(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】医療情報管理システム、医療情報管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20240902BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240902BHJP
G06F 3/04847 20220101ALI20240902BHJP
G06F 3/0482 20130101ALI20240902BHJP
【FI】
G16H10/60
A61B5/00 D
G06F3/04847
G06F3/0482
(21)【出願番号】P 2021077521
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直之
(72)【発明者】
【氏名】北川 雅巳
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194977(JP,A)
【文献】特開2015-018415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 -80/00
G06F 3/048- 3/04895
A61B 5/00 - 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、前記プロセッサによって実行されるプログラムが記憶される記憶装置と、を備える医療情報管理システムであって、
前記プロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
対象患者の生体情報を時間軸に沿って表示する生体情報表示欄と、前記生体情報表示欄の前記時間軸の表示範囲に対応する期間における前記対象患者への投与薬剤、投与量および投与タイミングの情報を含む投与情報を表示する投与情報表示欄と、を有する表示欄と、
複数の薬剤および投与量の組み合わせ情報がそれぞれ対応付けられた複数の薬剤領域が配列される入力リストと、
を表示させ、
前記入力リストの前記複数の薬剤領域の中から第1領域をドラッグして前記表示欄の第2領域にドロップする入力を受け付け、
前記第1領域をドラッグして前記第2領域にドロップする入力を受け付けた場合に、前記表示欄の前記第2領域の位置に対応する前記期間中の時間において前記第1領域に対応付けられた薬剤および投与量が前記対象患者に投与されたことを示す情報を加えて前記投与情報を更新し、
前記更新された前記投与情報に基づいて、前記投与情報表示欄の表示を更新する、
医療情報管理シスステム。
【請求項2】
前記第2領域は、前記生体情報表示欄の中の領域である、
請求項1に記載の医療情報管理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記生体情報表示欄内に前記第1領域がドラッグされると、前記第1領域のドラッグ位置に対応する前記期間中の時刻を示す情報と、前記第1領域に対応付けられた薬剤および投与量を示す情報とを前記生体情報表示欄に表示させる、
請求項2に記載の医療情報管理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記表示欄内に前記第1領域がドラッグされると、前記第1領域のドラッグ位置に応じて前記時間軸に垂直な線分を表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項5】
前記入力リスト上の前記第1領域は、前記投与量を第1単位の数値で示す第1投与量として表示され、
前記プロセッサは、
前記入力リスト上において前記第1領域が指定された場合、前記第1単位とは異なる第2単位の数値で示す第2投与量を表示させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
薬剤の種類または投与方法に応じて前記入力リストにおける薬剤および投与量を示す文字の表示形式を変更する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記入力リストに表示する複数の薬剤および薬剤ごとの投与量のうちの一部を、異なる表示形式で表示させる指示を含む表示設定の入力を受け付け、
前記表示設定に基づき、前記入力リストの一部を異なる表示形式で表示させる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記入力リストに表示する薬剤および薬剤ごとの投与量のうち少なくとも1つの項目についての変更、追加および削除のうち少なくとも1つの指示を含む設定の入力を受け付け、
前記設定に従い、前記入力リストに前記複数の薬剤領域を表示させる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記入力リストに表示する薬剤および投与量のうち少なくとも一方が異なる複数のリストパターンを有し、
前記複数のリストパターンの中から使用するリストパターンを指定する入力を受け付け、
前記指定されたリストパターンに対応する薬剤および投与量の入力候補を示す前記複数の薬剤領域を前記入力リストに表示させる、
請求項1から8のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項10】
前記複数のリストパターンのうち少なくとも1つは、手術の種類または利用者と対応付けられており、
前記手術の種類または前記利用者を指定する入力が行われることにより、前記使用するリストパターンが指定される、
請求項9に記載の医療情報管理システム。
【請求項11】
前記入力リストにおける前記複数の薬剤領域のうち少なくとも1つの薬剤領域は、複数の薬剤と薬剤ごとの投与量とを含む情報のセットが対応付けられている、
請求項1から10のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項12】
前記表示欄は、前記表示範囲の前記期間内における事柄に関する付記情報を表示する付記情報表示欄をさらに有し、
前記入力リストは、入力候補となる複数の付記項目が対応付けられた複数の付記領域を含み、
前記プロセッサは、
前記入力リストの前記複数の付記領域の中から第3領域をドラッグして前記表示欄の第4領域にドロップする入力を受け付け、
前記第3領域をドラッグして前記第4領域にドロップする入力を
受け付けた場合に、前記表示欄の前記第4領域の位置に対応する前記期間中の時間において前記第3領域に対応付けられた付記項目の事柄が実施されたことを示す情報を加えて前記付記情報を更新し、
前記更新された前記付記情報に基づいて、前記付記情報表示欄の表示を更新する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項13】
前記付記情報は、イベント情報とリマークス情報との少なくとも一方を含み、
前記複数の付記項目は、イベント項目とリマークス項目との少なくとも一方を含み、
前記複数の付記領域は、前記イベント項目が対応付けられたイベント領域と、前記リマークス項目が対応付けられたリマークス領域との少なくとも一方を含む、
請求項12に記載の医療情報管理システム。
【請求項14】
前記入力リストに表示する薬剤、薬剤ごとの投与量および付記項目のうち少なくとも1つの項目についての変更、追加および削除のうち少なくとも1つの指示を含む設定の入力を受け付け、
前記設定に従い、前記入力リストに前記複数の薬剤領域および前記複数の付記領域を表示させる、
請求項12または13に記載の医療情報管理システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記入力リストに表示する薬剤、薬剤ごとの投与量および付記項目のうち少なくとも1つが異なる複数のリストパターンを有し、
前記複数のリストパターンの中から使用するリストパターンを指定する入力を受け付け、
前記指定されたリストパターンに対応する薬剤、薬剤ごとの投与量および付記項目の入力候補を示す前記複数の薬剤領域および前記複数の付記領域を前記入力リストに表示させる、
請求項12から14のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項16】
前記入力リストは、付記項目と薬剤と投与量との情報のセットが対応づけられたセット領域を含み、
前記プロセッサは、
前記入力リストの前記セット領域をドラッグして前記表示欄の第5領域にドロップする入力を受け付け、
前記セット領域をドラッグして前記表示欄の第5領域にドロップする入力を受け付けた場合に、前記表示欄の前記第5領域の位置に対応する前記期間中の時間において、前記セット領域に対応付けられた付記項目の事柄が実施されたことを示す記録を加えて前記付記情報を更新し、かつ前記セット領域に対応付けられた薬剤および投与量が前記対象患者に投与されたことを示す情報を加えて前記投与情報を更新し、
前記更新された前記付記情報に基づいて前記付記情報表示欄の表示を更新し、かつ前記更新された前記投与情報に基づいて前記投与情報表示欄の表示を更新する、
請求項12から15のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項17】
前記プロセッサは、生体情報センサおよびデータサーバのうち少なくとも一方から前記対象患者の前記生体情報を取得し、前記取得した前記生体情報のグラフを前記生体情報表示欄に表示させる、
請求項1から16のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項18】
前記表示欄および前記入力リストを表示する表示装置と、
ドラッグアンドドロップの操作を受け付ける入力装置と、を含む、
請求項1から17のいずれか一項に記載の医療情報管理システム。
【請求項19】
コンピュータによって実行される医療情報管理方法であって、
前記コンピュータが対象患者の生体情報を取得することと、
前記取得した前記生体情報を時間軸に沿って表示する生体情報表示欄と、前記生体情報表示欄の前記時間軸の表示範囲に対応する期間における前記対象患者への投与薬剤、投与量および投与タイミングの情報を含む投与情報を表示する投与情報表示欄と、を有する表示欄と、複数の薬剤および投与量の組み合わせ情報がそれぞれ対応付けられた複数の薬剤領域が配列される入力リストとを表示装置に表示させることと、
前記入力リストに含まれる前記複数の薬剤領域の中から第1領域をドラッグして前記表示欄の第2領域にドロップする入力を受け付けることと、
前記第1領域をドラッグして前記第2領域にドロップする入力を受け付けた場合に、前記表示欄の前記第2領域の位置に対応する前記期間中の時間において前記第1領域に対応付けられた薬剤および投与量が前記対象患者に投与されたことを示す情報を加えて前記投与情報を更新することと、
前記更新された前記投与情報に基づいて、前記投与情報表示欄の表示を更新することと、
を含む医療情報管理方法。
【請求項20】
コンピュータに、
対象患者の生体情報を時間軸に沿って表示する生体情報表示欄と、前記生体情報表示欄の前記時間軸の表示範囲に対応する期間における前記対象患者への投与薬剤、投与量および投与タイミングの情報を含む投与情報を表示する投与情報表示欄と、を有する表示欄と、
複数の薬剤および投与量の組み合わせ情報がそれぞれ対応付けられた複数の薬剤領域が配列される入力リストと、
を表示させる機能と、
前記入力リストの前記複数の薬剤領域の中から第1領域をドラッグして前記表示欄の第2領域にドロップする入力を受け付ける機能と、
前記第1領域をドラッグして前記第2領域にドロップする入力を受け付けた場合に、前記表示欄の前記第2領域の位置に対応する前記期間中の時間において、前記第1領域に対応付けられた薬剤および投与量が前記対象患者に投与されたことを示す情報を加えて前記投与情報を更新する機能と、
前記更新された前記投与情報に基づいて、前記投与情報表示欄の表示を更新する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療情報管理システム、医療情報管理方法およびプログラムに係り、特に、手術などにおいて投与された薬剤等に関する情報の記録および管理に好適な情報処理技術およびユーザインターフェース技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、手術または検査において投与した麻酔の履歴を生体情報とともに記録する麻酔記録管理装置が記載されている。特許文献1に記載の麻酔記録管理装置の表示部に表示される麻酔記録欄は、横軸を時間軸として、生体情報の変遷を表示する生体情報履歴欄と、麻酔情報の変遷を表示する麻酔情報履歴欄とを含む。操作者は、麻酔薬の情報および投薬の情報を含む麻酔情報を入力する場合、入力ウインドウの時刻入力欄、麻酔薬入力欄および数値入力欄などの入力欄に情報を入力した後、登録ボタンを押すことにより、麻酔情報が登録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示は、対象患者の生体情報と、対象患者への薬剤の投与情報または対象患者への医療行為に対するイベント(事柄)を示すイベント情報(以下、投与情報等)と、を含む複数の医療情報を、共通の時間軸に沿って表示させ、投与情報等を入力する場合において、投与情報等の内容および時期を個別に入力する場合と比較して、投与情報等の入力作業を簡易化することができる医療情報管理システム、医療情報管理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る医療情報管理システムは、プロセッサと、プロセッサによって実行されるプログラムが記憶される記憶装置と、を備える医療情報管理システムであって、プロセッサは、プログラムを実行することにより、対象患者の生体情報を時間軸に沿って表示する生体情報表示欄と、生体情報表示欄の時間軸の表示範囲に対応する期間における対象患者への投与薬剤、投与量および投与タイミングの情報を含む投与情報を表示する投与情報表示欄と、を有する表示欄と、複数の薬剤および投与量の組み合わせ情報がそれぞれ対応付けられた複数の薬剤領域が配列される入力リストと、を表示させ、入力リストの複数の薬剤領域の中から第1領域をドラッグして表示欄の第2領域にドロップする入力を受け付け、第1領域をドラッグして第2領域にドロップする入力を受け付けた場合に、表示欄の第2領域の位置に対応する期間中の時間において第1領域に対応付けられた薬剤および投与量が対象患者に投与されたことを示す情報を加えて投与情報を更新し、更新された投与情報に基づいて、投与情報表示欄の表示を更新する。
【0006】
「薬剤」という用語には、酸素あるいは亜酸化窒素(笑気)に代表される医療ガスおよび輸液剤の概念が含まれる。この態様の医療情報管理システムによれば、利用者であるユーザは入力リスト上の薬剤領域をドラッグして表示欄にドロップすることで投与情報を簡単に入力することができ、入力された情報を反映して更新された投与情報を投与情報表示欄に表示させることができる。
【0007】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、第2領域は、生体情報表示欄の中の領域であってもよい。
【0008】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、プロセッサは、生体情報表示欄内に第1領域がドラッグされると、第1領域のドラッグ位置に対応する期間中の時刻を示す情報と、第1領域に対応付けられた薬剤および投与量を示す情報とを生体情報表示欄に表示させる構成であってもよい。
【0009】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、プロセッサは、表示欄内に第1領域がドラッグされると、第1領域のドラッグ位置に応じて時間軸に垂直な線分を表示させる構成であってもよい。
【0010】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、入力リスト上の第1領域は、投与量を第1単位の数値で示す第1投与量として表示され、プロセッサは、入力リスト上において第1領域が指定された場合、第1単位とは異なる第2単位の数値で示す第2投与量を表示させる構成であってもよい。
【0011】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、プロセッサは、薬剤の種類または投与方法に応じて入力リストにおける薬剤および投与量を示す文字の表示形式を変更する構成であってもよい。
【0012】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、プロセッサは、入力リストに表示する複数の薬剤および薬剤ごとの投与量のうちの一部を、異なる表示形式で表示させる指示を含む表示設定の入力を受け付け、表示設定に基づき、入力リストの一部を異なる表示形式で表示させる構成であってもよい。
【0013】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、プロセッサは、入力リストに表示する薬剤および薬剤ごとの投与量のうち少なくとも1つの項目についての変更、追加および削除のうち少なくとも1つの指示を含む設定の入力を受け付け、設定に従い、入力リストに複数の薬剤領域を表示させる構成であってもよい。
【0014】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、プロセッサは、入力リストに表示する薬剤および投与量のうち少なくとも一方が異なる複数のリストパターンを有し、複数のリストパターンの中から使用するリストパターンを指定する入力を受け付け、指定されたリストパターンに対応する薬剤および投与量の入力候補を示す複数の薬剤領域を入力リストに表示させる構成であってもよい。
【0015】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、複数のリストパターンのうち少なくとも1つは、手術の種類または利用者と対応付けられており、手術の種類または利用者を指定する入力が行われることにより、使用するリストパターンが指定される構成であってもよい。
【0016】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、入力リストにおける複数の薬剤領域のうち少なくとも1つの薬剤領域は、複数の薬剤と薬剤ごとの投与量とを含む情報のセットが対応付けられている構成であってもよい。
【0017】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、表示欄は、表示範囲の期間内における事柄に関する付記情報を表示する付記情報表示欄をさらに有し、入力リストは、入力候補となる複数の付記項目が対応付けられた複数の付記領域を含み、プロセッサは、入力リストの複数の付記領域の中から第3領域をドラッグして表示欄の第4領域にドロップする入力を受け付け、第3領域をドラッグして第4領域にドロップする入力を受け付けた場合に、表示欄の第4領域の位置に対応する期間中の時間において第3領域に対応付けられた付記項目の事柄が実施されたことを示す情報を加えて付記情報を更新し、更新された付記情報に基づいて、付記情報表示欄の表示を更新する構成であってもよい。
【0018】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、付記情報は、イベント情報とリマークス情報との少なくとも一方を含み、複数の付記項目は、イベント項目とリマークス項目との少なくとも一方を含み、複数の付記領域は、イベント項目が対応付けられたイベント領域と、リマークス項目が対応付けられたリマークス領域との少なくとも一方を含む構成であってもよい。
【0019】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、入力リストに表示する薬剤、薬剤ごとの投与量および付記項目のうち少なくとも1つの項目についての変更、追加および削除のうち少なくとも1つの指示を含む設定の入力を受け付け、設定に従い、入力リストに複数の薬剤領域および複数の付記領域を表示させる構成であってもよい。
【0020】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、プロセッサは、入力リストに表示する薬剤、薬剤ごとの投与量および付記項目のうち少なくとも1つが異なる複数のリストパターンを有し、複数のリストパターンの中から使用するリストパターンを指定する入力を受け付け、指定されたリストパターンに対応する薬剤、薬剤ごとの投与量および付記項目の入力候補を示す複数の薬剤領域および複数の付記領域を入力リストに表示させる構成であってもよい。
【0021】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、入力リストは、付記項目と薬剤と投与量との情報のセットが対応付けられたセット領域を含み、プロセッサは、入力リストのセット領域をドラッグして表示欄の第5領域にドロップする入力を受け付け、セット領域をドラッグして表示欄の第5領域にドロップする入力を受け付けた場合に、表示欄の第5領域の位置に対応する期間中の時間において、セット領域に対応付けられた付記項目の事柄が実施されたことを示す記録を加えて付記情報を更新し、かつセット領域に対応付けられた薬剤および投与量が対象患者に投与されたことを示す情報を加えて投与情報を更新し、更新された付記情報に基づいて付記情報表示欄の表示を更新し、かつ更新された投与情報に基づいて投与情報表示欄の表示を更新する構成であってもよい。
【0022】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、プロセッサは、生体情報センサおよびデータサーバのうち少なくとも一方から対象患者の生体情報を取得し、取得した生体情報のグラフを生体情報表示欄に表示させる構成であってもよい。
【0023】
本開示の他の態様に係る医療情報管理システムにおいて、表示欄および入力リストを表示する表示装置と、ドラッグアンドドロップの操作を受け付ける入力装置と、を含む構成であってもよい。
【0024】
本開示の他の態様に係る医療情報管理方法は、コンピュータによって実行される医療情報管理方法であって、コンピュータが対象患者の生体情報を取得することと、取得した生体情報を時間軸に沿って表示する生体情報表示欄と、生体情報表示欄の時間軸の表示範囲に対応する期間における対象患者への投与薬剤、投与量および投与タイミングの情報を含む投与情報を表示する投与情報表示欄と、を有する表示欄と、複数の薬剤および投与量の組み合わせ情報がそれぞれ対応付けられた複数の薬剤領域が配列される入力リストとを表示装置に表示させることと、入力リストに含まれる複数の薬剤領域の中から第1領域をドラッグして表示欄の第2領域にドロップする入力を受け付けることと、第1領域をドラッグして第2領域にドロップする入力を受け付けた場合に、表示欄の第2領域の位置に対応する期間中の時間において第1領域に対応付けられた薬剤および投与量が対象患者に投与されたことを示す情報を加えて投与情報を更新することと、更新された投与情報に基づいて、投与情報表示欄の表示を更新することと、を含む。
【0025】
本開示の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、対象患者の生体情報を時間軸に沿って表示する生体情報表示欄と、生体情報表示欄における時間軸の表示範囲の期間内に対象患者への投与薬剤、投与量および投与タイミングの情報を含む投与情報を表示する投与情報表示欄と、を有する表示欄と、複数の薬剤および投与量の組み合わせ情報がそれぞれ対応付けられた複数の薬剤領域が配列される入力リストと、を表示させる機能と、入力リストの複数の薬剤領域の中から第1領域をドラッグして表示欄の第2領域にドロップする入力を受け付ける機能と、第1領域をドラッグして第2領域にドロップする入力を受け付けた場合に、表示欄の第2領域の位置に対応する期間中の時間において、第1領域に対応付けられた薬剤および投与量が対象患者に投与されたことを示す情報を加えて投与情報を更新する機能と、更新された投与情報に基づいて、投与情報表示欄の表示を更新する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、ユーザによる投与情報の入力作業を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施形態に係る医療情報管理システムを含む医療情報システムの例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る医療情報管理システムにおけるログイン画面の例である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る医療情報管理システムにおける麻酔記録画面の例である。
【
図4】
図4は、入力リスト上の薬剤領域をドラッグして生体情報表示欄内に移動させた場合の表示例を示す拡大図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すドラッグ位置にドロップ入力した場合の記録情報表示欄の表示例である。
【
図6】
図6は、入力リスト上の薬剤領域を指定した場合に表示される複数の単位による投与量の表示例である。
【
図7】
図7は、入力リスト上の薬剤領域を指定した場合に表示される複数の単位による投与量の他の表示例である。
【
図8】
図8は、入力リストの一部を示す表示例である。
【
図9】
図9は、入力リストの一部を拡大して示す拡大図である。
【
図10】
図10は、投与情報表示欄の一部を拡大した拡大図である。
【
図11】
図11は、入力リストのパレット項目に対する強調表示の例を示す図である
【
図12】
図12は、入力リストに関する各種の設定を行うためのメンテナンス画面の例である。
【
図15】
図15は、パレットアイテムパターンの登録を受け付ける登録画面の例である。
【
図16】
図16は、入力リストの上部に表示されるコンボボックスの役割を示す説明図である。
【
図17】
図17は、パレットアイテムパターンの詳細設定画面の例である。
【
図18】
図18は、パレットアイテムの区分の選択を受け付ける区分選択画面の例である。
【
図19】
図19は、フロー別パターンを設定するための操作手順の例を示す画面例である。
【
図20】
図20は、麻酔記録画面における手術フローを設定するためのフロー設定画面の例である。
【
図21】
図21は、手術フローに紐付いて表示される入力リストの例である。
【
図23】
図23は、フロー別パターンを設定する入力を受け付けるフロー別パターン設定画面の例である。
【
図26】
図26は、薬剤、イベントおよびリマークスを含むすべての種類のパレットアイテムを表示する入力リストの例である。
【
図27】
図27は、薬剤のカテゴリーに分類されたパレットアイテムを表示する入力リスト60の例である。
【
図28】
図28は、イベントのカテゴリーに分類されたパレットアイテムを表示する入力リストの例である。
【
図29】
図29は、複数の入力項目をセット化したパレットアイテムを登録する際のパレットアイテム登録画面の例である。
【
図30】
図30は、セット化された複数の入力項目を同時にパレット入力する場合の例を示す説明図である。
【
図31】
図31は、パレットを使用せずに投与情報を入力する際の操作手順の例を示す画面遷移図である。
【
図32】
図32は、パレットを使用せずにイベント情報を入力する際の操作手順の例を示す画面遷移図である。
【
図33】
図33は、イベント情報が登録された状態の付記情報表示欄の表示例である。
【
図34】
図34は、パレットを使用せずにリマークス情報を入力する際の画面例である。
【
図36】
図36は、リマークス情報が登録された状態の付記情報表示欄の表示例である。
【
図37】
図37は、投与情報表示欄に記録された薬剤に関する情報を入力リストに追加する操作の例を示す画面例である。
【
図38】
図38は、投与情報表示欄上の投与量の表示領域にて右クリックした場合の表示例である。
【
図39】
図39は、入力リストに薬剤パレットが追加された状態を示す表示例である。
【
図40】
図40は、実施形態に係る医療情報管理システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明は適宜省略する。
【0029】
[実施形態1]
《システム構成例》
図1は、実施形態に係る医療情報管理システム10を含む医療情報システム20の例を示すブロック図である。医療情報管理システム10は、対象患者の生体情報と、対象患者に投与された薬剤等の情報とを取得して、これらの情報を共通の時間軸に関連付けして記録および管理する医療支援用の情報処理システムである。医療情報管理システム10の使用場所は、特に限られないが、例えば、医療機関における手術室、集中治療室(Intensive Care Unit:ICU)または救命救急室(Emergency Room:ER)などに用いられる。
【0030】
医療情報管理システム10は、コンピュータのハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェアはプログラムと同義である。医療情報管理システム10は、情報処理装置12を用いて構成される。情報処理装置12は、図示しないプロセッサと、メモリと、ストレージと、通信インターフェースとを含む。医療情報管理システム10は、さらに、入力装置14と、表示装置16とを含んでもよい。入力装置14および表示装置16は、情報処理装置12のユーザインターフェースとして機能する。
【0031】
なお、
図1では、ワークステーションタイプの構成を例示するが、コンピュータのハードウェアの形態は、特に限定されず、パーソナルコンピュータであってもいし、タブレット端末などであってもよく、サーバコンピュータであってもよい。医療情報管理システム10の処理機能を提供するサーバはオンプレミスサーバであってもよいし、クラウドサーバであってもよい。医療情報管理システム10の処理機能は、複数台のコンピュータを用いた分散コンピューティングによって実現されてもよい。
【0032】
入力装置14は、ユーザによる入力を受け付け、情報処理装置12に伝達する装置であって、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、もしくはその他のポインティングデバイスまたはこれらの適宜の組み合わせであってよい。表示装置16は、情報処理装置12による制御に応じて表示画面を表示する装置であって、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(organic electro-luminescence:OEL)ディスプレイ、無機EL(Inorganic electro-luminescence:IEL)ディスプレイ、もしくは、プロジェクタ、またはこれらの適宜の組み合わせであってよい。
【0033】
利用者であるユーザは、表示装置16に表示される情報を確認しつつ、入力装置14から様々な入力を行うことができる。本実施形態では、入力装置14としてマウスを用いた入力の操作を例示するが、タッチディスプレイのように入力装置14と表示装置16とが一体的に構成された形態であってもよい。マウスを用いた操作は、これに対応するタッチ操作に置き換えて実行されても良い。
【0034】
医療情報管理システム10は、各種の生体情報センサ30から対象患者の生体情報を取得することができる。生体情報は、例えば、呼吸数、脈拍数、血圧、体温、脳波および血中酸素飽和度等のうち少なくとも1つのバイタルデータを含む。生体情報は、バイタル情報あるいはバイタルサイン情報などの用語と同義である。生体情報センサ30は、対象患者のバイタルデータを生成するセンサである。生体情報センサ30は図示しない生体情報モニタと接続されてもよく、医療情報管理システム10は、生体情報モニタを介して生体情報を取得してもよい。
【0035】
また、医療情報管理システム10は、ME(Medical Engineering)機器32から様々なデータを自動的に取得することができても良い。ME機器32としては、例えば、麻酔器、シリンジポンプ、もしくは、輸液ポンプ、または、これらの適宜の組み合わせであってよい。ME機器32から取得されるデータには、例えば、投与された薬剤、薬剤の投与量、換気量、酸素濃度、気道内圧およびガス流量などが含まれる。
【0036】
医療情報システム20は、医療機関における医療事務および診療を支援するコンピュータシステムであって、患者情報管理システム24と、データサーバ26と、医療情報管理システム10とを含む。医療情報システム20は、図示しないCT(Computed Tomography)装置およびMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの1つ以上のモダリティ(医療機器)、医療画像管理システム、臨床検査システム、予約システムおよび会計システムなどを含んでよい。患者情報管理システム24は、対象患者の氏名、性別および年齢などの属性情報を管理するシステムであって、例えば、電子カルテシステムや院内DWH(Date Warehouse)であってよい。
【0037】
医療情報管理システム10は、通信回線22を介して電子カルテシステム24およびデータサーバ26と通信可能に接続される。医療情報管理システム10は、電子カルテシステム24から対象患者の氏名、性別および年齢などの属性情報を取得し得る。また、医療情報管理システム10は、対象患者の生体情報および投与情報等のデータをデータサーバ26に保存したり、データサーバ26からデータを取得したりすることができる。
【0038】
医療情報管理システム10は、手術のオーダー受信およびスケジュールなどの術前作業から、術中の麻酔記録および看護記録、術後の退室時状態ならびに術後回診まで、手術の進行に生じる煩雑な作業を支援する複合的な医療支援システムとして構成されてもよい。
【0039】
《医療情報管理システム10の機能の概要》
以下、医療情報管理システム10の主な機能について具体的な表示画面の例を用いて説明する。医療情報管理システム10の各種機能は、プロセッサがプログラムを実行することによって実現される。ここでは、プロセッサに医療情報管理システム10の医療情報管理機能を実現させるためのプログラムを医療情報管理プログラムと呼ぶ。
【0040】
図2は、医療情報管理システム10におけるログイン操作の手順の例を示す画面例である。医療情報管理プログラムを起動することによって表示装置16に表示されるアプリケーション画面40は、画面上部に対象患者の入室情報と対象患者の氏名等を表示する患者情報表示欄41を有し、画面左側にはスクロール可能なナビゲーションバー42を有する。
【0041】
図2の患者情報表示欄41における氏名欄の「テスト患者」という表示は便宜的な表示であり、実際にはこの氏名欄に対象患者の氏名が表示される。
【0042】
ナビゲーションバー42は、手術業務フローに対応した複数の機能ボタン(アイコン)が縦方向に並んだツールバーである。ここでは、医療情報管理システム10によって麻酔記録を作成する場合の例を示す。
【0043】
麻酔記録を作成する場合、操作者はナビゲーションバー42の麻酔記録ボタン43を押下する。なお、機能ボタンなどのGUI(graphical user interface)ボタンについて「押下する」あるいは「押す」という表現には、クリックする、タッチする、選択する、あるいは指定するなどの操作により、ボタンに対応した指令の入力を行う動作の概念が含まれる。
【0044】
麻酔記録ボタン43が押下されると、
図2に示すようなログイン画面44が表示される。ログイン画面44は、ユーザID(Identification)とパスワードとのそれぞれの入力欄を有し、ユーザからの入力を受け付ける。ユーザが入力装置14からユーザIDとパスワードとを入力してOKボタン46を押下すると、
図3に示すような麻酔記録画面50が表示される。なお、本実施形態において、麻酔記録ボタン43を押下されるとログイン画面44が表示され、ユーザIDを入力するとしたがこれに限られない。医療情報管理プログラムを起動した際にユーザIDを入力するログイン画面44が表示されても良い。また、ログイン画面44でユーザIDが入力された後にアプリケーション画面40が表示され、麻酔記録ボタン43が押下されることで麻酔記録画面50が表示されても良い。また、ログイン画面44、または、アプリケーション画面40の少なくとも一方の表示はされなくても良い。例えば、医療情報管理プログラムを起動した際に麻酔記録画面50が表示されても良い。
【0045】
図3は、麻酔記録画面50の例である。麻酔記録画面50は、最上部にユーザ名表示欄51を有し、ログイン中はユーザ名表示欄51にユーザ名が表示される。
図3のユーザ名表示欄51における「医師[ZZZ]」というユーザ名の表示は便宜的な表示であり、実際にはログインしたユーザIDに紐付けされたユーザ名が表示される。
【0046】
医療情報管理システム10の麻酔記録機能は、術中のバイタルサインデータを自動的に刻々と記録し、ME機器32からデータを取り込み、麻酔記録に反映する。術中の麻酔記録は、通信回線22を介してナースステーションあるいは医師控室などからリアルタイムに参照が可能である。
【0047】
麻酔記録画面50は、生体情報表示欄52と、投与情報表示欄54と、付記情報表示欄56とを有する記録情報表示欄58と、薬剤、イベントおよびリマークスに関する情報の入力候補を提供する入力リスト60とを含む。記録情報表示欄58は本開示における「表示欄」の一例である。なお、本実施形態において、記録情報表示欄58は、投与情報表示欄54と付記情報表示欄56を有するが、少なくとも生体情報表示欄52と、投与情報表示欄54または投与情報表示欄54の少なくとも一方を有すれば良い。また、入力リスト60は、薬剤、イベント、リマークスに関する情報の入力候補を有しているが、入力候補は少なくとも薬剤、イベント、リマーククスの少なくともいずれか一つを有すれば良い。また、記録情報表示欄58と入力リスト60を表示する表示画面として、麻酔記録を行う麻酔記録画面50を例示したが、これに限らない。記録情報表示欄58と、入力リスト60を含む医療情報表示画面であれば良い。
【0048】
生体情報表示欄52は、対象患者の生体情報を時間軸に沿って表示する表示エリアである。生体情報表示欄52には、呼吸数、脈拍数、血圧、体温、脳波および血中酸素飽和度等のうち少なくとも1つ、好ましくは複数種類のバイタル項目のデータがグラフ表示される。
図3において横軸(水平方向)が時間軸を表し、縦軸(縦方向)がそれぞれのバイタル項目の値を表す。生体情報表示欄52に表示される時系列のバイタルデータのグラフをバイタルグラフという。
【0049】
生体情報表示欄52における時間軸の表示範囲は、対象患者に対する医療行為が行われる期間(医療行為期間)の少なくとも一部の期間が含まれる。生体情報表示欄52に表示させる時間軸の表示範囲に対応する期間(時間範囲)と、時間軸のスケールとについては、プログラムに基づいて自動的に設定されてもよいし、操作者が入力装置14を介して指定してもよい。
【0050】
投与情報表示欄54は、対象患者に投与された薬剤(投与薬剤)と投与量と投与時間とを含む投与情報を表示する表示エリアである。持続投与の場合の投与時間は、投与タイミング(投与開始)と、投与終了とを含む投与期間の概念を含む。ワンショット投与の場合の投与時間は投与タイミングである。「タイミング」は時刻の情報として記録されてよい。また、薬剤には、麻酔薬に限らず、その他の薬剤、若しくは酸素あるいは亜酸化窒素(笑気)に代表される医療ガスおよび輸液剤の少なくともいずれか、または、これらの組み合わせであっても良い。
【0051】
付記情報表示欄56は、イベント情報および/またはリマークス情報を表示する表示エリアである。イベント情報とは、例えば、麻酔開始または麻酔終了などのように、開始点と終了点とがある事柄に関する情報である。リマークス情報とは、一時点に対して記録する情報であり、イベント情報以外のその他の事柄に関する情報を含む。本明細書ではイベント情報およびリマークス情報を含む包括概念として付記情報という用語を用いる。
【0052】
付記情報表示欄56は、イベント情報を表示するイベント表示欄と、リマークス情報を表示するリマークス表示欄とを別々に行を分けて配置される構成であってもよい。例えば、付記情報表示欄56は上下の2行に区分けされ、上段がリマークス表示欄、下段がイベント表示欄となる。
【0053】
投与情報表示欄54と付記情報表示欄56とは、生体情報表示欄52と共通の時間軸に沿ってそれぞれ投与情報と付記情報とを表示する。すなわち、投与情報表示欄54は、生体情報表示欄52の時間軸の表示範囲に対応する期間中の対象患者への投与薬剤、投与量および投与タイミングの情報を含む投与情報を表示し得る。付記情報表示欄56は、生体情報表示欄52の時間軸の表示範囲に対応する期間中における付記情報を表示し得る。
【0054】
記録情報表示欄58に表示させている時間軸の表示範囲が現在時刻を含む場合、記録情報表示欄58には、時間軸上における現在時刻の位置を示す目印となる線分59が表示される。この線分59は、時間軸に対して垂直な縦方向の直線であって、生体情報表示欄52、投与情報表示欄54および付記情報表示欄56に跨がる長さを有する単一の線分として表示される。なお、線分59は、生体情報表示欄52と、投与情報表示欄54または付記情報表示欄56のいずれか一方と、にのみ表示されるとしても良い。また、線分59は、生体情報表示欄52、投与情報表示欄54、および付記情報表示欄56のそれぞれの表示欄において分断された線分であっても良い。
【0055】
入力リスト60は、記録情報表示欄58の右側に表示される。医療情報管理システム10では、ユーザによるデータの入力作業を支援する機能としてパレット入力機能が実装されている。パレット入力機能とは、賽の目状に配置された入力候補(以下パレットと呼ぶ)からドラッグアンドドロップ機能により、画面の任意の位置にデータを簡易に入力できる機能である。賽の目状に配置された入力候補は、例えば、薬剤及び投与量等で構成される。入力リスト60上でドラッグアンドドロップの対象となる領域(アイテム)を「パレットアイテム」と呼ぶ。
【0056】
入力リスト60は、複数の薬剤および投与量の組み合わせ情報がそれぞれ対応付けられた複数の薬剤領域62が配列された薬剤リスト63を含む。薬剤リスト63は、薬剤の種類を示す薬種セル63aと、その薬剤の投与単位を示す単位セル63bと、投与単位で表される薬剤投与量を示す複数の投与量セル63cとが行方向(横方向)に並ぶ表形式により表示される。複数の投与量セル63cのそれぞれがパレットアイテムに相当する薬剤領域62である。例えば、
図3の入力リスト60における上から3行目の「3」という投与量の数値が付された薬剤領域62には、薬剤と投与量の組み合わせ情報として、「ディプリバン10mg/ml」という薬剤の種類を特定する情報と、その薬剤の投与量が「3μg/ml」であるという情報とが対応付けられている。このように、薬剤と投与量との組み合わせ情報が対応付けされたパレットアイテム(薬剤領域62)を薬剤パレットという。
【0057】
また、入力リスト60は、薬剤リスト63に限らず、付記情報のパレットアイテムとしての複数の付記領域64が配列された付記リスト65を含んでいてもよい。複数の付記領域64のそれぞれには付記項目が対応付けられている。複数の付記領域64は、イベント情報が対応付けられたパレットアイテムとしての複数のイベント領域と、リマークス情報のパレットアイテムとしての複数のリマークス領域とを含んでよい。イベント情報が対応付けされたパレットアイテム(イベント領域)をイベントパレットといい、リマークス情報が対応付けされたパレットアイテム(リマークス領域)をリマークスパレットという。イベントパレットとリマークスパレットとを包括して付記パレットという。複数の付記項目はイベント項目とリマークス項目の少なくとも一方を含む。
【0058】
図3に示す入力リスト60は、薬剤パレット、イベントパレットおよびリマークスパレットのすべての種類のパレットアイテムを一覧表示するリストの例であるが、このような全種類のパレットアイテムを表示する入力リスト60に限らず、薬剤、イベントまたはリマークスといった入力項目の種類別に分類し、タブによる選択によって入力リストの表示を切り替え可能に構成してもよい。
【0059】
以下、医療情報管理システム10の実施形態2~10について説明をする。なお、実施形態において共通する構成には、同様の符号を付して説明を省略する。
【0060】
[実施形態2]入力リスト60のパレットアイテムは、薬剤、イベントまたはリマークスなどの入力項目の種類に関わらず、生体情報表示欄52、投与情報表示欄54および付記情報表示欄56を含む記録情報表示欄58の任意の領域に投入(ドロップ操作)できる。例えば、薬剤領域62をドラッグして投与情報表示欄54にドロップすることが可能であるのはもちろんのこと、薬剤領域62をドラッグして生体情報表示欄52にドロップすることも可能である。
【0061】
図4は、入力リスト60上の薬剤領域62aをドラッグして生体情報表示欄52内に移動させた場合の表示例を示す拡大図である。薬剤領域62aに対応付けられた薬剤は「アルチバ2」であり、投与量は0.25μ/k/mである。なお、「アルチバ2」の表記は「アルチバ静注用2mg」を意味する。アルチバは登録商標であり、一般名はレミフェンタニル塩酸塩である。持続投与の投与単位の「μ/k/m」は、「μg/kg/分」を意味する。薬剤領域62aは本開示における「第1領域」の一例である。
【0062】
入力リスト60上からパレットアイテムがドラッグされて記録情報表示欄58の上にマウスオーバーされている際に、マウスポインタの位置(マウス位置)がわかりやすいように、マウス位置に応じて記録情報表示欄58の時間軸に垂直な縦方向の線分71が表示される。また、この線分71の他に、パレットに対応付けされた情報と、線分71に対応する時間情報とがマウス位置の近くに表示される。
【0063】
図4に示す例の場合、入力リスト60上の薬剤領域62aをドラッグ操作によって生体情報表示欄52内の領域70に移動させると、生体情報表示欄52内におけるマウス位置に、つまり、ドラッグ位置(領域70の位置)に対応する時刻の位置に目印となる線分71が表示される。さらに、この線分71に対応する時刻を示す時刻情報72と、薬剤領域62aに対応付けられた薬剤情報73とが領域70の付近に表示される。領域70は本開示における「第2領域」の一例である。
【0064】
マウスオーバー中のマウス位置を示す線分71は、現在時刻を示す線分59と同様に、生体情報表示欄52、投与情報表示欄54および付記情報表示欄56に跨がる長さを有する単一の線分として表示されることが好ましい。なお、線分71は、生体情報表示欄52と、投与情報表示欄54又は付記情報表示欄56のいずれか一方と、にのみ表示されるとしても良い。また、線分71は、生体情報表示欄52、投与情報表示欄54、および付記情報表示欄56のそれぞれの表示欄において分断された線分であっても良い。また、線分71は、現在時刻を示す線分59と異なる表示態様で表示することが好ましい。例えば、線分71と線分59は異なる色で表示しても良い。例えば、ドラッグ位置に対応する時刻を示す線分71は青色、現在時刻を示す線分59は赤色で表示される。また、線分71と線分59は、一方が実線、他方が破線で表示されても良い。
【0065】
図5は、
図4に示した生体情報表示欄52内の領域70に薬剤領域62aをドロップした場合の表示例を示す。生体情報表示欄52内の領域70に薬剤領域62aがドロップ入力されると、ドロップ位置に対応する時刻に、対象患者に対して薬剤領域62aに対応付けられた薬剤および投与量の投与が行われたことを示す情報が加えられて投与情報が更新され、投与情報表示欄54における投与情報の表示が更新される。
【0066】
投与情報表示欄54における左の薬剤名の列に、薬剤領域62aと対応付けられた薬剤名がある場合は、その薬剤名の行(表示領域)におけるドロップ位置に対応する時刻の位置に投与量を示す数値が表示される。その一方で、投与情報表示欄54における左の薬剤名の列に、薬剤領域62aと対応付けられた薬剤名がない場合は、薬剤領域62aのドロップ操作によって、投与情報表示欄54に薬剤領域62aで指定された薬剤名の行が追加され、この追加された行に投与量を示す数値が表示される。
【0067】
なお、投与情報表示欄54においては、患者情報または患者に実施される手術情報に使用予定の薬剤情報が対応付けられて記憶されており、投与情報表示欄54の初期表示時に、使用予定の薬剤情報を読み出し、使用予定の1つ以上の薬剤の行が配置されており、パレットで指定された薬剤に対応する行に投与量が入力されるという構成でもよい。また、ME機器32から取得した投与された薬剤、薬剤の投与量に関するデータに基づいて薬剤に対応する行が配置され、パレットで指定された薬剤に対応する行に投与量が入力されるという構成でもよい。更に、最初は投与情報表示欄54に特定の薬剤の行は配置されておらず、パレットで指定された薬剤名の行が追加され、追加された行に投与量が入力されるという構成でもよい。
【0068】
投与情報表示欄54の表示が更新されると、
図4に示した生体情報表示欄52内のドラッグ位置に対応する時刻を示す線分71と、時刻情報72と、薬剤情報73は非表示となる。
【0069】
この実施形態2によれば、ユーザは、薬剤、イベントまたはリマークスに関する情報を入力する際に、例えば、昇圧薬を投与した場合に血圧が上がる、挿管を行うと呼気ガスが一時停止するなど、バイタルグラフの変化に着目してより正確な日時への記録が可能となる。
【0070】
ここでは、投与情報を事後入力する例を説明したが、薬剤領域62aを現在時刻の領域にドラッグアンドドロップ入力することも可能である。
【0071】
また、
図4および
図5では薬剤領域62aを生体情報表示欄52に投入する例を説明したが、入力リスト60の薬剤領域62aを付記情報表示欄56に投入したり、入力リスト60の付記領域64を投与情報表示欄54に投入したりすることも可能であり、パレットの入力項目の種類と、記録情報表示欄58の項目との関係に縛られない柔軟なドラッグアンドドロップの入力が可能である。入力リスト60上でドラッグの対象とされる付記領域64は本開示における「第3領域」の一例であり、そのドラッグされた付記領域64の記録情報表示欄58におけるドロップ先の領域が本開示における「第4領域」の一例である。付記領域64を記録情報表示欄58にドラッグする場合も、
図4で説明した薬剤領域62aの場合と同様に、時刻情報72と付記項目の内容がマウス位置の左右に表示される。
【0072】
本明細書において、「ドラッグ」は、対象領域を指定すること、ならびに、対象領域を指定した状態で移動することの概念を含む。また、「ドロップ」は、対象領域の投入先を選択することの概念を含む。「ドラッグ」は、指定した対象領域を画面上で移動させることは必ずしも要求されない。例えば、入力リスト60上の薬剤領域62aをワンクリックにより指定し、この指定した状態でポインタを動かし、領域70をワンクリックにより選択してもよい。
【0073】
入力リスト60上で薬剤領域62aなどの領域を指定することは「ドラッグ」の概念に含まれる。また、記録情報表示欄58上で領域70などの領域あるいは位置を選択することは「ドロップ」の概念に含まれる。ドラッグ中に薬剤領域62aの記載自体が移動しなくてもよい。例えば、タブレット端末のようなタッチパネルを用いた入力の操作の場合、タッチ操作によって入力リスト60上で薬剤領域62aを指定し、生体情報表示欄52上で領域70を選択することは、ドラッグアンドドロップの概念に含まれる。
【0074】
[実施形態3]パレット上の薬剤投与量の数値上にマウスポインタを置くこと(マウスオーバー)により、パレットに表示されている数値の投与単位だけでなく、他の単位に換算した投与量を表示することができる。
【0075】
図6は、入力リスト60上の薬剤領域62bを指定した場合に表示される複数の単位による投与量の表示例である。入力リスト60の薬剤領域62bに対応付けられている投与量は0.2μ/k/mであり、薬剤領域62bには「0.2」という数値がラベル付けされている。この薬剤領域62bの数値上にマウスポインタを置くと、
図6のように、薬剤領域62bに対応付けられている0.2μ/k/mの投与量と、この値をmg/h単位に換算した値(0.63mg/h)と、ml/h単位に換算した値(6.343ml/h)とを同時に並べて表示するポップアップ80が表示される。
【0076】
投与量の単位「μ/k/m」は本開示における第1単位の一例であり、この単位により示される数値の「0.2μ/k/m」は本開示における「第1投与量」の一例である。また、「mg/h」と「ml/h」とはそれぞれ本開示における「第2単位」の一例であり、0.63mg/hと6.343ml/hとのそれぞれは本開示における「第2投与量」の一例である。
【0077】
なお、
図6では、薬剤領域62bの下にポップアップ80をプルダウン方式により表示させているが、薬剤領域62bの横または上にポップアップ80を表示させてもよく、または、薬剤領域62bに重ねて表示させてもよい。これにより、ユーザは複数の単位により投与量を確認することができる。
【0078】
図7は、複数の単位による投与量の他の表示例を示す。
図7の上段に示すように、パレット上の単位領域84を選択すると、
図7の中段に示すように、他の単位のメニューがプルダウン表示される。このプルダウンメニュー86からユーザは他の単位を選択することができる。プルダウンメニュー86から他の単位が選択されると、
図7の下段に示すように、その選択単位に基づく投与量の数値情報が表示される。選択単位に基づく投与量の数値情報は、元の単位によるパレットと同様に、パレット形式で表示され、数値が付された領域87はドラッグアンドドロップの操作が可能なパレットアイテムとして機能してよい。
【0079】
なお、この選択に係る単位に基づく投与量の数値情報は、元の単位による投与量のパレットと上下に並べて表示させてもよいし、元の単位による投与量のパレットの表示領域に重ねて表示させてもよい。
【0080】
[実施形態4]入力リスト60における薬種リスト63は、薬剤の種別に応じて表示形態を異ならせても良い。例えば、薬種リスト63の内の薬種セル63aは、薬種セル63aに配置される薬剤の種別に応じて背景が色分けして表示されても良い。
図8は、入力リスト60の一部を示す表示例である。入力リスト60に列記される複数の薬剤の薬種セル63aの背景は、例えば、日本麻酔科学会推奨の薬効別カラーコードで色分けして表示される。薬効別カラーコードは、国際標準規格(ISO26825)に準拠して定められている。例えば、導入薬は黄色、ベンゾジアゼビンはオレンジ、ベンゾジアゼビン拮抗薬はオレンジの対角ストライプ、筋弛緩薬は赤、筋弛緩薬拮抗薬は赤の対角ストライプという具合に、薬効別に薬剤シリンジラベルの標準カラーコードが定められている。入力リスト60における薬剤のタイトルを薬効別カラーコードで色分けすることにより、視認性の向上が図られている。なお、薬剤の種別に応じて薬剤を示すテキストの色を異ならせても良いし、テキストの大きさやフォント等を異ならせても良い。また、薬剤セル63aのみではなく、単位セル63b、複数の投与量セル63cを含む薬剤が対応付けられた行の表示態様を薬剤の種別に応じて異ならせても良い。
【0081】
[実施形態5]入力リスト60の薬種リスト63において、薬剤の投与方式に応じて表示態様を異ならせても良い。例えば、薬種リスト63の内、持続投与の薬剤の薬剤セル63aに配置される薬剤を示す文字および投与量セル63cに配置される投与量を示す文字は太文字で表示され、ワンショット投与の薬剤の薬剤セル63aに配置される薬剤を示す文字および投与量セル63cに配置されるその投与量を示す文字は細文字で表示される。
【0082】
図9は、入力リスト60の一部を拡大して示す拡大図である。
図9において囲み枠線で示した領域のように、同じ薬剤であっても持続投与の際の入力候補となるパレットの行における薬剤名、投与単位および投与量のそれぞれを示す文字は太文字によって表示され、ワンショット投与の際の入力候補となるパレットの行における文字は細文字によって表示される。このように、投与方法の違いを文字の表示形式の違いによって差別化して表示することにより、視認性の向上が見込まれる。なお、薬剤セル63aまたは投与量セル63cのいずれか一方のみの文字の大きさを投与方式に応じて異ならせても良い。また、投与方式に応じて薬剤セル63aまたは投与量セル63cに配置される文字または領域の背景の色を異ならせるとしても良い。
【0083】
図10は、投与情報表示欄54の一部を拡大して示す拡大図である。投与情報表示欄54は、薬剤ごとに表示領域を分けて投与量と投与タイミングとを示す情報が表示される。持続投与とワンショット投与の両方の投与方法があり得る。このような薬剤の場合、投与情報表示欄54における当該薬剤の表示領域は、持続投与の情報を表示する持続投与表示領域と、ワンショット投与の情報を表示するワンショット投与表示領域とを含む。
【0084】
例えば、
図10に例示する「アルチバ2 0.1mg/ml」に関する投与量の表示領域は、上段と下段とに区分けされ、持続投与が実施された場合の投与量の情報は、上段の持続投与表示領域に表示され、ワンショット投与が実施された場合の投与量の情報は、下段のワンショット投与表示領域に表示される。なお、持続投与の投与量の情報が下段に表示され、ワンショット投与の投与量の情報が上段に表示されても良い。
【0085】
持続投与の場合における終了時の入力は、現時点(現在時刻)の線分59までとしてもよいし、入力リスト60に投与終了ボタン(パレット)を設けて、投与終了ボタンをドラッグアンドドロップして終了時を特定する情報を入力してもよい。
【0086】
[実施形態6]入力リスト60における一部のパレット項目を強調表示させることができる。強調表示という用語は、表示態様を異ならせて相対的な視覚的差別化を図ることを意味する。太文字と細文字などの文字の表示形式は表示態様の一例である。また、文字の色、背景色、フォント、下線もしくは記号等の付加、または、これらの要素の組み合わせは、表示態様を異ならせる要素となり得る。入力リスト60において強調表示の対象とする領域およびその表示態様に関する指示をユーザが設定できるようにしてもよい。強調表示に関する表示設定は本開示における「異なる表示形式で表示される指示を含む表示設定」の一例である。
【0087】
例えば、入力リスト60の中の所望のパレット項目にマウスポインタをおいて右クリックすることにより、強調表示の実施(オン)と解除(オフ)との切り替えができるように構成されてもよい。このような強調表示のオン/オフ機能を実装することにより、例えば、入力リスト60の中で今回の手術で使う可能性が高い投与量のパレットを予め強調表示によりマーク付けしておくなどの用途で使用することができる。
【0088】
また、入力リスト60において一度使用したパレット項目が自動で強調表示されるように構成されてもよい。手術等においては、同じ薬剤を同じ投与量で繰り返しワンショット投与することが多い。したがって、一度投与した投与量が入力リスト60上で強調表示されると便利である。
【0089】
図11は、パレット項目に対する強調表示の例を示す。
図11の符号PLAで示す薬剤パレット行と符号PLBで示す薬剤パレット行とのそれぞれは、強調表示が解除されている状態の表示態様の例である。符号PL1からPL5のそれぞれの薬剤パレット行は、強調表示が実施されている状態の表示態様のバリエーションを例示的に示している。
【0090】
強調表示の態様として、例えば、薬剤パレット行PL1に示す強調表示の第1例のように、パレット上の投与量を示す数字の前後に「-」(ハイフン)を付す表示態様が採用されてもよい。
【0091】
また、第1例に限らず、薬剤パレット行PL2に示す第2例のように、パレット上の投与量を示す数字の前後に「_」(アンダースコア)を付す表示態様が採用されてもよい。
【0092】
他にも、薬剤パレット行PL3に示す第3例または薬剤パレット行PL4に示す第4例のように、パレット上の投与量を示す数字に下線を付す表示態様が採用されてもよい。
【0093】
ワンショット投与の薬剤Bの場合の強調表示の態様として、例えば、薬剤パレット行PL5に示す第5例のように、パレット上の投与量を示す数字の前または後に「↓」(下向き矢印)を付す表示態様が採用されてもよい。
【0094】
なお、
図11では、薬剤パレット行PL1~PL5のそれぞれについて行内の4つのアイテム(領域)のそれぞれを強調表示する例が示されているが、行内における一部の領域のみを強調表示してもよい。また、
図11に例示した表示態様に代えて、またはこれと組み合わせて、文字の色を変えたり、領域の背景色を変えたりするなどの表示態様が採用されてもよい。
【0095】
[実施形態7]入力リスト60に関する各種の設定を行うメンテナンス機能を使い、入力リスト60に表示させる入力候補群のパターンを複数定義できる。入力リスト60として表示するパレット部分の内容を、コンボボックス66a,66b,66cの選択切り替えなどによって、簡易に変更することが可能である。また、医療情報管理システム10は、入力リスト60に表示させるパレットアイテムの配列のパターン(以下、「パレットアイテムパターン」という。)を事前に登録できるメンテナンス機能を有する。
【0096】
メンテナンス機能を利用して、あらかじめ麻酔法ごとのパレットアイテムパターンや、術式ごとのパレットアイテムパターンなどを設定しておくことで、任意のパレットアイテムパターンを作成し、用途等に応じてパレットアイテムパターンの名称(パレットパターン名)を選択することによって、入力リスト60にパレットを展開することができる。
【0097】
図12は、入力リスト60に関する各種の設定を行うためのメンテナンス画面90の例である。医療情報管理システム10は、メンテナンス機能を提供するメンテナンスプログラムを含む。メンテナンスプログラムは、医療情報管理プログラムとは別の設定用ソフトウェア(メンテナンスツール)として提供されてもよいし、医療情報管理プログラムの中にモジュールとして組み込まれていてもよい。ここでは、医療情報管理プログラムとは別のメンテナンスプログラムが構成されている例を述べる。ユーザは、メンテナンスプログラムを起動させて、入力リスト60のパレットに追加する薬剤と投与量、イベントあるいはリマークスなどを指定することができる。
【0098】
メンテナンス機能を立ち上げると、
図12のようなメンテナンス画面90が表示される。メンテナンス画面90には、麻酔法および診療科などパターンタイトルの分類タブ92が設けられている。
図12には、ユーザが「麻酔法」の分類タブ92を選択して、麻酔法の中から「全麻」の項目93を指定した場合に表示される「全麻」のパレットアイテムパターンの詳細設定画面96の例が示されている。なお「全麻」とは「全身麻酔」を意味し、「局麻」とは「局所麻酔」を意味する。分類タブ92によって選択可能な複数のパレットアイテムパターンのそれぞれは、本開示における「リストパターン」の一例である。
【0099】
詳細設定画面96において、ユーザが薬剤、イベントおよびリマークスの一覧からパレットに追加したい対象を選択し、追加ボタン97を押下することで、麻酔法および/または術式に対応付けられたパレットアイテムパターン(入力候補群)が登録される。なお、メンテナンス機能の立ち上げについては、入力リスト60の上部に図示しない「設定ボタン」が表示され、ユーザが設定ボタンを押下することにより、メンテナンス機能が立ち上がるように構成されてもよい。
【0100】
図13は、入力リスト60の表示例である。
図13には、入力リスト60の上部のコンボボックス66a,66bから「全麻」と「帝王切開」とが選択された場合に入力リスト60に表示されるパレットの例が示されている。「帝王切開」は術式の一例である。この場合、「全麻」および「帝王切開」のパレットアイテムパターンに定義されたパレットが入力リスト60に展開される。
【0101】
〈パレットアイテムパターンを登録する操作手順の例〉
メンテナンス機能を用いてパレットアイテムパターンを登録する操作手順の例について
図14から
図18を参照して説明する。
【0102】
図14に示すメンテナンス画面90の新規ボタン98を押下すると、
図15のような登録画面100が表示される。登録画面100は、名称入力欄102と、説明入力欄104と、区分のチェックボックス106とを有する。ユーザは新たなパレットアイテムパターンの名称(パレットパターン名)を名称入力欄102に入力し、必要に応じて、説明入力欄104に、パレットアイテムパターンに関する説明を入力する。区分は「麻酔法」、「診療科」および「その他」から複数選択することができる。これら3種類の各区分が
図16のように、麻酔記録画面50の入力リスト60の上部に表示される3つのコンボボックス66a,66b,66cにそれぞれ対応しており、選択したコンボボックス66a,66b,66cに、新規追加するパレットアイテムパターンが選択肢として表示されることになる。
【0103】
ユーザは、
図15の登録画面100にて必要事項を入力して登録ボタン108を押下することで、新たなパレットパターン名を登録できる。
【0104】
図14に示すメンテナンス画面90は、登録済みのパレットアイテムパターンの一覧を表示する登録済みパターン一覧表示欄99を有する。
図14では「全麻」のパレットアイテムパターンと「局麻」のパレットアイテムパターンとが登録されている状態を示している。新規登録によって追加したパレットアイテムパターンは、登録済みパターン一覧表示欄99に列挙される。
【0105】
図15の登録画面100からパレットパターン名を新規登録したり、登録済みのパレットアイテムパターンの一覧から対象のパレットパターン名を選択すると、
図17に示すようなパレットアイテムパターンごとの詳細設定画面110が表示される。
【0106】
図17は、「全麻」のパレットアイテムパターンについての詳細設定画面110の例である。詳細設定画面110は、パレットアイテムパターンに定義されたパレットアイテム(入力項目)の一覧を表示するパレットアイテム一覧表示欄112と追加ボタン114とを有する。
【0107】
パレットアイテムを追加する場合には、追加ボタン114を押下して、
図18のような区分選択画面120を表示させ、追加項目の選択を行う。区分選択画面120では、例えば、「イベント」、「麻酔ガス」、「麻酔薬」、「備考」および「セット」の5種類の区分の選択候補が表示される。ユーザは、追加するパレットアイテムの区分を選択して確定ボタン122を押下し、パレットアイテムの追加を行う。
【0108】
例えば、複数の薬剤の組み合わせ、あるいは薬剤とイベントとの組み合わせなどの複数の入力項目を一括入力するための情報のセットのパレットアイテムを追加作成する場合は、
図18の区分選択画面120にて「セット」を選択して、パレットアイテムを作成する。ユーザは、図示しないパレットアイテムごとの詳細設定画面から投与量、イベントの種類など詳細情報を入力してパレットアイテムを定義し、新たなパレットアイテムを追加することができる。追加したパレットアイテムは、
図17のパレットアイテム一覧表示欄112に列挙される。
【0109】
〈ログインユーザごとにパレットアイテムパターンを設定する機能〉
上述のように、麻酔法あるいは術式に対してパレットアイテムパターンを設定する態様の他に、ログインユーザごとにパレットアイテムパターンが設定されてもよい。この場合、医療情報管理システム10にログインしたユーザに応じて、当該ログインユーザに紐付けされたパレットアイテムパターンを自動で切り替える。
【0110】
医療情報管理システム10を利用するユーザは、自分にあったパレットアイテムパターンを予め登録しておくことができ、そのユーザがログインすると、パレットアイテムパターン(コンボボックス66a,66b,66c)が自動選択される機能が実装されてもよい。
【0111】
[実施形態8]麻酔法または術式など手術の種類ごとにパレットアイテムパターンを自動展開できる。すなわち、医療情報管理システム10は、入力リスト60として表示するパレット部分の内容を麻酔法または術式の選択に連動して切り替える機能を有する。
【0112】
麻酔法または術式など手術の種類を「手術フロー」という。医療情報管理システム10は、パレットアイテムパターンと手術フローとを紐付けることができ、予め両者の紐付け設定をしておくことにより、麻酔記録画面50を開いたときに麻酔法または術式の種類ごとにパレットアイテムパターンを自動選択できる。手術フローに紐付けされるパレットアイテムパターンを「フロー別パターン」と呼ぶ。
【0113】
図19は、フロー別パターンの設定の入力を受け付けるフロー別パターン設定画面130の例である。
図19には、メンテナンス画面90の上に重ねてフロー別パターン設定画面130を表示させた例が示されている。メンテナンス画面90にはフロー別パターン設定ボタン132が設けられている。
【0114】
フロー別パターン設定ボタン132が押下されると、フロー別パターン設定画面130が開く。ユーザは、フロー別パターン設定画面130から設定対象の手術フローを選択し、入力リスト60に初期表示させるパレットアイテムパターンの設定を行うことができる。具体的な操作手順の例は後述する(
図22~25)。
【0115】
図20は、麻酔記録画面50における手術フローを設定するためのフロー設定画面140の例である。麻酔記録画面50のフロー設定ボタン134が押下されると、フロー設定画面140が開く。フロー設定画面140には、複数の手術フローの候補が一覧表示される。ユーザは、一覧表示の中から対象患者に適用する手術フローを選択し、確定ボタン142を押下することで、手術フローを設定することができる。
【0116】
図21は、手術フローに紐付いて表示される入力リスト60の例である。
図21には「帝王切開(全麻)」という手術フローが設定された場合に表示されるパレットの例である。
図20のフロー設定画面140にて「帝王切開(全麻)」が選択され、確定ボタン142が押下されると、
図21に示すように、「帝王切開(全麻)」という手術フローに紐付けされたパレットアイテムパターンが入力リスト60に展開される。
【0117】
〈フロー別パターンを設定する際の操作手順の例〉
ここで、フロー別パターンを設定する際の操作手順の例を説明する。
【0118】
フロー別パターンを設定する場合、ユーザは、
図22に示すメンテナンス画面90のフロー別パターン設定ボタン132を押下する。フロー別パターン設定ボタン132が押下されると、
図23に示すようなフロー別パターン設定画面130が開く。
【0119】
ユーザは、フロー別パターン設定画面130に表示される手術フローの一覧の中から、初期表示パターンを設定したい手術フローをダブルクリックする。この操作により、
図24のようなフロー別パターン登録画面150が表示される。
【0120】
図24は、フロー別パターン登録画面150の例である。
図24には、
図23のフロー別パターン設定画面130から「全(TIVA)+硬麻」の項目がダブルクリックされた場合に表示されるフロー別パターン登録画面150の例が示されている。このフロー別パターン登録画面150にて、「麻酔法」、「診療科」および「その他」のそれぞれに初期表示するパレットアイテムパターンを選択する。なお、「全(TIVA)」とは全静脈麻酔(total intravenous anesthesia)を意味する。「硬麻」とは硬膜外麻酔を意味する。
【0121】
例えば、
図24において「診療科」の入力欄152の横にある選択ボタン154が押下されると、
図25のようなパターン設定画面160が表示される。パターン設定画面160に表示される候補の一覧の中から、パターン(例えば、「帝王切開」の項目)を選択して確定ボタン162を押下すると、
図24に示すフロー別パターン登録画面150の「診療科」の入力欄152に、選択に係るパターン(例えば、「帝王切開」)が入力される。
【0122】
図24に示すフロー別パターン登録画面150の登録ボタン156が押下されると、フロー別パターンが登録される。
【0123】
[実施形態9]入力リスト60において、薬剤、イベントおよびリマークスなどの異なる種類の入力項目を1画面に並べて表示することができる。また、入力リスト60は、「薬剤」、「イベント」、「リマークス」といった種類などにカテゴライズされたパレットを複数表示することが可能である。すなわち、入力リスト60において、薬剤、イベントなどすべての入力項目を並べて表示したり、薬剤、イベントなど特定のカテゴリーのみに絞り込んで表示させたりすることができる。
【0124】
図26は、薬剤、イベントおよびリマークスを含むすべての種類のパレットアイテムを表示する入力リスト60の例である。入力リスト60は、例えば、「すべて」、「ガス/薬」、「イベント」および「リマークス」の4種類のタブ171,172,173,174を有し、選択されたパレット種別のタブに対応する種類の表示がなされる。
【0125】
「すべて」のタブ171が選択された場合、
図26のように、すべての種類のパレットアイテムが一覧表示される。なお、1画面に表示しきれない内容はスクロールバー176のノブまたは上下のアローを操作することによって表示領域を移動させることにより、表示可能である。
【0126】
図27は、薬剤のカテゴリーに分類されたパレットアイテムを表示する入力リスト60の例である。「ガス/薬」のタブ172が選択された場合、
図27のように、薬剤のカテゴリーに属するパレットアイテムが一覧表示される。
【0127】
図28は、イベントのカテゴリーに分類されたパレットアイテムを表示する入力リスト60の例である。「イベント」のタブ173が選択された場合、
図28のように、イベントのカテゴリーに属するパレットアイテムが一覧表示される。
【0128】
また、図示は省略するが、「リマークス」のタブ174が選択された場合は、リマークスのカテゴリーに属するパレットアイテムが一覧表示される。
【0129】
なお、後述する実施形態10により、薬剤とイベントの入力項目のセットなど、異種のカテゴリーの複数の入力項目のセットが定義されたパレットアイテムが登録されている場合、そのセットのパレットアイテムは、複数の入力項目のそれぞれのカテゴリーに属するものとして扱ってもよい。また、複数の入力項目のセットが定義されたパレットアイテムが登録されている場合、入力リスト60において図示しない「セット」のタブが設けられてもよい。「セット」のタブが選択された場合には、セットのパレットアイテムが一覧表示される。
【0130】
[実施形態10]1つのパレットアイテムに対して、複数の薬剤に関する情報のセットを対応付けることができる。また、薬剤のセット化だけでなく、薬剤とイベント、薬剤とリマークスなどをセット化して1つのパレットに対応付けることも可能であり、1つのパレットアイテムのドラッグアンドドロップ操作によって、複数の入力項目の情報のセットを同時に入力することができる。
【0131】
この実施形態10によれば、例えば、吸入麻酔開始と同時にガス投与を開始する、あるいは、硬膜外麻酔開始と同時に局所麻酔薬を投与するなど、薬剤とイベントをセット化した同時登録が可能である。
【0132】
図29は、複数の入力項目をセット化したパレットアイテムを登録する際のパレットアイテム登録画面180の例である。
図14~
図18で説明したように、メンテナンス機能を用いて、
図18の区分選択画面120にて「セット」を選択して、パレットアイテムを作成する。
【0133】
図18の区分選択画面120にて「セット」を選択すると、
図29のようなパレットアイテム登録画面180が表示される。ユーザは、名称入力欄182にパレットアイテムのセット化の名称(セット名)を入力することができ、このセット名に対して、具体的に紐付けるパレットアイテムの項目を、追加ボタン184を押下して設定することができる。そして、セット化された入力項目は、パレットアイテム表示欄186に列挙される。
【0134】
図29では、名称入力欄182に「麻酔開始+O2」というセット名が入力され、このセット名に対して、麻酔開始のイベントと、酸素の投与(投与量6L/min)との組み合わせ情報が定義された例が示されている。こうして複数の入力項目がセット化されたパレットアイテムは、入力リスト60に表示される。
【0135】
図30は、セット化された複数の入力項目を同時にパレット入力する場合の例を示す説明図である。例えば、入力リスト60の中から「麻酔開始+O2」のセット領域190をドラッグして、記録情報表示欄58上の領域にドロップすると、そのドロップ位置に対応する時刻に麻酔が開始され、かつ、酸素が6L/minで投与されたことを示す情報が加えられて、付記情報と投与情報とがそれぞれ更新され、付記情報表示欄56と投与情報表示欄54との表示が更新される。記録情報表示欄58におけるセット領域190のドロップ先の領域は本開示における「第5領域」の一例である。
【0136】
図30の例では、付記情報表示欄56に麻酔開始のイベントを示す記号(×)が表示され、かつ、投与情報表示欄54の酸素(O2)の表示領域に酸素投与量を示す「6」という文字が表示され、さらに、酸素の持続投与中であることを示すライン194が表示される。セット化する入力項目の種類および数は特に限定されない。セット化されたパレットアイテムを用いることで、複数の入力項目を1回のドラッグアンドドロップ操作により一括入力することができる。
【0137】
《パレットを使用しない入力操作の例》
医療情報管理システム10は、パレット入力機能の他に、パレットを使用しない手入力の機能も備えている。ユーザはパレットを使用せずに投与情報、イベント情報およびリマークス情報を入力することができる。
【0138】
[パレットを使用しない投与情報入力の操作手順の例]
図31は、パレットを使用せずに投与情報を入力する際の操作手順の例を示す画面遷移図である。ユーザは次の操作手順1A~5Aにより、投与情報を手入力することができる。
【0139】
手順1A:ユーザは、投与情報表示欄54上において任意の位置をクリックする。投与情報表示欄54の薬剤列に表示されている薬剤についての情報を入力する場合には、投与情報表示欄54における対象薬剤の薬剤行の上でクリックすることにより、後述の投与情報入力画面210における薬剤名入力欄212が自動入力される。
【0140】
このクリック操作により、クリック位置に時刻指定メニュー200と線分71とが表示される。時刻指定メニュー200は、時刻表示欄201と、調整ボタン202,203と、確定ボタン204と、キャンセルボタン206とを含む。時刻表示欄201には、クリック位置に対応する時刻が初期表示される。
【0141】
手順2A:ユーザは、調整ボタン202,203を操作することにより、時刻を調整する。調整ボタン202,203の調整によって時刻表示欄201の時刻と線分71の位置が更新される。
【0142】
手順3A:所望の時刻が指定された状態でユーザが確定ボタン204を押下すると、投与情報入力画面210が表示される。投与情報入力画面210は、薬剤名入力欄212と、投与方法選択欄214と、投与量入力欄216と、確定ボタン218とを含む。薬剤名入力欄212には、投与情報表示欄54のクリック位置に対応する薬剤行の薬剤名が自動入力により初期表示される。
【0143】
手順4A:薬剤名を変更する場合には、変更ボタン213を押下して図示しないプルダウンメニューを表示させ、プルダウンメニューの中から薬剤名を選択することができる。また、ユーザはプルダウンメニューにない新規の薬剤名を追加することもできる。ユーザは投与情報入力画面210にて、薬剤名および投与方法を選択し、かつ、投与量を入力する。
【0144】
手順5A:投与情報入力画面210における各項目の入力を終えたらユーザは確定ボタン218を押下して設定を確定させ、投与情報を登録する。
【0145】
こうして、投与情報が登録されると、登録された投与情報を反映して投与情報表示欄54の表示が更新される。
図31の下段には、手順5Aにより投与情報が登録された状態の投与情報表示欄54の表示例が示されている。この例では、投与情報入力画面210にて確定させた設定を反映して、投与情報表示欄54における「エスラックス10mg/ml」という薬剤名の表示領域(薬剤行)に、太線の四角枠で囲んで示すように、「↓2mg」というワンショット投与の投与量を示す情報が表示される。
【0146】
[パレットを使用しないイベント情報入力の操作手順の例]
図32は、パレットを使用せずにイベント情報を入力する際の操作手順の例を示す画面遷移図である。ユーザは次の操作手順1B~5Bにより、イベント情報を手入力することができる。
【0147】
手順1B:ユーザは、付記情報表示欄56の任意の位置をクリックする。このクリック操作により、クリック位置に時刻指定メニュー220と線分71とが表示される。時刻指定メニュー220は、時刻表示欄201と、調整ボタン202,203と、イベントボタン224と、備考ボタン225と、キャンセルボタン206とを含む。時刻表示欄201および調整ボタン202,203の役割は
図31で説明したとおりである。
【0148】
手順2B:ユーザは、調整ボタン202,203を操作することにより、時刻を調整する。
【0149】
手順3B:所望の時刻が指定された状態でユーザがイベントボタン224を押下すると、イベント入力画面230が表示される。イベント入力画面230は、イベントの種別を選択する種別選択欄232と、イベント項目を選択するイベント選択欄234と、選択ボタン236とを含む。イベント選択欄234には、種別選択欄232にて選択された種別に属する(分類された)イベントの種類が表示される。
【0150】
手順4B:ユーザは、イベント入力画面230においてイベント選択欄234からイベントの種類を選択して選択ボタン236を押下する。
【0151】
手順5B:選択ボタン236が押下されると、選択に係るイベントの確認画面240が表示される。ユーザは、確認画面240において、イベントの時刻を確認し、確定ボタン242を押下する。なお、ユーザは、確認画面240においてイベントの時刻を修正することができる。
【0152】
こうして、イベント情報が登録されると、登録されたイベント情報を反映して付記情報表示欄56の表示が更新され、付記情報表示欄56にイベントの種類を表すマークまたは帯などが表示される。
【0153】
図33は、手順5Bによりイベント情報が登録された状態の付記情報表示欄56の表示例が示されている。この例では、イベント入力画面230および確認画面240を経て確定させたイベントの内容を反映して、付記情報表示欄56における該当の時刻に、「手術開始」のイベントを表す二重丸のマーク244が表示される。
【0154】
[パレットを使用しないリマークス情報入力の操作手順の例]
図34は、パレットを使用せずにリマークス情報を入力する際の画面の例である。ユーザは次の操作手順1C~5Cにより、リマークス情報を手入力することができる。
【0155】
手順1C:ユーザは、付記情報表示欄56の任意の位置をクリックする。
図32でも説明したように、このクリック操作により、クリック位置に時刻指定メニュー220と線分71とが表示される。
【0156】
手順2C:ユーザは、調整ボタン202,203を操作することにより、時刻を調整する。
【0157】
手順3C:所望の時刻が指定された状態でユーザが備考ボタン225を押下すると、
図35のような、リマークス入力画面250が表示される。リマークス入力画面250は、リマークスの設定文表示欄252と、区分選択欄254と、テンプレート選択欄256と、確定ボタン258とを含む。区分選択欄254は、備考の内容の分類(区分)の選択候補が表示される。テンプレート選択欄256には、設定文の作成に用いることができる複数の語句および記号等の選択肢が表示される。なお、テンプレート選択欄256は、区分選択欄254にて選択された項目に対応して選択可能な選択肢だけを表示させてもよいし、選択可能な選択肢を差別化表示してもよい。
【0158】
手順4C:ユーザは、区分選択欄254およびテンプレート選択欄256に表示される選択候補の中から、該当する項目を選択するテンプレート形式の入力により、リマークスの文章(設定文)を作成することができる。作成された文章は設定文表示欄252に表示される。なお、テンプレート形式によらず、設定文表示欄252に直接文章を書き込む入力を行うことも可能である。
【0159】
手順5C:設定文を作成後、ユーザはリマークスに係る事柄の時刻を確認して確定ボタン258を押下する。
【0160】
こうして、リマークス情報が登録されると、登録されたリマークス情報を反映して付記情報表示欄56の表示が更新され、付記情報表示欄56におけるリマークス表示領域の対象時刻の位置に、リマークス情報に対応する記号が表示される。なお、リマークス表示領域は、例えば、生体情報表示欄52の下部の領域であってよい。
【0161】
図36は、手順5Cによりリマークス情報が登録された状態の付記情報表示欄56の表示例が示されている。この例では、付記情報表示欄56における対象時刻の位置に対応する領域260に、リマークス情報の登録番号(リマークス番号)を表す「2」という記号が表示される。このリマークス番号を示す「2」の記号をクリック、または「2」の記号にマウスオーバーすると、この記号に紐付けされた設定文(リマークスの内容)が表示される。
【0162】
《登録済みの記録を選択してパレットに追加できる機能》
医療情報管理システム10は、パレットを使わずに手入力により登録した記録を記録情報表示欄58の領域上で選択して、その登録済みの記録を入力リスト60のパレットに追加できる機能を有する。例えば、
図31~
図36で説明したように、パレットを使わずに手入力で登録した記録を記録情報表示欄58の上で「右クリック」し、右クリックメニューの中から「パレットに追加」という項目をクリックすることにより、パレットに入力項目を追加することができる。
【0163】
図37は、投与情報表示欄54に記録された薬剤に関する情報を入力リスト60に追加する操作の例を示す画面例である。
図37に示す投与情報表示欄54における薬剤名の列に示された複数の薬剤のうち、例えば、「A」という名称の薬剤の薬剤行270に表示されている薬剤名「A」とその投与量「0.25μ/k/m」の情報は、パレット(入力リスト60)を使わずに手入力により登録されたものであるとする。
【0164】
ユーザが投与情報表示欄54における薬剤名「A」の表示領域271またはこの薬剤名「A」の薬剤行270における投与量の数値「0.25μ/k/m」の表示領域272を選択して右クリックの操作を行うと、
図38に示すような右クリックメニュー274が表示される。
【0165】
図38は、投与量の表示領域272にて右クリックした場合の表示例である。ユーザが右クリックメニュー274から「パレットに追加」の項目を選択すると、
図39に示すように、入力リスト60に薬剤名「A」の新規行が追加され、投与量「0.25」の項目が追加される。
【0166】
このような右クリックによる操作に限らず、ドラッグアンドドロップの操作によって同様の処理が行われてもよい。例えば、投与量の表示領域272をドラッグして、入力リスト60の表示領域に移動させ、入力リスト60上でドロップすると、
図39に示すように、入力リスト60に薬剤名「A」の新規行が追加され、投与量「0.25」の項目が追加されてもよい。この場合のドラッグは、投与情報表示欄54上の薬剤および投与量を指定することの概念を含む。また、入力リスト60へのドロップは、入力リスト60内の領域を指定することの概念を含む。
【0167】
このような2クリック操作、あるいはドラッグアンドドロップ操作により、パレットに入力項目を簡単に追加することができる。この機能によれば、メンテナンス機能を立ち上げずに、投与記録を作成しながらパレットを成長させることができる。
【0168】
図37から
図39では、薬剤および投与量の入力項目をパレットに追加する例を述べたが、付記情報表示欄56に記録されたイベントおよび/またはリマークスについても同様の操作により、パレットに追加することができる。
【0169】
《医療情報管理システム10の構成例》
図40は、実施形態に係る医療情報管理システム10の構成例を示すブロック図である。る医療情報管理システム10に用いられる情報処理装置12は、プロセッサ402と、非一時的な有体物であるコンピュータ可読媒体404と、通信インターフェース406と、入出力インターフェース408とを備える。
【0170】
プロセッサ402はCPU(Central Processing Unit)を含む。プロセッサ402はGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。プロセッサ402は、バス410を介してコンピュータ可読媒体404、通信インターフェース406および入出力インターフェース408と接続される。入力装置14および表示装置16は入出力インターフェース408を介してプロセッサ402と接続される。また、生体情報センサ30およびME機器32は入出力インターフェース408を介してプロセッサ402と接続される。
【0171】
通信インターフェース406は、有線または無線により外部装置との通信処理を行い、外部装置との間で情報のやり取りを行うインターフェースである。情報処理装置12は、通信インターフェース406を介して通信回線22に接続され(
図1参照)、医療機関内ネットワーク上のデータサーバ26および他の端末などの外部装置と通信可能に接続される。
【0172】
通信インターフェース406は、処理対象のデータおよび処理要求等の入力を受け付ける情報取得部としての役割を担うことができる。また、通信インターフェース406は、情報処理装置12の処理結果等を出力する情報出力部としての役割を担うことができる。
【0173】
コンピュータ可読媒体404は、主記憶装置であるメモリおよび補助記憶装置であるストレージを含む。コンピュータ可読媒体404は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク(Hard Disk Drive:HDD)装置、もしくはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)装置またはこれらの複数の組み合わせであってよい。コンピュータ可読媒体404は本開示における「記憶装置」の一例である。
【0174】
コンピュータ可読媒体404には、医療情報管理プログラム420、メンテナンスプログラム422および図示しない表示制御プログラムを含む複数のプログラムおよびデータ等が記憶される。コンピュータ可読媒体404は、パレット設定保存部424と、入力リスト保存部426と、投与記録保存部428とを含む。パレット設定保存部424には、メンテナンスプログラム422を用いて設定された入力リスト60のパレットに関する設定情報が保存される。入力リスト保存部426には、登録された複数のパレットアイテムパターンを含む入力リスト60のデータが保存される。投与記録保存部428には、医療情報管理プログラム420を用いて作成された投与記録のデータが保存される。
【0175】
プロセッサ402は、コンピュータ可読媒体404に記憶されたプログラムを読み出し、プログラムの命令に従い、各種の処理を実行する。ストレージに記憶されているプログラムがメモリにロードされ、これをプロセッサ402が実行することにより、情報処理装置12は、プログラムで規定される各種の処理を行う手段として機能する。
【0176】
すなわち、プロセッサ402は、医療情報管理プログラム420およびメンテナンスプログラム422などのプログラムを実行することにより、生体情報取得部432、入力情報取得部434、投与記録作成部436、入力リスト取得部438、入力リスト作成部440および表示制御部446として機能する。
【0177】
生体情報取得部432は、生体情報センサ30から生体情報の入力を受け付け、生体情報を取得する。生体情報取得部432は、データサーバ26から生体情報を取得してもよい。
【0178】
入力情報取得部434は、入力装置14からの各種情報の入力を受け付け、入力装置14を介して入力された情報の内容に応じて対応する処理部に指令および情報などを送る。入力情報取得部434は、薬剤情報取得部450と、イベント情報取得部452と、リマークス情報取得部454と、入力リスト指定情報取得部456と、設定情報取得部458とを含む。
【0179】
薬剤情報取得部450は、入力リスト60を利用したドラッグアンドドロップ操作または手入力の操作により入力される薬剤情報を取得する。同様に、イベント情報取得部452とリマークス情報取得部454とは、入力リスト60を利用したドラッグアンドドロップ操作または手入力の操作により入力されるイベント情報とリマークス情報とをそれぞれ取得する。
【0180】
入力リスト指定情報取得部456は、入力リスト60として表示させるパレットアイテムパターンを指定する情報の入力を受け付ける。入力リスト指定情報取得部456は、手術フローの選択に紐付いたパレットアイテムパターンの指定情報を取得してもよいし、入力装置14からユーザの操作によって指定されたタブに対応するパレットアイテムパターンの指定情報を取得してもよい。入力リスト取得部438は、入力リスト指定情報取得部456を介して取得された指定情報に基づいて、入力リスト保存部426から対応する入力リスト60のデータを読み出す。
【0181】
設定情報取得部458は、メンテナンス機能などによる各種の設定に関する情報を取得する。入力リスト作成部440は、設定情報取得部458を介して取得される設定情報に基づき、入力リスト60を作成する。入力リスト作成部440は、パレット設定部442を含み、パレット設定部442は、パレットアイテムの登録およびパレットアイテムパターンの登録などパレットの設定に関する処理を行う。パレット設定部442によって設定されたパレット設定情報はパレット設定保存部424に保存される。
【0182】
プロセッサ402は、メンテナンス画面90にてユーザから入力リスト60に表示する薬剤および薬剤ごとの投与量のうち少なくとも1つの項目についての変更、追加および削除のうち少なくとも1つの指示を含む設定の入力を受け付け、その設定に従い、入力リスト60に複数の薬剤領域62を含むパレットを表示させる。
【0183】
投与記録作成部436は、
図3に例示した麻酔記録に代表される投与記録を作成する。投与記録作成部436は、生体情報記録処理部462と、投与情報記録処理部464と、付記情報記録処理部466とを含む。生体情報記録処理部462は、生体情報取得部432を介して取得される生体情報を記録する処理を行う。生体情報記録処理部462は、生体情報の項目別に時系列の生体情報をグラフ化する処理機能を含む。
【0184】
投与情報記録処理部464は、薬剤情報取得部450を介して取得される薬剤情報および薬剤の投与タイミングを含む投与情報を記録する処理を行う。付記情報記録処理部466は、イベント情報取得部452またはリマークス情報取得部454を介して取得される付記情報を記録する処理を行う。生体情報記録処理部462、投与情報記録処理部464および付記情報記録処理部466は、それぞれの情報項目を共通の時間軸に紐付けて記録する。
【0185】
なお、プロセッサ402は、時計部470を備えており、時計部470は日付および現在時刻を含む日時情報を生成する。時計部470によって日付、現在時刻および時間範囲(期間)などが把握され、生体情報取得部432および入力情報取得部434を介して入力される情報は時系列で管理することができる。
【0186】
表示制御部446は、表示装置16に表示させるための表示用データを生成する処理を行う。表示制御部446は、記録情報表示制御部480と、入力リスト表示制御部490と、設定画面表示制御部492とを含む。記録情報表示制御部480は、
図3で説明した記録情報表示欄58の表示を行うための表示用データを生成し、記録情報表示欄58の表示を制御する。
【0187】
記録情報表示制御部480は、生体情報表示制御部482と、投与情報表示制御部484と、付記情報表示制御部486とを含む。生体情報表示制御部482は、生体情報表示欄52の表示を行うための生体情報を含む表示用データを生成する。投与情報表示制御部484は、投与情報表示欄54の表示を行うため投与情報を含む表示用データを生成する。付記情報表示制御部486は、付記情報表示欄56の表示を行うため付記情報を含む表示用データを生成する。
【0188】
入力リスト表示制御部490は、入力リスト60の表示を行うための表示用データを生成し、入力リスト60の表示を制御する。
【0189】
設定画面表示制御部492は、各種の設定画面の表示を行うための表示用データを生成し、設定画面の表示を制御する。
【0190】
医療情報管理システム10の機能および動作は既に説明したとおりである。医療情報管理システム10によって投与記録を作成し、医療情報管理を行う方法は本開示における医療情報管理方法の一例である。
【0191】
《コンピュータを動作させるプログラムについて》
上記の実施形態で説明した医療情報管理システム10における各種の処理機能のうち少なくとも1つの処理機能の一部または全部をコンピュータに実現させるプログラムを、光ディスク、磁気ディスク、もしくは、半導体メモリその他の有体物たる非一時的な情報記憶媒体であるコンピュータ可読媒体に記録し、この情報記憶媒体を通じてプログラムを提供することが可能である。
【0192】
またこのような非一時的なコンピュータ可読媒体にプログラムを記憶させて提供する態様に代えて、インターネットなどの通信回線を利用してプログラム信号をダウンロードサービスとして提供することも可能である。
【0193】
さらに、医療情報管理システム10の処理機能の一部または全部をクラウドコンピューティングによって実現し、SaaS(Software as a Service)のクラウドサービスとして提供することも可能である。
【0194】
《各処理部のハードウェア構成について》
医療情報管理システム10における生体情報取得部432、入力情報取得部434、投与記録作成部436、入力リスト取得部438、入力リスト作成部440および表示制御部446などの各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、例えば、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。
【0195】
各種のプロセッサには、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU、画像処理に特化したプロセッサであるGPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0196】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサで構成されてもよい。例えば、1つの処理部は、複数のFPGA、あるいは、CPUとFPGAの組み合わせ、またはCPUとGPUの組み合わせによって構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第一に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第二に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0197】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0198】
《本実施形態による利点》
(1)実施形態に係る医療情報管理システム10によれば、入力リスト60上の薬剤領域62を記録情報表示欄58の領域にドラッグアンドドロップする入力を受け付け、このドラッグアンドドロップ入力を反映して投与情報表示欄54の投与情報が更新される。これにより、ユーザによる投与情報の入力作業を簡易化することができる。
【0199】
(2)入力リスト60の薬剤領域62をドラッグして生体情報表示欄52の領域にドロップすることができるため、生体情報の時間遷移を確認しながら、時間軸における適切な時刻の箇所に投与情報を記録することが可能である。また、同様に、入力リスト60の付記領域64をドラッグして生体情報表示欄52の領域にドロップすることができるため、生体情報の時間遷移を確認しながら、時間軸における適切な時刻の箇所に付記情報を記録することが可能である。
【0200】
(3)入力リスト60に表示されている投与量の単位とは異なる単位による投与量を簡単に表示させることができるため、ユーザはデータを入力する際に複数の単位で投与量を確認することができる。
【0201】
(4)入力リスト60の表示に関して、様々な差別化表示を設定できるため、視認性を高めることができる。
【0202】
(5)手術フローあるいはログインユーザに応じて、入力リスト60の表示を切り替えることができ、利便性の高い入力候補の提示が可能である。
【0203】
上記(1)~(5)の利点は、医療情報管理システム10の利点の一部である。実施形態に係る医療情報管理システム10に実装された様々な機能によって、利便性の高いユーザインターフェースが実現され、ユーザは簡単な操作で投与記録を作成することが可能である。
【0204】
《変形例》
上述した実施形態では、麻酔記録を例に説明したが、麻酔に限らず、様々な薬種についての投与記録を作成する用途に本開示の技術は適用可能である。また、
図3に例示した麻酔記録画面50においては、生体情報、投与情報および付記情報を記録する例を説明したが、用途によっては、付記情報の記録および表示の機能を省略する形態も可能である。
【0205】
《その他》
以上説明した本開示の実施形態は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成を変更、追加、または削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0206】
10 医療情報管理システム
12 情報処理装置
14 入力装置
16 表示装置
20 医療情報システム
22 通信回線
24 電子カルテシステム
26 データサーバ
30 生体情報センサ
32 麻酔器
40 アプリケーション画面
41 患者情報表示欄
42 ナビゲーションバー
43 麻酔記録ボタン
44 ログイン画面
46 OKボタン
50 麻酔記録画面
51 ユーザ名表示欄
52 生体情報表示欄
54 投与情報表示欄
56 付記情報表示欄
58 記録情報表示欄
59 線分
60 入力リスト
62,62a,62b 薬剤領域
63 薬剤リスト
63a 薬種セル
63b 単位セル
63c 投与量セル
64 付記領域
65 付記リスト
66a,66b,66c コンボボックス
70 領域
71 線分
72 時刻情報
73 薬剤情報
80 ポップアップ
84 単位領域
86 プルダウンメニュー
87 領域
90 メンテナンス画面
92 分類タブ
93 項目
96 詳細設定画面
97 追加ボタン
98 新規ボタン
99 パターン一覧表示欄
100 登録画面
102 名称入力欄
104 説明入力欄
106 チェックボックス
108 登録ボタン
110 詳細設定画面
112 パレットアイテム一覧表示欄
114 追加ボタン
120 区分選択画面
122 確定ボタン
130 フロー別パターン設定画面
132 フロー別パターン設定ボタン
134 フロー設定ボタン
140 フロー設定画面
142 確定ボタン
150 フロー別パターン登録画面
152 入力欄
154 選択ボタン
156 登録ボタン
160 パターン設定画面
162 確定ボタン
171,172,173,174 タブ
176 スクロールバー
180 パレットアイテム登録画面
182 名称入力欄
184 追加ボタン
186 パレットアイテム表示欄
190 セット領域
194 ライン
200 時刻指定メニュー
201 時刻表示欄
202,203 調整ボタン
204 確定ボタン
206 キャンセルボタン
210 投与情報入力画面
212 薬剤名入力欄
213 変更ボタン
214 投与方法選択欄
216 投与量入力欄
218 確定ボタン
220 時刻指定メニュー
224 イベントボタン
225 備考ボタン
230 イベント入力画面
232 種別選択欄
234 イベント選択欄
236 選択ボタン
240 確認画面
242 確定ボタン
244 マーク
250 リマークス入力画面
252 設定文表示欄
254 区分選択欄
256 テンプレート選択欄
258 確定ボタン
270 薬剤行
271 表示領域
272 表示領域
274 右クリックメニュー
402 プロセッサ
404 コンピュータ可読媒体
406 通信インターフェース
408 入出力インターフェース
410 バス
420 医療情報管理プログラム
422 メンテナンスプログラム
424 パレット設定保存部
426 入力リスト保存部
428 投与記録保存部
432 生体情報取得部
434 入力情報取得部
436 投与記録作成部
438 入力リスト取得部
440 入力リスト作成部
442 パレット設定部
446 表示制御部
450 薬剤情報取得部
452 イベント情報取得部
454 リマークス情報取得部
456 入力リスト指定情報取得部
458 設定情報取得部
462 生体情報記録処理部
464 投与情報記録処理部
466 付記情報記録処理部
470 時計部
480 記録情報表示制御部
482 生体情報表示制御部
484 投与情報表示制御部
486 付記情報表示制御部
490 入力リスト表示制御部
492 設定画面表示制御部
PLA,PLB,PL1,PL2,PL3,PL4,PL5 薬剤パレット行