IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図1
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図2
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図3
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図4
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図5
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図6
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図7
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図8
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図9
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図10
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図11
  • 特許-基板処理装置および基板処理方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/306 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020214125
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022100010
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根岸 康介
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-032673(JP,A)
【文献】特開2016-032030(JP,A)
【文献】特開2020-004817(JP,A)
【文献】特開2019-067811(JP,A)
【文献】特開2004-146739(JP,A)
【文献】特開2020-031194(JP,A)
【文献】特開2009-152395(JP,A)
【文献】特開2015-220263(JP,A)
【文献】特開2000-160344(JP,A)
【文献】特開2002-164289(JP,A)
【文献】特開2002-280352(JP,A)
【文献】特開2016-063049(JP,A)
【文献】特開2019-091758(JP,A)
【文献】特開平11-297662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理液に浸漬して処理する処理槽と、
リン酸水溶液と有機溶媒を含有する添加剤とを混合して、前記処理液の原料となる混合液を生成する混合装置と、
前記混合装置に設けられ、前記混合液を加温する加温部と、
前記混合装置から前記処理槽に前記混合液を送る送液路と、
前記混合装置内の気体を排気する排気ファンと、
前記混合装置内から排気される気体を導く排気ダクトと、
前記混合液を加温する際に前記混合液に含まれる前記有機溶媒が蒸発して発生し、前記排気ダクト内を流れる可燃ガスの濃度を測定するガス濃度計と、
前記排気ダクトに接続され、前記排気ダクト内の前記可燃ガスを希釈する希釈ガスを供給する給気ラインと、
前記給気ラインから前記排気ダクトに供給される前記希釈ガスの供給量を調整する給気ファンと、
各部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ガス濃度計で測定される前記排気ダクト内の前記可燃ガスの濃度が、前記可燃ガスの濃度の爆発下限界よりも低い所与のしきい濃度以下になるように、前記混合装置から前記排気ダクトに排気される気体の排気量を前記排気ファンで調整する
基板処理装置。
【請求項2】
前記加温部は、前記有機溶媒の沸点以上の温度に前記混合液を加温する
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記混合液の温度に基づいて、前記排気ファンの回転数を制御する
請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記混合装置内の前記可燃ガスの濃度を測定する別のガス濃度計、をさらに備え、
前記制御部は、
前記排気ダクト内の前記可燃ガス濃度に基づいて、前記給気ファンの回転数を制御し、
前記混合装置内および前記排気ダクト内の前記可燃ガス濃度に基づいて、前記排気ファンの回転数を制御する
請求項1~3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記排気ダクト内の前記可燃ガス濃度が爆発下限界よりも低い所与のしきい濃度以下となるように、前記排気ファンの回転数と前記給気ファンの回転数とを制御する
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記混合液に前記有機溶媒が残っている場合に、前記排気ファンの回転数を上げる
請求項1~のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記混合液に前記有機溶媒が残っていない場合に、前記排気ファンの回転数を下げる
請求項1~のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記混合液に前記有機溶媒が残っているか否かを、前記排気ダクト内の前記可燃ガス濃度に基づいて判定する
請求項またはに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記混合液が前記加温部で加温されていない場合に、前記排気ファンの回転数を下げる
請求項1~のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項10】
複数の前記混合装置が1つの前記排気ダクトに接続され、
前記制御部は、
複数の前記混合装置のうち少なくとも1つで生成される前記混合液に前記有機溶媒が残っている場合に、前記有機溶媒が残った前記混合装置に設けられる前記排気ファンの回転数を上げるとともに、前記有機溶媒が残っていない別の前記混合装置に設けられる前記排気ファンの回転数を下げる
請求項1~のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項11】
リン酸水溶液と有機溶媒を含有する添加剤とを混合して、基板を浸漬する処理液の原料となる混合液を生成する混合装置において、前記混合液を加温する加温工程と、
前記混合装置内の気体を排気ダクトに排気する排気工程と、
前記混合液を加温する際に前記混合液に含まれる前記有機溶媒が蒸発して発生し、前記排気ダクト内を流れる可燃ガスの濃度を測定する濃度測定工程と、
を含み、
前記排気工程は、前記濃度測定工程で測定される前記排気ダクト内の前記可燃ガスの濃度が、前記可燃ガスの濃度の爆発下限界よりも低い所与のしきい濃度以下になるように、前記混合装置から前記排気ダクトに排気される気体の排気量を排気ファンで調整し、
前記排気ダクトには、前記排気ダクト内の前記可燃ガスを希釈する希釈ガスを供給する給気ラインが接続され、
前記排気ダクトに供給される前記希釈ガスの供給量は、給気ファンで調整される
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板処理システムにおいて、リン酸水溶液とシリコン酸化物(SiO)の析出を抑制する添加剤とを含んだエッチング液に基板を浸漬することで、かかる基板にエッチング処理を行うことが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-118092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、リン酸水溶液と析出抑制剤とを混合する混合装置から排気されて、排気ダクトを流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、処理槽と、混合装置と、加温部と、送液路と、排気ファンと、排気ダクトと、制御部と、を備える。処理槽は、基板を処理液に浸漬して処理する。混合装置は、リン酸水溶液と有機溶媒を含有する添加剤とを混合して、前記処理液の原料となる混合液を生成する。加温部は、前記混合装置に設けられ、前記混合液を加温する。送液路は、前記混合装置から前記処理槽に前記混合液を送る。排気ファンは、前記混合装置内の気体を排気する。排気ダクトは、前記混合装置内から排気される気体を導く。制御部は、各部を制御する。また、前記制御部は、前記混合装置から前記排気ダクトに排気される気体の排気量を前記排気ファンで調整する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、リン酸水溶液と析出抑制剤とを混合する混合装置から排気されて、排気ダクト内を流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る基板処理システムの構成を示す概略ブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る処理槽に混合液を初回に送液する際の各種処理における基板処理システムの各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。
図3図3は、実施形態に係る処理槽に混合液を初回に送液する際の各種処理における基板処理システムの各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。
図4図4は、実施形態に係る処理槽のエッチング液のシリコン濃度を調整する際の各種処理における基板処理システムの各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。
図5図5は、実施形態に係る基板処理システムの排気部の構成を示す概略ブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る混合装置において混合液を送液する際の各種処理における排気部の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。
図7図7は、実施形態の変形例に係る基板処理システムの構成を示す概略ブロック図である。
図8図8は、実施形態の変形例に係る基板処理システムの各部の処理フローの具体例を示す図である。
図9図9は、実施形態の変形例に係る基板処理システムの排気部の構成を示す概略ブロック図である。
図10図10は、実施形態の変形例に係る混合装置において混合液を初回に送液する際の各種処理における排気部の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。
図11図11は、実施形態の変形例に係る混合装置において混合液を継続的に送液する際の各種処理における排気部の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。
図12図12は、実施形態に係る基板処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置および基板処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
従来、基板処理システムにおいて、リン酸水溶液とシリコン酸化物の析出を抑制する添加剤とを含んだエッチング液に基板を浸漬することで、かかる基板にエッチング処理を行うことが知られている。
【0010】
たとえば、リン酸(HPO)水溶液に基板を浸漬することで、基板上に積層されたシリコン窒化膜(SiN)およびシリコン酸化膜(SiO)のうち、シリコン窒化膜を選択的にエッチングすることができる。
【0011】
さらに、リン酸水溶液にシリコン酸化物の析出を抑制する添加剤(以下、「析出抑制剤」とも呼称する。)を追加することにより、エッチング処理の際にシリコン酸化膜上にシリコン酸化物が析出することを抑制することができる。
【0012】
しかしながら、上述した従来技術では、リン酸水溶液と析出抑制剤とが混合した混合液を加温する際に、析出抑制剤に含まれる有機溶媒が蒸発して可燃ガスが発生する場合がある。そして、かかる可燃ガスを含んだ気体をそのまま混合装置から排気すると、排気ダクト内の可燃ガス濃度が高くなり、爆発下限界に近づく恐れがあった。
【0013】
そこで、上述の問題点を克服し、リン酸水溶液と析出抑制剤とを混合する混合装置から排気されて、排気ダクト内を流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる技術が期待されている。
【0014】
<基板処理システムの構成>
まず、実施形態に係る基板処理システム1の構成について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る基板処理システム1の構成を示す概略ブロック図である。基板処理システム1は、基板処理装置の一例である。
【0015】
基板処理システム1は、混合装置10と、シリコン溶液供給部25と、基板処理部30とを備える。混合装置10は、リン酸水溶液と、シリコン酸化物の析出を抑制する析出抑制剤とを混合して、混合液Mを生成する。析出抑制剤は添加剤の一例である。
【0016】
シリコン溶液供給部25は、混合装置10で生成された混合液Mにシリコン含有化合物水溶液(以下、シリコン溶液とも呼称する。)を供給して、エッチング液Eを生成する。すなわち、実施形態に係るエッチング液Eは、リン酸水溶液と、析出抑制剤と、シリコン溶液とを含有する。エッチング液Eは、処理液の一例である。
【0017】
基板処理部30は、生成されたエッチング液EにウェハWを処理槽31で浸漬して、かかるウェハWにエッチング処理を施す。ウェハWは、基板の一例である。実施形態では、たとえば、ウェハW上に形成されたシリコン窒化膜(SiN)およびシリコン酸化膜(SiO)のうち、シリコン窒化膜を選択的にエッチングすることができる。
【0018】
また、基板処理システム1は、制御装置2を備える。制御装置2は、たとえばコンピュータであり、制御部3と記憶部4とを備える。記憶部4には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部3は、記憶部4に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0019】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置2の記憶部4にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0020】
混合装置10は、リン酸水溶液供給部11と、析出抑制剤供給部12と、タンク14と、循環路15とを備える。
【0021】
リン酸水溶液供給部11は、リン酸水溶液をタンク14に供給する。かかるリン酸水溶液供給部11は、リン酸水溶液供給源11aと、リン酸水溶液供給路11bと、流量調整器11cとを有する。
【0022】
リン酸水溶液供給源11aは、たとえば、リン酸水溶液を貯留するタンクである。リン酸水溶液供給路11bは、リン酸水溶液供給源11aとタンク14とを接続し、リン酸水溶液供給源11aからタンク14にリン酸水溶液を供給する。
【0023】
流量調整器11cは、リン酸水溶液供給路11bに設けられ、タンク14に供給されるリン酸水溶液の流量を調整する。流量調整器11cは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
【0024】
析出抑制剤供給部12は、析出抑制剤をタンク14に供給する。かかる析出抑制剤供給部12は、析出抑制剤供給源12aと、析出抑制剤供給路12bと、流量調整器12cとを有する。
【0025】
析出抑制剤供給源12aは、たとえば、析出抑制剤を貯留するタンクである。析出抑制剤供給路12bは、析出抑制剤供給源12aとタンク14とを接続し、析出抑制剤供給源12aからタンク14に析出抑制剤を供給する。
【0026】
流量調整器12cは、析出抑制剤供給路12bに設けられ、タンク14に供給される析出抑制剤の流量を調整する。流量調整器12cは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
【0027】
実施形態に係る析出抑制剤は、シリコン酸化物の析出を抑止する成分を含むものであればよい。たとえば、リン酸水溶液に溶解したシリコンイオンを溶解した状態で安定化させてシリコン酸化物の析出を抑制するような成分を含んでもよい。また、その他の公知の方法でシリコン酸化物の析出を抑制するような成分を含んでもよい。
【0028】
実施形態に係る析出抑制剤には、たとえば、フッ素成分を含むヘキサフルオロケイ酸(HSiF)水溶液を用いることができる。また、水溶液中のヘキサフルオロケイ酸を安定化させるため、アンモニアなどの添加物を含んでもよい。
【0029】
実施形態に係る析出抑制剤としては、たとえば、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(NHSiFや、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム(NaSiF)などを用いることができる。
【0030】
また、実施形態に係る析出抑制剤は、イオン半径が0.2Åから0.9Åの陽イオンである元素を含む化合物であってもよい。ここで、「イオン半径」とは、結晶格子の格子定数から得られる陰イオンと陽イオンの半径の和から経験に求められたイオンの半径である。
【0031】
実施形態に係る析出抑制剤は、たとえば、アルミニウム、カリウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、モリブデン、ハフニウム、ニッケルおよびクロムのいずれかの元素の酸化物を含んでもよい。
【0032】
また、実施形態に係る析出抑制剤は、上述のいずれかの元素の酸化物に代えてまたは加えて、上述のいずれかの元素の窒化物、塩化物、臭化物、水酸化物および硝酸塩のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0033】
実施形態に係る析出抑制剤は、たとえば、Al(OH)、AlCl、AlBr、Al(NO、Al(SO、AlPOおよびAlのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0034】
また、実施形態に係る析出抑制剤は、KCl、KBr、KOHおよびKNOのうち少なくとも1つを含んでもよい。さらに、実施形態に係る析出抑制剤は、LiCl、NaCl、MgCl、CaClおよびZrClのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0035】
また、実施形態に係る析出抑制剤は、水溶性の有機溶媒を含有する。かかる有機溶媒としては、たとえば、エタノールやメタノール、アセトン、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノールなどが挙げられる。
【0036】
タンク14は、リン酸水溶液供給部11から供給されるリン酸水溶液と、析出抑制剤供給部12から供給される析出抑制剤とを貯留する。また、タンク14は、リン酸水溶液と析出抑制剤とが混ぜられて生成される混合液Mを貯留する。
【0037】
タンク14には、上から順に第1液面センサS1および第2液面センサS2が設けられる。これにより、タンク14に貯留されるリン酸水溶液や混合液Mの液面の高さを制御している。さらに、実施形態では、かかる第1液面センサS1および第2液面センサS2を用いることにより、リン酸水溶液や析出抑制剤の液量を秤量することができる。
【0038】
循環路15は、タンク14から出て、かかるタンク14に戻る循環ラインである。循環路15は、タンク14の底部に設けられる入口と、タンク14の上部に設けられる出口とを有し、かかる入口から出口に向かって流れる循環流を形成する。なお、実施形態では、タンク14に貯留される混合液Mの液面の上方に出口が配置される。
【0039】
循環路15には、タンク14を基準として、上流側から順に第1ポンプ16と、開閉弁17と、フィルタ18と、第1ヒータ19と、リン酸濃度センサ52と、分岐部15aと、分岐部15bと、バルブ20とが設けられる。第1ヒータ19は、加温部の一例である。
【0040】
第1ポンプ16は、タンク14から出て、循環路15を通り、タンク14に戻る混合液Mの循環流を形成する。
【0041】
フィルタ18は、循環路15内を循環する混合液Mに含まれるパーティクルなどの汚染物質を除去する。なお、循環路15には、かかるフィルタ18をバイパスするバイパス流路21が設けられ、かかるバイパス流路21には開閉弁21aが設けられる。
【0042】
そして、循環路15に設けられる開閉弁17とバイパス流路21に設けられる開閉弁21aとを互い違いに開閉することにより、フィルタ18を流れる循環流と、フィルタ18をバイパスする循環流とのいずれかを形成することができる。
【0043】
第1ヒータ19は、循環路15内を循環する混合液Mを加温する。実施形態では、かかる第1ヒータ19で混合液Mを加温することによって、タンク14に貯留される混合液Mを加温する。
【0044】
リン酸濃度センサ52は、循環路15を循環する混合液Mのリン酸濃度を検出する。リン酸濃度センサ52で生成された信号は、上述の制御部3に送信される。
【0045】
分岐部15aおよび分岐部15bからは、それぞれ基板処理部30の処理槽31に混合液Mを送る送液路22が分岐している。具体的には、分岐部15aからは処理槽31の内槽31aに混合液Mを送る第1送液路22aが分岐し、分岐部15bからは処理槽31の外槽31bに混合液Mを送る第2送液路22bが分岐する。すなわち、送液路22は、第1送液路22aおよび第2送液路22bを有する。
【0046】
第1送液路22aには、第1流量調整器23aが設けられる。かかる第1流量調整器23aは、処理槽31の内槽31aに供給される混合液Mの流量を調整する。第1流量調整器23aは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
【0047】
第2送液路22bには、上流側から順に、第2流量調整器23bと、温度計53と、分岐部22b1と、流量計55と、定圧弁56と、絞り弁57と、分岐部22b2と、バルブ58とが設けられる。
【0048】
第2流量調整器23bは、処理槽31の外槽31bに供給される混合液Mの流量を調整する。第2流量調整器23bは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。温度計53は、第2送液路22bを流れる混合液Mの温度を測定する。
【0049】
分岐部22b1からは、タンク14に混合液Mを戻す第1帰還路24aが分岐している。かかる第1帰還路24aは、背圧弁54を有する。背圧弁54は、第1帰還路24aにおける背圧弁54よりも上流側(たとえば、分岐部22b1)の圧力を調整する。
【0050】
流量計55は、第2送液路22bを流れる混合液Mの流量を測定する。流量計55は、温度計52で測定される混合液Mの温度に基づいて、混合液Mの流量を補正する。たとえば、制御部3は、温度計52から得られた混合液Mの温度情報に基づいて、流量計55から得られた混合液Mの流量情報を補正する。
【0051】
これにより、実施形態では、混合液Mの温度が室温から高温までの範囲で大きく変化した場合でも、流量計55を流れる混合液Mの流量を精度よく測定することができる。
【0052】
定圧弁56は、第2送液路22bにおける定圧弁56よりも下流側の圧力を調整する。絞り弁57は、第2送液路22bを流れる混合液Mの流量を調整する。
【0053】
分岐部22b2からは、タンク14に混合液Mを戻す第2帰還路24bが分岐している。このように、実施形態では、第1帰還路24aと第2帰還路24bとで構成される帰還路24が第2送液路22bから分岐し、かかる帰還路24が第2送液路22bを流れる混合液Mをタンク14に戻す。第2帰還路24bは、バルブ59を有する。
【0054】
制御部3は、バルブ58とバルブ59とを互い違いに開閉する。これにより、制御部3は、混合液Mを外槽31bまたはタンク14に切り替えて送液することができる。
【0055】
シリコン溶液供給部25は、混合装置10で生成された混合液Mにシリコン溶液を添加する。実施形態に係るシリコン溶液は、たとえば、コロイダルシリコンを分散させた溶液である。シリコン溶液供給部25は、シリコン溶液供給源25aと、シリコン溶液供給路25bと、流量調整器25cとを有する。
【0056】
シリコン溶液供給源25aは、たとえば、シリコン溶液を貯留するタンクである。流量調整器25cは、シリコン溶液供給路25bに設けられ、シリコン溶液供給路25bを流れるシリコン溶液の流量を調整する。シリコン溶液供給路25bは、処理槽31の外槽31bに接続される。流量調整器25cは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
【0057】
基板処理部30は、混合装置10で生成されたエッチング液EにウェハWを浸漬して、かかるウェハWにエッチング処理を施す。
【0058】
基板処理部30は、処理槽31と、循環路32と、DIW供給部33と、処理液排出部34とを備える。処理槽31は、内槽31aおよび外槽31bを有する。
【0059】
内槽31aは、上部が開放され、エッチング液Eが上部付近まで供給される。かかる内槽31aでは、基板昇降機構35で複数のウェハWがエッチング液Eに浸漬され、ウェハWにエッチング処理が行われる。かかる基板昇降機構35は、昇降可能に構成され、複数のウェハWを垂直姿勢で前後に並べて保持する。
【0060】
外槽31bは、内槽31aの上部周囲に設けられるとともに、上部が開放される。外槽31bには、内槽31aからオーバーフローしたエッチング液Eが流入する。
【0061】
外槽31bには、第3液面センサS3が設けられる。これにより、外槽31bに貯留される混合液Mやエッチング液Eの液面の高さを制御している。さらに、実施形態では、かかる第3液面センサS3を用いることにより、混合液Mの液量を秤量することができる。かかる混合液Mの秤量処理の詳細は後述する。
【0062】
内槽31aおよび外槽31bには、混合装置10から混合液Mが送液路22を介して供給される。また、内槽31aには、シリコン溶液供給部25からシリコン溶液が供給される。さらに、外槽31bには、DIW供給部33からDIW(DeIonized Water:脱イオン水)が供給される。
【0063】
DIW供給部33は、DIW供給源33aと、DIW供給路33bと、流量調整器33cとを有する。DIW供給部33は、処理槽31に貯留されるエッチング液Eの濃度を調整するため、外槽31bにDIWを供給する。
【0064】
DIW供給路33bは、DIW供給源33aと外槽31bとを接続し、DIW供給源33aから外槽31bに所定温度のDIWを供給する。
【0065】
流量調整器33cは、DIW供給路33bに設けられ、外槽31bへ供給されるDIWの供給量を調整する。流量調整器33cは、開閉弁や流量制御弁、流量計などで構成される。流量調整器33cによってDIWの供給量が調整されることで、エッチング液Eの温度、リン酸濃度、シリコン濃度および析出抑制剤濃度が調整される。
【0066】
また、外槽31bには、温度センサ36とリン酸濃度センサ37とが設けられる。温度センサ36は、エッチング液Eの温度を検出し、リン酸濃度センサ37は、エッチング液Eのリン酸濃度を検出する。温度センサ36およびリン酸濃度センサ37で生成された信号は、上述の制御部3に送信される。
【0067】
外槽31bと内槽31aとは、循環路32によって接続される。循環路32の一端は外槽31bの底部に接続され、循環路32の他端は内槽31a内に設置される処理液供給ノズル38に接続される。
【0068】
循環路32には、外槽31b側から順に、第2ポンプ39と、フィルタ40と、第2ヒータ41と、シリコン濃度センサ42とが設けられる。
【0069】
第2ポンプ39は、外槽31bから循環路32を経て内槽31aに送られるエッチング液Eの循環流を形成する。また、エッチング液Eは、内槽31aからオーバーフローすることで、再び外槽31bへと流出する。このようにして、基板処理部30内にエッチング液Eの循環流が形成される。すなわち、かかる循環流は、外槽31b、循環路32および内槽31aにおいて形成される。
【0070】
フィルタ40は、循環路32を循環するエッチング液Eを濾過する。第2ヒータ41は、循環路32を循環するエッチング液Eの温度を調整する。シリコン濃度センサ42は、循環路32を循環するエッチング液Eのシリコン濃度を検出する。シリコン濃度センサ42で生成された信号は、制御部3に送信される。
【0071】
処理液排出部34は、エッチング液Eを生成する際に貯留された混合液Mや、エッチング処理で使用されたエッチング液Eの全部、または一部を入れ替える際などに、混合液Mの液面やエッチング液EをドレインDRに排出する。処理液排出部34は、排出路34aと、流量調整器34bと、冷却タンク34cとを有する。
【0072】
排出路34aは、循環路32に接続される。流量調整器34bは、排出路34aに設けられ、排出される混合液Mやエッチング液Eの排出量を調整する。流量調整器34bは、開閉弁や流量制御弁、流量計などから構成される。
【0073】
冷却タンク34cは、排出路34aを流れてきた混合液Mやエッチング液Eを一時的に貯留するとともに冷却する。冷却タンク34cでは、流量調整器34bによって混合液Mやエッチング液Eの排出量が調整される。
【0074】
<基板処理の手順>
つづいて、実施形態に係る基板処理の手順について、図2図4を参照しながら説明する。図2および図3は、実施形態に係る処理槽31に混合液Mを初回に送液する際の各種処理における基板処理システム1の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。
【0075】
なお、図2は、処理槽31に混合液Mを初回に送液する際の各種処理の前半部分を示し、図3は、処理槽31に混合液Mを初回に送液する際の各種処理の後半部分を示している。
【0076】
図2および図3に示すように、実施形態では、混合処理と、加温処理と、フィルトレーション処理と、送液処理と、添加処理とが順に実施される。まず、制御部3は、時間T0からリン酸水溶液供給部11を動作させて(ON状態にして)、タンク14にリン酸水溶液を供給することにより、混合処理を開始する。
【0077】
なお、かかる時間T0の時点では、析出抑制剤供給部12と、第1ポンプ16と、第1ヒータ19とは動作していない(OFF状態である)。また、時間T0の時点では、開閉弁17が閉状態であるとともに開閉弁21aが開状態であることから、フィルタ18がバイパス流路21でバイパスされている状態(フィルタバイパスがON状態)である。
【0078】
さらに、時間T0の時点では、第1流量調整器23aおよび第2流量調整器23bは閉状態(OFF状態)であり、タンク14には何も貯留されていないことから、第1液面センサS1および第2液面センサS2からはOFF信号が出力される。
【0079】
そして、リン酸水溶液がタンク14に所定の量供給された時間T1で、制御部3は、第1ポンプ16を動作させて(ON状態にして)、循環路15に循環流を形成する。
【0080】
次に、タンク14に貯留されるリン酸水溶液の液面が徐々に上昇し、時間T2で液面が所定の第2高さ以上になると、第2液面センサS2からON信号が出力される。すると、制御部3は、時間T2から析出抑制剤供給部12を動作させて(ON状態にして)、タンク14に析出抑制剤を供給するとともに、リン酸水溶液供給部11を停止する(OFF状態にする)。
【0081】
次に、析出抑制剤がタンク14に所定の量供給された時間T3で、制御部3は、析出抑制剤供給部12を停止する(OFF状態にする)とともに、リン酸水溶液供給部11を動作させて(ON状態にして)、タンク14にリン酸水溶液を供給する。
【0082】
次に、時間T4で混合液Mの液面が所定の第1高さ以上になると、第1液面センサS1からON信号が出力される。すると、制御部3は、リン酸水溶液がタンク14に所定の量供給されたとみなし、時間T4でリン酸水溶液供給部11を停止する(OFF状態にする)。これにより、混合処理が完了し、リン酸および析出抑制剤が所与の濃度である混合液Mが混合装置10内で生成される。
【0083】
このように、制御部3は、析出抑制剤をタンク14に供給する前に、第1ポンプ16を動作させる。これにより、析出抑制剤が供給される前に循環路15に循環流を形成することができることから、リン酸水溶液と析出抑制剤との混合性を向上させることができる。
【0084】
また、制御部3は、リン酸水溶液と析出抑制剤とを同時にタンク14に供給せず、それぞれ個別にタンク14に供給する。これにより、析出抑制剤が所定の量供給される前に、第1液面センサS1からON信号が出力されることを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、析出抑制剤をタンク14に確実に所定の量供給することができる。
【0085】
つづいて、制御部3は、時間T4から第1ヒータ19を動作させて(ON状態にして)、循環路15内を循環する混合液Mを加温することにより、加温処理を開始する。制御部3は、かかる第1ヒータ19で混合液Mを加温することによって、タンク14に貯留される混合液Mを加温する。
【0086】
そして、混合液Mの温度が所与の温度になった時間T5で、加温処理が完了する。なお、実施形態に係る加温処理における所与の温度は、析出抑制剤に含まれる有機溶媒の沸点よりも高い温度であり、たとえば、170(℃)程度である。
【0087】
そして、実施形態では、第1ヒータ19を混合装置10の循環路15に設けることにより、混合液Mを効率的に加温することができる。
【0088】
なお、実施形態に係る基板処理では、混合処理が完了した後に加温処理を開始している。これは、加温されて温度が上昇したリン酸水溶液に有機溶剤を含んだ析出抑制剤を供給すると、かかる析出抑制剤が突沸してしまう恐れがあるからである。
【0089】
すなわち、実施形態によれば、混合処理が完了した後に加温処理を開始することにより、供給の際に析出抑制剤が突沸することを抑制することができる。
【0090】
つづいて、制御部3は、時間T5からフィルタバイパスをOFF状態にすることにより、フィルトレーション処理を開始する。すなわち、制御部3は、時間T5から開閉弁17を開状態に変更するとともに開閉弁21aを閉状態に変更して、フィルタ18を流れる循環流を循環路15に形成する。
【0091】
これにより、混合液Mに含まれるパーティクルなどの汚染物質が除去される。そして、混合液Mに含まれるパーティクルなどの汚染物質が十分に除去された時間T6で、フィルトレーション処理が完了する。
【0092】
なお、制御部3は、フィルトレーション処理が完了した時間T6で、第1ヒータ19を停止させる(OFF状態にする)。これにより、混合装置10内の混合液Mのリン酸濃度が所望の濃度よりも高くなることを抑制することができる。
【0093】
また、実施形態に係る基板処理では、混合処理および加温処理でフィルタバイパスをON状態にしている。これにより、循環路15において、フィルタ18で発生する圧力損失を低減することができることから、タンク14に貯留された混合液Mを効率よく循環させることができる。
【0094】
なお、加温処理が完了するまでは、フィルタ18で混合液Mを濾過する必要はないことから、バイパス流路21を介して循環させたとしても特に問題はない。
【0095】
つづいて、制御部3は、時間T6から送液処理を開始する。具体的には、制御部3は、時間T6から第1流量調整器23aを開状態にする(ON状態にする)。なお、第2流量調整器23bは閉状態を維持する。また、図2などには図示していないが、制御部3は、時間T6で、循環路15のバルブ20を開状態から閉状態に変更する。
【0096】
これにより、制御部3は、循環路15および第1送液路22aを介して、混合装置10から基板処理部30の内槽31aに混合液Mを送液する。また、制御部3は、図3に示すように、時間T6から内槽31aに設けられる攪拌機構(たとえばバブリング機構、図1には図示せず)を動作させる(ON状態にする)。
【0097】
そして、処理槽31への送液処理が開始され、外槽31b内の混合液Mが増加すると、時間T7で外槽31bに貯留される混合液Mの液面が所定の第3高さ以上になる。これにより、第3液面センサS3からON信号が出力される。
【0098】
次に、混合液Mが処理槽31に所定の量供給された時間T8で、第1ポンプ16を停止する(OFF状態にする)とともに、第1流量調整器23aを閉状態にする(OFF状態にする)。これにより、処理槽31への混合液Mの供給が停止され、送液処理が完了する。なお、制御部3は、時間T8でフィルタバイパスをON状態にする。
【0099】
つづいて、制御部3は、時間T8からシリコン溶液の添加処理を開始する。まず、制御部3は、時間T8から循環路32の第2ポンプ39および第2ヒータ41を動作させる(ON状態にする)。
【0100】
このように、循環路32で混合液Mを循環させながら加温することにより、制御部3は、処理槽31内の混合液Mの温度およびリン酸濃度を所定の値に調整する。
【0101】
次に、処理槽31内における混合液Mの温度およびリン酸濃度を所定の値になった(温度濃度センサ:ON)時間T9で、制御部3は、処理槽31の攪拌機構を停止させる(OFF状態にする)。これにより、制御部3は、内槽31aに貯留される混合液Mの液面を安定させる。
【0102】
次に、時間T9から所定の時間経過し、内槽31aに貯留される混合液Mの液面が安定した時間T10で、制御部3は、処理液排出部34を動作させる(ON状態にする)。これにより、制御部3は、外槽31bに貯留される混合液Mの液面を下降させる。
【0103】
次に、外槽31bに貯留される混合液Mの液面が所定の第3高さよりも低くなり、第3液面センサS3からOFF信号が出力された時間T11で、制御部3は、処理液排出部34を停止させる(OFF状態にする)。
【0104】
ここで、外槽31bでは混合液Mの液面が所定の第3高さと略等しくなり、内槽31aは混合液Mで満たされていることから、制御部3は、処理槽31全体に貯留される混合液Mを所定の値に秤量することができる。したがって、実施形態によれば、エッチング液Eを生成する際の混合液Mの量を精度よく調整することができる。
【0105】
次に、混合液Mが処理槽31に所定の量供給された時間T11で、制御部3は、シリコン溶液供給部25を動作させる(ON状態にする)とともに、処理槽31の攪拌機構を動作させる(ON状態にする)。これにより、制御部3は、シリコン溶液供給路25bを介して基板処理部30の内槽31aにシリコン溶液を送液する。
【0106】
そして、外槽31b内の液量が増加すると、時間T12で外槽31bに貯留される混合液Mの液面が所定の第3高さ以上になる。これにより、第3液面センサS3からON信号が出力される。
【0107】
次に、シリコン溶液が所定の量送液された時間T13で、制御部3は、シリコン溶液供給部25を停止させる(OFF状態にする)。さらに、制御部3は、時間T13から所定の時間経過した時間T14まで処理槽31の攪拌機構を動作させて、シリコン溶液の添加処理が完了する。
【0108】
ここまで説明した処理によって、制御部3は、処理槽31に混合液Mを初回に送液する際に、所望のシリコン濃度を有するエッチング液Eを処理槽31に準備することができる。したがって、実施形態によれば、ウェハWに対するエッチング処理の開始時点から、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチングの選択比を向上させることができる。
【0109】
また、実施形態において、制御部3は、混合液Mとシリコン溶液とをいずれも処理槽31の内槽31aに供給する。これにより、実施形態では、内槽31aから外槽31bにオーバーフローさせながら混合液Mとシリコン溶液とを混合することができることから、混合液Mとシリコン溶液との混合性を向上させることができる。
【0110】
図4は、実施形態に係る処理槽31のエッチング液Eのシリコン濃度を調整する際の各種処理における基板処理システム1の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。
【0111】
この図4では、処理槽31でウェハWに対するエッチング処理が開始され、エッチング液EにウェハWからシリコンが溶出される際に送液される混合液Mの準備および送液処理について説明する。
【0112】
まず、制御部3は、時間T20からリン酸水溶液供給部11を動作させて(ON状態にして)、タンク14にリン酸水溶液を供給することにより、混合処理を開始する。
【0113】
なお、かかる時間T20の時点では、析出抑制剤供給部12と、シリコン溶液供給部25と、第1ポンプ16と、第1ヒータ19とは動作していない(OFF状態である)。また、時間T20の時点では、フィルタ18がバイパス流路21でバイパスされている状態(フィルタバイパスがON状態)であり、背圧弁54は全開状態である。
【0114】
さらに、時間T20の時点では、第1流量調整器23aおよび第2流量調整器23bは閉状態(OFF状態)であり、タンク14には何も貯留されていないことから、第1液面センサS1および第2液面センサS2からはOFF信号が出力される。
【0115】
そして、リン酸水溶液がタンク14に所定の量供給された時間T21で、制御部3は、第1ポンプ16を動作させて(ON状態にして)、循環路15に循環流を形成する。
【0116】
次に、タンク14に貯留されるリン酸水溶液の液面が徐々に上昇し、時間T22で液面が所定の第2高さ以上になると、第2液面センサS2からON信号が出力される。すると、制御部3は、時間T22から析出抑制剤供給部12を動作させて(ON状態にして)、タンク14に析出抑制剤を供給するとともに、リン酸水溶液供給部11を停止する(OFF状態にする)。
【0117】
次に、析出抑制剤がタンク14に所定の量供給された時間T23で、制御部3は、析出抑制剤供給部12を停止する(OFF状態にする)とともに、リン酸水溶液供給部11を動作させて(ON状態にして)、タンク14にリン酸水溶液を供給する。
【0118】
次に、時間T24で混合液Mの液面が所定の第1高さ以上になると、第1液面センサS1からON信号が出力される。すると、制御部3は、リン酸水溶液がタンク14に所定の量供給されたとみなし、時間T24でリン酸水溶液供給部11を停止する(OFF状態にする)。
【0119】
これにより、混合処理が完了し、リン酸および析出抑制剤が所与の濃度である混合液Mが混合装置10内で生成される。
【0120】
つづいて、制御部3は、時間T24から第1ヒータ19を動作させて(ON状態にして)、循環路15内を循環する混合液Mを加温することにより、加温処理を開始する。制御部3は、かかる第1ヒータ19で混合液Mを加温することによって、タンク14に貯留される混合液Mを加温する。そして、混合液Mの温度が所与の温度になった時間T25で、加温処理が完了する。
【0121】
つづいて、制御部3は、時間T25からフィルタバイパスをOFF状態にすることにより、フィルトレーション処理を開始する。これにより、混合液Mに含まれるパーティクルなどの汚染物質が除去される。そして、混合液Mに含まれるパーティクルなどの汚染物質が十分に除去された時間T26で、フィルトレーション処理が完了する。
【0122】
つづいて、制御部3は、時間T26から送液処理を開始する。具体的には、制御部3は、時間T6から第2流量調整器23bを開状態にする(ON状態にする)とともに、背圧弁54を絞り状態にする。なお、第1流量調整器23aは閉状態を維持する。また、図4には図示していないが、制御部3は、時間T26で、循環路15のバルブ20を開状態から閉状態に変更する。
【0123】
これにより、制御部3は、循環路15および第2送液路22bを介して、混合装置10から基板処理部30の外槽31bに混合液Mを送液する。すると、タンク14内の混合液Mが減少して、時間T27で液面が所定の第1高さより低くなる。これにより、第1液面センサS1からOFF信号が出力される。
【0124】
ここで、実施形態では、制御部3が、シリコン濃度センサ42から得られる処理槽31内のエッチング液Eのシリコン濃度に基づいて、処理槽31内のシリコン濃度を常に一定または一定以下に保つ制御を実施する。
【0125】
たとえば、処理槽31内のエッチング液Eのシリコン濃度が所与のしきい値よりも高くなった場合、制御部3は、流量調整器34bを開状態にして高いシリコン濃度のエッチング液Eを排出するとともに、排出されたエッチング液Eと同じ量の混合液Mを供給する。
【0126】
そして、実施形態では、混合液Mの混合処理が混合装置10で完了していることから、シリコン溶液が含まれない混合液Mを必要な際に処理槽31に供給することができる。
【0127】
これにより、制御部3は、処理槽31内のエッチング液Eの貯留量を一定に保つとともに、処理槽31内のエッチング液Eのシリコン濃度を低下させることができる。したがって、実施形態によれば、処理槽31内のシリコン濃度を常に一定または一定以下に保つことができる。
【0128】
また、実施形態では、制御部3が、シリコン溶液を含まない混合液Mを処理槽31に供給することができる。これにより、ウェハW内のシリコン窒化膜からシリコンが溶出してエッチング液Eのシリコン濃度が過剰になる際に、エッチング液Eのシリコン濃度を速やかに所定の濃度に抑えることができる。
【0129】
また、実施形態では、生成された混合液Mに個別にシリコン溶液を供給してエッチング液Eを生成することにより、基板処理部30に供給される混合液Mのシリコン濃度を広い範囲で調整することができる。
【0130】
すなわち、混合液Mに所定のシリコン濃度が必要な場合(たとえば、初回送液時)には、シリコン溶液供給部25を動作させることにより、シリコン溶液が含まれる混合液Mを処理槽31に供給することができる。
【0131】
一方で、混合液Mに所定のシリコン濃度が必要ない場合(たとえば、シリコン濃度の調整時)には、シリコン溶液供給部25を動作させないことにより、シリコン溶液が含まれない混合液Mを処理槽31に供給することができる。
【0132】
また、実施形態では、エッチング液Eのシリコン濃度を調整する際に、送液される混合液Mのリン酸濃度を循環路15のリン酸濃度センサ52で検出しながら調整処理を実施する。すなわち、実施形態では、リン酸濃度センサ52で混合液Mの送液量をフィードバック制御する。
【0133】
これにより、エッチング液Eのリン酸濃度をより安定させることができることから、エッチング液EによるウェハWのエッチング処理をさらに適切に実施することができる。
【0134】
また、実施形態では、混合装置10で加温処理が完了した混合液Mを処理槽31に供給するとよい。これにより、混合液Mが供給された処理槽31でエッチング液Eの温度が低下することを抑制することができる。
【0135】
したがって、実施形態によれば、処理槽31で安定したエッチング処理を実施することができる。
【0136】
また、実施形態では、制御部3が、処理槽31において混合液Mの供給が不要である場合に、第2送液路22bを流れる混合液Mを第2帰還路24bからタンク14に戻すとよい。
【0137】
すなわち、制御部3は、処理槽31において混合液Mの供給が不要である場合に、バルブ58を閉状態に変更するとともにバルブ59を開状態に変更して、混合液Mを循環路15、第2送液路22bおよび第2帰還路24bを用いて循環させるとよい。
【0138】
これにより、第2送液路22bから混合液Mが外槽31bに吐出される状態(すなわち、混合液Mの供給が必要な状態)と、第2送液路22bから混合液Mが外槽31bに吐出されない状態(すなわち、混合液Mの供給が不要な状態)とを揃えることができる。
【0139】
したがって、実施形態によれば、混合液Mをより精度よく吐出することができることから、処理槽31内のシリコン濃度を常に一定または一定以下に保つ処理をより精度よく実施することができる。
【0140】
また、実施形態では、第2帰還路24bに加えて、第1帰還路24aからも第2送液路22bを流れる混合液Mをタンク14に戻すとよい。
【0141】
これにより、第2送液路22bを流れる混合液Mの流量を増加させることができることから、第1ヒータ19で混合液Mを加温する際に最低限必要となる混合液Mの流量を確保することができる。したがって、実施形態によれば、混合液Mを安定的に加温することができる。
【0142】
また、実施形態では、制御部3が、混合液Mの送液処理の際に、背圧弁54を絞り状態にするとよい。これにより、制御部3は、第2送液路22bにおける分岐部22b1の圧力を高めることができることから、分岐部22b1から第2送液路22bおよび第2帰還路24bを介して混合液Mをタンク14に戻すために必要な圧力を確保することができる。
【0143】
なお、実施形態では、第2送液路22bから外槽31bに吐出される混合液Mの流量を調整する場合に、絞り弁57を用いて流量の粗調整を行ない、流量計55および定圧弁56を用いて流量の微調整を行っている。
【0144】
ここで、実施形態では、定圧弁56で流量計55内の混合液Mの圧力をフィードバック制御することにより、流量計55内の混合液Mの流量を一定に保つとよい。これにより、混合液Mをより正確な量吐出することができることから、処理槽31内のシリコン濃度を常に一定または一定以下に保つ処理をより正確に実施することができる。
【0145】
また、実施形態では、制御部3が、エッチング液Eのシリコン濃度を調整する際に、混合液Mを内槽31aではなく外槽31bに供給するとよい。これにより、ウェハWが処理されている内槽31aに直接混合液Mを供給する場合に比べて、内槽31aのエッチング液Eのシリコン濃度が急激に変化することを抑制することができる。
【0146】
したがって、実施形態によれば、ウェハWのエッチング処理をさらに安定して実施することができる。
【0147】
また、実施形態では、送液路22(第1送液路22aおよび第2送液路22b)が循環路15から分岐して設けられる。これにより、混合処理や加温処理の際に用いられる第1ポンプ16によって混合液Mを処理槽31に送液することができる。
【0148】
すなわち、実施形態では、混合液Mの送液処理のために別途送液路22にポンプを備える必要がなくなることから、低コストで混合液Mを送液することができる。
【0149】
<排気部の詳細>
つづいて、実施形態に係る混合装置10に設けられる排気部60の構成および動作の詳細について、図5および図6を参照しながら説明する。図5は、実施形態に係る基板処理システム1の排気部60の構成を示す概略ブロック図である。
【0150】
図5に示すように、実施形態に係る排気部60は、排気ファン61と、排気ダクト62と、ミストトラップ63と、給気ライン64と、給気ファン65と、ガス濃度計66、67とを備える。
【0151】
排気ファン61は、混合装置10内の気体を排気する。排気ファン61は、たとえば、混合装置10のタンク14(図1参照)に隣接して配置され、タンク14から蒸発する蒸気などが含まれる混合装置10内の気体を、排気ダクト62に向けて排気する。また、制御部3(図1参照)は、かかる排気ファン61の回転数を所望の値に制御することができる。
【0152】
排気ダクト62は、混合装置10内から排気される気体を導く。排気ダクト62は、たとえば、基板処理システム1が設置される工場に設けられる排気設備(以下、工場大元とも呼称する。)と混合装置10との間に配置され、かかる混合装置10内から排気される気体を工場大元に導く。
【0153】
なお、工場の排気設備(工場大元)は大気圧よりも低い陰圧になるように制御される。そのため、かかる工場大元に接続される混合装置10の内部も陰圧になるように制御されるとともに、排気ファン61が仮に動作しない場合でも、混合装置10内の気体は工場大元によって吸引される。
【0154】
ミストトラップ63は、混合装置10内から排気され、排気ダクト62内を流れる気体に含まれるミストを除去する。ミストトラップ63は、たとえば、排気ダクト62の工場大元側に配置される。
【0155】
給気ライン64は、排気ダクト62に接続され、かかる排気ダクト62内の可燃ガスを希釈する希釈ガスを供給する。給気ライン64は、たとえば、排気ダクト62と基板処理システム1の周囲との間に接続される。そして、給気ライン64は、希釈ガスとして、可燃ガスが含まれない基板処理システム1の周囲の雰囲気を、排気ダクト62に供給する。
【0156】
なお、給気ライン64から供給される希釈ガスは、基板処理システム1の周囲の雰囲気に限られず、たとえば、工場用力から供給される不活性ガスや空気などであってもよい。
【0157】
給気ファン65は、給気ライン64から排気ダクト62に供給される希釈ガスの供給量を調整する。給気ファン65は、たとえば、給気ライン64の上流側に配置され、基板処理システム1の周囲の雰囲気を排気ダクト62に向けて供給する。また、制御部3は、かかる給気ファン65の回転数を所望の値に制御することができる。
【0158】
ガス濃度計66は、排気ダクト62に設けられ、かかる排気ダクト62内を流れる気体の可燃ガス濃度を測定する。また、ガス濃度計67は、混合装置10に設けられ、かかる混合装置10内の気体の可燃ガス濃度を測定する。
【0159】
図6は、実施形態に係る混合装置10において混合液Mを送液する際の各種処理における排気部60の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。この図6では、混合装置10で混合液Mが準備され処理槽31に送液される際に、排気部60で実施される排気処理の詳細について説明する。
【0160】
上述したように、制御部3(図1参照)は、混合装置10(図1参照)において、時間T0から時間T4までの間、リン酸水溶液と析出抑制剤とを混合して混合液M(図1参照)を生成する混合処理を実施する。
【0161】
かかる混合処理の際には、混合液Mの温度が室温であることから、混合液M内の析出抑制剤に含まれる有機溶媒はほとんど蒸発しない。そのため、図6に示すように、排気ダクト62を流れる気体の可燃ガス濃度は、非常に低い濃度C0となる。
【0162】
ここで、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が濃度C0である場合、排気部60を積極的に動作させて混合装置10内から可燃ガスを排気する必要はないとみなす。
【0163】
そして、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が濃度C0である場合、制御部3は、排気ファン61の回転数を最低レベルの回転数R0に制御するとともに、給気ファン65の回転数を最低レベルの回転数R3に制御する。
【0164】
これにより、排気部60を積極的に動作させる必要が無い場合に、工場大元に余分な負荷をかけることを抑制することができる。
【0165】
かかる混合処理につづいて、制御部3は、混合装置10において、時間T4から混合液Mを加温する加温処理を実施する。かかる加温処理の際には、混合液Mが加温されることから、混合液M内の析出抑制剤に含まれる有機溶媒が蒸発する。
【0166】
そのため、混合装置10内の気体の可燃ガス濃度が徐々に上昇することから、排気ダクト62を流れる気体の可燃ガス濃度は、濃度C0から徐々に上昇する。
【0167】
ここで、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が濃度C0よりも高くなった場合に、混合装置10で生成される混合液Mに有機溶媒が残っているとみなす。
【0168】
そして、混合装置10で生成される混合液Mに有機溶媒が残っているとみなされた場合、制御部3は、ガス濃度計67で測定される混合装置10内の可燃ガス濃度(図示せず)に応じて、排気ファン61の回転数を回転数R0から増加させる。たとえば、制御部3は、混合装置10内の可燃ガス濃度が高くなるにしたがい、排気ファン61の回転数を増加させる。
【0169】
これにより、タンク14(図1参照)内の混合液Mに残る有機溶媒の蒸発を促進させることができる。
【0170】
また、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が濃度C0よりも高くなった場合、かかる排気ダクト62内の可燃ガス濃度に応じて、給気ファン65の回転数を回転数R3から増加させる。たとえば、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が高くなるにしたがい、給気ファン65の回転数を増加させる。
【0171】
これにより、排気ダクト62内に供給される希釈ガスの量が増加することから、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が、所与のしきい濃度Cthよりも高くなることを抑制することができる。
【0172】
かかるしきい濃度Cthは、可燃ガスの爆発下限界(LEL:Lower Explosion Limit)よりも低い値であり、たとえば、25%LELよりも低い値である。
【0173】
つづいて、混合液Mの温度が所与の温度に達した時間T4aにおいて、混合液Mから蒸発する有機溶媒の蒸発量がほぼ一定となる。そこで、制御部3は、かかる時間T4aにおいて、排気ファン61の回転数を回転数R0よりも大きい所与の回転数R2に設定するとともに、給気ファン65の回転数を回転数R3よりも大きい所与の回転数R5に設定する。
【0174】
これにより、混合液Mからの可燃ガスの発生量と給気ライン64から供給される希釈ガスの供給量とが一定となることから、有機溶媒の蒸発が継続する時間T4aから時間T4bまでの間、排気ダクト62内の可燃ガス濃度はしきい濃度Cthで維持される。
【0175】
換言すると、制御部3は、混合液Mの温度が所与の温度である場合に、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthとなるように、混合装置10から排気ダクト62に供給(排気)される可燃ガスの量を排気ファン61で調整する。
【0176】
さらに、制御部3は、混合液Mの温度が所与の温度である場合に、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthとなるように、給気ライン64から排気ダクト62に供給される希釈ガスの量を給気ファン65で調整する。
【0177】
すなわち、実施形態では、排気部60に排気ファン61を設けることで、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cth以下となるように、混合装置10から排気ダクト62に排気される可燃ガスの量を排気ファン61で調整することができる。
【0178】
したがって、実施形態によれば、混合装置10から排気されて、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる。
【0179】
また、実施形態では、排気部60に給気ライン64および給気ファン65を設けることで、混合装置10から排気ダクト62に排気される可燃ガスを希釈ガスで希釈することができる。
【0180】
したがって、実施形態によれば、混合装置10から排気されて、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度をさらに低減することができる。
【0181】
また、時間T4aから時間T4bまでの間、突発的に有機溶媒の蒸発量が増加し、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthよりも高くなったとする。この場合、制御部3は、排気ファン61の回転数を回転数R2よりも減少させるとともに、給気ファン65の回転数を回転数R5よりも増加させる。
【0182】
これにより、排気ダクト62への可燃ガスの供給量を減少させることができるとともに、希釈ガスの供給量を増加させることができることから、排気ダクト62内の可燃ガス濃度をしきい濃度Cth以下に戻すことができる。
【0183】
すなわち、実施形態では、制御部3が、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cth以下となるように、排気ダクト62に供給される可燃ガスの量を排気ファン61で調整すると共に、排気ダクト62に供給される希釈ガスの量を給気ファン65で調整する。
【0184】
これにより、混合装置10から排気された可燃ガスによって、排気ダクト62内で爆発等が発生することを防止することができる。
【0185】
つづいて、混合液Mから有機溶媒がすべて蒸発した時間T4bにおいて、排気ダクト62を流れる気体の可燃ガス濃度は、しきい濃度Cthから徐々に低下する。
【0186】
ここで、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthから徐々に低下した場合に、混合装置10で生成される混合液Mに有機溶媒が残っていないとみなす。
【0187】
そして、混合装置10で生成される混合液Mに有機溶媒が残っていないとみなされた場合、制御部3は、ガス濃度計67で測定される混合装置10内の可燃ガス濃度に応じて、排気ファン61の回転数を回転数R2から減少させる。たとえば、制御部3は、混合装置10内の可燃ガス濃度が低くなるにしたがい、排気ファン61の回転数を減少させる。
【0188】
また、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthから徐々に低下した場合、かかる排気ダクト62内の可燃ガス濃度に応じて、給気ファン65の回転数を回転数R5から減少させる。たとえば、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が低くなるにしたがい、給気ファン65の回転数を減少させる。
【0189】
これにより、混合液Mから有機溶媒がすべて蒸発したため、排気部60を最大出力で動作させる必要が無い場合に、工場大元に余分な負荷をかけることを抑制することができる。
【0190】
また、実施形態では、制御部3が、ここまで説明したように、混合装置10内の混合液Mに有機溶媒が残っているか否かを、ガス濃度計66で測定される排気ダクト62内の可燃ガス濃度に基づいて判定するとよい。
【0191】
これにより、混合装置10のタンク14に別途有機溶媒の有無を検出するセンサを設けることなく、混合装置10内の混合液Mに有機溶媒が残っているか否かを判定することができることから、基板処理システム1のコストを低減することができる。
【0192】
そして、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が最低レベルの濃度C0に戻った時間T5で、混合装置10の加温処理が完了する。
【0193】
かかる加温処理につづいて、制御部3は、時間T5から混合液Mを処理槽31に送液する送液処理を実施する。かかる送液処理の際には、タンク14内の混合液Mの温度および濃度を一定に保つため、混合装置10内は所与の陰圧(たとえば、-90Pa)に維持されるとよい。
【0194】
そこで、実施形態では、混合装置10内を所与の陰圧に保持するため、制御部3が、排気ファン61の回転数を所与の回転数R1で維持するとともに、給気ファン65の回転数を所与の回転数R4で維持する。
【0195】
かかる回転数R1は、回転数R0よりも大きく、回転数R2よりも小さい。また、回転数R4は、回転数R3よりも大きく、回転数R5よりも小さい。
【0196】
換言すると、制御部3は、送液処理の際に混合装置10内の圧力が所与の陰圧となるように、混合装置10から排気ダクト62に排気される気体の量を排気ファン61で調整し、給気ライン64から排気ダクト62に供給される気体の量を給気ファン65で調整する。
【0197】
これにより、送液処理の際に送液される混合液Mの温度および濃度を一定に保つことができることから、基板処理システム1での液処理を安定して実施することができる。
【0198】
そして、時間T8で、処理槽31への混合液Mの供給が停止され、送液処理が完了する。さらに、時間T8以降には、混合装置10において再度混合処理が開始される。
【0199】
そして、上述のように、混合処理では排気ダクト62内の可燃ガス濃度が濃度C0であることから、制御部3は、排気ファン61の回転数を回転数R0に制御するとともに、給気ファン65の回転数を回転数R3に制御する。
【0200】
なお、実施形態では、加温処理にて混合液Mの温度を上昇させる際に、混合装置10内の可燃ガス濃度に応じて排気ファン61の回転数を増加させる例について示したが、本開示はかかる例に限られない。
【0201】
たとえば、実施形態では、加温処理にて混合液Mの温度を上昇させる際に、かかる混合液Mの温度に応じて排気ファン61の回転数を増加させてもよい。これによっても、タンク14内の混合液Mに残る有機溶媒の蒸発を促進させることができる。
【0202】
また、実施形態では、混合処理などで混合液Mの温度が室温である場合に、排気ファン61の回転数を最低レベルの回転数R0に維持するとよい。これにより、排気部60を積極的に動作させる必要が無い場合に、工場大元に余分な負荷をかけることを抑制することができる。
【0203】
<変形例>
つづいて、実施形態に係る基板処理システム1の各種変形例について、図7図11を参照しながら説明する。図7は、実施形態の変形例に係る基板処理システム1の構成を示す概略ブロック図である。なお、以下の各種変形例では、実施形態と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0204】
図7に示すように、変形例に係る基板処理システム1には、複数の処理槽31(図1参照)に対して複数の混合装置10(図1参照)が設けられる。
【0205】
図7の例では、3つの処理槽31A~31Cに対して3つの混合装置10A~10Cが設けられる。なお、以降の説明では、複数の混合装置10A~10Cを総称して「混合装置10」とも呼称し、複数の処理槽31A~31Cを総称して「処理槽31」とも呼称する。
【0206】
混合装置10Aと処理槽31A~31Cとの間には3つに分岐した送液路22Aがそれぞれ接続され、かかる送液路22Aを介して混合装置10Aから処理槽31A~31Cに個別に混合液Mが送液される。
【0207】
また、3つに分岐した送液路22Aにそれぞれ接続される帰還路24Aを介して、混合液Mが混合装置10Aのタンク14(図1参照)に戻される。
【0208】
混合装置10Bと処理槽31A~31Cとの間には3つに分岐した送液路22Bがそれぞれ接続され、かかる送液路22Bを介して混合装置10Bから処理槽31A~31Cに個別に混合液Mが送液される。
【0209】
また、3つに分岐した送液路22Bにそれぞれ接続される帰還路24Bを介して、混合液Mが混合装置10Bのタンク14に戻される。
【0210】
混合装置10Cと処理槽31A~31Cとの間には3つに分岐した送液路22Cがそれぞれ接続され、かかる送液路22Cを介して混合装置10Cから処理槽31A~31Cに個別に混合液Mが送液される。
【0211】
また、3つに分岐した送液路22Cにそれぞれ接続される帰還路24Cを介して、混合液Mが混合装置10Cのタンク14に戻される。
【0212】
なお、変形例において、送液路22A~22Cはいずれも、図1に示した第1送液路22aおよび第2送液路22bを有し、帰還路24A~24Cはいずれも、図1に示した第1帰還路24aおよび第2帰還路24bを有する。
【0213】
また、処理槽31A~31Cにはシリコン溶液供給部25がそれぞれ接続され、かかるシリコン溶液供給部25を介してシリコン溶液が処理槽31A~31Cに個別に供給される。
【0214】
さらに、混合装置10A~10Cにリン酸水溶液を供給するリン酸水溶液供給部11には、リン酸水溶液供給源11aの下流側に、バッファタンク11dが設けられる。変形例では、かかるバッファタンク11dを設けることにより、複数の混合装置10A~10Cで用いられるリン酸水溶液を必要なタイミングで必要な量だけ十分に供給することができる。
【0215】
なお、変形例において、リン酸水溶液供給部11に十分なリン酸水溶液の供給能力がある場合には、必ずしもリン酸水溶液供給部11にバッファタンク11dが設けられなくともよい。
【0216】
図8は、実施形態の変形例に係る基板処理システム1の各部の処理フローの具体例を示す図である。
【0217】
図8に示すように、制御部3(図1参照)は、まず、混合装置10Aにおいて、図2に示した混合処理と、加温処理と、フィルトレーション処理(図8には図示せず)とを順に実施する。これにより、制御部3は、混合装置10Aにおいて混合液Mを準備する。
【0218】
次に、制御部3は、準備された混合液Mを混合装置10Aから処理槽31Aに送液する。そして、混合装置10Aからの混合液Mの送液処理が完了すると、制御部3は、シリコン溶液供給部25からシリコン溶液を処理槽31Aに供給し、図3に示したシリコン溶液の添加処理を実施する。
【0219】
ここまで説明した各種処理によって、所望のシリコン濃度を有するエッチング液Eが処理槽31Aに準備される。
【0220】
また、混合装置10Aおよびシリコン溶液供給部25の各種処理と並行して、制御部3は、混合装置10Bにおいて図2に示した混合処理と、加温処理と、フィルトレーション処理(図8には図示せず)とを順に実施する。これにより、制御部3は、混合装置10Bにおいて混合液Mを準備する。
【0221】
次に、制御部3は、準備された混合液Mを混合装置10Bから処理槽31Bに送液する。そして、混合装置10Bからの混合液Mの送液処理が完了すると、制御部3は、シリコン溶液供給部25からシリコン溶液を処理槽31Bに供給し、図3に示したシリコン溶液の添加処理を実施する。
【0222】
ここまで説明した各種処理によって、所望のシリコン濃度を有するエッチング液Eが処理槽31Bに準備される。
【0223】
また、混合装置10A、10Bおよびシリコン溶液供給部25の各種処理と並行して、制御部3は、混合装置10Cにおいて図2に示した混合処理と、加温処理と、フィルトレーション処理(図8には図示せず)とを順に実施する。これにより、制御部3は、混合装置10Cにおいて混合液Mを準備する。
【0224】
次に、制御部3は、準備された混合液Mを混合装置10Cから処理槽31Cに送液する。そして、混合装置10Cからの混合液Mの送液処理が完了すると、制御部3は、シリコン溶液供給部25からシリコン溶液を処理槽31Cに供給し、図3に示したシリコン溶液の添加処理を実施する。
【0225】
ここまで説明した各種処理によって、所望のシリコン濃度を有するエッチング液Eが処理槽31Cに準備される。
【0226】
また、混合装置10B、10Cおよびシリコン溶液供給部25の各種処理と並行して、制御部3は、一旦送液処理まで終了した混合装置10Aにおいて、図4に示した混合処理と、加温処理と、フィルトレーション処理(図示せず)とを順に実施する。これにより、制御部3は、混合装置10Aにおいて混合液Mを準備する。
【0227】
次に、制御部3は、処理槽31A~31Cで順次ウェハWを浸漬し、かかるウェハWにエッチング処理を施す。また、このエッチング処理において、制御部3は、混合装置10Aから混合液Mを送液することにより、処理槽31A~31CにおいてELC処理を実施する。
【0228】
また、混合装置10A、10Cおよびシリコン溶液供給部25の各種処理と並行して、制御部3は、一旦送液処理まで終了した混合装置10Bにおいて、図4に示した混合処理と、加温処理と、フィルトレーション処理(図示せず)とを順に実施する。これにより、制御部3は、混合装置10Bにおいて混合液Mを準備する。
【0229】
そして、混合装置10A内の混合液Mが無くなり、混合装置10Aの送液処理が終了したタイミングで、制御部3は、混合装置10Bから混合液Mを送液することにより、処理槽31A~31CにおいてELC処理を継続する。
【0230】
また、混合装置10A、10Bの各種処理と並行して、制御部3は、一旦送液処理まで終了した混合装置10Cにおいて、図4に示した混合処理と、加温処理と、フィルトレーション処理(図示せず)とを順に実施する。これにより、制御部3は、混合装置10Cにおいて混合液Mを準備する。
【0231】
そして、混合装置10B内の混合液Mが無くなり、混合装置10Bの送液処理が終了したタイミングで、制御部3は、混合装置10Cから混合液Mを送液することにより、処理槽31A~31CにおいてELC処理を継続する。
【0232】
また、混合装置10B、10Cの各種処理と並行して、制御部3は、一旦送液処理まで終了した混合装置10Aにおいて、図4に示した混合処理と、加温処理と、フィルトレーション処理(図示せず)とを順に実施する。これにより、制御部3は、混合装置10Aにおいて混合液Mを準備する。
【0233】
そして、混合装置10C内の混合液Mが無くなり、混合装置10Cの送液処理が終了したタイミングで、制御部3は、混合装置10Aから混合液Mを送液することにより、処理槽31A~31CにおいてELC処理を継続する。
【0234】
ここまで説明したように、変形例では、エッチング処理を実施する複数の処理槽31に対して、複数の混合装置10のうちの1つから混合液Mを順次送液し、残りの混合装置10では混合液Mを準備する。
【0235】
これにより、複数の処理槽31A~31CにおいてELC処理を継続して実施することができる。したがって、変形例によれば、複数の処理槽31A~31Cにおいてエッチング液EによるウェハWのエッチング処理をさらに適切に実施することができる。
【0236】
また、変形例では、複数の処理槽31A~31Cで並行してウェハWのエッチング処理を実施することができる。したがって、変形例によれば、エッチング液EによるウェハWのエッチング処理を効率よく実施することができる。
【0237】
なお、変形例では、3つの処理槽31に対して3つの混合装置10が設けられた例について示したが、処理槽31の数は3つに限られず、また混合装置10の数も3つに限られない。
【0238】
図9は、実施形態の変形例に係る基板処理システム1の排気部60の構成を示す概略ブロック図である。図9に示すように、変形例に係る排気部60は、排気ファン61A~61Cと、排気ダクト62と、ミストトラップ63と、給気ライン64と、給気ファン65と、ガス濃度計66、67A~67Cとを備える。
【0239】
排気ファン61Aは、混合装置10A内の気体を排気する。排気ファン61Aは、たとえば、混合装置10Aのタンク14(図1参照)に隣接して配置され、タンク14から蒸発する蒸気などが含まれる混合装置10A内の気体を、排気ダクト62に向けて排気する。
【0240】
排気ファン61Bは、混合装置10B内の気体を排気する。排気ファン61Bは、たとえば、混合装置10Bのタンク14に隣接して配置され、タンク14から蒸発する蒸気などが含まれる混合装置10B内の気体を、排気ダクト62に向けて排気する。
【0241】
排気ファン61Cは、混合装置10C内の気体を排気する。排気ファン61Cは、たとえば、混合装置10Cのタンク14に隣接して配置され、タンク14から蒸発する蒸気などが含まれる混合装置10C内の気体を、排気ダクト62に向けて排気する。
【0242】
排気ダクト62は、混合装置10A~10C内から排気される気体を導く。排気ダクト62は、たとえば、基板処理システム1が設置される工場大元と混合装置10A~10Cとの間に配置され、かかる混合装置10A~10C内から排気される気体を工場大元に導く。
【0243】
なお、工場の排気設備(工場大元)は大気圧よりも低い陰圧になるように制御される。そのため、かかる工場大元に接続される混合装置10A~10Cの内部も陰圧になるように制御されるとともに、排気ファン61A~61Cが仮に動作しない場合でも、混合装置10A~10C内の気体は工場大元によって吸引される。
【0244】
ミストトラップ63は、混合装置10A~10C内から排気され、排気ダクト62内を流れる気体に含まれるミストを除去する。ミストトラップ63は、たとえば、排気ダクト62の工場大元側に配置される。
【0245】
給気ライン64は、排気ダクト62に接続され、かかる排気ダクト62内の可燃ガスを希釈する希釈ガスを供給する。給気ライン64は、たとえば、排気ダクト62と基板処理システム1の周囲との間に接続される。そして、給気ライン64は、希釈ガスとして、可燃ガスが含まれない基板処理システム1の周囲の雰囲気を、排気ダクト62に供給する。
【0246】
給気ファン65は、給気ライン64から排気ダクト62に供給される希釈ガスの供給量を調整する。給気ファン65は、たとえば、給気ライン64の上流側に配置され、基板処理システム1の周囲の雰囲気を排気ダクト62に向けて供給する。
【0247】
ガス濃度計66は、排気ダクト62に設けられ、かかる排気ダクト62内を流れる気体の可燃ガス濃度を測定する。また、ガス濃度計67A~67Cは、混合装置10A~10Cにそれぞれ設けられ、かかる混合装置10A~10C内の気体の可燃ガス濃度を測定する。
【0248】
図10は、実施形態の変形例に係る混合装置10A~10Cにおいて混合液Mを初回に送液する際の各種処理における排気部60の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。
【0249】
制御部3は、混合装置10A~10Cにおいて、時間T30から時間T31までの間、リン酸水溶液と析出抑制剤とを混合して混合液Mを生成する混合処理を実施する。
【0250】
かかる混合処理の際には、混合液Mの温度が室温であることから、混合液M内の析出抑制剤に含まれる有機溶媒はほとんど蒸発しない。そのため、図10に示すように、排気ダクト62を流れる気体の可燃ガス濃度は、非常に低い濃度C0となる。
【0251】
ここで、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が濃度C0である場合、排気部60を積極的に動作させて混合装置10A~10C内から可燃ガスを排気する必要はないとみなす。
【0252】
そして、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が濃度C0である場合、制御部3は、排気ファン61Aの回転数を最低レベルの回転数R10に制御するとともに、排気ファン61Bの回転数を最低レベルの回転数R13に制御する。
【0253】
また、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が濃度C0である場合、制御部3は、排気ファン61Cの回転数を最低レベルの回転数R16に制御するとともに、給気ファン65の回転数を最低レベルの回転数R19に制御する。
【0254】
これにより、排気部60を積極的に動作させる必要が無い場合に、工場大元に余分な負荷をかけることを抑制することができる。
【0255】
かかる混合処理につづいて、制御部3は、混合装置10A~10Cにおいて、時間T31から混合液Mを加温する加温処理を実施する。かかる加温処理の際には、混合液Mが加温されることから、混合液M内の析出抑制剤に含まれる有機溶媒が蒸発する。
【0256】
そのため、混合装置10A~10C内の気体の可燃ガス濃度が徐々に上昇することから、排気ダクト62を流れる気体の可燃ガス濃度は、濃度C0から徐々に上昇する。
【0257】
ここで、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が濃度C0よりも高くなった場合に、混合装置10A~10Cの少なくとも1つで生成される混合液Mに有機溶媒が残っているとみなす。
【0258】
そして、混合装置10A~10Cで生成される混合液Mに有機溶媒が残っているとみなされた場合、制御部3は、ガス濃度計67A~67Cで測定される混合装置10A~10C内の可燃ガス濃度に応じて、排気ファン61A~61Cの回転数を増加させる。
【0259】
図10の例では、混合装置10A~10Cのすべての混合液Mに有機溶媒が残っていることから、制御部3は、混合装置10A~10C内の可燃ガス濃度が高くなるにしたがい、排気ファン61A~61Cの回転数を増加させる。これにより、タンク14(図1参照)内の混合液Mに残る有機溶媒の蒸発を促進させることができる。
【0260】
また、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が濃度C0よりも高くなった場合、かかる排気ダクト62内の可燃ガス濃度に応じて、給気ファン65の回転数を回転数R19から増加させる。たとえば、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が高くなるにしたがい、給気ファン65の回転数を増加させる。
【0261】
これにより、排気ダクト62内に供給される希釈ガスの量が増加することから、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が、所与のしきい濃度Cthよりも高い値になることを抑制することができる。
【0262】
つづいて、混合装置10A~10C内の混合液Mの温度が所与の温度に達した時間T32において、混合装置10A~10C内の混合液Mから蒸発する有機溶媒の蒸発量がほぼ一定となる。
【0263】
そこで、制御部3は、かかる時間T32において、排気ファン61Aの回転数を回転数R10よりも大きい所与の回転数R12に設定するとともに、排気ファン61Bの回転数を回転数R13よりも大きい所与の回転数R15に設定する。
【0264】
また、制御部3は、時間T32において、排気ファン61Cの回転数を回転数R16よりも大きい所与の回転数R18に設定するとともに、給気ファン65の回転数を回転数R19よりも大きい所与の回転数R21に設定する。
【0265】
これにより、混合液Mからの可燃ガスの発生量と給気ライン64から供給される希釈ガスの供給量とが一定となることから、有機溶媒の蒸発が継続する時間T32から時間T33までの間、排気ダクト62内の可燃ガス濃度はしきい濃度Cthで維持される。
【0266】
すなわち、変形例では、実施形態と同様に、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cth以下となるように、混合装置10A~10Cから排気ダクト62に排気される可燃ガスの量を排気ファン61A~61Cで調整することができる。
【0267】
したがって、変形例によれば、混合装置10A~10Cから排気されて、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる。
【0268】
また、変形例では、実施形態と同様に、排気部60に給気ライン64および給気ファン65を設けることで、混合装置10A~10Cから排気ダクト62に排気される可燃ガスを希釈ガスで希釈することができる。
【0269】
したがって、変形例によれば、混合装置10A~10Cから排気されて、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度をさらに低減することができる。
【0270】
なお、変形例では、3つの混合装置10A~10Cから同時に有機溶媒が蒸発していることから、加温処理における回転数R12、R15、R18は、実施形態の加温処理における回転数R2よりも低い値となる。
【0271】
また、時間T32から時間T33までの間、突発的に有機溶媒の蒸発量が増加し、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthよりも高くなったとする。この場合、制御部3は、可燃ガス濃度が高くなったガス濃度計67A~67Cに対応する排気ファン61A~61Cの回転数を回転数R12、R15、R18よりも減少させるとともに、給気ファン65の回転数を回転数R2よりも増加させる。
【0272】
これにより、排気ダクト62への可燃ガスの供給量を減少させることができるとともに、希釈ガスの供給量を増加させることができることから、排気ダクト62内の可燃ガス濃度をしきい濃度Cth以下に戻すことができる。
【0273】
すなわち、変形例では、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cth以下となるように、排気ダクト62に供給される可燃ガスの量が排気ファン61A~61Cで調整されると共に、排気ダクト62に供給される希釈ガスの量が給気ファン65で調整される。
【0274】
これにより、混合装置10A~10Cから排気されて、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度を安定的に低減することができる。
【0275】
つづいて、混合液Mから有機溶媒がすべて蒸発した時間T33において、排気ダクト62を流れる気体の可燃ガス濃度は、しきい濃度Cthから徐々に低下する。
【0276】
ここで、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthから徐々に低下した場合に、混合装置10A~10Cで生成される混合液Mに有機溶媒が残っていないとみなす。
【0277】
そして、混合装置10A~10Cで生成される混合液Mに有機溶媒が残っていないとみなされた場合、制御部3は、ガス濃度計67Aで測定される混合装置10A内の可燃ガス濃度(図示せず)に応じて、排気ファン61Aの回転数を回転数R12から減少させる。
【0278】
また、混合装置10A~10Cで生成される混合液Mに有機溶媒が残っていないとみなされた場合、制御部3は、ガス濃度計67Bで測定される混合装置10B内の可燃ガス濃度(図示せず)に応じて、排気ファン61Bの回転数を回転数R15から減少させる。
【0279】
また、混合装置10A~10Cで生成される混合液Mに有機溶媒が残っていないとみなされた場合、制御部3は、ガス濃度計67Cで測定される混合装置10C内の可燃ガス濃度(図示せず)に応じて、排気ファン61Cの回転数を回転数R18から減少させる。
【0280】
また、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthから徐々に低下した場合、かかる排気ダクト62内の可燃ガス濃度に応じて、給気ファン65の回転数を回転数R21から減少させる。
【0281】
これにより、混合液Mから有機溶媒がすべて蒸発したため、排気部60を最大出力で動作させる必要が無い場合に、工場大元に余分な負荷をかけることを抑制することができる。
【0282】
そして、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が最低レベルの濃度C0に戻った時間T34で、混合装置10A~10Cの加温処理が完了する。
【0283】
かかる加温処理につづいて、制御部3は、時間T34から混合液Mを処理槽31A~31Cに送液する送液処理を実施する。かかる送液処理の際には、タンク14内の混合液Mの温度および濃度を一定に保つため、混合装置10A~10C内は所与の陰圧(たとえば、-90Pa)に維持されるとよい。
【0284】
そこで、変形例では、混合装置10A内を所与の陰圧に保持するため、制御部3が、排気ファン61Aの回転数を所与の回転数R11で維持する。また、混合装置10B内を所与の陰圧に保持するため、制御部3が、排気ファン61Bの回転数を所与の回転数R14で維持する。
【0285】
また、混合装置10C内を所与の陰圧に保持するため、制御部3が、排気ファン61Cの回転数を所与の回転数R17で維持する。また、混合装置10A~10C内を所与の陰圧に保持するため、制御部3が、給気ファン65の回転数を所与の回転数R20で維持する。
【0286】
かかる回転数R11は、回転数R10よりも大きく、回転数R12よりも小さい。また、回転数R14は、回転数R13よりも大きく、回転数R15よりも小さい。また、回転数R17は、回転数R16よりも大きく、回転数R18よりも小さい。また、回転数R20は、回転数R19よりも大きく、回転数R21よりも小さい。
【0287】
換言すると、送液処理の際に混合装置10A~10C内の圧力が所与の陰圧となるように、混合装置10A~10Cから排気ダクト62に排気される気体の量が排気ファン61A~61Cで調整される。さらに、給気ライン64から排気ダクト62に供給される気体の量が給気ファン65で調整される。
【0288】
このように、送液処理の際に混合装置10A~10C内の圧力が所与の陰圧となるように制御するにより、送液処理の際に送液される混合液Mの温度および濃度を一定に保つことができることから、基板処理システム1での液処理を安定して実施することができる。
【0289】
図11は、実施形態の変形例に係る混合装置10A~10Cにおいて混合液Mを継続的に送液する際の各種処理における排気部60の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。
【0290】
かかる図11では、混合装置10Aで加温処理が実施され、混合装置10Bで混合処理が実施され、混合装置10CでELC処理中の処理槽31A~31Cに対して送液処理が実施される時間T40からの排気部60の各部の動作について説明する。
【0291】
かかる時間T40では、加温処理中の混合装置10A内の混合液Mの温度が所与の温度に達していることから、制御部3は、排気ファン61Aの回転数を回転数R10よりも大きい所与の回転数R22に設定する。
【0292】
また、時間T40では、混合処理中の混合装置10B内の混合液Mの温度が室温であることから、制御部3は、排気ファン61Bの回転数を最低レベルの回転数R13に設定する。
【0293】
また、時間T40では、送液処理中の混合装置10C内を所与の陰圧に保持するため、制御部3は、排気ファン61Cの回転数を所与の回転数R17に設定する。かかる回転数R17は、最低レベルの回転数R16よりも大きく、混合液Mが最も高い温度で維持される際の回転数R24よりも小さい。
【0294】
また、時間T40では、混合装置10Aで加温処理が実施されることから、多くの可燃ガスが排気ダクト62に排気されるため、排気ダクト62内の可燃ガス濃度はしきい濃度Cthで維持される。
【0295】
そして、制御部3は、かかる排気ダクト62内の可燃ガス濃度に応じて、給気ファン65の回転数を回転数R19よりも大きい所与の回転数R21に設定する。
【0296】
次に、時間T41において、混合装置10A内の混合液Mから有機溶媒がすべて蒸発するとともに、混合装置10Bで加温処理が開始される。
【0297】
ここで、制御部3は、有機溶媒がすべて蒸発したため、可燃ガス濃度が低下し始めた混合装置10A内の可燃ガス濃度に応じて、排気ファン61Aの回転数を回転数R22から減少させる。
【0298】
さらに、混合装置10Aから排気ダクト62への有機溶媒の排気量が減少した分、加温処理が始まった混合装置10Bから排気ダクト62への有機溶媒の排気量を増やすことができることから、制御部3は、排気ファン61Bの回転数を回転数R13から増加させる。
【0299】
そして、時間T42で、混合装置10A内の可燃ガス濃度が最低レベルの濃度となる一方で、混合装置10B内の混合液Mの温度が所与の温度に達する。そのため、かかる時間T42で、制御部3は、排気ファン61Bの回転数を所与の回転数R23に設定する。
【0300】
また、かかる時間T42で、混合装置10Cの送液処理が終了する。そのため、かかる時間T42で、制御部3は、排気ファン61Cの回転数を最低レベルの回転数R16に設定する。
【0301】
また、混合装置10Cでの送液処理が終了することから、制御部3は、時間T42から混合装置10Aでの送液処理を開始し、排気ファン61Aの回転数を所与の回転数R11に設定する。
【0302】
なお、時間T42の時点でも、混合装置10Bで加温処理が実施されることから、多くの可燃ガスが排気ダクト62に排気されるため、排気ダクト62内の可燃ガス濃度はしきい濃度Cthで維持される。
【0303】
そのため、制御部3は、かかる排気ダクト62内の可燃ガス濃度に応じて、給気ファン65の回転数を回転数R21で維持する。
【0304】
次に、時間T43において、混合装置10B内の混合液Mから有機溶媒がすべて蒸発するとともに、混合装置10Cで加温処理が開始される。
【0305】
ここで、制御部3は、有機溶媒がすべて蒸発したため、可燃ガス濃度が低下し始めた混合装置10B内の可燃ガス濃度に応じて、排気ファン61Bの回転数を回転数R23から減少させる。
【0306】
さらに、混合装置10Bから排気ダクト62への有機溶媒の排気量が減少した分、加温処理が始まった混合装置10Cから排気ダクト62への有機溶媒の排気量を増やすことができることから、制御部3は、排気ファン61Cの回転数を回転数R16から増加させる。
【0307】
そして、時間T44で、混合装置10B内の可燃ガス濃度が最低レベルの濃度となる一方で、混合装置10C内の混合液Mの温度が所与の温度に達する。そのため、かかる時間T44で、制御部3は、排気ファン61Cの回転数を所与の回転数R24に設定する。
【0308】
また、かかる時間T44で、混合装置10Aの送液処理が終了する。そのため、かかる時間T44で、制御部3は、排気ファン61Aの回転数を最低レベルの回転数R10に設定する。
【0309】
また、混合装置10Aでの送液処理が終了することから、制御部3は、時間T44から混合装置10Bでの送液処理を開始し、排気ファン61Bの回転数を所与の回転数R14に設定する。
【0310】
なお、時間T44の時点でも、混合装置10Cで加温処理が実施されることから、多くの可燃ガスが排気ダクト62に排気されるため、排気ダクト62内の可燃ガス濃度はしきい濃度Cthで維持される。
【0311】
そのため、制御部3は、かかる排気ダクト62内の可燃ガス濃度に応じて、給気ファン65の回転数を回転数R21で維持する。
【0312】
次に、時間T45において、混合装置10C内の混合液Mから有機溶媒がすべて蒸発するとともに、混合装置10Aで加温処理が開始される。
【0313】
ここで、制御部3は、有機溶媒がすべて蒸発したため、可燃ガス濃度が低下し始めた混合装置10C内の可燃ガス濃度に応じて、排気ファン61Cの回転数を回転数R24から減少させる。
【0314】
さらに、混合装置10Cから排気ダクト62への有機溶媒の排気量が減少した分、加温処理が始まった混合装置10Aから排気ダクト62への有機溶媒の排気量を増やすことができることから、制御部3は、排気ファン61Aの回転数を回転数R10から増加させる。
【0315】
そして、時間T46で、混合装置10C内の可燃ガス濃度が最低レベルの濃度となる一方で、混合装置10A内の混合液Mの温度が所与の温度に達する。そのため、かかる時間T46で、制御部3は、排気ファン61Aの回転数を所与の回転数R22に設定する。
【0316】
また、かかる時間T46で、混合装置10Bの送液処理が終了する。そのため、かかる時間T46で、制御部3は、排気ファン61Bの回転数を最低レベルの回転数R13に設定する。
【0317】
また、混合装置10Bでの送液処理が終了することから、制御部3は、時間T46から混合装置10Cでの送液処理を開始し、排気ファン61Cの回転数を所与の回転数R17に設定する。
【0318】
なお、時間T46の時点でも、混合装置10Aで加温処理が実施されることから、多くの可燃ガスが排気ダクト62に排気されるため、排気ダクト62内の可燃ガス濃度はしきい濃度Cthで維持される。
【0319】
そのため、制御部3は、かかる排気ダクト62内の可燃ガス濃度に応じて、給気ファン65の回転数を回転数R21で維持する。
【0320】
以降の時間T46からの処理は、上述した時間T40からの処理と同様であることから、説明を省略する。
【0321】
ここまで説明したように、変形例では、複数の混合装置10のうち少なくとも1つで生成される混合液Mに有機溶媒が残っている場合に、有機溶媒が残った混合装置10に設けられる排気ファン61の回転数を上げて有機溶媒の蒸発を促進させる。さらに、変形例では、有機溶媒が残っていない別の混合装置10に設けられる排気ファン61の回転数を下げる。
【0322】
これにより、複数の混合装置10で1つの排気ダクト62を共用している場合にも、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる。
【0323】
実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)は、処理槽31と、混合装置10と、加温部(第1ヒータ19)と、送液路22と、排気ファン61と、排気ダクト62と、制御部3と、を備える。処理槽31は、基板(ウェハW)を処理液(エッチング液E)に浸漬して処理する。混合装置10は、リン酸水溶液と有機溶媒を含有する添加剤とを混合して、処理液(エッチング液E)の原料となる混合液Mを生成する。加温部(第1ヒータ19)は、混合装置10に設けられ、混合液Mを加温する。送液路22は、混合装置10から処理槽31に混合液Mを送る。排気ファン61は、混合装置10内の気体を排気する。排気ダクト62は、混合装置10内から排気される気体を導く。制御部3は、各部を制御する。また、制御部3は、混合装置10から排気ダクト62に排気される気体の排気量を排気ファン61で調整する。これにより、混合装置10から排気されて、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる。
【0324】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、加温部(第1ヒータ19)は、有機溶媒の沸点以上の温度に混合液Mを加温する。これにより、処理槽31で安定したエッチング処理を実施することができる。
【0325】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、制御部3は、混合液Mの温度に基づいて、排気ファン61の回転数を制御する。これにより、混合装置10から排気されて、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる。
【0326】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)は、給気ライン64と、給気ファン65と、をさらに備える。給気ライン64は、排気ダクト62に接続され、排気ダクト62内の可燃ガスを希釈する希釈ガスを供給する。給気ファン65は、給気ライン64から排気ダクト62に供給される希釈ガスの供給量を調整する。これにより、混合装置10から排気されて、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度をさらに低減することができる。
【0327】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度に基づいて、給気ファン65の回転数を制御する。また、制御部3は、混合装置10内および排気ダクト62内の可燃ガス濃度に基づいて、排気ファン61の回転数を制御する。これにより、混合装置10から排気されて、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる。
【0328】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度が爆発下限界よりも低い所与のしきい濃度Cth以下となるように、排気ファン61の回転数と給気ファン65の回転数とを制御する。これにより、混合装置10から排気された可燃ガスによって、排気ダクト62内で爆発等が発生することを防止することができる。
【0329】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、制御部3は、混合液Mに有機溶媒が残っている場合に、排気ファン61の回転数を上げる。これにより、タンク14内の混合液Mに残る有機溶媒の蒸発を促進させることができる。
【0330】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、制御部3は、混合液Mに有機溶媒が残っていない場合に、排気ファン61の回転数を下げる。これにより、混合液Mから有機溶媒がすべて蒸発したため、排気部60を最大出力で動作させる必要が無い場合に、工場大元に余分な負荷をかけることを抑制することができる。
【0331】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、制御部3は、混合液Mに有機溶媒が残っているか否かを、排気ダクト62内の可燃ガス濃度に基づいて判定する。これにより、基板処理システム1のコストを低減することができる。
【0332】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、制御部3は、混合液Mが加温部(第1ヒータ19)で加温されていない場合に、排気ファン61の回転数を下げる。これにより、排気部60を積極的に動作させる必要が無い場合に、工場大元に余分な負荷をかけることを抑制することができる。
【0333】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)は、複数の混合装置10が1つの排気ダクト62に接続される。また、制御部3は、複数の混合装置10のうち少なくとも1つで生成される混合液Mに有機溶媒が残っている場合に、有機溶媒が残った混合装置10に設けられる排気ファン61の回転数を上げるとともに、有機溶媒が残っていない別の混合装置10に設けられる排気ファン61の回転数を下げる。これにより、複数の混合装置10で1つの排気ダクト62を共用している場合にも、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる。
【0334】
<基板処理の詳細>
つづいて、図12を参照しながら、実施形態に係る基板処理システム1が実行する基板処理の詳細について説明する。図12は、実施形態に係る基板処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0335】
最初に、制御部3は、混合装置10でリン酸水溶液と添加剤とを混合する混合処理を実施する(ステップS101)。そして、制御部3は、第1ヒータ19を制御することにより、生成された混合液Mを加温する加温処理を実施する(ステップS102)。
【0336】
次に、制御部3は、混合装置10および第1送液路22aを制御して、処理槽31に混合液Mを送液する送液処理を実施する(ステップS103)。
【0337】
また、かかるステップS101~S103の処理と並行して、制御部3は、排気部60を制御して、混合装置10内の気体を排気する排気処理を実施する(ステップS104)。
【0338】
次に、制御部3は、混合装置10に設けられるタンク14内の混合液Mに有機溶媒が残っているか否かを判定する(ステップS105)。そして、混合装置10に設けられるタンク14内の混合液Mに有機溶媒が残っていない場合(ステップS105,No)、制御部3は、排気ファン61の回転数を下げる(ステップS106)。
【0339】
そして、ステップS103およびステップS106の処理が終了した後、制御部3は、ウェハの浸漬処理が終了したか否かを判定する(ステップS107)。そして、ウェハWの浸漬処理が終了した場合(ステップS107,Yes)、一連の基板処理を完了する。
【0340】
一方で、ウェハWの浸漬処理が終了していない場合(ステップS107,No)、ステップS101およびステップS104の処理に戻る。
【0341】
また、ステップS105の処理において、混合装置10に設けられるタンク14内の混合液Mに有機溶媒が残っている場合(ステップS105,Yes)、制御部3は、排気ファン61の回転数を上げる(ステップS108)。
【0342】
次に、制御部3は、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthよりも大きいか否かを判定する(ステップS109)。
【0343】
そして、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthよりも大きい場合(ステップS109,Yes)、制御部3は、排気ファン61の回転数を下げる(ステップS110)とともに、給気ファン65の回転数を上げる(ステップS111)。そして、かかるステップS111の処理後、ステップS105の処理に戻る。
【0344】
一方で、排気ダクト62内の可燃ガス濃度がしきい濃度Cthよりも大きくない場合(ステップS109,No)、ステップS105の処理に戻る。
【0345】
実施形態に係る基板処理方法は、加温工程(ステップS102)と、排気工程(ステップS104)とを含む。加温工程(ステップS102)は、リン酸水溶液と有機溶媒を含有する添加剤とを混合して、基板(ウェハW)を浸漬する処理液(エッチング液E)の原料となる混合液Mを生成する混合装置10において、混合液Mを加温する。排気工程(ステップS104)は、混合装置10内の気体を排気ダクト62に排気する。また、排気工程(ステップS104)は、混合装置10から排気ダクト62に排気される気体の排気量を排気ファン61で調整する。これにより、混合装置10から排気されて、排気ダクト62内を流れる気体中の可燃ガス濃度を低減することができる。
【0346】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上記の実施形態では、混合装置10で混合液Mを加温する加温処理のみを実施した例について示したが、本開示はかかる例に限られず、たとえば、混合装置10で混合液Mを加温して濃縮する濃縮処理を実施してもよい。
【0347】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0348】
1 基板処理システム(基板処理装置の一例)
3 制御部
10、10A~10C 混合装置
19 第1ヒータ(加温部の一例)
22、22A~22C 送液路
31、31A~31C 処理槽
60 排気部
61、61A~61C 排気ファン
62 排気ダクト
64 給気ライン
65 給気ファン
66、67、67A~67C ガス濃度計
W ウェハ(基板の一例)
M 混合液
E エッチング液(処理液の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12