(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/409 20060101AFI20240906BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240906BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20240906BHJP
G06F 3/027 20060101ALI20240906BHJP
B24B 7/04 20060101ALN20240906BHJP
【FI】
G05B19/409 C
H01L21/02 Z
G06F3/02 F
G06F3/027
B24B7/04 A
(21)【出願番号】P 2020138266
(22)【出願日】2020-08-18
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 崇史
(72)【発明者】
【氏名】三宮 沙紀
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-086972(JP,A)
【文献】特開2013-143024(JP,A)
【文献】特開2001-084015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0057477(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1967451(CN,A)
【文献】特開2014-081740(JP,A)
【文献】特開2016-197306(JP,A)
【文献】特開2016-175175(JP,A)
【文献】特開2008-071009(JP,A)
【文献】特開平09-327780(JP,A)
【文献】特開平08-123516(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0291582(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0274784(US,A1)
【文献】米国特許第06243619(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18-19/416
H01L 21/00-21/16
G06F 3/02-3/027
B24B 41/00-51/00
B24B 7/04
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、
加工条件が入力されるオペレーションパネルと、
該オペレーションパネルを制御する制御ユニットと、を有する加工装置であって、
該制御ユニットは、
該加工条件に含まれる複数の項目に対応する複数の入力欄を該オペレーションパネルに表示させ、
複数の該入力欄のうち一の入力欄が選択されると、数字キーを表示させ、
該数字キーが選択されると、該数字キーにより入力される数値をそれぞれ異なる桁に変更した複数の桁違い数字キーを表示させ、
該桁違い数字キーが選択されると、
該一の入力欄に、選択された該桁違い数字キーの数値を入力
し、
該制御ユニットは、
複数の該入力欄にそれぞれ入力可能な数値の範囲を設定する範囲設定部を有し、
該範囲設定部で設定された範囲内に該当する該桁違い数字キーのみを表示させることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該桁違い数字キーは、該数字キーからのフリック操作により選択される
請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
複数の該入力欄と複数の入力欄に過去に入力された数値の桁と紐づけて記憶する桁記憶部をさらに有し、
該制御ユニットは、一の入力欄が選択されたとき、該桁記憶部に記憶されている桁に該当する桁違い数字キーのみを表示させる
請求項1に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを備える加工装置の加工条件を設定する際には、オペレータがタッチパネルを操作して加工条件を入力する。その際、オペレータは、タッチパネルに表示された入力部(テンキー、キーボード等)に含まれる入力キーのタッチ操作により、加工装置に所定の情報(数値、文字列等)を入力する。例えば、特許文献1には、数値の桁を設定する桁設定キーが配置されたオペレーションパネルを搭載した加工装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の加工装置は、タッチパネルに表示される入力キーが狭い間隔で密集して配置されている場合、入力される数値の桁数が多い場合には、オペレータが誤った情報を入力してしまうことがある。そして、タッチパネルに誤った情報が入力されると、加工装置は、意図しない加工条件で被加工物を加工し、加工不良が生じる恐れがある。また、加工装置の加工条件は、小数点以下から10以上の桁までを設定するため、特許文献1の加工装置のように、複数の桁設定キーを常に表示しておくと、数値を入力する数字キーが小さくなり、入力の操作性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、数字キーを表示する領域の増加を抑制し、かつ複数の桁数を入力する場合の誤入力を抑制することができる加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、加工条件が入力されるオペレーションパネルと、該オペレーションパネルを制御する制御ユニットと、を有する加工装置であって、該制御ユニットは、該加工条件に含まれる複数の項目に対応する複数の入力欄を該オペレーションパネルに表示させ、複数の該入力欄のうち一の入力欄が選択されると、数字キーを表示させ、該数字キーが選択されると、該数字キーにより入力される数値をそれぞれ異なる桁に変更した複数の桁違い数字キーを表示させ、該桁違い数字キーが選択されると、該一の入力欄に、選択された該桁違い数字キーの数値を入力し、該制御ユニットは、複数の該入力欄にそれぞれ入力可能な数値の範囲を設定する範囲設定部を有し、該範囲設定部で設定された範囲内に該当する該桁違い数字キーのみを表示させることを特徴とする。
【0007】
前記加工装置において、該桁違い数字キーは、該数字キーからのフリック操作により選択されてもよい。
【0009】
前記加工装置において、複数の該入力欄と複数の入力欄に過去に入力された数値の桁と紐づけて記憶する桁記憶部をさらに有し、該制御ユニットは、一の入力欄が選択されたとき、該桁記憶部に記憶されている桁に該当する桁違い数字キーのみを表示させてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の加工装置は、例えば、数値を入力する数字キーが小さくなり、入力の操作性が低下することを抑制し、かつ複数の桁数を入力する操作性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る加工装置の機能構成の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るデバイスデータの表示例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る入力欄に対する入力処理の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る入力欄に対する入力処理の他の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る入力欄に対する入力処理の他の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る加工装置の入力処置に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る桁データの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る入力欄に対する入力処理の変形例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施形態の変形例(1)に係る加工装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例(2)に係る加工装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る加工装置1の構成例を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る加工装置1の機能構成の一例を模式的に示す図である。
【0014】
実施形態に係る加工装置1は、
図1に示すように、箱形の筐体である本体2を備える。加工装置1は、
図1に示すように、チャックテーブル10と、加工ユニット20と、タッチパネル30と、制御ユニット40と、を備える。制御ユニット40は、チャックテーブル10、加工ユニット20及びタッチパネル30と電気的に接続されている。
【0015】
加工装置1の加工対象である被加工物100は、例えば、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素等を基板101とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハである。被加工物100は、粘着テープ103を介して、環状のフレーム102の開口に基板101を支持して構成される。
【0016】
チャックテーブル10は、保持面11で被加工物100を保持する。チャックテーブル10は、不図示の吸引源と連通しており、吸引源から供給される負圧によって被加工物100を吸引保持する。チャックテーブル10は、後述するX軸移動手段22によってX軸方向に沿って移動可能であり、不図示の回転駆動源によってZ軸周りに回転可能である。
【0017】
本実施形態では、加工装置1は、
図2に示すように、撮像ユニット12、駆動手段14及びZ軸移動手段15をさらに備える。制御ユニット40は、撮像ユニット12、駆動手段14及びZ軸移動手段15と電気的に接続されている。
【0018】
図1及び
図2に示すように、撮像ユニット12は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを搭載した電子顕微鏡である。撮像ユニット12は、チャックテーブル10の保持面上に保持された被加工物100の表面を撮像する。撮像ユニット12は、加工ユニット20用のハウジングの一部に取り付け支持されることで一体化されており、ボールねじ、ナット、パルスモータ等によるZ軸移動手段15によってZ軸方向に移動可能に設けられている。撮像ユニット12は、例えば、チャックテーブル10の保持面に保持された被加工物100の表面に照明光を照射する光源を備えてもよい。
【0019】
加工ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物100を加工する。加工ユニット20は、例えば、一対の切削手段であり、それぞれ切削ブレードを有する。一対の切削手段のそれぞれの切削ブレードは、Y軸方向において互いに対向しており、いずれもY軸周りに回転する。加工ユニット20は、回転する切削ブレードによって、被加工物100に対して切削加工を施す。加工ユニット20は、Y軸移動手段27によってY軸方向に沿って移動可能であり、Z軸移動手段15によってZ軸方向に沿って移動可能である。チャックテーブル10の保持面に対して撮像ユニット12や加工ユニット20を相対的にY軸方向に移動させるY軸移動手段27は、ボールねじ、ナット、パルスモータ等からなり、X軸移動手段22とともに駆動手段14を構成する。
【0020】
加工装置1は、X軸移動手段22、Y軸移動手段27及びZ軸移動手段15により、チャックテーブル10と加工ユニット20とを相対移動させることにより、チャックテーブル10に保持された被加工物100を加工する。
【0021】
なお、加工装置1が備える加工ユニット20は、切削ブレードで被加工物100を切削加工する切削ユニットに限定されない。他には、加工ユニット20は、例えば、研削砥石等で同様の被加工物100を研削加工する研削ユニットや、研磨パッド等で同様の被加工物100を研磨加工する研磨ユニットや、同様の被加工物100にレーザービームを照射してレーザー加工するレーザー加工ユニットなどでもよい。
【0022】
タッチパネル30は、
図1に示すように、表示面を外側に向けた状態で本体2に設置される。タッチパネル30は、加工装置1の筐体において見やすくて操作しやすい箇所に配設される。タッチパネル30は、制御ユニット40による制御の下、撮像ユニット12が撮像した被加工物100の表面の画像や加工処理に必要な各種情報を表示するとともに、加工処理に必要な入力操作等をオペレータから受け付ける。本実施形態では、タッチパネル30は、オペレーションパネルの一例である。
【0023】
タッチパネル30は、
図2に示すように、加工装置1に関する各種情報を表示する表示部31と、加工条件の設定入力など、加工装置1に関する各種操作入力をオペレータから受け付ける入力部32と、を有する。表示部31は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示デバイスを有する。入力部32は、例えば、表示デバイスの表示面における物体の接触位置や座標を指定するタッチスクリーンを有する。
【0024】
本実施形態では、タッチパネル30は、情報を出力する出力部の一例である場合について説明するが、これに限定されない。例えば、出力部は、スピーカー、通信装置等の電子機器で実現してもよい。
【0025】
図2に示すように、加工装置1は、ストレージ50を備える。ストレージ50は、制御ユニット40により実行される各種処理等の機能を実現するプログラムや、かかるプログラムによる処理に用いられるデータなどを記憶する。ストレージ50は、制御ユニット40と電気的に接続されている。ストレージ50は、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリ等により実現できる。ストレージ50は、制御ユニット40が備えるプロセッサが制御プログラムに記述された命令を実行する際の一時的な作業領域としても利用されてもよい。
【0026】
なお、本実施形態では、加工装置1がストレージ50を備える場合について説明するが、これに限定されない。例えば、ストレージ50は、加工装置1の外部のコンピュータ及び電子機器、他の加工装置1等の加工装置1がアクセス可能な記憶装置とすることができる。
【0027】
ストレージ50は、例えば、デバイスデータ500、桁データ510等の各種データを記憶できる。デバイスデータ500は、例えば、オペレータが被加工物100の加工条件を設定可能な入力欄を表示するためのデータを含む。デバイスデータ500は、デバイスの種類毎に用意されている。例えば、デバイスの種類は、デバイスの番号で管理されている。デバイスデータ500は、例えば、複数の入力欄を有するデバイスデータ画面としてタッチパネル30に表示される。デバイスデータ500は、入力欄と該入力欄に入力された数値またはデフォルト値とが紐付けられている。制御ユニット40は、デバイスの番号が指示されると、当該デバイスの番号に紐づく各設定項目の値が入力欄に入力する。
【0028】
桁データ510は、デバイスデータ500等の入力欄と該入力欄に過去に入力された複数の数値の桁とを紐づけるデータを含む。桁データ510は、入力欄に入力可能な数値の範囲を示すデータを含む。桁データ510を記憶しているストレージ50は、桁記憶部として機能する。また、本実施形態では、桁データ510は、デバイスデータ500とは別のデータとする場合について説明するが、これに限定されない。桁データ510は、デバイスデータ500に含まれてもよい。
【0029】
なお、本実施形態では、加工装置1は、デバイスデータ500が示す入力欄に対する数値の入力処理について説明するが、これに限定されない。加工装置1は、例えば、アライメントデータ、洗浄データ、搬送データ、カーフチェックデータ等の複数の入力欄に対し、オペレータが数値を入力する処理に本発明を適用することができる。
【0030】
制御ユニット40は、加工装置1を駆動する各機構(X軸移動手段22、Y軸移動手段27、Z軸移動手段15)を制御する。制御ユニット40は、加工装置1の各部を制御し、加工装置1による加工処理を実現する。制御ユニット40は、例えばオペレータにより入力設定された加工条件に従って、チャックテーブル10や加工ユニット20を含む加工装置1の各部を制御し、被加工物100の加工処理を実現する。
【0031】
制御ユニット40は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、入出力インターフェース装置とを備える。制御ユニット40は、かかる装置を用いて、加工装置1が実施する一連の加工工程に従い、上述した各構成要素を制御するための制御プログラムなどを実行可能なコンピュータである。
【0032】
制御ユニット40は、タッチパネル30の入力部32を介してオペレータにより設定された加工条件に従って、加工装置1の動作全般を制御する。制御ユニット40は、表示制御部41と、範囲設定部42と、を備える。制御ユニット40は、プログラムを実行することにより、各部の機能、作用等を実現する。
【0033】
表示制御部41は、タッチパネル30の表示部31の表示を制御する。表示制御部41は、被加工物100のデバイスの該加工条件に含まれる複数の項目に対応する複数の入力欄をタッチパネル30に表示させる。表示制御部41は、複数の該入力欄のうち一の入力欄が選択されると、数字キーを表示させる。表示制御部41は、入力部32により検出された接触、該接触が検出されたタッチパネル30の位置、接触が検出された位置の変化等に基づいてジェスチャを検出する。ジェスチャは、タッチパネル30に対して行われたオペレータの操作である。表示制御部41は、例えば、タッチ、タップ、ロングタッチ、リリース、フリック等のジェスチャを検出する。
【0034】
表示制御部41は、該数字キーが第1のジェスチャによって選択されると、該数字キーが示す数値を入力欄に入力する。第1のジェスチャは、例えば、タッチ、タップ等のジェスチャを含む。表示制御部41は、該数字キーが第2のジェスチャによって選択されると、該数字キーにより入力される数値をそれぞれ異なる桁に変更した複数の桁違い数字キーが表示させる。第2のジェスチャは、例えば、ロングタッチ、フリック等のジェスチャを含む。例えば、「1」の数字キーが選択された場合、表示制御部41は、「0.1」、「0.01」、「10」、「100」等の桁違い数字キーを表示させる。
【0035】
なお、表示制御部41は、桁違い数字キーを第1のジェスチャによって表示させてもよい。この場合、該数字キーがタッチ、タップ、ロングタッチ、フリック等を含む第1のジェスチャによって選択されると、桁違い数字キーが選択された数字キーの近傍に表示される。
【0036】
次に、オペレータがタッチパネル30に触れた状態で桁違い数字キー上に接触をスライドさせたのち桁違い数字キーの上で接触をやめるという第2のジェスチャを行うと、表示制御部41は、入力欄に桁違い数字キーの数値を入力する。また、オペレータが桁違い数字キー上に接触をスライドさせず、数字キーの上で接触をやめる第2のジェスチャを行うと、表示制御部41は、入力欄に数字キーの数値を入力する。
【0037】
表示制御部41は、該桁違い数字キーが選択されると、該一の入力欄に、選択された該桁違い数字キーの数値を入力する。表示制御部41は、数字キーから桁違い数字キーへのフリック操作により、桁違い数字キーが選択されたことを検出する。これにより、加工装置1は、数字キーから桁違い数字キーへの連続した操作によって桁違い数字キーをオペレータに選択させることができるので、桁違い数字キーに対する操作性を向上させることができる。その結果、加工装置1は、桁違い数字キーを常に表示させる必要がないので、数字キーのサイズが小さくならず、数字の入力ミスを防ぐことができる。
【0038】
範囲設定部42は、複数の入力欄にそれぞれ入力可能な数値の範囲を設定する。範囲設定部42は、例えば、入力欄に入力可能な数値の範囲を設定すると、該数値の範囲を示す情報をデバイスデータ500の入力欄の項目に紐付ける。例えば、入力欄が1から5000の数値を入力できる場合、範囲設定部42は、例えば、1から5000までの範囲で入力欄に入力可能なことを示す情報を入力欄に紐付ける。そして、表示制御部41は、範囲設定部42で設定された範囲内に該当する数値を示す該桁違い数字キーのみを、数字キーの近傍に表示させる。
【0039】
以上、本実施形態に係る加工装置1の構成例について説明した。なお、
図1及び
図2を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る加工装置1の構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る加工装置1の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0040】
(入力欄の入力処理の例)
次に、実施形態に係る加工装置1が実行する入力処理の一例を説明する。
図3は、実施形態に係るデバイスデータ500の表示例を示す図である。
図4は、実施形態に係る入力欄に対する入力処理の一例を説明するための図である。
図5及び
図6は、実施形態に係る入力欄に対する入力処理の他の一例を説明するための図である。
【0041】
図3に示すデバイスデータ500は、制御ユニット40の制御により、デバイスデータ画面としてタッチパネル30の表示部31に表示される。デバイスデータ500は、複数の入力欄501を有する。複数の入力欄501は、オペレータの操作によって入力された数値を入力可能な構成になっている。
図3に示す一例では、デバイスデータ500は、スピンドル回転数、ブレードハイト、送り速度、インデックス、ワーク形状とサイズ、厚さ等の複数の項目のそれぞれに対応した複数の入力欄501を有している。制御ユニット40は、オペレータに数値を入力させるための入力キー部600を、デバイスデータ500の近傍に表示するように、タッチパネル30の表示部31を制御する。制御ユニット40は、例えば、複数の入力欄501のいずれかがオペレータによって選択された場合に、入力キー部600を表示させてもよいし、入力キー部600を常時表示させてもよい。
【0042】
入力キー部600は、複数の数字キー610と、複数の操作キー620と、を有する。複数の数字キー610は、オペレータに数値を入力させるための「0」から「9」のキーである。複数の操作キー620は、例えば、確定、移動、削除、シフト等の命令をオペレータに選択させるためのキーである。
【0043】
図3に示す一例では、デバイスデータ500は、テープの厚さの項目におけるテープに対応した入力欄501がオペレータによって選択されている。この場合、制御ユニット40は、入力キー部600をデバイスデータ500とともに表示させ、該入力欄501が選択されているときの表示態様となるように、タッチパネル30の表示部31を制御する。
【0044】
図4に示す場面1001では、制御ユニット40は、不図示のデバイスデータ500と入力キー部600とを表示部31に表示させている。オペレータは、タッチパネル30に対し、指が「9」の数字キー610の位置に接触している。そして、場面1002に示すように、オペレータは、タッチパネル30に接触した指を「9」の数字キー610の位置から直ちに離している。この場合、制御ユニット40は、タッチパネル30を介して、「9」の数字キー610に対するタッチ操作を検出する。制御ユニット40は、「9」の数字キー610が選択されたと認識し、「9」の数字キー610が示す数値を入力欄501に入力し、デバイスデータ500の表示を更新する。これにより、加工装置1は、被加工物100の厚さの項目におけるテープに対応した入力欄501に「9」の数値を入力したデバイスデータ500をオペレータに表示する。
【0045】
図5に示す場面1001では、
図4に示したように、制御ユニット40は、不図示のデバイスデータ500と入力キー部600とを表示部31に表示させている。オペレータは、タッチパネル30に対し、指が「9」の数字キー610の位置に接触している状態を、所定時間以上にわたって継続している。所定時間は、例えば、桁違い数字キー630を表示させるか否かを判定するために設定された時間を含む。制御ユニット40は、入力部32を介して、「9」の数字キー610に対するロングタッチ操作を検出すると、場面1010に示すように、複数の桁違い数字キー630を表示するように、表示部31を制御する。なお、制御ユニット40は、入力部32を介して、「9」の数字キー610に対するタッチ操作を検出した場合に、複数の桁違い数字キー630を表示するように、表示部31を制御してもよい。
【0046】
図5に示す一例では、制御ユニット40は、「9」の数字キー610の両側に、複数の桁違い数字キー630を表示させている。複数の桁違い数字キー630は、例えば、「9」の数字キー610の桁が異なるキーとなっている。複数の桁違い数字キー630は、例えば、「0.9」、「0.09」、「0.009」及び「0.0009」の小数点以下の桁違いの4つのキーと、「90」、「900」、「9000」及び「90000」の整数の桁違いの4つのキーと、を含む。「0.9」、「0.09」、「0.009」及び「0.0009」の桁違い数字キー630は、「8」、「5」、「2」の数字キー610に重畳され、数字キー610に沿った列状に表示されている。「90」、「900」、「9000」及び「90000」の桁違い数字キー630は、「+/-」、「.」、「0」の数字キー610に重畳され、数字キー610に沿った列状に表示されている。複数の桁違い数字キー630は、入力欄501毎に予め設定しておいてもよいし、入力欄501毎に範囲設定部42によって入力可能な数値の範囲を設定してもよい。
【0047】
続いて、場面1011では、オペレータは、「9」の数字キー610を指示している指を、タッチパネル30に接触した状態で、「9000」の桁違い数字キー630にスライドさせている。そして、場面1012では、オペレータは、9000」の桁違い数字キー630に接触していた指をタッチパネル30から離している。制御ユニット40は、入力部32を介して、場面1011から場面1012のオペレータの一連の操作を、「9000」の桁違い数字キー630へのフリック操作として検出する。この場合、制御ユニット40は、「9000」の桁違い数字キー630が選択されたと認識し、「9000」の桁違い数字キー630が示す数値を入力欄501に入力し、デバイスデータ500の表示を更新する。これにより、加工装置1は、被加工物100の厚さの項目におけるテープに対応した入力欄501に「9000」の数値を入力したデバイスデータ500をオペレータに表示する。同様に、加工装置1は、「1」から「8」の数字キー610に対しても、複数の桁違い数字キー630を表示させることができる。
【0048】
例えば、オペレータは、入力欄501に「7500」を入力する場合、まず、「7」の数字キー610に対してタップ操作を行うことで、入力欄501に「7」の数値を入力する。そして、オペレータは、「5」の数字キー610に対してロングタッチ操作を行い、「500」の桁違い数字キー630が表示されると、「500」の桁違い数字キー630に対してフリック操作を行うことで、入力欄501に「7500」の数値を入力する。これにより、オペレータは、タップ操作と、ロングタッチ操作からのフリック操作との2回の操作によって4桁の「7500」を入力欄501に入力することができる。すなわち、加工装置1は、入力欄501に「7500」を入力する場合に、「7」、「5」、「0」、「0」の数字キー610を4回操作するよりも、2回の操作に削減させることができるので、入力作業の効率を向上させることができる。
【0049】
例えば、オペレータは、入力欄501に「0.0125」を入力する場合、まず、「1」の数字キー610に対してロングタップ操作を行い、「0.01」の桁違い数字キー630が表示されると、「0.01」の桁違い数字キー630に対してフリック操作を行うことで、入力欄501に「0.01」の数値を入力する。そして、オペレータは、「2」の数字キー610に対してタップ操作を行い、「5」の数字キー610に対してタップ操作を行うことで、入力欄501に「0.0125」の数値を入力する。これにより、オペレータは、ロングタッチ操作からのフリック操作と、2回のタップ操作との合計の3回の操作によって小数点以下4桁の「0.0125」を入力欄501に入力することができる。すなわち、加工装置1は、入力欄501に「0.0125」を入力する場合に、「.」、「0」、「1」、「2」、「5」の数字キー610を5回操作するよりも、3回の操作に削減させることができるので、入力作業の効率を向上させることができる。
【0050】
以上のように、加工装置1は、複数の桁数の数値を入力欄501に入力する場合、桁違い数字キー630を表示させることにより、数字キー610の操作回数を削減させることができるので、誤入力を抑制することができる。例えば、加工装置1は、タッチパネル30に表示される複数の数字キー610が狭い間隔で密集して配置された場合に、数字キー610の操作回数を削減させることで、誤入力を抑制することができる。その結果、加工装置1は、入力する桁数が多い場合にも、数字キー610のみを複数回操作するよりも、操作回数を削減することができるので、誤入力を抑制しかつ操作性を向上させることができる。さらに、加工装置1は、桁違い数字キー630を数字キー610に重ねて表示することで、表示部31に表示される複数の数字キー610が狭い間隔で密集して配置されていても、複数の桁違い数字キー630を表示することができる。
【0051】
また、加工装置1は、複数の桁違い数字キー630を入力キー部600に常に表示させずに、数字キー610を所定時間以上触れ続けて選択したときに表示させ、フリック操作によって選択させることができる。その結果、加工装置1は、表示させるキーのサイズを小さくする必要がないので、オペレータが誤入力することをより一層抑制することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、加工装置1は、複数の桁違い数字キー630の左右に表示する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、加工装置1は、桁違い数字キー630が数字キー610に隣接した位置に表示されれば、数字キー610の上下左右、斜めなどのいずれかに、複数の桁違い数字キー630を表示するように構成してもよい。例えば、加工装置1は、オペレータが選択している数字キー610の一部に重なるように、桁違い数字キー630を表示するように構成してもよい。
【0053】
例えば、加工装置1は、範囲設定部42が入力欄501に対する入力可能な数値の範囲として、1から5000を設定しているとする。この場合、加工装置1は、桁違い数字キー630のキーの数を制限することができる。
【0054】
図6に示す場面1101では、制御ユニット40は、不図示のデバイスデータ500と入力キー部600とを表示部31に表示させている。オペレータは、タッチパネル30に対し、指が「5」の数字キー610の位置に接触している状態を、所定時間以上にわたって継続している。制御ユニット40は、入力部32を介して、「5」の数字キー610に対するロングタッチ操作を検出すると、入力欄501の入力可能な数値の範囲に基づいて、表示する桁違い数字キー630を特定する。例えば、制御ユニット40は、1から5000の範囲内に収まる「50」、「500」及び「5000」の3つの桁違い数字キー630を特定する。制御ユニット40は、場面1102に示すように、「50」、「500」及び「5000」の3つの桁違い数字キー630が「5」の数字キー610を囲んで表示するように、表示部31を制御する。
【0055】
また、例えば、テープの厚みの入力欄501は、範囲設定部42によって0.01~5.00mmと入力範囲が設定されているとする。この場合、加工装置1は、「9」の数字キー310が所定時間以上の選択を検出すると、範囲内に収まる「0.09」及び「0.9」の2つの桁違い数字キー630を、「9」の数字キー310の周囲に表示させることができる。その結果、加工装置1は、入力欄501に入力可能な桁の桁違い数字キー630をオペレータに選択させることができるので、入力欄501に対する誤入力をより一層抑制することができる。
【0056】
(入力欄の入力処理)
次に、実施形態に係る加工装置1が実行する入力処理の処理手順の一例を説明する。
図7は、実施形態に係る加工装置1の入力処置に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7に示す処理手順は、加工装置1の制御ユニット40がプログラムを実行することによって実現される。
図7に示す処理手順は、デバイスデータ500を表示する場合に実行される。
【0057】
図7に示すように、加工装置1の制御ユニット40は、デバイスデータ500をタッチパネル30に表示させる(ステップ2001)。制御ユニット40は、例えば、複数の入力欄501を有するデバイスデータ500を表示するように、タッチパネル30の表示部31を制御する。これにより、表示部31は、複数の入力欄501を有するデバイスデータ画面を表示する。制御ユニット40は、ステップ2001の処理が終了すると、処理をステップ2002に進める。
【0058】
制御ユニット40は、入力欄501が選択されたか否かを判定する(ステップ2002)。例えば、制御ユニット40は、タッチパネル30の入力部32が供給する表示面における物体の接触位置が、デバイスデータ画面の入力欄501の位置である場合に、入力欄501が選択されたと判定する。制御ユニット40は、入力欄501が選択されていないと判定した場合(ステップ2002でNo)、処理を後述するステップ2015に進める。また、制御ユニット40は、入力欄501が選択されたと判定した場合(ステップ2002でYes)、処理をステップ2003に進める。
【0059】
制御ユニット40は、数字キー610をタッチパネル30に表示させる(ステップ2003)。例えば、制御ユニット40は、上述した入力キー部600を表示させることで、複数の数字キー610を操作可能に表示する。制御ユニット40は、ステップ2003の処理が終了すると、処理をステップ2004に進める。
【0060】
制御ユニット40は、数字キー610が所定時間以上選択されたか否かを判定する(ステップ2004)。例えば、制御ユニット40は、タッチパネル30の入力部32が供給する表示面における物体の接触位置が、数字キー610の位置である状態が所定時間以上継続している場合に、数字キー610が選択されたと判定する。制御ユニット40は、数字キー610が所定時間以上選択されたと判定した場合(ステップ2004でYes)、処理をステップ2005に進める。
【0061】
制御ユニット40は、数字キー610に対応する桁違い数字キー630を特定する(ステップ2005)。例えば、制御ユニット40は、範囲設定部42が該当する入力欄501に入力可能な数値の範囲を設定していない場合、数字キー610に予め定められた複数の桁違い数字キー630を特定する。例えば、制御ユニット40は、範囲設定部42が該当する入力欄501に入力可能な数値の範囲を設定している場合、範囲内に該当する桁違い数字キー630を特定する。制御ユニット40は、ステップ2005の処理が終了すると、処理をステップ2006に進める。
【0062】
制御ユニット40は、桁違い数字キー630を数字キー610の近傍に表示させる(2006)。例えば、制御ユニット40は、複数の桁違い数字キー630がオペレータによって選択されている数字キー610の近傍に表示されるように、表示部31を制御する。制御ユニット40は、ステップ2006の処理が終了すると、処理をステップ2007に進める。
【0063】
制御ユニット40は、桁違い数字キー630の確定操作を検出したか否かを判定する(ステップ2007)。例えば、制御ユニット40は、入力部32を介して、桁違い数字キー630に対するフリック操作を検出した場合に、桁違い数字キー630の確定操作を検出したと判定する。制御ユニット40は、桁違い数字キー630の確定操作を検出したと判定した場合(ステップ2007でYes)、処理をステップ2008に進める。
【0064】
制御ユニット40は、桁違い数字キー630の数値を入力欄501に入力する(ステップ2008)。例えば、制御ユニット40は、確定操作を検出した桁違い数字キー630の数値を特定し、該数値を入力欄501に入力し、表示部31の表示内容を更新させる。制御ユニット40は、ステップ2008の処理が終了すると、処理を後述するステップ2013に進める。
【0065】
また、制御ユニット40は、桁違い数字キー630の確定操作を検出していないと判定した場合(ステップ2007でNo)、処理をステップ2009に進める。制御ユニット40は、桁違い数字キー630の消去条件を満たすか否かを判定する(ステップ2009)。桁違い数字キー630の消去条件は、例えば、タッチパネル30からオペレータの指が離れる、他の数字キー610が選択される、他の入力欄501が選択される等のうちのいずれかの操作を検出することを含む。制御ユニット40は、いずれかの操作を検出した場合に、桁違い数字キー630の消去条件を満たすと判定する。制御ユニット40は、桁違い数字キー630の消去条件を満たしていないと判定した場合(ステップ2009でNo)、処理を既に説明したステップ2007に戻し、処理を継続する。また、制御ユニット40は、桁違い数字キー630の消去条件を満たすと判定した場合(ステップ2009でYes)、処理をステップ2010に進める。
【0066】
制御ユニット40は、表示させている桁違い数字キー630を消去させる(ステップ
2010)。例えば、制御ユニット40は、オペレータによって選択されている数字キー610の近傍に表示させている複数の桁違い数字キー630を消去するように、表示部31を制御する。その結果、表示部31は、複数の桁違い数字キー630を消去し、数字キー610のみを表示した状態になる。制御ユニット40は、ステップ2010の処理が終了すると、処理を後述するステップ2013に進める。
【0067】
また、制御ユニット40は、数字キー610が所定時間以上選択されていないと判定した場合(ステップ2004でNo)、処理をステップ2011に進める。制御ユニット40は、数字キー610の確定操作を検出したか否かを判定する(ステップ2011)。例えば、制御ユニット40は、入力部32を介して、数字キー610に対するタッチ操作を検出した場合に、数字キー610の確定操作を検出したと判定する。制御ユニット40は、数字キー610の確定操作を検出していないと判定した場合(ステップ2011でNo)、処理を後述するステップ2013に進める。
【0068】
また、制御ユニット40は、数字キー610の確定操作を検出したと判定した場合(ステップ2011でYes)、処理をステップ2012に進める。制御ユニット40は、数字キー610の数値を入力欄501に入力する(ステップ2012)。例えば、制御ユニット40は、確定操作を検出した数字キー610の数値を特定し、該数値を入力欄501に入力し、表示部31の表示内容を更新させる。制御ユニット40は、ステップ2012の処理が終了すると、処理をステップ2013に進める。
【0069】
制御ユニット40は、数字キー610の消去条件を満たすか否かを判定する(ステップ2013)。数字キー610の消去条件は、例えば、タッチパネル30からオペレータの指が離れる、入力欄501の選択が解除される等のうちのいずれかの操作を検出することを含む。制御ユニット40は、いずれかの操作を検出した場合に、数字キー610の消去条件を満たすと判定する。制御ユニット40は、数字キー610の消去条件を満たしていないと判定した場合(ステップ2013でNo)、処理を後述するステップ2015に進める。また、制御ユニット40は、数字キー610の消去条件を満たすと判定した場合(ステップ2013でYes)、処理をステップ2014に進める。
【0070】
制御ユニット40は、タッチパネル30に表示させている数字キー610を消去する(ステップ2014)。例えば、制御ユニット40は、上述した入力キー部600を表示部31に消去させることで、複数の数字キー610を消去する。制御ユニット40は、ステップ2014の処理が終了すると、処理をステップ2015に進める。
【0071】
制御ユニット40は、デバイスデータ500を消去するか否かを判定する(ステップ2015)。例えば、制御ユニット40は、入力部32を介して、デバイスデータ500の保存操作、終了操作等を検出している場合に、デバイスデータ500を消去すると判定する。制御ユニット40は、デバイスデータ500を消去しないと判定した場合(ステップ2015でNo)、処理を既に説明したステップ2002に戻し、処理を継続する。また、制御ユニット40は、デバイスデータ500を消去すると判定した場合(ステップ2015でYes)、処理をステップ2016に進める。
【0072】
制御ユニット40は、入力欄501の入力値を保存して、デバイスデータ500を消去する(ステップ2016)。例えば、制御ユニット40は、入力欄501に入力された数値を反映したデバイスデータ500をストレージ50に記憶し、表示させているデバイスデータ500を消去するように、タッチパネル30を制御する。これにより、表示部31は、表示していたデバイスデータ画面を消去する。制御ユニット40は、ステップ2016の処理が終了すると、
図7に示す処理手順を終了させる。
【0073】
(入力処理の変形例)
次に、桁違い数字キー630を表示する個数を入力欄501の過去に入力された数値に基づいて変更する一例について説明する。
図8は、実施形態に係る桁データ510の一例を示す図である。
図9は、実施形態に係る入力欄に対する入力処理の変形例を説明するための図である。
【0074】
図8に示すように、桁データ510は、複数の入力欄501のそれぞれに対応した桁情報511と入力欄501とを紐づけるデータである。桁データ510を記憶しているストレージ50は、桁記憶部として機能する。桁データ510は、例えば、入力欄501の入力値が変更された場合等に、制御ユニット40によって更新される。桁データ510は、複数の桁情報511を有している。桁情報511は、入力欄501に入力された過去の数値の桁数または数値を示す情報を含む。例えば、桁情報511は、1回目が「20」、2回目が「22」等を示す情報を含む。この場合、桁情報511は、入力欄501に対して、2桁の数値が入力される可能性が高いことを示している。例えば、桁情報511は、1回目が「3桁」、2回目が「2桁」等を示す情報を含む。この場合、桁情報511は、入力欄501に対して、3桁から2桁の数値が入力される可能性が高いことを示している。なお、桁データ510は、任意の回数、例えば直近の3回分の入力値の桁を記憶し、入力値が更新される度に更新され、直近の入力3回に該当する桁のみを表示可能とする。
【0075】
図9に示す場面1201では、制御ユニット40は、不図示のデバイスデータ500と入力キー部600とを表示部31に表示させている。オペレータは、タッチパネル30に対し、指が「5」の数字キー610の位置に接触している状態を、所定時間以上にわたって継続している。制御ユニット40は、入力部32を介して、「5」の数字キー610に対するロングタッチ操作を検出すると、入力欄501に対応した桁情報511を桁データ510から抽出する。この場合、桁情報511は、1回目が「3桁」、2回目が「2桁」を示しているとする。制御ユニット40は、抽出した桁情報511に基づいて、表示する桁違い数字キー630を特定する。例えば、制御ユニット40は、3桁以下の「50」、及び「500」の2つの桁違い数字キー630を特定する。制御ユニット40は、場面1202に示すように、「50」及び「500」の2つの桁違い数字キー630が「5」の数字キー610の左側及び上側に位置するように、表示部31を制御する。
【0076】
これにより、加工装置1は、入力欄501に入力可能な範囲内、かつ入力欄501の過去の入力結果を示す桁情報511に該当する桁違い数字キー630のみを表示させることができる。その結果、加工装置1は、入力欄501に入力された過去の桁数に応じた桁違い数字キー630のみを表示させることで、誤った桁違い数字キー630が選択されることがなくなり、入力欄501に対する誤入力をより一層抑制することができる。
【0077】
なお、上述した入力処理の変形例は、
図7に示した処理手順のステップ2005に、桁情報511に基づいて表示する桁違い数字キー630を特定する処理を追加する、あるいは置き換えることで、実現することができる。
【0078】
なお、上述した実施形態の加工装置1は、入力処理及び変形例の技術思想を組み合わせることができる。
【0079】
[変形例(1)]
上記実施形態の変形例(1)に係る加工装置1を以下に説明する。
図10は、実施形態の変形例(1)に係る加工装置1の構成例を模式的に示す斜視図である。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。なお、
図10に示す一例では、説明を簡単化するために、加工装置1は、上述した本体2を省略している。
【0080】
図10に示すように、実施形態の変形例(1)に係る加工装置1は、被加工物100にレーザー光線を照射するレーザー加工装置である。加工装置1は、基本的な構成として、チャックテーブル10と、加工ユニット20と、タッチパネル30と、制御ユニット40と、を備える。加工装置1は、撮像ユニット12と、駆動手段14と、Z軸移動手段15と、をさらに備える。加工ユニット20は、上記の切削ブレードに代わり、レーザー照射ユニット5を有する。
【0081】
レーザー照射ユニット5は、例えば、発振器、強度調整部(アッテネータ)、偏光方向設定部、ミラー素子、集光レンズ等を備える。レーザー照射ユニット5は、制御ユニット40によって制御される。
【0082】
加工装置1は、分割予定ラインであるストリートで区画された被加工物100を、ストリートに沿って加工する。加工装置1は、例えば、被加工物100に対して透過性を有する波長のレーザー光線を照射し、被加工物100の内部にストリートに沿って改質層(変質領域)を連続的に形成する。さらに、加工装置1は、この改質層が形成されることによって強度が低下したストリートに沿って外力を加えることにより、被加工物100を分割する機能を有しても良い。また、加工装置1は、例えば、被加工物100に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を照射し、被加工物100の表面に、ストリートに沿って切削溝を形成する。切削溝は被加工物100をハーフカットする深さでもよいし、フルカットする深さがあってもよい。
【0083】
以上、本実施形態の変形例(1)に係る加工装置1の構成例について説明した。なお、
図10を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態の変形例(1)に係る加工装置1の構成は係る例に限定されない。本実施形態の変形例(1)に係る加工装置1の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0084】
図10に示す加工装置1は、上述した入力キー部600をタッチパネル30に表示させる。例えば、オペレータは、タッチパネル30に対し、指が「8」の数字キー610の位置に接触している状態を、所定時間以上にわたって継続している。制御ユニット40は、入力部32を介して、「8」の数字キー610に対するロングタッチ操作を検出すると、複数の桁違い数字キー630を表示するように、タッチパネル30を制御する。
【0085】
複数の桁違い数字キー630は、例えば、「8」の数字キー610の桁が異なるキーとなっている。複数の桁違い数字キー630は、例えば、「0.8」、「0.08」、「0.008」及び「0.0008」の小数点以下の桁違いの4つのキーと、「80」、「800」、「8000」及び「80000」の整数の桁違いの4つのキーと、を含む。
【0086】
加工装置1は、「8」の数字キー610から「800」の桁違い数字キー630へのフリック操作を検出すると、「800」の桁違い数字キー630が示す数値を入力欄501に入力し、デバイスデータ500の表示を更新する。これにより、加工装置1は、被加工物100の厚さの項目におけるテープに対応した入力欄501に「800」の数値を入力したデバイスデータ500をオペレータに表示する。
【0087】
このように、変形例(1)に係る加工装置1は、上述した実施形態と同様に、入力欄501に対するオペレータの入力操作を、数字キー610を複数回操作させる必要がないので、誤入力の防止に貢献することができる。その結果、加工装置1は、入力する桁数が多い場合にも、数字キー610を複数回操作するよりも、操作回数を削減することができるので、誤入力を抑制しかつ操作性を向上させることができる。
【0088】
[変形例(2)]
上記実施形態の変形例(2)に係る加工装置1を以下に説明する。
図11は、実施形態の変形例(2)に係る加工装置1の構成例を模式的に示す斜視図である。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。なお、
図11に示す一例では、説明を簡単化するために、加工装置1は、上述した本体2を省略している。
【0089】
図11に示すように、実施形態の変形例(2)に係る加工装置1は、カセット91,92に収容された被加工物100を研削する研削装置である。加工装置1は、基本的な構成として、チャックテーブル10と、加工ユニット20と、タッチパネル30と、制御ユニット40と、を備える。加工ユニット20は、上記の切削ブレード、レーザー照射ユニット等に代わり、研削ユニットを有する。
【0090】
加工ユニット20は、例えば、環状に配された研削砥石21を有する研削ホイール25と、スピンドル23と、サーボモータ24と、を備える。研削ホイール25は、スピンドル23の下端に装着されており、スピンドル23の回転に伴い回転する。スピンドル23は、研削ホイール25を鉛直方向と平行なZ軸方向に概ね平行な不図示の回転軸回りに回転可能に支持する。サーボモータ24は、スピンドル23に回転動力を供給する回転駆動源として機能する。
【0091】
加工装置1は、研削砥石21が環状に配置された研削ホイール25を回転させながら、チャックテーブル10に保持された半導体ウエーハ等の円板状の被加工物100に、送り機構により押圧することによって、被加工物100を研削する。
【0092】
以上、本実施形態の変形例(2)に係る加工装置1の構成例について説明した。なお、
図11を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態の変形例(2)に係る加工装置1の構成は係る例に限定されない。本実施形態の変形例(2)に係る加工装置1の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0093】
図11に示す加工装置1は、上述した入力キー部600をタッチパネル30に表示させる。例えば、オペレータは、タッチパネル30に対し、指が「1」の数字キー610の位置に接触している状態を、所定時間以上にわたって継続している。制御ユニット40は、入力部32を介して、「1」の数字キー610に対するロングタッチ操作を検出すると、複数の桁違い数字キー630を表示するように、タッチパネル30を制御する。
【0094】
複数の桁違い数字キー630は、例えば、「1」の数字キー610の桁が異なるキーとなっている。複数の桁違い数字キー630は、例えば、「0.1」、「0.01」、「0.001」及び「0.0001」の小数点以下の桁違いの4つのキーと、「10」、「100」、「1000」及び「10000」の整数の桁違いの4つのキーと、を含む。
【0095】
加工装置1は、「1」の数字キー610から「10000」の桁違い数字キー630へのフリック操作を検出すると、「10000」の桁違い数字キー630が示す数値を入力欄501に入力し、デバイスデータ500の表示を更新する。これにより、加工装置1は、被加工物100の厚さの項目におけるテープに対応した入力欄501に「10000」の数値を入力したデバイスデータ500をオペレータに表示する。
【0096】
このように、変形例(2)に係る加工装置1は、上述した実施形態と同様に、入力欄501に対するオペレータの入力操作を、数字キー610を複数回操作させる必要がないので、誤入力の防止に貢献することができる。その結果、加工装置1は、入力する桁数が多い場合にも、数字キー610を複数回操作するよりも、操作回数を削減することができるので、誤入力を抑制しかつ操作性を向上させることができる。
【0097】
なお、実施形態の変形例(1)及び変形例(2)は、上述した実施形態の加工装置1の技術思想を適用することができる。
【0098】
上述した実施形態、変形例(1)及び変形例(2)では、オペレータが数字キー610をロングタッチした場合に、加工装置1は、桁違い数字キー630を該数字キー610の周囲に表示する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、加工装置1は、オペレータが数字キー610をタッチした場合に、桁違い数字キー630を該数字キー610の周囲に表示するように構成してもよい。この場合、加工装置1は、オペレータが数字キー610の上で指、接触物等を離した場合、該数字キー610が示す数値を入力欄501に入力する。また、加工装置1は、オペレータが指、接触物等をタッチパネル30にタッチしたまま桁違い数字キー630上に動かすフリック操作を行い、桁違い数字キー630の上で接触を解除した場合、該桁違い数字キー630が示す桁違いの数値を入力欄501に入力する。
【符号の説明】
【0099】
1 加工装置
10 チャックテーブル
12 撮像ユニット
20 加工ユニット
30 タッチパネル(オペレーションパネル)
31 表示部
32 入力部
40 制御ユニット
41 表示制御部
42 範囲設定部
50 ストレージ
100 被加工物
500 デバイスデータ
501 入力欄
510 桁データ
511 桁情報