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特許7548299接触子ユニット、ソケットの集合体、及びコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】接触子ユニット、ソケットの集合体、及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20240903BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01R13/24
G01R1/067 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022511968
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2021011829
(87)【国際公開番号】W WO2021200356
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2020062239
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】ニデックアドバンステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】裴 子容
(72)【発明者】
【氏名】山下 宗寛
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-061871(JP,A)
【文献】特開2008-112672(JP,A)
【文献】特開2010-146949(JP,A)
【文献】特開2016-102696(JP,A)
【文献】特開2005-156530(JP,A)
【文献】国際公開第2019/093614(WO,A1)
【文献】特開2020-161472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/24
H01R 33/76
H01R 13/10
G01R 1/067
G01R 1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部材に設けられた収容孔と、前記保持部材に取り付けられるカバー部材に設けられた孔部とに挿入されて保持される接触子ユニットであって、
前記収容孔に挿入されるソケット本体と、前記孔部に挿入される先端側部分と、前記ソケット本体と前記先端側部分との間に設けられた中間部とを有する円筒状のソケットと、 前記ソケットによって保持される接触子とを備え、
前記中間部には、その周面から径方向外方側に突出する突出部が設けられ、
前記突出部の前記ソケット本体側の外縁は、前記ソケットの軸心と直交する第一平面内に含まれるように前記周面から伸び、
前記突出部の前記先端側部分側の外縁は、前記ソケットの軸心と直交する第二平面内に含まれるように前記周面から伸び
前記突出部は、前記中間部の周壁の一部が、前記軸心の方向に対して直交する方向に架け渡されたアーチ状に突出している接触子ユニット。
【請求項2】
前記突出部は、前記中間部の周壁の一部が、前記軸心の方向に対して直交する方向に延びるカンチレバー状に切り起こされた形状を有している請求項1に記載の接触子ユニット。
【請求項3】
前記突出部は、前記ソケットの軸心を挟んで互いに逆方向に突出するように一対設けられている請求項1または2に記載の接触子ユニット。
【請求項4】
前記ソケット本体には、その径方向外方側に膨出する膨出部が設けられている請求項1~のいずれか1項に記載の接触子ユニット。
【請求項5】
前記ソケットの周壁には、前記ソケットの長手方向に延びるスリット部が形成されている請求項1~のいずれか1項に記載の接触子ユニット。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の接触子ユニットを構成する前記ソケットの集合体であって、
前記収容孔は複数設けられ、
前記ソケットを搬送するためのキャリアと、前記キャリアとともに搬送される複数の前記ソケットとを備え、
前記キャリアには、前記各ソケットの軸方向端部が離脱可能に連結された複数の連結部が一定の間隔で設けられているソケットの集合体。
【請求項7】
前記連結部の設置間隔は、前記保持部材に配列された相隣接する前記収容孔の配列間隔の整数倍に設定されている請求項に記載のソケットの集合体。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の接触子ユニットと、
前記保持部材と、 前記カバー部材とを備え、
前記保持部材と前記カバー部材との間には、前記突出部を受け入れる受入部が形成され、
前記カバー部材の前記孔部の半径は、前記軸心から前記突出部の頂部までの径方向の距離よりも短く、
前記保持部材の前記収容孔の半径は、前記軸心から前記突出部の頂部までの径方向の距離よりも短いコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触子ユニット、これを構成するソケットの集合体、及び接触子ユニットを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば日本国公開公報特開2008-98090号公報には、複数の第一端子及び第二端子を互いに導通接続する多極コネクタが開示されている。この多極コネクタは、細長い筒状に形成された筒本体と、筒本体の内部に収容されて筒本体と導通状態となる接触子と、筒本体を保持する保持体とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開公報特開2008-98090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、日本国公開公報特開2008-98090号公報に開示された多極コネクタでは、接触子を保持する筒本体(ソケット)が、保持体(保持部材)に形成された孔部内に嵌入された状態で保持されている。言い換えれば、接触子の筒本体が、保持体の孔部周面に圧接されることにより作用する摩擦力に応じ、保持体に保持されている。この保持力をさらに改善する余地があった。
【0005】
本発明の目的は、接触子ユニットが保持部材から抜け出るおそれを低減することができる接触子ユニット、ソケットの集合体、及びコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例に係る接触子ユニットは、保持部材に設けられた収容孔と、前記保持部材に取り付けられるカバー部材に設けられた孔部とに挿入されて保持される接触子ユニットであって、前記収容孔に挿入されるソケット本体と、前記孔部に挿入される先端側部分と、前記ソケット本体と前記先端側部分との間に設けられた中間部とを有する円筒状のソケットと、前記ソケットによって保持される接触子とを備え、前記中間部には、その周面から径方向外方側に突出する突出部が設けられ、前記突出部の前記ソケット本体側の外縁は、前記ソケットの軸心と直交する第一平面内に含まれるように前記周面から伸び、前記突出部の前記先端側部分側の外縁は、前記ソケットの軸心と直交する第二平面内に含まれるように前記周面から伸びる。
【0007】
また、本発明の一例に係るソケットの集合体は、上述の接触子ユニットを構成する前記ソケットの集合体であって、前記収容孔は複数設けられ、前記ソケットを搬送するためのキャリアと、前記キャリアとともに搬送される複数の前記ソケットとを備え、前記キャリアには、前記各ソケットの軸方向端部が離脱可能に連結された複数の連結部が一定の間隔で設けられている。
【0008】
また、本発明の一例に係るコネクタは、上述の接触子ユニットと、前記保持部材と、前記カバー部材とを備え、前記保持部材と前記カバー部材との間には、前記突出部を受け入れる受入部が形成され、前記カバー部材の前記孔部の半径は、前記軸心から前記突出部の頂部までの径方向の距離よりも短く、前記保持部材の前記収容孔の半径は、前記軸心から前記突出部の頂部までの径方向の距離よりも短い。
【発明の効果】
【0009】
このような構成の接触子ユニット、ソケットの集合体、及びコネクタは、接触子ユニットが保持部材から抜け出るおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の実施形態に係る多極コネクタの部分断面図である。
図2図2は接触子の具体的構成を示す断面図である。
図3図3は本発明の実施形態に係る接触子ユニットの分解正面図である。
図4図4図3のIV-IV線断面図である。
図5図5図3のV-V線断面図である。
図6図6図3のVI-VI線断面図である。
図7図7図3のVII-VII線断面図である。
図8図8図3のVIII-VIII線断面図である。
図9図9図8のIX-IX線断面図である。
図10図10は一部の収容孔内にソケットが収容された状態を示す平面図である。
図11図11はソケットの集合体の構成を示す正面図である。
図12図12図11のXII-XII線断面図である。
図13図13はソケットの集合体の製造過程を示す正面図である。
図14図14はソケットの収容状態を示す断面図である。
図15図15は全ての収容孔内にソケットが収容された状態を示す平面図である。
図16図16はソケットの集合体の変形例を示す平面断面図である。
図17図17は一部の収容孔内にソケットが収容された状態を示す平面図である。
図18図18図7に示す突出部の変形例を示す部分断面図である。
図19図19図18に示す突出部の正面図である。
図20図20図1に示す多極コネクタの変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。また、各図において図示した多極コネクタ1の各部位は模式的に示したものである。多極コネクタ1は、本発明に係るコネクタの一例に相当する。
【0012】
図1は、図15のI-I線における断面図を示している。本明細書では、各図における上下方向は接触子ユニット2の長手方向を基準として規定しており、各図の上方側を、接触子ユニット2の長手方向における先端部側とし、各図の下方側を、接触子ユニット2の長手方向における基端部側としている。
【0013】
図1に示す多極コネクタ1は、複数の第一端子Aと複数の第二端子Bとを電気的に接続するものである。当実施形態では、第一の接続対象である接続切替ユニット(図示せず)が有する第一端子Aが多極コネクタ1の基端部に接続され、第二の接続対象である検査治具用コネクタ(図示せず)が有する第二端子Bが多極コネクタ1の先端部に接続される。この多極コネクタ1に設けられた接触子ユニット2を介して、第一端子Aと第二端子Bとが互いに導通接続されるようになっている。
【0014】
接続切替ユニットは、例えば基板に設けられた配線パターンの電気特性を検査する基板検査装置に用いられるいわゆるスキャナ装置からなっている。このスキャナ装置は、検査装置本体の検査用の電源部、電圧検出部及び電流検出部を備えた検査ユニットと、第二の接続対象である検査治具用コネクタに設けられた接触子との間の電気的な接続関係を切り替えるものである。
【0015】
接続切替ユニットには、例えば複数のスイッチング素子に接続された電極ピン等からなる複数の第一端子Aが所定ピッチで配設されている。そして、図1の下方側に配置された接続切替ユニットから、多極コネクタ1の基端部側に向けて複数本の第一端子Aが突設されている。
【0016】
検査治具用コネクタには、電極ピン等からなる複数本の第二端子Bが所定ピッチで配設されている。第二端子Bは、検査対象となる配線パターン等の検査点に圧接される検査治具の各接触子に、それぞれ導線を介して接続されている。そして、図1の上方側に配置された検査治具用コネクタから、多極コネクタ1の先端部側に向けて複数本の第二端子Bが突設されている。
【0017】
なお、多極コネクタ1は、接続切替ユニットと検査治具用コネクタとの間を中継するものに限られず、その他の種々の用途に適用可能である。すなわち、多極コネクタ1の基端部に接続される接続対象は、接続切替ユニットに設けられた第一端子Aに限られない。また、多極コネクタ1の先端部に接続される接続対象は、検査治具用コネクタに設けられた第二端子Bに限られない。
【0018】
多極コネクタ1は、接触子10を有する複数の接触子ユニット2と、保持部材の一例であるベースプレート3と、カバー部材の一例であるカバープレート4とを備えている。なお、接触子ユニット2を複数備える例に限られず、接触子ユニット2を一つのみ備えるコネクタであってもよい。
【0019】
ベースプレート3には、ベースプレート3を厚み方向に貫通する円形の複数の収容孔30が形成されている。カバープレート4には、カバープレート4を厚み方向に貫通する円形の複数の孔部50が形成されている。収容孔30及び孔部50の直径は、いずれも内径Dとされている。
【0020】
接触子10は、図2に示すように、導電性部材により略円筒状に形成された筒状体11と、導電性部材により棒状に形成されたプランジャー12と、筒状体11内に配置されたコイルばね13とを備えている。
【0021】
プランジャー12の先端部には、プランジャー12よりも大径のカップ13が設けられている。カップ13の先端には、漏斗状に凹没した漏斗部13aが形成されている。カップ13は、第二端子Bよりも大径である。これにより、第二端子Bを多極コネクタ1と接続すると、第二端子B先端の外周部が漏斗部13aの斜面に接触することによって、第二端子Bとカップ13とが安定的に接触する。
【0022】
なお、プランジャー12の先端部にカップ13が設けられる例に限らない。プランジャー12の先端部は、例えば図20に示すプランジャー12aのように略円錐状に尖った形状であってもよく、プランジャー12bのように、複数の突起を有するいわゆるクラウン形状であってもよい。プランジャー12の先端部は、第二端子Bとの接触が容易な種々の形状であってよい。
【0023】
図2の上方側に位置する筒状体11の先端部には、先端開口部11aが形成されている。一方、図2の下方側に位置する筒状体11の基端部には、基端開口部11cを有する底壁11bが設けられている。そして、プランジャー12の基端側が、先端開口部11aから筒状体11内に挿入可能に構成されている。
【0024】
筒状体11の軸方向における中間部分には、筒状体11の一部を内側に窪ませるように変形させた縮径部11dが設けられている。
【0025】
プランジャー12の基端部には、筒状体11の縮径部11dの内径よりもやや大きい外径を有する膨出部121が設けられている。この膨出部121は、筒状体11内に挿入されて、縮径部11dよりも基端部側に押し込まれる。これにより、プランジャー12が、筒状体11の上方側に抜け出すことが防止された状態で、筒状体11によりスライド可能に支持されている。
【0026】
コイルばね13の外径は、筒状体11の内径よりもやや小さく、かつ筒状体11の基端開口部11cの内径よりも大きく形成されている。コイルばね13は、プランジャー12の膨出部121と筒状体11の底壁11bとの間に配設されて、膨出部121を上方に付勢している。
【0027】
接触子ユニット2は、図3に示すように、導電性を有する金属材料により円筒状に形成されたソケット20を有している。ソケット20の内径は、接触子10の外径よりもやや大きく形成されている。そして、ソケット20内に、接触子10の基端側部分、具体的には筒状体11の下方部が挿入されて抱持されるようになっている。
【0028】
また、ソケット20の周壁には、ソケット20の長手方向に延びるスリット部21aが形成されている。このスリット部21aは、後述のように矩形のソケット構成部を円筒状に湾曲させてソケット20を形成する際に、ソケット20の周壁に必然的に形成される隙間である。
【0029】
ソケット20は、ベースプレート3の収容孔30内に挿入されるソケット本体21と、カバープレート4の孔部50に挿入される先端側部分22と、ソケット本体21と先端側部分22との間に設けられた中間部29とを有している。
【0030】
また、ソケット本体21には、第一端子用ばね23と、接触子ストッパ24と、接触子用ばね25と、膨出部26とが、図3の下方側に位置するソケット本体21の基端部側から順に設けられている。
【0031】
すなわち、ソケット本体21の基端側部分には、図4に示すように、三個の第一端子用ばね23が、ソケット本体21の周方向に等間隔で設けられている。第一端子用ばね23は、ソケット本体21に形成された台形状の切欠きの上部を、ソケット本体21の内側に折り曲げることにより形成された片持ち梁状の板ばね材である。
【0032】
第一端子用ばね23の上方側には、接触子10の基端部を位置決めする三個の接触子ストッパ24が、図5に示すように、ソケット本体21の周方向に等間隔で設けられている。接触子ストッパ24は、例えばソケット本体21の周方向に延びる切欠24a(図3参照)の下方部を、ソケット本体21の径方向内側へ凹入させる等により形成される。
【0033】
接触子ストッパ24の上方側には、図6に示すように、三個の接触子用ばね25が、ソケット本体21の周方向に等間隔で設けられている。接触子用ばね25は、図3に示すように、ソケット本体21の周壁に形成された軸方向に延びる一対のスリット25a,25a間に位置する部位を、ソケット本体21の径方向内側へ押し込むことにより形成された両持ち梁状の板ばね材である。
【0034】
なお、図例では、ソケット本体21の周方向に等間隔で配設された三個の第一端子用ばね23、接触子ストッパ24、及び接触子用ばね25が、ソケット本体21の平面視においてそれぞれ重なる位置に形成された例を示している。これに限らず、各第一端子用ばね23、接触子ストッパ24、及び接触子用ばね25が、ソケット本体21の平面視において、その周方向にずれた位置に形成されていてもよい。
【0035】
また、ソケット本体21の先端部近傍、つまり後述の突出部27のやや下方に位置する部分には、図8及び図9に示すようにソケット本体21の周壁を、その全周に亘って径方向外方側に膨出させたリング状の膨出部26が設けられている。なお、膨出部26を、必ずしもソケット本体21の全周に亘って形成する必要はなく、ソケット本体21の周方向に分割された複数個の膨出部を備えた構成としてもよい。また、ソケット20は、膨出部26を備えていなくてもよい。
【0036】
図3図7図9に示すように、中間部29には、径方向外方側に突出する一対の突出部27が設けられている。突出部27は、中間部29の周壁に形成された周方向に平行に延びる一対の切断線に挟まれた部分を、中間部29の径方向外側へ押し出すことにより形成された切り起こし部からなっている。これにより、突出部27は、中間部29の周壁の一部が、軸心28の方向に対して直交する方向に架け渡されたアーチ状(両持ち梁状)となっている。
【0037】
また、図8図9に示すように、突出部27のソケット本体21側の外縁すなわち突出部27の下端面271は、軸心28と直交する仮想的な第一平面F1内に含まれるようにソケット20の周面から水平に伸びている。また、突出部27の先端側部分22側の外縁すなわち突出部27の上端面272は、軸心28と直交する仮想的な第二平面F2内に含まれるようにソケット20の周面から水平に伸びている。
【0038】
一対の突出部27は、図7図9に示すように、ソケット20の軸心28を挟んで互いに逆方向に突設されている。そして、軸心28から突出部27の先端までの距離L2は、ソケット20の軸心28から膨出部26の外周面までの距離L1よりも大きく形成されている。
【0039】
図1を参照して、ベースプレート3及びカバープレート4は、所定の厚みを有する絶縁性部材により、矩形の平面視形状を有する板状に形成されている。カバープレート4は、例えばねじ止め等の手段によりベースプレート3に固定される。ベースプレート3はカバープレート4に対向する対向面FBを有し、カバープレート4はベースプレート3に対向する対向面FCを有している。
【0040】
カバープレート4には、対向面FCから突起するスペーサ部40が形成されている。ベースプレート3にカバープレート4が取り付けられると、対向面FBと対向面FCとが、対向間隔Pの間隔を空けて対向する。対向間隔Pは、スペーサ部40の突起高さに対応している。
【0041】
収容孔30の内径Dは、図9に示すソケット20の外径dよりもやや大きく、かつ膨出部26の外径d1よりもやや小さく形成されている。収容孔30及び孔部50の半径D/2は、軸心28から突出部27の先端までの距離L2よりも小さい。さらに、突出部27の、ソケット20の軸方向の寸法Tは、対向間隔Pとほぼ同一又は僅かに小さく、例えば、P=T<2×Pとなっている。
【0042】
これにより、ソケット20を収容孔30に挿入すると、膨出部26が収容孔30内に圧入されるとともに、突出部27の下端面271がベースプレート3の対向面FBに突き当てられる。この結果、ソケット20がその軸方向に位置決めされ、ソケット20の中間部29及び先端側部分22が、対向面FBから突出した状態となる。
【0043】
膨出部26を、突出部27に近接した位置でそのやや下方側に配設した場合には、収容孔30に対するソケット本体21の挿入操作が完了する直前に膨出部26が圧入されることになる。このため、膨出部26を、突出部27の下方側の離れた位置に配設した場合に比べて、ユーザーがソケット本体21を収容孔30内に挿入する操作を容易に行うことができる。
【0044】
ソケット20が収容孔30に挿入されたとき、突出部27の下端面271は、軸心28と直交する第一平面F1内に含まれるようにソケット20の周面から水平に伸びているので、下端面271と対向面FBとが軸方向に面接触する。その結果、下端面271が対向面FBに当接することにより対向面FBから下端面271へ、軸方向に沿って反発力が加わる。その結果、例えば下端面271が軸方向に対して傾斜していたり、下端面271が曲面であったりした場合よりも、下端面271が対向面FBで押し止められる確実性が向上する。従って、接触子ユニット2がベースプレート3から抜け出るおそれが低減される。
【0045】
この状態でベースプレート3にカバープレート4が取り付けられると、先端側部分22がカバープレート4の孔部50に挿入されて保持され、突出部27が対向間隔Pの隙間に位置する。対向間隔Pの隙間が、受入部の一例に相当している。
【0046】
孔部50の半径D/2は、軸心28から突出部27の先端までの距離L2よりも小さいから、ソケット20が孔部50の上方に移動しようとすると突出部27が孔部50の周縁で対向面FCと干渉する。
【0047】
このとき、突出部27の上端面272は、軸心28と直交する第二平面F2内に含まれるようにソケット20の周面から水平に伸びているので、上端面272と対向面FCとが軸方向に面接触する。その結果、上端面272が対向面FCに当接することにより対向面FCから上端面272へ、軸方向に沿って反発力が加わる。その結果、例えば上端面272が軸方向に対して傾斜していたり、上端面272が曲面であったりした場合よりも、上端面272が対向面FCで押し止められる確実性が向上する。従って、接触子ユニット2がカバープレート4から抜け出るおそれが低減される。
【0048】
また、ソケット20の軸方向の寸法Tが、対向間隔Pとほぼ同一又は僅かに小さい寸法にされているので、接触子ユニット2がベースプレート3及びカバープレート4で保持されている状態で、軸方向に沿って位置ずれするおそれが低減される。
【0049】
さらに、一対の突出部27が、軸心28を挟んで互いに逆方向に突出しているので、両突出部27が片寄った間隔で配置されている場合等と比べて、ベースプレート3に対する接触子ユニット2の保持状態を安定させることができる。なお、突出部27の個数は、二個に限らず、一個であってもよく、三個以上であってもよい。
【0050】
図10上で上下方向に延びるベースプレート3の縦方向には、例えば64個の収容孔30が形成されている。また、図10上で左右方向に延びるベースプレート3の横方向にも、例えば64個の収容孔30が形成されている。これにより、ベースプレート3には、4096個の収容孔30が格子状に配列されている。
【0051】
図11を参照して、ソケット20の集合体6は、ソケット搬送用のキャリア61,62と、このキャリア61,62とともに搬送される複数個のソケット20とを備えている。ソケット20の軸方向上端部と、キャリア61とは、連結部63によって離脱可能に連結されている。各ソケット20に連なる複数の連結部63が一定の設置間隔Kで設置されている。また、ソケット20の軸方向下端部と、キャリア62とは、連結部64によって離脱可能に連結されている。各ソケット20に連なる複数の連結部64が一定の設置間隔Kで設置されている。
【0052】
連結部63,64は、これを折り曲げることにより切断されて、ソケット20がキャリア61,62からそれぞれ切り離されるように細幅に形成されている。
【0053】
また、図12に示すように、ソケット20の上方から見て、一対の突出部27は、キャリア61,62の長手方向Lcに対して、例えば45度の角度で交差する方向Lsに突設されている。これにより、後述のようにユーザーが、ソケット本体21をベースプレート3の収容孔30に挿入して収容させる際に、一対の突出部27が、それぞれ収容孔30の配列方向に対して、約45度の角度で傾斜した状態となるように構成されている。
【0054】
ソケット20の集合体6を製造するには、まず所定の厚さの金属板に打ち抜き加工を施すことにより、図13に示すように、上下一対のキャリア61,62と、その間に配設された矩形の板状体からなる複数のソケット構成部65とを有する打抜き板60を形成する。
【0055】
また、具体的な図示は省略しているが、ソケット構成部65の所定位置に、第一端子用ばね23、接触子ストッパ24、接触子用ばね25、膨出部26、及び突出部27をプレス加工等によって形成する。
【0056】
突出部27をプレス加工する場合、下端面271及び上端面272を剪断加工し、下端面271と上端面272とに挟まれた中間部29をU曲げ加工することによって、突出部27を容易に形成することができる。
【0057】
次いで、図13の矢印Cに示す方向に、ソケット構成部65の左右両側方部を徐々に湾曲させる曲げ加工を施す。このようにして、図11に示すように、上下のキャリア61,62の間に、複数個のソケット20が設置されたソケット20の集合体6が形成される。
【0058】
この集合体6に設けられた相隣接するソケット20の設置間隔Kは、例えばベースプレート3に設けられた相隣接する収容孔30,30の配列間隔Sの整数倍に設定されている。例えば、各連結部63,64の設置間隔Kが、ベースプレート3の横方向に配列された収容孔30,30の配列間隔Sの3倍に設定されている(図10参照)。
【0059】
なお、各連結部63,64の設置間隔Kは、収容孔30,30の配列間隔Sの3倍に限られず、2倍であってもよく、あるいは配列間隔Sの4倍以上であってもよい。さらに、各連結部63,64の設置間隔Kが、収容孔30,30の配列間隔Sの1倍、つまり設置間隔Kと配列間隔Sとが等しくてもよい。
【0060】
ソケット20の集合体6を用いて、接触子ユニット2及び多極コネクタ1を組み立てるには、ユーザーが、まず下側のキャリア62とソケット20の基端部との間に設けられた連結部64の上端部を折り曲げて切断することにより、図14に示すように、ソケット20の基端部から下側のキャリア62が切り離された状態とする。
【0061】
上述のようにして上側のキャリア61のみに連結された状態となった各ソケット20の基端部を、例えばベースプレート3の横方向に配列された収容孔30の上端開口部に対向させる。この状態で、複数個のソケット20のソケット本体21を収容孔30内に挿入する。これにより、膨出部26が収容孔30内に嵌入され、突出部27の下端面271がベースプレート3の対向面FBに突き当てられる。
【0062】
次いで、ユーザーが、連結部63の下端部を折り曲げて切断することにより、ソケット20の先端部から上側のキャリア61を切り離す。この結果、図10及び図14に示すように、各収容孔30の二個置きに、複数個のソケット20が横一列の状態で同時に収容される。そして、ソケット20が収容された収容孔30に隣接する収容孔30内にソケット20を収容させる操作が繰り返されることにより、図15に示すように、ベースプレート3の全ての収容孔30内にソケット20が収容されて保持されることになる。
【0063】
ソケット20の収容状態では、各ソケット20に設けられた一対の突出部27が、各ソケット20の配列方向(横方向)に対し、約45度をもって傾斜した状態で配置されている。すなわち、一対の突出部27は、図12に示すように、キャリア61,62の長手方向Lcに対して、45度の角度で交差する方向Lsに突設されている。このため、ユーザーが、複数個のソケット20をベースプレート3の収容孔30内に挿入した後に、各ソケット20先端部をキャリア61から切り離すことにより、一対の突出部27の設置方向と収容孔30の配列方向とが、約45度の角度で交差した状態となる。
【0064】
その後、図3に示す接触子10の基端側部分が、先端開口部22aからソケット20内に挿入され、接触子10の底壁11bがソケット本体21の接触子ストッパ24に突き当てられる。この結果、接触子10の外周面に、接触子用ばね25が圧接されて、接触子10とソケット20とが電気的に接続された接触子ユニット2が組み立てられる。
【0065】
次に、ベースプレート3に保持された接触子ユニット2の先端部を覆うようにカバープレート4が設置されて、ベースプレート3に固定される。この結果、図1に示す多極コネクタ1が組み立てられる。
【0066】
ソケット20の周壁に、ソケット20の長手方向に延びるスリット部21aが形成される例を示したが、スリットのない円筒形のパイプ材によりソケットを構成してもよい。しかし、ソケット20の直径は極めて小さいため、パイプ材からなるソケットに上述の第一端子用ばね23、接触子ストッパ24、接触子用ばね25、膨出部26、及び突出部27を形成することは容易でない。
【0067】
これに対して、上述のようにソケット20の長手方向に延びるスリット部21aを備えた構成とした場合には、板状のソケット構成部を円筒状に曲げ加工することによってソケット20を容易に形成することができる。しかも、板状のソケット構成部を丸めてソケット20を形成する前に、ソケット構成部の一部にプレス加工を施す等により、膨出部26及び突出部27等を容易に形成することができる。したがって、スリット部21aを備えたソケット20は、製造が容易である点でより好ましい。
【0068】
なお、ソケット20の長手方向に延びるスリット部21aを備えた構成とした場合には、ソケット20が拡縮変形し易いため、ソケット20の収容状態を安定化させることが困難となる傾向がある。しかし、上述のようにソケット20は、ソケット本体21を径方向外方側に膨出させた膨出部26を備えているため、この膨出部26の補強作用により剛性が増大する。したがって、ソケット20は、その拡縮変形が抑制されて、収容孔30内に安定して保持されることになる。
【0069】
また、ソケット搬送用のキャリア61,62と、これらとともに搬送される複数個のソケット20とを備えたソケット20の集合体6を用いることにより、ユーザーが、ベースプレート3の収容孔30にソケット20を収容させる作業を容易に行うことができる。すなわち、上端部がキャリアに連結された各ソケット20のソケット本体21を、収容孔30内に挿入した後、ソケット20の先端部から上側のキャリア61を切り離すことにより、複数個の収容孔30内にソケット20を同時に収容させることができる。
【0070】
また、キャリア61,62に設けられた連結部63,64の設置間隔K(図11参照)を、ベースプレート3に配列された相隣接する収容孔30の配列間隔S(図10参照)の整数倍に設定したため、複数個のソケット20を一列状態で同時に収容孔30内に収容することができる。なお、下側のキャリア62及び連結部64を省略し、上側のキャリア61に設けられた複数の連結部63によりソケット20の上端部が離脱可能に連結された櫛状のソケット20の集合体を用いることも可能である。
【0071】
また、図12に示す集合体6を使用すれば、図15に示すように、一対の突出部27を、収容孔30の配列方向に対して一定角度で傾斜させた状態で設置することができる。この結果、一対の突出部27をベースプレート3の横方向又は縦方向に沿わせるように設置した場合に比べて、相隣接する突出部27同士の干渉を防止することが容易である。したがって、突出部27の突出量を十分に確保することが容易である。
【0072】
図16に示す集合体6の変形例では、ソケット20に設けられた一対の突出部27の突出する方向Lsが、キャリア61,62の長手方向Lcと平行に向けられている。この場合、図17に示すように、キャリア61,62に設けられた連結部63,64の設置間隔K1が、ベースプレート3の斜め方向に配列された相隣接する収容孔30の配列間隔S1の整数倍に設定されていることが好ましい。
【0073】
これにより、ユーザーが、ベースプレート3の斜め方向に配列された各収容孔30に沿ってキャリア61,62を配置させた状態で、ソケット20の下方部を各収容孔30内に挿入して収容すれば、一対の突出部27が、ベースプレート3の斜め方向に傾斜した状態で設置されることになる。
【0074】
なお、設置間隔K,K1は、必ずしも配列間隔S,S1の整数倍でなくてもよい。
【0075】
また、突出部27は、アーチ状に限らない。例えば図18図19に示す突出部27aのように、中間部29の周壁の一部が、軸心28の方向に対して直交する方向に延びるカンチレバー状(片持ち梁状)に切り起こされた形状を有していてもよい。突出部27と同様、突出部27aは、下端面271が軸心28と直交する仮想的な第一平面F1内に含まれるようにソケット20aの周面から水平に伸び、上端面272が軸心28と直交する仮想的な第二平面F2内に含まれるようにソケット20aの周面から水平に伸びる形状とすることが容易である。従って、突出部27aによっても、突出部27と同様の効果が得られる。
【0076】
突出部27aをプレス加工する場合、下端面271及び上端面272と、カンチレバーの先端に対応する部分とを剪断加工し、下端面271と上端面272とに挟まれた中間部29を曲げ加工することによって、突出部27aを容易に形成することができる。
【0077】
なお、突出部は、軸心28と直交する仮想的な第一平面F1内に含まれるようにソケット20の周面から水平に伸びる下端面271と、軸心28と直交する仮想的な第二平面F2内に含まれるようにソケット20の周面から水平に伸びる上端面272とを有していればよく、突出部27,27aに限らない。
【0078】
図20に示すカバープレート4aには、接触子ユニット2の先端部に外嵌される貫通孔5が形成されている。この貫通孔5は、平面視においてベースプレート3の収容孔30と重なる位置に形成された第一孔部51と、第二孔部52と、第三孔部53と、第四孔部54とが連結された孔である。
【0079】
カバープレート4aに設けられた各孔部51~54のうち最下方に位置する第一孔部51の内径は、ソケット20の外径dよりも大きく形成されている。これにより第一孔部51内に、ソケット20の先端部が挿入可能とされている。
【0080】
第一孔部51の上方側には、接触子10の筒状体11の外径と概ね同じ値の内径を有する第二孔部52が設けられている。この第二孔部52内に、筒状体11の先端部が挿入されることにより、第二孔部52の内周面と筒状体11の先端部の外周面とが概ね密着した状態となる。
【0081】
第二孔部52の上方側には、接触子10のプランジャー12a,12bの外径よりも大きい内径を有する第三孔部53が形成されている。この第三孔部53内に、プランジャー12a又はプランジャー12bが挿入可能とされている。
【0082】
第三孔部53の上方側には、第三孔部53の内径よりも大きく、かつ上述の第二端子Bの外径よりも僅かに大きな内径を有する第四孔部54が形成されている。この第四孔部54内に、プランジャー12の先端部と第二端子Bとが挿入されて、電気的に接続されるように構成されている。
【0083】
カバープレート4aによれば、第一孔部51と第二孔部52の段差によってソケット20がカバープレート4a側から抜け出ることが防止され、第二孔部52と第三孔部53の段差によって接触子10がカバープレート4a側から抜け出ることが防止される。さらに、第三孔部53と第四孔部54とによって、プランジャー12a,12bと第二端子Bとの位置決め精度を向上させることができる。
【0084】
なお、先端にカップ13が設けられたプランジャー12は、第三孔部53にカップ13を挿通することが容易でない。従って、プランジャー12を用いる際は、カバープレート4が適している。
【0085】
すなわち、本発明の一例に係る接触子ユニットは、保持部材に設けられた収容孔と、前記保持部材に取り付けられるカバー部材に設けられた孔部とに挿入されて保持される接触子ユニットであって、前記収容孔に挿入されるソケット本体と、前記孔部に挿入される先端側部分と、前記ソケット本体と前記先端側部分との間に設けられた中間部とを有する円筒状のソケットと、前記ソケットによって保持される接触子とを備え、前記中間部には、その周面から径方向外方側に突出する突出部が設けられ、前記突出部の前記ソケット本体側の外縁は、前記ソケットの軸心と直交する第一平面内に含まれるように前記周面から伸び、前記突出部の前記先端側部分側の外縁は、前記ソケットの軸心と直交する第二平面内に含まれるように前記周面から伸びる。
【0086】
この構成によれば、接触子ユニットのソケット本体が保持部材の収容孔に挿入され、接触子ユニットの先端側部分がカバー部材の孔部に挿入されると、接触子ユニットの突出部が保持部材とカバー部材の間に位置することになる。この状態で、突出部のソケット本体側の外縁は、ソケットの軸心と直交する第一平面内に含まれるように周面から伸びるので、収容孔周縁の保持部材と突出部とが干渉する際の反発力が軸方向に沿って生じる。その結果、接触子ユニットが保持部材から抜け出るおそれが低減される。また、突出部の先端側部分側の外縁は、ソケットの軸心と直交する第二平面内に含まれるように周面から伸びるので、孔部周縁のカバー部材と突出部とが干渉する際の反発力が軸方向に沿って生じる。その結果、接触子ユニットがカバー部材から抜け出るおそれが低減される。
【0087】
また、前記突出部は、前記中間部の周壁の一部が、前記軸心の方向に対して直交する方向に架け渡されたアーチ状に突出していることが好ましい。
【0088】
中間部の周壁の一部が軸心の方向に対して直交する方向に架け渡されたアーチ状に突出する形状は、プレス加工によって、板材を、突出部のソケット本体側及び先端側部分側の外縁に対応する位置で剪断加工し、両外縁に挟まれる部分をU曲げ加工することによって形成することができるので、加工が容易である。
【0089】
また、前記突出部は、前記中間部の周壁の一部が、前記軸心の方向に対して直交する方向に延びるカンチレバー状に切り起こされた形状を有していることが好ましい。
【0090】
中間部の周壁の一部が軸心の方向に対して直交する方向に延びるカンチレバー状に切り起こされた形状は、プレス加工によって、板材を、突出部のソケット本体側及び先端側部分側の外縁に対応する位置とカンチレバーの先端に対応する位置とで剪断加工し、両外縁に挟まれる部分を曲げ加工することによって形成することができるので、加工が容易である。
【0091】
また、前記突出部は、前記ソケットの軸心を挟んで互いに逆方向に突出するように一対設けられていることが好ましい。
【0092】
この構成によれば、両突出部の周方向における間隔が十分に確保されるため、両突出部が片寄った間隔で配置されている場合等と比べて、保持部材及びカバー部材による接触子ユニットの保持状態をより安定させることができる。
【0093】
また、前記ソケット本体には、その径方向外方側に膨出する膨出部が設けられていることが好ましい。
【0094】
この構成によれば、膨出部が、保持部材の収容孔内壁と干渉しやすくなるので、保持部材がソケットを保持する安定性が向上する。
【0095】
また、前記ソケットの周壁には、前記ソケットの長手方向に延びるスリット部が形成されていることが好ましい。
【0096】
この構成によれば、板状のソケット構成部を円筒状に曲げ加工することによってソケットを形成することが容易である。
【0097】
また、本発明の一例に係るソケットの集合体は、上述の接触子ユニットを構成する前記ソケットの集合体であって、前記収容孔は複数設けられ、前記ソケットを搬送するためのキャリアと、前記キャリアとともに搬送される複数の前記ソケットとを備え、前記キャリアには、前記各ソケットの軸方向端部が離脱可能に連結された複数の連結部が一定の間隔で設けられている。
【0098】
この構成によれば、各ソケットの一端部がキャリアに連結されたソケットの集合体を用いて、ユーザーが、各ソケットの他端部を収容孔内に挿入した後、ソケットの一端部からキャリアを切り離すことにより、複数個の収容孔内にソケットを同時に収容させることができる。したがって、ソケット本体を収容孔内に挿入して保持部材に収容させる作業を行うことが容易である。
【0099】
また、前記連結部の設置間隔は、前記保持部材に配列された相隣接する前記収容孔の配列間隔の整数倍に設定されていることが好ましい。
【0100】
この構成によれば、複数個のソケットを一列状態で同時に収容孔内に収容することができるため、ユーザーが、複数のソケット本体を収容孔内に挿入することが容易である。
【0101】
また、本発明の一例に係るコネクタは、上述の接触子ユニットと、前記保持部材と、前記カバー部材とを備え、前記保持部材と前記カバー部材との間には、前記突出部を受け入れる受入部が形成され、前記カバー部材の前記孔部の半径は、前記軸心から前記突出部の頂部までの径方向の距離よりも短く、前記保持部材の前記収容孔の半径は、前記軸心から前記突出部の頂部までの径方向の距離よりも短い。
【0102】
この構成によれば、接触子ユニットのソケット本体が保持部材の収容孔に位置し、接触子ユニットの先端側部分がカバー部材の孔部に位置し、接触子ユニットの突出部が保持部材とカバー部材の間に位置する。この状態で、突出部のソケット本体側の外縁は、ソケットの軸心と直交する第一平面内に含まれるように周面から伸びるので、収容孔周縁の保持部材と突出部とが干渉する際の反発力が軸方向に沿って生じる。その結果、接触子ユニットが保持部材から抜け出るおそれが低減される。また、突出部の先端側部分側の外縁は、ソケットの軸心と直交する第二平面内に含まれるように周面から伸びるので、孔部周縁のカバー部材と突出部とが干渉する際の反発力が軸方向に沿って生じる。その結果、接触子ユニットがカバー部材から抜け出るおそれが低減される。
【符号の説明】
【0103】
1,1a 多極コネクタ(コネクタ)
2 接触子ユニット
3 ベースプレート(保持部材)
4,4a カバープレート(カバー部材)
5 貫通孔
6 集合体
10 接触子
11 筒状体
11a 先端開口部
11b 底壁
11c 基端開口部
11d 縮径部
12,12a,12b プランジャー
13 カップ
13a 漏斗部
20,20a ソケット
21 ソケット本体
21a スリット部
22 先端側部分
22a 先端開口部
24 接触子ストッパ
24a 切欠
25a スリット
26 膨出部
27,27a 突出部
28 軸心
29 中間部
30 収容孔
40 スペーサ部
50 孔部
51 第一孔部
52 第二孔部
53 第三孔部
54 第四孔部
60 打抜き板
61,62 キャリア
63,64 連結部
65 ソケット構成部
121 膨出部
271 下端面
272 上端面
A 第一端子
B 第二端子
D 内径
F1 第一平面
F2 第二平面
FB,FC 対向面
K,K1 設置間隔
L1,L2 距離
Lc 長手方向
Ls 方向
P 対向間隔
S,S1 配列間隔
T 寸法
d,d1 外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20