(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240830BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 648K
H01L21/304 648A
H01L21/304 651B
H01L21/306 R
(21)【出願番号】P 2020151297
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸本 洋
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-201723(JP,A)
【文献】特表2017-530543(JP,A)
【文献】国際公開第2014/010005(WO,A1)
【文献】特開2020-068228(JP,A)
【文献】特開平11-165114(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110301(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0126509(US,A1)
【文献】特開2017-092387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持する基板保持機構および前記基板保持機構に保持された前記基板に向けて処理液を吐出する処理液供給部を備える処理ユニットを用いて前記基板に対して液処理を行う工程と、
前記処理ユニットに設けられた複数のセンサを用いて、前記液処理中における前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度をそれぞれ検出する工程と、
前記液処理の処理条件を規定す
る複数のパラメータ値と、前記検出する工程によって検出された前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度とに基づき、前記液処理中における前記基板の面内温度分布を示す温度分布情報を生成する工程と、
前記温度分布情報に基づき、前記液処理の結果の良否を判定する工程
と
を含
み、
前記処理液供給部は、前記処理液を吐出するノズルと、前記ノズルに接続されて前記処理液を前記ノズルに供給する供給ラインとを備え、
前記液処理を行う工程は、前記ノズルから前記基板の中心部に向けて前記処理液を吐出し、
前記検出する工程は、前記ノズルまたは前記供給ラインに設けられた温度センサによって検出される温度を前記基板の中心部の温度として検出する、基板処理方法。
【請求項2】
基板を水平に保持する基板保持機構および前記基板保持機構に保持された前記基板に向けて処理液を吐出する処理液供給部を備える処理ユニットを用いて前記基板に対して液処理を行う工程と、
前記処理ユニットに設けられた複数のセンサを用いて、前記液処理中における前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度をそれぞれ検出する工程と、
前記液処理の処理条件を規定す
る複数のパラメータ値と、前記検出する工程によって検出された前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度とに基づき、前記液処理中における前記基板の面内温度分布を示す温度分布情報を生成する工程と、
前記温度分布情報に基づき、前記液処理の結果の良否を判定する工程
と
を含
み、
前記基板保持機構は、前記基板の端部を把持する複数の把持部を備え、
前記検出する工程は、前記複数の把持部の少なくとも1つに設けられた温度センサによって検出される温度を前記基板の端部の温度として検出する、基板処理方法。
【請求項3】
基板を水平に保持する基板保持機構および前記基板保持機構に保持された前記基板に向けて処理液を吐出する処理液供給部を備える処理ユニットを用いて前記基板に対して液処理を行う工程と、
前記処理ユニットに設けられた複数のセンサを用いて、前記液処理中における前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度をそれぞれ検出する工程と、
前記液処理の処理条件を規定す
る複数のパラメータ値と、前記検出する工程によって検出された前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度とに基づき、前記液処理中における前記基板の面内温度分布を示す温度分布情報を生成する工程と、
前記温度分布情報に基づき、前記液処理の結果の良否を判定する工程
と
を含
み、
前記判定する工程は、前記生成する工程によって生成された複数の前記温度分布情報に基づき、前記基板ごとに、他の複数の前記基板との間における前記液処理の結果のずれの有無を判定する、基板処理方法。
【請求項4】
基板を水平に保持する基板保持機構および前記基板保持機構に保持された前記基板に向けて処理液を吐出する処理液供給部を備える処理ユニットを用いて前記基板に対して液処理を行う工程と、
前記処理ユニットに設けられた複数のセンサを用いて、前記液処理中における前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度をそれぞれ検出する工程と、
前記液処理の処理条件を規定す
る複数のパラメータ値と、前記検出する工程によって検出された前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度とに基づき、前記液処理中における前記基板の面内温度分布を示す温度分布情報を生成する工程と、
前記温度分布情報に基づき、前記液処理の結果の良否を判定する工程
と
を含
み、
前記液処理を行う工程は、複数の前記基板に対する前記液処理を複数の前記処理ユニットを用いて行い、
前記判定する工程は、前記生成する工程によって生成された複数の前記温度分布情報に基づき、前記処理ユニットごとに、他の複数の前記処理ユニットとの間における前記液処理の結果のずれの有無を判定する、基板処理方法。
【請求項5】
基板を水平に保持する基板保持機構および前記基板保持機構に保持された前記基板に向けて処理液を吐出する処理液供給部を備える処理ユニットを用いて前記基板に対して液処理を行う工程と、
前記処理ユニットに設けられた複数のセンサを用いて、前記液処理中における前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度をそれぞれ検出する工程と、
前記液処理の処理条件を規定す
る複数のパラメータ値と、前記検出する工程によって検出された前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度とに基づき、前記液処理中における前記基板の面内温度分布を示す温度分布情報を生成する工程と、
前記温度分布情報に基づき、前記液処理の結果の良否を判定する工程
と
を含
み、
前記判定する工程は、前記生成する工程によって生成された複数の前記温度分布情報に基づき、前記基板の製造単位であるロットごとに、他の複数のロットとの間における前記液処理の結果のずれの有無を判定する、基板処理方法。
【請求項6】
基板を水平に保持する基板保持機構および前記基板保持機構に保持された前記基板に向けて処理液を吐出する処理液供給部を備える処理ユニットを用いて前記基板に対して液処理を行う工程と、
前記処理ユニットに設けられた複数のセンサを用いて、前記液処理中における前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度をそれぞれ検出する工程と、
前記液処理の処理条件を規定す
る複数のパラメータ値と、前記検出する工程によって検出された前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度とに基づき、前記液処理中における前記基板の面内温度分布を示す温度分布情報を生成する工程と、
前記温度分布情報に基づき、前記液処理の結果の良否を判定する工程と、
前記処理ユニット内の露点温度を取得する工程と
を含
み、
前記判定する工程は、前記温度分布情報および前記露点温度に基づき、前記液処理中における前記基板の結露の有無を判定する、基板処理方法。
【請求項7】
基板を水平に保持する基板保持機構および前記基板保持機構に保持された前記基板に向けて処理液を吐出する処理液供給部を備える処理ユニットを用いて前記基板に対して液処理を行う工程と、
前記処理ユニットに設けられた複数のセンサを用いて、前記液処理中における前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度をそれぞれ検出する工程と、
前記液処理の処理条件を規定す
る複数のパラメータ値と、前記検出する工程によって検出された前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度とに基づき、前記液処理中における前記基板の面内温度分布を示す温度分布情報を生成する工程と、
前記温度分布情報に基づき、前記液処理の結果の良否を判定する工程と、
前記処理液供給部から吐出される前記処理液の温度を補正する工程と
を含
み、
前記処理液供給部は、前記処理液を吐出するノズルと、前記ノズルに接続されて前記処理液を前記ノズルに供給する供給ラインとを備え、
前記液処理を行う工程は、前記ノズルから前記基板の中心部に向けて前記処理液を吐出し、
前記検出する工程は、前記ノズルまたは前記供給ラインに設けられた温度センサによって検出される温度を前記基板の中心部の温度として検出し、
前記処理液の温度を補正する工程は、前記温度分布情報に基づき、前記供給ラインに設けられた温度調整部を制御して、前記処理液供給部から吐出される前記処理液の温度を補正する、基板処理方法。
【請求項8】
前記複数のパラメータ値は、前記処理ユニット内の空間温度ならびに空間湿度、前記処理液の吐出流量および前記基板の回転数の少なくとも1つを含む、請求項1~
7のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記温度分布情報に基づき、前記複数のパラメータ値のうち少なくとも1つを補正する工程
を含む、請求項1~8のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項10】
基板の端部を把持する複数の把持部を備え、前記基板を水平に保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構に保持された前記基板に向けて処理液を吐出する処理液供給部と、
前記基板保持機構に保持された前記基板の中心部の温度を検出する第1温度センサと、
前記基板保持機構に保持された前記基板の端部の温度を検出する温度センサであって、前記複数の把持部の少なくとも1つに設けられる第2温度センサと、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記基板保持機構を用いて前記基板を水平に保持した状態で、前記処理液供給部から前記基板に向けて前記処理液を吐出することにより、前記基板に対して液処理を行う工程と、
前記第1温度センサおよび前記第2温度センサを用いて、前記液処理中における前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度をそれぞれ検出する工程と、
前記液処理の処理条件を規定する1または複数のパラメータ値と、前記検出する工程によって検出された前記基板の中心部の温度および前記基板の端部の温度とに基づき、前記液処理中における前記基板の面内温度分布を示す温度分布情報を生成する工程と、
前記温度分布情報に基づき、前記液処理の結果の良否を判定する工程と
を含む基板処理方法を各部に実行させる、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等の基板を回転させつつ、回転する基板に対して処理液を供給することにより、基板を処理する基板処理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、製品基板に対する液処理の結果の良否を製品基板ごとに適切に把握することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理方法は、液処理を行う工程と、検出する工程と、生成する工程と、判定する工程とを含む。液処理を行う工程は、基板を水平に保持する基板保持機構および基板保持機構に保持された基板に向けて処理液を吐出する処理液供給部を備える処理ユニットを用いて基板に対して液処理を行う。検出する工程は、処理ユニットに設けられた複数のセンサを用いて、液処理中における基板の中心部の温度および基板の端部の温度をそれぞれ検出する。生成する工程は、液処理の処理条件を規定する1または複数のパラメータ値と、検出する工程によって検出された基板の中心部の温度および基板の端部の温度とに基づき、液処理中における基板の面内温度分布を示す温度分布情報を生成する。判定する工程は、温度分布情報に基づき、液処理の結果の良否を判定する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、製品基板に対する液処理の結果の良否を製品基板ごとに適切に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る処理ユニットの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る温度センサの配置例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る置換液供給ユニットの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る処理ユニットが実行する液処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る収集情報の例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る温度分布情報の例を示す図である。
【
図9】
図9は、エッチングレート換算処理の例を示す図である。
【
図10】
図10は、ウエハ間差の有無を判定する例を示す図である。
【
図11】
図11は、処理ユニット間差の有無を判定する例を示す図である。
【
図12】
図12は、ロット間差の有無を判定する例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る監視処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、
図13に示すステップS103の判定処理の第1の例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、
図13に示すステップS103の判定処理の第2の例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、
図13に示すステップS103の判定処理の第3の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理方法および基板処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により開示される基板処理方法および基板処理装置が限定されるものではない。
【0009】
半導体ウエハ等の基板(以下、「ウエハ」と記載する。)に処理液を供給してウエハを処理する液処理プロセスにおいて、液処理中におけるウエハ温度は、プロセス結果に影響を与える重要なファクターの一つである。したがって、プロセス結果の良否をより正確に把握するために、液処理中におけるウエハ温度を適切に把握することが望まれている。
【0010】
従来、ウエハ温度を測定する手法として、センサが内蔵されたテストウエハを製品ウエハと同様のプロセスで液処理し、これにより得られた温度データから液処理中における製品ウエハの温度を推測する手法が知られている。しかしながら、この手法では、液処理中における製品ウエハの温度を製品ウエハごとに個別に把握することはできない。
【0011】
したがって、液処理中における製品ウエハの温度を製品ウエハごとに把握することにより、製品ウエハに対する液処理の結果の良否を適切に把握する技術の提供が期待されている。
【0012】
実施形態に係る基板処理システムは、処理ユニットに設けられた1または複数の温度センサを用いて、液処理中における製品ウエハの局所的な温度(たとえば、中心部の温度、端部の温度など)を検出する。また、実施形態に係る基板処理システムは、検出した温度と、液処理の処理条件を規定する1または複数のパラメータ値とに基づき、液処理中における製品ウエハの面内温度分布を示す温度分布情報を生成する。
【0013】
そして、実施形態に係る基板処理システムは、生成した温度分布情報に基づいて、液処理の結果の良否を判定する。
【0014】
具体的には、実施形態に係る基板処理システムは、生成した温度分布情報に基づき、製品ウエハごとに、一連の液処理に含まれる各処理(たとえば、エッチング処理、乾燥処理等)の結果の良否を判定する。さらに、実施形態に係る基板処理システムは、液処理の結果のウエハ間差、処理ユニット間差およびロット間差の有無を判定することもできる。
【0015】
このように、実施形態に係る基板処理システムでは、液処理中における製品ウエハの面内温度分布を製品ウエハごとに把握することで、液処理の結果の良否を製品ウエハごとに把握することができる。したがって、実施形態に係る基板処理システムによれば、液処理の結果の異常および各種間差の発生等を早期に発見することができ、不良ウエハの発生を低減することができる。
【0016】
<基板処理システムの概要>
実施形態に係る基板処理システム1(基板処理装置の一例)の概略構成について
図1を参照し説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理システム1の概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0017】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0018】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、実施形態では半導体ウエハW(以下、ウエハWと呼称する。)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0019】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウエハWの搬送を行う。
【0020】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0021】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウエハWの搬送を行う。
【0022】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対して基板処理を行う。処理ユニット16は、搬送されたウエハを保持し、保持したウエハに基板処理を行う。処理ユニット16は、保持されたウエハに処理液を供給し、基板処理を行う。
【0023】
処理液は、たとえばエッチング液である。エッチング液は、特に限定されないが、たとえば、HF(フッ酸)、HCl(塩酸)およびTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等が用いられ得る。また、処理液は、SC1(アンモニア、過酸化水素および水の混合液)およびDHF(希フッ酸)等の洗浄液であってもよい。また、処理液は、DIW(脱イオン水)などのリンス液であってもよいし、IPA(イソプロピルアルコール)などの置換液であってもよい。
【0024】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0025】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0026】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCから製品ウエハW(以下、単に「ウエハW」と記載する。)を取り出して受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0027】
処理ユニット16へ搬入されたウエハWは、処理ユニット16によって基板処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0028】
<処理ユニットの概要>
次に、処理ユニット16の構成について
図2を参照して説明する。
図2は、実施形態に係る処理ユニット16の構成を示す図である。
【0029】
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理液供給部40と、回収カップ50と、裏面供給部60とを備える。
【0030】
チャンバ20は、基板保持機構30、処理液供給部40、回収カップ50および裏面供給部60を収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、供給ライン21aを介して清浄気体供給源21bに接続され、清浄気体供給源21bから供給される清浄気体をチャンバ20の天井部から下方に向かって吐出することにより、チャンバ20内にダウンフローを形成する。清浄気体としては、たとえばドライエアが用いられ得る。また、清浄気体としては、N2(窒素)ガスおよびアルゴンガス等の不活性ガスが用いられ得る。なお、清浄気体供給源21bから供給される清浄気体は、予め所定の温度および湿度に調整されているものとする。
【0031】
供給ライン21aには、バルブ21c、温度調整部21d、湿度調整部21eが設けられる。バルブ21cは、供給ライン21aを開閉する。温度調整部21dは、供給ライン21aを流れる清浄気体の温度を調整する。湿度調整部21eは、供給ライン21aを流れる清浄気体の湿度を調整する。これらバルブ21c、温度調整部21dおよび湿度調整部21eは、処理ユニット16ごとに設けられる。したがって、実施形態に係る基板処理システム1は、FFUからチャンバ20内に供給される清浄気体の温度および湿度を処理ユニット16ごとに個別に調整することができる。
【0032】
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウエハWを水平に保持する。具体的には、保持部31は、複数の把持部31aを備えており、複数の把持部31aを用いてウエハWの端部を把持する。支柱部32は、鉛直方向に延在し、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウエハWを回転させる。
【0033】
処理液供給部40は、ウエハWに対して各種の処理液を供給する。処理液供給部40は、ウエハWの上方に配置されるノズル41と、ノズル41を支持するアーム42と、アーム42を移動させる移動機構43とを備える。
【0034】
ノズル41は、供給ライン44aを介して後述する薬液供給ユニット70に接続され、薬液供給ユニット70から供給される薬液をウエハWのおもて面に吐出する。実施形態において、薬液はエッチング液である。
【0035】
また、ノズル41は、供給ライン44bを介して後述するリンス液供給源80に接続され、リンス液供給源80から供給されるリンス液をウエハWのおもて面に吐出する。実施形態において、リンス液はDIWである。
【0036】
また、ノズル41は、供給ライン44cを介して後述する置換液供給ユニット90に接続され、置換液供給ユニット90から供給される置換液をウエハWのおもて面(上面)に吐出する。実施形態において、置換液はIPAである。
【0037】
供給ライン44aには、バルブ45aおよび温度調整部46aが設けられる。バルブ45aは、供給ライン44aを開閉する。温度調整部46aは、たとえばペルチェ素子または温調水等を用いて、供給ライン44aを流れるエッチング液の温度を調整する。同様に、供給ライン44cには、バルブ45cおよび温度調整部46cが設けられる。バルブ45cは、供給ライン44cを開閉する。温度調整部46cは、供給ライン44cを流れるIPAの温度を調整する。
【0038】
バルブ45aおよび温度調整部46aは、処理ユニット16ごとに設けられる。したがって、実施形態に係る基板処理システム1は、薬液供給ユニット70から供給されるエッチング液の温度を処理ユニット16ごとに調整することができる。同様に、バルブ45aおよび温度調整部46aは、処理ユニット16ごとに設けられる。したがって、実施形態に係る基板処理システム1は、置換液供給ユニット90から供給されるIPAの温度を処理ユニット16ごとに調整することができる。なお、供給ライン44bには、供給ライン44bを開閉するバルブ45bが設けられる。
【0039】
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウエハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
【0040】
裏面供給部60は、たとえば、保持部31および支柱部32を上下に貫通する中空部に配置される。裏面供給部60の内部には上下方向に延在する流路61が形成される。流路61の上端は、ウエハWの裏面に向かって開口する吐出口62となっている。
【0041】
裏面供給部60の流路61は、供給ライン61aを介して温調液供給源61bに接続される。裏面供給部60は、温調液供給源61bから供給される温調液を吐出口62からウエハWの裏面に向けて吐出する。実施形態において、温調液は、HDIW(Hot DIW)、すなわち、所定の温度に加熱されたDIWである。
【0042】
供給ライン61aには、バルブ61cおよび温度調整部61dが設けられる。バルブ61cは、供給ライン61aを開閉する。温度調整部61dは、供給ライン61aを流れる温調液の温度を調整する。これらバルブ61cおよび温度調整部61dは、処理ユニット16ごとに設けられる。したがって、実施形態に係る基板処理システム1は、裏面供給部60からウエハWの裏面に供給される温調液の温度を処理ユニット16ごとに個別に調整することができる。
【0043】
<温度センサの配置例>
液処理中のウエハWの局所的な温度を検出する温度センサの配置例について
図3を参照して説明する。
図3は、実施形態に係る温度センサの配置例を示す図である。
【0044】
図3に示すように、処理ユニット16は、第1温度センサ110と、複数の第2温度センサ120とを備える。第1温度センサ110は、ノズル41に設けられ、ノズル41内の処理液の温度を検出する。ノズル41から吐出される処理液は、ウエハWの中央部に吐出される。したがって、第1温度センサ110によって検出される処理液の温度は、液処理中におけるウエハWの中央部の温度と見做すことができる。なお、第1温度センサ110は、処理液供給部40において温度調整部46a,46cよりも下流に設けられればよく、必ずしもノズル41に設けられることを要しない。
【0045】
第2温度センサ120は、基板保持機構30(
図2参照)が備える把持部31aに設けられ、把持部31aの先端部(ウエハWとの接触部)の温度を検出する。
図3では、基板保持機構30が3つの把持部31aを備えており、各把持部31aに第2温度センサ120が1つずつ設けられる例を示している。把持部31aは、ウエハWの端部に接触している。したがって、第2温度センサ120によって検出される把持部31aの温度は、処理液中におけるウエハWの端部の温度と見做すことができる。
【0046】
なお、処理ユニット16は、少なくとも1つの第2温度センサ120を備えていればよい。すなわち、第2温度センサ120は、複数の把持部31aの少なくとも1つに設けられればよい。また、第2温度センサ120は、ウエハWの端部に接触する部材に設けられればよく、必ずしも把持部31aに設けられることを要しない。
【0047】
<置換液供給ユニットの概要>
次に、置換液供給ユニット90について
図4を参照し説明する。
図4は、実施形態に係る置換液供給ユニット90の構成を示す図である。
図4では、置換液供給ユニット90に2つの処理ユニット16が接続される場合の例を示すが、1つの置換液供給ユニット90に接続される処理ユニット16の数は、本例に限定されない。なお、処理ユニット16に対してエッチング液を供給する薬液供給ユニット70の構成も置換液供給ユニット90と同様であってもよい。
【0048】
置換液供給ユニット90は、タンク91と、補充部92と、排液ライン93と、循環ライン94と、供給ライン95と、戻しライン96とを備える。
【0049】
タンク91は、IPAを貯留する。補充部92は、タンク91に新たなIPAを供給する。例えば、補充部92は、タンク91のIPAを入れ替える場合や、タンク91のIPAが所与の量よりも少なくなった場合に、タンク91に新たなIPAを供給する。排液ライン93は、タンク91のIPAを入れ替える場合に、タンク91からIPAを外部に排出する。
【0050】
循環ライン94は、両端がタンク91に接続されており、タンク91から送られるIPAをタンク91に戻す。循環ライン94は、IPAがタンク91の外部を流れ、再びタンク91に戻るように設けられる。
【0051】
循環ライン94には、ポンプ81と、ヒータ82と、フィルタ83と、流量計84と、温度センサ85と、背圧弁86とが設けられる。これらは、タンク91を基準とするIPAの流れ方向において、上流側からポンプ81、ヒータ82、フィルタ83、流量計84、温度センサ85および背圧弁86の順に設けられる。
【0052】
ポンプ81は、循環ライン94においてIPAを圧送する。圧送されたIPAは、循環ライン94を循環し、タンク91に戻される。
【0053】
ヒータ82は、循環ライン94に設けられ、IPAの温度を調整する。具体的には、ヒータ82は、IPAを加熱する。ヒータ82は、制御装置4からの信号に基づいてIPAの加熱量を制御し、IPAの温度を調整する。例えば、ヒータ82によるIPAの加熱量は、温度センサ85によって検出されるIPAの温度に基づいて調整される。
【0054】
例えば、制御装置4は、ヒータ82を制御し、IPAの温度を所与の温度に調整する。所与の温度は、供給時に処理液供給部40のノズルからウエハWに吐出されるIPAの温度が、予め設定された処理温度となる温度である。所与の温度は、供給ライン95などに設けられるフィルタ73の熱容量などに基づいて設定される温度である。
【0055】
フィルタ83は、循環ライン94を流れるIPAに含まれるパーティクルなどの汚染物質である異物を除去する。流量計84は、循環ライン94を流れるIPAの流量を計測する。温度センサ85は、循環ライン94を流れるIPAの温度を検出する。温度センサ85は、供給ライン95が接続される箇所よりも上流側の循環ライン94に設けられる。
【0056】
背圧弁86は、背圧弁86の上流側におけるIPAの圧力が所与の圧力より大きい場合には弁開度を大きくする。背圧弁86は、背圧弁86の上流側におけるIPAの圧力が所与の圧力より小さい場合には弁開度を小さくする。背圧弁86は、上流側における処理液の圧力を所与の圧力に保つ機能を有する。所与の圧力は、予め設定された圧力である。背圧弁86の弁開度は制御装置4により制御される。
【0057】
背圧弁86は、弁開度が制御されることによって、循環ライン94におけるIPAの流量を調整可能である。すなわち、背圧弁86は、循環ライン94に設けられ、循環ライン94によってタンク91に戻るIPAの流量を調整する。なお、循環ライン94におけるIPAの流量は、ポンプ81の吐出圧力が制御されることによって調整されてもよい。循環ライン94におけるIPAの流量は、流量計84によって検出されるIPAの流量に基づいて制御される。
【0058】
供給ライン95は、循環ライン94に接続される。供給ライン95は、温度センサ85よりも下流側であり、かつ背圧弁86よりも上流側の循環ライン94に接続される。供給ライン95は、複数の処理液供給部40に対応して複数設けられる。供給ライン95は、循環ライン94から分岐し、処理液供給部40にIPAを供給可能となるように設けられる。なお、ここでは、置換液供給ユニット90の供給ライン95と、処理ユニット16の供給ライン44aとを分けて説明したが、これらは単一の供給ラインであってもよい。
【0059】
供給ライン95には、流量計71と、定圧弁72と、フィルタ73とが設けられる。これらは、循環ライン94から処理液供給部40に流れるIPAの流れ方向において、上流側から流量計71、定圧弁72およびフィルタ73の順に設けられる。
【0060】
流量計71は、供給ライン95を流れるIPAの流量を計測する。定圧弁72は、定圧弁72よりも下流側におけるIPAの圧力を調整する。例えば、定圧弁72は、処理液供給部40のノズルから吐出されるIPAの吐出量が、所与の吐出量となるようにIPAの圧力を調整する。すなわち、定圧弁72は、処理液供給部40のノズルから吐出されるIPAの流量を調整する。所与の吐出量は、予め設定された量であり、ウエハWの処理条件に応じて設定される。定圧弁72は、制御装置4からの信号に基づいてIPAの圧力を調整する。
【0061】
フィルタ73は、戻しライン96と供給ライン95との接続箇所よりも上流側の供給ライン95に設けられる。フィルタ73は、定圧弁72よりも下流側の供給ライン95に設けられる。フィルタ73は、供給ライン95を流れるIPAに含まれるパーティクルなどの汚染物質である異物を除去する。
【0062】
戻しライン96は、供給ライン95に接続され、供給ライン95からタンク91にIPAを戻す。戻しライン96は、フィルタ73とバルブ74との間に設けられた接続箇所において供給ライン95に接続される。戻しライン96は、複数の処理液供給部40に対応して複数設けられる。戻しライン96には、バルブ74が設けられる。
【0063】
バルブ74は、戻しライン96におけるIPAの流れの有無を切り替える。バルブ74が開くことによって、供給ライン95から戻しライン96にIPAが流れる。戻しライン96に流れるIPAは、タンク91に戻される。バルブ74が閉じることによって、戻しライン96にIPAが流れない。バルブ74は、制御装置4からの信号に基づいて開閉される。
【0064】
複数の戻しライン96は、戻しライン96を流れるIPAの流れ方向においてバルブ74よりも下流側で合流し、タンク91に接続される。複数の戻しライン96が合流する箇所よりも下流側の戻しライン96には、温度センサ75が設けられる。温度センサ75は、戻しライン96からタンク91に戻るIPAの温度を検出する。なお、戻しライン96は、背圧弁86よりも下流側の循環ライン94に接続されてもよい。
【0065】
制御装置4は、処理液供給部40からウエハWにIPAを供給する供給時には、戻しライン96に設けられたバルブ74を閉じ、処理ユニット16に設けられたバルブ45cを開く。これにより、IPAが、戻しライン96には流入せず、処理液供給部40のノズルから吐出される。一方、処理液供給部40からウエハWにIPAを供給しない待機時において、制御装置4は、処理ユニット16に設けられたバルブ45cを閉じ、戻しライン96に設けられたバルブ74を開く。これにより、IPAは、処理液供給部40のノズルから吐出されず、戻しライン96を介してタンク91に戻される。
【0066】
このように、実施形態に係る基板処理システム1では、置換液供給ユニット90を用いて所与の温度に調整されたIPAを複数の処理ユニット16に供給することができる。さらに、実施形態に係る基板処理システム1では、各処理ユニット16に設けられた温度調整部46cを用いてIPAの温度を各処理ユニット16において個別に調整することができる。
【0067】
<制御装置の構成>
次に、実施形態に係る制御装置4の構成について
図5を参照して説明する。
図5は、実施形態に係る制御装置4の構成を示すブロック図である。
【0068】
図5に示すように、実施形態に係る制御装置4は、制御部18と、記憶部19とを備える。
【0069】
記憶部19は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部19は、レシピ情報191と、収集情報192と、モデル式193と、温度分布情報194と、指定情報195とを記憶する。
【0070】
制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、制御装置4内部の記憶部(たとえば記憶部19等)に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部18は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0071】
制御部18は、動作制御部181と、収集部182と、監視部183と、判定部184と、異常対応処理部185とを備え、以下に説明する処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部18の内部構成は、
図5に示した構成に限られず、後述する基板処理等を実行可能な構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部18有する各処理部の接続関係は、
図5に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0072】
動作制御部181は、記憶部19に記憶されたレシピ情報191に基づいて処理ユニット16を制御することにより、ウエハWに対する一連の液処理を処理ユニット16に実行させる。
【0073】
レシピ情報191は、処理ユニット16に対して実行させる液処理の内容および順番を示す情報であり、液処理の処理条件を規定する複数のパラメータ値を含んでいる。たとえば、レシピ情報191は、処理時間、ウエハWの回転数、処理液の種類、処理液の吐出流量、処理液の吐出温度等のパラメータ値を含んでいる。これらのパラメータ値は、一連の液処理に含まれる処理ごとに規定される。
【0074】
ここで、動作制御部181による制御に従って実行される液処理の例について
図6を参照して説明する。
図6は、実施形態に係る処理ユニット16が実行する液処理の手順を示すフローチャートである。
図6に示す一連の液処理は、レシピ情報191に従って実行される。
【0075】
まず、処理ユニット16は、基板搬送装置17(
図1参照)によってチャンバ20内に搬入されたウエハWを基板保持機構30の保持部31を用いて保持する。具体的には、処理ユニット16は、複数の把持部31aを用いてウエハWの端部を把持する。その後、処理ユニット16は、駆動部33を用いて保持部31を鉛直軸まわりに回転させることにより、ウエハWを回転させる。
【0076】
つづいて、処理ユニット16は、エッチング処理を行う(ステップS01)。エッチング処理では、まず、処理液供給部40の移動機構43を用いてノズル41をウエハWの中央上方に位置させる。その後、処理ユニット16は、バルブ45aを開くことにより、ノズル41から回転するウエハWのおもて面に対してエッチング液を供給する。ウエハWの中央に供給されたエッチング液は、ウエハWの回転に伴ってウエハWの全面に広がる。これにより、ウエハWのおもて面がエッチング処理される。その後、処理ユニット16は、バルブ45aを閉じることにより、ウエハWへのエッチング液の供給を停止する。
【0077】
つづいて、処理ユニット16は、リンス処理を行う(ステップS02)。リンス処理では、バルブ45bを開くことにより、ノズル41から回転するウエハWのおもて面に対してDIWを供給する。ウエハWの中央に供給されたDIWは、ウエハWの回転に伴ってウエハWの全面に広がる。これにより、ウエハWのおもて面に残存するエッチング液がDIWによって洗い流される。その後、処理ユニット16は、バルブ45bを閉じることにより、ウエハWへのDIWの供給を停止する。
【0078】
つづいて、処理ユニット16は、置換処理を行う(ステップS03)。置換処理では、バルブ45cを開くことにより、ノズル41から回転するウエハWのおもて面に対してIPAを供給する。ウエハWの中央に供給されたIPAは、ウエハWの回転に伴ってウエハWの全面に広がる。これにより、ウエハWのおもて面に残存するDIWがIPAに置換される。その後、処理ユニット16は、バルブ45cを閉じることにより、ウエハWへのIPAの供給を停止する。
【0079】
つづいて、処理ユニット16は、乾燥処理を行う(ステップS04)。乾燥処理では、駆動部33を用いてステップS01~S03における回転数よりも高速でウエハWを回転させることにより、ウエハWを乾燥させる。その後、ウエハWは、基板搬送装置17によってチャンバ20から搬出される。これにより、1枚のウエハWに対する一連の液処理が完了する。
【0080】
図5に戻る。収集部182は、液処理中において、処理ユニット16の第1温度センサ110から温度データを取得し、取得した温度データを収集情報192における「中心温度」項目として記憶部19に記憶させる。たとえば、収集部182は、一連の液処理に含まれる個々の処理(エッチング処理、リンス処理、置換処理および乾燥処理)ごとに、各処理中に第1温度センサ110によって検出された温度の平均値を算出し、算出した平均値を各処理におけるウエハWの「中心温度」として記憶部19に記憶させる。
【0081】
また、収集部182は、液処理中において、処理ユニット16の複数の第2温度センサ120から温度データを取得し、取得した温度データを収集情報192における「エッジ温度」項目として記憶部19に記憶させる。たとえば、収集部182は、一連の液処理に含まれる個々の処理ごとに、各処理中に第2温度センサ120によって検出された温度の平均値を算出し、算出した平均値を各処理におけるウエハWの「エッジ温度」として記憶部19に記憶させる。
【0082】
収集部182は、上記中心温度およびエッジ温度以外の情報も収集する。たとえば、収集部182は、チャンバ20内の温度を収集して、収集情報192における「空間温度」項目として記憶部19に記憶させる。チャンバ20内の温度は、たとえば、チャンバ20の内部に設けられた図示しない温度センサによって取得されてもよいし、清浄気体供給源21bにおける清浄気体の設定温度から取得されてもよい。
【0083】
また、収集部182は、チャンバ20内の湿度を収集して、収集情報192における「空間湿度」項目として記憶部19に記憶させる。チャンバ20内の温度は、たとえば、チャンバ20の内部に設けられた図示しない湿度センサによって取得されてもよいし、清浄気体供給源21bにおける清浄気体の設定湿度から取得されてもよい。
【0084】
また、収集部182は、レシピ情報191から吐出流量および回転数の情報を収集して、それぞれ収集情報192における「吐出流量」項目および「回転数」項目として記憶部19に記憶させる。なお、収集部182は、たとえば供給ライン44a~44cに設けられた図示しない流量計から流量の検出結果を収集して、「吐出流量」項目として記憶部19に記憶させてもよい。また、収集部182は、たとえば支柱部32の回転数を検出するロータリーエンコーダ等の図示しない回転数センサから回転数の検出結果を収集して、「回転数」項目として記憶部19に記憶させてもよい。
【0085】
その他、収集部182は、たとえば、チャンバ20の排気流量、処理液の密度および処理液の熱容量等の情報を収集して収集情報192として記憶部19に記憶させてもよい。
【0086】
図7は、実施形態に係る収集情報192の例を示す図である。
図7に示すように、収集情報192は、「ウエハID」、「ロットID」、「ユニットID」、「処理内容」、「中心温度」、「エッジ温度」、「空間温度」、「空間湿度」、「吐出流量」および「回転数」の各項目等を相互に関連づけた情報である。
【0087】
「ウエハID」項目には、ウエハWの識別情報が格納される。「ロットID」項目には、ウエハWが属するロットの識別情報が格納される。ロットとは、製品ウエハの製造単位のことである。たとえば、25枚単位のウエハWを1ロットと称する場合がある。「ユニットID」項目には、ウエハWを処理した処理ユニット16の識別情報が格納される。「処理内容」項目には、一連の液処理に含まれる各処理の内容を識別する情報が格納される。なお、
図7において、「S101」はエッチング処理の識別情報、「S102」はリンス処理の識別情報、「S103」は置換処理の識別情報、「S104」は乾燥処理の識別情報の一例である。
【0088】
「中心温度」は、液処理中におけるウエハWの中心部の温度のことである。「中心温度」項目には、第1温度センサ110によって検出された温度データに基づく情報(たとえば、処理中に検出された温度データの平均値)が格納される。「エッジ温度」は、液処理中におけるウエハWの端部の温度のことである。この「エッジ温度」項目には、複数の第2温度センサ120によって検出された温度データに基づく情報(たとえば、処理中に検出された温度データの平均値)が格納される。
【0089】
「空間温度」は、チャンバ20内の温度のことであり、「空間湿度」は、チャンバ20内の湿度のことである。「空間温度」項目および「空間湿度」項目には、たとえば、チャンバ20の内部に設けられた図示しない温度センサおよび湿度センサによって検出された温度および湿度が格納される。
【0090】
「吐出流量」は、処理液の吐出流量のことであり、「回転数」は、ウエハWの回転数のことである。「吐出流量」項目および「回転数」項目には、たとえばレシピ情報191から収集された吐出流量および回転数の情報が格納される。
【0091】
監視部183は、液処理中におけるウエハWの面内温度分布を監視する。具体的には、監視部183は、記憶部19に記憶された収集情報192とモデル式193とを用いて、かかるウエハWの液処理中における面内温度分布を示す温度分布情報194を生成し、生成した温度分布情報194を記憶部19に格納する。
【0092】
ここで、モデル式193は、液処理中におけるウエハWの面内温度分布を推定するためのモデル式である。具体的には、モデル式193は、第1温度センサ110および第2温度センサ120によって検出されるウエハWの局所的な温度から、既知のパラメータ値を用いてウエハWの面内全体の温度分布を推定するモデル式である。また、別の観点によると、モデル式193は、既知の処理条件(パラメータ値)から導き出されるウエハWの面内温度分布の理論値を実測値(センサ値)に基づき補正するモデル式である。
【0093】
監視部183は、ウエハWに対する一連の液処理が完了すると、液処理が完了したウエハWについての収集情報192を記憶部19から取得する。そして、監視部183は、取得した収集情報192に含まれるパラメータ値およびセンサ値をモデル式193に代入することにより、液処理中におけるウエハWの面内温度分布を示す温度分布情報194を生成する。
【0094】
具体的には、モデル式193により、ウエハWの中心部から端部までの間の複数点における温度が得られる。監視部183は、たとえば回帰分析(カーブフィッティング)等の手法を用いて上記複数点における隣接する点間の温度を推定することにより、温度分布情報194を生成し、生成した温度分布情報194を記憶部19に格納する。監視部183は、一連の液処理に含まれる処理ごとに、温度分布情報194を生成する。
【0095】
図8は、実施形態に係る温度分布情報194の例を示す図である。
図8では、直径300mmのウエハWの温度分布情報194の例を示している。
図8に示すグラフの横軸であるウエハ位置は、ウエハWの中心部を基準(0mm)としたときの中心部からの距離を示している。
【0096】
図8に示すように、温度分布情報194は、ウエハWの径方向に沿った各位置(ウエハ位置)における処理中の温度(ウエハ温度)を示す情報である。たとえば、
図8中、黒丸が、モデル式193から得られるデータであり、黒丸同士を結ぶ線が、回帰分析等によって補間されたデータである。なお、
図8では、理解を容易にするためにグラフ形式の温度分布情報194を例示したが、温度分布情報194は、必ずしもグラフ形式であることを要しない。
【0097】
判定部184は、記憶部19に記憶された温度分布情報194に基づき、ウエハWに対して行われた液処理の結果の良否を判定する。判定部184は、一連の液処理に含まれる個々の処理(エッチング処理、リンス処理、置換処理および乾燥処理)ごとに処理結果の良否を判定する。
【0098】
ここで、エッチング処理の良品判定の例について
図9~
図12を参照して説明する。
図9は、エッチングレート換算処理の例を示す図である。
図10は、ウエハW間差の有無を判定する例を示す図である。
図11は、処理ユニット16間差の有無を判定する例を示す図である。
図12は、ロット間差の有無を判定する例を示す図である。
【0099】
図9に示すように、判定部184は、温度とエッチングレートとの関係を示す感度データを用いて、温度分布情報194をエッチングレート分布情報に変換する。エッチングレート分布情報は、ウエハWの径方向に沿った各位置(ウエハ位置)におけるエッチングレート(Å/min)を示す情報である。エッチングレート分布情報は、たとえばウエハID、ロットIDおよびユニットID等と関連付けられて記憶部19に格納される。
【0100】
つづいて、判定部184は、エッチングレート分布情報に従ってエッチング処理の良否を判定する。たとえば、判定部184は、エッチングレート分布情報を用いてウエハWの面内全体のエッチングレートの平均値を算出する。そして、判定部184は、算出した平均値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定する。判定部184は、算出した平均値が閾値を超えていれば、エッチング処理の結果が正常であると判定し、閾値以下であれば、エッチング処理の結果が異常であると判定する。
【0101】
また、判定部184は、エッチングレート分布情報を参照して、エッチングレートの最大値および最小値のずれ率を算出する。たとえば、判定部184は、最大値に対する最大値と最小値との差の割合(%)をずれ率として算出する。判定部184は、算出したずれ率が予め設定された閾値を下回っているか否かを判定する。そして、判定部184は、算出したずれ率が閾値を下回っていれば、エッチング処理の面内均一性が正常であると判定する。一方、判定部184は、算出したずれ率が閾値以上である場合には、エッチング処理の面内均一性が異常であると判定する。
【0102】
このように、判定部184は、ウエハWに対するエッチング処理の良否をそのウエハWの温度分布情報194に基づいてウエハWごとに判定することができる。
【0103】
また、判定部184は、エッチング処理のウエハW間差の有無を判定してもよい。たとえば、
図10には、ウエハID「W1」、「W2」、「W3」および「W4」の4つのウエハWについてのエッチング平均値およびエッチング均一性の結果の例を示している。
図10におけるエッチング平均値は、上述したエッチングレートの平均値のことであり、エッチング均一性は、上述したエッチングレートのずれ率のことである。
図10に示す4つのウエハWのエッチング平均値およびエッチング均一性は、いずれも正常判定される値であるものとする。
【0104】
図10に示すように、ウエハID「W4」のウエハWのエッチング平均値およびエッチング均一性が、残り3つのウエハWのエッチング平均値およびエッチング均一性とずれているものとする。このような場合、判定部184は、ウエハID「W4」のウエハWにエッチング処理(エッチング平均値およびエッチング均一性)のウエハW間差が生じていると判定する。
【0105】
一例として、判定部184は、過去に液処理したウエハWのエッチング平均値およびエッチング均一性の情報を蓄積し、蓄積したこれらの情報から、エッチング平均値およびエッチング均一性の基準値(たとえば平均値)を算出する。そして、判定部184は、ウエハWごとに、エッチング平均値およびエッチング均一性の基準値からのずれを算出し、算出したずれが予め設定された閾値を超えていた場合に、ウエハW間差が生じていると判定する。
【0106】
また、判定部184は、エッチング処理の処理ユニット16間差の有無を判定してもよい。たとえば、
図11には、ユニットID「U1」、「U2」、「U3」および「U4」の4つの処理ユニット16について、各処理ユニット16で処理された複数のウエハWのエッチング平均値およびエッチング均一性の平均値を示している。以下、ある処理ユニット16で処理された複数のウエハWのエッチング平均値およびエッチング均一性の平均値を、その処理ユニット16のエッチング平均値およびエッチング均一性と記載する。
【0107】
図11に示すように、ユニットID「U4」の処理ユニット16のエッチング平均値およびエッチング均一性が、残り3つの処理ユニット16のエッチング平均値およびエッチング均一性とずれているものとする。このような場合、判定部184は、ユニットID「U4」の処理ユニット16に、エッチング平均値およびエッチング均一性の処理ユニット16間差が生じていると判定する。
【0108】
一例として、判定部184は、過去に液処理したウエハWのエッチング平均値およびエッチング均一性の情報を処理ユニット16ごとに蓄積し、蓄積した情報から、エッチング平均値およびエッチング均一性の処理ユニット16ごとの平均値を算出する。また、判定部184は、処理ユニット16ごとに算出された上記平均値の平均値を算出することにより、エッチング平均値およびエッチング均一性の基準値を得る。そして、判定部184は、処理ユニット16ごとに、エッチング平均値およびエッチング均一性の基準値からのずれを算出し、算出したずれが予め設定された閾値を超えていた場合に、処理ユニット16間差が生じていると判定する。
【0109】
また、判定部184は、エッチング処理のロット間差の有無を判定してもよい。たとえば、
図12には、ロットID「L1」、「L2」、「L3」および「L4」の4つのロットについて、各ロットに含まれる複数のウエハWのエッチング平均値およびエッチング均一性の平均値を示している。以下、あるロットに含まれる複数のウエハWのエッチング平均値およびエッチング均一性の平均値を、そのロットのエッチング平均値およびエッチング均一性と記載する。
【0110】
図12に示すように、ロットID「L4」のロットのエッチング平均値およびエッチング均一性が、残り3つのロットのエッチング平均値およびエッチング均一性とずれているものとする。このような場合、判定部184は、ロットID「L4」のロットに、エッチング平均値およびエッチング均一性のロット間差が生じていると判定する。
【0111】
一例として、判定部184は、ロットごとに、そのロットに含まれる複数のウエハWのエッチング平均値およびエッチング均一性の情報を蓄積する。また、判定部184は、蓄積したエッチング平均値およびエッチング均一性の情報から、ロットごとに、エッチング平均値およびエッチング均一性の平均値を算出する。また、判定部184は、ロットごとに算出された上記平均値の平均値を算出することにより、エッチング平均値およびエッチング均一性の基準値を得る。そして、判定部184は、ロットごとに、エッチング平均値およびエッチング均一性の基準値からのずれを算出し、算出したずれが予め設定された閾値を超えていた場合に、ロット間差が生じていると判定する。
【0112】
また、判定部184は、乾燥処理の結果の良品についても判定する。具体的には、判定部184は、温度分布情報194に基づき、乾燥処理中におけるウエハWの結露の有無を判定する。この点については後述する。
【0113】
異常対応処理部185は、判定部184によって液処理の異常が判定された場合に、所定の異常対応処理を実行する。
【0114】
たとえば、異常対応処理部185は、異常対応処理として、液処理の処理条件を変更する処理を行ってもよい。
【0115】
ここで、記憶部19には、変更可能な処理条件を示す指定情報195が記憶されている。指定情報195は、たとえば基板処理システム1のユーザによって適宜変更され得る。異常対応処理部185は、次回以降の液処理の結果が正常範囲内となるように、指定情報195によって指定された処理条件を変更してもよい。
【0116】
たとえば、ある処理ユニット16に処理ユニット16間差が生じていると判定されたとする。この場合、異常対応処理部185は、処理ユニット16間差が生じている処理ユニット16におけるエッチング液の吐出温度を個別に変更してもよい。これは、たとえば、温度調整部46aによる加熱温度を規定するパラメータ値を変更することにより実現され得る。具体的には、異常対応処理部185は、その処理ユニット16のエッチング平均値およびエッチング均一性の基準値からのずれが正常範囲に収まるように、温度調整部46aによるエッチング液の吐出温度を個別に調整する。なお、異常対応処理部185は、たとえばモデル式193を用いて逆演算することにより、温度調整部46aによる加熱温度を規定するパラメータ値の変更後の値を決定することができる。
【0117】
また、異常対応処理部185は、薬液供給ユニット70のヒータ82によるエッチング液の加熱温度を規定するパラメータ値を変更することによって、エッチング液の吐出温度を変更してもよい。たとえば、あるウエハWにエッチング平均値またはエッチング均一性の異常が判定されたとする。この場合、異常対応処理部185は、薬液供給ユニット70を制御して、次回以降に液処理されるウエハWへのエッチング液の吐出温度を変更してもよい。
【0118】
また、異常対応処理部185は、裏面供給部60から温調液を供給するように処理条件を変更することで、液処理中におけるウエハWの面内温度分布を変化させてもよい。これは、たとえば、温度調整部61dによる温調液の加熱温度を規定するパラメータ値、バルブ61cの開閉を規定するパラメータ値、温調液供給源61bによる温調液の加熱温度を規定するパラメータ値等を変更することにより実現され得る。
【0119】
また、異常対応処理部185は、チャンバ20内の温度を変更することにより、液処理中におけるウエハWの面内温度分布を変化させてもよい。これは、たとえば、温度調整部21dによる加熱温度を規定するパラメータ値を変更することにより実現され得る。
【0120】
その他、異常対応処理部185は、たとえばエッチング平均値に異常が判定された場合に、エッチング平均値が正常範囲となるように、エッチング液の吐出時間を規定するパラメータ値を変更してもよい。
【0121】
また、異常対応処理部185は、上記判定部184による判定処理において、乾燥処理中に結露が発生したおそれがあると判定された場合に、温度調整部21dを制御してチャンバ20内の温度を変化させることにより、露点温度を変化させてもよい。また、異常対応処理部185は、湿度調整部21eを制御してチャンバ20内の湿度を変化させることにより、露点温度を変化させてもよい。また、異常対応処理部185は、温度調整部46c、薬液供給ユニット70および裏面供給部60の少なくとも一つを制御して、置換処理におけるウエハWの温度を変化させてもよい。
【0122】
また、異常対応処理部185は、異常の内容を示す情報をウエハID等と関連付けた異常情報を制御装置4にインターネット等のネットワークを介して接続される外部装置5に出力する処理を異常対応処理として実行してもよい。
【0123】
<監視処理の手順について>
次に、制御部18によって実行される監視処理の手順について
図13を参照して説明する。
図13は、実施形態に係る監視処理の手順を示すフローチャートである。
【0124】
図13に示すように、制御部18の収集部182は、液処理の処理条件を規定する複数のパラメータ値と、第1温度センサ110および第2温度センサ120を含む各種センサのセンサ値を収集する(ステップS101)。つづいて、制御部18の監視部183は、収集情報192とモデル式193とを用いて温度分布情報194を生成する(ステップS102)。
【0125】
つづいて、制御部18の判定部184は、生成した温度分布情報194に基づいて、液処理の結果が正常であるか否かを判定する(ステップS103)。なお、具体的な判定例については、後述する。
【0126】
ステップS103において、液処理の結果が正常でない、すなわち、液処理の結果に異常があると判定された場合(ステップS103,No)、制御部18の異常対応処理部185は、異常対応処理を行う(ステップS104)。ステップS104の処理を終えた場合、または、ステップS103において液処理の結果が正常であると判定された場合(ステップS103,Yes)、制御部18は、監視処理を終える。
【0127】
<判定処理の第1の例:温度分布情報と閾値との比較>
図14は、
図13に示すステップS103の判定処理の第1の例を示すフローチャートである。
【0128】
図14に示すように、制御部18の判定部184は、温度分布情報194と予め設定された閾値とを比較することにより、閾値を下回る温度領域が存在するか否かを判定する(ステップS201)。そして、閾値を下回る温度領域が存在しなければ(ステップS201,No)、判定部184は、液処理(たとえば、エッチング処理)の処理結果が正常であると判定する(ステップS202)。一方、閾値を下回る温度領域が存在する場合(ステップS201,Yes)、判定部184は、液処理の処理結果が異常であると判定する(ステップS203)。
【0129】
たとえば、予め設定された閾値が50℃である場合、ウエハWの面内において50℃を下回る領域が存在するか否かを温度分布情報194に基づき判定する。そして、50℃を下回る領域が存在する場合、判定部184は、液処理(たとえば、エッチング処理)の処理結果が正常であると判定する。
【0130】
なお、ここでは、下限の閾値を用いて判定処理を行う場合の例を示したが、判定部184は、上限の閾値を用いて判定処理を行ってもよい。また、判定部184は、上限および下限を有する閾値範囲を用いて判定処理を行ってもよい。
【0131】
<判定処理の第2の例:エッチングレート分布情報と閾値との比較>
図15は、
図13に示すステップS103の判定処理の第2の例を示すフローチャートである。
【0132】
図15に示すように、判定部184は、温度分布情報194をエッチングレート分布情報に変換し(ステップS301)、エッチングレート分布情報に基づき、エッチングレート平均値およびエッチングレート均一性を算出する(ステップS302)。
【0133】
つづいて、判定部184は、エッチング平均値が閾値を超えるか否かを判定し(ステップS303)、閾値を超えない場合(ステップS303,No)、エッチング処理の結果が異常であると判定する(ステップS306)。
【0134】
一方、ステップS303において、エッチング平均値が閾値を超えている場合(ステップS303,Yes)、判定部184は、エッチング均一性が閾値を下回っているか否かを判定する(ステップS304)。この処理において、エッチング均一性が閾値を下回っていない場合(ステップS304,No)、判定部184は、エッチング処理の結果が異常であると判定する(ステップS306)。一方、エッチング均一性が閾値を下回っている場合(ステップS303,Yes)、判定部184は、エッチング処理の結果が正常であると判定する(ステップS305)。
【0135】
<判定処理の第3の例:乾燥処理の良否について>
図16は、
図13に示すステップS103の判定処理の第3の例を示すフローチャートである。
【0136】
図16に示すように、判定部184は、まず、露点温度を算出する(ステップS401)。たとえば、判定部184は、収集情報192に含まれる空間温度および空間湿度を用いて液処理時におけるチャンバ20内の露点温度を算出する。
【0137】
つづいて、判定部184は、温度分布情報194と露点温度とを比較することにより、露点温度を下回る温度領域が存在するか否かを判定する(ステップS402)。そして、露点を下回る温度領域が存在しなければ(ステップS401,No)、判定部184は、乾燥処理の結果が正常である、すなわち、乾燥処理中のウエハWに結露が発生したおそれがないと判定する(ステップS403)。一方、露点温度を下回る温度領域が存在する場合(ステップS402,Yes)、判定部184は、乾燥処理の結果が異常である、すなわち、乾燥処理中のウエハWに結露が発生したおそれがあると判定する(ステップS404)。
【0138】
なお、判定部184は、必ずしもステップS401の処理を行うことを要しない。たとえば、判定部184は、予め設定された露点温度を用いてステップS402の判定を行ってもよい。また、露点温度の算出に用いる温度および湿度は、必ずしもチャンバ20内の温度および湿度であることを要さず、たとえば、基板処理システム1が設置される工場内の温度および湿度であってもよい。
【0139】
上述してきたように、実施形態に係る基板処理方法は、液処理を行う工程と、検出する工程と、生成する工程と、判定する工程とを含む。液処理を行う工程は、基板(一例として、ウエハW)を水平に保持する基板保持機構(一例として、基板保持機構30)および基板保持機構に保持された基板に向けて処理液(一例として、エッチング液、リンス液、置換液)を吐出する処理液供給部(一例として、処理液供給部40)を備える処理ユニット(一例として、処理ユニット16)を用いて基板に対して液処理を行う。検出する工程は、処理ユニットに設けられた複数のセンサ(一例として、第1温度センサ110および第2温度センサ120等)を用いて、液処理中における基板の中心部の温度および基板の端部の温度をそれぞれ検出する。生成する工程は、液処理の処理条件を規定する1または複数のパラメータ値と、検出する工程によって検出された基板の中心部の温度および基板の端部の温度とに基づき、液処理中における基板の面内温度分布を示す温度分布情報(一例として、温度分布情報194)を生成する。判定する工程は、温度分布情報に基づき、液処理の結果の良否を判定する。
【0140】
したがって、実施形態に係る基板処理方法によれば、製品基板に対する液処理の結果の良否を製品基板ごとに適切に把握することができる。
【0141】
処理液供給部は、処理液を吐出するノズル(一例として、ノズル41)と、ノズルに接続されて処理液をノズルに供給する供給ライン(一例として、供給ライン44a~44c)とを備える。また、液処理を行う工程は、ノズルから基板の中心部に向けて処理液を吐出する。また、検出する工程は、ノズルまたは供給ラインに設けられた温度センサ(一例として、第1温度センサ110)によって検出される温度を基板の中心部の温度として検出する。これにより、基板の中心部の温度を容易に把握することができる。
【0142】
基板保持機構は、基板の端部を把持する複数の把持部(一例として、把持部31a)を備える。また、検出する工程は、複数の把持部の少なくとも1つに設けられた温度センサ(一例として、第2温度センサ120)によって検出される温度を基板の端部の温度として検出する。これにより、基板の端部の温度を容易に把握することができる。
【0143】
複数のパラメータ値は、処理ユニット内の空間温度ならびに空間湿度、処理液の吐出流量および基板の回転数の少なくとも1つを含む。これにより、温度分布情報の精度を向上させることができる。
【0144】
判定する工程は、生成する工程によって生成された複数の温度分布情報に基づき、基板ごとに、他の複数の基板との間における液処理の結果のずれ(一例として、ウエハW間差)の有無を判定する。これにより、ウエハ間差の有無を容易に監視することができる。
【0145】
液処理を行う工程は、複数の基板に対する液処理を複数の処理ユニットを用いて行う。また、判定する工程は、生成する工程によって生成された複数の温度分布情報に基づき、処理ユニットごとに、他の複数の処理ユニットとの間における液処理の結果のずれ(一例として、処理ユニット16間差)の有無を判定する。これにより、処理ユニット間差の有無を容易に監視することができる。
【0146】
判定する工程は、生成する工程によって生成された複数の温度分布情報に基づき、基板の製造単位であるロットごとに、他の複数のロットとの間における液処理の結果のずれ(一例として、ロット間差)の有無を判定する。これにより、ロット間差の有無を容易に監視することができる。
【0147】
実施形態に係る基板処理方法は、処理ユニット内の露点温度を取得するする工程を含む。また、判定する工程は、温度分布情報および露点温度に基づき、液処理(一例として、乾燥処理)中における基板の結露の有無を判定する。これにより、たとえばウォーターマークが発生しているおそれのある基板を容易に特定することができる。
【0148】
実施形態に係る基板処理方法は、温度分布情報に基づき、供給ラインに設けられた温度調整部(一例として、温度調整部46a,46c)を制御して、処理液供給部から吐出される処理液の温度を補正する工程を含む。これにより、液処理の結果が異常と判定される基板の数を低減することができる。
【0149】
実施形態に係る基板処理方法は、温度分布情報に基づき、複数のパラメータ値のうち少なくとも1つを補正する工程を含む。これにより、液処理の結果が異常と判定される基板の数を低減することができる。
【0150】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 :基板処理システム
4 :制御装置
16 :処理ユニット
18 :制御部
19 :記憶部
20 :チャンバ
21d :温度調整部
21e :湿度調整部
30 :基板保持機構
40 :処理液供給部
46a :温度調整部
46c :温度調整部
50 :回収カップ
60 :裏面供給部
70 :薬液供給ユニット
80 :リンス液供給源
90 :置換液供給ユニット
110 :第1温度センサ
120 :第2温度センサ
181 :動作制御部
182 :収集部
183 :監視部
184 :判定部
185 :異常対応処理部
191 :レシピ情報
192 :収集情報
193 :モデル式
194 :温度分布情報
195 :指定情報
W :製品ウエハ