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特許7550215回転式磁気ハウジングを利用したチューニング可能な均一性制御
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】回転式磁気ハウジングを利用したチューニング可能な均一性制御
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240905BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240905BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H05H1/46 M
H01L21/31 C
H01L21/302 101B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022510085
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2020046470
(87)【国際公開番号】W WO2021034698
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】62/888,346
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴットハイム, サミュエル イー.
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アビジート
(72)【発明者】
【氏名】マンナ, プラミット
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタサブラマニアン, エスワラナンド
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン, ティモシー ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイウッド, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ガーナー, スティーブン シー.
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-100716(JP,A)
【文献】特開2008-300815(JP,A)
【文献】特開2008-282790(JP,A)
【文献】特開2003-234331(JP,A)
【文献】特開平06-053177(JP,A)
【文献】特開昭63-244615(JP,A)
【文献】特開2001-156044(JP,A)
【文献】特開平07-263413(JP,A)
【文献】特開平07-288195(JP,A)
【文献】特開平08-330281(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0010454(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0293389(US,A1)
【文献】特表2022-506256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/3065,21/31
C23C 14/35,16/505
H01J 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ本体内に配置された基板支持体上に基板を配置することと、
前記チャンバ本体内に配置された電極にRF電力を印加してプラズマを生じさせることと、
複数の磁石を含む回転式磁気ハウジングの磁石が前記チャンバ本体周りの経路を移動するように前記チャンバ本体の外側周りに前記回転式磁気ハウジングをある回転速度で回転させることと
を含み
前記複数の磁石のそれぞれが、各磁石の間にピッチを有するように、対応する保持ブラケット内に取り外し可能に保持され、前記保持ブラケットは、前記チャンバ本体に対して半径方向に沿った軌道に結合されて、該軌道上を動くように作動させられ、
前記チャンバ本体に結合された取付板上に取り付けられたハウジングリフトシステムによって、前記回転式磁気ハウジングを上げ下げして、前記複数の磁石のそれぞれの中心を通って形成された平面から前記基板までの間隔に対応する垂直間隔を調整することをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記複数の磁石のそれぞれが、前記チャンバ本体の中心軸からある水平間隔を空けている、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記回転速度、前記ピッチ、または前記水平間隔のうちの少なくとも1つを調整することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
1つまたは複数の気体が前記チャンバ本体の処理空間に供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の気体がディフューザを通して前記処理空間に供給され、容量結合プラズマが前記基板支持体と前記ディフューザとの間に生じる、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記回転式磁気ハウジングの第1の半片の前記磁石が、前記回転式磁気ハウジングの中央開口に向く正極を有し、前記回転式磁気ハウジングの第2の半片の前記磁石が、前記中央開口と反対を向く負極を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記回転式磁気ハウジングが駆動システムに結合され、前記駆動システムが、
ベルトに結合されたモータを備え、前記ベルトが前記回転式磁気ハウジング周りに配置されるようになっており、前記ベルトには複数の突起があり、各突起が前記回転式磁気ハウジングの外側側壁の複数の溝のうちの1つの溝に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記チャンバ本体内における前記プラズマの密度プロファイルのピーク位置を、前記基板の中央からずらすような強さおよび/または極性の組合せで、前記複数の磁石を配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
チャンバ本体内に配置された基板支持体上に基板を配置することと、
前記チャンバ本体にプラズマを生じさせることと、
複数の磁石を含む回転式磁気ハウジングの磁石が前記チャンバ本体周りの円形路を移動するように前記チャンバ本体の外側周りに前記回転式磁気ハウジングを回転させることと
を含み
前記回転式磁気ハウジングが、ベルトに結合されたモータを備える駆動システムに結合され、前記ベルトが前記回転式磁気ハウジング周りに配置され、前記ベルトには複数の突起があり、各突起が前記回転式磁気ハウジングの外側側壁の複数の溝のうちの1つの溝に対応し、
前記チャンバ本体に結合された取付板上に取り付けられたハウジングリフトシステムによって、前記回転式磁気ハウジングを上げ下げして、前記複数の磁石のそれぞれの中心を通って形成された平面から前記基板までの間隔に対応する垂直間隔を調整することをさらに含む、方法。
【請求項10】
前記回転式磁気ハウジングの回転速度、前記複数の磁石の各磁石間のピッチ、または、前記チャンバ本体の中心軸までの前記複数の磁石の半径方向間隔のうちの少なくとも1つを調整することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の磁石の各磁石が、各磁石の間にピッチを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の磁石の各磁石が、前記チャンバ本体に対して半径方向に沿った軌道に結合された保持ブラケット内に配置され、前記保持ブラケットが前記軌道上を動くように作動させられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記回転式磁気ハウジングの第1の半片の前記磁石が、前記回転式磁気ハウジングの中央開口に向く正極を有し、前記回転式磁気ハウジングの第2の半片の前記磁石が、前記中央開口と反対を向く負極を有する、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記チャンバ本体内における前記プラズマの密度プロファイルのピーク位置を、前記基板の中央からずらすような強さおよび/または極性の組合せで、前記複数の磁石を配置することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、生じたプラズマの性質を制御する回転式磁気ハウジングシステム、およびそれを利用した方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
関連技術の相互参照
プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)は、一般に半導体ウエハなどの基板上に膜を堆積させるのに採用される。プラズマエッチングは、一般に基板に堆積した膜をエッチングするのに採用される。PECVDとプラズマエッチングは、基板が入っている処理チャンバの処理空間に1つまたは複数の気体を導入することで達成される。1つまたは複数の気体は、チャンバの上面付近にあるディフューザで混合され、ディフューザの複数の孔またはノズルを通して処理空間に投入される。PECVDおよびプラズマエッチングの間、処理空間内の1つまたは複数の気体の混合物は、チャンバに結合された1つまたは複数のRF源からチャンバに高周波(RF:Radio Frequency)エネルギを印加することによってプラズマを生じさせるエネルギが与えられる(例えば、励起される)。処理空間にある1つまたは複数の気体の混合物の原子がイオン化され、電子を放出するような電場が処理空間に起こされる。PECVDでは、基板支持体に加速したイオン化原子によって、基板上の膜の堆積が促進される。プラズマエッチングでは、基板支持体に加速したイオン化原子によって、基板に堆積した膜のエッチングが促進される。
【0003】
処理空間に生じたプラズマには、密度プロファイルなどの性質がある。密度プロファイルが非均一であると、基板上の膜の堆積またはエッチングが非均一になる可能性がある。具体的には、プラズマの密度プロファイルは、基板表面にわたる膜の堆積厚やエッチプロファイルに影響を与える。したがって、当技術分野で必要とされているのは、処理チャンバの処理空間に生じるプラズマの性質を制御する方法である。
【発明の概要】
【0004】
ある実施形態において、方法を提供する。この方法は、処理システムのチャンバ本体に基板を配置することを含む。処理システムは、チャンバ本体内に配置された基板支持体および回転式磁気ハウジングを備える。基板は、電極が配置されている基板支持体に配置されている。回転式磁気ハウジングは、チャンバの外側に配置され、円形中央開口を画定する。回転式磁気ハウジングには複数の磁石が配置されている。RF電力を電極に供給し、チャンバ本体内にプラズマを生じさせる。磁石のそれぞれがチャンバ本体周りの円形路を移動するように円形中央開口を中心に回転式磁気ハウジングが回転する。
【0005】
別の実施形態において、方法を提供する。この方法は、処理システムのチャンバ本体に基板を配置することを含む。処理システムは、チャンバ本体内に配置された基板支持体、基板支持体内部に配置された電極、および回転式磁気ハウジングを備える。基板は、基板支持体に配置されている。回転式磁気ハウジングは、チャンバの外側に配置され、円形中央開口を画定する。回転式磁気ハウジングには複数の磁石が配置されている。磁石のそれぞれは、基板からある垂直間隔を空けている。垂直間隔は、磁石のそれぞれの中心を通って形成された平面から基板までの間隔に相当する。電極にRF電力を与え、チャンバ本体にプラズマを生じさせる。磁石のそれぞれがチャンバ本体周りの円形路を移動するように円形中央開口を中心に回転式磁気ハウジングが回転する。回転式磁気ハウジングまたは基板支持体のうちの少なくとも1つを上げるかまたは下げて、基板からの磁石の垂直間隔を変える。
【0006】
別の実施形態において、方法を提供する。この方法は、処理システムのチャンバ本体に基板を配置することを含む。処理システムは、チャンバ本体内に配置された基板支持体、基板支持体内部に配置された電極、および回転式磁気ハウジングを備える。基板は、基板支持体に配置されている。回転式磁気ハウジングは、チャンバの外側に配置され、円形中央開口を画定する。回転式磁気ハウジングには複数の磁石が配置されている。複数の磁石の各磁石は、複数の磁石の各磁石間に、あるピッチを空けた状態で、回転式磁気ハウジングの対応する保持ブラケット内に取り外し可能に保持される。磁石のそれぞれは、基板からある垂直間隔を空けている。この垂直間隔は、磁石のそれぞれの中心を通って形成された平面から基板までの間隔に相当する。磁石のそれぞれは、チャンバ本体の中心軸からある水平間隔を空けている。電極にRF電力を与え、チャンバ本体にプラズマを生じさせる。磁石のそれぞれがチャンバ本体周りの円形路を移動するように円形中央開口を中心に回転式磁気ハウジングが回転する。回転速度、ピッチ、垂直間隔、または水平間隔のうちの少なくとも1つが調整される。
【0007】
本開示の上で挙げた特徴を詳しく理解することができるように、その一部を添付図面に示している実施形態について述べることによって、上で簡単にまとめた本開示をより具体的に説明することができる。しかし、添付図面が例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、その範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の同様に有効な実施形態を認めることができる、ということに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】ある実施形態による、チャンバの外側に配置された回転式磁気ハウジングを有する回転式磁気ハウジングシステムを有する、プラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバの概略断面図である。
図1B】ある実施形態による、回転式磁気ハウジングシステムの概略上面図である。
図1C】ある実施形態による、チャンバの外側に配置された電磁石ハウジングを有する電磁石ハウジングシステムを有する、PECVDチャンバの概略断面図である。
図1D】ある実施形態による、電磁石ハウジングシステムの概略上面図である。
図1E】ある実施形態による、電磁石システムを有するPECVDチャンバの概略断面図である。
図2】ある実施形態による、処理チャンバの処理空間に形成されたプラズマの密度プロファイルを制御する方法の流れ図である。
図3A】実施形態による、処理空間内のプラズマの密度プロファイルを示すグラフである。
図3B】実施形態による、処理空間内のプラズマの密度プロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
分かりやすいように、図に共通している同一の要素を示すのに、可能な限り同一の参照番号を使用している。ある実施形態の要素および特徴が、それ以上詳述することなく、他の実施形態に有益に組み込まれ得る、ということが意図されている。
【0010】
本明細書に記載の実施形態では、膜の堆積性に影響を及ぼすような処理チャンバの処理空間に生じたプラズマの特性を制御する磁気ハウジングシステム、電磁ハウジングシステム、および方法を提供する。ある実施形態において、この方法は、処理空間の中心軸を中心とした回転式磁気ハウジングの回転により、動的磁場を生み出すことを含む。この磁場が、プラズマの形状、イオンおよびラジカルの濃度、またイオンおよびラジカルの濃度推移を修正し、プラズマの密度プロファイルを制御する。プラズマの密度プロファイルを制御することで、堆積膜やエッチング膜の均一性および性質がチューニングされる。
【0011】
図1A図1C、および図1Eは、プラズマ化学気相堆積(PECVD)システムなど、様々な実施形態による、処理システム100の概略断面図である。システム100のある例として、カリフォルニア州サンタクララに所在するApplied Materials,lnc製のPRODUCER(登録商標)システムがある。以下に述べるシステムが例示的なチャンバであり、他の製造元からのシステムを含む他のシステムが、本開示の態様を達成するために、一緒に使用されても、修正されてもよい、ということを理解されたい。システム100は、チャンバ101a(例えば、第1のチャンバ)、およびチャンバ101b(例えば、第2のチャンバ)を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、チャンバ101aと101bとが、リソースを共有する。例えば、チャンバ101a、101bは、少なくとも1つまたは複数のガス源144、取付板112、およびポンプ150を共有し得る。チャンバ101aと101bとは、同様に構成されている。しかし、チャンバ101a、101bのそれぞれが専用のリソースを有することも、意図されている。
【0012】
図1Aの実施形態において、それぞれのチャンバ101a、101bは、チャンバ101a、101bの外側に配置された回転式磁気ハウジング104を有する回転式磁気ハウジングシステム102を有する。図1Cの実施形態において、それぞれのチャンバ101a、101bは、チャンバ101a、101bの外側に配置された電磁石ハウジング172を有する電磁石ハウジングシステム170を有する。図1Eの実施形態において、それぞれのチャンバ101a、101bには、チャンバリッドアセンブリ108のスペーサ114に電磁石システム171が配置されている。チャンバ101aの態様を述べているが、チャンバ101bも同様に装備されている、ということを理解されたい。図1A図1C、および図1Eでは、分かりやすいように、チャンバ101bに関しては、参照番号を省略していることがある。
【0013】
チャンバ101a、101bは、チャンバ本体アセンブリ106、およびチャンバリッドアセンブリ108を有する。図1Aおよび図1Cの実施形態のチャンバ本体アセンブリ106は、取付板112に結合されたチャンバ本体110を含む。図1Aおよび図1Cの実施形態のチャンバリッドアセンブリ108は、取付板112に結合された第1のフランジ118を有するスペーサ114と、スペーサ114の第2のフランジ120に結合されたチャンバリッド116とを含む。図1Eの実施形態のチャンバリッドアセンブリ108は、チャンバ本体110に結合された第1のフランジ118を有するスペーサ114と、スペーサ114の第2のフランジ120に結合されたチャンバリッド116とを含む。チャンバリッド116は、ガス分配アセンブリ122を含む。ガス分配アセンブリ122は、その間に処理空間126を画定する基板支持アセンブリ124に対向して位置付けられる。図1Aおよび図1Cの実施形態の処理空間126は、チャンバリッド116、スペーサ114の内壁128、取付板112、およびチャンバ本体110によってさらに画定される。図1Eの実施形態の処理空間126は、チャンバリッド116、スペーサ114の内壁128、およびチャンバ本体110によってさらに画定される。
【0014】
基板支持アセンブリ124は、処理空間126内に配置されている。基板支持アセンブリ124は、基板支持体130およびステム132を含む。基板支持体130には、基板165を支える支持面134がある。基板支持体130は、通常、加熱素子(図示せず)を含む。基板支持体130は、ステム132が基板支持体駆動システム136に接続されるチャンバ本体110を貫通して延在するステム132によって、処理空間126に可動に配置されている。基板支持体駆動システム136は、基板支持体130を、チャンバ本体110を貫通して形成されたスリットバルブ138を通して、処理空間126への基板移送、また処理空間からの基板移送を容易にする、上がった処理位置(図示の通り)と下がった位置との間で動かす。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、基板支持体駆動システム136は、ステム132および基板支持体130を回転させる。
【0015】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、ガス分配アセンブリ122が、チャンバ101a、101bの処理空間126に気体を均一に分配して、基板支持アセンブリ124の基板支持体130に位置付けられた基板165上の先端パターニング膜などの膜の堆積を促進するように構成されている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る別の実施形態において、ガス分配アセンブリ122が、チャンバ101a、101bの処理空間126に気体を均一に分配して、基板支持アセンブリ124の基板支持体130に位置付けられた基板165に堆積した先端パターニング膜などの膜のエッチングを促進するように構成されている。
【0016】
ガス分配アセンブリ122は、1つまたは複数のガス源144に結合された流量コントローラ142からの気体を、ハンガー板148から吊り下げられたディフューザ146を通して送達する気体入口通路140を含む。ディフューザ146には、複数の孔またはノズル(図示せず)があり、これを通して、処理中に気体混合物が処理空間126に投入される。処理空間126内の圧力を制御し、処理空間126から副産物を排出するように、チャンバ本体110の出口152にポンプ150が結合される。ガス分配アセンブリ122のディフューザ146をRFリターン(または接地)に接続することができ、基板支持体130に印加されたRFエネルギによって、基板165の処理時にプラズマを生じさせるのに使用される電場を処理空間126内に起こすのを可能にする。
【0017】
RF源154は、ステム132を貫通して配置された導電性ロッド158を通して、基板支持体130内に配置された電極156に結合される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、電極156が、電極156の電圧、電流、およびインピーダンスなどの電気的特性を調整するマッチ回路と、その電気的特性を測定するセンサとを有するマッチボックス163を通してRF源154に接続される。マッチ回路は、センサからの信号に応答して、電圧、電流、またはインピーダンスの調整を容易にすることができる。RFリターンに接続されているガス分配アセンブリ122のディフューザ146と電極156とは、容量プラズマ結合の形成を促進する。RF源154は、RFエネルギを基板支持体130に与え、基板支持体130とガス分配アセンブリ122のディフューザ146との間の容量結合プラズマの発生を促進する。RF電力が電極156に供給されると、基板支持体130とディフューザ146との間の処理空間126にある気体の原子がイオン化されて電子を放出するような電場が、ディフューザ146と基板支持体130との間に起こる。基板支持体130に加速したイオン化原子により、基板支持体130に位置付けられた基板165の膜の堆積またはエッチングが促進される。
【0018】
図3Aに示すように、プラズマには、処理空間126に密度プロファイル301がある。密度プロファイル301は、処理空間126内の水平面167上の位置304におけるイオン密度302(ions/au)に相当する。密度プロファイル301は、イオン密度の最大値305に相当するピーク303と、プラズマの直径に相当する幅307とを含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、本明細書に記載の回転式磁気ハウジングシステム102、電磁石ハウジングシステム170、および電磁石システム171のうちの1つと方法が、プラズマの密度プロファイル301を制御して、堆積膜またはエッチング膜の均一性および性質をチューニングすることをもたらす。性質の一例としては、堆積膜の局所応力ベクトルが挙げられる。本明細書にさらに記載の実施形態によっては、プラズマの密度プロファイル301の制御により、応力ベクトルの分布がほぼ均一である堆積膜をもたらすように局所応力ベクトルがチューニングされる。図1Aの実施形態において、磁石の回転速度、磁石の強さ(ガウス)、および磁石の垂直位置が、プラズマの密度プロファイルにおける対応する調整を容易にするように調整され得る。図1Cの実施形態において、電磁石の電流の流れ、電磁石の強さ(ガウス)、および電磁石の垂直位置が、プラズマの密度プロファイルにおける対応する調整を容易にするように調整され得る。図1Eの実施形態において、電磁石の電流の流れおよび電磁石の強さが、プラズマの密度プロファイルにおける対応する調整を容易にするように調整され得る。例えば、基板に対するプラズマの垂直位置、プラズマの密度プロファイルのピーク位置、または基板に対する特定の位置でのイオン密度の値のうちの1つまたは複数に対して調整を行うことができる。
【0019】
図1Aに示す通り、チャンバ101a、101b、および回転式磁気ハウジングシステム102に結合されたコントローラ164は、処理中にチャンバ101a、101b、および回転式磁気ハウジングシステム102のアスペクトを制御するように構成されている。図1Cに示す通り、チャンバ101a、101b、および電磁石ハウジングシステム170に結合されたコントローラ164は、処理中にチャンバ101a、101b、および電磁石ハウジングシステム170のアスペクトを制御するように構成されている。図1Eに示す通り、チャンバ101a、101b、および電磁石システム171に結合されたコントローラ164は、処理中にチャンバ101a、101b、および電磁石システム171のアスペクトを制御するように構成されている。
【0020】
図3Aに示す通り、磁石143のうちの1つと電磁石の芯材料と(図1Cおよび図1Eに示す)の強さにより、処理空間126内のプラズマの密度プロファイル301が圧縮され、プラズマのシースがチャンバ本体110の側壁へ及ぶ。プラズマの密度プロファイル301を圧縮すると、均一な堆積プロファイルに向けて、基板165にわたるイオンおよびラジカルの濃度がより均一になることにつながる(基板上の相対的な高さにおいて)。さらに、密度プロファイル301の圧縮は、プラズマシースをチャンバ本体110の側壁に向かって半径方向外側に及ぼす。プラズマのシースをチャンバ本体110の側壁まで及ぼすことにより、RFエネルギが側壁から接地に伝播するのに短く対称的な路がもたらされる。RFエネルギが側壁から接地に伝播する路により、電流の流れが改善され、効率の向上により、基板支持体130の電極156が必要とする電流量が減る。電極156が必要とする電流量が減ることで、効率の向上により、電極156により多くの電圧を送達することが可能になる。電圧増加は、基板165のイオンまたはラジカルのボンバードメントの増加に向けてのプラズマシースのより大きなイオン化をもたらす。基板165のイオンまたはラジカルのボンバードメントの増加により、堆積対象またはエッチング対象の膜の応力が弱くなる。さらに、密度プロファイル301の圧縮およびプラズマシースの拡張は、堆積膜またはエッチング膜の応力ベクトルのほぼ均一な分布をもたらす。
【0021】
図1Bには、回転式磁気ハウジングシステム102の概略上面図を示す。図1Aおよび図1Bを参照すると、回転式磁気ハウジングシステム102には、処理空間126の中心軸103を中心に回転して、静的磁場または動的磁場を生み出すように構成された回転式磁気ハウジング104が含まれる。この磁場が、プラズマの形状、イオンおよびラジカルの濃度、またイオンおよびラジカルの濃度推移を修正し、処理空間126内のプラズマの密度プロファイル301を制御する。
【0022】
回転式磁気ハウジング104を有する回転式磁気ハウジングシステム102は、チャンバ101a、101bの外側に配置されている。回転式磁気ハウジングシステム102は、上板105、上板105に対向して配置された下板107、内側側壁109、内側側壁109に対向して配置された外側側壁113、ハウジングリフトシステム168、およびハウジング駆動システム115を備える。内壁128が、円形中央開口を画定している。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、上板105、下板107、またはスペーサ114のうちの少なくとも1つには、回転式磁気ハウジング104の温度プロファイルを制御する熱交換器(図示せず)に接続された1つまたは複数のチャネル(図示せず)がある。スペーサ114の外壁162は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの高分子材料から成る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、外壁162は、高分子材料の薄板である。スペーサ114の外壁162の高分子材料により、回転式磁気ハウジング104は、処理空間126の中心軸103を中心にスペーサ114周りを回転することができる。
【0023】
回転式磁気ハウジング104は、複数の保持ブラケット129を含む。複数の保持ブラケット129の各保持ブラケットは、各保持ブラケット129間に間隔dを空けて回転式磁気ハウジング104に配置されている。複数の保持ブラケット129により、複数の磁石143を、回転式磁気ハウジング104に配置することも回転式磁気ハウジング104から取り外すことも可能になる。ある実施形態において、複数の磁石143の各磁石143が、複数の磁石143の各磁石143間にピッチpを空けた状態で、保持ブラケット129に保持される。ピッチpは、複数の磁石143のうちのそれぞれ隣り合う磁石143間の間隔に相当する。回転式磁気ハウジング104を回転させることによって起こった磁場がピッチpによりチューニングされる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、保持ブラケット129のそれぞれが、軌道131に結合されている。保持ブラケット129のそれぞれが、半径方向に軌道131に沿ってスライドして、磁石143のそれぞれから処理空間126の中心軸103までの水平間隔133を変えるように動作可能であるように、保持ブラケット129を作動させる。
【0024】
図1Cに示す通り、電磁石ハウジング172を有する電磁石ハウジングシステム170がチャンバ101a、101bの外側に配置されている。電磁石ハウジング172は、上板173、上板173に対向して配置された下板174、内側側壁176、内側側壁176に対向して配置された外側側壁175、およびハウジングリフトシステム168を備える。内壁128が、円形中央開口を画定している。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、上板173、下板174、またはスペーサ114のうちの少なくとも1つには、電磁石ハウジング172の温度プロファイルを制御する熱交換器(図示せず)に接続された1つまたは複数のチャネル(図示せず)がある。導電線178が電磁石ハウジング172に配置され、1回または複数回スペーサ114にコイル巻きされ、スペーサ114に外接する1つの電磁石を成す。電源180が、処理空間126周りの円形路において電流を流す導電線178に結合されている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、導電線178の少なくとも一巻きが、軌道181に結合されている。軌道181のうちの1つに結合された導電線178の各一巻きが、半径方向に軌道181に沿ってスライドして、導電線178から処理空間126の中心軸103までの水平間隔133を変えるように動作可能であるように軌道181を作動させる。図1Eに示す通り、導電線178がスペーサ114に配置され、処理空間126に1回または複数回コイル巻きされている。
【0025】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る図1Bに示す通りのある実施形態では、回転式磁気ハウジング104の第1の半片137(例えば、ほぼ180度に及ぶ)の磁石143は、そのN極141が処理空間126に向き、回転式磁気ハウジング104の第2の半片139(例えば、ほぼ180度に及ぶ)の磁石143は、そのS極145が処理空間126と反対に向く。図3Bに示す通り、磁石143が互いに逆向きの第1の半片137と第2の半片139とが、密度プロファイル301のピーク303のずれをもたらす。磁石143の互いに逆の極性は、磁石143によってもたらされたB場を歪める。B場の歪みにより、密度プロファイル301のピーク303がずれる。ピーク303のずれは、プラズマシースのずれに対応する。回転式磁気ハウジング104の回転により、歪んだプラズマシースのイオンおよびラジカルに対する基板165のより均一な露出が促進される。
【0026】
回転式磁気ハウジング104は、ハウジング駆動システム115に結合される。ハウジング駆動システム115は、ベルト147およびモータ149から成る。回転式磁気ハウジング104には、複数の溝151が回転式磁気ハウジング104の外側側壁113に形成されている。複数の溝151の各溝は、ベルト161の複数の突起155のうちの1つの突起155に対応する。ベルト161は、回転式磁気ハウジング104周りに配置されるように構成され、ブラシレスDC電動モータなどのモータ149に結合される。ハウジング駆動システム115は、ある回転速度で処理空間126の中心軸103を中心に回転式磁気ハウジング104を回転させるように構成されている。この回転速度により、修正済み磁場からもたらされる基板165の電流が制御される。ある例では、チャンバ101a、101bのそれぞれが別々のハウジング駆動システム115を含む、ということが意図されている。別の例では、チャンバ101a、101bのそれぞれがハウジング駆動システム115を共有する、ということが意図されている。
【0027】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る図1Cおよび図1Eの実施形態によっては、導電線178には、導電線178の芯材に空隙の少なくとも1つがあり、芯材の断面積には、ばらつきがあり、導電線178の各巻き間の間隔にも、ばらつきがある。導電線178の第1の半片(例えば、ほぼ180度に及ぶ)の芯材には、導電線178の第2の半片(例えば、ほぼ180度に及ぶ)よりも空隙が多い可能性がある。導電線178の第1の半片の芯材の断面積は、導電線178の第2の半片の断面積より大きい可能性がある。第1の半片の導電線178の各巻き間の間隔は、第2の半片の導電線178の各巻き間の間隔よりも狭い可能性がある。導電線178の空隙、断面積、または各巻き間の間隔のうちの少なくとも1つの調整により、導電線178を流れる電流によりもたらされたB場が歪む。電流円環流により、歪んだプラズマシースのイオンおよびラジカルに対する基板165のより均一な露出が促進される。
【0028】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る図1Cおよび図1Eの他の実施形態では、電磁石ハウジング172(図1C)および電磁石システム171(図1E)は、2つ以上の導電線178を含む。電磁石ハウジング172の導電線178のそれぞれは、電磁石ハウジング172のそれぞれの部分に配置されている。電磁石システム171の導電線178のそれぞれは、スペーサ114のそれぞれの部分に配置されている。電源180(図1Dに示す際には180a、180b、180c、および180d)は、導電線178のそれぞれに別々に結合される。電気的であるように動作可能な電源180は、コントローラ164に接続可能である。コントローラ164は、電源180のそれぞれを連続して入り切りし、また電源180のそれぞれを同時に入り切りして、導電線178のそれぞれへの電力の供給を制御するように動作可能である。電源180のそれぞれを同時に切ることによって、電磁石によってもたらされた磁場のシャンティングが可能になる。ある例では、第1の導電線が、半円状に1回または複数回コイル巻きされ、処理空間126の第1の半片に対応する、電磁石ハウジング172(図1C)の第1の半片またはスペーサ114(図1E)に配置され、第1の電磁石を成す。第2の導電線が、半円状に1回または複数回コイル巻きされ、処理空間126の第2の半片に対応する、電磁石ハウジング172(図1C)の第2の半片またはスペーサ114(図1E)に配置され、第2の電磁石を成す。第1の電磁石の極性と第2の電磁石の極性とが逆であってもよい。
【0029】
図1Dの電磁石ハウジングシステム170の概略上面図に示す通り、ある例において、第1の導電線178aが90度以下の角度弧を呈する半円状に1回または複数回コイル巻きされ、処理空間126の第1の四分円126aに対応する電磁石ハウジング172の第1の四分円179aに配置され、第1の電磁石を成す。第2の導電線178bが90度以下の角度弧を呈する半円状に1回または複数回コイル巻きされ、処理空間126の第2の四分円126bに対応する電磁石ハウジング172の第2の四分円179bに配置され、第2の電磁石を成す。第3の導電線178cが90度以下の角度弧を呈する半円状に1回または複数回コイル巻きされ、処理空間126の第3の四分円126cに対応する電磁石ハウジング172の第3の四分円179cに配置され、第3の電磁石を成す。第4の導電線178dが90度以下の角度弧を呈する半円状に1回または複数回コイル巻きされ、処理空間126の第4の四分円126dに対応する電磁石ハウジング172の第4の四分円179dに配置され、第4の電磁石を成す。第1、第2、第3、および第4の電磁石の極性は、交互に変わる極性であり得る。
【0030】
ハウジング駆動システム115および回転式磁気ハウジング104がハウジングリフトシステム168に結合される。ハウジング駆動システム115と回転式磁気ハウジング104とをつなぎ合わせることで、基板165に対する回転式磁気ハウジング104の垂直調整がやりやすくなる。電磁石ハウジング172をハウジングリフトシステム168に結合することで、基板165に対する電磁石ハウジング172の垂直調整がやりやすくなる。例えば、磁石143のそれぞれの中心を通って形成された平面から基板165までで画定された垂直間隔135を広げるか狭めるかして、対応するチャンバ101aまたは101b内に維持されたプラズマの性質を調整することができる。例えば、導電線178の中心を通って形成された平面で画定された垂直間隔182を広げるか狭めるかして、対応するチャンバ101aまたは101b内に維持されたプラズマの性質を調整することができる。ハウジングリフトシステム168は、回転式磁気ハウジング104とハウジング駆動システム115とを同時に上げ下げするように動作可能であるが、別々の作動も意図されている。基板165から垂直間隔135、182だけ上げ下げすることにより、プラズマシースから基板165までの間隔を調整し、それにより、堆積膜またはエッチング膜の均一性と応力などの性質とを制御するようにイオンおよびラジカルの濃度推移を制御する。垂直作動を容易にするために、ハウジングリフトシステム168には、取付板112に対する垂直作動を容易にする、電動モータ、ステッパモータ、寸切りボルト付きスクリュードライバなど、1つまたは複数のアクチュエータを含めることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、モータ149がマウント157によってハウジングリフトシステム168に結合される。
【0031】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、外側側壁113、117の厚みは、厚み159である。外側側壁113、175の材料および厚み159により、外側側壁113、175の透磁率を制御することによって、処理空間126への磁場の閉じ込めをもたらす。図1Eに示す通り、導電線178と位置が揃い、スペーサ114の外壁162に結合されたシールド184の材料および厚みにより、処理空間126への磁場の閉じ込めがもたらされる。処理空間126への磁場の閉じ込めによって、隣り合う処理チャンバの近くの処理空間に対する磁場の影響が和らげられ、それにより、処理の均一性が高められる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態において、図1Aおよび図1Cに示す通り、チャンバ101a、101bが、上げ下げするように動作可能である作動式シールド186を含み、この作動式シールド186は、その本体188の開口190が、導電線178および磁石143のうちの1つと位置が揃うようなものである。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る別の実施形態において、図1Eに示す通り、チャンバ101a、101bが、シールド192を含み、シールド192の本体194の開口196は、導電線と位置が揃う。作動式シールド186およびシールド192の材料および厚みにより、処理空間126への磁場の閉じ込めがもたらされる。
【0032】
図2は、処理チャンバの処理空間126に形成されたプラズマの密度プロファイル301を制御する方法200の流れ図である。説明の便宜上、図2は、図1A~1Eに関連して説明することにする。しかし、システム100以外の処理システムが方法200と併用されてもよい、ということに留意すべきであり、また回転式磁気ハウジングシステム102以外の磁気ハウジングアセンブリが方法200と併用されてもよい、ということに留意すべきである。
【0033】
作業201において、基板165が基板支持体130の支持面134に配置されている。ある実施形態において、基板が、チャンバ本体110を貫通して形成されたスリットバルブ138を通してチャンバ101a、101bに送り込まれ、基板支持体130に配置されている。次に、基板支持体130が、基板支持体駆動システム136によって、処理空間126における上がった処理位置に上げられる。
【0034】
作業202において、1つまたは複数の気体が、ある流量で、チャンバ101a、101bの処理空間126に供給される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態では、流量コントローラ142が、1つまたは複数の気体を1つまたは複数のガス源144からディフィーザ146に送達する。1つまたは複数の気体混合物がディフューザ146の複数の孔またはノズルを通して処理空間126に投入される。ある実施形態において、1つまたは複数の気体が、ディフューザ146に途切れなく供給され、ディフューザ146で混合され、処理空間126に投入される。別の実施形態では、ポンプ150が処理空間内の圧力を維持する、図1Aには、チャンバ101aにも101bにも結合されるとしてポンプ150を示しているが、チャンバ101a、101bのそれぞれが別々のポンプ150を利用してもよいことが意図されている。
【0035】
作業203において、1つまたは複数の気体の混合物にRF電力が印加される。ある実施形態において、RF源154が、RFエネルギを基板支持体130に与え、基板支持体130とガス分配アセンブリ122のディフューザ146との間に容量結合プラズマの発生を促進する。RF電力が電極156に供給され、ディフューザ146と基板支持体130との間に、基板支持体130とディフューザ146との間の処理空間126にある気体の原子がイオン化され、電子を放出するような電場が起こる。イオン化原子が基板支持体130に加速し、基板支持体130に位置付けられた基板165上の膜の堆積または膜のエッチングを促進する。
【0036】
作業204において、処理空間126に形成されたプラズマの密度プロファイル301が調整される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態では、回転式磁気ハウジングシステム102の回転式磁気ハウジング104が、処理空間126の中心軸103を中心にハウジング駆動システム115を介して、ある回転速度で回転する。回転速度、磁石143のそれぞれから中心軸103までの水平間隔133、または磁石143のそれぞれの中心から基板165までの垂直間隔135のうちの少なくとも1つが作業204中に調整され得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態では、円形路にある導電線178に電流が印加される。垂直間隔135が、回転式磁気ハウジング104または基板支持体130のうちの少なくとも1つを上げ下げすることによって調整され得る。回転式磁気ハウジング104が動的磁場を生み出す。磁場が、プラズマの形状、イオンおよびラジカルの濃度、またイオンおよびラジカルの濃度推移を修正し、プラズマの密度プロファイル301、イオン密度302、および直径を制御する。プラズマの密度プロファイル301、イオン密度302、および直径を制御することで、堆積膜の均一性および性質がチューニングされる。複数の磁石143の各磁石が、複数の磁石143の各磁石間に、あるピッチpを空けた状態で、保持ブラケット内に保持される。ピッチpは、複数の磁石143の各隣り合う磁石間の間隔に相当する。ピッチpにより、回転式磁気ハウジング104を回転させることで起こった磁場がチューニングされる。垂直間隔135を調整することにより、プラズマシースから基板までの間隔を修正し、それにより、イオンおよびラジカルの濃度推移を制御し、堆積膜の均一性と応力などの性質とを制御する。
【0037】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る実施形態によっては、プラズマの発生の前に磁石143のそれぞれの中心が基板165から垂直間隔135を空けて固定される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る他の実施形態では、垂直間隔135は、プラズマの発生中にばらついてくる。垂直間隔135は、プラズマの発生中、静的であることも動的であることもある。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る実施形態によっては、プラズマの発生の前に、磁石143のそれぞれから中心軸103までの水平間隔133が固定される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る他の実施形態では、水平間隔133は、プラズマの発生の間、ばらつく。水平間隔33は、プラズマ発生の間、静的であることも動的であることもある。
【0038】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る実施形態によっては、プラズマの発生の前に、導電線178の中心が基板165からある垂直間隔182を空けて固定される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る他の実施形態では、垂直間隔182は、プラズマの発生の間、ばらつく。垂直間隔182は、プラズマの発生の間、静的であることも動的であることもある。垂直間隔182は、電磁石ハウジング172または基板支持体130のうちの少なくとも1つを上げ下げすることによって調整され得る。電磁石ハウジング172が、動的磁場を生み出す。この磁場が、プラズマの形状、イオンおよびラジカルの濃度、またイオンおよびラジカルの動きを修正し、プラズマの密度プロファイル301、イオン密度302、および直径を制御する。プラズマの密度プロファイル301、イオン密度302、および直径を制御することで、堆積膜の均一性および性質がチューニングされる。垂直間隔182を調整することで、基板までのプラズマシースの間隔を修正し、それにより、堆積膜の均一性と応力などの性質とを制御するように、イオンの動きおよびラジカルの動きを制御する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る実施形態によっては、導電線178から中心軸103までの水平間隔133が、プラズマの発生の前に固定される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るその他の実施形態では、この水平間隔133が、プラズマの発生の間ばらつく。水平間隔133は、プラズマの発生の間、静的であることも動的であることもある。
【0039】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る別の実施形態では、作業204において、回転式磁気ハウジング104の第1の半片137の磁石143の向きと第2の半片139の磁石143の向きとが、逆である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得るある実施形態では、作業204において、導電線178の空隙、断面積、または各巻き間の間隔のうちの少なくとも1つの調整が調整され得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられ得る別の実施形態では、作業204において、極性が相反するかまたは交互に変わる2つ以上の電磁石に電力が連続して印加される。
【0040】
実施形態によっては、基板支持体駆動システム136が、ある回転速度で処理空間126の中心軸103を中心に基板支持体130を回転させる。処理する対象の基板の表面上の望ましい半径方向位置にプラズマプロファイルのピークを位置付けるような磁石143の強度が選択される。互いに逆向きの磁石143を含む実施形態では、磁石143によりもたらされたB場が歪められる。導電線178の空隙、断面積、または各巻き間の間隔のうちの少なくとも1つの調整を含む実施形態では、導電線178を通る電流の流れによりもたらされたB場が歪められる。極性が相反するかまたは交互に変わる2つ以上の電磁石に電力を連続して与えることを含む実施形態では、導電線178を通る電流の流れによりもたらされたB場が歪められる。B場の歪みによって、プラズマシースのピークがずれる。しかし、処理時、磁石143の回転と処理空間126周りの円形路にある導電線178を通る電流の流れとが、歪んだプラズマシースのイオンおよびラジカルに対する基板のより均一な露出を促進する。他の実施形態では、基板が回されると、均一な堆積プロファイルをもたらす。これに対し、従来のプロセスでは、ピークが基板上の中央にあるプラズマプロファイルを利用する。このような構成は、基板の半径方向外側縁に対する基板の中心におけるイオン密度上昇に起因して、基板が回るとしても、非均一な堆積(例えば、中央が密の堆積)をもたらす。
【0041】
本開示の態様を永久磁石、電磁石、またはその組合せに利用することができる、ということが意図されている。さらに、磁石が、極性が交互に変わる構成で配列されてもよく、同じ向きの極性の磁石が、ほぼ180度に及ぶ群などの群で配列されてもよい、ということが意図されている。
【0042】
まとめると、本明細書では、処理チャンバの処理空間に形成されたプラズマの密度プロファイルを制御する、磁気システム、電磁システム、および方法について述べた。ある実施形態において、この方法は、処理空間の中心軸を中心とする回転式磁気ハウジングの回転により、静的磁場または動的磁場を生み出すことを含む。この磁場が、プラズマの形状、イオンおよびラジカルの濃度、またイオンおよびラジカルの濃度推移を修正し、プラズマの密度ファイルを制御する。プラズマの密度プロファイルを制御することで、堆積膜またはエッチング膜の均一性および性質がチューニングされる。
【0043】
これまで述べたことは、本開示の例を対象としてきたが、本開示の基本的な範囲を外れない限り、本開示の他のさらなる例が考案されてもよく、本開示の範囲は、以下に続く特許請求の範囲によって定められる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A-B】