(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】レベル電圧生成回路、データドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20240902BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G09G3/20 612F
G09G3/20 611H
G09G3/20 641C
G09G3/20 642A
G09G3/36
G09G3/20 623B
G09G3/20 622B
G09G3/20 641Q
(21)【出願番号】P 2023085319
(22)【出願日】2023-05-24
(62)【分割の表示】P 2019172858の分割
【原出願日】2019-09-24
【審査請求日】2023-05-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
(72)【発明者】
【氏名】西水 学
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-139795(JP,A)
【文献】特開2010-164827(JP,A)
【文献】特開2008-146028(JP,A)
【文献】国際公開第2012/014477(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0017252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20-3/38
G02F 1/133
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるN個(Nは、N≧2の整数)の入力電圧に基づいて、M個(Mは、M>Nの整数)のレベル電圧を生成するレベル電圧生成回路であって、
前記N個の入力電圧を各々が受け、前記N個の入力電圧を各々が増幅し
、その増幅電圧を出力する出力端を有するN個の差動増幅器と、
前記N個の差動増幅器の出力端の各々に接続されたN個の電圧供給点と、前記N個の電圧供給点とは異なる位置に配置され、前記M個のレベル電圧を出力するM個の電圧出力点と、を有するラダー抵抗と、
前記M個の電圧出力点から出力される前記M個のレベル電圧を各々が受け、各々を介して前記M個のレベル電圧を出力するM本の配線からなる配線群と、
を備え、
前記N個の差動増幅器の一の差動増幅器は、前記N個の入力電圧のうちの一の入力電圧を入力対の一方に受け、
前記ラダー抵抗は、
前記M本の配線とは別個に設けられ、前記N個の電圧供給点のうちの一の電圧供給点を介して、前記N個の差動増幅器の一の差動増幅器の出力端に接続された第1の配線と、
前記M本の配線のうちの一の配線であって、前記一の電圧供給点に隣接する前記M個の電圧出力点の一つと、前記N個の差動増幅器の一の差動増幅器の入力対の
他方との間に接続された第2の配線と、
を有
し、
前記一の入力電圧に対応するレベル電圧が、前記M個の電圧出力点の一つから前記第2の配線を介して出力されることを特徴とするレベル電圧生成回路。
【請求項2】
複数本のデータ線を有する表示パネルに接続され、映像データ信号に対応する階調電圧信号を前記複数本のデータ線に供給するデータドライバであって、
前記データドライバへ供給される異なるN個(Nは、N≧2の整数)の
ガンマ基準電圧
及びガンマ調整デジタル信号に基づいて、
S個(Sは、S≧2の整数)のガンマ電圧を生成し、前記N個のガンマ基準電圧及び前記S個のガンマ電圧を増幅し、その増幅電圧を分圧して複数レベルの階調電圧を生成するガンマ電圧
/階調電圧生成回路と、
前記ガンマ電圧
/階調電圧生成回路から出力される
前記複数レベルの階調電圧から前記映像データ信号に応じた階調電圧を選択するデコーダと、
前記デコーダで選択された前記階調電圧を増幅し、その増幅電圧をデータ信号として出力する出力アンプと、
を備え、
前記ガンマ電圧
/階調電圧生成回路は、
前記N個の
ガンマ基準電圧を各々が受け、前記N個の
ガンマ基準電圧を各々が増幅して出力する
N個のガンマアンプと、
前記N個の
ガンマアンプで夫々増幅されたN個の
電圧が各々の電圧供給点
へ供給され、前記N個の電圧を分圧した複数のレベル電圧を生成し各々の電圧出力点から出力する第1のラダー抵抗と、
前記第1のラダー抵抗から出力される複数のレベル電圧から、前記ガンマ調整デジタル信号に基づいて前記S個のガンマ電圧を夫々選択出力するガンマデコーダと、
前記S個のガンマ電圧を各々が受けて、その増幅電圧を各々が出力するS個のガンマアンプと、
前記N個のガンマアンプで夫々増幅されたN個の電圧及び前記S個のガンマアンプで夫々増幅されたS個の電圧が各々の電圧供給点へ供給され、前記N個及びS個の電圧を分圧した前記複数レベルの階調電圧を生成し各々の電圧出力点から出力する第2のラダー抵抗と、
を含み、
前記第1のラダー抵抗の前記N個の電圧が供給される電圧供給点と、前記N個の電圧を分圧した複数のレベル電圧を出力する電圧出力点は夫々前記第1のラダー抵抗の異なる位置に配置され、
前記N個のガンマアンプの一のガンマアンプは、前記N個のガンマ基準電圧の一つを入力対の一方に受け、前記一のガンマアンプの出力端が第1の配線を介して前記第1のラダー抵抗の電圧供給点の一つに接続され、前記一のガンマアンプの入力対の他方が前記第1の配線とは別個に設けられた第2の配線を介して前記第1のラダー抵抗の電圧出力点の一つに接続され、
前記N個のガンマ基準電圧の一つに対応したレベル電圧が、前記第1のラダー抵抗の前記電圧出力点の一つより、前記第2の配線を介して出力され、
前記第1の配線には前記一のガンマアンプの出力端から前記第1のラダー抵抗に供給される定常電流が流れる一方、前記第2の配線には定常電流が流れない、ことを特徴とするデータドライバ。
【請求項3】
複数のデータ線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線との交差部の各々に設けられた画素スイッチ及び画素部と、を有する表示パネルと、
パルス幅に応じた選択期間において前記画素スイッチをオンに制御する走査信号を前記複数の走査線に供給するゲートドライバと、
映像データ信号に対応する階調電圧信号を前記複数のデータ線に供給するデータドライバと、
を有する表示装置であって、
前記データドライバは、
前記データドライバへ供給される異なるN個(Nは、N≧2の整数)の
ガンマ基準電圧
及びガンマ調整デジタル信号に基づいて、
S個(Sは、S≧2の整数)のガンマ電圧を生成し、
前記N個のガンマ基準電圧及び前記S個のガンマ電圧を増幅し、その増幅電圧を分圧して複数レベルの階調電圧を生成するガンマ電圧
/階調電圧生成回路と、
前記ガンマ電圧
/階調電圧生成回路から出力される
前記複数レベルの階調電圧から前記映像データ信号に応じた
階調電圧を選択するデコーダと、
前記デコーダで選択された前記階調電圧を増幅し、その増幅電圧をデータ信号として出力する出力アンプと、
を有し、
前記ガンマ電圧
/階調電圧生成回路は、
前記N個の
ガンマ基準電圧を各々が受け、前記N個の
ガンマ基準電圧を各々が増幅して出力する
N個のガンマアンプと、
前記N個の
ガンマアンプで夫々増幅されたN個の電圧が各々の電圧供給点へ供給され、前記N個の電圧を分圧した複数のレベル電圧を生成し各々の電圧出力点から出力する第1のラダー抵抗と、
前記第1のラダー抵抗から出力される複数のレベル電圧から、前記ガンマ調整デジタル信号に基づいて前記S個のガンマ電圧を夫々選択出力するガンマデコーダと、
前記S個のガンマ電圧を各々が受けて、その増幅電圧を各々が出力するS個のガンマアンプと、
前記N個のガンマアンプで夫々増幅されたN個の電圧及び前記S個のガンマアンプで夫々増幅されたS個の電圧が各々の電圧供給点へ供給され、前記N個及びS個の電圧を分圧した前記複数レベルの階調電圧を生成し各々の電圧出力点から出力する第2のラダー抵抗と、を含み、
前記第1のラダー抵抗の前記N個の電圧が供給される電圧供給点と、前記N個の電圧を分圧した複数のレベル電圧を出力する電圧出力点は夫々前記第1のラダー抵抗の異なる位置に配置され、
前記N個のガンマアンプの一のガンマアンプは、前記N個のガンマ基準電圧の一つを入力対の一方に受け、前記一のガンマアンプの出力端が第1の配線を介して前記第1のラダー抵抗の電圧供給点の一つに接続され、前記一のガンマアンプの入力対の他方が前記第1の配線とは別個に設けられた第2の配線を介して前記第1のラダー抵抗の電圧出力点の一つに接続され、
前記N個のガンマ基準電圧の一つに対応したレベル電圧が、前記第1のラダー抵抗の前記電圧出力点の一つより、前記第2の配線を介して出力され、
前記第1の配線には前記一のガンマアンプの出力端から前記第1のラダー抵抗に供給される定常電流が流れる一方、前記第2の配線には定常電流が流れない、ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レベル電圧生成回路、データドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示デバイスからなる表示装置の駆動方式として、アクティブマトリクス駆動方式が採用されている。アクティブマトリクス駆動方式の表示装置では、表示パネルは画素部及び画素スイッチをマトリクス状に配置した半導体基板(例えば、カラー4Kパネルの場合、3840×RGB画素列×2160画素行)で構成されている。ゲート信号により画素スイッチのオンオフを制御し、画素スイッチがオンになるときに映像データ信号に対応した階調電圧信号を画素部に供給して、各画素部の輝度を制御することにより、表示が行われる。画素スイッチへのゲート信号の供給は、ゲートドライバにより走査線を介して行われる。また、画素部への階調電圧信号の供給は、データドライバによりデータ線を介して行われる。ゲートドライバが少なくとも2値のゲート信号を供給するのに対し、データドライバは、階調電圧に応じた多値レベルの階調電圧信号を供給する。
【0003】
アクティブマトリクス駆動方式の表示装置では、多階調化、高精細化及び高画質化のニーズから、データドライバから出力される階調電圧(以下、出力電圧とも称する)の高精度化が求められている。特に、データドライバとして複数のデータドライバIC(Integrated Circuit)を用いる表示パネルでは、データドライバIC間の出力電圧のばらつきが、表示むらを引き起こす原因となる。データドライバIC間の出力電圧のばらつきは、例えば5mV以下となることが要求される。データドライバIC間の出力電圧のばらつきは、主に各データドライバIC内のレベル電圧生成回路の電圧精度に起因する。
【0004】
レベル電圧生成回路は、データドライバICに内蔵され、ガンマ電圧/階調電圧生成回路に含まれる。ガンマ電圧/階調電圧生成回路は、ガンマ基準電圧から複数のガンマ電圧を生成するレベル電圧生成回路と、複数のガンマ電圧から階調電圧に対応する電圧を生成するレベル電圧生成回路を備える。ガンマ電圧/階調電圧生成回路で生成された階調電圧信号は、D/A(Digital/Analog)変換部に供給される。D/A変換部は、データドライバICの出力毎に設けられた複数のデコーダ及び出力アンプと、から構成される。ガンマ電圧/階調電圧生成回路で生成された複数のレベル電圧は、複数のデコーダの各々に共通に供給される。各デコーダは、データドライバICの外部から入力される映像デジタル信号に応じて、複数のレベル電圧の中から1又は所定数のレベル電圧を選択し、対応する出力アンプに供給する。各出力アンプは、デコーダで選択されたレベル電圧を演算増幅した階調電圧信号を出力する。
【0005】
ガンマ電圧/階調電圧生成回路には、例えばガンマ基準電圧の供給をそれぞれ受ける一対のアンプが設けられており、当該一対のアンプの各々はガンマ基準電圧を電流増幅して第1のラダー抵抗の両端に供給する。第1のラダー抵抗からは、ガンマ基準電圧を分圧した複数レベルのガンマ電圧が出力される。複数のガンマデコーダは、外部入力されたガンマ調整デジタル信号に基づいて第1のラダー抵抗の出力電圧から異なるガンマ電圧を選択し、複数のアンプに供給する。当該複数のアンプは、複数のガンマデコーダにより選択された複数のガンマ電圧を電流増幅して第2のラダー抵抗に供給する。第2のラダー抵抗からは、複数のガンマ電圧を分圧した複数のレベル電圧が階調電圧に対応する電圧として出力される。
【0006】
図11Aは、ガンマ電圧/階調電圧生成回路における、ガンマ基準電圧の第1のラダー抵抗又は第2のラダー抵抗への供給部分の一例を模式的に示す平面図である。なお、ここではラダー抵抗の一端側のみを示している。また、
図11Bは、
図11AにおけるAA線に沿った断面図である。
【0007】
ラダー抵抗は、抵抗層52、複数のメタル配線及びコンタクト(
図11Aでは、メタル配線m0、m1及びm2、コンタクトcn0、cn1及びcn2)から構成されている。抵抗層52は、例えば半導体基板や絶縁性基板等の基板上に薄膜を形成することにより構成されている。メタル配線m0は、コンタクトcn0を介して抵抗層52に接続されている。メタル配線m1は、コンタクトcn1を介して抵抗層52に接続されている。メタル配線m2は、コンタクトcn2を介して抵抗層52に接続されている。
【0008】
ラダー抵抗は、予め作成された抵抗設計値及び抵抗層52のシート抵抗に基づく寸法で電圧設計値に応じた電圧が取り出されるように、抵抗層52、メタル配線m0、m1及びm2、コンタクトcn0、cn1及びcn2がレイアウトされている。例えば、抵抗設計値R0、R1により分圧した抵抗層52上の電圧設計値をVgs0、Vgs1及びVgs2とした場合、抵抗層52上の分圧地点にコンタクトcn0、cn1及びcn2を設置することで、メタル配線m0、m1及びm2から電圧Vgs0、Vgs1及びVgs2が取り出されることが期待される。
【0009】
アンプ51は、例えば、ガンマ基準電圧VG0の供給を非反転入力端に受け、これを電流増幅した出力電圧Voutを出力する。アンプ51から出力された出力電圧Voutは、アンプ51の反転入力端に印加されるとともに、メタル配線m0及びコンタクトcn0を介して抵抗層52の抵抗R0の領域の境界(電圧供給点)に供給される。また、メタル配線m0、m1及びm2からは、ラダー抵抗の出力電圧(すなわち、分圧電圧)が取り出される。なお、アンプ51の非反転入力端と反転入力端とが互いに同一電圧のときを安定状態とすると、安定状態においてアンプ51の出力電圧Voutはガンマ基準電圧VG0と等しい。
【0010】
抵抗層52のコンタクトcn0が接続される抵抗R0の領域の境界点は、抵抗層52上の電圧供給点且つ電圧出力点となる。メタル配線m0にはアンプ51の出力電圧Vout(=VG0)が供給され、メタル配線m0から電圧VG0が取り出される。
【0011】
アンプ51は、ラダー抵抗の一端付近に設けられており、ガンマ基準電圧VG0を電流増幅した電圧を出力電圧Vout(=VG0)としてメタル配線m0に供給する。ラダー抵抗の他端付近には、例えばアンプ51と対をなす位置にガンマ電圧を出力するアンプ(図示せず)が設けられている。抵抗層52には、当該ガンマ電圧とアンプ51から供給されたガンマ基準電圧VG0との電圧差に応じた電流が流れる。また、当該電流は、メタル配線m0及びコンタクトcn0にも流れる。ここで、メタル配線m0の抵抗値が十分小さく、無視できる値であるとすると、メタル配線m0に印加されるガンマ基準電圧VG0と抵抗層52上の電圧供給点且つ電圧出力点の電圧Vgs0との間には、コンタクトcn0の抵抗Rcに応じた電圧差Vcが生じる。すなわち、メタル配線m0の電圧VG0と抵抗層52上の電圧Vgs0との関係は、VG0=Vgs0+Vcとなる。
【0012】
一方、ラダー抵抗の電圧出力端であるメタル配線m1及びm2は、階調電圧信号の出力部をなすアンプのゲート部分に接続されている。そのため、メタル配線m1、m2及びコンタクトcn1、cn2には定常電流が流れない。従って、メタル配線m1及びm2からは、抵抗層52上の電圧Vgs1及びVgs2がそのまま取り出される。
【0013】
メタル配線m0とメタル配線m1との間の抵抗値は、設計抵抗値である抵抗値R0ではなく、抵抗値R0にコンタクトcn0の抵抗Rcが加算された抵抗値となる。このため、ラダー抵抗から出力される分圧電圧には、電圧間での相対的な誤差が生じる。
【0014】
このような分圧電圧間における相対誤差を解消するため、アンプ51から出力電圧Voutの供給受ける電圧供給点と電圧Vgs0を出力する電圧出力点とを抵抗層52上において分離した構成を有するマルチレベル電圧発生器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0015】
かかるマルチレベル電圧発生器では、例えば抵抗層52の抵抗R0の領域よりも外側(すなわち、ラダー抵抗の端部側)に抵抗Rrの領域を設け、抵抗Rrの領域の最外部にコンタクトcn0aを介してメタル配線m0aを接続する。そして、アンプ51の出力電圧Voutをメタル配線m0を介して抵抗層52に供給する一方、ラダー抵抗の出力電圧をメタル配線m0aから取り出す。このとき抵抗層52には定常電流は流れないため、コンタクトcn0が接続される抵抗層52の電圧供給点と、コンタクトcn0aが接続される抵抗層52の電圧出力点の電圧は等しく、電圧Vgs0となる。かかる構成によれば、抵抗設計値R0及びR1の分圧比に応じた電圧をラダー抵抗のメタル配線m0aから出力することができるため、分圧電圧の相対誤差を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記先行技術文献のようなマルチレベル電圧発生器によれば、ラダー抵抗から出力される分圧電圧の電圧間の相対誤差を改善することができるが、メタル配線m0aから出力される出力電圧Vgs0と、出力期待値であるガンマ基準電圧VG0との間には依然としてコンタクトcn0の抵抗Rcに応じた電圧Vcの差異が存在する。すなわち、ラダー抵抗からの出力電圧と出力電圧の期待値との間には、絶対的な誤差が生じることになる。またコンタクトの抵抗値は、抵抗層に比べて一般的に抵抗値のばらつきが大きい。
【0018】
そして、異なるデータドライバIC間で抵抗層とメタル配線とを接続するコンタクトの抵抗値にばらつきが生じると、データドライバ内部で生成されるレベル電圧に誤差が生じるため、データドライバから出力される階調電圧信号にも誤差が生じ、表示ムラの原因となるという問題があった。
【0019】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、データドライバIC間の出力電圧にばらつきを抑制し、ムラのない表示を行うことが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係るレベル電圧生成回路は、異なるN個(Nは、N≧2の整数)の入力電圧に基づいて、M個(Mは、M>Nの整数)のレベル電圧を生成するレベル電圧生成回路であって、前記N個の入力電圧を各々が受け、前記N個の入力電圧を各々が増幅して出力する出力端を有するN個の差動増幅器と、前記N個の差動増幅器の出力端の各々に接続されたN個の電圧供給点と、前記N個の電圧供給点とは異なる位置に配置され、前記M個のレベル電圧を出力するM個の電圧出力点と、を有するラダー抵抗と、を備え、前記ラダー抵抗は、前記N個の電圧供給点のうちの一の電圧供給点を介して、前記N個の差動増幅器の一の差動増幅器の出力端に接続された第1の配線と、前記一の電圧供給点に隣接する前記M個の電圧出力点の一つと、前記N個の差動増幅器の一の差動増幅器の入力対の一方との間に接続された第2の配線と、を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るデータドライバは、複数本のデータ線を有する表示パネルに接続され、映像データ信号に対応する階調電圧信号を前記複数本のデータ線に供給するデータドライバであって、前記データドライバへ供給される異なるN個(Nは、N≧2の整数)の基準電圧に基づいて、前記N個の基準電圧を分圧したM個(Mは、M>Nの整数)のガンマ電圧を生成し、増幅器により増幅出力するガンマ電圧生成回路と、前記ガンマ電圧生成回路から出力される前記M個のガンマ電圧に基づいて、前記映像データ信号に応じた前記階調電圧信号を生成する階調電圧出力部と、を備え、前記ガンマ電圧生成回路は、前記N個の入力電圧を各々が受け、前記N個の入力電圧を各々が増幅して出力する出力端を有するN個の差動増幅器と、前記N個の差動増幅器の出力端の各々に接続されたN個の電圧供給点と、前記N個の電圧供給点とは異なる位置に配置され、前記M個のレベル電圧を出力するM個の電圧出力点と、を有するラダー抵抗と、を有し、前記ラダー抵抗は、前記N個の電圧供給点のうちの一の電圧供給点を介して、前記N個の差動増幅器の一の差動増幅器の出力端に接続された第1の配線と、前記一の電圧供給点に隣接する前記M個の電圧出力点の一つと、前記N個の差動増幅器の一の差動増幅器の入力対の一方との間に接続された第2の配線と、を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る表示装置は、複数のデータ線と、複数の走査線と、前記複数のデータ線と前記複数の走査線との交差部の各々に設けられた画素スイッチ及び画素部と、を有する表示パネルと、パルス幅に応じた選択期間において前記画素スイッチをオンに制御する走査信号を前記複数の走査線に供給するゲートドライバと、映像データ信号に対応する階調電圧信号を前記複数のデータ線に供給するデータドライバと、を有する表示装置であって、前記データドライバは、前記データドライバへ供給される異なるN個(Nは、N≧2の整数)の基準電圧に基づいて、前記N個の基準電圧を分圧したM個(Mは、M>Nの整数)のガンマ電圧を生成し、増幅器により増幅出力するガンマ電圧生成回路と、前記ガンマ電圧生成回路から出力される前記M個のガンマ電圧に基づいて、前記映像データ信号に応じた前記階調電圧信号を生成する階調電圧出力部と、を有し、前記ガンマ電圧生成回路は、前記N個の入力電圧を各々が受け、前記N個の入力電圧を各々が増幅して出力する出力端を有するN個の差動増幅器と、前記N個の差動増幅器の出力端の各々に接続されたN個の電圧供給点と、前記N個の電圧供給点とは異なる位置に配置され、前記M個のレベル電圧を出力するM個の電圧出力点と、を有するラダー抵抗と、を有し、前記ラダー抵抗は、前記N個の電圧供給点のうちの一の電圧供給点を介して、前記N個の差動増幅器の一の差動増幅器の出力端に接続された第1の配線と、前記一の電圧供給点に隣接する前記M個の電圧出力点の一つと、前記N個の差動増幅器の一の差動増幅器の入力対の一方との間に接続された第2の配線と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るレベル電圧生成回路によれば、データドライバIC間の出力電圧ばらつきを抑制し、ムラのない表示を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係るデータドライバの内部構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明に係る階調電圧生成部の構成を示すブロック図である。
【
図4A】実施例1のレベル電圧生成回路の構成を模式的に示す平面図である。
【
図4B】
図4Aのレベル電圧生成回路のAA線における断面図である。
【
図5】レベル電圧生成回路の端部に形成されたフィードバック回路の等価回路である。
【
図6A】比較例のレベル電圧生成回路の構成を模式的に示す平面図である。
【
図6B】
図6Aのレベル電圧生成回路のAA線における断面図である。
【
図7A】実施例2のレベル電圧生成回路の構成を模式的に示す平面図である。
【
図7B】
図7Aのレベル電圧生成回路のAA線における断面図である。
【
図8】実施例2のフィードバック回路の等価回路である。
【
図9】実施例3のレベル電圧生成回路の構成を模式的に示す平面図である。
【
図10】実施例4のレベル電圧生成回路の構成を模式的に示す平面図である。
【
図11A】レベル電圧生成回路の構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明に係る表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置である。表示装置100は、表示パネル11、表示コントローラ12、ゲートドライバ13A及び13B、データドライバ14-1~14-p、及び基準電圧生成部15を含む。なお各ブロックには、電源ICから各ブロックに必要な複数の電源電圧が供給されるが、図面が煩雑になるため記載を省略している。
【0027】
表示パネル11は、複数の画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnm(n,m:2以上の自然数)がマトリクス状に配置された半導体基板から構成されている。表示パネル11は、n本のゲート線GL1~GLnと、これに交差するように配されたm本のデータ線DL1~DLmと、を有する。画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnmは、ゲート線GL1~GLn及びデータ線DL1~DLmの交差部に設けられている。
【0028】
画素スイッチM11~Mnmは、ゲートドライバ13A及び13Bから供給されるゲート信号Vg1~Vgnに応じてオン又はオフに制御される。画素部P11~Pnmは、データドライバ14-1~14-pから映像データに対応した階調電圧信号Vd1~Vdmの供給を受ける。画素スイッチM11~Mnmがそれぞれオンのときに、階調電圧信号Vd1~Vdmが画素部P11~Pnmの各画素電極に供給され、各画素電極が充電される。画素部P11~Pnmの各画素電極における階調電圧信号Vd1~Vdmに応じて画素部P11~Pnmの輝度が制御され、表示が行われる。
【0029】
表示装置100が液晶表示装置である場合、画素部P11~Pnmの各々は、画素スイッチを介してデータ線と接続される透明電極と、半導体基板と対向して設けられ且つ面全体に1つの透明な電極が形成された対向基板との間に封入された液晶と、を含む。表示装置内部のバックライトに対して、画素部P11~Pnmに供給された階調電圧信号Vd1~Vdmと対向基板電圧との電圧差に応じて液晶の透過率が変化することにより、表示が行われる。
【0030】
表示コントローラ12は、クロックパルスの周期(以下、クロック周期と称する)が一定のクロック信号CLKを生成する。そして、表示コントローラ12は、クロック信号CLKのクロックタイミングに応じて、映像データ信号VDSをデータドライバ14-1~14-pに供給する。映像データ信号VDSは、所定数のデータ線毎に伝送路の数に応じてシリアル化された映像データ信号として構成されている。
【0031】
また、表示コントローラ12は、各種の設定を含む制御信号CSを映像データ信号VDSに追加する。クロック信号CLKは、例えば埋め込みクロック方式で形成され、映像データ信号VDS、制御信号CS、クロック信号CLKを一体化したシリアル信号として各データドライバ14-1~14-pに供給し、各映像データVDの表示制御を行う。
【0032】
また、表示コントローラ12は、表示パネル11の両端に設けられたゲートドライバ13A及び13Bに対し、ゲートタイミング信号GSを供給する。
【0033】
ゲートドライバ13A及び13Bは、表示コントローラ12から供給されたゲートタイミング信号GSに基づいて、ゲート信号Vg1~Vgnをゲート線GL1~GLnに供給する。
【0034】
データドライバ14-1~14-pは、データ線DL1~DLmを分割した所定数のデータ線毎に設けられている。データドライバ14-1~14-pの各々は、半導体IC(Integrated Circuit)チップに形成されている。例えば、データドライバ1個あたり960出力を有し、表示パネルが1画素列あたりデータ線1本を備えている場合、4Kパネルは12個、8Kパネルは24個のデータドライバでデータ線が駆動される。データドライバ14-1~14-pは、表示コントローラ12から、それぞれ別々の伝送路で、制御信号CS、クロック信号CLK及び映像データ信号VDSが一体化されたシリアル信号の供給を受ける。表示コントローラ12と各データドライバ間の伝送路が1ペア(2本)の場合、1データ期間に、データドライバの出力数分の映像データVD及び制御信号CSがシリアル化された差動信号として供給される。
【0035】
基準電圧生成部15は、ガンマ基準電圧VG0及びVG5を生成し、データドライバ14-1~14-pの各々へ供給する。
【0036】
図2は、データドライバ14-1の内部構成を示すブロック図である。なお、他のデータドライバ14-2~14-pも同様の構成を有している。
【0037】
データドライバ14-1は、データラッチ部141、制御部142、ガンマ電圧/階調電圧生成部20、デコーダ30-1~30-k、出力アンプ40-1~40-kを含む。
【0038】
制御部142は、表示コントローラ12から送られるシリアル信号を受けて、それをデシリアル化して、制御信号CS、クロック信号CLK及び映像データ信号VDSを取り出す。そして、制御部142は、制御信号CSに基づき、映像データ信号VDSとラッチクロック信号CLKAをデータラッチ部141へ出力する。また、制御部142は、表示パネル11の逆ガンマ特性に沿った電圧(以下、ガンマ電圧と称する)を指定するガンマ調整デジタル信号GDSをガンマ電圧/階調電圧生成部20へ供給する。
【0039】
データラッチ部141は、制御部142から送出された映像データ信号VDSに含まれる画素データPDの系列を順次取り込む。この際、データラッチ部141は、1水平走査ライン分(n個)の画素データPDのうち、データドライバ14-1が供給対象とする階調電圧信号に対応するk個の画素データPDが取り込まれる度に、ラッチクロック信号CLKAに同期したタイミングでk個の画素データPDを画素データP1~Pkとして、デコーダ30-1~30-kに夫々供給する。
【0040】
ガンマ電圧/階調電圧生成部20は、入力されたガンマ基準電圧VG0及びVG5と、制御部142から出力されたガンマ調整デジタル信号GDSに基づき、表示パネル11の逆ガンマ特性に沿ったガンマ電圧を生成し、更に表示パネル11で表示可能な輝度レベルをq階調(例えば、256階調)で表す階調電圧Vgs0~Vgs(q-1)を生成し、デコーダ30-1~30-kの各々に供給する。
【0041】
デコーダ30-1~30-kの各々は、階調電圧Vgs0~Vgs(q-1)のうちから、自身が受けた画素データPDにて示される輝度レベルに対応した少なくとも1つの階調電圧を選択し、出力アンプ40-1~40-kに供給する。
【0042】
出力アンプ40-1~40-kの各々は、例えば自身の出力端子が自身の反転入力端子(-)と接続されている、いわゆるオペアンプからなるボルテージフォロワ回路である。
【0043】
出力アンプ40-1~40-kは、デコーダ30-1~30-kから出力された各階調電圧を夫々の非反転入力端子(+)で受け、夫々が受けた階調電圧に応じた電圧を出力端子に増幅出力することで、各階調電圧に対応したデータ信号Vd1~Vdkを生成する。データ信号Vd1~Vdkは、画素駆動信号として表示パネル11のデータ線DL1~DLkに供給される。
【0044】
図3は、ガンマ電圧/階調電圧生成部20の内部構成の一例を示す回路図である。ガンマ電圧/階調電圧生成部20は、ガンマアンプ21-1~21-6、第1のラダー抵抗22、ガンマデコーダ23A~23D、及び第2のラダー抵抗24を含む。
【0045】
ガンマアンプ21-1は、基準電圧生成部15から供給されたガンマ基準電圧VG0を電流増幅し、第1のラダー抵抗22の一端に供給する。ガンマアンプ21-2は、基準電圧生成部15から供給されたガンマ基準電圧VG5を電流増幅し、第1のラダー抵抗22の他端に供給する。
【0046】
第1のラダー抵抗22は、異なる複数の位置に設けられた電圧出力端を有し、ガンマ基準電圧VG0及びVG5の間の電圧を、例えば線形に分圧した互いに電圧値の異なる複数レベルの出力電圧を生成する。
【0047】
ガンマデコーダ23A、23B、23C及び23Dは、ガンマ調整デジタル信号GDSの入力を受け、当該ガンマ調整デジタル信号GDSに基づいて第1のラダー抵抗22の複数レベルの出力電圧からガンマ電圧VG1~VG4を選択し、ガンマアンプ21-3~21-6の入力端に供給する。
【0048】
ガンマアンプ21-3~21-6は、ガンマ電圧VG1~VG4を電流増幅して第2のラダー抵抗24に供給する。
【0049】
第2のラダー抵抗24は、ガンマ基準電圧VG0、ガンマ電圧VG1~VG4、及びガンマ基準電圧VG5の間の電圧を分圧した互いに電圧値の異なる複数レベルの出力電圧を生成し、階調電圧Vgs0~Vgs(q-1)として出力する。第2のラダー抵抗24は、異なる複数の位置に設けられた電圧出力端を有し、各々の電圧出力端間の抵抗値は、表示パネル11の逆ガンマ特性に応じて設計されている。ガンマ電圧/階調電圧生成部20から出力された階調電圧Vgs0~Vgs(q-1)は、データドライバの出力毎に設けられたデコーダ30-1~30-kに供給される。デコーダ30-1~30-kは、デジタル信号Q1~Qkに基づき、上記階調電圧から1又は複数の電圧を選択して、出力アンプ40-1~40-kの入力端へ供給する。
【0050】
すなわち、第1のラダー抵抗22の出力は、ガンマデコーダを介してガンマアンプ21-3~21-6の入力端に供給され、第2のラダー抵抗24の出力は、デコーダを介して出力アンプ40-1~40-kの入力端に供給される。ここで、アンプの入力端は容量性負荷となっているので、第1及び第2のラダー抵抗の出力から容量性負荷へは定常電流は流れない。
【0051】
ガンマアンプ21-1及び21-2の各々と第1のラダー抵抗22との接続部分には、複数レベルのガンマ電圧を生成するレベル電圧生成回路が形成されている。
図3では、レベル電圧生成回路のうち、第1のラダー抵抗22の一方の端部とガンマアンプ21-1との接続部分に位置する回路ブロックを、レベル電圧生成回路A1として示している。なお、第1のラダー抵抗22の他方の端部とガンマアンプ21-2との接続部分にも同様の回路ブロックが形成されている。
【0052】
レベル電圧生成回路A1は、ガンマアンプ21-1及び第1のラダー抵抗22の一部を含み、ガンマ基準電圧VG0及びVG5を分圧した電圧(すなわち、第1のラダー抵抗22の出力電圧)をガンマデコーダ23Aに供給するガンマ電圧供給部としての機能を有する。
【0053】
図4Aは、レベル電圧生成回路A1の構成を示す模式図である。第1のラダー抵抗22は、例えば半導体基板や絶縁性基板等の基板(図示せず)上に薄膜を用いて形成されており、ここでは第1のラダー抵抗22を構成する抵抗層25の一部を上面視した平面図をガンマアンプ21-1の回路図とともに示している。
【0054】
レベル電圧生成回路A1は、図示せぬ基板上に薄膜を用いて形成された抵抗層25と、金属層からなるメタル配線m0a、m0、m1及びm2と、コンタクトcn0a、cn0、cn1及びcn2から構成されている。抵抗層25と金属層との間には絶縁層が形成されている。メタル配線m0aは、絶縁層を貫くコンタクトcn0aを介して抵抗層25に接続されている。メタル配線m0は、コンタクトcn0を介して抵抗層25に接続されている。メタル配線m1は、コンタクトcn1を介して抵抗層25に接続されている。メタル配線m2は、コンタクトcn2を介して抵抗層25に接続されている。
【0055】
メタル配線m0aは、他のメタル配線よりも抵抗層25の端部に近い位置(すなわち、最も端部側の位置)に設けられている。メタル配線m0は、メタル配線m0aの次に抵抗層25の端部に近い位置(すなわち、抵抗層25の端部から見て2番目の位置)に設けられたメタル配線である。メタル配線m1は、メタル配線m0の次に抵抗層25の端部に近い位置(すなわち、抵抗層25の端部から見て3番目の位置)に設けられたメタル配線である。メタル配線m2は、メタル配線m1の次に抵抗層25の端部に近い位置(すなわち、抵抗層25の端部から見て4番目の位置)に設けられたメタル配線である。
【0056】
図4Bは、
図4AのAA線に沿った断面図である。抵抗層25上のコンタクトcn0a、cn0、cn1、cn2は、抵抗層25を抵抗領域Rr、R0、R1に分割するように設置されており、各抵抗領域の境界の電圧をVgsX、Vgs0、Vgs1、Vgs2とする。なお、
図4Bではガンマアンプ21-1の回路図は記載を省略している。
【0057】
図4Aにおいて、メタル配線m0aの一端は、ガンマアンプ21-1の電圧出力端に接続されている。メタル配線m0の一端は、ガンマアンプ21-1の反転入力端に接続されている。また、ガンマアンプ21-1の非反転入力端には、ガンマ基準電圧VG0が入力される。
【0058】
図4A及び
図4Bの図中の破線矢印は、ガンマアンプ21-1から抵抗層25に流れる電流の向きを模式的に示している。なお、第1のラダー抵抗22の導電部以外の部分は絶縁層に覆われている。
【0059】
抵抗層25上のコンタクトcn0aが接続される抵抗領域の境界点は抵抗層25の電圧供給点で、ガンマアンプ21-1の出力電圧Voutがメタル配線m0a及びコンタクトcn0aを介して印加される。
【0060】
抵抗層25上のコンタクトcn0、cn1及びcn2が接続される抵抗領域の境界点の各々は、ガンマ基準電圧VG0及びVG5を第1のラダー抵抗22により分圧した電圧が出力される電圧出力点である。
【0061】
第1のラダー抵抗22の出力電圧である電圧Vgs0は、コンタクトcn0が接続される抵抗層25の電圧出力点から取り出され、コンタクトcn0及びメタル配線m0を介して出力される。すなわち、本実施例のレベル電圧生成回路A1では、電圧供給点と電圧出力点とが分離されている。
【0062】
抵抗層25及びメタル配線m0a、m0、m1及びm2の位置関係は、第1のラダー抵抗22の抵抗設計値と抵抗層25のシート抵抗とに基づいてレイアウトされている。例えば、
図4Bでは抵抗Rr、R0、R1に一定電流が流れるので、抵抗層25上の電圧VgsX、Vgs0、Vgs1及びVgs2は、抵抗設計値Rr、R0及びR1により分圧された電圧となる。また、抵抗層25上の各電圧出力点に接続される各メタル配線は、抵抗層25から定常電流の流れ込みはないので、コンタクト抵抗に関係なく、各電圧出力点の電圧をそのまま取り出すことができる。すなわち、メタル配線m0から電圧Vgs0、メタル配線m1から電圧Vgs1、メタル配線m2から電圧Vgs2がそれぞれ出力される。なお、メタル配線m0a、m0、m1及びm2の各々の配線抵抗は、抵抗層25の抵抗値と比べると十分に小さい。
【0063】
本実施例の抵抗層25には、抵抗設計値R0の領域(以下、抵抗R0領域と称する)よりも外側に抵抗設計値Rrの領域(以下、抵抗Rr領域と称する)が設けられている。そして、メタル配線m0a及びコンタクトcn0aは、抵抗Rr領域の最外部の境界に設けられている。一方、メタル配線m0及びコンタクトcn0は、抵抗R0領域と抵抗Rr領域との境界部分に設けられている。
【0064】
また、
図4Aに示すように、メタル配線m0はガンマアンプ21-1の反転入力端に接続されており、メタル配線m0から出力された電圧Vgs0はガンマアンプ21-1にフィードバックされる。ガンマアンプ21-1、コンタクトcn0a、メタル配線m0a、メタル配線m0、及び抵抗層25の電圧供給点と電圧出力点間の抵抗Rr領域は、フィードバック回路26(
図4Aに示す破線で囲まれた回路ブロック)を構成している。なお、ここで、ガンマアンプ21-1の反転入力端も容量性負荷であるので、コンタクトcn0及びメタル配線m0には定常電流が流れない。したがって、抵抗層25上の電圧Vgs0をそのままメタル配線m0から取り出すことができる。
【0065】
図5は、フィードバック回路26の構成をコンタクト抵抗を含む等価回路として示す回路図である。フィードバック回路26は、ガンマアンプ21-1と、抵抗層25の抵抗領域の抵抗Rr、R0と、コンタクトcn0、cn0aの抵抗Rcと、から構成される。ガンマアンプ21-1の電圧出力端(Vout)と抵抗層25の電圧出力点(Vgs0)との間には、コンタクトcn0aの抵抗Rc及び抵抗Rrが電圧供給点(VgsX)を介して接続されている。また、ガンマアンプ21-1の反転入力端と抵抗層25の電圧出力点(Vgs0)との間には、コンタクトcn0の抵抗Rcが接続されている。またガンマアンプ21-1の反転入力端は、レベル電圧生成回路A1の出力端であるメタル配線m0とも接続されている。
図5の図中の破線矢印は、ガンマアンプ21-1の出力端から抵抗層25に流れる定常電流の向きを模式的に示している。
【0066】
次に、本実施例のレベル電圧生成回路A1の作用について説明する。
【0067】
図4Aに示すように、ガンマアンプ21-1には、ガンマ基準電圧VG0及びメタル配線m0からの出力電圧である電圧Vgs0が差動入力される。また、ガンマアンプ21-1の電圧出力端からは出力電圧Voutが出力され、メタル配線m0aに供給される。
【0068】
抵抗層25のガンマアンプ21-1が接続されている端部とは反対側の端部(図示せず)には、ガンマアンプ21-2(
図3を参照)が接続されている。抵抗層25には、ガンマ基準電圧VG0及びVG5の電圧差と、抵抗層25の総抵抗値に応じた定常電流が流れる。
【0069】
抵抗層25に流れる電流は、メタル配線m0a及びコンタクトcn0aにも流れる。メタル配線m0aの抵抗値は十分小さいため無視できるとすると、メタル配線m0aに供給されるガンマアンプ21-1の出力電圧Voutと抵抗層25上の電圧VgsXとの間には、コンタクトcn0aの抵抗Rcによる電圧差Vcが生じる。また電圧VgsXと電圧Voutとの間には、抵抗層25の抵抗Rrによる電圧差Vrが生じる。
【0070】
メタル配線m0から取り出される電圧Vgs0は、ガンマアンプ21-1の差動入力にフィードバックされるため、イマジナリーショートの状態になり、ガンマ基準電圧VG0と等しくなる。これにより、レベル電圧生成回路A1からは、コンタクトcn0の抵抗Rcの抵抗値に関わらず、ガンマ基準電圧VG0(=Vgs0)が出力されるとともに、抵抗層25の抵抗R0とRrの境界の電圧出力点の電圧Vgs0もガンマ基準電圧VG0と等しくなる。一方、メタル配線m0、m1及びm2と、コンタクトcn0、cn1及びcn2には定常電流が流れないため、抵抗層上の電圧Vgs0、Vgs1及びVgs2がメタル配線m0、m1及びm2から取り出される。
【0071】
したがって、レベル電圧生成回路A1は、ガンマ基準電圧VG0に対して、コンタクト抵抗の影響を受けず、抵抗層25の設計抵抗値に応じた電圧を高精度に取り出すことができる。なお、ガンマアンプ21-1の出力電圧Voutは、Vout=Vgs0+Vr+Vc=VG0+Vr+Vcとなる。
【0072】
なお、抵抗層25の反対側の端部(すなわち、
図3に示すガンマアンプ21-2が接続されている端部)にも、同様の構成を有する回路ブロックが設けられており、ガンマ基準電圧VG5に対応した電圧Vgs(q-1)が出力される。
【0073】
図6Aは、本実施例のレベル電圧生成回路A1とは異なり、出力電圧Voutを反転入力端子にフィードバックした構成のガンマアンプ21-1を含む回路ブロックを比較例のレベル電圧生成回路として示す図である。
図6Bは、
図6AのAA線における断面図である。
図4Bと同様に、
図6Bにおいて、抵抗層25上のコンタクトcn0a、cn0、cn1、cn2は、抵抗層25を抵抗領域Rr、R0、R1に分割するように設置されており、各抵抗領域の境界の電圧をVgsX、Vgs0、Vgs1、Vgs2とする。なお、
図6Bでもガンマアンプ21-1の回路図は記載を省略している。
【0074】
比較例のレベル電圧生成回路では、ガンマアンプ21-1の出力電圧Voutはメタル配線m0に供給される。メタル配線m0a、m1、m2から、電圧VgsX、Vgs1、Vgs2が出力される。メタル配線m0a、m1、m2は、抵抗層25の各電圧出力点から定常電流が流れ込まないため、抵抗層25上の各電圧出力点の電圧をそのまま取り出すことができる。また、抵抗Rrにも定常電流は流れないため、Vgs0=VgsXとなり、メタル配線m0aから電圧Vgs0を取り出すことができる。これは、電圧供給点(Vgs0)と電圧出力点(VgsX)とが分離されている構成による。
【0075】
しかし、比較例のレベル電圧生成回路では、メタル配線m0に出力電圧Vout(=VG0)が印加され、コンタクトcn0を介して抵抗層25のR0、R1へ定常電流が流れる。このため、電圧Vgs0と出力電圧VG0との間には、コンタクトcn0の抵抗Rcの電圧差Vcが生じる。すなわちVout=VG0=Vgs0+Vcとなる。したがって、ガンマ基準電圧VG0に対し、抵抗比で分圧する電圧設計値は、コンタクト抵抗Rcの電圧差分の絶対誤差が生じる。この誤差はコンタクトcn0の抵抗Rcに起因しているため、異なるデータドライバIC間でコンタクト抵抗Rcの値にばらつきが生じると、データドライバIC間の階調電圧信号にもばらつきが生じ、表示むらの原因となる。
【0076】
これに対し、本実施例のレベル電圧生成回路A1によれば、第1のラダー抵抗22の出力電圧から、抵抗層25と各メタル配線とを接続するコンタクト部分の抵抗のばらつきの影響を取り除くことができる。従って、出力電圧間の相対誤差に加えて、設計値からの絶対誤差が十分に小さい高精度なラダー抵抗の出力電圧(レベル電圧)を生成することができる。
【0077】
また、本実施例のレベル電圧生成回路A1の構成では、抵抗層25を流れる電流が、抵抗層25とメタル配線m0~m2の各々との接続部分に設けられた電圧出力点群の外側の電圧供給点(VgsX)から流れ込む。このため、抵抗層25上の各電圧出力点では、均一な電流密度で電流が流れる。従って、均一な電流密度領域から電圧が出力されるため、各電圧出力点から高精度な電圧を取り出すことができる。
【0078】
なお、本実施例のガンマアンプ21-1の出力電圧Voutは、電圧Vgs0(=VG0)に、抵抗層25の抵抗値Rr領域の抵抗Rrによって生じる電圧差Vrとコンタクトcn0aの抵抗Rcによって生じる電圧差Vcとを加算した電圧(すなわち、VG0+Vr+Vc)となる。ガンマ基準電圧VG0の設定範囲は、電源電圧の範囲よりも電圧差(Vr+Vc)だけ狭くなる。
【0079】
以上のように、本実施例のレベル電圧生成回路A1によれば、コンタクトの抵抗のばらつきの影響を受けることなく、出力電圧間の相対誤差及び設計値からの絶対誤差が十分に小さい高精度なレベル電圧を出力することができる。
【実施例2】
【0080】
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例の表示装置は、レベル電圧生成回路A1の構成において実施例1と異なる。
【0081】
図7Aは、本実施例のレベル電圧生成回路A1の構成を示す模式図である。実施例1の
図4Aと同様、ここでは第1のラダー抵抗22を構成する抵抗層25の一部を上面視した平面図をガンマアンプ21-1の回路図とともに示している。また、
図7Bは、
図7AのAA線に沿った断面図である。
図4Aと同様、抵抗層25上のコンタクトcn0a、cn0、cn1、cn2は、抵抗層25を抵抗領域Rr、R0、R1に分割するように設置されており、各抵抗領域の境界の電圧をVgsX、Vgs0、Vgs1、Vgs2とする。なお、
図7Bではガンマアンプ21-1の回路図は記載を省略している。
【0082】
本実施例のレベル電圧生成回路A1は、メタル配線m0a及びメタル配線m0とガンマアンプ21-1との接続関係において実施例1のレベル電圧生成回路A1と異なる。具体的には、本実施例のレベル電圧生成回路A1では、メタル配線m0aがガンマアンプ21-1の反転入力端に接続され、メタル配線m0がガンマアンプ21-1の電圧出力端に接続されている。すなわち、実施例1のレベル電圧生成回路A1と比べると、抵抗層25の電圧Vgs0の位置が電圧供給点となり、電圧VgsXの位置が電圧出力点になっている。
【0083】
ガンマアンプ21-1の出力電圧Voutは、メタル配線m0及びコンタクトcn0を介して、抵抗層25の抵抗Rr領域と抵抗R0領域との境界に位置する電圧供給点(Vgs0)に供給される。また、コンタクトcn0aが接続される抵抗層25の抵抗Rr領域の最外部の境界に位置する電圧出力点(VgsX)から、電圧が取り出される。このとき、抵抗層25の抵抗Rr、コンタクトcn0a及びメタル配線m0aには定常電流が流れない。したがって、VgsX=Vgs0であり、メタル配線m0aから電圧Vgs0が出力される。同様に、定常電流が流れないメタル配線m1、m2から、コンタクトcn1、cn2が接続される抵抗層25の各電圧出力点の電圧Vgs1、電圧Vgs2がそれぞれ出力される。
【0084】
本実施例のレベル電圧生成回路A1では、抵抗層25上において、電圧出力点のうちの1つ(VgsX)が電圧供給点(Vgs0)よりも外側に配置されている。そして、メタル配線m0aから出力された電圧VgsX(=Vgs0)が、ガンマアンプ21-1にフィードバックされる。ガンマアンプ21-1、コンタクトcn0、メタル配線m0、メタル配線m0a、及び抵抗層25の抵抗Rr領域は、フィードバック回路27(
図7Aに示す破線で囲まれた回路ブロック)を構成している。
【0085】
図8は、フィードバック回路27の構成をコンタクト抵抗を含む等価回路として示す回路図である。フィードバック回路27は、ガンマアンプ21-1と、コンタクトcn0、cn0aの抵抗Rcと、抵抗層25の抵抗Rr、R0から構成される。ガンマアンプ21-1の電圧出力端(Vout)と抵抗層25の電圧供給点(Vgs0)との間には、コンタクトcn0の抵抗Rcが接続されている。また、ガンマアンプ21-1の反転入力端と抵抗層25の電圧供給点(Vgs0)との間には、コンタクトcn0aの抵抗Rc及び抵抗Rrが電圧出力点(VgsX)を介して接続されている。またガンマアンプ21-1の反転入力端は、レベル電圧生成回路A1の出力端であるメタル配線m0aとも接続されている。
図8の図中の破線矢印は、ガンマアンプ21-1の出力端から抵抗層25に流れる定常電流の向きを模式的に示している。
【0086】
次に、本実施例のレベル電圧生成回路A1の作用について説明する。
【0087】
図7Aに示すように、ガンマアンプ21-1には、ガンマ基準電圧VG0及びメタル配線m0aからの出力電圧である電圧VgsXが差動入力される。また、ガンマアンプ21-1の電圧出力端からは出力電圧Voutが出力され、メタル配線m0に供給される。
【0088】
実施例1と同様、抵抗層25には、ガンマ基準電圧VG0及びVG5の電圧差と、抵抗層25の総抵抗値に応じた定常電流が流れる。また、抵抗層25に流れる定常電流は、メタル配線m0及びコンタクトcn0にも流れる。メタル配線m0の抵抗値は十分小さいため無視できるとすると、メタル配線m0に供給されるガンマアンプ21-1の出力電圧Voutと抵抗層25上の電圧Vgs0との間には、コンタクトcn0による電圧差Vcが生じる。一方、メタル配線m0a及びコンタクトcn0a、メタル配線m1及びコンタクトcn1、メタル配線m2及びコンタクトcn2には定常電流が流れないため、抵抗層上の電圧出力点の電圧VgsX、Vgs1及びVgs2がメタル配線m0a、m1及びm2から取り出される。また抵抗層25の抵抗Rrにも定常電流が流れないため、電圧出力点の電圧VgsXは電圧供給点の電圧Vgs0と等しい。
【0089】
メタル配線m0aから取り出される電圧VgsXは、ガンマアンプ21-1の差動入力にフィードバックされるため、イマジナリーショートの状態になり、ガンマ基準電圧VG0と等しくなる。電圧VgsXと電圧Vgs0とは等しいため、電圧Vgs0もガンマ基準電圧VG0と等しい。これにより、レベル電圧生成回路A1からは、コンタクトcn0の抵抗Rcの抵抗値に関わらず、ガンマ基準電圧VG0が抵抗層25の電圧供給点の電圧Vgs0として出力される。
【0090】
なお、抵抗層25の反対側の端部(すなわち、
図3に示すガンマアンプ21-2が接続されている端部)にも、同様の構成を有するレベル電圧生成回路の回路ブロックを設ければ、ガンマ基準電圧VG5と等しい電圧Vgs(q-1)を抵抗層25に供給することができる。
【0091】
本実施例のレベル電圧生成回路A1によれば、第1のラダー抵抗22の出力電圧から、抵抗層25と各メタル配線とを接続するコンタクト部分の抵抗のばらつきの影響を取り除くことができる。従って、出力電圧間の相対誤差に加えて、設計値からの絶対誤差が十分に小さい高精度なラダー抵抗の出力電圧(レベル電圧)を生成することができる。
【0092】
なお、本実施例のレベル電圧生成回路A1の構成では、抵抗層25上の電圧Vgs0の電圧供給点付近では、コンタクトcn0から抵抗層25へ定常電流が流れ込むため、実施例1と比べて電流密度が不均一になり、若干電圧精度が低下する場合がある。しかし、ガンマアンプ21-1の出力電圧Voutは、電圧Vgs0(=VG0)にコンタクトcn0aの抵抗Rcによって生じる電圧差Vcを加算した電圧(すなわち、VG0+Vc)となるため、ガンマ基準電圧VG0の設定範囲は、電源電圧の範囲よりも電圧差Vcだけ狭く、実施例1におけるガンマ基準電圧VG0の設定範囲よりも広い。
【0093】
以上のように、本実施例のレベル電圧生成回路A1によれば、コンタクト抵抗のばらつきの影響を受けることなく、出力電圧間の相対誤差及び設計値からの絶対誤差が十分に小さい高精度なレベル電圧を出力することができる。
【実施例3】
【0094】
次に、本発明の実施例3について説明する。なお、本実施例の説明では、第2のラダー抵抗24の出力電圧、(すなわちガンマ基準電圧VG0、VG5、及びガンマアンプ21-3~21-6の各々の出力電圧を第2のラダー抵抗24によって分圧した電圧)を総称して「レベル電圧」と称する。
【0095】
ガンマアンプ21-3、21-4、21-5及び21-6の各々と第2のラダー抵抗24との接続部分には、レベル電圧を生成するレベル電圧生成回路が形成されている。
図3では、レベル電圧生成回路のうち、第2のラダー抵抗24とガンマアンプ21-3との接続部分に位置する回路ブロックを、レベル電圧生成回路A2として示している。なお、第2のラダー抵抗23とガンマアンプ21-4、21-5及び21-6の各々との接続部分にも同様の回路ブロックが形成されている。
【0096】
レベル電圧生成回路A2は、ガンマアンプ21-3及び第2のラダー抵抗24の一部を含み、ガンマ電圧VG1及びVG2を分圧した電圧(すなわち、第2のラダー抵抗24の出力電圧)をデコーダ30-1~30-kに供給する階調電圧供給部としての機能を有する。
【0097】
図9は、レベル電圧生成回路A2の構成を示す模式図である。第2のラダー抵抗24は、例えば半導体基板や絶縁性基板等の基板(図示せず)上に薄膜を用いて形成されており、ここでは第2のラダー抵抗24を構成する抵抗層25の一部を上面視した平面図をガンマアンプ21-3の回路図とともに示している。
【0098】
レベル電圧生成回路A2は、図示せぬ基板上に薄膜を用いて形成された抵抗層25と、金属層からなるメタル配線m0c、m0、m1、m2及びmzと、コンタクトcn0c、cn0、cn1、cn2及びcnzから構成されている。抵抗層25は、抵抗設計値Rz、R0及びR1の領域(以下、抵抗Rz領域、抵抗R0領域、抵抗R1領域と称する)に分けられており、各々の領域の境界付近にコンタクトを介してメタル配線が接続されている。なお、メタル配線mz、m0、m1及びm2の各々の抵抗は、抵抗層25の抵抗値と
比べると十分に小さい。
【0099】
具体的には、メタル配線m0は、抵抗Rz領域と抵抗R0領域との境界に設けられたコンタクトcn0を介して、抵抗層25に接続されている。メタル配線m1は、抵抗R0領域と抵抗R1領域との境界に設けられたコンタクトcn1を介して、抵抗層25に接続されている。メタル配線m2は、抵抗R1領域とこれに隣接する抵抗領域(図示せず)との境界に設けられたコンタクトcn2を介して、抵抗層25に接続されている。メタル配線mzは、抵抗Rz領域とこれに隣接する抵抗領域(図示せず)との境界に設けられたコンタクトcnzを介して、抵抗層25に接続されている。
【0100】
また、抵抗層25の抵抗Rz領域と抵抗R0領域との境界部分には、設計抵抗Rrの領域(以下、抵抗Rr領域と称する)からなる突起部が形成されている。当該突起部にはコンタクトcn0cが設けられており、メタル配線m0cが当該コンタクトcn0cを介して抵抗層25に接続されている。メタル配線m0c及びメタル配線m0は、同層間で分離されている。
【0101】
抵抗層25上のコンタクトcnz、cn0、cn1及びcn2は、抵抗層25を抵抗領域Rz、R0、R1に分割するように設置され、各抵抗領域の境界の電圧をVgsz、Vgs0、Vgs1及びVgs2とする。
【0102】
抵抗層25上のコンタクトcn0cが接続される抵抗Rz、R0の境界上部の突起部が抵抗層25の電圧供給点で、ガンマアンプ21-3の出力電圧Voutが、メタル配線m0c及びコンタクトcn0cを介して抵抗層25に供給される。抵抗層25上のコンタクトcnz、cn0、cn1、cn2が接続される抵抗領域の境界点の各々が第2のラダー抵抗24を分圧した電圧が出力される電圧出力点である。第2のラダー抵抗24の出力電圧である電圧Vgs0は、コンタクトcn0及びメタル配線m0を介して出力される。すなわち、本実施例のレベル電圧生成回路A2では、電圧供給点と電圧出力点とが分離されている。
【0103】
また、メタル配線m0はガンマアンプ21-3の反転入力端に接続されており、メタル配線m0から出力された電圧Vgs0はガンマアンプ21-3にフィードバックされる。ガンマアンプ21-3、コンタクトcn0、メタル配線m0c、抵抗層25の抵抗Rr領域、及びメタル配線m0cは、フィードバック回路を構成している。
【0104】
本実施例のレベル電圧生成回路A2では、抵抗層25におけるガンマ電圧VG1の電圧供給点と電圧Vgs0の電圧出力点とが分離され、それぞれレベル電圧生成回路A2における抵抗層25の中間部(例えば、抵抗Rz領域及び抵抗R0領域の境界点近傍)に設けられている。また、抵抗層25のガンマ電圧VG1の電圧供給点は、抵抗Rz領域、抵抗R0領域及び抵抗R1領域間を流れる定常電流の経路外(すなわち、上記の突起部)に設けられている。また、第2のラダー抵抗24の出力電圧である電圧Vgsz、Vgs0、Vgs1及びVgs2の各々の電圧出力点は、抵抗Rz領域、抵抗R0領域及び抵抗R1領域間を流れる定常電流の経路上に設けられている。
【0105】
次に、本実施例のレベル電圧生成回路A2の作用について説明する。
【0106】
図9に示すように、ガンマアンプ21-3には、ガンマ電圧VG1及びメタル配線m0からの出力電圧が差動入力される。また、ガンマアンプ21-3の電圧出力端からは出力電圧Voutが出力され、メタル配線m0cに供給される。
【0107】
このとき、抵抗層25には、第2のラダー抵抗24の両端に供給されるガンマ基準電圧VG0、VG5及びガンマ電圧VG1の電圧差と、抵抗層25の各電圧供給点間の抵抗値に応じた定常電流が流れる。また、抵抗Rz領域に流れる定常電流と抵抗R0領域に流れる定常電流とが異なる場合、メタル配線m0c、コンタクトcn0c及び突起部の抵抗Rr領域にも定常電流が流れる。ここで、メタル配線m0cの抵抗値は十分小さいため無視できるとすると、メタル配線m0cに供給されるガンマアンプ21-3の出力電圧Voutと抵抗層25上の電圧Vgs0との間には、コンタクトcn0cの抵抗Rc及び突起部の抵抗Rrによる電圧差(Vc+Vr)が生じる。一方、メタル配線mz、m0、m1及びm2と、コンタクトcnz、cn0、cn1及びcn2には、それぞれ抵抗層25から定常電流が流れ込まないため、抵抗層上の電圧Vgsz、Vgs0、Vgs1及びVgs2がメタル配線mz、m0、m1及びm2からそのまま取り出される。
【0108】
メタル配線m0から取り出される電圧Vgs0は、ガンマアンプ21-3の差動入力にフィードバックされるため、イマジナリーショートの状態になり、ガンマ電圧VG1と等しくなる。これにより、レベル電圧生成回路A2は、ガンマ電圧VG1に対して、抵抗層25の突起部の抵抗Rr及びコンタクトcn0cの抵抗Rcの抵抗値に関わらず、抵抗層25の設計抵抗値に応じた電圧を高精度に取り出すことができる。
【0109】
本実施例のレベル電圧生成回路A2によれば、第2のラダー抵抗24の出力電圧から、抵抗層25と各メタル配線とを接続するコンタクト部分の抵抗のばらつきの影響を取り除くことができる。従って、出力電圧間の相対誤差に加えて、設計値からの絶対誤差が十分に小さい高精度なラダー抵抗の出力電圧(レベル電圧)を生成することができる。
【0110】
なお、ガンマアンプ21-3の出力電圧Voutは、電圧Vgs0(=VG1)に、突起部の抵抗Rr領域によって生じる電圧差Vr及びコンタクトcn0の抵抗Rcによって生じる電圧差Vcを加算した電圧(すなわち、VG1+Vr+Vc)となる。
【0111】
以上のように、本実施例のレベル電圧生成回路A2によれば、コンタクトの抵抗のばらつきの影響を受けることなく、出力電圧間の相対誤差及び設計値からの絶対誤差が十分に小さい高精度なレベル電圧を出力することができる。
【実施例4】
【0112】
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例の表示装置は、レベル電圧生成回路A2の構成において実施例3と異なる。
【0113】
図10は、本実施例のレベル電圧生成回路A2の構成を示す模式図である。ここでは、第2のラダー抵抗24を構成する抵抗層25の一部を上面視した平面図をガンマアンプ21-3の回路図とともに示している。
【0114】
本実施例のレベル電圧生成回路A2は、メタル配線m0c及びメタル配線m0とガンマアンプ21-3との接続関係において実施例3のレベル電圧生成回路A2と異なる。具体的には、本実施例のレベル電圧生成回路A2では、メタル配線m0cがガンマアンプ21-1の反転入力端に接続され、メタル配線m0がガンマアンプ21-1の電圧出力端に接続されている。すなわち、実施例3のレベル電圧生成回路A2と比べると、ガンマアンプ21-3の出力電圧Voutの抵抗層25への電圧供給点の位置と、抵抗層25からの電圧出力点の位置とが入れ替わっている。
【0115】
図9と同様に、抵抗層25上のコンタクトcnz、cn0、cn1及びcn2は、抵抗層25を抵抗領域Rz、R0、R1に分割するように設置され、各抵抗領域の境界の電圧をVgsz、Vgs0、Vgs1及びVgs2とする。ガンマアンプ21-1の出力電圧Voutは、メタル配線m0及びコンタクトcn0を介して、抵抗層25の抵抗Rz領域と抵抗R0領域との境界に位置する電圧供給点(Vgs0)に供給される。
【0116】
抵抗R0領域と抵抗R1領域との境界には電圧Vgs1の電圧出力点が位置しており、コンタクトcn1を介してメタル配線m1が接続されている。抵抗R1領域とこれに隣接する抵抗領域(図示せず)との境界には電圧Vgs2の電圧出力点が位置しており、コンタクトcn2を介してメタル配線m2が接続されている。抵抗Rz領域とこれに隣接する抵抗領域(図示せず)との境界には電圧Vgszの電圧出力点が位置しており、コンタクトcnzを介してメタル配線mzが接続されている。
【0117】
また、抵抗層25の抵抗Rz領域と抵抗R0領域との境界部分には、抵抗Rr領域からなる突起部が形成されている。当該突起部にはコンタクトcn0cが設けられており、メタル配線m0cが当該コンタクトcncを介して抵抗層25に接続されている。メタル配線m0c及びメタル配線m0は、同層間で分離されている。
【0118】
メタル配線mzから電圧Vgsz、メタル配線m1から電圧Vgs1、メタル配線m2から電圧Vgs2がそれぞれ出力される。なお、メタル配線mz、m0、m1及びm2の各々の抵抗は、抵抗層25の抵抗値と比べると十分に小さい。
【0119】
ガンマアンプ21-3の出力電圧Voutは、メタル配線m0及びコンタクトcn0を介して抵抗層25の電圧供給点(Vgs0)に供給される。抵抗層25上のコンタクトcnz、cn0c、cn1、cn2が接続される抵抗領域の境界点の各々が第2のラダー抵抗24を分圧した電圧が出力される電圧出力点である。第2のラダー抵抗24の出力電圧である抵抗層25の突起部の電圧は、コンタクトcn0c及びメタル配線m0cを介して出力される。すなわち、本実施例のレベル電圧生成回路A2では、電圧供給点と電圧出力点とが分離されている。
【0120】
また、メタル配線m0cはガンマアンプ21-3の反転入力端に接続されており、メタル配線m0cから出力された電圧はガンマアンプ21-3にフィードバックされる。ガンマアンプ21-3、メタル配線m0、コンタクトcn0、抵抗層25の抵抗Rr領域、及びメタル配線m0cは、フィードバック回路を構成している。
【0121】
次に、本実施例のレベル電圧生成回路A2の作用について説明する。
【0122】
図10に示すように、ガンマアンプ21-3には、ガンマ電圧VG1及びメタル配線m0cからの出力電圧が差動入力される。また、ガンマアンプ21-3の電圧出力端からは出力電圧Voutが出力され、メタル配線m0に供給される。
【0123】
このとき、抵抗層25には、第2のラダー抵抗24の両端に供給されるガンマ基準電圧VG0、VG5及びガンマ電圧VG1の電圧差と、抵抗層25の各電圧供給点間の抵抗値に応じた定常電流が流れる。また、抵抗Rz領域に流れる電流と抵抗R0領域に流れる電流とが異なる場合、メタル配線m0及びコンタクトcn0にも電流が流れる。ここで、メタル配線m0の抵抗値は十分小さいため無視できるとすると、メタル配線m0に供給されるガンマアンプ21-3の出力電圧Voutと抵抗層25上の電圧Vgs0との間には、コンタクトcn0の抵抗Rcによる電圧差Vcが生じる。一方、メタル配線mz、m0c、m1及びm2と、コンタクトcnz、cn0c、cn1、cn2及び突起部の抵抗領域Rrには電流が流れないため、抵抗層25の突起部とコンタクトcn0cとの接続点の電圧は電圧Vgs0と等しく、抵抗層上の電圧Vgsz、Vgs0、Vgs1及びVgs2がメタル配線mz、m0c、m1及びm2からそのまま取り出される。
【0124】
メタル配線m0cから取り出される電圧Vgs0は、ガンマアンプ21-3の差動入力にフィードバックされるため、イマジナリーショートの状態になり、ガンマ電圧VG1と等しくなる。これにより、レベル電圧生成回路A2は、ガンマ電圧VG1に対して、抵抗層25の突起部の抵抗Rr及びコンタクトcn0、cn0cの抵抗Rcの抵抗値に関わらず、抵抗層25の設計抵抗値に応じた電圧を高精度に取り出すことができる。
【0125】
なお、ガンマアンプ21-3の出力電圧Voutは、電圧Vgs0(=VG1)に、コンタクトcn0の抵抗Rcによって生じる電圧差Vcを加算した電圧(すなわち、VG1+Vc)となる。
【0126】
以上のように、本実施例のレベル電圧生成回路A2によれば、第2のラダー抵抗24の出力電圧から、抵抗層25と各メタル配線とを接続するコンタクト部分の抵抗のばらつきの影響を取り除くことにより、出力電圧間の相対誤差及び設計値からの絶対誤差が十分に小さい高精度なレベル電圧(ラダー抵抗の出力電圧)を出力することができる。
【0127】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例1及び実施例2では、ガンマアンプ21-1及び21-2の各々と第1のラダー抵抗22との接続部分に
図4A又は
図4Bに示すような回路ブロック(すなわち、レベル電圧生成回路A1)が形成されている例について説明した。しかし、これとは異なり、ガンマアンプ21-1及び21-2の各々と第2のラダー抵抗24との接続部分に、同様の構成を有する回路ブロックが形成されていてもよい。すなわち、実施例1及び実施例2のような構成の回路ブロックを有するレベル電圧生成回路が第1のラダー抵抗22とガンマアンプ21-1及び21-2の各々との間、又は第2のラダー抵抗24とガンマアンプ21-1及び21-2の各々との間のいずれかに上記のような回路ブロックが形成されていればよい。
【符号の説明】
【0128】
100 表示装置
11 表示パネル
12 表示コントローラ
13A,13B ゲートドライバ
14-1~14-p データドライバ
141 データラッチ部
142 制御部
15 基準電圧生成部
20 階調電圧生成部
30-1~30-k デコーダ
40-1~40-k 出力アンプ
21-1~21-6 ガンマアンプ
22 第1のラダー抵抗
23A~23D ガンマデコーダ
24 第2のラダー抵抗
25 抵抗層