(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】レーザー加工装置およびレーザービームの観察方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20240905BHJP
【FI】
B23K26/00 M
B23K26/00 Q
(21)【出願番号】P 2020183580
(22)【出願日】2020-11-02
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】九鬼 潤一
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-077046(JP,A)
【文献】米国特許第06002706(US,A)
【文献】特開2006-049606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、
レーザービームを発振するレーザー発振器と、
方向転換ミラーと、
該レーザー発振器によって発振され
て該方向転換ミラーにより反射されたレーザービームを集光して該チャックテーブルに保持された被加工物へと集光照射する第一の集光器と、
を備えたレーザー加工装置であって、
被加工物に照射されるレーザービームの集光点の状態を擬似的に観察する観察ユニットを有し、
該観察ユニットは、
該チャックテーブルの保持面とは異なる方向にレーザービームを集光する第二の集光器と、
該第二の集光器によって集光されたレーザービームを拡大する顕微鏡と、
該顕微鏡によって拡大されたレーザービームの集光点を観察する撮像素子と、
を備え
、
該方向転換ミラーは、
該レーザー発振器と該第二の集光器との間の光路上に着脱自在に配置され、
該光路上に配置されている状態では、該レーザービームを該第一の集光器に向けて反射するとともに、該レーザービームの漏れ光を透過させ、
該方向転換ミラーが該光路上から取り外されている状態では、該レーザービームが該第二の集光器および該顕微鏡を介して該撮像素子に入射することを特徴とする、レーザー加工装置。
【請求項2】
該観察ユニットは、着脱可能に構成されることを特徴とする、
請求項1に記載のレーザー加工装置。
【請求項3】
被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、
レーザービームを発振するレーザー発振器と、
方向転換ミラーと、
該レーザー発振器によって発振され
て該方向転換ミラーにより反射されたレーザービームを集光して該チャックテーブルに保持された被加工物へと集光照射する第一の集光器と、
を備えたレーザー加工装置において、
被加工物に照射されるレーザービームの状態を擬似的に観察する観察方法であって、
該チャックテーブルの保持面とは異なる方向にレーザービームを集光する第二の集光器と、
該第二の集光器によって集光されたレーザービームを拡大する顕微鏡と、
該顕微鏡によって拡大されたレーザービームの集光点を観察する撮像素子と、
を有する観察ユニットを準備する準備ステップと、
該観察ユニットを該レーザー発振器から発振されたレーザービームを受光可能な位置に配設する
とともに、該方向転換ミラーを該レーザー発振器と該第二の集光器との間の光路上から取り外す配設ステップと、
該レーザー発振器から発振され該撮像素子に入射したレーザービームの集光点の状態を観察する観察ステップと、
を含
み、
該方向転換ミラーが該レーザー発振器と該第二の集光器との間の光路上に配置された状態で、該観察ユニットが、第一の集光器に向けて反射されずに透過した該レーザービームの漏れ光を観察することを更に含むことを特徴とする、レーザービームの観察方法。
【請求項4】
該観察ステップで観察されたレーザービームの集光点の状態の合否を判定する判定ステップを更に含むことを特徴とする、
請求項3に記載のレーザービームの観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工装置およびレーザービームの観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等の被加工物を分割してチップ化するために、被加工物に対してレーザービームを集光照射するレーザービーム照射ユニットを備えたレーザー加工装置が用いられる(例えば、特許文献1参照)。レーザービーム照射ユニットは、一般に、レーザー発振器から発振されたレーザービームを、ビームの大きさや形状等を制御する様々な光学部品を用いて被加工物へと導き、被加工物の表面または内部に集光させて被加工物を加工するように構成されている。したがって、被加工物を加工した際に所望の加工結果を得るためには、レーザービーム照射ユニットの光学部品群の調整が必須となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、所望の加工結果が得られるか否かは加工してみなければわからないため、被加工物を加工しながら光学部品の調整を行う方法が主流である。しかしながら、この方法は、実際に被加工物を準備して加工を施す必要があるため、被加工物を準備するコストや加工の手間がかかるという課題がある。また、レーザービーム照射ユニットにおいては、通常、光学部品群が密閉(遮蔽)された空間に配置されるが、調整時には開放された状態になるため、加工時に被加工物から生じたデブリ(加工屑)が、調整中に光学部品に付着してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光学部品の汚染を抑制しつつ、容易に調整することができるレーザー加工装置およびレーザービームの観察方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のレーザー加工装置は、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、レーザービームを発振するレーザー発振器と、方向転換ミラーと、該レーザー発振器によって発振されて該方向転換ミラーにより反射されたレーザービームを集光して該チャックテーブルに保持された被加工物へと集光照射する第一の集光器と、を備えたレーザー加工装置であって、被加工物に照射されるレーザービームの集光点の状態を擬似的に観察する観察ユニットを有し、該観察ユニットは、該チャックテーブルの保持面とは異なる方向にレーザービームを集光する第二の集光器と、該第二の集光器によって集光されたレーザービームを拡大する顕微鏡と、該顕微鏡によって拡大されたレーザービームの集光点を観察する撮像素子と、を備え、該方向転換ミラーは、該レーザー発振器と該第二の集光器との間の光路上に着脱自在に配置され、該光路上に配置されている状態では、該レーザービームを該第一の集光器に向けて反射するとともに、該レーザービームの漏れ光を透過させ、該方向転換ミラーが該光路上から取り外されている状態では、該レーザービームが該第二の集光器および該顕微鏡を介して該撮像素子に入射することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のレーザー加工装置において、該観察ユニットは、着脱可能に構成されてもよい。
【0008】
また、本発明のレーザービームの観察方法は、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、レーザービームを発振するレーザー発振器と、方向転換ミラーと、該レーザー発振器によって発振されて該方向転換ミラーにより反射されたレーザービームを集光して該チャックテーブルに保持された被加工物へと集光照射する第一の集光器と、を備えたレーザー加工装置において、被加工物に照射されるレーザービームの状態を擬似的に観察する観察方法であって、該チャックテーブルの保持面とは異なる方向にレーザービームを集光する第二の集光器と、該第二の集光器によって集光されたレーザービームを拡大する顕微鏡と、該顕微鏡によって拡大されたレーザービームの集光点を観察する撮像素子と、を有する観察ユニットを準備する準備ステップと、該観察ユニットを該レーザー発振器から発振されたレーザービームを受光可能な位置に配設するとともに、該方向転換ミラーを該レーザー発振器と該第二の集光器との間の光路上から取り外す配設ステップと、該レーザー発振器から発振され該撮像素子に入射したレーザービームの集光点の状態を観察する観察ステップと、を含み、該方向転換ミラーが該レーザー発振器と該第二の集光器との間の光路上に配置された状態で、該観察ユニットが、第一の集光器に向けて反射されずに透過した該レーザービームの漏れ光を観察することを更に含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のレーザービームの観察方法は、該観察ステップで観察されたレーザービームの集光点の状態の合否を判定する判定ステップを更に含んでもよい。
【発明の効果】
【0010】
本願発明は、光学部品の汚染を抑制しつつ、容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係るレーザー加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたレーザー加工装置のレーザービーム照射ユニットおよび観察ユニットの構成を模式的に示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図2のレーザービーム照射ユニットおよび観察ユニットの構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るレーザービームの観察方法の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、変形例に係るレーザー加工装置のレーザービーム照射ユニットおよび観察ユニットの構成を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態〕
まず、本発明の実施形態に係るレーザー加工装置1の構成について図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係るレーザー加工装置1の構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示されたレーザー加工装置1のレーザービーム照射ユニット20および観察ユニット30の構成を模式的に示す模式図である。
図3は、
図2のレーザービーム照射ユニット20および観察ユニット30の構成例を示す斜視図である。以下の説明において、X軸方向は、水平面における一方向である。Y軸方向は、水平面において、X軸方向に直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向およびY軸方向に直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向およびY軸方向に直交する方向である。実施形態のレーザー加工装置1は、加工送り方向がX軸方向であり、割り出し送り方向がY軸方向である。
【0014】
図1および
図2に示すように、レーザー加工装置1は、チャックテーブル10と、レーザービーム照射ユニット20と、観察ユニット30と、X軸方向移動ユニット40と、Y軸方向移動ユニット50と、Z軸方向移動ユニット60と、撮像ユニット70と、表示ユニット80と、を備える。実施形態に係るレーザー加工装置1は、チャックテーブル10に保持された被加工物100に対して、レーザービーム照射ユニット20によってレーザービーム21を照射することにより、被加工物100を加工する装置である。レーザー加工装置1による被加工物100の加工は、例えば、ステルスダイシングによって被加工物100の内部に改質層を形成する改質層形成加工、被加工物100の表面に溝を形成する溝加工、または分割予定ラインに沿って被加工物100を切断する切断加工等である。
【0015】
被加工物100は、シリコン(Si)、サファイア(Al2O3)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板とする円板状の半導体デバイスウエーハ、光デバイスウエーハ等のウェーハである。なお、被加工物100は実施形態に限定されず、本発明では円板状でなくともよい。被加工物100は、例えば、環状フレーム110が貼着されかつ被加工物100の外径よりも大径なテープ111が被加工物100の裏面に貼着されて、環状フレーム110の開口内に支持される。
【0016】
チャックテーブル10は、被加工物100を保持面11で保持する。保持面11は、ポーラスセラミック等から形成された円板形状である。保持面11は、実施形態において、水平方向と平行な平面である。保持面11は、例えば、真空吸引経路を介して真空吸引源と接続している。チャックテーブル10は、保持面11上に載置された被加工物100を吸引保持する。チャックテーブル10の周囲には、被加工物100を支持する環状フレーム110を挟持するクランプ部12が複数配置されている。
【0017】
チャックテーブル10は、回転ユニット13によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転される。回転ユニット13は、X軸方向移動プレート14に支持される。回転ユニット13およびチャックテーブル10は、X軸方向移動プレート14を介して、X軸方向移動ユニット40によりX軸方向に移動される。回転ユニット13およびチャックテーブル10は、X軸方向移動プレート14、X軸方向移動ユニット40およびY軸方向移動プレート15を介して、Y軸方向移動ユニット50によりY軸方向に移動される。
【0018】
レーザービーム照射ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物100に対してパルス状のレーザービーム21を照射するユニットである。
図2および
図3に示すように、レーザービーム照射ユニット20は、レーザー発振器22と、ミラー23、24と、調整対象レンズ25と、取付け板26と、第一の集光器29と、方向転換ミラー31と、を含む。
【0019】
レーザー発振器22は、被加工物100を加工するための所定の波長を有するレーザービーム21を発振する。レーザービーム照射ユニット20が照射するレーザービーム21は、被加工物100に対して透過性または吸収性を有する波長である。
【0020】
ミラー23は、レーザー発振器22が発振したレーザービーム21を反射して、ミラー24へ向けて反射する。ミラー24は、ミラー23に反射されたレーザービーム21を更に、観察ユニット30へ向けて反射する。レーザー発振器22から発振されるレーザービーム21がUV(紫外線)の場合、ミラー23、24には、UVを反射する反射膜が形成される。
【0021】
調整対象レンズ25は、レーザー発振器22とミラー24との間のレーザービーム21の光路上に配置される。調整対象レンズ25は、レーザー発振器22が発振したレーザービーム21を伝搬して、観察ユニット30または被加工物100の加工点へ伝搬する。調整対象レンズ25は、実施形態において、複数のレンズから構成される。
図3に示すように、実施形態において、調整対象レンズ25は、それぞれホルダ251に収容された状態で取付け板26に取り付けられる。ホルダ251は、調整対象レンズ25のそれぞれのレンズの外縁部を支持し、レンズの中央部を露出させている。
【0022】
取付け板26は、平板状の板本体261と、複数の固定部262と、を含む。固定部262は、板本体261に設けられ、かつ調整対象レンズ25および後述の方向転換ミラー31が着脱自在に固定される。固定部262は、実施形態ではホルダ251を貫通した貫通孔252内に通された図示しないねじが螺合するねじ孔であるが、本発明ではこれに限定されない。固定部262は、実施形態において、レーザー発振器22とミラー23との間のレーザービーム21の光軸に沿って間隔をあけて複数設けられ、かつ光軸に対して直交する鉛直方向に沿って間隔をあけて複数設けられている。
【0023】
第一の集光器29は、後述の方向転換ミラー31により反射されたレーザービーム21を集光してチャックテーブル10に保持された被加工物100へと集光照射する。すなわち、第一の集光器29は、加工用の集光レンズである。第一の集光器29は、実施形態において、両凸の単レンズである。レーザービーム照射ユニット20のうち、少なくとも第一の集光器29は、レーザー加工装置1の装置本体2から立設した柱3に設置されるZ軸方向移動ユニット60に支持される(
図1参照)。
【0024】
方向転換ミラー31は、レーザー発振器22と後述の観察ユニット30の第二の集光器33との間のレーザービーム21の光路上に着脱自在に配置される。方向転換ミラー31は、実施形態において、調整対象レンズ25と第二の集光器33との間のレーザービーム21の光路上に着脱自在に配置される。
図3に示すように、方向転換ミラー31は、実施形態において、ホルダ311に外縁部が支持される。ホルダ311は、取付け板26に取り付けられる。これにより、方向転換ミラー31は、取付け板26に取り付けられる。レーザー発振器22から発振されるレーザービーム21がUVの場合、方向転換ミラー31には、UVを反射する反射膜が形成される。
【0025】
観察ユニット30は、被加工物100に照射されるレーザービーム21の集光点の状態を疑似的に観察するためのユニットである。観察ユニット30は、実施形態において、筐体32と、第二の集光器33と、顕微鏡34と、撮像素子35と、を備える。
【0026】
方向転換ミラー31は、レーザー発振器22と第二の集光器33との間のレーザービーム21の光路上に配置されている場合、調整対象レンズ25から伝搬されたレーザービーム21を反射して、チャックテーブル10の保持面11に保持した被加工物100に向けて反射する。方向転換ミラー31がレーザー発振器22と第二の集光器33との間のレーザービーム21の光路上から取り外されている状態において、調整対象レンズ25を透過したレーザービーム21は、第二の集光器33および顕微鏡34を介して撮像素子35に入射する。
【0027】
筐体32は、第二の集光器33と、顕微鏡34と、撮像素子35と、が内部に取り付けられている。
図3に示すように、筐体32は、取付け板26に取り付けられる。すなわち、実施形態の観察ユニット30は、取付け板26に対して着脱可能に構成される。レーザー発振器22から発振されたレーザービーム21は、方向転換ミラー31がレーザー発振器22と第二の集光器33との間のレーザービーム21の光路上から取り外されている状態において、筐体32内へ入射する。
【0028】
第二の集光器33は、チャックテーブル10の保持面11とは異なる方向にレーザービーム21を集光する。観察ユニット30では、方向転換ミラー31の有無によって、加工時とは異なる方向に集光させたレーザービーム21を観察する。すなわち、第二の集光器33は、ダミーの集光レンズである。第二の集光器33は、実施形態において、両凸の単レンズである。第二の集光器33の焦点距離は、第一の集光器29の焦点距離と同一である。すなわち、第二の集光器33によって集光されたレーザービーム21の集光点は、疑似的な加工点である。第二の集光器33の焦点距離は、実施形態において、50mmである。第二の集光器33は、実施形態において、筐体32内に入射したレーザービーム21を集光し顕微鏡34へと導く。
【0029】
顕微鏡34は、第二の集光器33によって集光されたレーザービーム21を拡大する。顕微鏡34の倍率は、例えば、10倍以上30倍以下に設定され、実施形態では20倍に設定される。レーザー発振器22から発振されるレーザービーム21がUVの場合、顕微鏡34は、UVに耐性のあるUV対応の顕微鏡レンズを含む。
【0030】
撮像素子35は、顕微鏡34によって拡大されたレーザービーム21の集光点を観察する。撮像素子35は、所定の視野範囲内を撮像し、視野範囲内のレーザービーム21の集光点を撮像する。撮像素子35は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を含む。第二の集光器33の焦点距離は、第一の集光器29の焦点距離と同一であるため、撮像素子35は、加工時に方向転換ミラー31によって反射されるレーザービーム21の集光点と同様の、レーザービーム21の集光点を疑似的に観察することができる。オペレータは、撮像素子35によって撮像された疑似的な加工点の画像を観察しながら、調整対象レンズ25等の光学部品の調整を行うことができる。
【0031】
観察ユニット30は、調整終了後に取り外してもよいし、調整終了後にも取り外さず、方向転換ミラー31が透過したレーザービーム21の漏れ光を観察してもよい。
【0032】
図1に示すように、X軸方向移動ユニット40は、チャックテーブル10と、レーザービーム照射ユニット20とを加工送り方向であるX軸方向に相対的に移動させるユニットである。X軸方向移動ユニット40は、実施形態において、チャックテーブル10をX軸方向に移動させる。X軸方向移動ユニット40は、実施形態において、レーザー加工装置1の装置本体2上に設置されている。
【0033】
X軸方向移動ユニット40は、X軸方向移動プレート14をX軸方向に移動自在に支持する。X軸方向移動ユニット40は、周知のボールねじ41と、周知のパルスモータ42と、周知のガイドレール43と、を含む。ボールねじ41は、軸心回りに回転自在に設けられる。パルスモータ42は、ボールねじ41を軸心回りに回転させる。ガイドレール43は、X軸方向移動プレート14をX軸方向に移動自在に支持する。ガイドレール43は、Y軸方向移動プレート15に固定して設けられる。
【0034】
Y軸方向移動ユニット50は、チャックテーブル10と、レーザービーム照射ユニット20とを割り出し送り方向であるY軸方向に相対的に移動させるユニットである。Y軸方向移動ユニット50は、実施形態において、チャックテーブル10をY軸方向に移動させる。Y軸方向移動ユニット50は、実施形態において、レーザー加工装置1の装置本体2上に設置されている。
【0035】
Y軸方向移動ユニット50は、Y軸方向移動プレート15をY軸方向に移動自在に支持する。Y軸方向移動ユニット50は、周知のボールねじ51と、周知のパルスモータ52と、周知のガイドレール53と、を含む。ボールねじ51は、軸心回りに回転自在に設けられる。パルスモータ52は、ボールねじ51を軸心回りに回転させる。ガイドレール53は、Y軸方向移動プレート15をY軸方向に移動自在に支持する。ガイドレール53は、装置本体2に固定して設けられる。
【0036】
Z軸方向移動ユニット60は、レーザービーム照射ユニット20の第一の集光器29によって集光されたレーザービーム21の集光点を、チャックテーブル10の保持面11に垂直な光軸方向に移動させるユニットである。より詳しくは、Z軸方向移動ユニット60は、チャックテーブル10と、レーザービーム照射ユニット20とを集光点位置調整方向であるZ軸方向に相対的に移動させる。Z軸方向移動ユニット60は、実施形態において、レーザービーム照射ユニット20をZ軸方向に移動させる。Z軸方向移動ユニット60は、実施形態において、レーザー加工装置1の装置本体2から立設した柱3に設置されている。
【0037】
Z軸方向移動ユニット60は、レーザービーム照射ユニット20のうち少なくとも第一の集光器29(
図2参照)をZ軸方向に移動自在に支持する。Z軸方向移動ユニット60は、周知のボールねじ61と、周知のパルスモータ62と、周知のガイドレール63と、を含む。ボールねじ61は、軸心回りに回転自在に設けられる。パルスモータ62は、ボールねじ61を軸心回りに回転させる。ガイドレール63は、レーザービーム照射ユニット20をZ軸方向に移動自在に支持する。ガイドレール63は、柱3に固定して設けられる。
【0038】
撮像ユニット70は、例えば、レーザービーム照射ユニット20の第一の集光器29の直上から下方を撮像するように配置されている。撮像ユニット70は、同軸カメラ、CCDカメラまたは赤外線カメラを含む。
【0039】
表示ユニット80は、液晶表示装置等により構成される表示部である。表示ユニット80は、例えば、加工条件の設定画面、撮像ユニット70が撮像した被加工物100の状態、加工動作の状態等を、表示面に表示させる。表示ユニット80は、例えば、撮像素子35が撮像したレーザービーム21の集光点の画像を、表示面に表示させる。
【0040】
表示ユニット80の表示面がタッチパネルを含む場合、表示ユニット80は、入力部を含んでもよい。入力部は、オペレータが加工内容情報を登録する等の各種操作を受付可能である。入力部は、キーボード等の外部入力装置であってもよい。表示ユニット80は、表示面に表示される情報や画像が入力部等からの操作により切り換えられる。表示ユニット80は、報知部を含んでもよい。報知部は、音および光の少なくとも一方を発してレーザー加工装置1のオペレータに予め定められた報知情報を報知する。報知部は、スピーカーまたは発光装置等の外部報知装置であってもよい。
【0041】
次に、実施形態に係る、レーザービーム21の観察方法について説明する。
図4は、実施形態に係るレーザービーム21の観察方法の流れを示すフローチャートである。レーザービーム21の観察方法は、準備ステップ201と、配設ステップ202と、観察ステップ203と、判定ステップ204と、を含む。
【0042】
準備ステップ201は、観察ユニット30を準備するステップである。すなわち、準備ステップ201では、チャックテーブル10の保持面11とは異なる方向にレーザービーム21を集光する第二の集光器33と、第二の集光器33によって集光されたレーザービーム21を拡大する顕微鏡34と、顕微鏡34によって拡大されたレーザービーム21の集光点を観察する撮像素子35と、を有する観察ユニット30を準備する。
【0043】
配設ステップ202は、準備ステップ201で準備した、観察ユニット30をレーザー発振器22から発振されたレーザービーム21を受光可能な位置に配設するステップである。実施形態の配設ステップ202では、ミラー24によって反射され、調整対象レンズ25を透過したレーザービーム21の光路上に、第二の集光器33、顕微鏡34、撮像素子35が並ぶように、観察ユニット30を配設する。この際、方向転換ミラー31は、ミラー24と第二の集光器33との間の光路上から取り外しておく。
【0044】
観察ステップ203は、レーザー発振器22から発振され撮像素子35に入射したレーザービーム21の集光点の状態を観察するステップである。観察ステップ203では、配設ステップ202で配設した観察ユニット30に向けて、レーザービーム21を照射する。観察ユニット30の筐体32内に入射したレーザービーム21は、第二の集光器33によって集光された集光点を、顕微鏡34によって拡大されて、撮像素子35によって撮像される。撮像素子35によって撮像されたレーザービーム21の集光点の画像は、例えば、オペレータが確認可能であるように、表示ユニット80の表示面に表示される。
【0045】
判定ステップ204は、観察ステップ203で観察されたレーザービーム21の集光点の状態の合否を判定するステップである。判定ステップ204では、例えば、撮像画像の集光点の形状および輝度分布等に基づいて、レーザービーム21の加工点におけるビーム形状および光度分布を判定する。判定ステップ204による判定は、例えば、レーザー加工装置1の制御部が判定してもよい。制御部は、例えば、撮像画像の集光点の形状および輝度分布が、予め設定された範囲内であるか否かを判定することによって、レーザービーム21の集光点の状態の合否を判定してもよい。
【0046】
判定ステップ204において、不合格と判定された場合、撮像素子35によって撮像されるレーザービーム21の集光点の撮像画像を確認しながら、調整対象レンズ25等の光学部品の調整を行う。判定ステップ204において、合格と判定された場合は、調整を終了する。
【0047】
〔変形例〕
次に、変形例に係るレーザー加工装置1-2の構成について図面に基づいて説明する。
図5は、変形例に係るレーザー加工装置1-2のレーザービーム照射ユニット20-2および観察ユニット30-2の構成を模式的に示す模式図である。変形例のレーザー加工装置1-2は、実施形態のレーザー加工装置1と比較して、レーザービーム照射ユニット20および観察ユニット30の代わりに、レーザービーム照射ユニット20-2および観察ユニット30-2を備える点で異なる。
【0048】
変形例のレーザービーム照射ユニット20-2は、実施形態のレーザービーム照射ユニット20と比較して、方向転換ミラー31を含まず、ミラー28を更に含む点で異なる。また、変形例の観察ユニット30-2は、実施形態の観察ユニット30と比較して、方向転換ミラー31-2を更に含む点で異なる。
【0049】
方向転換ミラー31-2は、レーザー発振器22とミラー28との間のレーザービーム21の光路上に着脱自在に配置される。方向転換ミラー31-2は、変形例において、調整対象レンズ25とミラー28との間のレーザービーム21の光路上に着脱自在に配置される。方向転換ミラー31-2は、変形例において、筐体32の内部に取り付けられる。
【0050】
方向転換ミラー31-2は、レーザー発振器22とミラー28との間のレーザービーム21の光路上に配置されている場合、調整対象レンズ25を透過したレーザービーム21を反射して、第二の集光器33および顕微鏡34を介して撮像素子35に入射させる。方向転換ミラー31-2がレーザー発振器22とミラー28との間のレーザービーム21の光路上から取り外されている場合、調整対象レンズ25を透過したレーザービーム21は、ミラー28に入射する。
【0051】
ミラー28は、ミラー24に反射され、調整対象レンズ25を透過したレーザービーム21を、チャックテーブル10の保持面11に保持した被加工物100に向けて反射する。なお、ミラー28には、方向転換ミラー31-2がレーザー発振器22とミラー28との間のレーザービーム21の光路上から取り外されている場合に、レーザービーム21が入射する。
【0052】
以上説明したように、実施形態および変形例に係るレーザー加工装置1、1-2は、ダミーの集光器(第二の集光器33)と、このダミーの集光器によって集光されたレーザービーム21を拡大して観察する光学系と、によって、加工を施すことなく加工点と同じ状態のレーザービーム21の観察ができる。したがって、調整用の被加工物100を準備する手間や加工工数を削減できる。また、加工時に被加工物100から生じたデブリが、調整中に光学部品に付着することを抑制することができる。更に、レーザービーム21を観察しながら調整を実施することで、調整段階でレーザービーム21の異常に気付くことができるため、手戻りを防ぐことができるという効果を奏する。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
1、1-2 レーザー加工装置
10 チャックテーブル
11 保持面
20、20-2 レーザービーム照射ユニット
21 レーザービーム
22 レーザー発振器
23、24、28 ミラー
25 調整対象レンズ
26 取付け板
29 第一の集光器
30、30-2 観察ユニット
31、31-2 方向転換ミラー
32 筐体
33 第二の集光器
34 顕微鏡
35 撮像素子
100 被加工物