(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240905BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20240905BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G03G21/18 167
B41J29/13
G03G21/16 133
(21)【出願番号】P 2021070556
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-013874(JP,A)
【文献】特開2020-052278(JP,A)
【文献】特開2006-221010(JP,A)
【文献】特開2020-170031(JP,A)
【文献】特開2016-012144(JP,A)
【文献】特開2010-128431(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0168447(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 21/16
G03G 15/08
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して着脱可能な第一ユニットと、
前記第一ユニットに対して着脱可能な第二ユニットと、を備えた画像形成装置において、
前記第二ユニットが備えるユニット側接続端子に接続する前記装置本体に設けられた本体側接続端子をカバーするカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記本体側接続端子をカバーするカバー位置と、前記カバー位置から退避した退避位置との間を移動可能に構成されており、
前記第一ユニットが前記装置本体から取り外された状態のときは、前記カバー位置から前記退避位置への前記カバー部材の移動が規制されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第一ユニットが前記装置本体から取り外された状態のとき、前記カバー部材の前記カバー位置から前記退避位置への移動を規制する規制部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記規制部材は、前記カバー部材のカバー位置から前記退避位置への移動を規制する規制位置と、前記カバー部材の移動の規制を解除する解除位置との間を移動可能に設けられており、
前記規制部材は、前記第一ユニットの前記装置本体に対する着脱に連動して前記規制位置と前記解除位置との間を移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記第二ユニットが装着された前記第一ユニットを装置本体に装着するとき、前記規制部材が前記規制位置から前記解除位置への移動を開始した後、前記カバー部材が前記カバー位置から前記退避位置への移動を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記カバー部材は、前記装置本体に装着されている前記第一ユニットに対する前記第二ユニットの着脱および前記第二ユニットが装着された前記第一ユニットの前記装置本体に対する着脱に連動して前記カバー位置と前記退避位置との間を移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
装置本体に対して着脱可能なユニットを備えた画像形成装置において、
前記ユニットが備えるユニット側接続端子に接続する前記装置本体に設けられた本体側接続端子をカバーするカバー位置と、前記カバー位置から退避した退避位置との間を移動可能の構成されたカバー部材と、
前記ユニットが前記装置本体から取り外された状態のときは、前記カバー位置から前記退避位置への前記カバー部材の移動が規制され、前記ユニットが前記装置本体への装着中に前記カバー部材の移動の規制が解除されることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体に対して着脱可能な第一ユニットと、第一ユニットに対して着脱可能な第二ユニットとを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成装置として、第一ユニットとしてのプロセスカートリッジに対して第二ユニットとしてのトナーカートリッジが着脱可能に構成されたものが記載されている。トナーカートリッジは、プロセスカートリッジが装置本体に装着された状態で、プロセスカートリッジに対して着脱可能に構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第二ユニットにユニット側接続端子を設け、装置本体にユニット側接続端子に接続する本体側接続端子を設けた場合に、本体側接続端子が破損するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、装置本体に対して着脱可能な第一ユニットと、前記第一ユニットに対して着脱可能な第二ユニットとを備えた画像形成装置において、前記第二ユニットが備えるユニット側接続端子に接続する前記装置本体に設けられた本体側接続端子をカバーするカバー部材を備え、前記カバー部材は、前記本体側接続端子をカバーするカバー位置と、前記カバー位置から退避した退避位置との間を移動可能に構成されており、前記第一ユニットが前記装置本体から取り外された状態のときは、前記カバー位置から前記退避位置への前記カバー部材の移動が規制されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、本体側接続端子の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【
図2】画像形成装置のプロセスカートリッジの着脱方法についての説明図。
【
図3】プロセスカートリッジを取り外した状態の画像形成装置の概略斜視図。
【
図6】トナーカートリッジが取り外された状態のプロセスカートリッジの概略斜視図。
【
図7】プロセスカートリッジにトナーカートリッジを装着する様子を示す概略構成図。
【
図8】トナーカートリッジを取り外した状態の画像形成装置の概略斜視図。
【
図9】(a)は、カバー部材がコネクタをカバーするカバー位置にある状態を示す図であり、(b)は、カバー部材がカバー位置から退避した退避位置に位置している状態を示す図。
【
図10】トナーカートリッジが装着されたプロセスカートリッジを装置本体に装着する様子を示す図。
【
図12】トナーカートリッジが装着されたプロセスカートリッジを装置本体に装着する様子を示す図。
【
図13】移動規制機構の動作を説明する概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、電子写真方式のモノクロ画像形成装置100について説明する。
まず、画像形成装置の基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、モノクロ画像形成装置である。その装置本体(画像形成装置本体)100には、潜像担持体ユニットとしてのプロセスカートリッジ1が着脱可能に装着されている。
【0009】
プロセスカートリッジ1は、表面に画像を担持する潜像担持体としての感光体2、帯電ローラ3、現像手段としての現像装置4、クリーニング手段としてのクリーニングブレード5等を備える。帯電ローラ3は、感光体2の表面を帯電させる。現像装置4は、現像ローラを備え、感光体2上の潜像を可視画像化する。クリーニングブレード5は、感光体2の表面をクリーニングする。また、感光体2に対向する位置に、感光体2の表面を露光する露光装置60が設けられている。
【0010】
このプロセスカートリッジ1には、現像剤収容器であるトナーカートリッジ7が画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられている。このトナーカートリッジ7は、現像装置4へ補給する現像剤であるトナーを収容するトナー収容部である現像剤収容部8と、クリーニングブレード5で除去されたトナー(廃トナー)を回収する廃トナー収容部である現像剤回収部9とを有している。本実施形態の画像形成装置100においては、現像剤収容部8と現像剤回収部9とが一体的に形成されている。
【0011】
また、画像形成装置100は、記録媒体としての用紙に画像を転写する転写装置10、用紙を供給する給紙装置11、用紙に転写された画像を定着させる定着装置12、及び、用紙を装置外へ排出する排紙装置13を備える。
転写装置10は、転写部材としての転写ローラ14を備える。この転写ローラ14は、プロセスカートリッジ1を装置本体に装着した状態で感光体2と当接しており、両者の当接部において転写ニップが形成されている。また、転写ローラ14は、電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加されるようになっている。
【0012】
給紙装置11は、用紙Pを収容した給紙カセット15や、給紙カセット15に収容されている用紙Pを給送する給紙ローラ16を備える。また、給紙ローラ16に対して用紙搬送方向下流側には、搬送タイミングを計って用紙を二次転写ニップへ搬送するタイミングローラとしての一対のレジストローラ17が設けてある。なお、用紙Pには、厚紙、はがき、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。また、用紙以外の記録媒体として、OHPシートやOHPフィルム等を用いることも可能である。
【0013】
定着装置12は、定着部材としての定着ローラ18と、加圧部材としての加圧ローラ19とを備える。定着ローラ18は、ヒータ等の加熱源によって加熱されるようになっている。加圧ローラ19は、定着ローラ18側へ加圧されて定着ローラ18に当接し、その当接箇所において定着ニップが形成されている。
排紙装置13は、一対の排紙ローラ20を備える。排紙ローラ20によって装置外に排出された用紙は、装置本体の上面を凹ませて形成された排紙トレイ21上に積載されるようになっている。
【0014】
次に、本実施形態に係る画像形成装置100の作像動作について説明する。
作像動作が開始されると、感光体2が回転駆動され、帯電ローラ3によって感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。そして、読取装置又はコンピュータ等からの画像情報に基づいて、露光装置60からの露光により、感光体2の帯電面に静電潜像が形成される。このように感光体2上に形成された静電潜像に、現像装置4の現像ローラ104によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0015】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ16が回転駆動を開始し、給紙カセット15から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、レジストローラ17によって搬送を一旦停止される。その後、所定のタイミングでレジストローラ17の回転駆動を開始し、感光体2上のトナー画像が転写ニップに達するタイミングに合わせて、用紙Pを転写ニップへ搬送する。
このとき、転写ローラ14には、感光体2上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、転写部において転写電界が形成されている。そして、この転写電界によって、感光体2上のトナー画像が用紙P上に転写される。なお、用紙Pに転写しきれなかった感光体2上の残留トナーは、クリーニングブレード5によって除去され、トナーカートリッジ7内の現像剤回収部9へ回収される。
【0016】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置12へと搬送され、定着ローラ18と加圧ローラ19との間の定着ニップを通過することにより加熱及び加圧されて、用紙P上のトナー画像が定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ20によって装置外に排出され、排紙トレイ21上にストックされる。
【0017】
トナーカートリッジ7は、ユニット側接続端子としてのIDチップ71を備えている。IDチップ71は、接触式の情報記憶装置であり、装置本体に装着されているとき、IDチップ71の接続端子が、装置本体に設けられた本体側接続端子たるコネクタ120に接触している。IDチップ71には、シリアル番号などの識別情報、トナー残量などの使用履歴などの情報が記憶されている。IDチップ71は、接触式の情報記憶装置であり、装置本体に装着されているとき、IDチップ71の接続端子が、装置本体に設けられた本体側接続端子たるコネクタ120に接触する。これにより、画像形成装置100との間で通信が可能となる。
【0018】
画像形成装置では、トナーカートリッジ7の装着時にIDチップ71から識別情報を読み取り、装着されているトナーカートリッジが、本画像形成装置に対応するトナーカートリッジであるか否かなどを確認する。そして、本画像形成装置に対応するトナーカートリッジでない場合は、画像形成装置の操作表示部に警告表示を行ったり、警告ランプを点灯したり、ブザーなどの音を発生させたりして、ユーザーに対応するトナーカートリッジが装着されていない旨を報知する。
【0019】
また、画像形成装置は、トナーカートリッジ7の装着時にIDチップ71からトナー残量情報を受信し、トナーカートリッジ7のトナー量を把握する。また、画像形成装置は、例えば、プリント終了時やトナー補給動作後に、把握したトナーカートリッジ7のトナー量と使用したトナー量とに基づいて、トナーカートリッジ7内のトナー残量を計算する。そして、計算したトナー残量を、IDチップ71に書き込む。
【0020】
図2は、画像形成装置100のプロセスカートリッジ1の着脱方法についての説明図である。
図2に示すように、画像形成装置100は、画像形成装置100本体の正面に設けられた開閉カバー101が開閉可能となっている。また、開閉カバー101を開いた状態にし、リンク機構により露光装置60が図中破線に示す退避位置に退避することで、露光装置60との干渉を回避しつつプロセスカートリッジ1を正面側から取り外すことが可能となっている。
【0021】
また、本実施形態では、第二ユニットたるトナーカートリッジ7が第一ユニットたるプロセスカートリッジ1に装着された状態で、これらを一体的に装置本体の正面から着脱可能となっている。さらに、トナーカートリッジ7は、プロセスカートリッジ1が装置本体に装着された状態、及び取り外された状態のいずれにおいても、プロセスカートリッジ1に対して着脱可能となっている。
【0022】
トナーカートリッジ7は、ロック機構によりプロセスカートリッジにロックさrており、このロック機構を解除することで、トナーカートリッジ7がプロセスカートリッジ1に対して着脱可能となる。なお、ロック機構について、例えば、特許文献1等の公知の方法を用いることができる。
【0023】
図3は、プロセスカートリッジ1を取り外した状態の画像形成装置の概略斜視図である。
画像形成装置の側壁部103,103の内壁面は、プロセスカートリッジ1を装置本体に案内する上ガイド部103aと下ガイド部103bとを有している。上ガイド部103aおよび下ガイド部103bは、プロセスカートリッジ1の装着方向上流側(本体の正面側、開閉カバー側)から下流に行くに従って下っていくように傾斜している。
【0024】
プロセスカートリッジ1の面板31(
図7参照)の下端が下ガイド部103bにガイドされ、面板31の上端から上ガイド部103aにガイドされながら、プロセスカートリッジ1が、装置本体に着脱される。
プロセスカートリッジ1が装置本体に装着されるときは、図中矢印Aに示すように各ガイド部103a,103bにより斜め下方へガイドされながら、装置本体に装着される。
【0025】
図4は、トナーカートリッジの概略斜視図であり、
図5は、トナーカートリッジ7の側面図である。
図4に示すように、ユニット側接続端子としてのIDチップ71は、トナーカートリッジ7の画像形成装置本体への装着方向下流側の側壁に取り付けられている。また、
図5に示すように、装着方向上流側には、トナーカートリッジ7をプロセスカートリッジ1に対して着脱する際にユーザーが掴む取っ手部73を有している。また、トナーカートリッジ7の側壁面は、側壁面から突出するように設けられたガイド部72を有している。
【0026】
図6は、トナーカートリッジ7が取り外された状態のプロセスカートリッジ1の概略斜視図である。
図6に示すように、プロセスカートリッジ1の面板31は、トナーカートリッジをガイドするガイド溝31aを有している。このガイド溝31aは、トナーカートリッジ7の装着方向下流に従って下方に位置するように傾斜している。
【0027】
図7は、プロセスカートリッジ1にトナーカートリッジ7を装着する様子を示す概略構成図である。
プロセスカートリッジ1にトナーカートリッジ7を装着するときは、
図5に示したガイド部72を
図6に示したガイド溝31aに挿入する。これにより、トナーカートリッジ7がガイド溝31aにガイドされながら、プロセスカートリッジ1に装着される。上述したように、ガイド溝31aは、下方に傾斜している。従って、ガイド溝31aにガイドされるトナーカートリッジ7は、プロセスカートリッジ1が装置本体に装着されるときと同様に、図中矢印Bに示すように、斜め下方へ移動して装着される。
【0028】
図8は、トナーカートリッジ7を取り外した状態の画像形成装置の概略斜視図である。
図8に示すように、トナーカートリッジ7が取り外されると、IDチップ71と通信するための装置本体のコネクタ120が露出してしまう。コネクタ120が露出していると、例えば、ユーザーがコネクタ120の端子を触ったり、部材がコネクタ120の端子に当たったりしてコネクタ120の端子が破損するおそれがある。そのため、トナーカートリッジ7が取り外されたときは、カバー部材110によりこのコネクタ120をカバーしてコネクタの端子を保護している。
【0029】
図9(a)は、カバー部材110がコネクタ120をカバーするカバー位置にある状態を示しており、
図9(b)は、カバー部材110がカバー位置から退避した退避位置に位置している状態を示す図である。
カバー部材110は、回動自在に支持されており回動によって、
図9(a)にカバー位置と、
図9(b)に示す退避位置との間を移動可能になっている。このカバー部材110は、トーションスプリングにより、カバー位置に位置するように付勢されている。カバー部材110は、カバー位置にあるときは、トーションスプリングの付勢力によりカバー位置以上回転しないように、装置本体に設けられたストッパに突き当たっている。
【0030】
図10は、トナーカートリッジ7が装着されたプロセスカートリッジ1を装置本体に装着する様子を示す図である。
図10に示すように、カバー部材110には、トナーカートリッジ7が当接する当接部110aを有している。
トナーカートリッジ7が装着されたプロセスカートリッジ1を装置本体に装着するときは、プロセスカートリッジが各ガイド部103a,103bにより斜め下方へ移動する。そのため、プロセスカートリッジ1に装着されているトナーカートリッジ7は、斜め下方へ移動してきて、カバー部材110の当接部110aに斜め上方から当接する。
【0031】
トナーカートリッジ7が当接部110aに当接しても、プロセスカートリッジ1は、装置本体に装着されていないため、プロセスカートリッジ1が斜め下方へと移動する。すると、当接部がトナーカートリッジ7により斜め下方へ押し込まれ、カバー部材110がトーションスプリングの付勢力に抗して図中時計回りに回動する。その結果、カバー位置に位置していたカバー部材110は、トナーカートリッジ7により退避位置へと移動する。
【0032】
プロセスカートリッジ1が装置本体に装着されると、カバー部材110は、
図9(b)に示す退避位置に位置し、コネクタ120がIDチップ71に接続し、IDチップ71との間で通信が可能となる。
【0033】
なお、トナーカートリッジ7を装置本体に装着されたプロセスカートリッジ1に装着するときも、プロセスカートリッジ1のガイド溝31aに案内されながら、トナーカートリッジ7は斜め下方へ移動してくる。従って、トナーカートリッジ7は、上述と同様に、カバー部材110の当接部110aに斜め上方から当接する。よって、上述と同様にして、当接部がトナーカートリッジにより斜め下方へ押し込まれ、カバー部材110がトーションスプリングの付勢力に抗して図中時計回りに回動する。その結果、カバー位置に位置していたカバー部材110は、トナーカートリッジにより退避位置へと移動する。
【0034】
トナーカートリッジ7が装着されたプロセスカートリッジ1を装置本体から取り外した後、誤って、ユーザーがトナーカートリッジ7を単独で、プロセスカートリッジが装着されていない装置本体に装着しようとする場合があった。このトナーカートリッジ7の装置本体への挿入時に、カバー部材110がカバー位置から退避位置へ移動しコネクタ120が露出することがあった。
【0035】
プロセスカートリッジ1を装置本体から取り外した状態でトナーカートリッジ7を単独で装着本体に装着しようとしても、プロセスカートリッジ1がないため、装着が完了しない。トナーカートリッジ7は、ガイド溝31aに案内されることなく、装置本体に装着されているため、ガイド溝31aによる案内方向以外にも、トナーカートリッジ7が装置本体内で移動可能となっている。そのため、ユーザーは、装置本体内でガイド溝31aによる案内方向以外にもトナーカートリッジ7を移動させ、トナーカートリッジの装着位置を探す。このときに、トナーカートリッジ7が露出したコネクタ120にガイド溝31aのガイド方向以外から突き当たり、コネクタ120が破損してしまうという問題が発生することがあった。
【0036】
そこで、本実施形態では、プロセスカートリッジが装置本体から取り外された状態のときは、カバー位置から退避位置へのカバー部材の移動を規制するようにした。これにより、プロセスカートリッジ1が装置本体から取り外された状態でトナーカートリッジ7を装置本体に挿入したとき、カバー部材110が退避位置に移動するのを防止することができる。その結果、コネクタ120は、露出することがなく、トナーカートリッジ7がコネクタ120に突き当たり、コネクタ120が破損してしまうのを防止できる。以下、本実施形態の特徴部について、図面を用いて説明する。
【0037】
図11は、移動規制機構130の概略構成図である。
図11は、プロセスカートリッジ1が装置本体から取り外されて、移動規制機構130が、カバー部材110のカバー位置から退避位置への移動を規制している状態を示している。
移動規制機構130は、規制部材131と、連動部材132とを有している。規制部材131は、
図11に示すカバー部材110のカバー位置から退避位置への移動を規制する規制位置と、カバー部材110の移動の規制を解除する解除位置(
図13(b)参照)との間を回動可能に設けられている。
【0038】
規制部材131は、規制位置にあるときカバー部材110の回動の軌跡上に位置する規制部131aを有している。
図11(b)に示すように、規制部材131が規制位置にあるときは、カバー部材110がカバー位置から退避位置へ移動しようとすると、規制部131aに突き当たり、退避位置への移動が規制される。
【0039】
このように、プロセスカートリッジ1が装置本体から取り外されているときは、カバー部材110の退避位置への移動が規制される。よって、プロセスカートリッジ1が装置本体から取り外された状態で、単独でトナーカートリッジ7が装置本体に挿入されたとき、カバー部材110が退避位置へ移動することがない。これにより、コネクタ120の破損を抑制することができる。
【0040】
また、移動規制機構130は、プロセスカートリッジ1の装置本体に対する着脱に応じて規制部材131を規制位置と規制解除位置との間を移動させる連動部材132を有している。連動部材132は、回動自在に支持されており、規制部材131の駆動ギヤ131bに噛み合っている連動ギヤ132aを有している。また、連動部材132は、引っ張りスプリング133により図中反時計回りに付勢されている。
【0041】
図12は、トナーカートリッジ7が装着されたプロセスカートリッジ1を装置本体に装着する様子を示す図であり、
図13は、そのときの移動規制機構130の様子を示す概略構成図である。
図12(a)に示す状態から、トナーカートリッジ7が装着されたプロセスカートリッジ1を装置本体に挿入していくと、
図13(a)に示すように、連動部材132に当接する。この状態でさらにプロセスカートリッジ1を装置本体に挿入していくと、連動部材132が、引っ張りスプリングの付勢力に抗して、図中時計回りに回動する。連動部材132が回動することで、連動部材132の連動ギヤ132aが回動し、連動ギヤ132aに噛み合っている駆動ギヤ131bとともに規制位置に位置している規制部材131が図中反時計回りに回動する。
【0042】
そして、
図12(b),
図13(b)に示すように、トナーカートリッジ7がカバー部材110の当接部110aに突き当たる前に、規制部材131が解除位置へ移動する。その後は、上述と同様に、当接部110aがトナーカートリッジ7により斜め下方へ押し込まれ、カバー部材110がトーションスプリングの付勢力に抗して図中時計回りに回動する。その結果、
図12(c)、
図13(c)に示すように、カバー位置に位置していたカバー部材110は、トナーカートリッジにより退避位置へと移動する。これにより、コネクタ120が露出してIDチップ71に接続される。
【0043】
トナーカートリッジ7が装着されたプロセスカートリッジ1を取り外すときは、トーションスプリングの付勢力によりカバー部材110が退避位置からカバー位置へ移動する。その後、連動部材132が引っ張りスプリング133の付勢力により図中反時計回り回動し、規制部材131が解除位置から規制位置へ移動する。
【0044】
プロセスカートリッジ1を装置本体に装着した状態で、トナーカートリッジ7のみを着脱するときは、規制部材131は解除位置に位置している。従って、トナーカートリッジ7を単独で装置本体から取り外すと、トーションスプリングの付勢力によりカバー部材110が退避位置からカバー位置へ移動し、コネクタ120をカバーする。
【0045】
プロセスカートリッジ1を装置本体に装着した状態で、トナーカートリッジ7が取り外されているときは、カバー部材110は、規制部材131によりカバー位置から退避位置への移動を規制されていない。しかし、プロセスカートリッジ1を装置本体に装着した状態で、トナーカートリッジ7を装着するときは、トナーカートリッジ7は、プロセスカートリッジ1のガイド溝31aにガイドされながら、装置本体内のプロセスカートリッジ1に装着される。そのため、トナーカートリッジ7は、ガイド溝31aのガイド方向以外は移動不能なため、コネクタ120とは、ガイド溝31aのガイド方向のみから突き当たる。従って、想定外の方向からトナーカートリッジ7がコネクタ120に突き当たるようなことはなく、コネクタ120が破損するようなことはない。
【0046】
なお、上述では、規制部材131が解除位置へ移動した後に、カバー部材110が退避位置へ移動しているが、規制部材131の解除位置への移動を開始した後の任意なタイミングでカバー部材110の退避位置への移動を開始すればよい。かかる構成としても、カバー部材110が規制部材131に突き当たることなく、退避位置への移動させることができる。
【0047】
なお、駆動モータを用いて規制部材131を解除位置と退避位置との間を移動させるようにしてもよい。例えば、プロセスカートリッジ1の着脱を検知するセンサを設け、このセンサの検知結果に基づき、駆動モータを制御し、規制部材131を解除位置と退避位置との間を移動させるようにしてもよい。
【0048】
なお、上述では、第一ユニットとしてプロセスカートリッジ1、第二ユニットとしてトナーカートリッジを例にして説明したが、これに限られるものではない。例えば、第一ユニットとして感光体を備えた感光体ユニットと、この感光体ユニットに対して着脱可能に構成された第二ユニットとして現像装置との組み合わせ、第一ユニットとして現像装置と、この現像装置に着脱可能に構成された第二ユニットとしてトナーカートリッジとの組み合わせにも適用することができる。
【0049】
また、装置本体に設けられたコネクタなどの本体側端子をカバーするカバー部材110と、このカバー部材のカバー位置から退避位置の移動を規制する移動規制機構130の組み合わせは、単一のユニットの装置本体の着脱にも適用することができる。
ユニットが取り外されたときは、カバー部材がカバー位置にするとともに、規制部材によりカバー部材がカバー位置から退避位置への移動を規制する。これにより、ユーザーが、カバー部材をカバー位置から退避位置へ移動させて、装置本体のコネクタに触れるのを防止できる。
【0050】
そして、このユニットを装置本体に装着するときは、このユニットのカバー部材に当接してカバー部材を退避位置へ回動させる箇所よりも先に、連動部材に当接する箇所が当接し、規制部材を解除位置へ移動させる。そして、規制部材が解除位置に移動した後、ユニットのカバー部材当接箇所がカバー部材に当接し、カバー部材をカバー位置から退避位置へと移動させる。
【0051】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジ1などの第一ユニットと、第一ユニットに対して着脱可能なトナーカートリッジ7などの第二ユニットと、を備えた画像形成装置において、第二ユニットが備えるIDチップ71などのユニット側接続端子に接続する装置本体に設けられたコネクタ120などの本体側接続端子をカバーするカバー部材110を備え、カバー部材110は、本体側接続端子をカバーするカバー位置と、カバー位置から退避した退避位置との間を移動可能に構成されており、第一ユニットが装置本体から取り外された状態のときは、カバー位置から退避位置へのカバー部材110の移動が規制される。
特許文献1には記載がないが、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジなどの第一ユニットと、第一ユニットに対して着脱可能なトナーカートリッジなどの第二ユニットとを備えた画像形成装置として、次の構成を有するものが知られている。すなわち、第二ユニットにIDチップなどのユニット側接続端子を設け、第二ユニットが装置本体に装着されているときに、装置本体に設けられたコネクタ端子などの本体側接続端子に接続し、ID情報などの情報を送受信している。また、第二ユニットを単独で、または、第一ユニットとともに装置本体から取り外したときに、本体側端子が露出しないようにカバー部材でカバーしている。カバー部材は、本体側端子をカバーするカバー位置と、カバー位置から退避した退避位置との間を移動可能に構成されている。第二ユニットが装置本体に装着されている第一ユニットに装着されているときは、退避位置にカバー部材を位置させ、ユニット側端子と本体側端子とが接続するように構成しているものである。
しかしながら、第二ユニットが装着された第一ユニットを装置本体から取り外した後、第一ユニットが装置本体に装着されていると思い込んで誤って、ユーザーが第二ユニットを単独で装置本体に装着しようとする場合があった。この場合、第二ユニットの装置本体への挿入に連動し、カバー部材がカバー位置から退避位置へ移動し本体側端子が露出することがあった。第一ユニットを装置本体から取り外した状態で第二ユニットを単独で装着本体に装着しようとしても、第二ユニットが装着される第一ユニットが装置本体にないため、第二ユニットの装着は、完了することがない。第一ユニットが装置本体に装着されていると思い込んでいるユーザーは、第一ユニットが装置本体に装着されていないことに気づくまで第二ユニットの第一ユニットへの装着位置を探して装置本体内で第二ユニットを移動させる。このときに、第二ユニットが本体側接続端子に対して想定外の方向から突き当たり、本体側接続端子が破損してしまうという問題が発生することがあった。
そこで、態様1では、第一ユニットが装置本体から取り外された状態のときカバー部材の退避位置への移動を規制するようにした。これにより、第一ユニットが装置本体から取り外された状態で、誤って、第二ユニットを単体で装置本体に装着しようとして、第二ユニットを装置本体へ挿入しても、カバー部材がこの第二ユニットの挿入動作に連動して退避位置へは移動しない。これにより、カバー部材に本体側接続端子がカバーされ、第一ユニットが装置本体から取り外された状態で、誤って、第二ユニットを単独で装置本体に装着しようとしたときに、第二ユニットが本体接続端子に当接することがない。これにより、本体側接続端子の破損を抑制することができる。
【0052】
(態様2)
態様1において、プロセスカートリッジ1などの第一ユニットが装置本体から取り外された状態のとき、カバー部材110のカバー位置から退避位置への移動を規制する規制部材131を備える。
これによれば、実施形態で説明したように、規制部材131によりカバー部材110のカバー位置から退避位置への移動を規制することができる。
【0053】
(態様3)
態様2において、規制部材131は、カバー部材110のカバー位置から退避位置への移動を規制する規制位置と、カバー部材110の移動の規制を解除する解除位置との間を移動可能に設けられており、規制部材131は、プロセスカートリッジ1などの第一ユニットの装置本体に対する着脱に連動して規制位置と解除位置との間を移動する。
これによれば、実施形態で説明したように、プロセスカートリッジ1などの第一ユニットから取り外されたときは、規制部材131を規制位置に位置させ、第一ユニットが装置本体に装着されているときは、規制部材131を規制位置に位置させることができる。
【0054】
(態様4)
態様3において、トナーカートリッジ7などの第二ユニットが装着されたプロセスカートリッジ1などの第一ユニットを装置本体に装着するとき、規制部材131が規制位置から解除位置への移動を開始した後、カバー部材110がカバー位置から退避位置への移動を開始する。
これによれば、実施形態で説明したように、カバー部材110が規制部材131に突き当たることなく、退避位置への移動させることができる。
【0055】
(態様5)
態様4において、カバー部材110は、装置本体に装着されているプロセスカートリッジ1などの第一ユニットに対するトナーカートリッジ7の着脱および第二ユニットが装着された第一ユニットの装置本体に対する着脱に連動してカバー位置と退避位置との間を移動する。
これによれば、トナーカートリッジ7が装置本体から取り外されたときは、カバー部材110をカバー位置に位置させることができ、コネクタ120などの本体側接続端子を保護することができる。一方、トナーカートリッジ7を装置本体に取り付けたときは、カバー部材110を退避位置に位置させることができ、本体側接続端子を、IDチップ71などのユニット側接続端子に接続することができる。
【0056】
(態様6)
装置本体に対して着脱可能なユニットを備えた画像形成装置において、ユニットが備えるユニット側接続端子に接続する装置本体に設けられた本体側接続端子をカバーするカバー位置と、カバー位置から退避した退避位置との間を移動可能の構成されたカバー部材と、ユニットが装置本体から取り外された状態のときは、カバー位置から退避位置へのカバー部材の移動が規制され、ユニットが装置本体への装着中にカバー部材の移動の規制が解除される。
これによれば、実施形態で説明したように、ユニットが装置本体から取り外された状態のとき、ユーザーがカバー部材に触れてカバー位置から退避位置への移動させるのを防止できる。これにより、良好に本体側端子をカバー部材で保護することができる。一方、ユニットが装置本体への装着中にカバー部材の移動の規制が解除されることで、ユニット装置時は、カバー部材を退避位置に位置させることができ、本体側端子をユニット側端子に接続することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 :プロセスカートリッジ
7 :トナーカートリッジ
31 :面板
31a :ガイド溝
71 :IDチップ
72 :ガイド部
73 :取っ手部
100 :画像形成装置
101 :開閉カバー
103 :側壁部
103a :上ガイド部
103b :下ガイド部
110 :カバー部材
110a :当接部
120 :コネクタ
130 :移動規制機構
131 :規制部材
131a :規制部
131b :駆動ギヤ
132 :連動部材
132a :連動ギヤ
133 :引っ張りスプリング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】