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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20210101AFI20240902BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20240902BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H01S5/022
G02B6/42
H01L23/02 F
H05K1/02 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020214716
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100630
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】長島 和哉
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-195963(JP,A)
【文献】特開2012-049297(JP,A)
【文献】特開2006-110557(JP,A)
【文献】特開2013-048031(JP,A)
【文献】特開2004-335548(JP,A)
【文献】特開2014-116286(JP,A)
【文献】特開2017-157498(JP,A)
【文献】特開2020-035774(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00704730(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00- 5/50
H01L 31/00-31/02
H01L 31/08-31/10
H01L 31/18
H10K 30/60-30/65
H10K 39/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に収容され、通電され、光の出力、受光、および光の特性変更のうち少なくとも一つを行う少なくとも一つの部品と、
前記筐体を貫通した複数の外部接続導体と、
前記筐体内に収容され、絶縁層と、それぞれ前記部品と前記外部接続導体との間の導通、前記複数の外部接続導体間の導通、および前記少なくとも一つの部品としての複数の部品間の導通のうちいずれか一つを行う複数の導体配線と、当該複数の導体配線が前記絶縁層で覆われたベース部と、当該ベース部から突出して延び前記導体配線を一つずつ含む複数のアーム部と、を有したフレキシブル基板と、
を備え
前記複数のアーム部は、前記導体配線が前記絶縁層で覆われた被覆区間と前記導体配線が露出した露出区間とを有した第一アーム部を含む、光学装置。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体内に収容され、通電され、光の出力、受光、および光の特性変更のうち少なくとも一つを行う少なくとも一つの部品と、
前記筐体を貫通した複数の外部接続導体と、
前記筐体内に収容され、絶縁層と、それぞれ前記部品と前記外部接続導体との間の導通、前記複数の外部接続導体間の導通、および前記少なくとも一つの部品としての複数の部品間の導通のうちいずれか一つを行う複数の導体配線と、当該複数の導体配線が前記絶縁層で覆われたベース部と、当該ベース部から突出して延び前記導体配線を一つずつ含む複数のアーム部と、を有したフレキシブル基板と、
を備え
前記複数のアーム部は、互いに長さが異なるアーム部を含む、光学装置。
【請求項3】
筐体と、
前記筐体内に収容され、通電され、光の出力、受光、および光の特性変更のうち少なくとも一つを行う少なくとも一つの部品と、
前記筐体を貫通した複数の外部接続導体と、
前記筐体内に収容され、絶縁層と、それぞれ前記部品と前記外部接続導体との間の導通、前記複数の外部接続導体間の導通、および前記少なくとも一つの部品としての複数の部品間の導通のうちいずれか一つを行う複数の導体配線と、当該複数の導体配線が前記絶縁層で覆われたベース部と、当該ベース部から突出して延び前記導体配線を一つずつ含む複数のアーム部と、を有したフレキシブル基板と、
を備え
前記複数のアーム部は、前記導体配線が前記外部接続導体または前記部品の同一の端子と電気的に接続された複数のアーム部を含む、光学装置。
【請求項4】
前記複数のアーム部は、前記フレキシブル基板の厚さ方向に見た場合に、前記ベース部から第一方向に延びるとともに前記第一方向と交差した第二方向に隙間をあけて並んだ複数のアーム部を含む、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項5】
前記複数のアーム部は、前記ベース部から前記絶縁層で覆われること無く前記導体配線が突出した第二アーム部を含む、請求項1~4のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項6】
前記複数のアーム部は、前記導体配線と前記外部接続導体または前記部品の端子とが導電性接合材を介して電気的に接続されたアーム部を含む、請求項1~5のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項7】
前記複数のアーム部は、前記導体配線と前記外部接続導体または前記部品の端子とが直接的に接続されたアーム部を含む、請求項1~6のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項8】
前記複数のアーム部は、前記導体配線と前記外部接続導体または前記部品の端子との電気的な接続状態を維持するための補助部材が設けられたアーム部を含む、請求項1~7のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学装置として、筐体内にフレキシブル基板が収容された光学装置が知られている(例えば、特許文献1)。フレキシブル基板は、絶縁層と、複数の導体配線と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-221482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、フレキシブル基板の互いに隣接する二つの導体配線の間には、当該導体配線の長手方向の略全区間に亘って、絶縁層が介在している。このため、例えば、フレキシブル基板が曲がり難くなったり、部品の各端子の位置がフレキシブル基板の厚さ方向にずれているような場合に当該各端子とフレキシブル基板の導体配線とを接続し難くなったり、といった不都合が生じる虞があった。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、筐体内にフレキシブル基板を収容した光学装置であって、より改善された新規な構成を備えた光学装置を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学装置は、例えば、筐体と、前記筐体内に収容され、通電され、光の出力、受光、および光の特性変更のうち少なくとも一つを行う少なくとも一つの部品と、前記筐体を貫通した複数の外部接続導体と、前記筐体内に収容され、絶縁層と、それぞれ前記部品と前記外部接続導体との間の導通、前記複数の外部接続導体間の導通、および前記少なくとも一つの部品としての複数の部品間の導通のうちいずれか一つを行う複数の導体配線と、当該複数の導体配線が前記絶縁層で覆われたベース部と、当該ベース部から突出して延び前記導体配線を一つずつ含む複数のアーム部と、を有したフレキシブル基板と、を備える。
【0007】
前記光学装置にあっては、前記複数のアーム部は、前記フレキシブル基板の厚さ方向に見た場合に、前記ベース部から第一方向に延びるとともに前記第一方向と交差した第二方向に隙間をあけて並んだ複数のアーム部を含んでもよい。
【0008】
前記光学装置にあっては、前記複数のアーム部は、前記導体配線が前記絶縁層で覆われた被覆区間と前記導体配線が露出した露出区間とを有した第一アーム部を含んでもよい。
【0009】
前記光学装置にあっては、前記複数のアーム部は、前記ベース部から前記絶縁層で覆われること無く前記導体配線が突出した第二アーム部を含んでもよい。
【0010】
前記光学装置にあっては、前記複数のアーム部は、互いに長さが異なるアーム部を含んでもよい。
【0011】
前記光学装置にあっては、前記複数のアーム部は、前記導体配線と前記外部接続導体または前記部品の端子とが導電性接合材を介して電気的に接続されたアーム部を含んでもよい。
【0012】
前記光学装置にあっては、前記複数のアーム部は、前記導体配線と前記外部接続導体または前記部品の端子とが直接的に接続されたアーム部を含んでもよい。
【0013】
前記光学装置にあっては、前記複数のアーム部は、前記導体配線と前記外部接続導体または前記部品の端子との電気的な接続状態を維持するための補助部材が設けられたアーム部を含んでもよい。
【0014】
前記光学装置にあっては、前記複数のアーム部は、前記導体配線が前記外部接続導体または前記部品の同一の端子と電気的に接続された複数のアーム部を含んでもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、筐体内にフレキシブル基板を収容した光学装置であって、より改善された新規な構成を備えた光学装置を、得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1実施形態の光学装置の内部構成を示す例示的かつ模式的な平面図である。
図2図2は、第1実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
図3図3は、第1実施形態のフレキシブル基板の一部の例示的かつ模式的な平面図である。
図4図4は、第2実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
図5図5は、第2実施形態のフレキシブル基板の一部の例示的かつ模式的な平面図である。
図6図6は、第3実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
図7図7は、第4実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
図8図8は、第5実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
図9図9は、第6実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
図10図10は、第7実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図(一部側面図)である。
図11図11は、第7実施形態の光学装置の別の一部の例示的かつ模式的な断面図(一部側面図)である。
図12図12は、第7実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
図13図13は、第8実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
図14図14は、第9実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
図15図15は、第10実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0018】
以下に示される複数の実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0019】
本明細書において、序数は、部材や、部位、方向等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0020】
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、光学装置10の内部構成を示す平面図である。図1は、光学装置10の筐体11のZ方向の端部に位置する平板状の蓋(不図示)を取り外した状態で、当該光学装置10をZ方向の反対方向に見た図である。
【0022】
図1に示されるように、光学装置10は、筐体11と、複数の部品12と、複数の外部接続ピン13と、フィードスルー14と、フレキシブル基板15と、接続基板16と、を備えている。
【0023】
筐体11は、底壁11aと、周壁11bと、ポート11c,11dと、蓋(不図示)と、を有している。底壁11aは、略四角形状かつ板状の形状を有している。底壁11aは、Z方向と交差するとともに、X方向およびY方向に延びている。周壁11bは、底壁11aの縁から、略一定の厚さで、Z方向に延びている。周壁11bは、側壁とも称されうる。
【0024】
筐体11の蓋は、底壁11aと同様、略四角形状かつ板状の形状を有している。蓋の周縁は、周壁11bのZ方向の端縁とZ方向に重なっている。蓋の周縁と周壁11bのZ方向の端縁とが接合されることにより、筐体11内に、部品12やフレキシブル基板15等を収容する収容室Sが形成されている。収容室Sは、気密封止されている。なお、収容室S内には、不活性ガスが充填されてもよい。
【0025】
底壁11aは、例えば、銅タングステン(CuW)、銅モリブデン(CuMo)、酸化アルミニウム(Al)等の、熱伝導率が高い材料で作られうる。また、周壁11bや蓋は、例えば、Fe-Ni-Co合金、酸化アルミニウム(Al)などの熱膨張係数が低い材料で作られうる。
【0026】
ポート11c,11dは、筒状の形状を有し、周壁11bの一部から側方、図1の例ではY方向に、突出している。ポート11c,11dのうち一方は、入力ポートであり、他方は出力ポートである。入力光ファイバは、入力ポートを貫通し、出力光ファイバは、出力ポートを貫通している。ポート11c,11dと周壁11bとの間、およびポート11c,11dと光ファイバとの間は、それぞれ気密封止されている。
【0027】
部品12は、収容室S内、すなわち筐体11内に、収容されている。部品12は、底壁11a上、あるいは底壁11a上に設けられた冷却機構(不図示)上に、実装されている。部品12は、筐体11外から通電され、すなわち筐体11外からの電力の供給を受け、光の出力、受光(検出)、並びに光の強度や、波長、変調周波数、偏波状態、干渉状態のような特性の変更、のうち、少なくとも一つを行う。部品12は、電気的に作動する光学部品や、電気部品である。このような部品12としては、例えば、チップオンサブマウント(発光ユニット)、波長検出器である波長ロッカ、受光器であるフォトダイオード、フォトダイオードアレイ、変調器、変調器ドライバ、コヒーレントミキサ、トランスインピーダンスアンプ、ヒータ(加熱機構)、TEC(thermoelectric cooler、冷却機構)等がある。なお、収容室S内には、例えば、レンズや、ミラー、ビームコンバイナ、ビームスプリッタ、光アイソレータのような、電気的に作動しない光学部品(不図示)も収容されている。
【0028】
外部接続ピン13は、筐体11またはフィードスルー14に取り付けられている。複数の外部接続ピン13は、いずれもX方向に延びるとともに、Y方向に隙間を空けて並んでいる。また、本実施形態では、複数の外部接続ピン13がY方向に並ぶ一つのアレイが、周壁11bのうちX方向の端部に位置しY方向に延びる部位(側壁)に沿って設けられるとともに、複数の外部接続ピン13がY方向に並ぶもう一つのアレイが、周壁11bのうちX方向の反対方向の端部に位置しY方向に延びる部位(側壁)に沿って設けられている。外部接続ピン13は、例えば、銅系金属やアルミニウム系金属のような導電性の高い金属材料で、作られうる。銅系金属は、銅や銅合金であり、アルミニウム系金属は、アルミニウムやアルミニウム合金である。外部接続ピン13には、それぞれ、外部配線(不図示)の導体が機械的かつ電気的に接続される。また、外部接続ピン13は、それぞれ、フィードスルー14内に設けられた導体(不図示)を介して、筐体11内のフレキシブル基板15の導体配線(不図示)と電気的に接続されている。
【0029】
フィードスルー14は、導体と絶縁部とを有し、筐体11の周壁11bを貫通している。フィードスルー14の導体は、例えば、銅系金属のような導電性の高い金属材料で、作られうる。フィードスルー14の導体は、それぞれ、電気的に接続される外部接続ピン13とともに、外部接続導体を構成している。また、フィードスルー14の絶縁部は、例えば、セラミックのような絶縁体で、作られうる。フィードスルー14と筐体11との間の境界は、気密封止されている。
【0030】
フレキシブル基板15は、収容室S内に収容されている。フレキシブル基板15は、Z方向と交差して広がり、X方向およびY方向に延びている。フレキシブル基板15の厚さ方向は、略Z方向である。収容室S内において、フレキシブル基板15は、複数の部品12およびフィードスルー14のうち収容室S内の部位に対して、底壁11aとは反対側に位置されている。言い換えると、フレキシブル基板15は、複数の部品12およびフィードスルー14の一部を、Z方向に覆っている。
【0031】
フレキシブル基板15は、例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC)であって、片面FPCである。フレキシブル基板15は、絶縁層(不図示)と複数の導体配線(不図示)とを有している。絶縁層は、例えば、ポリイミドのような、絶縁性の合成樹脂材料で作られている。また、絶縁層は、複数の導体配線の間に介在する部位と、導体配線を覆う部位と、を有している。導体配線は、比較的薄い帯状の形状を有している。導体配線は、例えば、銅系金属のような、導電性の高い金属材料で作られている。また、導体配線は、それぞれ、外部接続ピン13およびフィードスルー14の導体と、部品12の端子や電極(不図示)とを電気的に接続している。
【0032】
フレキシブル基板15は、ベース部15aと、複数のアーム部15bと、を有している。図1に示されるように、アーム部15bは、それぞれ、Z方向の反対方向に見た平面視において、ベース部15aの外周の縁(外縁)、またはベース部15aに設けられた開口15cの縁(内縁)から突出しており、帯状かつ短冊状の形状を有している。なお、図1の例では、開口15cは、フレキシブル基板15をZ方向に貫通する貫通孔であるが、これには限定されず、例えば、フレキシブル基板15のベース部15aの外周の縁が切り欠かれた切欠であってもよい。
【0033】
また、図1の例では、複数のアーム部15bは、Z方向の反対方向に見た場合に、それぞれX方向に延び、Y方向に隙間を空けて並んでいる。X方向は、アーム部15bの延び方向とも称され、Y方向は、アーム部15bの並び方向とも称されうる。Z方向およびZ方向の反対方向は、フレキシブル基板15の厚さ方向の一例であり、X方向は、第一方向の一例であり、Y方向は第二方向の一例である。なお、アーム部15bの延び方向は、フレキシブル基板15の厚さ方向と交差する方向であればよく、X方向には限定されない。また、アーム部15bの並び方向は、アーム部15bの延び方向と交差する方向であればよく、Y方向には限定されない。
【0034】
接続基板16は、例えば、フレキシブル基板や、リジッド基板等である。接続基板16は、絶縁部(不図示)と複数の導体配線(不図示)と、を有している。接続基板16の導体配線は、それぞれ、フィードスルー14の導体と電気的に接続されている。
【0035】
上述した構成では、例えば、外部接続ピン13と部品12との間では、フィードスルー14の導体およびフレキシブル基板15の導体配線を介して、直流の電力あるいは比較的低周波の電気信号が伝送される。他方、接続基板16の導体配線と部品12との間では、フィードスルー14の導体およびフレキシブル基板15の導体配線を介して、比較的高周波の電気信号(RF信号)が伝送される。
【0036】
図2は、光学装置10の一部の断面図であって、接続構造100Aの、断面図である。接続構造100Aでは、フレキシブル基板15の導体配線151と、部品12またはフィードスルー14の導体部20とが、導電性を有した接合材31(30)を介して、機械的かつ電気的に接続されている。導体部20は、部品12の端子12a(電極)か、あるいはフィードスルー14の導体14aである。端子12aは、例えば、銅系金属のような導電性の高い金属材料で作られうる。導体14aは、外部接続導体の一例である。
【0037】
図2は、フレキシブル基板15の導体配線151の長手方向の一端および他端のそれぞれにおける接続構造100Aを示している。すなわち、導体配線151の長手方向の一端は、接続構造100Aによって、部品12の端子12aおよびフィードスルー14の導体14aのうちのいずれか一方と接続されている。また、導体配線151の長手方向の他端は、接続構造100Aによって、端子12aおよび導体14aのうちのいずれか一方と接続されている。したがって、導体配線151は、それぞれ、(1)端子12aと導体14aとの間の導通、(2)複数の導体14a間の導通、および(3)複数の端子12a間の導通のうち、いずれか一つを実現している。
【0038】
図2に示されるように、フレキシブル基板15は、導体配線151と、絶縁層152と、を有している。絶縁層152は、導体配線151のZ方向の両側を覆っている。
【0039】
図3は、フレキシブル基板15の光学装置10に組み込まれる前の状態での平面図である。図3に示されるように、本実施形態では、アーム部15bは、導体配線151を一つずつ(一つのみ)有している。互いに隣り合うアーム部15b間には、隙間gが設けられている。隙間gは、スリットとも称されうる。
【0040】
図2,3に示されるように、アーム部15b1(15b)は、導体配線151が絶縁層152で覆われた被覆区間15baと、導体配線151が絶縁層152で覆われずに露出した露出区間15bbと、を有している。被覆区間15baにおいて、絶縁層152は、導体配線151を取り囲んでいる。アーム部15b1は、第一アーム部の一例である。
【0041】
また、図2に示されるように、本実施形態の接続構造100Aでは、露出区間15bbの先端部分が導体部20上に略接触した状態に載置され、当該先端部分と導体部20とが、接合材31(30)によって機械的に接合されるとともに、電気的に接続されている。接合材31は、露出区間15bbの先端部分を覆うとともに導体部20上に載置されている。接合材31は、例えば、金や、銅、銀、はんだ、金属ろうのような導電性の金属材料のバンプまたはボールであって、導電性接合材の一例である。このような接合材31による接続構造100Aは、ワイヤボンダを用いた超音波接合や、加熱工具を用いたはんだ付けまたはろう付け等によって、作られうる。
【0042】
以上、説明したように、本実施形態では、フレキシブル基板15は、ベース部15aと、ベース部15aから突出して延び導体配線151を一つずつ含む複数のアーム部15bと、を有している。
【0043】
このような構成によれば、例えば、アーム部15bが複数の導体配線151を含む構成、言い換えると隣接する二つの導体配線151間に絶縁層152が介在している構成に比べて、アーム部15bが曲がりやすくなるため、作業者あるいはロボットが、導体配線151と導体部20との接合作業を、より容易に、より迅速に、あるいはより確実に実行しやすくなるという利点が得られる。
【0044】
また、導体配線151の幅や、厚さ、長さ、形状等のスペックによって、インピーダンスを整合しやすくなり、ひいては、高周波信号の反射損失を抑制できるという利点も得られる。
【0045】
また、本実施形態のように、フレキシブル基板15は、Z方向の反対方向(フレキシブル基板15の厚さ方向)に見た場合に、X方向に延びてY方向に隙間gをあけて並んだ複数のアーム部15bを含んでもよい。
【0046】
このような構成によれば、例えば、作業者あるいはロボットは、Y方向に隙間をあけて並ぶ複数の導体14a(外部接続導体、導体部20)のそれぞれに導体配線151を機械的かつ電気的に接続する作業を、より容易にあるいはより迅速に実行することができる。
【0047】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の接続構造100Bの断面図である。また、図5は、本実施形態のフレキシブル基板15の光学装置10に組み込まれる前の状態での平面図である。図4の接続構造100Bおよび図5のフレキシブル基板15は、第1実施形態の接続構造100Aおよびフレキシブル基板15に替えて、光学装置10に組み込むことができる。
【0048】
図4,5から明らかとなるように、本実施形態では、アーム部15b2(15b)の全区間において、導体配線151が絶縁層152で覆われることなく露出している。すなわち、アーム部15b2は、ベース部15aから、絶縁層152で覆われることなくZ方向と交差する方向に突出している。この点を除き、接続構造100Bは、接続構造100Aと同様の構成を有している。アーム部15b2は、第二アーム部の一例である。
【0049】
このような構成によれば、例えば、アーム部15b2がより曲がりやすくなり、作業者あるいはロボットが導体配線151と導体部20との接合作業をより容易にあるいはより迅速に実行しやすくなるという利点が得られる。
【0050】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態の接続構造100Cの断面図である。図6の接続構造100Cは、第1実施形態の接続構造100Aに替えて、光学装置10に組み込むことができる。
【0051】
本実施形態では、フレキシブル基板15の構成が上記実施形態と相違している。フレキシブル基板15は、複数の多層化された導体配線151を有している。フレキシブル基板15は、例えば、両面FPCである。図6のフレキシブル基板15は、厚さ方向に離間した二つの導体配線151と、二つの導体配線151の間に介在する絶縁層152aと、導体配線151を厚さ方向における外側で覆う絶縁層152bと、を有している。なお、暑さ方向に離間した二つの導体配線151は、不図示のスルーホールを介して電気的に接続されてもよい。
【0052】
本実施形態では、二つの導体配線151のうち、Z方向において導体部20に近い側の導体配線151と、導体部20とが、接合材31を介して機械的かつ電気的に接続されている。このような構成においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
[第4実施形態]
図7は、第4実施形態の接続構造100Dの断面図である。図7の接続構造100Dは、第1実施形態の接続構造100Aに替えて、光学装置10に組み込むことができる。
【0054】
本実施形態では、フレキシブル基板15の構成は、第3実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、二つの導体配線151のうち、Z方向において導体部20から遠い側の導体配線151と、導体部20とが、接合材31を介して機械的かつ電気的に接続されている。このような構成においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
また、第3実施形態の図6および本実施形態の図7から明らかとなるように、光学装置10に、多層化された導体配線151を有したフレキシブル基板15が組み込まれた場合にあっても、アーム部15bが導体配線151毎に独立して曲がりやすいことにより、導体配線151のZ方向の位置によらず、導体配線151と導体部20との接続状態が容易に確立されやすく、作業者あるいはロボットが導体配線151と導体部20との接合作業をより容易にあるいはより迅速に実行しやすくなるという利点が得られる。なお、光学装置10は、図6,7の接続構造100C,100Dの双方を備えてもよい。また、アーム部15bは、第1実施形態と同様のアーム部15b1であってもよいし、フレキシブル基板15が、第1実施形態と同様のアーム部15b1と、第2実施形態と同様のアーム部15b2との双方を有してもよい。
【0056】
[第5実施形態]
図8は、第5実施形態の接続構造100Eの断面図である。図8の接続構造100Eは、第1実施形態の接続構造100Aに替えて、光学装置10に組み込むことができる。
【0057】
本実施形態では、アーム部15bの導体配線151と導体部20とが、二つの接合材31,32(30)を介して、機械的かつ電気的に接続されている。
【0058】
接合材32は、例えば、金や、銅、銀、はんだ、金属ろうのような導電性の金属材料のバンプまたはボールであって、導電性接合材の一例である。
【0059】
接合材31は、導体配線151と導体部20との間に介在している。また、接合材32は、接合材31と部分的に機械的かつ電気的に接続されるとともに、導体配線151に対して接合材31とは反対側で、導体配線151を覆っている。すなわち、本実施形態では、二つの接合材31,32によって、導体配線151がZ方向に挟まれるとともに、二つの接合材31,32によって、導体配線151の先端部分の周囲が覆われている。このような構成によれば、例えば、導体配線151と導体部20とがより強固に接続されるという利点が得られる。また、例えば、接合材31により導体配線151の曲げ量を小さくし、導体配線151の応力増大を抑制し、ひいては接続構造100Eの信頼性をより向上することができるという利点も得られる。
【0060】
[第6実施形態]
図9は、第6実施形態の接続構造100Fの断面図である。図9の接続構造100Fは、第1実施形態の接続構造100Aに替えて、光学装置10に組み込むことができる。
【0061】
本実施形態では、フレキシブル基板15の構成は、第3実施形態および第4実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、アーム部15bの導体配線151aと、別のアーム部15bの導体配線151bとが、一つの導体部20と機械的かつ電気的に接続されている。さらに、本実施形態では、フレキシブル基板15の二つの導体配線151a,151bが、一つの導体部20と機械的かつ電気的に接続されている。
【0062】
導体配線151a,151bは、二つの接合材31,32を介して導体部20と機械的かつ電気的に接続されている。具体的に、導体配線151bは、第1実施形態(図2参照)と同様に、導体部20と接合材31との間に挟まれた状態で、導体部20と機械的かつ電気的に接続されている。また、導体配線151aは、第5実施形態(図8参照)と同様に、二つの接合材31,32に挟まれた状態で、導体部20と機械的かつ電気的に接続されている。また、二つの導体配線151a,151bのうちZ方向において導体部20に近い導体配線151bが導体部20と接し、Z方向において導体部20から遠い導体配線151aと導体部20との間に接合材31が介在する配置により、アーム部15bにおける曲げ量がより小さくなっている。これにより、例えば、導体配線151a,151bの応力増大を抑制し、ひいては接続構造100Fの信頼性をより向上することができるという利点が得られる。
【0063】
このような構成によれば、例えば、導体配線151a,151b間を電気的に接続するスルーホールが不要となり、フレキシブル基板15の構成がより簡素化され、製造の手間やコストを低減できるという利点が得られる。
【0064】
[第7実施形態]
図10,11は、第7実施形態の光学装置10Gの断面図(一部側面図)である。図10,11に示されるように、光学装置10Gは、冷却機構40上に実装されたZ方向の長さ(高さ)が異なる部品12A,12B(12)を有している。冷却機構40は、TECであり、底壁11a上に実装されている。
【0065】
図10,11から明らかとなるように、本実施形態では、相対的にZ方向の長さが長い、すなわち相対的に背の高い部品12Aに対応するフレキシブル基板15のアーム部15bの長さは、相対的に短く、かつ、相対的にZ方向の長さが短い、すなわち相対的に背の低い部品12Bに対応するアーム部15bの長さは、相対的に長くなっている。
【0066】
仮に、背の高さが異なる複数の部品12に対して、アーム部15bの長さが同じであり、かつベース部15aのZ方向の位置が同じである場合、相対的に背の低い部品12Bに対応するアーム部15bに含まれる導体配線151の曲げ量は、相対的に背の高い部品12Aに対応するアーム部15bに含まれる導体配線151の曲げ量よりも大きくなり、応力がより大きくなる虞がある。また、これを防止するため、部品12とベース部15aとのZ方向の距離を同じにしようとすると、ベース部15aのZ方向の位置を局所的に変える必要が生じ、フレキシブル基板15を支持する支持構造が複雑化してしまう。
【0067】
この点、本実施形態によれば、上述したように、Z方向の高さの異なる複数の部品12A,12Bに対応して、アーム部15bの長さが異なることにより、上述したような導体配線151の応力の増大を抑制しながら、ベース部15aのZ方向の位置を大きくあるいは殆ど変化させることなく、収容室S内、すなわち筐体11内に、フレキシブル基板15を設置することができる。これにより、例えば、導体配線151の応力増大を抑制することができるとともに、部品12の高さに応じてベース部15aのZ方向の位置を変える構成に比べて、光学装置10におけるフレキシブル基板15の支持構造をより簡素化できる、という利点が得られる。
【0068】
また、図12は、本実施形態の接続構造100Gの断面図である。図12に示されるように、本実施形態では、導体配線151と導体部20との間に、接合材33(30)が介在している。接合材33は、例えば、はんだであり、加熱工具により加熱溶融した後、自然冷却されることにより固化し、導体配線151と導体部20とを機械的かつ電気的に接続する。接合材33は、例えば、金や、銅、銀、はんだ、金属ろうのような導電性の金属材料のバンプまたはボールであって、導電性接合材の一例である。このような構成においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。なお、本実施形態の光学装置10Gにおいて、接続構造100Gに替えて、上記実施形態の接続構造100A~100Fを組み込んでもよい。
【0069】
図8実施形態]
図13は、第8実施形態の接続構造100Hの断面図である。図13の接続構造100Hは、第1実施形態の接続構造100Aに替えて、光学装置10に組み込むことができる。
【0070】
本実施形態では、導体部20上に、導電性の介在物34が介在している。介在物34は、導電性介在物とも称されうる。介在物34は、例えば、銅系金属のような導電性の高い金属材料で作られた剛体である。介在物34は、ポストとも称されうる。介在物34は、導体部20と、はんだ付けや、ろう付け、溶接等により、機械的かつ電気的に接続されている。アーム部15bの導体配線151は、接合材33を介して、介在物34と、機械的かつ電気的に接続されている。導体配線151と導体部20とは、接合材33および介在物34を介して、機械的かつ電気的に接続されている。このような構成においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0071】
[第9実施形態]
図14は、第8実施形態の接続構造100Iの断面図である。図14の接続構造100Iは、第1実施形態の接続構造100Aに替えて、光学装置10に組み込むことができる。
【0072】
本実施形態では、導体配線151と導体部20との間において、接合材33の周囲が、補助部材50で覆われている。補助部材50は、例えば、絶縁性を有した熱硬化性の合成樹脂材料で構成されている。補助部材50は、接合材33の配置後に、流動状態で塗布される。その後、ツールTを介して、加熱されながら矢印D1方向に導体配線151と導体部20とが互いにZ方向に近づくように加圧されることにより、接合材33が導体配線151と導体部20との間に密着状態で介在し、かつ補助部材50が接合材33の周囲を覆う状態で導体配線151と導体部20との間に密着状態で介在する(加熱圧縮工程)。この加熱圧縮行程において、補助部材50は固化する。その後、冷却されることにより、接合材33が固化し、これにより、接合材33によって導体配線151と導体部20とが機械的かつ電気的に接続された状態が得られる(冷却工程)。
【0073】
このような構成によれば、例えば、補助部材50により、接合材33を介した導体配線151と導体部20との機械的かつ電気的な接続状態をより強固に維持することができるとともに、接合材33の保護性を高めることができるという利点が得られる。
【0074】
[第10実施形態]
図15は、第9実施形態の接続構造100Jの断面図である。図15の接続構造100Jは、第1実施形態の接続構造100Aに替えて、光学装置10に組み込むことができる。
【0075】
本実施形態では、接合材30が介在することなく、導体配線151と導体部20とが直接的に、機械的かつ電気的に接続されている。このような接続構造100Jは、例えば、超音波ツールのようなツールTを、導体配線151の先端部分151cに作用させ、加熱かつ加圧することにより、得られる。先端部分151cの厚さは、先端部分151cを除く一般部分の厚さよりも薄くなっている。このような構成によれば、例えば、接合材30を省略できる分、製造の手間やコストを低減することができるという利点が得られる。
【0076】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0077】
例えば、上述した各実施形態およびその他の形態において、アーム部は、被覆区間と露出区間とを有した第一アーム部であってもよいし、露出区間のみの第二アーム部であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
10,10G…光学装置
11…筐体
11a…底壁
11b…周壁
11c…ポート
11d…ポート
12,12A,12B…部品
12a…端子
13…外部接続ピン(外部接続導体)
14…フィードスルー
14a…導体(外部接続導体)
15…フレキシブル基板
15a…ベース部
15b…アーム部
15b1…アーム部(第一アーム部)
15b2…アーム部(第二アーム部)
15ba…被覆区間
15bb…露出区間
15c…開口
16…接続基板
20…導体部
30,31,32,33…接合材(導電性接合材)
34…介在物
40…冷却機構
50…補助部材
100A~100J…接続構造
151,151a,151b…導体配線
151c…先端部分
152,152a,152b…絶縁層
D1…方向
g…隙間
S…収容室
T…ツール
X…方向
Y…方向
Z…方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15