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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/00 20060101AFI20240903BHJP
   G01R 15/20 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G01R15/00 500
G01R15/20 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022548868
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 DE2021200018
(87)【国際公開番号】W WO2021175382
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】102020202694.7
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Continental-Plaza 1, 30175 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】イルジグラー・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ベーム・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】グローベ・ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ラーオ・スーダーシャン
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0120906(US,A1)
【文献】特表2016-524447(JP,A)
【文献】国際公開第2020/032514(WO,A1)
【文献】特開2009-281773(JP,A)
【文献】特開2015-210272(JP,A)
【文献】国際公開第2007/068221(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016218049(DE,A1)
【文献】国際公開第2013/007833(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 15/00-17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセンサの導電体を流れる車両用高電圧バッテリの電流を検出するための前記バッテリセンサであって、前記バッテリセンサは、前記導電体を流れる前記電流を検出するための少なくとも2つの互いに独立した測定デバイスを有する当該バッテリセンサにおいて、
これらの測定デバイスは、これらの測定デバイスのうちの少なくとも1つの測定デバイスが前記導電体に接続されていて、残りの測定デバイスが前記導電体に接続されていないように構造的及び/又は電気的に完全に互いに分離されていて、
これらの測定デバイスを互いに完全に独立させるために、別個の電力供給部が、各測定デバイスに対して設けられていることを特徴とするバッテリセンサ。
【請求項2】
各測定デバイスは、別個のプリント回路基板上に配置されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリセンサ。
【請求項3】
各測定デバイスは、別個の信号入力及び/又は信号出力を有することを特徴とする請求項1~2のいずれか一項に記載のバッテリセンサ。
【請求項4】
前記測定デバイスは、互いから分離されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリセンサ。
【請求項5】
少なくとも1つの測定デバイスは磁気測定原理に従って機能し、前記測定デバイスは、ホールセンサを有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のバッテリセンサ。
【請求項6】
少なくとも1つの測定デバイスは、少なくとも1つの測定抵抗器と、前記測定抵抗器の両端の電圧降下を検出するための電圧検出デバイスとを有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のバッテリセンサ。
【請求項7】
第2の測定デバイスが、前記測定デバイスを前記信号入力又は信号出力から電気的に分離するための装置と、前記電力供給のための接続部とを備えることを特徴とする請求項6に記載のバッテリセンサ。
【請求項8】
前記装置は、少なくとも1つの変圧器を有することができることを特徴とする請求項7に記載のバッテリセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開発は、2つの独立した測定原理を用いて車両における電流を測定するための電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧のバッテリが、車両、特に電気車両又はハイブリッド車両において用いられている。車両が動作している場合、バッテリ電流は、車両バッテリの充電状態に関して正確に表すことができるように絶えず記録されなければならない。
【0003】
自動車分野において要求される信頼性を保証し、電流測定の要求される精度を保証するために、冗長な電流測定が、特に2つの相互に独立したセンサ及び/又は測定原理を用いて提供されなければならない。かかるセンサは、例えば、欧州特許出願公開第2732295A1号明細書において説明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、測定精度及び信頼性を向上させることによって上で説明したセンサを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、導電体を流れる電流を検出するためのバッテリセンサが提供され、バッテリセンサは、導電体を流れる電流を検出するための少なくとも2つの互いに独立した測定デバイスを有する。測定デバイスは、互いから構造的及び/又は電気的に完全に分離されている。測定デバイスの完全な分離は、それらが互いに影響を及ぼさないことを確実に保証する。
【0006】
例えば、各測定デバイスは、別個のプリント回路基板上に配置される。これは、測定デバイスがいずれの共通コンポーネントも用いないことを意味し、その結果、1つのコンポーネントへの影響がそれぞれの他の測定デバイスに影響を及ぼさない。特に、特定のプリント回路基板の構造的な欠点が2つの測定デバイスのうちの1つにおいてのみ生じる可能性があるように、異なる構造を有するプリント回路基板を用いることも可能である。特に、プリント回路基板は、生産における誤差が両測定デバイスに影響を及ぼす可能性がないように、別々に製造することができる。
【0007】
測定デバイスを互いに完全に独立させるために、別個の電力供給が各測定デバイスに設けられることが好ましい。従って、電力供給の1つにおけるエラーは、それぞれの他の測定デバイスに影響を及ぼさない。
【0008】
更に、各測定デバイスは、別個の信号入力及び/又は信号出力を有することが好ましい。これは、バッテリセンサ内部に共同の信号処理又は評価がないことを意味する。
【0009】
特に、測定デバイスは、相互の影響を確実に排除するために、互いから電気的に分離されている。例えば、測定デバイスは、互いから直流的に分離されるか、又は直流的に減結合される。
【0010】
少なくとも1つの測定デバイスは磁気測定原理に従って機能することができ、この測定デバイスは、特に、ホールセンサを有する。しかし、導体を流れる電流による磁界の変化を検出する他の磁気測定原理を用いることも可能である。
【0011】
少なくとも1つの測定デバイスは、少なくとも1つの測定抵抗器と、測定抵抗器の両端の電圧降下を検出するための電圧検出デバイスとを有することができる。測定抵抗器を介して流れる電流は、測定された電圧差と測定抵抗器の既知の電気抵抗とからオームの法則によって計算することができる。
【0012】
この測定デバイスは、電圧検出の目的のために、測定抵抗器の上流及び下流で導電体と接触していることが好ましい。この測定デバイス内部での導電体から信号出力又は信号入力及び/又は電力供給への電圧フラッシュオーバーを防止するために、測定デバイスを信号入力又は信号出力及び電力供給のための接続部から電気的に分離するための装置が設けられていることが好ましい。
【0013】
例えば、これらの装置は、少なくとも1つの変圧器を有する。特に、かかる変圧器は、プリント回路基板内部において省スペース方式で配置することができる。
【0014】
同じ測定原理を有する、例えば、測定抵抗器又は磁気測定原理を有する2つの測定デバイスを用いることもできる。共通の干渉要因による影響を排除又は少なくとも低減するために、測定デバイスが互いに完全に独立していることを保証することのみが必要である。しかし、電圧降下の検出及び信号処理が互いに完全に独立しており、干渉要因による両方の測定に対する共通の影響が排除される限り、両測定デバイスが同じ測定抵抗器を用いることは可能である。
【0015】
更なる利点及び特徴は、添付図面と共に以下の説明において見出される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】バッテリセンサの略図を示す。
図2】バッテリセンサの第2の略図を示す。
図3】バッテリセンサの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
電流センサは、高電圧回路内に配置され、それを通ってバッテリ電流が、従って、流れる導電体(母線800V)を有している。電流センサは、車両バッテリによって提供される大電流又は充電中に印加される大電流を測定するために、電気駆動又はハイブリッド駆動を有する車両において用いられることが好ましい。
【0018】
第1の測定デバイスは導電体の第1の部分に設けられ、ここで非接触電流測定が、ホールセンサ(非接触ASIC又は開ループHALL)による磁気測定原理を用いて行われる。ホールセンサには、5Vの低電圧回路(電力供給部2)によって、例えば車両バッテリ(12V)によって電力が供給される。更に、ホールセンサは、測定値を出力するための信号出力(アナログ出力)を有する。ホールセンサ自体は、導電体に接続されておらず、従って、高電圧側(HV)との何の電気接点も有していない。ホールセンサは、従って、完全に低電圧側(LV)に配置されている。
【0019】
第2の測定デバイスは、測定抵抗器(シャント)と、測定抵抗器の上流及び下流のそれぞれの場合において導電体と接触する測定装置(シャントQuibz+Z)とを有する第2の部分に設けられている。測定デバイスは、測定抵抗器の上流及び下流の電圧、及び従って、測定抵抗器の両端の電圧降下を測定することができる。測定抵抗器を介して流れる電流は、電圧差と測定抵抗器の既知の電気抵抗とからオームの法則によって計算することができる。
【0020】
第2の測定デバイスはまた、5V又は12Vの低電圧電力接続(電力供給部1)と、測定値を出力するための信号出力部(CAN出力)とを有している。
【0021】
特に図1において見て取ることができるように、第2の測定デバイスは、測定抵抗器の上流及び下流の接続を介して高電圧回路に接続されている。高電圧側と低電圧側との間の分離は、ここで、電力供給部(DC/DC)において、又は対応して分離される信号出力部(分離CANドライバ)において行われる。第2の測定デバイスのプリント回路基板上において、例えば、電力供給部及び信号出力部は、高電圧側及び低電圧側を互いに分離する変圧器を介して分離される。
【0022】
代替として、信号伝送又は電力供給を可能にするが、電圧を確実に排除する設計手段の他の装置を設けることができる。
【0023】
ホールセンサ及びシャント測定が互いに完全に独立していることを確実にするために、それらは導電体の異なるセクションに配置される。
【0024】
更に、両測定デバイスのための電力供給は、互いに独立しており、即ち、電力供給内の誤差は、それぞれの測定デバイスのみに影響を及ぼし、両測定デバイスには影響を及ぼさない。
【0025】
加えて、図3において見て取ることができるように、別個のプリント回路基板(PCB1、PCB2)が、両測定デバイスのために設けられている。これは、測定デバイスが互いから完全に分離され、互いに影響を及ぼすことがないことを保証する。特に、測定デバイスは、任意の方法で互いに対して空間的に位置決めすることができる。加えて、例えば、生産の影響を最小限に抑えるために、例えば、異なるプリント回路基板を選択することができる。
【0026】
加えて、プリント回路基板を分離するための設計手段が、任意の相互解体を排除するために設けられてもよい。例えば、直流的な分離又は減結合を設けることができる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る。
1.
導電体を流れる電流を検出するためのバッテリセンサであって、前記バッテリセンサは、前記導電体を流れる前記電流を検出するための少なくとも2つの互いに独立した測定デバイスを有し、前記測定デバイスは、互いから構造的及び/又は電気的に完全に分離されている当該バッテリセンサ。
2.
各測定デバイスは、別個のプリント回路基板上に配置される上記1に記載のバッテリセンサ。
3.
別個の電力供給が各測定デバイスに対して設けられる上記1又は2に記載のバッテリセンサ。
4.
各測定デバイスは、別個の信号入力及び/又は信号出力を有する上記1~3のいずれか1つに記載のバッテリセンサ。
5.
前記測定デバイスは、互いから分離されている上記1~4のいずれか1つに記載のバッテリセンサ。
6.
少なくとも1つの測定デバイスは磁気測定原理に従って機能し、前記測定デバイスは、特に、ホールセンサを有する上記1~5のいずれか1つに記載のバッテリセンサ。
7.
少なくとも1つの測定デバイスは、少なくとも1つの測定抵抗器と、前記測定抵抗器の両端の電圧降下を検出するための電圧検出デバイスとを有する上記1~6のいずれか1つに記載のバッテリセンサ。
8.
前記第2の測定デバイスは、前記測定デバイスを前記信号入力又は信号出力から電気的に分離するための装置と、前記電力供給のための接続部とを備える上記7に記載のバッテリセンサ。
9.
前記装置は、少なくとも1つの変圧器を有することができる上記8に記載のバッテリセンサ。
図1
図2
図3