(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】反転装置、撮影装置、反転方法及び撮影方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/02 20060101AFI20240903BHJP
B65G 47/248 20060101ALI20240903BHJP
C30B 15/00 20060101ALI20240903BHJP
C30B 29/06 20060101ALI20240903BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C01B33/02 E
B65G47/248 G
C30B15/00 Z
C30B29/06 D
G01N21/84 C
(21)【出願番号】P 2023016440
(22)【出願日】2023-02-06
【審査請求日】2024-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】植杉 真也
(72)【発明者】
【氏名】神崎 正大
(72)【発明者】
【氏名】西川 正芳
【審査官】玉井 一輝
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/02
B65G 47/248
C30B 15/00
C30B 29/06
G01N 21/84
B65G 47/244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形する第1弾性変形部を有する第1挟持部と、
弾性変形する第2弾性変形部を有する第2挟持部と、
前記第1弾性変形部と、前記第2弾性変形部との間でポリシリコン
の破砕物が挟持された挟持状態で、前記ポリシリコン
の破砕物の撮影のために前記ポリシリコン
の破砕物を反転させる反転機構と、を備えることを特徴とする反転装置。
【請求項2】
前記第1弾性変形部は、
前記挟持状態で前記ポリシリコン
の破砕物と接触し弾性変形する第1弾性シートと、
前記第1弾性シートよりも軟質であるとともに、前記挟持状態で前記第1弾性シートに対して前記ポリシリコン
の破砕物とは反対側から接触し弾性変形する第1緩衝材と、を有し、
前記第2弾性変形部は、
前記挟持状態で前記ポリシリコン
の破砕物と接触し弾性変形する第2弾性シートと、
前記第2弾性シートよりも軟質であるとともに、前記挟持状態で前記第2弾性シートに対して前記ポリシリコン
の破砕物とは反対側から接触し弾性変形する第2緩衝材と、を有することを特徴とする請求項1に記載の反転装置。
【請求項3】
前記第1弾性シート及び前記第2弾性シートの硬度は、ショアA30以上かつショアA90以下であることを特徴とする請求項2に記載の反転装置。
【請求項4】
前記第1弾性シート及び前記第2弾性シートの厚みは、0.5mm以上かつ5mm以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の反転装置。
【請求項5】
前記第1緩衝材及び前記第2緩衝材の40%圧縮硬さは、20N以上かつ80N以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の反転装置。
【請求項6】
前記第1緩衝材及び前記第2緩衝材の反発弾性率は、1%以上かつ6%以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の反転装置。
【請求項7】
弾性変形する第1弾性変形部を有する第1挟持部と、
弾性変形する第2弾性変形部を有する第2挟持部と、
前記第1弾性変形部と、前記第2弾性変形部との間でポリシリコン
の破砕物が挟持された挟持状態で、前記ポリシリコン
の破砕物を反転させる反転機構と、
前記反転機構によって反転させられた前記ポリシリコン
の破砕物を撮影可能な撮影部と、を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項8】
前記撮影部が設けられる半球状の天井部を有するドーム部と、
(i)前記ドーム部の前記天井部における内面に光を照射することにより、当該内面で光を反射させて前記ドーム部の下方に向かって光を照射させる照射部、及び(ii)前記ドーム部の下方に向かって光を照射する照射部、の少なくとも一方の照射部と、を備え、
前記撮影部は、
前記反転機構によって反転させられた位置から撮影位置に搬送された前記ポリシリコン
の破砕物を撮影することを特徴とする請求項7に記載の撮影装置。
【請求項9】
複数の方向から前記ポリシリコン
の破砕物を撮影可能なように、前記撮影部は複数設けられることを特徴とする請求項7または8に記載の撮影装置。
【請求項10】
第1挟持部が有するものであり、弾性変形する第1弾性変形部と、第2挟持部が有するものであり、弾性変形する第2弾性変形部との間でポリシリコン
の破砕物を挟持する挟持工程と、
前記挟持工程で前記ポリシリコン
の破砕物が挟持された挟持状態で、前記ポリシリコン
の破砕物の撮影のために前記ポリシリコン
の破砕物を反転させる反転工程と、を含むことを特徴とする反転方法。
【請求項11】
第1挟持部が有するものであり、弾性変形する第1弾性変形部と、第2挟持部が有するものであり、弾性変形する第2弾性変形部との間でポリシリコン
の破砕物を挟持する挟持工程と、
前記挟持工程で前記ポリシリコン
の破砕物が挟持された挟持状態で、前記ポリシリコン
の破砕物を反転させる反転工程と、
前記反転工程で反転させられた前記ポリシリコン
の破砕物を撮影する撮影工程と、を含むことを特徴とする撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反転装置、撮影装置、反転方法及び撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多結晶シリコンを分類するための方法であって、シリコンロッドまたはシリコンチャンクを撮影して画像を生成し、生成した画像に基づいてシリコンロッドまたはシリコンチャンクを分類する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の多結晶シリコンを分類するための方法では、所定の配置面に配置されるシリコンロッドまたはシリコンチャンクを撮影する場合、シリコンロッドまたはシリコンチャンクにおける配置面側の部分を撮影することができないという問題がある。本発明の一態様は、ポリシリコンの撮影のために形状及びサイズの少なくとも一方が異なるポリシリコンを反転させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る反転装置は、弾性変形する第1弾性変形部を有する第1挟持部と、弾性変形する第2弾性変形部を有する第2挟持部と、前記第1弾性変形部と、前記第2弾性変形部との間でポリシリコンが挟持された挟持状態で、前記ポリシリコンの撮影のために前記ポリシリコンを反転させる反転機構と、を備える。
【0006】
本発明の一態様に係る撮影装置は、弾性変形する第1弾性変形部を有する第1挟持部と、弾性変形する第2弾性変形部を有する第2挟持部と、前記第1弾性変形部と、前記第2弾性変形部との間でポリシリコンが挟持された挟持状態で、前記ポリシリコンを反転させる反転機構と、前記反転機構によって反転させられた前記ポリシリコンを撮影可能な撮影部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る反転方法は、第1挟持部が有するものであり、弾性変形する第1弾性変形部と、第2挟持部が有するものであり、弾性変形する第2弾性変形部との間でポリシリコンを挟持する挟持工程と、前記挟持工程で前記ポリシリコンが挟持された挟持状態で、前記ポリシリコンの撮影のために前記ポリシリコンを反転させる反転工程と、を含む。
【0008】
本発明の一態様に係る撮影方法は、第1挟持部が有するものであり、弾性変形する第1弾性変形部と、第2挟持部が有するものであり、弾性変形する第2弾性変形部との間でポリシリコンを挟持する挟持工程と、前記挟持工程で前記ポリシリコンが挟持された挟持状態で、前記ポリシリコンを反転させる反転工程と、前記反転工程で反転させられた前記ポリシリコンを撮影する撮影工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ポリシリコンの撮影のために形状及びサイズの少なくとも一方が異なるポリシリコンを反転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る撮影装置の構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す撮影装置が備える反転装置の動作を説明するための図である。
【
図3】
図1に示す撮影装置が備える反転装置の動作を説明するための図である。
【
図4】
図1に示す撮影装置が備えるドーム部、撮影部及び照射部の構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係る撮影装置が備えるドーム部、撮影部及び照射部の構成を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態3に係る撮影装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係る撮影装置1の構成を示す模式図である。
図1において、搬送機構2の延伸方向をX軸方向、搬送機構2からドーム部4に向かう方向をZ軸方向、X軸方向及びZ軸方向の両方の方向に直交する方向をY軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向は互いに直交する方向である。ここで説明したX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の定義については、他の図においても適用されるものとする。
【0012】
<撮影装置1の構成>
図1に示すように、撮影装置1は、搬送機構2と、反転装置3と、ドーム部4,7と、撮影部5,8と、照射部6,9と、制御部10と、を備える。撮影装置1は、ポリシリコンSを撮影することにより、ポリシリコンSの表面状態、形状及びサイズを判別するための装置である。ポリシリコンSは、反転装置3の第1挟持部31または第2挟持部32の上に配置される。第1挟持部31または第2挟持部32の上には、複数のポリシリコンSが配置されてもよい。第1挟持部31または第2挟持部32の上に配置されるポリシリコンSの数は、例えば1つまたは2つである。
【0013】
本発明の一態様に係る撮影装置に供されるポリシリコンSは、公知の方法より製造されたシリコンロッドまたはシリコンチャンクを破砕したポリシリコンの破砕物である。ポリシリコンSの形状としては、扁平状または拳状といった多くの形態が含まれうる。また、ポリシリコンSの大きさとしては、用途に応じて適宜の大きさが選択されるが、通常、長径が10mm以上かつ150mm以下の範囲で選択される。
【0014】
さらに、エッチング処理を用いて表面浄化することにより、ポリシリコンの破砕物として、高純度のポリシリコンの破砕物を得ることができる。本発明の一態様に係る撮影装置に供されるポリシリコンSとしては、表面浄化後のポリシリコンの破砕物、及び、表面浄化する前のポリシリコンの破砕物のいずれも用いることができる。
【0015】
搬送機構2は、第1挟持部31または第2挟持部32をX軸正方向に搬送することにより、ポリシリコンSをX軸正方向に搬送する。搬送機構2におけるZ軸正方向側には、反転装置3及びドーム部4,7が配置されている。また、X軸正方向に向かって、ドーム部4、反転装置3の反転機構33A,33B及びドーム部7の順に配置されている。
【0016】
<反転装置3の構成>
図2及び
図3は、
図1に示す撮影装置1が備える反転装置3の動作を説明するための図である。
図2の符号101は、
図1においてポリシリコンSが配置された第2挟持部32が、ドーム部4の位置から、搬送機構2上において反転機構33A,33Bが配置される位置まで搬送機構2によって搬送された場合を示す図である。
図2の符号102は、
図2の符号101に示す状態から、ポリシリコンSが第1挟持部31及び第2挟持部32によって挟持された挟持状態に遷移した場合を示す図である。
【0017】
図2の符号103は、
図2の符号102に示す状態から、ポリシリコンSが反転機構33A,33Bによって反転した状態に遷移した場合を示す図である。
図3の符号104は、
図2の符号103に示す状態から、反転機構33A,33BがZ軸負方向に移動した場合を示す図である。
図3の符号105は、
図3の符号104に示す状態から、ポリシリコンSの挟持状態が解除された状態に遷移した場合を示す図である。
【0018】
図2の符号101に示すように、反転装置3は、第1挟持部31、第2挟持部32及び反転機構33A,33Bを備える。第1挟持部31は第1弾性変形部311及び支持部材312を有し、第2挟持部32は第2弾性変形部321及び支持部材322を有する。
【0019】
第1弾性変形部311は、弾性変形するものであり、第1弾性シート313及び第1緩衝材314を有するものである。支持部材312は第1弾性変形部311を支持する部材であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂(PVC)である。支持部材312には凹部315が形成されている。凹部315には第1緩衝材314が設けられており、凹部315は第1緩衝材314によって閉塞されている。
【0020】
第1弾性シート313は、第1緩衝材314を覆うように支持部材312に、例えば接着固定されている。なお、第1弾性シート313は第1緩衝材314には接着固定されていない。これは、第1弾性シート313の交換頻度が第1緩衝材314の交換頻度と異なるためであり、また第1弾性シート313の反発弾性率が第1緩衝材314の反発弾性率よりも大きいためである。なお、第1弾性シート313の支持部材312に対する固定方法は、接着固定に限られず、例えば押さえ板等による固定方法であってもよい。また、第1緩衝材314は凹部315の底面に、例えば接着固定されている。
【0021】
第2弾性変形部321は、弾性変形するものであり、第2弾性シート323及び第2緩衝材324を有するものである。支持部材322は第2弾性変形部321を支持する部材であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂である。支持部材322には凹部325が形成されている。凹部325には第2緩衝材324が設けられており、凹部325は第2緩衝材324によって閉塞されている。
【0022】
第2弾性シート323は、第2緩衝材324を覆うように支持部材322に、例えば接着固定されている。なお、第2弾性シート323は第2緩衝材324には接着固定されていない。これは、第2弾性シート323の交換頻度が第2緩衝材324の交換頻度と異なるためであり、また第2弾性シート323の反発弾性率が第2緩衝材324の反発弾性率よりも大きいためである。なお、第2弾性シート323の支持部材322に対する固定方法は、接着固定に限られず、例えば押さえ板等による固定方法であってもよい。また、第2緩衝材324は凹部325の底面に、例えば接着固定されている。
【0023】
反転機構33A,33Bは、第1弾性変形部311と、第2弾性変形部321との間でポリシリコンSが挟持された挟持状態で、撮影部8によるポリシリコンSの撮影のためにポリシリコンSを反転させるものである。
【0024】
反転機構33Aは、第1保持部331、第2保持部332、回転部333及び移動部材337,338を有する。第1保持部331は、支持部材312の側壁に設けられており、回転部333に接続された移動部材337の先端部が挿入されたときに、移動部材337を保持する部材である。第2保持部332は、支持部材322の側壁に設けられており、回転部333に接続された移動部材338の先端部が挿入されたときに、移動部材338を保持する部材である。
【0025】
回転部333は、移動部材337,338と接続されており、Y軸周りに180°回転することにより、移動部材337の位置と移動部材338の位置とを反転させるものである。回転部333は、不図示のバネ機構及び駆動部材を有する。バネ機構及び駆動部材は、移動部材337,338にそれぞれ接続されている。これにより、移動部材337,338は、それぞれY軸正方向またはY軸負方向に移動可能となる。移動部材337,338の移動は、それぞれ独立して制御される。駆動部材としては、例えばエアシリンダーが用いられる。
【0026】
移動部材337は、Y軸に沿って移動可能なものであり、第1保持部331に保持されることにより、支持部材312を反転機構33Aに保持(固定)させるものである。移動部材338は、Y軸に沿って移動可能なものであり、第2保持部332に保持されることにより、支持部材322を反転機構33Aに保持(固定)させるものである。
【0027】
移動部材337,338の先端部には爪部が設けられている。爪部がそれぞれ、第1保持部331に形成された凹部または第2保持部332に形成された凹部に掛止されることにより、移動部材337,338は、それぞれ第1保持部331または第2保持部332に保持される。
【0028】
反転機構33Bは、第1保持部334、第2保持部335、回転部336及び移動部材339,340を有する。第1保持部334は、支持部材312の側壁に設けられており、回転部336に接続された移動部材339の先端部が挿入されたときに、移動部材339を保持する部材である。第2保持部335は、支持部材322の側壁に設けられており、回転部336に接続された移動部材340の先端部が挿入されたときに、移動部材340を保持する部材である。
【0029】
回転部336は、移動部材339,340と接続されており、Y軸周りに180°回転することにより、移動部材339の位置と移動部材340の位置とを反転させるものである。回転部336は、不図示のバネ機構及び駆動部材を有する。バネ機構及び駆動部材は、移動部材339,340にそれぞれ接続されている。これにより、移動部材339,340は、それぞれY軸正方向またはY軸負方向に移動可能となる。移動部材339,340の移動は、それぞれ独立して制御される。駆動部材としては、例えばエアシリンダーが用いられる。
【0030】
移動部材339は、Y軸に沿って移動可能なものであり、第1保持部334に保持されることにより、支持部材312を反転機構33Bに保持(固定)させるものである。移動部材340は、Y軸に沿って移動可能なものであり、第2保持部335に保持されることにより、支持部材322を反転機構33Bに保持(固定)させるものである。
【0031】
移動部材339,340の先端部には爪部が設けられている。爪部がそれぞれ、第1保持部334に形成された凹部または第2保持部335に形成された凹部に掛止されることにより、移動部材339,340は、それぞれ第1保持部334または第2保持部335に保持される。
【0032】
図2の符号101に示すように、第2挟持部32が反転機構33A,33Bが配置される位置まで搬送された場合、第1挟持部31及び第2挟持部32は互いに対向する。つまり、第1弾性シート313及び第2弾性シート323が互いに対向する。また、第1保持部331,334がそれぞれ移動部材337,339を保持することにより、支持部材312は、反転機構33A,33Bに保持されている。ポリシリコンSは、第2弾性シート323の上に配置されている。
【0033】
図2の符号102に示すように、支持部材312が反転機構33A,33Bによって保持されている状態で、回転部333,336はZ軸負方向に移動する。これにより、ポリシリコンSは、第1弾性変形部311と、第2弾性変形部321との間で挟持された挟持状態となる。つまり、反転装置3は、第1弾性変形部311と第2弾性変形部321との間でポリシリコンSを挟持する(挟持工程)。
【0034】
このとき、第1弾性シート313及び第2弾性シート323は、上記挟持状態でポリシリコンSと接触し弾性変形する。また、第1緩衝材314は、上記挟持状態で第1弾性シート313に対してポリシリコンSとは反対側から接触し弾性変形する。第2緩衝材324は、上記挟持状態で第2弾性シート323に対してポリシリコンSとは反対側から接触し弾性変形する。
【0035】
また、移動部材338にはバネ機構が接続されている。そのため、回転部333,336がZ軸負方向に移動することにより、移動部材338,340は、それぞれ第2保持部332,335の表面に沿ってY軸方向に移動し、第2保持部332,335に挿入される。このとき、バネ機構の弾性力により、移動部材338は、第2保持部332の凹部においてY軸正方向に押さえつけられる。また、バネ機構の弾性力により、移動部材340は、第2保持部335の凹部においてY軸負方向に押さえつけられる。これにより、支持部材322は、反転機構33A,33Bに保持される。
【0036】
図2の符号103に示すように、反転機構33A,33Bは、それぞれ移動部材337,339によって支持部材312を保持するとともに、反転機構33A,33Bは、それぞれ移動部材338,340によって支持部材322を保持している。この状態で、回転部333,336は所定位置までZ軸正方向に移動する。そして、反転機構33A,33Bはそれぞれ、回転部333,336をY軸周りに180°回転させる。
【0037】
これにより、反転機構33A,33Bは、移動部材337の位置と移動部材338の位置とを反転させるとともに、移動部材339の位置と移動部材340の位置とを反転させる。つまり、反転機構33A,33Bは、第1保持部331の位置と第2保持部332の位置とを反転させるとともに、第1保持部334の位置と第2保持部335の位置とを反転させる。よって、反転機構33A,33Bは、第1挟持部31の位置と第2挟持部32の位置とを反転させ、ポリシリコンSを反転させる(反転工程)。
【0038】
反転機構33A,33BがポリシリコンSを反転させた後、
図3の符号104に示すように、回転部333,336はZ軸負方向に移動する。これにより、第1挟持部31は搬送機構2の上に配置された状態となる。第1挟持部31が搬送機構2の上に配置された状態となった後、駆動部材は、移動部材337をY軸負方向に移動させて、移動部材337の先端部を第1保持部331の凹部から引き抜く。また、駆動部材は、移動部材339をY軸正方向に移動させて、移動部材339の先端部を第1保持部334の凹部から引き抜く。これにより、反転機構33A,33Bは、支持部材312の保持を解除する。
【0039】
反転機構33A,33Bが支持部材312の保持を解除した後、
図3の符号105に示すように、支持部材322が反転機構33A,33Bによって保持されている状態で、回転部333,336はZ軸正方向に移動する。これにより、搬送機構2は第1挟持部31をX軸正方向に搬送可能となるため、第1挟持部31をX軸正方向に搬送する。
【0040】
上記構成によれば、第1弾性変形部311と、第2弾性変形部321との間でポリシリコンSが挟持された挟持状態で、反転機構33A,33BはポリシリコンSを反転させる。これにより、挟持状態で第1弾性変形部311及び第2弾性変形部321がポリシリコンSの形状に沿って変形するため、反転装置3は、形状及びサイズの少なくとも一方が異なるポリシリコンSを反転させることができる。
【0041】
<第1弾性シート313及び第2弾性シート323について>
第1弾性シート313及び第2弾性シート323の材質は、例えばウレタンゴムであるが、これに限定されない。第1弾性シート313及び第2弾性シート323の硬度は、ショアA30以上かつショアA90以下であることが好ましい。第1弾性シート313及び第2弾性シート323の硬度は、JISK6253に準拠したデュロメータータイプAにより測定された結果である。
【0042】
上述のとおり、ポリシリコンSの形状としては、扁平状または拳状といった多くの形態が含まれうるため、破砕物の一部が鋭利に尖った形状を有するものもある。ポリシリコンのモース硬度が6以上かつ8以下であるため、第1弾性シート313及び第2弾性シート323とポリシリコンSとの接触時に、第1弾性シート313及び第2弾性シート323の表面が摩耗または破れを起こす虞がある。
【0043】
第1弾性シート313及び第2弾性シート323の硬度がショアA30以上であることにより、第1弾性シート313及び第2弾性シート323とポリシリコンSとの、接触時の衝撃を小さくできる。加えて、第1弾性シート313及び第2弾性シート323の弾性を保持することができる。そのため、第1弾性シート313及び第2弾性シート323の摩耗または破れを防止できる。
【0044】
また、第1弾性シート313及び第2弾性シート323の硬度がショアA90以下であることにより、第1弾性シート313及び第2弾性シート323をポリシリコンSの形状に沿わせ、反転時にも安定的にポリシリコンSを保持できる形状に変形させることができる。このため、反転機構33A,33BがポリシリコンSを反転させるときにポリシリコンSの保持を確実に行うことができる。
【0045】
第1弾性シート313及び第2弾性シート323におけるZ軸方向に沿った厚みは、0.5mm以上かつ5mm以下であることが好ましい。第1弾性シート313及び第2弾性シート323の厚みが0.5mm以上であることにより、第1弾性シート313及び第2弾性シート323を長期に亘って継続使用することができる摩耗代を確保できる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」等の達成にも貢献するものである。
【0046】
また、第1弾性シート313及び第2弾性シート323の厚みが5mm以下であることにより、第1弾性シート313及び第2弾性シート323をポリシリコンSの形状に沿わせ、反転時にも安定的にポリシリコンSを保持できる形状に変形させることができる。このため、反転機構33A,33BがポリシリコンSを反転させるときにポリシリコンSの保持を確実に行うことができる。
【0047】
<第1緩衝材314及び第2緩衝材324について>
第1緩衝材314及び第2緩衝材324の材質は、例えばウレタンフォームであるが、これに限定されない。ポリシリコンSには扁平状のものがあり、緩衝材の圧縮硬さによっては、扁平状のポリシリコンSが、挟持状態で回転させた場合に第1弾性シート313及び第2弾性シート323上を横滑りする虞がある。したがって、反転機構33A,33Bの回転時に挟持状態を保持する必要性から、第1緩衝材314及び第2緩衝材324の40%圧縮硬さは、20N以上かつ80N以下であることが好ましい。第1緩衝材314及び第2緩衝材324の40%圧縮硬さは、JISK6400-2A法に準拠して測定された結果である。
【0048】
第1緩衝材314及び第2緩衝材324の40%圧縮硬さが20N以上であることにより、第1挟持部31及び第2挟持部32により扁平状のポリシリコンSが挟持される場合において、挟持した第1弾性シート313と第2弾性シート323との間でポリシリコンSが横滑りしないことが十分に担保できる。
【0049】
また、第1緩衝材314及び第2緩衝材324の40%圧縮硬さが80N以下であることにより、ポリシリコンSの形状に沿った第1弾性シート313・第2弾性シート323の変形を、第1緩衝材314及び第2緩衝材324によって適切に吸収できる。このため、反転機構33A,33BがポリシリコンSを反転させるときにポリシリコンSの保持を確実に行うことができる。
【0050】
上述のとおり、ポリシリコンSの大きさとしては、通常、長径が10mm以上かつ150mm以下の範囲で選択される。サイズの大きいポリシリコンSが第1弾性シート313及び第2弾性シート323に接触した際の第1緩衝材314及び第2緩衝材324の反発弾性率が大きいと、ポリシリコンSが第1弾性シート313及び第2弾性シート323上を飛び跳ねる傾向がある。また、上記反発弾性率が小さすぎると、第1弾性シート313及び第2弾性シート323の変形が大きくなる傾向にある。
【0051】
上記大きさのポリシリコンSの比重は、通常、2.2g/cm3以上かつ2.5g/cm3以下である。これにより、長径が約10mm以上かつ約150mm以下であるポリシリコンSに適した、第1緩衝材314及び第2緩衝材324の反発弾性率は、1%以上かつ6%以下であることが好ましい。第1緩衝材314及び第2緩衝材324の反発弾性率は、JISK6400-3に準拠して測定された結果である。
【0052】
また、ポリシリコンSと第1緩衝材314及び第2緩衝材324との接触は、第1弾性シート313または第2弾性シート323を介して行われるため、接触時の第1緩衝材314及び第2緩衝材324の摩耗が少なくなる。そのため、第1緩衝材314は第1弾性シート313よりも軟質であり、第2緩衝材324は第2弾性シート323よりも軟質である。
【0053】
第1弾性変形部311及び第2弾性変形部321によりポリシリコンSが挟持されるとき、ポリシリコンSの形状に沿った第1弾性シート313・第2弾性シート323の変形を、第1緩衝材314及び第2緩衝材324によって適切に吸収できる。第1緩衝材314及び第2緩衝材324の反発弾性率が1%以上であることにより、第1弾性変形部311及び第2弾性変形部321によるポリシリコンSの挟持状態を解除したときに、第1緩衝材314及び第2緩衝材324の形状をポリシリコンSが挟持状態になる前の形状に戻すことができる。
【0054】
また、第1緩衝材314及び第2緩衝材324の反発弾性率が6%以下であることにより、サイズの大きいポリシリコンSが第1弾性シート313及び第2弾性シート323に接触した際に、ポリシリコンSが第1弾性シート313及び第2弾性シート323上を飛び跳ねることを防止できる。
【0055】
ポリシリコンSに直接接触するものについては、撮影時におけるポリシリコンSの位置安定性や耐久性の観点から、ある程度の硬さが求められる。一方、ポリシリコンSに直接接触するものを硬くしすぎると、ポリシリコンSに直接接触するものについて形状追従性が損なわれ、反転時においてポリシリコンSを安定して保持できなくなる可能性がある。そこで、上述のように、第1弾性変形部311及び第2弾性変形部321のいずれについても、弾性シート及び緩衝材を有する構成としている。これにより、上述の位置安定性及び耐久性と、形状追従性との両立を実現することができる。
【0056】
<ドーム部7及び撮影部8の構成>
図4は、
図1に示す撮影装置1が備えるドーム部7、撮影部8及び照射部9の構成を示す図である。
図4に示すように、ドーム部7は、撮影部8が設けられる半球状の天井部71を有する。天井部71は、Z軸正方向に向かって凸状に形成される。天井部71には、複数の方向からポリシリコンSを撮影可能なように、撮影部8が複数設けられる。これにより、ポリシリコンSが撮影された結果を、制御部10によるポリシリコンSの表面状態及び表面形状の正確な判定に利用することができる。
【0057】
複数の撮影部8は、天井部71に形成される開口部に設けられており、反転機構33A,33Bによって反転させられたポリシリコンSを撮影可能である。
図1に示すように、例えば、Z軸負方向に向かってドーム部7を視認した場合、1つの撮影部8がドーム部7の頂部に設けられており、8つの撮影部8が当該1つの撮影部8の周囲に環状に並ぶように設けられていてもよい。8つの撮影部8は、当該8つの撮影部8の撮影方向がZ軸方向に対して30°傾斜する方向となるように設けられていることが好ましい。
【0058】
搬送機構2は、反転機構33A,33Bによって反転させられた位置から第2撮影位置に、ポリシリコンSが配置された第1挟持部31を搬送する。反転機構33A,33Bによって反転させられた位置は、搬送機構2上において反転機構33A,33Bが配置される位置である。
【0059】
上記第2撮影位置は、ドーム部7の下方の位置であり、複数の撮影部8がポリシリコンSを撮影可能な位置である。複数の撮影部8は、反転機構33A,33Bによって反転させられた位置から上記第2撮影位置に搬送されたポリシリコンSを撮影する(撮影工程)。
【0060】
ポリシリコンSの撮影手段としては、ポリシリコンS全体の形状及び表面状態を認識できる撮影手段を採用できる。具体的には、CCD(Charge Coupled Device)カメラによる静止画または動画の撮影等の撮影手段を採用できる。
【0061】
撮影部5,8によってポリシリコンSを撮影した画像は、ポリシリコンSの表面に存在する1mm以下の孔を識別可能な画質となるように調整される。具体的には、画像の幅が、ポリシリコンSの最大サイズの1.2倍以上かつ5.0倍以下の幅となるように、画角及び被写体距離が調整される。また、ポリシリコンSは、200万画素以上の画素数で撮影される。
【0062】
複数の撮影部8によってポリシリコンSが撮影された後、搬送機構2は、ポリシリコンSが配置された第1挟持部31を、ポリシリコンSの分別が行われる場所に搬送する。このとき、搬送機構2は第1挟持部31をX軸正方向に搬送する。ポリシリコンSの分別が行われる場所では、後述するサーバ11によってポリシリコンSの分類が行われた結果に基づいて、ポリシリコンSの分別が行われる。
【0063】
上記構成によれば、反転機構33A,33BはポリシリコンSの挟持状態でポリシリコンSを反転させ、撮影部8は反転機構33A,33Bによって反転させられたポリシリコンSを撮影可能である。これにより、撮影装置1は形状及びサイズの少なくとも一方が異なるポリシリコンSを撮影することができ、反転した後のポリシリコンSを撮影することができる。
【0064】
<照射部9の構成>
複数の照射部9は、ドーム部7の天井部71における内面72の下方の位置に配置されており、内面72によって囲まれる空間内の位置に配置されている光源である。複数の照射部9は、内面72に光Lを照射することにより、内面72で光Lを反射させてドーム部7の下方に向かって光Lを照射させる。内面72は、光Lを反射可能な材料から構成される。
図1に示すように、例えば、Z軸負方向に向かってドーム部7を視認した場合、ドーム部7の外周の近傍に6つの照射部9が設けられていてもよい。
【0065】
上記構成によれば、第2撮影位置に、反転した後のポリシリコンSを配置し、照射部9によって第2撮影位置に位置するポリシリコンSにドーム部7の天井部71における内面72で反射した光Lを照射することができる。このため、撮影装置1は、反転した後のポリシリコンSを鮮明に撮影することができる。
【0066】
<ドーム部4、撮影部5及び照射部6の構成>
図1に示すドーム部4、撮影部5及び照射部6の構成はそれぞれ、ドーム部7、撮影部8及び照射部9の構成と同様である。複数の撮影部5は、搬送機構2によって搬送されたポリシリコンSを撮影可能である。搬送機構2は、ポリシリコンSが配置された第2挟持部32を第1撮影位置に搬送する。当該第1撮影位置は、ドーム部4の下方の位置であり、複数の撮影部5がポリシリコンSを撮影可能な位置である。
【0067】
複数の撮影部5は、上記第1撮影位置に搬送された、反転機構33A,33Bによって反転させられる前の状態のポリシリコンSを撮影する。複数の撮影部5によってポリシリコンSが撮影された後、搬送機構2は、搬送機構2上において反転機構33A,33Bが配置される位置に、ポリシリコンSが配置された第2挟持部32を搬送する。
【0068】
<制御部10の構成>
制御部10は、搬送機構2、反転装置3、撮影部5,8及び照射部6,9を制御可能な制御装置であってもよく、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。また、制御部10は、このような制御装置を備えるとともに、メモリ等の記憶装置と、サーバ11と通信可能な通信装置等と、をさらに備える装置であってもよい。
【0069】
制御部10は、複数の撮影部5及び複数の撮影部8によって撮影された撮影画像を取得する。制御部10は、取得した撮影画像をサーバ11に送信する。サーバ11は、制御部10から受信した撮影画像を参照することにより、ポリシリコンSの多孔度、亀裂、孔、ステイン、ロッドの直径及び表面形状からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を判定する。サーバ11は、当該少なくとも1つの特徴に基づいてポリシリコンSの分類を行う。当該ロッドの直径は、ポリシリコンSがロッド状に形成される場合におけるロッドの直径である。
【0070】
なお、サーバ11ではなく制御部10がポリシリコンSの分類を行ってもよい。この場合、制御部10は、取得した撮影画像を参照することにより、上記少なくとも1つの特徴を判定する。また、制御部10は、上記少なくとも1つの特徴に基づいてポリシリコンSの分類を行う。
【0071】
<変形例>
ポリシリコンSが第1挟持部31及び第2挟持部32によって挟持された挟持状態で、反転機構33A,33Bが配置される位置に第1挟持部31及び第2挟持部32が搬送され、上記挟持状態で反転機構33A,33BがポリシリコンSを反転させてもよい。具体的に以下に説明する。
【0072】
複数の撮影部5によってポリシリコンSが撮影された後、ポリシリコンSが配置された第2挟持部32が搬送機構2によってX軸正方向に搬送される場合を考える。この場合、ドーム部4と反転機構33A,33Bとの間の位置で、図示しない機構によって第2挟持部32及びポリシリコンSの上に第1挟持部31が配置されてもよい。このとき、第1弾性シート313及び第2弾性シート323は互いに対向し、ポリシリコンSは第1挟持部31及び第2挟持部32によって挟持された挟持状態となる。
【0073】
ポリシリコンSが上記挟持状態となった後、搬送機構2は、搬送機構2上において反転機構33A,33Bが配置される位置に、上記挟持状態で第1挟持部31及び第2挟持部32を搬送する。そして、
図2に示す回転部333,336がZ軸負方向に移動することにより、移動部材337,339がそれぞれ第1保持部331,334に挿入される。これにより、反転機構33A,33Bは、第1挟持部31の支持部材312を保持する。また、移動部材338,340がそれぞれ第2保持部332,335に挿入される。これにより、反転機構33A,33Bは、第2挟持部32の支持部材322を保持する。
【0074】
そして、回転部333,336がZ軸正方向に移動し、反転機構33A,33Bはそれぞれ、回転部333,336をY軸周りに180°回転させることにより、ポリシリコンSを反転させる。反転機構33A,33BがポリシリコンSを反転させた後、回転部333,336はZ軸負方向に移動する。これにより、第1挟持部31は搬送機構2の上に配置された状態となる。
【0075】
第1挟持部31が搬送機構2の上に配置された状態となった後、移動部材337,339はそれぞれ、先端部が第1保持部331,334から離れるように移動する。これにより、反転機構33A,33Bは、支持部材312の保持を解除する。また、移動部材338,340はそれぞれ、先端部が第2保持部332,335から離れるように移動する。これにより、反転機構33A,33Bは、支持部材322の保持を解除する。
【0076】
支持部材312,322の保持が解除された後、搬送機構2は、上記挟持状態で第1挟持部31及び第2挟持部32をX軸正方向に搬送する。そして、反転機構33A,33Bとドーム部7との間の位置で、図示しない機構によって第1挟持部31から第2挟持部32が取り除かれてもよい。第2挟持部32が取り除かれた後、搬送機構2は、ポリシリコンSが配置された第1挟持部31を上記第2撮影位置に搬送する。
【0077】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図5は、本発明の実施形態2に係る撮影装置が備えるドーム部7、撮影部8及び照射部9の構成を示す図である。
【0078】
実施形態2の撮影装置は、実施形態1の撮影装置1に比べて、
図5に示すように、照射部9が設けられる位置が異なる。複数の照射部9は、天井部71に形成される開口部に設けられており、ドーム部7の下方に向かって光Lを照射する。つまり、複数の照射部9は、反転機構33A,33Bによって反転させられたポリシリコンSに光Lを直接照射する。例えば、Z軸負方向に向かってドーム部7を視認した場合、6つの照射部9が複数の撮影部8の周囲に環状に並ぶように設けられていてもよい。
【0079】
上記構成によれば、ドーム部7の下方の第2撮影位置に、反転した後のポリシリコンSを配置し、第2撮影位置に位置するポリシリコンSに光Lを直接照射することができる。このため、実施形態2の撮影装置は、反転した後のポリシリコンSを鮮明に撮影することができる。
【0080】
なお、ドーム部7は、例えば
図4に示すように配置された、ポリシリコンSに光Lを間接的に照射する照射部9と、例えば
図5に示すように配置された、ポリシリコンSに光Lを直接照射する照射部9と、の両方を備えていてもよい。
【0081】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図6は、本発明の実施形態3に係る撮影装置1Aの構成を示す模式図である。
【0082】
図6に示すように、撮影装置1Aは、実施形態1の撮影装置1に比べて、ドーム部7、撮影部8及び照射部9を備えない点が異なる。複数の撮影部5は、搬送機構2によって搬送されたポリシリコンSを撮影可能である。搬送機構2は、ポリシリコンSが配置された第2挟持部32を第1撮影位置に搬送する。当該第1撮影位置は、ドーム部4の下方の位置であり、複数の撮影部5がポリシリコンSを撮影可能な位置である。
【0083】
複数の撮影部5は、上記第1撮影位置に搬送された、反転機構33A,33Bによって反転させられる前の状態のポリシリコンSを撮影する。複数の撮影部5によってポリシリコンSが撮影された後、搬送機構2は、搬送機構2上において反転機構33A,33Bが配置される位置に、ポリシリコンSが配置された第2挟持部32を搬送する。このとき、搬送機構2は第2挟持部32をX軸正方向に搬送する。
【0084】
ポリシリコンSが配置された第2挟持部32が、搬送機構2上において反転機構33A,33Bが配置される位置に搬送された後、反転機構33A,33Bは、第1挟持部31の位置と第2挟持部32の位置とを反転させ、ポリシリコンSを反転させる。反転機構33A,33BによってポリシリコンSが反転させられた後、搬送機構2は、ポリシリコンSが配置された第1挟持部31を上記第1撮影位置に搬送する。このとき、搬送機構2は第1挟持部31をX軸負方向に搬送する。
【0085】
複数の撮影部5は、上記第1撮影位置に搬送された、反転機構33A,33Bによって反転させられた後の状態のポリシリコンSを撮影する。複数の撮影部5によってポリシリコンSが撮影された後、搬送機構2は、ポリシリコンSが配置された第1挟持部31を、ポリシリコンSの分別が行われる場所に搬送する。このとき、搬送機構2は第1挟持部31をX軸正方向に搬送する。
【0086】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る反転装置は、弾性変形する第1弾性変形部を有する第1挟持部と、弾性変形する第2弾性変形部を有する第2挟持部と、前記第1弾性変形部と、前記第2弾性変形部との間でポリシリコンが挟持された挟持状態で、前記ポリシリコンの撮影のために前記ポリシリコンを反転させる反転機構と、を備える構成である。
【0087】
本発明の態様2に係る反転装置は、上記の態様1において、前記第1弾性変形部は、前記挟持状態で前記ポリシリコンと接触し弾性変形する第1弾性シートと、前記第1弾性シートよりも軟質であるとともに、前記挟持状態で前記第1弾性シートに対して前記ポリシリコンとは反対側から接触し弾性変形する第1緩衝材と、を有し、前記第2弾性変形部は、前記挟持状態で前記ポリシリコンと接触し弾性変形する第2弾性シートと、前記第2弾性シートよりも軟質であるとともに、前記挟持状態で前記第2弾性シートに対して前記ポリシリコンとは反対側から接触し弾性変形する第2緩衝材と、を有する構成としてもよい。
【0088】
本発明の態様3に係る反転装置は、上記の態様2において、前記第1弾性シート及び前記第2弾性シートの硬度は、ショアA30以上かつショアA90以下である構成としてもよい。
【0089】
本発明の態様4に係る反転装置は、上記の態様2または3において、前記第1弾性シート及び前記第2弾性シートの厚みは、0.5mm以上かつ5mm以下である構成としてもよい。
【0090】
本発明の態様5に係る反転装置は、上記の態様2から4のいずれかにおいて、前記第1緩衝材及び前記第2緩衝材の40%圧縮硬さは、20N以上かつ80N以下である構成としてもよい。
【0091】
本発明の態様6に係る反転装置は、上記の態様2から5のいずれかにおいて、前記第1緩衝材及び前記第2緩衝材の反発弾性率は、1%以上かつ6%以下である構成としてもよい。
【0092】
本発明の態様7に係る撮影装置は、弾性変形する第1弾性変形部を有する第1挟持部と、弾性変形する第2弾性変形部を有する第2挟持部と、前記第1弾性変形部と、前記第2弾性変形部との間でポリシリコンが挟持された挟持状態で、前記ポリシリコンを反転させる反転機構と、前記反転機構によって反転させられた前記ポリシリコンを撮影可能な撮影部と、を備える構成である。
【0093】
本発明の態様8に係る撮影装置は、上記の態様7において、前記撮影部が設けられる半球状の天井部を有するドーム部と、(i)前記ドーム部の前記天井部における内面に光を照射することにより、当該内面で光を反射させて前記ドーム部の下方に向かって光を照射させる照射部、及び(ii)前記ドーム部の下方に向かって光を照射する照射部、の少なくとも一方の照射部とを備え、前記撮影部は、前記反転機構によって反転させられた位置から撮影位置に搬送された前記ポリシリコンを撮影する構成としてもよい。
【0094】
本発明の態様9に係る撮影装置は、上記の態様7または8において、複数の方向から前記ポリシリコンを撮影可能なように、前記撮影部は複数設けられる構成としてもよい。
【0095】
本発明の態様10に係る反転方法は、第1挟持部が有するものであり、弾性変形する第1弾性変形部と、第2挟持部が有するものであり、弾性変形する第2弾性変形部との間でポリシリコンを挟持する挟持工程と、前記挟持工程で前記ポリシリコンが挟持された挟持状態で、前記ポリシリコンの撮影のために前記ポリシリコンを反転させる反転工程と、を含む方法である。
【0096】
本発明の態様11に係る撮影方法は、第1挟持部が有するものであり、弾性変形する第1弾性変形部と、第2挟持部が有するものであり、弾性変形する第2弾性変形部との間でポリシリコンを挟持する挟持工程と、前記挟持工程で前記ポリシリコンが挟持された挟持状態で、前記ポリシリコンを反転させる反転工程と、前記反転工程で反転させられた前記ポリシリコンを撮影する撮影工程と、を含む方法である。
【0097】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1、1A 撮影装置 3 反転装置
4、7 ドーム部 5、8 撮影部
6、9 照射部 31 第1挟持部
32 第2挟持部 33A、33B 反転機構
71 天井部 72 内面
311 第1弾性変形部 313 第1弾性シート
314 第1緩衝材 321 第2弾性変形部
323 第2弾性シート 324 第2緩衝材
S ポリシリコン