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特許7549037高周波環境のための冷却基板支持アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】高周波環境のための冷却基板支持アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240903BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022566350
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 US2020065708
(87)【国際公開番号】W WO2021221728
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】16/863,719
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パーケ, ヴィジェイ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヌージャイム, アンドリュー アントワン
(72)【発明者】
【氏名】プローティ, スティーヴン ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア デ ゴロルド, アルヴァロ
(72)【発明者】
【氏名】ペレス-グスマン, マルティン
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-187056(JP,A)
【文献】特開平06-181186(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1132632(KR,B1)
【文献】特開2012-142413(JP,A)
【文献】特表2014-521213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持アセンブリであって、
本体であって、
極低温冷凍装置に流体結合するように構成されたチャネルを有する静電チャックベースアセンブリと、
前記静電チャックベースアセンブリの下に配置された設備プレートと、を備える本体と、
前記設備プレートの底面に結合された接地プレートと、
その中に配置された流体コンジットを有する管状部材であって、前記管状部材は、前記設備プレートおよび前記接地プレートを通して配置され、前記静電チャックベースアセンブリに流体結合され、前記管状部材は、前記接地プレートの底面を越えて延びる第1の端部に配置された第1のエンドガイドおよびばねシールを有し、前記第1のエンドガイドは、前記管状部材の周りに配置され、前記管状部材の前記第1の端部を越えて延びる、管状部材と、
記接地プレートの底面物理的に結合されたコネクタであって、前記コネクタは、前記管状部材の一部を収納し、前記第1のエンドガイドおよび前記ばねシールは、前記接地プレートの前記底面の下方で前記コネクタ内に配置され、前記第1のエンドガイドは、前記ばねシールの軸方向の圧縮を制限する方法で前記管状部材および前記コネクタに接触し、前記ばねシールは、前記ばねシールと前記コネクタとの間に軸方向のシールを提供し、前記コネクタは、前記接地プレートに形成されたポケットの中に配置されたバイアスアセンブリおよびファスナを備えるコネクタと、
を備える基板支持アセンブリ。
【請求項2】
前記バイアスアセンブリが、前記ファスナと前記ポケットの間に結合された複数のスプリングフォームを備える、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項3】
前記コネクタが、前記コネクタの本体を取り囲んでいるスライドシールを含む、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項4】
前記コネクタが、前記コネクタ内に形成された1つまたは複数の真空チャネルを含む、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項5】
前記静電チャックベースアセンブリに配置された静電チャックおよびベースアセンブリをさらに備え
前記静電チャックは、RF電極を有する、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項6】
前記静電チャックの底面と前記静電チャックベースアセンブリの頂面の間のインターフェースに結合層をさらに備える、請求項5に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項7】
前記コネクタがサーマルガスケットによって前記接地プレートの下部表面に結合されている、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項8】
前記流体コンジットの第2の端部に配置された第2のエンドガイドであって、前記第2のエンドガイドは、前記静電チャックベースアセンブリと接触し、その上に配置された摩擦低減コーティングを含む、第2のエンドガイドをさらに備える、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項9】
前記第1のエンドガイドが、前記第1のエンドガイド上に配置された摩擦低減コーティングを含む、請求項8に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項10】
基板支持アセンブリであって、
静電チャックを支持するためのベースアセンブリと、
前記ベースアセンブリに結合された設備プレートと、
前記設備プレートに結合された誘電体プレートと、
前記設備プレートに結合された接地プレートと、
その中に配置された流体コンジットを有する管状部材であって、前記管状部材は、前記設備プレートおよび前記接地プレートを通して配置され、前記管状部材は、前記接地プレートの底面を越えて延びる第1の端部に配置された第1のエンドガイドおよびばねシールを有し、前記第1のエンドガイドは、前記管状部材の周りに配置され、前記管状部材の前記第1の端部を越えて延びる、管状部材と、
記接地プレートの底面に結合されたコネクタであって、前記コネクタは、前記管状部材の一部を収納し、前記第1のエンドガイドおよび前記ばねシールは、前記接地プレートの前記底面の下方で前記コネクタ内に配置され、前記第1のエンドガイドは、前記ばねシールの軸方向の圧縮を制限する方法で前記管状部材および前記コネクタに接触し、前記ばねシールは、前記ばねシールと前記コネクタとの間に軸方向のシールを提供し、前記コネクタは、前記接地プレートに形成されたポケットの中に配置されたバイアスアセンブリおよびファスナと、前記コネクタの本体を取り囲むスライドシールとを備えるコネクタと
を備える基板支持アセンブリ。
【請求項11】
前記ベースアセンブリの頂面に配置された結合層をさらに備える、請求項10に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項12】
前記コネクタが、サーマルガスケットによって前記接地プレートの下部表面に結合されている、請求項10に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項13】
前記流体コンジットの第2の端部に配置された第2のエンドガイドであって、前記第2のエンドガイドは、前記静電チャックベースアセンブリと流体結合し、その上に配置された摩擦低減コーティングを含む、第2のエンドガイドをさらに備える、請求項10に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項14】
前記第1のエンドガイドが、前記第1のエンドガイド上に配置された摩擦低減コーティングを含む、請求項13に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項15】
前記流体コンジットの周りに設けられたスリーブをさらに備える、請求項10に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項16】
前記スリーブが、前記スリーブの外部表面と、前記ベースアセンブリ、前記誘電体プレート、および前記接地プレートとの間に形成された間隙を含む、請求項15に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項17】
基板支持アセンブリであって、
静電チャックと、
前記静電チャックに結合されたベースアセンブリであって、前記静電チャックを冷却するための極低温冷凍流体を流すように構成されたベースチャネルを有するベースアセンブリと、
前記ベースアセンブリに結合された設備プレートであって、温度制御流体を流すように構成されたチャネルを有する設備プレートと、
前記設備プレートに結合された誘電体プレートと、
前記設備プレートに結合された接地プレートと、
その中に配置された流体コンジットを有する管状部材であって、前記管状部材は、前記設備プレートおよび前記接地プレートを通して配置され、前記管状部材は、前記接地プレートの底面を越えて延びる第1の端部に配置された第1のエンドガイドおよびばねシールを有する、管状部材と、
記接地プレートの底面に結合されたコネクタであって、前記コネクタは、前記管状部材の一部を収納し、前記第1のエンドガイドおよび前記ばねシールは、前記接地プレートの前記底面の下方で前記コネクタ内に配置され、前記第1のエンドガイドは、前記ばねシールの軸方向の圧縮を制限する方法で前記管状部材および前記コネクタに接触し、前記ばねシールは、前記ばねシールと前記コネクタとの間に軸方向のシールを提供し、前記コネクタは、前記接地プレートに形成されたポケットの中に配置されたバイアスアセンブリおよびファスナと、前記コネクタの本体を取り囲むスライドシールとを備えるコネクタと
を備える基板支持アセンブリ。
【請求項18】
前記ベースアセンブリの頂面に配置された結合層をさらに備える、請求項17に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項19】
前記コネクタがサーマルガスケットによって前記接地プレートの下部表面に結合されている、請求項17に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項20】
ベース流路と流体結合する前記流体コンジットの第2の端部に配置された第2のエンドガイドをさらに備え、前記第2のエンドガイドが、前記第2のエンドガイド上に配置された摩擦低減コーティングを含む、請求項17に記載の基板支持アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に半導体チャンバ部品に関し、より詳細には高周波電界中で使用するための冷却基板支持アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノメートルおよびそれより小さい特徴を高い信頼性で生産することは、半導体デバイスの次世代の超大規模集積(VLSI)および極超大規模集積(ULSI)に関する主要な技術的課題の1つである。しかしながら回路技術の限界が迫っているため、VLSIおよびULSI相互接続技術の寸法縮小は、処理能力に対して追加的な要求を課している。基板の上にゲート構造を高い信頼性で形成することは、VLSIおよびULSIが成功するために重要であり、また、回路密度を高くし、かつ、個々の基板およびダイの品質を高くするための努力を継続するために重要である。
【0003】
製造コストを低減するために、集積チップ(IC)製造者は、処理されたすべてのシリコン基板に対して、より高いスループットおよびより良好なデバイス歩留りならびに性能を要求している。現在の開発の下で次世代デバイスのために探求されているいくつかの製造技法には、極低温温度での処理が必要である。極低温温度で一様に維持された基板にドライ反応性イオンエッチングを施すことにより、自然エッチングが減少した状態で、基板の上に配置された材料の上向きの表面にイオンを浴びせることができ、それにより滑らかな垂直側壁を有するトレンチが形成される。さらに、極低温温度では、他の材料に対する1つの材料のエッチングの選択性を改善することができる。例えばケイ素(Si)と二酸化ケイ素(SiO)の間の選択性は温度の低下につれて指数的に高くなる。
【0004】
極低温温度処理を可能にするための基板支持アセンブリの動作は、しばしば、基板支持アセンブリを通って循環する冷却材の使用に頼っている。冷却材を経路化するために使用されるコンジットは、接地され、かつ、電力が供給される基板支持アセンブリの部分に及ぶため、冷却材およびコンジットは、短絡を防止するために電気的に十分に絶縁性でなければならない。しかしながら、絶縁性コンジット内における冷却材の流れは、常に、配管上に電荷を帯電させる原因になり、これは、コンジットと基板支持アセンブリの接地部分との間にアークが発生する十分な原因になり得る。さらに、基板支持アセンブリの冷却および加熱は、膨張および収縮の原因になり、これは、コンジットにおける漏れの原因になり得る。アークの発生および/または冷却材の漏れは、多くの問題をもたらし、あるいは多くの問題の一因になり得る。
【0005】
したがって改良された基板支持アセンブリが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本明細書においては、極低温温度の流体を運ぶための1つまたは複数の流体コンジットを含む基板支持アセンブリが説明される。流体コンジットはアークの発生を少なくするように構成される。
【0007】
一実施形態では、本明細書において、基板支持アセンブリであって、設備プレートと、該設備プレートに結合された接地プレートと、設備プレートおよび接地プレートを通して配置された、基板支持アセンブリ内に配置された流体コンジットと、該流体コンジットの一部を収納している接地プレートに結合されたコネクタとを含む基板支持アセンブリが説明される。コネクタは、接地プレートに形成されたポケットの中に配置されたバイアスアセンブリおよびファスナを備える。
【0008】
別の実施形態では、基板支持アセンブリであって、静電チャックを支持するためのベースアセンブリと、該ベースアセンブリに結合された設備プレートと、該設備プレートに結合された誘電体プレートと、設備プレートに結合された接地プレートと、設備プレートおよび接地プレートを通して配置された、基板支持アセンブリ内に配置された流体コンジットと、該流体コンジットの一部を収納している接地プレートに結合されたコネクタとを含む基板支持アセンブリが説明される。コネクタは、接地プレートに形成されたポケットの中に配置されたバイアスアセンブリおよびファスナを備える。スライドシールがコネクタの本体を取り囲む。
【0009】
別の実施形態では、本明細書において、基板支持アセンブリであって、静電チャックと、該静電チャックに結合されたベースアセンブリと、該ベースアセンブリに結合された設備プレートと、該設備プレートに結合された誘電体プレートと、設備プレートに結合された接地プレートと、設備プレートおよび接地プレートを通して配置された、基板支持アセンブリ内に配置された流体コンジットと、該流体コンジットの一部を収納している接地プレートに結合されたコネクタとを含む基板支持アセンブリが説明される。コネクタは、接地プレートに形成されたポケットの中に配置されたバイアスアセンブリおよびファスナを備える。スライドシールがコネクタの本体を取り囲む。
【0010】
以下、上で簡単に要約した本開示について、添付の図面にそのうちのいくつかが示されている実施形態を参照して、上で言及した本開示の特徴を詳細に理解することができる方法でより詳細に説明する。しかしながら、添付の図面は例示的実施形態を示したものにすぎず、したがって本開示の範囲を制限するものと見なしてはならず、他の同様に有効な実施形態を許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態による例示的プラズマ処理チャンバの略横断面図である。
図2】実施形態による例示的基板支持アセンブリの略断面図である。
図3図2の基板支持アセンブリの一部の断面図である。
図4】本明細書において開示されるコネクタの等角図である。
図5】本明細書において説明される基板支持アセンブリを通る真空経路の一実施形態を示す略断面図である。
図6A図3および図5で説明されている管状部材を有するエンドガイドとして使用することができる上部エンドガイドの断面図(図6A)、および図3および図5で説明されている管状部材を有するエンドガイドとして使用することができる下部エンドガイドの断面図(図6B)である。
図6B図3および図5で説明されている管状部材を有するエンドガイドとして使用することができる上部エンドガイドの断面図(図6A)、および図3および図5で説明されている管状部材を有するエンドガイドとして使用することができる下部エンドガイドの断面図(図6B)である。
図7】ばねシールの一実施形態の部分等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、可能である場合、図面で共通の全く同じ要素を示すために全く同じ参照数表示が使用されている。1つの実施形態の要素および特徴は、さらに言及されることなく、他の実施形態に有利に組み込むことができることが企図されている。
【0013】
本明細書において説明される実施形態は、静電チャック(ESC)の極低温温度動作を可能にする基板支持アセンブリを提供し、したがって処理チャンバの他の表面が異なる温度に維持されている間、静電チャック(ESC)の上に配置された基板が処理のために適した極低温処理温度に維持される。極低温処理温度(すなわち基板の温度)は、基板支持体における温度が摂氏-10度未満であることを表すことが意図されている。
【0014】
以下では、エッチ処理チャンバにおける基板支持アセンブリが説明されるが、基板支持アセンブリは、とりわけ物理的気相堆積チャンバ、化学気相堆積チャンバ、イオン注入チャンバなどの他のタイプのプラズマ処理チャンバ、および極低温処理温度に維持された基板の処理が望ましい他のシステムに利用することも可能である。しかしながら、本明細書において説明されている基板支持アセンブリおよびチャンバ部品は、他の処理温度で利用することができることに留意されたい。
【0015】
図1は例示的プラズマ処理チャンバ100の略横断面図であり、示されている例示的プラズマ処理チャンバ100は、基板支持アセンブリ101を有するエッチチャンバとして構成されている。上で言及したように、基板支持アセンブリ101は他のタイプのプラズマ処理チャンバに利用することができ、例えばとりわけプラズマ処置チャンバ、アニーリングチャンバ、物理的気相堆積チャンバ、化学気相堆積チャンバおよびイオン注入チャンバ、ならびに基板124などのワークピースの表面を極低温処理温度で一様に維持する能力が望ましい他のシステムに利用することができる。極低温処理温度に維持された基板124をドライ反応性イオンエッチングすることにより、自然エッチングが減少した状態で、基板124の上に配置された材料の上向きの表面にイオンを浴びせることができ、それにより滑らかな垂直側壁を有するトレンチが形成される。例えば極低温処理温度で一様に維持された基板124の上に配置された低k誘電体材料の孔におけるイオンの拡散が減少し、その一方で滑らかな垂直側壁を有するトレンチを形成するための低k誘電体材料の上向きの表面にイオンを浴びせ続ける。さらに、極低温処理温度では、他の材料に対する1つの材料のエッチングの選択性を改善することができる。例えばケイ素(Si)と二酸化ケイ素(SiO)の間の選択性は温度の低下につれて指数的に高くなる。
【0016】
プラズマ処理チャンバ100は、側壁104と、底部106と、処理領域110を密閉する蓋108とを有するチャンバ本体102を含む。注入装置112はチャンバ本体102の側壁104および/または蓋108に結合されている。ガスパネル114は注入装置112に結合され、それによりプロセスガスを処理領域110に提供することができる。注入装置112は、1つまたは複数のノズルまたは入口ポートであってもよく、あるいは別法としてシャワーヘッドであってもよい。プロセスガスは、チャンバ本体102の側壁104または底部106に形成されている排気口116を介して、処理副産物と共に処理領域110から除去される。排気口116はポンピングシステム140に結合されており、ポンピングシステム140は、処理領域110内の真空レベルを制御するために利用されるスロットルバルブおよびポンプを含む。処理副産物も、ポンピングシステム140を使用して、排気口116を介して除去される。
【0017】
プロセスガスにエネルギーを供給して、処理領域110内にプラズマを形成することができる。プロセスガスには、RF電力をプロセスガスに容量結合または誘導結合することによってエネルギーを供給することができる。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる、図1に描写されている一実施形態では、複数のコイル118がプラズマ処理チャンバ100の蓋108の上方に配置され、整合回路120を介してRF電源122に結合されている。
【0018】
基板支持アセンブリ101は、処理領域110の中の注入装置112の下方に配置されている。基板支持アセンブリ101は、静電チャック(ESC)103およびESCベースアセンブリ105を含む。ESCベースアセンブリ105はESC103および設備プレート107に結合されている。接地プレート111によって支持された設備プレート107は、基板支持アセンブリ101との電気、冷却、加熱およびガス接続を容易にするように構成されている。接地プレート111は処理チャンバの底部106によって支持されている。誘電体プレート109は、設備プレート107を接地プレート111から電気的に絶縁している。
【0019】
ESCベースアセンブリ105は、極低温冷却装置117に流体結合されたベースチャネル115を含む。極低温冷却装置117は、冷媒などのベース流体をベースチャネル115に提供しており、したがってESCベースアセンブリ105、延いては基板124を所定の極低温温度に維持することができる。同様に、設備プレート107は、冷却装置119に流体結合された設備チャネル113を含む(図2でさらに詳細に説明される)。冷却装置119は、設備プレート107が所定の温度に維持されるよう、設備チャネル113に設備流体を提供している。一例では、ベース流体はESCベースアセンブリ105を設備プレート107の温度未満の温度に維持する。
【0020】
ESC103は、支持表面130および該支持表面130の反対側の底面132を有している。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、ESC103は、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、または他の適切な材料などのセラミック材料から製造されている。別法としては、ESC103は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン、等々などの重合体から製造することも可能である。
【0021】
結合層133は、ESC103の底面132とESCベースアセンブリ105の頂面134の間のインターフェースに設けられている。ESC103およびESCベースアセンブリ105は、実質的に同様である熱膨張係数(CTE)を有する材料から選択される。ESC103はアルミナ(Al)または窒化アルミニウム(AlN)でできていてもよい。ESCベースアセンブリ105は、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、セラミックまたはそれらの組合せでできていてもよい。結合層133の例示的材料には、インジウム(In)、Al、シリコーン(Siを含有している)、ペルフルオロポリマーまたはそれらの組合せ、およびそれらの合金がある。一用途では、酸化アルミニウムESCのCTEを有するMoとAlの合金(約5~40%のアルミニウム)がESCベースアセンブリ105のために使用される。結合層133により、動作中、摂氏約90度ないし摂氏約-200度の温度によるESC103とESCベースアセンブリ105のCTEのわずかな差によるひずみを吸収することができる。結合層133は、熱伝導率を改善するためにセラミック粉末と混合することができ、これは、ESC103およびESCベースアセンブリ105からの伝導による改善された伝熱を提供し、ESC103の動作を強化する。
【0022】
ESC103は、その中に配置されたチャック電極126を含む。チャック電極126は、単極性電極または双極性電極、あるいは他の適切な構造として構成することができる。チャック電極126は、RFフィルタおよび設備プレート107を介してチャック電源135に結合されており、チャック電源135は、DC電力を提供して基板124をESC103の支持表面130に静電的に固着する。RFフィルタは、プラズマ処理チャンバ100内にプラズマ(図示せず)を形成するために利用されるRF電力が電気機器を損傷する、またはチャンバの外部に電気的障害をもたらすのを防止する。
【0023】
ESC103は、中に埋設された1つまたは複数の抵抗加熱器128を含む。抵抗加熱器128を利用して、基板支持アセンブリ101の支持表面130に配置された基板124を処理するのに適した極低温処理温度を維持することができるよう、ESCベースアセンブリ105によって冷却されるESC103の温度が制御される。抵抗加熱器128は、設備プレート107およびRFフィルタを介してヒータ電源136に結合されている。RFフィルタは、プラズマ処理チャンバ100内にプラズマ(図示せず)を形成するために利用されるRF電力が電気機器を損傷する、またはチャンバの外部に電気的障害をもたらすのを防止する。ヒータ電源136は、500ワット以上の電力を抵抗加熱器128に提供することができる。ヒータ電源136は、ヒータ電源136の動作を制御するために利用されるコントローラ(図示せず)を含み、コントローラは、通常、基板124を所定の極低温温度に加熱するように設定される。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、抵抗加熱器128は横方向に分離された複数の加熱ゾーンを含み、コントローラは、他のゾーンのうちの1つまたは複数に配置された抵抗加熱器128に対して、抵抗加熱器128のうちの少なくとも1つのゾーンを優先的に加熱させることができる。例えば抵抗加熱器128は、分離された複数の加熱ゾーンに同心で配置することができる。抵抗加熱器128は、基板124を処理に適した極低温処理温度に維持する。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、極低温処理温度は摂氏約-10度未満である。例えば極低温処理温度は摂氏約-10度と摂氏約-150度の間であり、摂氏約-200度までの温度を含む。
【0024】
極低温冷却装置117は、ESCベースアセンブリ105が所定の極低温温度に維持されるよう、ベースチャネル115の入口254(図2)に接続されたベース入口コンジット123を介して、また、ベースチャネル115の出口256(図2)に接続されたベース出口コンジット125を介してベースチャネル115と流体連結している。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、極低温冷却装置117は、ベース流体の温度を制御するためにインターフェースボックスに結合されている。ベース流体は、液体を動作圧力で摂氏-50度未満の極低温温度に保つ組成物を含む。ベース流体は一般的には誘電体であり、または電気的に絶縁性であり、したがってベース流体が基板支持アセンブリ101を通って循環しても、ベース流体を通る電気経路は形成されない。適切なベース流体の非制限の例にはフッ素化された伝熱流体がある。極低温冷却装置117は、ESCベースアセンブリ105のベースチャネル115を通って循環するベース流体を提供している。ベースチャネル115を通って流れるベース流体により、ESCベースアセンブリ105を極低温温度に維持することができ、それによりESC103の横方向の温度プロファイルの制御を促進することができ、したがってESC103の上に配置された基板124が極低温処理温度に一様に維持される。本明細書において説明されている他の実施形態の中で組み合わせることができる一実施形態では、極低温冷却装置117は、摂氏約-50度未満の極低温温度を維持するように動作することができる単段冷却装置である。本明細書において説明されている他の実施形態の中で組み合わせることができる別の実施形態では、極低温冷却装置117は2段冷却装置であり、この2段冷却装置は、ベース流体が摂氏-50度未満の極低温温度に維持されるよう、2段冷却装置の内部の冷媒を利用している。
【0025】
冷却装置119は、設備プレート107が所定の周囲温度に維持されるよう、設備チャネル113の入口240(図2)に接続された設備入口コンジット127を介して、また、設備チャネル113の出口242(図2)に接続された設備出口コンジット129を介して、設備チャネル113と流体連結している。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、冷却装置119は、設備流体の温度を制御するためにインターフェースボックスに結合されている。設備流体は、周囲温度を摂氏約-10度と摂氏約60度の間に維持することができる材料を含むことができる。冷却装置119は、設備プレート107の設備チャネル113を通って循環する設備流体を提供する。設備流体は一般的には誘電体であり、または電気的に絶縁性であり、したがって設備流体が基板支持アセンブリ101を通って循環しても、設備流体を通る電気経路は形成されない。適切な設備流体の非制限の例にはフッ素化された伝熱流体がある。設備チャネル113を通って流れる設備流体により、設備プレート107を所定の周囲温度に維持することができ、それにより誘電体プレート109を所定の周囲温度に維持するのを助けることができる。
【0026】
図2は、実施形態による例示的基板支持アセンブリ101の略断面図である。基板支持アセンブリ101は、ESC103の極低温温度動作を可能にするように構成されており、したがってESC103の上に配置された基板124が極低温処理温度に維持される。ESC103はESCベースアセンブリ105に結合されている。チャック電極126は、設備プレート107の下部絶縁体212およびESCベースアセンブリ105の上部絶縁体214中の第1の穴208を通して配置された第1の絶縁ワイヤ204を介してチャック電源135に結合されている。1つまたは複数の抵抗加熱器128は、設備プレート107の下部絶縁体212およびESCベースアセンブリ105の上部絶縁体214中の第2の穴210を通して配置された第2の絶縁ワイヤ206を介してヒータ電源136に結合されている。いくつかの実施形態では、ESCベースアセンブリ105は、上部プレート215および下部プレート217を含む。断熱層227は上部プレート215と下部プレート217の間に設けられている。上部プレート215はMoからできていてもよく、一方、下部プレート217はAlである。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、断熱層227はポリアミド-イミド(PAI)またはポリイミド(PI)を含有した材料を含む。
【0027】
設備プレート107はプレート部分229および壁部分230を含む。設備プレート107のプレート部分229は、1つまたは複数の第1のねじアセンブリ220を使用してESCベースアセンブリ105に結合されており、したがってESCベースアセンブリ105と設備プレート107の間に真空領域222が存在している。1つまたは複数の第1のねじアセンブリ220の各々は、バイアス要素226を介して設備プレート107と接触し、かつ、ESCベースアセンブリ105のねじ付き孔228に挿入されているボルト224を含む。
【0028】
バイアス要素226は、圧縮されたときに力を生成するために利用される。適切なバイアス要素226は、コイルばね、スプリングフォーム、およびエラストマを含む。一例では、バイアス要素226は複数のBellevilleワッシャーである。バイアス要素226はボルト224を締めることによって圧縮され、それにより設備プレート107がESCベースアセンブリ105に押し付けられる(すなわち予荷重がかけられる)。
【0029】
動作中、ESCベースアセンブリ105は概ねRFホット状態に維持される。設備プレート107は壁部分230を含み、また、シール232によってESC103に結合されている。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、設備プレート107の下部絶縁体212は、シール232を介して真空領域222を維持している。シール232によってESC103に結合された壁部分230は、プロセスガスとの接触による潜在的腐食および/または浸食からESCベースアセンブリ105の材料を保護している。
【0030】
真空領域222は、ESC103、ESCベースアセンブリ105、設備プレート107およびシール232によって画定されている。真空領域222は、冷却されたESC103の裏側の凝縮を防止し、処理領域110(図1に示されている)の圧力とは無関係の圧力を有することによって基板支持アセンブリ101へのプロセスガスの流入を防止し、また、ESCベースアセンブリ105と設備プレート107の間の熱分離を提供している。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、設備プレート107はアルミニウムを含有した材料を含む。
【0031】
設備プレート107の設備チャネル113は設備プレート中に機械加工され、カバー238で密閉されている。一例では、カバー238は、設備チャネル113を密閉するために設備プレート107に溶接されている。設備チャネル113の入口240は、誘電体プレート109および接地プレート111を介して配置された入口コンジット244と流体連結している。設備チャネル113の出口242は、誘電体プレート109および接地プレート111を介して配置された出口コンジット246と流体連結している。入口コンジット244および出口コンジット246は、設備入口コンジット127に接続された接続入口250、および設備出口コンジット129に接続された接続出口252を有している。動作中、設備プレート107は概ねRFホット状態に維持される。
【0032】
ESCベースアセンブリ105のベースチャネル115は、設備プレート107、誘電体プレート109および接地プレート111を介して配置された入口コンジット258と流体連結している入口254を含む。ベースチャネル115の出口256は、設備プレート107、誘電体プレート109および接地プレート111を介して配置された出口コンジット260と流体連結している。入口コンジット258および出口コンジット260は、基板支持アセンブリ101の真空領域222内に配置されている。入口コンジット258および出口コンジット260は、それぞれのインターフェースブロック270に接続されている。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、インターフェースブロック270はステンレス鋼から製造されている。入口コンジット258は流体入口コンジット266および真空チャネル262を含む。ジャケット出口コンジット260は流体出口コンジット268および真空チャネル264を含む。インターフェースブロック270については、図3でより詳細に説明される。
【0033】
入口コンジット258および出口コンジット260は、ベース入口272、真空チャネル276、ベース出口274、および真空チャネル278を含む。ベース入口272は流体入口コンジット266をベース入口コンジット123に接続している。ベース出口274は流体出口コンジット268をベース出口コンジット125に接続している。真空チャネル276は、真空源284と流体連結している真空コンジット280に接続され、真空チャネル278は、真空源284と流体連結している真空コンジット282に接続されている。真空チャネル276および真空チャネル278は、いずれも真空領域222と流体連結している。真空源284を真空領域222に結合することにより、処理領域110の圧力とは無関係の圧力を真空領域222に維持することができる。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、流体入口コンジット266および流体出口コンジット268は、真空領域222の圧力を維持するために、シール232によってESCベースアセンブリ105に結合されている。
【0034】
基板支持アセンブリ101はまた、基板124をESC103の支持表面130の上方に持ち上げて、プラズマ処理チャンバ100の中へのロボット移送、およびプラズマ処理チャンバ100からのロボット移送を容易にするためのリフトピン(図示せず)を収容するための1つまたは複数のリフトピンアセンブリ286も含む。1つまたは複数のリフトピンアセンブリ286の各々は、ESC103、ESCベースアセンブリ105、設備プレート107、誘電体プレート109および接地プレート111を通して配置されたリフトピンガイド288を含む。リフトピンガイド288のうちのESCベースアセンブリ105を通して配置された部分290は、リフトピンガイド288を所定の位置に保持するねじ付きブッシング292によって取り囲まれている。リフトピンガイド288は、チャンバの真空および絶縁を維持するためにシール232によってESC103に結合されている。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、ESC103は、基板124の裏側およびESC103の支持表面130にヘリウムなどの裏側伝熱ガスを提供するための1つまたは複数のガス通路(図示せず)を含む。
【0035】
図3は、図2の基板支持アセンブリ101の一部の断面図である。インターフェースブロック270は、基板支持アセンブリ101への流体出口コンジット268の結合を容易にするコネクタ300を含む。詳細には、コネクタ300は、流体出口コンジット268の管状部材305を接地プレート111に結合している。図示されておらず、また詳細には説明されていないが、流体入口コンジット266は、図3で説明されているように、専用インターフェース接続(すなわちインターフェースブロック270)、コネクタ(すなわちコネクタ300)、および管状部材(すなわち管状部材305)を含む。
【0036】
コネクタ300は、ねじまたはボルトなどの少なくとも1つのファスナ310によって接地プレート111に結合されている本体302を含む。図3の断面図には1つのファスナしか示されていないが、コネクタ300は約3つまでのファスナを利用して接地プレート111に結合される。接地プレート111の一部は、そこに形成されたポケット315を含む。図3の断面図には1つのポケットしか示されていないが、ポケットの数は、コネクタ300と共に利用されるファスナの数に等しい。ファスナ310に結合されているバイアスアセンブリ320はポケット315の中に位置する。バイアスアセンブリ320は、互いに対して、ならびにファスナ310およびポケット315に対してバイアスされる複数のスプリングフォーム325を含む。複数のスプリングフォーム325の各々は、基板支持アセンブリ101の温度に基づいて圧縮および展開する。例えば冷媒が基板支持アセンブリ101に提供されると(例えば基板支持アセンブリ101が冷やされると)、スプリングフォーム325は展開する。基板支持アセンブリ101が冷却されない場合、スプリングフォーム325は圧縮する。したがってバイアスアセンブリ320(コネクタ300、スプリングフォーム325およびポケット315のうちの1つまたはこれらの組合せ)は、使用中、接地プレート111に対するコネクタ300の少なくとも垂直(Z方向)運動を許容する。複数のスプリングフォーム325の各々は、Bellevilleワッシャーなどの皿ばねワッシャーであってもよい。
【0037】
コネクタ300はまた、動的すなわちスライドシール335の一部を画定している環状ポケット330も含む。スライドシール335は、Oリングなどのエラストマシール340も含む。スライドシール335は、使用中、接地プレート111に対するコネクタ300の垂直運動を許容し、周囲の圧力または大気圧から真空または負圧を維持する。例えば管状部材305の外部表面と、コネクタ300、誘電体プレート109および接地プレート111の部分との間に管状部材305の長さに沿って形成された間隙345は、基板支持アセンブリ101を使用している間、真空圧力に維持される。一方、コネクタ300の外部表面350は、周囲または大気状態と流体連結している。したがって、スライドシール335は、コネクタ300内およびコネクタ300外の圧力を維持する気密シールを構成する。さらに、使用中、スライドシール335の近くの基板支持アセンブリ101の温度は室温であるかまたはほぼ室温であり、これはエラストマシール340の劣化を防止する。
【0038】
コネクタ300は、サーマルガスケット360によって接地プレート111の下部表面355にも結合されている。サーマルガスケット360は、パッドの形態の熱伝導性ゲル材料である。サーマルガスケット360はシリコーン材料を備えている。コネクタ300はまた、1つまたは複数の第1のチャネル、すなわち下部チャネル365、および1つまたは複数の第2のチャネル、すなわち上部チャネル370も含む。図3の断面図には、複数の下部チャネル365のうちの1つ、および複数の上部チャネル370のうちの1つしか示されていないが、コネクタ300は、それぞれ3つ、4つ、またはそれ以上の下部チャネル365および上部チャネル370を有することができる。以下でより詳細に説明されるように、下部チャネル365および上部チャネル370により、管状部材305の周りに真空をポンプ供給することができる。例えば下部チャネル365および上部チャネル370を介したポンプ供給により、間隙345を通して容易に負圧を提供することができる。
【0039】
管状部材305は、管状部材305の長さに沿って形成された、極低温冷却装置117に冷媒を流すためのチャネル375を含む。管状部材305はまた、エンドガイド380ならびにばねシール385も含む。以下で、図5で説明されるように、管状部材305は、管状部材305の両方の端部にエンドガイド380およびばねシール385を含む。図6でより詳細に説明されるように、エンドガイド380は、ばねシール385を所定の位置に保持し、および/またはばねシール385の圧縮を制限する。エンドガイド380の端部はまた、基板支持アセンブリ101の半径方向の膨張および収縮による管状部材305の傾斜を防止する。例えばエンドガイド380により、管状部材305はX/Y平面を横方向に移動することができる(基板支持アセンブリ101を使用している間(例えば半径方向に膨張し、収縮している間))。エンドガイド380により、真空のポンプ供給も可能となり、その一方でコネクタ300およびESC103との管状部材305のインターフェースにおけるアークの発生を最小化することができる。
【0040】
図4は、本明細書において開示されているコネクタ300の等角図である。コネクタ300は、管状部材305(図3に示されている)を受け取るようにサイズ化された中央開口400を含む。さらに、コネクタ300はフランジ405も含む。フランジ405は複数の貫通孔410を含み、個々の貫通孔410はファスナ310(図3に示されている)を受け取るように適合されている。コネクタ300はまた、第1のショルダー、すなわち上部ショルダー415、および第2のショルダー、すなわち下部ショルダー420を含む。環状ポケット330(図3に示されている)は上部ショルダー415と下部ショルダー420の間に画定されている。
【0041】
図5は、基板支持アセンブリ101を通る真空経路500の一実施形態を示す略断面図である。真空経路500は図5に矢印で示されている。真空経路500は、管状部材305の第1の端部505から管状部材305の第2の端部510までのコンダクタンス経路である。コンダクタンス経路は、エンドガイド380の中または周りの隙間空間515を通る、間隙345までの流れを含む。いくつかの実施形態では、管状部材305の外部表面の一部はスリーブ520を含む。スリーブ520は、スリーブ520の外部表面と、ESCベースアセンブリ105、誘電体プレート109および接地プレート111との間に形成された間隙525を含む。いくつかの実施形態では、間隙345は第1のチャネル、すなわち内部チャネル530であり、また、間隙525は第2のチャネル、すなわち外部チャネル535である。Oリングなどのシール540およびスライドシール335は、管状部材305が通って延びている様々な層を通るコンダクタンス経路を密閉している。
【0042】
いくつかの実施形態では、内部チャネル530は、管状部材305の外部表面およびスリーブ520の内部表面に形成された部分を含む、ヘリカルすなわち螺旋チャネル545を備えている。
【0043】
コンダクタンス経路はまた、スリーブ520に形成された、内部チャネル530および/または外部チャネル535と流体連結しているポート555を通って流れている。コンダクタンス経路はまた、コネクタ300の下部チャネル365と流体連結している複数の縦方向のチャネル560を介してコネクタ300の中まで延びている。
【0044】
図5に示されているように、第1の端部505および第2の端部510は、いずれもばねシール385を含む。ばねシール385は、軟らかいプラスチックの中に包み込まれたステンレス鋼などの金属材料でできたコイルばねを備えている。ばねシール385の例は図7に示されている。同じく図5に示されているように、管状部材305の第1の端部505および第2の端部510は、いずれもエンドガイド380を含む。
【0045】
図6Aおよび図6Bは、それぞれ上部エンドガイド600Aおよび下部エンドガイド600Bの断面図である。上部エンドガイド600Aおよび下部エンドガイド600Bは、図3および図5で説明した管状部材305を有するエンドガイド380として使用することができる。
【0046】
上部エンドガイド600Aおよび下部エンドガイド600Bは、ステンレス鋼などの金属材料でできた管状本体602を含む。管状本体602は、第1の端部605および該第1の端部605の反対側の第2の端部610を含む。管状本体602は、管状部材305の第1の端部505または管状部材305の第2の端部510(図5に示されている)を受け取るようにサイズ化された内径615を含む。管状本体600は内部壁620および外部壁625を含む。テーパ630は、第2の端部610と内部壁620の間のインターフェースに示されている。
【0047】
上部エンドガイド600Aの管状本体602は、管状本体602の第1の端部605にフランジ635を含む。フランジ635は、外部壁625から半径方向外側に延びている。フランジ635は、第1の表面645、側面650、および第2の表面655を含む。第1の表面645は、内部壁620または外部壁625の平面に対して概ね直角である。側面650は、内部壁620または外部壁625の平面に対して概ね平行である。第2の表面655は、第1の表面645に対して概ね平行である。インターフェース660は、第2の表面655を外部壁625に移行させている。
【0048】
上部エンドガイド600Aの第1の表面645は、ESCベースアセンブリ105と接触し(管状部材305の一方の端部上で)、また、コネクタ300と接触する(管状部材305のもう一方の端部で)ように適合される接触表面640を含む。上部エンドガイド600Aと同様、下部エンドガイド600Bも第1の表面645を含む。接触表面640はコーティング665を含む。コーティング665は、それには限定されないがペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)系材料を含むフルオロポリマーなどの重合材料である。
【0049】
図7は、ばねシール385の一実施形態の略部分等角図である。ばねシール385はシールアセンブリ700を含む。シールアセンブリ700は、ばね710がシールアセンブリ700のチャネル715の中に配置された重合体本体705を含む。図7は、面シールとしてシールアセンブリ700を示しているが、本明細書において説明されている実施形態は、重合体本体705または金属シールとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を有するピストン(すなわち半径方向)シールを含むことも可能である。本明細書において説明されているシールは、摂氏約-260度と摂氏約290度の間の温度での真空領域222の密閉を提供する。本明細書において説明されている他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、ばね710は、ステンレス鋼、ニッケル合金、ニッケル-クロム合金、およびコバルト-クロム-ニッケル-モリブデン合金を含有した材料を含む。シールアセンブリ700により、ESC103を極低温温度で密閉することができる。シールアセンブリ700は、摂氏約-260度と摂氏約290度の間の温度で動作することができる。
【0050】
本明細書において説明されているエンドガイド380は、図5で説明した真空経路500のための流れを提供する。エンドガイド380はばねシール385の過剰圧縮(管状部材305の縦(長さ)方向の)を防止するが、管状部材305の限られた横方向の移動は許容する。しかしながら、使用中の温度変化による基板支持アセンブリ101の半径方向の膨張および収縮によって管状部材305が傾斜する、または動かなくなることがある。傾斜する、または動かなくなると、冷媒流体が漏れることになり得る。しかしながらコーティング665を利用して、ESCベースアセンブリ105と、エンドガイド380が上に位置する管状部材305の対合表面同士の間の摩擦が低減される。したがってコーティング665により、管状部材305は、使用中、基板支持アセンブリ101が膨張または収縮すると、これらの対合表面に対してスライドすることができる。さらに、コーティング665は誘電体であり、真空経路500中の、または真空経路500に沿ったアークの発生を最小化する、あるいは解消する。
【0051】
以上の説明は、本開示の例を対象としたものであるが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の例およびさらなる例を工夫することができ、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7