(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ドープされた非晶質光学装置膜及びドーパント原子の組み込みを介した堆積
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20240905BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/316 Y
H01L21/31 C
H01L21/31 D
(21)【出願番号】P 2023504262
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021039790
(87)【国際公開番号】W WO2022020077
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-20
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】セバリョス, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング, カール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハウラニ, ラミ
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-518809(JP,A)
【文献】国際公開第2008/114620(WO,A1)
【文献】特開平09-211201(JP,A)
【文献】特表2005-502076(JP,A)
【文献】特開2003-096569(JP,A)
【文献】特開2000-140636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持体上に光学装置基板を配置することであって、前記基板支持体がチャンバ内に配置され、前記チャンバが、
前記チャンバ内に配置された光学装置材料ターゲットであって、光学装置材料を含
み、前記光学装置材料が、
五酸化タンタル(Ta
2
O
5
)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2
)、酸化インジウム(In
2
O
3
)、又は酸化ハフニウム(HfO
2
)を含む、金属含有材料;及び
シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、及び透明な導電酸化物を含む、半導体材料
の一方又は両方を含む、光学装置材料ターゲット;及び
前記チャンバ内に配置された誘電体ターゲットであって、ドーパント材料を含
み、前記ドーパント材料が、シリコン(Si)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、又はそれらの酸化物を含み、前記ドーパント材料及び前記光学装置材料が異なる、誘電体ターゲット
を含む、光学装置基板を配置することと、
前記光学装置基板上にドープされた
非晶質光学装置膜を堆積させることであって
、
前記光学装置材料を堆積させて、前記光学装置基板の表面上に光学装置層を形成することであって、前記光学装置材料を前記堆積させることが、前記光学装置材料ターゲットに
直流電源の第1の電力レベルを提供して、第1の堆積速度で前記光学装置材料を堆積させることを含む、前記光学装置材料を堆積させて、光学装置層を形成すること;及び
前記光学装置
層に前記ドーパント材料を堆積させて、前記ドープされた
非晶質光学装置膜を形成することであって、前記ドーパント材料を前記堆積させることが、前記誘電体ターゲットに
高周波電源の第2の電力レベルを提供して、第2の堆積速度で前記ドーパント材料を堆積させることを含み
、前記第1の堆積速度と前記第2の堆積速度とが異なる、前記ドーパント材料を堆積させて、前記ドープされた
非晶質光学装置膜を形成すること
を含む、前記光学装置基板上にドープされた
非晶質光学装置膜を堆積させることと、
を含む、
膜を形成する方法。
【請求項2】
前記光学装置材料を前記堆積させること及び前記ドーパント材料を前記堆積させることの間に、前記光学装置基板
を30℃を超える温度で維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光学装置基板の前記表面を酸化させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光学装置材料を前記堆積させること及び前記ドーパント材料を前記堆積させることが連続して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の電力レベルで前記ドーパント材料を前記堆積させることが、前記光学装置材料を堆積させながら、設定周波数で前記第2の電力レベルをパルス供給することによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ドープされた光学装置膜が
、15%
以下の原子パーセンテージのドーパント濃度の前記ドーパント材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
チャンバ内に光学装置基板を配置することであって、前記チャンバが、それぞれが予めドープされた光学装置材料を有する1つ又は複数のターゲットを含み、前記予めドープされた光学装置材料が、
第1の濃度の光学装置材料
であって、前記光学装置材料が、
五酸化タンタル(Ta
2
O
5
)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2
)、酸化インジウム(In
2
O
3
)、又は酸化ハフニウム(HfO
2
)を含む、金属含有材料;及び
シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、及び透明な導電酸化物を含む、半導体材料のうちの一方または双方を含む、第1の濃度の光学装置材料と、
第2の濃度のドーパント材料
であって、前記ドーパント材料が、
シリコン(Si)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、又はそれらの酸化物を含み、前記ドーパント材料及び前記光学装置材料が異なる、第2の濃度のドーパント材料と、
を含む、光学装置基板を配置することと、
前記ターゲットに電力を提供して、前記光学装置基板上にドープされた
非晶質光学装置膜を堆積させることであって、前記ドープされた
非晶質光学装置膜が、前記光学装置基板の表面から前記ドープされた光学装置膜の上面へ垂直に延びる一連のゾーンを有し、前記ドーパント材料が前記一連のゾーンの各ゾーンに分布する、前記ターゲットに電力を提供して、前記光学装置基板上にドープされた
非晶質光学装置膜を堆積させることと
を含む、方法。
【請求項8】
チャンバ内に光学装置基板を配置することと;
光学装置材料前駆体を第1の流量で前記チャンバ中に流して、前記光学装置基板の表面上に光学装置層を堆積させることと;
ドーパント前駆体を第2の流量で前記チャンバ中に流して、前記光学装置基板上にドープされた
非晶質光学装置膜を形成することであって、前記ドープされた
非晶質光学装置膜が、前記光学装置基板の表面から前記ドープされた
非晶質光学装置膜の上面へ垂直に延びる一連のゾーンを有し、前記ドーパント前駆体が前記一連のゾーンの各ゾーンに分布する、ドーパント前駆体を流して、ドープされた
非晶質光学装置膜を形成することとを含み、
前記光学装置材料前駆体が、
五酸化タンタル(Ta
2
O
5
)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2
)、酸化インジウム(In
2
O
3
)、又は酸化ハフニウム(HfO
2
)を含む、金属含有材料;及び
シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、及び透明な導電酸化物を含む、半導体材料のうちの一方または双方を含み、
前記ドーパント前駆体が、
チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、又はそれらの酸化物を含み、前記ドーパント前駆体の材料及び前記光学装置材料前駆体の材料が異なる、
膜を形成する方法。
【請求項9】
前記ドーパント前駆体が
、15%
以下の原子パーセンテージの濃度で前記ドープされた光学装置膜に堆積する、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
基板支持体上に光学装置基板を配置することであって、前記基板支持体がチャンバ内に配置され、前記チャンバが、
前記チャンバ内に配置された光学装置材料ターゲットであって、光学装置材料を含
み、
前記光学装置材料が、
五酸化タンタル(Ta
2
O
5
)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2
)、酸化インジウム(In
2
O
3
)、又は酸化ハフニウム(HfO
2
)を含む、金属含有材料;及び
シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、及び透明な導電酸化物を含む、半導体材料
の一方又は両方を含む、光学装置材料ターゲット;及び
前記チャンバ内に配置された
誘電体ターゲットであって、ドーパント材料を含み、前記ドーパント材料が、
シリコン(Si)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、又はそれらの酸化物を含み、前記ドーパント材料及び前記光学装置材料が異なる、誘電体ターゲット
を含む、光学装置基板を配置することと、
前記光学装置基板上にドープされた
非晶質光学装置膜を堆積させることであって
、前記ドープされた
非晶質光学装置膜を堆積させることが、
前記光学装置材料を堆積させて、前記光学装置基板の表面上に光学装置層を形成することであって、前記光学装置材料を前記堆積させることが、前記光学装置材料ターゲットに第1の電力レベルを提供し、前記チャンバに酸素含有ガスを提供して、第1の堆積速度で前記光学装置材料を堆積させることを含む、前記光学装置材料を堆積させて、光学装置層を形成すること;及び
前記光学装置
層中に前記ドーパント材料を堆積させて、前記ドープされた
非晶質光学装置膜を形成することであって、前記ドーパント材料を前記堆積させることが、前記誘電体ターゲットに第2の電力レベルを提供して、第2の堆積速度で前記ドーパント材料を堆積させることを含み
、前記第1の堆積速度と前記第2の堆積速度とが異なる、前記ドーパント材料を堆積させて、前記ドープされた
非晶質光学装置膜を形成すること
を含む、前記光学装置基板上にドープされた
非晶質光学装置膜を堆積させることと、
を含む、
膜を形成する方法。
【請求項11】
光学装置であって、
光学装置基板の表面の上に配置されたドープされた
非晶質光学装置膜であって、
前記ドープされた非晶質光学装置膜が、
非晶質光学装置材料
であって、
五酸化タンタル(Ta
2
O
5
)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2
)、酸化インジウム(In
2
O
3
)、又は酸化ハフニウム(HfO
2
)を含む、金属含有材料;及び
シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、及び透明な導電酸化物を含む、半導体材料
の一方又は両方を含む、非晶質光学装置材料;
前記光学装置基板の表面から前記ドープされた
非晶質光学装置膜の上面へ垂直に延びる一連のゾー
ン;
非晶質光学装置材
料;及び
ドーパント材料であって、前記非晶質光学装置材料中に組み込まれ、前記一連のゾーンの各ゾーンに分布
し、前記ドーパント材料が
、
シリコン(Si)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、又はそれらの酸化物を含み、前記ドーパント材料及び前記非晶質光学装置材料が異なる、ドーパント材料、
を含む、ドープされた
非晶質光学装置
膜
を含む、光学装置。
【請求項12】
前記非晶質光学装置材料が第1の屈折率を有し、かつ
前記ドーパント材料が第2の屈折率を有し、前記第1の屈折率が前記第2の屈折率よりも大きい、
請求項
11に記載の光学装置。
【請求項13】
前記ドーパント材料が、前記ドープされた
非晶質光学装置膜内
で15%
以下の原子パーセンテージの濃度を有する、請求項
11に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施態様は、概して光学装置の製造に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施態様は、ドープされた光学装置膜、ドープされた構造を有する光学装置、並びにドープされた光学装置膜及び構造を形成する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
導波路、平面光学装置、メタサーフェス、カラーフィルタ及び反射防止コーティングなどの光学装置は、高い屈折率と低い吸収損失の特性を示すように設計されている。導電性材料は、高い屈折率と低い吸収損失を有し、これは、効率的で大規模な光学装置の製造を可能にする。
【0003】
多結晶膜を有する光学装置は不均一で、表面粗さが大きく、複屈折性がある場合があるが、非晶質膜は均一で滑らかで、屈折率が均一である。しかしながら、光学装置用の非晶質膜を形成するための従来の物理的気相堆積(PVD)プロセスは、結晶形成を抑制するために30℃未満の基板温度で実施される。二酸化チタンの処理温度が30℃未満では、専用のハードウェアが必要になるため、製造コスト及び複雑さが増し、一方、処理温度が約30℃を超えると、不均一性が著しく大きい多結晶二酸化チタン膜となる。さらに、約200℃以上の処理温度では、膜に顕著な結晶が生じる。
【0004】
したがって、当該技術分野では、ドープされた光学装置膜、ドープされた構造を有する光学装置、並びにドープされた光学装置膜及び構造を形成する方法の改善が必要である。
【発明の概要】
【0005】
一実施態様では、方法が提供される。本方法は、光学装置基板を基板支持体上に配置することを含む。基板支持体は、チャンバ内に配置される。チャンバは、チャンバ内に配置された光学装置材料ターゲットと、チャンバ内に配置された誘電体ターゲットとを含む。光学装置材料ターゲットは光学装置材料を含み、誘電体ターゲットはドーパント材料を含む。光学装置基板上には、ドープされた光学装置膜が堆積する。ドープされた光学装置膜を堆積させることは、光学装置材料を堆積させて光学装置基板の表面上に光学装置層を形成することと、ドーパント材料を光学装置層中に堆積させてドープされた光学装置膜を形成することとを含む。光学装置材料を堆積させることは、光学装置材料ターゲットに第1の電力レベルを提供して、光学装置層を第1の堆積速度で堆積させることを含む。ドーパント材料を光学装置層中に堆積させることは、誘電体ターゲットに第2の電力レベルを提供して、誘電体ターゲットを第2の堆積速度で堆積させることを含む。第1の堆積速度と第2の堆積速度は異なる。
【0006】
別の実施態様では、方法が提供される。本方法は、予めドープされた光学装置材料を有するターゲットを含むチャンバ内に光学装置基板を配置することを含む。予めドープされた光学装置材料は、第1の濃度の光学装置材料と、第2の濃度のドーパント材料とを含む。ターゲットに電力が提供されて、光学装置基板上にドープされた非晶質光学装置層を堆積させる。
【0007】
別の実施態様では、方法が提供される。本方法は、光学装置基板を基板支持体上に配置することを含む。基板支持体は、チャンバ内に配置される。チャンバは、チャンバ内に配置された光学装置材料ターゲットと、チャンバ内に配置された誘電体ターゲットとを含む。光学装置材料ターゲットは金属材料を含み、誘電体ターゲットはドーパント材料を含む。光学装置基板上には、ドープされた光学装置膜が堆積する。ドープされた光学装置膜を堆積させることは、光学装置材料を堆積させて光学装置基板の表面上に光学装置層を形成することと、ドーパント材料を光学装置層中に堆積させてドープされた光学装置膜を形成することとを含む。光学装置材料を堆積させることは、光学装置材料ターゲットに第1の電力レベルを提供することと、チャンバに酸素含有ガスを提供して光学装置層を第1の堆積速度で堆積させることとを含む。ドーパント材料を光学装置層中に堆積させることは、誘電体ターゲットに第2の電力レベルを提供して、誘電体ターゲットを第2の堆積速度で堆積させることを含む。第1の堆積速度と第2の堆積速度は異なる。
【0008】
さらに別の実施態様では、光学装置が提供される。光学装置は、光学装置基板の表面の上に配置された非晶質光学装置層を含む。非晶質光学装置層は、非晶質光学装置材料とドーパント材料とを含み、ドーパント材料は非晶質光学装置材料中に組み込まれている。
【0009】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明は、実施態様を参照することによって得ることができ、そのいくつかは添付の図面に示されている。しかし、添付の図面は例示的な実施態様のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施態様も許容され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施態様に係る光学装置基板上に配置されたドープされた光学装置膜を含む光学装置の断面図である。
【
図2A】実施態様に係る光学装置基板上に配置された二元光学装置構造の概略断面図である。
【
図2B】実施態様に係る光学装置基板上に配置された角度のある光学装置構造の概略断面図である。
【
図3】実施態様に係る物理的気相堆積(PVD)処理チャンバの概略断面図である。
【
図4】実施態様に係る化学気相堆積(CVD)処理チャンバの概略断面図である。
【
図5】実施態様に係るクラスタツールの概略上面図である。
【
図6】実施態様に係るドープされた光学装置膜を製造するための方法のフロー図である。
【
図7】実施態様に係るドープされた光学装置膜を製造するための方法のフロー図である。
【
図8】実施態様に係るドープされた光学装置膜を製造するための方法のフロー図である。
【
図9】実施態様に係るドープされた光学装置膜を製造するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解が容易になるよう、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すために同一の参照番号を使用した。1つの実施態様の要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも他の実施態様に有利に組み込んでもよいことが想定される。
【0012】
本明細書に記載の実施態様は、光学装置の製造に関する。具体的には、本明細書に記載の実施態様は、ドープされた光学装置膜、ドープされた構造を有する光学装置、並びにドープされた光学装置膜及び構造を形成する方法を提供する。本明細書に記載の実施態様は、光学装置材料の光学装置材料濃度を有する光学装置層と、ドープされた光学装置膜及び構造体の厚さ全体にわたってドーパント濃度を有するドーパント材料とを有する、ドープされた光学装置膜及び構造体を提供する。
【0013】
本明細書で記載及び参照される光学装置材料は、約2.0以上の光学装置材料屈折率を有する。本明細書で記載及び参照されるドーパント材料は、2.0未満のドーパント屈折率を有する。光学装置材料と全体に均一に分布するドーパント材料との組み合わせは、光学装置屈折率が約2.0以上のドープされた光学装置膜を構成する。光学装置層は、光学装置材料が酸化、窒化、又は酸窒化し、光学装置基板の上に堆積するか又は流されると、形成される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、光学装置材料は、均一な分布のドーパント材料を含む。
【0014】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、光学装置材料は、金属含有材料である。金属含有材料としては、金属、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる別の実施態様では、光学装置材料は、半導体材料である。半導体材料としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、透明な導電酸化物、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施態様では、半導体材料は、Si、Ge、SiGe、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、又は透明な導電酸化物の酸化物、酸素窒化物、窒化物、又は炭化物である。ドーパント材料としては、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、又はハフニウム(Hf)、及びそれらの酸化物、窒化物、若しくは酸素窒化物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
一実施態様では、方法は、光学装置基板をチャンバ内に配置された基板支持体上に配置することを含む。光学装置基板の表面の上に光学装置層を形成するために、光学装置材料が堆積される。光学装置材料を堆積させることは、光学装置材料ターゲットに第1の電力レベルを提供して、光学装置材料を第1の堆積速度で堆積させることを含む。ドープされた光学装置膜を形成するために、ドーパント材料が光学装置層中に均一に堆積される。ドーパント材料を堆積させることは、誘電体ターゲットに第2の電力レベルを提供して、ドーパント材料を第2の堆積速度で堆積させることを含む。
【0016】
図1は、光学装置100の断面図である。ドープされた光学装置膜101は、本明細書に記載の実施態様による光学装置基板102の表面103の上に配置される。ドープされた光学装置膜101は、本明細書に記載の方法600、700、800、及び900によって形成される。光学装置基板102は、上に光学装置が形成され得る任意の適切な光学装置基板である。一実施態様では、光学装置基板102は、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(SiN)、二酸化ケイ素(SiO
2)、溶融シリカ、石英、炭化ケイ素(SiC)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、リン化インジウム(InP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、酸化ガリウム(GaO)、ダイヤモンド、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)、窒化ガリウム(GaN)、サファイア、酸化タンタル(Ta
2O
5)、二酸化チタン(TiO
2)、又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。光学装置基板102は、光学的に透明なペロブスカイト材料を含み得る。
【0017】
ドープされた光学装置膜101は、光学装置材料を含む光学装置層を含む。ドープされた光学装置膜101はまた、光学装置層内に分布するドーパント材料を含む。ドープされた光学装置膜101は、約2.0超の均一な屈折率と低い吸収損失とを含む光学特性を実現するために、非晶質である。光学装置層は、光学装置材料が酸化、窒化、又は酸窒化し、光学装置基板102の上に堆積するか又は流されると、形成される。光学装置材料とドーパント材料との反応から形成され得るドープされた光学装置膜101の例には、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In2O3)、又は酸化ハフニウム酸化物(HfO2)が含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
ドープされた光学装置膜101は、厚さ110を有する。厚さ110は、一連のゾーン115に分けられている。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、厚さ110は、一連のゾーン115の全体にわたって均一又は実質的に均一なドーパント材料の分布を有する。一実施態様では、ドープされた光学装置膜101は、厚さ110全体にわたって均一である約2.0超の光学装置屈折率を含む。別の実施態様では、ドープされた光学装置膜101は、厚さ110全体にわたって均一である約2.6から約2.7の光学装置屈折率を含む。
【0019】
本明細書で記載及び参照されるドーパント材料は、2.0未満のドーパント屈折率を有する。光学装置層を構成する光学装置材料と全体に分布するドーパント材料との組み合わせは、光学装置屈折率が約2.0以上のドープされた光学装置膜101を構成する。
【0020】
ドープされた光学装置膜101は、光学装置材料濃度の光学装置材料と、ドーパント材料濃度のドーパント材料とを含む。光学装置材料は、金属含有材料と半導体材料の一方又は両方を含む。光学装置材料濃度、光学装置材料屈折率、ドーパント材料濃度、及びドーパント材料屈折率の調整により、光学装置屈折率といった光学装置膜101の光学特性が決定されることになる。
【0021】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、ドープされた光学装置膜101は、約85%から約100%の原子パーセンテージの光学装置材料濃度を含む。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる別の実施態様では、ドープされた光学装置膜101は、約0%から15%の原子パーセンテージのドーパント濃度でドーパント材料を含む。約0から約50%のドーパント濃度は、光学装置層の屈折率の著しく有害な増加を伴わずに、ドープされた光学装置膜101の形態に影響を与える。
【0022】
望ましい光学特性を得るために、ドーパント材料は光学装置層中に分布し、温度プロセスウィンドウ内に維持されてもよい。いくつかの実施態様では、ドーパント材料は、光学装置層中に均一に分布している。温度プロセスウィンドウは、均一な高屈折率及び低吸収損失を含む光学特性を実現するために光学装置層が非晶質に形成される温度範囲である。ドーパント材料を含まない場合、光学装置層はある温度プロセスウィンドウ内で非晶質に形成され、光学装置層が温度プロセスウィンドウを超えると結晶構造を形成する。ドーパント材料を含まない光学装置層は、30℃未満の温度プロセスウィンドウ内で非晶質に形成され、30℃を超える温度で結晶性となる。光学装置層中に均一に組み込まれたドーパント材料は、方法600、700、800、及び900に記載されるように、結晶構造体の成長を抑制し、形成されたドープされた光学装置膜101の温度プロセスウィンドウを拡大させる。光学装置層中にドーパント材料がドーパント濃度(例えば5原子%)で均一に組み込まれた光学装置層は、ドープされた光学装置膜101が非晶質に形成される温度プロセスウィンドウを約30℃超の温度、例えば約30℃と300℃の温度プロセスウィンドウに拡大させる。
【0023】
図2Aは、光学装置基板102上に配置された二元光学装置構造体201aの概略断面図である。
図2Bは、光学装置基板102上に配置された角度のある光学装置構造体201bの概略断面図である。光学装置200a、200bは、光学装置基板102の表面103上に配置された光学装置構造体201a、201bを含む。光学装置構造体201a、201bは、例えば、本明細書に記載の方法600、700、800、及び900によって形成されたドープされた光学装置膜101をエッチングすることによって、形成され得る。
【0024】
図2Aに示すように、光学装置構造体201aは、二元(すなわち、垂直)構造体である。
図2Aに示すように、光学装置構造体201aは、光学装置基板102の表面103に平行な上面204を含む。第1の側壁205及び第2の側壁206は、第3の側壁207及び第4の側壁208に平行である。側壁205、206、207、及び208は、光学装置基板102の主軸に方向に配向している。
【0025】
図2Bに示すように、光学装置構造体201bは、角度のある構造体である。
図2Bに示すように、光学装置構造体201bは、第3の側壁207及び第4の側壁208に平行な第1の側壁205及び第2の側壁206を含む。側壁205、206、207、及び208は、光学装置基板102の表面103に対して傾斜している。
【0026】
光学装置膜101から形成される光学装置構造体201a,201bは、光学装置材料の光学装置材料濃度と、光学装置膜101の厚さ110全体に分布するドーパント材料のドーパント材料濃度とを含む。厚さ110全体にわたるドーパント材料の分布は、約2.0より超の均一な屈折率及び低い吸収損失を提供する。
【0027】
図3は、PVDチャンバ300の概略断面図である。以下に記載されるPVDチャンバ300は、例示的なPVDチャンバであり、他の製造業者からのPVDチャンバを含む他のPVDチャンバは、本開示の態様を達成するために使用されてもよく、又は改造されてもよいことを理解されたい。PVDチャンバ300は、本明細書に記載の方法600、700、800、及び900に使用することができる。
【0028】
PVDチャンバ300は、ドープされた光学装置膜101を形成するために利用される。PVDチャンバ300は、チャンバ本体308に取り付けられた、少なくとも1つの誘電体ターゲット304及び少なくとも1つの光学装置材料(例えば、金属又は半導体)ターゲット306を含む対応する複数のターゲットを有する、少なくとも1つの誘電体ターゲットカソード302及び少なくとも1つの光学装置材料ターゲットカソード303を含む複数のカソードを含む。
図3は、1つの誘電体ターゲット304及び1つの光学装置材料ターゲット306を示しているが、PVDチャンバ300は、1つ又は複数の誘電体ターゲット304及び/又は1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306を含んでもよい。例えば、誘電体ターゲット304又は光学装置材料ターゲット306の少なくとも一方から選択される3~5個のターゲットがPVDチャンバ300に含まれていてもよい。1つ又は複数の誘電体ターゲット304及び1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306を有する実施態様では、各誘電体ターゲット304は、異なるドーパント材料を堆積させるように動作可能であり、且つ/又は各光学装置材料ターゲット306は、異なる光学装置材料を堆積させるように動作可能である。
【0029】
PVDチャンバ300は、光学装置基板102を支持するための支持表面312を有する基板支持体310を含むように構成される。PVDチャンバ300は、それを通って光学装置基板が処理空間305に入り得る開口部334(例えば、スリットバルブ)を含む。
【0030】
図3に示す実施態様では、基板支持体310は、基板支持体310内に配置されたバイアス電極316に結合されたRFバイアス電源314を含む。PVDチャンバ300は、アルゴン(Ar)などのスパッタガスを提供するスパッタガス源336を含む。PVDチャンバ300は、酸素含有ガス又は窒素含有ガスなどの反応性ガスを提供する反応性ガス源338を含む。
【0031】
基板支持体310は、静電チャック、真空チャック、基板保持クランプ等の基板支持体310の支持表面312上に光学装置基板102を保持する機構(図示せず)を含む。基板支持体310は、基板支持体310内に配置された冷却導管318を含むように構成され、冷却導管318は、基板支持体310及びその上に位置決めされた光学装置基板102を所定の温度、例えば約30℃と約300℃の間に制御可能に冷却する。冷却導管318は、冷却流体源320に結合され、冷却流体を提供する。基板支持体310はさらに、その中に埋め込まれたヒータ322を含むように構成される。基板支持体310内に配置された、抵抗素子などのヒータ322は、任意選択的なヒータ電源324に結合され、基板支持体310及びその上に位置決めされた光学装置基板102を、所定の温度、例えば約30℃から300℃の間に制御可能に加熱する。各ターゲット(例えば、誘電体ターゲット304又は光学装置材料ターゲット306)は、DC電源326又はRF電源328、及び関連するマグネトロンを有する。複数の電源は、DC電源による処理とRF電源による処理の両方が同一のPVDチャンバ300内で発生することを可能にする。
【0032】
PVDチャンバ300は、PVDチャンバ300の処理空間305に所定の処理ガスを供給するための処理ガス供給部330を含む。例えば、処理ガス供給部330は、酸素含有ガスを処理空間305に供給し、処理空間305に酸化環境を形成する。PVDチャンバ300は、前駆体ガス、例えばガス状のドーパント前駆体を供給するための前駆体ガス源332も含んでよく、これは前駆体ガス流コントローラ331によって制御される。
【0033】
図4は、CVDチャンバ400の概略断面図である。以下に記載されるCVDチャンバ400は、例示的なCVDチャンバであり、他の製造業者からのCVDチャンバを含む他のCVDチャンバは、本開示の態様を達成するために使用されてもよく、又は改造されてもよいことを理解されたい。
【0034】
CVDチャンバ400は、処理空間405を含むチャンバ本体408を有し、処理空間405の中には基板支持体410が配置されており、その上に光学装置基板102を支持している。基板支持体410は、加熱/冷却導管414と、静電チャック、真空チャック、基板保持クランプ等の基板支持体410の支持表面412上に光学装置基板102を保持する機構とを含む。基板支持体410は、開口部420を通じてCVDチャンバ400との間で光学装置基板102の移送を容易にする上昇処理位置と下降位置との間で基板支持体410を動かすリフトシステム(図示せず)に連結されたステム406によって処理空間405内に連結され、移動可能に配置される。
【0035】
CVDチャンバ400は、第1のガス源402、第2のガス源403、及びチャンバ本体408の間に配置されて、第1のガス源402及び第2のガス源403から、処理空間405にわたって処理ガスを分布するために使用されるシャワーヘッド404への処理ガスの流量を制御する質量流量制御(MFC)装置などの流量コントローラ418a、418bを含む。第1のガス源402は、光学装置材料を含むように動作可能である。第2のガス源403は、ドーパント材料を含むように動作可能である。
図4は2つのガス源402、403を示しているが、CVDチャンバ400は、1つ又は複数の第1のガス源402及び/又は1つ又は複数の第2のガス源403を含んでもよい。例えば、第1のガス源402又は第2のガス源402の少なくとも一方から選択される3~5個のガス源は、チャンバ300に含まれ得る。1つ又は複数の第1のガス源402及び1つ又は複数の第2のガス源403を有する実施態様では、各第1のガス源402は、異なる光学装置材料を堆積させるように動作可能であり、且つ/又は各第2のガス源403は、異なるドーパント材料を堆積させるように動作可能である。
【0036】
シャワーヘッド404は、処理ガスから処理空間405内にプラズマを発生させるためのRFフィード422によってRF電源416に接続されている。RF電源416は、シャワーヘッド404と基板支持体410との間のプラズマの生成を容易にするために、シャワーヘッド404にRFエネルギーを提供する。ステム406は、上昇した処理位置に基板支持体410を動かすように構成される。
【0037】
図5は、工場環境501におけるクラスタツール502の概略図である。本明細書に記載のクラスタツール502は、例示的なクラスタであること、及び本開示の態様を実現するために他のクラスタツールと共に使用され得るか又は改変され得ることを、理解されたい。本明細書に記載のクラスタツール602は、本明細書に記載の方法700、800、900、及び1000に利用されてもよい。
【0038】
クラスタツール502は、1つ又は複数の処理チャンバ504に囲まれた移送チャンバ506を含む。処理チャンバ504は、本明細書に記載のドープされた光学装置膜101を形成するための任意の適切な種類の処理チャンバを含み得る。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、処理チャンバ504はPVDチャンバ300であり得る。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る別の実施態様では、処理チャンバ504はCVDチャンバ400であり得る。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得るさらに別の実施態様では、処理チャンバ504は、PVDチャンバ300とCVDチャンバ400の組み合わせであり得る。
【0039】
さらに、クラスタツール502は、ロードロックチャンバ510に結合された基板アクセスチャンバ508を含む。一実施態様では、基板アクセスチャンバ508は、大気圧である工場環境501を真空圧下であるロードロックチャンバ510に接続するために利用され得る。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、クラスタツール502は、処理チャンバ504が少なくとも2つのターゲット(例えば誘電体ターゲット304又は光学装置材料ターゲット306)を有するPVDチャンバ300であるような単一チャンバ処理に利用され得る。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る別の実施態様では、クラスタツール502は、複数の処理チャンバがPVDチャンバ300、CVDチャンバ400、又は両方の組み合わせである方法600から900にあるようなマルチチャンバ処理に利用され得る。クラスタツール502は、各処理チャンバ504の一連のゾーン115の各ゾーンに光学装置層又はドーパント材料が堆積し得るように、複数の処理チャンバ504間で光学装置基板102を移送することになる。光学装置基板は、PVDチャンバ300及びCVDチャンバ400の開口部334、420をそれぞれ通って各チャンバ504に入ることになる。
【0040】
図6は、ドープされた光学装置膜101を製造するための方法600のフロー図である。説明を容易にするために、
図3のPVDチャンバ300及び
図5のクラスタツール502を参照して
図6を説明する。しかしながら、
図3のPVDチャンバ300以外のPVDチャンバを方法600と併せて利用してもよいことに留意されたい。また、
図5のクラスタツール502以外のクラスタツールを方法600と併せて利用してもよいことに留意されたい。上述したようなクラスタツール502は、処理チャンバ504がPVDチャンバ300である場合に利用され得る。方法600は、光学装置材料を光学装置基板102上に堆積させて、光学装置を形成する。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、ドーパント材料は、光学装置層の厚さ110全体に均一に堆積し得る。
【0041】
動作601では、コーティングを意図した光学装置基板102は、PVDチャンバ300内の基板支持体上に配置される。例えば、光学装置基板102は、基板支持体310上に配置される。
【0042】
動作602では、光学装置材料が堆積する。光学装置材料は、1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306から堆積して、光学装置基板102の上に光学装置層を形成する。光学装置材料は、金属含有材料と半導体材料の一方又は両方である。光学装置材料は、PVDプロセスを介して堆積する。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、PVD処理は、スパッタリング処理である。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる別の実施態様では、PVD処理は、蒸発処理である。
【0043】
光学装置材料が金属であるときの実施態様では、1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306の堆積した金属が反応性ガスと反応して光学装置基板102の上に光学装置層を形成するときに、光学装置層が形成される。反応性ガス源338は、酸素含有ガス又は窒素含有ガスなどの反応性ガスを提供する。例えば、純チタンの光学装置材料が堆積し、酸素などの反応性ガスとして、二酸化チタン(TiO2)が形成される。光学装置材料が金属酸化物、金属窒化物、又は金属酸窒化物であるときの実施態様では、光学装置材料が光学装置基板102の上に堆積するときに、光学装置層が形成される。1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306に結合された光学装置材料ターゲットカソード303は、光学装置材料を第1の堆積速度で堆積させるために、第1の電力レベルに設定される。第1の電力レベルが印加されるとき、第1の電力レベルは、動作602及び603を通して一定のままであり得る。PVDチャンバ300は、1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306を含み得る。例えば、光学装置材料ターゲット306の少なくとも1つから選択される3~5個のターゲットがPVDチャンバ300に含まれていてもよい。1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306を有する実施態様では、各光学装置材料ターゲット306は、異なる光学装置材料を堆積させるように動作可能である。
【0044】
ターゲットカソードの第1の電力レベルは、約0%~約100%の範囲である。例えば、ターゲットカソードの第1の電力レベルは約80%であり、対応する第1の堆積速度は約0.35nm/sである。一実施態様では、光学装置層は、約85%から約100%の原子パーセンテージの光学装置材料濃度を含む。一実施態様では、光学装置材料は、第1の屈折率を含む。第1の屈折率は2.0超である。例えば、第1の屈折率は、約2.0から約2.8の間である。光学装置材料が金属含有材料であるときの実施態様では、金属含有材料は、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In2O3)、又は酸化ハフニウム(HfO2)などの金属、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物が挙げられるが、それらに限定されない。光学装置材料が半導体材料である実施態様では、半導体材料としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、透明な導電酸化物、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施態様では、半導体材料は、Si、Ge、SiGe、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、又は透明な導電酸化物の酸化物、酸素窒化物、窒化物、又は炭化物である。
【0045】
動作603では、ドーパント材料が堆積する。ドーパント材料は、誘電体ターゲット304から堆積して、光学装置基板102上にドープされた光学装置膜101を形成する。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、ドーパント材料は、光学装置層内で均一に濃縮されるように堆積して、ドープされた光学装置膜101の1つ又は複数のゾーンが形成される。誘電体ターゲット304に結合された誘電体ターゲットカソード302は、ドーパント材料を第2の堆積速度で堆積させるために、第2の電力レベルに設定される。誘電体ターゲットカソード302の第2の電力レベルは、約0%から約100%の間の範囲である。例えば、誘電体ターゲットカソード302の第2の電力レベルは約80%であり、対応する第2の堆積速度は約0.35nm/sである。一実施態様では、ドープされた光学装置膜101は、約0%から15%の原子パーセンテージのドーパント濃度でドーパント材料を含む。ドーパント材料としては、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、又はハフニウム(Hf)、及びそれらの酸化物、窒化物、若しくは酸素窒化物が挙げられるが、これらに限定されない。PVDチャンバ300は、1つ又は複数の誘電体ターゲット304を含み得る。例えば、誘電体ターゲット304の少なくとも1つから選択される3~5個のターゲットがPVDチャンバ300に含まれていてもよい。1つ又は複数の誘電体ターゲット304を有する実施態様では、各誘電体ターゲット304は、異なるドーパント材料を堆積させるように動作可能である。
【0046】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、動作602及び603は、光学装置材料ターゲットカソード303に第1の電力レベルを連続して印加する間隔と、誘電体ターゲットカソード302に第2の電力レベルを印加する間隔とによって繰り返される。別の実施態様では、第2の電力レベルでのドーパント材料の堆積は、光学装置材料を堆積させながら、設定周波数で第2の電力レベルをパルス供給することによって実施される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得るさらに別の実施態様では、第1の電力レベル及び第2の電力レベルをターゲット(例えば、誘電体ターゲット304又は光学装置材料ターゲット306)に同時に印加することによって、光学装置材料及びドーパント材料が同時に堆積し、ドープされた光学装置膜101を形成する。
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、動作602及び603の単一のパフォーマンスによって一連のゾーン115の全ゾーンが形成される。別の実施態様では、動作602及び603の単一のパフォーマンスは、ドープされた光学装置膜101の一部を形成し、ここで、該一部は一連のゾーン115の1つ又は複数のゾーンに対応し得る。一連のゾーン115の各ゾーンは、厚さ110の20nmから25nm毎であり得る。動作602及び603は、所定の厚さ110に達するまで繰り返される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、動作602及び603は、少なくとも2つのターゲット(例えば誘電体ターゲット304又は光学装置材料ターゲット306)を有するPVDチャンバ300で実施することができる。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る別の実施態様では、動作602及び603は、クラスタツール502のマルチ処理チャンバ504で実施することができる。例えば、光学装置基板102は、少なくとも2つの処理チャンバ504の間で移送される。処理チャンバ504の少なくとも1つは、光学装置材料ターゲット306を含むPVDチャンバ300であり、処理チャンバ504の少なくとももう1つは、誘電体ターゲット302を含むPVDチャンバ300である。
【0047】
図7は、ドープされた光学装置膜101を製造するための方法700のフロー図である。説明を容易にするために、
図3のPVDチャンバ300及び
図5のクラスタツール502を参照して
図7を説明する。しかしながら、
図3のPVDチャンバ300以外のPVDチャンバを方法700と併せて利用してもよいことに留意されたい。また、
図5のクラスタツール502以外のクラスタツールを方法700と併せて利用してもよいことに留意されたい。上述したようなクラスタツール502は、処理チャンバ504がPVDチャンバ300である場合に利用され得る。
【0048】
動作701では、コーティングを意図した光学装置基板102は、PVDチャンバ300内の基板支持体上に配置される。例えば、光学装置基板102は、基板支持体310上に配置される。
【0049】
動作702では、予めドープされた光学装置材料が堆積する。予めドープされた光学装置材料は、1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306から堆積して、光学装置基板102の上にドープされた光学装置膜101の1つ又は複数のゾーン115を形成する。予めドープされた光学装置材料は、光学装置材料とドーパント材料とを含む。あらかじめドープされた光学装置材料は、金属含有材料若しくは半導体材料の一方又は両方を含み得る。金属含有材料は、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In2O3)、又は酸化ハフニウム(HfO2)などの金属、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物が挙げられるが、それらに限定されない。半導体材料としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、透明な導電酸化物、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施態様では、半導体材料は、Si、Ge、SiGe、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、又は透明な導電酸化物の酸化物、酸素窒化物、窒化物、又は炭化物である。
【0050】
予めドープされた光学装置材料が金属である実施態様では、堆積した金属は、反応性ガスと反応して、光学装置基板102の上にドープされた光学装置膜101の1つ又は複数のゾーン115を形成する。予めドープされた光学装置材料は、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、又はハフニウム(Hf)、及びそれらの酸化物、窒化物、若しくは酸素窒化物を含むがこれらに限定されないドーパント材料をさらに含む。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、ドーパント材料は、予めドープされた光学装置材料全体に均一に予めドープされる。PVDチャンバ300は、1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306を含み得る。例えば、光学装置材料ターゲット306の少なくとも1つから選択される3~5個のターゲットがPVDチャンバ300に含まれていてもよい。1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306を有する実施態様では、各光学装置材料ターゲット306は、異なる予めドープされた光学装置材料を堆積させるように動作可能である。一実施態様では、予めドープされた光学装置材料は、第1の屈折率を有する。第1の屈折率は2.0超である。例えば、第1の屈折率は、約2.0と約2.8の間である。
【0051】
光学装置材料ターゲット306に結合された光学装置材料ターゲットカソード303は、予めドープされた光学装置材料を第1の堆積速度で堆積させるために、第1の電力レベルに設定される。第1の電力レベルが印加されるとき、第1の電力レベルは、動作702を通して一定のままである。光学装置材料ターゲット306から提供される予めドープされた光学装置材料は、所定の濃度を有し、予めドープされた光学装置材料の濃度は、ドープされた光学装置膜101の濃度に対応する。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、予めドープされた光学装置材料は、約85%から約100%原子パーセンテージの光学装置材料濃度と、約0%から15%原子パーセンテージのドーパント材料濃度のドーパント材料とを含む。例えば、予めドープされた光学装置材料は、材料中に5%の原子パーセンテージで二酸化ケイ素(TiO2)などのドーパント材料を有する二酸化チタン(TiO2)光学装置材料である。一実施態様では、ドープされた光学装置膜101における二酸化チタン(TiO2)の結晶粒の形成を防止するために、予めドープされた光学装置材料の堆積の温度は、約270℃以下に維持される。
【0052】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る別の実施態様では、動作702の単一の適用によって一連のゾーン115の全ゾーンが形成される。別の実施態様では、動作702の繰り返しは、ドープされた光学装置膜101の一部を形成し、ここで、該一部は一連のゾーン115の1つ又は複数のゾーンに対応し得る。
【0053】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができるさらに別の実施態様では、1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306は、予めドープされた金属含有材料及び予めドープされた半導体材料を堆積させるように動作可能である。予めドープされた金属含有材料は、予めドープされた半導体材料と同時に堆積し、一連のゾーン115の形成し得る。予めドープされた金属含有材料及び予めドープされた半導体材料は、同じ光学装置材料ターゲット306から個別に堆積してもよいし、異なる光学装置材料ターゲット306から堆積してもよい。
【0054】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができるさらに別の実施態様では、1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306は、光学装置材料ターゲット306の2つ以上から予めドープされた金属含有材料を堆積させて、一連のゾーン115を形成するように動作可能である。予めドープされた金属含有材料は、同じ光学装置材料ターゲット306から個別に堆積してもよいし、異なる光学装置材料ターゲット306から堆積してもよい。
【0055】
図8は、ドープされた光学装置膜101を製造するための例示的な方法800のフロー図である。説明を容易にするために、
図3のPVDチャンバ300、
図4のCVDチャンバ400、及び
図5のクラスタツール502を参照して
図8を説明する。しかしながら、
図3のPVDチャンバ300以外のPVDチャンバを方法800と併せて利用してもよいことに留意されたい。
図4のCVDチャンバ400以外のCVDチャンバを方法800と併せて利用してもよいことに留意されたい。また、
図5のクラスタツール502以外のクラスタツールを方法800と併せて利用してもよいことに留意されたい。上述したようなクラスタツール502は、処理チャンバ504がPVDチャンバ300又はPVDチャンバ400である場合に利用され得る。一実施態様では、処理チャンバは、修正されたPVDチャンバ、例えば、ドーパント前駆体(例えば前駆体ガス流量コントローラ331によって制御される前駆体ガス源332から供給されるドーパント前駆体)を供給するために装備された
図3に記載のPVDチャンバ300の修正版である。
【0056】
動作801では、コーティングを意図した基板は、PVDチャンバ300内の基板支持体上に配置される。例えば、光学装置基板102は、基板支持体310上に配置される。
【0057】
動作802では、光学装置材料が堆積する。光学装置材料は、1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306から堆積して、光学装置基板102の上に光学装置層を形成する。光学装置材料は、金属含有材料若しくは半導体材料の一方又は両方を含み得る。動作802の一実施態様では、処理チャンバは、例えば
図4のマルチカソードPVDチャンバなどのPVDチャンバであり、光学装置材料ターゲットカソード303を含む。光学装置材料ターゲットカソード303は、光学装置材料を第1の堆積速度で堆積させるために、第1の電力レベルで動作される。光学装置材料は、第1の堆積速度で堆積して、光学装置層を形成するために、光学装置材料ターゲットカソード303を第1の電力レベルに設定することにより、光学装置基板102の表面上に堆積される。例えば、光学装置材料ターゲットカソード303の第1の電力レベルは、約0%から約100%の範囲である。例えば、光学装置材料ターゲットカソード303の第1の電力レベルは約80%であり、第1の堆積速度は約0.35nm/sである。PVDチャンバ300は、1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306を含み得る。例えば、光学装置材料ターゲット306の少なくとも1つから選択される3~5個のターゲットがPVDチャンバ300に含まれていてもよい。1つ又は複数の光学装置材料ターゲット306を有する実施態様では、各光学装置材料ターゲット306は、異なる光学装置材料を堆積させるように動作可能である。
【0058】
光学装置層は、光学装置材料をある特定の光学装置材料濃度で含む。例えば、光学装置材料濃度は、約85%から100%の原子パーセンテージである。一実施態様では、光学装置材料は、第1の屈折率を含む。第1の屈折率は2.0超である。例えば、第1の屈折率は、約2.0と約2.8の間である。
【0059】
動作803では、ドーパント前駆体が流される。ドーパント前駆体は、PVDチャンバ300に対応する前駆体ガス源332又はCVDチャンバ400に対応する第2のガス源403から流入されるドーパント材料を含む。ドーパント前駆体は、光学装置基板102上にドープされた光学装置膜101を形成するために流入される。ドーパント前駆体としては、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、又はハフニウム(Hf)、及びそれらの酸化物、窒化物、若しくは酸素窒化物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、ドーパント前駆体は、光学装置層内で均一に濃縮されるように流入されて、ドープされた光学装置膜101の1つ又は複数のゾーンが形成される。光学装置材料はドーパント前駆体と反応して、光学装置基板102の表面にドープされた光学装置膜101を形成する。
【0060】
ドーパント前駆体を流量で堆積させるために、第2の電力レベルでドーパント前駆体が流入される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、前駆体ガス源332と結合された前駆体ガス流量コントローラ331は、第2の電力レベルに設定される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る別の実施態様では、第2のガス源403と結合された第2の流量コントローラ418bは、第1の電力レベルに設定される。PVDチャンバ300は、1つ又は複数の前駆体ガス源332を含み得る。例えば、3~5個の前駆体ガス源332がPVDチャンバ300に含まれてもよい。1つ又は複数の前駆体ガス源332を有する実施態様では、各光学装置材料ターゲット306は、異なる光学装置材料を堆積させるように動作可能である。CVDチャンバ400は、1つ又は複数の第2のガス源403を含み得る。例えば、3~5個の第2のガス源403がCVDチャンバ400に含まれてもよい。1つ又は複数の第2のガス源403を有する実施態様では、各第2のガス源403は、異なるドーパント前駆体を堆積させるように動作可能である。
【0061】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、光学装置材料の堆積速度はドーパント前駆体の流量を超えるため、光学装置材料よりもドープされた光学装置膜101でドーパント材料が低い濃度を有する。第2の電力レベルが印加されるとき、第2の電力レベルは、動作803を通して一定のままである。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、第1の電力レベルと第2の電力レベルは異なっていてもよい。光学装置材料ターゲット306により提供される光学装置材料と、前駆体ガス源332又は第2のガス源403により提供されるドーパント前駆体とは、所定の濃度を有し、光学装置材料とドーパント材料の組み合わせの濃度は、ドープされた光学装置膜101の濃度に対応する。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、光学装置材料は、約85%から約100%原子パーセンテージの光学装置材料濃度を含み、ドーパント前駆体は、約0%から15%原子パーセンテージのドーパント材料濃度を含む。
【0062】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、動作802及び803は、光学装置材料ターゲットカソード303に第1の電力レベルを印加する間隔と、前駆体ガス流量コントローラ331又は第2の流量コントローラ418bに第2の電力レベルを印加する間隔とによって繰り返される。別の実施態様では、第2の電力レベルでのドーパント材料の堆積は、金属光学装置材料を堆積させながら、設定周波数で第2の電力レベルをパルス供給することによって実施される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得るさらに別の実施態様では、第1の電力レベル及び第2の電力レベルを同時に印加することによって、光学装置材料が堆積し、ドーパント前駆体が同時に流され、ドープされた光学装置膜101を形成する。
【0063】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、動作802及び803の単一のパフォーマンスによって、ドープされた光学装置膜101の一連のゾーン115の全ゾーンが形成される。別の実施態様では、動作802及び803の単一のパフォーマンスは、ドープされた光学装置膜101の一部を形成し、該一部は一連のゾーン115の1つ又は複数のゾーンに対応し得る。一連のゾーン115の各ゾーンは、厚さ110の20nmから25nm毎であり得る。動作802及び803は、ドープされた光学装置膜101の所定の厚さ110が達成されるまで繰り返される。
【0064】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、動作802及び803は、少なくとも光学装置材料ターゲット306及び前駆体ガス源332を有するPVDチャンバ300で実施することができる。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る別の実施態様では、動作801及び802は、クラスタツール502のマルチ処理チャンバ504で実施することができる。例えば、光学装置基板102は、少なくとも2つの処理チャンバ504の間で移送される。処理チャンバ504の少なくとも1つは、光学装置材料ターゲット306を含むPVDチャンバ300であり、処理チャンバ504の少なくとももう1つは、前駆体ガス源332を含むPVDチャンバ300である。別の実施態様では、処理チャンバ504の少なくとも1つは、光学装置材料ターゲット306を含むPVDチャンバ300であり、処理チャンバ504の少なくとももう1つは、第2のガス源403を含むCVDチャンバ400である。
【0065】
図900は、ドープされた光学装置膜101を製造するための例示的な方法900のフロー図である。説明を容易にするために、
図4のCVDチャンバ400及び
図5のクラスタツール502を参照して
図9を説明する。しかしながら、
図4のCVDチャンバ400以外のCVDチャンバを方法900と併せて利用してもよいことに留意されたい。また、
図5のクラスタツール502以外のクラスタツールを方法700と併せて利用してもよいことに留意されたい。上述したようなクラスタツール502は、処理チャンバ504がCVDチャンバ400である場合に利用され得る。
【0066】
動作901では、コーティングを意図した基板は、CVDチャンバ400内の基板支持体上に配置される。例えば、光学装置基板102は、基板支持体410上に配置される。
【0067】
動作902では、光学装置材料前駆体が流される。光学装置材料前駆体は、光学装置基板102の上に光学装置層を形成するために、第1のガス源402から流入される光学装置材料を含む。光学装置材料は、金属含有材料若しくは半導体材料の一方又は両方を含み得る。金属含有前駆体としては、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In2O3)、又は酸化ハフニウム(HfO2)などの金属、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物が挙げられるが、それらに限定されない。半導体前駆体としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、透明な導電酸化物、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施態様では、半導体前駆体は、Si、Ge、SiGe、III-V族半導体、II-IV族半導体、三元半導体、四元半導体、又は透明な導電酸化物の酸化物、酸素窒化物、窒化物、又は炭化物である。
【0068】
光学装置材料が金属であるときの実施態様では、第1のガス源402の流された金属が反応性ガスと反応して光学装置基板102の上に光学装置層を形成するときに、光学装置層が形成される。光学装置材料が金属酸化物、金属窒化物、又は金属酸窒化物であるときの実施態様では、光学装置材料が光学装置基板102の上に流入されるときに、光学装置層が形成される。第1のガス源402に結合された第1の流量コントローラ418aは、光学装置材料前駆体を流量で流入させるために、第1の電力レベルに設定される。第1の電力レベルが印加されるとき、第1の電力レベルは、動作902及び903を通して一定のままである。CVDチャンバ400は、1つ又は複数の第1のガス源402を含み得る。例えば、3~5個の第1のガス源402がチャンバ300に含まれてもよい。各第1のガス源402は、異なる光学装置材料を堆積させるように動作可能である。CVDチャンバ400は、1つ又は複数の第1のガス源403を含み得る。例えば、3~5個の第1のガス源402がCVDチャンバ400に含まれてもよい。1つ又は複数の第1のガス源402を有する実施態様では、各第1のガス源402は、異なるドーパント前駆体を堆積させるように動作可能である。
【0069】
動作903では、ドーパント前駆体が流される。ドーパント前駆体は、第2のガス源403から流入されるドーパント材料を含む。ドーパント前駆体は、光学装置基板102上にドープされた光学装置膜101を形成するために流入される。ドーパント前駆体としては、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、又はハフニウム(Hf)、及びそれらの酸化物、窒化物、若しくは酸素窒化物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、ドーパント前駆体は、光学装置層内で均一に濃縮されるように流入されて、ドープされた光学装置膜101の1つ又は複数のゾーンが形成される。光学装置材料前駆体がチタン前駆体であり、ドーパント前駆体が酸素(O2)であるときの実施態様では、金属含有前駆体は前駆体と反応して二酸化チタン(TiO2)を形成する。
【0070】
ドーパント前駆体を流量で堆積させるために、第2の電力レベルでドーパント前駆体が流入される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、第2のガス源403と結合された第2の流量コントローラ418bは、第2の電力レベルに設定される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、光学装置材料前駆体の流量はドーパント前駆体の流量を超えるため、光学装置材料よりもドープされた光学装置膜101でドーパント材料が低い濃度を有する。第2の電力レベルが印加されるとき、第2の電力レベルは、動作903を通して一定のままである。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、第1の電力レベルと第2の電力レベルは異なっていてもよい。第1のガス源402により提供される光学装置材料と、第2のガス源403により提供されるドーパント前駆体とは、所定の濃度を有し、光学装置材料とドーパント材料の組み合わせの濃度は、ドープされた光学装置膜101の濃度に対応する。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、光学装置材料前駆体は、約85%から約100%原子パーセンテージの光学装置材料濃度を含み、ドーパント前駆体は、約0%から15%原子パーセンテージのドーパント材料濃度を含む。CVDチャンバ400は、1つ又は複数の第2のガス源403を含み得る。例えば、3~5個の第2のガス源403がチャンバ300に含まれてもよい。各第2のガス源403は、異なるドーパント前駆体を堆積させるように動作可能である。
【0071】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、動作902及び903は、第1の流量コントローラ418aに第1の電力レベルを印加する間隔と、第2の流量コントローラ418bに第2の電力レベルを印加する間隔とによって繰り返される。別の実施態様では、第2の電力レベルでドーパント前駆体を流すことは、光学装置材料前駆体を流しながら、設定周波数で第2の電力レベルをパルス供給することによって実施される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得るさらに別の実施態様では、第1の電力レベル及び第2の電力レベルを同時に印加することによって、光学装置材料前駆体及びドーパント前駆体が同時に流され、ドープされた光学装置膜101を形成する。
【0072】
本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、動作902及び903の単一のパフォーマンスによって、ドープされた光学装置膜101の一連のゾーン115の全ゾーンが形成される。別の実施態様では、動作902及び903の単一のパフォーマンスは、ドープされた光学装置膜101の一部を形成し、該一部は一連のゾーン115の1つ又は複数のゾーンに対応し得る。動作902及び903は、ドープされた光学装置膜101の所定の厚さ110が達成されるまで繰り返される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る一実施態様では、動作902及び903は、少なくとも第1及び第2のガス源402、403を有するCVDチャンバ400で実施することができる。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る別の実施態様では、動作902及び903は、クラスタツール502のマルチ処理チャンバ504で実施することができる。例えば、光学装置基板102は、少なくとも2つの処理チャンバ504の間で移送される。処理チャンバ504の少なくとも1つは、光学装置材料ターゲットを含むCVDチャンバ400であり、処理チャンバ504の少なくとももう1つは、第2のガス源403を含むCVDチャンバ400である。
【0073】
一実施態様では、方法600~900のドープされた光学装置膜101は、ドープされた光学装置膜101が非晶質のままであることを可能にする範囲内の温度で維持される。本明細書に記載の他の実施態様と組み合わされ得る実施態様では、ドープされた光学装置膜101は、方法600~900を通じて、この温度範囲に維持される。一実施態様では、光学装置基板102は、約30℃から300℃の間といった、約30℃より高い温度で維持される。一実施態様では、温度は、冷却導管318、414を使用して、基板支持体310、410及び光学装置基板102を冷却することによって維持される。例えば、基板支持体310内に配置された冷却導管318を通って、冷却流体が流れる。一実施態様では、ヒータ322又は加熱導管414を使用して、基板支持体310,410及び光学装置基板102を加熱することにより、温度が維持される。
【0074】
方法600~900では、光学装置材料は、約30℃以上の処理温度に曝される。光学装置層中に組み込まれたドーパント材料は、ドープされた光学装置膜101を約30℃より高い温度、例えば約100℃と約300℃の温度で非晶質に形成することを可能にする。ドーパント材料を有する光学装置材料は、ドーパント材料が光学装置層中に組み込まれると非晶質に形成され、ここでドーパント材料は光学装置材料の組成を変更し、光学装置材料に特有のある温度を超えると形成されるであろう光学装置層における結晶構造の形成を中断させる。例えば、二酸化チタン(TiO2)は、30℃から200℃の温度又はその間の温度で多結晶性の二酸化チタン(TiO2)を形成する場合があり、200℃以上の温度では顕著な結晶が形成される場合がある。
【0075】
まとめると、均一な高屈折率及び低吸収損失を含む光学特性を有するドープされた光学装置膜101を形成するための改善された方法及び材料が本明細書に記載されている。所望の光学特性を達成するために、ドーパント材料は、光学装置層中にある特定のドーパント濃度で分布し、ドープされた光学装置膜は、ドープされた光学装置膜が非晶質に(すなわち、結晶構造を形成せずに)形成できる温度プロセスウィンドウ内に維持される。ドーパント濃度のドーパント材料は、ドープされた光学装置膜の温度プロセスウィンドウを拡大する。ドーパント材料は、所定の温度で結晶形成が中断されるように、光学装置層の組成を変更する。例えば、光学装置層が全体に均一に分布したドーパント材料を有する場合、結晶形成は約30℃と300℃の間の温度で中断される。ドーパント材料のドーパント原子の0~50%の濃度は、光学装置層の屈折率の著しい有害な増加なしに、ドープされた光学装置膜の形態に影響を与える。
【0076】
上記の説明は、本開示の実施態様を対象としているが、本開示の他の及びさらなる実施態様は、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。