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特許7550633ダイシング装置、及びダイシング装置の検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】ダイシング装置、及びダイシング装置の検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240906BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240906BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240906BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H01L21/78 F
H01L21/78 B
B24B27/06 M
B24B41/06 L
B24B49/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020211661
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022098244
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 武臣
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-124773(JP,A)
【文献】特開平11-102858(JP,A)
【文献】特開2013-243389(JP,A)
【文献】特開2019-188484(JP,A)
【文献】特開2011-101908(JP,A)
【文献】特開2019-63812(JP,A)
【文献】特開2018-134717(JP,A)
【文献】特開2019-115962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 27/06
B24B 41/06
B24B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシング装置であって、
被加工物を保持する保持テーブルを有した保持テーブル機構と、
該保持テーブルで保持された被加工物をダイシングするダイシング機構と、
該保持テーブル機構を該ダイシング機構に対してX軸方向に移動させる加工送りユニットと、
該保持テーブル機構を該ダイシング機構に対して該X軸方向と直交するY軸方向に相対的に移動させる割り出し送りユニットと、
少なくとも該ダイシング機構と該加工送りユニットと該割り出し送りユニットとを制御するコントローラと、を備え、
該保持テーブル機構は、該Y軸方向の加速度を検出するY軸加速度検出器と、該X軸方向と該Y軸方向とにそれぞれ直交するZ軸方向の加速度を検知するZ軸加速度検出器と、を有し、
該コントローラは、
該保持テーブル機構を該X軸方向に所定距離移動させた間に該Y軸加速度検出器で検出された該Y軸方向の加速度を2回積分することで、該保持テーブル機構を該X軸方向に該所定距離移動させた間における該保持テーブル機構の該Y軸方向の振れ量を検出する保持テーブル機構ヨーイング算出部と、
該保持テーブル機構を該X軸方向に所定距離移動させた間に該Z軸加速度検出器で検出された該Z軸方向の加速度を2回積分することで、該保持テーブル機構を該X軸方向に該所定距離移動させた間における該保持テーブル機構の該Z軸方向の振れ量を検出する保持テーブル機構ピッチング算出部と、を有する、ダイシング装置。
【請求項2】
該割り出し送りユニットは、該ダイシング機構を該保持テーブル機構に対して該Y軸方向に移動させ、
該ダイシング機構は、先端に該X軸方向の加速度を検出するダイシング機構X軸加速度検出器と、該X軸方向と該Y軸方向とにそれぞれ直交するZ軸方向の加速度を検知するダイシング機構Z軸加速度検出器と、を有し、
該コントローラは、
該ダイシング機構を該Y軸方向に所定距離移動させた間に該ダイシング機構X軸加速度検出器で検出された該X軸方向の加速度を2回積分することで、該ダイシング機構を該Y軸方向に該所定距離移動させた間における該ダイシング機構の該X軸方向の振れ量を検出するダイシング機構ヨーイング算出部と、
該ダイシング機構を該Y軸方向に所定距離移動させた間に該ダイシング機構Z軸加速度検出器で検出された該Z軸方向の加速度を2回積分することで、該ダイシング機構を該Y軸方向に該所定距離移動させた間における該ダイシング機構の該Z軸方向の振れ量を検出するダイシング機構ピッチング算出部と、を有する、請求項1に記載のダイシング装置。
【請求項3】
ダイシング装置の検査方法であって、
被加工物を保持する保持テーブルと、水平方向と平行なY軸方向の加速度を検出するY軸加速度検出器と、該Y軸方向に直交しかつ鉛直方向と平行なZ軸方向の加速度を検知するZ軸加速度検出器と、を有し、加工送りユニットにより水平方向と平行でかつ該Y軸方向に直交するX軸方向に移動される保持テーブル機構を、水平方向と平行でかつ該X軸方向に所定距離移動させた間に該Y軸加速度検出器で検出された該Y軸方向の加速度を2回積分することで、該保持テーブル機構を該X軸方向に該所定距離移動させた間における該保持テーブル機構の該Y軸方向の振れ量を検出する保持テーブル機構ヨーイング算出ステップと、
該保持テーブル機構を該X軸方向に所定距離移動させた間に該Z軸加速度検出器で検出された該Z軸方向の加速度を2回積分することで、該保持テーブル機構を該X軸方向に該所定距離移動させた間における該保持テーブル機構の該Z軸方向の振れ量を検出する保持テーブル機構ピッチング算出ステップと、
を有するダイシング装置の検査方法。
【請求項4】
該保持テーブルで保持された被加工物をダイシングする加工工具と、先端に該X軸方向の加速度を検出するダイシング機構X軸加速度検出器と、該X軸方向と該Y軸方向とにそれぞれ直交するZ軸方向の加速度を検知するダイシング機構Z軸加速度検出器と、を有し、割り出し送りユニットにより該保持テーブル機構に対して該Y軸方向に相対的に移動されるダイシング機構を、該Y軸方向に所定距離移動させた間に該ダイシング機構X軸加速度検出器で検出された該X軸方向の加速度を2回積分することで、該ダイシング機構を該Y軸方向に該所定距離移動させた間における該ダイシング機構の該X軸方向の振れ量を検出するダイシング機構ヨーイング算出ステップと、
該ダイシング機構を該Y軸方向に所定距離移動させた間に該ダイシング機構Z軸加速度検出器で検出された該Z軸方向の加速度を2回積分することで、該ダイシング機構を該Y軸方向に該所定距離移動させた間における該ダイシング機構の該Z軸方向の振れ量を検出するダイシング機構ピッチング算出ステップと、
を有する請求項3に記載のダイシング装置の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシング装置、及びダイシング装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイシング装置は、工場出荷時、移設時や定期点検時にX軸方向とY軸方向において、ピッチングとヨーイングがそれぞれ許容値内にあるか否か検査されている。
【0003】
具体的には、保持テーブルをX軸方向に所定距離移動させたときのX軸ピッチング即ち保持テーブル上面の上下方向であるZ軸方向の振れ、及びX軸ヨーイング即ち保持テーブルのY軸方向の振れが、許容範囲内であるか否か検査されている。さらに、ダイシング機構をY軸方向に所定距離移動させたときのY軸ピッチング即ちダイシング機構のスピンドル先端のZ軸方向の振れ、及びYヨーイング即ちスピンドル先端のX軸方向の振れが、許容範囲内であるか否か検査されている。
【0004】
前述した検査に際し、保持テーブルの上にストレートエッジを固定し、スピンドルの先端にダイヤルゲージを固定する(例えば、特許文献1参照)。そして、ストレートエッジの上面や側面にダイヤルゲージの測定点を位置づけX軸方向やY軸方向を所定距離移動させることで前述したピッチングとヨーイングを測定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-199777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1等に記載された方法では、ストレートエッジやダイヤルゲージ等の測定器具をセッティングするのに時間を要しており、検査に手間がかかり、改善が切望されていた。
【0007】
本発明の目的は、検査にかかる手間を抑制することができるダイシング装置及びダイシング装置の検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のダイシング装置は、ダイシング装置であって、被加工物を保持する保持テーブルを有した保持テーブル機構と、該保持テーブルで保持された被加工物をダイシングするダイシング機構と、該保持テーブル機構を該ダイシング機構に対してX軸方向に移動させる加工送りユニットと、該保持テーブル機構を該ダイシング機構に対して該X軸方向と直交するY軸方向に相対的に移動させる割り出し送りユニットと、少なくとも該ダイシング機構と該加工送りユニットと該割り出し送りユニットとを制御するコントローラと、を備え、該保持テーブル機構は、該Y軸方向の加速度を検出するY軸加速度検出器と、該X軸方向と該Y軸方向とにそれぞれ直交するZ軸方向の加速度を検知するZ軸加速度検出器と、を有し、該コントローラは、該保持テーブル機構を該X軸方向に所定距離移動させた間に該Y軸加速度検出器で検出された該Y軸方向の加速度を2回積分することで、該保持テーブル機構を該X軸方向に該所定距離移動させた間における該保持テーブル機構の該Y軸方向の振れ量を検出する保持テーブル機構ヨーイング算出部と、該保持テーブル機構を該X軸方向に所定距離移動させた間に該Z軸加速度検出器で検出された該Z軸方向の加速度を2回積分することで、該保持テーブル機構を該X軸方向に該所定距離移動させた間における該保持テーブル機構の該Z軸方向の振れ量を検出する保持テーブル機構ピッチング算出部と、を有することを特徴とする。
【0009】
前記ダイシング装置において、該割り出し送りユニットは、該ダイシング機構を該保持テーブル機構に対して該Y軸方向に移動させ、該ダイシング機構は、先端に該X軸方向の加速度を検出するダイシング機構X軸加速度検出器と、該X軸方向と該Y軸方向とにそれぞれ直交するZ軸方向の加速度を検知するダイシング機構Z軸加速度検出器と、を有し、該コントローラは、該ダイシング機構を該Y軸方向に所定距離移動させた間に該ダイシング機構X軸加速度検出器で検出された該X軸方向の加速度を2回積分することで、該ダイシング機構を該Y軸方向に該所定距離移動させた間における該ダイシング機構の該X軸方向の振れ量を検出するダイシング機構ヨーイング算出部と、該ダイシング機構を該Y軸方向に所定距離移動させた間に該ダイシング機構Z軸加速度検出器で検出された該Z軸方向の加速度を2回積分することで、該ダイシング機構を該Y軸方向に該所定距離移動させた間における該ダイシング機構の該Z軸方向の振れ量を検出するダイシング機構ピッチング算出部と、を有しても良い。
【0010】
本発明のダイシング装置の検査方法は、ダイシング装置の検査方法であって、被加工物を保持する保持テーブルと、水平方向と平行なY軸方向の加速度を検出するY軸加速度検出器と、該Y軸方向に直交しかつ鉛直方向と平行なZ軸方向の加速度を検知するZ軸加速度検出器と、を有し、加工送りユニットにより水平方向と平行でかつ該Y軸方向に直交するX軸方向に移動される保持テーブル機構を、水平方向と平行でかつ該X軸方向に所定距離移動させた間に該Y軸加速度検出器で検出された該Y軸方向の加速度を2回積分することで、該保持テーブル機構を該X軸方向に該所定距離移動させた間における該保持テーブル機構の該Y軸方向の振れ量を検出する保持テーブル機構ヨーイング算出ステップと、該保持テーブル機構を該X軸方向に所定距離移動させた間に該Z軸加速度検出器で検出された該Z軸方向の加速度を2回積分することで、該保持テーブル機構を該X軸方向に該所定距離移動させた間における該保持テーブル機構の該Z軸方向の振れ量を検出する保持テーブル機構ピッチング算出ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
前記ダイシング装置の検査方法において、該保持テーブルで保持された被加工物をダイシングする加工工具と、先端に該X軸方向の加速度を検出するダイシング機構X軸加速度検出器と、該X軸方向と該Y軸方向とにそれぞれ直交するZ軸方向の加速度を検知するダイシング機構Z軸加速度検出器と、を有し、割り出し送りユニットにより該保持テーブル機構に対して該Y軸方向に相対的に移動されるダイシング機構を、該Y軸方向に所定距離移動させた間に該ダイシング機構X軸加速度検出器で検出された該X軸方向の加速度を2回積分することで、該ダイシング機構を該Y軸方向に該所定距離移動させた間における該ダイシング機構の該X軸方向の振れ量を検出するダイシング機構ヨーイング算出ステップと、該ダイシング機構を該Y軸方向に所定距離移動させた間に該ダイシング機構Z軸加速度検出器で検出された該Z軸方向の加速度を2回積分することで、該ダイシング機構を該Y軸方向に該所定距離移動させた間における該ダイシング機構の該Z軸方向の振れ量を検出するダイシング機構ピッチング算出ステップと、を有しても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、検査にかかる手間を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1に係るダイシング装置の概略の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたダイシング装置の保持テーブル機構を所定距離移動させる状態を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図1に示されたダイシング装置のダイシング機構を所定距離移動させる状態を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、図1に示されたダイシング装置の保持テーブル機構又はダイシング機構を所定距離移動させたときの加速度検出器の検出結果を示す図である。
図5図5は、図4に示された加速度検出器の検出結果を時間で積分した結果を示す図である。
図6図6は、図4に示された加速度検出器の検出結果を時間で2回積分した結果を示す図である。
図7図7は、実施形態1に係るダイシング装置の検査方法の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態1の変形例に係るダイシング装置の概略の構成例を示す斜視図である。
図9図9は、実施形態2に係るダイシング装置の概略の構成例を示す斜視図である。
図10図10は、実施形態2に係るダイシング装置の検査方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るダイシング装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るダイシング装置の概略の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示されたダイシング装置の保持テーブル機構を所定距離移動させる状態を模式的に示す斜視図である。図3は、図1に示されたダイシング装置のダイシング機構を所定距離移動させる状態を模式的に示す斜視図である。図4は、図1に示されたダイシング装置の保持テーブル機構又はダイシング機構を所定距離移動させたときの加速度検出器の検出結果を示す図である。図5は、図4に示された加速度検出器の検出結果を時間で積分した結果を示す図である。図6は、図4に示された加速度検出器の検出結果を時間で2回積分した結果を示す図である。
【0016】
実施形態1に係る図1に示すダイシング装置1は、被加工物200を切削加工(ダイシングに相当)するダイシング装置である。図1に示すダイシング装置1の加工対象の被加工物200は、シリコン、ガリウムヒ素、SiC(炭化ケイ素)又はサファイア、などを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハなどのウェーハである。被加工物200は、表面201に格子状に複数の分割予定ライン202が形成され、複数の分割予定ライン202によって区画された各領域にデバイス203が形成されている。デバイス203は、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサである。
【0017】
また、本発明では、被加工物200は、中央部が薄化され、外周部に厚肉部が形成された所謂TAIKO(登録商標)ウェーハでも良く、デバイスチップを樹脂で封止したパッケージ基板、セラミックス板又はガラス基板でも良い。実施形態1において、被加工物200は、表面201の裏側の裏面204が外周縁に環状フレーム205が装着されたテープ206に貼着されて、環状フレーム205の開口208内にテープ206を介して貼着される。実施形態1に係る被加工物200は、分割予定ライン202に沿って、個々のチップ207に分割される。なお、チップ207は、基板の一部分と、基板上に形成されたデバイス203とを含む。
【0018】
実施形態1に係る図1に示されたダイシング装置1は、被加工物200を保持テーブル11で保持し分割予定ライン202に沿って加工工具である切削ブレード21で切削加工して、被加工物200を個々のチップ207に分割する切削装置である。ダイシング装置1は、被加工物200を保持する保持テーブル機構10と、ダイシング機構20と、図示しない撮像ユニットと、コントローラ100とを備える。ダイシング装置1は、図1に示すように、ダイシング機構20を2つ備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの切削装置である。
【0019】
また、ダイシング装置1は、図1に示すように、保持テーブル機構10とダイシング機構20とを相対的に移動させる移動ユニット30を備える。移動ユニット30は、保持テーブル機構10を水平方向と平行なX軸方向に加工送りする加工送りユニットであるX軸移動ユニット31と、水平方向と平行でかつX軸方向と直交する割り出し送り方向であるY軸方向にダイシング機構20を移動させる割り出し送りユニットであるY軸移動ユニット32と、X軸方向とY軸方向とにそれぞれ直交する鉛直方向に平行な切り込み送り方向であるZ軸方向にダイシング機構20を移動させるZ軸移動ユニット33と、保持テーブル11をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット34とを備える。即ち、移動ユニット30は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に保持テーブル機構10とダイシング機構20とを相対的に移動させるものである。
【0020】
X軸移動ユニット31は、保持テーブル機構10を回転移動ユニット34とともに加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、保持テーブル機構10をダイシング機構20に対してX軸方向に移動させるものである。X軸移動ユニット31は、保持テーブル機構10に保持された被加工物200をダイシング機構20が切削加工する加工領域と、保持テーブル機構10に被加工物200を搬入出する搬入出領域との間で、保持テーブル機構10をX軸方向に沿って移動する。
【0021】
Y軸移動ユニット32は、ダイシング機構20を保持テーブル機構10に対して割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、保持テーブル機構10をダイシング機構20に対してY軸方向に相対的に移動させるものである。Z軸移動ユニット33は、ダイシング機構20を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、保持テーブル機構10をダイシング機構20に対してZ軸方向に相対的に移動させるものである。回転移動ユニット34は、X軸移動ユニット31によりX軸方向に移動される移動フレーム35上に設置され、保持テーブル機構10のテーブル基台12をZ軸方向と平行な軸心回りに回転させるものである。
【0022】
X軸移動ユニット31、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ311,321,331、ボールねじ311,321,331を軸心回りに回転させる周知のモータ312,322,332及び保持テーブル機構10又はダイシング機構20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール313,323,333を備える。
【0023】
保持テーブル機構10は、被加工物200を保持面111で吸引保持する保持テーブル11と、保持テーブル機構10が設置されるテーブル基台12と、Y軸加速度検出器13と、Z軸加速度検出器14とを有する。なお、Y軸加速度検出器13と、Z軸加速度検出器14は、実施形態1に係るダイシング装置の検査方法が実施される時のみではなく、被加工物200に切削加工を施す際にもテーブル基台12に取り付けられたままとされるものである。
【0024】
保持テーブル11は、円盤形状であり、被加工物200を保持する保持面111がポーラスセラミック等から形成されている。また、保持テーブル機構10の保持テーブル11は、テーブル基台12の上面に固定され、X軸移動ユニット31により搬入出領域と加工領域とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられ、かつ回転移動ユニット34によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。保持テーブル11は、保持面111が図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源より吸引されることで、保持面111に載置された被加工物200を吸引、保持する。実施形態1では、保持テーブル11は、テープ206を介して被加工物200を吸引、保持する。
【0025】
テーブル基台12は、上面に保持テーブル11を固定するものである。テーブル基台12は、X軸移動ユニット31により回転移動ユニット34とともにX軸方向に移動自在に設けられ、回転移動ユニット34によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。
【0026】
Y軸加速度検出器13は、保持テーブル機構10のY軸方向の加速度を検出するものである。Z軸加速度検出器14は、保持テーブル機構10のZ軸方向の加速度を検出するものである。これらの加速度検出器13,14は、テーブル基台12に固定されている。Y軸加速度検出器13は、保持テーブル11の保持面111の軸心から極力離れた位置に配置されるのが望ましい。保持テーブル11の保持面111の軸心から離れると、Y軸加速度検出器13が検出する保持テーブル機構10のY軸方向の加速度が大きくなるからである。
【0027】
Z軸加速度検出器14は、保持テーブル11の保持面111に極力近い位置に配置されるのが望ましい。保持テーブル11の保持面111に近いと、Z軸加速度検出器14が検出する保持テーブル機構10のZ軸方向の加速度が大きくなるからである。加速度検出器13,14は、周知の加速度計により構成される。加速度検出器13,14は、検出結果を所定時間間隔毎、コントローラ100に出力する。
【0028】
また、保持テーブル機構10は、保持テーブル11の周囲に、図1に示すように、環状フレーム205をクランプするクランプ部15を複数備えている。
【0029】
ダイシング機構20は、保持テーブル11で保持された被加工物200を切削加工する切削ユニットである。ダイシング機構20は、それぞれ、Y軸移動ユニット32により保持テーブル機構10に対して、Y軸方向に相対的に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット33によりZ軸方向に相対的に移動自在に設けられている。
【0030】
ダイシング機構20は、図1に示すように、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33などを介して、装置本体2から立設した門型の支持フレーム3に設けられている。ダイシング機構20は、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33により、保持テーブル11の保持面111の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0031】
ダイシング機構20は、図1に示すように、保持テーブル11で保持された被加工物200を切削加工する切削ブレード21と、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転可能に設けられかつ図示しないモータにより回転されるとともに先端部に切削ブレード21が装着されるスピンドル23と、被加工物200に切削液を供給する切削液供給ノズル24とを有する。切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の環状の切削砥石である。ダイシング機構20の切削ブレード21及びスピンドル23の軸心は、Y軸方向と平行である。
【0032】
また、ダイシング機構20は、図1に示すように、ダイシング機構X軸加速度検出器25と、ダイシング機構Z軸加速度検出器26とを有する。なお、ダイシング機構X軸加速度検出器25と、ダイシング機構Z軸加速度検出器26は、実施形態1に係るダイシング装置の検査方法が実施される時のみではなく、被加工物200に切削加工を施す際にもダイシング機構20に取り付けられたままとされるものである。
【0033】
ダイシング機構X軸加速度検出器25は、ダイシング機構20の切削ブレード21の寄りの先端のX軸方向の加速度を検出するものである。ダイシング機構Z軸加速度検出器26は、ダイシング機構20の切削ブレード21の寄りの先端のZ軸方向の加速度を検出するものである。
【0034】
これらの加速度検出器25,26は、一方のダイシング機構20のスピンドルハウジング22の切削ブレード21寄りの先端に固定されている。加速度検出器25,26は、周知の加速度計により構成される。加速度検出器25,26は、検出結果を所定時間間隔毎、コントローラ100に出力する。
【0035】
撮像ユニットは、ダイシング機構20と一体的に移動するように、一方のダイシング機構20に固定されている。撮像ユニットは、保持テーブル11に保持された切削前の被加工物200の分割すべき領域を撮影する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニットは、保持テーブル11に保持された被加工物200を撮影して、被加工物200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像をコントローラ100に出力する。
【0036】
また、ダイシング装置1は、保持テーブル11のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、ダイシング機構20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、ダイシング機構20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータ332のパルスでダイシング機構20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル11のX軸方向、ダイシング機構20のY軸方向又はZ軸方向の位置をコントローラ100に出力する。なお、実施形態1では、ダイシング装置1の保持テーブル11及びダイシング機構20のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない原点位置を基準とした位置で定められる。
【0037】
コントローラ100は、ダイシング装置1の上述した各ユニットをそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作をダイシング装置1に実施させるものである。即ち、コントローラ100は、少なくともダイシング機構20とX軸移動ユニット31とY軸移動ユニット32とを制御する。
【0038】
なお、コントローラ100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。コントローラ100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理装置が演算処理を実施して、ダイシング装置1を制御するための制御信号を入出力インターフェース装置を介してダイシング装置1の上述した構成要素に出力する。
【0039】
また、コントローラ100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットとに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0040】
なお、前述したダイシング装置1は、X軸移動ユニット31がX軸方向に保持テーブル機構10を移動した際にX軸移動ユニット31のボールねじ311及びガイドレール313の寸法誤差、及びダイシング装置1に作用する外的な振動を原因として、X軸方向の移動中に保持テーブル機構10が設計上定められた正規の位置から僅かにZ軸方向とY軸方向とに移動する。ボールねじ311が軸心回りに回転されて保持テーブル機構10がX軸方向に移動するために、保持テーブル機構10は、X軸方向に移動するのにしたがって、多くの場合、Y軸方向又はZ軸方向の位置が周期的に変化する正弦波上を移動する。
【0041】
以下、保持テーブル機構10のX軸方向の移動中のY軸方向の移動量を保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量301(図2に示す)と記載する。また、保持テーブル機構10のX軸方向の移動中のZ軸方向の移動量を保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量302(図2に示す)と記載する。
【0042】
また、前述したダイシング装置1は、Y軸移動ユニット32がY軸方向にダイシング機構20を移動した際にY軸移動ユニット32のボールねじ321及びガイドレール323の寸法誤差、及びダイシング装置1に作用する外的な振動を原因として、Y軸方向の移動中にダイシング機構20が設計上定められた正規の位置から僅かにX軸方向とZ軸方向とに移動する。ボールねじ321が軸心回りに回転されてダイシング機構20がY軸方向に移動するために、ダイシング機構20は、Y軸方向に移動するのにしたがって、多くの場合、X軸方向又はZ軸方向の位置が周期的に変化する正弦波上を移動する。
【0043】
以下、ダイシング機構20のY軸方向の移動中のX軸方向の移動量をダイシング機構20のX軸方向の振れ量303(図3に示す)と記載する。また、ダイシング機構20のY軸方向の移動中のZ軸方向の移動量をダイシング機構20のZ軸方向の振れ量304(図3に示す)と記載する。
【0044】
また、コントローラ100は、図1に示すように、保持テーブル機構ヨーイング算出部101と、保持テーブル機構ピッチング算出部102と、ダイシング機構ヨーイング算出部103と、ダイシング機構ピッチング算出部104と、を有する。
【0045】
保持テーブル機構ヨーイング算出部101は、保持テーブル機構10をX軸移動ユニット31によりX軸方向に所定距離401(図2に示す)移動させた間にY軸加速度検出器13で所定時間間隔毎に検出されたY軸方向の加速度501(図4に示す)を時間で積分して、保持テーブル機構10のY軸方向の速度601(図5に示す)を検出する。保持テーブル機構ヨーイング算出部101は、保持テーブル機構10のY軸方向の速度601を時間で積分して、保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量301(図6に示す)を検出する。このように、保持テーブル機構ヨーイング算出部101は、保持テーブル機構10をX軸移動ユニット31によりX軸方向に所定距離401移動させた間にY軸加速度検出器13で所定時間間隔毎に検出されたY軸方向の加速度501を時間で2回積分することで、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間における保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量301を検出するものである。
【0046】
保持テーブル機構ピッチング算出部102は、保持テーブル機構10をX軸移動ユニット31によりX軸方向に所定距離401移動させた間にZ軸加速度検出器14で所定時間間隔毎に検出されたZ軸方向の加速度502(図4に示す)を時間で積分して、保持テーブル機構10のZ軸方向の速度602(図5に示す)を検出する。保持テーブル機構ピッチング算出部102は、保持テーブル機構10のZ軸方向の速度602を時間で積分して、保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量302(図6に示す)を検出する。このように、保持テーブル機構ピッチング算出部102は、保持テーブル機構10をX軸移動ユニット31によりX軸方向に所定距離401移動させた間にZ軸加速度検出器14で所定時間間隔毎に検出されたZ軸方向の加速度502を時間で2回積分することで、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間における保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量302を検出するものである。
【0047】
ダイシング機構ヨーイング算出部103は、ダイシング機構20をY軸移動ユニット32によりY軸方向に所定距離402(図3に示す)移動させた間にダイシング機構X軸加速度検出器25で所定時間間隔毎に検出されたX軸方向の加速度503(図4に示す)を時間で積分して、ダイシング機構20のX軸方向の速度603(図5に示す)を検出する。ダイシング機構ヨーイング算出部103は、ダイシング機構20のX軸方向の速度603を時間で積分して、ダイシング機構20のX軸方向の振れ量303(図6に示す)を検出する。このように、ダイシング機構ヨーイング算出部103は、ダイシング機構20をY軸移動ユニット32によりY軸方向に所定距離402移動させた間にダイシング機構X軸加速度検出器25で所定時間間隔毎に検出されたX軸方向の加速度503を時間で2回積分することで、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させた間におけるダイシング機構20のX軸方向の振れ量303を検出するものである。
【0048】
ダイシング機構ピッチング算出部104は、ダイシング機構20をY軸移動ユニット32によりY軸方向に所定距離402移動させた間にダイシング機構Z軸加速度検出器26で所定時間間隔毎に検出されたZ軸方向の加速度504(図4に示す)を時間で積分して、ダイシング機構20のZ軸方向の速度604(図5に示す)を検出する。ダイシング機構ピッチング算出部104は、ダイシング機構20のZ軸方向の速度604を時間で積分して、ダイシング機構20のZ軸方向の振れ量304(図6に示す)を検出する。このように、ダイシング機構ピッチング算出部104は、ダイシング機構20をY軸移動ユニット32によりY軸方向に所定距離402移動させた間にダイシング機構Z軸加速度検出器26で所定時間間隔毎に検出されたZ軸方向の加速度504を時間で2回積分することで、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させた間におけるダイシング機構20のZ軸方向の振れ量304を検出するものである。
【0049】
なお、図4図5及び図6の横軸は、保持テーブル機構10又はダイシング機構20のX軸方向又はY軸方向に所定距離401,402の移動を開始してからの経過時間を示す。図4の縦軸は、各加速度検出器13,14,25,26が検出した各加速度501,502,503,504を示す。図5の縦軸は、図4に示された各加速度501,502,503,504を時間で積分した速度601,602,603,604を示す。図6の縦軸は、図4に示された各加速度501,502,503,504を時間で2回積分した振れ量301,302,303,304を示す。
【0050】
また、保持テーブル機構ヨーイング算出部101と、保持テーブル機構ピッチング算出部102と、ダイシング機構ヨーイング算出部103と、ダイシング機構ピッチング算出部104の機能は、それぞれ、演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することにより実現される。
【0051】
次に、実施形態1に係るダイシング装置の検査方法を説明する。図7は、実施形態1に係るダイシング装置の検査方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係るダイシング装置の検査方法は、前述した構成のダイシング装置1の検査方法であって、例えば、ダイシング装置1を製造する工場からの出荷時、ダイシング装置1の移設時、定期点検時に実施される。
【0052】
実施形態1に係るダイシング装置の検査方法は、オペレータにより登録された検査内容情報をコントローラ100が受け付けて登録し、オペレータからの検査開始指示をコントローラ100が受け付けると、ダイシング装置1により開始される。なお、検査内容情報は、保持テーブル機構10をX軸方向に移動する所定距離401、及びダイシング機構20をY軸方向に移動する所定距離402を含む。
【0053】
ダイシング装置の検査方法は、図7に示すように、保持テーブル機構検査ステップ1001と、ダイシング機構検査ステップ1011とを有する。
【0054】
保持テーブル機構検査ステップ1001は、保持テーブル機構10をX軸移動ユニット31によりX軸方向に図2に示す所定距離401移動させて、前述した振れ量301,302を検出するステップである。保持テーブル機構検査ステップ1001は、図7に示すように、保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002と、保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003と、を有する。
【0055】
保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002は、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間にY軸加速度検出器13で検出されたY軸方向の加速度501を2回積分することで、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間における保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量301を検出するステップである。
【0056】
保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003は、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間にZ軸加速度検出器14で検出されたZ軸方向の加速度502を2回積分することで、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間における保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量302を検出するステップである。
【0057】
保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002及び保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003では、コントローラ100が、X軸移動ユニット31を制御して、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させる。
【0058】
保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002では、保持テーブル機構ヨーイング算出部101が、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間にY軸加速度検出器13で所定時間間隔毎に検出されたY軸方向の加速度501を時間で2回積分して、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間における保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量301を検出する。保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002では、保持テーブル機構ヨーイング算出部101が、検出した保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量301を記憶装置に記憶する。
【0059】
保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003では、保持テーブル機構ピッチング算出部102が、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間にZ軸加速度検出器14で所定時間間隔毎に検出されたZ軸方向の加速度502を時間で2回積分して、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間における保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量302を検出する。保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003では、保持テーブル機構ピッチング算出部102が、検出した保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量302を記憶装置に記憶する。
【0060】
ダイシング機構検査ステップ1011は、ダイシング機構20をY軸移動ユニット32によりY軸方向に図3に示す所定距離402移動させて、前述した振れ量303,304を検出するステップである。ダイシング機構検査ステップ1011は、図7に示すように、ダイシング機構ヨーイング算出ステップ1012と、ダイシング機構ピッチング算出ステップ1013と、を有する。
【0061】
ダイシング機構ヨーイング算出ステップ1012は、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させた間にダイシング機構X軸加速度検出器25で検出されたX軸方向の加速度503を2回積分することで、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させた間におけるダイシング機構20のX軸方向の振れ量303を検出するステップである。
【0062】
ダイシング機構ピッチング算出ステップ1013は、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させた間にダイシング機構Z軸加速度検出器26で検出されたZ軸方向の加速度504を2回積分することで、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離4002移動させた間におけるダイシング機構20のZ軸方向の振れ量304を検出するステップである。
【0063】
ダイシング機構ヨーイング算出ステップ1012及びダイシング機構ピッチング算出ステップ1013では、コントローラ100が、Y軸移動ユニット32を制御して、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させる。
【0064】
ダイシング機構ヨーイング算出ステップ1012では、ダイシング機構ヨーイング算出部103が、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させた間にダイシング機構X軸加速度検出器25で所定時間間隔毎に検出されたX軸方向の加速度503を時間で2回積分して、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させた間におけるダイシング機構20のX軸方向の振れ量303を検出する。ダイシング機構ヨーイング算出ステップ1012では、ダイシング機構ヨーイング算出部103が、検出したダイシング機構20のX軸方向の振れ量303を記憶装置に記憶する。
【0065】
ダイシング機構ピッチング算出ステップ1013では、ダイシング機構ピッチング算出部104が、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させた間にダイシング機構Z軸加速度検出器26で所定時間間隔毎に検出されたZ軸方向の加速度504を時間で2回積分して、ダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させた間におけるダイシング機構20のZ軸方向の振れ量304を検出する。ダイシング機構ピッチング算出ステップ1013では、ダイシング機構ピッチング算出部104が、検出したダイシング機構20のZ軸方向の振れ量304を記憶装置に記憶する。
【0066】
ダイシング装置1のコントローラ100は、保持テーブル機構検査ステップ1001と、ダイシング機構検査ステップ1011とを実施すると、ダイシング装置の検査方法を終了する。なお、オペレータなどが検出した振れ量301,302,303,304がそれぞれ許容値内になるか否か(即ち、予め定められた許容値以下であるか否か)を判定して、ダイシング装置1の良否を判定する。判定の際には、オペレータは、例えば、振れ量301,302,303,304の全てが許容値以下であると判定すると、ダイシング装置1が良品であると判定し、振れ量301,302,303,304の少なくとも一つが許容値を超えると判定すると、ダイシング装置1が不良であると判定する。
【0067】
以上説明したように、実施形態1に係るダイシング装置1は、保持テーブル機構10がY軸加速度検出器13とZ軸加速度検出器14とを有する。そして、コントローラ100が、各加速度検出器13,14が検出した加速度501,502を時間で2回積分して保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離401移動させた間における保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量301とZ軸方向の振れ量302を検出する。このために、ダイシング装置1は、保持テーブル機構10の振れ量301,302を検出するために、測定器具を保持テーブル機構10やダイシング機構20に取り付けることが不要となる。その結果、ダイシング装置1は、検査にかかる手間を抑制することができるという効果を奏する。
【0068】
また、ダイシング装置1は、ダイシング機構20がダイシング機構X軸加速度検出器25とダイシング機構Z軸加速度検出器26とを有する。そして、コントローラ100が、各加速度検出器25,26が検出した加速度503,504を時間で2回積分してダイシング機構20をY軸方向に所定距離402移動させた間におけるダイシング機構20のX軸方向の振れ量303とZ軸方向の振れ量304を検出する。その結果、ダイシング装置1は、ダイシング機構20の振れ量303,304を検出するための測定器具が不要となるという効果を奏する。
【0069】
また、実施形態1に係るダイシング装置の検査方法は、前述した構成のダイシング装置1により実施されるので、検査の際に測定器具が不要となり、検査にかかる手間を抑制することができるという効果を奏する。
【0070】
〔変形例〕
本発明の実施形態1の変形例に係るダイシング装置を図面に基づいて説明する。図8は、実施形態1の変形例に係るダイシング装置の概略の構成例を示す斜視図である。なお、図1は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
変形例に係るダイシング装置1-1は、図8に示すように、一方のダイシング機構20のスピンドルハウジング22の切削ブレード21寄りの先端に固定されたダイシング機構Y軸加速度検出器27を更に備え、コントローラ100が更にZ軸位置精度算出部105と、Y軸位置精度算出部106とを備えること以外、実施形態1と同じである。
【0072】
ダイシング機構Y軸加速度検出器27は、ダイシング機構20の切削ブレード21の寄りの先端のZ軸方向の加速度を検出するものである。ダイシング機構Y軸加速度検出器27は、検出結果を所定時間間隔毎、コントローラ100に出力する。
【0073】
Z軸位置精度算出部105は、Z軸移動ユニット33によりダイシング機構20を複数の所定回数、Z軸方向の所定位置に位置づけ、ダイシング機構20を複数の所定回数、Z軸方向の所定位置に位置づけた際それぞれのダイシング機構Z軸加速度検出器26が検出した加速度を2回積分してダイシング機構20のZ軸方向の位置を複数検出し、複数検出したダイシング機構20のZ軸方向の位置のばらつきを算出して、記憶装置に記憶するものである。
【0074】
Y軸位置精度算出部106は、Y軸移動ユニット32によりダイシング機構20を複数の所定回数、Y軸方向の所定位置に位置づけ、ダイシング機構20を複数の所定回数、Z軸方向の所定位置に位置づけた際それぞれのダイシング機構Y軸加速度検出器27が検出した加速度を2回積分してダイシング機構20のY軸方向の位置を複数検出し、複数検出したダイシング機構20のY軸方向の位置のばらつきを算出して、記憶装置に記憶するものである。
【0075】
変形例に係るダイシング装置1-1は、加速度検出器13,14,25,26,27を有しているので、実施形態1と同様に、検査の際に、測定器具が不要となるので、検査にかかる手間を抑制することができるという効果を奏する。
【0076】
また、変形例に係るダイシング装置1-1は、コントローラ100がZ軸位置精度算出部105とY軸位置精度算出部106とを備えているので、ダイシング機構20のY軸方向及びZ軸方向の位置のばらつきを把握することができる。
【0077】
なお、保持テーブル機構ヨーイング算出部101と、Z軸位置精度算出部105と、Y軸位置精度算出部106の機能は、それぞれ、演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することにより実現される。
【0078】
〔実施形態2〕
実施形態2に係るダイシング装置を図面に基づいて説明する。図9は、実施形態2に係るダイシング装置の概略の構成例を示す斜視図である。なお、図9は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
実施形態2に係るダイシング装置1-2は、被加工物200にレーザービームを照射して、被加工物200をレーザー加工(ダイシングに相当)するレーザー加工装置である。
【0080】
実施形態2に係るダイシング装置1-2は、被加工物200を保持する保持テーブル11を有した保持テーブル機構10と、保持テーブル11で保持された被加工物200をレーザー加工するレーザービーム照射ユニット20-2(ダイシング機構に相当する)と、保持テーブル機構10とレーザービーム照射ユニット20-2とを相対的に移動させる移動ユニット30-2と、少なくともレーザービーム照射ユニット20-2と移動ユニット30-2とを制御するコントローラ100とを備える。
【0081】
保持テーブル機構10は、Y軸加速度検出器13とZ軸加速度検出器14とに加え、テーブル基台12に固定されたX軸加速度検出器16を備えている。なお、X軸加速度検出器16は、実施形態2に係るダイシング装置の検査方法が実施される時のみではなく、被加工物200にレーザー加工を施す際にもテーブル基台12に取り付けられたままとされるものである。
【0082】
X軸加速度検出器16は、テーブル基台12に固定され、保持テーブル機構10のX軸方向の加速度を検出するものである。X軸加速度検出器16は、保持テーブル11の保持面111の軸心から極力離れた位置に配置されるのが望ましい。保持テーブル11の保持面111の軸心から離れると、X軸加速度検出器16が検出する保持テーブル機構10のX軸方向の加速度が大きくなるからである。X軸加速度検出器16は、周知の加速度計により構成される、検出結果を所定時間間隔毎、コントローラ100に出力する。
【0083】
ダイシング装置1-2の移動ユニット30-2は、保持テーブル機構10をレーザービーム照射ユニット20-2に対してX軸方向に移動させる加工送りユニットであるX軸移動ユニット31-2と、保持テーブル機構10をレーザービーム照射ユニット20-2に対してY軸方向に相対的に移動させる割り出し送りユニットであるY軸移動ユニット32-2と、保持テーブル機構10をレーザービーム照射ユニット20-2に対して切り込み送り方向であるZ軸方向に相対的に移動させるZ軸移動ユニット33-2とを備える。即ち、移動ユニット30-2は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に保持テーブル機構10とレーザービーム照射ユニット20-2とを相対的に移動させるものである。
【0084】
Y軸移動ユニット32-2は、装置本体2上に設置され、保持テーブル機構10を支持した支持フレーム36及びX軸移動ユニット31-2を支持した第2支持フレーム37を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、保持テーブル機構10をレーザービーム照射ユニット20-2に対してY軸方向に移動させるものである。X軸移動ユニット31-2は、第2支持フレーム37上に設置され、保持テーブル機構10を支持した支持フレーム36を加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、保持テーブル機構10をレーザービーム照射ユニット20-2に対してX軸方向に移動させるものである。
【0085】
Z軸移動ユニット33-2は、装置本体2のY軸方向の一端から立設した立設壁5に設置され、レーザービーム照射ユニット20-2をZ軸方向に移動させることで、保持テーブル機構10をダイシング機構20に対してZ軸方向に相対的に移動させるものである。
【0086】
X軸移動ユニット31-2、Y軸移動ユニット32-2及びZ軸移動ユニット33-2は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ311,321,331、ボールねじ311,321,331を軸心回りに回転させる周知のモータ312,322,332及び保持テーブル機構10又はダイシング機構20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール313,323,333を備える。
【0087】
また、ダイシング装置1-2は、保持テーブル機構10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX方向位置検出ユニットと、保持テーブル機構10のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、レーザービーム照射ユニット20-2のZ軸方向の位置を検出するための図示しないZ軸方向位置検出ユニットとを備える。これらの位置検出ユニットは、X軸方向、Y軸方向、又はZ軸方向と平行に設置されたリニアスケールと、X軸方向、Y軸方向、又はZ軸方向に移動する支持フレーム36,37又はレーザービーム照射ユニット20-2に設置されたリニアスケールを読み取る読み取りヘッドとにより構成することができる。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット、及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル機構10又はレーザービーム照射ユニット20-2のX軸方向、Y軸方向、又はZ軸方向の位置をコントローラ100に出力する。
【0088】
レーザービーム照射ユニット20-2は、被加工物200の基板に対して吸収性又は透過性を有する波長のレーザービームを発振するレーザービーム発振器と、レーザービーム発振器が発振したレーザービームを被加工物200に集光するとともにZ軸移動ユニット33によりZ軸方向に移動する集光レンズ28とを備えている。また、実施形態2において、レーザービーム照射ユニット20-2は、ダイシング機構Z軸加速度検出器29を備えている。
【0089】
ダイシング機構Z軸加速度検出器29は、集光レンズ28とともにZ軸移動ユニット33によりZ軸方向に移動するとともに、集光レンズ28のZ軸方向の加速度を検出するものである。
【0090】
コントローラ100は、ダイシング装置1-2の上述した構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作をダイシング装置1-2に実施させるものである。
【0091】
なお、前述したダイシング装置1-2は、Y軸移動ユニット32-2がY軸方向に保持テーブル機構10等を支持した第2支持フレーム37を移動した際にY軸移動ユニット32-2のボールねじ321及びガイドレール323の寸法誤差、及びダイシング装置1-2に作用する外的な振動を原因として、Y軸方向の移動中に保持テーブル機構10が設計上定められた正規の位置から僅かにZ軸方向とX軸方向とに移動する。ボールねじ321が軸心回りに回転されて保持テーブル機構10がY軸方向に移動するために、保持テーブル機構10は、Y軸方向に移動するのにしたがって、多くの場合、X軸方向又はZ軸方向の位置が周期的に変化する正弦波上を移動する。
【0092】
また、前述したダイシング装置1-2は、X軸移動ユニット31-2がX軸方向に保持テーブル機構10を支持した支持フレーム36を移動した際にX軸移動ユニット31-2のボールねじ311及びガイドレール313の寸法誤差、及びダイシング装置1-2に作用する外的な振動を原因として、X軸方向の移動中に保持テーブル機構10が設計上定められた正規の位置から僅かにY軸方向とZ軸方向とに移動する。ボールねじ311が軸心回りに回転されて保持テーブル機構10がX軸方向に移動するために、保持テーブル機構10は、X軸方向に移動するのにしたがって、多くの場合、Y軸方向又はZ軸方向の位置が周期的に変化する正弦波上を移動する。
【0093】
以下、保持テーブル機構10の移動中のX軸方向の移動量を保持テーブル機構10のX軸方向の振れ量と記載する。また、保持テーブル機構10の移動中のY軸方向の移動量を保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量と記載する。また、保持テーブル機構10の移動中のZ軸方向の移動量を保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量と記載する。
【0094】
また、実施形態2において、コントローラ100は、図9に示すように、保持テーブル機構X軸ヨーイング算出部101-1と、保持テーブル機構Y軸ヨーイング算出部101-2と、保持テーブル機構ピッチング算出部102-2と、レンズ位置精度算出部107と、を有する。
【0095】
保持テーブル機構X軸ヨーイング算出部101-1は、X軸移動ユニット31-2を停止した状態で保持テーブル機構10をY軸移動ユニット32-2によりY軸方向に所定距離移動させた間にX軸加速度検出器16で所定時間間隔毎に検出されたX軸方向の加速度を時間で2回積分して、保持テーブル機構10のX軸方向の振れ量を検出するものである。
【0096】
保持テーブル機構Y軸ヨーイング算出部101-2は、Y軸移動ユニット32-2を停止した状態で保持テーブル機構10をX軸移動ユニット31-2によりX軸方向に所定距離移動させた間にY軸加速度検出器13で所定時間間隔毎に検出されたY軸方向の加速度を時間で2回積分して、保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量を検出して、記憶装置に記憶するものである。
【0097】
保持テーブル機構ピッチング算出部102-2は、X軸移動ユニット31-2を停止した状態で保持テーブル機構10をY軸移動ユニット32によりY軸方向に所定距離移動させた間、及びY軸移動ユニット32-2を停止した状態で保持テーブル機構10をX軸移動ユニット31-2によりX軸方向に所定距離移動させた間にZ軸加速度検出器14で所定時間間隔毎に検出されたZ軸方向の加速度を時間で2回積分して、保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量を検出して、記憶装置に記憶するものである。
【0098】
レンズ位置精度算出部107は、Z軸移動ユニット33によりレーザービーム照射ユニット20-2の集光レンズ28を複数の所定回数、Z軸方向の所定位置に位置づけ、集光レンズ28を複数の所定回数、Z軸方向の所定位置に位置づけた際それぞれのダイシング機構Z軸加速度検出器26が検出した加速度を2回積分して、集光レンズ28のZ軸方向の位置を複数検出し、複数検出した集光レンズ28のZ軸方向の位置のばらつきを算出して、記憶装置に記憶するものである。
【0099】
また、保持テーブル機構X軸ヨーイング算出部101-1と、保持テーブル機構Y軸ヨーイング算出部101-2と、保持テーブル機構ピッチング算出部102と、レンズ位置精度算出部107の機能は、それぞれ、コントローラ100の演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することにより実現される。
【0100】
次に、実施形態2に係るダイシング装置の検査方法を説明する。図10は、実施形態2に係るダイシング装置の検査方法の流れを示すフローチャートである。実施形態2に係るダイシング装置の検査方法は、前述した構成の実施形態2に係るダイシング装置1の検査方法であって、実施形態1と同様に、例えば、ダイシング装置1を製造する工場からの出荷時、ダイシング装置1の移設時、定期点検時に実施される。
【0101】
実施形態2に係るダイシング装置の検査方法は、オペレータにより登録された検査内容情報をコントローラ100が受け付けて登録し、オペレータからの検査開始指示をコントローラ100が受け付けると、ダイシング装置1により開始される。なお、検査内容情報は、保持テーブル機構10をX軸方向及びY軸方向に移動する所定距離、及びレーザービーム照射ユニット20-2の集光レンズ28を位置付けるZ軸方向の所定位置を含む。
【0102】
実施形態2に係るダイシング装置の検査方法は、図10に示すように、第1保持テーブル機構検査ステップ1001-1と、第2保持テーブル機構検査ステップ1001-2と、レンズ位置精度算出ステップ1020とを有する。
【0103】
第1保持テーブル機構検査ステップ1001-1は、図10に示すように、第1保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002-1と、第1保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003-1と、を有する。
【0104】
第1保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002-1は、X軸移動ユニット31-2を停止した状態で保持テーブル機構10をY軸移動ユニット32-2によりY軸方向に所定距離移動させた間にX軸加速度検出器16で検出されたX軸方向の加速度を2回積分することで、保持テーブル機構10をY軸方向に所定距離移動させた間における保持テーブル機構10のX軸方向の振れ量を検出するステップである。
【0105】
第1保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003-1は、X軸移動ユニット31-2を停止した状態で保持テーブル機構10をY軸移動ユニット32-2によりY軸方向に所定距離移動させた間にZ軸加速度検出器14で検出されたZ軸方向の加速度を2回積分することで、保持テーブル機構10をY軸方向に所定距離移動させた間における保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量を検出するステップである。
【0106】
第1保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002-1及び第1保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003-1では、コントローラ100が、X軸移動ユニット31-2及びY軸移動ユニット32-2を制御して、X軸移動ユニット31-2を停止した状態で、Y軸移動ユニット32-2により保持テーブル機構10をY軸方向に所定距離移動させる。
【0107】
第1保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002-1では、保持テーブル機構X軸ヨーイング算出部101-1が、Y軸移動ユニット32-2により保持テーブル機構10をY軸方向に所定距離移動させた間にX軸加速度検出器16で所定時間間隔毎に検出されたX軸方向の加速度を時間で2回積分して、保持テーブル機構10をY軸方向に所定距離移動させた間における保持テーブル機構10のX軸方向の振れ量を検出する。第1保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002-1では、保持テーブル機構X軸ヨーイング算出部101-1が、検出した保持テーブル機構10のX軸方向の振れ量を記憶装置に記憶する。
【0108】
第1保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003-1では、保持テーブル機構ピッチング算出部102-2が、Y軸移動ユニット32-2により保持テーブル機構10をY軸方向に所定距離移動させた間にZ軸加速度検出器14で所定時間間隔毎に検出されたZ軸方向の加速度を時間で2回積分して、保持テーブル機構10をY軸方向に所定距離移動させた間における保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量を検出する。第1保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003-1では、保持テーブル機構ピッチング算出部102-2が、検出した保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量を記憶装置に記憶する。
【0109】
第2保持テーブル機構検査ステップ1001-2は、図10に示すように、第2保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002-2と、第2保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003-2と、を有する。
【0110】
第2保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002-2は、Y軸移動ユニット32-2を停止した状態で保持テーブル機構10をX軸移動ユニット31-2によりX軸方向に所定距離移動させた間にY軸加速度検出器13で検出されたY軸方向の加速度を2回積分することで、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離移動させた間における保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量を検出するステップである。
【0111】
第2保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003-2は、Y軸移動ユニット32-2を停止した状態で保持テーブル機構10をX軸移動ユニット31-2によりX軸方向に所定距離移動させた間にZ軸加速度検出器14で検出されたZ軸方向の加速度を2回積分することで、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離移動させた間における保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量を検出するステップである。
【0112】
第2保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002-2及び第2保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003-2では、コントローラ100が、X軸移動ユニット31-2及びY軸移動ユニット32-2を制御して、Y軸移動ユニット32-2を停止した状態で、X軸移動ユニット31-2により保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離移動させる。
【0113】
第2保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002-2では、保持テーブル機構Y軸ヨーイング算出部101-2が、X軸移動ユニット31-2により保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離移動させた間にY軸加速度検出器13で所定時間間隔毎に検出されたY軸方向の加速度を時間で2回積分して、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離移動させた間における保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量を検出する。第2保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ1002-2では、保持テーブル機構Y軸ヨーイング算出部101-2が、検出した保持テーブル機構10のY軸方向の振れ量を記憶装置に記憶する。
【0114】
第2保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003-2では、保持テーブル機構ピッチング算出部102-2が、X軸移動ユニット31-2により保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離移動させた間にZ軸加速度検出器14で所定時間間隔毎に検出されたZ軸方向の加速度を時間で2回積分して、保持テーブル機構10をX軸方向に所定距離移動させた間における保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量を検出する。第2保持テーブル機構ピッチング算出ステップ1003-2では、保持テーブル機構ピッチング算出部102-2が、検出した保持テーブル機構10のZ軸方向の振れ量を記憶装置に記憶する。
【0115】
レンズ位置精度算出ステップ1020は、レーザービーム照射ユニット20-2の集光レンズ28のZ軸方向の位置の精度を算出するステップである。レンズ位置精度算出ステップ1020では、コントローラ100が、Z軸移動ユニット33を制御して、レーザービーム照射ユニット20-2の集光レンズ28を複数の所定回数、Z軸方向の所定位置に位置づける。
【0116】
レンズ位置精度算出ステップ1020では、レンズ位置精度算出部107が、集光レンズ28を複数の所定回数、Z軸方向の所定位置に位置づけた際それぞれのダイシング機構Z軸加速度検出器26が検出した加速度を2回積分して、集光レンズ28のZ軸方向の位置を複数検出する。レンズ位置精度算出ステップ1020では、レンズ位置精度算出部107が、複数検出した集光レンズ28のZ軸方向の位置のばらつきを算出して、記憶装置に記憶する。
【0117】
実施形態2に係るダイシング装置1-2は、保持テーブル機構10がX軸加速度検出器16と、Y軸加速度検出器13とZ軸加速度検出器14とを有する。そして、コントローラ100が、各加速度検出器13,14,16が検出した加速度を時間で2回積分して保持テーブル機構10をX軸方向又はY軸方向に所定距離移動させた間における保持テーブル機構のX軸方向の振れ量、Y軸方向の振れ量及びZ軸方向の振れ量を検出する。このために、ダイシング装置1-2は、保持テーブル機構10の振れ量を検出するために、測定器具を保持テーブル機構10やレーザービーム照射ユニット20-2に取り付けることが不要となり、その結果、実施形態1と同様に、検査にかかる手間を抑制することができるという効果を奏する。
【0118】
また、実施形態2に係るダイシング装置1-2は、コントローラ100がレンズ位置精度算出部107を備えているので、レーザービーム照射ユニット20-2の集光レンズ28のZ軸方向の位置のばらつきを把握することができる。
【0119】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0120】
1,1-1,1-2 ダイシング装置
10 保持テーブル機構
11 保持テーブル
13 Y軸加速度検出器
14 Z軸加速度検出器
20 ダイシング機構
20-2 レーザービーム照射ユニット(ダイシング機構)
25 ダイシング機構X軸加速度検出器
26 ダイシング機構Z軸加速度検出器
31,31-2 X軸移動ユニット(加工送りユニット)
32,32-2 Y軸移動ユニット(割り出し送りユニット)
100 コントローラ
101 保持テーブル機構ヨーイング算出部
102 保持テーブル機構ピッチング算出部
103 ダイシング機構ヨーイング算出部
104 ダイシング機構ピッチング算出部
200 被加工物
301 Y軸方向の振れ量
302 Z軸方向の振れ量
303 X軸方向の振れ量
304 Z軸方向の振れ量
401,402 所定距離
501 Y軸方向の加速度
502 Z軸方向の加速度
503 X軸方向の加速度
504 Z軸方向の加速度
1002 保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ
1003 保持テーブル機構ピッチング算出ステップ
1002-1 第1保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ
1003-1 第1保持テーブル機構ピッチング算出ステップ
1002-2 第2保持テーブル機構ヨーイング算出ステップ
1003-2 第2保持テーブル機構ピッチング算出ステップ
1012 ダイシング機構ヨーイング算出ステップ
1013 ダイシング機構ピッチング算出ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10