(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】半導体装置および計測処理システム
(51)【国際特許分類】
G01D 1/02 20060101AFI20240903BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G01D1/02 C
G01R19/00 B
(21)【出願番号】P 2020034144
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 博次
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512628(JP,A)
【文献】特開平4-227118(JP,A)
【文献】特開2004-181540(JP,A)
【文献】特開2012-252014(JP,A)
【文献】特開2006-112346(JP,A)
【文献】特開2015-11474(JP,A)
【文献】特開2006-10541(JP,A)
【文献】特開平6-265376(JP,A)
【文献】特開2011-211451(JP,A)
【文献】特開平11-318899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 1/00-1/18、21/00
G06F 1/00-1/14
G08C 13/00-25/04
G05B 19/00-23/02
G01R 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の計測対象の各々から取得した計測値を切り替えて出力する切替部から出力される前記複数の計測対象の各々の複数の観測値についての平均値である平均計測値を算出する平均処理部と、
予め定められた間隔のタイミング信号であるタイマ信号を生成するタイマと、
前記タイマ信号および前記複数の計測対象についての計測順序および計測回数を設定する計測シーケンスに従って前記計測対象ごとの平均計測値が算出されるように前記切替部および前記平均処理部を制御する制御部と、を含み、
前記タイマは予め定められたタイミング信号である第1のタイマ信号、および前記第1のタイマ信号に同期しタイミング間隔が前記第1のタイマ信号のタイミング間隔よりも狭いタイミング信号である第2のタイマ信号を生成し、
前記第1のタイマ信号は、
前記平均処理部が前記平均計測値を出力するタイミングを規定することを含み、
前記第2のタイマ信号は、前記切替部の切替タイミングと、前記複数の計測対象の各々から取得した計測値を取り込むタイミングとを設定することを含み、
前記制御部は、前記第1のタイマ信号によって前記平均計測値を出力する区間を設定し、前記第2のタイマ信号によって前記計測シーケンス内における前記切替部の切替タイミングおよび前記複数の計測対象の各々から取得した計測値を取り込むタイミングを設定
し、
前記平均処理部は、前記第1のタイマ信号で規定されるタイミングごとに前記平均計測値を出力する、
半導体装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記計測シーケンスを繰り返し実行するように前記切替部および前記平均処理部を制御するとともに、前記計測シーケンスごとに複数の前記平均計測値が出力されるように前記平均処理部を制御する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記切替部が取得する計測値がアナログ計測値であり、
前記平均処理部は複数のデジタル計測値についての前記平均計測値を算出し、
前記切替部と前記平均処理部との間にアナログデジタル変換部をさらに含み、
前記制御部は前記タイマ信号に従って前記アナログデジタル変換部をさらに制御する
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の計測対象の少なくとも1つの計測対象から出力される計測値を変更する変更設定部をさらに含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
外部との通信機能を備えたCPUをさらに含み、
前記CPUは、前記平均処理部が算出した複数の計測対象の平均計測値を各々の計測対象に対応した外部回路に前記通信機能を介して供給する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記切替部の切替タイミングと前記計測値を取り込むタイミングとの間には、前記第2のタイマ信号の2パルス分のタイムラグが設けられ、
前記タイムラグは、前記切替部が前記切替タイミングを受け取った後安定化するまでの時間と、前記複数の計測対象の各々の複数の観測値が安定化するまでの時間との何れかを勘案して設定される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
複数の計測対象の各々から取得した計測値を切り替えて出力する切替部と、
前記切替部から出力される前記複数の計測対象の各々の複数の観測値についての平均値である平均計測値を算出する平均処理部、予め定められた間隔のタイミング信号であるタイマ信号を生成するタイマ、前記タイマ信号および前記複数の計測対象についての計測順序および計測回数を設定する計測シーケンスに従って前記計測対象ごとの平均計測値が算出されるように前記切替部および前記平均処理部を制御する制御部、および前記平均処理部が算出した複数の計測対象の平均計測値を各々の計測対象に対応した外部回路に通信機能を介して供給するCPUを備えたマイクロコンピュータと、を含み、
前記タイマは予め定められたタイミング信号である第1のタイマ信号、および前記第1のタイマ信号に同期しタイミング間隔が前記第1のタイマ信号のタイミング間隔よりも狭いタイミング信号である第2のタイマ信号を生成し、
前記第1のタイマ信号は、
前記平均処理部が前記平均計測値を出力するタイミングを規定することを含み、
前記第2のタイマ信号は、前記切替部の切替タイミングと、前記複数の計測対象の各々から取得した計測値を取り込むタイミングとを設定することを含み、
前記制御部は、前記第1のタイマ信号によって前記平均計測値を出力する区間を設定し、前記第2のタイマ信号によって前記計測シーケンス内における前記切替部の切替タイミングおよび前記複数の計測対象の各々から取得した計測値を取り込むタイミングを設定
し、
前記平均処理部は、前記第1のタイマ信号で規定されるタイミングごとに前記平均計測値を出力する、
計測処理システム。
【請求項8】
前記切替部の切替タイミングと前記計測値を取り込むタイミングとの間には、前記第2のタイマ信号の2パルス分のタイムラグが設けられ、
前記タイムラグは、前記切替部が前記切替タイミングを受け取った後安定化するまでの時間と、前記複数の計測対象の各々の複数の観測値が安定化するまでの時間との何れかを勘案して設定される、請求項7に記載の計測処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および計測処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のひとつの分野として、センサ等から出力される計測値を収集する機能を有する半導体装置の分野がある。そのような分野の半導体装置は、センサ等から受け取った計測値を、当該計測値に基づいて所定の処理を実行する回路に供給する場合もある。その際、所定の処理を適切に実行するために、ノイズ等の外乱の影響が抑制された精度の高い計測値が求められる場合もある。一方、計測値の精度を向上させるひとつの方法として、多数の計測値に対して平均化処理を行う方法がある。これは、多数のサンプル値の平均値は真値に近づくという原則を用いたものである。また多数のサンプル値の平均をとることにより、ノイズの影響を低減させる効果も期待される。
【0003】
計測値に対する平均化処理について開示した文献として、例えば特許文献1が知られている。特許文献1に開示された測定システムは、複数の測定装置と管理装置とが通信可能なように接続されている。測定装置は、検出回路のセンサを介して電力量を測定する。複数の測定装置に接続されるすべてのセンサを識別するセンサIDを管理装置から取得すると、取得したセンサIDによって特定されるセンサを含む検出回路を介して測定された電力量が管理装置に送信される。また、管理装置は制御部を備え、該制御部が通信機能を介して測定装置との通信を行う。さらに特許文献1に係る測定システムでは、測定用記憶部に記憶された測定データの平均値等の統計値を統計データとして記憶する統計用記憶部について記載されている。
【0004】
図6は、平均化処理機能を有する比較例に係る半導体装置100を示している。
図6に示すように半導体装置100は、CPU20、メモリ21、ADC(アナログデジタル変換回路)14、切替設定部15、切替部16-2、およびバス22を備えている。また、半導体装置100の外部には、切替部16-3、16-4、16-5、回路A1、A2、・・・、An、B1、C1、C2が接続されている。
【0005】
CPU20はソフトウェアによって複数の計測値の平均値(以下、「平均計測値」という場合がある)を算出する機能を備えている。メモリ21は、CPU20によって算出された平均計測値を記憶する機能を有する。CPU20、メモリ21、ADC14、切替設定部15の各々は、バス22によって相互に通信が可能となっている。
【0006】
回路A1、A2、・・・、An、B1、C1、C2は、各々独立した計測対象であり、各々独自の計測値を固有の周期で出力する。計測対象の各々の出力信号はアナログ信号である。切替部16-2から16-5によって切り替えられたアナログ信号の計測値は、ADC14によってデジタル信号に変換され、バス22を介してCPU20に取り込まれる。
【0007】
切替部16-2、16-3、16-4、16-5(以下、総称する場合は「切替部16」)は、複数の計測対象の接続を切り替える例えばセレクタである。切替部16の各々は切替設定部15によって制御され、所定のタイミングで計測値が1つずつADC14に入力される。切替設定部15はCPUの指示に基づいて切替部16-2、16-3、16-4、16-5を切り替え、ADC14に入力される計測対象を制御する。なお、切替部16-2は半導体装置100に内蔵され、切替部16-3から16-5は半導体装置100の外部に設けられているが、機能は同じである。
【0008】
半導体装置100では、ADC14への入力を切り替えながら複数の計測対象を計測する手順をソフトウェアを用いて記述し、所定の周期で平均計測値を出力して複数のセンサの計測を実行している。一般に、センサが出力する計測値の定常的な変動(外乱を含まない変動)がそれほど大きくない場合であって、かつ、計測対象のさらなる精度改善が望めない場合は、計測回数を増やし、より多くの母数について平均化処理することでノイズの影響を低減し、平均計測値の精度を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、比較例に係る半導体装置100において計測値の計測回数を増やして平均計測値の精度向上を図るに際しては、2つの課題がある。
【0011】
1つめの課題は、ソフトウェアによる計測処理のために、CPU、メモリ、バス等が占有され、計測処理中はCPUが他の処理を実行できないという課題である。このCPUおよびメモリが搭載された半導体装置は通常マイクロコンピュータであり、通信機能等のシステムとしてみた場合に計測処理よりも優先度が高い機能を備えている場合も多い。従って、なんらかの優先順位が高い処理が発生した場合、計測処理の停止を余儀なくされる場合もある。また、計測処理を停止させないように予め処理時間を割り当てるという方法も考えられるが、このような方法では計測可能な時間が減少してしまう。その結果、期待通りの計測回数が達成できないという結果になってしまう。
【0012】
2つめの課題は、ソフトウェアによる計測の場合、1回の計測に要する時間がハードウェアの動作クロック複数分の時間を要するという課題である。計測に要する時間はソフトウェア処理によって律速され、例えばADCのサンプリング周波数ごとに計測するというようなことができない。また、平均化処理もソフトウェアによって実行されるが、平均化処理中は計測(計測データの取り込み)ができない。
【0013】
以上のように、ソフトウェアによる計測処理の場合一般に計測回数が制限され、多数の母集団の平均効果を出すためには不十分な計測回数しか実現できないことが多い。一方、計測回数の少なさを補うため、計測回路の性能をより高めるという手段も考えられるが、その場合はコスト高を招くという問題が発生する。
【0014】
本発明は、上記の事情を踏まえ、多数の計測値を平均処理して平均計測値を算出する構成を備えた半導体装置および計測処理システムにおいて、ソフトウェア処理する場合と比較して、より正確な平均計測値をより短時間で取得することが可能な半導体装置および計測処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、複数の計測対象の各々から取得した計測値を切り替えて出力する切替部から出力される前記複数の計測対象の各々の複数の観測値についての平均値である平均計測値を算出する平均処理部と、予め定められた間隔のタイミング信号であるタイマ信号を生成するタイマと、前記タイマ信号および前記複数の計測対象についての計測順序および計測回数を設定する計測シーケンスに従って前記計測対象ごとの平均計測値が算出されるように前記切替部および前記平均処理部を制御する制御部と、を含むものである。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明に係る計測処理システムは、複数の計測対象の各々から取得した計測値を切り替えて出力する切替部と、前記切替部から出力される前記複数の計測対象の各々の複数の観測値についての平均値である平均計測値を算出する平均処理部、予め定められた間隔のタイミング信号であるタイマ信号を生成するタイマ、前記タイマ信号および前記複数の計測対象についての計測順序および計測回数を設定する計測シーケンスに従って前記計測対象ごとの平均計測値が算出されるように前記切替部および前記平均処理部を制御する制御部、および前記平均処理部が算出した複数の計測対象の平均計測値を各々の計測対象に対応した外部回路に通信機能を介して供給するCPUを備えたマイクロコンピュータと、を含むものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、多数の計測値を平均処理して平均計測値を算出する構成を備えた半導体装置および計測処理システムにおいて、ソフトウェア処理する場合と比較して、より正確な平均計測値をより短時間で取得することが可能な半導体装置および計測処理システムを提供することが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の実施の形態に係る、(a)は半導体装置の構成の一例を示すブロック図、(b)は平均処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る半導体装置の、(a)平均処理iにおけるタイマ信号TIM1とTIM2の関係を示すタイミングチャート、(b)は計測シーケンス内における切替タイミング、計測タイミングの配置を示すタイミングチャート、(c)は計測シーケンスの一例を示す概念図である。
【
図3】第2の実施の形態に係る半導体装置および計測処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第3の実施の形態に係る半導体装置および計測処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】第4の実施の形態に係る半導体装置および計測処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】比較例に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1および
図2を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10について説明する。半導体装置10では、回路A、回路Bの2つの計測対象の計測を実行する形態を例示している。なお、本実施の形態に係る計測対象の計測値は、回路の特性(例えば、電圧、電流等)に限られず、温度、圧力等センサ出力一般に適用することが可能である。
【0021】
図1を参照して、半導体装置10の構成について説明する。
図1(a)に示すように、半導体装置10は、平均処理部11、制御部12、タイマ13、およびADC14を備えている。半導体装置10は、外部に切替部16-1を備えている。切替部16-1は例えばセレクタあるいはスイッチによって構成され、計測対象を回路Aとするか回路Bとするかを切り替える。
【0022】
ADC14は、切替部16-1から送られた回路Aまたは回路Bからのアナログ計測値Saをデジタル計測値Sdに変換して平均処理部11に送る。
【0023】
平均処理部11は、ADC14から順次入力される計測対象からの複数の計測値の平均値を算出し、平均計測値を出力部(図示省略)から出力する。なお、本発明に係る半導体装置では、ADC14を介することなく、デジタル計測値Sdを平均処理部11に直接入力して平均化処理を実行するように構成してもよい。この場合、例えば計測対象がデジタル計測値Sdを出力する。
【0024】
制御部12は、平均処理部11における動作タイミングを制御し、またこの動作タイミングに連動させて切替部16-1の切替タイミングを制御する。上記比較例に係る半導体装置100では、ソフトウェアに従ってCPU20が逐一切替を実行していく必要があったが、半導体装置10では、制御部12がADC14の動作と連動させ、各切替に要する時間(例えば、計測対象であるアナログ回路の内部状態の収束時間等)を考慮したタイミング(
図2(b)<2>に示す切替タイミングtset)に従って切替部16-1を制御することにより切替を実行していく。
【0025】
すなわち、切替部16-1における切替タイミングは、各計測対象の切替におけるセトリングタイム等を考慮して、あるいは切替部16-1の切替特性等を考慮して、制御部12に組み込まれたソフトウェアによって設定される。なお、本実施の形態では制御部12による制御を切替部16-1の切替制御を例にとって説明しているが、切替でない外部回路の制御を行うように構成してもよい。本実施の形態に係る制御部12は、タイマ13からの2つのタイマ信号TIM1、TIM2に従い、制御信号Cvによって平均処理部11を制御し、制御信号CaによってADC14を制御し、制御信号Csによって切替部16-1を制御する。
【0026】
タイマ13は、制御部12が各部位を制御するための制御信号の生成に用いるタイミング信号であるタイマ信号を生成する。上記のようにタイマ信号には、タイマ信号TIM1、TIM2の2種類があり、タイマ信号TIM1とTIM2とは同期し、タイマ信号TIM2のタイミング間隔はタイマ信号TIM1のタイミング間隔よりも狭くされている。タイマ13は一旦起動されると、その後ソフトウェアによる制御等がなくともタイマ信号TIM1、TIM2を出力し続ける。なお、タイマ信号は必ずしもTIM1、TIM2の2つに分ける必要はなく、1つのタイマ信号を用いるように構成してもよい。この場合のタイマ信号としては、タイマ信号TIM2を用いる。
【0027】
図1(b)を参照して、平均処理部11の構成について説明する。
図1(b)に示すように、平均処理部11は、平均化回路32と、複数の記憶回路31-1、31-2、・・・31-n(以下、総称する場合は「記憶回路31」)を備えている。記憶回路31は、ADC14から送られた計測値を一時的に記憶させる記憶回路(バッファメモリ)であり、複数の計測対象ごとにひとつの記憶回路31が割り当てられる。本実施の形態では計測対象が2つなので、複数(
図1(b)ではn個の場合を例示)の記憶回路31のうちの2つの記憶回路31を用いる(あるいは2つの記憶回路31を備えている)。記憶回路31の具体例は、例えばメモリであるが、メモリの代わりに積分回路を用いてもよい。
【0028】
平均化回路32は、記憶回路31から送られた計測対象ごとの計測値について平均化処理を実行し、平均計測値を算出して出力する。
【0029】
次に、
図2を参照して、半導体装置10で実行される平均化処理の詳細について説明する。
図2(a)は当該平均化処理におけるタイマ信号TIM1、TIM2の関係を示しており、
図2(b)はタイマ信号TIM2によって制御される切替、計測のタイミング関係を示しており、
図2(c)は計測シーケンスの一例を示している。
【0030】
本実施の形態に係る平均化処理は、
図2(a)<1>に示すように、タイマ信号TIM1のタイミング間隔で規定された連続する平均処理1、2、3、4、・・・(以下、「平均処理i」という場合がある)から成り立っている。そして、平均処理部11はタイマ信号TIM1で規定されるタイミングごとに、すなわち
図2(a)<2>に示す時刻t0、t1、t2、t3、t4、・・・ごとに各計測対象の平均計測値を出力する。
【0031】
図2(a)<3>は、各平均処理iの内部処理を示している。
図2(a)<3>に示すように、各平均処理iは、計測期間Tmおよび予備期間Twから構成されている。計測期間Tmは、複数の計測対象の計測(ADC14からのデジタル計測データの取り込み)を実行する期間である。予備期間Twは、計測期間Tm間に設けられた何も実行しない期間である。なお、予備期間Twは必須のものではなく、例えば平均化処理を速めたいような場合は省略してもよい。
【0032】
ここで、本実施の形態に係る半導体装置10では、各平均処理iにおける処理は計測シーケンスに従って実行される。計測シーケンスは各計測対象に対する計測順序、計測回数を設定するためのテーブルであり、本実施の形態では制御部12において作成される。
図2(c)は、計測シーケンスの一例を示している。計測シーケンスの時間的な長さは、計測期間Tmとされる。
図2(c)では、回路Aについて10回、回路Bについて6回計測する場合を例示している。また、計測順序については、なるべく回路Aと回路Bとが交互に計測されるように設定している。これは、計測タイミングにおける各計測対象の計測値の変動を極力抑えるためである。
【0033】
図2(b)は、タイマ信号TIM2によって制御される切替、計測タイミングを示している。
図2(b)<1>は、
図2(c)に示した計測シーケンスである。本実施の形態では、計測シーケンスに含まれる各計測対象(回路A、回路B)に対して、切替タイミングtset、計測タイミングtmesを設定する。切替タイミングtsetは制御信号Csによって送られる、切替部16-1の切替タイミングであり、計測タイミングtmesは制御信号Cv、Caによって送られる、平均処理部11がADC14からの計測値を取り込むタイミングである。
図2(b)<2>に示すように、切替タイミングtsetと計測タイミングtmesとの間にはタイムラグ(
図2(b)<2>の例では、タイマ信号TIM2の2パルス分のタイムラグ)が設けられている。このタイムラグは、切替部16-1が切替タイミングtsetを受け取った後安定化するまでの時間、計測対象の計測値が安定化するまでの時間等を勘案して設定される。本実施の形態では、切替タイミングtsetと計測タイミングtmesとの間のタイムラグは固定値とされているが、タイムラグの値は制御部12において使用されるソフトウェアで任意の値に設定が可能である。
【0034】
以上詳述したように、本実施の形態に係る半導体装置10では、切替部16、ADC14、平均処理部11における各処理が予め設定した計測シーケンスに従い、予め設定したタイマ信号に基づいてハードウェアによる自立処理によって実行される。この際計測シーケンスは、制御部12においてソフトウェアにより設定可能となっており、計測対象の計測順序、計測回数等について柔軟に設定可能とされている。また、タイマ信号はタイマ13によって自律的に生成され、例えば制御部12から停止信号が送出されない限り一定の処理タイミングを供給し続ける。この処理タイミングは、切替部16、ADC14、平均処理部11、制御部12の各々の処理時間を勘案して、最短時間での処理が実行されるように設定されている。タイマ13におけるタイマ信号のタイミング間隔等もソフトウェアで柔軟に設定が可能である。
【0035】
さらに、本実施の形態に係る半導体装置10では、平均処理iを実行する区間を設定し、平均計測値を出力するタイミングを規定するタイマ信号TIM1と、計測シーケンス内の切替タイミングtset、計測タイミングtmesを規定する2つのタイマ信号を用いている。このことにより制御部12による切替部16-1、ADC14、平均処理部11の各部における処理が簡素化されるので、制御部12の負荷が軽減される。
【0036】
[第2の実施の形態]
図3を参照して、本実施の形態に係る半導体装置および計測処理システムについて説明する。
図3に示すように、本実施の形態に係る計測処理システムは、半導体装置10A、および切替部16-3、16-4、16-5を含んで構成されている。また、
図3に示すように、半導体装置10Aは、平均処理部11、制御部12、タイマ13、ADC14、切替設定部15、切替部16-2、CPU20、およびメモリ21を含んで構成されている。また、半導体装置10Aは、外部に切替部16-3、16-4、16-5を備えている。半導体装置10Aの計測対象は、回路A1、A2、・・・、An、回路B1、回路C1、C2である。
【0037】
平均処理部11、制御部12、タイマ13、およびADC14の機能は上記第1の実施の形態と同様なので詳細な説明を省略する。本実施の形態に係る半導体装置10Aでは、上記半導体装置10に対して、切替設定部15、切替部16-2、CPU20、メモリ21、およびバス22が追加されている。
【0038】
切替部16-2は、ADC14入力の直近に設けられた切替部であり、半導体装置10Aに標準的に装備されている。このように、切替部は外部のみならず内部に設けてもよい。半導体装置10Aでは、計測対象が(n+3)個で、これらの計測対象を4個の切替部で制御することになるので、切替が煩雑になる。そこで本実施の形態では、各切替部の切替を制御する専用の切替設定部15を設けている。切替設定部15は、制御部12の指示に基づき、ADC14に入力される計測対象の計測値を1つずつ切り替える。
【0039】
本実施の形態に係る半導体装置10Aにおいても、制御部12、平均処理部11、ADC14、切替設定部15はタイマ13が生成するタイマ信号TIM1、TIM2に従って動作し、制御部12において設定される計測シーケンスに従って平均処理iが実行される。
【0040】
CPU20は、例えば平均処理部11からバス22経由で受け取った各平均計測値を、当該平均計測値を用いて所定の処理を実行する外部の機能部に通信機能(図示省略)を介して供給する。メモリ21は、例えば、平均処理部11が算出した平均計測値を記憶する。
【0041】
半導体装置10Aでも、上記半導体装置10同様、ADC14から送られてくる各計測対象の計測値に対して指定されたサンプル数の平均化処理を実行する。また、平均化処理は、計測シーケンスに基づいて各計測対象の計測回数、計測順序が個別に設定される。
【0042】
例えば、
図3に示す回路A1、回路A2(以下、「回路A1」等を「A1」等と表記する)の計測値を交互に計測して平均化処理する場合、計測シーケンスを例えば、<A1、A2、A1、A2、・・・・、A1、A2>として、計測対象の順序、回数を規定する。この場合の計測シーケンスにおける繰り返し周期は(A1、A2)である。A1、A2の各々の計測値はADC14に順次交互に取り込まれ、記憶回路31(
図1(b)参照)に割り振られ、個別に平均計測値が算出される。上記計測シーケンスではA1、A2を交互に配置する形態を例示したが、この配置に制限はなく、A1、A2を各々連続して配置してもよい。また、計測対象の数も2つに限られず、任意の数としてよいし、計測対象の数に応じて切替部16も必要な数だけ設けてよい。また、(A1、A2)の単位で繰り返す必要もなく、A1、A2の各々の計測回数に応じて異なる数配置してもよい。
【0043】
さらに、本実施の形態では、ある回路の計測値を他の回路の出力によって制御する場合にも適用される。例えばある回路の計測値をパラメータとして値を変えたいような場合であり、このような場合は他の回路である回路の計測値を変更する。ここでいう計測値の変更には、例えば計測対象の回路のゲインを変えるような場合も含まれる。
図3に示す回路では、例えば、A1は切替部16-4の出力であるB1またはC1によって計測値が変更され、A2は切替部16-5の出力であるC1またはC2によって計測値が変更される。
このような場合にも、切替部16-4、または切替部16-5の設定により計測することが可能である。
【0044】
ここで、以下、例えばB1によって値が変更されたA1をA1(B1)のように表現する。この場合、計測シーケンスは、例えば、<A1(B1)、A2、A1(C1)、A2、A1(B1)、A2、A1(C1)、A2、・・・、A1(B1)、A2、A1(C1)、A2>のように設定する。この場合の計測シーケンスにおける繰り返し周期は、(A1(B1)、A2、A1(C1)、A2)である。このことにより、A1(B1)、A2、A1(C1)についてサンプル数を指定して、各々の平均計測値を取得することができる。なお、必ずしも(A1(B1)、A2、A1(C1)、A2)の周期で繰り返す必要がないことは上述のとおりである。
【0045】
より具体的には、A1(B1)、A2、A1(C1)の各々について連続して計測し、かつ各々異なるサンプル数で平均計測値を算出してもよい。例えば、A1(B1)、A1(C1)、A2の計測条件について以下のように設定する。
A1(B1):連続計測数=2、サンプル数=4。
A1(C1):連続計測数=3、サンプル数=10。
A2:連続計測数=1、サンプル数=6。
この場合の計測シーケンスは、以下のようになる。
<A1(B1)、A1(B1)、A1(C1)、A1(C1)、A1(C1)、A2、A1(B1)、A1(B1)、A1(C1)、A1(C1)、A1(C1)、A2、A1(C1)、A1(C1)、A1(C1)、A2、A1(C1)、A2、A2、A2>
上記計測シーケンスは、制御部12におけるソフトウェアによって設定される。
【0046】
以上詳述したように、本実施の形態に係る半導体装置10Aによれば、外部のみならず内部にも切替部16を設けた形態において、多数の計測値を平均処理して平均計測値を算出する構成を備えた半導体装置および計測処理システムにおいて、ソフトウェア処理する場合と比較して、より正確な平均計測値をより短時間で取得することが可能となる。また、本実施の形態に係る半導体装置10AによればCPU20とは独立したハードウェアが平均化処理を実行するため、上記比較例に係る半導体装置100と比較して、CPU20におけるソフトウェア処理の負荷が軽減される。そのため、CPU20は他のソフトウェア処理を取り込むことも可能になる。あるいは、負荷が軽減された結果CPU20の動作速度を低減することも可能となるとともに、プログラム、データのためのメモリ容量の低減も可能となる。
【0047】
[第3の実施の形態]
図4を参照して、本実施の形態に係る半導体装置および計測処理システムについて説明する。
図4に示すように、本実施の形態に係る計測システムは、半導体装置10B、切替部16-3、16-4、16-5、16-7を含んで構成されている。また、
図4に示すように、半導体装置10Bは、
図3に示す半導体装置10Aに、DAC(デジタルアナログ変換回路)制御部23、DAC24、および切替部16-6を付加した形態である。従って、半導体装置10Aと同様の構成には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。半導体装置10Bでは、さらに外部に切替部16-7が接続されている。なお、DAC制御部23、DAC24、および切替部16-6、16-7は、本発明に係る「変更設定部」の一例である。
【0048】
DAC制御部23、DAC24、および切替部16-6、16-7はアナログ信号によって外部の回路(計測対象)の計測値を変更する機能を有する。すなわち、半導体装置10Bは、外部の回路を内部の回路によって制御する構成を備えている。例えば、
図4において、B1、C1は切替部16-7を切り替えることによって、半導体装置10Bからの出力によって制御することができる。
【0049】
ここで、計測対象となる回路においては、計測の結果に応じて回路に供給する信号の値を変更する必要が発生する場合がある。また、回路の計測項目の種類に合わせて回路に供給する信号の値を変えたい場合もある。本実施の形態に係る半導体装置10Bは、DAC制御部23、DAC24、および切替部16-6を備えることによって、このような機能を標準的に装備することが可能となっている。
【0050】
DAC制御部23は、制御部12の指示に基づいてDAC24を制御する機能を有する。DAC制御部23は、制御部12の指示に基づいて、外部の回路(
図4の例では、B1、C1)を制御するデジタル信号を生成する。外部の回路を制御するデジタル信号は、DAC制御部23が半導体装置10Bの外部から取り込むように構成してもよい。
【0051】
DAC24は、DAC制御部23から受け取ったデジタル信号をアナログ信号に変換する。切替部16-6、16-7は、DAC24からのアナログ信号を供給する回路(B1、C1)を切り替える。
【0052】
図4に示すように、DAC制御部23、DAC24には制御部12から制御信号が入力され、DAC制御部23によって制御される。DAC制御部23、DAC24、切替部16-6、16-7における処理も、
図1に示すタイマ信号TIM1、TIM2から供給されるタイミング信号に基づいて実行される。また、DAC24から供給されるアナログ信号の順序、回数も
図2(c)に示す計測シーケンスに組み込まれて設定される。
【0053】
[第4の実施の形態]
図5を参照して、本実施の形態に係る半導体装置および計測処理システムについて説明する。
図5(a)に示すように、本実施の形態に係る計測システムは、半導体装置10C、切替部16-1を含んで構成されている。また、
図5(a)に示すように、半導体装置10Cは、
図1に示す半導体装置10に、タイマ13から制御部12に入力されるADC用タイマ信号TIMA、制御部12からタイマ13に入力されるタイマ制御信号Tcを追加した形態である。従って、半導体装置10と同様の構成には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0054】
本実施の形態に係るADC用タイマ信号TIMAは、計測タイミングtmesから切替タイミングtsetまでの期間を設定する信号である。一方、タイマ制御信号Tcは、タイマ信号TIM2およびADC用タイマ信号TIMAを発生させるタイマの起動トリガを発生する信号である。
【0055】
ここで、上記第1の実施の形態においては、切替タイミングtsetから計測タイミングtmesまでの期間であるタイムラグは固定値とされていた。第1の実施の形態においては、このタイムラグが、切替部16-1が切替タイミングtsetを受け取った後安定化するまでの時間を勘案するとともに、計測対象としての回路A、回路Bの各々について計測対象の計測値が安定化するまでの時間等も勘案して設定されていた。しかしながら、計測処理システム等の特性に応じて、このタイムラグをより柔軟に設定することが求められる場合もある。本実施の形態は、このようなシステムに対応可能な構成となっている。
【0056】
図5(b)を参照して、半導体装置10Cの作用についてより詳細に説明する。
図5(b)<1>は、
図2(c)に示す計測シーケンスと同じものであり、計測期間Tmを周期としている。また切替タイミングtsetから計測タイミングtmesまでのタイムラグはタイマTIM2で設定され、計測タイミングtmesから切替タイミングtsetまでの期間はADC用タイマ信号TIMAで設定される。ここで、半導体装置10Cでは、タイマ信号TIM2およびADC用タイマ信号TIMAを発生させるタイマ(図示省略)は、当該タイマを起動させるトリガ信号が入力されると、予め定められた時間オンとなった(計時した後)後、自動的にオフになるタイマとなっている。本実施の形態では、タイマ信号TIM2の計時時間とADC用タイマ信号TIMAの計時時間とは異なる時間とされているが、同じ時間であってもよい。
【0057】
タイマ制御信号Tcは、タイマ信号TIM2およびADC用タイマ信号TIMAを発生させるタイマの起動トリガを発生する信号としての機能を有する。すなわち、
図5(b)<1>に示す最初の回路Aの計測において、タイマ制御信号Tcは、時刻t1、t2、t3の各々において1つずつパルスを発生している。そして、時刻t1におけるパルスを起動トリガとしてタイマ信号TIM2のタイマが起動して切替タイミングtsetを規定し、タイマ信号TIM2のタイマは予め定められた計時時間の後にオフする。この際のタイマ信号TIM2が制御部12に送信される。このタイマ信号TIM2のタイマがオフしたタイミングが計測タイミングtmesとなり、回路Aの計測が実行される。
【0058】
一方制御部12はこのタイマ信号TIM2用のタイマのオフを検知し、検知したことをタイマ13に送信する。この検知信号に基づいてタイマ13は、ADC用タイマ信号のタイマを起動させる起動トリガを時刻t2において発出する。時刻t2におけるパルスを起動トリガとしてADC用タイマ信号TIMAのタイマは予め定められた時間計時した後オフする。この際のADC用タイマ信号TIMAが制御部12に送信される。このADC用タイマ信号TIMAのタイマの計時時間によって、計測タイミングtmesから切替タイミングtsetまでの期間が規定される。制御部12はこのADC用タイマ信号TIMAのタイマのオフを検知し、検知したことをタイマ13に送信する。この検知信号が時刻t3におけるタイマ制御信号Tcのパルスとなり、当該パルスを起動トリガとしてタイマ信号TIM2が起動し、以下同様の動作によって、続く回路Bの計測が実行される。
【0059】
ここで、本実施の形態では、回路Bに対する切替タイミングtsetから計測タイミングtmesまでの期間は回路Aに対する切替タイミングtsetから計測タイミングtmesまでの期間と同じ期間とされているが、回路Aとは異なる期間であってもよい。この際、タイマ制御信号Tcに基づいてタイマ信号TIM2を発生させるタイマの設定を変更することでタイマ信号TIM2の計時時間を変更してもよいし、タイマ信号TIM2の計時時間の異なるタイマ信号を発生させるタイマ(図示省略)をさらに設け、該タイマを起動させてもよい。また、回路Bに対する計測タイミングtmesから切替タイミングtsetまでの期間に関しても同様である。
【0060】
さらに、本実施の形態は、第2の実施の形態のように複数の切替部を有する場合においても適用可能である。この際、切替タイミングtsetから計測タイミングtmesまでの期間を設定するタイマ及び計測タイミングtmesから切替タイミングtsetまでの期間を設定するタイマを、切替部や計測対象としての回路の数に応じてさらに設けた構成とすることも可能である。
【0061】
以上のように、本実施の形態に係る半導体装置および計測処理システムによれば、切替タイミングtsetから計測タイミングtmesまでの期間を測定対象等に応じて、柔軟に設定できるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0062】
10、10A、10B、10C、100 半導体装置
11 平均処理部
12 制御部
13 タイマ
14 ADC
15 切替設定部
16、16-1~から16-7 切替部
20 CPU
21 メモリ
22 バス
23 DAC制御部
24 DAC
31、31-1、31-2、・・・、31-n 記憶回路
32 平均化回路
Cv、Ca、Cs 制御信号
Sa アナログ計測値
Sd デジタル計測値
TIM1、TIM2 タイマ信号
Tm 計測期間
Tw 予備期間
tset 切替タイミング
tmes 計測タイミング
TIMA ADC用タイマ信号
Tc タイマ制御信号