(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】液晶調光素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1337 20060101AFI20240903BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240903BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240903BHJP
C08L 79/08 20060101ALI20240903BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G02F1/1337 525
G02F1/13 505
C08L63/00
C08L79/08
C08G73/10
(21)【出願番号】P 2023142490
(22)【出願日】2023-09-01
(62)【分割の表示】P 2020515600の分割
【原出願日】2019-04-26
【審査請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2018086640
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【氏名又は名称】比企野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【氏名又は名称】泉名 謙治
(72)【発明者】
【氏名】鉄谷 尚士
(72)【発明者】
【氏名】片山 雅章
(72)【発明者】
【氏名】南 悟志
(72)【発明者】
【氏名】後藤 耕平
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/146216(WO,A1)
【文献】特開2011-237755(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106978195(CN,A)
【文献】特開2009-048174(JP,A)
【文献】国際公開第2008/114846(WO,A1)
【文献】特表2016-525222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
G02F 1/13
C08L 63/00
C08L 79/08
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極を有する一対の基板と、前記一対の基板に挟持される液晶層とを備え、前記液晶層はホスト液晶及び二色性色素を含むゲストホスト型液晶調光素子であって、
前記基板が透明フィルム材であり、前記基板が液晶層と接する面には液晶配向膜を有し、かつ前記液晶配向膜が下記(A)成分及び(B)成分を含有する液晶配向剤から得られた液晶配向膜であることを特徴とする、ゲストホスト型液晶調光素子。
(A)成分:下記式(N-1)で表される基を有するジアミンの少なくとも1種を含むジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分から得られるポリアミック酸のイミド化重合体。
【化1】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、R
2は-CH
2-、-O-、-O-CO-、又はフェニレンを表し、R
3は水素原子、炭素数1~12の直鎖状の炭化水素基、又は炭素数1~12の分岐状の炭化水素基を表し、R
4は水素原子又はメチル基を表す。*は結合手を示す。)
(B)成分:エポキシ基を2個以上有する化合物。
【請求項2】
前記(A)成分において、イミド化重合体のイミド化率が40~60%である、請求項1に記載の液晶調光素子。
【請求項3】
前記(A)成分において、テトラカルボン酸二無水物成分に下記から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物を含む、請求項1又は2に記載の液晶調光素子。
【化2】
【請求項4】
前記(A)成分において、式(N-1)で表される基を有するジアミンが下記式(1-D)で表される化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の液晶調光素子。
【化3】
(式中、Spは単結合、-O-又は-O-Q
T-O-(ここで、Q
Tはフェニレン基又はナフタレン基を含む2価の基を示す)を表し、mは0又は1であり、R
8は、単結合又は-CH
2-、-O-、-COO-、-OCO-、-NHCO-、-CONH-、-NH-、-NHC(=O)NH-、-CH
2O-、-N(R
a)-(R
aは、炭素数1~12の直鎖状の炭化水素基、又は炭素数1~12の分岐状の炭化水素基を表す。)、-CON(CH
3)-、-N(CH
3)CO-、のいずれかを表し、R
9は、単結合、又は、非置換又はフッ素原子によって置換されている炭素数1~20のアルキレン基を表し、このアルキレン基において少なくとも一つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-で置き換えられてもよく、少なくとも一つの-CH
2-は-CF
2-で置き換えられてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられてもよく;-O-、-COO-、-OCO-、-NHCO-、-CONH-、-NH-、2価の炭素環、二価の複素環;R
10は、式(N-1)で表される基である。)
【請求項5】
前記(B)成分が、下記式(N-2)で表されるエポキシ化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の液晶調光素子。
【化4】
(式中、R
11及びR
12は、同一又は異なって、炭素数1~10の直鎖又は分岐状のアルキレン基、又は炭素数3~10のシクロアルキレン基を表し、
R
13及びR
14は、同一若しくは異なって、水素原子、又は炭素数1~20の直鎖又は分岐状のアルキル基を表し、
R
15は、z価の炭素数1~24の直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素基、又はz価の炭素数3~24の脂環式炭化水素基を表し、
該脂肪族炭化水素基中の炭素-炭素結合の間に炭素数3~12のシクロアルカン基、炭素数5~12の芳香族炭化水素基、(チオ)エーテル、カルボニル、第3級アミンのいずれかが挿入されていてもよく、この脂肪族炭化水素基がエポキシ、ハロゲンより選択される1種の基を有してもよく、また、該脂環式炭化水素基中の炭素-炭素結合の間に、(チオ)エーテル、カルボニル、第3級アミンのいずれかが挿入されていてもよく、環を構成しない単結合の一つが炭素数1~12のアルキレン基で置き換えられてもよい。zは1~6の整数である。)
【請求項6】
前記式(N-2)で表される化合物が、下記式(N-2-1)~(N-2-4)で表される化合物である、請求項5に記載の液晶調光素子。
【化5】
(式中、Xは、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、又はヘキサメチレン基を表す。Yは、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基 、ビニレン基、オキシ基、又はチオ基を表す。Zは、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、又はノルボルナンジイル基を表す)
【請求項7】
前記(A)成分において、ポリアミック酸は芳香環に直接結合したカルボキシル基を有さない、請求項1~6のいずれか1項に記載の液晶調光素子。
【請求項8】
前記液晶配向剤における(A)成分の含有量が、液晶配向剤の総量を100質量%とした場合、1~15質量%である、請求項1~7のいずれか1項に記載の液晶調光素子。
【請求項9】
前記液晶配向剤における(B)成分の含有量が、(A)成分100質量%に対して1~30質量%である、請求項1~8のいずれか1項に記載の液晶調光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム基材を用いたゲストホスト型液晶調光素子、及び該液晶調光素子に好適な液晶配向剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーテンやブラインドに変わるものとして、外部から印加される電圧の程度に応じて光の透過量や視認性を可変的に制御する電気調光素子が多数提案されており、液晶調光素子もその一つである。
特に、フィルム基材を用いた液晶調光素子は、ガラス基材の液晶調光素子と比較して軽量性や形状自由性に優れ、また、既に設置されている窓ガラス等に後から貼りつけることができるなどの利点が知られている。
液晶素子の方式は種々知られているが、その一つに二色性色素をホスト液晶に混入したゲストホスト型液晶を用いる方式があり、フィルム基材にゲストホスト型液晶を適用した調光フィルムも提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
しかし、フィルム基材を用いた液晶表示素子は基材の耐熱性の観点から、素子の製造プロセスにおいてガラス基材を用いた場合よりも低温で行う必要があった。
また、二色性色素を用いたゲストホスト型液晶は、二色性色素の影響でホスト液晶材料の有する電圧保持率特性が大きく損なわれるという課題があった。(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本特開2017-21097号公報
【文献】日本特開平9-40964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルム基材を用いた液晶調光素子は、一般的にロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式で作製されるため、液晶配向剤は基材全面に塗布されることが多く、この場合に2枚の基板を接着させるシール剤は液晶配向膜上に塗布される。その後のシール剤の硬化は、一般的に紫外線及び熱によって行われるが、フィルム基材の場合は耐熱性の観点からシール剤の熱硬化工程が省略されたり、低い温度で硬化処理されたりする場合があり、液晶配向膜とシール剤との密着強度が不足することがあった。
更には、前記のように二色性色素を用いたゲストホスト型液晶素子では良好な電圧保持率が得られない問題があった。
【0006】
以上のことから、本発明はフィルム基材を用いたゲストホスト型液晶調光素子において、液晶配向膜とシール剤との密着強度と、液晶表示素子の電圧保持率とを同時に改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するものであり、透明電極が設置された一対の基板と、前記一対の基板に挟持される液晶層とを備え、前記液晶層はホスト液晶及び二色性色素を含むゲストホスト型液晶調光素子であって、
前記基板が透明フィルム材であり、前記基板が液晶層と接する面には液晶配向膜を有し、前記液晶配向膜が下記(A)成分及び(B)成分を含有する液晶配向剤から得られた液晶配向膜であることを特徴とする、ゲストホスト型液晶調光素子にある。
(A)成分:ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分から得られるポリアミック酸のイミド化重合体であって、上記ジアミン成分は下記式(N-1)で表される基を有するジアミンの少なくとも1種を含む。
【化1】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、R
2は-CH
2-、-O-、-O-CO-、又はフェニレンを表し、R
3は水素原子、炭素数1~12の直鎖状の炭化水素基、又は炭素数1~12の分岐状の炭化水素基を表し、R
4は水素原子又はメチル基を表す。*は結合手を示す。)
(B)成分:エポキシ基を2個以上有する化合物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ホスト液晶及び二色性色素を含むゲストホスト型液晶を用いた場合であっても、得られる液晶配向膜がシール密着性に優れ、所望の電圧保持率を備え、信頼性を有する液晶配向膜を提供することができる。
また、本発明により、上記効果に加えて、該液晶配向膜を形成する液晶配向剤、及び該液晶配向膜を備えるゲストホスト型液晶調光素子を提供することができる。
更に、本発明により、上記効果に加えて、又は上記効果の他に、上記液晶配向膜の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<液晶配向剤>
本願発明に用いる液晶配向剤は、(A)成分;及び(B)成分を含有する。
<<(A)成分>>
(A)成分は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分から得られるポリアミック酸のイミド化重合体であって、上記ジアミン成分は下記式(N-1)で表される基を有するジアミンの少なくとも1種を含む。
【化2】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、R
2は-CH
2-、-O-、-O-CO-、又はフェニレンを表し、R
3は水素原子、炭素数1~12の直鎖状の炭化水素基、又は炭素数1~12の分岐状の炭化水素基を表し、R
4は水素原子又はメチル基を表す。*は結合手を示す。)
[ポリアミック酸]
本発明に係るポリアミック酸は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを反応させることにより得ることができる。
【0010】
<ジアミン>
本発明のポリアミック酸の重合に用いられるジアミンは以下の式(1)で表すことができる。
【化3】
【0011】
上記式(1)におけるA1及びA2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数2~5のアルケニル基、炭素数2~5のアルキニル基であり、Y1は2価の有機基である。液晶配向性の観点から、A1及びA2は水素原子、又はメチル基が好ましい。
【0012】
<ジアミンA1>
本発明で用いられるジアミンA1は、下記式(N-1)で表される基を有するジアミンである。
【化4】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、R
2は-CH
2-、-O-、-O-CO-、又はフェニレンを表し、R
3は水素原子、炭素数1~12の直鎖状の炭化水素基、又は炭素数1~12の分岐状の炭化水素基を表し、R
4は水素原子又はメチル基を表す。*は結合手を示す。)
【0013】
ジアミンA1は、より具体的には、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、及び炭素数1~12の炭化水素基で置換された置換ビニル基及びシンナモイル基からなる群から選択される少なくとも一種の部分構造(p)を側鎖に有する。
前記部分構造(p)として、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、及び炭素数1~12の炭化水素基で置換された置換ビニル基から選択される少なくとも1種がより好ましく、下記式(1-1)~(1-4)で表される構造から選ばれる少なくとも一種が更に好ましい。
【0014】
【0015】
式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R3は水素原子、炭素数1~12の直鎖状の炭化水素基、又は炭素数1~12の分岐状の炭化水素基を表し、R4は水素原子又はメチル基を表す。「*1」は結合手を示す。
前記式(1-2)のR3における直鎖状の炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が挙げられ、アルキル基がより好ましい。より好ましくは、炭素数1~3のアルキル基であり、メチル基がより好ましい。
前記式(1-2)のR3における分岐状の炭化水素基としては、分岐状のアルキル基、分岐状のアルケニル基が挙げられ、分岐状のアルキル基が好ましい。より好ましくは炭素数3~4の分岐状のアルキル基であり、i-イソプロピル基、又は2-メチルプロピル基、1-メチルプロピル基がより好ましい。
【0016】
前記部分構造(p)を有する側鎖としては、例えば下記式(b)で表されるものが挙げられる。
【化6】
式中、R
8は、単結合又は-CH
2-、-O-、-COO-、-OCO-、-NHCO-、-CONH-、-NH-、-NHC(=O)NH-、-CH
2O-、-N(R
a)-(R
aは、炭素数1~12の直鎖状の炭化水素基、又は炭素数1~12の分岐状の炭化水素基を表す。)、-CON(CH
3)-、-N(CH
3)CO-、のいずれかを表し、R
9は、単結合、又は、非置換又はフッ素原子によって置換されている炭素数1~20のアルキレン基を表し、このアルキレン基において少なくとも一つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-で置き換えられてもよく、少なくとも一つの-CH
2-は-CF
2-で置き換えられてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられてもよく;-O-、-COO-、-OCO-、-NHCO-、-CONH-、-NH-、二価の炭素環、二価の複素環;R
10は、前記の部分構造(p)を表し、「*1」は重合体の主鎖に結合する結合手を示す。
【0017】
R8は、通常の有機合成的手法で形成できるが、合成の容易性の観点から、-CH2-、-O-、-COO-、-NHCO-、-NH-、-CH2O-、-N(Ra)-(Raは、炭素数1~12の直鎖状の炭化水素基、又は炭素数1~12の分岐状の炭化水素基を表す。)が好ましい。
R9の任意の-CH2-を置き換える二価の炭素環や二価の複素環としては、具体的にはシクロヘキサン、ベンゼン、ナフタレン、ビシクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、4‐シクロヘキシルビフェニル、ゴナン、ピリジン、ピロール、ピリミジン、チオフェン、フラン、カルバゾール、オキサゾール、1,3,5-トリアジンなどの化合物から2つの水素原子を除いた基が挙げられるが、これらに限定されない。
R10は、前記の部分構造(p)であり、好ましい範囲も前記の通りである。
【0018】
前記部分構造(p)を側鎖に有するジアミン(I)としては、例えば以下のような化合物(1-D)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【化7】
Spは単結合、-O-又は-O-Q
T-O-(ここで、Q
Tはフェニレン基又はナフタレン基を含む2価の基を示す)を表し、mは0又は1である。R
8、R
9、R
10は、上記式(b)におけるR
8、R
9、R
10と同義である。
【0019】
前記部分構造(p)を側鎖に有するジアミンA1の好ましい態様として、以下のような化合物(1-D1)~(1-D4)が挙げられる。
【化8】
式中のR
8、R
9及びR
10の定義は上記式(b)のR
8、R
9及びR
10と同義である。
【0020】
前記ジアミンA1としては、下記式(1-D1-1)~(1-D1-8)が更に好ましい。
【化9】
【0021】
式中、X1及びX2はそれぞれ独立に単結合、又は、-O-、-COO-、-NHCO-、及び-NH-より選ばれる結合基を表し、Yは非置換又はフッ素原子によって置換されている炭素数1~20のアルキレン基を表し、Ra、Rb、Rcはそれぞれ、前記式(1-2)中のR3、R1、R4と同義である。Rdは炭素数1~12の直鎖状の炭化水素基、又は炭素数1~12の分岐状の炭化水素基を表す。
【0022】
前記式(1-D1-1)においては、下記式(1-D1-9)が更に好ましい。
【化10】
式中、nは1~20の整数であり、R
1は水素原子又はメチル基を表す。
【0023】
前記ジアミンA1としては、前記式(1-D1-5)又は(1-D1-9)であることが更に好ましい。
上記式(1-D1-5)~(1-D1-9)を含むジアミン成分は、モノマーの柔軟性が高いため、架橋反応が進行しやすく、液晶配向膜の架橋度をより向上させることができる。
【0024】
前記式(1-D1-5)において、Raの炭素数は6以下が好ましく、より好ましくは3以下であり、特に好ましいRaは水素原子である。
前記式(1-D1-5)において、Rb、Rcは、水素原子である方が好ましい。
前記式(1-D1-5)において、Rdは、炭素数6以下の直鎖状の炭化水素基、又は分岐状の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数3以下の直鎖状の炭化水素基、又は分岐状の炭化水素基である。
前記式(1-D1-5)において、2つのアミノ基の好ましい位置は、N-アリル基に対して、ベンゼン環上の2,4の位置、2,5の位置又は3,5の位置である。
【0025】
以下に、上記式(1-D1-5)で示される構造のジアミンの具体例を、式(1-D1-5b)~(1-D1-5g)に示すがこの限りではない。
【化11】
上記ジアミンの中でも、式(1-D1-5b)又は式(1-D1-5c)が好ましい。
【0026】
前記式(1-D1-9)におけるnは、好ましくは1~10の整数である。上記式(1-D1-9)で示される具体例を下記式(1-D1-9a)~(1-D1-9b)に挙げるがこの限りではない。
【化12】
なお、上記ジアミンA1は、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
本発明で、垂直配向させたい場合は、垂直配向性基を有するジアミンを用いることができる。このような垂直配向性基を有するジアミンA2として、国際公開公報WO2013/125595の段落[0033]~[0042]に記載の式[2-1]~[2-31]で示されるジアミンなどを挙げることができ、これらのジアミンはジアミン成分全体に対して5モル%以上とすることが好ましく、10モル%以上とすることがより好ましく、20モル%以上とすることが更に好ましい。前記硬化速度を高める観点から、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましい。より好ましいジアミンは、下記式[2a-24]~[2a-33]から選ばれる少なくとも1種である。
【0028】
【0029】
【化14】
式(2a-32)中、アミノ基の一つに対してオルト位であるとき、R
1は、それぞれ独立して、-O-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COOCH
2-及び-CH
2OCO-からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示し、2つのアミノ基に対してメタ位であるとき、R
1は、上記で示した結合基の他、-CONH-、-NHCO-、及び-CH
2-からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示し、R
2は、それぞれ独立して、炭素数1~22の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素数1~22の直鎖状又は分岐状アルコキシ基を示し、Cyは、4,4’-ビフェニルジイル基、4,4’-フェニルシクロヘキシル基、及び4,4’-ジシクロヘキシル基から選ばれる基である。
【0030】
【化15】
上記式中、R
3は、-O-、又はCH
2O-を示し、Cy
2は前記Cyと同義であり、R
7は、それぞれ独立して、炭素数3~12の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、1,4-シクロヘキシレンのシス-トランス異性は、トランス異性体を示す。
【0031】
本発明において使用可能な垂直配向ジアミンの一つの好ましい態様としては、下記式[Sd―1]~式[Sd-4]で表される、側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基を有するジアミンが挙げられる。
【化16】
式中、A
1は、それぞれ独立して、炭素数1~22のアルキル基又は炭素数1~22のフッ素含有アルキル基を示す。
【0032】
本発明の重合体に用いるジアミン成分としては、前記ジアミンA1の量が、ジアミン成分全体に対して10~100モル%であるのが好ましい。
また、垂直配向させたい場合は、前記ジアミンA1をジアミン成分全体に対して40~80モル%含み、前記ジアミンA2を20~60モル%含むことが更に好ましい。
【0033】
前記重合体を含む液晶配向剤とすることで、前記部分構造(p)どうしが架橋構造を形成する。このような作用によって重合体の膜密度が向上して、ホスト液晶及び二色性色素を含むゲストホスト型液晶を用いた場合であっても、シール密着性に優れ、所望の電圧保持率(VHR)を備え、信頼性を有する液晶配向膜を得ることができる。
【0034】
<テトラカルボン酸二無水物>
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、以下の[1]~[5]の群のものなどをそれぞれ挙げることができる。
【0035】
[1] 脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物など;
[2] 脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば下記式(X1-1)~(X1-13)(式(X1-1)~(X1-4)において、R3~R23はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1~6の1価の有機基、又はフェニル基であり、同一でも異なってもよく、
前記式中、RMは水素原子、又はメチル基であり、Xa、は下記式(Xa-1)~(Xa-7)で表される4価の有機基である)などの酸二無水物;
【0036】
【0037】
【0038】
[3] 1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン-2’,5’-ジオン)、3,5,6-トリカルボキシ-2-カルボキシメチルノルボルナン-2:3,5:6-二無水物、4,9-ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン-3,5,8,10-テトラオンなど。
【0039】
中でも、テトラカルボン酸二無水物として、下記から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物を含む成分を用いることが好ましい。
【化19】
【0040】
なお、上記テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、前記重合体を含む液晶配向剤とすることで、ホスト液晶及び二色性色素を含むゲストホスト型液晶を用いた場合であっても、シール密着性に優れ、所望の電圧保持率(VHR)を備え、信頼性を有する液晶配向膜を得ることができる。
【0041】
<ポリアミック酸>
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸は、以下に示す方法により合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒の存在下で-20℃~150℃、好ましくは0℃~50℃において、30分~24時間、好ましくは1~12時間反応させることによって合成できる。
上記の反応に用いる有機溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。ポリマーの濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。
【0042】
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
【0043】
<ポリイミド>
本発明に用いられるポリイミドは、ポリイミド前駆体である、前記ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸をイミド化することにより製造することができる。ポリアミック酸エステルからポリイミドを製造する場合、前記ポリアミック酸エステル溶液、又はポリアミック酸エステル樹脂粉末を有機溶媒に溶解させて得られるポリアミック酸エステル溶液に塩基性触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
【0044】
化学的イミド化は、イミド化させたいポリアミック酸エステルを、有機溶媒中において塩基性触媒存在下で撹拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもトリエチルアミンは反応を進行させるのに充分な塩基性を持つので好ましい。
【0045】
イミド化反応を行うときの温度は、-20℃~140℃、好ましくは0℃~100℃であり、反応時間は1~100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸エステル基の0.5~30モル倍、好ましくは2~20モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。イミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向処理剤とすることが好ましい。
【0046】
ポリアミック酸からポリイミドを製造する場合、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
化学的イミド化は、イミド化させたい重合体を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
【0047】
イミド化反応を行うときの温度は、-20℃~140℃、好ましくは0℃~100℃であり、反応時間は1~100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.5~30モル倍、好ましくは2~20モル倍であり、酸無水物の量はアミック酸基の1~50モル倍、好ましくは3~30モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。
【0048】
ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸のイミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向処理剤とすることが好ましい。
上記のようにして得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
【0049】
本発明に用いるポリアミック酸及びポリイミドの分子量は、重量平均分子量(以下、Mwともいう。)で2,000~500,000が好ましく、より好ましくは5,000~300,000であり、更に好ましくは、10,000~100,000である。また、数平均分子量(以下、Mnともいう。)は、好ましくは、1,000~250,000であり、より好ましくは、2,500~150,000であり、更に好ましくは、5,000~50,000である。
【0050】
(A)成分は、液晶配向剤の総量を100質量%とした場合、1~15質量%、好ましくは1~8質量%、より好ましくは1.5~7質量%であるのがよい。
【0051】
<(B)成分>
(B)成分は、エポキシ基を2個以上有する化合物である。(B)成分としては、下記式(N-2)で表される化合物が好ましい。
【化20】
式(N-2)中、R
11及びR
12は、それぞれ独立して、炭素数1~10の直鎖又は分岐状のアルキレン基、又は炭素数3~10のシクロアルキレン基を表す。
該アルキレン基及び/又は該シクロアルキレン基は、エーテル、及び3級アミンからなる群より選択される少なくとも1種の基を有してもよい。また、該アルキレン基は、飽和又は不飽和のアルキレン基であってもよい。
【0052】
R11及びR12は、炭素数1~10、好ましくは1~5の直鎖状アルキレン基であるのがよく、炭素数1~2の飽和の直鎖状アルキレン基が特に好ましい。
R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1~20の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。
該アルキル基は、エーテル、及び3級アミンからなる群より選択される少なくとも1種の基を有してもよい。また、該アルキル基は、飽和又は不飽和のアルキル基であってもよい。
【0053】
R13及びR14は、水素原子又は炭素数1~2のアルキル基、好ましくは水素原子であるのがよい。R15は、z価の炭素数1~24の脂肪族炭化水素基、又はz価の炭素数3~24の脂環式炭化水素基を表す。
該脂肪族炭化水素基中の炭素-炭素結合の間に炭素数3~12のシクロアルカン基、炭素数5~12の芳香族炭化水素基、(チオ)エーテル、カルボニル、第3級アミンのいずれかが挿入されていてもよく、この脂肪族炭化水素基がエポキシ、ハロゲンより選択される1種の基を有してもよい。
該脂環式炭化水素基中の炭素-炭素結合の間に、(チオ)エーテル、カルボニル、第3級アミンのいずれかが挿入されていてもよく、環を構成しない単結合の一つが炭素数1~12のアルキレン基で置き換えられてもよい;
zは1~6の整数であり、好ましくは1~4である。
【0054】
R15の炭素数3~12のシクロアルカン基としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ノルボルナン、アダマンタンのいずれかから水素原子をz-1個取り除いた基を挙げることができる。
R15の炭素数5~12の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ビフェニル、ピリジン、ピラジン、ナフタレン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、フランのいずれかから水素原子をz-1個取り除いた基を挙げることができる。
【0055】
R15の炭素数1~12のアルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、エチニレン基、プロピニレン基などを挙げることができる。
【0056】
zが1であり、R15が1価の炭素数1~24の脂肪族炭化水素基である場合、R15として、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数2~24のアルキニル基などを挙げることができる。
zが2以上であり、R15が2価以上の炭素数1~24の脂肪族炭化水素基である場合、R15として、前記1価の炭素数1~24の脂肪族炭化水素基からz-1個の水素原子が除かれて結合手になったものを挙げることができる。
zが1であり、R15が1価の炭素数3~24の脂環式炭化水素基である場合、R15として、シクロアルキル基、シクロデカヒドロナフチル基、アダマンチル基などの1価の基を挙げることができる。
zが2以上であり、R15が2価以上の脂環式炭化水素基である場合、R15として、前記1価の炭素数3~24の脂環式炭化水素基から、z-1個の水素原子が除かれて結合手になったものを挙げることができる。
【0057】
式(N-2)で表される化合物として、下記式(N-2-1)から(N-2-4)で表されるエポキシ化合物が好ましい。
【化21】
(N-2-1)から(N-2-4)において、Xは、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、又はヘキサメチレン基を表す。Yは、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基 、ビニレン基、オキシ基、又はチオ基を表す。Zは、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、又はノルボルナンジイル基を表す。
【0058】
式(N-2)で表される化合物として、下記式(N-3-1)~(N-3-4)、1,3-ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、2,5-ビス(ジグリシジルアミノメチル)ノルボルナン、又は2,6-ビス(ジグリシジルアミノメチル)ノルボルナンが好ましい。
【化22】
【0059】
本願発明に用いる液晶配向剤中、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量%に対して1~30質量%、好ましくは2~20質量%、より好ましくは2~15質量%、更に好ましくは2~10質量%であるのがよい。
【0060】
<<(A)成分及び(B)成分以外の成分>>
本願発明に用いる液晶配向剤は、上述の(A)成分及び(B)成分以外の成分を、適宜、任意に含有してもよい。
例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エタノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、3-メチルシクロヘキサノール、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、1,2-ブトキシエタン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、2-(メトキシメトキシ)エタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1-(ブトキシエトキシ)プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n-プロピルエステル、乳酸n-ブチルエステル又は乳酸イソアミルエステル、下記構造の有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
中でも、入手性と実用性の観点から、a-22、a-13~a-21、a-24、a-26、a-27、a-31、a-34、a-37、又はa-38が好ましく、a-22、又はa-37がより好ましい。
【0065】
<その他の架橋性化合物>
(A)成分及び(B)成分以外の成分として、架橋性化合物を挙げることができる。
該架橋性化合物として、例えばエポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基又はシクロカーボネート基を有する架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物、又は重合性不飽和結合を有する架橋性化合物を含挙げることができるがこれらに限定されない。なお、これら置換基や重合性不飽和結合は、架橋性化合物中に2個以上有するのがよい。
【0066】
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3-ビス(1-(2,3-エポキシプロポキシ)-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル-p-アミノフェノール、2-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)-2-(4-(1,1-ビス(4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン又は1,3-ビス(4-(1-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)-1-(4-(1-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)-1-メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)-2-プロパノールなどが挙げられる。
【0067】
オキセタン基を有する架橋性化合物は、下記式[4A]で示されるオキセタン基を少なくとも2個有する化合物である。
【化26】
具体的には、国際公開公報WO2011/132751号の58~59頁に掲載される式[4a]~式[4k]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0068】
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物としては、下記式[5A]で示されるシクロカーボネート基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【化27】
具体的には、国際公開公報WO2012/014898号の76~82頁に掲載される式[5-1]~式[5-42]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0069】
ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、例えば、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル-ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド-ホルムアルデヒド樹脂又はエチレン尿素-ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。具体的には、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基又はその両方で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、又はグリコールウリルを用いることができる。このメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体は、2量体又は3量体として存在することも可能である。これらはトリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個以下有するものが好ましい。
【0070】
上記のメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX-750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW-30(以上、三和ケミカル社製)やサイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123-10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125-80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド社製)が挙げられる。また、グリコールウリルの例として、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリルなど、パウダーリンク1174のようなメトキシメチロール化グリコールウリル等が挙げられる。
【0071】
ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するベンゼン又はフェノール性化合物としては、例えば、1,3,5-トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4-ビス(sec-ブトキシメチル)ベンゼン又は2,6-ジヒドロキシメチル-p-tert-ブチルフェノールが挙げられる。
より具体的には、国際公開公報WO2011/132751号の62~66頁に掲載される、式[6-1]~式[6-48]の架橋性化合物が挙げられる。
【0072】
重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン又はグリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に3個有する架橋性化合物、更に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート又はヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に2個有する架橋性化合物、加えて、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル又はN-メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基を分子内に1個有する架橋性化合物等が挙げられる。
【0073】
更に、下記式[7A]で示される化合物を用いることもできる。
【化28】
式[7A]中、E
1はシクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環、ベンゼン環、ビフェニル環、ターフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環又はフェナントレン環からからなる群から選ばれる基を示し、E
2は下記式[7a]又は式[7b]から選ばれる基を示し、nは1~4の整数を示す。
【化29】
【0074】
上記は架橋性化合物の一例であり、これらに限定されるものではない。また、本発明の液晶配向剤に用いる架橋性化合物は、1種類でも、2種類以上組み合わせてもよい。
【0075】
本発明の液晶配向剤における、架橋性化合物の含有量は、全ての重合体成分100質量部に対して、0.1~150質量部が好ましい。なかでも、架橋反応が進行し目的の効果を発現させるためには、の重合体成分100質量部に対して、0.1~100質量部が好ましい。より好ましいのは、1~50質量部である。
【0076】
<他の任意成分>
本発明の液晶配向剤は、液晶配向剤を塗布した際の液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物を用いることができる。
液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。これらの具体例は、国際公開公報WO2016/047771の段落[0117]に記載の界面活性剤が挙げられる。より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R-30(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(以上、旭硝子社製)などが挙げられる。
界面活性剤の使用量は、液晶配向剤に含有される全ての重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.01~2質量部、より好ましくは0.01~1質量部である。
【0077】
更に、液晶配向剤には、液晶配向膜中の電荷移動を促進して素子の電荷抜けを促進させる化合物として、国際公開公報WO2011/132751号の69~73頁に掲載される、式[M1]~式[M156]で示される窒素含有複素環アミン化合物を添加することもできる。このアミン化合物は、液晶配向剤に直接添加しても構わないが、濃度0.1~10質量%、好ましくは1~7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。この溶媒は、特定重合体(A)を溶解させるならば特に限定されない。
【0078】
本発明の液晶配向剤には、上記の貧溶媒、架橋性化合物、樹脂被膜又は液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物及び電荷抜けを促進させる化合物の他に、本発明に記載の重合体以外の重合体、配向膜と基板との密着性を向上させる目的のシランカップリング剤、更には塗膜を焼成する際にポリイミド前駆体の加熱によるイミド化を効率よく進行させる目的のイミド化促進剤等を添加しても良い。
【0079】
本願の液晶配向剤は、上述の(A)成分及び(B)成分を含有する、溶液の形態を有する。
本発明に用いられる液晶配向剤の重合体の濃度は、形成させる塗膜の厚みの設定によって適宜変更することができるが、均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から1質量%以上であることが好ましく、溶液の保存安定性の点からは10質量%以下とすることが好ましい。
【0080】
本願の液晶配向剤は、固形分濃度(液晶配向剤の溶剤以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)を、形成させる塗膜の厚みの設定によって適宜変更することができるが、均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から1質量%以上であることが好ましく、溶液の保存安定性の点からは10質量%以下とすることが好ましい。
【0081】
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には、重合体の濃度が1.5~4.5質量%の範囲であることが特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3~9質量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12~50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1~5質量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3~15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
【0082】
本願の(A)成分である重合体は、その分子量が、Mwで2,000~500,000が好ましく、より好ましくは5,000~300,000であり、更に好ましくは、10,000~100,000であるのがよい。また、Mnが、好ましくは、1,000~250,000であり、より好ましくは、2,500~150,000であり、更に好ましくは、5,000~50,000であるのがよい。
【0083】
本発明の別の態様によれば、本発明の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜が提供される。
また本発明の更に別の態様によれば、本発明の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜が液晶層と接触していない状態で又は液晶層と接触した状態で前記塗膜に光照射する工程とを含む、液晶配向膜の製造方法が提供される。
更に、本発明の別の態様によれば、本発明による液晶配向膜、又は本発明の前記製造方法により得られた液晶配向膜を具備する、液晶調光素子が提供される。以下に詳細を示す。
【0084】
<液晶配向膜・液晶調光素子>
上記液晶配向剤を用いることにより、液晶配向膜を製造することができる。また、本発明に係る液晶調光素子は、上記液晶配向剤を用いて形成した液晶配向膜を具備する。本発明に係る液晶調光素子の動作モードは、例えばTN(Twisted Nematic)型、STN型、垂直配向型(VA-MVA型、VA-PVA型などを含む。)など種々の動作モードに適用することができる。
【0085】
本発明に係る液晶調光素子は、例えば以下の工程(1-1)~(1-3)を含む工程により製造することができる。
[工程(1-1):塗膜の形成]
先ず、基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
例えばTN型、STN型又はVA型の液晶調光素子を製造する場合、まず、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、上記で調製した液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム-酸化スズ(In2O3-SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。
【0086】
パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後、フォト・エッチングによりパターンを形成する方法;透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法;などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性を更に良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
【0087】
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30~200℃であり、より好ましくは40~150℃であり、特に好ましくは40~100℃である。プレベーク時間は、好ましくは0.25~10分であり、より好ましくは0.5~5分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80~300℃であり、より好ましくは120~250℃である。ポストベーク時間は、好ましくは5~200分であり、より好ましくは10~100分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001~1μmであり、より好ましくは0.005~0.5μmである。
【0088】
[工程(1-2):配向能付与処理]
TN型、STN型の液晶調光素子を製造する場合、上記工程(1-1)で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向能付与処理としては、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで塗膜を一定方向に擦るラビング処理、塗膜に対して偏光又は非偏光の放射線を照射する光配向処理などが挙げられる。一方、VA型液晶調光素子を製造する場合には、上記工程(1-1)で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用できるが、該塗膜に対し配向能付与処理を施してもよい。
【0089】
光配向処理により塗膜に液晶配向能を付与する場合、塗膜に照射する放射線としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合、照射の方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用できる。好ましい波長領域の紫外線は、光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。放射線の照射量は、好ましくは10~5,000mJ/cm2であり、より好ましくは30~2,000mJ/cm2である。
【0090】
また、塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。加温の際の温度は、通常30~250℃であり、好ましくは40~200℃であり、より好ましくは50~150℃である。
また、150~800nmの波長の光を含む紫外線を使用する場合には、上記工程で得られた光照射膜をそのまま液晶配向膜をとして使用することができるが、該光照射膜を焼成してもよい。このときの焼成温度は、好ましくは80~300℃であり、より好ましくは120~250℃である。焼成時間は、好ましくは5~200分であり、より好ましくは10~100分である。ここでの光配向処理が、液晶層と接触していない状態での光照射の処理に相当する。
【0091】
なお、ラビング処理後の液晶配向膜に対して更に、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成した上で先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにしてもよい。この場合、得られる液晶調光素子の視界特性を改善することが可能である。
【0092】
[工程(1-3):液晶セルの構築]
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより液晶セルを製造する。第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、更に液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより液晶セルを製造する。いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、更に、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
【0093】
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶などを挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましい。例えば、シッフベース系、アゾキシ系、ビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、エステル系、ターフェニル系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、ビシクロオクタン系、キュバン系などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えば、コレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;「C-15」、「CB-15」(メルク社商品名製)として販売されているカイラル剤;p-デシロキシベンジリデン-p-アミノ-2-メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを添加して使用してもよい。
【0094】
本発明に用いられるゲストホスト型液晶は、上記液晶に、異方性染料を追加で含むものである。用語「染料」は、可視光領域、例えば、400nmないし700nm波長範囲内で少なくとも一部又は全体範囲内の光を集中的に吸収又は変形させることができる物質を意味することができ、用語「異方性染料」は前記可視光領域の少なくとも一部又は全体範囲で光の異方性吸収が可能な物質を意味することができる。 前記のような染料の使用を通じて液晶セルの色感を調節することができる。 異方性染料の種類は特別に制限されないし、例えば、黒色染料(black dye)又はカラー染料(color dye)を使用することができる。異方性染料の液晶に対する割合は目的とする物性を損なわない範囲内で適切に選択される。例えば、異方性染料は液晶化合物100質量部に対して0.01~5質量部の割合で含まれるが、前記の割合は必要によって適正範囲に変更することができる。
【0095】
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、液晶調光素子を得ることができる。液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、又はH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0096】
上記のようにして、本発明の液晶配向剤を用いることで、ホスト液晶及び二色性色素を含むゲストホスト型液晶を用いた場合であっても、電圧保持率が所望の値となり、シール密着性に優れ、信頼性を有する液晶配向膜を得ることができる。
【実施例】
【0097】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これらに限定して解釈されるものではない。なお、以下において使用される化合物の略称などの意味は下記のとおりである。
(テトラカルボン酸二無水物)
CA-1:1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
CA-2:ビシクロ[3.3.0]オクタン-2,4,6,8-テトラカルボン酸二無水物
(ジアミン化合物)
DA-1:3-アミノベンジルアミン
DA-2:N,N-ジアリル-2,4-ジアミノアニリン
DA-3:下記式DA-3で表されるジアミン
DA-4:1,3-ジアミノ-4-{4-〔トランス-4-(トランス-4-n-ペンチルシクロへキシル)シクロへキシル〕フェノキシ}ベンゼン
【化30】
【0098】
実施例と比較例において使用した(B)成分の構造を以下に示す。
【化31】
【0099】
(有機溶媒)
GBL:γ-ブチルラクトン、
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0100】
(分子量測定)
ポリイミド前駆体及びポリイミドのMn及びMwは、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC-101)(昭和電工社製)、カラム(KD-803、KD-805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム-水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
【0101】
(イミド化率の測定)
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6、0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)0.53mlを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW-ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5から10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い、以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1-α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0102】
<粘度測定>
ポリアミド酸溶液などの粘度は、E型粘度計TVE-22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE-1(1°34’、R24)にて温度25℃にて測定した。
【0103】
「液晶セルの作製」
液晶配向処理剤を、30mm×40mmITO電極付き基板のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて60℃で5分間、熱循環型クリーンオーブン中にて220℃で30分間加熱処理をして、膜厚100nmのポリイミド液晶配向膜付きのITO基板を得た。このITO基板の塗膜面を、ロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、及び押し込み量0.2mmの条件でラビング処理した。
得られた液晶配向膜付きのITO基板を2枚用意し、液晶配向膜面を内側にして、スペーサー径が4μmのビーズスペーサーを挟んで組み合わせ、シール剤で周囲を接着して空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、MLC-6608(メルク・ジャパン社製)100質量%に対して、下記の式で示される色素化合物 Sudan blueII(Aldrich社製)を0.4質量%混合した液晶を注入した後、注入口を封止して、液晶セルを得た。
【0104】
【0105】
「電気特性の評価」
上記の「液晶セルの作製」で得られた液晶セルを60℃で72時間保管後、60℃の温度下で1Vの電圧を60μm印加し、50ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率(VHR)として計算した。なお、電圧測定は、電圧保持率測定装置(東陽テクニカ社製、VHR-1)を使用し、Voltage(印加電圧):±1V、Pulse Width(印加パルス):60μs、及びFlame Period(フレーム周期):50msの設定で行った。
【0106】
<接着性評価サンプルの作製>
液晶配向処理剤を孔径1.0μmのフィルターで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、60℃のホットプレート上で1分間乾燥後、120℃で5分間焼成して膜厚100nmの塗膜を得た。このようにして得られた2枚の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜面上に直径4μmビーズスペーサー(日揮触媒化成社製、真絲球、SW-D1)を散布した後、UV(紫外線)硬化型接着剤を滴下した。
次いで、他方の基板の液晶配向膜面を内側にし、基板の重なり幅が0.5cmになるように、貼り合わせを行った。その際、貼り合わせ後のシール剤の直径が約3mmとなるようにシール剤の滴下量を調整した。貼り合わせた2枚の基板をクリップにて固定した後、波長325nm以下のカットフィルターを用いて波長365nmのUVを1.0J照射し接着性評価用のサンプルを作製した。更に120℃で1時間熱硬化させて、接着性評価用のサンプルを作製し、UVを照射したサンプルと、UV及び熱硬化の両方を行ったサンプルの比較を行った。
【0107】
<接着力の測定>
上記で作製したサンプルを卓上形精密万能試験機(島津製作所社製EZ-SX)にて、上下基板の端の部分を固定した後、基板短辺の両端から上下に引っ張り、剥離する際の圧力(N)を測定した。そして、計測したシール剤の直径より見積もった面積(mm2)で圧力(N)を規格化した値を用いて接着力の評価を実施した。3mm径のシール破断面を観察した。シール断面の密着形状がシール材とシール材で破断していた場合を良好、シール材と有機膜の間で破断していた場合、及びITOとシール材の間で破断していた場合を不良と判定した。
【0108】
<ピール試験>
実施例及び比較例で得られた液晶配向剤を、細孔径1umのメンブランフィルタで加圧濾過した。
液晶配向剤を100×100mmのITO電極付きPETフィルム基板(縦:100mm、横:100mm、厚さ:50um)上に塗布し、ホットプレート上にて120℃で5分間の加熱処理をした後に100×20mmの大きさに切り取り、膜厚が100nmの液晶配向膜付きのITO基板を2枚作製した。
片方の基板に、スペーサー径が30umビーズスペーサーを塗布し、更に、もう一方の基板の液晶配向膜上にシール剤(協立化学社製723K1)を印刷し、これらの基板を重なるように貼り合わせた。その際、シール剤の量は、貼り合わせ後のシール剤の面積が縦50×横10mmとなるように調整した。貼り合わせた2枚の基板をクリップにて固定した後、紫外光を3J/cm2照射、次いで120℃、1時間熱硬化させて、本評価用のテストサンプル基板を作製した。
【0109】
その後、本テストサンプル基板を、卓上形精密万能試験機(AGS-X 500N)(島津製作所社製)にて、上下基板の端の部分を固定した後、上方向に引っ張る際の応力(N/10mm)、即ち、ピール強度(N/10mm)を測定した。
評価は、前記ピール強度(N/10mm)の値が大きいものほど、シール剤及び下地基板との密着性が優れていることを示す)。
ピール試験の評価結果として、ピール強度(N/10mm)の値を、表5及び表6に示した。
【0110】
<合成例1>
撹拌装置付きの50mL(リットル)の四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-1を1.12g(9.20mmol)DA-2を1.87(9.20mmol)及びDA-4を2.00g(4.60mmol)を量りとり、NMPを39.5g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-2を2.88g(11.5mmol)添加し、60℃で3時間反応させた後、CA-1(2.25g,10.8mmol)とNMP(4.39g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が20.0質量%のポリアミド酸溶液(PAA-1)を得た。このポリアミック酸溶液の粘度は660.1mPa・sであった。このポリアミック酸のMnは12,426、Mwは41,548であった。
【0111】
<合成例2~4、比較合成例1>
下記表1に示す成分を使用し、それぞれ合成例1と同様の操作を行ってポリアミック酸(PAA-2)~(PAA-5)を得た。得られたポリアミック酸溶液の粘度及び分子量を下記表1に示す。
【0112】
<合成例6>
合成例1で得られたポリアミド酸溶液(2)(50.0g)に、NMPを加えて7.50質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(6.26g)、及びピリジン(19.4g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(556ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥してポリイミド粉末(PI-1)を得た。このポリイミドのイミド化率は51%であった。このポリイミド粉末のMnは11,201、Mwは32,594であった。
【0113】
<合成例7~9、比較合成例2>
下記表2に示す成分を使用し、それぞれ合成例6と同様の操作を行ってポリイミド粉末(PI-2)~(PI-5)を得た。
【0114】
<実施例1>
合成例6で得られたポリイミド粉末(PI-1)(1.50g)に、GBL(10.0g)とPGME38.5gを加え、室温にて24時間攪拌して溶解させた。この溶液にTETRAD-Cを10質量%含む混合溶液を0.45g攪拌しながら加え、次いで室温で2時間撹拌し液晶配配向剤(AL-1)を得た。
【0115】
<実施例2~4、比較実施例1~6>
下記表3に示す成分を使用し、それぞれ実施例1と同様の操作を行って液晶配配向剤(AL-2~AL-10)を得た。
【表1】
【0116】
【0117】
【0118】
<評価>
上記で得られた実施例1~4及び比較例1~6のそれぞれの液晶配向処理剤(AL-1)~(AL-10)について、電圧保持率、及びシール密着性の評価を行った。結果を表4及び表5に示す。
【表4】
【0119】
【0120】
上記の表4、5の結果からわかるように、本発明の実施例の液晶配向剤から得られた液晶配向膜は、比較例の液晶配向剤から得られる液晶配向膜に比べて、色素を含有させた液晶を用いた場合は60℃72時間後の電圧保持率が高く、UV照射による硬化でシール材との密着は良好であり、且つUV照射後の熱硬化による硬化も良好であった。
特定アミン化合物と特定アミン化合物及び特定添加剤を含まない比較例2は電圧保持率が低く、UV照射による硬化でシール材との密着は不良であり、且つUV照射後の熱硬化による硬化も不良であった。
【0121】
特定アミン化合物を含む実施例と特定アミン化合物を含まない比較例との比較において、特定アミン化合物を含む実施例では、UV照射による硬化によってシール材と有機膜が密着し、シール材間の破断が観察され良好であったのに対して、特定アミン化合物を含まない比較例ではシール材と有機膜の境界で破断が観察され不良であった。具体的には、実施例1、2、3、4と比較例1との比較である。
【0122】
また、特定添加剤を含む実施例と特定添加剤を含まない比較例において特定添加剤を含む実施例ではUV照射後に熱硬化を行うことによってシール材との密着及び膜が硬化することにより、シール材間の破断が観察され良好であったのに対して、特定添加剤を含まない比較例ではITOと有機膜の境界で破断が観察され不良であった。具体的には、実施例3、4、比較例1と、比較例2、3及び4との比較である。
【0123】
また、特定添加剤を含む実施例と特定添加剤ではない添加剤を含む比較例において、特定添加剤を含む実施例ではUV照射後に熱硬化を行うことによってシール材との密着及び膜が硬化することにより、シール材間の破断が観察され良好であったのに対して、特定添加剤ではない添加剤を含む比較例ではITOと有機膜の境界で破断が観察され不良であった。具体的には、実施例3と比較例5との比較である。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の液晶配向剤を用いることにより、低温焼成プロセスを経たとしても色素を含有した液晶に対する電圧保持率に優れ、シール剤に対する密着性に優れている液晶配向膜を得ることができる。本発明の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜を用いた液晶調光素子は、様々な液晶モードの調光素子に、好適に用いることができる。そして、これらの素子は、表示を目的とする液晶ディスプレイ、更には、光の透過と遮断を制御する調光窓や光シャッターなどにおいても有用である。
【0125】
なお、2018年4月27日に出願された日本特許出願2018-086640号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。