(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用セパレータ及びそれを備えたリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/451 20210101AFI20240830BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/429 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/426 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240830BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20240830BHJP
H01M 50/454 20210101ALI20240830BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/446
H01M50/443 M
H01M50/434
H01M50/414
H01M50/44
H01M50/429
H01M50/426
H01M50/42
H01M50/489
H01M10/0587
H01M50/454
(21)【出願番号】P 2022576183
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 KR2022001333
(87)【国際公開番号】W WO2022158950
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0010311
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュ-スン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ビ-オ・リュ
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145428(JP,A)
【文献】特開2016-170970(JP,A)
【文献】特開2010-202987(JP,A)
【文献】国際公開第2020/040165(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40
H01M 10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性高分子基材と、
前記多孔性高分子基材の少なくとも一面に位置し、ナノ繊維スキャフォールド、無機物粒子及びバインダー高分子を含む有機無機複合多孔層と、を含み、
前記有機無機複合多孔層は、前記ナノ繊維スキャフォールドの空隙に無機物粒子が挟まっている構造を有し、
前記無機物粒子のBET比表面積が、20~75m
2/gであり、
前記バインダー高分子は、有機無機複合多孔層100重量%に対して、2~5重量%含まれることを特徴とする、リチウム二次電池用セパレータ。
【請求項2】
前記無機物粒子のBET比表面積が、30~75m
2/gであることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項3】
前記ナノ繊維スキャフォールドを形成しているナノ繊維は、親水性であることを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項4】
前記ナノ繊維スキャフォールドを形成しているナノ繊維は、疎水性であることを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項5】
前記ナノ繊維スキャフォールドを形成しているナノ繊維は、有機繊維、無機繊維、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項6】
前記有機繊維は、セルロース、キチン、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項5に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項7】
前記セルロースは、表面が疎水性物質で改質されたことを特徴とする、請求項6に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項8】
前記無機繊維は、カーボン繊維、窒化ホウ素繊維、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項5に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項9】
前記無機物粒子の平均粒径(D50)は、20~40nmであることを特徴とする、請求項1から8の何れか一項に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項10】
前記無機物粒子が、フュームドアルミナ、フュームドシリカ、フュームド二酸化チタン、またはこれらのうち2以上を含むことを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項11】
前記バインダー高分子は、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン-トリクロロエチレン)、アクリル系共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(エチレン酢酸ビニル)共重合体、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アリレート)、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシメチルセルロース、またはこれらのうち2以上を含むことを特徴とする、請求項1から10の何れか一項に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項12】
前記有機無機複合多孔層は、ナノ粒子分散機を使用して製造され、
前記ナノ粒子分散機のビーズ直径が、0.05~0.5mmであることを特徴とする、請求項1から11の何れか一項に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項13】
前記有機無機複合多孔層は、分散剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1から12の何れか一項に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項14】
前記有機無機複合多孔層の表面の算術平均粗さが、100~900nmであることを特徴とする、請求項1から13の何れか一項に記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項15】
正極、負極、及び前記正極と負極との間に介在されたセパレータを含む電極組立体を含み、
前記セパレータは、請求項1から14の何れか一項に記載のセパレータであることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項16】
前記リチウム二次電池が、前記電極組立体が円筒状に巻き付けられている円筒状リチウム二次電池であることを特徴とする、請求項15に記載のリチウム二次電池。
【請求項17】
前記円筒状リチウム二次電池が、電極タブを含まないことを特徴とする、請求項16に記載のリチウム二次電池。
【請求項18】
前記円筒状リチウム二次電池の直径が、22mm以上であることを特徴とする、請求項16または17に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年1月25日付の韓国特許出願第10-2021-0010311号に基づいた優先権を主張する。
【0002】
本発明は、リチウム二次電池用セパレータ及びそれを備えたリチウム二次電池に係り、より詳細には、電解液の湿潤性が改善されたリチウム二次電池用セパレータ及びそれを備えたリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、エネルギー貯蔵技術についての関心がますます高まっている。携帯電話、カムコーダ及びノート型パソコン、さらには、電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡大されつつ、このような電子機器の電源として使われる電池の高エネルギー密度化についての要求が高まっている。リチウム二次電池は、このような要求を最もよく満たすことができる電池であって、現在、これについての研究が活発に進められている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、一般的に正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、リチウム塩と有機溶媒とを含む非水電解液、正極と負極との間に介在されて、これらを電気的に絶縁させるセパレータを含む。
【0005】
このようなセパレータとしてポリオレフィンで形成された多孔性基材を適用したポリオレフィンセパレータが広く使われている。ところで、ポリオレフィンセパレータは、高温などの状況で激しい熱収縮挙動を示す問題があって、それを防止するために、ポリオレフィンセパレータを多孔性基材として、多孔性高分子基材の少なくとも一面に無機物粒子及びバインダー高分子を含む有機無機複合多孔層を備えたセパレータが提案された。しかし、このようなセパレータは、電解液の含浸性が低いという問題がある。
【0006】
これにより、無機物粒子の比表面積を増加させて、セパレータの電解液の含浸性を改善するための試みがあったが、比表面積が大きな無機物粒子の場合、無機物粒子をポリオレフィン多孔性基材に固定させるのに多量のバインダー高分子が必要であって、セパレータの抵抗が高くなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、低い抵抗と優れた電解液の湿潤性とを有しながら無機物粒子の脱離を防止することができるリチウム二次電池用セパレータ及びそれを備えたリチウム二次電池を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の一様態によれば、下記の具現例のリチウム二次電池用セパレータが提供される。
【0009】
第1具現例は、多孔性高分子基材;及び前記多孔性高分子基材の少なくとも一面に位置し、ナノ繊維スキャフォールド、無機物粒子及びバインダー高分子を含む有機無機複合多孔層;を含み、前記有機無機複合多孔層は、前記ナノ繊維スキャフォールドの空隙に無機物粒子が挟まっている構造を有し、前記無機物粒子のBET比表面積が、20~75m2/gであり、前記バインダー高分子は、有機無機複合多孔層100重量%に対して、2~5重量%含まれることを特徴とするリチウム二次電池用セパレータが提供される。
【0010】
第2具現例は、第1具現例において、前記無機物粒子のBET比表面積が、30~75m2/gである。
【0011】
第3具現例は、第1具現例または第2具現例において、前記ナノ繊維は、親水性である。
【0012】
第4具現例は、第1具現例または第2具現例において、前記ナノ繊維は、疎水性である。
【0013】
第5具現例は、第1具現例ないし第4具現例のうち何れか一具現例において、前記ナノ繊維は、有機繊維、無機繊維、またはこれらの組み合わせを含みうる。
【0014】
第6具現例は、第5具現例において、前記有機繊維は、セルロース、キチン、またはこれらの組み合わせを含みうる。
【0015】
第7具現例は、第6具現例において、前記セルロースは、表面が疎水性物質で改質されたものである。
【0016】
第8具現例は、第5具現例において、前記無機繊維は、カーボン繊維、窒化ホウ素繊維、またはこれらの組み合わせを含みうる。
【0017】
第9具現例は、第1具現例ないし第8具現例のうち何れか一具現例において、前記無機物粒子の平均粒径(D50)は、20~40nmである。
【0018】
第10具現例は、第1具現例ないし第9具現例のうち何れか一具現例において、前記無機物粒子が、フュームド(fumed)アルミナ、フュームドシリカ、フュームド二酸化チタン、またはこれらのうち2以上を含みうる。
【0019】
第11具現例は、第1具現例ないし第10具現例のうち何れか一具現例において、前記バインダー高分子は、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)(poly(vinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene))、ポリ(フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン)(poly(vinylidene fluoride-co-tetrafluoroethylene))、ポリ(フッ化ビニリデン-トリクロロエチレン)(poly(vinylidene fluoride-co-trichloroethylene))、アクリル系共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリ(アクリル酸)(poly(acrylic acid))、ポリ(メチルメタクリレート)(poly(methylmethacrylate))、ポリ(ブチルアクリレート)(poly(butylacrylate))、ポリ(アクリロニトリル)(poly(acrylonitrile))、ポリ(ビニルピロリドン)(poly(vinylpyrrolidone))、ポリ(ビニルアルコール)(poly(vinylalcohol))、ポリ(酢酸ビニル)(poly(vinylacetate))、ポリ(エチレン酢酸ビニル)共重合体(poly(ethylene-co-vinyl acetate))、ポリ(エチレンオキシド)(poly(ethylene oxide))、ポリ(アリレート)(poly(arylate))、酢酸セルロース(cellulose acetate)、酪酸酢酸セルロース(cellulose acetate butyrate)、酢酸プロピオン酸セルロース(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)、カルボキシメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)、またはこれらのうち2以上を含みうる。
【0020】
第12具現例は、第1具現例ないし第11具現例のうち何れか一具現例において、前記有機無機複合多孔層は、ナノ粒子分散機を使用して製造され、前記ナノ粒子分散機のビーズ直径が、0.05~0.5mmである。
【0021】
第13具現例は、第1具現例ないし第12具現例のうち何れか一具現例において、前記有機無機複合多孔層は、分散剤をさらに含みうる。
【0022】
第14具現例は、第1具現例ないし第13具現例のうち何れか一具現例において、前記有機無機複合多孔層の表面の算術平均粗さが、100~900nmである。
【0023】
前記課題を解決するために、本発明の一様態によれば、下記の具現例のリチウム二次電池が提供される。
【0024】
第15具現例は、正極、負極、及び前記正極と負極との間に介在されたセパレータを含む電極組立体を含み、前記セパレータは、第1具現例ないし第14具現例のうち何れか一具現例によるセパレータであることを特徴とするリチウム二次電池に関するものである。
【0025】
第16具現例は、第15具現例において、前記リチウム二次電池が、前記電極組立体が円筒状に巻き付けられている円筒状リチウム二次電池である。
【0026】
第17具現例は、第16具現例において、前記円筒状リチウム二次電池が、電極タブを含まないものである。
【0027】
第18具現例は、第16具現例または第17具現例において、前記円筒状リチウム二次電池の直径が、22mm以上である。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータは、ナノ繊維スキャフォールドの空隙に無機物粒子が挟まっている構造の有機無機複合多孔層を含んでおり、含まれるバインダー高分子が少量であっても、無機物粒子の脱離を防止することができる。
【0029】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータは、BET比表面積が20~75m2/gである無機物粒子を含むことによって、優れた電解液の湿潤性を有しうる。
【0030】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータは、有機無機複合多孔層100重量%に対して、2~5重量%のバインダー高分子を含んでおり、低い抵抗を有しうる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、前述した発明の内容と共に本発明の技術思想をさらに理解させる役割を行うものなので、本発明は、そのような図面に記載の事項のみに限定されて解釈されてはならない。
【0032】
【
図1】実施例1で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層の表面SEM写真である。
【
図2】実施例2で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層の表面SEM写真である。
【
図3】比較例1で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層の表面SEM写真である。
【
図4】比較例2で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層の表面SEM写真である。
【
図5】比較例5で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層の表面SEM写真である。
【
図6】比較例6で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層の表面SEM写真である。
【
図7】実施例1で製造したリチウム二次電池用セパレータの電解液の湿潤性を示す図面である。
【
図8】実施例2で製造したリチウム二次電池用セパレータの電解液の湿潤性を示す図面である。
【
図9】比較例1で製造したリチウム二次電池用セパレータの電解液の湿潤性を示す図面である。
【
図10】算術平均粗さの計算時の粗さ曲線を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立って、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常の、または辞書的な意味として限定して解釈されてはならず、発明者は、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義できるという原則を踏まえて、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0034】
したがって、本明細書の実施例に記載の構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想をいずれも代弁するものではないので、本出願時点において、これらを代替しうる多様な均等物と変形例とがあるということを理解しなければならない。
【0035】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータは、多孔性高分子基材;及び前記多孔性高分子基材の少なくとも一面に位置し、ナノ繊維スキャフォールド、無機物粒子及びバインダー高分子を含む有機無機複合多孔層;を含み、前記有機無機複合多孔層は、前記ナノ繊維スキャフォールドの空隙に無機物粒子が挟まっている構造を有し、前記無機物粒子のBET比表面積が、20~75m2/gであり、前記バインダー高分子は、有機無機複合多孔層100重量%に対して、2~5重量%含まれることを特徴とする。
【0036】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータは、多孔性高分子基材を備える。
【0037】
本発明の一実施形態において、前記多孔性高分子基材としては、通常の二次電池用セパレータの素材として使用可能なものであれば、特別な制限なしに使用が可能である。このような多孔性高分子基材は、高分子材料が含まれた薄膜であるものであって、前記高分子材料の非制限的な例としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレンのような高分子樹脂のうち少なくとも何れか1つを含みうる。また、前記多孔性高分子基材は、前述したような前記高分子材料で形成された不織布または多孔性高分子フィルムまたはそのうち2つ以上の積層物などが使われる。具体的に、前記多孔性高分子基材は、下記のa)ないしe)のうち何れか1つである。
【0038】
a)高分子樹脂を溶融及び押出して成膜した多孔性フィルム、
b)前記のa)の多孔性フィルムが2層以上積層された多層膜、
c)高分子樹脂を溶融/紡糸して得たフィラメントを集積して製造された不織布ウェブ、
d)前記のc)の不織布ウェブが2層以上積層された多層膜、
e)前記のa)ないしd)のうち2つ以上を含む多層構造の多孔性膜。
【0039】
前記多孔性高分子基材は、前述した物質から優れた通気性及び空隙率を確保するために、当業者に公知されている通常の方法、例えば、溶媒、希釈剤または気孔形成剤を使用する湿式法または延伸方式を使用する乾式法を通じて気孔を形成することで製造可能である。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記多孔性高分子基材の厚さは、特に制限されないが、1~100μm、または1~30μmである。多孔性高分子基材の厚さが、前述した範囲である場合、電池使用中にセパレータが容易に損傷される問題を防止し、かつエネルギー密度を確保することができる。
【0041】
一方、前記多孔性高分子基材の気孔サイズ及び気孔度は、リチウム二次電池の用途に適すれば、特別な制限がなく、気孔サイズは、0.01~50μm、または0.1~20μmであり、気孔度は、5~95%である。前記気孔サイズ及び気孔度が、前述した範囲である場合、多孔性高分子基材が抵抗として作用することを防止しやすく、多孔性高分子基材の機械的物性を保持しやすい。
【0042】
本発明において、前記多孔性高分子基材の気孔度及び気孔サイズは、走査電子顕微鏡(SEM)イメージ、水銀ポロシメーター(Mercury porosimeter)、毛細管流動気孔分布測定器(capillary flow porometer)、または気孔分布測定器(Porosimetry analyzer;Bell Japan Inc、Belsorp-II mini)を使用して窒素ガス吸着流通法によってBET 6点法で測定することができる。
【0043】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータは、前記多孔性高分子基材の少なくとも一面に有機無機複合多孔層を備える。前記有機無機複合多孔層は、ナノ繊維スキャフォールド、無機物粒子、及びバインダー高分子を含む。前記有機無機複合多孔層は、前記無機物粒子によって、前記多孔性高分子基材が高温で激しい熱収縮挙動を示すことを防止して、セパレータの安全性を向上させうる。
【0044】
本明細書において、前記無機物粒子のBET比表面積が、20~75m2/gである。前記無機物粒子のBET比表面積が、前述した範囲を満足すると、セパレータの電解液の湿潤性が改善されうる。また、セパレータが優れた熱的安全性を有しうる。例えば、180℃で1時間放置した後、測定したセパレータの熱収縮率が機械方向(MD、Machine Direction)及び直角方向(TD、Transverse Direction)にそれぞれ15%以下、または1~12%、または2~10%である。
【0045】
従来の無機物粒子及びバインダー高分子を含む有機無機複合多孔層は、無機物粒子が互いに結着された状態を保持できるようにバインダー高分子が無機物粒子の間を連結及び固定させる構造を有する。このような構造では、バインダー高分子以外に前記無機物粒子を互いに結着させる構成要素が存在せず、バインダー高分子のみで無機物粒子が互いに結着された状態を保持しなければならない。しかし、無機物粒子のBET比表面積が20~75m2/gと大きな場合には、無機物粒子を結着させるためにさらに多量のバインダー高分子が必要であって、セパレータの抵抗が高くなるという問題がある。
【0046】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータは、前記ナノ繊維スキャフォールドの空隙に無機物粒子が挟まっている構造の有機無機複合多孔層を有する。具体的に、前記無機物粒子は、前記ナノ繊維スキャフォールドの空隙にランダム(random)に挟まれている。これにより、前記ナノ繊維スキャフォールドが無機物粒子を固定することができて、バインダー高分子を少量のみ含んでも、無機物粒子を十分に結着させることができる。すなわち、前記ナノ繊維スキャフォールドが無機物粒子を固定させる役割を行って、無機物粒子を結着させるために必要なバインダー高分子の量が減少して、セパレータが低い抵抗を有しうる。
【0047】
前記無機物粒子のBET比表面積が、20m2/g未満である場合、ナノ繊維スキャフォールドの空隙に無機物粒子が挟まれず、目的とする有機無機複合多孔層の構造を具現しにくく、ナノ繊維と無機物粒子とが二重層で形成されて多孔性高分子基材に対する有機無機複合多孔層の接着強度の確保に難点がある。
【0048】
前記無機物粒子のBET比表面積が、75m2/gを超過する場合、無機物粒子がナノ繊維スキャフォールドの空隙に挟まれていても、無機物粒子がナノ繊維スキャフォールドによって固定されず、無機物粒子の脱離を防止するためのバインダー高分子の含量が依然として高くなければならないので、セパレータの抵抗特性を確保しにくい。
【0049】
本発明の一実施形態において、前記無機物粒子のBET比表面積は、30m2/g以上、または50m2/g以上、または52m2/g以上、または55m2/g以上、または60m2/g以上、または65m2/g以上、または70m2/g以上であり、75m2/g以下、73m2/g以下、または70m2/g以下、または65m2/g以下、または60m2/g以下、または55m2/g以下、または52m2/g以下、または50m2/g以下である。前記無機物粒子のBET比表面積が、前記範囲を満足する場合、セパレータの熱的安全性及び電解液の湿潤性がさらに改善されうる。
【0050】
前記無機物粒子のBET比表面積は、BET法によって測定することができる。具体的に、BEL Japan社のBELSORP-mino IIを用いて液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から無機物粒子のBET比表面積を算出することができる。
【0051】
本発明の一実施形態において、前記無機物粒子の平均粒径は、20~40nmである。前記無機物粒子の平均粒径が、前述した範囲を満足する場合、前記無機物粒子が、20~75m2/gのBET比表面積を有することがさらに容易であって、ナノ繊維スキャフォールドの空隙に無機物粒子が挟まっている構造の有機無機複合多孔層の形成がより容易である。また、より緻密な有機無機複合多孔層が形成されて、セパレータの熱的安全性がさらに増加する。
【0052】
この際、前記無機物粒子の平均粒径は、D50粒径を意味し、「D50粒径」は、粒径による粒子個数累積分布の50%地点での粒径を意味する。前記粒径は、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。具体的に、測定対象粉末を分散媒中に分散させた後、市販のレーザ回折粒度測定装置(例えば、Microtrac S3500)に導入して粒子がレーザビームを通過する時、粒子サイズによる回折パターンの差を測定して粒度分布を算出する。測定装置においての粒径による粒子個数累積分布の50%になる地点での粒子直径を算出することにより、D50粒径を測定することができる。前記平均粒径は、1次粒子の平均粒径を称するものである。
【0053】
本発明の一実施形態において、前記無機物粒子は、フュームドタイプである。本発明において、フュームドタイプの無機物粒子とは、1,000℃以上の火炎内で加水分解されて形成される基本粒子が、衝突によって互いに連結されて2次粒子を形成し、このような2次粒子が3次元の凝集体(aggregates、agglomerate)を形成した無機物粒子を称する。前記無機物粒子が、フュームドタイプである場合、BET比表面積が20~75m2/gである無機物粒子の形成がさらに容易である。また、1次粒子基準平均粒径が、20~40nmである無機物粒子の形成がさらに容易である。
【0054】
このようなフュームドタイプの無機物粒子としては、例えば、フュームドアルミナ、フュームドシリカ、フュームド二酸化チタン、またはこれらのうち2以上が含まれうる。特に、前記無機物粒子が、フュームドアルミナである場合、180℃で1時間放置した後、測定したセパレータの熱収縮率が機械方向(MD)及び直角方向(TD)にそれぞれ15%以下であることがさらに容易である。
【0055】
本明細書において、前記ナノ繊維スキャフォールドは、ナノ繊維が3次元的に絡み合っており、構造的に安定し、前記ナノ繊維の間に空隙が存在するスキャフォールド(scaffold)構造を称する。前記ナノ繊維スキャフォールドは、特定のBET比表面積を有する無機物粒子を固定させ、ナノ繊維スキャフォールドによってセパレータの電解液の湿潤性が改善されうる。
【0056】
前記ナノ繊維は、粒径が1μm未満である繊維を称する。
【0057】
本発明の一実施形態において、前記ナノ繊維は、縦横比が5以上のフィブリル形態を有する繊維である。
【0058】
本発明の一実施形態において、前記ナノ繊維の直径は、500nm以下、または10~300nm、または20~100nmである。
【0059】
前記ナノ繊維が、前記縦横比及び/または直径を有する場合、無機物粒子に比べて、高い縦横比(aspect ratio)を有して、ナノ繊維スキャフォールドの表面に沿って電解液の速い拡散が可能であって、電解液の湿潤性が改善されることがさらに容易である。
【0060】
本発明の一実施形態において、前記ナノ繊維は、親水性である。ここで、親水性とは、ナノ繊維スキャフォールドの表面と水滴との接触角(contact angle)が45°未満である場合を意味する。前記ナノ繊維が親水性である場合、セパレータの電解液の湿潤性が改善されることがさらに容易である。
【0061】
本発明の他の実施形態において、前記ナノ繊維は、疎水性である。前記ナノ繊維が疎水性である場合、水分を含有することができる親水性ナノ繊維に比べて水分含量が低くて、水分による問題を防止することがさらに容易である。前記ナノ繊維が疎水性であっても、無機物粒子のBET比表面積が大きくて、電解液の湿潤性が十分に改善されうる。ここで、疎水性とは、ナノ繊維スキャフォールドの表面と水滴との接触角が45°以上である場合を意味する。
【0062】
本発明の一実施形態において、前記ナノ繊維は、有機繊維、無機繊維、またはこれらの組み合わせを含みうる。例えば、前記有機繊維は、セルロース、キチン、またはこれらの組み合わせを含みうる。また、前記無機繊維は、カーボン繊維、窒化ホウ素繊維、またはこれらの組み合わせを含みうる。
【0063】
本発明の一実施形態において、前記セルロースは、表面が疎水性物質で改質されたものである。前記セルロースの非晶質部分の表面水酸基を活用してセルロース表面を化学的改質してセルロースに疎水性を付与することができる。このような疎水性付与のための化学的改質は、シラン(silane)を活用する方法が望ましい。より具体的には、シラン溶液にセルロースナノ繊維を分散した後、超音波を加振して表面改質反応を誘導することができる。
【0064】
本発明の一実施形態において、前記ナノ繊維スキャフォールドは、有機無機複合多孔層100重量%に対して、1~20重量%、または2~18重量%、または3~15重量%含まれうる。前記ナノ繊維スキャフォールドの含量が、前述した範囲を満足する場合、無機物粒子が浸透する十分な空間を確保することにより、無機物粒子の脱離を防止することがさらに容易である。
【0065】
本発明の一実施形態において、前記無機物粒子は、有機無機複合多孔層100重量%に対して、75~97重量%、または75~95重量%、または75~80重量%含まれうる。前記無機物粒子の含量が、前述した範囲を満足する場合、有機無機複合多孔層が薄い厚さを有する場合にも、セパレータの熱収縮率を確保することがさらに容易であり、同時に電池組み立て過程で外部異物が混入された場合に、抵抗層として正極/負極間の短絡を防止することがさらに容易である。
【0066】
本発明において、前記バインダー高分子は、有機無機複合多孔層100重量%に対して、2~5重量%含まれる。例えば、前記バインダー高分子は、有機無機複合多孔層100重量%に対して、2重量%以上、または2.5重量%以上、または3重量%以上、または3.5重量%以上、または4重量%以上、または4.5重量%以上であり、5重量%以下、または4.5重量%以下、または4重量%以下、または3.5重量%以下、または3重量%以下、または2.5重量%以下、または2重量%以下である。
【0067】
前記バインダー高分子は、補助的にナノ繊維スキャフォールドと無機物粒子、及び/または前記有機無機複合多孔層と多孔性高分子基材とがさらに堅く固定されることを助ける。本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータは、ナノ繊維スキャフォールドの空隙に無機物粒子が挟まっている構造を有して、ナノ繊維スキャフォールドが無機物粒子を固定させる役割を行うので、従来に比べて非常に少量のバインダー高分子を含んでも、無機物粒子の脱離現象を防止することができる。
【0068】
前記バインダー高分子の含量が、有機無機複合多孔層100重量%に対して、2重量%未満である場合、有機無機複合多孔層と多孔性高分子基材との結着力が不足であって、電池組み立て工程で有機無機複合多孔層が多孔性高分子基材から脱離されて汚染問題が発生する。
【0069】
前記バインダー高分子の含量が、有機無機複合多孔層100重量%に対して、5重量%を超過する場合、バインダー高分子が抵抗として作用してセパレータの抵抗が増加する。
【0070】
前記バインダー高分子は、有機無機複合多孔層の形成に通常使われるバインダー高分子である。前記バインダー高分子は、ガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)が-200~200℃である。前記バインダー高分子のガラス転移温度が、前述した範囲を満足する場合、最終的に形成される有機無機複合多孔層の柔軟性及び弾性のような機械的物性が向上する。前記バインダー高分子は、イオン伝導能力を有するものである。イオン伝導能力を有するバインダー高分子を使用する場合、電池の性能をさらに向上させうる。前記バインダー高分子は、誘電率定数が1.0~100(測定周波数=1kHz)、または10~100である。前記バインダー高分子の誘電率定数が、前述した範囲を満足する場合、電解液での塩解離度を向上させうる。
【0071】
本発明の一実施形態において、前記バインダー高分子は、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン-トリクロロエチレン)、アクリル系共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(エチレン酢酸ビニル)共重合体、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アリレート)、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシメチルセルロース、またはこれらのうち2以上を含みうる。
【0072】
前記アクリル系共重合体は、エチルアクリレート-アクリル酸-N,N-ジメチルアクリルアミド共重合体、エチルアクリレート-アクリル酸-2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート共重合体、エチルアクリレート-アクリル酸-N,N-ジエチルアクリルアミド共重合体、エチルアクリレート-アクリル酸-2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート共重合体、またはこれらのうち2以上を含みうるが、これらに制限されるものではない。
【0073】
本発明の一実施形態において、前記有機無機複合多孔層は、分散剤をさらに含みうる。前記分散剤は、例えば、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、カルボキシメチルセルロース塩、ポリアクリル酸(polyacrylic acid;PAA)、ポリメタクリルアクリル酸(PMAA)、クエン酸(citric acid)、またはこれらのうち2種以上を含みうる。
【0074】
本発明の一実施形態において、前記有機無機複合多孔層の厚さは、特別な制限がないが、0.5~50μm、または1~10μmである。
【0075】
本発明の一実施形態において、前記有機無機複合多孔層の気孔サイズは、0.001~10μmまたは0.001~1μmである。
【0076】
前記有機無機複合多孔層の気孔サイズは、キャピラリーフロー気孔径測定(Capillary flow porometry)方法によって測定することができる。キャピラリーフロー気孔測定方法は、厚さ方向に最も小さな気孔の直径が測定される方式である。したがって、キャピラリーフロー気孔測定方法によって有機無機複合多孔層のみの気孔サイズを測定するためには、有機無機複合多孔層を多孔性高分子基材で分離し、分離された有機無機複合多孔層を支持することができる不織布で取り囲んだ状態で測定しなければならず、この際、前記不織布の気孔サイズは、有機無機複合多孔層の気孔サイズに比べて遥かに大きくならなければならない。前記有機無機複合多孔層の気孔度は、走査電子顕微鏡(SEM)イメージ、水銀ポロシメーター、毛細管流動気孔分布測定器、または気孔分布測定器(Bell Japan Inc、Belsorp-II mini)を使用して窒素ガス吸着流通法によってBET 6点法で測定することができる。
【0077】
また、前記有機無機複合多孔層の気孔度(porosity)は、5~95%、または10~95%、または20~90%、または30~80%である。前記気孔度は、前記有機無機複合多孔層の厚さ、横、及び縦と定義される単位体積で、前記有機無機複合多孔層の重量を測定して、見掛け密度を計算した後、各構成成分の真密度で前記見掛け密度を差し引いた後、それを再び真密度で割った値に該当する。
【0078】
前記有機無機複合多孔層は、前記多孔性高分子基材の一面または両面に形成されうる。前記有機無機複合多孔層が、前記多孔性高分子基材の両面に形成される場合、セパレータの電解液の湿潤性がさらに改善されうる。
【0079】
本発明の一実施形態において、前記有機無機複合多孔層の表面の算術平均粗さ(Ra)が、100~900nmである。
【0080】
従来のBET比表面積が20~75m2/gである無機物粒子を含む場合、有機無機複合多孔層の表面の算術平均粗さ(Ra)が低くて、電池の製造工程でしわ、蛇行などの問題が発生する場合があった。
【0081】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータは、BET比表面積が20~75m2/gである無機物粒子がナノ繊維スキャフォールドの空隙に挟まれている構造を有することによって、有機無機複合多孔層の表面の算術平均粗さ(Ra)が100~900nmであることが容易である。これにより、セパレータの摩擦特性が確保されて、電池の組み立てがさらに容易である。特に、電池が円筒状電池である場合、電極組立体を巻付ける過程で示すしわ、蛇行などの問題を防止することがさらに容易である。
【0082】
本明細書において、前記「算術平均粗さ」は、開始点から順次に測定された表面での粗さ分布で、粗さ曲線の中平均線方向に、下記の
図10のように、基準長さLほどを抜き取って、平均線方向をx軸とし、高さ方向をy軸として、粗さ曲線を下記式1で表現した値を称する。
【0083】
【0084】
前記算術平均粗さは、例えば、Nano System社のoptical profiler(NV-2700)を用いて測定することができる。
【0085】
前記有機無機複合多孔層は、ナノ繊維、BET比表面積が20~75m2/gである無機物粒子、及びバインダー高分子を前記バインダー高分子に対する溶媒に添加し、分散させて製造することができる。この際、ナノ粒子分散機を使用して、前記ナノ繊維、無機物粒子、及びバインダー高分子を分散させることができる。
【0086】
前記ナノ粒子分散機のビーズ直径が、0.05~0.5mmである。前記ナノ粒子分散機のビーズ直径が、前述した範囲を満足する場合、ビーズの直径が小さくて、ナノ繊維と無機物粒子及びバインダー高分子とを分散させることがさらに容易である。すなわち、ビーズ直径が大きくて、ナノ繊維と無機物粒子及びバインダー高分子とがよく分散されず、縒れる問題を防止することがさらに容易である。
【0087】
前記ナノ繊維、無機物粒子、及びバインダー高分子が、多孔性高分子基材の少なくとも一面にコーティングされた後、乾燥される過程において、ナノ繊維が先にスキャフォールド構造を形成した後、バインダー高分子に対する溶媒が蒸発するにつれて、ナノ繊維スキャフォールドの空隙に無機物粒子が挟まれる。
【0088】
前述したリチウム二次電池用セパレータを正極と負極との間に介在してリチウム二次電池を製造することができる。
【0089】
前記リチウム二次電池は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池などを含みうる。
【0090】
本発明のリチウム二次電池用セパレータと共に適用される電極は、特に制限されず、当業者に知られた通常の方法によって電極活物質、導電材、及びバインダーを含む電極活物質層が電流集電体に結着された形態に製造することができる。
【0091】
前記電極活物質のうち、正極活物質の非制限的な例としては、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や、1つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2-xO4(ここで、x=0~0.33)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O5、LiV3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-xMxO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-xMxO2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1)またはLi2Mn3MO5(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZn)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式Liの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0092】
負極活物質の非制限的な例としては、従来のリチウム二次電池の負極に使われる通常の負極活物質が使用可能であり、特に、リチウム金属またはリチウム合金、炭素、石油コークス(petroleum coke)、活性炭(activated carbon)、グラファイト(graphite)またはその他の炭素類のようなリチウム吸着物質などが使われる。
【0093】
正極電流集電体の非制限的な例としては、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどがあり、負極電流集電体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケルまたは銅合金またはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどがある。
【0094】
本発明の一実施形態において、負極及び正極で使われる導電材は、通常それぞれの活物質層の全体重量を基準に1~30重量%添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずとも、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウイスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使われる。
【0095】
本発明の一実施形態において、負極及び正極で使われるバインダーは、活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合とに助力する成分であって、通常それぞれの活物質層の全体重量を基準に1~30重量%添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。
【0096】
本発明の一実施形態において、前記リチウム二次電池は、電解液を含み、前記電解液は、有機溶媒とリチウム塩とを含むものである。また、前記電解液として有機固体電解質、または無機固体電解質などが使われる。
【0097】
前記有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、炭酸プロピレン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使われる。
【0098】
前記リチウム塩は、前記有機溶媒に溶解されやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4-フェニルホウ酸リチウム、イミドなどが使われる。
【0099】
また、前記電解液に充電・放電の特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、リン酸トリエチル、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されても良い。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために、二酸化炭素ガスをさらに含ませることもできる。
【0100】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などが使われる。
【0101】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li3N、LiI、Li5NI2、Li3N-LiI-LiOH、LiSiO4、LiSiO4-LiI-LiOH、Li2SiS3、Li4SiO4、Li4SiO4-LiI-LiOH、Li3PO4-Li2S-SiS2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使われる。
【0102】
前記電解液の注入は、最終製品の製造工程及び要求物性によって、電池の製造工程中に適切な段階で行われる。すなわち、電池組み立て前または電池組み立て最終段階などで適用可能である。
【0103】
本発明の一実施形態において、前記リチウム二次電池用セパレータは、リチウム二次電池の正極と負極との間に介在され、複数のセルまたは電極を集合させて電極組立体を構成する時、隣接したセルまたは電極の間に介在される。前記電極組立体は、単純スタック型、ゼリーロール型、スタック-フォールディング型、ラミネーション-スタック型などの多様な構造を有しうる。
【0104】
本発明の一実施形態において、前記リチウム二次電池用セパレータは、正極及び負極の間に介在された電極組立体の形態で電池に適用可能である。前記電極組立体を電池に適用する工程としては、一般的な工程である巻回(winding)の以外にも、セパレータと電極の積層(lamination、stack)及びフォールディング(folding)工程が可能である。
【0105】
本発明の一実施形態において、前記リチウム二次電池が、前記電極組立体が円筒状に巻き付けられている円筒状リチウム二次電池である。
【0106】
本発明の一実施形態において、前記円筒状リチウム二次電池が、電極タブを含まないこともある。円筒状リチウム二次電池が電極タブを含まない場合、電極の無地部が円筒状ゼリーロール両先端で溶接されてタブの役割の代わりをするために、ゼリーロール両先端で電解液がゼリーロールの内部に入る経路が制限されるので、電解液が含浸されることがさらに困難である。本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータを適用する場合、このような問題を克服することができる。
【0107】
本発明の一実施形態において、前記円筒状リチウム二次電池の直径が、22mm以上である。円筒状リチウム二次電池の直径が、前述した範囲である場合、電池のサイズが大きくなるにつれて、電池がよく駆動するために、電解液の湿潤性がさらに高い必要がある。本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用セパレータは、電解液の湿潤性に優れて、このような電池をよく駆動させる。
【0108】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は、さまざまな他の形態に変形され、本発明の範囲が、下記の実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0109】
実施例1
セルロースナノ繊維(ハンソル製紙社)20重量%、フュームドアルミナ(Evonik社、BET比表面積:65m2/g、1次粒子基準平均粒径(D50)24nm)77重量%、バインダー高分子としてポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体(LG化学)3重量%を直径0.1mmのジルコニアビーズで充填されたナノミル(ナノインテック社、NPM)を使用して水に分散させて、有機無機複合多孔層形成用スラリーを製造した(スラリーの固形分含量:40重量%)。
【0110】
前記スラリーをポリエチレン多孔性基材(Senior社、SW311H、厚さ:11μm)の両面にダイレクトメータリング(Kobayashi社、Direct Metering coating)方法でコーティングし、80℃で3分間乾燥して、有機無機複合多孔層が形成されたセパレータを製造した。
【0111】
実施例2
セルロースナノ繊維の代わりに、キチンナノ繊維(Sigma-Aldrich社)を使用したことを除き、実施例1と同様にセパレータを製造した。
【0112】
比較例1
アルミナ(大韓セラミック社、ALK-N1、BET比表面積:8.9m2/g、1次粒子基準平均粒径(D50):280nm)97重量%及びバインダー高分子としてポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体(LG化学)3重量%を水に分散させて、有機無機複合多孔層形成用スラリーを製造した(スラリーの固形分含量:40重量%)。
【0113】
前記スラリーをポリエチレン多孔性基材(Senior社、SW311H、厚さ:11μm)の両面にダイレクトメータリング(Kobayashi社)方法でコーティングし、80℃で3分間乾燥して、有機無機複合多孔層が形成されたセパレータを製造した。
【0114】
比較例2
実施例1と同じアルミナを使用したことを除き、比較例1と同様にセパレータを製造した。
【0115】
比較例3
フュームドアルミナ(Evonik社、BET比表面積:65m2/g、1次粒子基準平均粒径(D50)24nm)97重量%及びバインダー高分子としてポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体(LG化学)3重量%を水に分散させて、有機無機複合多孔層形成用第1スラリーを製造した(スラリーの固形分含量:40重量%)。
【0116】
その後、セルロースナノ繊維(ハンソル製紙社)80重量%及びバインダー高分子としてポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体(LG化学)20重量%を水に分散させて、有機無機複合多孔層形成用第2スラリーを製造した(スラリーの固形分含量:40重量%)。
【0117】
前記第1スラリーをポリエチレン多孔性基材(Senior社、SW311H、厚さ:11μm)の両面にダイレクトメータリング(Kobayashi社)方法でコーティングし、80℃で3分間乾燥した後、連続して前記第2スラリーを同じ方式で塗布及び乾燥して、有機無機複合多孔層が形成されたセパレータを製造した。
【0118】
前記製造したセパレータは、多孔性高分子基材上に無機物粒子とバインダー高分子とを含む層が形成され、その上にナノ繊維及びバインダー高分子を含む層が形成されて、2種の異なる層がそれぞれ分離されて形成された。
【0119】
無機物粒子及びバインダー高分子を含む層は、ナノ繊維スキャフォールドの不在によって無機物粒子間にクラック(crack)が発生して、微細短絡の危険があった。
【0120】
また、ナノ繊維及びバインダー高分子を含む層は、バインダー含量が高くてセパレータの抵抗が増加した。
【0121】
比較例4
比較例1と同じアルミナを使用したことを除き、実施例1と同様にセパレータを製造した。
【0122】
前記製造したセパレータは、無機物粒子のBET比表面積が20m2/g未満であって、ナノ繊維スキャフォールドの空隙内に無機物粒子が挟まっていることができず、無機物粒子とナノ繊維スキャフォールドとが分離された層を形成した。
【0123】
比較例5
直径が0.8mmであるジルコニアビーズを充填したビーズミルを使用したことを除き、実施例1と同様にセパレータを製造した。
【0124】
比較例6
フュームドアルミナ(Evonik社、BET比表面積:65m2/g、1次粒子基準平均粒径(D50)24nm)92重量%及びバインダー高分子としてポリビニルアルコール-ポリアクリル酸共重合体(LG化学)8重量%を水に分散させて、有機無機複合多孔層形成用スラリーを製造した(スラリーの固形分含量:40重量%)。
【0125】
前記スラリーをポリエチレン多孔性基材(Senior社、SW311H、厚さ11μm)の両面にダイレクトメータリング(Kobayashi社)方法でコーティングし、80℃で3分間乾燥して、有機無機複合多孔層が形成されたセパレータを製造した。
【0126】
評価例1:セパレータの有機無機複合多孔層の構造分析
実施例1ないし実施例2及び比較例1、比較例2、比較例5、及び比較例6で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層の構造をSEMイメージで分析して、それぞれ
図1ないし
図6に示した。
【0127】
図1及び
図2に示されたように、実施例1及び実施例2で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層は、ナノ繊維スキャフォールドの空隙に無機物粒子が挟まっている構造を有することを確認することができた。
【0128】
図3に示されたように、比較例1で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層は、BET比表面積が20m
2/g未満である無機物粒子を使用して少量のバインダー高分子を使用しても、無機物粒子が互いに結着していることを確認することができた。
【0129】
図4に示されたように、比較例2で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層は、ナノ繊維スキャフォールドの不在によって無機物粒子間にクラックが発生して、微細短絡の危険があることを確認することができた。
【0130】
図5に示されたように、比較例5で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層は、分散性が確保されず、非規則的なクレーター(crater)形態の欠点があることを確認することができた。
【0131】
図6に示されたように、比較例6で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層は、バインダー含量が5重量%を超過しており、比較例2で製造したリチウム二次電池用セパレータの有機無機複合多孔層とは異なって、無機物粒子間にクラックが発生しないことを確認することができた。
【0132】
評価例2:セパレータの電解液の湿潤性及び180℃での熱収縮率の測定
実施例1ないし実施例2及び比較例1ないし比較例6で製造したリチウム二次電池用セパレータを、それぞれMD 10cm×TD 10cmサイズの正方形状に裁断し、180℃に保持される恒温オーブンに1時間放置した後、変化する長さを定規で測定して、180℃での機械方向(MD)及び直角方向(TD)の熱収縮率を測定して、下記表1に示した。
【0133】
また、実施例1ないし実施例2、及び比較例1ないし比較例6で製造したリチウム二次電池用セパレータの電解液の湿潤性を測定して、下記表1に示し、実施例1ないし実施例2及び比較例1で製造したリチウム二次電池用セパレータの電解液の湿潤性を
図7ないし
図9に示した。
【0134】
電解液の湿潤性は、実施例1ないし実施例2及び比較例1ないし比較例6で製造したリチウム二次電池用セパレータを、それぞれMD 10cm×TD 10cmサイズの正方形状に裁断し、左右をスライドガラスに固定して中央部を空中に浮かべた状態で、電解液(EC/EMC=3/7、LiPF6=1.2M)をセパレータに落とし、3秒後、電解液が含浸された面積を計算して測定した。
【0135】
【0136】
前記表1から確認できるように、実施例1及び2で製造したリチウム二次電池用セパレータは、180℃でのセパレータの熱収縮率及び電解液の湿潤性に優れていることを確認することができた。
【0137】
一方、比較例1で製造したリチウム二次電池用セパレータは、実施例で製造したリチウム二次電池用セパレータに比べて電解液の湿潤性が劣っており、180℃でのセパレータの熱収縮率も、劣っていることを確認することができた。
【0138】
比較例2、比較例3、比較例5及び比較例6で製造したリチウム二次電池用セパレータは、BET比表面積が20~75m2/gである無機物粒子を含んで電解液の湿潤性及び180℃でのセパレータの熱収縮率を相当レベル確保することができた。
【0139】
比較例4で製造したリチウム二次電池用セパレータは、BET比表面積が20m2/g未満である無機物粒子を含んだが、ナノ繊維スキャフォールドを含んで相当レベルの電解液の湿潤性を確保することができた。しかし、無機物粒子のBET比表面積が20m2/g未満であって、180℃での熱収縮率が実施例に比べて劣っていた。
【0140】
評価例3:セパレータの抵抗測定
実施例1及び比較例6で製造したリチウム二次電池用セパレータの抵抗を測定して、下記表2に示した。
【0141】
セパレータの抵抗は、コインセルを製造し、コインセルを電解液(EC/EMC=3/7、LiPF6=1.2M)で十分に濡らした後、電気化学インピーダンス分光法(EIS、Electrochemical Impedance Spectroscopy)を活用して周波数別のインピーダンスを図示し、この際、インピーダンスの実数部(x切片)を抵抗として定義して測定した。
【0142】
前記コインセルは、下記のように製作した。
【0143】
負極の製造
負極活物質として人造黒鉛、導電材としてデンカブラック(carbon black)、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)をそれぞれ75:5:20の重量比で混合し、溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)を添加して負極スラリーを製造した。
【0144】
前記負極スラリーを3.8mAh/cm2のローディング量で銅集電体にコーティング及び乾燥して負極を準備した。
【0145】
正極の製造
正極活物質としてLiCoO2、導電材としてデンカブラック及びバインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を85:5:10の重量比で溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)に添加して、正極活物質スラリーを準備した。前記正極活物質スラリーをシート状のアルミニウム集電体上にコーティングし、乾燥させて、最終正極ローディング量が3.3mAh/cm2になるように正極活物質層を形成した。
【0146】
コインセルの製造
前記のように製作された負極と正極との間に、前記実施例及び比較例で製造したセパレータを介在させた。
【0147】
【0148】
前記表2から確認できるように、バインダー高分子の含量が、有機無機複合多孔層100重量%に対して、5重量%を超過する比較例6は、バインダー高分子の含量が有機無機複合多孔層100重量%に対して、2~5重量%である実施例1で製造したセパレータに比べて抵抗が増加するということを確認することができた。