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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】三次元映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/349 20180101AFI20240905BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240905BHJP
   H04N 13/341 20180101ALI20240905BHJP
   H04N 13/337 20180101ALI20240905BHJP
【FI】
H04N13/349
G02F1/13 505
H04N13/341
H04N13/337
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020172330
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022063924
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】河北 真宏
【審査官】薄井 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-201726(JP,A)
【文献】特開2020-060711(JP,A)
【文献】特開2020-148871(JP,A)
【文献】特開2019-039940(JP,A)
【文献】特開2017-062295(JP,A)
【文献】河北 真宏 Masahiro KAWAKITA,映像情報メディア学会 2019年冬季大会講演予稿集 [CD-ROM] 2019年映像情報メディア学会冬季大会講演予稿集 PROCEEDINGS OF THE 2019 ITE WINTER ANNUAL CONVENTION PROCEEDINGS OF THE 2019 ITE WINTER ANNUAL CONVENTION,日本,一般社団法人映像情報メディア学会,2019年12月13日
【文献】Takuya Omura, 外4名,Full-parallax 3D display using time-multiplexing projectiontechnology,Electronic Imaging,[online],Society for Imaging Science and Technology,P.100-1 - 100-5,[2024年7月31日検索]、インターネット<URL:https://library.imaging.org/admin/apis/public/api/ist/website/downloadArticle/ei/32/2/art00008>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/349
G02F 1/13
H04N 13/341
H04N 13/337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間方向に予め定めた周期で視点位置をずらすとともに、前記周期内の前記視点位置をずらしたフレーム間で特定色の画素値を入れ替えた多視点映像により三次元映像を表示する三次元映像表示装置であって、
前記多視点映像を表示する二次元映像表示手段と、
前記周期で、前記多視点映像の前記特定色の波長範囲の偏光と、前記特定色以外の波長範囲の偏光とを切り替え、前記多視点映像を構成する視点映像ごとに前記偏光に応じた回折により光軸をシフトして重畳結像させる映像高密度化手段と、
前記映像高密度化手段で重畳結像された映像光を予め定めた範囲に拡散して前記三次元映像を表示する表示光学系と、
を備えることを特徴とする三次元映像表示装置。
【請求項2】
前記映像高密度化手段は、
前記周期で、前記多視点映像の前記特定色の波長範囲の偏光と、前記特定色以外の波長範囲の偏光とを切り替える偏光切替手段と、
前記偏光切替手段で偏光が切り替えられた多視点映像を個々の視点映像に分離して結像させる結像手段と、
前記視点映像ごとの映像光を前記偏光に応じて異なる方向に回折させて光軸をシフトさせる偏光回折手段と、
前記偏光回折手段で光軸がシフトされた前記視点映像ごとの映像光を重畳結像する集光手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の三次元映像表示装置。
【請求項3】
前記偏光切替手段は、
前記多視点映像の映像光を前記周期で水平偏光または垂直偏光に切り替える偏光切替素子と、
前記特定色の波長範囲の光の位相を反転させる狭帯域波長板と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の三次元映像表示装置。
【請求項4】
前記偏光切替素子は液晶であって、
前記二次元映像表示手段は、前記偏光切替素子の液晶の応答特性が安定する予め定めた時間区間でのみ前記多視点映像を表示することを特徴とする請求項3に記載の三次元映像表示装置。
【請求項5】
時間方向に予め定めた周期で視点位置をずらすとともに、前記周期内の前記視点位置をずらしたフレーム間で特定色の画素値を入れ替えた多視点映像により三次元映像を表示する三次元映像表示装置であって、
前記周期で、前記特定色の波長範囲の偏光と、前記特定色以外の波長範囲の偏光とを切り替えて前記多視点映像を表示する二次元映像表示手段と、
前記多視点映像を構成する視点映像ごとに前記偏光に応じた回折により光軸をシフトして重畳結像させる映像高密度化手段と、
前記映像高密度化手段で重畳結像された映像光を予め定めた範囲に拡散して前記三次元映像を表示する表示光学系と、
を備えることを特徴とする三次元映像表示装置。
【請求項6】
前記映像高密度化手段は、
前記多視点映像を個々の視点映像に分離して結像させる結像手段と、
前記視点映像ごとの映像光を前記偏光に応じて異なる方向に回折させて光軸をシフトさせる偏光回折手段と、
前記偏光回折手段で光軸がシフトされた前記視点映像ごとの映像光を重畳結像する集光手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の三次元映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元映像を表示する三次元映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3Dメガネを用いた二眼式をはじめとして、多様な三次元映像表示方法が提案されている。特に、空間像再生型の三次元映像表示方式は、水平方向および垂直方向の視差を再現できる利点がある。この方式は、多方面に光線を再生するため、非常に多くの映像情報が必要になる。
この三次元映像表示方式において、光線を高密度に再生するため、複数台の映像表示装置(プロジェクタ等)を用いて多視点の映像を表示する手法が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、この手法は、複数台の映像表示装置を組み合わせるため、装置全体の規模が大きくなってしまう。
【0003】
そこで、1台の三次元映像表示装置で、多視点映像の光線の再生方向を時分割に切り替える手法が開示されている(非特許文献1参照)。
具体的には、この手法は、図21(a)に示す奇数フレームFOと、図21(b)に示す偶数フレームFEとで、異なる視点位置の画像(FO0,0~FOm-1,n-1,FE0,0~FEm-1,n-1;mは垂直視点数、nは水平視点数)を交互に表示する。
このように、異なる視点位置の画像を交互に表示することで、この手法は、視点数を増加させ、高精細化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-62295号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Omura, Watanabe, Okaichi, Sasaki and Kawakita、“Full-parallax 3D display using time-multiplexing projection technology”、[online]、[令和2年8月20日検索]、インターネット<URL:https://doi.org/10.2352/ISSN.2470-1173.2020.2.SDA-100>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載の発明は、時分割で再生光線の本数を増やすことで、三次元映像表示装置の大型化を抑え、再生する三次元映像の表示特性を向上させる点で優れている。
しかし、この手法は、図21に示すように、奇数フレームFOと偶数フレームFEとで、視点位置が異なるため、ある視点位置の画像のみに着目した場合、フレームごとに、画像が表示される状態と、画像が表示されない状態(黒の状態)とが交互に切り替わることになる。具体的には、多視点映像をリフレッシュレート60Hzで表示した場合、16.67msごとに映像の表示・非表示が切り替わる。
例えば、奇数フレームFOの画像FO0,0と偶数フレームFEの画像FE0,0とは、視点位置の異なる画像であるため、画像FO0,0を視認する視点位置において、観察者は、画像FE0,0を視認できず、黒画像を視認することになる。
このように、従来の手法は、リフレッシュレートが低いと、輝度差の大きい画像が交互に表示されることになるため、フリッカが生じる場合があり、さらに改善の余地があった。
【0007】
本発明は、このような従来手法の改善点に鑑みてなされたもので、時分割で多視点映像を表示する場合でも、フリッカの発生を抑えることが可能な三次元映像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る三次元映像表示装置は、時間方向に予め定めた周期で視点位置をずらすとともに、前記周期内で前記視点位置をずらしたフレーム間で特定色の画素値を入れ替えた多視点映像により三次元映像を表示する三次元映像表示装置であって、二次元映像表示手段と、映像高密度化手段と、表示光学系と、を備える構成とした。
【0009】
かかる構成において、三次元映像表示装置は、二次元映像表示手段によって、多視点映像を表示する。この多視点映像は、空間的に視点位置の異なる視点映像を二次元配列した映像であって、時間方向に予め定めた周期、例えば、フレームごとに、視点位置がずれ、さらに特定色の画素値がフレーム間で相互に入れ替わった映像である。
【0010】
そして、三次元映像表示装置は、映像高密度化手段によって、前記周期で、多視点映像の特定色の波長範囲の偏光と、特定色以外の波長範囲の偏光とを切り替え、多視点映像を構成する視点映像ごとに偏光に応じた回折により光軸をシフトして重畳結像させる。
これによって、映像高密度化手段は、視点位置の異なる多視点映像が同じ表示位置に表示されていても、時分割で光軸をシフトさせることで、異なる表示位置に表示されているように、映像光を結像させることができる。また、映像高密度化手段は、特定色の画素値をフレーム間で入れ替えた多視点映像に対して、特定色の映像光と特定色以外の映像光とで時分割で光軸をシフトさせるため、同じ視点映像の特定色の映像光と特定色以外の映像光とが連続して同じ表示位置に表示されているように、映像光を結像させることができる。
【0011】
そして、三次元映像表示装置は、表示光学系によって、映像高密度化手段で重畳結像された映像光を予め定めた範囲に拡散する。これによって、観察者は、視点位置に応じた映像光の光線により三次元映像を視認することができる。また、映像光を拡散することで、観察者は、離散的な再生光線を連続した映像光として視認することができる。
なお、映像高密度化手段における特定色の波長範囲の偏光と、前記特定色以外の波長範囲の偏光とを切り替えは、二次元映像表示手段で行ってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
本発明によれば、視点位置の異なる多視点映像を、時分割で切り替えて表示する場合でも、同じ視点位置の視点映像を特定色の映像光と特定色以外の映像光とで連続して表示することができる。そのため、本発明は、同一の視点映像の輝度変化が小さくなり、フリッカの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る三次元映像表示装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る三次元映像表示装置の構成を示す平面図である。
図3】多視点映像の構造を説明するための説明図であって、(a)は奇数フレーム、(b)は偶数フレームの映像を示す。
図4】多視点映像の構造として、特定色の画素値をフレーム間で入れ替える手法を説明するための説明図である。
図5】偏光切替手段による偏光状態を切り替える例を説明するための説明図であって、(a)はRBを水平偏光、Gを垂直偏光とする処理、(b)はRBを垂直偏光、Gを水平偏光とする処理を示す。
図6】偏光回折素子の回折ピッチとシフト量との関係を説明するための説明図である。
図7】一組の偏光回折素子による偏光状態と回折方向との関係を説明するための説明図であって、(a)は入射する光が水平偏光の場合、(b)は入射する光が垂直偏光の場合を示す。
図8】光軸のシフト量を説明するための説明図である。
図9】偏光回折素子と集光レンズとの位置関係を説明するための説明図である。
図10】偏光回折素子の大きさを説明するための説明図である。
図11】偏光回折素子による色収差を説明するための説明図である。
図12】色収差の補正手法を説明するための説明図であって、(a)は色収差が発生する仕組み、(b)は色収差の補正手法を示す図である。
図13】本発明の実施形態に係る三次元映像表示装置の動作を示すフローチャートである。
図14】二次元映像表示手段を常時点灯させた場合の偏光状態を説明するための説明図であって、(a)は切替制御手段に入力される切替制御信号の波形、(b)は偏光切替素子(液晶)の応答特性の波形、(c)は偏光切替素子が出力する光の偏光状態を示す。
図15】二次元映像表示手段を常時点灯させた場合の液晶の応答特性による回折光の経路を説明するための説明図であって、(a)は液晶特性が安定していない状態、(b),(c)は液晶特性が安定している状態を示す。
図16】二次元映像表示手段を間欠点灯させた場合の偏光状態を説明するための説明図であって、(a)は切替制御手段に入力される切替制御信号の波形、(b)は偏光切替素子(液晶)の応答特性の波形、(c)は偏光別周期の点灯制御信号の波形とそれに伴う偏光状態、(d)は一定周期の点灯制御信号の波形とそれに伴う偏光状態を示す。
図17】間欠点灯の時間を決定するための消光比を求める手法を説明するための説明図であって、(a)は光強度を測定するための光学系の構成図、(b)は液晶応答特性に対応した白黒画像の表示タイミングを示す。
図18】偏光回折手段の変形例を示す図であって、(a)は結像手段の光路上の後段に偏光ビームスプリッタ群を備えた構成例、(b)は偏光ビームスプリッタを用いて光軸をずらす手法を説明するための説明図である。
図19】狭帯域波長板の配置位置の変形例を示す図であって、(a)は狭帯域波長板を二次元映像表示手段と偏光切替素子との間に配置した例、(b)は狭帯域波長板を結像手段と偏光回折素子との間に配置した例を示す。
図20】二次元映像表示手段の変形例を示す構成図である。
図21】従来の多視点映像の構造を説明するための説明図であって、(a)は奇数フレーム、(b)は偶数フレームの映像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
≪三次元映像表示装置の構成≫
まず、図1図2を参照して、本発明の実施形態に係る三次元映像表示装置1の構成について説明する。
【0015】
三次元映像表示装置1は、時間方向に予め定めた周期で視点位置をずらすとともに、その周期内の視点位置をずらしたフレーム間で特定色の画素値を入れ替えた多視点映像により三次元映像Tを表示するものである。三次元映像Tは、観察者Mの視点位置に対応した映像となる。
図1に示すように、三次元映像表示装置1は、二次元映像表示手段10と、映像高密度化手段20と、表示光学系30と、を備える。
【0016】
二次元映像表示手段10は、多視点映像を表示するものである。
この多視点映像は、水平方向および垂直方向の異なる複数の視点位置の映像(視点映像)で構成され、時系列において、予め定めた周期(例えば、フレーム周期)でさらに視点位置が異なる映像である。また、多視点映像は、予め定めた周期内のフレーム間で特定色(例えば、緑〔G〕)の画素値を入れ替えた映像である。
【0017】
映像高密度化手段20は、視点映像を切り替える周期で、特定色の波長範囲の偏光と、特定色以外の波長範囲の偏光とを切り替え、視点映像ごとに、偏光に応じた回折により光軸をシフトして重畳結像させるものである。この映像高密度化手段20は、時分割で光軸をシフトさせることで、多視点映像を高密度化し、映像光を表示光学系30に照射する。
表示光学系30は、映像高密度化手段20から背面照射される多視点映像を三次元映像Tとして表示するものである。
【0018】
以上のように、三次元映像表示装置1は、二次元映像表示手段10で表示する多視点映像の各視点映像を時分割で切り替えて表示するため、二次元映像表示手段10を大型化することなく、三次元映像Tの再生光線数を増やすことができる。
また、三次元映像表示装置1は、多視点映像を時分割で表示する際に、視点位置ごとに、特定色の画像またはそれ以外の色の画像を表示するため、フレーム間の輝度変化が小さくなり、フリッカを抑えることができる。
【0019】
以下、図2を参照して、三次元映像表示装置1の各構成について詳細に説明する。
なお、以降の説明において、視線の水平方向をx方向、垂直方向をy方向、奥行き方向をz方向として説明する。
【0020】
<二次元映像表示手段>
図2に示すように、二次元映像表示手段10は、多視点映像を表示する際に、多視点映像の個々の視点映像Iを、二次元映像として表示する。なお、表示する視点映像Iの間は隙間があってもよいが、当該隙間は、黒映像の表示、または、遮光を行うこととする。
この二次元映像表示手段10は、図示を省略した光源からの光を背面照射されることで表示する液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、LED光源を自発光するマイクロLEDディスプレイ等の直視型ディスプレイで構成することができる。また、拡散投射するプロジェクタ等も、レンズ(コリメータレンズ)と組み合わせることで、二次元映像表示手段10として構成することができる。
【0021】
ここで、図3および図4を参照して、多視点映像の構造について説明する。
図3に示すように、二次元映像表示手段10が表示する多視点映像は、視点位置の異なる視点映像を、垂直方向(y方向)にm個(m≧2)、水平方向(x方向)にn個(n≧2)ずつ二次元配列した映像である。
【0022】
また、多視点映像において、図3(a)に示す奇数フレームFOで表示する多視点映像(FO0,0~FOm-1,n-1)と、図3(b)に示す偶数フレームFEで表示する多視点映像(FE0,0~FEm-1,n-1)とは、垂直方向および水平方向にそれぞれ視点位置が視点映像の1/2相当分ずれた映像である。
例えば、偶数フレームFEの視点映像FE0,1は、奇数フレームFOの視点映像FO0,0,FO0,1,FO1,0,FO1,1の中間の視点映像である。
さらに、多視点映像は、時間方向で前後する対の奇数フレームFOと偶数フレームFEとで、特定色(ここでは、G)の画像を入れ替えている。すなわち、多視点映像は、奇数フレームFOのRGB(R)のG画素の画素値Gと、対となる偶数フレームFEのRGB(R)のG画素の画素値Gとを入れ替えている。
【0023】
これは、図4に示すように、奇数フレームFOと偶数フレームFEとが連続する多視点映像F(FO,FE,FO,FE,…)において、対となる奇数フレームFOと偶数フレームFEとで、G画像を入れ替えることで、多視点映像Fとして生成することができる。例えば、多視点映像Fの奇数フレームFOのRO1O1O1の画素値と、対となる偶数フレームFEのRE1E1E1の画素値とで、G画素を入れ替え、RO1E1O1の画素値で奇数フレームFOを構成し、RE1O1E1の画素値で偶数フレームFEを構成する。
なお、ここでは、視点位置を切り替える周期をフレーム単位としているが、数フレーム単位で切り替える場合は、数フレームごとに、特定色(例えば、G)を入れ替えればよい。
図2に戻って、三次元映像表示装置1の構成について説明を続ける。
【0024】
二次元映像表示手段10は、二次元映像表示手段10は、多視点映像を単一の画面で表示する高精細で大型の表示装置を用いてもよいし、視点映像Iを単一の画面で表示する表示装置を同一平面上に複数配列して構成してもよい。
また、視点映像Iの形状は、長方形(例えば、アスペクト比16:9)に限定されず、正方形形状や、円形状であっても構わない。
【0025】
<映像高密度化手段>
図2に示すように、映像高密度化手段20は、偏光切替手段21と、結像手段22と、偏光回折手段23と、集光レンズ24と、を備える。
【0026】
偏光切替手段21は、二次元映像表示手段10が表示する多視点映像の視点位置を切り替える周期で、多視点映像の特定色の波長範囲の偏光と、特定色以外の波長範囲の偏光とを切り替えるものである。偏光切替手段21は、偏光切替素子210と、切替制御手段211と、狭帯域波長板212と、を備える。
【0027】
偏光切替素子210は、二次元映像表示手段10が表示する多視点映像の映像光を、多視点映像の視点位置を切り替える周期で水平偏光または垂直偏光に切り替えるものである。偏光切替素子210は、二次元映像表示手段10の前面に配置され、二次元映像表示手段10が出射する光の偏光を、切替制御手段211の制御により切り替える。
偏光切替素子210には、例えば、液晶素子を用いることができる。
この偏光切替素子210は、切替制御手段211の電圧制御によって、平常時は水平偏光の光をそのまま透過させ、電圧印加時は水平偏光の光を垂直偏光に変換する。
偏光切替素子210によって偏光が変換された光は、狭帯域波長板212に照射される。
なお、二次元映像表示手段10が表示する多視点映像として、一方向に偏光していない映像を用いる場合は、二次元映像表示手段10と偏光切替素子210との間に偏光子を挿入して、一方向に偏光した光に変換すればよい。
【0028】
切替制御手段211は、多視点映像の視点位置を切り替える周期で、時分割で偏光切替素子210の偏光切替状態を切り替えるものである。なお、切替制御手段211は、垂直ブランキング期間で偏光切替の制御を行う。
例えば、切替制御手段211は、奇数フレームでは偏光切替素子210への電圧の印加を行わず(偏光切替スイッチS1:OFF)、偶数フレームにおいて偏光切替素子210への電圧の印加を行う(偏光切替スイッチS1:ON)。
これによって、切替制御手段211は、偏光切替素子210に照射される光を、フレームごとに、水平偏光または垂直偏光に切り替えることができる。
【0029】
狭帯域波長板212は、特定色(ここでは、G)の波長範囲の光の位相を反転させるものである。狭帯域波長板212は、1/2波長板を用いることができる。ここでは、狭帯域波長板212は、G色の波長帯域(500nm~560nm)の光に対して1/2波長の位相差を生じさせて、水平偏光を垂直偏光に、あるいは、垂直偏光を水平偏光に変換する。
これによって、狭帯域波長板212は、入射したR光、B光については透過し、G光については、偏光が水平偏光であれば垂直偏光に変換し、偏光が垂直偏光であれば水平偏光に変換する。
【0030】
図5(a)に示すように、切替制御手段211で偏光切替素子210への電圧の印加を行わない場合(偏光切替スイッチS1:OFF)、偏光切替素子210は、視点映像のRGB光(水平偏光)をそのまま透過する。そして、狭帯域波長板212は、R光、B光を水平偏光のまま透過するとともに、G光を垂直偏光に変換する。
また、図5(b)に示すように、切替制御手段211で偏光切替素子210への電圧の印加を行う場合(偏光切替スイッチS1:ON)、偏光切替素子210は、視点映像のRGB光(水平偏光)を、偏光切替素子210によって垂直偏光に変換する。そして、狭帯域波長板212は、R光、B光を垂直偏光のまま透過するとともに、G光を水平偏光に変換する。
【0031】
このように、偏光切替素子210、切替制御手段211および狭帯域波長板212は、R光およびB光の偏光と、G光の偏光とを時系列に切り替える偏光切替手段21として機能する。
狭帯域波長板212は、透過または偏光を変換した多視点映像を、結像手段22に照射する。
【0032】
結像手段22は、偏光切替素子210および狭帯域波長板212で偏光された多視点映像を、個々の視点映像に分離して、結像させるものである。
結像手段22は、狭帯域波長板212の前面に配置され、それぞれに視点映像Iに対向する位置に結像レンズ220を二次元状に配列した結像レンズ群として構成される。
【0033】
結像レンズ220は、入射光を結像するレンズであって、例えば、凸レンズで構成することができる。なお、結像レンズ220の形状は、視点映像Iの形状に合わせて、矩形形状であってもよいし、円形状であってもよい。
結像手段22は、個々の視点映像Iの偏光状態が切り替えられた光を偏光回折手段23に照射する。
【0034】
偏光回折手段23は、結像レンズ220から照射された光を偏光状態に応じて異なる方向に回折させて、光軸をシフトさせるものである。偏光回折手段23は、2つの偏光回折素子230(230a,230b)と、迷光遮断手段231と、を備える。
【0035】
偏光回折素子230(230a,230b)は、水平偏光または垂直偏光の入射光を、偏光状態に応じて、異なる方向に±1次光として回折させるものである。
この偏光回折素子230は、水平偏光または垂直偏光の入射光の偏光状態に応じて、回折格子の溝方向を上下方向としたとき、左右方向に入射光を回折させる。なお、偏光状態に応じて、回折方向を変える偏光回折素子230には、公知の素子を用いればよい。例えば、特開2008-233539号公報、特開2016-136165号公報、特開2006-106726号公報等で開示されている偏光回折素子を用いることができる。
【0036】
偏光回折素子230aは、結像レンズ220から入射した光を、偏光状態に応じて回折することで、偏光回折素子230bの異なる位置に+1次光または-1次光として出射するとともに、偏光状態を切り替えるものである。
偏光回折素子230bは、偏光回折素子230aと同じ向きで平行に離間して配置され、偏光回折素子230aで回折された光を、偏光状態に応じて、偏光回折素子230aに入射した光の方向に戻すとともに、偏光状態を切り替えるものである。
偏光回折素子230bは、回折後の光を迷光遮断手段231に照射する。
偏光回折素子230aおよび偏光回折素子230bは、多視点映像のそれぞれの視点映像Iが集光する位置の間隔を、視点映像Iのピッチ(映像中心間隔)の1/2となるように配置される。なお、偏光回折素子230aおよび偏光回折素子230bの配置については、あとで詳細に説明する。
【0037】
迷光遮断手段231は、偏光回折素子230aおよび偏光回折素子230bで偏光変化しなかった0次光や、2次以上の高次光を迷光として、偏光回折素子230aおよび偏光回折素子230bの後段の光路上において遮断するものである。この迷光遮断手段231には、例えば、±1次光が照射される領域以外を遮光する遮光板で構成することができる。
これによって、偏光回折手段23は、入射される視点映像Iの光を、水平偏光または垂直偏光の偏光状態に応じて、+1次光または-1次光として、視点映像Iのピッチの1/2間隔で光軸をシフトさせて後段の集光レンズ24に集光させる。例えば、図2において、視点映像Iのx方向(水平方向)のピッチをDxとした場合、集光レンズ24に集光する位置の間隔はDx/2となる。
【0038】
集光レンズ(集光手段)24は、偏光回折手段23で光軸がシフトされた視点映像ごとの映像光を重畳結像するものである。例えば、集光レンズ24は、凸レンズを用いることができる。
この集光レンズ24は、結像レンズ220から、結像レンズ220の焦点距離だけ離間した位置に配置される。
集光レンズ24は、結像手段22から照射され、偏光回折手段23で光軸がシフトされた視点映像Iの光を重畳して表示光学系30に照射する。
【0039】
<表示光学系>
図2に示すように、表示光学系30は、視域形成レンズ31と、スクリーン32と、を備える。
【0040】
視域形成レンズ31は、映像高密度化手段20から背面照射される光線の方向を変化させて、画面全体の映像を観察できる領域(有効視域)を制御するものである。例えば、視域形成レンズ31は、凸レンズ、フレネルレンズ等で構成することができる。なお、視域形成レンズ31は、スクリーン32の前面または背面のどちらにあっても構わない。
【0041】
スクリーン32は、映像高密度化手段20から背面照射される多視点映像の光を、進行方向を保ったまま予め定めた範囲に拡散させるものである。なお、予め定めた範囲とは、予め規定される光線間隔の角度であって、例えば、0.2度から2度程度である。このスクリーン32は、一般的な拡散板で構成することができる。例えば、スクリーン表面を微小なレンズ構造としたものや、スクリーンに微小な開口アレイを形成したものを、スクリーン32とすることができる。
このスクリーン32は、多視点映像の光である離散的な入射光線を拡散することで光線間を補間する。
【0042】
(2枚の偏光回折素子の位置関係)
次に、図6図8を参照して、偏光回折素子230aと偏光回折素子230bとの位置関係について説明する。
偏光回折素子230aおよび偏光回折素子230bによる各視点映像の光線のシフト量は、偏光回折素子230の回折格子溝のピッチ(回折ピッチ)および傾き角と、偏光回折素子230aおよび偏光回折素子230bの距離とによって特定することができる。なお、ここでは、偏光回折素子230に物理的に形成された溝のピッチを回折ピッチとして説明するが、回折に周期性を有する素子であれば、その周期が回折ピッチである。
図6に示すように、偏光回折素子230の回折ピッチをp、入射光の波長をλとしたとき、図7に示すように、1次光の回折角φは、以下の式(1)で表すことができる。
【0043】
【数1】
【0044】
また、図7に示すように、偏光回折素子230aと偏光回折素子230bとの距離をL1としたとき、回折のシフト量dは、以下の式(2)で表すことができる。
【0045】
【数2】
【0046】
すなわち、偏光回折素子230aと偏光回折素子230bとの距離をL1としたとき、図7(a)に示すように、偏光回折素子230aに入射した水平偏光は、垂直偏光に変換され、-1次光として進行方向を変えて、シフト量dだけシフトした後、偏光回折素子230bに照射される。また、偏光回折素子230bに入射した垂直偏光は、水平偏光に変換され、+1次光として、偏光回折素子230aに入射した進行方向と同じ方向に回折される。
【0047】
また、図7(b)に示すように、偏光回折素子230aに入射した垂直偏光は、水平偏光に変換され、+1次光として進行方向を変えて、シフト量dだけシフトした後、偏光回折素子230bに照射される。また、偏光回折素子230bに入射した水平偏光は、垂直偏光に変換され、-1次光として、偏光回折素子230aに入射した進行方向と同じ方向に回折される。
この光線のシフト量dは、図2の偏光回折素子230で回折されずに集光レンズ24に照射する位置(0次光の照射位置)に対するずれ量である。
【0048】
ここで、図8を参照して、光線のシフト量dについてさらに説明する。図8は、回折されずに集光レンズ24に照射する位置(×印)と、回折されて集光レンズ24に照射する位置(●印および○印)とをxy平面上に示す図である。
●印の位置は、奇数フレームFOの視点映像の中心位置に対応する。また、○印の位置は、偶数フレームFEの視点映像の中心位置に対応する。
奇数フレームFOと偶数フレームFEの視点映像を、均一の光線密度で視認するには、×印の位置に対して、水平方向に±W/4、垂直方向に±H/4だけずれた位置に、それぞれの視点映像を照射することが望ましい。
具体的には、W×H=24.4mm×13.8mmとした場合、水平軸からの傾き角θ=29.5°、シフト量d=7.0mmとすればよい。
この場合、式(1)、式(2)から、以下の式(3)の関係を満たすように、偏光回折素子230の回折ピッチpと、偏光回折素子230aと偏光回折素子230bとの距離L1を定めればよい。
【0049】
【数3】
【0050】
例えば、波長λ=550nm(予め定めた基準色〔例えば、緑色〕の波長)、回折ピッチp=2.5μmとしたとき、距離L1=31.0mmとすればよい。
【0051】
(偏光回折素子と集光レンズとの位置関係)
次に、図9を参照して、偏光回折素子230と集光レンズ24との位置関係について説明する。
結像レンズ220側の偏光回折素子230aは、少なくとも視点映像Iの画素の光線をすべて同じ回折ピッチ内に透過させる位置に配置する必要がある。すなわち、視点映像Iの画素ピッチをg、偏光回折素子230aの回折ピッチをp、結像レンズ220の焦点距離をfとしたとき、偏光回折素子230aと集光レンズ24との距離L2は、以下の式(4)の関係を満たす必要がある。なお、偏光回折素子230bも同様の条件を満たす必要がある。
【0052】
【数4】
【0053】
例えば、4K解像度(水平3840画素×垂直2160画素)で、5×5視点の多視点映像を表示する場合を例に具体的に説明する。
視点映像Iの大きさを24.4mm×13.8mmとした場合、画素ピッチgは、31.8μm(=24.4/3840×5)となる。ここで、結像レンズ220の焦点距離f=86.8mm、回折ピッチp=2.5μmとした場合、前記式(4)より、偏光回折素子230aと集光レンズ24との距離L2は、6.82mm(=86.8×2.5/31.8)より大きければよい。
例えば、偏光回折素子230bと集光レンズ24との距離L3=10.0mmとして、L2=41.0mm(=L1+L3>6.82mm)とすることで、図8に示すように、多視点映像をシフトさせることができる。
【0054】
(偏光回折素子の大きさ)
次に、図10を参照して、偏光回折素子230の大きさについて説明する。ここでは、偏光回折素子230の水平方向(x方向)の大きさについて説明する。また、ここでは、二次元映像表示手段10が多視点映像として視点映像Iを隙間なく表示するものとする。
図10に示すように、水平方向の大きさがWの視点映像Iは、偏光回折素子230aにおいて、水平方向の大きさがw1の範囲に透過するとともに回折される。また、偏光回折素子230aから出射される光は、偏光回折素子230bにおいて、水平方向の大きさがw2の範囲に透過するとともに回折される。
【0055】
ここで、視点映像Iは隙間なく表示されているため、視点映像Iの水平方向のピッチ(映像中心間隔)は、視点映像Iの水平方向の大きさWと等しい。そのため、集光レンズ24に集光する光は水平方向にW/2間隔となる。
このとき、結像レンズ220の焦点距離をf、偏光回折素子230aと集光レンズ24との距離をL2、偏光回折素子230bと集光レンズ24との距離をL3としたとき、w1およびw2は、以下の式(5)で表す大きさとなる。
【0056】
【数5】
【0057】
この場合、水平方向の視点映像Iの数をnとしたとき、偏光回折素子230aの水平方向の大きさはn×W-(W-w1)、偏光回折素子230bの水平方向の大きさはn×W-(W/2-w2)となる。
なお、垂直方向においても、視点映像Iの垂直方向の大きさに応じて、水平方向の同様に偏光回折素子230a,230bの大きさを求めることができる。
例えば、前記した具体例で、f=86.8mm、L2=41.0mm、L3=10.0mmとし、4K解像度(水平3840画素×垂直2160画素)で、5×5視点の多視点映像の視点映像Iの大きさを水平24.4mm×垂直13.8mmで表示したとする。
この場合、偏光回折素子230aは、水平109.1mm×垂直61.7mm以上、偏光回折素子230bは、水平112.6mm×垂直63.7mm以上の大きさが必要となる。
【0058】
なお、偏光回折素子230(230a,230b)は、1枚で形成された素子を用いる必要はなく、偏光回折素子230a,230bよりも小さい偏光回折素子を二次元配列して構成してもよい。
【0059】
また、偏光回折素子230は、図10に示したw1,w2で示した範囲を少なくとも偏光回折する素子であればよい。そのため、偏光回折素子230は、偏光回折を行う領域に対応して互いに離間して配置した矩形形状の偏光回折素子を二次元配列して構成してもよい。また、偏光回折素子230は、偏光回折を行う領域に対応して互いに離間して配置した円形状の偏光回折素子を二次元配列して構成してもよい。
なお、二次元配列で離間して偏光回折素子を配置する場合、偏光回折素子同士を、それぞれ図示を省略した枠で固定すればよい。
【0060】
(色収差について)
次に、図11および図12を参照して、色収差について説明する。
図2に示す偏光回折素子230を用いた場合、前記式(1),式(2)に示したように、視点映像Iの光線のシフト量dには、波長依存性がある。そのため、集光レンズ24に照射する位置において色収差が発生する。
例えば、視点映像Iの大きさをW×H=24.4mm×13.8mm、偏光回折素子230の回折ピッチp=2.5μm、偏光回折素子230aと偏光回折素子230bとの距離をL1=31.3mmとする。この場合、図11に示すように、集光レンズ24に照射する位置(奇数フレームFOの●印、偶数フレームFEの○印)において、可視領域を360~830nmとして、光線が回折方向に6.4mm広がる。
しかし、この色収差は、奇数フレームFOと偶数フレームFEとで重ならない。そのため、三次元映像表示装置1は、多視点映像の映像光を、三次元映像を再生するための光線情報として、効率よく利用することができる。
【0061】
なお、このような色収差が発生する場合、表示する三次元映像にも、配色パターン等によって、色収差による色にじみが発生する場合がある。そのため、表示する多視点映像は、予め色収差を補正しておくことが好ましい。
例えば、図12(a)に示すように、視点映像Iのある画素pxのRGBの光が、偏光回折素子230によって回折された場合、RGBのそれぞれの波長に応じて回折する量が異なる。
この場合、画素の光が、偏光回折素子230bの同じ位置から出射するようにすればよい。すなわち、視点映像Iのある色(例えば、G)を基準として、視点映像Iの他の色の表示位置をシフトさせればよい。
具体的には、図12(b)に示すように、画素pxのG光を偏光回折素子230によってEだけシフトさせる。このシフト量Eは、以下の式(6)で表される。
【0062】
【数6】
【0063】
ここで、pは偏光回折素子230の回折ピッチ、L1は偏光回折素子230aと偏光回折素子230bとの距離、λは基準波長(例えば、G光の波長;550nm)である。
そして、他の色(例えば、R,B)については、基準波長の色を含んだ画素(ここでは、px)から、以下の式(7)に示すΔEだけシフトした画素(pxr,pxb)の色として表示する。なお、λは基準波長以外の色(R,B)の波長を示す。
【0064】
【数7】
【0065】
これによって、三次元映像表示装置1は、色収差の発生を抑えて、観察者に三次元映像を視認させることができる。
【0066】
≪三次元映像表示装置の動作≫
次に、図13を参照(構成については適宜図1図2参照)して、本発明の実施形態に係る三次元映像表示装置1の動作について説明する。
なお、三次元映像表示装置1の二次元映像表示手段10が表示する多視点映像は、図3図4で説明したように、時分割で視点位置が異なるとともに、特定色の画像がフレーム周期で入れ替わっている映像とする。
【0067】
ステップS1において、切替制御手段211は、偏光切替素子210の偏光切替の状態を、多視点映像のフレームごとに制御する。この切替制御手段211は、多視点映像のフレームが奇数フレームであれば、偏光切替素子210への電圧印加を行わないことで、偏光切替素子210を、水平偏光をそのまま通過させる状態に切り替える。また、切替制御手段211は、多視点映像のフレームが偶数フレームであれば、偏光切替素子210への電圧印加を行うことで、偏光切替素子210を、水平偏光を垂直偏光に変換する状態に切り替える。
【0068】
ステップS2において、二次元映像表示手段10は、多視点映像をフレームごとに表示する。
ステップS3において、偏光切替素子210は、ステップS1で制御された偏光状態に応じて、多視点映像の直線偏光を水平偏光または垂直偏光に切り替える。
ステップS4において、狭帯域波長板212は、ステップS3で偏光が切り替えられた光のうち、特定色の光の波長の位相を反転させる。ここでは、狭帯域波長板212は、照射された多視点映像の光の波長が、G光の波長である場合、その光が水平偏光であれば垂直偏光に変換し、垂直偏光であれば水平偏光に変換する。
ステップS5において、結像手段22は、個々の結像レンズ220によって、多視点映像を個々の視点映像に分離し結像する。
【0069】
ステップS6において、偏光回折手段23は、ステップS5で分離された個々の視点映像の偏光に応じた回折方向に光軸をシフトさせる。ここでは、偏光回折手段23の偏光回折素子230aは、視点映像の偏光状態に応じて、入射光を+1次光または-1次光として出射する。そして、偏光回折手段23の偏光回折素子230bは、偏光回折素子230aで回折された視点映像をもとの出射方向に戻す。このように、偏光回折手段23は、2枚の偏光回折素子230a,230bによって、視点映像の偏光状態に応じて、光軸を異なる位置にシフトさせる。
なお、このとき、迷光遮断手段231は、偏光回折素子230bから出射される0次光および高次光を遮断する(動作として図示せず)。
【0070】
ステップS7において、集光レンズ24は、個々の視点映像を表示光学系30に背面照射して重畳表示する。
そして、二次元映像表示手段10が多視点映像を表示する間(ステップS8でNo)、三次元映像表示装置1は、ステップS1に戻って動作を継続する。
一方、二次元映像表示手段10による多視点映像の表示が終了した段階で(ステップS8でYes)、三次元映像表示装置1は動作を終了する。
以上の動作によって、三次元映像表示装置1は、観察者Mに対して、水平方向および垂直方向に視差を有する三次元映像を視認させることができる。
【0071】
以上説明したように、三次元映像表示装置1は、視点位置の異なる多視点映像を二次元映像表示手段10に表示する際に、時系列でさらに視点位置をずらした多視点映像を表示する。そのため、三次元映像表示装置1は、二次元映像表示手段10が表示する画素数を増やすことなく、多視点映像の視点数を増加させることができる。
【0072】
また、多視点映像を構成する各視点映像は、奇数フレームのRB画像と偶数フレームのG画像とで構成されるため、三次元映像表示装置1は、1つの視点位置に着目した場合、RB画像およびG画像を連続して観察者に視認させることができる。そのため、三次元映像表示装置1は、時分割で視点位置の異なる映像を表示しても、すべてのフレームで視点位置に対応する画像を表示するため、フレーム間の輝度変化を小さくすることができる。
これによって、三次元映像表示装置1は、多視点映像の再生光線を高密度に表示するとともにフリッカを抑えて、高精細な三次元映像を表示することができる。
以上、本発明の実施形態に係る三次元映像表示装置1の構成および動作について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。以下、種々の変形例について説明する。
【0073】
≪変形例≫
<変形例1:二次元映像表示手段の表示方式>
偏光切替手段21の偏光切替素子210である液晶の応答特性によっては、時分割で多視点映像の偏光を切り替える際に、液晶の状態が安定するまでに時間を要する場合がある。
そこで、三次元映像表示装置1の二次元映像表示手段10は、起動速度の速いLED、レーザ等を光源とし、液晶の応答特性が安定した期間に光源を点灯させ、多視点映像を間欠的に表示することとしてもよい。
【0074】
ここで、図14図15を参照(適宜図2参照)して、二次元映像表示手段10を常時点灯させた場合の多視点映像の偏光状態について説明する。
図14(a)は、切替制御手段211に入力される切替制御信号の波形を示す。図14(b)は、偏光切替素子210(液晶)の応答特性の波形を示す。図14(c)は、偏光切替素子210が出力する光の偏光状態を示す。
図14(a)の切替制御信号がOFFからONに切り替わるタイミングと、ONからOFFに切り替わるタイミングとで、図14(b)の液晶応答特性は安定していない(液晶分子の配列が不安定)。そのため、液晶応答特性が安定している区間B,Dでは、図14(c)の出力偏光は、垂直偏光または水平偏光のいずれかとなる。一方、液晶応答特性が安定していない区間A,Cでは、出力偏光は、偏光状態が定まらず、垂直偏光と水平偏光とが混在した状態となる。
【0075】
この場合、二次元映像表示手段10を常時点灯させたときの図14の区間A,Cでは、図15(a)に示すように、偏光回折手段23に照射される光は、垂直偏光と水平偏光とが混在している。そのため、偏光回折素子230aにおいて、±1次光が発生し、誤った位置にも多視点映像が表示され、多重像が視認されることになる。
一方、図14の区間B,Dでは、液晶応答特性が安定している。そのため、区間Bでは、図15(b)に示すように、偏光回折素子230aにおいて-1次光が発生せず、区間Dでは、図15(c)に示すように、偏光回折素子230aにおいて+1次光が発生せず、正しい位置に多視点映像が表示される。
このような多重像の発生を抑制するため、二次元映像表示手段10は、区間A,Cにおいて消灯し、区間B,Dにおいて点灯する間欠点灯が好ましい。
【0076】
次に、図16図17を参照(適宜図2参照)して、好ましい実施形態である二次元映像表示手段10を間欠点灯させた場合の多視点映像の偏光状態について説明する。
図16(a)は、切替制御手段211に入力される切替制御信号の波形を示す。図16(b)は、偏光切替素子210(液晶)の応答特性の波形を示す。図16(c)は、光源に対する偏光別周期の点灯制御信号を示す。図16(d)は、光源に対する一定周期の点灯制御信号を示す。なお、図16(a),(b)は、図15(a),(b)と同じ波形である。また、図16(c),(d)における光源とは、二次元映像表示手段10内部の光源(不図示)であり、点灯制御信号とは、図示を省略した制御装置から出力される光源の点灯のON/OFFを制御する信号である。
図16(b)の液晶応答特性が安定した状態で光源を間欠点灯させるには、制御装置(不図示)が、2つの点灯制御のいずれか一方を行えばよい。
【0077】
1つ目の点灯制御は、予め測定された液晶応答特性が安定した時間区間で光源を点灯させ、それ以外の区間を消灯させる制御である。
すなわち、図16(c)に示すように、図16(a)の切替制御信号がOFFからONに切り替わり、図16(b)の液晶応答特性が安定した状態から、切替制御信号がOFFになるまでの偏光切替素子210が垂直偏光を出力する区間Tの間、制御装置は、点灯制御信号をONにする。
また、図16(a)の切替制御信号がONからOFFに切り替わり、図16(b)の液晶応答特性が安定した状態から、切替制御信号がONになるまでの偏光切替素子210が水平偏光を出力する区間Tの間、制御装置は、点灯制御信号をONにする。
【0078】
2つ目の点灯制御は、予め測定された液晶応答特性が安定した時間区間のうちで、液晶応答特性が安定する時間区間の短い方に合わせて一定周期で光源を点灯させる制御である。
すなわち、図16(d)に示すように、液晶応答特性が安定した時間区間である区間Tと区間Tとで、時間の長い区間Tを時間の短い区間Tに合わせることで、制御装置は、一定周期で点灯制御信号をONにする。
これによって、二次元映像表示手段10は、区間A,C(図14)において光源を消灯し、図15(a)で説明した多重像の発生を抑えることができる。
なお、通常、液晶応答特性が安定した時間区間として、映像フレーム内の後半の1/2以下の時間区間を点灯区間として、映像を表示させればよい。
ここでは、二次元映像表示手段10は、光源のON/OFFによって間欠点灯を行うこととしたが、物理的なシャッタを用いて、多視点映像を間欠的に表示することとしてもよい。このシャッタの開閉タイミングは、点灯制御信号と同じである。
【0079】
このように、間欠点灯(間欠表示)を行う場合、点灯状態と消灯状態との光強度の比(点灯状態の光強度/消灯状態の光強度)である消光比は、10倍以上であることが好ましい。消光比の値が低いと、消灯時における光を完全に遮断することができないためである。
その場合、図17(a)に示すような光学系を用いて、消光比を求めることができる。
図17(a)に示す光学系は、二次元映像表示手段10と、偏光板40と、光センサ50と、を備える。
二次元映像表示手段10は、図17(b)に示すように、液晶応答特性において、立ち上がり期間で白画像、立ち下がり期間で黒画像を表示し、図16で説明した間欠点灯を行う。このとき、偏光板40は、二次元映像表示手段10が表示する光から水平偏光を透過させる。
そして、白画像表示時において光センサ50で測定される光強度(Amv)と、黒画像表示時において光センサ50で測定される光強度(Bmv)とから、消光比(B/A)を求めることができる。この場合、B/A≧10となるように、間欠点灯の時間幅を調整する。また、図17(b)とは逆に、液晶応答特性において、立ち上がり期間で黒画像、立ち下がり期間で白画像を表示し、B/A≦0.1となるように間欠点灯の時間幅を調整してもよい。
【0080】
<変形例2:偏光回折素子の変形例>
ここでは、偏光回折手段23として、偏光回折素子230(230a,230b)を備える構成としたが、偏光ビームスプリッタ群を用いてもよい。
図18(a)は、結像手段22の光路上の後段に偏光ビームスプリッタ群230Bを備えた構成例を示す。
偏光ビームスプリッタ群230Bは、1つの結像レンズ220に対応して2つの偏光ビームスプリッタ230Ba,230Bbで構成される。
【0081】
偏光ビームスプリッタ230Ba,230Bbは、入射される光の偏光状態に応じて、入射光を透過または反射するものである。ここでは、偏光ビームスプリッタ230Ba,230Bbは、入射光が水平偏光であればそのまま透過し、垂直偏光であれば反射する。
【0082】
図18(b)に示すように、偏光ビームスプリッタ230Baは、結像レンズ220の光軸上に配置される。また、偏光ビームスプリッタ230Bbは、結像レンズ220のx方向(水平方向)ピッチ(視点映像のピッチ)をDxとした場合、光軸がDx/2シフトするように配置される。これは、y方向(垂直方向)においても同様である。すなわち、偏光ビームスプリッタ230Ba,230Bbは、光軸をずらす方向に斜めに配置される。
【0083】
偏光ビームスプリッタ230Baは、結像レンズ220からの入射光が水平偏光であれば、そのまま透過して、集光レンズ24(図2)に照射する。また、偏光ビームスプリッタ230Baは、入射光が垂直偏光であれば、入射光を反射して、偏光ビームスプリッタ230Bbに照射する。
偏光ビームスプリッタ230Bbは、偏光ビームスプリッタ230Baで反射された垂直偏光の光をさらに反射して、集光レンズ24(図2)に照射する。
これによって、偏光ビームスプリッタ群230Bは、偏光回折素子230と同じ機能を実現することができる。
【0084】
<変形例3:狭帯域波長板の配置位置の変形例>
ここでは、偏光切替素子210と結像手段22との間に狭帯域波長板212を配置(図2参照)したが、狭帯域波長板212の配置位置は、二次元映像表示手段10と偏光回折素子230との間であれば、どこに配置してもよい。
例えば、狭帯域波長板212は、図19(a)に示すように、二次元映像表示手段10と偏光切替素子210との間に配置してもよい。
また、例えば、狭帯域波長板212は、図19(b)に示すように、結像手段22と偏光回折素子230との間に配置してもよい。
なお、狭帯域波長板212を大面積とする場合、小さな狭帯域波長板を密にタイリングしてもよい。その場合、タイリングのつなぎ目が映像に重ならないように、結像手段22の結像レンズ220ごとに小さな狭帯域波長板を配置すればよい。また、その場合の狭帯域波長板の形状は、矩形、円形等、任意の形状とすることができる。
【0085】
<変形例4:二次元映像表示手段の変形例>
ここでは、偏光切替手段21によって、多視点映像の偏光を、R光およびB光とG光との偏光を異なる偏光状態として時系列に切り替えた。
しかし、この切り替えは、偏光切替手段21の代わりに、二次元映像表示手段10内部で行ってもよい。
【0086】
図20に、二次元映像表示手段10内部に偏光切替手段21の機能を付加した二次元映像表示手段10Bの構成を示す。
二次元映像表示手段10Bは、一般的なプロジェクタの構成である光源11、分光手段12、ミラー13、空間光変調器14(14R,14G,14B)、ダイクロイックミラー15(15R,15G,15B)、および、ワイヤーグリッド偏光子16(16R,16G,16B)と、偏光切替手段として機能する波長板17、偏光切替素子18および切替制御手段19と、を備える。
【0087】
光源11は、白色光を発光するものであって、例えば、レーザ光源である。
分光手段12は、光源11が発光する白色光から特定の色光を分光するものである。例えば、分光手段12は、ダイクロイックミラーで、G色の波長帯域の光(G光)を反射し、ワイヤーグリッド偏光子16Gに照射する。また、分光手段12は、G色の波長帯域以外の光(R光,B光)を透過し、ミラー13に照射する。
ミラー13は、入射光を反射するものである。ここでは、ミラー13は、分光手段12で透過したR光,B光を反射し、ダイクロイックミラー15Rに照射する。
【0088】
空間光変調器14(14R,14G,14B)は、多視点映像をRGBの色ごとに表示するものである。
空間光変調器14Rは、多視点映像のR色の映像をフレームごとに表示し、R光の照射に対するフレーム画像(R画像)を出射する。
空間光変調器14Gは、多視点映像のG色の映像をフレームごとに表示し、G光の照射に対するフレーム画像(G画像)を出射する。
空間光変調器14Gは、多視点映像のB色の映像をフレームごとに表示し、B光の照射に対するフレーム画像(B画像)を出射する。
【0089】
ダイクロイックミラー15(15R,15G,15B)は、特定の色光を反射するものである。
ダイクロイックミラー15Rは、ミラー13から照射されたR光,B光のうち、R色の波長帯域の光(R光)を反射し、ワイヤーグリッド偏光子16Rに照射する。また、ダイクロイックミラー15Rは、R色の波長帯域以外の光(B光)を透過し、ワイヤーグリッド偏光子16Bに照射する。
ダイクロイックミラー15Gは、G色の波長帯域の光(G光)として、ワイヤーグリッド偏光子16Gから照射されたG画像を反射し、偏光切替素子18に照射する。また、ダイクロイックミラー15Gは、G色の波長帯域以外の光(R光,B光)として、波長板17から照射されたR画像,B画像を透過し、偏光切替素子18に照射する。
ダイクロイックミラー15Bは、B色の波長帯域の光(B光)として、ワイヤーグリッド偏光子16Bから照射されたB画像を反射し、波長板17に照射する。また、ダイクロイックミラー15Bは、B色の波長帯域以外の光(R光)として、ワイヤーグリッド偏光子16Rから照射されたR画像を透過し、波長板17に照射する。
【0090】
ワイヤーグリッド偏光子16(16R,16G,16B)は、特定の偏光の光を反射するものである。
ワイヤーグリッド偏光子16Rは、空間光変調器14Rから照射されるR画像の垂直偏光成分のみを反射し、ダイクロイックミラー15Bに照射する。また、ワイヤーグリッド偏光子16Rは、ダイクロイックミラー15Rから照射される偏光の揃っていないR光を透過し、空間光変調器14Rに照射する。
ワイヤーグリッド偏光子16Gは、空間光変調器14Gから照射されるG画像の垂直偏光成分のみを反射し、ダイクロイックミラー15Gに照射する。また、ワイヤーグリッド偏光子16Gは、分光手段12から照射される偏光の揃っていないG光を透過し、空間光変調器14Gに照射する。
ワイヤーグリッド偏光子16Bは、空間光変調器14Bから照射されるB画像の垂直偏光成分のみを反射し、ダイクロイックミラー15Bに照射する。また、ワイヤーグリッド偏光子16Bは、ダイクロイックミラー15Rから照射される偏光の揃っていないB光を透過し、空間光変調器14Bに照射する。
【0091】
波長板17は、光の波長の位相を反転させる1/2波長板である。波長板17は、ダイクロイックミラー15Bから照射される垂直偏光のR画像,B画像の光の波長の位相を反転させ、水平偏光のR画像,B画像として、ダイクロイックミラー15Gに照射する。
【0092】
偏光切替素子18は、ダイクロイックミラー15Gから照射される合成されたRGB画像の偏光を時系列に切り替えるものである。
偏光切替素子18には、例えば、液晶素子を用いることができる。
この偏光切替素子18は、切替制御手段19の電圧制御によって、平常時は水平偏光の光をそのまま透過させ、電圧印加時は水平偏光の光を垂直偏光に変換する。
偏光切替素子18によって偏光が変換された光は、拡散して図示を省略したレンズ(コリメータレンズ)に照射され、平行光として、映像高密度化手段20(図2)に照射される。なお、この場合、映像高密度化手段20は、偏光切替手段21を構成から省略する。
【0093】
切替制御手段19は、多視点映像のフレームに同期して、時分割で偏光切替素子18の偏光切替状態を電圧制御により切り替えるものである。なお、この切替制御手段19は、図2で説明した切替制御手段211と同じ機能を有する。
これによって、二次元映像表示手段10Bは、奇数フレームでは偏光切替素子18への電圧の印加を行わないことで(偏光切替スイッチS1:OFF)、G画像については垂直偏光、R画像およびB画像については水平偏光の画像を表示することができる。また、二次元映像表示手段10Bは、偶数フレームでは偏光切替素子18への電圧の印加を行うことで(偏光切替スイッチS1:ON)、G画像については水平偏光、R画像およびB画像については垂直偏光の画像を表示することができる。
このように、二次元映像表示手段10Bの内部に図2の偏光切替手段21の機能として、付加した波長板17、偏光切替素子18および切替制御手段19を備えることで、偏光切替素子を小型化することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 三次元映像表示装置
10,10B 二次元映像表示手段
11 光源
12 分光手段
13 ミラー
14 空間光変調器14
15 ダイクロイックミラー
16 ワイヤーグリッド偏光子
17 波長板
18 偏光切替素子
19 切替制御手段
20 映像高密度化手段
21 偏光切替手段
210 偏光切替素子
211 切替制御手段
212 狭帯域波長板
22 結像手段
220 結像レンズ
23 偏光回折手段
230 偏光回折素子
231 迷光遮断手段
24 集光レンズ(集光手段)
30 表示光学系
31 視域形成レンズ
32 スクリーン
図1
図2
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