(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ホログラフィック光学素子、その製造方法およびその製造装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/32 20060101AFI20240902BHJP
G03H 1/04 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G02B5/32
G03H1/04
(21)【出願番号】P 2022554705
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 KR2021011204
(87)【国際公開番号】W WO2022045699
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0107287
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ウォン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ボ・ラ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ド・キョン・クォン
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-350129(JP,A)
【文献】国際公開第2019/243554(WO,A1)
【文献】特開平11-202742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0176745(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107632406(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/32
G03H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に干渉パターンが形成された回折光学素子であるマスターを積層する第1ステップと、
前記マスターに感光材料を積層し、前記感光材料に所定の入射角で入射ビームを照射して前記感光材料に前記マスターの前記干渉パターンを記録する第2ステップと、
前記干渉パターンが記録された前記感光材料を前記マスターから分離して光学素子を生成する第3ステップと、
前記第2ステップおよび前記第3ステップを所定回数繰り返して複数の前記光学素子を生成する第4ステップと、
複数の前記光学素子を結合してホログラフィック光学素子を形成する第5ステップと、を含み、
前記第4ステップにおいて、
それぞれの前記光学素子に記録された前記干渉パターンが互いにピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なるように、繰り返されるそれぞれの前記第2ステップごとに、前記感光材料に前記入射角を異ならせて前記入射ビームを照射する、ホログラフィック光学素子の製造方法。
【請求項2】
前記第4ステップは、
それぞれの前記第2ステップごとに、前記基板を所定の角度で回転した後に、前記感光材料に前記入射ビームを照射する、請求項1に記載のホログラフィック光学素子の製造方法。
【請求項3】
前記第5ステップは、
前記ホログラフィック光学素子に記録された前記干渉パターンの前記傾斜角が所定の方向に次第に増加するか、次第に減少するように複数の前記光学素子を結合する、請求項2に記載のホログラフィック光学素子の製造方法。
【請求項4】
前記マスターは、前記入射ビームの前記入射角が第1角度以上第2角度以下の時、前記感光材料に前記入射ビームを回折させ、
前記基板が前記マスターに入射する前記入射ビームの前記入射角が前記第1角度以上前記第2角度以下となるように回転した後に、前記感光材料に前記入射ビームが照射される、請求項3に記載のホログラフィック光学素子の製造方法。
【請求項5】
前記マスターは、ホログラフィック光学素子または表面凹凸格子が形成された前記回折光学素子で構成される、請求項4に記載のホログラフィック光学素子の製造方法。
【請求項6】
前記感光材料は、フォトポリマーである、請求項1~5の何れか一項に記載のホログラフィック光学素子の製造方法。
【請求項7】
基板、干渉パターンが形成された回折光学素子であるマスター、および感光材料を所定の順に積層して積層体を形成する積層ユニットと、
前記感光材料に前記マスターの前記干渉パターンが記録されるように、前記感光材料に所定の入射角で入射ビームを照射するビーム照射ユニットと、
前記感光材料に入射する前記入射角が調節されるように、前記積層体または前記ビーム照射ユニットの少なくとも1つを回転させる回転制御ユニットと、
前記干渉パターンが記録された前記感光材料を前記マスターから分離して光学素子を生成するマスター除去ユニットと、
複数の前記光学素子を結合してホログラフィック光学素子を形成する結合ユニットと、を含む、ホログラフィック光学素子の製造装置。
【請求項8】
前記回転制御ユニットは、
それぞれの前記光学素子に記録された前記干渉パターンが互いにピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なって記録するために、前記感光材料に前記入射角を異ならせて前記入射ビームが照射されるように、前記積層体または前記ビーム照射ユニットの少なくとも1つを回転させる、請求項
7に記載のホログラフィック光学素子の製造装置。
【請求項9】
前記結合ユニットは、
前記ホログラフィック光学素子に記録された前記干渉パターンの傾斜角が所定の方向に次第に増加するか、次第に減少するように複数の前記光学素子を結合する、請求項
7または
8に記載のホログラフィック光学素子の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年8月25日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0107287号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。本発明は、ホログラフィック光学素子、その製造方法およびその製造装置に関し、より詳しくは、拡張イメージ(augmented image)の輝度を向上させることができるホログラフィック光学素子、その製造方法およびその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック光学素子は、物体で反射、回折された光である物体波を、その光と干渉性がある他の波である基準波と干渉させて、感光材料に干渉パターンを記録した光学素子である。干渉パターンが記録された感光材料は、反射や屈折の代わりに回折を利用して拡張イメージ情報を再生するので、このような感光材料は回折光学素子の1種類に分類されたりする。
【0003】
一方、ホログラフィック光学素子は、上述のように、物体波と基準波を感光材料に照射して製造することが一般的である。
【0004】
このように製造されたホログラフィック光学素子は、車両用ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display:HUD)などに適用可能であり、運転者など、拡張イメージを視覚で認識しようとする使用者(以下、使用者という)が周辺環境とともに走行に必要な情報を視認できるように、走行に必要な拡張イメージ光を使用者のアイボックス領域に提供することができる。
【0005】
このように、HUD(Head Up Display)に提供される拡張イメージを、明るい昼間でも使用者が効果的に見るためには、拡張イメージの輝度が重要である。
【0006】
しかし、従来のHUD(Head Up Display)に用いられるホログラフィック光学素子の場合、最大回折効率角度が一定の干渉パターンが形成されていて、輝度の高い光が一定の方向にのみ出射されるので、使用者のアイボックス領域以外の領域に輝度の高い光が大部分出射されて、拡張イメージの輝度が低下する問題がある。
【0007】
また、従来のHUD(Head Up Display)に用いられるホログラフィック光学素子によって使用者のアイボックス領域に出射される光は、拡張イメージの特定部分の情報を含む光のみ輝度が高くて、使用者が見ることとなる拡張イメージが部分ごとに異なる輝度を有する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一課題は、HUD(Head Up Display)などに用いられるホログラフィック光学素子から出射される拡張イメージ光が使用者のアイボックス領域に効果的に集中できない問題を解決することである。
【0009】
本発明の他の課題は、HUD(Head Up Display)などに用いられるホログラフィック光学素子から使用者のアイボックス領域に提供される拡張イメージが部分ごとに均一な輝度を有することができない問題を解決することである。
【0010】
本発明のさらに他の課題は、使用者のアイボックス領域に提供される拡張イメージが均一でありながらも高い輝度を有するように拡張イメージ光を出射できるホログラフィック光学素子を容易に製造できない問題を解決することである。
【0011】
本発明の課題は以上に言及された課題に制限されず、言及されていない他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施態様である、基板に干渉パターンが形成された回折光学素子であるマスターを積層する第1ステップと、前記マスターに感光材料を積層し、前記感光材料に所定の入射角で入射ビームを照射して前記感光材料に前記マスターの干渉パターンを記録する第2ステップと、前記干渉パターンが記録された前記感光材料を前記マスターから分離して光学素子を生成する第3ステップと、前記第2ステップおよび前記第3ステップを所定回数繰り返して複数の前記光学素子を生成する第4ステップと、複数の前記光学素子を結合してホログラフィック光学素子を形成する第5ステップと、を含み、第4ステップにおいて、それぞれの前記光学素子に記録された前記干渉パターンが互いにピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なるように、繰り返されるそれぞれの前記第2ステップごとに、前記感光材料に入射角を異ならせて入射ビームを照射する、ホログラフィック光学素子の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の一実施態様によれば、前記第4ステップは、それぞれの前記第2ステップごとに、前記基板を所定の角度で回転した後に、前記感光材料に入射ビームを照射することができる。
【0014】
本発明の一実施態様によれば、前記第5ステップは、前記ホログラフィック光学素子に記録された前記干渉パターンの傾斜角が所定の方向に次第に増加するか、次第に減少するように複数の前記光学素子を結合することができる。
【0015】
本発明の一実施態様によれば、前記マスターは、入射ビームの入射角が第1角度以上第2角度以下の時、前記感光材料に入射ビームを回折させ、前記基板が前記マスターに入射する入射ビームの入射角が前記第1角度以上前記第2角度以下となるように回転した後に、前記感光材料に入射ビームが照射される。
【0016】
本発明の一実施態様によれば、前記マスターは、ホログラフィック光学素子または表面凹凸格子が形成された回折光学素子で構成される。
【0017】
本発明の一実施態様によれば、前記感光材料は、フォトポリマーであってもよい。
【0018】
本発明の一実施態様は、複数の光学素子が結合して構成され、それぞれの前記光学素子に記録された前記干渉パターンは、互いにピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なる、ホログラフィック光学素子を提供する。
【0019】
本発明の一実施態様によれば、複数の前記光学素子は、所定の方向に干渉パターンの傾斜角が次第に増加するか、次第に減少するように結合されるホログラフィック光学素子を提供することができる。
【0020】
本発明の一実施態様は、基板、干渉パターンが形成された回折光学素子であるマスター、および感光材料を所定の順に積層して積層体を形成する積層ユニットと、前記感光材料に前記マスターの干渉パターンが記録されるように、前記感光材料に所定の入射角で入射ビームを照射するビーム照射ユニットと、前記感光材料に入射する入射角が調節されるように、前記積層体または前記ビーム照射ユニットの少なくとも1つを回転させる回転制御ユニットと、前記干渉パターンが記録された前記感光材料を前記マスターから分離して光学素子を生成するマスター除去ユニットと、複数の前記光学素子を結合してホログラフィック光学素子を形成する結合ユニットと、を含む、ホログラフィック光学素子の製造装置を提供する。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、前記回転制御ユニットは、それぞれの前記光学素子に記録された前記干渉パターンが互いにピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なって記録するために、前記感光材料に入射角を異ならせて入射ビームが照射されるように、前記積層体または前記ビーム照射ユニットの少なくとも1つを回転させることができる。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、前記結合ユニットは、前記ホログラフィック光学素子に記録された前記干渉パターンの傾斜角が所定の方向に次第に増加するか、次第に減少するように複数の前記光学素子を結合することができる。
【0023】
課題を解決するためのその他の実施例の具体的な事項は発明の説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるホログラフィック光学素子は、干渉パターンのピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なる複数の光学素子が結合して形成されることにより、輝度の高い拡張イメージ光を使用者のアイボックス領域に集中して出射するので、使用者が輝度の高い拡張イメージを視認できる効果を提供する。
【0025】
また、拡張イメージの各部分の情報を含む光が高い輝度をもって均一に使用者のアイボックス領域に集中して出射されるようにするので、使用者が均一な輝度を有する拡張イメージを視認できる効果を提供する。
【0026】
また、本発明によるホログラフィック光学素子の製造方法は、結合に用いられる干渉パターンのピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なる複数の光学素子をマスターを回転させて単純複製して生成するので、簡単且つ便利な工程でホログラフィック光学素子を製造できる効果を提供する。
【0027】
さらに、本発明によるホログラフィック光学素子の製造装置は、結合に用いられる干渉パターンのピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なる複数の光学素子をマスターを回転させて単純複製して生成するので、簡便且つ大量にホログラフィック光学素子を製造できる効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子の製造方法を示すフローチャートである。
【
図2】感光材料に干渉パターンを記録する工程を示す図である。
【
図3】マスターに入射する入射ビームの入射角に応じた回折効率を示すグラフである。
【
図4A】干渉パターンの傾斜角が一定の複数の光学素子の最大回折効率角度を示す図である。
【
図4B】干渉パターンの傾斜角が互いに異なる複数の光学素子の最大回折効率角度を示す図である。
【
図5A】
図4Aの複数の光学素子を結合した従来のホログラフィック光学素子によって使用者のアイボックスに出射される拡張イメージ光を示す図である。
【
図5B】
図4Bの複数の光学素子を結合した本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子によって使用者のアイボックスに出射される拡張イメージ光を示す図である。
【
図6A】使用者に視認される
図5Aによる拡張イメージの一例を示す図である。
【
図6B】使用者に視認される
図5Bによる拡張イメージの一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面および後述する内容を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。しかし、本発明はここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化されてもよい。明細書全体にわたって同一の参照番号は同一の構成要素を表す。
【0030】
以下、本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子1の製造方法について説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子の製造方法を示すフローチャートである。
【0032】
図1を参照して説明すれば、本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子1の製造方法は、基板100にマスター200を積層する第1ステップS100と、感光材料に干渉パターンを記録する第2ステップS200と、光学素子を生成する第3ステップS300と、複数の光学素子を生成する第4ステップS400と、ホログラフィック光学素子を形成する第5ステップS500とを含むことができる。
【0033】
まず、第1ステップS100について説明する。
【0034】
第1ステップS100は、ガラスなどからなる基板100にマスター200を積層するステップである。この時、マスター200は、従来のホログラフィック光学素子(HOE)または表面凹凸格子が形成された回折光学素子(DOE)などで構成される。
【0035】
そして、マスター200には、製造するホログラフィック光学素子に転写されて記録されるためのマスターの干渉パターン210が形成される。
【0036】
次に、第2ステップS200について説明する。
【0037】
第2ステップS200は、感光材料300に干渉パターン400を記録するステップである。
【0038】
感光材料300は、露光によって光学的な情報を記録できるもので、ホログラム分野にて公知の従来の感光材料を使用することができる。例えば、感光材料300は、露光部位と非露光部位に屈折率の差が発生して光学的な情報を記録できるフォトポリマーを含んで構成される。
【0039】
図2は、感光材料に干渉パターンを記録する工程を示す図である。
【0040】
図2を参照して説明すれば、基板100に積層されたマスター200に感光材料300を積層し、感光材料300にレーザなどの入射ビームを照射すれば、感光材料300を通過してマスター200に入射した光が感光材料300に回折される。この時、マスター200から感光材料300に回折される光によって感光材料300に干渉パターン400が記録される。
【0041】
次に、第3ステップS300について説明する。
【0042】
第3ステップS300は、感光材料300をマスター200から分離して光学素子500を生成するステップである。マスター200から分離された干渉パターン400が記録された感光材料300を光学素子500といえる。
【0043】
次に、第4ステップS400について説明する。
【0044】
第4ステップS400は、第2ステップS200と第3ステップS300を所定回数繰り返して複数の光学素子500を生成するステップである。第2ステップS200と第3ステップS300を繰り返した回数だけマスターの干渉パターン210が転写された複数の光学素子500が生成される。そして、第4ステップS400では、それぞれの光学素子500に記録された干渉パターン400が互いにピッチ(pitch)は同一であるものの傾斜角は異なるように、複数の光学素子500を生成することができる。
【0045】
例を挙げて説明すれば、マスター200に積層された感光材料300に入射ビームを照射する時、それぞれの感光材料300ごとに入射角を異ならせる入射ビームが照射されるようにすることで、干渉パターン400が互いにピッチ(pitch)は同一であり、且つ傾斜角は異なって形成された複数の光学素子500を生成することができる。
【0046】
具体的には、マスター200と感光材料300とが積層された基板100を所定の角度で回転させた後、感光材料300に入射ビームを照射することにより、マスター200と感光材料300に入射角を異ならせる入射ビームが照射される。
【0047】
最初に、マスター200および第1感光材料310の平面に垂直な方向に入射ビームを照射すれば、第1感光材料310に傾斜角がθa度の第1干渉パターン410が記録される。
【0048】
そして、マスター200と第2感光材料320とが積層された基板100を時計方向にθ1度だけ回転させた後、第2感光材料320に入射ビームを照射すれば、第2感光材料320に傾斜角がθb度の第2干渉パターン420が記録される。
【0049】
また、マスター200と第3感光材料330が積層された基板100を反時計方向にθ2度だけ回転させた後、第3感光材料330に入射ビームを照射すれば、第3感光材料330に傾斜角がθc度の第3干渉パターン430が記録される。
【0050】
この時、第2感光材料320に記録された第2干渉パターン420の傾斜角θbは、第1感光材料310に記録された第1干渉パターン410の傾斜角θaより大きい値を有し、第3感光材料330に記録された第3干渉パターン430の傾斜角θcは、第1感光材料310に記録された第1干渉パターン410の傾斜角θaより小さい値を有する。
【0051】
一方、マスター200は、マスター200に入射する入射ビームの入射角に応じて入射ビームの回折効率を異ならせることができる。
【0052】
図3は、マスターに入射する入射ビームの入射角に応じた回折効率を示すグラフである。
【0053】
例えば、
図3を参照して説明すれば、マスター200に入射する入射ビームの入射角が第1角度以上第2角度以下の場合、マスター200は、入射ビームを90パーセント以上回折させることができる。
【0054】
感光材料300の干渉パターン400を効果的に記録するためには、マスター200に入射する入射ビームの入射角が高い効率で回折されるように入射する必要がある。
【0055】
基板100の回転角は、マスター200に入射する入射ビームの入射角と同一であるので、第4ステップS400において、基板100を回転させた後、感光材料300に入射ビームを照射する時、基板100の回転角が入射ビームを高い効率で回折させるマスター200の入射角の範囲内の値を有するように基板100を回転させることが好ましい。
【0056】
次に、第5ステップS500について説明する。
【0057】
第5ステップS500は、第4ステップS400によって生成された複数の光学素子500を結合してホログラフィック光学素子1を形成するステップである。
【0058】
複数の光学素子500を結合してホログラフィック光学素子1を形成する時、ホログラフィック光学素子1に記録された干渉パターンの傾斜角が所定の方向に次第に増加するか、次第に減少するように複数の光学素子500を結合することができる。
【0059】
このように、ホログラフィック光学素子1に記録された干渉パターンの傾斜角が所定の方向に次第に増加するか、減少するように構成されることにより、ホログラフィック光学素子1の位置ごとに入射ビームを最大効率で回折させることができる入射ビームの入射角(以下、「最大回折効率角度」という)が異なる。
【0060】
図4Aは、干渉パターンの傾斜角が一定の複数の光学素子の最大回折効率角度を示す図である。
【0061】
例えば、
図4Aを参照して説明すれば、ホログラフィック光学素子1を製造するための第1光学素子510、第2光学素子520、第3光学素子530に形成された干渉パターン401、402、403が互いにピッチ(pitch)が同一であり、且つ傾斜角も同一である場合、第1光学素子510、第2光学素子520、第3光学素子530は、最大回折効率角度が同一になる。
【0062】
具体的には、第1光学素子510に第1入射角を有する第1入射ビーム10、第2入射角を有する第2入射ビーム20、第3入射角を有する第3入射ビーム30を照射する時、第2入射ビーム20の回折効率が最も大きい。この場合、第2光学素子520および第3光学素子530も、第1入射ビーム10、第2入射ビーム20、第3入射ビーム30を照射する時、第2入射ビーム20の回折効率が最も大きくなる。
【0063】
図4Bは、干渉パターンの傾斜角が互いに異なる複数の光学素子の最大回折効率角度を示す図である。
【0064】
これとは異なり、
図4Bを参照して説明すれば、ホログラフィック光学素子1を製造するための第4光学素子540、第5光学素子550、第6光学素子560に形成された干渉パターン404、405、406が互いにピッチ(pitch)は同一であるものの傾斜角は異なる場合、第4光学素子540、第5光学素子550、第6光学素子560は、最大回折効率角度が異なる。
【0065】
具体的には、第4光学素子540に第1入射ビーム10、第2入射ビーム20、第3入射ビーム30を照射する時、第1入射ビーム10の回折効率が最も大きい。そして、第4光学素子540の干渉パターン404よりも大きい傾斜角を有する干渉パターン405が記録された第5光学素子550に第1入射ビーム10、第2入射ビーム20、第3入射ビーム30を照射すれば、第2入射ビーム20の回折効率が最も大きい。
【0066】
また、第5光学素子550の干渉パターン405よりも大きい傾斜角を有する干渉パターン406が記録された第6光学素子560に第1入射ビーム10、第2入射ビーム20、第3入射ビーム30を照射すれば、第3入射ビーム30の回折効率が最も大きい。
【0067】
このように、位置ごとに最大回折効率角度が異なるように複数の光学素子500を結合して製造されたホログラフィック光学素子1を車両用HUD(Head Up Display)などに適用することができる。
【0068】
図5Aは、
図4Aの複数の光学素子を結合した従来のホログラフィック光学素子によって使用者のアイボックスに出射される拡張イメージ光を示す図である。
【0069】
例えば、
図5Aを参照して説明すれば、
図5Aの出射側光学素子500-2は、干渉パターン401、402、403のピッチ(pitch)および傾斜角が同一である第1光学素子510、第2光学素子520、第3光学素子530が結合されて形成されたものである。
【0070】
第1入射ビーム10、第2入射ビーム20、第3入射ビーム30が流入側光学素子500-1に照射されれば、照射された光が全反射により出射側光学素子500-2に到達することができる。出射側光学素子500-2を構成する第1光学素子510に到達された光のうち第2入射ビーム20の回折効率が最も大きい場合、第2光学素子520および第3光学素子530に到達された光も、第2入射ビーム20の回折効率が最も大きくなる。
【0071】
そのため、出射側光学素子500-2から出射される光のうち最大回折効率を有する光が大部分使用者のアイボックス領域以外の領域に出射される。また、使用者のアイボックスに流入する拡張イメージの情報を含んだ光は、拡張イメージの特定部分の情報を含んだ第2入射ビーム20のみが最大回折効率で回折されて使用者のアイボックスに出射される。
【0072】
図5Bは、
図4Bの複数の光学素子を結合した本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子によって使用者のアイボックスに出射される拡張イメージ光を示す図である。
【0073】
これとは異なり、
図5Bを参照して説明すれば、
図5Bの出射側光学素子500-4は、干渉パターン404、405、406のピッチ(pitch)は同一であるものの傾斜角が異なる第4光学素子540、第5光学素子550、第6光学素子560が結合されて形成されたものである。
【0074】
第1入射ビーム10、第2入射ビーム20、第3入射ビーム30が流入側光学素子500-3に照射されれば、照射された光が全反射により出射側光学素子500-4に到達することができる。この時、第4光学素子540に到達された光のうち第1入射ビーム10の回折効率が最も大きい。
【0075】
そして、第4光学素子540の干渉パターン404よりも大きい傾斜角を有する干渉パターン405が記録された第5光学素子550に到達された光は、第2入射ビーム20の回折効率が最も大きく、第5光学素子550の干渉パターン405よりも大きい傾斜角を有する干渉パターン406が記録された第6光学素子560に到達された光は、第3入射ビーム30の回折効率が最も大きい。
【0076】
そのため、出射側光学素子500-4から出射される光のうち最大回折効率を有する光が大部分使用者のアイボックス領域に出射される。また、使用者のアイボックスに流入する拡張イメージの情報を含んだ光は、拡張イメージのそれぞれの部分の情報を含んだ第1入射ビーム10、第2入射ビーム20、第3入射ビーム30が均一に最大回折効率で回折されて使用者のアイボックス領域に出射される。
【0077】
図6Aは、使用者に視認される
図5Aによる拡張イメージの一例を示す図である。
【0078】
図6Aを参照して説明すれば、
図5Aのように、第2入射ビーム20のみが最大回折効率で回折されて使用者のアイボックスに出射される場合、使用者が見ることとなる拡張イメージは、特定の部分のみ輝度が高い。
【0079】
図6Bは、使用者に視認される
図5Bによる拡張イメージの一例を示す図である。
【0080】
図6Bを参照して説明すれば、
図5Bのように、第1入射ビーム10、第2入射ビーム20、第3入射ビーム30が最大回折効率で回折されて使用者のアイボックスに均一に出射される場合、使用者が見ることとなる拡張イメージは、
図6Aの場合より全体的に輝度が高く、拡張イメージの全部分において均一に輝度が高い。
【実施例】
【0081】
以下、本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子1について説明する。
【0082】
図7は、本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子を示す図である。
【0083】
図7を参照して説明すれば、本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子1は、複数の光学素子500が結合して構成され、それぞれの光学素子540、550、560に記録された干渉パターン404、405、406は、互いにピッチ(pitch)は同一であるものの傾斜角は異なる。
【0084】
そして、複数の光学素子540、550、560は、所定の方向に干渉パターン404、405、406の傾斜角が次第に増加するか、次第に減少するように結合される。
【0085】
具体的には、前記ホログラフィック光学素子1を結合して構成する複数の光学素子は、前記光学素子に記録された干渉パターンが、傾斜角が次第に増加するか、次第に減少するように結合されることにより、前記光学素子による最大回折効率を有する角度が異なるので、出射される光のうち最大回折効率を有する光が大部分使用者のアイボックス領域に出射されて輝度が向上する。
【0086】
これに対し、前記光学素子に記録された干渉パターンが、傾斜角が次第に増加するか、次第に減少する傾向性をもたないように結合された場合、出射される光のうち最大回折効率を有する光が使用者のアイボックス領域に出射できず輝度が低下する。
【0087】
一方、本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子1は、前述した本発明の実施例によるホログラフィック光学素子1の製造方法により製造されてもよいが、他の方法により製造されてもよい。
【0088】
以下、本発明のホログラフィック光学素子1およびその製造方法の作用および効果を具体的に説明する。
【0089】
まず、基板100に回折光学素子であるマスター200を積層し、マスター200に感光材料300を積層した後、感光材料300に入射ビームを照射して感光材料300に干渉パターン400を記録する。そして、干渉パターン400が記録された感光材料300をマスター200から分離して光学素子500を生成する。
【0090】
そして、マスター200に他の感光材料300を積層した後、マスター200を回転させて入射角を異ならせて入射ビームを照射し、干渉パターン400が記録された感光材料300をマスター200から分離して光学素子500を生成する過程を繰り返す。
【0091】
生成された複数の光学素子500は、記録された干渉パターン400が互いにピッチ(pitch)は同一であり、且つ傾斜角は異なる。このような複数の光学素子500を結合してホログラフィック光学素子1を生成する。
【0092】
この時、ホログラフィック光学素子1に記録された干渉パターン400の傾斜角が所定の方向に次第に増加するか、次第に減少するように複数の光学素子1を結合する。
【0093】
このように生成されたホログラフィック光学素子1を車両用HUD(Head Up Display)などに適用する場合、ホログラフィック光学素子1は、位置ごとに光の最大回折効率角度が異なるので、拡張イメージの各部分の情報を含んだ光を均一に最大回折効率で回折させて使用者のアイボックス領域に集中して出射する。
【0094】
このように、本発明によるホログラフィック光学素子は、干渉パターンのピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なる複数の光学素子が結合して形成されることにより、輝度の高い拡張イメージ光を使用者のアイボックス領域に集中して出射するので、使用者が輝度の高い拡張イメージを視認できる効果を提供する。
【0095】
また、拡張イメージの各部分の情報を含む光が高い輝度をもって均一に使用者のアイボックス領域に集中して出射されるようにするので、使用者が均一な輝度を有する拡張イメージを視認できる効果を提供する。
【0096】
さらに、本発明によるホログラフィック光学素子の製造方法は、結合に用いられる干渉パターンのピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なる複数の光学素子を、マスターを回転させて単純複製して生成するので、簡単且つ便利な工程でホログラフィック光学素子を製造できる効果を提供する。
【0097】
以下、本発明の一実施例によるホログラフィック光学素子の製造装置について説明する。
【0098】
本発明の一実施態様は、基板、干渉パターンが形成された回折光学素子であるマスター、および感光材料を所定の順に積層して積層体を形成する積層ユニットと、前記感光材料に前記マスターの干渉パターンが記録されるように、前記感光材料に所定の入射角で入射ビームを照射するビーム照射ユニットと、前記感光材料に入射する入射角が調節されるように、前記積層体または前記ビーム照射ユニットの少なくとも1つを回転させる回転制御ユニットと、前記干渉パターンが記録された前記感光材料を前記マスターから分離して光学素子を生成するマスター除去ユニットと、複数の前記光学素子を結合してホログラフィック光学素子を形成する結合ユニットと、を含む、ホログラフィック光学素子の製造装置を提供する。
【0099】
本発明の一実施態様に係るホログラフィック光学素子の製造装置は、結合に用いられる干渉パターンのピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なる複数の光学素子を、マスターを回転させて単純複製して生成するので、簡便且つ大量にホログラフィック光学素子を製造できる効果を提供する。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、基板、干渉パターンが形成された回折光学素子であるマスター、および感光材料を所定の順に積層して積層体を形成する積層ユニットを含む。具体的には、基板上に干渉パターンが形成された回折光学素子であるマスターを積層し、前記マスターの基板と接する一面の反対面上に前記感光材料を積層して積層体を形成することができる。より具体的には、前記基板、前記マスター、および前記感光材料の順に積層して積層体を形成することができる。前記積層体を回転させるだけ、前記基板が回転するので、後述のように入射ビームの入射角を調節するために前記積層体を回転させることができる。さらに、後述のように前記感光材料に入射角を照射することにより、前記感光材料に透過される光と前記マスターによって回折される光との間の干渉現象による干渉パターンが前記感光材料に記録される。上述のように、基板、干渉パターンが形成された回折光学素子であるマスター、および感光材料を所定の順に積層して積層体を形成する積層ユニットを含むことにより、容易に積層体を形成することができ、前記基板を回転させることにより、前記積層体全体を回転させて入射ビームの入射角を調節することができ、前記感光材料にマスターの干渉パターンを転写して記録することができる。
【0101】
本発明の一実施態様によれば、前記感光材料に前記マスターの干渉パターンが記録されるように、前記感光材料に所定の入射角で入射ビームを照射するビーム照射ユニットを含む。具体的には、前記ビーム照射ユニットは、入射ビームを出力する手段として入射ビームを前記感光材料に所定の入射角を形成するようにして、前記マスターによって回折される光と前記入射ビームに照射されて前記感光材料を透過する光との干渉現象によって発生する干渉パターンを記録することができる。前記ビーム照射ユニットは、ホログラフィック光学素子を製造する分野で用いられる光照射装置に相当する場合、制限なく使用可能である。上述のように、前記感光材料に前記マスターの干渉パターンが記録されるように、前記感光材料に所定の入射角で入射ビームを照射するビーム照射ユニットが含まれることにより、後述のように、回転制御ユニットと連動して入射ビームの入射角を容易に調節することができ、前記記録される干渉パターンの傾斜角を容易に調節することができる。
【0102】
本発明の一実施態様によれば、前記感光材料に入射する入射角が調節されるように、前記積層体または前記ビーム照射ユニットの少なくとも1つを回転させる回転制御ユニットを含む。具体的には、回転制御ユニットは、前記積層体を回転させるか、前記ビーム照射ユニットを回転させるか、前記積層体および前記ビーム照射ユニットをすべて回転させて前記感光材料に入射する入射ビームの入射角を調節し、前記入射角が調節されることにより、前記感光材料に透過される光の経路と前記マスターによって回折される光の経路とが変更されて、前記感光材料に記録される干渉パターンのピッチは変更されないものの前記干渉パターンの傾斜角を調節することができる。上述のように、前記感光材料に入射する入射角が調節されるように、前記積層体または前記ビーム照射ユニットの少なくとも1つを回転させる回転制御ユニットを含むことにより、前記感光材料に記録される干渉パターンのピッチは変更させることなく前記干渉パターンの傾斜角は変更可能である。
【0103】
本発明の一実施態様によれば、前記干渉パターンが記録された前記感光材料を前記マスターから分離して光学素子を生成するマスター除去ユニットを含む。具体的には、前記マスター除去ユニットは、前記感光材料に前記干渉パターンが記録され、以後、前記マスター、または前記マスターと前記基板とが結合された構造体を前記感光材料から分離して光学素子を生成することができる。上述のように、前記干渉パターンが記録された前記感光材料を前記マスターから分離して光学素子を生成するマスター除去ユニットを含むことにより、光学素子を製造することができ、再生過程で前記マスターによって光の経路が変更されるのを防止することができる。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、前記積層ユニットによって積層体を形成し、以後、記録しようとする干渉パターンの傾斜角に応じて回転制御ユニットで前記ビーム照射ユニットまたは前記積層体を回転させて前記入射ビームの入射角を調節して前記干渉パターンを記録した後、前記マスター除去ユニットで前記マスターを除去して光学素子を製造し、上述した過程を繰り返して前記干渉パターンのピッチは同一であるものの前記干渉パターンの傾斜角が異なる光学素子を複数製造する。上述のように、複数の光学素子を製造することにより、前記ホログラフィック光学素子の干渉パターンの傾斜角の変化傾向性を実現することができる。
【0105】
本発明の一実施態様によれば、複数の前記光学素子を結合してホログラフィック光学素子を形成する結合ユニットを含む。具体的には、前記結合ユニットは、上述のように、複数製造された前記光学素子を並べて結合させることができる。上述のように、複数の前記光学素子を結合してホログラフィック光学素子を形成する結合ユニットを含むことにより、前記ホログラフィック光学素子に記録された干渉パターンの傾斜角の傾向性を特定して実現することができる。
【0106】
本発明の一実施態様によれば、前記回転制御ユニットは、それぞれの前記光学素子に記録された前記干渉パターンが互いにピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なって記録するために、前記感光材料に入射角を異ならせて入射ビームが照射されるように、前記積層体または前記ビーム照射ユニットの少なくとも1つを回転させることができる。具体的には、回転制御ユニットは、前記積層体を回転させるか、前記ビーム照射ユニットを回転させるか、前記積層体および前記ビーム照射ユニットをすべて回転させて前記感光材料に入射する入射ビームの入射角を調節し、前記入射角が調節されることにより、前記感光材料に透過される光の経路と前記マスターによって回折される光の経路とが変更されて、前記感光材料に記録される干渉パターンのピッチは変更されることなく前記干渉パターンの傾斜角を調節することができる。上述のように、前記回転制御ユニットがそれぞれの前記光学素子に記録された前記干渉パターンが互いにピッチは同一であり、且つ傾斜角は異なって記録するために、前記感光材料に入射角を異ならせて入射ビームが照射されるように前記積層体または前記ビーム照射ユニットの少なくとも1つを回転させることにより、多様な干渉パターンの傾斜角を有する光学素子を製造することができる。
【0107】
本発明の一実施態様によれば、前記結合ユニットは、前記ホログラフィック光学素子に記録された前記干渉パターンの傾斜角が所定の方向に次第に増加するか、次第に減少するように複数の前記光学素子を結合することができる。上述のように、前記結合ユニットが前記ホログラフィック光学素子に記録された前記干渉パターンの傾斜角が所定の方向に次第に増加するか、次第に減少するように複数の前記光学素子を結合することにより、輝度の高い拡張イメージ光を使用者のアイボックス領域に集中して出射するので、使用者が輝度の高い拡張イメージを視認できる効果を提供する。
【0108】
以上、代表的な実施例を通じて本発明について詳細に説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、上述した実施例について本発明の範疇を逸脱しない限度内で多様な変形が可能であることを理解するであろう。そのため、本発明の権利範囲は説明された実施例に限って定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等概念から導出されるすべての変更または変形された形態によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0109】
1:ホログラフィック光学素子 10:第1入射ビーム
20:第2入射ビーム 30:第3入射ビーム
100:基板 200:マスター
210:マスターの干渉パターン 300:感光材料
400:干渉パターン 500:光学素子
【図 】