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  • 特許-組立容器および清潔野の形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】組立容器および清潔野の形成方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/36 20060101AFI20240904BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
B65D5/36 F
B65D5/44 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021179585
(22)【出願日】2021-11-02
(65)【公開番号】P2023068450
(43)【公開日】2023-05-17
【審査請求日】2022-11-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(73)【特許権者】
【識別番号】591240685
【氏名又は名称】ハクゾウメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 清一
(72)【発明者】
【氏名】東原 大樹
(72)【発明者】
【氏名】柏木 栄二
(72)【発明者】
【氏名】藤本 賢二
(72)【発明者】
【氏名】三溝 祥敬
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/198902(WO,A1)
【文献】実開昭53-93335(JP,U)
【文献】実開昭61-153724(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0472348(KR,Y1)
【文献】特開2008-143574(JP,A)
【文献】特開2002-128057(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0124486(KR,A)
【文献】実開昭62-52127(JP,U)
【文献】登録実用新案第3206291(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0127151(US,A1)
【文献】登録実用新案第3235119(JP,U)
【文献】特開2000-318725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00 - 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清潔野を内部に形成するための組立容器であって、
底面部分と、
前記底面部分に連なり、前記底面部分を囲むように配置された側壁部分と、
前記側壁部分において、前記底面部分を挟むように対向配置された2つの領域のそれぞれに接続された取手部分と、を備え、
前記側壁部分における前記2つの領域が前記底面部分と重なるように、前記側壁部分と前記底面部分との境界部は折り曲げられており、さらに、
前記取手部分を前記底面部分から離れる方向に引っ張ることで前記底面部分に対して前記側壁部分を立てたときに、前記底面部分に対する前記側壁部分の姿勢を維持する機構を備え、
前記取手部分は、前記側壁部分において前記底面部分に面する内周面に触れることなく、前記側壁部分から分離可能に構成され、
前記取手部分と前記側壁部分との接続部には、複数のスリットが間隔を隔てて配置されたミシン目が形成されている、組立容器。
【請求項2】
前記機構は、前記側壁部分の前記内周面に接続され、前記底面部分に対して前記側壁部分を立てたときに前記底面部分を押圧する弾性体部材を含む、請求項1に記載の組立容器。
【請求項3】
組立容器包装体を準備する工程を備え、
前記組立容器包装体は、
請求項1に記載の組立容器と、
滅菌された内部空間を有し、前記内部空間に前記組立容器を収容している滅菌容器とを含み、さらに、
前記組立容器包装体の前記滅菌容器から前記組立容器を取り出す工程と、
前記組立容器の前記取手部分を把持して前記取手部分を前記底面部分から離れる方向に引っ張り、前記側壁部分を前記底面部分に対して立てた状態にすることで、前記組立容器を組み立てる工程と、
前記清潔野を構成する前記内周面に触れること無く、前記側壁部分から前記取手部分を分離する工程と、を備える、清潔野の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組立容器および清潔野の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器の一種として組立容器が知られている。たとえば、特許第6647609号には、平板状に折り畳んだ状態で保管・運搬することができるとともに、使用時には容易に組み立てられる組立容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6647609号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の組立容器を、手術室での器材を一時的に格納する容器として利用することが考えられる。この場合、組立容器の内周面を、消毒済の領域(清潔野)としておく必要がある。しかし、従来の組立容器は、組み立てる際に側壁の上端内側に使用者が指を掛けて当該側壁を引き起こす動作を行う必要がある。このように、使用者が組立容器の内周面に触れることにより、当該組立容器の内周面が汚染される恐れがある。
【0005】
そこで、本開示は、内周面を清潔野とすることが可能な組立容器および当該組立容器を用いた清潔野の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った組立容器は、清潔野を内部に形成するための組立容器であって、底面部分と、側壁部分と、取手部分と、機構とを備える。側壁部分は、底面部分に連なり、底面部分を囲むように配置される。取手部分は、側壁部分において、底面部分を挟むように対向配置された2つの領域のそれぞれに接続されている。側壁部分における2つの領域が底面部分と重なるように、側壁部分と底面部分との境界部は折り曲げられている。上記機構は、取手部分を底面部分から離れる方向に引っ張ることで底面部分に対して側壁部分を立てたときに、底面部分に対する側壁部分の姿勢を維持する。取手部分は、側壁部分において底面部分に面する内周面に触れることなく、側壁部分から分離可能に構成されている。
【0007】
本開示に従った組立容器包装体は、上記組立容器と、滅菌容器とを備える。滅菌容器は、滅菌された内部空間を有する。滅菌容器は、当該内部空間に上記組立容器を収容している。
【0008】
本開示に従った清潔野の形成方法は、準備する工程と、取り出す工程と、組み立てる工程と、分離する工程とを備える。準備する工程では、上記組立容器包装体を準備する。取り出す工程では、組立容器包装体の滅菌容器から組立容器を取り出す。組み立てる工程では、組立容器の取手部分を把持して取手部分を底面部分から離れる方向に引っ張り、側壁部分を底面部分に対して立てた状態にすることで、組立容器を組み立てる。分離する工程では、清潔野を構成する内周面に触れること無く、側壁部分から取手部分を分離する。
【発明の効果】
【0009】
上記によれば、内周面を清潔野とすることが可能な組立容器および当該組立容器を用いた清潔野の形成方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る組立容器の折り畳まれた状態を示す平面模式図である。
図2図1に示した組立容器を組み立てる途中の状態を示す斜視模式図である。
図3図2の領域IIIを示す拡大斜視模式図である。
図4図1に示した組立容器の組み立てられた状態を示す斜視模式図である。
図5図4に示した組立容器から取手部分を分離した状態を示す斜視模式図である。
図6図1に示した組立容器の取手部分を示す拡大模式図である。
図7】本実施形態に係る組立容器包装体を示す平面模式図である。
図8】本実施形態に係る清潔野の形成方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
<組立容器の構成>
図1は、本実施形態に係る組立容器10の折り畳まれた状態を示す平面模式図である。図2は、図1に示した組立容器10を組み立てる途中の状態を示す斜視模式図である。図3は、図2の領域IIIを示す拡大斜視模式図である。図4は、図1に示した組立容器10の組み立てられた状態を示す斜視模式図である。図5は、図4に示した組立容器10から取手部分3を分離した状態を示す斜視模式図である。図6は、図1に示した組立容器10の取手部分3を示す拡大模式図である。
【0013】
図1から図6に示されるように、組立容器10は、清潔野を内部に形成するための組立容器10であって、底面部分1と、側壁部分2と、取手部分3と、機構5とを主に備える。底面部分1は、平面形状が四角形状である。側壁部分2は、底面部分1に連なり、底面部分1を囲むように配置される。側壁部分2は、底面部分1の1組の辺(長辺)に接続された領域2a、2bと、底面部分1の他の1組の辺(短辺)に接続された領域2c、2dとを含む。領域2aの一方端は領域2cと接続されている。領域2aの他方端は領域2dと接続されている。領域2bの一方端は領域2cと接続されている。領域2bの他方端は領域2dと接続されている。
【0014】
2つの取手部分3は、側壁部分2において、底面部分1を挟むように対向配置された2つの領域2a、2bのそれぞれに接続されている。具体的には、一方の取手部分3は領域2aの上端における中央部に接続されている。他方の取手部分3は領域2bの上端における中央部に接続されている。図6に示されるように、取手部分3には指を挿入するための開口部3aが形成されている。また、当該開口部3aの縁に沿う折り曲げ線3bにおいて、取手部分3は折り曲げ可能になっている。
【0015】
側壁部分2における領域2a、2b、2c、2dが底面部分1と重なるように、側壁部分2と底面部分1との境界部4は折り曲げられている。具体的には、領域2aと領域2cとの接続部における底面部分1側の端(下端)から、領域2aの上端に向けて斜めに伸びるように一方の折り曲げ線8が形成されている。領域2aと領域2dとの接続部における底面部分1側の端(下端)から、領域2aの上端に向けて斜めに伸びるように他方の折り曲げ線8が形成されている。領域2aは、上記2つの折り曲げ線8において底面部分1側に凸となるように折り曲げられている。領域2bにおいても、領域2aと同様に2つの折り曲げ線8が形成されている。領域2bも、当該2つの折り曲げ線8において底面部分1側に凸となるように折り曲げられている。
【0016】
機構5としての弾性体部材7は、図3に示されるように先端部7aと湾曲部7bと根元部7cとを含む。図3に示された弾性体部材7では、根元部7cの少なくとも一部が、側壁部分2の内周面2eに接続される。具体的には、根元部7cの少なくとも一部は、領域2aにおいて折り曲げ線8より領域2c側の部分(端部)に固定されている。湾曲部7bは根元部7cに接続されている。湾曲部7bでは、底面部分1側の縁が底面部分1から離れる方向に凸となった曲線状となっている。先端部7aは、湾曲部7bにおいて根元部7cと接続された側と反対側の端部に接続されている。先端部7aは、湾曲部7bの底面部分1側の縁よりも底面部分1側に突出した部分を含む。
【0017】
領域2cと底面部分1との境界部4には、開口部4aが形成されている。図1に示されるように組立容器10が折り畳まれた状態では、図3に示された弾性体部材7は領域2cに沿って伸びるように配置されている。さらに、弾性体部材7の上記先端部7aにおける突出した上記部分が、境界部4の開口部4aに挿入された状態となっている。領域2aにおける領域2dとの接続部に配置された機構5としての弾性体部材7も、基本的に図3に示された弾性体部材7と同様の構成を備えている。また、領域2bの両端に配置された機構5としての弾性体部材7も、図3に示された弾性体部材7と同様の構成を備えている。
【0018】
図2の矢印30に示すように作業者が取手部分3を底面部分1から離れる方向(あるいは取手部分3が互いに離れる方向)に引っ張ることで、底面部分1に対して側壁部分2を立てることができる。このとき、図2から図4に示されるように、上記機構5としての弾性体部材7は、根元部7cが接続された側壁部分2の領域2aまたは領域2bに沿う位置に移動される。
【0019】
弾性体部材7では湾曲部7bが形成されているので、当該湾曲部7bにおいて弾性体部材7は容易に弾性変形する。このため、取手部分3を引っ張ることで領域2a、2bが立ち上がる際に、上記のような弾性体部材7の移動を容易に行うことができる。つまり、取手部分3を引っ張る動作のみで(側壁部分2の内周面2eおよび底面部分1に触れること無く)、弾性体部材7を図4に示された状態にすることができる。図4に示されるように、領域2a、2bが立ち上がった状態では、弾性体部材7の先端部7aが底面部分1の端部を押圧し、弾性体部材7の姿勢が根元部7cと当該先端部7aとにより固定される。この状態では、領域2a、2bの折り曲げ線8が形成された部分を弾性体部材7が内側から支持することになる。つまり、弾性体部材7は底面部分1に対する側壁部分2の領域2a、2bの姿勢を支持する支持部材として作用する。
【0020】
なお、機構5としての弾性体部材7の構成としては、上述した構成以外の構成を採用してもよい。たとえば、弾性体部材7の先端部7aにおいて、底面部分1に接する部分(凸部)が複数形成されているような構成としてもよく、湾曲部7bの底面部分1側の縁に、直線により構成される凹部が形成された構成としてもよい。機構5として、領域2a、2bが立てられたときに、当該領域2a、2bの姿勢を支持することができる構成であれば任意の構成を採用できる。
【0021】
図6に示されるように、取手部分3と側壁部分2との接続部6には、複数のスリット6aが非スリット部6bを隔てて配置されたミシン目が形成されている。非スリット部6bの幅L2に対するスリット6aの幅L1の比率(L1/L2)は、たとえば1以上100以下であってもよく、好ましくは10以上40以下である。取手部分3と側壁部分2との接続部6を構成する材料の厚みはたとえば0.2mm以上10mm以下であり、好ましくは0.2mm以上1mm以下である。
【0022】
このように取手部分3と側壁部分2との接続部6にミシン目が形成されているので、取手部分3を図5の矢印31に示す方向に強く引っ張ることで、側壁部分2から取手部分3を分離することができる。つまり、取手部分3は、側壁部分2において底面部分1に面する内周面2eに触れることなく、側壁部分2から分離可能に構成されている。なお、取手部分3を側壁部分2から分離する方法としては、側壁部分2に対して取手部分3をねじるようにしながら矢印31に示す方向に引っ張ってもよい。
【0023】
なお、取手部分3と側壁部分2との接続部6の構成としては、上述したミシン目に限られず、取手部分3を側壁部分2から容易に分離することができる任意の構成を採用できる。たとえば、接続部6の厚みを他の部分より局所的に薄くする、接続部6を構成する材料として他の部分より強度の弱い材料を用いる、といった構成を採用してもよい。
【0024】
<作用効果>
本開示に従った組立容器10は、清潔野を内部に形成するための組立容器10であって、底面部分1と、側壁部分2と、取手部分3と、機構5とを備える。側壁部分2は、底面部分1に連なり、底面部分1を囲むように配置される。取手部分3は、側壁部分2において、底面部分1を挟むように対向配置された2つの領域2a、2bのそれぞれに接続されている。側壁部分2における2つの領域2a、2bが底面部分1と重なるように、側壁部分2と底面部分1との境界部4は折り曲げられている。上記機構5は、取手部分3を底面部分1から離れる方向に引っ張ることで底面部分1に対して側壁部分2を立てたときに、底面部分1に対する側壁部分2の姿勢を維持する。取手部分3は、側壁部分2において底面部分1に面する内周面2eに触れることなく、側壁部分2から分離可能に構成されている。
【0025】
このようにすれば、取手部分3を底面部分1から離れる方向に引っ張ることで機構5により側壁部分2を立てた状態とすることができる。さらに、側壁部分2の内周面2eに触れること無く取手部分3を側壁部分2から分離できる。そのため、当該内周面2eおよび底面部分1を不潔な手などで触れること無く清潔な状態のまま組立容器10を組み立てることができる。この結果、予め組立容器10を滅菌消毒しておけば、手術用具などを配置する清潔野として当該組立容器10の内周部を利用できる。
【0026】
上記組立容器10において、取手部分3と側壁部分2との接続部6には、複数のスリット6aが非スリット部6bを隔てて配置されたミシン目が形成されていてもよい。この場合、取手部分3を側壁部分2から容易に分離できる。
【0027】
上記組立容器10において、上記機構5は、弾性体部材7を含む。弾性体部材7は、側壁部分2の内周面2eに接続される。弾性体部材7は、底面部分1に対して側壁部分2を立てたときに底面部分1を押圧する。この場合、側壁部分2を立てたときに、機構5としての弾性体部材7が側壁部分2に接続された部分と底面部分1を押圧する部分とを含むので、結果的に側壁部分2の内周面2eを弾性体部材7が支持できる。この結果、組立容器10の側壁部分2を立てた状態に維持することができる。
【0028】
<組立容器包装体の構成および作用効果>
図7は、本実施形態に係る組立容器包装体20を示す平面模式図である。図7に示される組立容器包装体20は、上記組立容器10と、滅菌容器21とを備える。滅菌容器21は、滅菌された内部空間を有する。滅菌容器21は、たとえば樹脂など任意の材料により構成される。滅菌容器21は、当該内部空間に上記組立容器10を収容している。具体的には、滅菌容器21の内部に折り畳まれた状態の組立容器10が保持されている。この状態で、滅菌容器21の内部および組立容器10が滅菌消毒されている。このようにすれば、組立容器包装体20として組立容器10をストックしておき、必要なときに滅菌容器21から組立容器10を取り出し組み立てることで、組立容器10の内部空間としての清潔野を簡便に形成することができる。
【0029】
<清潔野の形成方法および作用効果>
図8は、本実施形態に係る清潔野の形成方法を説明するためのフローチャートである。図8に示されるように、本実施形態に係る清潔野の形成方法では、まず準備する工程(S10)を実施する。この工程(S10)では、図7に示した組立容器包装体20を準備する。
【0030】
次に、取り出す工程(S20)を実施する。この工程(S20)では、組立容器包装体20の滅菌容器21から組立容器10を取り出す。たとえば、滅菌容器21の一部を切り取ることで滅菌容器21の内部空間と外部とをつなぐ開口部を形成し、当該開口部から組立容器10を取り出す。たとえば、開口部が下向きになるように滅菌容器21を持ち上げることで、組立容器10に触れること無く滅菌容器21から当該組立容器10を取り出してもよい。
【0031】
次に、組み立てる工程(S30)を実施する。この工程(S30)では、図2から図4に示されるように組立容器10の取手部分3を把持して取手部分3を底面部分1から離れる方向に引っ張る。この結果、側壁部分2を底面部分1に対して立てた状態にすることができる。このようにして、組立容器10を組み立てる。
【0032】
次に、分離する工程(S40)を実施する。この工程(S40)では、清潔野を構成する内周面2eに触れること無く、側壁部分2から取手部分3を分離する。具体的には、上記工程(S30)で取手部分3を引っ張る強さより強い力で、取手部分3を図5の矢印31に示す方向に引っ張る。この結果、図6に示された接続部6のミシン目における非スリット部6bが破断することで、側壁部分2から取手部分3を分離できる。このとき、作業者は内周面2eに触れる必要が無い。このようにして、内部が清潔野とされた組立容器10を組み立てることで、清潔野を任意の場所に形成することができる。組み立てられた組立容器10の内部には、たとえば滅菌バックから取り出された各種機器を仮置きすることができる。
【0033】
上述した組立容器包装体20を用いた清潔野の形成方法は、様々な環境で実施され得る。たとえば手術室における術野(清潔野)にて、消毒済みの機器を仮置きするための清潔野を得るために上記清潔野の形成方法を用いてもよい。この場合、たとえば手術室担当の看護師が上記工程(S10)~工程(S40)を実施する。また、上記工程(S20)以降、手術時手洗いの済んだ(清潔な)看護師等が組立容器10を操作するとともに、当該組立容器10自体も清潔野に配置される場合、組み立てられた組立容器10の外周面も清潔な状態であることから、分離する工程(S40)の実施を省略してもよい。このようにして組み立てられた組立容器10は、その外周も清潔野であることから、手術室などにおける清潔野の内部において、手術に用いる機器や物品を整理するための領域を形成する。あるいは、当該組立容器10は、清潔な機器や物品が床面などに落下することを防止しながら仮置きできる領域を形成する。上述した清潔野において、清潔な看護師等が上記工程(S10)~工程(S40)を実施してもよいが、手術時手洗いの済んでいない(不潔な)看護師等が上記工程(S10)~工程(S40)を実施してもよい。このような不潔な看護師が上記工程(S10)~工程(S40)を清潔野において実施する場合、これらの工程は当該清潔野が形成されている手術室に医師および患者が入室する前に実施され得る。
【0034】
また、上記清潔野の形成方法を、手術室以外の場所で実施してもよい。たとえば、一般的なクリニックの診察室、処置室、あるいは病棟の病室などで上記清潔野の形成方法を実施してもよい。この場合、清潔野ではない場所において消毒済の機器を仮置きするための清潔野(組立容器10の内周面2eにより規定される領域)を得ることができる。つまり、清潔ではない空間に清潔な領域を形成できる。
【0035】
清潔野ではない場所で上記方法を実施する場合、上記工程(S10)~工程(S40)を実施する看護師などの手が清潔では無いことが想定される。このため、組立容器10の内周面2eに触れること無く上記工程(S30)および工程(S40)を実施することで、内部が清潔野とされた組立容器10を得ることができる。この場合、組立容器10の外周は清潔ではない。つまり、組立容器10の内周部は、清潔ではない空間において形成された清潔野となっている。このように、上記組立容器包装体20は、手術室のみならず、診察室や病室など任意の場所にて清潔野を確保するために利用できる。上述した清潔野ではない場所において、上記のように手術時手洗いの済んでいない(不潔な)看護師等が上記工程(S10)~工程(S40)を実施してもよいが、手術時手洗いの済んだ清潔な看護師等が上記工程(S10)~工程(S40)を実施してもよい。
【0036】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0037】
1 底面部分、2 側壁部分、2a,2b,2c,2d,III 領域、2e 内周面、3 取手部分、3a,4a 開口部、3b,8 折り曲げ線、4 境界部、5 機構、6 接続部、6a スリット、6b 非スリット部、7 弾性体部材、7a 先端部、7b 湾曲部、7c 根元部、10 組立容器、20 組立容器包装体、21 滅菌容器、30,31 矢印、L1,L2 幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8