷を有するカチオン性シリカを用いる2つの研磨組成物の研磨性能を評価した。各研磨組成物は、3倍の濃縮物として調製され、12重量パーセントのコロイダルシリカ、0.27重量パーセントの水酸化テトラブチルアンモニウム、0.0054重量パーセントの硝酸鉄九水和物、0.012重量パーセントのマロン酸、15ppmのKathon LX殺生物剤、4200ppmのプロリン、および300ppmのアルギニンを含んでいた。カチオン性シリカ粒子を、同一出願人による米国特許第9,422,456号の例13に記載されているように調製した。硝酸を使用して、研磨組成物6AのpHを4.5に調整した。硝酸を使用して、組成物6BのpHを3.5に調整した。
【0100】
タングステンのパターン化されたウェハ、タングステンのブランケットウェハ、およびTEOSのブランケットウェハを、実施例5に関して上記のように研磨した。表6は、研磨組成物6Aおよび6Bについて、ブランケットおよびパターン化されたウェハの研磨データを提示している。各研磨組成物は、研磨前に(シリカ3重量パーセントに)希釈され、0.3重量パーセントの過酸化水素を含んでいた。表6には、表5Bに示されているものと同じ指標が一覧にされている。
【表8】
【0101】
表6に記載のデータから明らかであるように、グループAのアミノ酸化合物およびグループBのアミノ酸化合物ならびに永久電荷カチオン性シリカを含む開示されている研磨組成物は、特に3.5超のpHの場合に、アレイ侵食およびWライン隆起が低いこと、ならびに隔たれたWラインにおける局部侵食が検出されないことを呈する。
【0102】
実施例7
8種の研磨組成物を調製して、研磨組成物中のアミノ酸濃度に応じたpHドリフトおよび静的エッチング速度を評価した。各研磨組成物は、4.5重量パーセントのFuso PL-5コロイダルシリカ、0.09重量パーセントの水酸化テトラブチルアンモニウム、0.0018重量パーセントの硝酸鉄九水和物、0.004重量パーセントのマロン酸、8ppmのKathon LX殺生物剤を含んでいた。硝酸を使用して、pHを3.5に調整した。組成物7A~7Dはバリン(タイプA)を含み、組成物7E~7Hはヒスチジン(タイプB)を含んでいた。過酸化水素を各組成物に0.15重量パーセントの濃度で添加した。静的エッチング速度を、先で実施例3に記載されているように得た(先で実施例2に記載されているWウェハクーポンを使用する)。
【0103】
表7には、各組成物について、アミノ酸、アミノ酸濃度、静的エッチング速度、およびpHドリフト(2日後)が開示されている。
【表9】
【0104】
表7に記載のデータから明らかであるように、より高い濃度(例えば、1000ppm超)のAタイプのアミノ酸を使用して、最小のpHドリフトを達成することができ、約25ppm超のBタイプのアミノ酸では、大幅に低下した静的エッチング速度を達成することができる。
【0105】
(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)本発明を説明する文脈における「a」および「an」および「the」という用語および同様の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むがこれらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、範囲内にある各別個の値を個々に参照する簡略方法としての役割を果たすことを単に意図しており、各別個の値は本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、あらゆる好適な順序で実行することができる。本明細書において提供されるありとあらゆる実施例、または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に必須であるとしていかなる特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
本発明を行うための本発明者らに既知の最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことにより当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切なものとして用いることを期待しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載されたとおりではなく別の方法で実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての変形および同等物を含む。さらに、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、それらのすべての可能な変形における上記のあらゆる任意の組み合わせが本発明に包含される。