(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】基板実装用コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/72 20110101AFI20240903BHJP
【FI】
H01R12/72
(21)【出願番号】P 2022505091
(86)(22)【出願日】2021-02-13
(86)【国際出願番号】 JP2021005379
(87)【国際公開番号】W WO2021177003
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020036190
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】ニデックアドバンステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】裴 子容
(72)【発明者】
【氏名】山下 宗寛
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第0393251(EP,A1)
【文献】実開平03-130176(JP,U)
【文献】特開平07-272803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に表面実装するための基板実装用コネクタであって、
所定の第一方向に沿って略直線状に延び、一端が第一実装部、他端が第一接続部となる複数の第一直線端子と、
前記第一方向に沿って略直線状に延びる第二実装部、前記第二実装部の端部から前記第一方向と交差する方向へ延びる第二連結部、及び前記第二連結部の端部から前記第一方向に沿って略直線状に延びる第二接続部とを含む複数の第二屈曲端子と、
前記複数の第一直線端子と前記複数の第二屈曲端子とを、前記第一方向と直交する第二方向に沿って交互に保持する保持部とを備え、
前記保持部は、前記複数の第一実装部と前記複数の第二実装部とを、前記第一及び第二方向を含む第一平面に配置し、前記各第二接続部を前記第一平面の垂線方向に前記各第一接続部から所定の第一距離離間させて保持する基板実装用コネクタ。
【請求項2】
前記第一距離は、前記第一直線端子の前記垂線方向の幅と前記基板の厚さとを加算した長さに等しい請求項1に記載の基板実装用コネクタ。
【請求項3】
前記第二連結部は、前記保持部に埋設されている請求項1又は2に記載の基板実装用コネクタ。
【請求項4】
前記第一方向に沿って略直線状に延び、一端が第三実装部、他端が第三接続部となる複数の第三直線端子と、
前記第一方向に沿って略直線状に延びる第四実装部、前記第四実装部の端部から前記第一方向と交差する方向へ延びる第四連結部、及び前記第四連結部の端部から前記第一方向に沿って略直線状に延びる第四接続部とを含む複数の第四屈曲端子とをさらに備え、
前記保持部は、さらに、
前記複数の第三直線端子と前記複数の第四屈曲端子とを前記第二方向に沿って交互に保持し、前記複数の第三実装部と前記複数の第四実装部とを第二平面に配置し、前記各第四接続部を前記第二平面の垂線方向に前記各第三接続部から所定の第二距離離間させて保持し、
前記第二平面は、前記第一平面から前記基板の厚さに等しい距離離間する請求項1~3のいずれか1項に記載の基板実装用コネクタ。
【請求項5】
前記第二距離は、前記第三直線端子の前記垂線方向の幅と前記基板の厚さとを加算した長さに等しく、
前記保持部は、前記各第一直線端子と前記各第四屈曲端子とをそれぞれ対向配置し、前記各第二屈曲端子と前記各第三直線端子とをそれぞれ対向配置する請求項4に記載の基板実装用コネクタ。
【請求項6】
前記第四連結部は、前記保持部に埋設されている請求項4又は5に記載の基板実装用コネクタ。
【請求項7】
前記保持部は、
前記複数の第一直線端子と前記複数の第二屈曲端子とを樹脂モールドにより保持する第一保持部と、
前記複数の第三直線端子と前記複数の第四屈曲端子とを樹脂モールドにより保持する第二保持部とを含み、
前記第一保持部は、前記第二保持部と対向する第一壁面を備え、
前記第二保持部は、前記第一壁面と密着する第二壁面を備える請求項4~6のいずれか1項に記載の基板実装用コネクタ。
【請求項8】
前記第一、第二壁面のうち、一方の壁面には凸部が形成され、他方の壁面には前記凸部を受け入れる凹部が形成されている請求項7に記載の基板実装用コネクタ。
【請求項9】
前記複数の第一直線端子及び前記複数の第二屈曲端子における、前記保持部から前記第一、第二実装部側の部分は、軸方向に垂直な断面の形状が矩形であり、
前記複数の第一直線端子及び前記複数の第二屈曲端子における、前記保持部から前記第一、第二接続部側には、前記保持部に連なると共に軸方向に垂直な断面の形状が矩形の部分と、その矩形の部分に連なると共に軸に垂直な断面の形状が五角以上の多角形又は円形の部分とが設けられている請求項1~8のいずれか1項に記載の基板実装用コネクタ。
【請求項10】
前記複数の第一、第三直線端子及び前記複数の第二、第四屈曲端子における、前記保持部から前記第一、第二、第三、第四実装部側の部分は、軸方向に垂直な断面の形状が矩形であり、
前記複数の第一、第三直線端子及び前記複数の第二、第四屈曲端子における、前記保持部から前記第一、第二、第三、第四接続部側には、前記保持部に連なると共に軸方向に垂直な断面の形状が矩形の部分と、その矩形の部分に連なると共に軸方向に垂直な断面の形状が五角以上の多角形又は円形の部分とが設けられている請求項4~8のいずれか1項に記載の基板実装用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に実装して用いられる基板実装用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷配線基板の面方向に延びる雄型端子が二列、整列状態で固定された表面実装型コネクタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の表面実装型コネクタは、雄型端子のリード部が、基板方向に向かって屈曲する屈曲形状に形成されている。そして、屈曲したリード部の先端が、印刷配線基板の表面にはんだ付けされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の表面実装型コネクタを挿抜する際に、リード部の屈曲部分に挿抜によるストレスがかかりやすい。そのため、リード部が変形しやすい。
【0005】
本発明の目的は、挿抜ストレスによる端子の変形が生じにくい基板実装用コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例に係る基板実装用コネクタは、基板に表面実装するための基板実装用コネクタであって、所定の第一方向に沿って略直線状に延び、一端が第一実装部、他端が第一接続部となる複数の第一直線端子と、前記第一方向に沿って略直線状に延びる第二実装部、前記第二実装部の端部から前記第一方向と交差する方向へ延びる第二連結部、及び前記第二連結部の端部から前記第一方向に沿って略直線状に延びる第二接続部とを含む複数の第二屈曲端子と、前記複数の第一直線端子と前記複数の第二屈曲端子とを、前記第一方向と直交する第二方向に沿って交互に保持する保持部とを備え、前記保持部は、前記複数の第一実装部と前記複数の第二実装部とを、前記第一及び第二方向を含む第一平面に配置し、前記各第二接続部を前記第一平面の垂線方向に前記各第一接続部から所定の第一距離離間させて保持する。
【発明の効果】
【0007】
このような構成の基板実装用コネクタは、挿抜ストレスによる端子の変形が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る基板実装用コネクタ1のI-I線断面図である。
【
図2】
図1に示す基板実装用コネクタ1の上面図である。
【
図3】
図1に示す基板実装用コネクタ1の右側面図である。
【
図4】
図1に示す基板実装用コネクタ1の左側面図である。
【
図5】
図3に示す基板実装用コネクタ1を複数並べた状態を示す説明図である。
【
図6】
図1に示す基板実装用コネクタ1の変形例を示す断面図である。
【
図7】
図1に示す基板実装用コネクタ1の変形例に係る基板実装用コネクタ1bのVII-VII線断面図である。
【
図8】
図7に示す基板実装用コネクタ1bの分解図である。
【
図9】
図7に示す基板実装用コネクタ1bの製造方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。各図の向きを示すために適宜XYZ直交座標軸を記載している。
【0010】
図1~
図6では、基板実装用コネクタ1が基板Bに取り付けられた状態を示している。基板実装用コネクタ1は、基板Bに表面実装するための基板実装用コネクタである。
図1、
図2を参照して、基板実装用コネクタ1は、複数の第一直線端子T1、複数の第二屈曲端子T2、複数の第三直線端子T3、複数の第四屈曲端子T4、及びこれらの端子T1~T4を保持する保持部Hを備えている。
【0011】
端子T1~T4は、例えば金属等の、導電性材料によって構成されている。保持部Hは、例えば樹脂等の絶縁性の材料によって構成されている。
【0012】
複数の第一直線端子T1と複数の第二屈曲端子T2とは、Y方向(第二方向)に沿って距離Dyの等間隔で交互に配置されている。複数の第三直線端子T3と複数の第四屈曲端子T4とは、Y方向に沿って距離Dyの等間隔で交互に配置されている。複数の第一直線端子T1と複数の第四屈曲端子T4とは、Z方向に対向配置されている。複数の第二屈曲端子T2と複数の第三直線端子T3とは、Z方向に対向配置されている。
【0013】
第一直線端子T1は、X方向(第一方向)に沿って略直線状に延びる略棒状形状を有している。第一直線端子T1の一端が第一実装部M1、他端が第一接続部C1となっている。
【0014】
第二屈曲端子T2は、第二実装部M2、第二連結部J2、及び第二接続部C2が連結されて構成されている。第二屈曲端子T2は、全体として、第二連結部J2で屈曲した略棒状形状を有している。
【0015】
第二実装部M2は、X方向に沿って略直線状に延びる略棒状形状を有している。第二連結部J2は、第二実装部M2の第二接続部C2側端部から、X方向に対して傾斜又は垂直に交差する方向であって、第三直線端子T3から離間する方向へ延びている。第二接続部C2は、第二連結部J2の、第二実装部M2とは逆側の端部から、X方向に沿って略直線状に延びる略棒状形状を有している。
【0016】
第三直線端子T3は、第一直線端子T1と略同様の、X方向に沿って略直線状に延びる略棒状形状を有している。第三直線端子T3の一端が第三実装部M3、他端が第三接続部C3となっている。
【0017】
第四屈曲端子T4は、第四実装部M4、第四連結部J4、及び第四接続部C4が連結されて構成されている。第四屈曲端子T4は、全体として、第二屈曲端子T2と略同様の、第四連結部J4で屈曲した略棒状形状を有している。
【0018】
第四実装部M4は、X方向に沿って略直線状に延びる略棒状形状を有している。第四連結部J4は、第四実装部M4の第四接続部C4側端部から、X方向に対して傾斜又は垂直に交差する方向であって、第一直線端子T1から離間する方向へ延びている。第四接続部C4は、第四連結部J4の、第四実装部M4とは逆側の端部から、X方向に沿って略直線状に延びる略棒状形状を有している。
【0019】
第一接続部C1、第二接続部C2、第三接続部C3、及び第四接続部C4は、コネクタのオス端子であり、互いに太さが等しい円柱状又は角柱状の形状を有している。
【0020】
図1、
図4を参照して、基板Bは、第一面F1と、第二面F2とを有している。第一面F1及び第二面F2は、X方向及びY方向を含むXY平面である。第一面F1は第一平面、第二面F2は第二平面に対応している。基板Bの厚さはWbであり、第一面F1と第二面F2とは、厚さWbだけ平行に離間している。
【0021】
第一実装部M1及び第二実装部M2は、第一面F1に配置され、第一面F1にはんだ付け等により表面実装される。第三実装部M3及び第四実装部M4は、第二面F2に配置され、第二面F2にはんだ付け等により表面実装される。
【0022】
保持部Hは、第一実装部M1及び第二実装部M2を第一面F1に実装可能なように、第一実装部M1及び第二実装部M2を第一面F1に対応する第一平面に配置する。保持部Hは、第三実装部M3及び第四実装部M4を第二面F2に実装可能なように、第三実装部M3及び第四実装部M4を第二面F2に対応する第二平面に配置する。
【0023】
より具体的には、保持部Hは、第一実装部M1及び第二実装部M2における外周の、第四実装部M4及び第三実装部M3に近い側が第一平面に位置し、第三実装部M3及び第四実装部M4における外周の、第二実装部M2及び第一実装部M1に近い側が第二平面に位置するように、第一実装部M1、第二実装部M2、第三実装部M3、及び第四実装部M4を保持する。
【0024】
この場合、第一実装部M1と第四実装部M4との間、及び第二実装部M2と第三実装部M3との間における、外周間のZ方向の距離は、基板Bの厚さWbと等しい。
【0025】
図1、
図3を参照して、第一直線端子T1及び第三直線端子T3は、いずれも略直線状の棒状形状を有している。従って、第一実装部M1と第三実装部M3との外周間のZ方向の距離が基板Bの厚さWbと等しければ、第一接続部C1と第三接続部C3との外周間のZ方向の距離もまた、基板Bの厚さWbと等しい。また、第一接続部C1と第二接続部C2との間のY方向の距離、及び第三接続部C3と第四接続部C4との間のY方向の距離もまた、距離Dyとされている。
【0026】
第一接続部C1、第二接続部C2、第三接続部C3、及び第四接続部C4は太さが等しいので、これら接続部C1~C4のZ方向の幅をWzとする。そうすると、第一接続部C1と第三接続部C3との間のZ方向の距離Dzは、下記の式(1)で表される。距離Dz=Wb+Wz/2+Wz/2=Wb+Wz ・・・(1)
【0027】
なお、第一接続部C1、第二接続部C2、第三接続部C3、及び第四接続部C4の相互間の距離Dy,Dz及び後述の距離Dは、これら接続部C1~C4の軸心間の距離である。距離Dyは、距離Dzと等しい。
【0028】
保持部Hは、第二接続部C2を、第一平面の垂線方向であるZ方向に、第一接続部C1から距離Dz(第一距離)離間させて保持する。保持部Hは、第四接続部C4を、第二平面の垂線方向であるZ方向に、第三接続部C3から距離Dz(第二距離)離間させて保持する。
図1~
図6では、第一距離と第二距離とが等しい例を示している。
【0029】
これにより、保持部Hは、第一接続部C1、第二接続部C2、第三接続部C3、及び第四接続部C4の先端を、Y方向に対して45度傾斜した正方格子の交点に位置させることができる。このとき、正方格子の一辺の長さに相当する、第一接続部C1、第二接続部C2、第三接続部C3、及び第四接続部C4相互間の間隔は、距離D=(Dy2+Dz2)1/2となる。
【0030】
基板実装用コネクタ1の構成によれば、略直線形状を有する第一直線端子T1及び第三直線端子T3が、それらの一端側で基板Bに表面実装され、他端側の第一接続部C1及び第三接続部C3がコネクタのオス端子として機能する。従って、基板実装用コネクタ1を挿抜する際に第一接続部C1及び第三接続部C3に加わった荷重は、第一直線端子T1及び第三直線端子T3を直線的に伝わる。その結果、基板実装用コネクタ1は、第一直線端子T1及び第三直線端子T3の一部に荷重が集中することがなく、挿抜ストレスによる第一直線端子T1及び第三直線端子T3の変形が生じにくい。
【0031】
また、
図1に示すように、第二連結部J2及び第四連結部J4は、保持部Hに埋設されている。従って、基板実装用コネクタ1を挿抜する際に第二接続部C2及び第四接続部C4に加わった荷重は、第二連結部J2及び第四連結部J4と保持部Hとに分散して受け止められる。その結果、第二連結部J2及び第四連結部J4に加わる荷重が低減されるので、挿抜ストレスによる第二屈曲端子T2及び第四屈曲端子T4の変形が生じにくい。
【0032】
さらに、第二連結部J2及び第四連結部J4が保持部Hに埋設されることによって、保持部Hが第二連結部J2及び第四連結部J4の変形を妨げる。その結果、挿抜ストレスによる第二屈曲端子T2及び第四屈曲端子T4の変形がさらに生じにくくなる。
【0033】
第二連結部J2及び第四連結部J4を保持部Hに埋設する方法としては、例えばモールド成形を用いることができる。
【0034】
図5を参照して、距離Dbの間隔で複数の基板Bを平行に並べ、各基板Bの端部に基板実装用コネクタ1を取り付けると、複数の基板実装用コネクタ1に跨がって、接続部C1~C4を、正方格子の交点位置に配置することができる。このとき、距離Dbは、距離Dzの四倍に等しい。
【0035】
図6に示す基板実装用コネクタ1aは、第一接続部C1の列と第二接続部C2の列とを含む二列コネクタである。基板実装用コネクタ1aは、基板実装用コネクタ1とは、第三直線端子T3及び第四屈曲端子T4を備えず、保持部Hの代わりに保持部Haを備える点で異なる。保持部Haは、第一接続部C1及び
第二接続部C2のみを保持部Hと同様に保持する。
【0036】
基板実装用コネクタ1aによれば、一対の基板実装用コネクタ1aを基板Bの両面に、Z方向の向きを反転して取り付けることによって、基板実装用コネクタ1と同様の四列コネクタとして機能させることができる。
【0037】
また、保持部Haは、保持部Hと同様、第二接続部C2を、第一平面の垂線方向であるZ方向に、第一接続部C1から距離Dz離間させて保持する。その結果、基板Bの両面に取り付けられた一対の基板実装用コネクタ1aにおける、一対の第一接続部C1の間隔もまた、距離Dzとなる。従って、一対の基板実装用コネクタ1aを基板Bの両面に、Z方向の向きを反転して取り付けることによって、四列分の第一接続部C1及び第二接続部C2を、正方格子の交点に位置させることができる。
【0038】
また、基板実装用コネクタ1aは、基板Bの片面にのみ取り付けられてもよい。
【0039】
また、
図7、
図8に示すように、基板実装用コネクタ1bの保持部Hbは、第一コネクタ1b1と、第二コネクタ1b2とが組み合わされて構成されていてもよい。
【0040】
第一コネクタ1b1は、第一保持部H1、複数の第一直線端子T1b、及び複数の第二屈曲端子T2bを含む。第一保持部H1は、複数の第一直線端子T1bと複数の第二屈曲端子T2bとを樹脂モールドにより保持する。
【0041】
第二コネクタ1b2は、第二保持部H2、複数の第三直線端子T3b、及び複数の第四屈曲端子T4bを含む。第二保持部H2は、複数の第三直線端子T3bと複数の第四屈曲端子T4bとを樹脂モールドにより保持する。
【0042】
第一保持部H1は、第二保持部H2と対向する略平坦な第一壁面Fb1を備えている。第二保持部H2は、第一保持部H1と対向する略平坦な第二壁面Fb2を備えている。第一壁面Fb1と第二壁面Fb2とは、第一保持部H1と第二保持部H2とが組み合わされた状態で密着するようになっている。
【0043】
第一壁面Fb1からは凸部2が突出し、第二壁面Fb2では凹部3が凹没している。凸部2と、凹部3とが嵌合することによって、第一保持部H1と第二保持部H2とが位置決めされて、一体に組み合わされている。第一保持部H1と第二保持部H2とは、凸部2と凹部3との嵌合力によって一体に保持されてもよく、例えば接着剤等により第一壁面Fb1と第二壁面Fb2とが接着されて一体に保持されてもよい。
【0044】
このようにして第一コネクタ1b1と第二コネクタ1b2とが組み合わされた基板実装用コネクタ1bは、
図1~
図5に示す基板実装用コネクタ1と同様のピン配置で第一直線端子T1b、第二屈曲端子T2b、第三直線端子T3b、及び第四屈曲端子T4bの各端子T1b~T4bを保持することができる。
【0045】
なお、凸部2は第二壁面Fb2に設けられていてもよく、凹部3は第一壁面Fb1に設けられていてもよい。
【0046】
端子T1b~T4bは、端子T1~T4とは、軸方向に垂直な断面の形状が異なる。具体的には、第一直線端子T1b及び第三直線端子T3bにおける第一実装部M1b及び第三実装部M3bの軸方向に垂直な断面は、矩形形状を有している。第一直線端子T1b及び第三直線端子T3bにおける第一接続部C1b及び第三接続部C3bの軸方向に垂直な断面形状は、八角形となっている。
【0047】
第二屈曲端子T2b及び第四屈曲端子T4bにおける、第二実装部M2b、第四実装部M4b、第二連結部J2b、及び第四連結部J4bの軸方向に垂直な断面は、矩形形状を有している。
【0048】
第二接続部C2bは、第二連結部J2bに連なる矩形部C2b1と、矩形部C2b1に連なる接続部C2b2とを含む。第四接続部C4bは、第四連結部J4bに連なる矩形部C4b1と、矩形部C4b1に連なる接続部C4b2とを含む。矩形部C2b1,C4b1の軸方向に垂直な断面は、矩形形状を有している。接続部C2b2,C4b2の軸方向に垂直な断面は、八角形となっている。
【0049】
なお、第一接続部C1b、第三接続部C3b、及び接続部C2b2,C4b2の軸方向に垂直な断面は、五角以上の多角形又は円形であってもよい。軸方向に垂直な断面形状が、五角以上の多角形又は円形のピン形状は、コネクタのオスピン形状として好適である。
【0050】
第一接続部C1b、第三接続部C3b、及び接続部C2b2,C4b2は、保持部Hbに埋め込まれずに露出している。
【0051】
これにより、端子T1b~T4bにおける、保持部Hbから第一実装部M1b、第二実装部M2b、第三実装部M3b、第四実装部M4b側の部分は、軸方向に垂直な断面の形状が矩形となる。また、端子T1b~T4bにおける、保持部Hbから第一接続部C1b、第二接続部C2b、第三接続部C3b、第四接続部C4b側には、保持部Hbに連なると共に軸方向に垂直な断面の形状が矩形の部分と、その矩形の部分に連なると共に軸方向に垂直な断面の形状が五角以上の多角形又は円形の部分とが設けられる。
【0052】
これにより、保持部Hbから端子T1b~T4bが突出する部分の軸方向に垂直な断面の形状が矩形となる。
【0053】
基板実装用コネクタ1bは、第一コネクタ1b1と、第二コネクタ1b2とを分離された状態でそれぞれ製造した後、第一コネクタ1b1と、第二コネクタ1b2とを結合して作成することができる。
【0054】
第一コネクタ1b1は、
図9に示すように、二つの金型101,102によって、樹脂モールドで製造することが可能となる。第二コネクタ1b2もまた、第一コネクタ1b1と同様に、二つの金型を用いて樹脂モールドで製造することが可能となる。
【0055】
一方、
図1に示す基板実装用コネクタ1を、樹脂モールドで製造しようとすると、第一実装部M1と第四実装部M4との間、第二実装部M2と第三実装部M3との間、第一接続部C1と第四接続部C4との間、及び第二接続部C2と第三接続部C3との間の各間において、保持部Hの壁を成型するための入れ駒(入れ子)が必要となる。
【0056】
すなわち、第一コネクタ1b1と、第二コネクタ1b2とを組み合わせることによって構成することができる基板実装用コネクタ1bは、樹脂モールド時に金型の入れ駒を必要としないので、基板実装用コネクタ1と比べて製造が容易である。
【0057】
また、基板実装用コネクタ1bは、保持部Hbから端子T1b~T4bが突出する部分の軸方向に垂直な断面の形状が矩形であるため、端子T1b~T4bが突出する部分の金型101,102の形状が矩形状の切欠きとなる。このような矩形状の端子T1b~T4bと矩形状の切欠きとは、密着しやすく、従って樹脂モールド時に金型101,102内から樹脂が漏れにくい。
【0058】
なお、必ずしも距離Dyと距離Dzとが等しい例に限らない。距離Dyと距離Dzとが異なっている場合、接続部C1~C4及び接続部C1b~C4bを、菱形状の格子の交点に位置させることができる。また、距離Dzは、式(1)を満たしていなくてもよい。また、第一距離と第二距離とがいずれも距離Dzで等しい例を示したが、第一距離と第二距離とは異なっていてもよい。また、第二連結部J2,J2b及び第四連結部J4,J4bのうち少なくとも一方は、保持部H,Ha,Hbに埋設されていなくてもよい。
【0059】
すなわち、本発明の一例に係る基板実装用コネクタは、基板に表面実装するための基板実装用コネクタであって、所定の第一方向に沿って略直線状に延び、一端が第一実装部、他端が第一接続部となる複数の第一直線端子と、前記第一方向に沿って略直線状に延びる第二実装部、前記第二実装部の端部から前記第一方向と交差する方向へ延びる第二連結部、及び前記第二連結部の端部から前記第一方向に沿って略直線状に延びる第二接続部とを含む複数の第二屈曲端子と、前記複数の第一直線端子と前記複数の第二屈曲端子とを、前記第一方向と直交する第二方向に沿って交互に保持する保持部とを備え、前記保持部は、前記複数の第一実装部と前記複数の第二実装部とを、前記第一及び第二方向を含む第一平面に配置し、前記各第二接続部を前記第一平面の垂線方向に前記各第一接続部から所定の第一距離離間させて保持する。
【0060】
この構成によれば、略直線形状を有する第一直線端子が、一端側の第一実装部で基板に表面実装され、他端側の第一接続部がコネクタ端子として機能する。従って、基板実装用コネクタを挿抜する際に第一接続部に加わった荷重は、第一直線端子を直線的に伝わる。その結果、基板実装用コネクタは、第一直線端子の一部に荷重が集中するおそれが低減される。したがって、この基板実装用コネクタは、挿抜ストレスによる端子の変形が生じにくい。
【0061】
また、前記第一距離は、前記第一直線端子の前記垂線方向の幅と前記基板の厚さとを加算した長さに等しいことが好ましい。
【0062】
この構成によれば、一対の基板実装用コネクタを基板の両面に、向きを反転して取り付けることによって、四列コネクタとして機能させることができる。ここで、第一接続部の列と、第二接続部の列との間隔である第一距離が、第一直線端子の垂線方向の幅と基板の厚さとを加算した長さに等しい。その結果、一対の基板実装用コネクタにおける一対の第一接続部の列の間隔もまた、第一距離となる。これにより、一対の基板実装用コネクタを用いて、端子が四列等間隔に配置されたコネクタを構成することが可能となる。
【0063】
また、前記第二連結部は、前記保持部に埋設されていることが好ましい。
【0064】
この構成によれば、屈曲して荷重ストレスが加わりやすい第二連結部が保持部に埋設されるので、保持部が第二連結部の変形を妨げる。その結果、挿抜ストレスによる第二屈曲端子の変形が生じにくくなる。
【0065】
また、前記第一方向に沿って略直線状に延び、一端が第三実装部、他端が第三接続部となる複数の第三直線端子と、前記第一方向に沿って略直線状に延びる第四実装部、前記第四実装部の端部から前記第一方向と交差する方向へ延びる第四連結部、及び前記第四連結部の端部から前記第一方向に沿って略直線状に延びる第四接続部とを含む複数の第四屈曲端子とをさらに備え、前記保持部は、さらに、前記複数の第三直線端子と前記複数の第四屈曲端子とを前記第二方向に沿って交互に保持し、前記複数の第三実装部と前記複数の第四実装部とを第二平面に配置し、前記各第四接続部を前記第二平面の垂線方向に前記各第三接続部から所定の第二距離離間させて保持し、前記第二平面は、前記第一平面から前記基板の厚さに等しい距離離間することが好ましい。
【0066】
この構成によれば、端子が四列配置されたコネクタが得られる。また、第一直線端子と同様に、第三直線端子についても、第三直線端子の一部に荷重が集中するおそれが低減される。したがって、この基板実装用コネクタは、挿抜ストレスによる端子の変形が生じにくい。
【0067】
また、前記第二距離は、前記第三直線端子の前記垂線方向の幅と前記基板の厚さとを加算した長さに等しく、前記保持部は、前記各第一直線端子と前記各第四屈曲端子とをそれぞれ対向配置し、前記各第二屈曲端子と前記各第三直線端子とをそれぞれ対向配置することが好ましい。
【0068】
この構成によれば、端子が四列等間隔に配置されたコネクタが得られる。
【0069】
また、前記第四連結部は、前記保持部に埋設されていることが好ましい。
【0070】
この構成によれば、屈曲して荷重ストレスが加わりやすい第四連結部が保持部に埋設されるので、保持部が第四連結部の変形を妨げる。その結果、挿抜ストレスによる第四屈曲端子の変形が生じにくくなる。
【0071】
また、前記保持部は、前記複数の第一直線端子と前記複数の第二屈曲端子とを樹脂モールドにより保持する第一保持部と、前記複数の第三直線端子と前記複数の第四屈曲端子とを樹脂モールドにより保持する第二保持部とを含み、前記第一保持部は、前記第二保持部と対向する第一壁面を備え、前記第二保持部は、前記第一壁面と密着する第二壁面を備えることが好ましい。
【0072】
この構成によれば、基板実装用コネクタを、第一直線端子と第二屈曲端子とを第一保持部で保持する部分と、第三直線端子と第四屈曲端子とを第二保持部で保持する部分とを分離された状態で樹脂モールドにより製造することができる。その結果、樹脂モールドのための金型を簡素化することができる。
【0073】
また、前記第一、第二壁面のうち、一方の壁面には凸部が形成され、他方の壁面には前記凸部を受け入れる凹部が形成されていることが好ましい。
【0074】
この構成によれば、凸部を凹部に嵌合させることによって、第一直線端子と第二屈曲端子とが第一保持部で保持された部分と、第三直線端子と第四屈曲端子とが第二保持部で保持された部分とを、位置決めすることができる。
【0075】
また、前記複数の第一直線端子及び前記複数の第二屈曲端子における、前記保持部から前記第一、第二実装部側の部分は、軸方向に垂直な断面の形状が矩形であり、前記複数の第一直線端子及び前記複数の第二屈曲端子における、前記保持部から前記第一、第二接続部側には、前記保持部に連なると共に軸方向に垂直な断面の形状が矩形の部分と、その矩形の部分に連なると共に軸に垂直な断面の形状が五角以上の多角形又は円形の部分とが設けられていることが好ましい。
【0076】
この構成によれば、保持部から第一直線端子及び第二屈曲端子が突出する部分では、第一直線端子及び第二屈曲端子の軸方向に垂直な断面の形状が矩形となる。その結果、樹脂モールドで保持部を成型する場合に、第一直線端子及び第二屈曲端子が金型から突出する部分の金型形状が矩形状の切欠きとなる。矩形状の端子形状と矩形状の金型の切欠きとは密着しやすい。その結果、樹脂モールド時に、金型内から樹脂が漏れにくくなる。また、軸に垂直な断面の形状が五角以上の多角形又は円形のピン形状は、コネクタのオスピン形状として好適である。
【0077】
また、前記複数の第一、第三直線端子及び前記複数の第二、第四屈曲端子における、前記保持部から前記第一、第二、第三、第四実装部側の部分は、軸方向に垂直な断面の形状が矩形であり、前記複数の第一、第三直線端子及び前記複数の第二、第四屈曲端子における、前記保持部から前記第一、第二、第三、第四接続部側には、前記保持部に連なると共に軸方向に垂直な断面の形状が矩形の部分と、その矩形の部分に連なると共に軸方向に垂直な断面の形状が五角以上の多角形又は円形の部分とが設けられていることが好ましい。
【0078】
この構成によれば、保持部から第一、第三直線端子及び第二、第四屈曲端子が突出する部分では、これらの端子の軸方向に垂直な断面の形状が矩形となる。その結果、樹脂モールドで保持部を成型する場合に、これらの端子が金型から突出する部分の金型形状が矩形状の切欠きとなる。矩形状の端子形状と矩形状の金型の切欠きとは密着しやすい。その結果、樹脂モールド時に、金型内から樹脂が漏れにくくなる。また、軸に垂直な断面の形状が五角以上の多角形又は円形のピン形状は、コネクタのオスピン形状として好適である。
【符号の説明】
【0079】
1,1a,1b 基板実装用コネクタB 基板C1,C1b 第一接続部C2,C2b 第二接続部C2b1,C4b1 矩形部C2b2,C4b2 接続部C3,C3b 第三接続部C4,C4b 第四接続部D,Db,Dy 距離Dz 距離(第一距離、第二距離)F1 第一面F2 第二面Fb1 第一壁面Fb2 第二壁面H,Ha,Hb 保持部J2,J2b 第二連結部J4,J4b 第四連結部M1,M1b 第一実装部M2,M2b 第二実装部M3,M3b 第三実装部M4,M4b 第四実装部T1,T1b 第一直線端子T2,T2b 第二屈曲端子T3,T3b 第三直線端子T4,T4b 第四屈曲端子X 方向(第一方向)Y 方向(第二方向)