(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ポリカルボシラザンおよびそれを含む組成物、ならびにそれを用いたケイ素含有膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 77/60 20060101AFI20240829BHJP
C08L 83/16 20060101ALI20240829BHJP
C09D 183/16 20060101ALI20240829BHJP
H01L 21/312 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C08G77/60
C08L83/16
C09D183/16
H01L21/312 C
(21)【出願番号】P 2023521415
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2021077379
(87)【国際公開番号】W WO2022084022
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2020176008
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝力
(72)【発明者】
【氏名】岡村 聡也
(72)【発明者】
【氏名】岡安 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】トーステン、フォン、スタイン
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-054032(JP,A)
【文献】特開2022-067344(JP,A)
【文献】特表2023-510050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00- 77/62
C08L 83/00- 83/16
C09D183/00-183/16
C09J183/00-183/16
C01B 33/00- 33/46
C01B 21/00- 21/50
H01L 21/00- 21/98
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(1)で表される繰り返し単位および式(2)で表される繰り返し単位を含んでなるポリカルボシラザンであって、
前記ポリカルボシラザンが
、式(1)の(CH
2
)
n
および(CH
2
)
m
以外に炭化水素基を有さないポリペルヒドロカルボシラザンである、ポリカルボシラザン。
【化1】
【化2】
(ここで、
R
1、R
2、およびR
3は、それぞれ独立に、単結合または水素であり、
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立に、単結合または水素であり、
ただし、R
1、R
2、R
4およびR
5が単結合の場合、他の繰り返し単位に含まれるNに結合し、R
3およびR
6が単結合の場合、他の繰り返し単位に含まれるSiに結合し、
かつ
nおよびmは、それぞれ独立に、1~3である)
【請求項2】
前記ポリカルボシラザンの分子中に含まれる、Si原子数に対するC原子数の比率が、5~250
%である、請求項1に記載のポリカルボシラザン。
【請求項3】
1H-NMRスペクトルにおいて、1.7~2.2ppmの面積強度と1.0~1.6ppmの面積強度との和に対する、1.7~2.2ppmの面積強度の比が、0.05~0.5である、請求項1または2に記載のポリカルボシラザン。
【請求項4】
ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されたポリスチレン換算の質量平均分子量が1,500~25,000である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリカルボシラザン。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリカルボシラザンおよび溶媒を含んでなる組成物。
【請求項6】
前記溶媒が、芳香族化合物、飽和炭化水素化合物、不飽和炭化水素化合物、エーテル化合物、エステル化合物およびケトン化合物からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記組成物の総質量を基準として、1~50質量%のポリカルボシラザンを含んでなる、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
ケイ素含有膜の製造方法であって、
請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物を用いて、基板に塗膜を形成すること、および
前記塗膜を加熱すること
を含んでなる、方法。
【請求項9】
前記加熱が、酸化雰囲気下でおこなわれる、請求項8に記載のケイ素含有膜を製造する方法。
【請求項10】
前記加熱が、非酸化雰囲気下でおこなわれる、請求項8に記載のケイ素含有膜を製造する方法。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか一項に記載の方法によって得られるケイ素含有膜。
【請求項12】
請求項8~10のいずれか一項に記載の方法を含んでなる、電子素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカルボラザンに関するものである。さらに、本発明は、ポリカルボシラザンおよび溶媒を含んでなる組成物、およびそれを用いたケイ素含有膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス、とりわけ半導体デバイスの製造において、トランジスタ素子とビットラインとの間、ビットラインとキャパシタとの間、キャパシタと金属配線との間、複数の金属配線の間等に、層間絶縁膜が形成されることが行われる。さらに、基板表面等に形成された分離トレンチに、絶縁材料が埋め込まれることがある。さらに、基板表面に半導体素子が形成された後、封止材料を用いて、被覆層が形成され、パッケージが行われる。層間絶縁膜や被覆層は、ケイ素含有材料から形成されるケースがよくある。
【0003】
ケイ素質膜、窒化ケイ素膜、炭化ケイ素膜、炭窒化ケイ素膜などのケイ素含有膜を形成するために、化学気相成長法(CVD法)、ゾルゲル法、ケイ素含有ポリマーを含む組成物を塗布して加熱する方法等が用いられる。比較的簡易な方法であり、かつ狭いトレンチに対して埋め込み性に優れるため、これらの方法のうち、組成物を塗布して加熱してケイ素含有膜を形成する方法がよく採用される。ケイ素含有ポリマーとしては、ポリシラザン、ポリシロキサン、ポリカルボシラン、ポリシランなどが挙げられる。
【0004】
ケイ素含有ポリマーを含む組成物を塗布して、硬化させた膜は、その後の工程で用いられる薬品への耐性、特に耐酸性を有することが求められる。さらに、硬化後の膜の残留応力が少ないことが強く望まれている。
【0005】
特許文献1には、環状シラザンとクロロジシラシクロブタンとを反応させたケイ素含有ポリマーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような背景技術に基づいてなされたものであり、新規なポリカルボシラザンおよびこれを含む組成物を提供する。このポリカルボシラザンを用いて形成された硬化膜は、低残留応力であり、クラック耐性に優れる。また、この硬化膜は、フッ化水素酸に対する耐性にも優れる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるポリカルボシラザンは、以下の式(1)で表される繰り返し単位および式(2)で表される繰り返し単位を含んでなる。
【化1】
【化2】
ここで、
R
1、R
2、およびR
3は、それぞれ独立に、単結合、水素、またはC
1-4アルキルであり、
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立に、単結合または水素であり、
ただし、R
1、R
2、R
4およびR
5が単結合の場合、他の繰り返し単位に含まれるNに結合し、R
3およびR
6が単結合の場合、他の繰り返し単位に含まれるSiに結合し、かつ
nおよびmは、それぞれ独立に、1~3である。
【0009】
本発明による組成物は、上記のポリカルボシラザンおよび溶媒を含んでなる。
【0010】
本発明によるケイ素含有膜の製造方法は、
上記の組成物を用いて、基板に塗膜を形成すること、および
前記塗膜を加熱すること
を含んでなる。
【0011】
本発明によるケイ素含有膜は、上記の方法によって得られるものである。
【0012】
本発明による電子素子の製造方法は、上記の方法を含んでなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、新規なポリカルボシラザンおよびこれを含む組成物が提供される。このポリカルボシラザンを用いて形成された硬化膜は、低残留応力であり、クラック耐性に優れる。また、この硬化膜は、フッ化水素酸に対する耐性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるポリカルボシラザンのラマンスペクトルの例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[定義]
本明細書において、特に限定されない限り、用語は以下の意味を有するものとする。
【0016】
本明細書において、特に限定されて言及されない限り、単数形は複数形を含み、「1つの」や「その」は「少なくとも1つ」を意味する。本明細書において、特に言及されない限り、ある概念の要素は複数種によって発現されることが可能であり、その量(例えば質量%やモル%)が記載された場合、その量はそれら複数種の和を意味する。「および/または」は、要素の全ての組み合わせを含み、また単体での使用も含む。
【0017】
本明細書において、~または-を用いて数値範囲を示した場合、これらは両方の端点を含み、単位は共通する。例えば、5~25モル%は、5モル%以上25モル%以下を意味する。
【0018】
本明細書において、アルキルとは直鎖状または分岐鎖状飽和炭化水素から任意の水素をひとつ除去した基を意味し、直鎖状アルキルおよび分岐鎖状アルキルを包含し、シクロアルキルとは環状構造を含む飽和炭化水素から水素をひとつ除外した基を意味し、必要に応じて環状構造に直鎖状または分岐鎖状アルキルを側鎖として含む。
【0019】
本明細書において、アルケニルとは直鎖状または分岐鎖状炭化水素であって、炭素-炭素二重結合を一つ持ち、任意の炭素から一つの水素を除去した基を意味する。
【0020】
本明細書において、「Cx~y」、「Cx~Cy」および「Cx」などの記載は、分子または置換基中の炭素の数を意味する。例えば、C1~6アルキルは、1以上6以下の炭素を有するアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等)を意味する。また、本明細書でいうフルオロアルキルとは、アルキル中の1つ以上の水素がフッ素に置き換えられたものをいい、フルオロアリールとは、アリール中の1つ以上の水素がフッ素に置き換えられたものをいう。
【0021】
本明細書において、ポリマーが複数種類の繰り返し単位を有する場合、これらの繰り返し単位は共重合する。これら共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、またはこれらの混在のいずれかである。
本明細書において、%は質量%、比は質量比を表す。
【0022】
本明細書において、温度の単位は摂氏(Celsius)を使用する。例えば、20度とは摂氏20度を意味する。
【0023】
以下、本発明による実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
<ポリカルボシラザン>
本発明によるポリカルボシラザンは、以下の式(1)で表される繰り返し単位および式(2)で表される繰り返し単位を含んでなる。
【化3】
【化4】
ここで、
R
1、R
2、およびR
3は、それぞれ独立に、単結合、水素、またはC
1-4アルキルであり、好ましくは、単結合または水素である。
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立に、単結合または水素である。
ただし、R
1、R
2、R
4およびR
5が単結合の場合、他の繰り返し単位に含まれるNに結合し、R
3およびR
6が単結合の場合、他の繰り返し単位に含まれるSiに結合する。
nおよびmは、それぞれ独立に、1~3であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
本発明によるポリカルボシラザンは、好ましくは、ポリペルヒドロカルボシラザンである。ポリペルヒドロカルボシラザンは、R
1、R
2、およびR
3が、単結合または水素であり、式(1)の(CH
2)
nおよび(CH
2)
m以外に、炭化水素基を有さないものである。
ポリカルボシラザンの末端基は、好ましくは-SiH
3である。
【0025】
本発明によるポリカルボシラザンの一例は、以下である。
【化5】
【0026】
式(1)で表される繰り返し単位の数をN1および式(2)で表される繰り返し単位の数をN2とすると、本発明によるポリカルボシラザンは、N1/(N1+N2)が、好ましくは0.02~0.33であり、より好ましくは0.03~0.25である。
【0027】
本発明によるポリカルボシラザンは、好ましくは、実質的に、式(1)で表される繰り返し単位および式(2)で表される繰り返し単位からなる。本発明において、実質的にとは、ポリカルボシラザンに含まれる全ての構成単位のうちの95質量%以上が、式(I)で表される繰り返し単位および式(2)で表される繰り返し単位であることをいう。さらに好ましくは、ポリカルボシラザンが、式(I)で表される繰り返し単位および式(2)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含まない。
【0028】
本発明によるポリカルボシラザンは、ポリマー骨格中に、ケイ素2つと、炭素原子2~6つ(好ましくは2つ)とを構成員とする環を有することが特徴の1つである。この構造を有することで、硬化膜を製造する工程における応力の緩和により低残留応力の効果を有すると考えられる。
【0029】
ポリカルボシラザンの分子中に含まれる、Si原子数に対するC原子数の比率(以降、「C/Si比率」ということがある)は、C原子数が少ない場合には環構造の効果が認められず、C原子数が多い場合には得られる硬化膜のリーク電流が大きくなるため、好ましくは5~250%、より好ましくは5~120%、さらにより好ましくは8~50%である。
分子中に含まれるC/Si比率は、例えば、ポリカルボシラザンを用いて形成させた膜をラザフォード後方散乱分光法によって元素分析を行い、得られた元素比から算出することができる。具体的には、以下のようにして測定することができる。本発明によるポリカルボシラザンと溶媒とを含んでなるポリカルボシラザン溶液を窒素雰囲気下でスピンコーター(ミカサ株式会社製スピンコーター1HDX2(商品名))を用いて、4インチウェハに回転数1,000rpmでスピン塗布する。得られた塗布膜を窒素雰囲気下、240℃で10分間ベークする。ベークされた膜をPelletron 3SDH(商品名、National Electrostatics Corporation製)を用いて、ラザフォード後方散乱分光法にて元素分析を行うことで原子数比率を測定する。
【0030】
本発明によるポリカルボシラザンは、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)スペクトルにおいて、1.7~2.2ppmの面積強度(以降、「CH2強度」ということがある)と1.0~1.6ppm(以降、「NH強度」ということがある)の面積強度との和に対する、1.7~2.2ppmの面積強度の比([CH2強度/(CH2強度+NH強度)]
)が、好ましくは0.05~0.5であり、より好ましくは0.08~0.4である。なお、本発明において、例えば、1.7~2.2ppmの面積強度とは、1.7~2.2ppmの範囲の1H-NMRのスペクトルの積分値、つまり強度が0となるベースラインと曲線とによって囲まれた領域の面積を意味する。
1H-NMRスペクトルの測定方法の一例について説明する。0.4gのポリカルボシラザンを1.6gの重クロロホルムに溶解させて試料溶液を作成する。ケミカルシフトを較正するために、内標準物質として、テトラメチルシランが試料溶液に加えられる。試料溶液は核磁気共鳴装置を用いて測定され、1H-NMRスペクトルを得る。
【0031】
本発明によるポリカルボシラザンの質量平均分子量は、低分子量成分の気化を防ぎ、微細なトレンチに埋めた際の体積変化を抑制するため、大きい方が好ましく、一方、良好な塗布性や、高アスペクト比のトレンチでも良好に埋めるために、低粘度であることが好ましい。これらのことから、ポリカルボシラザンの質量平均分子量は、好ましくは1,500~25,000であり、より好ましくは2,000~20,000である。ここで質量平均分子量とは、ポリスチレン換算質量平均分子量であり、ポリスチレンの基準としてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0032】
本発明によるポリカルボシラザンの合成方法は特に限定されないが、式(3)で表される少なくとも1つの化合物と、式(4)で表される少なくとも1つの化合物とを共アンモノリシス(co-ammonolysis)によって得ることができる。
【化6】
【化7】
ここで、
R
1’およびR
2’は、それぞれ独立に、水素、塩素、臭素またはC
1-4アルキルであり、好ましくは、水素、塩素または臭素であり、
R
4’およびR
5’は、それぞれ独立に、水素、塩素、または臭素であり、
X
1およびX
2は、それぞれ独立に、塩素または臭素であり、
n’およびm’は、それぞれ独立に、1~3であり、より好ましくは1または2であり、さらに好ましくは1である。
【0033】
式(4)で表される化合物に対する、式(3)で表される化合物のモル比は、好ましくは0.02~0.5であり、より好ましくは0.03~0.33である。モル比が0.02より低い場合に、形成されたケイ素含有膜の、酸への耐性が低くなる。一方、モル比が0.5より高い場合に、形成されたケイ素含有膜のリーク電流が大きくなる。
【0034】
式(3)で表される化合物の例は、以下である。
1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3-ブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1-ブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3,3-テトラブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリブロモ-3-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1-メチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1-メチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1-メチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-3-メチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3-メチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3-メチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1-エチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1-エチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1-エチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-3-エチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3-エチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3-エチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1-プロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1-プロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1-プロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1-ブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1-ブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1-ブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3,3-トリメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-メチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3,3-トリエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-エチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3,3-トリプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3,3-トリブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-1,3,3-トリメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-3-メチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-1,3,3-トリエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-3,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-1,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-3-エチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-1,3,3-トリプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-3,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-1,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-1,3,3-トリブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-3,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-1,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,4,4-テトラクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4,4-テトラクロロブロモ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリブロモ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリクロロ-4-メチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリブロモ-4-メチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリクロロ-4-エチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリブロモ-4-エチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリクロロ-4-プロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリブロモ-4-プロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリクロロ-4-ブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリブロモ-4-ブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジブロモ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジクロロ-4-メチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジクロロ-1,4-ジメチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジブロモ-4-メチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジブロモ-1,4-ジメチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジクロロ-4-エチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジクロロ-1,4-ジエチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジブロモ-4-エチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジブロモ-1,4-ジエチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジクロロ-4-プロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジクロロ-1,4-ジプロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジブロモ-4-プロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジブロモ-1,4-ジプロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジクロロ-4-ブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジクロロ-1,4-ジブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジブロモ-4-ブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジブロモ-1,4-ジブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-4-メチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-4,4-ジメチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-4-メチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-4,4-ジメチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-4-エチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-4,4-ジエチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-4-エチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-4,4-ジエチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-4-プロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-4,4-ジプロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-4-プロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-4,4-ジプロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-4-ブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-4,4-ジブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-4-ブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-4,4-ジブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,4,4-トリメチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-4,4-ジメチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,4-ジメチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-4-メチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,4,4-トリエチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-4,4-ジエチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,4-ジエチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-4-エチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,4,4-トリプロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-4,4-ジプロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,4-ジプロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-4-プロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,4,4-トリブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-4,4-ジブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,4-ジブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-4-ブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,4,4-トリメチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-4,4-ジメチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,4-ジメチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-4-メチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,4,4-トリエチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-4,4-ジエチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,4-ジエチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-4-エチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,4,4-トリプロピル-1,4-ジシラシクロヘキ
サン、1-クロロ-4,4-ジプロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,4-ジプロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-4-プロピル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,4,4-トリブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-4,4-ジブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,4-ジブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-4-ブチル-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3,3-テトラクロロブロモ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリブロモ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリクロロ-3-メチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリブロモ-3-メチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリクロロ-3-エチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリブロモ-3-エチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリクロロ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリブロモ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリクロロ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリブロモ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジブロモ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジクロロ-3-メチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジクロロ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジブロモ-3-メチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジブロモ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジクロロ-3-エチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジクロロ-1,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジブロモ-3-エチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジブロモ-1,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジクロロ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジクロロ-1,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジブロモ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジブロモ-1,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジクロロ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジクロロ-1,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジブロモ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジブロモ-1,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-3-メチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-3-メチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-3-エチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-3,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-3-エチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-3,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-3,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-3,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-3,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-3,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,3,3-トリメチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-3-メチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,3,3-トリエチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-3,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-3-エチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,3,3-トリプロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-3,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,3,3-トリブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-3,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,3,3-トリメチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-3,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-3-メチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,3,3-トリエチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-3,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,3-ジエチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-3-エチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,3,3-トリプロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-3,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,3-ジプロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-3-プロピル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,3,3-トリブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-3,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,3-ジブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-3-ブチル-1,3-ジシラシクロヘキサン。
好ましくは、1,1-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3-ブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1-ブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3,3-テトラブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリブロモ-3-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,4,4-テトラクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4,4-テトラクロロブロモ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,4-トリブロモ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,4-ジブロモ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,4-ジシラシクロヘキサン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3,3-テトラクロロブロモ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1,3-トリブロモ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,3-ジブロモ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジクロロ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1,1-ジブロモ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-ブロモ-1,3-ジシラシクロヘキサン、1-クロロ-1,3-ジシラシクロヘキサンであり、より好ましくは、1,1-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-3-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジクロロ-3-ブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1-ブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3,3-テトラブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリブロモ-3-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジブロモ-3,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラシクロブタンである。
これらは、単独で、または組み合わせて使用できる。
【0035】
式(4)で表される化合物の例は、以下である。
トリクロロシラン、ジクロロシラン、テトラクロロシラン、ブロモジクロロシラン、ブロモクロロシラン、ジブロモジクロロシラン、トリブロモシラン、ジブロモシラン、テトラブロモシラン。
これらは、単独で、または組み合わせて使用できる。
【0036】
式(3)で表される化合物と、式(4)で表される化合物との共アンモノリシスは、溶媒中で行われる。式(3)で表される化合物が溶媒に溶解され、次に式(4)で表される化合物が加えられる。それに、アンモニアが加えられる。加えられるアンモニアのモル数は、式(3)の化合物のモル数と式(4)の化合物のモル数との合計モル数に対して、好ましくは3~6倍である。共アンモノリシスは、-10~20℃で1~24時間行われ、その反応後、副生成物がろ過により除去され、溶媒中のポリカルボシラザンを得る。
【0037】
共アンモノリシスに用いられる溶媒は、特に限定されないが、好適な溶媒は以下である。
芳香族化合物(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン);飽和炭化水素化合物(例えばシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジペンテン、n-ペンタン、i-ペンタン、n-ヘキサン、i-ヘキサン、n-ヘプタン、i-ヘプタン、n-オクタン、i-オクタン、n-ノナン、i-ノナン、n-デカン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、p-メンタン);不飽和炭化水素(例えばシクロヘキセン);ハロゲン化炭化水素化合物(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン、およびテトラクロロエタン);ヘテロ環化合物(例えば、ピロリジン、ピロール、イミダゾリジン、ピペリジン、ピリジン、メチルピリジン、ジメチルピリジン、ピリダジン、アゼパン、およびキノリン);エーテル化合物(例えばジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール);エステル化合物(例えば、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、酢酸n-アミル、酢酸i-アミル);ケトン化合物(例えばメチルイソブチルケトン(MIBK);およびターシャリーアミン化合物(例えば、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、およびトリエチルアミン)。
これらは、単独で、または組み合わせて使用できる。
【0038】
<組成物>
本発明による組成物は、上記のポリカルボシラザンおよび溶媒を含んでなる。
【0039】
溶媒は、好ましくは、芳香族化合物、飽和炭化水素化合物、不飽和炭化水素化合物、エーテル化合物、エステル化合物およびケトン化合物からなる群から選択される少なくとも1つである。具体的には、以下が挙げられる。芳香族化合物(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン);飽和炭化水素化合物(例えばシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジペンテン、n-ペンタン、i-ペンタン、n-ヘキサン、i-ヘキサン、n-ヘプタン、i-ヘプタン、n-オクタン、i-オクタン、n-ノナン、i-ノナン、n-デカン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、p-メンタン);不飽和炭化水素(例えばシクロヘキセン);エーテル化合物(例えばジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール);エステル化合物(例えば、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、酢酸n-アミル、酢酸i-アミル);ケトン化合物(例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)。
これらは、単独で、または組み合わせて使用できる。
【0040】
本発明による組成物は、組成物の総質量を基準として、好ましくは1~50質量%、より好ましくは1~30質量%のポリカルボシラザンを含んでなる。
【0041】
本発明による組成物は、必要に応じて更なる成分を組み合わせることができる。これらの成分について説明すると以下の通りである。なお、組成物全体にしめるポリカルボシラザンおよび溶媒以外の成分は、全体の質量に対して、10%以下が好ましく、より好ましくは5%以下である。
【0042】
<任意成分>
任意成分としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。
【0043】
界面活性剤は塗布性を改善することができるため、用いることが好ましい。本発明による組成物に使用することのできる界面活性剤としては、例えば非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0044】
上記非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類やポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンポリオキシピロピレンブロックポリマー、アセチレンアルコール、アセチレングリコール、アセチレンアルコールのポリエトキシレートなどのアセチレンアルコール誘導体、アセチレングリコールのポリエトキシレートなどのアセチレングリコール誘導体、フッ素含有界面活性剤、例えばフロラード(商品名、スリーエム株式会社製)、メガファック(商品名、DIC株式会社製)、スルフロン(商品名、旭硝子株式会社製)、又は有機シロキサン界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。前記アセチレングリコールとしては、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0045】
またアニオン系界面活性剤としては、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアンモニウム塩又は有機アミン塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸のアンモニウム塩又は有機アミン塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアンモニウム塩又は有機アミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸のアンモニウム塩又は有機アミン塩、アルキル硫酸のアンモニウム塩又は有機アミン塩などが挙げられる。
【0046】
さらに両性界面活性剤としては、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリル酸アミドプロピルヒドロキシスルホンベタインなどが挙げられる。
【0047】
これら界面活性剤は、単独で又は2種以上混合して使用することができ、その配合比は、組成物の総質量を基準として、通常50~10,000ppm、好ましくは100~5,000ppmである。
【0048】
<ケイ素含有膜の製造方法>
本発明によるケイ素含膜の製造方法は、
上記の組成物を用いて、基板に塗膜を形成すること、および
塗膜を加熱すること
を含んでなる。
本発明において、「基材に」は、組成物を基材に直接塗布するケースや、組成物を1以上の中間層を介して基材に塗布するケースも含むものとする。
【0049】
基材表面に対する組成物の塗布方法としては、従来公知の方法、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、転写法、ロールコート、バーコート、刷毛塗り、ドクターコート、フローコート、およびスリット塗布等から任意に選択することができる。また組成物を塗布する基材としては、シリコン基板、ガラス基板、樹脂フィルム等の適当な基材を用いることができる。これらの基材には、必要に応じて各種の半導体素子などが形成されていてもよい。基材がフィルムである場合には、グラビア塗布も利用可能である。所望により塗膜後に乾燥工程を別に設けることもできる。また、必要に応じて塗布工程を2回以上繰り返して、形成される塗膜の膜厚を所望のものとすることもできる。
【0050】
本発明による組成物の塗膜を形成した後、その塗膜の乾燥、および溶媒残存量を減少させるため、その塗膜をプリベーク(加熱処理)してもよい。プリベーク工程は、酸化雰囲気または非酸化雰囲気中で、好ましくは50~400℃の温度で、ホットプレートによる場合には10~300秒間、クリーンオーブンによる場合には1~30分間実施することができる。
【0051】
その後、必要に応じてプリベークされた塗膜を、酸化雰囲気下または非酸化雰囲気下で加熱して、硬化させて、ケイ素含有膜を形成させる。
【0052】
酸化雰囲気は、全圧が101kPaのときに、酸素分圧が、20~101kPaであることをいい、好ましくは40~101kPaであり、より好ましくは1.5~80kPaの水蒸気分圧を含む。
加熱は、200~800℃の温度範囲で行われる。
【0053】
なお、水蒸気を含む雰囲気において、高温(例えば600℃を超える温度)で加熱すると、同時に加熱処理にさらされる電子デバイス等の他の要素が存在する場合、その他の要素への悪影響が懸念されることがある。このような場合、この加熱工程を2段階以上(より好ましくは3段階以上)に分けることができる。例えば、最初に水蒸気を含む雰囲気において低温(例えば、200~400℃の温度範囲)で加熱し、次に、水蒸気を含む雰囲気において比較的低温(例えば、300~600℃の温度範囲)で加熱し、そして、水蒸気を含まない雰囲気でより高温(例えば、400~800℃)で加熱することができる。
【0054】
水蒸気を含む雰囲気における水蒸気以外の成分(以下、希釈ガスということがある)としては、任意のガスを使用することができ、例えば、空気、酸素、窒素、酸化窒素、オゾン、ヘリウム、アルゴンが挙げられる。ケイ素含有膜の膜質を考慮すると、希釈ガスとして酸素を用いることが好ましい。
【0055】
非酸化雰囲気とは、酸素濃度1ppm以下、かつ露点-76℃以下である雰囲気のことをいう。好ましくは、N2、Ar、He、Ne、H2、またはこれらの2種類以上の混合ガス雰囲気である。
加熱は、200~1000℃の温度範囲で行われる。
【0056】
加熱の際の目標温度までの昇温速度および降温速度は、特に限定されないが、一般に、1~100℃/分の範囲とすることができる。目標温度到達後の加熱保持時間にも特に制限はなく、一般に1分~10時間の範囲とすることができる。
【0057】
酸化雰囲気下で加熱により硬化させたケイ素含有膜は、シリカ質膜である。本発明において、シリカ質膜とは、ケイ素原子数に対する酸素原子数の比(O/Si)が、1.20~2.50、好ましくは1.40~2.50、より好ましくは1.60~2.45である酸素原子およびケイ素原子を含んでなる膜のことをいう。シリカ質膜は、水素、窒素、炭素などの他の原子を含むことができる。
【0058】
非酸化雰囲気下で加熱により硬化させたケイ素含有膜は、炭窒化ケイ素質膜(siliconcarbonitrogenous film)である。本発明において、炭窒化ケイ素質膜とは、ケイ素原子数に対する窒素原子数の比(N/Si)が、0.70~1.10、好ましくは0.75~0.98、であり、かつケイ素原子数に対する炭素原子数の比(C/Si)が、0.02~12.5、好ましくは0.03~11.5である、炭素原子、窒素原子およびケイ素原子を含んでなる膜のことをいう。炭窒化ケイ素質膜は、水素および酸素などの他の原子を含むことができる。
【0059】
ケイ素含有膜の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは、0.1~1.8μm、より好ましくは0.1~1.5μmである。
【0060】
また、本発明による電子素子の製造方法は、上記の製造方法を含んでなるものである。好ましくは、本発明による電子素子は、半導体素子、太陽電池チップ、有機発光ダイオード、無機発光ダイオードである。本発明の電子素子の好ましい一形態は、半導体素子である。
【0061】
[実施例]
以降において本発明を実施例により説明する。これらの実施例は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限することを意図しない。
【0062】
<合成例1:ポリカルボシラザンA>
冷却コンデンサー、メカニカルスターラーと温度制御装置を備えた1L反応容器内部を乾燥窒素で置換した後、乾燥ピリジン500mlを反応容器に投入し、-3℃まで冷却する。次いでジクロロシラン12.3gと1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロブタン2.75gを加える。反応混合物が0℃以下になったことを確認し、撹拌しながらこれにゆっくりとアンモニア11.3gを吹き込む。引き続いて30分間撹拌し続けた後、乾燥窒素を液層に30分間吹き込み、過剰のアンモニアを除去する。得られたスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気下でテフロン(登録商標)製0.2μmフィルターを用いて加圧濾過を行い、濾液400mlを得る。濾液のピリジンを溜去後、キシレンを加え濃度21.2質量%のポリカルボシラザンのキシレン溶液を得る。得られたポリカルボシラザンの質量平均分子量(以下、Mwという)をゲル浸透クロマトグラフィーにより測定を行い、ポリスチレン換算で5,260である。
【0063】
<合成例2:ポリカルボシラザンB>
冷却コンデンサー、メカニカルスターラーと温度制御装置を備えた1L反応容器内部を乾燥窒素で置換した後、乾燥ピリジン500mlを反応容器に投入し、-3℃まで冷却する。次いでジクロロシラン9.67gと1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロブタン4.33gを加える。反応混合物が0℃以下になったことを確認し、撹拌しながらこれにゆっくりとアンモニア10.3gを吹き込む。引き続いて30分間撹拌し続けた後、乾燥窒素を液層に30分間吹き込み、過剰のアンモニアを除去する。得られたスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気下でテフロン(登録商標)製0.2μmフィルターを用いて加圧濾過を行い、濾液400mlを得る。濾液のピリジンを溜去後、キシレンを加え濃度21.5質量%のポリカルボシラザンのキシレン溶液を得る。得られたポリカルボシラザンのMwをゲル浸透クロマトグラフィーにより測定を行い、ポリスチレン換算で7,850である。
【0064】
<合成例3:ポリカルボシラザンC>
冷却コンデンサー、メカニカルスターラーと温度制御装置を備えた1L反応容器内部を乾燥窒素で置換した後、乾燥ピリジン500mlを反応容器に投入し、-3℃まで冷却する。次いでジクロロシラン20.1gと1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロブタン2.25gを加える。反応混合物が0℃以下になったことを確認し、撹拌しながらこれにゆっくりとアンモニア16.8gを吹き込む。引き続いて30分間撹拌し続けた後、乾燥窒素を液層に30分間吹き込み、過剰のアンモニアを除去する。得られたスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気下でテフロン(登録商標)製0.2μmフィルターを用いて加圧濾過を行い、濾液400mlを得る。濾液のピリジンを溜去後、キシレンを加え濃度21.0質量%のポリカルボシラザンのキシレン溶液を得る。得られたポリカルボシラザンのMwをゲル浸透クロマトグラフィーにより測定を行い、ポリスチレン換算で4,880である。
【0065】
ポリカルボシラザンA~Cは、FTIR6100(日本分光株式会社)を用いた赤外吸収スペクトル、
1H-NMR、および
29Si-NMRの測定により、ポリペルヒドロカルボシラザンであることがわかる。ポリカルボシラザンA~Cは、
29Si-NMRの測定により、Si-Si結合を有していないこともわかる。
また、ラマン分光光度計(堀場製作所製 LabRAM HR Evolution)により測定されるラマンスペクトルにおいて、770cm
-1にピークが存在するため、炭素2つとケイ素2つを構成員とする4員環を有することもわかる。
図1は、ポリカルボシラザンBのラマンスペクトルである。
【0066】
<比較合成例1:ポリシラザン>
特開平1-138108記載の方法によりポリシラザンを得る。これは、ペルポリヒドロポリシラザンである。
【0067】
合成例および比較合成例で得られたポリマーのMw、C/Si比率、およびCH2強度/(CH2強度+NH強度)は表1のとおりである。これらは以下に記載のように測定される。
【0068】
[質量平均分子分子量]
質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを基準としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。GPCは、allianceTM e2695型高速GPCシステム(日本ウォーターズ株式会社)およびSuper Multipore HZ-N型GPCカラム(東ソー株式会社)を用いて測定を行う。測定は、単分散ポリスチレンを標準試料とし、クロロホルムを展開溶媒として、流量0.6ミリリットル/分、カラム温度40℃の測定条件で行った上で、標準試料への相対分子量としてMwを算出する。
【0069】
[C/Si比率]
C/Si比率は以下のように測定される。得られたポリマーと溶媒を含む溶液を窒素中でスピンコーター(ミカサ株式会社、スピンコーター1HDX2)を用いて、4インチウェハに回転数1000rpmでスピン塗布する。得られた塗布膜を窒素中、240℃で10分間ベークする。ベーク膜をPelletron 3SDH(National Electrostatics Corporation製)を用いて、ラザフォード後方散乱分光法にて元素分析を行うことで測定する。
【0070】
[CH
2強度/(CH
2強度+NH強度)]
1H-NMRの測定は、0.4gの得られたポリマーを1.6gの重クロロホルムに溶解させて試料溶液を用いて行われる。ケミカルシフトを較正するために、内標準物質として、テトラメチルシランが試料溶液に加えられる。各試料溶液はJNM-ECS400型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社)を用いて80回測定され、
1H-NMRスペクトルを得る。1.7~2.2ppmの積分強度をCH
2強度として、1.0~1.6ppmの積分強度をNH強度として、測定する。CH
2強度を、CH
2強度とNH強度との和によって、割り算することにより、CH
2強度/(CH
2強度+NH強度)を得る。
【表1】
【0071】
<実施例11>
ポリカルボシラザンAの濃度が18質量%になるように溶媒キシレンと混合した組成物をSi基板に、窒素雰囲気中で、スピンコーター(1HDX2、ミカサ株式会社)を用いて、塗布して、塗膜を形成させる。得られた塗膜を、ホットプレート上で150℃で3分間加熱(プリベーク)する。このときの膜厚は450nmである。プリベークされた塗膜を水蒸気雰囲気下で350℃で60分間加熱し、さらに窒素雰囲気下で600℃で60分間加熱し、硬化膜を得る。
実施例11で得られる硬化膜は、ケイ素原子数に対する酸素原子数の比(O/Si)が1.77であるシリカ質膜である。これは、二次イオン質量分析法にて元素分析を行うことで測定される。
<実施例12>
ポリカルボシラザンAを、ポリカルボシラザンBに代えたこと以外は、上記の実施例11と同様にして、硬化膜を得る。
実施例12で得られる硬化膜は、O/Siが1.65であるシリカ質膜である。
<比較例11>
ポリカルボシラザンAを、比較合成例1のポリシラザンに代えたこと以外は、上記の実施例11と同様にして、硬化膜を得る。
比較例11で得られる硬化膜は、O/Siが1.97であるシリカ質膜である。
【0072】
<実施例21>
水蒸気雰囲気下で350℃で60分間加熱を、窒素雰囲気下で450℃で60分間加熱に代えたこと以外は、上記の実施例11と同様にして、硬化膜を得る。
実施例21で得られる硬化膜は、N/Siが0.581であり、C/Siが0.168である、炭窒化ケイ素質膜である。
<実施例22>
ポリカルボシラザンAを、ポリカルボシラザンBに代えたこと以外は、上記の実施例21と同様にして、硬化膜を得る。
実施例22で得られる硬化膜は、N/Siが0.458であり、C/Siが0.289である、炭窒化ケイ素質膜である。
<比較例21>
ポリカルボシラザンAを、比較合成例1のポリシラザンに代えたこと以外は、上記の実施例21と同様にして、硬化膜を得る。
比較例21で得られる硬化膜は、N/Siが0.737であり、C/Siは測定不可である、窒化ケイ素質膜である。
【0073】
上記の実施例および比較例について、プリベーク後の膜の膜厚と屈折率、硬化膜の膜厚、屈折率、収縮量、残留応力、相対ウェットエッチングレート、および破壊電界について測定する。得られた結果は、表2および3のとおりである。各測定方法は、以下のとおりである。
【0074】
[膜厚]
膜厚は、分光エリプソメーターM-2000V(JA ウーラム)を用いて測定される。膜厚は、ウェハ上で、中心部を除く8点で膜厚を測定し、その平均値を用いる。
[屈折率]
屈折率は、分光エリプソメーターM-2000V(JA ウーラム社製)を用いて、633nmの波長における値の測定を行う。
[収縮量]
収縮量(%)は、((硬化膜の膜厚)-(プリベーク後の膜厚))/(プリベーク後の膜厚)×100の値である。
[残留応力]
硬化膜の残留応力は、薄膜応力測定装置FLX-3300-T(東朋テクノロジー)を用いて測定される。
[相対ウェットエッチングレート(WER)]
比較対象として、Si基板に熱酸化膜を形成したものを準備する。
硬化膜の基板および熱酸化膜の基板は、1.0質量%のフッ化水素酸水溶液に、20℃で3分間浸漬され、その後、純水でリンスおよび乾燥され、そのときの膜厚が、分光エリプソメーターM-2000V(JA ウーラム)を用いて測定される。この作業を繰り返し行う。ウェットエッチングレートは、エッチング時間と膜厚の減少量との関係を線形近似することによって計算される。相対ウェットエッチングレートは、硬化膜のウェットエッチングレートを熱酸化膜のウェットエッチングレートで割った値である。
[破壊電界(Fbd)]
ポリマーの濃度を調整し、200nmの膜厚となるように硬化膜を調製する。その硬化膜を日本エス・エス・エム株式会社製SSM495 272A-M100を使用して、電流密度が1E
-6(A/cm
2)を超えた時の電界をFbd(MV/cm)とする。
【表2】
【表3】
【0075】
<実施例31>
ポリカルボシラザンAと溶媒キシレンとを混合した組成物をSi基板に、窒素雰囲気中で、スピンコーター(1HDX2、ミカサ株式会社)を用いて、塗布して、塗膜を形成させる。得られた塗膜を、ホットプレート上で150℃で3分間加熱(プリベーク)する。プリベークされた塗膜を水蒸気雰囲気下で300℃で60分間加熱し、さらに窒素雰囲気下で850℃で60分間加熱し、硬化膜を得る。プリベーク後の膜厚が、0.5μm、1μm、1.5μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、および3.0μmとなるように、組成物の濃度を調整して、行う。
<比較例31>
ポリカルボシラザンAを、比較合成例1のポリシラザンに代えたこと以外は、上記の実施例31と同様にして、硬化膜を得る。
【0076】
[クラック耐性]
それぞれの硬化膜を目視により観察し、以下の基準により評価する。得られた結果は、表4のとおりである。
A:硬化膜にクラックが確認されない
B:硬化膜の一部にクラックが確認される
C:硬化膜の全体にクラックが確認される
【表4】