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特許7547483薄膜の異方性堆積のためのリボンビームプラズマ化学気相堆積システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】薄膜の異方性堆積のためのリボンビームプラズマ化学気相堆積システム
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/513 20060101AFI20240902BHJP
   H01J 37/08 20060101ALI20240902BHJP
   H01J 37/317 20060101ALI20240902BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240902BHJP
   H01J 27/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
C23C16/513
H01J37/08
H01J37/317 E
H05H1/46 A
H01L21/31 C
H01J27/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022536556
(86)(22)【出願日】2020-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 US2020057253
(87)【国際公開番号】W WO2021126365
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】62/949,582
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/840,424
(32)【優先日】2020-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハウタラ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マー, トリスタン ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】クルンチ, ピーター エフ.
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0038393(US,A1)
【文献】特開2001-226775(JP,A)
【文献】特表2016-540360(JP,A)
【文献】特開平09-289193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/513
H01J 37/08
H01J 37/317
H05H 1/46
H01L 21/31
H01J 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リボンビームプラズマ化学気相堆積(PECVD)システムであって、
基板を支持するためのプラテンを含むプロセスチャンバ、及び
前記プロセスチャンバに隣接して配置され、プラズマチャンバ内でフリーラジカルを生成するように適合されたプラズマ源を備え、
前記プラズマチャンバは、円筒形状であり、前記フリーラジカルのビームが前記プラズマチャンバから出ることを可能にするために関連付けられた開口を有し、
前記開口は、前記ビームをコリメートするための前記プラズマチャンバから延在する細長いノズルによって画定され、
前記プロセスチャンバは、第1の圧力に維持され、前記プラズマチャンバは、前記プラズマチャンバから前記プロセスチャンバの中へ前記フリーラジカルを駆動するために、前記第1の圧力よりも高い第2の圧力に維持され、
前記プラズマチャンバ全体は、前記ノズルを含めて、前記プラテンの表面に対して斜めの角度で前記プラテンに向けて前記ビームを誘導するために前記プラズマチャンバの長軸の周りで回転可能である、リボンビームPECVDシステム。
【請求項2】
前記ノズルは、前記開口の幅にわたり平行且つ離隔した関係で配置された複数の交差部材を含む、請求項1に記載のリボンビームPECVDシステム。
【請求項3】
前記プロセスチャンバ内の前記第1の圧力は、10-6torrから10-2torrの範囲にあり、前記プラズマチャンバ内の前記第2の圧力は、1millitorrから1torrの範囲にある、請求項1に記載のリボンビームPECVDシステム。
【請求項4】
前記プラズマ源は、ガス源によって前記プラズマチャンバに供給されるガス種からプラズマを生成するように構成されている、請求項1に記載のリボンビームPECVDシステム。
【請求項5】
前記ガス種は、SiH4、CH4、NH3、O2、N2、SiCl4、GeH4、Ar、及びWF6のうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のリボンビームPECVDシステム。
【請求項6】
前記開口は一次開口であり、前記PECVDシステムは、前記プラズマチャンバと前記基板との間に配置され、前記一次開口から放出されるリボンビームの経路内に位置付けられた二次開口を画定するバリアを更に備える、請求項1に記載のリボンビームPECVDシステム。
【請求項7】
前記プラズマチャンバ及び前記プロセスチャンバに結合され、前記プラズマチャンバからイオンを抽出するために、前記プラズマチャンバと前記基板との間に電圧差を選択的に印加するように適合されたバイアス電源を更に備える、請求項1に記載のリボンビームPECVDシステム。
【請求項8】
前記リボンビームPECVDシステムは、前記プラズマチャンバからイオンを抽出し、イオンリッチなリボンビームを生成するように、前記バイアス電源が活性化される、第1のイオンビームモードで、及び、前記バイアス電源が活性化されず、したがって、フリーラジカルリッチであり、イオンリッチでないリボンビームを生成する、第2のラジカルモードで、選択的に動作可能である、請求項に記載のリボンビームPECVDシステム。
【請求項9】
リボンビームプラズマ化学気相堆積(PECVD)システムであって、
基板を支持するためのプラテンを含むプロセスチャンバ、及び
前記プロセスチャンバに隣接して配置され、プラズマチャンバに供給されるガス種からフリーラジカルを生成するように適合されたプラズマ源を備え、
前記プラズマチャンバは、円筒形状であり、前記フリーラジカルのビームが前記プラズマチャンバから出ることを可能にするために関連付けられた開口を有し、
前記開口は、前記ビームをコリメートするための前記プラズマチャンバから延在する細長いノズルによって画定され、
前記プロセスチャンバは、10-6torrから10-2torrの範囲の第1の圧力に維持され、前記プラズマチャンバは、1millitorrから1torrの範囲の第2の圧力に維持され
前記プラズマチャンバ全体は、前記ノズルを含めて、前記プラテンの表面に対して斜めの角度で前記プラテンに向けて前記ビームを誘導するために前記プラズマチャンバの長軸の周りで回転可能である、システム。
【請求項10】
基板を支持するためのプラテンを含むプロセスチャンバ、及び前記プロセスチャンバに隣接して配置されたプラズマ源を含む、リボンビームプラズマ化学気相堆積(PECVD)システムを動作させる方法であって、
ガス源から前記プラズマ源の円筒形状であるプラズマチャンバにガス種を供給すること、
前記プラズマチャンバ内にエネルギープラズマを生成するために、前記ガス種を点火すること、
前記プラズマチャンバに関連付けられた開口を通して前記プラズマのフリーラジカルを含有するコリメートされたリボンビームを抽出するために、前記プラズマチャンバと前記プロセスチャンバとの間に圧力差を確立することであって、前記開口が、前記プラズマチャンバから直接延在する放射状に細長いノズルによって画定され、前記コリメートされたリボンビームが、前記基板に向けて誘導される、前記プラズマチャンバと前記プロセスチャンバとの間に圧力差を確立すること、及び
前記プラズマチャンバ全体を、前記ノズルを含めて、前記基板の表面に対して斜めの角度で前記基板に向けて前記リボンビームを誘導するために前記プラズマチャンバの長軸の周りで回転させること、
を含む、方法。
【請求項11】
前記ガス種が、SiH4、CH4、NH3、O2、N2、SiCl4、GeH4、Ar、及びWF6のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロセスチャンバ内の第1の圧力は、10-6torrから10-2torrの範囲にあり、前記プラズマチャンバ内の第2の圧力は、1millitorrから1torrの範囲にある、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ノズルは、前記開口の幅にわたり平行且つ離隔した関係で配置された複数の交差部材を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記開口は一次開口であり、前記方法は、前記プラズマチャンバと前記基板との間に配置されたバリア内の二次開口を通して前記リボンビームを誘導することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
イオンリッチなリボンビームを生成するように、前記プラズマチャンバからイオンを抽出するために、前記プラズマチャンバと前記基板との間に電圧差を選択的に印加するよう前記プラズマチャンバ及び前記プロセスチャンバに結合されたバイアス電源を活性化することによって、前記PECVDシステムをイオンビームモードで動作させることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
フリーラジカルリッチであり、イオンリッチでないリボンビームを生成するために、前記バイアス電源を活性化しないことによって、前記PECVDシステムをラジカルモードで動作させることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、令和1年12月18日に出願された米国仮特許出願第62/949,582号の利益を主張する。
【0002】
[0002] 本開示の実施形態は、広くは、半導体デバイス製造の分野に関し、特に、ターゲット基板の表面に対して方向が特定されたやり方で、斜めの角度で薄膜を堆積することができるプラズマ化学気相堆積システムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] プラズマ化学気相堆積(PECVD)は、基板(例えば、シリコンウエハ)上に薄膜を堆積するために使用される比較的低温の化学気相堆積プロセスである。従来のPECVDプロセスは、プロセスチャンバ内の低圧供給ガス(例えば、シラン、メタンなど)に高周波電圧を印加することによってプラズマを点火することを含む。プラズマは、イオン化ガス種、電子、並びに基底状態及び励起状態の中性種を含有する。プラズマ内では、電子とガス分子との間で非弾性衝突が起こり、励起された中性子及びフリーラジカルならびにイオン及び電子などの反応種を生成する。反応種は、プロセスチャンバ内に配置されたターゲット基板の表面と化学的に反応して、その上に薄膜を形成する。
【0004】
[0004] 従来のPECVDプロセスでは、プラズマのフリーラジカルが、典型的には、方向が特定されない等方性のやり方で、ターゲット基板の露出面上に分配され、その結果、基板上に均一な厚さの薄膜が形成される。このタイプの均一な堆積は、幾つかの用途にとって望ましい。他の用途では、方向が特定された異方性堆積が望ましい。例えば、基板の表面に対して特定の斜めの角度で反応種を基板に向けることは、基板の表面特徴(例えば、トレンチ、フィンなど)の特定の側面及び/又は部分に膜を堆積させ、一方で、そのよう表面特徴の他の側面及び/又は部分をそのような堆積が生じないように保つために望ましいだろう。このやり方で指向的に基板上に薄膜を堆積させることは、従来のPECVDシステムを用いてはこれまで不可能であった。
【0005】
[0005] これら及び他の考慮事項に関して、本発明の改良は有用であり得る。
【発明の概要】
【0006】
[0006] この概要は、以下の「発明を実施するための形態」で更に説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、特許請求される主題の範囲を決定することにおいて助けとすることも意図されていない。
【0007】
[0007] 本開示によるリボンビームプラズマ化学気相堆積(PECVD)システムの例示的な一実施形態は、基板を支持するためのプラテンを含むプロセスチャンバ、及び、プロセスチャンバに隣接して配置され、プラズマチャンバ内でフリーラジカルを生成するように適合されたプラズマ源を含んでよい。プラズマチャンバは、フリーラジカルのビームがプラズマチャンバから出ることを可能にするために関連付けられた開口を有し、プロセスチャンバは、第1の圧力に維持され、プラズマチャンバは、プラズマチャンバからプロセスチャンバの中へフリーラジカルを駆動するために、第1の圧力よりも高い第2の圧力に維持される。
【0008】
[0008] 本開示によるリボンビームPECVDシステムの別の例示的な一実施形態は、基板を支持するためのプラテンを含むプロセスチャンバ、及び、プロセスチャンバに隣接して配置され、プラズマチャンバに供給されるガス種からフリーラジカルを生成するように適合されたプラズマ源を含んでよい。プラズマチャンバは、フリーラジカルのビームがプラズマチャンバから出ることを可能にするために関連付けられた開口を有し、プロセスチャンバは、10-6torrから10-2torrの範囲の第1の圧力に維持され、プラズマチャンバは、1millitorrから1torrの範囲の第2の圧力に維持され、プラテンとプラズマチャンバとのうちの少なくとも一方は、プラテンの表面に対して斜めの角度でプラテンに向けてビームを誘導するために移動可能であるか回転可能であるかの少なくとも一方である。
【0009】
[0009] 基板を支持するためのプラテンを含むプロセスチャンバ、及びプロセスチャンバに隣接して配置されたプラズマ源を含む、リボンビームPECVDシステムを動作させる例示的な一方法は、ガス源からプラズマ源のプラズマチャンバにガス種を供給すること、プラズマチャンバ内にエネルギープラズマを生成するために、ガス種を点火すること、及び、プラズマチャンバに関連付けられた開口を通してプラズマのフリーラジカルを含有するコリメートされたリボンビームを抽出するために、プラズマチャンバとプロセスチャンバとの間に圧力差を確立することを含む。コリメートされたリボンビームは、基板に向けて誘導される。
【0010】
[0010] 次に、実施例として、本開示の技法の様々な実施形態が、添付の図面を参照しながら説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011] 本開示の例示的な一実施形態によるリボンビームプラズマ化学気相堆積(PECVD)システムを示す概略断面図である。
図2A】[0012] 図1で示されているリボンビームPECVDシステムのノズルの一実施形態を示す斜視断面詳細図である。
図2B図1で示されているリボンビームPECVDシステムのノズルの一実施形態を示す斜視断面詳細図である。
図3A】[0013] 図1で示されているリボンビームPECVDシステムのノズルの別の一実施形態を示す斜視断面詳細図である。
図3B図1で示されているリボンビームPECVDシステムのノズルの別の一実施形態を示す斜視断面詳細図である。
図4】[0014] 改良されたリボンビームコリメーションのための二次開口を含む、図1で示されているリボンビームPECVDシステムの代替的な一実施形態を示す概略断面図である。
図5】[0015] 図1で示されているリボンビームPECVDシステムによって生成されるような、一組のパターニングされた特徴上への薄膜の指向性堆積を示す側面図である。
図6】[0016] 本開示の例示的な一実施形態によるPECVDシステムを動作させる方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0017] 次に、本実施形態が、幾つかの実施形態が示されている添付図面を参照しながら、本明細書でより網羅的に説明される。本開示の主題は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書で説明される実施形態に限定されると解釈すべきではない。これらの実施形態は、本開示が完全且つ網羅的であり、主題の特定の例示的な態様を当業者に伝えることになるように提供される。図面では、全体を通じて、類似の番号が類似の要素を指し示している。
【0013】
[0018] 図1を参照すると、本開示の例示的な一実施形態によるリボンビームプラズマ化学気相堆積システム10(以下、「システム10」)を示す概略断面図が示されている。システム10は、概して、プロセスチャンバ14に隣接して配置されたプラズマ源12を含んでよい。プラズマ源12は、以下で更に説明されるように、プラズマチャンバ18内でエネルギープラズマ16を生成し、プラズマ16を(例えば、プラズマチャンバ18のノズル20を通して)放出するように適合されてよい。プラズマチャンバ18は、概して円筒形状で描かれているが、本開示は、これに関して限定されず、プラズマチャンバ18は、様々な代替的形状及び構成で実装されてよい。
【0014】
[0019] プロセスチャンバ14は、プラズマチャンバ18のノズル20に対向した関係で、基板24(例えば、シリコンウエハ)を支持するように適合されたプラテン22を含んでよい。様々な実施形態では、プラテン22が、静電クランプ又は機械的クランプなどによって、基板24を強制的に保持するように適合されてよい。更に、プラテン22は、堆積プロセスを強化するために、所望の温度(例えば、室温と摂氏450度との間の範囲の温度)まで、基板24を制御可能に加熱するための加熱要素(図示せず)を含んでよい。
【0015】
[0020] システム10のプラズマ源12は、1以上のガス源30によってプラズマチャンバ18に供給されるガス種からプラズマ16を生成するように構成されてよい。ガス種は、SiH4、CH4、NH3、O2、N2、SiCl4、GeH4、Ar、WF6などのうちの1以上を含んでよい。本開示は、これに関して限定されない。プラズマ16(及び特にプラズマ内のフリーラジカル)は、以下で更に説明されるように、基板24に向けられたリボンビーム32の形態で、ノズル20を通して発射されてよい。様々な実施形態では、プラズマ源12が、高周波(RF)プラズマ源(例えば、誘導結合プラズマ(ICP)源、容量結合プラズマ(CCP)源、ヘリコン源、電子サイクロトロン共鳴(ECR)源など)であってよい。例えば、プラズマ源12は、電極34a、34bと、RF生成器36と、当業者によく知られたやり方でプラズマ16を点火し、維持するためのマッチングネットワーク38とを含んでよい。本開示は、これに関して限定されない。
【0016】
[0021] プラズマチャンバ18内で生成されるプラズマ16は、イオン化ガス種(イオン)、電子、励起された中性子、及びフリーラジカルを含有してよい。従来のプラズマ化学気相堆積(PECVD)システムでは、基板がプラズマと同じチャンバ内に位置付けられ、基板の(1以上の)露出面上に概して均一な厚さの薄膜を形成するために、プラズマ内のフリーラジカルは、方向が特定されない等方性のやり方で基板の表面の上に分配される。対照的に、システム10のプラズマチャンバ18は、プロセスチャンバ14から分離されている。プロセスチャンバ14内には、プラテン22及び基板24が存在し、プラズマ16のフリーラジカルを含有するコリメートされたリボンビーム32が、プラズマチャンバ18から抽出され、方向が特定された異方性のやり方で基板24に向けられる。これは、プラズマチャンバ18とプロセスチャンバ14との間に圧力差を確立し、イオンビームを抽出することによって実現される。非限定的な一実施例では、イオンビームが、細長い輪郭を有するノズル20(以下でより詳細に説明される)を通して抽出されてよい。圧力差に関して、プロセスチャンバ14は、第1の圧力に維持されてよく、プラズマチャンバ18は、第1の圧力よりも高い第2の圧力に維持されてよい。様々な実施例では、プロセスチャンバ内の第1の圧力が、10-6torrから10-2torrの範囲にあってよく、プラズマチャンバ18内の第2の圧力は、1millitorrから1torrの範囲にあってよい。本開示は、これに関して限定されない。したがって、プラズマチャンバ18とプロセスチャンバ14との間の圧力差は、プラズマ16内のフリーラジカルを、リボンビーム32の形態でプラズマチャンバ18からプロセスチャンバ14の中に駆動するための原動力を提供してよい。
【0017】
[0022] リボンビーム32は、様々な構造、デバイス、及び技法を用いて、その形状が与えられてよく、コリメートされてよい。一実施例では、リボンビーム32は、プラズマチャンバ18の細長い薄型のノズル20によって、その形状が与えられてよく、コリメートされてよい。ノズル20は、図2A及び図2Bで示される等角断面図でより詳細に示されている。描かれているように、ノズル20は、開口40であって、図示されているデカルト座標系のX軸に平行な方向(及びプラズマチャンバ18の長手軸に平行な方向)に測定される幅を有し、図示されているデカルト座標系のY軸に平行な方向に測定される高さを有する開口40を画定してよい。様々な実施形態では、開口40の幅と開口40の高さとのアスペクト比が、12:1から60:1の範囲にあってよい。具体的な実施例では、開口40が、300ミリメートルの幅、及び5ミリメートルから25ミリメートルの範囲の高さを有してよい。本開示は、これに関して限定されない。
【0018】
[0023] ノズル20は、プラズマチャンバ18から半径方向に延在してよく、したがって、図示されているデカルト座標系のZ軸に平行な方向に測定されるような深さを有する開口40を提供してよい。様々な実施形態では、開口40が、7ミリメートルから20ミリメートルの範囲の深さを有してよい。特定の一実施形態では、開口40が、10ミリメートルの深さを有してよい。本開示は、これに関して限定されない。したがって、半径方向に細長いノズル20は、リボンビーム32内でプラズマチャンバ18を出るフリーラジカルを漏斗状にするか又はチャネル状にしてよく、フリーラジカルをコリメートする傾向があり得、フリーラジカルの長い平均自由行程を促進してよい。さもなければ、フリーラジカルは(及びリボンビーム32は概して)、プラズマチャンバ18を出た後に発散する傾向があり得る。したがって、リボンビーム32の意図された指向性は、基板24上に薄膜を選択的に堆積させるために使用されるときに保存されてよい。様々な実施形態では、ノズル20を省略してよく、プラズマチャンバ18は、その側壁内に形成された抽出開口を有してよい。本開示は、これに関して限定されない。
【0019】
[0024] 図3A及び図3Bを参照すると、ノズル20の代替的な一実施形態が示されている。その場合、ノズル20は、開口40の幅にわたり平行且つ離隔した関係で配置された複数の垂直に向けられた交差部材(cross member)42を含む。交差部材42は、図2A及び図2Bで示されているノズル20の一実施形態に対して、プラズマチャンバ18を出るフリーラジカルの更なる漏斗状化及びチャネル状化を促進してよい。図4を参照すると、システム10の代替的な一実施形態が示されている。その場合、二次開口48を画定するバリア46が、プラズマチャンバ18と基板24との間に配置され、二次開口48は、リボンビーム32の経路内に位置付けられている。二次開口48は、開口40(本明細書で以後「一次開口40」とも称される)よりも基板24に近い位置でリボンビーム32を更にコリメート又は「再コリメート」するように動作してよく、したがって、図1で示されているシステム10の一実施形態に対してリボンビーム32のコリメーションを改善する。
【0020】
[0025] 図1に戻って参照すると、プラテン22は、矢印50及び52によって示されているように、プラズマチャンバ18に対して基板24を旋回及び走査するために回転可能及び移動可能であってよい。更に又は代替的に、プラズマチャンバ18は、矢印54によって示されているように、その長軸の周りで回転可能であってよい。したがって、フリーラジカルを含有するコリメートされたリボンビーム32は、基板24の表面特徴(例えば、トレンチ、フィンなど)の特定の側面及び/又は部分に膜を堆積させ、一方で、そのような表面特徴の他の側面及び/又は部分をそのような堆積がないように保つために、指向性が高い異方性のやり方で様々な斜めの角度で基板24上に発射されてよい。非限定的な一実施例では、プラテン22及び/又はプラズマチャンバ18の移動及び/又は回転が、プラテン22の表面に対して30度から80度の範囲の角度で基板24上にリボンビーム32を発射することを容易にし、角度の広がりは+/-5度から+/-30度の範囲である。
【0021】
[0026] 例えば、図5は、一組のパターニングされた特徴64(例えば、フィン、カステレーションなど)への薄膜62の指向性堆積を描いている。その場合、リボンビーム32を図の右上からパターニングされた特徴64に向けて誘導することによって、膜62が、パターニングされた特徴64の右側壁及び上面のちょうど上に堆積される。パターニングされた特徴64の間の左側壁及び床は、パターニングされた特徴64の右側壁及び上面によってシールド/シャドウイングされ、堆積がない状態に保たれる。
【0022】
[0027] 様々な実施形態では、システム10が、プラズマチャンバ18及びプロセスチャンバ14に結合されたバイアス電源70を更に含んでよい。バイアス電源70は、プラズマチャンバ18と基板24との間に電圧差を選択的に印加して、ノズル20を介してプラズマチャンバ18からイオンを抽出し、リボンビーム32をフリーラジカルリッチやイオンリッチにすることができる。リボンビーム32内のイオンは、リボンビーム32内のフリーラジカルに対する基板表面の親和性を増大させてよく、したがって、薄膜堆積を強化することができる。様々な実施形態では、システム10が、「イオンビームモード」で動作されてよく、その場合、バイアス電源70は、プラズマチャンバ18からイオンを抽出し、イオンリッチなリボンビーム32を提供するように活性化/実装され、「ラジカルモード」では、フリーラジカルリッチであり、イオンリッチではないリボンビームを生成するために、バイアス電源70が、非活性化されるか、又はさもなければプラズマチャンバ18からイオンを抽出するように使用されない。
【0023】
[0028] 図6を参照すると、本開示による上述のシステム10を動作させるための例示的な一方法を示すフロー図が示されている。次に、該方法を、図1図4で示されているシステム10の例示に関連して説明する。
【0024】
[0029] 例示的な方法のブロック1000では、ガス種が、ガス源30からプラズマチャンバ18に供給されてよい。ガス種は、SiH4、CH4、NH3、O2、N2、SiCl4、GeH4、Ar、WF6などのうちの1以上を含んでよい。本開示は、これに関して限定されない。該方法のブロック1100では、プラズマチャンバ18内のガス種が点火されて、エネルギープラズマ16を生成してよい。
【0025】
[0030] 例示的な方法のブロック1200では、プラズマチャンバ18からフリーラジカルを含有するコリメートされたリボンビーム32を抽出するために、プラズマチャンバ18とプロセスチャンバ14との間に圧力差が確立されてよい。コリメートされたリボンビーム32は、プロセスチャンバ14内のプラテン22上に配置された基板24に向けられる。例えば、プロセスチャンバ14は、第1の圧力に維持されてよく、プラズマチャンバ18は、第1の圧力よりも高い第2の圧力に維持されてよい。様々な実施例では、プロセスチャンバ内の第1の圧力は、10-6torrから10-2torrの範囲であってよく、プラズマチャンバ18内の第2の圧力は、1millitorrから1torrの範囲であってよい。本開示は、これに関して限定されない。
【0026】
[0031] 例示的な方法のブロック1300では、フリーラジカルを含有するリボンビーム32がコリメートされてよく、基板24に向けられてよい。非限定的な一実施例では、フリーラジカルを含有するリボンビーム32が、半径方向に細長いノズル20を通して抽出されてよい。ノズル20は、細長い輪郭を有してよく、開口40であって、図2Bで示されている例示的なデカルト座標系のX軸に平行な方向(及びプラズマチャンバ18の長手軸に平行な方向)に測定される幅を有し、例示的なデカルト座標系のY軸に平行な方向に測定される高さを有する開口40を画定してよい。様々な実施形態では、開口40の幅と開口40の高さとのアスペクト比が、12:1から60:1の範囲にあってよい。具体的な実施例では、開口40が、300ミリメートルの幅、及び5ミリメートルから25ミリメートルの範囲の高さを有してよい。本開示は、これに関して限定されない。開口40は、例示的なデカルト座標系のZ軸に平行な方向に測定されるような深さを有してよい。様々な実施形態では、開口40が、7ミリメートルから20ミリメートルの範囲の深さを有してよい。特定の一実施形態では、開口40が、10ミリメートルの深さを有してよい。本開示は、これに関して限定されない。したがって、半径方向に細長いノズル20は、リボンビーム32内でプラズマチャンバ18を出るフリーラジカルを漏斗状にするか又はチャネル状にしてよく、フリーラジカルをコリメートする傾向があり得、フリーラジカルの長い平均自由行程を促進してよい。さもなければ、フリーラジカルは(及びリボンビーム32は概して)、プラズマチャンバ18を出た後に発散する傾向があり得る。したがって、リボンビーム32の意図された指向性は、基板24上に薄膜を選択的に堆積させるために使用されるときに保存されてよい。
【0027】
[0032] 様々な実施形態では、ノズル20が、プラズマチャンバ18を出るフリーラジカルの更なる漏斗状化及びチャネル状化を促進するために、開口40の幅わたり平行且つ離隔した関係で配置された複数の垂直に向けられた交差部材42を有するように設けられてよい。様々な実施形態では、二次開口48を画定するバリア46が、プラズマチャンバ18と基板24との間に配置されてよく、二次開口48は、リボンビーム32の経路内に位置付けられる。二次開口48は、リボンビーム32を開口40(本明細書で以後「一次開口40」とも称される)よりも基板24に近い位置で、誘導し、更にコリメートし、又は「再コリメート」するように動作してよく、したがって、リボンビーム32のコリメーションを改善する。
【0028】
[0033] 例示的な方法のブロック1400では、プラテン22が、図1の矢印50及び52によって示されているように、プラズマチャンバ18に対して基板24を旋回及び/又は走査するために回転及び/又は移動されてよい。更に又は代替的に、プラズマチャンバ18は、矢印54で示されているように、その長軸の周りで回転されてよい。したがって、フリーラジカルを含有するコリメートされたリボンビーム32は、基板24の表面特徴(例えば、トレンチ、フィンなど)の特定の側面及び/又は部分に膜を堆積させ、一方で、そのような表面特徴の他の側面及び/又は部分をそのような堆積がないように保つために、指向性が高い異方性のやり方で様々な斜めの角度で基板24上に発射されてよい。
【0029】
[0034] 例示的な方法のブロック1500では、システム10が、イオンリッチなリボンビーム32を提供するために、プラズマチャンバ18からイオンを抽出するように、バイアス電源70を活性化することによって、「イオンビーム」モードで動作されてよい。本方法のブロック1600では、システム10が、フリーラジカルリッチであり、イオンリッチでないリボンビームを生成するために、バイアス電源70を非活性化することによって(又は活性化しないことによって)、「ラジカルモード」で動作されてよい。
【0030】
[0035] 当業者であれば、上述のシステム10及び対応する方法によって提供される多くの利点を理解するであろう。第1の利点は、ターゲット基板上への方向が特定された異方性堆積(例えば、基板の表面に対して特定の斜めの角度で堆積させて、表面特徴の特定の側面及び/又は部分に膜を堆積させる一方、そのような表面特徴の他の側面及び/又は部分をそのような堆積がないように保つこと)を容易にする能力である。本開示のシステム10及び対応する方法によって提供される第2の利点は、プラズマチャンバ18からイオンを抽出して、イオンリッチなリボンビーム32を提供するために、バイアス電源70を活性化することによって「イオンビーム」モードでか、又は、フリーラジカルリッチであり、イオンリッチでないリボンビームを生成するために、バイアス電源70を非活性化する(若しくは活性化しない)ことによって「ラジカルモード」でかのいずれかで、ターゲット基板上に方向が特定された異方性堆積を選択的に実行する能力である。
【0031】
[0036]本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。上述したもの以外の本開示の様々な実施形態及び本開示の変形例は、本明細書に説明したものと同様に、上述の説明及び添付図面から、当業者には明らかである。このため、そのような上記以外の実施形態及び変形例は、本開示の範囲に含まれるものである。更に、本明細書では、本開示を、特定の目的のために特定の環境における特定の実施態様の文脈で説明したが、当業者は、その有用性がそれに限定されないことを認識するであろう。本開示の実施形態は、任意の数の目的のために、任意の数の環境において有益に実装され得る。したがって、本願の特許請求の範囲は、本明細書に記載した本開示の範囲及び精神を最大限広く鑑みた上で、解釈されたい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6