IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニコンの特許一覧

特許7548358加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置
<>
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図1
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図2
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図3
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図4
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図5
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図6
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図7
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図8
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図9
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図10
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図11
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図12
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図13
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図14
  • 特許-加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/34 20140101AFI20240903BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20240903BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240903BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240903BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240903BHJP
【FI】
B23K26/34
B23K26/21 Z
B33Y10/00
B33Y50/02
B33Y30/00
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2023046355
(22)【出願日】2023-03-23
(62)【分割の表示】P 2019569125の分割
【原出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2023080120
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/003190
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】川井 秀実
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-073782(JP,A)
【文献】国際公開第2016/075801(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持装置に載置された物体に加工装置からのエネルギビームで加工を行って基準を形成することと
前記加工装置によって形成された基準の三次元位置を示す位置情報に基づいて、前記支持装置に載置された、前記物体とは異なる加工対象物と前記加工装置からのエネルギビームの照射領域との相対的な位置関係を制御しつつ、前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射して加工を行うことと
を含む加工方法。
【請求項2】
前記基準を計測することをさらに含む
請求項1に記載の加工方法。
【請求項3】
前記位置関係を制御することは、前記基準を形成したときの前記支持装置と前記エネルギビームの照射領域との相対的な位置関係と、計測された前記基準の位置情報とに基づいて前記位置関係を変更することを含む
請求項2に記載の加工方法。
【請求項4】
前記基準を形成することは、前記支持装置に載置された複数の前記物体に加工を行ってそれぞれに基準を形成することを含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の加工方法。
【請求項5】
前記複数の物体のそれぞれに形成された基準を計測することをさらに含む
請求項4に記載の加工方法。
【請求項6】
前記支持装置に載置された前記物体は、前記支持装置に対して着脱可能である
請求項1から5のいずれか一項に記載の加工方法。
【請求項7】
前記支持装置に載置された前記物体は、前記加工を行うことを実施する前に前記支持装置から取り除かれる
請求項6に記載の加工方法。
【請求項8】
前記基準を形成することは、前記支持装置に載置された前記物体に、第1方向に伸びた第1基準と、前記第1方向と交差する第2方向に伸びた第2基準とを形成することを含む
請求項1から7のいずれか一項に記載の加工方法。
【請求項9】
前記位置関係を制御することは、前記第1基準及び前記第2基準を形成したときの前記支持装置と前記照射領域との相対的な位置関係に関する情報と、前記第1基準及び前記第2基準を計測する計測装置の計測結果とを用いて、前記位置関係を変更することを含む
請求項8に記載の加工方法。
【請求項10】
前記位置関係を制御することは、
前記支持装置に載置された前記物体と、前記照射領域との前記第1方向における位置関係を変更しつつ前記第1基準を形成することと、
前記支持装置に載置された前記物体と、前記照射領域との前記第2方向における位置関係を変更しつつ前記第2基準を形成することとを含む
請求項9に記載の加工方法。
【請求項11】
前記位置関係を制御することは、前記照射領域と前記基準との位置関係を算出し、算出結果を用いて前記位置関係を変更することを含む
請求項1から10のいずれか一項に記載の加工方法。
【請求項12】
前記加工を行うことは、前記エネルギビームの前記照射領域に材料を供給して付加加工を行うことを含む
請求項1から11のいずれか一項に記載の加工方法。
【請求項13】
前記基準を形成することは、前記支持装置に前記物体と前記加工対象物とが載置されている状態で、前記基準を形成することを含み、
前記位置関係を制御することは、前記支持装置に前記物体と前記加工対象物とが載置されている状態で、前記位置関係を変更することを含む
請求項1から12のいずれか一項に記載の加工方法。
【請求項14】
加工光で加工対象物を加工する加工システムを制御するコンピュータに実行させるコンピュータプログラムにおいて、
請求項1から13のいずれか一項に記載の加工方法を前記コンピュータに実行させる
コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムが記録された記録媒体。
【請求項16】
物体と前記物体とは異なる加工対象物とを載置する支持装置と、
前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射して加工を行う加工装置と、
前記エネルギビームの照射領域と前記加工対象物との位置関係を変更する位置関係変更装置と、
前記加工装置によって形成された基準の三次元位置を示す位置情報に基づいて、前記支持装置に載置された前記加工対象物と前記加工装置からのエネルギビームの照射領域との相対的な位置関係を制御する制御装置と
を備える加工システム。
【請求項17】
前記基準を計測する計測装置をさらに備える
請求項16に記載の加工システム。
【請求項18】
前記制御装置は、前記基準を形成したときの前記支持装置と前記エネルギビームの照射領域との相対的な位置関係と、計測された前記基準の位置情報とに基づいて前記位置関係を制御する
請求項17に記載の加工システム。
【請求項19】
前記加工装置は、前記支持装置に載置された複数の前記物体に加工を行ってそれぞれに基準を形成する
請求項16に記載の加工システム。
【請求項20】
複数の物体のそれぞれに形成された基準を計測する計測装置をさらに備える
請求項19に記載の加工システム。
【請求項21】
前記支持装置に載置された前記物体は、前記支持装置に対して着脱可能である
請求項16から20のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項22】
前記支持装置に載置された前記物体は、前記加工を行うことを実施する前に前記支持装置から取り除かれる
請求項21に記載の加工システム。
【請求項23】
前記加工装置は、前記支持装置に載置された前記物体に、第1方向に伸びた第1基準と、前記第1方向と交差する第2方向に伸びた第2基準とを形成する
請求項16に記載の加工システム。
【請求項24】
前記制御装置は、前記第1基準及び前記第2基準を形成したときの前記支持装置と前記照射領域との相対的な位置関係に関する情報と、前記第1基準及び前記第2基準を計測する計測装置の計測結果とを用いて、前記位置関係を制御する
請求項23に記載の加工システム。
【請求項25】
前記支持装置に載置された前記物体と、前記照射領域との前記第1方向における位置関係を変更しつつ前記第1基準を形成し、
前記支持装置に載置された前記物体と、前記照射領域との前記第2方向における位置関係を変更しつつ前記第2基準を形成する
請求項24に記載の加工システム。
【請求項26】
前記制御装置は、前記照射領域と前記基準との位置関係を算出し、算出結果を用いて前記位置関係を制御する
請求項16から25のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項27】
前記加工装置は、前記エネルギビームの前記照射領域に材料を供給して付加加工を行うことを含む
請求項16から26のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項28】
前記加工装置は、前記支持装置に前記物体と前記加工対象物とが載置されている状態で、前記基準を形成し、
前記制御装置は、前記支持装置に前記物体と前記加工対象物とが載置されている状態で、前記位置関係を変更する
請求項16から27のいずれか一項に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、加工対象物に対して付加加工を行う加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粉状の材料をエネルギビームで溶融した後に、溶融した材料を固化させることで付加加工を行う加工システムが記載されている。このような加工システムでは、適切な位置に加工を行うことが技術的課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/014909号明細書
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、加工対象物を支持可能な支持装置と、前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射し、加工を行う加工装置と、前記支持装置と前記エネルギビームの照射領域との相対的な位置関係を変更する位置変更装置と、前記加工装置にて前記支持装置及び前記加工対象物の少なくとも一方に加工を行って形成された基準の位置情報に基づいて前記位置変更装置を制御する制御装置とを備える加工システムが提供される。
【0005】
第2の態様によれば、加工対象物を支持可能な支持装置と、前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射し、前記エネルギビームが照射される領域に材料を供給して付加加工を行う加工装置と、前記支持装置と前記加工装置からの前記エネルギビームの照射領域との位置関係を変更する位置変更装置とを備え、前記支持装置のうちの一部である第1領域及び前記加工対象物の一部である第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って基準造形物を形成し、前記基準造形物に関する情報を用いて前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する加工システムが提供される。
【0006】
第3の態様によれば、加工装置からエネルギビームを照射して加工対象物に付加加工を行う加工方法であって、前記加工対象物を支持装置によって支持することと、前記支持装置のうちの一部である第1領域及び前記加工対象物の一部である第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って基準造形物を形成することと、前記基準造形物を計測することと、前記計測された前記基準造形物に関する情報に基づいて、前記支持装置と前記加工装置からの前記エネルギビームの照射領域との位置関係を変更することとを含む加工方法が提供される。
【0007】
第4の態様によれば、加工対象物を支持可能な支持装置と、前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射し、前記エネルギビームが照射される領域に材料を供給して付加加工を行う加工装置と、前記支持装置と前記加工装置からの前記エネルギビームの照射領域との位置関係を変更する位置変更装置と、前記支持装置のうちの一部である第1領域及び前記加工対象物の一部である第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って基準造形物を形成するように、前記支持装置、前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一つを制御し、前記基準造形物に関する情報を用いて前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する制御信号を受信する受信装置とを備える加工システムが提供される。
【0008】
第5の態様によれば、加工対象物を支持可能な支持装置と、前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射し、前記エネルギビームが照射される領域に材料を供給して付加加工を行う加工装置と、前記支持装置と前記加工装置からの前記エネルギビームの照射領域との位置関係を変更する位置変更装置とを備える造形システムを制御するコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、前記支持装置のうちの一部である第1領域及び前記加工対象物の一部である第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って基準造形物を形成する処理と、前記基準造形物に関する情報を用いて前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する処理とを前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラムが提供される。
【0009】
第6の態様によれば、上述した第4の態様により提供されるコンピュータプログラムが記録された記録媒体が提供される。
【0010】
第7の態様によれば、加工対象物を支持可能な支持装置と、前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射し、前記エネルギビームが照射される領域に材料を供給して付加加工を行う加工装置と、前記支持装置と前記加工装置からの前記エネルギビームの照射領域との位置関係を変更する位置変更装置とを備える造形システムを制御する制御装置であって、前記支持装置のうちの一部である第1領域及び前記加工対象物の一部である第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って基準造形物を形成する処理と、前記基準造形物に関する情報を用いて前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する処理とを行う制御装置が提供される。
【0011】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態の造形システムの構造を示す断面図である。
図2図2は、ステージ13の上面131及びステージ13の側面を夫々示す上面図及び側面図である。
図3図3(a)から図3(c)は、夫々、ワーク上のある領域において光を照射し且つ造形材料を供給した場合の様子を示す断面図である。
図4図4(a)から図4(c)の夫々は、3次元構造物を形成する過程を示す断面図である。
図5図5は、位置合わせ動作のうちの初期設定動作の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、位置合わせ動作のうちのヘッド移動動作の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、ステージ座標系におけるテストマークの位置と造形開始位置との関係、並びに、ヘッド座標系における造形ヘッドの位置と造形開始位置との関係を示す平面図である。
図8図8は、第1変形例のヘッド移動動作のうちの一部の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、第1変形例のヘッド移動動作のうちの他の一部の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、第1変形例のヘッド移動動作のうちの他の一部の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、第1変形例で用いられるテストマークの一例を示す平面図である。
図12図12は、ステージ座標系におけるテストマークの位置と造形開始位置との関係、並びに、ヘッド座標系における造形ヘッドの位置と造形開始位置との関係を示す平面図である。
図13図13(a)は、ワークが熱膨張していない場合にワークに形成される造形物を示す平面図であり、図13(b)は、ワークが熱膨張している場合にワークに形成される造形物を示す平面図である。
図14図14は、第3変形例の造形システムの構造を示す断面図である。
図15図15は、第4変形例の造形システムの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置の実施形態について説明する。以下では、レーザ肉盛溶接法(LMD:Laser Metal Deposition)により、造形材料Mを用いた付加加工を行うことで造形物を形成可能な造形システム1を用いて、加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体及び制御装置の実施形態を説明する。尚、レーザ肉盛溶接法(LMD)は、ダイレクト・メタル・デポジション、ダイレクト・エナジー・デポジション、レーザクラッディング、レーザ・エンジニアード・ネット・シェイピング、ダイレクト・ライト・ファブリケーション、レーザ・コンソリデーション、シェイプ・デポジション・マニュファクチャリング、ワイヤ-フィード・レーザ・デポジション、ガス・スルー・ワイヤ、レーザ・パウダー・フージョン、レーザ・メタル・フォーミング、セレクティブ・レーザ・パウダー・リメルティング、レーザ・ダイレクト・キャスティング、レーザ・パウダー・デポジション、レーザ・アディティブ・マニュファクチャリング、レーザ・ラピッド・フォーミングと称してもよい。
【0014】
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、造形システム1を構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向或いは重力方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。ここで、Z軸方向を重力方向としてもよい。また、XY平面を水平方向としてもよい。
【0015】
(1)造形システム1の全体構造
初めに、図1を参照しながら、本実施形態の造形システム1の全体構造について説明する。図1は、本実施形態の造形システム1の構造の一例を示す断面図である。
【0016】
造形システム1は、3次元構造物(つまり、3次元方向のいずれの方向においても大きさを持つ3次元の物体であり、立体物、言い換えると、X、Y及びZ方向において大きさを持つ物体)STを形成可能である。造形システム1は、3次元構造物STを形成するための基礎(つまり、母材)となるワークW上に、3次元構造物STを形成可能である。造形システム1は、ワークWに付加加工を行うことで、3次元構造物STを形成可能である。ワークWが後述するステージ13である場合には、造形システム1は、ステージ13上に、3次元構造物STを形成可能である。ワークWがステージ13によって保持されている既存構造物である場合には、造形システム1は、既存構造物上に、3次元構造物STを形成可能である。この場合、造形システム1は、既存構造物と一体化された3次元構造物STを形成してもよい。既存構造物と一体化された3次元構造物STを形成する動作は、既存構造物に新たな構造物を付加する動作と等価である。或いは、造形システム1は、既存構造物と分離可能な3次元構造物STを形成してもよい。尚、図1は、ワークWが、ステージ13によって保持されている既存構造物である例を示している。また、以下でも、ワークWがステージ13によって保持されている既存構造物である例を用いて説明を進める。
【0017】
上述したように、造形システム1は、レーザ肉盛溶接法により造形物を形成可能である。つまり、造形システム1は、積層造形技術を用いて物体を形成する3Dプリンタであるとも言える。尚、積層造形技術は、ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)、ラピッドマニュファクチャリング(Rapid Manufacturing)、又は、アディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing)とも称される。
【0018】
造形システム1は、造形材料Mを光ELで加工して造形物を形成する。このような光LEとして、例えば、赤外光、可視光及び紫外光のうちの少なくとも一つが使用可能であるが、その他の種類の光が用いられてもよい。光ELは、レーザ光である。更に、造形材料Mは、所定強度以上の光ELの照射によって溶融可能な材料である。このような造形材料Mとして、例えば、金属性の材料及び樹脂性の材料の少なくとも一方が使用可能である。但し、造形材料Mとして、金属性の材料及び樹脂性の材料とは異なるその他の材料が用いられてもよい。造形材料Mは、粉状の又は粒状の材料である。つまり、造形材料Mは、粉粒体である。但し、造形材料Mは、粉粒体でなくてもよく、例えばワイヤ状の造形材料やガス状の造形材料が用いられてもよい。尚、造形システム1は、造形材料Mを荷電粒子線等のエネルギビームで加工して造形物を形成してもよい。
【0019】
造形材料Mを加工するために、造形装置4は、造形ヘッド11と、ヘッド駆動系12と、ステージ13と、計測装置14と、制御装置15とを備える。尚、造形装置4は、造形ヘッド11と、ヘッド駆動系12と、ステージ13と、計測装置14とを図示無きチャンバ内に収容してもよい。ここで、チャンバ内は窒素やアルゴンガス等の不活性ガスでパージされていてもよい。更に、造形ヘッド11は、照射系111と、材料ノズル(つまり造形材料Mを供給する供給系)112とを備えている。
【0020】
照射系111は、射出部113から光ELを射出するための光学系(例えば、集光光学系)である。具体的には、照射系111は、光ELを発する不図示の光源と、光ファイバ等の不図示の光伝送部材を介して光学的に接続されている。照射系111は、光伝送部材を介して光源から伝搬してくる光ELを射出する。照射系111は、照射系111から下方(つまり、-Z側)に向けて光ELを照射する。照射系111の下方には、ステージ13が配置されている。ステージ13にワークWが搭載されている場合には、照射系111は、ワークWに向けて光ELを照射可能である。具体的には、照射系111は、光ELが照射される(典型的には、集光される)領域としてワークW上に設定される所定形状の照射領域EAに光ELを照射する。更に、照射系111の状態は、制御装置15の制御下で、照射領域EAに光ELを照射する状態と、照射領域EAに光ELを照射しない状態との間で切替可能である。尚、照射系111から射出される光ELの方向は真下(つまり、Z軸と一致する方向)には限定されず、例えば、Z軸に対して所定の角度だけ傾いた方向であってもよい。
【0021】
材料ノズル112は、造形材料Mを供給する供給アウトレット(つまり、供給口)114を有する。材料ノズル112は、供給アウトレット114から造形材料Mを供給(具体的には、噴射、噴出又は射出)する。材料ノズル112は、造形材料Mの供給源である不図示の材料供給装置と、不図示のパイプ等の粉体伝送部材を介して物理的に接続されている。材料ノズル112は、粉体伝送部材を介して材料供給装置から供給される造形材料Mを供給する。尚、図1において材料ノズル112は、チューブ状に描かれているが、材料ノズル112の形状は、この形状に限定されない。材料ノズル112は、材料ノズル112から下方(つまり、-Z側)に向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル112の下方には、ステージ13が配置されている。ステージ13にワークWが搭載されている場合には、材料ノズル112は、ワークWに向けて造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル112から供給される造形材料Mの進行方向はZ軸に対して所定の角度(一例として鋭角)だけ傾いた方向であるが、真下(つまり、Z軸と一致する方向)であってもよい。尚、複数の材料ノズル112を設けてもよい。
【0022】
本実施形態では、材料ノズル112は、照射系111が光ELを照射する照射領域EAに向けて造形材料Mを供給するように、照射系111に対して位置合わせされている。つまり、材料ノズル112が造形材料Mを供給する領域としてワークW上に設定される供給領域MAと照射領域EAとが一致する(或いは、少なくとも部分的に重複する)ように、材料ノズル112と照射系111とが位置合わせされている。尚、照射系111から射出された光ELによってワークWに形成される溶融池MPに、材料ノズル112が造形材料Mを供給するように位置合わせされていてもよい。また、材料ノズル112が造形材料Mを供給する供給領域MAと、溶融池MPの領域とが部分的に重畳するように位置合わせされてもよい。
【0023】
ヘッド駆動系12は、造形ヘッド11を移動させる。ヘッド駆動系12は、造形ヘッド11を、X軸、Y軸及びZ軸の夫々に沿って移動させる。ヘッド駆動系12は、X軸、Y軸及びZ軸の夫々に加えて、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って造形ヘッド11を移動させてもよい。ヘッド駆動系12は、例えば、モータ等を含む。ヘッド駆動系12が造形ヘッド11を移動させると、ワークW上において、照射領域EAもまたワークWに対して移動する。従って、ヘッド駆動系12は、造形ヘッド11を移動させることで、ワークWと照射領域EAとの位置関係(言い換えれば、ワークWを保持するステージ13と照射領域EAとの位置関係)を変更可能である。また、ヘッド駆動系12は、造形ヘッド11を移動させることで、ワークWと供給領域MAとの位置関係(言い換えれば、ワークWを保持するステージ13と供給領域MAとの位置関係)を変更可能である。
【0024】
尚、ヘッド駆動系12は、照射系111と材料ノズル112とを別々に移動させてもよい。具体的には、例えば、ヘッド駆動系12は、射出部113の位置、射出部113の向き、供給アウトレット114の位置及び供給アウトレット114の向きの少なくとも一つを調整可能であってもよい。この場合、照射光学系111が光ELを照射する照射領域EAと、材料ノズル112が造形材料Mを供給する供給領域MAとが別々に制御可能となる。
【0025】
ステージ13は、ワークWを保持可能である。ステージ13は、更に、保持したワークWをリリース可能である。上述した照射系111は、ステージ13がワークWを保持している期間の少なくとも一部において光ELを照射する。更に、上述した材料ノズル112は、ステージ13がワークWを保持している期間の少なくとも一部において造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル112が供給した造形材料Mの一部は、ワークWの表面からワークWの外部へと(例えば、ステージ13の周囲へと)散乱する又はこぼれ落ちる可能性がある。このため、造形システム1は、ステージ13の周囲に、散乱した又はこぼれ落ちた造形材料Mを回収する回収装置を備えていてもよい。
【0026】
ステージ13は、ワークWを保持するために、造形ヘッド11に対向可能な上面(図1に示す例では、+Z側の面)131を備えている。上面131は、ステージ13の上面131を示す平面図及びステージ13の側面を示す側面図を含む図2に示すように、保持領域132と、非保持領域133とを含む。保持領域132は、上面131の一部である。尚、保持領域132は、上面131の全部であってもよい。保持領域132は、ワークWを保持可能な領域(例えば、面)である。尚、保持領域132を保持面或いは支持面と称してもよい。保持領域132は、ワークWを保持するために上面131に設定された領域である。保持領域132は、例えば、機械的なチャック、真空吸着チャック、電磁吸着チャック及び静電吸着チャック等の少なくとも一つを用いて、ワークWを保持してもよい。保持領域132は、平面視において矩形の領域であるが、その他の形状の領域であってもよい。非保持領域133は、上面131の一部である。非保持領域133は、ワークWを保持しない領域(例えば、面)である。非保持領域133は、保持領域132とは異なる領域である。非保持領域133は、平面視において矩形枠状の領域であるが、その他の形状の領域であってもよい。非保持領域133は、保持領域132と同一の高さ(つまり、Z軸に沿った位置)に位置していてもよいし、異なる高さに配置されていてもよい。
【0027】
非保持領域133には、複数のマーク領域134が設定されている。図2に示す例では、非保持領域133には、3つのマーク領域134(具体的には、マーク領域134#1、マーク領域134#2及びマーク領域134#3)が設定されている。複数のマーク領域134は、非保持領域133内の所定位置に設定されている。複数のマーク領域134は、上面131上で離散的に分布する。複数のマーク領域134は、上面131上で均等に分布する。複数のマーク領域134は、保持領域132を取り囲むように分布する。複数のマーク領域134は、少なくとも2つのマーク領域134の間に保持領域132が位置するように、上面131上で分布する。尚、少なくとも3つのマーク領域134のうち2つのマーク領域を結ぶ線分の複数で囲まれる領域に保持領域132の少なくとも一部が位置してもよい。図2に示す例では、マーク領域134#1が保持領域132よりも-Y側且つ+X側に配置され、マーク領域134#2が保持領域132よりも-X側に配置され、且つ、マーク領域134#3が保持領域132よりも+Y側且つ+X側に配置されている。但し、複数のマーク領域134の分布態様が上述の分布態様に限定されることはない。
【0028】
複数のマーク領域134のうちの少なくとも一つは、非保持領域133と同じ平面に位置していてもよい。つまり、複数のマーク領域134のうちの少なくとも一つの高さは、非保持領域133の高さと同じであってもよい。また、複数のマーク領域134のうちの少なくとも一つは、保持領域132と同じ平面に位置していてもよい。複数のマーク領域134のうちの少なくとも一つは、非保持領域133と異なる平面に位置していてもよい。つまり、複数のマーク領域134のうちの少なくとも一つの高さは、非保持領域133の高さと異なっていてもよい。また、複数のマーク領域134のうちの少なくとも一つの高さは、保持領域132の高さと異なっていてもよい。複数のマーク領域134のうちの少なくとも一つは、複数のマーク領域134のうちの少なくとも他の一つとは異なる平面に位置していてもよい。つまり、複数のマーク領域134のうちの少なくとも一つの高さは、複数のマーク領域134のうちの少なくとも他の一つの高さとは異なっていてもよい。図2に示す例では、マーク領域134#1及び134#2の夫々が非保持領域133と同じ平面に位置し、マーク領域134#3がマーク領域134#1及び134#2とは異なる平面に位置する例を示している。言い換えると、図2に示す例では、マーク領域134#1及び134#2の夫々が保持領域132と同じ平面に位置し、マーク領域134#3が保持領域132とは異なる平面に位置する例を示している。
【0029】
複数のマーク領域134の夫々は、ワークWと造形ヘッド11との位置合わせを行うための位置合わせ動作に用いられる。尚、位置合わせ動作の詳細については後に詳述するが、ここでは、その概要について簡単に説明する。位置合わせ動作が行われる場合には、複数のマーク領域134の夫々にマーク部材FMが配置される。複数のマーク領域134の夫々は、マーク部材FMを保持する。その後、造形システム1は、マーク部材FMに対して付加加工を行うことで、3次元の物体に相当するテストマークTMをマーク部材FMに形成する。その後、造形システム1は、計測装置14を用いて、形成したテストマークTMの状態を計測する。その後、造形システム1は、テストマークTMの状態の計測結果を用いて、ワークWと造形ヘッド11との位置合わせを行う。
【0030】
再び図1において、計測装置14は、計測対象物の状態を計測する。本実施形態では、計測対象物は、ステージ13上の物体であるものとする。このため、計測対象物は、ワークW、マーク部材FM、テストマークTM及びその他の任意の物体の少なくとも一部を含んでいてもよい。計測装置14は、計測対象物の状態の一例として、ステージ13上での計測対象物の位置を計測する。例えば、計測装置14は、ステージ13上での計測対象物(例えば、テストマークTM)の絶対的な位置を計測してもよい。例えば、計測装置14は、ステージ13上での計測対象物の一部(例えば、ワークW)に対する計測対象物の他の一部(例えば、テストマークTM)の相対的な位置を計測してもよい。
【0031】
計測対象物の位置(特に、計測対象物の表面の位置)を計測するために、計測装置14は、任意の計測方法を用いて、計測対象物の形状及び寸法の少なくとも一方を計測してもよい。計測方法の一例として、パターン投影法、光切断法、タイム・オブ・フライト法、モアレトポグラフィ法(具体的には、格子照射法若しくは格子投影法)、ホログラフィック干渉法、オートコリメーション法、ステレオ法、非点収差法、臨界角法及びナイフエッジ法の少なくとも一つがあげられる。計測装置14の計測によってステージ13上の計測対象物の位置、形状及び寸法のうち少なくとも一つが判明すると、ステージ13上で計測対象物の各部分(例えば、ワークW及びテストマークTMの少なくとも一方)がどこに位置しているかが判明する。その結果、計測対象物の位置、形状及び寸法の少なくとも一つから、ステージ13上での計測対象物の位置が算出可能である。
【0032】
制御装置15は、造形システム1の動作を制御する。制御装置15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)の少なくとも一方等の演算装置や、メモリ等の記憶装置を含んでいてもよい。制御装置15は、演算装置がコンピュータプログラムを実行することで、造形システム1の動作を制御する装置として機能する。このコンピュータプログラムは、制御装置15が行うべき後述する動作を制御装置15(例えば、演算装置)に行わせる(つまり、実行させる)ためのコンピュータプログラムである。つまり、このコンピュータプログラムは、造形システム1に後述する動作を行わせるように制御装置15を機能させるためのコンピュータプログラムである。演算装置が実行するコンピュータプログラムは、制御装置15が備える記憶装置(つまり、記録媒体)に記録されていてもよいし、制御装置15に内蔵された又は制御装置15に外付け可能な任意の記憶媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。或いは、演算装置は、実行するべきコンピュータプログラムを、ネットワークインタフェースを介して、制御装置15の外部の装置からダウンロードしてもよい。尚、演算装置が実行するコンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、Blu-ray(登録商標)等の磁気ディスクや磁気テープ等の磁気媒体、光ディスク、光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ、その他のプログラムを格納可能な媒体が含まれていてもよい。またプログラムには、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記録媒体にはプログラムを記録可能な機器、例えば上記プログラムがソフトウェアやファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウェア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【0033】
特に、本実施形態では、制御装置15は、照射系111による光ELの射出態様を制御する。射出態様は、例えば、光ELの強度及び光ELの射出タイミングの少なくとも一方を含む。光ELがパルス光である場合には、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間の長さ及びパルス光の発光時間と消光時間との比(いわゆる、デューティ比)の少なくとも一方を含んでいてもよい。更に、制御装置15は、ヘッド駆動系12による造形ヘッド11の移動態様を制御する。移動態様は、例えば、移動量、移動速度、移動方向及び移動タイミングの少なくとも一つを含む。更に、制御装置15は、材料ノズル112による造形材料Mの供給態様を制御する。供給態様は、例えば、供給量(特に、単位時間当たりの供給量)を含む。
【0034】
制御装置15は、造形システム1の内部に配置されていなくてもよく、例えば、造形システム1外にサーバ等として配置されていてもよい。この場合、制御装置15と造形システム1とは、有線、無線等の通信回線やネットワークで接続されていてもよい。有線を使って物理的に接続する場合、例えばIEEE1394、RS-232x、RS-422、RS-423、RS-485、USB等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T等のネットワークを介した電気的な接続であってもよい。また、無線を使って接続する場合、IEEE802.1x、OFDM方式等の無線LANやBluetooth(登録商標)等の電波、赤外線、光通信等を利用してもよい。この場合、制御装置15と造形システム1とは通信回線やネットワークを介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されていてもよい。また、制御装置15は、上記通信回線やネットワークを介して造形システム1にコマンドや制御パラメータ等の情報を送信可能であってもよい。造形システム1は、制御装置15からのコマンドや制御パラメータ等の情報を上記通信回線やネットワークを介して受信する受信装置を備えていてもよい。
【0035】
(2)造形システム1の動作
続いて、造形システム1の動作について説明する。本実施形態では、造形システム1は、上述したように、3次元構造物STを形成するための造形動作を行う。更に、造形システム1は、造形動作を行う前に、ワークWと造形ヘッド11との位置合わせを行うための位置合わせ動作を行う。このため、以下では、造形動作及びワークWと造形ヘッド11との位置合わせを行うための位置合わせ動作について順に説明する。
【0036】
(2-1)造形動作
はじめに、造形動作について説明する。上述したように、造形システム1は、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成する。このため、造形システム1は、レーザ肉盛溶接法に準拠した既存の造形動作を行うことで、3次元構造物STを形成してもよい。以下、レーザ肉盛溶接法による3次元構造物STの造形動作の一例について簡単に説明する。
【0037】
造形システム1は、形成するべき3次元構造物STの3次元モデルデータ(例えば、CAD(Computer Aided Design)データ)等に基づいて、ワークW上に3次元構造物STを形成する。3次元モデルデータは、3次元構造物STの形状(特に、3次元形状)を表すデータを含む。3次元モデルデータとして、造形システム1内に設けられた計測装置14で計測された立体物の計測データが用いられてもよい。3次元モデルデータとして、造形システム1とは別に設けられた3次元形状計測機の計測データが用いられてもよい。このような3次元形状計測機の一例として、ワークWに対して移動可能であって且つワークWに接触可能なプローブを有する接触型の3次元測定機及び非接触型の3次元計測機の少なくとも一方があげられる。非接触型の3次元計測機の一例として、パターン投影方式の3次元計測機、光切断方式の3次元計測機、タイム・オブ・フライト方式の3次元計測機、モアレトポグラフィ方式の3次元計測機、ホログラフィック干渉方式の3次元計測機、CT(Computed Tomography)方式の3次元計測機、及び、MRI(Magnetic Resonance Imaging)方式の3次元計測機の少なくとも一つがあげられる。3次元モデルデータとして、3次元構造物STの設計データが用いられてもよい。
【0038】
造形システム1は、3次元構造物STを形成するために、例えば、Z軸方向に沿って並ぶ複数の層状の部分構造物(以下、“構造層”と称する)SLを順に形成していく。例えば、造形システム1は、3次元構造物STをZ軸方向に沿って輪切りにすることで得られる複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していく。その結果、複数の構造層SLが積層された積層構造体である3次元構造物STが形成される。以下、複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していくことで3次元構造物STを形成する動作の流れについて説明する。
【0039】
まず、各構造層SLを形成する動作について説明する。造形システム1は、制御装置15の制御下で、ワークWの表面又は形成済みの構造層SLの表面に相当する造形面MS上の所望領域に照射領域EAを設定し、当該照射領域EAに対して照射系111から光ELを照射する。尚、照射系111から照射される光ELが造形面MS上に占める領域を照射領域EAと称してもよい。本実施形態においては、光ELのフォーカス位置(つまり、集光位置、言い換えると、Z軸方向或いは光ELの進行方向において、光ELが最も収斂している位置)が造形面MSに一致している。尚、光ELのフォーカス位置は、造形面MSからZ軸方向にずれた位置に設定されてもよい。その結果、図3(a)に示すように、照射系111から射出された光ELによって造形面MS上の所望領域に溶融池(つまり、光ELによって溶融した、液状の金属又は樹脂等のプール)MPが形成される。更に、造形システム1は、制御装置15の制御下で、造形面MS上の所望領域に供給領域MAを設定し、当該供給領域MAに対して材料ノズル112から造形材料Mを供給する。ここで、上述したように照射領域EAと供給領域MAとが一致しているため、供給領域MAは、溶融池MPが形成された領域に設定されている。このため、造形システム1は、図3(b)に示すように、溶融池MPに対して、材料ノズル112から造形材料Mを供給する。その結果、溶融池MPに供給された造形材料Mが溶融する。造形ヘッド11の移動に伴って溶融池MPに光ELが照射されなくなると、溶融池MPにおいて溶融した造形材料Mは、冷却されて固化(つまり、凝固)する。その結果、図3(c)に示すように、固化した造形材料Mが造形面MS上に堆積される。つまり、固化した造形材料Mの堆積物による造形物が形成される。つまり、造形面MSに造形材料Mの堆積物を付加する付加加工が行われることで、造形物が形成される。
【0040】
このような光の照射ELによる溶融池MPの形成、溶融池MPへの造形材料Mの供給、供給された造形材料Mの溶融及び溶融した造形材料Mの固化を含む一連の造形処理が、造形面MSに対して造形ヘッド11をXY平面に沿って移動させながら繰り返される。造形面MSに対して造形ヘッド11が移動すると、造形面MSに対して照射領域EAもまた相対的に移動する。従って、一連の造形処理が、造形面MSに対して照射領域EAをXY平面に沿って移動させながら繰り返される。この際、光ELは、造形物を形成したい領域に設定された照射領域EAに対して選択的に照射される一方で、造形物を形成したくない領域に設定された照射領域EAに対して選択的に照射されない。尚、造形物を形成したくない領域には照射領域EAが設定されないとも言える。つまり、造形システム1は、造形面MS上で所定の移動軌跡に沿って照射領域EAを移動させながら、造形物を形成したい領域の分布(つまり、構造層SLのパターン)に応じたタイミングで光ELを造形面MSに照射する。その結果、造形面MS上に、凝固した造形材料Mによる造形物の集合体に相当する構造層SLが形成される。尚、上述した説明では、造形面MSに対して照射領域EAを移動させたが、照射領域EAに対して造形面MSを移動させてもよい。
【0041】
造形システム1は、このような構造層SLを形成するための動作を、制御装置15の制御下で、3次元モデルデータに基づいて繰り返し行う。具体的には、まず、制御装置15は、3次元モデルデータを積層ピッチでスライス処理してスライスデータを作成する。尚、制御装置15は、造形システム1の特性に応じて、スライスデータを少なくとも部分的に修正してもよい。造形システム1は、制御装置15の制御下で、ワークWの表面に相当する造形面MS上に1層目の構造層SL#1を形成するための動作を、構造層SL#1に対応する3次元モデルデータ(つまり、構造層SL#1に対応するスライスデータ)に基づいて行う。その結果、造形面MS上には、図4(a)に示すように、構造層SL#1が形成される。その後、造形システム1は、構造層SL#1の表面(つまり、上面)を新たな造形面MSに設定した上で、当該新たな造形面MS上に2層目の構造層SL#2を形成する。構造層SL#2を形成するために、制御装置15は、まず、造形ヘッド11がZ軸に沿って移動するようにヘッド駆動系12を制御する。具体的には、制御装置15は、ヘッド駆動系12を制御して、照射領域EA及び供給領域MAが構造層SL#1の表面(つまり、新たな造形面MS)に設定されるように、+Z側に向かって造形ヘッド11を移動させる。これにより、光ELのフォーカス位置が新たな造形面MSに一致する。その後、造形システム1は、制御装置15の制御下で、構造層SL#1を形成する動作と同様の動作で、構造層SL#2に対応するスライスデータに基づいて、構造層SL#1上に構造層SL#2を形成する。その結果、図4(b)に示すように、構造層SL#2が形成される。以降、同様の動作が、ワークW上に形成するべき3次元構造物を構成する全ての構造層SLが形成されるまで繰り返される。その結果、図4(c)に示すように、Z軸に沿って(つまり、溶融池MPの底面から上面へと向かう方向に沿って)複数の構造層SLが積層された積層構造物によって、3次元構造物STが形成される。
【0042】
尚、少なくとも一つの構造層SLが形成された後であって且つ全ての構造層SLが形成される前の段階で、計測装置14が、形成済みの構造層SLを含む構造物の形状(例えば、その表面の形状)を計測してもよい。この場合、制御装置15は、計測装置14の計測結果に基づいて、その後に続いて行われる構造層SLを形成するために用いられるスライスデータの少なくとも一部を修正してもよい。
【0043】
(2-2)位置合わせ動作
続いて、位置合わせ動作について説明する。位置合わせ動作は、上述したように、ワークWと造形ヘッド11との位置合わせを行うための動作である。より具体的には、位置合わせ動作は、所望の3次元構造物STを相対的に高い精度で形成する(つまり、3次元モデルデータが示す理想的な3次元構造物STとの間の形状誤差が相対的に小さい3次元構造物STを形成する)ことができるように、ワークWと造形ヘッド11との位置合わせを行うための動作である。ワークWと造形ヘッド11との位置合わせは、例えば、ワークWと造形ヘッド11との相対的な位置関係の制御(言い換えれば、調整又は設定)を意味していてもよい。また、ワークWと造形ヘッド11との位置合わせは、例えば、ワークWと造形位置との相対的な位置関係の制御(言い換えれば、調整又は設定)を意味していてもよい。尚、ワークWと造形ヘッド11との位置合わせは、例えば、ワークWと溶融池の位置との相対的な位置関係の制御(言い換えれば、調整又は設定)を意味していてもよく、ワークWと照射領域EAとの相対的な位置関係の制御(言い換えれば、調整又は設定)を意味していてもよく、ワークWと供給領域MAとの相対的な位置関係の制御(言い換えれば、調整又は設定)を意味していてもよい。
【0044】
本実施形態では、位置合わせ動作は、ヘッド座標系Ch上において、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させるヘッド移動動作を含む。ヘッド座標系Chは、造形ヘッド11の位置を示す3次元座標系である。ヘッド座標系Ch内の位置は、ヘッド座標系ChのX軸に沿った座標Xh、ヘッド座標系ChのY軸に沿った座標Yh及びヘッド座標系ChのZ軸に沿った座標Zhを用いて特定される。つまり、ヘッド座標系Ch内の位置は、(Xh、Yh、Zh)という座標によって特定される。このようなヘッド座標系Chは、主として、ヘッド駆動系12が造形ヘッド11を移動させる際に、ヘッド駆動系12を制御する制御装置15によって、造形ヘッド11の位置を特定する(言い換えれば、表す)ために用いられる。
【0045】
造形開始位置Ch_startは、ワークWの表面に相当する造形面MS上の造形(つまり、付加加工)を開始するべき造形開始位置Cs_startに対して光ELを照射することが可能な造形ヘッド11の位置である。尚、以降の説明では、ワークWの表面に相当する造形面MSを、“ワーク造形面MSW”と称して、構造層SLの表面に相当する造形面MSと区別する。つまり、造形開始位置Ch_startは、ワーク造形面MSW上の造形開始位置Cs_startに照射領域EAを設定する(言い換えれば、溶融池MPを形成する又は付加加工を行う)ことが可能な造形ヘッド11の位置である。尚、造形開始位置Ch_startは、ワーク造形面MSW上の造形開始位置Cs_startに供給領域MAを設定することが可能な造形ヘッド11の位置であってもよい。
【0046】
造形開始位置Cs_startは、ワークWを保持するステージ23を基準とするステージ座標系Csでの位置である。ステージ座標系Csは、ステージ13を基準とする3次元座標系である。従って、ステージ座標系Cs内の位置は、ステージ座標系CsのX軸に沿った座標Xs、ステージ座標系CsのY軸に沿った座標Ys及びステージ座標系CsのZ軸に沿った座標Zsを用いて特定される。つまり、ステージ座標系Cs内の位置は、(Xs、Ys、Zs)という座標によって特定される。ステージ座標系Csは、主として、計測装置14がステージ13上の計測対象物の特性を計測する際に、計測装置14(更には、計測装置14の計測結果を処理する制御装置15)によって、ステージ13上の計測対象物の位置を特定する(言い換えれば、表す)ために用いられる。
【0047】
ここで、このような位置合わせ動作を行う技術的理由について説明する。まず、あるワークWに対して付加加工が行われる場面を想定する。この場合、制御装置15は、計測装置14の計測結果から、ステージ座標系Cs内でのワークWの位置を特定することができる。その結果、制御装置15は、ステージ座標系Cs内において、ワーク造形面MSW上の造形開始位置Cs_startを特定することができる。一方で、制御装置15は、造形開始位置Cs_startに基づいて造形開始位置Ch_startを相対的に高精度に特定することができない可能性がある。なぜならば、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が常に理想的な関係にあるとは限らないからである。尚、ここで言う理想的な関係は、例えば、ヘッド座標系Chの原点とステージ座標系Csの原点との間の位置関係が全く変わらず、ヘッド座標系Chのスケールとステージ座標系Csのスケールとが常に同じであり、ヘッド座標系ChのX軸、Y軸及びZ軸が、夫々、ステージ座標系CsのX軸、Y軸及びZ軸と常に平行であるという関係を意味していてもよい。つまり、ここで言う理想的な関係は、例えば、ヘッド座標系Chに対してステージ座標系Csが相対的に平行移動することはなく、ヘッド座標系Chに対してステージ座標系Csが相対的に拡大又は縮小することはなく、ヘッド座標系Chに対してステージ座標系Csが相対的に回転することはないという関係を意味していてもよい。このようなヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が常に理想的な関係にあるという理想的な造形システムが存在するのであれば、制御装置15は、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の理想的な関係に基づいて、造形開始位置Cs_startから造形開始位置Ch_startを相対的に高精度に特定することができる。しかしながら、現実的には、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が変動する可能性がある。例えば、造形ヘッド11の取り付け誤差、造形ヘッド11の取り付け位置の変動(例えば、がたつき等)及び造形ヘッド11の性能の劣化の少なくとも一つが生じている場合には、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が変動する可能性がある。特に、照射系111の取り付け誤差、照射系111の取り付け位置の変動(例えば、がたつき等)、照射系111の性能の劣化、材料ノズル112の取り付け誤差、材料ノズル111の取り付け位置の変動(例えば、がたつき等)、材料ノズル112の破損、及び材料ノズル112の性能の劣化の少なくとも一つが生じている場合には、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が変動する可能性がある。更に、例えば、ステージ13の取り付け誤差、ステージ13の取り付け位置の変動(例えば、がたつき等)及びステージ13の形状変化の少なくとも一つが生じている場合には、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が変動する可能性がある。更に、例えば、ヘッド駆動系12がリセットされた場合(つまり、再起動された場合)には、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が変動する可能性がある。このようにヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が理想的な関係でなくなるように変動した場合、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が理想的な関係にある場合と比較して、ヘッド座標系Ch上のある位置に位置する造形ヘッド11からの光ELが、ステージ座標系Cs上の同じ位置に照射されるとは限らない。このため、制御装置15は、ステージ座標系Cs内で造形開始位置Cs_startを特定したとしても、当該特定した造形開始位置Cs_startに基づいて、当該造形開始位置Cs_startに光ELを照射可能な造形ヘッド11の位置である造形開始位置Ch_startを相対的に高精度に特定することができるとは限らない。つまり、制御装置15は、ステージ座標系Cs内で造形開始位置Cs_startを特定したとしても、ヘッド座標系Ch内において、当該特定した造形開始位置Cs_startに対応する造形開始位置Ch_startに造形ヘッド11を適切に移動させることができるとは限らない。具体的には、例えば、制御装置15は、ステージ座標系Cs内で造形開始位置Cs_startを特定したとしても、ヘッド座標系Ch内において、当該特定した造形開始位置Cs_startに対応する造形開始位置Ch_startとは異なる位置に造形ヘッド11を移動させてしまう可能性がある。その結果、形成される3次元構造物STの形状精度が悪化する可能性がある。
【0048】
そこで、本実施形態では、造形システム1は、造形開始位置Cs_startに対応する造形開始位置Ch_startに造形ヘッド11を適切に移動させることを目的に、制御装置15の制御下で、位置合わせ動作を行う。その後、造形システム1は、造形開始位置Ch_startに造形ヘッド11が位置した後に、ワークWに対する付加加工を開始する。このため、造形システム1は、ワークWへの付加加工を行うための造形動作を開始する前に、位置合わせ動作を行う。
【0049】
本実施形態では、位置合わせ動作は、上述したヘッド移動動作に加えて、上述したヘッド移動動作を行うための準備動作に相当する初期設定動作も行う。このため、以下、初期設定動作及びヘッド移動動作について順に説明する。
【0050】
(2-2-1)初期設定動作
初めに、位置合わせ動作のうちの初期設定動作について説明する。初期設定動作は、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとを対応付ける(言い換えれば、関連付ける)動作を含む。具体的には、初期設定動作は、ヘッド座標系Ch内の位置とステージ座標系Cs内の位置とを対応付ける動作を含む。一例として、初期設定動作は、ヘッド座標系Chにおける造形ヘッド11の位置と、当該造形ヘッド11によってステージ13上に形成される造形物のステージ座標系Csにおける位置とを対応付ける動作を含んでいてもよい。
【0051】
本実施形態では、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとを対応付ける動作は、(Xh、Yh、Zh)という座標で特定されるヘッド座標系Ch内の位置を、(Xs、Ys、Zs)という座標で特定されるステージ座標系Cs内の位置に変換可能な及び/又はステージ座標系Cs内の位置をヘッド座標系Ch内の位置に変換可能な変換行列Tを算出する動作を含んでいてもよい。つまり、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとを対応付ける動作は、(Xh、Yh、Zh)=T×(Xs、Ys、Zs)及び(Xs、Ys、Zs)=T-1×(Xh、Yh、Zh)という関係を満たす変換行列Tを算出する動作を含んでいてもよい。変換行列Tは、ヘッド座標系Ch内の位置及びステージ座標系Cs内の位置のいずれか一方を拡大又は縮小してヘッド座標系Ch内の位置及びステージ座標系Cs内の位置のいずれか他方に変換するスケーリングに関する行列を含む。但し、変換行列Tは、スケーリングに関する行列に加えて又は代えて、ヘッド座標系Ch内の位置及びステージ座標系Cs内の位置のいずれか一方を平行移動してヘッド座標系Ch内の位置及びステージ座標系Cs内の位置のいずれか他方に変換する平行移動に関する行列を含んでいてもよい。変換行列Tは、スケーリングに関する行列に加えて又は代えて、ヘッド座標系Ch内の位置及びステージ座標系Cs内の位置のいずれか一方を回転してヘッド座標系Ch内の位置及びステージ座標系Cs内の位置のいずれか他方に変換する回転に関する行列を含んでいてもよい。尚、変換行列Tは、スケーリング、平行移動及び回転のうち少なくとも1つに関する行列に加えて又は代えて、直交度に関する行列を含んでいてもよい。以下、図5を参照しながら、変換行列Tを算出する動作について説明する。
【0052】
図5に示すように、まず、ステージ13の複数のマーク領域134の夫々に、マーク部材FMが配置される(ステップS111)。マーク部材FMは、光ELの照射によって少なくとも一部が溶融可能な部材である。マーク部材FMは、光ELの照射によって少なくとも一部に溶融池MPを形成可能な部材である。マーク部材FMは、光ELの照射によって少なくとも一部に造形物を形成可能な部材である。マーク部材FMは、例えば板状の部材であるが、その他任意の形状の部材であってもよい。また、マーク部材FMのサイズは、マーク領域134のサイズと同じであってもよいし、小さくてもよいし、大きくてもよい。尚、初期設定動作が行われている期間中は、ステージ13には、ワークWが配置されていてもよいし、配置されていなくてもよい。
【0053】
その後、制御装置15は、複数のマーク領域134のうちの一のマーク領域134を、テストマークTMを形成するためのマーク部材FMが配置された指定マーク領域134dに指定する(ステップS121)。尚、制御装置15は、複数のマーク領域134の全てのマーク領域134を指定マーク領域134dに指定してもよいし、複数のマーク領域134のうちの一部のマーク領域134を指定マーク領域134dに指定してもよい。その後、制御装置15は、ヘッド座標系Ch内において、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMに対して付加加工を行うことが可能な造形ヘッド11の位置Chfmを特定する(ステップS122)。具体的には、複数のマーク領域134は、ステージ13の上面131上の所定位置(つまり、既知の位置)に設定されている。つまり、指定マーク領域134dもまた、ステージ13の上面131上の所定位置(つまり、既知の位置)に設定されている。このため、ステージ座標系Cs内での指定マーク領域134dの位置Csfm(例えば、指定マーク領域134dの中心、端又はその他任意の部分の位置Csfm)は、制御装置15にとって既知の情報である。一方で、上述したように、造形システム1ではヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が変わるがゆえに、制御装置15は、指定マーク領域134dの位置Csfmに基づいて、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMに対して付加加工を行うことが可能な造形ヘッド11の位置Chfmを相対的に高精度に特定することは容易ではない。しかしながら、初期設定動作では、造形システム1は、マーク部材FMのどこか(例えば、マーク部材FMの上面の任意の位置)にテストマークTMを形成することができれば十分である。言い換えれば、造形システム1は、マーク部材FMにおけるテストマークTMの形成位置を相対的に高精度に制御しなくてもよい。このため、制御装置15は、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が理想的な関係にあるものと仮定することで、指定マーク領域134dの位置Csfmに基づいて、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMに対して付加加工を行うことが可能な造形ヘッド11の位置Chfmを特定(ここでは、実質的には、推定)可能である。
【0054】
しかしながら、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が理想的な関係ではない(特に、理想的な関係とは相対的に大きく異なっている)場合には、造形システム1がマーク部材FMにテストマークTMを形成することができない可能性がある。つまり、造形システム1が、マーク部材FMから離れた位置にテストマークTMを形成してしまう可能性がある。そこで、マーク領域134のサイズ(特に、XY平面に沿ったサイズ)は、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が理想的な関係からずれてしまった場合(特に、実際の造形システム1において生じ得る程度にずれてしまった場合、以下同じ)であっても、位置Chfmに位置する造形ヘッド11が指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTMを形成することができるほどに大きなサイズに設定されていてもよい。同様に、マーク部材FMのサイズ(特に、XY平面に沿ったサイズ)は、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が理想的な関係からずれてしまった場合であっても、位置Chfmに位置する造形ヘッド11が指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTMを形成することができるほどに大きなサイズに設定されていてもよい。
【0055】
尚、指定マーク領域134dの位置Csfmが既知の情報である場合には、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMに対して付加加工を行うことが可能な造形ヘッド11の位置Chfmもまた、既知の情報となり得る。このため、制御装置15は、マーク領域134の位置Csfm及び当該マーク領域134の位置Csfmに対応する造形ヘッド11の位置Chfmに関する情報を記憶しておいてもよい。この場合、制御装置15は、ステップS122において造形ヘッド11の位置Chfmを特定することに代えて、記憶しておいた情報から造形ヘッド11の位置Chfmを特定してもよい。
【0056】
その後、制御装置15は、ステップS122で特定した位置Chfmに造形ヘッド11を移動させるようにヘッド駆動系12を制御する(ステップS123)。その後、造形ヘッド11が位置Chfmに到達した後に、造形システム1は、制御装置15の制御下で、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTMを形成する(ステップS124)。造形システム1は、上述した造形物、上述した構造層SL及び上述した3次元構造物STのうちの少なくとも一つを形成するための方法と同様の方法(例えば、図3(a)から図4(c)に示す方法)を用いて、テストマークTMを形成する。つまり、テストマークTMは、上述した造形物と同様の構造物であってもよいし、上述した造形物の集合体と同様の構造物であってもよいし、上述した構造層SLと同様の構造物であってもよいし、複数の構造層SLが積層された上述した3次元構造物STと同様の構造物であってもよい。但し、後述するステップS131からステップS132においてテストマークTMの位置を特定する際に、計測装置14の計測結果が示す計測対象物からテストマークTMを一意に特定することができるように、特定の形状及び寸法の少なくとも一方を有するマークであってもよい。
【0057】
その後、制御装置15は、ステージ13に設定された複数のマーク領域MEに夫々配置された複数のマーク部材FMの全てに対してテストマークTMが形成されたか否かを判定する(ステップS125)。ステップS125の判定の結果、全てのマーク部材FMに対してテストマークTMが形成されていないと判定された場合には(ステップS125:No)、制御装置15は、ステップS121以降の処理を繰り返す。つまり、制御装置15は、複数のマーク領域134のうち、未だに指定マーク領域134dに指定されたことがない一のマーク領域134を、新たな指定マーク領域134dに指定する(ステップS121)。その後、制御装置15は、新たに指定した指定マーク領域134dを対象に、テストマークTMを形成するための処理を行う(ステップS122からステップS124)。
【0058】
他方で、ステップS125の判定の結果、全てのマーク部材FMに対してテストマークTMが形成されたと判定された場合には(ステップS125:Yes)、計測装置14は、ステージ13上の物体(具体的には、テストマークTMを含む計測対象物)の状態を計測する(ステップS131)。計測装置14の計測結果(つまり、テストマークTMを含む計測対象物の状態に関する情報)は、制御装置15に出力される。尚、全てのマーク部材FMに対してテストマークTMが形成されたと判定された場合に代えて、複数のマーク部材FMのうちの一部のマーク部材FMに対してテストマークTMが形成されたと判定した場合に、次のステップ(ステップS131)に移行してもよい。
【0059】
その後、制御装置15は、計測装置14の計測結果に基づいて、ステージ座標系Cs内において、形成されたテストマークTMの位置Cstmを特定する(ステップS132)。具体的には、制御装置15の制御下でテストマークTMが形成されているため、テストマークTMの位置、形状及び寸法のうち少なくとも一つは、制御装置15にとって既知の情報である。従って、制御装置15は、計測装置14が計測した計測対象物の状態(特に、位置、形状及び寸法のうち少なくとも一つ)に関する情報に基づいて、計測対象物からテストマークTMを特定することができる。例えば、制御装置15は、パターンマッチング法等を用いて、計測対象物からテストマークTMを特定することができる。その後、制御装置15は、ステージ座標系Cs内において、特定したテストマークTMの位置Cstmを特定する。
【0060】
その後、制御装置15は、ステップS132で特定したテストマークTMの位置Cstm及び当該テストマークTMを形成したときの造形ヘッド11の位置Chfm(つまり、ステップS122で特定した造形ヘッド11の位置Chfm)に基づいて、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係を示す変換行列Tを算出する(ステップS141)。具体的には、複数のテストマークTMが形成されているため、ステップS132では、複数の位置Cstmが特定されている。同様に、ステップS122においても、複数の位置Chfmが特定されている。複数の位置Cstmのうちの第1のテストマークTMの位置Cstm1=(Xstm1、Ystm1、Zstm1)は、複数の位置Chfmのうち第1のテストマークTMを形成したときの造形ヘッド11の位置Chfm1=(Xhfm1、Yhfm1、Zhfm1)に対応する。つまり、(Xhfm1、Yhfm1、Zhfm1)=T×(Xstm1、Ystm1、Zstm1)という関係が成立する。同様に、複数の位置Cstmのうちの第2のテストマークTMの位置Cstm2=(Xstm2、Ystm2、Zstm2)は、複数の位置Chfmのうち第2のテストマークTMを形成したときの造形ヘッド11の位置Chfm2=(Xhfm2、Yhfm2、Zhfm2)に対応する。つまり、(Xhfm2、Yhfm2、Zhfm2)=T×(Xstm2、Ystm2、Zstm2)という関係が成立する。同様に、複数の位置Cstmのうちの第3のテストマークTMの位置Cstm3=(Xstm3、Ystm3、Zstm3)は、複数の位置Chfmのうち第3のテストマークTMを形成したときの造形ヘッド11の位置Chfm3=(Xhfm3、Yhfm3、Zhfm3)に対応する。つまり、(Xhfm3、Yhfm3、Zhfm3)=T×(Xstm3、Ystm3、Zstm3)という関係が成立する。従って、制御装置15は、このような複数の位置Cstmと複数の位置Chfmとの間に成立する連立方程式を解くことで、変換行列Tを算出することができる。
【0061】
ヘッド座標系Ch及びステージ座標系Csの夫々が3次元座標系であるため、変換行列Tを算出するために、造形システム1は、少なくとも3つのテストマークTMを形成してもよい。つまり、ステージ13には、少なくとも3つのマーク領域134が設定されていてもよい。この場合、少なくとも3つのマーク領域134は、ステージ座標系CsのX軸に沿った位置が異なる2つのマーク領域134を含んでいてもよい。つまり、造形システム1は、ステージ座標系CsのX軸に沿った位置が異なる少なくとも2つのテストマークTMを形成してもよい。少なくとも3つのマーク領域134は、Y軸に沿った位置が異なる2つのマーク領域134を含んでいてもよい。つまり、造形システム1は、ステージ座標系CsのY軸に沿った位置が異なる少なくとも2つのテストマークTMを形成してもよい。少なくとも3つのマーク領域134は、Z軸に沿った位置が異なる2つのマーク領域134を含んでいてもよい。つまり、造形システム1は、ステージ座標系CsのZ軸に沿った位置が異なる少なくとも2つのテストマークTMを形成してもよい。上述した図2に示す例では、ステージ13には、3つのマーク領域134#1から134#3が設定されている。更に、図2に示す例では、ステージ13には、X軸に沿った位置が異なる2つのマーク領域134#1及び134#2(或いは、2つのマーク領域134#2及び134#3)が設定され、Y軸に沿った位置が異なる3つのマーク領域134#1から134#3が設定され、Z軸に沿った位置が異なる2つのマーク領域134#1及び134#3(或いは、2つのマーク領域134#2及び134#3)が設定されている。
【0062】
変換行列Tが算出されると、制御装置15は、ヘッド座標系Ch内の位置(Xh、Yh、Zh)を、当該位置(Xh、Yh、Zh)に対応するステージ座標系Cs内の位置(Xs、Ys、Zs)に変換することができる。同様に、制御装置15は、ステージ座標系Cs内の位置(Xs、Ys、Zs)を、当該位置(Xs、Ys、Zs)に対応するヘッド座標系Ch内の位置(Xh、Yh、Zh)に変換することができる。更に、変換行列Tは、造形システム1がステージ13に対して実際に付加加工を行うことで形成されたテストマークTMに基づいて算出されている。つまり、変換行列Tは、ヘッド座標系Chにおける造形ヘッド11の実際の位置Chfmと、ステージ座標系CsにおけるテストマークTMの実際の位置Cstmとに基づいて算出されている。従って、変換行列Tには、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の実際の関係が反映されている。つまり、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の実際の関係が理想的な関係とは異なる場合であっても、変換行列Tには、ヘッド座標系Chにおける造形ヘッド11の位置とステージ座標系Csにおけるステージ13上の物体の位置との間の実際の関係が反映されている。このため、制御装置15は、変換行列Tを用いて、ヘッド座標系Ch内の位置とステージ座標系Cs内の位置との相互変換を相対的に高精度に行うことができる。
【0063】
変換行列Tが算出された後には(或いは、テストマークTMの状態が計測された後には)、マーク領域134からマーク部材FMが取り除かれる(ステップS151)。つまり、マーク部材FMは、初期設定動作が行われる都度交換可能な部材に相当する。尚、マーク部材FMは、次の初期設定動作が行われるまで、マーク領域134に位置していてもよい。また、複数回の初期設定動作で同じマーク部材FMを用いてもよい。
【0064】
制御装置15は、このような初期設定動作を、所望のタイミングで行う。例えば、制御装置15は、造形システム1が作動し始める(例えば、造形システム1の電源が入れられる)たびに、初期設定動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、ステージ13にワークWが配置されるたびに、初期設定動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、ステージ13にワークWが配置される前に又は配置された後に、初期設定動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、一つの又は複数のワークWに対する付加加工が完了するたびに、初期設定動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、造形システム1が作動してから一定時間が経過するたびに、初期設定動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、造形システム1のオペレータから初期設定動作を行う旨の指示が入力されるたびに、初期設定動作を行ってもよい。
【0065】
(2-2-2)ヘッド移動動作
続いて、位置合わせ動作のうちのヘッド移動動作について説明する。上述したように、ヘッド移動動作は、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる動作である。以下、図6を参照しながら、ヘッド移動動作について説明する。
【0066】
図6に示すように、まずは、付加加工を行うべきワークWがステージ13に配置される(ステップS211)。ステージ13は、保持領域132を介してワークWを保持する。
【0067】
その後、制御装置15は、複数のマーク領域134のうちの一のマーク領域134を、テストマークTMを形成するためのマーク部材FMが配置するべき指定マーク領域134dに指定する(ステップS221)。尚、制御装置15は、複数のマーク領域134の全てのマーク領域134を指定マーク領域134dに指定してもよいし、複数のマーク領域134のうちの一部マーク領域134を指定マーク領域134dに指定してもよい。その後、指定マーク領域134dにマーク部材FMが配置される。
【0068】
その後、制御装置15は、ヘッド座標系Ch内において、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMに対して付加加工を行うことが可能な造形ヘッド11の位置Chfmを特定する(ステップS222)。具体的には、制御装置15は、ヘッド移動動作においても、造形ヘッド11の位置Chfmを特定するために上述した初期設定動作において用いられた方法を用いて、造形ヘッド11の位置Chfmを特定する。つまり、制御装置15は、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が理想的な関係にあるものと仮定することで、指定マーク領域134dの位置Csfmに基づいて、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMに対して付加加工を行うことが可能な造形ヘッド11の位置Chfmを特定(ここでは、実質的には、推定)する。但し、制御装置15は、初期設定動作で算出した変換行列Tを用いて既知の情報である指定マーク領域134dの位置Csfmを変換することで、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMに対して付加加工を行うことが可能な造形ヘッド11の位置Chfmを特定してもよい。
【0069】
その後、制御装置15は、ステップS222で特定した位置Chfmに造形ヘッド11を移動させるようにヘッド駆動系12を制御する(ステップS223)。その後、造形ヘッド11が位置Chfmに到達した後に、造形システム1は、制御装置15の制御下で、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTMを形成する(ステップS224)。ヘッド移動動作において形成されるテストマークTMは、上述した初期設定動作において形成されるテストマークTMと同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0070】
その後、計測装置14は、ステージ13上の物体(具体的には、テストマークTM及びワークWを含む計測対象物)の状態を計測する(ステップS231)。計測装置14の計測結果(つまり、テストマークTM及びワークWを含む計測対象物の状態に関する情報)は、制御装置15に出力される。
【0071】
その後、制御装置15は、計測装置14の計測結果に基づいて、ステージ座標系Cs内において、形成されたテストマークTMの位置Cstmを特定する(ステップS232)。具体的には、制御装置15は、テストマークTMの位置Cstmを特定するために上述した初期設定動作において用いられた方法を用いて、テストマークTMの位置Cstmを特定する。
【0072】
更に、制御装置15は、計測装置14の計測結果に基づいて、ステージ座標系Cs内において、ワーク造形面MSWにおいて造形を開始するべき造形開始位置Cs_startを特定する(ステップS232)。具体的には、制御装置15は、計測装置14の計測結果から、ステージ座標系Cs内でのワークWの位置を特定することができる。更に、制御装置15は、形成するべき3次元構造物STの3次元モデルデータに基づいて、ワークW上にどのように3次元構造物STを形成するかを特定することができる。ワークW上にどのように3次元構造物STを形成するかが特定されると、3次元構造物STを形成するために初めに造形物を形成するべき位置(例えば、1層目の構造層SL#1を形成するために初めに造形物を形成するべき位置)が特定できる。3次元構造物STを形成するために初めに造形物を形成するべき位置は、造形開始位置Cs_startに相当する。
【0073】
その後、制御装置15は、ステップS232で特定したテストマークTMの位置Cstm、当該テストマークTMを形成したときの造形ヘッド11の位置Chfm(つまり、ステップS222で特定した造形ヘッド11の位置Chfm)、及び、ステップS232で特定した造形開始位置Cs_startに基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる(ステップS241)。以下、図7を参照しながら、テストマークTMの位置Cstm、造形ヘッド11の位置Chfm、及び、造形開始位置Cs_startに基づいて造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる動作について更に詳細に説明する。
【0074】
図7の上部は、ステージ座標系CsにおけるテストマークTMの位置Cstm=(Xstm、Ystm、Zstm)と造形開始位置Cs_start=(Xs_start、Ys_start、Zs_start)との関係を示す平面図である。一方で、図7の下部は、ヘッド座標系Chにおける造形ヘッド11の位置Chfm=(Xhfm、Yhfm、Zhfm)と造形開始位置Ch_start=(Xh_start、Yh_start、Zh_start)との関係を示す平面図である。
【0075】
図7に示すように、ヘッド座標系Ch内の位置Chfmに位置する造形ヘッド11からの光ELで、ステージ座標系Cs内の位置CstmにテストマークTMが形成されている。このため、ヘッド座標系Ch内の位置Chfmに位置する造形ヘッド11からの光ELの照射領域EAは、ステージ座標系Cs内の位置Cstmに設定される。この場合、ステージ座標系Cs内で照射領域EAが位置Cstmから造形開始位置Cs_startに移動するようにヘッド座標系Ch内で造形ヘッド11が移動すれば、造形ヘッド11が造形開始位置Cs_startに位置することになる。
【0076】
具体的には、ステージ座標系Csにおいて、造形開始位置Cs_startは、テストマークTMの位置Cstmから、X軸に沿って(Xs_start-Xstm)という距離だけ離れている。ステージ座標系Csにおいて、造形開始位置Cs_startは、テストマークTMの位置Cstmから、Y軸に沿って(Ys_start-Ystm)という距離だけ離れている。ステージ座標系Csにおいて、造形開始位置Cs_startは、テストマークTMの位置Cstmから、Z軸に沿って(Zs_start-Zstm)という距離だけ離れている。このため、ステージ座標系Cs内において、照射領域EAが、X軸に沿って(Xs_start-Xstm)という距離だけ移動し、Y軸に沿って(Ys_start-Ystm)という距離だけ移動し、且つ、Z軸に沿って(Zs_start-Zstm)という距離だけ移動するように、ヘッド座標系Chにおいて位置Chfmに位置していた造形ヘッド11が移動すれば、造形ヘッド11が造形開始位置Cs_startに位置することになる。
【0077】
ここで、ヘッド座標系Ch内において、造形ヘッド11が、X軸に沿って(Xs_start-Xstm)という距離だけ移動し、Y軸に沿って(Ys_start-Ystm)という距離だけ移動し、且つ、Z軸に沿って(Zs_start-Zstm)という距離だけ移動すれば、ステージ座標系Cs内で照射領域EAが位置Cstmから造形開始位置Cs_startに移動する可能性はある。しかしながら、上述したように、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が常に理想的な関係にあるとは限らない。このため、ヘッド座標系Ch内で造形ヘッド11がX軸に沿って(Xs_start-Xstm)という距離だけ移動したとしても、ステージ座標系Cs内で照射領域EAがX軸に沿って(Xs_start-Xstm)という距離だけ移動するとは限らない。同様に、ヘッド座標系Ch内で造形ヘッド11がY軸に沿って(Ys_start-Ystm)という距離だけ移動したとしても、ステージ座標系Cs内で照射領域EAがY軸に沿って(Ys_start-Ystm)という距離だけ移動するとは限らない。同様に、ヘッド座標系Ch内で造形ヘッド11がZ軸に沿って(Zs_start-Zstm)という距離だけ移動したとしても、ステージ座標系Cs内で照射領域EAがZ軸に沿って(Zs_start-Zstm)という距離だけ移動するとは限らない。そこで、制御装置15は、変換行列Tを用いて、ステージ座標系CsにおいてテストマークTMの位置Cstmから造形開始位置Cs_startへと移動する照射領域EAの移動量及び移動方向を、ヘッド座標系Chにおける造形ヘッド11の移動量及び移動方向に変換する。その後、制御装置15は、ヘッド座標系Chにおいて、位置Chfmに位置している造形ヘッド11を、変換によって得られた移動方向に向かって、変換によって得られた移動量だけ移動させる。その結果、造形ヘッド11は、照射領域EAを造形開始位置Cs_startに設定することが可能な造形開始位置Ch_startに位置することになる。
【0078】
このように、本実施形態では、制御装置15は、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに適切に移動させることができる。つまり、制御装置15は、移動後の造形ヘッド11のヘッド座標系Ch内での位置が造形開始位置Ch_startに一致するように(或いは、近づくように)、造形ヘッド11を移動させることができる。言い換えれば、制御装置15は、移動後の造形ヘッド11からの光ELが照射される照射領域EAが造形開始位置Cs_startに設定されるように、造形ヘッド11を移動させることができる。尚、制御装置15は、移動後の造形ヘッド11からの光ELによって形成される溶融池MPが造形開始位置Cs_startに設定されるように、造形ヘッド11を移動させてもよく、移動後の造形ヘッド11による供給位置MAが造形開始位置Cs_startに設定されるように、造形ヘッド11を移動させてもよい。
【0079】
制御装置15は、このようなヘッド移動動作を所望のタイミングで行う。例えば、制御装置15は、ステージ13にワークWが配置されるたびに、ヘッド移動動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、一つの又は複数のワークWに対する付加加工が完了するたびに、ヘッド移動動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、造形システム1が作動してから一定時間が経過するたびに、ヘッド移動動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、造形システム1のオペレータからヘッド移動動作を行う旨の指示が入力されるたびに、ヘッド移動動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、初期設定動作が行われるたびに、ヘッド移動動作を行ってもよい。つまり、制御装置15は、初期設定動作が行われる頻度と同じ頻度で、ヘッド移動動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、初期設定動作が行われる頻度よりも少ない頻度で、ヘッド移動動作を行ってもよい。例えば、制御装置15は、初期設定動作が行われる頻度よりも多い頻度で、ヘッド移動動作を行ってもよい。
【0080】
尚、制御装置15は、変換行列Tを用いて、ステージ座標系Csにおける造形開始位置Cs_startを、ヘッド座標系Chにおける造形開始位置Ch_startに変換し、当該変換によって得られた造形開始位置Ch_startに造形ヘッド11を移動させてもよい。特に、上述した平行移動に関する行列、上述したスケーリングに関する行列及び上述した回転に関する行列の全てを変換行列Tが含む場合には、制御装置15は、変換行列Tを用いて造形開始位置Ch_startを特定し、当該特定した造形開始位置Ch_startに造形ヘッド11を移動させてもよい。この場合であっても、制御装置15は、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに相応に適切に移動させることができる。
【0081】
(3)変形例
続いて、造形システム1の変形例について説明する。
【0082】
(3-1)第1変形例
初めに、第1変形例について説明する。第1変形例では、ヘッド移動動作の内容が上述したヘッド移動動作とは異なる。具体的には、第1変形例におけるヘッド移動動作は、上述したヘッド移動動作と同様に、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる動作である。但し、第1変形例におけるヘッド移動動作は、複数種類のテストマークTMを形成し、当該複数種類のテストマークTMのうちのいずれか一つの位置Cstmに基づいて造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させるという点で、上述したヘッド移動動作とは異なる。以下、図8から図10を参照しながら、第1変形例におけるヘッド移動動作について説明する。尚、上述したヘッド移動動作と同一の処理については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0083】
図8に示すように、まずは、付加加工を行うべきワークWがステージ13に配置される(ステップS211)。更に、制御装置15は、複数のマーク領域134のうちの一のマーク領域134を、テストマークTMを形成するためのマーク部材FMが配置されるべき指定マーク領域134dに指定する(ステップS221)。尚、制御装置15は、複数のマーク領域134の全てのマーク領域134を指定マーク領域134dに指定してもよいし、複数のマーク領域134のうちの一部マーク領域134を指定マーク領域134dに指定してもよい。この際、指定マーク領域134dにマーク部材FMが配置される。
【0084】
上述したように、第1変形例では、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMには、複数種類のテストマークTMが形成される。具体的には、テストマークTMを形成している期間中の造形ヘッド11の移動方向(特に、ヘッド座標系ChのXY平面に沿った移動方向)が異なる複数のテストマークTMが形成される。例えば、第1の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMと、第1の方向とは異なる(例えば、第1の方向に交差する又は第1の方向とは逆向きの)第2の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMとが形成される。例えば、第1の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMと、第2の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMと、第1及び第2の方向とは異なる(例えば、第1及び第2の方向の少なくとも一方に交差する、又は、第1及び第2の方向の少なくとも一方とは逆向きの)第3の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMとが形成される。例えば、第1の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMと、第2の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMと、第3の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMと、第1から第3の方向とは異なる(例えば、第1から第3の方向の少なくとも一方に交差する、又は、第1から第3の方向の少なくとも一方とは逆向きの)第4の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMとが形成される。
【0085】
第1の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMは、ワーク造形面MSWに沿って第1の方向(或いは、ヘッド座標系Chでの第1の方向に対応する、ステージ座標系Csでの第5の方向)に沿って延びる線状のテストマークTMとなる。第2の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMは、ワーク造形面MSWに沿って第2の方向(或いは、ヘッド座標系Chでの第2の方向に対応する、ステージ座標系Csでの第6の方向)に沿って延びる線状のテストマークTMとなる。第3の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMは、ワーク造形面MSWに沿って第3の方向(或いは、ヘッド座標系Chでの第3の方向に対応する、ステージ座標系Csでの第7の方向)に沿って延びる線状のテストマークTMとなる。第4の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMは、ワーク造形面MSWに沿って第4の方向(或いは、ヘッド座標系Chでの第4の方向に対応する、ステージ座標系Csでの第8の方向)に沿って延びる線状のテストマークTMとなる。このため、第1変形例では、ワーク造形面MSWに沿った延伸方向が異なる複数のテストマークTMが形成されるとも言える。尚、複数のテストマークTMの延伸方向はワーク造形面MSWに沿っていなくてもよい。
【0086】
一例として、図11は、テストマークTM(+X)と、テストマークTM(-X)と、テストマークTM(+Y)と、テストマークTM(-Y)とが形成される例を示している。テストマークTM(+X)は、ヘッド座標系ChのX軸に沿って且つヘッド座標系Chの+X側に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMである。テストマークTM(-X)は、ヘッド座標系ChのX軸に沿って且つヘッド座標系Chの-X側に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMである。テストマークTM(+Y)は、ヘッド座標系ChのY軸に沿って且つヘッド座標系Chの+Y側に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMである。テストマークTM(-Y)は、ヘッド座標系ChのY軸に沿って且つヘッド座標系Chの-Y側に向かって移動する造形ヘッド11によって形成されるテストマークTMである。以下の説明では、説明の便宜上、図11に示す4種類のテストマークTM(つまり、テストマークTM(+X)、テストマークTM(-X)、テストマークTM(+Y)及びテストマークTM(-Y))を形成するヘッド移動動作について説明する。但し、ヘッド移動動作において、図11に示す4種類のテストマークTMとは異なる数の、異なる形状の及び/又は異なる方向に延びるテストマークTMが形成されてもよい。
【0087】
再び図8において、指定マーク領域134dを指定した後、制御装置15は、ヘッド座標系Ch内において、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTM(+X)を形成し始めるときの造形ヘッド11の位置Chfm(+X)を特定する(ステップS3221)。尚、ステップS3221における位置Chfm(+X)を特定する方法は、上述した図6のステップS222における位置Chfmを特定する方法と同一であってもよい。つまり、制御装置15は、ヘッド座標系Chとステージ座標系Csとの間の関係が理想的な関係にあるものと仮定することで、指定マーク領域134d内でテストマークTM(+X)を形成し始める位置Csfm(+X)に基づいて、テストマークTM(+X)を形成し始めるときの造形ヘッド11の位置Chfm(+X)を特定してもよい。後述するステップS3222における位置Chfm(-X)を特定する方法、ステップS3223における位置Chfm(+Y)を特定する方法及びステップS3224における位置Chfm(-Y)を特定する方法についても同様である。
【0088】
その後、制御装置15は、ステップS3221で特定した位置Chfm(+X)に造形ヘッド11を移動させるようにヘッド駆動系12を制御する(ステップS3231)。その後、造形ヘッド11が位置Chfm(+X)に到達した後に、造形システム1は、制御装置15の制御下で、ヘッド座標系ChのX軸に沿って且つヘッド座標系Chの+X側に向かって移造形ヘッド11を移動させながら、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTM(+X)を形成する(ステップS3241)。
【0089】
更に、図8に示すように、テストマークTM(+X)を形成するための処理に相前後して、制御装置15は、ヘッド座標系Ch内において、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTM(-X)を形成し始めるときの造形ヘッド11の位置Chfm(-X)を特定する(ステップS3222)。その後、制御装置15は、ステップS3222で特定した位置Chfm(-X)に造形ヘッド11を移動させるようにヘッド駆動系12を制御する(ステップS3232)。その後、造形ヘッド11が位置Chfm(-X)に到達した後に、造形システム1は、制御装置15の制御下で、ヘッド座標系ChのX軸に沿って且つヘッド座標系Chの-X側に向かって造形ヘッド11を移動させながら、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTM(-X)を形成する(ステップS3242)。
【0090】
更に、図9に示すように、テストマークTM(+X)及びテストマークTM(-X)の少なくとも一方を形成するための処理に相前後して、制御装置15は、ヘッド座標系Ch内において、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTM(+Y)を形成し始めるときの造形ヘッド11の位置Chfm(+Y)を特定する(ステップS3223)。その後、制御装置15は、ステップS3223で特定した位置Chfm(+Y)に造形ヘッド11を移動させるようにヘッド駆動系12を制御する(ステップS3233)。その後、造形ヘッド11が位置Chfm(+Y)に到達した後に、造形システム1は、制御装置15の制御下で、ヘッド座標系ChのY軸に沿って且つヘッド座標系Chの+Y側に向かって造形ヘッド11を移動させながら、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTM(+Y)を形成する(ステップS3243)。
【0091】
更に、図9に示すように、テストマークTM(+X)、テストマークTM(-X)及びテストマークTM(+Y)の少なくとも一方を形成するための処理に相前後して、制御装置15は、ヘッド座標系Ch内において、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTM(-Y)を形成し始めるときの造形ヘッド11の位置Chfm(-Y)を特定する(ステップS3224)。その後、制御装置15は、ステップS3224で特定した位置Chfm(-Y)に造形ヘッド11を移動させるようにヘッド駆動系12を制御する(ステップS3234)。その後、造形ヘッド11が位置Chfm(-Y)に到達した後に、造形システム1は、制御装置15の制御下で、ヘッド座標系ChのY軸に沿って且つヘッド座標系Chの-Y側に向かって造形ヘッド11を移動させながら、指定マーク領域134dに配置されたマーク部材FMにテストマークTM(-Y)を形成する(ステップS3244)。
【0092】
その後、図10に示すように、計測装置14は、ステージ13上の物体(具体的には、4種類のテストマークTM及びワークWを含む計測対象物)の状態を計測する(ステップS331)。計測装置14の計測結果(つまり、4種類のテストマークTM及びワークWを含む計測対象物の状態に関する情報)は、制御装置15に出力される。
【0093】
その後、制御装置15は、計測装置14の計測結果に基づいて、ステージ座標系Cs内において、形成された4種類のテストマークTMの位置Cstmを特定する(ステップS332)。特に、制御装置15は、各テストマークTMの端部(特に、各テストマークTMのうち最初に形成された部分に相当する端部)の位置を、位置Cstmとして特定する。尚、制御装置15は、各テストマークTMの重心位置或いは中心位置を、位置Cstmとして特定してもよい。
【0094】
具体的には、図11に示すように、テストマークTM(+X)は、テストマークTM(+X)の-X側の端部から+X側の端部に向かって造形物を付加していく付加加工が行われることで形成される。このため、制御装置15は、テストマークTM(+X)の-X側の端部の位置を、位置Cstm(+X)として特定する。同様に、テストマークTM(-X)は、テストマークTM(-X)の+X側の端部から-X側の端部に向かって造形物を付加していく付加加工が行われることで形成される。このため、制御装置15は、テストマークTM(-X)の+X側の端部の位置を、位置Cstm(-X)として特定する。同様に、テストマークTM(+Y)は、テストマークTM(+Y)の-Y側の端部から+Y側の端部に向かって造形物を付加していく付加加工が行われることで形成される。このため、制御装置15は、テストマークTM(+Y)の-Y側の端部の位置を、位置Cstm(+Y)として特定する。同様に、テストマークTM(-Y)は、テストマークTM(-Y)の+Y側の端部から-Y側の端部に向かって造形物を付加していく付加加工が行われることで形成される。このため、制御装置15は、テストマークTM(-Y)の+Y側の端部の位置を、位置Cstm(-Y)として特定する。
【0095】
更に、制御装置15は、計測装置14の計測結果に基づいて、ステージ座標系Cs内において、ワーク造形面MSW上の造形を開始するべき造形開始位置Cs_startを特定する(ステップS332)。尚、ステップS332における造形開始位置Cs_startを特定する方法は、上述した図6のステップS232における造形開始位置Cs_startを特定する方法と同一であってもよい。
【0096】
その後、制御装置15は、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる(ステップS3411からステップS3414)。第1変形例では特に、制御装置15は、ワークWに対する付加加工の開始に伴って造形ヘッド11が移動開始する際の造形ヘッド11の移動方向と同じ方向に向かって移動した造形ヘッド11によって形成されたテストマークTMの位置Cstmに基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる。例えば、付加加工の開始に伴って造形ヘッド11がX軸に沿って且つ+X側に向かって移動開始する場合には、制御装置15は、テストマークTM(+X)の位置Cstm(+X)に基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる。例えば、付加加工の開始に伴って造形ヘッド11がX軸に沿って且つ-X側に向かって移動開始する場合には、制御装置15は、テストマークTM(-X)の位置Cstm(-X)に基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる。例えば、付加加工の開始に伴って造形ヘッド11がX軸に沿って且つ+Y側に向かって移動開始する場合には、制御装置15は、テストマークTM(+Y)の位置Cstm(+Y)に基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる。例えば、付加加工の開始に伴って造形ヘッド11がX軸に沿って且つ-Y側に向かって移動開始する場合には、制御装置15は、テストマークTM(-Y)の位置Cstm(-Y)に基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる。
【0097】
このように造形ヘッド11を移動させるために、制御装置15はまず、付加加工の開始に伴って造形ヘッド11がどの方向に向かって移動開始するかを判定する(ステップS35)。制御装置15は、付加加工の開始に伴って造形ヘッド11が移動開始する際の造形ヘッド11の移動方向がどの方向であるかを判定する(ステップS35)。制御装置15は、造形開始位置Ch_startに位置している造形ヘッド11が、付加加工の開始に伴ってどの方向に向かって移動開始するかを判定する(ステップS35)。具体的には、制御装置15は、計測装置14の計測結果から、ステージ座標系Cs内でのワークWの位置を特定することができる。更に、制御装置15は、形成するべき3次元構造物STの3次元モデルデータに基づいて、ワークW上にどのように3次元構造物STを形成するかを特定することができる。ワークW上にどのように3次元構造物STを形成するかが特定されると、3次元構造物STを形成するための造形ヘッド11の移動軌跡(例えば、1層目の構造層SL#1を形成するための造形ヘッド11の移動軌跡)が特定できる。造形ヘッド11の移動軌跡が特定できると、ワークWに対して付加加工を開始する際の造形ヘッド11の移動方向も特定できる。
【0098】
ステップS35において、造形ヘッド11がX軸に沿って且つ+X側に向かって移動開始すると判定された場合には、制御装置15は、ステップS332で特定したテストマークTM(+X)の位置Cstm(+X)、当該テストマークTM(+X)を形成したときの造形ヘッド11の位置Chfm(+X)(つまり、ステップS3221で特定した造形ヘッド11の位置Chfm(+X))、及び、ステップS332で特定した造形開始位置Cs_startに基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる(ステップS3411)。尚、ステップS3411におけるテストマークTM(+X)の位置Cstm(+X)、造形ヘッド11の位置Chfm(+X)、及び、造形開始位置Cs_startに基づいて造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる動作は、上述した図6のステップS241におけるテストマークTMの位置Cstm、造形ヘッド11の位置Chfm、及び、造形開始位置Cs_startに基づいて造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる動作と同一であってもよい。このため、その詳細な説明は省略するが、以下その概要について簡単に説明する。例えば、図12に示すように、制御装置15は、テストマークTM(+X)の位置Cstm(+X)=(Xstm(+X)、Ystm(+X)、Zstm(+X))から造形開始位置Cs_startへと移動する照射領域EAの移動量及び移動方向を特定する。その後、制御装置15は、変換行列Tを用いて、ステージ座標系Csにおいて特定した照射領域EAの移動量及び移動方向を、ヘッド座標系Chにおける造形ヘッド11の移動量及び移動方向に変換する。その後、制御装置15は、ヘッド座標系Chにおいて、位置Chfm(+X)に位置している造形ヘッド11を、変換によって得られた移動方向に向かって、変換によって得られた移動量だけ移動させる。その結果、造形ヘッド11は、造形開始位置Ch_startに位置することになる。
【0099】
ステップS35において、造形ヘッド11がX軸に沿って且つ-X側に向かって移動開始すると判定された場合には、制御装置15は、ステップS332で特定したテストマークTM(-X)の位置Cstm(-X)、当該テストマークTM(-X)を形成したときの造形ヘッド11の位置Chfm(-X)(つまり、ステップS3222で特定した造形ヘッド11の位置Chfm(-X))、及び、ステップS332で特定した造形開始位置Cs_startに基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる(ステップS3412)。ステップS3412におけるテストマークTM(-X)の位置Cstm(-X)、造形ヘッド11の位置Chfm(-X)、及び、造形開始位置Cs_startに基づいて造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる動作は、上述した図6のステップS241におけるテストマークTMの位置Cstm、造形ヘッド11の位置Chfm、及び、造形開始位置Cs_startに基づいて造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる動作と同一であってもよい。後述するステップS3413及びステップS3414においても同様である。
【0100】
ステップS35において、造形ヘッド11がY軸に沿って且つ+Y側に向かって移動開始すると判定された場合には、制御装置15は、ステップS332で特定したテストマークTM(+Y)の位置Cstm(+Y)、当該テストマークTM(+Y)を形成したときの造形ヘッド11の位置Chfm(+Y)(つまり、ステップS3223で特定した造形ヘッド11の位置Chfm(+Y))、及び、ステップS332で特定した造形開始位置Cs_startに基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる(ステップS3413)。
【0101】
ステップS35において、造形ヘッド11がY軸に沿って且つ-Y側に向かって移動開始すると判定された場合には、制御装置15は、ステップS332で特定したテストマークTM(-Y)の位置Cstm(-Y)、当該テストマークTM(-Y)を形成したときの造形ヘッド11の位置Chfm(-Y)(つまり、ステップS3224で特定した造形ヘッド11の位置Chfm(-Y))、及び、ステップS332で特定した造形開始位置Cs_startに基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる(ステップS3414)。
【0102】
このように、第1変形例においても、上述したように、制御装置15は、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに適切に移動させることができる。つまり、制御装置15は、移動後の造形ヘッド11のヘッド座標系Ch内での位置が造形開始位置Ch_startに一致するように(或いは、近づくように)、造形ヘッド11を移動させることができる。言い換えれば、制御装置15は、移動後の造形ヘッド11からの光ELが照射される照射領域EAが造形開始位置Cs_startに設定されるように、造形ヘッド11を移動させることができる。
【0103】
第1変形例では更に、造形ヘッド11の移動方向の違いに起因してワークW上での造形物の形成位置が変わってしまう可能性がある場合であっても、ワークW上の適切な位置に造形物を形成することができるように、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに適切に移動させることができる。具体的には、ヘッド駆動系12の特性によっては、ヘッド座標系Chでの造形ヘッド11の位置と当該造形ヘッド11によって形成される造形物のステージ座標系Csでの位置との間の相対的な位置関係が、造形ヘッド11の移動方向によって変動する可能性がある。例えば、造形ヘッド11が第1の方向に向かっている場合におけるヘッド座標系Chでの造形ヘッド11の位置と当該造形ヘッド11によって形成される造形物のステージ座標系Csでの位置との間の相対的な位置関係が、造形ヘッド11が第2の方向に向かっている場合におけるヘッド座標系Chでの造形ヘッド11の位置と当該造形ヘッド11によって形成される造形物のステージ座標系Csでの位置との間の相対的な位置関係と異なるものとなる可能性がある。この場合、ヘッド座標系Ch内のある位置から第1の方向に向かって移動開始した造形ヘッド11が形成する造形物のステージ座標系Csでの位置(特に、造形物のうちの造形開始部分に相当する端部のステージ座標系Csでの位置)が、ヘッド座標系Ch内の同じ位置から第2の方向に向かって移動開始した造形ヘッド11が形成する造形物のステージ座標系Csでの位置と一致しなくなる可能性がある。その結果、造形物の集合体である3次元構造物STの形状精度が悪化する可能性がある。しかるに、第1変形例では、制御装置15は、異なる複数の方向に向かって移動する造形ヘッド11によって夫々形成された複数のテストマークTMの位置に基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる。このため、ヘッド座標系Chでの造形ヘッド11の位置と当該造形ヘッド11によって形成される造形物のステージ座標系Csでの位置との間の相対的な位置関係が造形ヘッド11の移動方向によって変動する場合であっても、造形ヘッド11は、ステージ座標系Csの造形開始位置Cs_startから適切な造形物を形成することができる。このため、3次元構造物STの形状精度の悪化が適切に抑制される。
【0104】
尚、第1変形例において、ワークWに対する付加加工の開始に伴って造形ヘッド11が移動開始する際の造形ヘッド11の移動方向と異なる方向に向かって移動した造形ヘッド11によって形成されたテストマークTMの位置Cstmを用いてもよい。例えば、付加加工の開始に伴って造形ヘッド11がX軸及びY軸に対して45度の方向に沿って且つ+X側及び+Y側に向かって移動開始する場合には、制御装置15は、テストマークTM(+X)の位置Cstm(+X)及びテストマークTM(+Y)の位置Cstm(+Y)に基づいて、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させてもよい。付加加工の開始に伴って造形ヘッド11がX軸及びY軸に対して45度の方向に沿って且つ+X側及び+Y側に向かって移動開始する場合には、テストマークTM(+X)の位置Cstm(+X)及びテストマークTM(+Y)の位置Cstm(+Y)の平均値を用いてもよく、45度でない場合には、テストマークTM(+X)の位置Cstm(+X)及びテストマークTM(+Y)の位置Cstm(+Y)の加重平均を用いてもよい。このように、複数のテストマークTMの位置Cstmの統計量を用いてもよい。
【0105】
尚、上述した説明では、複数種類のテストマークTMが、指定マーク領域134dに配置された同じマーク部材134に形成されている。しかしながら、複数種類のテストマークTMの一部が、第1の指定マーク領域134d-1に配置された第1のマーク部材FM-1に形成され、複数種類のテストマークTMの他の一部が、第1の指定マーク領域134d-1とは異なる第2の指定マーク領域134d-2に配置された第2のマーク部材FM-2に形成されていてもよい。
【0106】
また、上述した説明では、各テストマークTM(+X)、TM(-X)、TM(+Y)、TM(-Y)の形状が一直線状であったが、テストマークの形状は一直線状でなくてもよく、例えば曲線状や鉤状であってもよい。
【0107】
(3-2)第2変形例
造形動作が行われている造形期間中は、ワークWの表面(或いは、ワークW上に形成された構造層SLの表面)に相当する造形面MSに対して光ELが照射される。このため、造形面CSを介して(更には、構造層SLを介して)光ELからワークWに対して熱が伝達される可能性がある。ワークWに熱が伝達されると、ワークWが熱膨張する可能性がある。一方で、造形動作が終了すると、造形面MSに光ELが照射されなくなるため、光ELからワークWに対して熱が伝達されなくなる。このため、熱膨張していたワークWが収縮する可能性がある。
【0108】
このようにワークWが熱膨張及び収縮する可能性があることを考慮すれば、ワークWが熱膨張している状態でワークW上に形成された造形物(或いは、構造層SL又は3次元構造物ST)は、ワークWの収縮に伴って収縮する可能性がある。その結果、3次元構造物STの形状精度が悪化する可能性がある。
【0109】
そこで、第2変形例では、造形システム1は、造形期間中のワークWの形状に基づいて、付加加工によって形成するべき造形物のサイズを制御する。具体的には、計測装置14は、造形動作が開始される前に、ワークWの形状を計測する。その結果、制御装置15は、ワークWの本来の形状(つまり、設計上の形状)に関する第1形状情報を計測装置14から取得することができる。或いは、制御装置15は、ワークWの設計データを取得することで、ワークWの本来の形状に関する第1形状情報を取得してもよい。更に、計測装置14は、造形期間中の所望のタイミングでワークWの形状を計測する。その結果、制御装置15は、ワークWの現在の形状に関する第2形状情報を計測装置14から取得することができる。その後、制御装置15は、取得した第1及び第2形状情報に基づいて、ワークWの本来の形状に対してワークWの実際の形状が異なっているか否かを判定する。その結果、ワークWの本来の形状に対してワークWの実際の形状が異なっていると判定された場合には、光ELから伝達される熱によってワークWが変形している(典型的には、熱膨張している)と推定される。
【0110】
ワークWが熱膨張している場合には、制御装置15は、ワークWの本来の形状に対するワークWの実際の形状のずれ量に基づいて、ワークWに形成する造形物のサイズを制御しながら造形物を形成していく。ここで、ワークWの熱膨張に起因したワークWの本来の形状に対するワークWの実際の形状のずれは、ワークWの本来の形状に対してワークWの実際の形状が拡大又は縮小しているというスケーリングに関するずれを含む。具体的には、例えば、図13(a)は、ワークWが熱膨張していない場合にワークWに形成される造形物を示す平面図である。一方で、図13(b)は、ワークWが熱膨張している場合にワークWに形成される造形物を示す平面図である。図13(a)及び図13(b)に示すように、熱膨張しているワークWは、本来の形状を有する(つまり、熱膨張していない)ワークWに対して、拡大した形状を有している。この場合、制御装置15は、ワークWが熱膨張している場合は、ワークWが熱膨張していない場合と比較して、ワークWに形成される造形物のサイズもまた大きくなるように造形物のサイズを制御しながら、造形物を形成してもよい。例えば、制御装置15は、ワークWの本来の形状とワークWの実際の形状との関係を規定する相関情報を特定し、当該相関情報に基づいて造形物のサイズを制御してもよい。このような相関情報の一例として、本来のワークW(例えば、熱膨張していないワークW)のある位置をステージ座標系Csで示す座標と実際のワークW(例えば、熱膨張しているワークW)の同じ位置をステージ座標系Csで示す座標との関係を規定する行列(例えば、スケーリングに関する行列)があげられる。
【0111】
制御装置15は、ワークWが熱膨張している場合におけるワークWのサイズに対する造形物のサイズの比率と、ワークWが熱膨張していない場合におけるワークWのサイズに対する造形物のサイズの比率との差分が小さくなるように、造形物のサイズを制御してもよい。特に、制御装置15は、ワークWが熱膨張している場合におけるワークWのサイズに対する造形物のサイズの比率と、ワークWが熱膨張していない場合におけるワークWのサイズに対する造形物のサイズの比率とが一致するように、造形物のサイズを制御してもよい。
【0112】
このような第2変形例によれば、ワークWが熱膨張している状態でワークW上に形成された造形物(或いは、構造層SL又は3次元構造物ST)がワークWの収縮に伴って収縮したとしても、収縮した造形物のサイズが、そもそも熱膨張していない(それゆえに、収縮もしていない)ワークW上に形成された造形物のサイズ(つまり、本来形成するべきであった造形物のサイズ)から大きくずれてしまうことはない。場合によっては、収縮した造形物のサイズは、そもそも熱膨張していないワークW上に形成された造形物のサイズ(つまり、本来形成するべきであった造形物のサイズ)と一致し得る。このため、3次元構造物STの形状精度の悪化が適切に抑制される。
【0113】
尚、上述した説明では、ワークWの現在の形状を計測し且つワークWの現在の形状に関する第2形状情報を取得する動作は、造形動作が行われる造形期間中に行われている。しかしながら、ワークWの現在の形状を計測し且つワークWの現在の形状に関する第2形状情報を取得する動作は、造形動作が開始される前に行われてもよい。というのも、造形動作が開始されていない(つまり、光ELが造形面MSに照射されていない)場合であっても、何らかの要因によってワークWが熱膨張している可能性があるからである。
【0114】
上述した説明では、ワークWの本来の形状に対するワークWの実際の形状のずれが、光ELから伝達される熱によって生ずる例について説明している。しかしながら、ワークWの本来の形状に対するワークWの実際の形状のずれは、光ELから伝達される熱とは異なる他の要因で生ずる可能性がある。この場合であっても、制御装置15は、ワークWの本来の形状に対するワークWの実際の形状のずれ量に基づいて、ワークWに形成する造形物のサイズを制御しながら造形物を形成してもよい。その結果、3次元構造物STの形状精度の悪化が抑制される。
【0115】
上述した説明では、ワークWの熱膨張に起因したワークWの本来の形状に対するワークWの実際の形状のずれは、ワークWの本来の形状に対してワークWの実際の形状が拡大又は縮小しているというスケーリングに関するずれを含んでいる。しかしながら、ワークWの熱膨張に起因したワークWの本来の形状に対するワークWの実際の形状のずれは、本来のワークWに対して実際のワークWが平行移動している(例えば、XY平面に沿って平行移動している)という平行移動に関するずれを含んでいてもよい。ワークWの熱膨張に起因したワークWの本来の形状に対するワークWの実際の形状のずれは、本来のワークWに対して実際のワークWが回転している(例えば、Z軸周りに回転している)という回転に関するずれを含んでいてもよい。この場合にも、制御装置15は、ワークWの本来の形状に対するワークWの実際の形状のずれ量に基づいて、3次元構造物STの形状精度の悪化を防ぐように(例えば、ずれが発生している状況で形成される3次元構造物STの形状とずれが発生していない状況で形成される3次元構造物STの形状との差分を小さくする又は一致させる)ように、ワークWに形成する造形物のサイズ(或いは、形成位置等のその他の任意の特性)を制御しながら造形物を形成していってよい。
【0116】
(3-3)第3変形例
続いて、第3変形例について説明する。第3変形例では、第3変形例における造形システム1cの構造の一部が、上述した造形システム1の構造とは異なる。以下、図14を参照しながら、第3変形例における造形システム1cの構造について説明する。尚、上述した造形システム1の構造と同一の構造については、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0117】
図14に示すように、造形システム1cは、造形ヘッド11に代えて造形ヘッド11cを備えているという点で、上述した造形システム1とは異なる。造形ヘッド11cは、照射系111及び材料ノズル112に加えて、材料ノズル112cを更に備えているという点で、上述した造形ヘッド11とは異なる。造形システム1cのその他の構造は、造形システム1のその他の構造と同一であってもよい。
【0118】
材料ノズル112cは、造形材料Mを供給する供給アウトレット(つまり、供給口)114cを有する。材料ノズル112cは、供給アウトレット114cから造形材料Mを供給(具体的には、噴射)する。材料ノズル112cは、造形材料Mの供給源である不図示の材料供給装置と、不図示のパイプ等の粉体伝送部材を介して物理的に接続されている。材料ノズル112cは、粉体伝送部材を介して材料供給装置から供給される造形材料Mを供給する。尚、図14において材料ノズル112cは、チューブ状に描かれているが、材料ノズル112cの形状は、この形状に限定されない。
【0119】
材料ノズル112cは、材料ノズル112cから下方(つまり、-Z側)に向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル112cの下方には、ステージ13が配置されている。ステージ13にワークWが搭載されている場合には、材料ノズル112cは、ワークWに向けて造形材料Mを供給する。
【0120】
材料ノズル112cは、照射系111が光ELを照射する照射領域EAに向けて造形材料Mを供給するように、照射系111に対して位置合わせされている。つまり、材料ノズル112cが造形材料Mを供給する領域としてワークW上に設定される供給領域MAcと照射領域EAとが一致する(或いは、少なくとも部分的に重複する)ように、材料ノズル112cと照射系111とが位置合わせされている。つまり、材料ノズル112cが造形材料Mを供給する領域としてワークW上に設定される供給領域MAcと、材料ノズル112が造形材料Mを供給する領域としてワークW上に設定される供給領域MAとが一致する(或いは、少なくとも部分的に重複する)。但し、材料ノズル112cが造形材料Mを供給する領域としてワークW上に設定される供給領域MAcが、材料ノズル112が造形材料Mを供給する領域としてワークW上に設定される供給領域MAと重複していなくてもよい。
【0121】
第3変形例では特に、材料ノズル112cから供給される造形材料Mの進行方向は、材料ノズル112から供給される造形材料Mの進行方向とは異なる。材料ノズル112cからの造形材料Mの供給方向は、材料ノズル112からの造形材料Mの供給方向とは異なる。つまり、第3変形例では、造形システム1cは、ワークW又はステージ13の上面131(特に、マーク領域134又はマーク部材FM)に対して、異なる複数の方向から造形材料Mを供給することができる。この場合、例えば、造形システム1cは、材料ノズル112から造形材料Mを供給しながらマーク部材FMに付加加工を行って、マーク部材FMに第1のテストマークTMを形成し、材料ノズル112cから造形材料Mを供給しながらマーク部材FMに付加加工を行って、マーク部材FMに第1のテストマークTMとは異なる第2のテストマークTMを形成してもよい。尚、材料ノズル112cから供給される造形材料Mの進行方向はZ軸に対して所定の角度(一例として鋭角)だけ傾いた方向であるが、真下(つまり、Z軸と一致する方向)であってもよい。
【0122】
尚、上述した説明では、造形システム1cは、照射系111及び材料ノズル112に加えて材料ノズル112cを備える単一の造形ヘッド11cを備えている。しかしながら、造形システム1cは、照射系111及び材料ノズル112を備える造形ヘッド11とは別個に、材料ノズル112cを備える造形ヘッド11c-1を備えていてもよい。この場合、ヘッド駆動系12は、造形ヘッド11とは別個独立に造形ヘッド11c-1を移動させてもよい。
【0123】
(3-4)第4変形例
続いて、第4変形例について説明する。第4変形例では、第4変形例における造形システム1dの構造の一部が、上述した造形システム1の構造とは異なる。以下、図15を参照しながら、第4変形例における造形システム1dの構造について説明する。尚、上述した造形システム1の構造と同一の構造については、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0124】
図15に示すように、造形システム1dは、造形ヘッド11に代えて造形ヘッド11dを備えているという点で、上述した造形システム1とは異なる。造形ヘッド11dは、照射系111及び材料ノズル112に加えて、照射系111dを更に備えているという点で、上述した造形ヘッド11とは異なる。造形システム1dのその他の構造は、造形システム1のその他の構造と同一であってもよい。
【0125】
照射系111dは、射出部113dから光ELを射出するための光学系(例えば、集光光学系)である。具体的には、照射系111dは、光ELを発する不図示の光源と、光ファイバ等の不図示の光伝送部材を介して光学的に接続されている。照射系111dは、光伝送部材を介して光源から伝搬してくる光ELを射出する。照射系111dは、照射系111dから下方(つまり、-Z側)に向けて光ELを照射する。照射系111dの下方には、ステージ13が配置されている。ステージ13にワークWが搭載されている場合には、照射系111dは、ワークWに向けて光ELを照射可能である。具体的には、照射系111dは、光ELが照射される(典型的には、集光される)領域としてワークW上に設定される所定形状の照射領域EAdに光ELを照射する。更に、照射系111dの状態は、制御装置15の制御下で、照射領域EAdに光ELを照射する状態と、照射領域EAdに光ELを照射しない状態との間で切替可能である。尚、照射系111dが光ELを照射する照射領域EAdは、照射系111が光ELを照射する照射領域EAと一致していてもよい。照射系111dが光ELを照射する照射領域EAdは、照射系111が光ELを照射する照射領域EAと少なくとも部分的に重複していてもよい。照射系111dが光ELを照射する照射領域EAdは、照射系111が光ELを照射する照射領域EAと重複していなくてもよい。
【0126】
第4変形例では特に、照射系111dから照射される光ELの進行方向は、照射系111から照射される光ELの進行方向とは異なる。照射系111dからの光ELの照射方向は、照射系111からの光ELの照射方向とは異なる。つまり、第4変形例では、造形システム1dは、ワークW又はステージ13の上面131(特に、マーク領域134又はマーク部材FM)に対して、異なる複数の方向から光ELを照射することができる。この場合、例えば、造形システム1dは、照射系111が照射する光ELでマーク部材FMに付加加工を行って、マーク部材FMに第1のテストマークTMを形成し、照射系111dが照射する光ELでマーク部材FMに付加加工を行って、マーク部材FMに第1のテストマークTMとは異なる第2のテストマークTMを形成してもよい。尚、材料ノズル112cから供給される造形材料Mの進行方向は真下(つまり、Z軸と一致する方向)であるが、Z軸に対して所定の角度(一例として鋭角)だけ傾いた方向であってもよい。
【0127】
尚、上述した説明では、造形システム1dは、照射系111及び材料ノズル112に加えて照射系111dを備える単一の造形ヘッド11dを備えている。しかしながら、造形システム1dは、照射系111及び材料ノズル112を備える造形ヘッド11とは別個に、照射系111dを備える造形ヘッド11d-1を備えていてもよい。この場合、ヘッド駆動系12は、造形ヘッド11とは別個独立に造形ヘッド11d-1を移動させてもよい。
【0128】
また、第4変形例においても、第3変形例と同様に、造形ヘッド11dは、材料ノズル112cを備えていてもよい。この場合、材料ノズル112は、照射系111が光ELを照射する照射領域EAに造形材料Mを供給し、材料ノズル112cは、照射系111dが光ELを照射する照射領域EAdに造形材料Mを供給してもよい。或いは、造形システム1dは、照射系111及び材料ノズル112を備える造形ヘッド11とは別個に、照射系111d及び材料ノズル112cを備える造形ヘッド11d-2を備えていてもよい。
【0129】
(3-5)その他の変形例
上述した説明では、マーク領域134にマーク部材FMが配置される。しかしながら、マーク領域134にマーク部材FMが配置されなくてもよい。この場合、造形システム1は、マーク部材FMではなく、マーク領域134にテストマークTMを形成してもよい。
【0130】
上述した説明では、造形システム1は、マーク領域134に配置されたマーク部材FMにテストマークTMを形成している。しかしながら、造形システム1は、マーク領域134とは異なる領域に配置されたマーク部材FMにテストマークTMを形成してもよい。例えば、造形システム1は、ステージ13の非保持領域133の任意の位置に配置されたマーク部材FMにテストマークTMを形成してもよい。造形システム1は、ステージ13の保持領域132の任意の位置に配置されたマーク部材FMにテストマークTMを形成してもよい。造形システム1は、ステージ13が保持するワークWの任意の位置に配置されたマーク部材FMにテストマークTMを形成してもよい。
【0131】
上述した説明では、造形システム1は、マーク部材FMにテストマークTMを形成している。しかしながら、造形システム1は、マーク部材FMとは異なる部材にテストマークTMを形成してもよい。例えば、造形システム1は、ステージ13の非保持領域133の任意の位置にテストマークTMを形成してもよい。例えば、造形システム1は、ステージ13の保持領域132の任意の位置にテストマークTMを形成してもよい。造形システム1は、ステージ13が保持するワークWの任意の位置にテストマークTMを形成してもよい。ステージ13によって保持されるワークWにテストマークTMを形成する場合、テストマークTMが形成される位置は、造形物が造形される領域と異なっていてもよい。
【0132】
上述した説明では、初期設定動作において、複数のマーク領域134に複数のマーク部材FMが夫々配置される。しかしながら、複数のマーク領域134のうちの一部にマーク部材FMが配置される一方で、複数のマーク領域134のうちの残りの一部にマーク部材FMが配置されなくてもよい。例えば、複数のマーク領域134のうち変換行列Tを算出するために必要な数のマーク領域134にマーク部材FMが配置される一方で、複数のマーク領域134のうちの残りにマーク部材FMが配置されなくてもよい。上述した例では、変換行列Tを算出するために、少なくとも3つのマーク領域134に夫々配置された少なくとも3つのマーク部材FMの夫々にテストマークTMが形成されている。この場合、ステージ13に4つ以上のマーク領域134が設定されている場合には、例えば、3つのマーク領域134に少なくとも3つのマーク部材FMが配置される一方で、残りの1つ以上のマーク領域134にマーク部材FMが配置されなくてもよい。
【0133】
上述した説明では、造形システム1は、ワークWへの付加加工を行うための造形動作を開始する前に、位置合わせ動作を行っている。しかしながら、造形システム1は、その他のタイミングで位置合わせ動作を行ってもよい。例えば、造形システム1は、造形動作を完了した後に(つまり、3次元構造物STを形成した後に)、次に行う造形動作に備えた位置合わせ動作(特に、初期設定動作)を行ってもよい。例えば、造形システム1は、造形動作の途中で造形動作を一時的に中断した上で、位置合わせ動作を行ってもよい。この場合、造形システム1は、位置合わせ動作が完了した後に、中断していた造形動作を再開する。一例として、例えば、造形システム1は、ある構造層SLが形成されるたびに、次の構造層SLを形成する前に造形動作を一時的に中断した上で、位置合わせ動作を行ってもよい。
【0134】
上述した説明では、ヘッド移動動作は、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させるための動作である。しかしながら、ヘッド移動動作は、造形ヘッド11をヘッド座標系Ch内の任意の位置Ch_anyに移動させるための動作を含んでいてもよい。制御装置15は、造形ヘッド11を造形開始位置Ch_startに移動させる場合と同様の動作を行うことで、造形ヘッド11をヘッド座標系Ch内の任意の位置Ch_anyに移動させてもよい。つまり、制御装置15は、上述した造形開始位置Cs_startに代えてステージ座標系Cs内の任意の位置Cs_anyを特定し、テストマークの位置Cstm、造形ヘッド11の位置Chfm、及び、位置Cs_anyに基づいて、ヘッド座標系Chにおいて、造形ヘッド11を位置Cs_anyに対応する位置Ch_anyに移動させてもよい。
【0135】
上述した説明では、造形システム1は、造形ヘッド11を移動させるヘッド駆動系12を備えている。しかしながら、造形システム1は、ヘッド駆動系12に加えて又は代えて、ステージ13を移動させるステージ駆動系を備えていてもよい。ステージ駆動系は、ステージ13をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つの方向に移動させてもよい。ステージ駆動系によるステージ13の移動により、ヘッド駆動系12による造形ヘッド11の移動と同様に、ステージ13と造形ヘッド11との間の相対的な位置関係(つまり、ワークWと照射領域EAとの間の相対的な位置関係)が変更される。
【0136】
上述した説明では、造形システム1は、造形ヘッド11を移動させることで、造形面MSに対して照射領域EAを移動させている。しかしながら、造形システム1は、造形ヘッド11を移動させることに加えて又は代えて、光ELを偏向させることで造形面MSに対して照射領域EAを移動させてもよい。この場合、照射系111は、例えば、光ELを偏向可能な光学系(例えば、ガルバノミラー等)を備えていてもよい。
【0137】
上述した説明では、位置合わせ動作は、ワークWと造形ヘッド11との位置合わせを行うようにワークWに対して(つまり、ステージ13に対して)造形ヘッド11を移動させる動作である。ここで、ワークWと造形ヘッド11との位置合わせを行う目的は、造形ヘッド11の移動により照射領域EAの位置を変更することで、ワークWの所望位置(例えば、造形開始位置Cs_start)に照射領域EAを設定することである。そうすると、位置合わせ動作は、実質的には、ワークWと照射領域EAとの位置合わせを行うために、ワークWに対して(つまり、ステージ13に対して)照射領域EAを移動させる動作と等価である。この場合、造形システム1は、位置合わせ動作を行うために、ヘッド駆動系12を用いて造形ヘッド11を移動させることに加えて又は代えて、上述したステージ駆動系を用いてステージ13を移動させることで、ワークWに対して(つまり、ステージ13に対して)照射領域EAを移動させてもよい。例えば、造形システム1は、造形ヘッド11の位置を固定したまま又は造形ヘッド11の移動に合わせて、ステージ座標系Cs内で照射領域EAが所望の位置に設定されるように、ステージ座標系Cs内でステージ13を移動させてもよい。或いは、造形システム1は、位置合わせ動作を行うために、造形ヘッド11及びステージ13の少なくとも一方を移動させることに加えて又は代えて、上述した光ELを偏向可能な光学系(例えば、ガルバノミラー等)を用いて照射領域EAを移動させることで、ワークWに対して(つまり、ステージ13に対して)照射領域EAを移動させてもよい。例えば、造形システム1は、造形ヘッド11の位置を固定したまま又は造形ヘッド11の移動に合わせて、ステージ座標系Cs内で照射領域EAが所望の位置に設定されるように(図7参照)、ヘッド座標系Ch内で照射領域EAを移動させてもよい。いずれの場合であっても、上述した位置合わせ動作を行うことで、ワークWの所望位置(例えば、造形開始位置Cs_start)に照射領域EAが設定可能となることに変わりはない。
【0138】
上述した説明では、造形システム1は、造形材料Mに光ELを照射することで、造形材料Mを溶融させている。しかしながら、造形システム1は、任意のエネルギビームを造形材料Mに照射することで、造形材料Mを溶融させてもよい。この場合、造形システム1は、照射系111に加えて又は代えて、任意のエネルギビームを照射可能なビーム照射装置を備えていてもよい。任意のエネルギビームは、限定されないが、電子ビーム、イオンビーム等の荷電粒子ビーム又は電磁波を含む。
【0139】
上述した説明では、造形システム1は、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成可能である。しかしながら、造形システム1は、3次元構造物STを形成可能なその他の方式により造形材料Mから3次元構造物STを形成してもよい。その他の方式として、例えば、粉末焼結積層造形法(SLS:Selective Laser Sintering)等の粉末床溶融結合法(Powder Bed Fusion)、結合材噴射法(Binder Jetting)又は、レーザメタルフュージョン法(LMF:Laser Metal Fusion)があげられる。
【0140】
上述した説明では、造形システム1は、照射系111が光ELを照射する照射領域EAに向けて材料ノズル112から造形材料Mを供給することで、3次元構造物STを形成している。しかしながら、造形システム1は、照射系111から光ELを照射することなく、材料ノズル112から造形材料Mを供給することで3次元構造物STを形成してもよい。例えば、造形システム1は、材料ノズル112から、造形面MSに対して造形材料Mを吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。例えば、造形システム1は、材料ノズル112から造形面MSに対して造形材料Mを含む気体を超高速で吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。例えば、造形システム1は、材料ノズル112から造形面MSに対して加熱した造形材料Mを吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。このように照射系111から光ELを照射することなく3次元構造物STを形成する場合には、造形システム1(特に、造形ヘッド11)は、照射系111を備えていなくてもよい。
【0141】
上述した説明では、造形システム1は、付加加工を行うことが可能である。しかしながら、造形システム1は除去加工を行うものであってもよい。このとき、テストマークTMは除去加工によって形成されていてもよい。
【0142】
(4)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
加工対象物を支持可能な支持装置と、
前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射し、加工を行う加工装置と、
前記支持装置と前記エネルギビームの照射領域との相対的な位置関係を変更する位置変更装置と、
前記加工装置にて前記支持装置及び前記加工対象物の少なくとも一方に加工を行って形成された基準の位置情報に基づいて前記位置変更装置を制御する制御装置と
を備える加工システム。
[付記2]
前記加工対象物と前記基準との相対的な位置関係を計測可能な計測装置を更に備える
付記1に記載の加工システム。
[付記3]
前記加工対象物の一部と、前記一部とは異なる箇所に形成された前記基準との相対的な位置関係を計測可能な計測装置を更に備える
付記1又は2に記載の加工システム。
[付記4]
前記制御装置は、前記支持装置および前記加工対象物の少なくとも一方に、第1方向に伸びた第1基準と、前記第1方向と交差する第2方向に伸びた第2基準とを形成するように、前記加工装置を制御する
付記1から3のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記5]
前記制御装置は、前記照射領域と前記基準との位置関係を算出し、算出結果をもちいて前記位置変更装置を制御する
付記1から4のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記6]
加工対象物を支持可能な支持装置と、
前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射し、前記エネルギビームが照射される領域に材料を供給して付加加工を行う加工装置と、
前記支持装置と前記加工装置からの前記エネルギビームの照射領域との位置関係を変更する位置変更装置と
を備え、
前記支持装置のうちの一部である第1領域及び前記加工対象物の一部である第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って基準造形物を形成し、
前記基準造形物に関する情報を用いて前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する
加工システム。
[付記7]
前記基準造形物に関する前記情報を用いて、前記加工対象物の所望部分に付加加工が行われるように前記位置変更装置を制御する
付記6に記載の加工システム。
[付記8]
前記基準造形物に関する前記情報を用いて、前記加工対象物の所望部分から付加加工が開始されるように前記位置変更装置を制御する
付記6又は7に記載の加工システム。
[付記9]
前記加工装置が前記加工対象物に対して付加加工を開始する前に、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って前記基準造形物を形成するように前記加工装置及び前記位置変更装置を制御し、
前記基準造形物を形成した後に、前記基準造形物に関する前記情報を用いて前記位置変更装置を制御し、
前記基準造形物に関する前記情報を用いて前記位置変更装置を制御した後に、前記加工対象物に対して付加加工を開始するように前記加工装置を制御する
付記6から8のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記10]
前記加工装置が前記加工対象物に対して付加加工を開始する前に、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って前記基準造形物を形成するように前記加工装置及び前記位置変更装置を制御し、
前記基準造形物を形成した後に、前記加工対象物のうち付加加工を開始するべき加工開始部分に前記照射領域が設定されるように、前記基準造形物に関する前記情報を用いて前記位置変更装置を制御し、
前記加工開始部分に前記照射領域が設定された後に、前記加工対象物に対して付加加工を開始するように前記加工装置を制御する
付記6から9のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記11]
前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に前記基準造形物を形成したときの前記支持装置に対する前記照射領域の位置を基点に、前記基準造形物に関する前記情報に基づいて算出される移動方向に向かって前記支持装置に対して前記照射領域が移動するように、前記位置変更装置を制御する
付記6から10のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記12]
前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に前記基準造形物を形成したときの前記支持装置に対する前記照射領域の位置を基点に、前記基準造形物に関する前記情報に基づいて算出される移動距離だけ前記支持装置に対する前記照射領域の位置が変更されるように、前記位置変更装置を制御する
付記6から11のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記13]
前記位置変更装置は、前記支持装置に対して前記加工装置を移動させて前記支持装置と前記照射領域との位置関係を変更する
付記6から12のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記14]
前記加工装置が前記加工対象物に対して付加加工を開始する前に、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って前記基準造形物を形成するように前記加工装置及び前記位置変更装置を制御し、
前記基準造形物を形成した後に、前記加工対象物のうち付加加工を開始するべき加工開始部分に付加加工を行うことが可能な加工開始位置に前記加工装置が位置するように前記基準造形物に関する前記情報を用いて前記位置変更装置を制御し、
前記加工開始位置に前記加工装置が位置した後に、前記加工対象物に対して付加加工を開始するように前記加工装置を制御する
付記13に記載の加工システム。
[付記15]
前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に前記基準造形物を形成したときの前記支持装置に対する前記加工装置の位置を基点に、前記基準造形物に関する前記情報に基づいて算出される移動方向に向かって前記支持装置に対して前記加工装置が移動するように、前記位置変更装置を制御する
付記13又は14に記載の加工システム。
[付記16]
前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に前記基準造形物を形成したときの前記支持装置に対する前記加工装置の位置を基点に、前記基準造形物に関する前記情報に基づいて算出される移動距離だけ前記支持装置に対する前記加工装置の位置が変更されるように、前記位置変更装置を制御する
付記13から15のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記17]
前記基準造形物に関する前記情報は、前記基準造形物の状態に関する情報を含む
付記6から16のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記18]
前記基準造形物に関する前記情報は、前記加工対象物と前記基準造形物との相対的な位置関係に関する第1位置情報を含む
付記6から17のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記19]
前記第1位置情報は、前記加工対象物のうち付加加工を開始するべき加工開始部分と前記基準造形物との相対的な位置関係に関する情報を含む、
付記18に記載の加工システム。
[付記20]
前記第1位置情報は、第1方向に沿った前記加工対象物と前記基準造形物との相対的な位置、前記第1方向に交差する第2方向に沿った前記加工対象物と前記基準造形物との相対的な位置、並びに、前記第1及び第2方向に交差する第3方向に沿った前記加工対象物と前記基準造形物との相対的な位置の少なくとも一つに関する情報を含む
付記18又は19に記載の加工システム。
[付記21]
前記基準造形物に関する前記情報に加えて、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に前記基準造形物を形成したときの前記支持装置と前記加工装置との相対的な位置関係に関する第2位置情報を用いて、前記位置変更装置を制御する
付記6から20のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記22]
前記支持装置と前記加工装置との位置関係を第4方向に沿って変更しながら前記第1領域に付加加工を行って、前記基準造形物としての第1造形物を形成するように、前記加工装置及び前記位置変更装置を制御する
付記6から21のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記23]
前記基準造形物に関する前記情報は、前記第1造形物に関する第1情報を含む
付記22に記載の加工システム。
[付記24]
前記加工装置が前記支持装置に対して前記第4方向に沿って移動しながら前記加工対象物に対して付加加工を行うように付加加工を開始する場合に、前記第1情報を用いて前記位置変更装置を制御する
付記23に記載の加工システム。
[付記25]
前記第1情報を用いて、前記加工対象物のうち付加加工を開始するべき加工開始部分に付加加工を行うことが可能な加工開始位置に前記加工装置が位置するように前記位置変更装置を制御し、その後、前記支持装置に対して前記加工装置が前記第4方向に沿って移動しながら行う付加加工を前記加工対象物に対して開始するように前記加工装置を制御する
付記23又は24に記載の加工システム。
[付記26]
前記支持装置に対して前記加工装置が前記第4方向とは異なる第5方向に沿って移動しながら前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って、前記基準造形物としての第2造形物を形成するように、前記加工装置及び前記位置変更装置を制御する
付記22から25のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記27]
前記基準造形物に関する前記情報は、前記第2造形物に関する第2情報を含む
付記26に記載の加工システム。
[付記28]
前記加工装置が前記支持装置に対して前記第5方向に沿って移動しながら前記加工対象物に対して付加加工を行うように付加加工を開始する場合に、前記第2情報を用いて前記位置変更装置を制御する
付記27に記載の加工システム。
[付記29]
前記第2情報を用いて、前記加工対象物のうち付加加工を開始するべき加工開始部分に付加加工を行うことが可能な加工開始位置に前記加工装置が位置するように前記位置変更装置を制御し、その後、前記支持装置に対して前記加工装置が前記第5方向に沿って移動しながら行う付加加工を前記加工対象物に対して開始するように前記加工装置を制御する
付記27又は28に記載の加工システム。
[付記30]
前記第5方向は、前記第4方向とは逆向きの方向である
付記26から29のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記31]
前記支持装置に対して前記加工装置が前記第4方向とは異なる第6方向に沿って移動しながら前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って、前記基準造形物としての第3造形物を形成するように、前記加工装置及び前記位置変更装置を制御する
付記22から30のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記32]
前記基準造形物に関する前記情報は、前記第3造形物に関する第3情報を含む
付記31に記載の加工システム。
[付記33]
前記加工装置が前記支持装置に対して前記第6方向に沿って移動しながら前記加工対象物に対して付加加工を行うように付加加工を開始する場合に、前記第3情報を用いて前記位置変更装置を制御する
付記32に記載の加工システム。
[付記34]
前記第3情報を用いて、前記加工対象物のうち付加加工を開始するべき加工開始部分に付加加工を行うことが可能な加工開始位置に前記加工装置が位置するように前記位置変更装置を制御し、その後、前記支持装置に対して前記加工装置が前記第6方向に沿って移動しながら行う付加加工を前記加工対象物に対して開始するように前記加工装置を制御する
付記32又は33に記載の加工システム。
[付記35]
前記第6方向は、前記第4方向に交差する方向である
付記32から34のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記36]
前記支持装置に対して前記加工装置が前記第4方向及び第6方向とは異なる第7方向に沿って移動しながら前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って、前記基準造形物としての第4造形物を形成するように、前記加工装置及び前記位置変更装置を制御する
付記32から35のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記37]
前記基準造形物に関する情報は、前記第4造形物に関する第4情報を含む
付記36に記載の加工システム。
[付記38]
前記加工装置が前記支持装置に対して前記第7方向に沿って移動しながら前記加工対象物に対して付加加工を行うように付加加工を開始する場合に、前記第4情報を用いて前記位置変更装置を制御する
付記37に記載の加工システム。
[付記39]
前記第4情報を用いて、前記加工対象物のうち付加加工を開始するべき加工開始部分に付加加工を行うことが可能な加工開始位置に前記加工装置が位置するように前記位置変更装置を制御し、その後、前記支持装置に対して前記加工装置が前記第7方向に沿って移動しながら行う付加加工を前記加工対象物に対して開始するように前記加工装置を制御する
付記37又は38に記載の加工システム。
[付記40]
前記第7方向は、前記第4方向に交差する方向であって、且つ、前記第6方向とは逆向きの方向である
付記37から39のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記41]
前記基準造形物に関する情報は、計測装置で計測される
付記6から40のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記42]
前記計測装置を更に備える
付記41に記載の加工システム。
[付記43]
前記計測装置は、前記加工対象物と前記基準造形物との相対的な位置関係を計測可能である
付記41又は42に記載の加工システム。
[付記44]
前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方のうちの第1部分に付加加工を行って前記基準造形物としての第5造形物を形成し、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方のうちの前記第1部分とは異なる第2部分に付加加工を行って前記基準造形物としての第6造形物を形成し、且つ、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方のうちの前記第1及び第2部分とは異なる第3部分に付加加工を行って前記基準造形物としての第7造形物を形成するように前記加工装置及び前記位置変更装置を制御し、
前記基準造形物に関する前記情報は、前記第5造形物から前記第7造形物に関する第5情報を含み、
前記第5情報を用いて、前記加工装置の位置が表される第1座標系と、前記計測装置によって計測される前記加工対象物と前記基準造形物との相対的な位置関係が表される第2座標系とを関連付ける
付記43に記載の加工システム。
[付記45]
前記第1部分から前記第3部分の少なくとも一つの高さは、前記第1部分から前記第3部分の少なくとも他の一つの高さと異なる
付記44に記載の加工システム。
[付記46]
前記第1部分から前記第3部分の少なくとも二つの間には、前記支持装置のうち前記加工対象物を支持可能な支持領域が配置される
付記44又は45に記載の加工システム。
[付記47]
前記加工対象物の実際の形状と前記加工対象物の設計上の形状との間のずれに関するずれ情報に基づいて、前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する
付記6から46のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記48]
前記ずれ情報に基づいて、付加加工によって前記加工対象物の所望部分に所望形状の付加造形物が付加されるように、前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する
付記47に記載の加工システム。
[付記49]
前記ずれ情報に基づいて、前記加工対象物の設計上の形状に対して前記加工対象物の実際の形状が大きくなるほど、前記付加造形物の形状が大きくなるように、前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する
付記48に記載の加工システム。
[付記50]
前記基準造形物に関する前記情報は、前記基準造形物の寸法に関する寸法情報を含む
付記6から49のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記51]
前記基準造形物に関する前記情報は、前記基準造形物の形状に関する形状情報を含む
付記6から50のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記52]
前記エネルギビームが照射される領域に第8方向から前記材料を供給しながら前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って、前記基準造形物としての第8造形物を形成し、
前記エネルギビームが照射される領域に前記第8方向と異なる第9方向から前記材料を供給しながら前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って、前記基準造形物としての第9造形物を形成する
付記6から51のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記53]
前記加工装置は、前記材料を供給する第1供給口と、前記材料を供給する第2供給口とを備え、
前記エネルギビームが照射される領域に前記第1供給口から前記材料を供給しながら前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って、前記基準造形物としての第8造形物を形成し、
前記エネルギビームが照射される領域に前記第2供給口から材料を供給しながら前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って、前記基準造形物としての第9造形物を形成する
付記6から52のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記54]
前記加工対象物に対して第10方向から前記エネルギビームを照射しながら前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って、前記基準造形物としての第10造形物を形成し、
前記加工対象物に対して前記第10方向とは異なる第11方向から前記エネルギビームを照射しながら前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って、前記基準造形物としての第11造形物を形成する
付記6から53のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記55]
加工装置からエネルギビームを照射して加工対象物に付加加工を行う加工方法であって、
前記加工対象物を支持装置によって支持することと、
前記支持装置のうちの一部である第1領域及び前記加工対象物の一部である第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って基準造形物を形成することと、
前記基準造形物を計測することと、
前記計測された前記基準造形物に関する情報に基づいて、前記支持装置と前記加工装置からの前記エネルギビームの照射領域との位置関係を変更することと
を含む加工方法。
[付記56]
付記1から55のいずれか一項に記載の加工システムを用いて、前記加工対象物に対して付加加工を行う加工方法。
[付記57]
加工対象物を支持可能な支持装置と、
前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射し、前記エネルギビームが照射される領域に材料を供給して付加加工を行う加工装置と、
前記支持装置と前記加工装置からの前記エネルギビームの照射領域との位置関係を変更する位置変更装置と、
前記支持装置のうちの一部である第1領域及び前記加工対象物の一部である第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って基準造形物を形成するように、前記支持装置、前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一つを制御し、前記基準造形物に関する情報を用いて前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する制御信号を受信する受信装置と
を備える加工システム。
[付記58]
加工対象物を支持可能な支持装置と、前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射し、前記エネルギビームが照射される領域に材料を供給して付加加工を行う加工装置と、前記支持装置と前記加工装置からの前記エネルギビームの照射領域との位置関係を変更する位置変更装置とを備える造形システムを制御するコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記支持装置のうちの一部である第1領域及び前記加工対象物の一部である第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って基準造形物を形成する処理と、前記基準造形物に関する情報を用いて前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する処理とを前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
[付記59]
付記58に記載のコンピュータプログラムが記録された記録媒体。
[付記60]
加工対象物を支持可能な支持装置と、前記加工対象物上の被加工領域にエネルギビームを照射し、前記エネルギビームが照射される領域に材料を供給して付加加工を行う加工装置と、前記支持装置と前記加工装置からの前記エネルギビームの照射領域との位置関係を変更する位置変更装置とを備える造形システムを制御する制御装置であって、
前記支持装置のうちの一部である第1領域及び前記加工対象物の一部である第2領域の少なくとも一方に付加加工を行って基準造形物を形成する処理と、前記基準造形物に関する情報を用いて前記加工装置及び前記位置変更装置の少なくとも一方を制御する処理とを行う制御装置。
【0143】
上述の各実施形態の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0144】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う加工システム及び加工方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0145】
1 造形システム
11 造形ヘッド
111 照射系
112 材料ノズル
13 ステージ
131 上面
132 保持領域
133 非保持領域
134 マーク領域
14 計測装置
W ワーク
M 造形材料
LS 構造層
ST 3次元構造物
FM マーク部材
TM テストマーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15