(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】第1コンポーネントと第2コンポーネントとを接着結合する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20210101AFI20240829BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G02B7/00 F
G03F7/20 501
G02B7/00 B
(21)【出願番号】P 2021577433
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2020066079
(87)【国際公開番号】W WO2021001127
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】102019209610.7
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】ディーター バーダー
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102016214481(DE,A1)
【文献】特開2007-329475(JP,A)
【文献】米国特許第04332636(US,A)
【文献】特開2004-347753(JP,A)
【文献】特開2015-127048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18-7/24
G03F 7/20-7/24
G03F 9/00-9/02
G02B 5/00-5/136
G02B 6/35
G02B 26/00-26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィ用の第1コンポーネントと第2コンポーネントとを接着結合する方法であって、前記第2コンポーネントは光学素子である方法において、
a)前記第1コンポーネント及び前記第2コンポーネントを、第1及び第2コンポーネント間の相対位置を変えることができる位置決め装置(100)に導入するステップと、
b)第1及び第2コンポーネント間の距離が所定の
接着時の接着隙間を規定する第1値を有する第1相対位置を較正するステップと、
c)第1及び第2コンポーネント間の距離が前記第1値より大きい第2値
であって、前記第1及び第2コンポーネントの相対調整の開始位置を示す前記第2値を有する第2相対位置を較正するステップと、
d)第1及び第2コンポーネントを相互に前記第1値より大きく離して前記第1コンポーネントに接着剤(26)を塗布するステップと、
e)第1及び第2コンポーネント間に前記接着結合を形成しながら前記第1相対位置を設定するステップと
を含み、前記第1コンポーネントに前記接着剤(26)を塗布するステップより前に、前記第1相対位置を較正するステップ及び前記第2相対位置を較正するステップの両方を実行する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第2相対位置を較正するステップは、前記第1コンポーネントの表面に一時的に接触させた較正素子(50、55)の位置の測定を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記較正素子(50)は、前記第2コンポーネントの表面に対応する幾何学的形状を有することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法において、前記第1及び/又は第2相対位置を較正するステップは、少なくとも1つの距離センサ、特に光学距離センサを用いて実行されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法において、前記第1及び/又は第2相対位置を較正するステップは、6自由度の前記第2コンポーネントの位置合わせを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記第2コンポーネントの位置合わせは、前記位置決め装置にある少なくとも1つのメカニカルストップ(112、113)を用いて実行されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法において、前記第1及び/又は第2相対位置を較正するステップは、前記第1コンポーネントの横方向の位置合わせを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記第1コンポーネントの横方向の位置合わせは、前記位置決め装置にある少なくとも1つのメカニカルストップ(24)を用いて実行されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法において、前記第1コンポーネントは複数の部分面を含み、前記接着剤の塗布中に、各部分面のエッジ領域で予想されるメニスカス形成を考慮して相互に異なる部分面で接着剤の計量を変えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法において、前記接着剤の塗布中に、前記接着結合後に達する終了位置で予想される第1及び第2コンポーネント間の角度位置を考慮して前記接着剤を位置決めすることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の方法において、前記第1コンポーネントはアクチュエータ(20)であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の方法において、前記第2コンポーネントは光学素子(10)、特にミラー又はレンズ素子であることを特徴とする方法。
【請求項13】
照明装置及び投影レンズを備えたマイクロリソグラフィ投影露光装置(700、800)を製造する方法であって、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行することにより前記照明装置及び/又は前記投影レンズの第1コンポーネントと第2コンポーネントとが接着結合される方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記第1コンポーネントはアクチュエータ(20)であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法において、前記第2コンポーネントは光学素子(10)、特にミラー又はレンズ素子であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行するよう構成されたことを特徴とする、マイクロリソグラフィ用の第1コンポーネントと第2コンポーネントとを接着結合する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年7月1日に出願された独国特許出願第10 2019 209 610.7号の優先権を主張する。この独国出願の内容も参照により本願の本文に援用する。
【0002】
本発明は、マイクロリソグラフィ用の第1コンポーネントと第2コンポーネントとを接着結合する方法及び装置に関する。本発明は特に、アクチュエータと光学素子、例えばマイクロリソグラフィ用のコンポーネントであるミラーとを接着結合するためのものであり得る。本発明はさらに、照明装置及び投影レンズを備えたマイクロリソグラフィ投影露光装置を製造する方法であって、照明装置及び/又は投影レンズの第1コンポーネントと第2コンポーネントとを接着結合する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路又はLCD等の微細構造コンポーネントの製造に用いられる。マイクロリソグラフィプロセスは、照明装置及び投影レンズを備えたいわゆる投影露光装置で実行される。この場合、照明装置により照明されたマスク(レチクル)の像を、投影レンズにより、感光層(フォトレジスト)で被覆されて投影レンズの像平面に配置された基板(例えばシリコンウェーハ)に投影することで、マスク構造を基板の感光コーティングに転写するようにする。
【0004】
EUV領域用に設計した投影レンズでは、すなわち例えば約13nm又は約7nmの波長では、適当な光透過屈折材料が利用可能でないことにより、ミラーを結像プロセス用の光学コンポーネントとして用いる。
【0005】
EUV領域用に設計されたシステム及びDUVシステム(すなわち、250nm未満、特に200nm未満の波長)の両方において、光学系での結像収差を例えば局所変形により少なくとも部分的に補償するために、光学コンポーネント、例えばミラー等を適応的に又は作動可能に構成することが知られている。特にこの目的で、1つ又は複数の(例えば圧電)アクチュエータを各光学素子に、例えばその光学有効面とは反対側の後側に接着結合により固定することができる。
【0006】
このような接着結合の場合、接着結合の耐用寿命の理由で、且つ光学系での不所望の光学収差を回避するために、接着隙間の精密な設定が望ましいか又は必要だが、これはリソグラフィ用途での高精度要件ゆえに難題となっている。これは特に、さまざまな要因により、概して湾曲した接合面での各接着隙間の明確な設定がより困難になることに起因し、要因としては、接合面の製造関連の幾何学的ずれ、接着剤の粘度変動、並びに特に接着剤の流動挙動及びコンポーネントの正確な向きに対する重力の影響が特に挙げられる。付加的要因は、高精度要件を考慮して、特に各アクチュエータ又は関連の光学素子への機械的応力及びそれに関連する変形の導入を確実に防止しなければならないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の問題を少なくとも部分的に回避しつつ接着隙間の確実で精密な設定を可能にする、マイクロリソグラフィ用の第1コンポーネントと第2コンポーネントを接着結合する方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項1の特徴に従った方法と、独立請求項16の特徴に従った装置とにより達成される。
【0009】
マイクロリソグラフィ用の第1コンポーネントと第2コンポーネントとを接着結合する本発明による方法であって、第2コンポーネントは光学素子である方法は、
第1コンポーネント及び第2コンポーネントを、第1及び第2コンポーネント間の相対位置を変えることができる位置決め装置に導入するステップと、
第1及び第2コンポーネント間の距離が所定の接着隙間を規定する第1値を有する第1相対位置を較正するステップと、
第1及び第2コンポーネント間の距離が第1値より大きい第2値を有する第2相対位置を較正するステップと、
第1及び第2コンポーネントを相互に第1値より大きく離して第1コンポーネントに接着剤を塗布するステップと、
第1及び第2コンポーネント間に接着結合を形成しながら第1相対位置を設定するステップと
を含み、第1コンポーネントに接着剤を塗布するステップより前に、第1相対位置を較正するステップ及び第2相対位置を較正するステップの両方を実行する。
【0010】
以下では例として、第1コンポーネントはアクチュエータであり、第2コンポーネントは例えばミラーの形態の光学素子であり、両方のコンポーネントがマイクロリソグラフィ用であるものとするが、本発明はそれに限定されない。より正確には、本発明は、上記問題を少なくとも部分的に回避しつつ接着隙間のできる限り確実で正確な設定を達成しようとする、マイクロリソグラフィ用の他の用途でも実現可能であることが有利である。
【0011】
マイクロリソグラフィの要件に関して、本発明は、特に接着結合時に、例えばアクチュエータ等の第1コンポーネント及び例えば光学素子等の第2コンポーネントの相互に対する相対位置を変えることができる位置決め装置で、接合面の一方に接着剤を塗布するより前に、最終的に望まれる接着隙間距離に対応した終了位置及び当該終了位置に未対応の(開始)位置の両方に関するアクチュエータと光学素子との間の相対位置の較正を実行することにより、アクチュエータと光学コンポーネントとの間の接着隙間の精密且つ制御された設定を実現するという概念に基づく。接着剤を塗布しないうちに実行されるこれらの較正ステップの一方は、通常は最初に又はアクチュエータが光学素子へ向けて最初に移動する前に実行され、他方の(接着隙間距離に対応する光学素子に対するアクチュエータの終了位置の較正に関する)較正ステップは、光学素子へ向けた最初の移動後に実行される。その後、再度アクチュエータを光学素子から相対的に大きな距離に離して、接着剤をアクチュエータに塗布し、最後にアクチュエータを較正済みの開始位置から接着隙間距離に対応する同じく較正済みの終了位置まで光学素子へ向けて移動させることが可能である。
【0012】
最後に述べたステップは、光学素子にアクチュエータを接触させずに、且つさらに設定された接着隙間距離の(通常はセンサを用いた)制御下で実行されるので、結果として、精密な接着隙間設定が制御下で且つアクチュエータによる光学素子への機械的応力の導入を回避しつつ実現される。
【0013】
一実施形態によれば、第2相対位置を較正するステップは、第1コンポーネントの表面に一時的に接触させた較正素子の位置の測定を含む。
【0014】
一実施形態によれば、上記較正素子は、第2コンポーネントの表面に対応する幾何学的形状を有する。
【0015】
一実施形態によれば、第1及び/又は第2相対位置を較正するステップは、少なくとも1つの距離センサ、特に光学距離センサを用いて実行される。
【0016】
一実施形態によれば、第1及び/又は第2相対位置を較正するステップは、6自由度での第2コンポーネントの位置合わせを含む。
【0017】
一実施形態によれば、上記第2コンポーネントの位置合わせは、位置決め装置にある少なくとも1つのメカニカルストップを用いて実行される。
【0018】
一実施形態によれば、第1及び/又は第2相対位置を較正するステップは、第1コンポーネントの横方向の位置合わせを含む。
【0019】
一実施形態によれば、上記第1コンポーネントの横方向の位置合わせは、位置決め装置にある少なくとも1つのメカニカルストップを用いて実行される。
【0020】
一実施形態によれば、第1コンポーネントは複数の部分面を含み、接着剤の塗布中に、各部分面のエッジ領域で予想されるメニスカス形成を考慮して相互に異なる部分面で接着剤の計量を変える。
【0021】
一実施形態によれば、接着剤の塗布中に、接着結合後に達する終了位置で予想される第1及び第2コンポーネント間の角度位置を考慮して接着剤を位置決めする。
【0022】
一実施形態によれば、第1コンポーネントはアクチュエータである。
【0023】
一実施形態によれば、第2コンポーネントは光学素子、特にミラー又はレンズ素子である。
【0024】
本発明はさらに、照明装置及び投影レンズを備えたマイクロリソグラフィ投影露光装置を製造する方法であって、上述の特徴を有する方法を実行することにより照明装置及び/又は投影レンズの第1コンポーネントと第2コンポーネントとが接着結合される方法にも関する。
【0025】
この場合、特に、第1コンポーネントはアクチュエータとすることができ、第2コンポーネントは特に光学素子、より詳細にはミラー又はレンズ素子とすることができる。
【0026】
本発明はさらに、上述の特徴を有する方法を実行するよう構成された、マイクロリソグラフィ用の第1コンポーネントと第2コンポーネントとを接着結合する装置にも関する。
【0027】
本発明のさらなる構成については、説明及び従属請求項を参照されたい。
【0028】
添付図面に示す例示的な実施形態に基づいて、本発明を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1a】本発明による方法でとり得る順序を説明する概略図を示す。
【
図1b】本発明による方法でとり得る順序を説明する概略図を示す。
【
図1c】本発明による方法でとり得る順序を説明する概略図を示す。
【
図1d】本発明による方法でとり得る順序を説明する概略図を示す。
【
図1e】本発明による方法でとり得る順序を説明する概略図を示す。
【
図2】
図1bの領域「A」でとり得る構成をより詳細に説明する概略詳細図を示す。
【
図3】
図1bの領域「A」でとり得る構成をより詳細に説明する概略詳細図を示す。
【
図4】例示的な一実施形態における本発明による方法の順序を説明するフロー図を示す。
【
図5】本発明による方法の有利な構成を説明するさらなる概略図を示す。
【
図6】本発明による方法の有利な構成を説明するさらなる概略図を示す。
【
図7】EUV動作用に設計されたマイクロリソグラフィ投影露光装置の可能な構成を説明する概略図を示す。
【
図8】DUV領域動作用に設計されたマイクロリソグラフィ投影露光装置の可能な構成を説明する概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明による方法の実施形態を、
図1a~
図1e及び
図2、
図3に示す概略図を参照して、且つ
図4に示すフロー図も参照して以下で説明する。
【0031】
図1aによれば、本方法は、以下でより詳細に説明するように、接着結合により相互に接合されるコンポーネント(一方は光学コンポーネント10、他方はアクチュエータ20)の位置合わせ及び当該コンポーネントの相互に対する相対位置の調整の両方を可能にする位置決め装置100で実行される。これに伴い、
図1aと
図4に示すステップS410及びS420とによれば、例えばメカニカルストップ112、113を用いて6自由度で光学コンポーネント10を位置合わせする一方で、z方向に可動なテーブル115により担持され且つ例えばマイクロメータねじの形態の調整装置40により調整可能であるアクチュエータ20を横方向に位置合わせするプロセスを最初に実行する。「21」及び「22」は、各(例えば圧電)アクチュエータ20の接続線及び接点を示す。
図1aによれば、例示的な実施形態において、アクチュエータ20の横方向の位置合わせは、横方向メカニカルストップ24により実行される。
【0032】
次のステップS430において、横方向相対調整の開始位置として働き得るアクチュエータ20の(z)位置の較正が行われる。ここで、以下で言及する測定技術(例えば共焦点センサ)は、アクチュエータ面に従って「ゼロ調整」され、その後の接着隙間用の境界面の位置が規定される。アクチュエータ20のz位置の「ゼロ調整」に対応するこの較正は、任意の適当な測定技術を用いて実行され、例示的な実施形態では、参照ミラーの形態の較正素子50の参照面50aに向けた共焦点センサ30を用いて実行される。
図2から最もよく分かるように、特定の例示的な実施形態において(本発明はそれに限定されないが)、共焦点センサ30の測定部は、アクチュエータ20内に位置する孔23を通って延びる。この較正中にアクチュエータ20の表面20aに当接する較正素子50の参照面50aは、光学素子10の表面に対応する幾何学的形状を有する。共焦点センサ30を用いて参照面50aの位置を測定することにより、アクチュエータ20の表面20aの位置も間接的に求められる。
【0033】
さらに他の実施形態において、アクチュエータ20の位置の上記較正は、任意の他の適当な(例えば触覚)測定技術を用いて、又は座標測定機を用いて実行することもできる。
【0034】
図3によれば、アクチュエータ20の位置の上記較正に用いられる較正素子(又は参照ミラー)は、横寸法を大幅に減らした構成にすることもできることで、例えば
図3に示す例示的な実施形態において、較正素子55は、アクチュエータ20にある孔23の真上に突出して共焦点センサ30により用いられるようになる。したがって、このような較正素子55を用いると、
図2の構成とは異なり、アクチュエータ20の表面20a上に概して存在する凹凸又は形状誤差が較正に影響を及ぼさない。さらに、一方が大きい較正素子50を用いて実行され他方が小さい較正素子55を用いて実行される2つの別個の較正ステップを実行する際に、アクチュエータ20の表面20a上の上記形状誤差を求めることも可能である。
【0035】
図4及び
図1cに示す次のステップS440において、z方向に可動なテーブル115を用いて、且つ好ましくは共焦点センサ30を用いて制御下で、所望の(単なる例として10μmの)接着隙間に達するまでアクチュエータ20を光学素子10へ向けて移動させる。本発明の実施形態において、上述のステップは、接着結合により複数のアクチュエータ20を光学素子10に固定するために実行することもできる。所望の接着隙間距離に達した後に、このz位置の対応する較正を再度実行し、それから
図4及び
図1dに示す後続のステップS450において、アクチュエータ20を光学素子10から再度離してアクチュエータ20の表面に適当な装置25により接着剤26を塗布する。
【0036】
その後のステップS460において、所望の接着隙間に従って事前に規定された較正位置に達するまでアクチュエータ20を光学素子10へ向けて再度移動させ、ここで、共焦点センサ30を用いて接着隙間の細かな制御を再度行うことができる。接着剤26の実際の硬化プロセス(ステップS470)は、通常は数日間続き得る。この場合、場合によっては接着剤26が既に硬化してアクチュエータ20がミラー10に既に確実に固定された適当な期間(例えば24時間)後に、z方向に可動なテーブル115を比較的小さな距離(例えば5μm)だけ下げることで、そのような「自由移動」により、アクチュエータ20から接着剤26を介して光学素子10までのその後の機械的応力の伝達を回避することができる。
【0037】
ステップS460において、例えば任意の自由移動より前に、但し安全上の理由から好ましくはアクチュエータの細かな位置決め後に、(特に圧電)アクチュエータ20への電流の印加も実行することができる。
【0038】
さらに他の実施形態において、(特に圧電)アクチュエータは、接着結合のために
図4に示すステップS450においてそれぞれ接着剤を塗布される複数の部分面も有し得る。この場合、
図5a)~c)に概略的に示すように、それぞれ塗布された接着剤の量は、規定の接着隙間で各エッジ面において均一なメニスカス形成を得る目的で、特定の幾何学的形状に応じて変わり得る。
【0039】
そのために、
図5a)は、アクチュエータ501と光学素子500との間の、エッジ領域にメニスカス502が形成された接着隙間501の形成をまず概略的に示す。
図5b)によれば、アクチュエータは、接着結合中にメニスカスがそれぞれ形成されるエッジ領域(円弧部又は外縁部)に関して相互に異なる種々のタイプの部分面(「タイプ1」~「タイプ4」)を有する。この点で、例として、
図5c)に概略的に示す「タイプ1」の(「内側」)部分面では、メニスカスが4つの円弧部512にのみ形成されるが、短い方の外縁部513にも長い方の外縁部514にも形成されない。これに対して、「タイプ2」の部分面では、メニスカスは4つの円弧部に加えて短い方の外縁部にも形成され、「タイプ3」の部分面では、メニスカスは4つの円弧部に加えて長い方の外縁部にも形成され、「タイプ4」の部分面では、メニスカスは4つの円弧部に加えて短い方の外縁部及び長い方の外縁部にも形成される。よって、塗布される接着剤の量は、「タイプ1」の部分面の方が「タイプ2」の部分面より少なく選択され、「タイプ2」及び「タイプ3」の部分面の方が「タイプ4」の部分面より少なく選択される等のようにすることが好ましい。
【0040】
さらに他の実施形態において、
図1d及びステップS450における接着剤の塗布時に、各位置における関連のアクチュエータ面の各傾斜位置又は角度位置を考慮する(すなわち、接着点位置で適当なマージンを選択する)ことも可能であり、結果として、接着点の所望の設定位置は、接着剤が各傾斜位置に従って決まるようにそこに流れた後に初めて確定される。これを
図6に示す。対応するマージンの選択時に、接着剤の(好ましくは予め決定された)粘度が対応して考慮される。
【0041】
図7は、EUV動作用に設計され且つ本発明を実現できる例示的な投影露光装置の概略図を示す。
【0042】
図7によれば、EUV用に設計された投影露光装置700の照明装置は、視野ファセットミラー703及び瞳ファセットミラー704を含む。プラズマ光源701及びコレクタミラー702を含む光源ユニットからの光が、視野ファセットミラー703へ指向される。第1望遠鏡ミラー705及び第2望遠鏡ミラー706が、瞳ファセットミラー704の下流の光路に配置される。偏向ミラー707が光路の下流に配置され、当該偏向ミラーは、そこに入射した放射線を6つのミラー751~756を含む投影レンズの物体面の物体視野へ指向させる。物体視野の場所で、反射構造担持マスク721がマスクステージ720に配置され、上記マスクは、投影レンズを用いて像面に結像され、像面では、感光層(フォトレジスト)で被覆された基板761がウェーハステージ760上に位置する。
【0043】
さらに他の用途では、本発明をDUV動作用に設計された投影露光装置で実現することもできる。
【0044】
図8は、DUV領域(例えば、約193nm)の波長での動作用に設計され且つ同様に照明装置801及び投影レンズ808を備えたマイクロリソグラフィ投影露光装置800のさらに別の可能な構成の概略図を示す。
【0045】
照明装置801は、光源802と、レンズ素子803、804及び絞り805で極めて簡略的に表した照明光学ユニットとを含む。図示の例の投影露光装置800の作動波長は、光源802としてArFエキシマレーザを用いる場合は193nmである。しかしながら、作動波長は例えば、光源802としてKrFエキシマレーザを用いる場合は248nm、又はF2レーザを用いる場合は157nmとすることもできる。照明装置801と投影レンズ808との間では、投影レンズ808の物体面OPにマスク807が配置され、当該マスクはマスクホルダ806によりビーム経路に保持される。マスク807は、投影レンズ808により投影レンズ808の像面IPに例えば1/4又は1/5に縮小して結像される、マイクロメートル~ナノメートル範囲の構造を有する。投影レンズ808は、光軸OAを規定するレンズ素子構成体を含み、当該レンズ構成体も同様に、レンズ素子809~812で極めて簡略的に表されているにすぎない。
【0046】
感光層815が設けられて基板ホルダ818により位置決めされた基板816又はウェーハが、投影レンズ808の像面IPに保持される。例えば脱イオン水であり得る液浸媒体850が、像面側の最後に位置付けられた投影レンズ808の光学素子820と感光層815との間に位置する。