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特許7549983ルウ及び食品並びにチーズ風味の増強剤及び増強方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ルウ及び食品並びにチーズ風味の増強剤及び増強方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/10 20160101AFI20240905BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20240905BHJP
   A23C 19/09 20060101ALI20240905BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20240905BHJP
【FI】
A23L23/10
A23L27/00 D
A23C19/09
A23L17/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020115706
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013269
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】713011603
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100196405
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 邦光
(72)【発明者】
【氏名】森下 由佳子
(72)【発明者】
【氏名】坂根 久美
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-093303(JP,A)
【文献】ハウス シチューミクス クリーム濃厚仕立て 180g,2017年02月20日,pp.1-4,retrieved on 2024.04.19, retrieved from the internet, <https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B7%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9-%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9-%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E6%BF%83%E5%8E%9A%E4%BB%95%E7%AB%8B%E3%81%A6-180g/dp/B01LCFNO4K>
【文献】うま味相乗効果とは?発生させる組合せや食材を知って料理に活かす,2018年05月11日,pp.1-20,retrieved on 2024.04.19, retrieved from the internet,<https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/umami-syenrgy>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 23/00-23/10
A23L 27/00-27/60
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チーズ及び/又はチーズ分解物と、かつお由来食品原料とを含み、
前記かつお由来食品原料の配合量の、前記チーズ及び/又はチーズ分解物の配合量に対する質量比が、0.001~0.05である、ルウ。
【請求項2】
チーズ及び/又はチーズ分解物と、かつお由来食品原料とを含む食品であって、
前記かつお由来食品原料の配合量の、前記チーズ及び/又はチーズ分解物の配合量に対する質量比が、0.001~0.05である、ソース、スープ、又は調味料である食品。
【請求項3】
ソースである、請求項に記載の食品。
【請求項4】
澱粉質原料及び油脂をさらに含む、請求項又はに記載の食品。
【請求項5】
加熱処理された容器詰め食品の形態である、請求項のいずれか1項に記載の食品。
【請求項6】
具材をさらに含む、請求項のいずれか1項に記載の食品。
【請求項7】
かつお由来食品原料を含む、チーズ風味の増強剤。
【請求項8】
かつお由来食品原料を添加する工程を含む、チーズ風味の増強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルウ及び食品に関しており、特にチーズ風味を有するルウ及び食品に関している。また、本発明は、チーズ風味の増強剤及び増強方法にも関している。
【背景技術】
【0002】
シチューなどのソースを調理するための調理材料としてルウが用いられており、これまでにルウやソースの風味及び特性に関して種々の研究が行われてきた。例えば、特許文献1には、クリームシチューやクラムチャウダーなどを調製するためのルウ中に、チーズ加工品などの乳素材と併せて酒粕を配合することで、これを使用して調製した加工食品の乳感や白飯に対する相性を向上することができる旨が記載されている。また、特許文献2には、クリームシチューやカルボナーラソース中に、チーズペーストなどの乳素材と併せて味噌などを配合することで、食品のチーズ風味を向上できる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-191519号公報
【文献】特許第5861959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チーズ又はその加工品を含むソースなどの食品において、チーズ又はその加工品の使用量を増やしたり、味噌の使用量を増やしたりすれば、当該食品のチーズ風味をさらに高めることはできるが、それでは製造コストがかさんだり、味噌の風味が強くなりすぎて全体の風味バランスが崩れてしまう。そこで、本発明は、全体の風味バランスに影響を及ぼさずにチーズ風味を強化できるルウ及び全体の風味バランスを損ねずにチーズ風味が強化された食品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、チーズ及び/又はチーズ分解物を含むルウに魚由来食品原料を配合すれば、当該ルウから製造されるソースのチーズ風味を強化できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下に示すルウ及び食品並びにチーズ風味の増強剤及び増強方法を提供するものである。
〔1〕チーズ及び/又はチーズ分解物と、魚由来食品原料とを含むルウ。
〔2〕前記魚由来食品原料の配合量の、前記チーズ及び/又はチーズ分解物の配合量に対する質量比が、0.001~0.05である、前記〔1〕に記載のルウ。
〔3〕前記魚由来食品原料が、魚節及び/又は魚抽出物を含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載のルウ。
〔4〕前記魚由来食品原料が、かつお由来食品原料を含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のルウ。
〔5〕チーズ及び/又はチーズ分解物と、魚由来食品原料とを含む食品であって、ソース、スープ、又は調味料である食品。
〔6〕ソースである、前記〔5〕に記載の食品。
〔7〕澱粉質原料及び油脂をさらに含む、前記〔5〕又は〔6〕に記載の食品。
〔8〕加熱処理された容器詰め食品の形態である、前記〔5〕~〔7〕のいずれか1項に記載の食品。
〔9〕具材をさらに含む、前記〔5〕~〔8〕のいずれか1項に記載の食品。
〔10〕魚由来食品原料を含む、チーズ風味の増強剤。
〔11〕魚由来食品原料を添加する工程を含む、チーズ風味の増強方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明に従えば、チーズ及び/又はチーズ分解物を含むルウに魚由来食品原料を配合することにより、当該ルウから製造されるソースなどの食品のチーズ風味を強化することができる。したがって、全体の風味バランスに影響を及ぼさずにチーズ風味を強化できるルウ及び全体の風味バランスを損ねずにチーズ風味が強化された食品を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のルウは、チーズ及び/又はチーズ分解物と、魚由来食品原料とを含んでいる。本明細書に記載の「ルウ」とは、澱粉質原料及び油脂の加熱処理混合物を基本的な構成として有する調理材料であって、カレー、シチュー、ハヤシライスソース、ハッシュドビーフ、スープ、及びその他各種ソースを調理する際に使用する調理材料、又は、複数の調味料を含み目的の惣菜を調理するために使用される合わせ調味料(メニュー用調味料)の形態の調理材料のことをいう。前記ルウを、肉や野菜などの食材を水と一緒に煮込んだところに投入することで、各料理を手軽に作ることができる。前記ルウの形態は、当技術分野で通常採用されるものであれば特に限定されないが、例えば、ブロック状(固形ルウ)、フレーク状、顆粒状、粉状、又はペースト状のいずれであってもよい。
【0008】
本明細書に記載の「チーズ」とは、ナチュラルチーズ又はプロセスチーズのことをいう。前記「ナチュラルチーズ」とは、乳、バターミルク(バターを製造する際に生じた脂肪粒以外の部分)、クリーム又はこれらを混合したものの少なくとも一部又はほとんどすべてのタンパク質を酵素その他の凝固剤により凝固させた凝乳から乳清の一部を除去したもの又はそれを熟成したものをいう。前記「プロセスチーズ」とは、前記ナチユラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したものをいう。前記チーズとしては、ルウを調製することができる限り特に制限されず、当技術分野で通常使用されるチーズを適宜採用することができるが、例えば、前記チーズは、チーズ粉末であってもよい。前記チーズの配合量は、特に制限されないが、例えば、前記ルウの全質量に対して、約0.05~約5質量%であってもよく、好ましくは、約0.1~約4質量%である。また、本明細書に記載の「チーズ分解物」とは、チーズを酵素処理するなどして得られる、食品にチーズ風味を付与するために使用される食品原料のことをいう。前記チーズ分解物は、ルウを調製することができる限り特に限定されないが、例えば、ナチュラルチーズのタンパク質分解酵素処理品などの酵素分解チーズ粉末などであってもよい。前記チーズ分解物の配合量は、特に制限されないが、例えば、前記ルウの全質量に対して、約0.001~約3質量%であってもよく、好ましくは、約0.005~約1質量%である。
【0009】
本明細書に記載の「魚由来食品原料」とは、魚に由来する成分を主体とし、調理品の調味などに使用される食品原料のことをいう。前記魚由来食品原料は、ルウを調製することができる限り特に制限されず、当技術分野で通常使用されるものを適宜採用することができるが、例えば、かつお節、鯖節、むろあじ節、マグロ節、イワシ節、及びサンマ節などの魚節、又は、かつお抽出物及び煮干し抽出物などの魚抽出物であってもよい。前記魚由来食品原料は、本発明のルウにより調製されるソースなどの食品において、前記チーズ及び/又はチーズ分解物のチーズ風味を強化し得る。前記魚由来食品原料の配合量は、特に制限されないが、例えば、前記ルウの全質量に対して、約0.001~約0.1質量%であってもよく、好ましくは、約0.004~約0.01質量%である。ある態様では、前記魚由来食品原料は、かつお由来食品原料を含む。
【0010】
ある態様では、本発明のルウにおいては、前記魚由来食品原料の配合量の、前記チーズ及び/又はチーズ分解物の配合量に対する質量比が、約0.001~約0.05であってもよく、好ましくは、約0.002~約0.02である。すなわち、前記魚由来食品原料は、前記チーズ及び/又はチーズ分解物に対して少ない量で、チーズ風味の強化作用を発揮し得る。
【0011】
本発明のルウは、当技術分野で通常使用される任意の方法により製造することができる。例えば、澱粉質原料及び油脂の混合物を撹拌しながら加熱して、小麦粉ルウなどの加熱処理混合物を調製し、そこへ前記チーズ及び/又はチーズ分解物と、前記魚由来食品原料と、他の原料とを適宜添加し、それらの混合物を撹拌しながら加熱した後に、冷却工程、充填工程、及び固化工程などを経て、目的のルウを製造してもよい。本明細書に記載の「澱粉質原料」とは、澱粉を主成分とする食品原料のことをいう。前記澱粉質原料は、前記ルウを製造することができる限り特に限定されないが、例えば、小麦澱粉、コーンスターチ、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、くず澱粉、及び加工澱粉などの澱粉、並びに、小麦粉、コーンフラワー、米粉、ライ麦粉、蕎麦粉、あわ粉、きび粉、はと麦粉、及びひえ粉などの穀粉などからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。前記澱粉質原料の含有量は、特に限定されないが、例えば、前記ルウの全質量に対して、約20~約50質量%であってもよく、好ましくは約25~約40質量%である。
【0012】
本明細書に記載の「油脂」とは、食用に供される天然油脂又は加工油脂などの油脂のことをいう。前記油脂としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、前記油脂は、バター、牛脂、及び豚脂などの動物油脂、マーガリン、パーム油、綿実油、及びコーン油などの植物油脂、これらの硬化油脂、並びにこれらの混合油脂などからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。前記油脂の融点は、特に制限されず、目的の形状のルウを製造するために適宜選択され得る。例えば、固体状のルウを製造するためには融点35℃以上の油脂が好ましい。前記油脂の含有量は、特に限定されないが、例えば、前記ルウの全質量に対して、約20質量%以上であってもよく、好ましくは約30~約40質量%である。
【0013】
本発明のルウは、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の食品原料又は任意の添加剤をさらに含んでもいいし、調製されるソースなどの食品のチーズ風味の向上に有効な他の添加剤をさらに含んでもよい。例えば、前記ルウは、水系原料、粉体原料、及び/又は乳化剤などをさらに含んでもよい。
【0014】
別の態様では、本発明は、チーズ及び/又はチーズ分解物と、魚由来食品原料とを含む食品、特にソース、スープ及び調味料などの食品にも関している。前記魚由来食品原料を、チーズ及び/又はチーズ分解物を含む食品又は食品原料に添加することによって、そのチーズ風味を強化することができる。特定の態様では、本発明の食品はソースである。ある態様では、本発明の食品は、澱粉質原料及び油脂をさらに含んでおり、本発明のルウから調製されたもの又は当該ルウを含むものであってもよい。また、ある態様では、本発明の食品は、加熱処理された容器詰め食品(レトルト食品)の形態である。
【0015】
本発明の食品としては、特に限定されないが、例えば、レトルトカレー、レトルトシチュー、レトルトハヤシライスソース、及びレトルトハッシュドビーフなどのソースやそれを含む加熱処理された容器詰め食品(レトルト食品)、さらに、シーズニング及びドレッシングなどの調味料、及びスープなどが挙げられる。ある態様では、本発明の食品は、具材をさらに含んでいる。
【0016】
本発明の食品は、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の食品原料又は任意の添加剤をさらに含んでもいいし、チーズ及び/又はチーズ分解物を含む食品又は食品原料のチーズ風味の向上に有効な他の添加剤をさらに含んでもよい。
【0017】
また別の態様では、本発明は、魚由来食品原料を含む、チーズ風味の増強剤にも関している。本発明のチーズ風味の増強剤は、チーズ及び/又はチーズ分解物を含む食品又は食品原料に添加することによって、そのチーズ風味を強化することができる。
【0018】
本発明のチーズ風味の増強剤は、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の食品原料又は任意の添加剤をさらに含んでもいいし、チーズ及び/又はチーズ分解物を含む食品又は食品原料のチーズ風味の向上に有効な他の添加剤をさらに含んでもよい。
【0019】
また別の態様では、本発明は、魚由来食品原料を添加する工程を含む、チーズ風味の増強方法にも関している。前記魚由来食品原料を、チーズ及び/又はチーズ分解物を含む食品又は食品原料に添加することによって、そのチーズ風味を強化することができる。
【0020】
本発明のチーズ風味の強化方法は、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の食品原料又は任意の添加剤を添加する工程をさらに含んでもいいし、チーズ及び/又はチーズ分解物を含む食品又は食品原料のチーズ風味の向上に有効な他の添加剤を添加する工程をさらに含んでもよい。
【0021】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0022】
〔試験例1〕
小麦粉31質量部及び食用油脂(常温固体油脂)31質量部を加熱釜に投入して加熱撹拌し、常法により小麦粉ルウを作製した。この小麦粉ルウを、後述する表1に記載の残りの原料(残りの油脂を含む)と混合し加熱処理して、溶融状のルウを作製した。この溶融状のルウを冷却して容器に充填し、さらに冷却して固化することによって、実施例1~3及び比較例1~4のブロック状の固形ルウを作製した。
【0023】
そして、40質量部の固形ルウと、225質量部の湯と、75質量部の牛乳とを加熱釜に投入して沸騰させて、クリームシチューを作製した。作製したクリームシチューのチーズ風味を、5名のパネリストが以下の基準で評価し、各パネリストの評点を平均した。結果を表1に示す。
3:チーズ風味を十分に感じる(実施例1)
2:チーズ風味を感じるが不十分
1:チーズ風味をあまり感じない(比較例1)
【0024】
【表1】
*1 ナチュラルチーズ
*2 ナチュラルチーズのタンパク質分解酵素処理品(チーズ分解物31.3%)
*3 かつお(頭と内臓を除く)の熱湯抽出物(かつおエキス成分60%)
*4 にぼし粉末(かね七社製)
*5 昆布抽出エキスを粉末化したもの
*6 乳化剤及び加工澱粉
【0025】
食品にチーズ風味を付与する効果の高い酵素分解チーズ粉末は、通常は当該食品の全質量に対して0.3質量%程度配合されるものであるが、その使用量を10分の1に減らすと、チーズ風味が弱くなってしまう(比較例1)。ここへ粉末味噌を添加すると、チーズ風味の若干の向上が認められたが、依然として不十分であった(比較例2)。他方、粉末味噌に代えて魚由来食品原料(かつおエキスパウダー、かつお節、又は煮干しイワシパウダー)を添加した場合には、チーズ風味が大いに強化され、良好な風味を有するクリームシチューを作製することができた(実施例1~3)。かつおエキスパウダー、かつお節、又は煮干しイワシパウダーなどの魚由来食品原料と同様に出汁として使用される昆布エキスや、発酵調味料である醤油によっては、チーズ風味の強化作用は奏されないので(比較例3及び4)、当該作用は魚由来食品原料に特異な作用である。
【0026】
〔試験例2〕
実施例2のかつお節の量を0.05質量部に増やし、デキストリンの量を0.22質量部に減らしたこと以外は同様にして実施例4の固形ルウを作製した。そして、40質量部の固形ルウと、225質量部の湯と、75質量部の牛乳とを加熱釜に投入して沸騰させて、クリームシチューを作製した。作製したクリームシチューは、全体の風味バランスに影響を及ぼさずにチーズ風味が強化されていた。
【0027】
以上より、チーズ及び/又はチーズ分解物を含むルウに魚由来食品原料を配合することにより、当該ルウから製造されるソースなどの食品のチーズ風味を強化できることがわかった。したがって、全体の風味バランスに影響を及ぼさずにチーズ風味を強化できるルウ及び全体の風味バランスを損ねずにチーズ風味が強化された食品を提供することが可能となる。