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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240830BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H01L21/306 B
H01L21/306 R
H01L21/308 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023222202
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2020055375の分割
【原出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2024026595
(43)【公開日】2024-02-28
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】康 松潤
(72)【発明者】
【氏名】津田 俊武
(72)【発明者】
【氏名】関口 賢治
(72)【発明者】
【氏名】米澤 周平
(72)【発明者】
【氏名】香川 興司
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/012547(WO,A1)
【文献】特表2018-535558(JP,A)
【文献】特表2017-531926(JP,A)
【文献】特開2011-211094(JP,A)
【文献】特開平11-307441(JP,A)
【文献】特開昭63-156324(JP,A)
【文献】特開2006-202906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0357197(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボロンを20~80(原子%)含むボロン含有シリコン膜が形成された基板を保持する工程と、
保持された前記基板にフッ酸と硝酸とを含む酸化性水溶液を供給する工程と、
前記酸化性水溶液で前記基板の前記ボロン含有シリコン膜をエッチングする工程と、
を含み、
前記酸化性水溶液は、酢酸をさらに含む
基板処理方法。
【請求項2】
前記酸化性水溶液におけるフッ酸と硝酸との混合比は、体積比で1:1~1:10の範囲である
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記酸化性水溶液の温度は、20℃~80℃の範囲である
請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記供給する工程は、前記基板の周縁部に前記酸化性水溶液を供給する
請求項1~のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記供給する工程は、前記基板の裏面に前記酸化性水溶液を供給する
請求項1~のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記供給する工程は、前記基板の全面に前記酸化性水溶液を供給する
請求項1~のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項7】
ボロンを20~80(原子%)含むボロン含有シリコン膜が形成された基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部で保持された前記基板にフッ酸と硝酸とを含む酸化性水溶液を供給する処理液供給部と、
を備え
前記酸化性水溶液は、酢酸をさらに含む
基板処理装置。
【請求項8】
ボロンを20~80(原子%)含むボロン含有シリコン膜が形成された基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部で保持された前記基板にフッ酸と硝酸とを含む酸化性水溶液を供給する処理液供給部と、
を備え、
前記処理液供給部は、前記基板の裏面に前記酸化性水溶液を供給し、
前記基板保持部は、前記基板を回転可能に保持し、
前記処理液供給部は、回転数が200(rpm)~1000(rpm)の範囲で回転する前記基板の裏面に前記酸化性水溶液を供給する
板処理装置。
【請求項9】
ボロンを20~80(原子%)含むボロン含有シリコン膜が形成された基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部で保持された前記基板にフッ酸と硝酸とを含む酸化性水溶液を供給する処理液供給部と、
を備え、
前記処理液供給部は、前記基板の周縁部に前記酸化性水溶液を供給し、
前記基板保持部は、前記基板を回転可能に保持し、
前記処理液供給部は、回転数が400(rpm)~1000(rpm)の範囲で回転する前記基板の周縁部に前記酸化性水溶液を供給する
板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ(以下、ウェハとも呼称する。)などの基板をエッチング処理する際に用いられるハードマスクとして、カーボン膜やボロン膜を用いる技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-164067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ウェハに形成されたボロン含有シリコン膜を適切にエッチングすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理方法は、保持する工程と、供給する工程と、エッチングする工程と、を含む。保持する工程は、ボロンを20~80(原子%)含むボロン含有シリコン膜が形成された基板を保持する。供給する工程は、保持された前記基板にフッ酸と硝酸とを含む酸化性水溶液を供給する。エッチングする工程は、前記酸化性水溶液で前記基板の前記ボロン含有シリコン膜をエッチングする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ウェハに形成されたボロン含有シリコン膜を適切にエッチングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る基板処理システムの模式平面図である。
図2図2は、実施形態に係る基板処理システムの模式側面図である。
図3図3は、実施形態に係る周縁部処理ユニットの模式図である。
図4図4は、実施形態に係る裏面処理ユニットの模式図である。
図5図5は、酸化性水溶液におけるフッ酸の含有比率と、ボロン含有シリコン膜のエッチングレートとの関係を示す図である。
図6図6は、酸化性水溶液の温度と、ボロン含有シリコン膜のエッチングレートとの関係を示す図である。
図7図7は、ボロン含有シリコン膜中のボロン濃度と、ボロン含有シリコン膜のエッチングレートとの関係を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る周縁部処理ユニットでのウェハの保持処理を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係るウェハの周縁部への酸化性水溶液の供給処理を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る裏面処理ユニットでのウェハの保持処理を説明するための図である。
図11図11は、実施形態に係るウェハの裏面への酸化性水溶液の供給処理を説明するための図である。
図12図12は、実施形態の変形例に係る基板処理システムの模式平面図である。
図13図13は、実施形態の変形例に係る全面処理ユニットの処理槽の模式図である。
図14図14は、実施形態に係る基板処理システムが実行する基板処理の手順を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態の変形例に係る基板処理システムが実行する基板処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理方法および基板処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す各実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
従来、半導体ウェハ(以下、ウェハとも呼称する。)などの基板をエッチング処理する際に用いられるハードマスクとして、カーボン膜やボロン膜を用いる技術が知られている。
【0010】
また近年、新たなハードマスク材料として、ボロン含有シリコン膜が注目されつつある。しかしながら、ウェハに形成されたボロン含有シリコン膜を適切にエッチングする技術についての有用な知見は得られていない。
【0011】
そこで、上述の問題点を克服し、ウェハに形成されたボロン含有シリコン膜を適切にエッチングすることができる技術が期待されている。
【0012】
<基板処理システムの概要>
最初に、図1および図2を参照しながら、実施形態に係る基板処理システム1の概略構成について説明する。図1は、実施形態に係る基板処理システム1の模式平面図であり、図2は、実施形態に係る基板処理システム1の模式側面図である。
【0013】
なお、基板処理システム1は、基板処理装置の一例である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係る基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、受渡ステーション3と、処理ステーション4とを備える。これらは、搬入出ステーション2、受渡ステーション3および処理ステーション4の順に並べて配置される。
【0015】
かかる基板処理システム1は、搬入出ステーション2から搬入された基板、本実施形態では半導体ウェハ(以下ウェハW)を受渡ステーション3経由で処理ステーション4へ搬送し、処理ステーション4において処理する。また、基板処理システム1は、処理後のウェハWを処理ステーション4から受渡ステーション3経由で搬入出ステーション2へ戻し、搬入出ステーション2から外部へ払い出す。
【0016】
搬入出ステーション2は、カセット載置部11と、搬送部12とを備える。カセット載置部11には、複数枚のウェハWを水平状態で収容する複数のカセットCが載置される。
【0017】
搬送部12は、カセット載置部11と受渡ステーション3との間に配置され、内部に第1搬送装置13を有する。第1搬送装置13は、1枚のウェハWを保持する複数(たとえば、5つ)のウェハ保持部を備える。
【0018】
第1搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、複数のウェハ保持部を用い、カセットCと受渡ステーション3との間で複数枚のウェハWを同時に搬送することができる。
【0019】
次に、受渡ステーション3について説明する。図2に示すように、受渡ステーション3の内部には、複数の基板載置部(SBU)14が配置される。具体的には、基板載置部14は、次に説明する処理ステーション4の第1処理ステーション4Uに対応する位置および第2処理ステーション4Lに対応する位置にそれぞれ1つずつ配置される。
【0020】
処理ステーション4は、第1処理ステーション4Uと、第2処理ステーション4Lとを備える。第1処理ステーション4Uと第2処理ステーション4Lとは、隔壁やシャッターなどによって空間的に仕切られており、高さ方向に並べて配置される。
【0021】
第1処理ステーション4Uおよび第2処理ステーション4Lは、同様の構成を有しており、図1に示すように、搬送部16と、第2搬送装置17と、複数の周縁部処理ユニット(CH1)18と、複数の裏面処理ユニット(CH2)19とを備える。
【0022】
第2搬送装置17は、搬送部16の内部に配置され、基板載置部14、周縁部処理ユニット18および裏面処理ユニット19の間においてウェハWの搬送を行う。
【0023】
第2搬送装置17は、1枚のウェハWを保持する1つのウェハ保持部を備える。第2搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持部を用いて1枚のウェハWを搬送する。
【0024】
複数の周縁部処理ユニット18および複数の裏面処理ユニット19は、搬送部16に隣接して配置される。一例として、複数の周縁部処理ユニット18は、搬送部16のY軸正方向側においてX軸方向に沿って並べて配置され、複数の裏面処理ユニット19は、搬送部16のY軸負方向側においてX軸方向に沿って並べて配置される。
【0025】
周縁部処理ユニット18は、ウェハWの周縁部Wc(図8参照)に対して所定の処理を行う。実施形態において、周縁部処理ユニット18は、ウェハWの周縁部Wcからボロン含有シリコン膜A(図8参照)をエッチングする処理を行う。
【0026】
ここで、周縁部Wcとは、ウェハWの端面およびその周辺に形成された傾斜部のことをいう。なお、かかる傾斜部は、ウェハWのおもて面Wa(図8参照)および裏面Wb(図8参照)にそれぞれ形成される。周縁部処理ユニット18の詳細については後述する。
【0027】
ウェハWに形成されているボロン含有シリコン膜Aは、ボロンを20~80(原子%)の範囲で含有し、残部がシリコンおよび不可避不純物で構成される膜である。ボロン含有シリコン膜Aは、たとえば、ウェハWをエッチング処理する際のハードマスクとして用いられる。
【0028】
ボロン含有シリコン膜Aに含まれる不可避不純物としては、たとえば、成膜原料などに由来する水素(H)を挙げることができる。ボロン含有シリコン膜Aは、たとえば、水素を1~20(原子%)の範囲で含有する。
【0029】
裏面処理ユニット19は、ウェハWの裏面Wbに対して所定の処理を行う。実施形態において、裏面処理ユニット19は、ウェハWの裏面Wb全体からボロン含有シリコン膜Aをエッチングする処理を行う。裏面処理ユニット19の詳細については後述する。
【0030】
また、図1に示すように、基板処理システム1は、制御装置5を備える。制御装置5は、たとえばコンピュータであり、制御部6と記憶部7とを備える。記憶部7には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部6は、記憶部7に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0031】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置5の記憶部7にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0032】
<周縁部処理ユニットの構成>
次に、実施形態に係る周縁部処理ユニット18の構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、実施形態に係る周縁部処理ユニット18の模式図である。図3に示すように、周縁部処理ユニット18は、チャンバ21と、基板保持部22と、処理液供給部23と、回収カップ24とを備える。
【0033】
チャンバ21は、基板保持部22、処理液供給部23および回収カップ24を収容する。チャンバ21の天井部には、チャンバ21内にダウンフローを形成するFFU(Fun Filter Unit)21aが設けられる。
【0034】
基板保持部22は、ウェハWを回転可能に保持する。基板保持部22は、ウェハWを水平に保持する保持部22aと、鉛直方向に延在して保持部22aを支持する支柱部材22bと、支柱部材22bを鉛直軸周りに回転させる駆動部22cとを有する。
【0035】
保持部22aは、真空ポンプなどの吸気装置(図示せず)に接続され、かかる吸気装置の吸気によって発生する負圧を利用してウェハWの裏面Wb(図8参照)を吸着することによってウェハWを水平に保持する。保持部22aとしては、たとえばポーラスチャックや静電チャックなどを用いることができる。
【0036】
保持部22aは、ウェハWよりも小径の吸着領域を有する。これにより、後述する処理液供給部23の下側ノズル23bから吐出される薬液をウェハWにおける周縁部Wc(図8参照)の裏面Wb側に供給することができる。
【0037】
処理液供給部23は、上側ノズル23aと下側ノズル23bとを有する。上側ノズル23aは、基板保持部22に保持されたウェハWの上方に配置され、下側ノズル23bは、かかるウェハWの下方に配置される。
【0038】
上側ノズル23aおよび下側ノズル23bには、フッ酸供給部25と、硝酸供給部26と、リンス液供給部27とがそれぞれ並列に接続される。また、上側ノズル23aおよび下側ノズル23bと、フッ酸供給部25、硝酸供給部26およびリンス液供給部27との間には、ヒータ28が設けられる。
【0039】
フッ酸供給部25は、上流側から順に、フッ酸供給源25aと、バルブ25bと、流量調整器25cとを有する。フッ酸供給源25aは、たとえば、フッ酸(HF)を貯留するタンクである。流量調整器25cは、フッ酸供給源25aからバルブ25bを介して上側ノズル23aおよび下側ノズル23bに供給されるフッ酸の流量を調整する。
【0040】
硝酸供給部26は、上流側から順に、硝酸供給源26aと、バルブ26bと、流量調整器26cとを有する。硝酸供給源26aは、たとえば、硝酸(HNO)を貯留するタンクである。流量調整器26cは、硝酸供給源26aからバルブ26bを介して上側ノズル23aおよび下側ノズル23bに供給される硝酸の流量を調整する。
【0041】
リンス液供給部27は、上流側から順に、リンス液供給源27aと、バルブ27bと、流量調整器27cとを有する。リンス液供給源27aは、たとえば、DIW(脱イオン水)などのリンス液を貯留するタンクである。流量調整器27cは、リンス液供給源27aからバルブ27bを介して上側ノズル23aおよび下側ノズル23bに供給されるリンス液の流量を調整する。
【0042】
上側ノズル23aは、フッ酸供給部25、硝酸供給部26およびリンス液供給部27の少なくとも1つから供給される薬液を、基板保持部22に保持されたウェハWにおける周縁部Wcのおもて面Wa(図8参照)側に吐出する。
【0043】
下側ノズル23bは、フッ酸供給部25、硝酸供給部26およびリンス液供給部27の少なくとも1つから供給される薬液を、基板保持部22に保持されたウェハWにおける周縁部Wcの裏面Wb側に吐出する。
【0044】
なお、周縁部処理ユニット18は、上側ノズル23aおよび下側ノズル23bから吐出される薬液をヒータ28で所定の温度に加熱することができる。
【0045】
また、処理液供給部23は、上側ノズル23aを移動させる第1移動機構23cと、下側ノズル23bを移動させる第2移動機構23dとを有する。これら第1移動機構23cおよび第2移動機構23dを用いて上側ノズル23aおよび下側ノズル23bを移動させることにより、ウェハWに対する薬液の供給位置を変更することができる。
【0046】
回収カップ24は、基板保持部22を取り囲むように配置される。回収カップ24の底部には、処理液供給部23から供給される薬液をチャンバ21の外部へ排出するための排液口24aと、チャンバ21内の雰囲気を排気するための排気口24bとが形成される。
【0047】
周縁部処理ユニット18は、上記のように構成されており、ウェハWの裏面Wbを保持部22aで吸着保持した後、駆動部22cを用いてウェハWを回転させる。
【0048】
次に、周縁部処理ユニット18は、回転するウェハWにおける周縁部Wcのおもて面Wa側へ向けて、上側ノズル23aから酸化性水溶液L(図9参照)を吐出する。また、かかる吐出処理と並行して、周縁部処理ユニット18は、回転するウェハWの周縁部Wcにおける裏面Wb側へ向けて、下側ノズル23bから酸化性水溶液Lを吐出する。
【0049】
これにより、ウェハWの周縁部Wcに形成されたボロン含有シリコン膜A(図8参照)がエッチングされる。この際、ウェハWの周縁部Wcに付着したパーティクルなどの汚れもボロン含有シリコン膜Aとともに除去される。
【0050】
実施形態に係る酸化性水溶液Lは、フッ酸供給部25から供給されるフッ酸と、硝酸供給部26から供給される硝酸とが所定の割合で混合された水溶液である。かかる酸化性水溶液Lによるエッチング処理の詳細については後述する。
【0051】
酸化性水溶液Lの吐出処理につづいて、周縁部処理ユニット18は、上側ノズル23aおよび下側ノズル23bからリンス液を吐出することによって、ウェハWに残存する酸化性水溶液Lを洗い流すリンス処理を行う。そして、周縁部処理ユニット18は、ウェハWを回転させることによってウェハWを乾燥させる乾燥処理を行う。
【0052】
<裏面処理ユニットの構成>
次に、実施形態に係る裏面処理ユニット19の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、実施形態に係る裏面処理ユニット19の模式図である。図4に示すように、裏面処理ユニット19は、チャンバ31と、基板保持部32と、処理液供給部33と、回収カップ34とを備える。
【0053】
チャンバ31は、基板保持部32、処理液供給部33および回収カップ34を収容する。チャンバ31の天井部には、チャンバ31内にダウンフローを形成するFFU31aが設けられる。
【0054】
基板保持部32は、ウェハWを水平に保持する保持部32aと、鉛直方向に延在して保持部32aを支持する支柱部材32bと、支柱部材32bを鉛直軸周りに回転させる駆動部32cとを備える。
【0055】
保持部32aの上面には、ウェハWの周縁部Wc(図10参照)を把持する複数の把持部32a1が設けられており、ウェハWはかかる把持部32a1によって保持部32aの上面からわずかに離間した状態で水平に保持される。
【0056】
処理液供給部33は、保持部32aおよび支柱部材32bを回転軸に沿って貫通する中空部に挿通される。かかる処理液供給部33の内部には、回転軸に沿って延在する流路が形成される。
【0057】
処理液供給部33の内部に形成される流路には、フッ酸供給部35と、硝酸供給部36と、リンス液供給部37とがそれぞれ並列に接続される。また、処理液供給部33と、フッ酸供給部35、硝酸供給部36およびリンス液供給部37との間には、ヒータ38が設けられる。
【0058】
フッ酸供給部35は、上流側から順に、フッ酸供給源35aと、バルブ35bと、流量調整器35cとを有する。フッ酸供給源35aは、たとえば、フッ酸を貯留するタンクである。流量調整器35cは、フッ酸供給源35aからバルブ35bを介して処理液供給部33に供給されるフッ酸の流量を調整する。
【0059】
硝酸供給部36は、上流側から順に、硝酸供給源36aと、バルブ36bと、流量調整器36cとを有する。硝酸供給源36aは、たとえば、硝酸を貯留するタンクである。流量調整器36cは、硝酸供給源36aからバルブ36bを介して処理液供給部33に供給される硝酸の流量を調整する。
【0060】
リンス液供給部37は、上流側から順に、リンス液供給源37aと、バルブ37bと、流量調整器37cとを有する。リンス液供給源37aは、たとえば、DIWなどのリンス液を貯留するタンクである。流量調整器37cは、リンス液供給源37aからバルブ37bを介して処理液供給部33に供給されるリンス液の流量を調整する。
【0061】
処理液供給部33は、フッ酸供給部35、硝酸供給部36およびリンス液供給部37の少なくとも1つから供給される薬液を、基板保持部32に保持されたウェハWの裏面Wb(図10参照)に供給する。
【0062】
なお、裏面処理ユニット19は、処理液供給部33から吐出される薬液をヒータ38で所定の温度に加熱することができる。
【0063】
回収カップ34は、基板保持部32を取り囲むように配置される。回収カップ34の底部には、処理液供給部33から供給される薬液をチャンバ31の外部へ排出するための排液口34aと、チャンバ31内の雰囲気を排気するための排気口34bとが形成される。
【0064】
裏面処理ユニット19は、上記のように構成されており、ウェハWの周縁部Wcを保持部32aの複数の把持部32a1で保持した後、駆動部32cを用いてウェハWを回転させる。
【0065】
次に、裏面処理ユニット19は、回転するウェハWの裏面Wbの中心部へ向けて、処理液供給部33から酸化性水溶液L(図11参照)を吐出する。この裏面Wbの中心部に供給された酸化性水溶液Lは、ウェハWの回転に伴ってウェハWの裏面Wbの全体に広がる。
【0066】
これにより、ウェハWの裏面Wbに形成されたボロン含有シリコン膜A(図10参照)がエッチングされる。この際、ウェハWの裏面Wbに付着したパーティクルなどの汚れもボロン含有シリコン膜Aとともに除去される。
【0067】
次に、裏面処理ユニット19は、処理液供給部33からリンス液を吐出することによって、ウェハWに残存する酸化性水溶液Lを洗い流すリンス処理を行う。そして、裏面処理ユニット19は、ウェハWを回転させることによってウェハWを乾燥させる乾燥処理を行う。
【0068】
<ボロン含有シリコン膜のエッチング処理>
次に、実施形態に係るボロン含有シリコン膜Aのエッチング処理の詳細について、図5図10を参照しながら説明する。上述したように、実施形態では、ウェハWに形成されたボロン含有シリコン膜Aを、フッ酸と硝酸とが所定の割合で混合された酸化性水溶液Lで適切にエッチングすることができる。その原理について以下に説明する。
【0069】
酸化性水溶液Lに含まれる硝酸の内部では、自己触媒サイクルによって、下記の化学式(1)~(3)で示す反応が生じている。
HNO + HNO → N + HO ・・・(1)
+ 2NO ⇔ 2NO + 2h ・・・(2)
2NO + 2H ⇔ 2HNO ・・・(3)
【0070】
また、上記の(1)~(3)で示す反応によって生じる反応物などによって、下記の化学式(4)~(8)で示す反応が生じることにより、ボロン含有シリコン膜Aに含まれるシリコンが酸化される。
2NO → 2NO + 2h ・・・(4)
2NO + 2H ⇔ 2HNO ・・・(5)
Si + 2h → Si2+ ・・・(6)
Si2+ + 2OH → Si(OH) ・・・(7)
Si(OH) → SiO + HO ・・・(8)
【0071】
そして、ボロン含有シリコン膜Aの内部で酸化されたシリコン(すなわち、SiO)は、下記の化学式(9)で示すように、酸化性水溶液Lに含まれるフッ酸と反応して酸化性水溶液Lに溶解する。
SiO + 6HF → HSiF + 2HO ・・・(9)
【0072】
また、下記の化学式(10)で示す反応によって、ボロン含有シリコン膜Aに含まれるボロンも、シリコンと同様に酸化性水溶液Lにより酸化し、溶解する。
B + NO + OH → BO + NO + HO ・・・(10)
【0073】
なお、下記の化学式(11)で示すように、酸化性水溶液Lの内部において、水素イオン(H)は、硝酸の乖離によっても生成される。
HNO ⇔ NO + H ・・・(11)
【0074】
そして、上記の化学式(11)で示した反応で生じる水素イオン(H)は、上記の化学式(5)で示した反応に用いられる。
【0075】
ここまで説明したように、ウェハWに形成されたボロン含有シリコン膜Aの主成分であるシリコンおよびボロンは、いずれも酸化性水溶液Lに含まれる硝酸の酸化力で酸化され、これらの酸化物が酸化性水溶液Lに含まれるフッ酸によって溶解する。これにより、ウェハWに形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0076】
図5は、酸化性水溶液Lにおけるフッ酸の含有比率と、ボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートとの関係を示す図である。図5に示すように、実施形態では、酸化性水溶液Lにおけるフッ酸と硝酸との混合比が、1:1(すなわち、フッ酸が50(体積%))~1:10(すなわち、フッ酸が約9(体積%))の範囲であるとよい。
【0077】
このように、フッ酸と硝酸との混合比を1:1~1:10の範囲にすることにより、ウェハWに形成されたボロン含有シリコン膜Aを実用的なエッチングレートでエッチングすることができる。
【0078】
また、実施形態では、酸化性水溶液Lにおけるフッ酸と硝酸との混合比が、1:5(すなわち、フッ酸が約16(体積%))~1:10(すなわち、フッ酸が約9(体積%))の範囲であるとさらによい。
【0079】
このように、フッ酸と硝酸との混合比を1:5~1:10の範囲にすることにより、ボロン含有シリコン膜Aを実用的なエッチングレートでエッチングすることができるとともに、酸化性水溶液LからNOが発生することを抑制することができる。
【0080】
また、実施形態では、酸化性水溶液Lにおけるフッ酸と硝酸との混合比が、1:1.5(すなわち、フッ酸が40(体積%))~1:3(すなわち、フッ酸が約25(体積%))の範囲であってもよい。
【0081】
このように、フッ酸と硝酸との混合比を1:1.5~1:3の範囲にすることにより、ボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートを向上させることができる。
【0082】
また、実施形態では、ボロン含有シリコン膜Aをエッチングする際の酸化性水溶液Lの温度が、20℃~80℃の範囲であるとよい。これにより、ボロン含有シリコン膜Aを実用的なエッチングレートでエッチングすることができる。
【0083】
また、実施形態では、酸化性水溶液Lの温度が、30℃~60℃の範囲であるとさらによい。このように、酸化性水溶液Lの温度を30℃以上にすることにより、図6に示すように、室温(25℃)でエッチング処理した場合と比べて、ボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートを大幅に向上させることができる。
【0084】
また、酸化性水溶液Lの温度を60℃以下にすることにより、基板処理システム1(図1参照)の各部が、高温の酸化性水溶液Lによって劣化することを抑制することができる。図6は、酸化性水溶液Lの温度と、ボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートとの関係を示す図である。
【0085】
なお、図6は、ボロン含有シリコン膜A中のボロン濃度が33(原子%)であり、酸化性水溶液Lにおけるフッ酸と硝酸との混合比が1:6である場合の実験結果である。
【0086】
図7は、ボロン含有シリコン膜A中のボロン濃度と、ボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートとの関係を示す図である。図7に示すように、実施形態では、ウェハWの回転数が小さいほうが、ボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートが向上する。
【0087】
これは以下の理由であると考えられる。上記の化学式(1)~(11)で示したように、実施形態では、酸化性水溶液Lに含まれる中間体(たとえば、NO)の酸化力を用いてBやSiを溶解する。
【0088】
そして、ウェハWの回転数を過度に大きくした場合、この中間体がウェハWに接する酸化性水溶液Lの内部で少なくなってしまう。したがって、ウェハWの回転数を過度に大きくするとボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートが低下する。
【0089】
一方で、ウェハWの回転数を小さくした場合、ウェハWに接する酸化性水溶液Lにおける中間体の濃度を維持することができる。したがって、ウェハWの回転数を実用上可能な範囲で小さくすることにより、ボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートを向上させることができる。
【0090】
たとえば、ウェハWの裏面Wbを酸化性水溶液Lでエッチング処理する場合、ウェハWの回転数を200(rpm)~1000(rpm)の範囲に設定するとよい。また、ウェハWの周縁部Wcを酸化性水溶液Lでエッチング処理する場合、ウェハWの回転数を400(rpm)~1000(rpm)の範囲に設定するとよい。
【0091】
実施形態によれば、これらの回転数に設定することにより、ボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートを向上させることができる。
【0092】
実施形態に係る酸化性水溶液Lは、フッ酸と、硝酸と、不可避不純物とで構成されているとよい。また、実施形態では、かかる酸化性水溶液Lが、さらに酢酸を含んでいてもよい。
【0093】
これにより、酸化性水溶液Lによる過度なエッチングを抑制することができることから、ボロン含有シリコン膜Aの表面がエッチングでザラザラになることを抑制することができる。
【0094】
また、実施形態では、ボロン含有シリコン膜Aが、ボロンを20(原子%)~80(原子%)の範囲で含んでいるとよい。これにより、ウェハWをエッチング処理する際のハードマスクとして、かかるボロン含有シリコン膜Aを好適に用いることができる。
【0095】
つづいて、実施形態に係るエッチング処理の各処理について説明する。図8は、実施形態に係る周縁部処理ユニット18でのウェハWの保持処理を説明するための図である。
【0096】
まず、搬送部12(図1参照)や搬送部16(図1参照)などを用いて、ウェハWを周縁部処理ユニット18内に搬送する。そして、制御部6(図1参照)は、基板保持部22を動作させることにより、ウェハWを保持部22aで保持する処理を行う。
【0097】
なお、かかるウェハWを保持する処理に先だって、ウェハWの全面(すなわち、ウェハWのおもて面Wa、裏面Wbおよび周縁部Wc)には、図8に示すように、ボロン含有シリコン膜Aが形成される。そして、実施形態では、ボロン含有シリコン膜Aの形成されたウェハWの裏面Wbが、保持部22aで吸着保持される。
【0098】
なお、本開示において、ウェハWのおもて面Waとは、パターン(凸状に形成される回路)が表面に形成されている主面のことであり、裏面Wbとは、おもて面Waの裏側の主面のことである。
【0099】
かかる保持処理につづいて、実施形態では、ウェハWの周縁部Wcへの酸化性水溶液Lの供給処理が行われる。図9は、実施形態に係るウェハWの周縁部Wcへの酸化性水溶液Lの供給処理を説明するための図である。
【0100】
まず、制御部6(図1参照)は、駆動部22c(図3参照)を動作させることにより、図9に示すように、ウェハWを所定の回転数(たとえば、400(rpm)~1000(rpm)で回転させる。
【0101】
次に、制御部6は、上側ノズル23aを動作させることにより、回転するウェハWにおける周縁部Wcのおもて面Wa側へ向けて酸化性水溶液Lを供給する。さらに、制御部6は、下側ノズル23bを動作させることにより、回転するウェハWにおける周縁部Wcの裏面Wb側へ向けて酸化性水溶液Lを供給する。
【0102】
これにより、図9に示すように、ウェハWの周縁部Wcに形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0103】
次に、制御部6は、ウェハWを高速(たとえば、1500(rpm))で回転させるとともに、上側ノズル23aおよび下側ノズル23bを動作させることによって、ウェハWの周縁部Wcにリンス液を供給して残存する酸化性水溶液Lを洗い流すリンス処理を行う。
【0104】
そして、制御部6は、ウェハWの高速回転は維持する一方、リンス液の供給を停止させることによって、ウェハWを乾燥させる乾燥処理を行う。
【0105】
かかる乾燥処理につづいて、実施形態では、ウェハWを裏面処理ユニット19に搬送してウェハWを保持する処理が行われる。図10は、実施形態に係る裏面処理ユニット19でのウェハWの保持処理を説明するための図である。
【0106】
まず、搬送部16(図1参照)などを用いて、周縁部処理ユニット18から裏面処理ユニット19内にウェハWを搬送する。そして、制御部6(図1参照)は、基板保持部32を動作させることにより、ウェハWを保持部32aで保持する処理を行う。
【0107】
なお、実施形態では、図10に示すように、ボロン含有シリコン膜AがエッチングされたウェハWの周縁部Wcが、複数の把持部32a1で保持される。
【0108】
かかる保持処理につづいて、実施形態では、ウェハWの裏面Wbへの酸化性水溶液Lの供給処理が行われる。図11は、実施形態に係るウェハWの裏面Wbへの酸化性水溶液Lの供給処理を説明するための図である。
【0109】
まず、制御部6(図1参照)は、駆動部32c(図4参照)を動作させることにより、図11に示すように、ウェハWを所定の回転数(たとえば、200(rpm)~1000(rpm)で回転させる。
【0110】
次に、制御部6は、処理液供給部33を動作させることにより、回転するウェハWの裏面Wbの中心部へ向けて酸化性水溶液Lを供給する。この裏面Wbの中心部に供給された酸化性水溶液Lは、ウェハWの回転に伴ってウェハWの裏面Wbの全体に広がる。
【0111】
これにより、図11に示すように、ウェハWの裏面Wbに形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0112】
次に、制御部6は、ウェハWを高速(たとえば、1500(rpm))で回転させるとともに、処理液供給部33を動作させることにより、ウェハWの裏面Wbにリンス液を供給して残存する酸化性水溶液Lを洗い流すリンス処理を行う。
【0113】
そして、制御部6は、ウェハWの高速回転は維持する一方、リンス液の供給を停止させることによって、ウェハWを乾燥させる乾燥処理を行う。ここまで説明した一連の処理によって、ウェハWの裏面Wbおよび周縁部Wcに形成されたボロン含有シリコン膜Aをエッチングする処理が完了する。
【0114】
なお、上記の実施形態では、ウェハWの周縁部Wcをエッチング処理した後にウェハWの裏面Wbをエッチング処理する例について示したが、ウェハWの裏面Wbをエッチング処理した後にウェハWの周縁部Wcをエッチング処理してもよい。
【0115】
一方で、実施形態では、ウェハWの周縁部Wcをエッチング処理した後にウェハWの裏面Wbをエッチング処理することにより、保持部22aで吸着保持された跡がウェハWの裏面Wbに残ることを抑制することができる。
【0116】
<変形例>
ここまで説明した実施形態では、ウェハWの裏面Wbまたは周縁部Wcに酸化性水溶液Lを吐出してエッチング処理を行う例について示したが、実施形態に係るエッチング処理はこれらの例に限られない。
【0117】
たとえば、回転するウェハWのおもて面Waに酸化性水溶液Lを吐出して、おもて面Waに形成されたボロン含有シリコン膜Aを酸化性水溶液Lでエッチング処理してもよい。これにより、ウェハWのおもて面Waに形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0118】
なお、実施形態では、ウェハWのおもて面Waを酸化性水溶液Lでエッチング処理する場合、ウェハWの回転数を10(rpm)~1000(rpm)の範囲に設定するとよい。これにより、ウェハWに接する酸化性水溶液Lにおける中間体の濃度を維持することができることから、ボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートを向上させることができる。
【0119】
また、ここまで説明した実施形態では、ウェハWを枚葉処理でエッチング処理した例について示したが、実施形態に係るエッチング処理は枚葉処理に限られない。図12は、実施形態の変形例に係る基板処理システム1Aの模式平面図である。
【0120】
図12に示す変形例1の基板処理システム1Aは、基板処理装置の別の一例であり、複数のウェハWを一括で処理することができる。変形例に係る基板処理システム1Aは、キャリア搬入出部102と、ロット形成部103と、ロット載置部104と、ロット搬送部105と、ロット処理部106と、制御装置107とを備える。
【0121】
キャリア搬入出部102は、キャリアステージ120と、キャリア搬送機構121と、キャリアストック122、123と、キャリア載置台124とを備える。
【0122】
キャリアステージ120は、外部から搬送された複数のキャリア110を載置する。キャリア110は、複数(たとえば、25枚)のウェハWを水平姿勢で上下に並べて収容する容器である。キャリア搬送機構121は、キャリアステージ120、キャリアストック122、123およびキャリア載置台124の間でキャリア110の搬送を行う。
【0123】
キャリア載置台124に載置されたキャリア110からは、処理される前の複数のウェハWが後述する基板搬送機構130によりロット処理部106に搬出される。また、キャリア載置台124に載置されたキャリア110には、処理された複数のウェハWが基板搬送機構130によりロット処理部106から搬入される。
【0124】
ロット形成部103は、基板搬送機構130を有し、ロットを形成する。かかるロットは、1または複数のキャリア110に収容されたウェハWを組合せて同時に処理される複数(たとえば、50枚)のウェハWで構成される。1つのロットを形成する複数のウェハWは、たとえば、互いの板面を対向させた状態で一定の間隔をあけて配列される。
【0125】
基板搬送機構130は、キャリア載置台124に載置されたキャリア110とロット載置部104との間で複数のウェハWを搬送する。
【0126】
ロット載置部104は、ロット搬送台140を有し、ロット搬送部105によってロット形成部103とロット処理部106との間で搬送されるロットを一時的に載置(待機)する。
【0127】
ロット搬送台140は、ロット形成部103で形成された処理される前のロットを載置するロット載置台141と、ロット処理部106で処理されたロットを載置するロット載置台142とを有する。ロット載置台141、142には、1ロット分の複数のウェハWが起立姿勢で前後に並んで載置される。
【0128】
ロット搬送部105は、ロット搬送機構150を有し、ロット載置部104とロット処理部106との間やロット処理部106の内部でロットの搬送を行う。ロット搬送機構150は、レール151と、移動体152と、基板保持体153とを有する。
【0129】
レール151は、ロット載置部104およびロット処理部106に渡って、X軸方向に沿って配置される。移動体152は、複数のウェハWを保持しながらレール151に沿って移動可能に構成される。基板保持体153は、移動体152に設けられ、起立姿勢で前後に並んだ複数のウェハWを保持する。
【0130】
ロット処理部106は、1ロット分の複数のウェハWに対し、エッチング処理や洗浄処理、乾燥処理などを行う。ロット処理部106には、2台の全面処理ユニット160と、洗浄処理装置170と、乾燥処理装置180とが、レール151に沿って並んで設けられる。
【0131】
全面処理ユニット160は、1ロット分の複数のウェハWに対してエッチング処理およびリンス処理を一括で行う。洗浄処理装置170は、基板保持体153の洗浄処理を行う。乾燥処理装置180は、1ロット分の複数のウェハWに対して乾燥処理を一括で行う。なお、全面処理ユニット160、洗浄処理装置170および乾燥処理装置180の台数は、図12の例に限られない。
【0132】
全面処理ユニット160は、エッチング処理用の処理槽161と、リンス処理用の処理槽162と、昇降可能に構成される基板保持部163,164とを備える。処理槽161、162は、1ロット分のウェハWを収容可能である。また、処理槽161には、エッチング液である酸化性水溶液Lが貯留される。全面処理ユニット160の処理槽161の詳細については後述する。
【0133】
処理槽162には、リンス処理用のリンス液が貯留される。基板保持部163,164は、ロットを形成する複数のウェハWを起立姿勢で前後に並べた状態で保持する。
【0134】
全面処理ユニット160は、ロット搬送部105で搬送されたロットを基板保持部163で保持し、処理槽161の酸化性水溶液Lに浸漬させてエッチング処理を行う。また、全面処理ユニット160は、ロット搬送部105によって処理槽162に搬送されたロットを基板保持部164にて保持し、処理槽162のリンス液に浸漬させることによってリンス処理を行う。
【0135】
乾燥処理装置180は、処理槽181と、昇降可能に構成される基板保持部182とを有する。処理槽181には、乾燥処理用の処理ガスが供給される。基板保持部182には、1ロット分の複数のウェハWが起立姿勢で前後に並んで保持される。
【0136】
乾燥処理装置180は、ロット搬送部105で搬送されたロットを基板保持部182で保持し、処理槽181内に供給される乾燥処理用の処理ガスを用いて乾燥処理を行う。処理槽181で乾燥処理されたロットは、ロット搬送部105でロット載置部104に搬送される。
【0137】
洗浄処理装置170は、ロット搬送機構150の基板保持体153に洗浄用の処理液を供給し、さらに乾燥ガスを供給することで、基板保持体153の洗浄処理を行う。
【0138】
制御装置107は、たとえばコンピュータであり、制御部108と記憶部109とを備える。記憶部109には、基板処理システム1Aにおいて実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部108は、記憶部109に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1Aの動作を制御する。
【0139】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置107の記憶部109にインストールされたものであってもよい。
【0140】
図13は、実施形態の変形例に係る全面処理ユニット160の処理槽161の模式図である。図13に示すように、エッチング用の処理槽161は、内槽201と、外槽202とを備える。内槽201は、上方が開放された箱形の槽であり、内部に酸化性水溶液Lを貯留する。
【0141】
複数のウェハWにより形成されるロットは、内槽201に浸漬される。外槽202は、上方が開放され、内槽201の上部周囲に配置される。外槽202には、内槽201からオーバーフローした酸化性水溶液Lが流入する。
【0142】
また、処理槽161は、フッ酸供給部203と、硝酸供給部204とを備える。フッ酸供給部203は、フッ酸供給源231と、フッ酸供給ライン232と、流量調整器233とを有する。
【0143】
フッ酸供給源231は、たとえば、フッ酸を貯留するタンクである。フッ酸供給ライン232は、フッ酸供給源231と外槽202とを接続し、フッ酸供給源231から外槽202にフッ酸を供給する。
【0144】
流量調整器233は、フッ酸供給ライン232に設けられ、外槽202へ供給されるフッ酸の供給量を調整する。流量調整器233は、開閉弁や流量制御弁、流量計などで構成される。流量調整器233によってフッ酸の供給量が調整されることで、酸化性水溶液Lのフッ酸濃度が調整される。
【0145】
硝酸供給部204は、硝酸供給源241と、硝酸供給ライン242と、流量調整器243とを有する。硝酸供給源241は、たとえば、硝酸を貯留するタンクである。硝酸供給ライン242は、硝酸供給源241と外槽202とを接続し、硝酸供給源241から外槽202に硝酸を供給する。
【0146】
流量調整器243は、硝酸供給ライン242に設けられ、外槽202へ供給される硝酸の供給量を調整する。流量調整器243は、開閉弁や流量制御弁、流量計などで構成される。流量調整器243によって硝酸の供給量が調整されることで、酸化性水溶液Lの硝酸濃度が調整される。
【0147】
また、処理槽161は、内槽201内で基板保持部163に保持される複数のウェハWに酸化性水溶液Lを供給する処理液供給部205を備える。かかる処理液供給部205は、内槽201と外槽202との間で酸化性水溶液Lを循環させる。
【0148】
処理液供給部205は、循環ライン251と、複数の供給ノズル252と、フィルタ253と、ヒータ254と、ポンプ255とを備える。
【0149】
循環ライン251は、外槽202と内槽201とを接続する。循環ライン251の一端は、外槽202に接続され、循環ライン251の他端は、内槽201の内部に配置された複数の供給ノズル252に接続される。
【0150】
フィルタ253、ヒータ254およびポンプ255は、循環ライン251に設けられる。フィルタ253は、循環ライン251を流れる酸化性水溶液Lから不純物を除去する。ヒータ254は、循環ライン251を流れる酸化性水溶液Lを、所定の温度に加熱する。ポンプ255は、外槽202内の酸化性水溶液Lを循環ライン251に送り出す。ポンプ255、ヒータ254およびフィルタ253は、上流側からこの順番で設けられる。
【0151】
処理液供給部205は、酸化性水溶液Lを外槽202から循環ライン251および複数の供給ノズル252経由で内槽201内へ送る。内槽201内に送られた酸化性水溶液Lは、内槽201からオーバーフローすることで、再び外槽202へと流出する。このようにして、酸化性水溶液Lは、内槽201と外槽202との間を循環する。
【0152】
ここまで説明した基板処理システム1Aにおいて、全面処理ユニット160内でウェハWの全面に酸化性水溶液Lを供給することにより、ウェハWの全面に形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0153】
たとえば、変形例では、ボロン含有シリコン膜Aが全面に形成されたウェハWをリワークする場合などに、かかるウェハWを効率よくリワークすることができる。
【0154】
また、変形例では、全面処理ユニット160において複数のウェハWを酸化性水溶液Lによって一括で処理することができる。したがって、変形例によれば、ボロン含有シリコン膜Aが全面に形成された複数のウェハWを、高いスループットでエッチング処理することができる。
【0155】
実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1、1A)は、基板保持部22(32、163)と、処理液供給部23(33、205)とを備える。基板保持部22(32)は、ボロン含有シリコン膜Aが形成された基板(ウェハW)を保持する。処理液供給部23(33、205)は、基板保持部22(32、163)で保持された基板(ウェハW)にフッ酸と硝酸とを含む酸化性水溶液Lを供給する。これにより、ウェハWに形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0156】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、処理液供給部33は、基板(ウェハW)の裏面Wbに酸化性水溶液Lを供給する。これにより、ウェハWの裏面Wbに形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0157】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、基板保持部32は、基板(ウェハW)を回転可能に保持する。また、処理液供給部33は、回転数が200(rpm)~1000(rpm)の範囲で回転する基板(ウェハW)の裏面Wbに酸化性水溶液Lを供給する。これにより、ウェハWの裏面Wbに形成されたボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートを向上させることができる。
【0158】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、処理液供給部23は、基板(ウェハW)の周縁部Wcに酸化性水溶液Lを供給する。これにより、ウェハWの周縁部Wcに形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0159】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、基板保持部22は、基板(ウェハW)を回転可能に保持する。また、処理液供給部23は、回転数が400(rpm)~1000(rpm)の範囲で回転する基板(ウェハW)の周縁部Wcに酸化性水溶液Lを供給する。これにより、ウェハWの周縁部Wcに形成されたボロン含有シリコン膜Aのエッチングレートを向上させることができる。
【0160】
<処理の手順>
つづいて、実施形態に係る基板処理の手順について、図14および図15を参照しながら説明する。図14は、実施形態に係る基板処理システム1が実行する基板処理の手順を示すフローチャートである。
【0161】
最初に、制御部6は、搬送部12や搬送部16などを用いて、ウェハWを周縁部処理ユニット18内に搬送する。そして、制御部6は、周縁部処理ユニット18を制御して、ウェハWを基板保持部22で保持する(ステップS101)。
【0162】
次に、制御部6は、周縁部処理ユニット18を制御して、基板保持部22で保持されたウェハWを所定の回転数(たとえば、400(rpm)~1000(rpm)で回転させる(ステップS102)。
【0163】
次に、制御部6は、周縁部処理ユニット18を制御して、回転するウェハWの周縁部Wcに酸化性水溶液Lを供給する(ステップS103)。そして、制御部6は、この酸化性水溶液Lによって、ウェハWの周縁部Wcに形成されたボロン含有シリコン膜Aをエッチングする(ステップS104)。
【0164】
次に、制御部6は、高速に回転させたウェハWの周縁部Wcにリンス液を供給することにより、ウェハWをリンス処理する(ステップS105)。そして、制御部6は、リンス液の供給を停止することにより、ウェハWを乾燥処理する(ステップS106)。
【0165】
次に、制御部6は、搬送部16などを用いて、周縁部処理ユニット18から裏面処理ユニット19内にウェハWを搬送する。そして、制御部6は、裏面処理ユニット19を制御して、ウェハWを基板保持部32で保持する(ステップS107)。
【0166】
次に、制御部6は、裏面処理ユニット19を制御して、基板保持部32で保持されたウェハWを所定の回転数(たとえば、200(rpm)~1000(rpm)で回転させる(ステップS108)。
【0167】
次に、制御部6は、裏面処理ユニット19を制御して、回転するウェハWの裏面Wbに酸化性水溶液Lを供給する(ステップS109)。そして、制御部6は、この酸化性水溶液Lによって、ウェハWの裏面Wbに形成されたボロン含有シリコン膜Aをエッチングする(ステップS110)。
【0168】
次に、制御部6は、高速に回転させたウェハWの裏面Wbにリンス液を供給することにより、ウェハWをリンス処理する(ステップS111)。そして、制御部6は、リンス液の供給を停止することにより、ウェハWを乾燥処理し(ステップS112)、処理を完了する。
【0169】
図15は、実施形態の変形例に係る基板処理システム1Aが実行する基板処理の手順を示すフローチャートである。
【0170】
最初に、制御部108は、キャリア搬入出部102やロット形成部103、ロット載置部104、ロット搬送部105などを制御して、1ロット分の複数のウェハWをロット処理部106に搬送する。そして、制御部6は、ロット搬送部105およびロット処理部106を制御して、1ロット分の複数のウェハWを全面処理ユニット160の基板保持部163で保持する(ステップS201)。
【0171】
次に、制御部108は、処理液供給部205で酸化性水溶液Lを内槽201内に供給するとともに、基板保持部163を内槽201内に下降させることにより、1ロット分の複数のウェハWの全面に酸化性水溶液Lを供給する(ステップS202)。そして、制御部108は、この酸化性水溶液Lによって、複数のウェハWの全面にそれぞれ形成されたボロン含有シリコン膜Aをエッチングする(ステップS203)。
【0172】
次に、制御部108は、ロット搬送部105などを制御して、1ロット分の複数のウェハWを全面処理ユニット160の基板保持部163から基板保持部164に搬送する。そして、制御部108は、基板保持部164をリンス処理用の処理槽162内に下降させることにより、1ロット分の複数のウェハWの全面をリンス処理する(ステップS204)。
【0173】
次に、制御部108は、ロット搬送部105などを制御して、1ロット分の複数のウェハWを全面処理ユニット160の基板保持部164から乾燥処理装置180に搬送する。そして、制御部108は、乾燥処理装置180において、1ロット分の複数のウェハWの全面を乾燥処理し(ステップS205)、処理を完了する。
【0174】
実施形態に係る基板処理方法は、保持する工程(ステップS101、S107、S201)と、供給する工程(ステップS103、S109、S202)と、エッチングする工程(ステップS104、S110、S203)とを含む。保持する工程(ステップS101、S107、S201)は、ボロン含有シリコン膜Aが形成された基板(ウェハW)を保持する。供給する工程(ステップS103、S109、S202)は、保持された基板(ウェハW)にフッ酸と硝酸とを含む酸化性水溶液Lを供給する。エッチングする工程(ステップS104、S110、S203)は、酸化性水溶液Lで基板(ウェハW)のボロン含有シリコン膜Aをエッチングする。これにより、ウェハWに形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0175】
また、実施形態に係る基板処理方法において、酸化性水溶液Lにおけるフッ酸と硝酸との混合比は、1:1~1:10の範囲である。これにより、ウェハWに形成されたボロン含有シリコン膜Aを実用的なエッチングレートでエッチングすることができる。
【0176】
また、実施形態に係る基板処理方法において、酸化性水溶液Lの温度は、20℃~80℃の範囲である。これにより、ボロン含有シリコン膜Aを実用的なエッチングレートでエッチングすることができる。
【0177】
また、実施形態に係る基板処理方法において、酸化性水溶液Lは、酢酸をさらに含む。これにより、ボロン含有シリコン膜Aの表面がエッチングでザラザラになることを抑制することができる。
【0178】
また、実施形態に係る基板処理方法において、供給する工程(ステップS103)は、基板(ウェハW)の周縁部Wcに酸化性水溶液Lを供給する。これにより、ウェハWの周縁部Wcに形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0179】
また、実施形態に係る基板処理方法において、供給する工程(ステップS109)は、基板(ウェハW)の裏面Wbに酸化性水溶液Lを供給する。これにより、ウェハWの裏面Wbに形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0180】
また、実施形態に係る基板処理方法において、供給する工程(ステップS202)は、基板(ウェハW)の全面に酸化性水溶液Lを供給する。これにより、ウェハWの全面に形成されたボロン含有シリコン膜Aを適切にエッチングすることができる。
【0181】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上記の実施形態では、フッ酸供給源に貯留されたフッ酸と、硝酸供給源に貯留された硝酸とを配管内で所定の割合に混合して生成された酸化性水溶液Lを各ユニットに供給する例について示したが、酸化性水溶液Lの供給方法はかかる例に限られない。
【0182】
たとえば、フッ酸と硝酸とを所定の割合に混合して生成されたフッ硝酸(すなわち、酸化性水溶液L)を貯留するフッ硝酸供給源を用意し、かかるフッ硝酸供給源に貯留される酸化性水溶液Lをそのまま各ユニットに供給してもよい。これにより、各ユニット(周縁部処理ユニット18、裏面処理ユニット19および全面処理ユニット160)の配管構成を簡便にすることができる。
【0183】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0184】
W ウェハ(基板の一例)
1、1A 基板処理システム(基板処理装置の一例)
6、108 制御部
18 周縁部処理ユニット
19 裏面処理ユニット
160 全面処理ユニット
22、32、163 基板保持部
23、33、205 処理液供給部
A ボロン含有シリコン膜
L 酸化性水溶液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15