IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産化学工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】インプリント用光硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/46 20060101AFI20240904BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240904BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240904BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20240904BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20240904BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20240904BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240904BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20240904BHJP
   C08F 292/00 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
C08F2/46
H01L21/30 502D
C08L101/00
C08F20/10
C08F290/06
G02B1/04
G02B3/00 Z
B29C59/02 Z
C08F292/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022545602
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2021028993
(87)【国際公開番号】W WO2022044743
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2020144179
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 翔太
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-171804(JP,A)
【文献】特開2009-166486(JP,A)
【文献】特開2012-130906(JP,A)
【文献】国際公開第2019/142601(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0071541(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と光開始剤とを含有するインプリント用光硬化性組成物であって、動的粘弾性測定により測定した該インプリント用光硬化性組成物の硬化物の貯蔵弾性率が、-40℃において4.0×10Pa未満であり、且つ100℃において1.0×10Pa以上であり、前記樹脂は必須成分として少なくとも一種の架橋性樹脂及び任意成分として非架橋性樹脂を含み、下記式(1)で表されるパラメータXが0.15以上0.58以下である、インプリント用光硬化性組成物。
【数1】

(式(1)中、mは前記樹脂に含まれる前記架橋性樹脂の数を表し、x は前記樹脂の全ての成分の和100質量部に占める各々の該架橋性樹脂の割合(単位:質量部)を表し、y は各々の該架橋性樹脂が有する重合性官能基当量(単位:g/eq)を表し、iは1乃至mの正の整数を表す。)
【請求項2】
前記硬化物の貯蔵弾性率が、-40℃において1.7×10 Pa以上3.9×10 Pa以下であり、且つ100℃において1.9×10 Pa以上1.3×10 Pa以下である、請求項1に記載のインプリント用光硬化性組成物。
【請求項3】
前記樹脂はラジカル重合性樹脂を含み、前記光開始剤は光ラジカル発生剤を含む、請求項1又は請求項2に記載のインプリント用光硬化性組成物。
【請求項4】
前記樹脂はカチオン重合性樹脂を含み、前記光開始剤は光酸発生剤を含む、請求項1又は請求項2に記載のインプリント用光硬化性組成物。
【請求項5】
さらにシリカ粒子を含有する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のインプリント用光硬化性組成物。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のインプリント用光硬化性組成物の硬化物。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のインプリント用光硬化性組成物の成型体。
【請求項8】
カメラモジュール用レンズである請求項7に記載の成型体。
【請求項9】
前記カメラモジュール用レンズはハイブリッドレンズである、請求項8に記載の成型体。
【請求項10】
インプリント用光硬化性組成物の成型体の製造方法であって、支持体上に請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のインプリント用光硬化性組成物を塗布する塗布工程、該インプリント用光硬化性組成物と、目的とする成型体の外形の反転パターン及び遮光膜を有するモールドとを接触させるインプリント工程、該インプリント工程の後、該モールドを介して該インプリント用光硬化性組成物を露光して光硬化部を形成する光硬化工程、該光硬化部と該モールドとを分離する離型工程、及び該離型工程の後、該インプリント用光硬化性組成物の未硬化部を現像液により除去して該光硬化部を露出させる現像工程、及び該現像工程の後、該光硬化部が形成された支持体をスピン乾燥させる乾燥工程を含む、成型体の製造方法。
【請求項11】
前記光硬化工程の後、前記離型工程の前、中途又は後に、前記光硬化部を加熱する工程をさらに含む、請求項10に記載の成型体の製造方法。
【請求項12】
前記現像工程の後、前記乾燥工程の前に、リンス液を用いて前記光硬化部をリンス処理するリンス工程をさらに含む、請求項10又は請求項11に記載の成型体の製造方法。
【請求項13】
前記乾燥工程の後、前記光硬化部の全面を露光するポスト露光工程をさらに含む、請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載の成型体の製造方法。
【請求項14】
前記ポスト露光工程の後、前記光硬化部を加熱するポストベーク工程をさらに含む、請求項13に記載の成型体の製造方法。
【請求項15】
前記ポスト露光工程の後、前記光硬化部の表面に反射防止膜を形成する工程をさらに含む、請求項13に記載の成型体の製造方法。
【請求項16】
前記ポストベーク工程の後、前記光硬化部の表面に反射防止膜を形成する工程をさらに含む、請求項14に記載の成型体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化物の貯蔵弾性率の範囲を特定したインプリント用光硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製レンズは、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、車載カメラ等の電子機器に搭載されるカメラモジュールに使用されている。近年、電子機器の小型化や高性能化がますます進んでおり、それに伴い、カメラモジュールの薄型化や高解像度化が求められるようになった。このような背景から、樹脂製レンズの製造方法として、熱可塑性樹脂の射出成型から、光硬化性樹脂のUVインプリントによるウェハレベル成型への移行が盛んに検討されている。
【0003】
UVインプリントによるウェハレベル成型の方法としては、ガラス基板等の支持体上に光硬化性樹脂を塗布した後その光硬化性樹脂にモールドを押し当てて光を照射する過程を経ることで、支持体上に樹脂製レンズを成型する方法と、支持体を使わずに光硬化性樹脂を一対のモールドで挟み込んで光を照射する過程を経ることで、モノリシックな樹脂製レンズを成型する方法とが挙げられる。特に、前者の方法で得られるものは、無機系の支持体と有機系の樹脂製レンズとを組み合わせた構造であることからハイブリッドレンズと呼ばれ、生産性の観点から好んで使用されている。このような方法で成型されたレンズを、IRカットフィルター、イメージセンサー等の光学部材と組み合わせて積層することで、カメラモジュールが製造される。
【0004】
ここで、カメラモジュール、特に高解像度カメラモジュールは、収差と呼ばれる像のボケや歪みを抑制するために、形状を精密に設計した複数枚のレンズを必要とする。レンズ形状のずれは収差の発生を招くため、レンズには成型時の形状を保持することが求められる。樹脂の形状保持性を高めるための手段として、該樹脂の貯蔵弾性率を大きくすることが知られている。
【0005】
一方、カメラモジュールは日常生活に欠かせない電子機器に搭載されているため、安定して品質を保つことができる信頼性も必要である。信頼性を評価するための代表的な試験として、熱衝撃試験(例えば-20℃以下の低温及び80℃以上の高温に交互に繰り返し曝す試験)があり、レンズには、該試験を経てもクラックが生じないような耐衝撃性が求められる。樹脂の耐衝撃性を高めるための手段として、該樹脂の貯蔵弾性率を小さくすることが知られている。
【0006】
すなわち、カメラモジュール用樹脂製レンズにとって、形状保持性と耐衝撃性が非常に重要であるものの、貯蔵弾性率の観点から両特性はトレードオフの関係にあるため、これらの両立が困難であった。
【0007】
例えば、特許文献1には、硬化物の弾性率が1.0×10乃至1.0×10Paである光学用紫外線硬化型接着剤組成物が提案されており、弾性率を1.0×10Pa以下にすることで熱衝撃及び外部衝撃に対する緩衝性が向上し、1.0×10以上にすることで機械的強度が向上すると記載されている。特許文献2には、160℃における硬化物の貯蔵弾性率を0.1×10Pa以上にすることで、高温環境下でも優れた形状保持性を有するウェハレベルレンズを形成することができる旨が記載されているが、耐衝撃性には言及されていない。加えて、特許文献2においてハイブリッドレンズは想定されていないため、特許文献2で提案されている貯蔵弾性率の範囲が、樹脂製レンズの1つの面がガラス基板等の支持体と接している、ハイブリッドレンズならではの特殊な場合にもあてはまるかどうか、不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-209520号公報
【文献】特開2016-27403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1で提案されている弾性率の範囲は、カメラモジュール用樹脂製レンズが形状保持性を確保するには不十分である。前述のように、形状保持性と耐衝撃性は貯蔵弾性率の観点からトレードオフの関係にあり、両特性をどちらも十分に満たすカメラモジュール用樹脂製レンズは未だなく、その開発が望まれていた。本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、形状保持性と耐衝撃性を両立するカメラモジュール用樹脂製レンズ、特にハイブリッドレンズを作製することが可能な、インプリント用光硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、カメラモジュール用樹脂製レンズの形状保持性と耐衝撃性は、硬化物の貯蔵弾性率と密接な関係があることを突き止めた。具体的には、動的粘弾性測定(以下、DMAと略称することがある。)により測定した硬化物の貯蔵弾性率が、-40℃において4.0×10Pa未満であれば耐衝撃性が劇的に向上し、100℃において1.0×10Pa以上であれば形状保持性が劇的に向上することを見出した。さらに、前記貯蔵弾性率の範囲を満足するために必要な条件を規定した独自のパラメータを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第一態様は、樹脂と光開始剤とを含有するインプリント用光硬化性組成物であって、動的粘弾性測定により測定した該インプリント用光硬化性組成物の硬化物の貯蔵弾性率が、-40℃において4.0×10Pa未満であり、且つ100℃において1.0×10Pa以上である、インプリント用光硬化性組成物である。
【0012】
前記樹脂は、例えば必須成分として少なくとも一種の架橋性樹脂及び任意成分として非架橋性樹脂を含み、下記式(1)で表されるパラメータXが0.10以上0.60未満である。
【数1】

(式(1)中、mは前記樹脂に含まれる前記架橋性樹脂の数を表し、xは前記樹脂の全ての成分の和100質量部に占める各々の該架橋性樹脂の割合(単位:質量部)を表し、yは各々の該架橋性樹脂が有する重合性官能基当量(単位:g/eq)を表し、iは1乃至mの正の整数を表す。)
【0013】
前記樹脂は例えばラジカル重合性樹脂を含み、前記光開始剤は例えば光ラジカル発生剤を含む。または、前記樹脂は例えばカチオン重合性樹脂を含み、前記光開始剤は例えば光酸発生剤を含む。
【0014】
前記インプリント用光硬化性組成物は、さらにシリカ粒子を含有してもよい。
【0015】
本発明の第二態様は、前記インプリント用光硬化性組成物の硬化物である。
【0016】
本発明の第三態様は、前記インプリント用光硬化性組成物の成型体である。
【0017】
前記成型体は、例えばカメラモジュール用レンズである。前記カメラモジュール用レンズは、例えばハイブリッドレンズである。
【0018】
本発明の第四態様は、インプリント用光硬化性組成物の成型体の製造方法であって、支持体上に前記インプリント用光硬化性組成物を塗布する塗布工程、該インプリント用光硬化性組成物と、目的とする成型体の外形の反転パターン及び遮光膜を有するモールドとを接触させるインプリント工程、該インプリント工程の後、該モールドを介して該インプリント用光硬化性組成物を露光して光硬化部を形成する光硬化工程、該光硬化部と該モールドとを分離する離型工程、該離型工程の後、該インプリント用光硬化性組成物の未硬化部を現像液により除去して該光硬化部を露出させる現像工程、及び該現像工程の後、該光硬化部が形成された支持体をスピン乾燥させる乾燥工程を含む、成型体の製造方法である。
【0019】
前記光硬化工程の後、前記離型工程の前、中途又は後に、前記光硬化部を加熱する工程をさらに含んでもよい。
【0020】
前記現像工程の後、前記乾燥工程の前に、リンス液を用いて前記光硬化部をリンス処理するリンス工程をさらに含んでもよい。
【0021】
前記乾燥工程の後、前記光硬化部の全面を露光するポスト露光工程をさらに含んでもよい。
【0022】
前記ポスト露光工程の後、前記光硬化部を加熱するポストベーク工程をさらに含んでもよい。
【0023】
前記ポスト露光工程の後、前記光硬化部の表面に反射防止膜を形成する工程をさらに含んでもよい。
【0024】
前記ポストベーク工程の後、前記光硬化部の表面に反射防止膜を形成する工程をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のインプリント用光硬化性組成物は、該インプリント用光硬化性組成物の硬化物の貯蔵弾性率が前記範囲を満たし、前記パラメータXが前記範囲を満たすため、該硬化物の形状保持性と耐衝撃性いずれも優れる。したがって、本発明のインプリント用光硬化性組成物は、カメラモジュール用樹脂製レンズ、特にハイブリッドレンズとして好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のインプリント用光硬化性組成物について、より詳細に説明する。
[DMA]
DMAとは、Dynamic Mechanical Analysis(動的粘弾性測定)であって、JIS K 7244-4に記載の内容を参考にした下記条件で実施される測定を指す。
<試験片作製条件>
本発明のインプリント用光硬化性組成物を、厚さが200μmとなるようにガラス基板2枚で挟み込み、極大波長365nmのUV-LED照射装置を用いて、空気雰囲気下にて照度50mW/cmで120秒間(露光量6J/cm)UV露光し、得られた硬化物を裁断することで短冊状試験片(長さ30mm、幅4mm、厚さ200μm)を作製する。
<測定条件>
測定モード:引張振動
引張ひずみ:0.1%
周波数:1Hz
測定温度範囲:-50℃から200℃
昇温速度:2℃/分
測定雰囲気:空気
【0027】
[貯蔵弾性率]
本発明における貯蔵弾性率とは、前記DMAによって測定された引張貯蔵弾性率を指す。貯蔵弾性率は、材料の弾性的性質を表す物性である。例えば、金属及びガラス等に代表される貯蔵弾性率が極めて大きい材料は、硬く変形しにくいが、変形によって生じたストレスの散逸性に乏しく、一方、ゴム等に代表される貯蔵弾性率が極めて小さい材料は、柔らかく変形しやすいが、変形によって生じたストレスの散逸性に優れる。一般的な樹脂は、温度が低くなるにつれて貯蔵弾性率が大きくなり、弾性的性質が強くなる一方、温度が高くなるにつれて貯蔵弾性率が小さくなり、弾性的性質が弱くなる。
【0028】
本発明のインプリント用光硬化性組成物から得られる硬化物及び成型体の耐衝撃性は、該硬化物の-40℃における貯蔵弾性率と密接に関係しており、該硬化物の-40℃における貯蔵弾性率が4.0×10Pa以上であると、熱衝撃試験中に生じたストレスの散逸性に乏しくなることで、該硬化物及び成型体が割れる、支持体から剥離する等、耐衝撃性が著しく低下する。ここで、-40℃という温度に着目した理由は、一般的な熱衝撃試験における最低温度が-40℃付近であることによる。
【0029】
本発明のインプリント用光硬化性組成物から得られる硬化物及び成型体の形状保持性は、該硬化物の100℃における貯蔵弾性率と密接に関係しており、該硬化物の100℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa未満であると、該硬化物及び成型体の形状保持性が著しく低下する。ここで、100℃という温度に着目した理由は、UVインプリントによるウェハレベル成型における好ましいプロセス最高温度が100℃付近であることによる。
【0030】
[樹脂]
本発明における樹脂は、架橋性樹脂と非架橋性樹脂とに大別される。本発明における架橋性樹脂とは、重合によって3次元架橋体を形成し得る樹脂であり、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エポキシ基及びオキセタニル基から選択される重合性官能基を1分子中に少なくとも2つ有する樹脂である。1分子中に有する重合性官能基の種類は同じであっても異なっていてもよい。また、本発明における非架橋性樹脂とは、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基又はオキセタニル基を1分子中に1つしか有しないか、または1つも有しない樹脂である。なお、本発明における(メタ)アクリレートとは、1分子中にメタクリロイルオキシ基を少なくとも1つ有するメタクリレート又は1分子中にアクリロイルオキシ基を少なくとも1つ有するアクリレートを指す。
【0031】
本発明のインプリント用光硬化性組成物に使用可能な架橋性樹脂のうち、ラジカル重合性樹脂として、例えば、以下に示す商品及び化合物が挙げられる。
ビスコート#195、同#230、同#260、同#310HP、同#335HP(以上、大阪有機化学工業(株)製)、BD、NPG、A-NPG、HD-N、A-HD-N、NOD-N、A-NOD-N、A-IND、DOD-N、A-DOD-N、DCP、A-DCP、A-DOG、1G、2G、3G、4G、9G、14G、23G、A-200、A-400、A-600、A-1000、APG-100、APG-200、APG-400、APG-700、3PG、9PG、A-1206PE、A-0612PE、A-0412PE、A-1000PER、A-3000PER、A-PTMG-65、ABE-300、A-BPE-4、A-BPE-10、A-BPE-20、A-BPE-30、A-BPP-3、U-2PPA、U-200PA、U-160TM、U-290TM、UA-4200、UA-4400、UA-122P、UA-W2A(以上、新中村化学工業(株)製)、ファンクリル(登録商標)FA-121M、同FA-124M、同FA-125M、同FA-129AS、同FA-222A、同FA-220M、同FA-240M、同FA-240A、同FA-P240A、同FA-P270A、同FA-023M、同FA-PTG9M、同FA-PTG9A、同FA-320M、同FA-321M、同FA-3218M、同FA-321A、同FA-324A(以上、日立化成(株)製)、AH-600、UF-8001G、ライトエステル1.4BG、同NP、同1.6HX、同1.9ND、同2EG、同3EG、同4EG、同9EG、同14EG、同BP-2EMK、ライトアクリレート(登録商標)1.6HX-A、同1.9ND-A、同NP-A、同MPD-A、同DCP-A、同3EG-A、同4EG-A、同9EG-A、同14EG-A、同PTMGA-250、同BP-4EAL、同BP-4PA、同HPP-A、エポキシエステル40EM、同70PA、同200PA、同80MFA、同3002M(N)、同3002A(N)、同3000MK、同3000A(以上、共栄社化学(株)製)、HDDA、DPGDA、TPGDA、IRR 214-K、EBECRYL(登録商標)11、同130、同145、同150、同210、同230、同270、同280/15IB、同284、同4491、同4683、同4858、同8307、同8402、同8411、同8413、同8804、同8807、同9270、同246/20HEMA、同1271、同286、同4859、同8409、同8809、同8810、同8811、KRM(登録商標)7735、同8961、同8191(以上、ダイセル・オルネクス(株)製)、HDDA、L-C9A、ND-DA、PE-200、PE-300、PE-400、PE-600、PEM-1000、BPEM-4、BPE-4、BPEM-10、BPE-10、BPE-20、HBPE-4、HBPEM-10、HPN(第一工業製薬(株)製)、M-1100、M-1200(以上、東亞合成(株)製)、UM-90(3/1)DM、UM-90(1/1)DM、UM-90(1/3)DM、UM-90(3/1)DA、UM-90(1/1)DA、UM-90(1/3)DA(以上、宇部興産(株)製)、UV-2000B、UV-3000B、UV-3200B、UV-3300B、UV-3310B、UV-3500BA、UV-3520EA、UV-3700B、UV-6640B及びUV-6630B(以上、三菱ケミカル(株)製)等の二官能(メタ)アクリレート;
ビスコート#295、同#300、同#802(以上、大阪有機化学工業(株)製)、A-9300、A-9300-1CL、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、TMPT、A-TMPT、AD-TMP、ATM-35E、A-TMMT、A-9550、A-DPH、U-6LPA、U-10HA、U-10PA、UA-1100H、U-15HA、UA-53H、UA-33H、UA-7100(以上、新中村化学工業(株)製)、ファンクリル(登録商標)FA-731A、同FA-137M(以上、日立化成(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、ライトエステルTMP、ライトアクリレート(登録商標)TMP-A、同PE-3A、同PE-4A、同DPE-6A(以上、共栄社化学(株)製)、PETA、DPHA、PETIA、PETRA、TMPTA、OTA480、EBECRYL(登録商標)160S、同40、同140、同1142、同220、同8800、同294/25HD、同4220、同4513、同4738、同4740、同4820、同8311、同9260、同8701、同4265、同4587、同4666、同4680、同8210、同8405、同1290、同5129、同8301R、同4501、同2221、同8465、同1258、同4101、同4201、同8209、同1291、同8602、同225、KRM(登録商標)8667、同8296、同8528、同8200、同8200AE、同8530、同8904、同8531BA、同8452(以上、ダイセル・オルネクス(株)製)、TMPTM、TMPT、TMP-2P、TMP-3P、TMP-3、PET-3、PETA-4、TEICA、MF-001、MF-101(以上、第一工業製薬(株)製)、M-305、M-306、M-309、M-310、M-313、M-315、M-321、M-350、M-360、M-400、M-402、M-403、M-404、M-405、M-406、M-408、M-450、M-460、M-471(以上、東亞合成(株)製)、UV-2750B、UV-7000B、UV-7510B、UV-1700B、UV-6300B、UV-7550B、UV-7600B、UV-7605B、UV-7610B、UV-7620EA、UV-7630B、UV-7640B及びUV-7650B(以上、三菱ケミカル(株)製)等の多官能(メタ)アクリレート;
その他、前記重合性官能基を1分子中に少なくとも2つ有するポリマー及びデンドリマー。
【0032】
本発明のインプリント用光硬化性組成物に使用可能な架橋性樹脂のうち、カチオン重合性樹脂として、例えば、以下に示す商品及び化合物が挙げられる。
EPICLON(登録商標)830、同830-S、同835、同840、同840-S、同850、同850-S、同850-LC、同HP-820(以上、DIC(株)製)、DENACOL(登録商標)EX-201、同EX-211、同EX-212、同EX-252、同EX-810、同EX-811、同EX-821、同EX-830、同EX-832、同EX-841、同EX-850、同EX-851、同EX-861、同EX-920、同EX-931、同EX-991L、同EX-313、同EX-314、同EX-321、同EX-321L、同EX-411、同EX-421、同EX-512、同EX-521、同EX-612、同EX-614、同EX-614B、同EX-622(以上、ナガセケムテックス(株)製)、jER(登録商標)152、同630、同825、同827、同828、同828EL、同828US、同828XA(以上、三菱ケミカル(株)製)、TETRAD(登録商標)-C、同-X(以上、三菱ガス化学(株)製)、セロキサイド(登録商標)2021P、同2081、エポリード(登録商標)GT401(以上、(株)ダイセル製)、エポトート(登録商標)YD-115、同YD-115CA、同YD-127、同YD-128、同YD-128G、同YD-128S、同YD-128CA、同YD-8125、同YD-825GS、同YDF-170、同YDF-170N、同YDF-8170C、同YDF-870GS、同ZX-1059、同YH-404、同YH-434、同YH-434L、同YH-513、同YH-523、同ST-3000(以上、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、アデカレジン(登録商標)EP-4100、同EP-4100G、同EP-4100E、同EP-4100TX、同EP-4300E、同EP-4100、同EP-4400、同EP-4520S、同EP-4530、同EP-4901、同EP-4901E、同EP-4000、同EP-4005、同EP-7001、同EP-4080E、同EPU-6、同EPU-7N、同EPU-11F、同EPU-15F、同EPU-1395、同EPU-73B、同EPU-17、同EPU-17T-6、同EPR-1415-1、同EPR-2000、同EPR-2007、アデカグリシロール(登録商標)ED-503、同ED-503G、同ED-506、同ED-523T、同ED-505(以上、(株)ADEKA製)、スミエポキシ(登録商標)ELM-434、同ELM-434L、同ELM-434VL、同ELM-100、同ELM-100H(以上、住友化学(株)製)、エポライトM-1230、同40E,同100E、同200E、同400E、同70P、同200P、同400P、同1500NP、同1600、同80MF、同4000、同3002(N)(以上、共栄社化学(株)製)及びTHI-DE(ENEOS(株)製)等のエポキシ樹脂;
ETERNACOLL(登録商標)OXBP、同OXIPA(以上、宇部興産(株)製)、アロンオキセタン(登録商標)OXT-121及び同OXT-221(以上、東亞合成(株)製)等のオキセタン樹脂。
【0033】
本発明のインプリント用光硬化性組成物に使用可能な非架橋性樹脂のうち、ラジカル重合性樹脂として、例えば、以下に示す商品及び化合物が挙げられる。
AIB、TBA、NOAA、IOAA、LA、STA、ISTA、IBXA、1-ADA、1-ADMA、ビスコート#150、同#155、同#160、同#190、同#192、同#MTG、ビスマー#MPE400A、同#MPE500A、HEA、4-HBA(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ファンクリル(登録商標)FA-BZM、同FA-BZA、同FA-511AS、同FA-512M、同FA-512MT、同FA-512AS、同FA-513M、同FA-513AS(以上、日立化成(株)製)、LMA、LA、S、A-S、S-1800M、S-1800A、IB、A-IB、PHE-1G、AMP-10G、PHE-2G、AMP-20GY、M-20G、M-30G、AM-30G、M-40G、M-90G、AM-90G、M-130G、AM-130G、M-230G、AM-230G、M-30PG、AM-30PG、702A(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトエステルM、同E、同NB、同IB、同TB、同EH、同L、同S、同CH、同IB-X、同BZ、同PО、同THF(1000)、同130MA、同041MA、同HO-250(N)、同HOA(N)、同DM、同DE、ライトアクリレート(登録商標)L-A、同S-A、同IB-XA、同PO-A、同THF-A、同MTG-A、同130A、同DPM-A、同EC-A、エポキシエステルM-600A、(以上、共栄社化学(株)製)、VEEM及びVEEA(以上、(株)日本触媒製)等の単官能(メタ)アクリレート;
FX-AO-MA((株)日本触媒製)等のラジカル環化重合性化合物。
【0034】
本発明のインプリント用光硬化性組成物に使用可能な非架橋性樹脂のうち、カチオン重合性樹脂として、例えば、以下に示す商品及び化合物が挙げられる。
DENACOL(登録商標)EX-121、同EX-141、同EX-145、同EX-146、同EX-147、同EX-171、同EX-192、同EX-731(以上、ナガセケムテックス(株)製)、アデカグリシロール(登録商標)ED-502、同ED-502S、同ED-509E、同ED-509S及び同ED-529(以上、(株)ADEKA製)等の単官能エポキシ樹脂;
ETERNACOLL(登録商標)EHO、同HBOX(以上、宇部興産(株)製)、アロンオキセタン(登録商標)OXT-101及び同OXT-212(以上、東亞合成(株)製)等の単官能オキセタン樹脂。
【0035】
[パラメータX]
本発明のインプリント用光硬化性組成物は、下記式(1)で表されるパラメータXが0.10以上0.60未満となる樹脂を含有する。
【数2】

(式(1)中、mは前記樹脂に含まれる前記架橋性樹脂の数を表し、xは前記樹脂の全ての成分の和100質量部に占める各々の該架橋性樹脂の割合(単位:質量部)を表し、yは各々の該架橋性樹脂が有する重合性官能基当量(単位:g/eq)を表し、iは1乃至mの正の整数を表す。)
【0036】
前記重合性官能基当量とは、1グラム当量の重合性官能基を含む樹脂の質量を指し、簡易的には、重合性官能基を含む樹脂の分子量又は平均分子量を該重合性官能基の数で除す、または核磁気共鳴分光法、赤外分光法等の各種手法によって定量的に分析することで算出される。重合性官能基を含む樹脂が(メタ)アクリレートの場合は、JIS K 2605に記載の方法によって(メタ)アクリル当量を、エポキシ樹脂の場合は、JIS K 7236に記載の方法によってエポキシ当量を測定することができる。
【0037】
ここで、本発明におけるパラメータXの意味について説明する。パラメータXは、本発明のインプリント用光硬化性組成物を硬化させて成る三次元架橋体の架橋密度を、硬化前の組成物の段階で見積もる、本発明者が見出した独自のパラメータであり、架橋性樹脂に関する項から成る。上記式(1)は、各々の架橋性樹脂について、含有割合と、重合性官能基当量の逆数すなわち単位質量当たり重合性官能基数とを乗じ(x/y)、各々の架橋性樹脂x/yの総和をとったものであり、三次元架橋体の架橋密度に対する、架橋性樹脂の寄与を意味する。三次元架橋体の架橋密度に対する非架橋性樹脂の寄与をゼロと見做した。その理由は、非架橋性樹脂は、それ自身が重合しないか、または重合しても三次元架橋体を形成せずに架橋点間を伸長するのみであることによる。重合性官能基当量が小さい架橋性樹脂を樹脂中に多く含有するほど、パラメータXは大きい値をとり、本発明のインプリント用光硬化性組成物の硬化物は架橋密度が大きくなる。反対に、重合性官能基当量が大きい架橋性樹脂、または非架橋性樹脂を樹脂中に多く含有するほど、パラメータXは小さい値をとり、本発明のインプリント用光硬化性組成物の硬化物は架橋密度が小さくなる。
【0038】
本発明のインプリント用光硬化性組成物のパラメータXは、該インプリント用光硬化性組成物の硬化物の貯蔵弾性率と密接に関係しており、パラメータXが0.10以上0.60未満となるように樹脂を選択することで、該インプリント用光硬化性組成物の硬化物の貯蔵弾性率は、-40℃において4.0×10Pa未満であり、且つ100℃において1.0×10Pa以上であるという条件を満足する。パラメータXが0.60以上であるインプリント用光硬化性組成物は、該インプリント用光硬化性組成物の硬化物の貯蔵弾性率が、-40℃において4.0×10Pa以上となり、該インプリント用光硬化性組成物から得られる硬化物及び成型体の耐衝撃性が著しく低下する。パラメータXが0.10未満であるインプリント用光硬化性組成物は、該インプリント用光硬化性組成物の硬化物の貯蔵弾性率が、100℃において1.0×10Pa未満となり、該インプリント用光硬化性組成物から得られる硬化物及び成型体の形状保持性が著しく低下する。
【0039】
本発明におけるインプリント用光硬化性組成物が含有する樹脂の種類は、パラメータXが0.10以上0.60未満である限り特に限定されない。本発明におけるインプリント用光硬化性組成物が、樹脂及び光開始剤以外にシリカ粒子及びその他添加剤を含有していても、パラメータXが0.10以上0.60未満となるように樹脂を含有することが望ましい。
【0040】
[光開始剤]
本発明における光開始剤は、光ラジカル発生剤及び光酸発生剤に大別される。光ラジカル発生剤はラジカル重合性樹脂と、光酸発生剤はカチオン重合性樹脂と組み合わせて用いることが望ましい。
【0041】
本発明のインプリント用光硬化性組成物に使用可能な光ラジカル発生剤として、例えば、アルキルフェノン類、ベンゾフェノン類、ジベンゾイル類、アントラキノン類、アシルホスフィンオキシド類、ベンゾイルベンゾエート類、オキシムエステル類及びチオキサントン類が挙げられ、特に、分子内開裂型の光ラジカル発生剤が好ましい。前記光ラジカル発生剤として市販品を用いてもよく、例えば、OMNIRAD(登録商標)127、同184、同369、同369E、同379EG、同500、同651、同819、同784、同907、同1173、同2959、同TPO H(以上、IGM Resins社製)、IRGACURE(登録商標)OXE01、同OXE02、同OXE03、同OXE04、CGI1700、同CGI1750、同CGI1850、同CG24-61(以上、BASFジャパン(株)製)、ESACURE KIP150、同KIP65LT、同KIP100F、同KT37、同KT55、同KTO46及び同KIP75(以上、Lamberti社製)が挙げられる。
【0042】
本発明のインプリント用光硬化性組成物に使用可能な光酸発生剤として、例えば、アリールスルホニウム塩類及びアリールヨードニウム塩類が挙げられる。前記光酸発生剤として市販品を用いてもよく、例えば、CPI(登録商標)-100P、同-101A、同-110P、同-200K、同-210S、同-300、同-310B、同-400、同-410S、IK-1(以上、サンアプロ(株)製)、IRGACURE(登録商標)PAG103、同PAG121、同PAG203(以上、BASFジャパン(株)製)、TPS-TF、TPS-CS、TPS-PFBS及びDTBPI-PFBS(以上、東洋合成工業(株)製)が挙げられる。
【0043】
本発明のインプリント用光硬化性組成物の光開始剤の含有量は、該インプリント用光硬化性組成物が含有する全ての樹脂成分の和100質量部に対して、0.05質量部乃至5質量部、好ましくは0.1質量部乃至3質量部、より好ましくは0.5質量部乃至2質量部である。前記光開始剤の含有量を上記範囲内とすることで、本発明のインプリント用光硬化性組成物は、露光により硬化させることができる。
前記光開始剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
[シリカ粒子]
本発明のインプリント用光硬化性組成物はシリカ粒子を含有してもよく、使用可能なシリカ粒子は、一次粒子径が1nm乃至100nmである。ここで、一次粒子とは、粉体を構成する粒子であり、この一次粒子が凝集した粒子を二次粒子という。前記一次粒子径は、ガス吸着法(BET法)により測定される前記シリカ粒子の比表面積(単位質量あたりの表面積)S、該シリカ粒子の密度ρ、及び一次粒子径Dとの間に成り立つ関係式:D=6/(ρS)から算出することができる。前記関係式から算出される一次粒子径は、平均粒子径であり、一次粒子の直径である。一次粒子径を上記範囲内とすることで、本発明のインプリント用光硬化性組成物の透明性を損なうことなくシリカ粒子を配合することができる。
【0045】
前記シリカ粒子は、表面修飾されていないシリカ粒子及び表面修飾シリカ粒子のうち、どちらを使用してもよい。前記表面修飾されていないシリカ粒子として、例えば、CHO-ST-M、DMAC-ST、DMAC-ST-ZL、EAC-ST、EG-ST、EG-ST-ZL、EG-ST-XL30、IPA-ST、IPA-ST-L、IPA-ST-ZL、IPA-ST-UP、メタノールシリカゾル、MA-ST-M、MA-ST-L、MA-ST-ZL、MA-ST-UP、MEK-ST、MEK-ST-40、MEK-ST-L、MEK-ST-ZL、MEK-ST-UP、MIBK-ST、MIBK-ST-L、NMP-ST、NPC-ST-30、PMA-ST、PGM-ST、PGM-ST、PGM-ST-UP、及びTOL-ST(以上、日産化学(株)製)が挙げられる。前記表面修飾シリカ粒子として、例えば、MEK-AC-2140Z、MEK-AC-4130Y、MEK-AC-5140Z、PGM-AC-2140Y、PGM-AC-4130Y、MIBK-AC-2140Z、MIBK-SD-L(以上、日産化学(株)製)、ELCOM(登録商標)V-8802及び同V-8804(以上、日揮触媒化成(株)製)が挙げられる。市販品以外にも、前記表面修飾されていないシリカ粒子とシランカップリング剤とを、各種公知の方法により反応させたものを使用することができる。
【0046】
本発明のインプリント用光硬化性組成物が前記シリカ粒子を含有する場合、その含有量は、該インプリント用光硬化性組成物が含有する樹脂の全ての成分の和100質量部に対して、5質量部乃至60質量部、好ましくは8質量部乃至45質量部、より好ましくは10質量部乃至30質量部である。前記シリカ粒子を上記範囲内で含有することによって、本発明のインプリント用光硬化性組成物から得られる硬化物及び成型体の耐熱性向上等の効果を付与することができる。
【0047】
前記シリカ粒子は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。例えば、一次粒子径の異なる複数のシリカ粒子を組み合わせてもよいし、表面修飾に用いたシランカップリング剤の種類または量が異なる複数のシリカ粒子を組み合わせてもよい。
【0048】
[その他添加剤]
さらに、本発明のインプリント用光硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、酸化防止剤、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、シランカップリング剤等の接着補助剤、顔料、染料、消泡剤などの添加剤を含有することができる。
【0049】
[インプリント用光硬化性組成物の調製方法]
本発明のインプリント用光硬化性組成物の調製方法は、特に限定されない。調製方法として、例えば、樹脂、光開始剤、並びに必要によりシリカ粒子及びその他添加剤を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法が挙げられる。溶液に調製した本発明のインプリント用光硬化性組成物は、孔径が0.1μm乃至10μmのフィルターなどを用いてろ過した後、使用することが望ましい。
【0050】
[硬化物]
本発明のインプリント用光硬化性組成物を露光(光硬化)して、硬化物を得ることができ、本発明は該硬化物も対象とする。露光する光線としては、前記硬化物を得ることができる限り特に限定されないが、例えば、紫外線、電子線及びX線が挙げられる。紫外線照射に用いる光源としては、例えば、太陽光線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、及びUV-LEDが使用できる。
【0051】
[成型体]
本発明のインプリント用光硬化性組成物は、UVインプリント法によって、硬化物の形成と並行して各種成型体を容易に製造することができる。以下、成型体の製造に関して詳細なプロセスを記載する。
【0052】
[塗布工程]
本発明の成型体の製造方法は、支持体上に、本発明のインプリント用光硬化性組成物を塗布する塗布工程を有する。前記インプリント用光硬化性組成物は、ディスペンサー、スピナー等の適当な塗布方法により前記支持体上に塗布される。前記支持体は、開口部を有するパターンを有していてもよく、該パターンは、ネガ型感光性樹脂組成物又はポジ型感光性樹脂組成物をパターニングして形成され、その形状は例えば格子状である。前記支持体は、例えば、酸化珪素膜で被覆されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被覆されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素基板、石英基板、ガラス基板(無アルカリガラス、低アルカリガラス、結晶化ガラスを含む)、ITO膜が形成されたガラス基板が挙げられる。前記支持体は、前記インプリント用光硬化性組成物から得られる硬化物及び成型体との密着性を向上させるために、該支持体と該インプリント用光硬化性組成物との間にプライマー層を有していてもよい。
【0053】
[インプリント工程]
本発明の成型体の製造方法は、前記インプリント用光硬化性組成物と、目的とする成型体の外形の反転パターン及び遮光膜を有するモールドとを接触させるインプリント工程を有する。ここで、前記目的とする成型体の形状が凹面である場合、前記反転パターンは凸面である。前記モールドの材料は、後述する光硬化工程で使用する紫外線等の光を透過する材料である限り限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂、石英、硼珪酸ガラス及びフッ化カルシウムが挙げられる。前記モールドの材料が樹脂である場合、非感光性樹脂、感光性樹脂いずれであってもよい。前記感光性樹脂として、例えば、国際公開第2019/031359号に開示されているインプリント用レプリカモールド材料が挙げられる。また、前記遮光膜の材料は、後述する光硬化工程で使用する紫外線等の光を透過しない材料である限り限定されないが、例えば、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、タンタル、タングステン及びモリブデンが挙げられる。前記モールドは、後述する離型工程のために、離型剤を塗布し乾燥することで離型処理した後に使用することが望ましい。前記離型剤は、市販品として入手が可能であり、例えば、Novec(登録商標)1700、同1710、同1720(以上、スリーエムジャパン(株)製)、フロロサーフ(登録商標)FG-5084、同FG-5093(以上、(株)フロロテクノロジー製)、デュラサーフ(登録商標)DP-500、同DP-200、同DS-5400、同DH-100、同DH-405TH、同DH-610、同DS-5800、同DS-5935(以上、(株)ハーベス製)、ポリフロン(登録商標)PTFE TC-7105GN、同PTFE TC-7109BK、同PTFE TC-7113LB、同PTFE TC-7400CR、同PTFE TC-7405GN、同PTFE TC-7408GY、同PTFE TC-7409BK、同PTFE TC-7609M1、同PTFE TC-7808GY、同PTFE TC-7809BK、同PTFE TD-7139BD、オプツール(登録商標)DAC-HP、同DSX-E、オプトエース(登録商標)WP-140、ダイフリー(登録商標)GW-4000、同GW-4010、同GW-4500、同GW-4510、同GW-8000、同GW-8500、同MS-175、同GF-700、同GF-750、同MS-600、同GA-3000、同GA-9700、同GA-9750(以上、ダイキン工業(株)製)、メガファック(登録商標)F-553、同F-555、同F-558、同F-561(以上、DIC(株)製)、SFE-DP02H、SNF-DP20H、SFE-B002H、SNF-B200A、SCV-X008、SFEX008、SNF-X800、SR-4000A、S-680、S-685、MR F-6441-AL、MR F-6711-AL、MR F-6758-AL、MR F-6811-AL、及びMR EF-6521-AL(以上、AGCセイミケミカル(株)製)が挙げられる。前記離型剤として、上記市販品以外に、例えば国際公開第2019/031312号に開示されているモールド用離型剤が挙げられる。
【0054】
[光硬化工程]
本発明の成型体の製造方法は、前記インプリント工程の後、前記モールドを介して前記インプリント用光硬化性組成物を露光して光硬化部を形成する光硬化工程を有する。露光する光線としては、前記光硬化部を形成することができる限り特に限定されないが、例えば、紫外線、電子線及びX線が挙げられる。紫外線照射に用いる光源としては、例えば、太陽光線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、及びUV-LEDが使用できる。前記光硬化部の膜厚は、通常1μm乃至2000μmであり、好ましくは100μm乃至1000μmであり、より好ましくは300μm乃至700μmである。前記モールドは、紫外線等の光を透過する材料から作成され、且つ該紫外線等の光を透過しない遮光膜を有するため、本工程ではマスクとして使用される。
【0055】
[離型工程]
本発明の成型体の製造方法は、前記光硬化部と前記モールドとを分離する離型工程を有する。離型方法は、前記光硬化部が損傷及び変形することなく、前記モールドから完全に分離することができる限り、特に限定されない。前記モールドは、前記離型剤を塗布し乾燥する離型処理によって、前記光硬化部と該モールドとの分離が容易となる。前記光硬化工程の後、本離型工程の前、中途又は後に、前記光硬化部を加熱する工程をさらに有してもよい。前記光硬化部を加熱する手段としては、特に限定されないが、例えば、ホットプレート及びオーブン等が挙げられる。前記光硬化部を加熱する工程は、50℃乃至200℃、好ましくは50℃乃至150℃、より好ましくは50℃乃至100℃の温度範囲で、1分間乃至1時間、好ましくは1分間乃至30分間、より好ましくは1分間乃至10分間行われる。
【0056】
[現像工程]
本発明の成型体の製造方法は、前記離型工程の後、前記インプリント用光硬化性組成物の未硬化部を現像液により除去して前記光硬化部を露出させる現像工程を有する。本現像工程の手段としては、特に限定されないが、例えば、ディップ法、パドル法、スプレー法、ダイナミックディスペンス法及びスタティックディスペンス法が挙げられる。本現像工程は、5℃乃至50℃、好ましくは15℃乃至35℃、より好ましくは20℃乃至30℃の温度範囲で、10秒間乃至10分間、好ましくは10秒間乃至3分間、より好ましくは10秒間乃至1分間行われる。
【0057】
前記現像液としては、前記インプリント用光硬化性組成物の未硬化部を除去することができる限り特に限定されないが、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びγ-ブチロラクトンが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。前記現像液は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
[リンス工程]
本発明の成型体の製造方法は、前記現像工程の後、後述する乾燥工程の前に、リンス液を用いて前記光硬化部をリンス処理するリンス工程を有してもよい。本リンス工程の手段としては、特に限定されないが、例えば、ディップ法、パドル法、スプレー法、ダイナミックディスペンス法及びスタティックディスペンス法が挙げられる。本リンス工程は、5℃乃至50℃、好ましくは15℃乃至35℃、より好ましくは20℃乃至30℃の温度範囲で、10秒間乃至10分間、好ましくは10秒間乃至3分間、より好ましくは10秒間乃至1分間行われる。前記リンス液としては、前記光硬化部にダメージを与えることなく、前記現像液を洗い流すことができる限り特に限定されない。
【0059】
本発明の成型体の製造方法において使用する前記現像液及び前記リンス液は、前記光硬化部に対する濡れ性を向上させて現像及びリンスを効率的に進行させる目的で、界面活性剤をさらに含有してもよい。前記界面活性剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記界面活性剤が使用される場合、その含有量は、前記現像液又は前記リンス液100質量部に対して、0.001質量部乃至5質量部であり、好ましくは0.01質量部乃至3質量部であり、より好ましくは0.05質量部乃至1質量部である。
【0060】
[乾燥工程]
本発明の成型体の製造方法は、前記現像工程の後、前記光硬化部が形成された支持体をスピン乾燥させる乾燥工程を有する。本乾燥工程の手段としては、特に限定されないが、例えば、前記支持体をスピナー、コーター等のスピン乾燥可能な装置を使用して回転させる方法が挙げられる。本乾燥工程は、200rpm乃至3000rpm、好ましくは500rpm乃至2000rpm、より好ましくは1000rpm乃至1500rpmの回転数範囲で、10秒間乃至10分間、好ましくは10秒間乃至3分間、より好ましくは10秒間乃至1分間行われる。
【0061】
[ポスト露光工程]
本発明の成型体の製造方法は、前記乾燥工程の後、前記光硬化部の全面を露光するポスト露光工程を有してもよい。本ポスト露光工程の雰囲気としては、特に限定されないが、例えば、空気雰囲気及び窒素雰囲気が挙げられる。本ポスト露光工程において露光する光線は、前記光硬化工程で使用可能な光線を使用することができる。
【0062】
[ポストベーク工程]
本発明の成型体の製造方法は、前記ポスト露光工程の後、前記光硬化部を加熱するポストベーク工程を有してもよい。本ポストベーク工程の手段としては、特に限定されないが、例えば、ホットプレート及びオーブンが挙げられる。本ポストベーク工程は、50℃乃至200℃、好ましくは50℃乃至150℃、より好ましくは50℃乃至100℃の温度範囲で、1分間乃至1時間、好ましくは1分間乃至30分間、より好ましくは1分間乃至10分間行われる。
【0063】
[反射防止膜形成工程]
本発明の成型体の製造方法は、前記ポスト露光工程の後、又は前記ポストベーク工程を行う場合は該ポストベーク工程の後、前記光硬化部の表面に反射防止膜を形成する工程をさらに有してもよい。前記反射防止膜は、前記光硬化物に入射する光の反射を抑制し、透過率を向上させるために、該光硬化物の表面に形成される。前記反射防止膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、ミスト法、スピンコート法、ディップコート法及びスプレーコート法が挙げられる。また、前記反射防止膜として、フッ化マグネシウム、二酸化ケイ素等の無機膜、及びオルガノポリシロキサン等の有機膜が挙げられる。
【0064】
このような方法によって製造された成型体は、カメラモジュール用レンズとして好適に使用することができる。
【実施例
【0065】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例及び比較例において、試料の調製及び評価に用いた装置は下記の通りである。
【0066】
(1)撹拌脱泡
(株)シンキー製 自転・公転ミキサーあわとり練太郎(登録商標)ARE-310
(2)UV露光
シーシーエス(株)製 バッチ式UV-LED照射装置(極大波長365nm)
(3)貯蔵弾性率測定
ティーエイインスツルメントジャパン(株)製 動的粘弾性測定装置Q800
ティーエイインスツルメントジャパン(株)製 エアチラーシステムACS-3
(4)耐衝撃性評価
エスペック(株)製 小型熱衝撃試験機TSE-11-A
(5)形状保持性評価
三鷹光器(株)製 非接触表面性状測定装置PF-60
【0067】
下記製造例、実施例及び比較例において使用した樹脂、光開始剤及びシリカ粒子の供給元は下記の通りである。
A-DCP:新中村化学工業(株)製 製品名:NKエステル A-DCP
A-DOG:新中村化学工業(株)製 製品名:NKエステル A-DOG
APG-700:新中村化学工業(株)製 製品名:NKエステル APG-700
A-600:新中村化学工業(株)製 製品名:NKエステル A-600
AM-90G:新中村化学工業(株)製 製品名:NKエステル AM-90G
1G:新中村化学工業(株)製 製品名:NKエステル 1G
DCP:新中村化学工業(株)製 製品名:NKエステル DCP
UA-4200:新中村化学工業(株)製 製品名:NKオリゴ UA-4200
UA-510H:共栄社化学(株)製 製品名:UA-510H
E4513:ダイセル・オルネクス(株)製 製品名:EBECRYL(登録商標)4513
E5129:ダイセル・オルネクス(株)製 製品名:EBECRYL(登録商標)5129
V#190:大阪有機化学工業(株)製 製品名:ビスコート#190
V#260:大阪有機化学工業(株)製 製品名:ビスコート#260
UM-90(1/3)DA:宇部興産(株)製 製品名:UM-90(1/3)DA
THI-DE:ENEOS(株)製 製品名:THI-DE
GT401:(株)ダイセル製 製品名:エポリード(登録商標)GT401
I184:IGM Resins社製 製品名:OMNIRAD(登録商標)184
I110P:サンアプロ(株)製 製品名:CPI(登録商標)-110P
MEK-AC-2140Z:日産化学(株)製 製品名:MEK-AC-2140Z
【0068】
[製造例1]
500mLナスフラスコに、A-DCPを120g、及びメチルエチルケトンを120g秤量し、撹拌して均一化した。その後、MEK-AC-2140Z(メタクリロイルオキシ基で表面修飾された一次粒子径10nm乃至15nmのシリカ粒子、固形分46質量%、メチルエチルケトン分散液)260gを加え、攪拌して均一化した。その後、エバポレーターを用いて、50℃、減圧度133.3Pa以下の条件でメチルエチルケトンを留去し、シリカ粒子のA-DCP分散液(該シリカ粒子濃度50質量%)を得た。
【0069】
[実施例1]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを6.0g及びAPG-700を4.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物1を調製した。
【0070】
[実施例2]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを4.0g及びAPG-700を6.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物2を調製した。
【0071】
[実施例3]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを3.0g及びAPG-700を7.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物3を調製した。
【0072】
[実施例4]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを2.0g及びAPG-700を8.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物4を調製した。
【0073】
[実施例5]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを4.0g及びAPG-700を4.0g、前記シリカ粒子として製造例1で調製したシリカ粒子のA-DCP分散液を2.0g(シリカ粒子として1.0g)、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物5を調製した。
【0074】
[実施例6]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを8.0g及びA-600を2.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物6を調製した。
【0075】
[実施例7]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを6.0g及びA-600を4.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物7を調製した。
【0076】
[実施例8]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを4.0g及びA-600を6.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物8を調製した。
【0077】
[実施例9]
前記架橋性樹脂としてA-DOGを6.0g及びA-600を4.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物9を調製した。
【0078】
[実施例10]
前記架橋性樹脂としてA-DOGを3.0g及びAPG-700を7.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物10を調製した。
【0079】
[実施例11]
前記架橋性樹脂としてA-DOGを2.0g及びAPG-700を8.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物11を調製した。
【0080】
[実施例12]
前記架橋性樹脂としてUM-90(1/3)DAを10.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物12を調製した。
【0081】
[実施例13]
前記架橋性樹脂としてUM-90(1/3)DAを9.0g、前記非架橋性樹脂としてV#190を1.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物13を調製した。
【0082】
[実施例14]
前記架橋性樹脂としてUM-90(1/3)DAを8.0g、前記非架橋性樹脂としてV#190を2.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物14を調製した。
【0083】
[実施例15]
前記架橋性樹脂としてUM-90(1/3)DAを9.0g、前記非架橋性樹脂としてAM-90Gを1.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物15を調製した。
【0084】
[実施例16]
前記架橋性樹脂としてE4513を10.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物16を調製した。
【0085】
[比較例1]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを10.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物17を調製した。
【0086】
[比較例2]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを7.0g及びAPG-700を1.0g、前記シリカ粒子として製造例1で調製したシリカ粒子のA-DCP分散液を2.0g(シリカ粒子として1.0g)、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物18を調製した。
【0087】
[比較例3]
前記架橋性樹脂としてA-DCPを3.0g及びAPG-700を1.0g、前記シリカ粒子として製造例1で調製したシリカ粒子のA-DCP分散液を6.0g(シリカ粒子として3.0g)、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物19を調製した。
【0088】
[比較例4]
前記架橋性樹脂としてA-DOGを10.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物20を調製した。
【0089】
[比較例5]
前記架橋性樹脂としてE5129を10.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物21を調製した。
【0090】
[比較例6]
前記架橋性樹脂としてE5129を8.0g及びV#260を2.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物22を調製した。
【0091】
[比較例7]
前記架橋性樹脂としてE5129を6.0g及びV#260を4.0g、並びに前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物23を調製した。
【0092】
[比較例8]
前記架橋性樹脂としてUA-510Hを10.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物24を調製した。
【0093】
[比較例9]
前記架橋性樹脂として1Gを10.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物25を調製した。
【0094】
[比較例10]
前記架橋性樹脂としてDCPを10.0g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物26を調製した。
【0095】
[比較例11]
前記架橋性樹脂としてTHI-DEを6.0g及びGT401を4.0g、並びに前記光開始剤としてI110Pを0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物27を調製した。
【0096】
[比較例12]
前記架橋性樹脂としてUM-90(1/3)DAを2.5g、前記非架橋性樹脂としてAM-90Gを7.5g、前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物28を調製した。
【0097】
[比較例13]
前記架橋性樹脂としてUA-4200を2.5g、前記非架橋性樹脂としてAM-90Gを7.5g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物29を調製した。
【0098】
[比較例14]
前記架橋性樹脂としてE4513を2.5g、前記非架橋性樹脂としてAM-90Gを7.5g、及び前記光開始剤としてI184を0.1g、それぞれ配合し、50℃で15時間振とうさせ混合した後、前記撹拌脱泡機を用いて10分間撹拌脱泡することで、インプリント用光硬化性組成物30を調製した。
【0099】
前記実施例1乃至実施例16及び比較例1乃至比較例14で調製したインプリント用光硬化性組成物1乃至30の配合比を、下記表1に示す。なお、下記表1中、「部」は「質量部」を表す。
【0100】
表1
【表1】
【0101】
[貯蔵弾性率測定]
実施例1乃至実施例16及び比較例1乃至比較例14で調製した各インプリント用光硬化性組成物を、200μm厚のシリコーンゴム製スペーサーを介して、ガラス基板2枚で挟み込んだ。前記ガラス基板は、予めNovec(登録商標)1720(スリーエムジャパン(株)製)を塗布し乾燥することで離型処理したものである。その後、前記離型処理したガラス基板2枚に挟まれた前記インプリント用光硬化性組成物を、前記UV-LED照射装置を用いて、空気雰囲気下にて照度50mW/cmで120秒間(露光量6J/cm)UV露光した。露光後得られた硬化物を、前記離型処理したガラス基板から剥離し、裁断することで短冊状試験片(長さ30mm、幅4mm、厚さ200μm)を作製した。前記短冊状試験片の貯蔵弾性率を、前記エアチラーシステムを接続した前記動的粘弾性測定装置を用いて測定した。なお、測定条件は下記の通りである。
<測定条件>
測定モード:引張振動
引張ひずみ:0.1%
周波数:1Hz
測定温度範囲:-50℃から200℃
昇温速度:2℃/分
測定雰囲気:空気
【0102】
前記各インプリント用光硬化性組成物から前記短冊状試験片を2つ作製し、該2つの短冊状試験片それぞれの貯蔵弾性率を測定し、それらの平均値を最終的な貯蔵弾性率として採用した。前記各インプリント用光硬化性組成物について、-40℃における貯蔵弾性率の平均値及び100℃における貯蔵弾性率の平均値を下記表3に示す。
【0103】
[パラメータXの算出]
実施例1乃至実施例16及び比較例1乃至比較例14で調製した各インプリント用光硬化性組成物について、前記式(1)に基づいてパラメータXを算出した。なお、架橋性樹脂の重合性官能基当量(単位:g/eq)としては、製品のカタログ等に記載の数値をそのまま採用し、記載されていないものについては、製品のカタログ等に記載の構造式、平均分子量及び官能基数の情報を参考にして求めたものを採用した。各架橋性樹脂の重合性官能基当量(単位:g/eq)は下記表2の通りである。
表2
【表2】
【0104】
[耐衝撃性評価]
実施例1乃至実施例16及び比較例1乃至比較例14で調製した各インプリント用光硬化性組成物を、無アルカリガラス基板(5cm角、700μm厚)上に適量滴下した。前記無アルカリガラス基板は、予めKBM-503(信越化学工業(株)製)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、本明細書ではPGMEAと略称する。)で10重量%に希釈した溶液を塗布し乾燥することで、密着処理したものである。その後、前記無アルカリガラス基板上に滴下した前記インプリント用光硬化性組成物を、遮光膜付き透明樹脂製凸面モールド(開口部6mm×7mm)で挟み込んだ。前記モールドは、Novec(登録商標)1720(スリーエムジャパン(株)製)を塗布し乾燥することで離型処理したものである。続いて、前記無アルカリガラス基板と前記モールドとで挟まれた前記インプリント用光硬化性組成物を、前記UV-LED照射装置を用いて、前記モールドを介して照度50mW/cmで所定時間UV露光し、光硬化部を形成した。なお、この時のUV露光時間は、実施例1乃至実施例7、実施例10乃至実施例16、及び比較例1乃至比較例10については5秒間、実施例8、実施例9、及び比較例12乃至比較例14については3秒間、比較例11については20秒間である。その後、前記モールドを離型し、前記光硬化部が密着した前記無アルカリガラス基板を、攪拌されたPGMEA中に1分間浸漬(現像)し、さらにPGMEAでリンスすることで未露光部(未硬化部)を除去した。その結果、前記無アルカリガラス基板上に、6mm×7mm、最厚部400μm、最薄部約30μmの凹面を有するレンズが成型された。
【0105】
次に、前記無アルカリガラス基板上に成型された前記レンズを、前記UV-LED照射装置を用いて、再び照度50mW/cmで所定時間UV露光した後、前記熱衝撃試験機へ投入し、熱衝撃試験を行った。なお、この時のUV露光時間は、実施例1乃至実施例7、実施例10乃至実施例16、比較例1乃至比較例10については115秒間、実施例8、実施例9、比較例12乃至比較例14については117秒間、比較例11については100秒間である(前記各インプリント用光硬化性組成物につき、2度のUV露光の合計露光時間が120秒間、すなわち合計露光量が同一(6J/cm)となるように統一した)。また、熱衝撃試験条件は下記の通りである。
<熱衝撃試験条件>
低温槽温度:-40℃
高温槽温度:85℃
各温度での曝し時間:30分(1サイクル=1時間)
サイクル数:50
【0106】
熱衝撃試験終了後、目視観察で前記レンズにクラックが確認できるものの耐衝撃性を“×”、クラックが確認できないものの耐衝撃性を“○”と判定した。その結果を下記表3に示す。
【0107】
[形状保持性評価]
実施例1乃至実施例16、比較例1、比較例4、比較例10乃至比較例14で調製した各インプリント用光硬化性組成物について、前記[耐衝撃性評価]に記載の、熱衝撃試験機へ投入する直前までの手順と同じ手順で、前記無アルカリガラス基板上に前記レンズを成型した。前記レンズの凹面の形状を、前記非接触表面性状測定装置を用いて測定し、該レンズの最厚部の厚さと最薄部の厚さの差(μm)を算出した(ここで算出された値を“差A”と呼ぶ)。続いて、前記レンズが成型された前記無アルカリガラス基板を、100℃のホットプレート上に10分間置いて加熱し、ホットプレート上から取り外してから10分後に、再度前記レンズの凹面の形状を、前記非接触表面性状測定装置を用いて測定し、該レンズの最厚部の厚さと最薄部の厚さの差(μm)を算出した(ここで算出された値を“差B”と呼ぶ)。差Aから差Bを減じた値をレンズの形状変化量(μm)と定義した。前記各インプリント用光硬化性組成物について、前記形状変化量が10μm以上の場合の形状保持性を“×”、前記形状変化量が2μm以下の場合の形状保持性を“○”と判定した。その結果を下記表3に示す。
【0108】
表3
【表3】
【0109】
実施例1乃至実施例16で調製したインプリント用光硬化性組成物は、該組成物から得られた硬化物の貯蔵弾性率が、-40℃において4.0×10Pa未満であり、且つ100℃において1.0×10Pa以上であり、さらに、パラメータXが0.10以上0.60未満であった。前記インプリント用光硬化性組成物から作製されたレンズは、耐衝撃性評価及び形状保持性評価において“○”判定であった。
【0110】
一方、比較例1乃至比較例10で調製したインプリント用光硬化性組成物は、該組成物から得られた硬化物の貯蔵弾性率が、100℃において1.0×10Pa以上であったものの、-40℃において4.0×10Pa以上であり、さらに、パラメータXが0.60以上であった。前記インプリント用光硬化性組成物から作製されたレンズは、耐衝撃性評価において軒並み“×”判定であった。
【0111】
比較例11で調製したインプリント用光硬化性組成物は、該組成物から得られた硬化物の貯蔵弾性率が、-40℃において4.0×10Pa以上であり、且つ100℃において1.0×10Pa未満であり、さらに、パラメータXが0.60以上であった。前記インプリント用光硬化性組成物から作製されたレンズは、耐衝撃性評価及び形状保持性評価において“×”判定であった。
【0112】
比較例12乃至比較例14で調製したインプリント用光硬化性組成物は、該組成物から得られた硬化物の貯蔵弾性率が、-40℃において4.0×10Pa未満であったものの、100℃において1.0×10Pa未満であり、さらに、パラメータXが0.10未満であった。前記インプリント用光硬化性組成物から作製されたレンズは、耐衝撃性評価において “○”判定であったものの、形状保持性評価において軒並み“×”判定であった。
【0113】
以上の結果より、硬化物の貯蔵弾性率が、-40℃において4.0×10Pa未満であり、且つ100℃において1.0×10Pa以上であるインプリント用光硬化性組成物、及びパラメータXが0.10以上0.60未満であるインプリント用光硬化性組成物は、形状保持性及び耐衝撃性を両立し、一方で、硬化物の貯蔵弾性率及びパラメータXが前記範囲から外れるインプリント用光硬化性組成物は、形状保持性及び耐衝撃性を両立することができないことが示された。