IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7549655UV硬化フィラーを有する有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】UV硬化フィラーを有する有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/856 20230101AFI20240904BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240904BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240904BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240904BHJP
   H10K 50/11 20230101ALI20240904BHJP
   H10K 50/84 20230101ALI20240904BHJP
   H10K 50/852 20230101ALI20240904BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20240904BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20240904BHJP
   H10K 71/10 20230101ALI20240904BHJP
   H10K 71/12 20230101ALI20240904BHJP
   H10K 71/13 20230101ALI20240904BHJP
【FI】
H10K50/856
G09F9/00 313
G09F9/00 342
G09F9/00 343
G09F9/30 349B
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H10K50/10
H10K50/11
H10K50/84
H10K50/852
H10K59/35
H10K59/122
H10K71/10
H10K71/12
H10K71/13
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022526167
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2020058736
(87)【国際公開番号】W WO2021091917
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】62/931,760
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/685,944
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ユイ, カン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チャン-チア
(72)【発明者】
【氏名】リン, ワン-ユイ
(72)【発明者】
【氏名】バン, ヒョンスン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ, リーソン
(72)【発明者】
【氏名】クァク, ビョンソン
(72)【発明者】
【氏名】フィッサー, ロバート ヤン
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109950415(CN,A)
【文献】特表2011-520216(JP,A)
【文献】特開2011-119223(JP,A)
【文献】特表2010-511267(JP,A)
【文献】特表2016-526251(JP,A)
【文献】特開2016-134307(JP,A)
【文献】特開2016-020418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0358779(US,A1)
【文献】特開2011-113815(JP,A)
【文献】特開2017-167312(JP,A)
【文献】特開2007-273721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-99/00
H05B 33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオード(OLED)構造であって、
斜めの側壁及び底部を有するウェル構造と、
前記斜めの側壁及び前記底部の上に設けられたOLED層の積層体と、
少なくとも部分的に前記ウェル構造を充填するUV硬化インクを含む光抽出層(LEL)と、
前記斜めの側壁及び前記底部の上に設けられた、前記LELとOLED層の前記積層体との間のUVブロッキング層であって、UVブロッキング層は前記UV硬化インクを硬化するためのUV光波長で少なくとも90%の吸収と50nm~500nmの厚さを有する、UVブロッキング層と、
を含む、構造。
【請求項2】
前記LEL層が最大5μmの厚さを有する、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記UVブロッキング層が有機電荷輸送分子を含む、請求項1に記載の構造。
【請求項4】
前記UVブロッキング層が金属酸化物ナノ粒子を含む、請求項1に記載の構造。
【請求項5】
前記金属酸化物ナノ粒子が、MoO、MnO、NiO、WO、及びAlZnOのうちの1つ又は複数を含む、請求項4に記載の構造。
【請求項6】
基板と、前記ウェル構造と上面が突出している凸部のアレイを有する前記基板上の誘電体層とをさらに含み、各ウェル構造が、前記斜めの側壁及び前記底部を含み、前記ウェル構造が前記凸部により分離されている、請求項1に記載の構造。
【請求項7】
前記誘電体層とOLED層の前記積層体の間にミラー層をさらに含む、請求項6に記載の構造。
【請求項8】
前記LELの上面が、前記凸部の上面と実質的に同一平面上にある、請求項に記載の構造。
【請求項9】
前記LELの上面が、前記凸部の上面の上方に突出している、請求項に記載の構造。
【請求項10】
有機発光ダイオード(OLED)構造を製造するための方法であって、
ウェルの斜めの側壁及び底部の上にOLED層の積層体を形成すること、
UVブロッキング層を、OLED層の前記積層体、前記斜めの側壁及び前記底部の上に堆積することであって、前記UVブロッキング層はUV光の第1の波長帯で少なくとも90%の吸収と50nm~500nmの厚さを有する、UVブロッキング層を堆積することと、
UV硬化性流体の層を、前記ウェル内の、前記UVブロッキング層の上に堆積することと、
UV硬化性流体の前記層を前記第1の波長帯のUV光で硬化させて、光抽出層(LEL)を前記UVブロッキング層の上方に形成することと
を含む、方法。
【請求項11】
UV硬化性流体の前記層を堆積することが、ノズルから前記UV硬化性流体の液滴を放出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液滴が、複数のウェルを少なくとも部分的に充填するために放出される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
UV硬化性流体の前記層を堆積することが、各ウェル内に複数のサブレイヤを連続して形成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のサブレイヤのうちのサブレイヤを形成することが、前記UV硬化性流体の1つ又は複数の液滴を前記ウェルに放出することと、後続のサブレイヤを形成する前に前記流体を硬化させることとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ウェル内に前記サブレイヤを形成することが、前記UV硬化性流体の単一の液滴を前記ウェル内に堆積することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記サブレイヤを形成することが、前記UV硬化性流体の複数の単一の液滴を前記ウェル内に堆積することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記光抽出層(LEL)が最大5μmの厚さを有し、前記UVブロッキング層が50~500nmの厚さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイであって、
駆動回路を有する基板と、
前記基板上に配置された誘電体ピクセル画定層であって、前記ピクセル画定層が、中に形成された、斜めの側壁及び底部をそれぞれ有する複数のウェルを有する、誘電体ピクセル画定層と、
前記複数のウェル内に形成された複数のOLEDであって、前記複数のOLEDの各OLEDが、前記複数のウェルの対応するウェル内に形成され、
前記ウェルの前記底部に形成されたアノードと、
前記アノード上で、前記斜めの側壁及び前記底部の各々の上に配置されたOLED層の積層体と、
OLED層の前記積層体上に配置されたカソードと、
前記カソード上で、前記斜めの側壁及び前記底部の各々の上に配置されたUVブロッキング層と、
前記ウェルを少なくとも部分的に充填するために前記UVブロッキング層の上方に配置されたUV硬化インクを含む光抽出層(LEL)と
を含む、複数のOLEDと
を含み、前記UVブロッキング層は前記UV硬化インクを硬化するためのUV光波長で少なくとも90%の吸収と50nm~500nmの厚さを有する、
ディスプレイ。
【請求項19】
OLED層の前記積層体及び前記カソードが、前記複数のOLEDに広がっている、請求項18に記載のディスプレイ。
【請求項20】
UVブロッキング層の1つ又は複数が、有機電荷輸送分子又は金属酸化物ナノ粒子を含む、請求項18に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイデバイスの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(有機エレクトロルミネッセント)ダイオードとしても知られる有機発光ダイオード(OLED又は有機LED)は、発光エレクトロルミネセント層が、電流に応答して発光する有機化合物の膜である、発光ダイオード(LED)である。この有機層は、2つの電極の間にあり、典型的には、これらの電極のうちの少なくとも1つは透明である。OLEDは、テレビスクリーン、コンピュータモニタ、ポータブルシステム、例えば、スマートウォッチ、スマートフォン、携帯ゲーム操作器、PDA、及びラップトップなどのデバイスのデジタルディスプレイを作成するために使用される。
【0003】
OLEDディスプレイは、パッシブマトリックス(PMOLED)又はアクティブマトリックス(AMOLED)制御スキームで駆動され得る。PMOLEDスキームでは、ディスプレイ中の各列(及びライン)は、一つずつ連続して制御され、その一方、AMOLED制御は、薄膜トランジスタのバックプレーンを使用して、各個別のピクセルに直接アクセスしてオン又はオフを切り替え、より高速な応答、より高い解像度、及びより大きなディスプレイサイズを可能にする。
【0004】
AMOLEDディスプレイは、従来のLCDディスプレイと比較して、高いピクセル密度、優れた画質、及び薄いフォームファクタで魅力的である。AMOLEDディスプレイは、薄膜プロセスで薄くて柔軟な基板上に作成できる自己発光デバイスであり、LCDディスプレイで使用されるようなバックライトを必要としない。LCDデバイスよりも優れた電力効率に加えて、AMOLEDデバイスは、「点灯時に電力のみを消費する」及び「発光強度に対応して必要な電力のみを消費する」などの特徴で注目されている。よって、AMOLEDディスプレイは、バッテリ駆動のポータブル製品にとって魅力的なディスプレイ技術と見なされてきた。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、いくつかの実装形態は、有機発光ダイオード(OLED)構造であって、OLED層の積層体と、UV硬化インクを含む光抽出層(LEL)と、LELとOLED層の積層体との間のUVブロッキング層とを含む、有機発光ダイオード(OLED)構造を提供する。
【0006】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。LEL層は、最大5μmの厚さを有してもよく、UVブロッキング層は50~500nmの厚さを有してもよい。UVブロッキング層は、有機電荷輸送分子を含み得る。UVブロッキング層は、金属酸化物ナノ粒子を含み得る。金属酸化物ナノ粒子は、MoO、MnO、NiO、WO、及びAlZnOのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0007】
OLED構造は、基板と、ウェル構造のアレイを有する基板上の誘電体層をさらに含んでもよく、各ウェル構造は、斜めの側壁及び床を含み、ウェル構造はプラトーにより分離されており、LELは少なくとも部分的にウェルを充填する。OLED構造は、誘電体層とOLED層の積層体との間にミラー層をさらに含み得る。
【0008】
LELの上面は、プラトーの上面と実質的に同一平面上にあってもよい。LELの上面は、プラトーの上面の上方に突出してもよい。
【0009】
別の態様では、いくつかの実装形態は、有機発光ダイオード構造(OLED)を製造するための方法であって、UVブロッキング層をOLED層の積層体の上方に堆積することと、UV硬化性流体の層をUVブロッキング層の上方に堆積することと、UV硬化性流体の層をUV光で硬化させて、光抽出層(LEL)をUVブロッキング層の上方に形成することとを含む、方法を提供する。
【0010】
UV硬化性流体の層を堆積することは、UV硬化性流体の液滴をノズルから放出することを含み得る。液滴は、複数のウェルを少なくとも部分的に充填するために放出され得る。UV硬化性の層を堆積することは、各ウェルに複数のサブレイヤを連続して形成することを含み得る。複数のサブレイヤのサブレイヤを形成することは、UV硬化性流体の1つ又は複数の液滴をウェルに放出することと、後続のサブレイヤを形成する前に流体を硬化させることとを含み得る。ウェル内でサブレイヤを形成することは、UV硬化性流体の単一の液滴をウェル内に堆積することを含み得る。サブレイヤを形成することは、UV硬化性流体の複数の単一の液滴をウェル内に堆積することを含み得る。光抽出層(LEL)は5μmの厚さを有してもよく、UVブロッキング層は50~500nmの厚さを有してもよい。
【0011】
利点には、限定されないが、以下の1つ又は複数が含まれ得る。
【0012】
LEDデバイスの1つ又は複数の層、例えば、光抽出層(LEL)は、UV硬化性インクを使用して製造され得る。これにより、UV硬化を使用して層を堆積する液滴放出技法の使用が可能になり、これは、より高いスループット及び/又はより低いコストでの製造を可能にし得る。
【0013】
本明細書に記載された主題の1つ又は複数の態様の詳細は、添付の図面及び以下の記載で説明される。その他の特徴、態様、及び利点は、本記載、図面、及び特許請求の範囲から自明となろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A-1B】屈折率整合材料のパターン化/構造化光抽出層を有する上面発光OLEDピクセルの概略断面図の例を示す。
図1C】屈折率整合材料のパターン化/構造化光抽出層を有する上面発光OLEDピクセルのアレイの概略断面図の例を示す。
図2】パターン化/構造化光抽出層の下のUVブロッキング層を有する上面発光OLEDピクセルの概略断面図の例を示す。
図3A-3G】UVブロッキング層に適した有機材料の例を示す。
図4A-4B】UV硬化性インクジェットを用いたOLED構造の形成を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
さまざまな図面における類似の参照符号は、類似の要素を表している。
OLEDは、2つの電極間に挟まれた発光有気層を含む有機層の積層体を有する2端子薄膜デバイスである。電極のうちの少なくとも1つは透明であり、よって、放射された光の通過を可能にする。典型的には、カプセル化又はパッシベーションは、OLED積層体をカバーする。OLED積層体とその上のカプセル化又はパッシベーション層との光学パラメータの不一致により、大幅な効率の低下が発生する可能性がある。さらに、平面層の積層体を有する従来のデバイス構成では、かなりの光が支持基板に吸収され得るか、又は低角度で発せられる。
【0016】
内部量子効率(IQE)は、変換された光子の数と入力電子の数の比を定量化するが、外部量子効率(EQE)は、入力電子の数から変換された放出及び抽出された光子の数の比を示す。これに関連して、IQEはほぼ完璧であるが、大量の発光が、OLEDディスプレイ内部に捕捉され得るか、又は水平方向(基板に平行)に沿って導波され得るため、EQEは理想からはほど遠い可能性がある。一例では、理想的なIQE(たとえば、リン光材料の場合は約100%)でも、従来のデバイス構成の商用OLEDでは約20~25%のEQEが実現された。出力放射による光エネルギー損失に加えて、内部に捕捉された光は隣接するピクセルに導波され、正面に散乱する可能性があり、「光漏れ」又は「光クロストーク」を引き起こし、ディスプレイの鮮明さ及びコントラストを低下させる。
【0017】
図1Aから1Cを参照すると、この問題に対する1つの解決策は、ウェル構造103内に、ウェルの底部103B及び斜めの側壁103Aの部分に沿ったミラーと、ウェルを充填するパターン化光抽出層108とを有する、OLED積層体を形成することである。上面発光OLED構造の例が、図1A及び1Bに示される。OLED構造は、支持基板100上に形成され、支持基板100は、場合によっては、製造プロセスの後に除去され得る。
【0018】
ウェルは、支持基板100の上方に配置される誘電体ピクセル画定層(PDL)111内の凹部によって提供され得る。1つ又は複数の薄膜トランジスタ(TFT)で作製されたピクセル駆動回路が基板100上に形成された後に、ピクセル画定層(PDL)111が形成され得る。PDL111は、ポリマー材料であり得、例えば、フォトレジスト材料の層を堆積することにより、形成され得る。ポリマー材料の層は、その後、選択的にパターン化されて、ウェルを提供する凹部を形成する。上面PDLは、デバイス内の個別のOLEDサブピクセルを分離するプラトーを提供する。
【0019】
導電性アノード101は、ウェル構造103の底部又はウェル構造103より下に形成される。アノード101は、ウェルの斜めの側壁103Aの一部の上方に延びることができる。アノード101は、銀及び/又は別の反射性導電性材料であり得るか、又は導電性光反射性材料でコーティングされた導電性非反射性材料由来であり得る。いくつかの実装形態では、アノード101は、ミラーとして機能するのに十分反射性である。
【0020】
アノード101は、PDL111より前に処理され、薄膜トランジスタ(TFT)が基板100上に形成された後に形成され得る。例えば、薄膜トランジスタは、トランジスタのゲート、ドレイン、及びソース領域のための導電性端子を含むことができる。ここでは、アノード101は、TFTの上方に配置され、例えば誘電体層を通る導電性バイアスによって、TFTのドレインと電気的に接触して配置され得る。
【0021】
図1A及び1Bに示すように、アノード101は、ピクセル画定層(PDL)111が堆積され、パターン化された後に、形成され得る。アノード101の一部は、斜めの側壁103Aの上方に、PDL傾斜の領域内、例えば、エリア101A内などに、部分的又は完全に延びることができる。よって、アノード101は、凹部の上部(すなわち、プラトーの上部)から離間されている。結果として、アノード101によって提供されたミラーは、斜めの側壁103Aの上方に部分的又は完全に延びることができる。
【0022】
あるいは、アノード101は、PDL111より前に堆積され得る。アノード101の一部は、ピクセル画定層(PDL)111の下方に延びることができる。例えば、アノード202は、平坦な底部領域103Bのエリアのみに堆積され得る。この場合、ウェルの底部103Bをカバーし、斜めの側壁103Aの上方に部分的又は完全に延びる、別個のミラー層が形成され得る。
【0023】
アノード101がPDL111の上方に形成されると仮定すると、透明な誘電体層102は、アノード101の一部の上方、及びPDL111の露出部分の上方に形成され得る。誘電体層102の開孔は、OLEDの発光エリアを画定することになる。誘電体層102は、フォトレジストタイプの材料を使用して形成され得る。図示されているように、誘電体層102は、ウェルの底部103Bの外側エッジで、及び斜めの側壁103A上で、アノード101をカバーすることができる。しかし、ウェルの底部103B内への誘電体層102の延びは、通常最小限に抑えられる。
【0024】
発光ゾーン107を含むOLED層積層体104は、アノード101の上方に形成される。例えば上面発光OLED積層体中の、OLED層積層体104は、電子注入層(EIL)、電子移送層、孔ブロッキング層、発光層(EML)、電子ブロッキング層(EBL)、孔移送層(HTL)、及び孔注入層(HIL)を含み得るが、これは可能な層のセットの1つに過ぎない。OLED積層体104の最下層は、直接、又はアノード上に配置された導電性ミラー層を通じてのいずれかで、アノード101と電気的に接触している。誘電体層102の開孔を通じて露出したアノード101の領域の上方の発光層(EML)の一部は、発光ゾーン107を提供し得る。
【0025】
別の透明な電極106、例えばカソードは、OLED積層体104の上方に形成され得る。OLED積層体104の上部層は、カソード106と電気的に接触している。
キャッピング層(CPL)は、カソード106の上部に置くことができる。CPLは、典型的には、非EML OLED層と同様の有機材料である。CPL層上には、パッシベーション層が堆積され得る。
【0026】
電極106は、ディスプレイ全体をカバーし、すべてのピクセルに接続する連続する層であり得る。それと比較して、各OLEDの独立した制御が達成され得るように、アノード101は連続的に作製されていない。これはサブピクセルの制御を可能にし、各ピクセルは、異なる色の3つのサブピクセル、例えば、R、G、及びBを含み得る。
【0027】
アノード101が側壁ミラー(例えば、PDLの傾斜に沿って堆積される)として機能する実装形態では、発光エリアは、そのような側壁ミラーの上方に誘電体層102を置くことによってさらに制御され得る。誘電体層102の範囲は変化し得る。通常、OLED発光は、層の厚さに大きく依拠する。誘電体層102は、側壁上に形成されたOLED構造からの発光を抑制することを可能にし(デバイス製造中)、一方、ウェルの側壁と底部との間の厚さの差は、発光スペクトル及び色座標を含む、一貫性のない発光特性をもたらし得る。
【0028】
OLED構造は、ウェル構造103の凹型エリアの内部に配置される屈折率整合充填材料108をさらに有する。屈折率整合充填材料/層の上面108aは、平坦(図1Aを参照)又は湾曲/非平坦(図1B)であり得る。適切なデバイス設計により、OLED発光ゾーン及び光抽出層の周囲にミラーを導入することにより(凹面の屈折率整合材料を介して)、EQEは、従来のOLED設計から2~3倍改善され得る。結果として、ポータブルアプリケーションにおけるOLEDディスプレイの電力消費は2から3倍削減することができる。これにより、タッチスクリーン、電話、パッド、及びラップトップなどの現在のモバイルデバイスで使用されているものよりも小型で軽量の充電式バッテリを使用することができ、充電時間を短縮することができる。同様の趣旨で、高効率のOLEDディスプレイを有する同じモバイルデバイスは、元のバッテリの1回の充電で、はるかに長い時間(例えば、2~3倍よりもわずかに短く)動く。このような非常に効率的なピクセルアーキテクチャの別つの利点は、ピクセルがより低い電流及び電圧で所望の輝度を実現し、これにより劣化現象が少なくなるため、デバイスの寿命が長くなることである。さらに別の利点は、より高いEQEがより小さな発光領域が以前と同じ明るさを達成することを可能にするため、より高いピクセル密度を達成することの技術的実現可能性である。
【0029】
しかし、新しく追加された光抽出層(LEL)は、従来の技術を使用して商業的に実行可能な価格で製造されない場合がある。この追加された層には、追加のプロセスと対応するツールが必要である。特に、液滴放出技法、例えば、液滴放出を使用する3D印刷技法を使用して、フィラー層を堆積することが望ましいであろう。液滴として放出される液体材料は、「インク」と呼ばれることが多いが、色素沈着を含む必要はない(通常は含まない)。
【0030】
LELに有望な充填「インク」の1つのタイプは、有機結合ユニットでパッシベーションされた表面の有無にかかわらず、有機金属分子又は金属酸化物ナノ粒子を含む溶液である(「MOインク」と称され、以下で詳述する)。このタイプの充填インクは、高い固体負荷(例えば、スラリー混合物に含まれ得る固体/インク体積の形成率が高い)、及び出力放出を最大化する可能性のある調整可能な誘電率を有する。硬化方法は、高温でのポストアニーリング時間の持続時間とともに、充填インクをUV放射に曝露することを含む。残念ながら、LEL前駆体材料の硬化に必要なUV照射線量は、下のOLED構造に害を及ぼす可能性がある。
【0031】
光抽出層の屈折率整合材料のUV硬化インクによって引き起こされる製造上の課題に対処するために、本開示は、LEL層の下にUVブロッキング層を導入する解決策を提案し、そのため、下のOLED積層体の性能を損なうことなく、UV硬化性インクをパターン化LEL層に採用することができる。有機材料と無機材料のどちらも、UVブロッキング層に使用することができる。
【0032】
加えて、適切な表面プロファイル又は疎水性表面を提供することができ、これにより、製造中に位置がずれたインク液滴を重力及びドーム上部の表面特性によってウェルに戻すことができる(以下の図4Bでさらに詳述する)。これらの技法は、OLED積層体の上方に堆積されたUVブロッキング層と併せて、又はそれとは独立して、使用することができる(以下の図2でさらに詳述する)。
【0033】
さらに、本開示のインクジェットプロセスを用いると、屈折率の勾配を有するパターン化LEL層を形成することができる。複数のコーティング工程を有するインクジェット印刷又はスロットダイコーティングにより、屈折率勾配型のパターン化LELが可能になり、カバーガラス(又はオンセルタッチ構成のタッチパネル)と統合される。
【0034】
図1Cは、基板100上の層状構造112内に配置されたOLEDピクセルのアレイ110の断面図を示す。
【0035】
図2をさらに参照すると、OLED構造200Aの断面図は、OLED層104の上面104Aとパターン化LEL層108の間のUVブロッキング層202を示す。以下に記載される場合を除いて、OLED構造200Aは、図1A及び1Bを参照して記載されたOLED構造100A及び100Bと同様であり得る。OLED構造200Aは、基板100上に形成され、ウェル構造103のアレイを含む。各ウェル構造は、底部領域103Bと側壁領域103Aとを含む。ウェル構造103は、プラトー105によって分離される。上記のとおり、誘電体層102は、PDL111の傾斜上に形成され、底部領域103Bのエッジエリアまで延びるが、凹型の底部領域への延びは可能であるが通常最小限に抑えられる。
【0036】
アノード101は、底部領域103B内に形成され、部分的に側壁103Aの上方へ延びることができる。上記のとおり、アノード101は、反射性であり得るか、又は導電性光反射性材料でコーティングされた導電性非反射性材料であり得る。
【0037】
より詳細には、各ウェル構造103の床は、基板100の上方の底部の平坦な面であり、これは、薄膜トランジスタ(TFT)回路プロセス中の形成された平坦な上部金属面(薄膜トランジスタTFTのソース及びドレイン電極に使用される金属層など)を表す。ミラー層101Mは、アノード101の上方に形成され得る。ミラー層101Mは、銀(Ag)又は他の反射性金属を使用し得る。あるいは、アノードは、導電性又は非導電性の反射性層の上方に堆積された透明な導電性材料であり得る。例えば、アノード101は、反射性のミラー層101Mの上部に堆積された導電性の酸化インジウムスズ(ITO)であり得る。OLEDのアノードには、内部全反射が所望される。
【0038】
いくつかの実装形態では、アノードは底部領域103Bに限定される。いくつかの実装形態では、アノードはまた、凹部の傾斜した側壁103Aの上方に部分的又は完全に延びる。いくつかの実装形態では、ミラー層101Mは、凹部の傾斜した側壁103A上に延びる導電性の反射性金属である。最初のアノードの上に形成されるこの導電性の反射性金属は、ピクセルの底部/床領域に潜在的な新しいアノードをもたらす可能性がある。上述のとおり、透明な誘電体層102が堆積及びパターン化されて、側壁領域103Aから電気的励起及び発光を排除し得る。
【0039】
カソード106は、パターン化されていない透明な連続層であり得る。上部発光構成では、光抽出層(LEL)108がUVブロッキング層202の上部にあり、UVブロッキング層202はカソード106の上部にある。この構成では、パッシベーション層は、カソード106の真上にあるキャッピング層(CPL)の上に堆積され得る。
【0040】
例えば、図1Aから1Cに示されるように、LEL層108は、OLED積層体104及び上部カソード106の上方に配置される。LEL層108は、各ウェルを少なくとも部分的に充填する。いくつかの実装形態では、LEL層108Aは、プラトー105の上面の上方に突出する凸状の上面109を形成するようにウェルを「過剰充填」する。
【0041】
OLED層積層体104の上面104Aとパターン化LEL108の間には、UVブロッキング層202がある。UVブロッキング層202は、OLED層の形成に使用されるのと同様のプロセス(物理気相堆積など)で、又は異なるプロセス(化学気相堆積など)によって形成することができる。UVブロッキング層202は、スピンコーティングなどのコーティング法によっても形成することができる。UVブロッキング層202は、LEL層108/108aの処理に使用されるUV波長で強い吸収を有する(例えば、少なくとも90%から100%の吸収)。UVブロッキング層202は、比較的薄くてもよい(例えば、50から500nmの厚さ)。UVブロッキング層202の材料の例は、以下に見出すことができる。UVブロッキング層を堆積するための所望のプロセスは、選択された材料に依拠し得る。通常、蒸発プロセスは有利であり得るが、これは、スパッタリング又は化学気相堆積(CVD)がさらなるデバイス損傷要素(例えば、スパッタリング中のプラズマ、汚染物質、及び場合によってはCVD/PECVD中のプラズマ)につながり得るためである。
【0042】
パッシベーション層はCPL層上に堆積され得るが、いくつかの実装形態では、UVブロッキング層もパッシベーション層として機能し、CPL層上に別個のパッシベーション層は必要ではない。この場合、UVブロッキング層は、インクジェット印刷(IJP)のような、可能性のあるウェットLEL堆積のための透過ブロッキング層として機能し得る。
【0043】
有機材料と無機材料のどちらも、UVブロッキング層に使用することができる。UVブロッキング層に使用することができる有機材料の例には以下が含まれる:N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン、TPD(3.18eV);N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン、NPB(3.0eV);N,N’-ビス(フェナントレン-9-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン、PAPB(又はPPD);4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、BPhen(3.0eV);ビス(8-ヒドロキシ-2-メチルキノリン)-(4-フェニルフェノキシ)アルミニウム、BAlq(3.0eV)、トリス-(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム、Alq(2.8eV);テトラセン、C8H12(3.0eV);4-フェニル、4P(3.1eV);6-フェニル、6P(3.1eV)等(括弧内の数字は吸収端を表す)。これらの構造の分子構造は図3に示す。
【0044】
このタイプの有機材料は、有機発光ダイオードなどの有機薄膜デバイスの分野では、電荷輸送分子(正孔輸送又は電子輸送のいずれか)としてよく知られている。エネルギーギャップは、材料の加工性(例えば、熱堆積による)を維持しながら、分子構造工学によって所望の波長に調整することができる。例には、TPD、NPB、及びPAPB(又はPPD)が含まれる。-メチルフェニル基を-ナフチル基又は-フェナトレン基と置き換えることによって、吸収体の開始は効果的に調整され得る。フェニル基を調整することに加えて、バンドギャップ光学も、ベンゼン環の-H原子を-OH基又は-CN基と置き換えることによって、達成され得る。このタイプの有機材料の別の特性は、高い吸収係数である。例えば、このタイプの分子では、UV吸収帯間の直接的なタイプのエネルギーギャップにより、10cm-1を超える吸収係数がしばしば見られる。この吸収レベルでは、UV放射強度は、100nmの厚さのUVブロッキング層で10倍、200nmの厚さのUVブロッキング膜で100倍減衰する可能性がある。よって、これらの材料は、LEL(105/105a)の下のUVブロッキング層(202)の優れた候補である。異なる数のフェニル環(例えば、NPB)を含む複数のサブグループを有する組成物を選択すると、HgランプからのUV放射全体(UV-IからUV-III帯まで)にわたって幅広い吸収を達成することができる。UVブロッキング層に使用される有機材料はOLED積層体中で電荷輸送層としても使用することができるため、同じ堆積ツールを使用することができる。
【0045】
UVブロッキング層は、光学ポリマーとして知られる別のタイプの有機分子を用いても形成することができる。例には、限定されないが、ポリスチレン、ポリカーボネート、PMMA、及びそれらの誘導体が含まれる。このタイプの光学ポリマーは、3.1eVに近い吸収端を有し、UV光を効果的にブロックする。
【0046】
UVブロッキング層202に適した無機材料の例には、MoO、MnO、NiO、WO、AlZnO、及びこれらの材料を含む合金酸化物が含まれる。これらの膜は、下のOLEDデバイスを損傷することなく、熱又は他のタイプの物理的堆積法を用いて製造することができる。
【0047】
複数の層の積層体中又はブレンド形態の上述の材料の組み合わせも、UV吸収層202に使用することができる。UVブロッキング層の厚さは、UVブロッキング層の吸収係数及びLELインクの硬化に必要なUV線量の減衰レベルに依拠して、50~500nmの範囲で選択され得る。
【0048】
金属酸化物及び/又は有機金属化合物ベースのLEL層105/105aは、対応する有機金属前駆体を有するインクを用いて形成することができ、そのようなインクの例には、ZrO、ZrOC、AlO、AlOC、TiO、TiOC、ZnO、ZnOC、及びブレンド形態の組み合わせ(以下の記述ではMO/MOCインクと表される)が含まれる。そのような化合物は、OLED積層体中の有機層のものよりも高い屈折率を特徴とする。LEL(すなわち、上の金属OC化合物)の形成において特定の量の炭素原子を維持することにより、LELとOLED積層体の間の屈折率整合が達成され得る。基準点として、ZrO又はTiOなどの金属酸化物は、目標値(例えば、n=1.82)よりも実質的に高い屈折率を有し得る。炭素(C)の量で、nは、およそ2.2からおよそ1.8の範囲内で調整され得る。
【0049】
金属酸化物ナノ粒子の固体負荷は、典型的には20~80%の範囲(例えば、固体/インク体積の形成率)である。イソプロパノールアルコール(IPA)などのアルコール及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのグリコールエーテルは、このタイプのMO/MOCインクの溶媒として使用することができる。下のOLEDへの損傷を減少させるために、HO分子はインク調製中に溶媒から除去され得る。低湿度(乾燥空気、N、又はArなど)又は40~60℃の範囲の適度な基板温度でインクを印刷することも、下のOLEDの性能低下を最小限に抑えるために使用され得る。一つの例示では、1~10plのノズルヘッドを使用すると、ポータブルディスプレイ製品の発光ピクセルの液体積が達成され得る(~25um×25um×2um~10-15~10-12 l=1pl)。より大きなノズルヘッドは、より大きなピクセルピッチのデスクトップ及び壁掛けディスプレイに使用することができる。望ましい固形含有量は、各ストップに複数のインク滴があるより小さなノズルヘッド、又は各ウェルに単一の滴がある大きなノズルヘッドで達成され得る。ノズルアレイは、スループットを改善して大量生産用に約1分/基板タクトタイムを達成するために使用されることが多い。
【0050】
例えば、UVブロッキング層の上方でのLEL形成プロセスは、印刷プロセス、溶媒除去、及び適温(50~100℃)での短時間(数分)の予備乾燥プロセスを含む。制御環境下及び減少した圧力でのチャンバ内の予備ベイキングは、処理時間を減少させることができる。その後、乾燥LELアレイは、0.1~10J/cmの線量で架橋のためのUV曝露を施され得る。最終的な設定プロセスは、高温で行われる(例えば、70~130℃で5~30分間)。
【0051】
図4Aを参照すると、3D印刷プロセスでは、LEL層108は、サブレイヤを連続して堆積及び硬化させることによって形成することができ、サブレイヤの積層体は、LEL層108を提供することができる。サブレイヤは、プリントヘッド400の単一のスキャン及びプリントヘッドからの放出された液滴402の硬化に対応することができる。いくつかの実装形態では、各ウェルについて、LELのサブレイヤは、インクの複数の滴で形成することができる。あるいは、所与のウェルのLEL層108内の各サブレイヤは、サブレイヤごとに単一の滴で形成することができる。表面張力により、滴はウェルの幅を覆うように広がる可能性がある。いくつかの実装形態では、ウェルはLELの液体前駆体で充填され、サブレイヤごとではなく、ウェル全体が一度に硬化する。
【0052】
本開示のインクジェットプロセスを用いると、屈折率の上から下への勾配を有するパターン化層を形成することができる。特に、複数のコーティング工程を有するインクジェット印刷又はスロットダイコーティングにより、屈折率勾配型のパターン化LELが可能になり、カバーガラス(又はオンセルタッチ構成のタッチパネル)と統合される。連続したスキャンの低下は、前のスキャンよりも連続的に低い屈折率を有するインクを使用することができる(C/O比を増加させるか、又は屈折率の異なる複数の金属でMO組成を変更することにより)。受け取るMO/MOC膜への滴下インクの濡れ効果は、勾配プロファイルをさらに調整するために使用され得る。最終的に、パターン化LELアレイは、OLED積層体の屈折率に整合する屈折率(約1.75~1.82の屈折率)、及び保護ガラス(例えば、屈折率が約1.52の多くの携帯電話で使用されている、CorningのブランドであるGorillaガラスなど)に整合する屈折率を有するLEL上面の屈折率で、形成され得る。例えば、屈折率勾配の断面プロファイルは、インクの特性及び詳細な印刷条件によって制御することができる。よって、専用の設計を用いると、異なるアプリケーションで所望の視野角の依存関係を達成することができる。例えば、モニター及び壁掛け式の大型テレビには、より大きな画角が好まれる。商用飛行機の娯楽用ディスプレイには、狭い視野角が好まれる。手のひらサイズの携帯電話では、正面方向に強い発光強度を有する適度な視野角が好まれる。このような携帯電話では、正面からの性能が最適化されているため、バッテリ充電あたりの動作時間が長くなる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「例示的」という用語は、「例、実例、又は例示として役立つ」ことを意味し、本明細書に開示される他の構成よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0054】
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、特性、パラメータ、及び寸法の変動など、値の範囲の上限及び下限に存在し得る変動をカバーすることを目的としている。1つの非限定的な例では、「約」及び「およそ」という用語は、プラス又はマイナス10パーセント以下を意味する。
【0055】
上述の特定の実施形態は、例として示されており、これらの実施形態は、さまざまな改変及び代替的な形態の影響を受けやすい場合があることを理解されたい。特許請求の範囲は、開示された特定の形態に限定されることを意図するのではなく、むしろ、本開示の精神及び範囲内にあるすべての改変、同等物、及び代替を網羅することを意図することをさらに理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A-3G】
図4A
図4B