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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】基板支持台座
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240904BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019103453
(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公開番号】P2019212910
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】62/680,224
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン ジョセフ ラロサ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン プロウティー
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-243267(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082875(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/084298(WO,A1)
【文献】特開2015-195346(JP,A)
【文献】特開2006-344766(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132909(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/213714(WO,A1)
【文献】特開2009-65133(JP,A)
【文献】特開2017-33983(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126534(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着層によって冷却ベースに接着された静電チャック本体と、
多孔質プラグと、
静電チャック本体の上面と冷却ベースの底面との間に形成されたガス流路であって、
ガス流路は、接着層の穴及び多孔質プラグを通過し、
ガス流路は、接着層の穴の内縁から物理的に遮蔽されたガス流容積を有しているガス流路と、
冷却ベースの上面から静電チャック本体内に延びるリングを備え、ガス流路はリング内に形成される基板支持台座。
【請求項2】
多孔質プラグは、静電チャック本体の底面に形成されたチャック空洞部内に少なくとも部分的に配置され、
多孔質プラグは、冷却ベースの上面に形成されたベース空洞部内に少なくとも部分的に配置され、
多孔質プラグは、接着剤層によって又は圧入によって静電チャック本体に連結されている、請求項1に記載の基板支持台座。
【請求項3】
多孔質プラグの周囲に配置されたスリーブであって、
シールは静電チャック本体と冷却ベースとの間に形成された間隙の全域にわたって延在し、
接着層に形成された穴の内縁は、スリーブによってガス流路のガス流容積から物理的に遮蔽されているスリーブをさらに備える、請求項1に記載の基板支持台座であって、
死容積がスリーブと穴の内縁との間に画定されている基板支持台座。
【請求項4】
静電チャック本体は、静電チャック本体の底面から延びるリングをさらに備え、
ガス流路はリングを貫通して延在している、請求項1に記載の基板支持台座。
【請求項5】
リングは、静電チャック本体と冷却ベースとの間に形成された間隙の全域にわたって延在し、
接着層に形成された穴の内縁は、リングによってガス流路のガス流容積から物理的に遮蔽されている、請求項4に記載の基板支持台座。
【請求項6】
リングとリング内に存在する多孔質プラグとの間に配置されたスリーブをさらに備える、請求項4に記載の基板支持台座。
【請求項7】
スリーブはリングから冷却ベースまで延在し、
接着層に形成された穴の内縁は、リング及びスリーブによってガス流路のガス流容積から物理的に遮蔽されている、請求項6に記載の基板支持台座。
【請求項8】
静電チャック本体の底面及び冷却ベースの上面のうちの少なくとも一方に連結されたリングをさらに備える、請求項1に記載の基板支持台座であって、
ガス流路はリングを通過し、
リングは静電チャック本体と冷却ベースとの間に形成された間隙の全域にわたって延在し、
接着層に形成された穴の内縁は、リングによってガス流路のガス流容積から物理的に遮蔽されている基板支持台座。
【請求項9】
冷却ベースは、冷却ベースの上面から延びるリングをさらに備え、
ガス流路はリングを貫通して延在している、請求項1に記載の基板支持台座。
【請求項10】
リングは、静電チャック本体と冷却ベースとの間に形成された間隙の全域にわたって延在し、
接着層に形成された穴の内縁は、リングによってガス流路のガス流容積から物理的に遮蔽されている、請求項9に記載の基板支持台座。
【請求項11】
リングとリング内に存在する多孔質プラグとの間に配置されたスリーブをさらに備える、請求項9に記載の基板支持台座であって、
スリーブはリングから静電チャック本体まで延在し、
接着層に形成された穴の内縁は、リング及びスリーブによってガス流路のガス流容積から物理的に遮蔽されている基板支持台座。
【請求項12】
静電チャック本体に固定されたスリーブをさらに備える、請求項1に記載の基板支持台座であって、スリーブは、多孔質プラグから延びる突起を拘束している基板支持台座。
【請求項13】
基板支持台座であって、
接着層によって冷却ベースの上面に接着された静電チャック本体であって、
接着層は、静電チャック本体と冷却ベースとの間の間隙を画定する厚さを有し、
静電チャック本体の底面に空洞部が形成されている静電チャック本体と、
多孔質プラグと、
多孔質プラグの周囲に配置されたスリーブと、
静電チャック本体の上面と冷却ベースの底面との間に形成されたガス流路であって、
接着層の穴及び多孔質プラグを通過し、
少なくとも1つのスリーブによって接着層の穴の内縁から物理的に遮蔽されたガス流容積を有するガス流路と、
静電チャック本体の底面及び冷却ベースの上面のうちの一方から延びるリングを備え、
ガス流路はリング内に形成され、
多孔質プラグは、上部直径を有する上部部分と底部直径を有する底部部分とによって画定され、
多孔質プラグの上部部分はチャック空洞部内に延在し、底部部分は冷却ベースの上部に形成されたベース空洞部内に延在し、
上部直径は底部直径よりも大きい基板支持台座。
【請求項14】
上部直径と底部直径との間の直径の差が多孔質プラグの張出部を形成し、
張出部は、多孔質プラグの周囲に同心円状に配置されたスリーブに連結され、
接着剤層がチャック空洞部の側壁とスリーブとの間に形成されて、多孔質プラグを静電チャック本体に連結している、請求項13に記載の基板支持台座。
【請求項15】
基板支持台座であって、
接着層によって冷却ベースに接着された静電チャック本体であって、
接着層は、静電チャック本体と冷却ベースとの間の間隙を画定する厚さを有し、
静電チャック本体は、
静電チャック本体の底面に形成された第1チャック空洞部と、
第1チャック空洞部を通って形成された第2チャック空洞部とを備えている静電チャック本体と、
多孔質プラグであって、
多孔質プラグは、第2チャック空洞部の高さ以下のプラグ高さを有し、
多孔質プラグは第1チャック空洞部内に延在せず、
多孔質プラグは、接着剤層又は圧入のうちの少なくとも一方によって静電チャック本体に連結されている多孔質プラグと、
多孔質プラグの周囲に配置されたスリーブであって、
冷却ベース内に延在しないスリーブと、
静電チャック本体の上面と冷却ベースの底面との間に形成されたガス流路であって、
接着層の穴及び多孔質プラグを通過し、
少なくとも1つのスリーブによって接着層の穴の内縁から物理的に遮蔽されたガス流容積を有するガス流路と、
静電チャック本体の底面及び冷却ベースの上面のうちの一方から延びるリングを備え、
ガス流路はリング内に形成される基板支持台座。
【発明の詳細な説明】
【開示の背景】
【0001】
(発明の分野)
本発明の実施形態は、概して、基板処理チャンバ内で使用するための、保護された接着層を有する基板支持台座に関する。
【0002】
(発明の背景)
基板支持台座が広く使用されて、処理の間に半導体処理システム内で基板を支持している。特定の種類の基板支持台座は、冷却ベースに取り付けられたセラミック静電チャックを備える。静電チャックは一般に、処理の間に基板を静止位置に保持する。静電チャックは、セラミック体内に1つ以上の埋め込み電極を含む。電極とセラミック体上に配置された基板との間に電位が印加されると、静電引力が発生して、この静電引力が基板をセラミック体の支持面に対して保持する。発生した力は、基板と電極との間の電位差による容量効果であるか、又は比較的低い抵抗率を有する半導体材料からなるセラミック体の場合にはこの低い抵抗率のためにセラミック体の中で基板に近い表面への電荷移動が可能であるので、ジョンセン・ラーベック効果である。容量性引力及びジョンセン・ラーベック引力を利用する静電チャックは、いくつかの供給元から市販されている。
【0003】
処理の間に基板温度を制御するために、裏面ガスがセラミック体の支持面と基板との間に供給される。一般に、裏面ガスは、セラミック体と基板との間の隙間領域を満たし、この結果、基板と基板支持体との間の熱伝達速度を高める熱伝達媒体が提供される。
【0004】
静電チャックを冷却ベースに固定する接着層は、接着層を通過する処理ガスによる浸食を受けやすい。加えて、本発明者らは、接着層がさらに浸食され得ることを発見した。それは、基板支持台座を通過する裏面ガス流路の一部で、裏面ガスがプラズマへと点火されたり、励起されたり、アーク発生を促進する場合であり、ここでは、この裏面ガス流路は接着層に対して露出している。接着層の浸食は少なくとも2つの理由から問題がある。第1に、接着層由来の浸食された材料は、欠陥を生じさせ、製品歩留まりを低下させる処理汚染物質である。第2に、接着材料が間隙に置き換わるにつれて、裏面ガスが通過する接着層の穴のサイズが大きくなるので、静電チャックと冷却ベースとの間の局所熱伝達速度は変化し、それによって、望ましくない温度の不均一性及び処理の変動が生じる。
【0005】
したがって、改良型の基板支持台座が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
接着層を通過するガス流路への直接露出から遮蔽された接着層を有する基板支持台座が本明細書に開示されている。接着層は、ガス流路を介して基板支持台座を通って供給された処理ガス又は裏面ガスの直進する流れから遮蔽されているので、接着層は浸食の影響を受けにくく、したがって、静電チャックアセンブリの健全性が維持される。
【0007】
一実施形態では、基板支持台座は、接着層によって冷却ベースに接着された静電チャック本体と、多孔質プラグと、静電チャック本体の上面と冷却ベースの底面との間に形成されたガス流路とを備える。ガス流路は、接着層の穴及び多孔質プラグを通過し、ガス流路は、接着層の穴の内縁から物理的に遮蔽された押除容積を有する。
【0008】
他の一実施形態では、基板支持台座は、接着層によって冷却ベースに接着された静電チャック本体を備え、接着層は、静電チャック本体と冷却ベースとの間の間隙を画定する厚さを有し、静電チャック本体の底面には空洞部が形成されている。基板支持台座は、多孔質プラグと、多孔質プラグの周囲に配置されたスリーブと、静電チャック本体の上面と冷却ベースの底面との間に形成されたガス流路とをさらに備える。ガス流路は、接着層の穴及び多孔質プラグを通過し、少なくとも1つのスリーブによって接着層の穴の内縁から物理的に遮蔽された押除容積を有する。基板支持台座は静電チャック本体及び冷却ベースのうちの一方から延びるリングと、リングとをさらに備え、多孔質プラグは、上部直径を有する上部部分と底部直径を有する底部部分とによって画定されている。多孔質プラグの上部部分はチャック空洞部内に延在し、底部部分は、冷却ベースの上部に形成されたベース空洞部内に延在しており、多孔質プラグの上部直径は底部直径よりも大きい。
【0009】
他の一実施形態では、基板支持台座は接着層によって冷却ベースに接着された静電チャック本体を備え、接着層は、静電チャック本体と冷却ベースとの間の間隙を画定する厚さを有している。静電チャック本体は、静電チャック本体の底面に形成された第1チャック空洞部と、第1チャック空洞部を通って形成された第2チャック空洞部とを備えている。基板支持台座は、多孔質プラグをさらに備え、多孔質プラグは、第2チャック空洞部の高さ以下のプラグ高さを有し、多孔質プラグは第1チャック空洞部内に延在していない。基板支持台座は、多孔質プラグの周囲に配置されたスリーブであって、冷却ベース内に延在しないスリーブと、静電チャック本体の上面と冷却ベースの底面との間に形成されたガス流路とをさらに備え得る。ガス流路は、接着層の穴及び多孔質プラグを通過する。ガス流路は、少なくとも1つのスリーブによって接着層の穴の内縁から物理的に遮蔽された押除容積と、静電チャック本体及び冷却ベースのうちの一方から延びるリング、又はリングとを有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
発明の前述の構成が達成され、詳細に理解され得るように、前記に簡潔に要約された本発明のより詳細な説明が、添付図面に示される実施形態を参照することにより行われる。しかしながら、本発明は他の等しく有効な実施形態を含み得るので、添付図面は本発明の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、従ってこの範囲を制限していると解釈されるべきではないことに留意すべきである。
図1】基板支持台座を配置した一実施形態を有する処理チャンバの概略図を示す。
図2】チャック及びガス流路の一構成を示す、図1の基板支持台座の部分断面図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、基板支持台座及びガス流路の部分断面図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、別の基板支持台座及びガス流路の部分断面図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、別の基板支持台座及びガス流路の部分断面図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による、別の基板支持台座及びガス流路の部分断面図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、別の基板支持台座及びガス流路の断面図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態による、別の基板支持台座及びガス流路の断面図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態による、さらに別の基板支持台座及びガス流路の断面図である。
【0011】
理解を容易にするため、可能な限り、同一の符号を使用して、これらの図面に共通の同一の要素を示す。
【詳細な説明】
【0012】
本明細書で論じられるシステム及び方法は、接着層によって共に接着された冷却ベース及び静電チャックを有する基板支持台座設計を使用する。冷却ベースとチャックとの間に配置された多孔質プラグと組み合わせて冷却ベースとチャックとを連結することで、ガス流路が形成され、保護される。このガス流路は、接着層を通って延びるガス流路と呼ばれることもある。基板支持台座設計に関して本明細書で論じられる実施形態は、ガス流路から接着層を遮蔽し、こうして、望ましくない温度分布をもたらし得る、接着層の劣化を防止する。
【0013】
図1は、処理チャンバ100の概略図を示す。処理チャンバ100はアンテナを備え、このアンテナはコイル状アンテナであってもよい。一実施例では、処理チャンバ100は、少なくとも第1アンテナ区間112Aと第2アンテナ区間112Bとを備え、両方とも誘電体の天井120の外側に配置されている。第1アンテナ区間112A及び第2アンテナ区間112Bはそれぞれ、第1高周波(RF)源118に接続されており、この第1高周波(RF)源118は一般にRF信号を生成し得る。第1RF源118は、整合ネットワーク119を介して第1アンテナ区間112A及び第2アンテナ区間112Bに接続されている。処理チャンバ100はまた、第2RF源122に接続された基板支持台座116を備え、この第2RF源122は一般にRF信号を生成し得る。第2RF源122は、整合ネットワーク124を介して基板支持台座116に連結されている。処理チャンバ100はまた、導電性であり、電気アース134に電気的に接続されているチャンバ壁130を含む。中央処理装置(CPU)144、メモリ142、及びCPU144用のサポート回路146を備えるコントローラ140は、処理チャンバ100の様々な構成要素に接続されて、エッチング処理の制御を容易にする。
【0014】
操業の間、半導体基板114は、基板支持台座116上に配置され、気体成分は、ガスパネル138から入口ポート126を通って処理チャンバ100に供給されて、処理空間150内でガス状混合物を形成する。処理空間150内のガス状混合物は処理チャンバ100内で点火されてプラズマになる。この点火は、第1RF源118及び第2RF源122のからのRF電力をそれぞれ第1アンテナ区間112A及び第2アンテナ区間112Bに、さらには基板支持台座116に印加することで行われる。処理チャンバ100の内部の圧力は、処理チャンバ100と真空ポンプ136との間に配置されたスロットル弁127を使用して制御される。チャンバ壁130の表面の温度は、液体含有導管(図示せず)を使用して制御され、この液体含有導管は処理チャンバ100のチャンバ壁130に配置されている。化学反応性イオンがプラズマから放出されて基板に衝突し、それによって、基板の表面から露出した材料を除去する。
【0015】
基板支持台座116は、冷却ベース104上に配置された静電チャック102を備える。この冷却ベース104は、様々な実施形態において冷却ベース104として参照されることがある。半導体基板114の温度は制御されるが、この制御は、静電チャック102の温度を安定させて、半導体基板114と静電チャック102の支持面106との間に画定されたプレナムにガス源148からヘリウム又は他のガスを流すことによって行われる。ヘリウムガスを使用して、半導体基板114と基板支持台座116との間の熱伝達を促進する。エッチング処理の間、半導体基板114はプラズマによって定常状態の温度まで徐々に加熱される。天井120と基板支持台座116の両方の熱制御を使用して、処理の間、半導体基板114は所定の温度に維持される。
【0016】
図2は、基板支持台座116の第1実施形態の垂直断面図を示す。基板支持台座116は、一般に、ベース202によって処理チャンバ100の底部の上方に支持されており、このベース202は、接着層204、すなわちチャック-ベース接着層によって静電チャックに接着された冷却ベース104に連結されている。基板支持台座116はベース202に固定されるが、基板支持台座116をベース202から取り外し、改修し、ベース202に再固定することが可能である。ベース202は冷却ベース104に密封され、その中に配置された様々な導管及び電気リード線を処理チャンバ100内の処理環境から隔離する。
【0017】
冷却ベース104は一般に、適切な諸材料の中でも、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料から製造される。冷却ベース104は、熱伝達流体を循環させる1つ以上の流路212を備えて内部に配置し、基板支持台座116の熱制御を維持する。上記のように、冷却ベース104は、接着層204によって静電チャック102に接着されている。接着層204は1つ以上の材料を含み、その材料の例には、アクリル系又はシリコン系接着剤、エポキシ、ネオプレン、透明アクリル系接着剤などの光学的に透明な接着剤、又は他の適切な接着剤などの接着剤がある。
【0018】
静電チャック102の形状は、概して円形であるが、代替的に他の形状を採用して、例えば、フラットパネルなどの正方形又は長方形の基板など、非円形の基板を載せてもよい。静電チャック102は一般に、チャック本体206内に埋め込まれた1つ以上の電極208を備える。電極208は、銅、グラファイト、タングステン、モリブデンなどの導電性材料から形成される。電極構造の様々な実施形態は、一対の共面D字形電極、共面すだれ状電極、複数の同軸環状電極、単一の円形電極又は他の構造を備えるが、これらに限定されない。電極208は、基板支持台座116内に配置されたフィードスルー252によって第2RF源122に接続される。
【0019】
チャック本体206はセラミックから製造される。一実施形態では、チャック本体206は、低抵抗率セラミック材料(すなわち、約1×10から約1×1011オーム・cmの間の抵抗率を有する材料)から製造される。低抵抗率材料の例には、酸化チタン又は酸化クロムを添加したアルミナ、添加酸化アルミニウム、添加窒化ホウ素などの添加セラミックが含まれる。同等の抵抗率を持つ他の材料、例えば窒化アルミニウムもまた使用され得る。電力が電極208に印加されると、比較的低い抵抗率を有するそのようなセラミック材料によって、一般に、基板と静電チャック102との間のジョンセン・ラーベック引力が、促進される。あるいは、1×1011オーム・cm以上の抵抗率を有するセラミック材料を含むチャック本体206も使用し得る。
【0020】
図2に示す実施形態では、チャック本体206の支持面106は、支持面106に形成されたシールリング240の内側に形成された複数のメサ216を備える。一実施例では、シールリング240はチャック本体206と同じ材料で形成されている。別の一実施例では、シールリング240は代替的に他の誘電材料から形成されてもよい。メサ216は一般に、約5~約10の範囲の比誘電率を有する電気絶縁材料の1つ以上の層から形成される。そのような絶縁材料の例としては、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、五酸化タンタル、ポリイミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、メサ216は、チャック本体と同じ材料から形成され、次いで高抵抗率誘電体膜で被覆されてもよい。
【0021】
ジョンセン・ラーベック効果を利用した静電チャック102の一実施形態では、チャック本体206は、少なくとも部分的にセラミック材料から形成され得る。チャック本体206は、セラミック材料の比較的低い抵抗率のためにある程度は導電性があり、このために、電荷は電極208からチャック本体206の支持面106に移動し得る。同様に、電荷は半導体基板114を通って移動し、半導体基板114上に蓄積する。メサ216を形成及び/又は被覆している絶縁材料は、メサ216を通る電流の流れを妨げる。メサ216の各々はチャック本体206よりも著しく高い抵抗率(すなわち、より低い比誘電率)を有するので、移動している電荷は、静電チャック102の支持面106上の各メサ216の近傍に蓄積する。メサ216間の支持面106の部分にも電荷が移動するが、メサ216の比誘電率は、半導体基板114の裏面とチャック本体表面との間の裏面ガスの比誘電率よりも大幅に大きい。この比誘電率の差により、メサの横よりも各メサ216において電界が大幅に大きくなる。その結果、締着力は各メサ216で最大になり、本発明によって可能になる締着力の厳密な制御では、基板の裏側にわたって均一な電荷分布を達成するメサの配置を用いる。
【0022】
静電チャックによって保持される基板の全体にわたって均一な温度を促進するために、ガス源148によって供給されたガス(例えば、ヘリウム、窒素又はアルゴン)は、静電チャック102の支持面106と半導体基板114との間のシールリング240の内側に画定されたプレナム280に導入されて、それらの間に熱伝達媒体を供給する。裏面ガスは、一般に、チャック本体206及び冷却ベース104を通って形成された1つ以上のガス流路270を通ってプレナム280に供給される。各ガス流路270は、チャック本体206の支持面238を通って形成された出口210で終わっている。
【0023】
ガス流路270は、第1部分270Aと第2部分270Bとを備える。ガス流路270は、冷却ベース104の底面284からチャック本体206の上面(出口210によって示される上面)へ延びる。ガス流路270の第1部分270Aはチャック本体206を通って形成されている。第1部分270Aは、第1チャック流路248と第2チャック流路254とを備える。第1チャック流路248は出口210にある、一方の端で終わり、反対側の端で第2チャック流路254と接続する。第2チャック流路254は、チャック本体206の底面222から抜け出る。第2チャック流路254は一般に、第1チャック流路248の断面積よりも大きい断面積(直径など)を有する。
【0024】
ガス流路270の第2部分270Bは、冷却ベース104を通って形成されている。第2部分270Bは、第1ベース流路256と第2ベース流路258とを備える。第1ベース流路256は一方の端で共通ポート272に接続されている。共通ポート272はガス流路270の入口を提供する。共通ポート272は冷却ベース104内に形成され、反対側の端で第2ベース流路258と接続する。共通ポート272はガス源148に接続されている。一実施例では、全てのガス流路270は単一の共通ポート272を介してガス源148に接続されている。あるいは、各ガス流路270は、別々の共通ポート272を介してガス源148に個別に接続し得る。第2ベース流路258は冷却ベース104の上部から抜け出て、チャック本体206の底面222から抜け出る第2チャック流路254と一直線に並んでいる。一実施例では、第2ベース流路258は第2チャック流路254と同一直線上にある。又は言い換えれば、第2ベース流路258と第2チャック流路254は共通の中心軸を共有する。第2ベース流路258は一般に、第1ベース流路256の断面積よりも大きい断面積(直径など)を有する。
【0025】
多孔質プラグ244は一般に、チャック本体206と冷却ベース104との間のガス流路270内に配置されることで、ガス流路270の一部を形成している。多孔質プラグ244は一般に、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムなどのセラミック材料から形成される。一実施形態では、多孔質プラグ244は、約30から約80パーセントの気孔率を有する。多孔質プラグ244は、様々な構成でチャック本体206内に配置し得る。
【0026】
ガス流路270は、チャック本体206を冷却ベース104に固定する接着層204を遮蔽するように構成されている。ガス流路270を備える静電チャックアセンブリの様々な構成が、以下の少なくとも図3~9において論じられる。接着層204はチャック本体206と冷却ベース104を区分している。接着層204の穴204Aは、ガス流路270を囲む内縁204Bを有し、チャック本体206と冷却ベース104との間に間隙260を形成する。ガスはこの間隙260を越えて、共通ポート272と出口210との間のガス流路270を通過しながら流れる。間隙260内では、押除容積領域262が、多孔質プラグ244及び第2ベース流路258と垂直な一直線上に画定される。押除容積領域262内の本質的に全てのガス(例えば押除容積)は、ガス流路270内に配置された多孔質プラグ244を通って、出口210から流れ出る。押除容積領域262は、したがって、第1部分270A、第2部分270B、多孔質プラグ244、及び間隙260の一部を含み、この間隙260は多孔質プラグ244の底部と第2ベース流路258との間で垂直方向に一直線に並んでいる。
【0027】
図2に示す実施例では、多孔質プラグ244は、チャック本体206の底面222から第2ベース流路258内に配置されている。多孔質プラグ244は、ガス流路270の第1部分270Aに画定された段部250に当接しており、この段部250で、第1チャック流路248は第2チャック流路254と接続している。多孔質プラグ244は、様々な技術によってチャック本体206内の適所に保持し得る。それらの技術には、とりわけ、圧入、保持リング、接着及びピン止めが含まれてもよく、チャック本体206を有する単一の本体に多孔質プラグ244をホットプレス又は焼結させることも含まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、スリーブ276が、多孔質プラグ244とチャック本体206との間の第2チャック流路254内に配置されている。スリーブ276は、とりわけ、圧入、ピン止め、及び接着などの様々な技術を使用して、多孔質プラグ244及びチャック本体206に連結されてもよい。図2に示す実施例では、スリーブ276は多孔質プラグ244と共に圧入され、その一方で、スリーブ276は、接着剤層274を用いてチャック本体206に接着されている。別の一実施例では、スリーブ276は、接着剤を使用することなく、多孔質プラグ244とチャック本体の両方に圧入又は他の方法で機械的に固定される。他の諸実施例では、スリーブなしで接着剤層274が使用されて、多孔質プラグ244をチャック本体206に直接連結する。他の諸実施例では、スリーブ276はチャック本体206と共に圧入され、その一方で、スリーブ276は、接着剤層274を用いて多孔質プラグ244に接着されて、多孔質プラグ244をチャック本体206に連結している。
【0029】
一般に、多孔質プラグ244は、処理の間及びプラズマクリーニングの間の裏面ガスのアーク放電及びプラズマ着火の防止を、基板と静電チャック102の部分との間の裏面ガスを介した直接電流経路を遮断することで行っている。直接電流経路は、電極208に近接したガス流路270の第1部分270Aにおいて遮断されているが、その一方で、裏面ガス流路に隣接する、電荷蓄積に利用可能な表面積を最小にしている。
【0030】
図3は、図2の基板支持台座116の部分断面図である。チャック本体206に形成された第2チャック流路254は、上部空洞部表面302、幅330、及び側壁304を有するチャック空洞部348を画定する。冷却ベース104内に形成された第2ベース流路258は、底部空洞部表面366、幅362、及び側壁364を有するベース空洞部360を画定する。この状況が、図3の拡大挿入図に示されている。チャック空洞部348の幅330は、ベース空洞部360の幅362と実質的に等しくてもよい。多孔質プラグ244は、チャック本体206に形成されたチャック空洞部348内に設置される。多孔質プラグ244の一部はベース空洞部360内にも延在する。あるいは、多孔質プラグ244は、その全体が空洞部348、360のうちの一方のみに存在してもよい。多孔質プラグ244は部分的に、高さ334によって画定される。一実施例では、高さ334は、チャック空洞部348の全空洞部高さ332よりも高い。多孔質プラグ244は幅314(図3の拡大挿入図に示す)を含み、この幅314は第1軸328に平行に、及び第1軸328に垂直な第2軸326に垂直に測定されている。第1軸328はガス流路270の中心線でもあり、その一方で、第2軸326はチャック本体206の底面222と平行である。
【0031】
図3に示すように、スリーブ276は、多孔質プラグ244の周囲に同心円状に配置されている。スリーブ276は、冷却ベース104とチャック本体206との間に画定された間隙260を埋めている。間隙260を埋めることによって、スリーブ276は、接着層204を多孔質プラグ244から物理的に遮蔽し、こうして、ガス流路270を流れるガスから接着層204を効果的に遮蔽する。したがって、ガス流路270を流れるガスは接着層204を浸食せず、基板支持台座116の寿命は有益にも延び、その一方で、接着層204に含まれる接着材料の量の変化による静電チャック102の温度分布の変動を有益にも防止する。
【0032】
一実施例では、ベース空洞部360の底部空洞部表面366と多孔質プラグ244の底面320との間に空間がある。多孔質プラグ244の第1上面316及び底面320は、第2軸328と平行である。第1上面316は、多孔質プラグ244の長さを画定する高さ334だけ底面320から隔てられている。多孔質プラグ244の高さ334は、空洞部348、360の深さの合計よりも低い。スリーブ276は、間隙260を埋めるのに十分な長さ346を有する。実施例に応じて、スリーブ276の長さ346は、高さ334よりも短い、等しい、又は長いことがあり得るが、空洞部348、360の深さの合計よりは短い。本明細書の他の諸実施例と組み合わせることができる一実施例では、スリーブ276とスリーブ276をチャック本体206に固定する接着剤層274との間に高さの差があることから、スリーブ276の長さ346は接着剤層274の長さを超えている。
【0033】
一実施形態では、多孔質プラグ244は、冷却ベース104内に形成されたベース空洞部360の底部空洞部表面366と直接接触していない。したがって、間隙(符号が付されていない)が形成されて、これによりガスが効率的に第1ベース流路256から流出して多孔質プラグ244に流入し、続けてガス流路270の第1部分270A内に流れ得る。図3の拡大挿入図に示すように、第1ベース流路256から流出するガスは、最終的に出口210から流出し、プレナム280(図2に示す)に流入する。
【0034】
また、スリーブ276の機能により、スリーブ276とガス流路270を囲む接着層204の内縁204Bとの間に死容積352(図3の拡大挿入図に示す)が形成される。死容積352は、ガス流路270を流れるガスによって上向きに押し除けられる。死容積352内に存在する上向き押除ガスは、ガス流路270を流れるガスと比較して、運動エネルギーをほとんど又は全く持たないので、接着層204の内縁は、有益にもほとんど又は全く、流動ガスとの相互作用による浸食を受けない。
【0035】
図2に示した基板支持台座116及び処理チャンバ100内で利用し得る多孔質プラグ244を固定するための代替構成を図4~9に示す。図4~9に示す実施例は全て、基板支持台座を通って流れるガスから接着層204を物理的に遮蔽し、それによって、基板支持台座の耐用年数を延ばし、その一方で、基板を処理している間の汚染の可能性を減らしている。
【0036】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による基板支持台座400の部分断面図である。基板支持台座400は、上述の基板支持台座116と本質的に同じであるが、多孔質プラグ244がガス流路270に固定されている方法の詳細が異なっている。図4に示すように、基板支持台座400はチャック本体418を備える。チャック本体418は、上述のチャック本体206と本質的に同じであるが、チャック本体418が、チャック本体418の底面222から延びるリング402を備えていることが異なっている。図4の実施例では、リング402は、チャック本体418から延びるボスの形をしている。リング402は、高さ404及び幅308を有する。チャック本体206内に形成された第2チャック流路254は、上部空洞部表面302、幅410、及び側壁422を有するチャック空洞部348を画定する。第2チャック流路254はリング402を通って延びる。したがって、チャック空洞部348の少なくとも一部はリング402内に存在する。
【0037】
リング402は底面222から高さ404まで延びる。高さ404は、チャック本体206と冷却ベース104との間に画定された間隙260の端から端までの距離(図4の拡大挿入図に示す)よりも高い。したがって、リング402の少なくとも一部分は、冷却ベース104内に画定されたベース空洞部360内に延在している。リング402を受け入れるには、図4の拡大挿入図に示すように、リング402の幅406は、ベース空洞部360の幅414より小さくなければならない。リング402が、冷却ベース104とチャック本体206との間に画定された間隙260を埋めているので、リング402は、接着層204を多孔質プラグ244から物理的に遮蔽し、こうして、ガス流路270を流れるガスから接着層204を効果的に遮蔽する。リング402が間隙260を埋めている、このような諸実施形態では、スリーブ276は任意選択である。
【0038】
あるいは、リング402は、冷却ベース104とチャック本体206との間に画定された間隙260を完全に埋めていなくてもよい。このような諸実施形態では、スリーブ276は、第2チャック流路254及びリング402を出てから冷却ベース104の第2ベース流路258内に延在しており、こうして、接着層204を物理的に遮蔽する。冷却ベース104内に形成された第2ベース流路258は、底部空洞部表面366、幅362、及び側壁364を有するベース空洞部360を画定する。基板支持台座400の一実施例では、チャック空洞部348がベース空洞部360と重複することで、図4に示すように、第2ベース流路258と第2チャック流路254とを重複させている。
【0039】
図4に示す実施例では、接着剤層274を利用して、スリーブ276を、又はスリーブ276が存在しない場合には多孔質プラグ244を固定している。しかしながら、上記で提供された実施例のいずれかに記載されているように、スリーブ276及び接着剤層274を設けて構成してもよい。
【0040】
上記と同様に、リング402の機能により、リング402の外面(すなわち外径)とガス流路270を囲む接着層204の内縁204Bとの間に死容積452(図4の拡大挿入図に示す)が形成される。死容積452は、ガス流路270を流れるガスによって上向きに押し除けられる。死容積352内に存在する上向き押除ガスは、ガス流路270を流れるガスからリング402によって隔てられているために、運動エネルギーをほとんど又は全く持たない。したがって、接着層204の内縁204Bは、有益にもほとんど又は全く、流動ガスとの相互作用による浸食を受けない。
【0041】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による別の基板支持台座500の部分断面図である。基板支持台座500は、上述の基板支持台座116と本質的に同じであるが、多孔質プラグ244がガス流路270に固定されている方法の詳細が異なっている。図5に示すように、基板支持台座500はチャック本体514を備える。チャック本体514は、上述のチャック本体206と本質的に同じである。リング502が冷却ベース512の空洞部510内に配置されている。リング502は、1つ以上の個々のリングから製造され得る。ベース空洞部510は、冷却ベース512内に形成された第2ベース流路258の全部又は一部として画定される。ベース空洞部510は、底部空洞部表面366、幅516、及び側壁364を備える。
【0042】
冷却ベース512は、図2で説明した冷却ベース104と同様であってもよいが、ボスがチャック本体から形成されているのとは対照的に、空洞部510はリング502に嵌合するように構成されている。この状況が、他の諸実施形態に示されている。チャック本体206に形成された第2チャック流路254は、上部空洞部表面520、幅522、及び側壁524を有するチャック空洞部348を画定する。この状況が、図5の拡大挿入図に示されている。第2チャック流路254がリング502を貫通するのではなく、むしろ冷却ベース空洞部510がリング502を受け入れている。
【0043】
リング502は、冷却ベース512の空洞部510の側壁508に沿って延びる。リング502は、高さ504と幅506を有する。リング502の高さ504は、チャック本体514と冷却ベース512との間に画定された間隙260の端から端までの距離よりも高い。この状況が、図5の拡大挿入図に示されている。リング502を受け入れるには、リング502の幅506は、ベース空洞部510の幅516より小さくなければならない。リング502が、冷却ベース512とチャック本体514との間に画定された間隙260を埋めているので、リング502は、接着層204を多孔質プラグ244から物理的に遮蔽し、こうして、ガス流路270を流れるガスから接着層204を効果的に遮蔽する。リング502が間隙260を埋めている、このような諸実施形態では、スリーブ276は任意選択である。一実施例では、リング502は、静電チャック本体の底面222の少なくとも一方に連結され、別の一実施例では、リング502は、冷却ベース512のベース空洞部510の底部空洞部表面366に連結されている。ここで、表面366は第1軸328に対して垂直である。
【0044】
あるいは、リング502は、冷却ベース512とチャック本体514との間に画定された間隙260を完全に埋めていなくてもよい。このような諸実施形態では、スリーブ276は、第2チャック流路254及びリング502を出てから冷却ベース512の第2ベース流路258内に延在しており、こうして、接着層204を物理的に遮蔽する。
【0045】
図5に示す実施例では、接着剤層274を利用して、スリーブ276を、又はスリーブ276が存在しない場合には多孔質プラグ244を固定している。しかしながら、上記で提供された実施例のいずれかに記載されているように、スリーブ276及び接着剤層274を設けて構成してもよい。
【0046】
上記と同様に、リング502の機能により、リング502の外面(すなわち外径)とガス流路270を囲む接着層204の内縁204Bとの間に死容積552(図5の拡大挿入図に示す)が形成される。死容積552は、ガス流路270を流れるガスによって上向きに押し除けられる。死容積552内に存在する上向き押除ガスは、ガス流路270を流れるガスからリング502によって隔てられているために、運動エネルギーをほとんど又は全く持たない。したがって、接着層204の内縁204Bは、有益にもほとんど又は全く、流動ガスとの相互作用による浸食を受けない。
【0047】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による別の基板支持台座600の部分断面図である。基板支持台座600は、上述の基板支持台座116と本質的に同じであるが、多孔質プラグ604がガス流路270に固定されている方法の詳細が異なっている。基板支持台座600は、チャック本体602を備える。このチャック本体602はチャック本体206と同様であるが、さらに、第1チャック空洞部608及び第2チャック空洞部610を備える。基板支持台座600はまた、冷却ベース104と同様の冷却ベース612を備えるが、図6の冷却ベース612はさらにベースリング614を備える。
【0048】
ベースリング614は、冷却ベース612の上面630に配置されている。ベースリング614は、冷却ベース612の上面630から延びるボスの形であってもよく、又は1つ以上の別個のリングから構成されてもよい。ベースリング614は、高さ616と幅618を有する。ベースリング614の高さ616は、チャック本体602と冷却ベース612との間に画定された間隙260の端から端までの距離よりも高い。この状況が、図6の拡大挿入図に示されている。
【0049】
チャック本体602に形成された第2チャック空洞部610は、幅622及び側壁628を有する。この状況が、図6の拡大挿入図に示されている。第1チャック空洞部608の幅632は、第2チャック空洞部610の幅622よりも小さい。ベースリング614を受け入れるには、ベースリング614の幅618は、第2チャック空洞部610の幅622よりも小さくなければならない。
【0050】
多孔質プラグ604は、上述の多孔質プラグ244と実質的に同様であるが、第1チャック空洞部608の高さ624よりも低いか、又は同等な高さ620を備えている点が異なっている。したがって、本明細書で論じられる他の諸実施形態とは対照的に、多孔質プラグ604は冷却ベース612内に延在していない。ベースリング614は、冷却ベース612とチャック本体602との間に画定された間隙260内に延在しているので、ベースリング614は、接着層204を多孔質プラグ244から物理的に遮蔽し、こうして、ガス流路270を流れるガスから接着層204を効果的に遮蔽する。ベースリング614が間隙260を埋めている、このような諸実施形態では、スリーブ276は任意選択である。第2チャック流路254は、第1チャック空洞部608の幅632の他にも第1チャック空洞部608の側壁636、及び上部空洞部表面638によって画定される。
【0051】
あるいは、ベースリング614は、冷却ベース612とチャック本体602との間に画定された間隙260を完全に埋めていなくてもよい。このような諸実施形態では、スリーブ276は、第2チャック流路254及びベースリング614を出てから冷却ベース612の第2ベース流路258内に延在しており、こうして、接着層204を物理的に遮蔽する。この状況が、図6の拡大挿入図に示されている。図6に示す実施例では、接着剤層274を利用して、スリーブ276を、又はスリーブ276が存在しない場合には多孔質プラグ244を固定している。しかしながら、上記で提供された実施例のいずれかに記載されているように、スリーブ276及び接着剤層274を設けて構成してもよい。
【0052】
上記と同様に、ベースリング614の機能により、ベースリング614の外面(すなわち外径)とガス流路270を囲む接着層204の内縁204Bとの間に死容積652(図6の拡大挿入図に示す)が形成される。死容積652は、ガス流路270を流れるガスによって上向きに押し除けられる。死容積652内に存在する上向き押除ガスは、ガス流路270を流れるガスからベースリング614によって隔てられているために、運動エネルギーをほとんど又は全く持たない。したがって、接着層204の内縁204Bは、有益にもほとんど又は全く、流動ガスとの相互作用による浸食を受けない。
【0053】
図7は、別の基板支持台座700の部分断面図である。基板支持台座700は、上述の基板支持台座116と本質的に同じであるが、多孔質プラグ708がガス流路270に固定されている方法の詳細が異なっている。基板支持台座700は、チャック空洞部704を備えるチャック本体206と、ベース空洞部736を備える冷却ベース104とを備える。第2チャック流路254は、上部空洞部表面740、幅712、及び側壁714を有するチャック空洞部704によって画定される。
【0054】
冷却ベース104内に形成された第2ベース流路258は、底部空洞部表面366、幅718、及び側壁720を有するベース空洞部736を画定する。チャック空洞部704の幅712は、ベース空洞部736の幅718と実質的に等しくてもよい。多孔質プラグ708は、上述の多孔質プラグ244と同様であるが、多孔質プラグ708が底部直径724よりも大きい上部直径722を備える点が異なっている。したがって、図7の拡大図に示すように、多孔質プラグ708の張出部726が形成される。多孔質プラグ708は、チャック本体206に形成されたチャック空洞部704内に設置される。図7の拡大図にさらに詳細に示されているように、間隙738が、スリーブ276とチャック空洞部704の側壁714との間に形成されている。
【0055】
多孔質プラグ708は底部部分782と上部部分780を備える。底部部分782は底部高さ728と、底部直径724によって画定される外径とを有する。上部直径722はスリーブ276の幅712より大きく、その一方で、底部直径724はスリーブ276の幅712より小さい。多孔質プラグ708の底部部分782は、スリーブ276との間に圧入又はすきまばめを有し得る。こうして、多孔質プラグ708の張出部726は、スリーブ276によってチャック空洞部704内に支持され、拘束される。
【0056】
多孔質プラグ708の底部部分782もまたベース空洞部736内に延在している。あるいは、多孔質プラグ708の全体が、チャック空洞部704又はベース空洞部736のうちの一方のみに存在してもよい。多孔質プラグ708は部分的に、多孔質プラグ708の全高である高さ730によって画定される。一実施例では、高さ730は、チャック空洞部704の全空洞部高さ732よりも高い。第1軸328はガス流路270の中心線でもあり、その一方で、第2軸326はチャック本体206の底面222と平行である。
【0057】
図7に示すように、スリーブ276は、多孔質プラグ244の周囲に同心円状に配置されている。スリーブ276は、冷却ベース104とチャック本体206との間に画定された間隙260を埋めている。間隙260を埋めることによって、スリーブ276は、接着層204を多孔質プラグ708から物理的に遮蔽し、こうして、ガス流路270を流れるガスから接着層204を効果的に遮蔽する。したがって、ガス流路270を流れるガスは接着層204を浸食せず、基板支持台座700の寿命は有益にも延び、その一方で、接着層204に含まれる接着材料の量の変化によるチャック本体206の温度分布の変動を有益にも防止する。
【0058】
一実施例では、ベース空洞部710の底部空洞部表面716と多孔質プラグ708の底面734との間に空間がある。多孔質プラグ708の高さ730が画定する距離は、チャック空洞部704とベース空洞部736の深さの合計よりも短い。スリーブ276は、間隙260を埋めるのに十分な長さ346を有し、高さ334よりも短いか、等しいか、又は長くてもよいが、空洞部348、360の深さの合計よりは短い。
【0059】
一実施形態では、多孔質プラグ708は、冷却ベース104に形成されたベース空洞部736の底部空洞部表面366と直接接触していない。この実施例では、間隙(符号が付されていない)が形成されて、これによりガスが効率的に第1ベース流路256から流出して多孔質プラグ708に流入し、続けてガス流路270の第2チャック流路254及び第1チャック流路248内に流れ得る。ガス流は、最終的に出口210から流出し、プレナム280(図2に示す)に流入する。
【0060】
また、スリーブ276の機能により、スリーブ276とガス流路270を囲む接着層204の内縁204Bとの間に死容積752が形成される。図7の拡大図に示されている間隙738を含み得る死容積752は、ガス流路270を流れるガスによって上向きに押し除けられる。死容積752内に存在する上向き押除ガスは、ガス流路270を流れるガスと比較して、運動エネルギーをほとんど又は全く持たないので、接着層204の内縁204Bは、有益にもほとんど又は全く、流動ガスとの相互作用による浸食を受けない。
【0061】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による別の基板支持台座800の部分断面図である。基板支持台座800は、上述の基板支持台座116及び400と本質的に同じであるが、多孔質プラグ708がガス流路270に固定されている方法の詳細が異なっている。図8に示すように、基板支持台座800はチャック本体412を備える。チャック本体412は、上述のチャック本体206と本質的に同じであるが、チャック本体412の底面222から延びるリング804を備える。リング804は、チャック本体412の底面222から延びるボスの形であってもよく、又は1つ以上の別個のリングの形であってもよい。リング804は、高さ806と幅808を有する。第2チャック流路254はリング804を通って延びる。したがって、チャック空洞部810の少なくとも一部はリング804内に存在する。冷却ベース104内に形成された第2ベース流路258は、底部空洞部表面818、幅802、及び側壁820を有するベース空洞部360を画定する。基板支持台座800の一実施例では、チャック空洞部810がベース空洞部360と重複することで、第2ベース流路258と第2チャック流路254とを重複させている。チャック本体206内に形成された第2チャック流路254は、上部空洞部表面812、幅816、及び側壁814を有するチャック空洞部810を画定する。
【0062】
リング804は、チャック本体412の底面222から高さ806まで延びる。リング804の高さ806は、間隙260の端から端までの(チャック本体412と冷却ベース104との間に画定される)距離よりも高い。したがって、リング804の少なくとも一部は、冷却ベース104内に画定されたベース空洞部360内に延在している。リング804を受け入れるには、リング804の幅808は、ベース空洞部360の幅802より小さくなければならない。リング804が、冷却ベース104とチャック本体412との間に画定された間隙260を埋めているので、リング804は、接着層204を多孔質プラグ708から物理的に遮蔽し、こうして、ガス流路270を流れるガスから接着層204を効果的に遮蔽する。リング804が間隙260を埋めている、このような諸実施形態では、スリーブ276は任意選択である。
【0063】
あるいは、リング804は、冷却ベース104とチャック本体412との間に画定された間隙260を完全に埋めていなくてもよい。このような諸実施形態では、スリーブ276は、第2チャック流路254及びリング804を出てから冷却ベース104の第2ベース流路258内に延在しており、こうして、接着層204を物理的に遮蔽する。
【0064】
基板支持台座800内の多孔質プラグ708は、上述の多孔質プラグ244と同様であるが、多孔質プラグ708が底部直径724よりも大きい上部直径722を備える点が異なっている。したがって、挿入図に示すように、多孔質プラグ708の張出部726が形成される。この状況が、図8の拡大図に示されている。図7を参照して上述したように、多孔質プラグ708の張出部726は、スリーブ276によってチャック空洞部810内に支持され、拘束されるように寸法決めされる。図8に示す実施例では、接着剤層274を利用して、スリーブ276を、又はスリーブ276が存在しない場合には多孔質プラグ708を固定している。しかしながら、上記で提供された実施例のいずれかに記載されているように、スリーブ276及び接着剤層274を設けて構成してもよい。
【0065】
上記と同様に、リング804の機能により、リング804の外面(すなわち外径)とガス流路270を囲む接着層204の内縁204Bとの間に死容積752(図4の拡大挿入図に示す)が形成される。死容積752は、ガス流路270を流れるガスによって上向きに押し除けられる。死容積752内に存在する上向き押除ガスは、ガス流路270を流れるガスからリング804によって隔てられているために、運動エネルギーをほとんど又は全く持たないので、接着層204の内縁204Bは、有益にもほとんど又は全く、流動ガスとの相互作用による浸食を受けない。
【0066】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による別の基板支持台座900の部分断面図である。基板支持台座900は、上述の基板支持台座116と本質的に同じであるが、多孔質プラグ708がガス流路270に固定されている方法の詳細が異なっている。図9に示されるように、基板支持台座900は、チャック空洞部704を有するチャック本体514を備える。チャック本体514は、上述のチャック本体206と本質的に同じである。1つ以上の別個のリングから形成されたリング902が、冷却ベース512の空洞部510内に配置されている。冷却ベース512は、図2で論じた冷却ベース104と同様であってもよいが、リング902を受け入れるように構成された空洞部510を有する。チャック本体206内に形成された第2チャック流路254は、上部空洞部表面740、幅908、及び側壁714を有するチャック空洞部704を画定する。第2チャック流路254は、リング902を貫通していない。冷却ベース512内に形成された第2ベース流路258は、底部空洞部表面366、幅910、及び側壁912を有するベース空洞部510を画定する。
【0067】
多孔質プラグ708は、チャック本体206に形成されたチャック空洞部704内に設置される。多孔質プラグ708は、上述した多孔質プラグ244と同様であるが、多孔質プラグ708が底部直径724よりも大きい上部直径722を備える点が異なっている。したがって、図9の拡大挿入図に示すように、多孔質プラグ708の張出部726が形成される。図7を参照して上述したように、多孔質プラグ708の張出部726は、スリーブ276によってチャック空洞部810内に支持され、拘束されるように寸法決めされる。さらに図9の拡大図では、間隙738が、スリーブ276とチャック空洞部704の側壁714との間に形成されている。
【0068】
リング902は、冷却ベース512の空洞部510の側壁508に沿って延び、高さ904及び幅906を有する。高さ904は、チャック本体514と冷却ベース512との間に画定された間隙260の端から端までの距離よりも高い。リング902を受け入れるには、リング902の幅906は、ベース空洞部510の幅910より小さくなければならない。ボス802が、冷却ベース512とチャック本体514との間に画定された間隙260を埋めているので、リング902は、接着層204を多孔質プラグ708から物理的に遮蔽し、こうして、ガス流路270を流れるガスから接着層204を効果的に遮蔽する。リング902が間隙260を埋めている、このような諸実施形態では、スリーブ276は任意選択である。
【0069】
あるいは、リング902は、冷却ベース512とチャック本体514との間に画定された間隙260を完全に埋めていなくてもよい。このような諸実施形態では、スリーブ276は、第2チャック流路254及びリング902を出てから冷却ベース512の第2ベース流路258内に延在しており、こうして、接着層204を物理的に遮蔽する。
【0070】
図9に示す実施例では、接着剤層274を利用して、スリーブ276を、又はスリーブ276が存在しない場合には多孔質プラグ244を固定している。しかしながら、上記で提供された実施例のいずれかに記載されているように、スリーブ276及び接着剤層274を設けて構成してもよい。
【0071】
上記と同様に、リング902の機能により、リング902の外面(すなわち外径)とガス流路270を囲む接着層204の内縁204Bとの間に死容積952が形成される。死容積952は、ガス流路270を流れるガスによって上向きに押し除けられる。死容積952内に存在する上向き押除ガスは、ガス流路270を流れるガスからリング902によって隔てられているために、運動エネルギーをほとんど又は全く持たないので、接着層204の内縁204Bは、有益にもほとんど又は全く、流動ガスとの相互作用による浸食を受けない。
【0072】
本発明の教示を組み込んだ様々な実施形態を本明細書内で詳細に示し、説明してきたが、当業者であれば、これらの教示をやはり組み込んでいる多くの他の様々な実施形態を容易に創作し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9