(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】深紫外線光源のための光学コンポーネント
(51)【国際特許分類】
H01S 3/034 20060101AFI20240902BHJP
H01S 3/23 20060101ALI20240902BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20240902BHJP
H01J 61/30 20060101ALI20240902BHJP
H01J 61/35 20060101ALI20240902BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240902BHJP
H01S 3/00 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
H01S3/034
H01S3/23
G02B5/08 A
H01J61/30 N
H01J61/35 F
G03F7/20 502
H01S3/00 B
(21)【出願番号】P 2023518347
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 US2021054610
(87)【国際公開番号】W WO2022093527
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-17
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】メルキオール,ジョン,セオドア
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-196168(JP,A)
【文献】特表2011-505592(JP,A)
【文献】特開2010-089251(JP,A)
【文献】特開2014-102507(JP,A)
【文献】特開2002-082211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平滑基板表面を備える、フッ化カルシウム基板と、
前記平滑基板表面をカバーし、それによって前記フッ化カルシウム基板と保護層との間に平滑インターフェースを形成する、保護層と、
を備え、
前記平滑基板表面のプロファイルの平均偏差として定義される前記平滑基板表面のプロファイルラフネスパラメータRaは、0.01ナノメートル(nm)から0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内である、
光学コンポーネント。
【請求項2】
前記平滑基板表面の選択されたサンプリング長さ内のプロファイルの山から谷までの高さの平均として定義される、前記平滑基板表面の別のプロファイルラフネスパラメータRzは、1.0nmから1.6nmまでの範囲内である、請求項1に記載の光学コンポーネント。
【請求項3】
前記光学コンポーネントは、193nmの波長を有する光ビーム用に構成される、請求項1に記載の光学コンポーネント。
【請求項4】
前記光学コンポーネントは、ガス放電チャンバのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタである、請求項1に記載の光学コンポーネント。
【請求項5】
前記保護層は、前記フッ化カルシウム基板のフッ素の空乏化を防ぐように構成される、請求項1に記載の光学コンポーネント。
【請求項6】
深紫外線(DUV)光リソグラフィのための光学系であって、
1つ以上のガス放電チャンバを含むガス放電システムであって、各ガス放電チャンバはエネルギー源を収容し、利得媒体を含むガス混合物を含有するガス放電システムと、
前記ガス放電システムに関連付けられた1つ以上の光学コンポーネントと、
を備え、各光学コンポーネントは、
平滑基板表面を備える基板と、
DUV光の照射によって少なくとも一部が生じる前記平滑基板表面の損傷を緩和又は防止するように構成された保護層であって、前記保護層は前記平滑基板表面上に堆積され、それによって前記基板と前記保護層との間に平滑インターフェースを形成する、保護層と、
を備える、光学系。
【請求項7】
前記ガス放電システムは、パルスシード光ビームを生成するように構成された主発振器、及び、前記シード光ビームからパルス出力光ビームを生成するように構成されたパワー増幅器を含む、2つの放電チャンバを備える、請求項6に記載の光学系。
【請求項8】
前記光学コンポーネントの少なくとも1つは、前記パルスシード光ビームを前記主発振器から前記パワー増幅器へと送るように構成される、請求項7に記載の光学系。
【請求項9】
前記光学コンポーネントは、前記ガス放電チャンバのうちの1つのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタである、請求項6に記載の光学系。
【請求項10】
前記平滑基板表面のプロファイルの平均偏差として定義される前記平滑基板表面のプロファイルラフネスRaは、0.01ナノメートル(nm)から0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内である、請求項6に記載の光学系。
【請求項11】
深紫外線(DUV)光源内の光学コンポーネントの光学表面の損傷を緩和又は防止するための方法であって、
前記光学コンポーネントの前記光学表面の少なくとも一部を形成する基板表面を備える基板を提供すること、
前記基板表面に少なくとも1つの加速中性原子ビームを衝突させることによって、前記基板表面を平滑化すること、及び、
前記基板表面を平滑化した後、前記基板
と保護層との間にインターフェースが形成されるように、前記基板表面上に保護層を堆積させることであって、前記保護層は前記光学表面の損傷を緩和又は防止するように構成される、保護層を堆積させること、
を含む、方法。
【請求項12】
前記基板表面を平滑化することは、前記表面のプロファイルラフネスRaを0.17ナノメートル(nm)以下の(0.17nmを含む)値まで減少させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板表面に衝突させることは、原子クラスタ密度及び処理時間に依存する材料除去率を調整することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの加速中性原子ビームを前記基板表面に衝突させることは、別個の前記加速中性原子ビームを、一連のステップのうちの各ステップにおいて前記基板表面に衝突させることを含み、前記材料除去率は、衝突の各ステップにおいて調整される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板は、フッ化カルシウムで作成される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記基板表面を平滑化することは、前記基板の前記基板表面における再堆積層を除去することを含み、前記再堆積層は、前記基板表面の平滑化に先立つ前記基板表面の機械研磨の間に形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
平滑基板表面を備えるフッ化カルシウム基板と、
前記平滑基板表面上に堆積される保護層と、
を含み、
前記平滑基板表面は、加速中性原子ビーム処理を使用して実際に形成される、
光学コンポーネント。
【請求項18】
前記保護層は、前記フッ化カルシウム基板のフッ素の空乏化を防ぐように構成される、請求項17に記載の光学コンポーネント。
【請求項19】
前記光学コンポーネントは
、深紫外線レンジ内の波長を有する光ビーム用に構成される、請求項17に記載の光学コンポーネント。
【請求項20】
前記光学コンポーネントは、193nmの波長を有する光ビーム用に構成される、請求項19に記載の光学コンポーネント。
【請求項21】
前記平滑基板表面の前記形成は、機械的処理、イオン化プラズマ処理、又は化学エッチングを含まない、請求項17に記載の光学コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2020年10月30日出願の「OPTICAL COMPONENT FOR DEEP ULTRAVIOLET LIGHT SOURCE」という名称の米国出願第63/107,827号、及び、2021年3月19日出願の「OPTICAL COMPONENT FOR DEEP ULTRAVIOLET LIGHT SOURCE」という名称の米国出願第63/163,348号の優先権を主張し、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 開示される主題は、深紫外線光源において使用される光学コンポーネントに関し、こうした光学コンポーネントは光学的によりロバストである。
【背景技術】
【0003】
[0003] フォトリソグラフィで使用されるガス放電光源の一種は、エキシマ光源又はレーザと呼ばれる。典型的には、エキシマレーザは、アルゴン、クリプトン、又はキセノンを含むことが可能な1つ以上の希ガス、並びに、フッ素又は塩素を含むことが可能な反応性ガスの組み合わせを使用する。エキシマレーザは、(エネルギー供給された)電気的シミュレーション及び(ガス混合物の)高圧力の適切な条件の下で、エキシマ、疑似分子を生み出すことが可能であり、エキシマは励起状態でのみ存在する。励起状態のエキシマは、紫外線レンジ内で増幅光を生じさせる。エキシマ光源は、単一のガス放電チャンバ又は複数のガス放電チャンバを使用可能である。エキシマ光源が実行されているとき、エキシマ光源は深紫外線(DUV)光ビームを生成する。DUV光は、例えば約100ナノメートル(nm)から約400nmの波長を含むことができる。
【発明の概要】
【0004】
[0004] いくつかの一般態様において、光学コンポーネントは、光学的相互作用表面の少なくとも一部を形成する原子的平滑基板表面を含む、フッ化カルシウム基板と、原子的平滑基板表面をカバーし、それによってフッ化カルシウム基板とシーラント層との間に平滑インターフェースを形成する、シーラント層と、を含む。原子的平滑基板表面のプロファイルの平均偏差として定義される原子的平滑基板表面のプロファイルラフネスパラメータRaは、0.01ナノメートル(nm)から0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内である。
【0005】
[0005] 実施例は、下記の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、原子的平滑基板表面の選択されたサンプリング長さ内のプロファイルの山から谷までの高さの平均として定義される、原子的平滑基板表面の別のプロファイルラフネスパラメータRzは、1.0nmから1.6nmの範囲内とすることができる。
【0006】
[0006] 光学コンポーネントは、193nmの波長を有する光ビーム用に構成可能である。光学コンポーネントは、ガス放電チャンバのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタとすることができる。光学コンポーネントは、深紫外線レンジ内の波長を有する光ビーム用に構成可能である。
【0007】
[0007] シーラント層は、フッ化カルシウム基板のフッ素の空乏化を防ぐように構成可能である。
【0008】
[0008] 原子的平滑基板表面は、加速中性原子ビーム処理を使用して実際に形成可能である。原子的平滑基板表面の形成は、機械的処理、イオン化プラズマ処理、又は化学エッチングを除外する(すなわち、含まない)ことが可能である。原子的平滑基板表面は、欠陥、かき傷、汚染物質粒子、及び表面下損傷がないことが可能である。
【0009】
[0009] 他の一般態様において、深紫外線(DUV)光リソグラフィのための光学系は、1つ以上のガス放電チャンバを含むガス放電システムであって、各ガス放電チャンバはエネルギー源を収容し、利得媒体を含むガス混合物を含有する、ガス放電システムと、ガス放電システムに関連付けられた1つ以上の光学コンポーネントと、を含む。各光学コンポーネントは、光学的相互作用表面の少なくとも一部を形成する原子的平滑基板表面を含む基板と、DUV光の照射によって少なくとも一部が生じる原子的平滑基板表面の損傷を緩和又は防止するように構成された保護層と、を含み、保護層は原子的平滑基板表面上に堆積され、それによって基板と保護層との間に平滑インターフェースを形成する。
【0010】
[0010] 実施例は、下記の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、ガス放電システムは、パルスシード光ビームを生成するように構成された主発振器、及び、シード光ビームからパルス出力光ビームを生成するように構成されたパワー増幅器を含む、2つの放電チャンバを含むことができる。光学コンポーネントの少なくとも1つは、パルスシード光ビームを主発振器からパワー増幅器へと送るように構成可能である。
【0011】
[0011] 光学コンポーネントは、ガス放電チャンバのうちの1つのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタとすることができる。
【0012】
[0012] 原子的平滑基板表面のプロファイルの平均偏差として定義される原子的平滑基板表面のプロファイルラフネスパラメータRaは、0.01ナノメートル(nm)から0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内とすることができる。
【0013】
[0013] 原子的平滑基板表面は、加速中性原子ビーム処理を使用して実際に形成可能である。原子的平滑基板表面は、欠陥、かき傷、汚染物質粒子、及び表面下損傷がないことが可能である。
【0014】
[0014] 他の一般態様において、深紫外線(DUV)光源内の光学コンポーネントの光学表面の損傷を緩和又は防止するための方法が実行される。方法は、光学コンポーネントの光学表面の少なくとも一部を形成する基板表面を備える基板を提供すること、基板表面に少なくとも1つの加速中性原子ビームを衝突させることによって、基板表面を平滑化すること、及び、基板表面を平滑化した後、基板と保護層との間にインターフェースが形成されるように、基板表面上に保護層を堆積させることであって、保護層は光学表面の損傷を緩和又は防止するように構成される、保護層を堆積させること、を含む。
【0015】
[0015] 実施例は、下記の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、基板表面は、基板表面において高位領域を除去すること、及び、基板表面において低位領域を残すことによって、平滑化することができる。基板表面は、表面のプロファイルラフネスRaを0.17ナノメートル(nm)以下の(0.17nmを含む)値まで減少させることによって、平滑化することができる。
【0016】
[0016] 基板表面は、原子クラスタ密度及び処理時間に依存する材料除去率を調整することによって衝突され得る。少なくとも1つの加速中性原子ビームを基板表面に衝突させることは、別個の加速中性原子ビームを、一連のステップのうちの各ステップにおいて基板表面に衝突させることを含むことができる。更に、材料除去率は、衝突の各ステップにおいて調整可能である。材料除去率は、ステップ当たり0.3ナノメートルからステップ当たり30ナノメートルまでの範囲内であり得る。
【0017】
[0017] 基板は、フッ化カルシウムで作成可能である。
【0018】
[0018] 基板表面は、基板表面のプロファイルの平均偏差として定義される基板表面のプロファイルラフネスRaが0.01nmから0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内になるまで、少なくとも1つの加速中性原子ビームを基板表面に衝突させることによって、平滑化することができる。
【0019】
[0019] 光学コンポーネントは、193nmの波長を有する光ビーム用に構成可能である。光学コンポーネントは、ガス放電チャンバのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタとすることができる。
【0020】
[0020] 基板表面は、基板の基板表面における再堆積層を除去することによって平滑化可能であり、再堆積層は、基板表面の平滑化に先立つ基板表面の機械研磨の間に形成される。基板表面は、表面下損傷、かき傷、欠陥、及び汚染物質粒子を基板表面から除去することによって平滑化可能である。基板表面は、追加の損傷又は欠陥を基板表面に付加することなく、損傷及び欠陥を基板表面から除去することによって平滑化可能である。
【0021】
[0021] 他の一般態様において、光学コンポーネントは、光学的相互作用表面の少なくとも一部を形成する平滑基板表面を有するフッ化カルシウム基板と、平滑基板表面上に堆積されるシーラント層と、を含む。平滑基板表面は、加速中性原子ビーム処理を使用して実際に形成される。
【0022】
[0022] 実施例は、下記の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、平滑基板表面のプロファイルの平均偏差として定義される平滑基板表面のプロファイルラフネスRaは、0.01ナノメートル(nm)から0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内とすることができる。
【0023】
[0023] シーラント層は、フッ化カルシウム基板のフッ素の空乏化を防ぐように構成可能である。
【0024】
[0024] 光学コンポーネントは、深紫外線レンジ内の波長を有する光ビーム用に構成可能である。光学コンポーネントは、193nmの波長を有する光ビーム用に構成可能である。光学コンポーネントは、ガス放電チャンバのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタとすることができる。
【0025】
[0025] 平滑基板表面の形成は、機械的処理、イオン化プラズマ処理、又は化学エッチングを除外する(すなわち、含まない)ことが可能である。
【0026】
[0026] 他の一般態様において、光学コンポーネントは、光学コンポーネントの光学表面の少なくとも一部を形成する基板表面を備える基板を提供すること、基板表面に少なくとも1つの加速中性原子ビームを衝突させることによって、基板表面を平滑化すること、及び、基板表面を平滑化した後、基板と保護層との間にインターフェースが形成されるように、基板表面上に保護層を堆積させることであって、保護層は光学表面の損傷を緩和又は防止するように構成される、保護層を堆積させること、を含むプロセスを使用して実際に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】[0027]光ビームを生成する光学系のブロック図であり、光学系は、1つ以上のガス放電チャンバ及び1つ以上の光学コンポーネントを含む、ガス放電システムを含む。
【
図2A】[0028] 加速中性原子ビーム処理を使用して処理された後の
図1の光学コンポーネントの基板を示す側断面図である。
【
図3A】[0030] 原子的平滑基板表面を形成するために加速中性原子ビーム処理を使用して処理された後の
図1の光学コンポーネントを示し、保護層が原子的平滑基板表面に印加される、側断面図である。
【
図3B】[0031]
図3Aの光学コンポーネントを示す斜視図である。
【
図4】[0032]
図1、
図3A、及び
図3Bの光学コンポーネントを形成するための手順を示すフローチャートである。
【
図5A】[0033]
図4の手順内の加速中性原子ビーム処理を示す基板の概略断面図である。
【
図5B】[0034] 加速中性原子ビーム処理後の
図5Aの基板の概略断面図である。
【
図6A】[0035]
図4の手順内の加速中性原子ビーム処理を示す、損傷層及び再堆積層を含む基板の概略断面図である。
【
図6B】[0036] 加速中性原子ビーム処理を使用した再堆積層の除去後の損傷層を含む
図6Aの基板の概略断面図である。
【
図6C】[0037] 加速中性原子ビーム処理を使用した再堆積層及び損傷層の除去後の
図6Aの基板の概略断面図である。
【
図7A】[0038] 2つのガス放電チャンバを含むガス放電システムを含む、
図1の光学系の実施例、及び、
図1の光学コンポーネントの実施例を示す、X-Z面内の断面図である。
【
図7B】[0039]
図7Aの光学コンポーネントのうちの1つのX-Y面内の正面図であり、光学コンポーネントは、
図7Aのガス放電チャンバのうちの1つのチャンバ壁内に保持される。
【
図7C】[0040] チャンバ壁内に保持される
図7Bの光学コンポーネントの線7C-7C’に沿ったX-Z面内の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0041]
図1を参照すると、光学系100は、リソグラフィ露光装置110によってDUVリソグラフィで使用するための深紫外線(DUV)スペクトル内の波長を有する光ビーム105(増幅光ビームであってよい)を生成する。したがって、光ビーム105の波長は、約100ナノメートル(nm)から約400nmの範囲内である。光学系100は、1つ以上のガス放電チャンバ120及び1つ以上の光学コンポーネント125を含む、ガス放電システム115を含む。光学コンポーネント125のうちのいずれかは、ガス放電チャンバ120のうちのいずれか1つと関連付けることが可能であるか、又は、ガス放電システム115内の他の光学要素と関連付けることが可能である。
図1には1つのガス放電チャンバ120及び光学コンポーネント125が示されているが、1つより多くのガス放電チャンバ120及び1つより多くの光学コンポーネント125が存在可能である。各ガス放電チャンバ120は、エネルギー源121を含み、利得媒体を含むガス混合物122を含有する。例えば、利得媒体がフッ化アルゴン(ArF)を含む場合、光ビーム105の波長は約193nmである。光ビーム105はパルス光ビームとすることができる。
【0029】
[0042] 光学コンポーネント125の各々は、最終的にガス放電システム115から出力される光ビーム105を形成する、前駆体光ビーム104と相互作用するように構成される。したがって、光学コンポーネント125は、ガス放電システム115内の任意の適切なロケーションに配置可能である。光学コンポーネント125のロケーションに依存して、光学コンポーネント125と相互作用する前駆体光ビーム104は、同じエネルギー及び/又はパワーの光ビーム105を有することが可能であるか、又は、光ビーム105からの異なるエネルギー及び/又はパワーを有することが可能である。様々な状況において、前駆体光ビーム104は、レーザキャビティ内を循環する光ビームであり得る。いずれの場合も、前駆体光ビーム104は、経時的に光学コンポーネント125に損傷を与える可能性のあるパルス光ビームの可能性がある。したがって、光学コンポーネント125は、前駆体光ビーム104によって照射されるとき、光学コンポーネント125に印加される高位のフルエンスに耐えることができる材料で作られる。例えば光ビーム105は、例えばパルス当たり20ミリジュール(mJs)より大きいパルスエネルギーを有することが可能な、パルス光ビームである。光学コンポーネント125は、パルス当たり80mJ/cm2の大きさのフルエンスを受ける可能性がある。例えばいくつかの実施例において、光学コンポーネント125は、フッ化カルシウム(CaF2)で作られる基板を含む。
【0030】
[0043] 経時的に、光学コンポーネント125は、前駆体光ビーム104の照射によって損傷し、光学コンポーネント125への損傷は、ガス放電システム115及びしたがって光学系100の性能を低下させ、ガス放電チャンバ120の寿命を減少させる。例えば、光学コンポーネント125の基板126がCaF2で、及び前駆体光ビーム104の特定の波長で作られる場合、光学コンポーネント125の光学的相互作用領域127は、フッ素漏れ、及び、光学コンポーネント125の基板の表面に当たる前駆体光ビーム104によって引き起こされる結晶崩壊に起因して、損傷を被る可能性がある。こうした損傷を減らすために、光学コンポーネント125の基板126は、シーラント層又は保護層128でコーティングされるが、最終的にこの保護層128も壊れると、光学コンポーネント125上の局所的表面損傷につながる。
【0031】
[0044] 光学コンポーネント125(及びガス放電チャンバ120)の寿命を向上させるために、保護層128とCaF2基板126との間のインターフェース129は、できる限り欠陥や汚れがないものとしなければならない。このため、光学コンポーネント125は、加速中性原子ビーム処理を使用して製造される。
【0032】
[0045] 具体的に言えば、
図2A及び
図2Bに示されるように、保護層128によってコーティングされる前に、基板126の原子的平滑基板表面124は、加速中性原子ビーム処理を使用して実際に形成されるか、又は実際に形成されている。原子的平滑基板表面124において、基板材料の原始結晶格子、すなわち、最初に成長したときの結晶格子が露光される。言い換えれば、最終的に保護層128とCaF
2基板126との間にインターフェース129を形成することになる、CaF
2基板126の表面124は、(基板材料である)CaF
2の薄層並びに欠陥及び汚染物質が、基板126の表面又は表面下に付加的損傷を追加することなく、表面124から均一及びきれいに除去されるように、(
図5Aに示されるように)少なくとも1つの加速中性原子ビームによって衝突又はヒットされる。このようにして、基板126の表面124は、光学コンポーネント125及び光学系100に損傷を与えるこれらの欠陥及び汚染物質のない、原子的平滑基板表面124へと形成される。
【0033】
[0046] 原子的平滑基板表面124は、光学コンポーネント125の光学的相互作用領域127の少なくとも一部を形成する。特に、光学的相互作用領域127は、光ビーム104と相互作用する基板126の領域である。したがって光学的相互作用領域127は、光ビーム104と相互作用するすべての表面、材料、及びインターフェースを含む。光学コンポーネント125は透過光学素子であるため、光ビーム104は、保護層128、インターフェース129、基板表面124、並びに基板126と相互作用する。
【0034】
[0047] 原子的平滑基板表面124は、原子的平滑基板表面124のプロファイルの平均偏差として定義される、プロファイルラフネスパラメータRaを有し、これは、0.01ナノメートル(nm)から0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内である。いくつかの実施例において、原子的平滑基板表面124は、原子的平滑基板表面124の選択されたサンプリング長さ内のプロファイルの山から谷までの高さの平均として定義される、別のプロファイルラフネスパラメータRzも有し、これは1.0nmから1.6nmまでの範囲内である。したがって、原子的平滑基板表面124には、光学コンポーネント125への損傷及び光学系100の劣化を経時的に生じさせる、欠陥、損傷、かき傷、及び汚染物質がない。原子的平滑基板表面124は、(代替として、化学エッチング、機械的処理、又はイオン化プラズマ処理を使用するのではなく)実際に加速中性原子ビーム処理を使用して形成されるため、原子的平滑基板表面124が処理又は形成されるとき、基板126の表面に付加的損傷が加えられることはない。別の言い方をすれば、原子的平滑基板表面124の形成における最終平滑化ステップは、機械的処理、イオン化プラズマ処理、又は化学エッチングを含まない。したがって、原子的平滑基板表面124には、欠陥、かき傷、汚染物質粒子、及び表面下損傷がないか、又は非常に少ない。
【0035】
[0048] 加えて、
図3A及び
図3Bに示されるように、保護層128が原子的平滑基板表面124をカバーしている(又はその上に堆積している)とき、CaF
2基板126の表面124と保護層128との間に平滑(又は、原子的平滑)インターフェース129として、インターフェース129が形成され、こうしたインターフェース129には欠陥及び汚染物質がなく、それによって、光学コンポーネント125及び光学系100の寿命を向上させる。
【0036】
[0049]
図4を参照すると、光学系100(又は、DUV源)内の光学コンポーネント125の(光学領域127内の)表面124の損傷を緩和又は防止するために、手順430が実行される。手順430は、光学系100内の光学コンポーネント125(
図1から
図3B)の表面124に関して実行される。
【0037】
[0050] 手順430は、処理及び平滑化されると、光学コンポーネント125の光学的相互作用領域127の少なくとも一部を形成する、未加工の基板表面443(
図5A)を含む基板126を提供すること(431)を含む。例えば、
図5Aに示されるように、基板126はフッ化カルシウムCaF
2で作ることができる。
【0038】
[0051] 未加工の基板表面443が加速中性原子ビーム処理を使用して平滑化される前に、基板126は、
図6Aを参照しながら下記で考察するように、例えば機械研磨又は化学エッチングによって生じる、かき傷、欠陥、損傷、及び/又は汚染物質を未加工の基板表面443に有する可能性がある。基板126を研磨する動作は、基板126の破壊、破損、機械的応力を受けた材料からなる、(
図6Aにおける表面下損傷層626dなどの)損傷した薄層を残す。加えて、(例えば、
図6Aに示されるように再堆積層626rを形成するために)研磨が実行された後、未加工の基板表面443に、研磨化合物、他の処理汚染物質、及び水分が残る可能性がある。したがって、(次に考察する、加速中性原子ビーム処理を使用する)追加の修復ステップなしに、基板126に印加されるいずれかの保護層128は、可変的に破壊され潜在的に汚染された基板126に取り付けられる。未加工の基板表面443を平滑化することによって平滑基板表面124を形成することなく、基板126と保護層128との間に形成される不完全なインターフェースは、基板126(及び、基板表面124)を保護するために保護層128がどのようにうまく働くかにおいて観察される変動性に寄与する可能性がある。
【0039】
[0052] 未加工の基板表面443は、
図5Aに示されるように、少なくとも1つの加速中性原子ビーム440を未加工の基板表面443に衝突させることによって、平滑化される(433)。加速中性原子ビームは、完全に未加工の基板表面443と相互作用して平滑化し、それによって平滑基板表面124(
図5B)を形成するために、X及びYの両方の方向にスキャンされる。各加速中性原子ビーム440は、未加工の基板表面443の薄層が均一及びきれいに除去され、それによって原子的平滑基板表面124(
図5B)を形成するように、適切に調整可能である。例えば、原子クラスタ密度、エネルギー、ビーム光束、及び原子タイプは、未加工の基板表面443と相互作用する各加速中性原子ビーム440について調整することができる。加えて、加速中性原子ビーム440が未加工の基板表面443(及び、平滑基板表面124を形成する前に形成された任意の中間表面)と相互作用する処理時間を調整することができる。更に、これらにおいて、未加工の基板表面443におけるCaF
2基板126の材料除去率を調整することができる。基板表面(433)の平滑化は、未加工の基板表面443において高位領域441を除去すること、及び、未加工の基板表面443において低位領域442を残すことを含むことができる。
【0040】
[0053]
図6Aから
図6Cも参照すると、基板126のバルク材料626bの未加工の基板表面443が示されている。平滑基板表面124を形成するために未加工の基板表面443を平滑化すること(433)は、基板126の未加工の基板表面443において再堆積層626r(
図6A)を除去することを含むことができる。再堆積層626rは、手順430を使用して平滑化された基板表面124を形成する前に、基板表面の機械研磨の間に形成される。したがって再堆積層626rは、少なくとも部分的に、機械研磨プロセスの間に生成される、(塗りつぶした星として示される)研磨不純物645を含むか、又は研磨不純物645で形成される。更に、未加工の基板表面443は、例えば表面の損傷、かき傷、欠陥、及び汚染物質粒子を未加工の基板表面443から除去することによって、平滑化することができる(433)。代替又は追加として、未加工の基板表面443を平滑化すること(433)は、基板126の未加工の基板表面443においても表面下損傷層626dを除去することを含むことができる。損傷層626dは、(曲がりくねった線として示される)微小なひび646、及び(三角形として示される)プラスチックかき傷647などの、表面下損傷及び欠陥を含む。加えて、未加工の基板表面443は、例えば、未加工の基板表面443に付加的な損傷又は欠陥を加えることなく、未加工の基板表面443から損傷及び欠陥を除去することによって、平滑化すること(433)ができる。したがって、いくつかの実施例において、基板表面443を平滑化すること(433)は、基板表面124における損傷、欠陥、又は汚染物質粒子なしに、基板126のバルク材料626b内に基板表面124が形成されるように、再堆積層626r(
図6Aから
図6B)又は表面下損傷層626d(
図6Bから
図6C)を除去すること、あるいはそれらの組み合わせ、を含むことができる。
【0041】
[0054] 未加工の基板表面443に衝突させること(433)は、加速中性原子ビーム440内の原子クラスタ密度、及び、加速中性原子ビーム440が未加工の基板表面443上に当たる時間長さに関連付けられた処理時間に依存して、材料除去率を調整することを含むことができる。いくつかの実施例において、少なくとも1つの加速中性原子ビーム440を未加工の基板表面443に衝突させることは、別個の加速中性原子ビーム440を一連のステップのうちの各ステップにおいて基板表面443に衝突させることを含むことができる。言い換えれば、基板表面124は、別個の加速中性原子ビーム440を使用して、未加工の基板表面443の薄層を繰り返し(一連して)除去することによって、平滑化することができる。材料除去率は、衝突の各ステップにおいて調整可能である。例えば、未加工の基板表面443からの材料の除去率は、ステップ当たり0.3ナノメートルからステップ当たり30ナノメートルまでの範囲内とすることができる。
【0042】
[0055] (保護層128を印加する前に)平滑基板表面124を形成するために、未加工の基板表面443上で加速中性原子ビーム処理を実行することによって、更なる表面下損傷を追加することなく、また、(エッチングによって生じる可能性のある)結晶格子ピットを進展させることなく、未加工の基板表面443を平滑化することができる。更に、CaF2基板126を使用するテストにおいて、フッ素を優先的に取り除かないためにコロイド状カルシウムナノ粒子の形成を回避する、平滑化(433)が示されている。コロイド状カルシウムナノ粒子の形成は、結果として、193nmの波長を有する光の基板126における吸収の進展を生じさせることになるため、望ましくない。
【0043】
[0056] 基板表面124が平滑であるものと判定された場合(435)、
図3A及び
図3Bに示されるように、基板126と保護層128との間にインターフェース129を形成するために、基板表面124上に保護層128が堆積される(437)。保護層128は、表面124の損傷を緩和又は防止する。基板表面124は、基板表面124が0.01ナノメートル(nm)から0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内の、(原子的平滑基板表面124のプロファイルの平均偏差として定義される)プロファイルラフネスパラメータRaを有する場合、平滑(又は原子的に平滑)であるものと判定可能である。基板表面124が平滑でないと判定された場合(435)、ステップ433で手順430は続行される。手順430は、基板表面124が平滑(又は原子的に平滑)であると判定されるまで、続行可能である。結果として、保護層128とCaF
2基板126との間のインターフェース129には、光学コンポーネント125に損傷を生じさせる損傷、欠陥、かき傷、及び汚染物質がなくなる。このようにして、光学コンポーネント125及び光学源100の寿命が向上する。
【0044】
[0057]
図7Aを参照すると、光学系100(
図1)の実施例700は、2つのガス放電チャンバ720A、720B、並びに、ガス放電システム715に関連付けられた光学コンポーネント125(
図1)の実施例725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3を含む、ガス放電システム715を含む。光学系700は、半導体基板又はウェーハ762をパターン付与するために、例えば、リソグラフィ露光装置710による使用のための紫外線レンジ内にパルス出力光ビーム705oを生成するように構成される。この実施例において、放電チャンバ720Aは、パルスシード光ビーム705sを生成するように構成された主発振器を形成し、放電チャンバ720Bは、シード光ビーム705sからのパルス出力光ビーム705oを生成するように構成されたパワー増幅器を形成する。光学系700の他の実施例が可能である。
【0045】
[0058] 各放電チャンバ720A、720Bは、それぞれの内部キャビティ751A、751B内に利得媒体を含む、それぞれのガス混合物722A、722Bを保持するように構成される。それぞれの放電チャンバ720A、720B内で使用されるガス混合物722A、722Bは、必要な波長、帯域幅、及びエネルギー周辺にそれぞれの光ビーム705s、705oを生成するための適切なガスの組み合わせとすることができる。例えば、ガス混合物722A、722Bは、約193nmの波長の光を発する、フッ化アルゴン(ArF)を含むことができる。各放電チャンバ401A、401Bは、それぞれのチャンバ壁753A、754A、753B、754Bによって定義される。動作中、各放電チャンバ720A、720Bのチャンバ壁753A、754A、753B、754Bは、各内部キャビティ751A、751Bが密閉されるようにシール可能であり得る。各放電チャンバ720A、720Bは、各内部キャビティ751A、751B内のガス混合物722A、722Bにエネルギーを供給するように構成されたそれぞれのエネルギー源721A、721Bを収容する。例えば、各エネルギー源721A、721Bは、電位差を形成し、動作中、ガス混合物722A、722Bの利得媒体を励起する、1対の電極を含むことができる。
【0046】
[0059] 光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3は主発振器720Aに関連付けられ、光学コンポーネント725B_1、725B_2、725B_3はパワー増幅器720Bに関連付けられる。光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3は、加速中性原子ビーム処理を使用して製造される。したがって、光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3の各々は、原子的平滑基板表面を含む基板を含み、それによって保護層と、各光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3の基板表面との間に、平滑インターフェースを形成する。各光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3は、例えば、ガス放電チャンバ720A、720Bのうちの1つのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタとすることができる。
図7Aの実施例において、光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3の各々は、DUVレンジ内の波長を有する、シード光ビーム705s又は出力光ビーム705oなどの、光ビーム用に構成される。例えば、光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3の各々は、193nmの波長を有する、シード光ビーム705s又は出力光ビーム105などの、光ビーム用に構成される。
【0047】
[0060]
図7B及び
図7Cも参照すると、光学コンポーネント725A_1は、(主発振器を形成する)ガス放電チャンバ720Aのウィンドウである。光学コンポーネント725A_1は、主発振器720Aのチャンバ壁753Aの開口755内に配置される。ウィンドウ725A_1は、光ビームが、ガス放電チャンバ720Aの内部キャビティ751A(
図7C)内に、及び外へ進行できるようにする。したがって、ウィンドウ725A_1は、パルスシード光ビーム705sをガス放電チャンバ720Aからガス放電チャンバ720Bへと送るように構成される。
【0048】
[0061] (光学コンポーネントである)ウィンドウ725A_1は、光学的相互作用表面727及び保護層728の少なくとも一部を形成する、原子的平滑基板表面724(
図7C)を含む基板726(
図7C)を含む。保護層728は、(シード光ビーム705sなどの)DUV光の照射によって少なくとも部分的に生じる原子的平滑基板表面724の損傷を緩和又は防止するように構成される。一例において、基板726はCaF
2で作ることが可能であり、シーラント又は保護層728は、基板726のフッ素の空乏化を防ぐように構成可能である。保護層728を原子的平滑基板表面724上に堆積させることによって、平滑インターフェース729が、基板726と保護層728との間に形成される。ウィンドウ725A_1は原子的平滑基板表面724を有する基板726を含むため、平滑インターフェース729には欠陥及び汚染物質がなく、それによって、ウィンドウ725A_1及び光学系700の寿命を向上させる。別の例において、光学コンポーネント725A_1は、シード光ビーム705sがガス放電チャンバ720Aを出ることができるようにする、部分的反射/部分的伝送光学カプラとすることができる。
【0049】
[0062] 更に、
図7Aの実施例において、光学コンポーネント725B_1は、パワー増幅器720Bのチャンバ壁753Bの開口内に配置された、(パワー増幅器を形成する)ガス放電チャンバ720Bのウィンドウとすることができる。光学コンポーネント725B_1は、(シード光ビーム705s及び出力光ビーム705oなどの)光ビームが、ガス放電チャンバ720Bの内部キャビティ751B内に、及び外へ、進行できるようにする。別の例において、光学コンポーネント725B_1は、部分的反射/部分的伝送光学カプラとすることができる。
【0050】
[0063] 光学コンポーネント725A_2、725B_2は、光ビームを放電チャンバ720A、720Bのそれぞれの内部キャビティ751A、751B内に、及び外へ進行するようにする、ウィンドウとすることもできる。この例において、光学コンポーネント725A_2はチャンバ壁754Aの開口内に保持され、光学コンポーネント725B_2はチャンバ壁754Bの開口内に保持される。光学コンポーネント725A_3は、ガス放電チャンバ720Aから出力されるシード光ビーム705sの波長及び/又は帯域幅を選択する、スペクトル特徴モジュールのコンポーネントとすることができる。この例において、光学コンポーネント725A_3は、ガス放電チャンバ720Aの外部に配置される。例えば、スペクトル特徴モジュール725A_3は、ビームエキスパンドプリズム又はビームスプリッタのうちの1つ以上を含むことができる。更に、光学コンポーネント725B_3は、シード光ビーム705sを、ガス放電チャンバ720Bを介して後方に向けて送るように構成された、ビーム逆転器又は反転器とすることができる。この例において、光学コンポーネント725B_3は、ガス放電チャンバ720Bの外部に配置される。
【0051】
[0064] 光学系700の運用の間、光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3は、光ビーム705s、705oの照射によって損傷する可能性がある。光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3に対する損傷は、ガス放電システム715及び光学系700の性能を低下させ、これによってガス放電チャンバ720A、720Bの寿命を減少させる。この損傷を減少させるために、光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3の各々は、加速中性原子ビーム処理を使用して製造される。前述のように、光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3の各々は、(
図7Cの基板表面724などの)原子的平滑基板表面を含む基板を含み、それによって、保護層と、各光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3の基板表面との間に、平滑インターフェースを形成する。原子的平滑基板表面には、それぞれの光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3に損傷を生じさせる、欠陥、損傷、かき傷、及び汚染物質がないため、光学系700及び光学コンポーネント725A_1、725A_2、725A_3、725B_1、725B_2、725B_3の寿命は向上する。
【0052】
[0065] 実施形態は、下記の条項を使用して更に説明可能である。
1.光学的相互作用表面の少なくとも一部を形成する原子的平滑基板表面を備える、フッ化カルシウム基板と、
原子的平滑基板表面をカバーし、それによってフッ化カルシウム基板とシーラント層との間に平滑インターフェースを形成する、シーラント層と、
を備え、
原子的平滑基板表面のプロファイルの平均偏差として定義される原子的平滑基板表面のプロファイルラフネスパラメータRaは、0.01ナノメートル(nm)から0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内である、
光学コンポーネント。
2.原子的平滑基板表面の選択されたサンプリング長さ内のプロファイルの山から谷までの高さの平均として定義される、原子的平滑基板表面の別のプロファイルラフネスパラメータRzは、1.0nmから1.6nmまでの範囲内である、条項1に記載の光学コンポーネント。
3.光学コンポーネントは、193nmの波長を有する光ビーム用に構成される、条項1に記載の光学コンポーネント。
4.光学コンポーネントは、ガス放電チャンバのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタである、条項1に記載の光学コンポーネント。
5.シーラント層は、フッ化カルシウム基板のフッ素の空乏化を防ぐように構成される、条項1に記載の光学コンポーネント。
6.光学コンポーネントは、深紫外線レンジ内の波長を有する光ビーム用に構成される、条項1に記載の光学コンポーネント。
7.原子的平滑基板表面は、加速中性原子ビーム処理を使用して実際に形成される、条項1に記載の光学コンポーネント。
8.原子的平滑基板表面の形成は、機械的処理、イオン化プラズマ処理、又は化学エッチングを含まない、条項7に記載の光学コンポーネント。
9.原子的平滑基板表面には、欠陥、かき傷、汚染物質粒子、及び表面下損傷がない、条項1に記載の光学コンポーネント。
10.深紫外線(DUV)光リソグラフィのための光学系であって、
1つ以上のガス放電チャンバを含むガス放電システムであって、各ガス放電チャンバはエネルギー源を収容し、利得媒体を含むガス混合物を含有するガス放電システムと、
ガス放電システムに関連付けられた1つ以上の光学コンポーネントと、
を備え、各光学コンポーネントは、
光学的相互作用表面の少なくとも一部を形成する原子的平滑基板表面を備える基板と、
DUV光の照射によって少なくとも一部が生じる原子的平滑基板表面の損傷を緩和又は防止するように構成された保護層であって、保護層は原子的平滑基板表面上に堆積され、それによって基板と保護層との間に平滑インターフェースを形成する、保護層と、
を備える、光学系。
11.ガス放電システムは、パルスシード光ビームを生成するように構成された主発振器、及び、シード光ビームからパルス出力光ビームを生成するように構成されたパワー増幅器を含む、2つの放電チャンバを備える、条項10に記載の光学系。
12.光学コンポーネントの少なくとも1つは、パルスシード光ビームを主発振器からパワー増幅器へと送るように構成される、条項11に記載の光学系。
13.光学コンポーネントは、ガス放電チャンバのうちの1つのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタである、条項10に記載の光学系。
14.原子的平滑基板表面のプロファイルの平均偏差として定義される原子的平滑基板表面のプロファイルラフネスRaは、0.01ナノメートル(nm)から0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内である、条項10に記載の光学系。
15.原子的平滑基板表面は、加速中性原子ビーム処理を使用して実際に形成される、条項10に記載の光学系。
16.原子的平滑基板表面には、欠陥、かき傷、汚染物質粒子、及び表面下損傷がない、条項10に記載の光学系。
17.深紫外線(DUV)光源内の光学コンポーネントの光学表面の損傷を緩和又は防止するための方法であって、
光学コンポーネントの光学表面の少なくとも一部を形成する基板表面を備える基板を提供すること、
基板表面に少なくとも1つの加速中性原子ビームを衝突させることによって、基板表面を平滑化すること、及び、
基板表面を平滑化した後、基板と保護層との間にインターフェースが形成されるように、基板表面上に保護層を堆積させることであって、保護層は光学表面の損傷を緩和又は防止するように構成される、保護層を堆積させること、
を含む、方法。
18.基板表面を平滑化することは、基板表面において高位領域を除去すること、及び、基板表面において低位領域を残すことを含む、条項17に記載の方法。
19.基板表面を平滑化することは、表面のプロファイルラフネスRaを0.17ナノメートル(nm)以下の(0.17nmを含む)値まで減少させることを含む、条項17に記載の方法。
20.基板表面に衝突させることは、原子クラスタ密度及び処理時間に依存する材料除去率を調整することを含む、条項17に記載の方法。
21.少なくとも1つの加速中性原子ビームを基板表面に衝突させることは、別個の加速中性原子ビームを、一連のステップのうちの各ステップにおいて基板表面に衝突させることを含み、材料除去率は、衝突の各ステップにおいて調整される、条項20に記載の方法。
22.材料除去率は、ステップ当たり0.3ナノメートルからステップ当たり30ナノメートルまでの範囲内である、条項21に記載の方法。
23.基板は、フッ化カルシウムで作成される、条項17に記載の方法。
24.基板表面を平滑化することは、基板表面のプロファイルの平均偏差として定義される基板表面のプロファイルラフネスRaが0.01nmから0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内になるまで、少なくとも1つの加速中性原子ビームを基板表面に衝突させることを含む、条項17に記載の方法。
25.光学コンポーネントは、193nmの波長を有する光ビーム用に構成される、条項17に記載の方法。
26.光学コンポーネントは、ガス放電チャンバのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタである、条項17に記載の方法。
27.基板表面を平滑化することは、基板の基板表面における再堆積層を除去することを含み、再堆積層は、基板表面の平滑化に先立つ基板表面の機械研磨の間に形成される、条項17に記載の方法。
28.基板表面を平滑化することは、表面下損傷、かき傷、欠陥、及び汚染物質粒子を基板表面から除去することを含む、条項17に記載の方法。
29.基板表面を平滑化することは、追加の損傷又は欠陥を基板表面に付加することなく、損傷及び欠陥を基板表面から除去することを含む、条項17に記載の方法。
30.光学的相互作用表面の少なくとも一部を形成する平滑基板表面を備えるフッ化カルシウム基板と、
平滑基板表面上に堆積されるシーラント層と、
を含み、
平滑基板表面は、加速中性原子ビーム処理を使用して実際に形成される、
光学コンポーネント。
31.平滑基板表面のプロファイルの平均偏差として定義される平滑基板表面のプロファイルラフネスRaは、0.01ナノメートル(nm)から0.17nmまでの(0.17nmを含む)範囲内である、条項30に記載の光学コンポーネント。
32.シーラント層は、フッ化カルシウム基板のフッ素の空乏化を防ぐように構成される、条項30に記載の光学コンポーネント。
33.光学コンポーネントは、深紫外線レンジ内の波長を有する光ビーム用に構成される、条項30に記載の光学コンポーネント。
34.光学コンポーネントは、193nmの波長を有する光ビーム用に構成される、条項33に記載の光学コンポーネント。
35.光学コンポーネントは、ガス放電チャンバのウィンドウ、ビーム逆転器、ビームエキスパンドプリズム、出力カプラ、又はビームスプリッタである、条項30に記載の光学コンポーネント。
36.平滑基板表面の形成は、機械的処理、イオン化プラズマ処理、又は化学エッチングを含まない、条項30に記載の光学コンポーネント。
37.光学コンポーネントの光学表面の少なくとも一部を形成する基板表面を備える基板を提供すること、
基板表面に少なくとも1つの加速中性原子ビームを衝突させることによって、基板表面を平滑化すること、及び、
基板表面を平滑化した後、基板と保護層との間にインターフェースが形成されるように、基板表面上に保護層を堆積させることであって、保護層は光学表面の損傷を緩和又は防止するように構成される、保護層を堆積させること、
を含むプロセスを使用して実際に形成される、光学コンポーネント。
【0053】
[0066] 他の実施例は、特許請求の範囲内である。