(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】がんの治療のためのEGFR阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20240906BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240906BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240906BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C07D487/04 138
C07D487/04 CSP
A61K31/5377
A61P35/00
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2021576020
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2020067086
(87)【国際公開番号】W WO2020254568
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-15
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドレンテ, コジモ
(72)【発明者】
【氏名】ゴアグラー, アニック
(72)【発明者】
【氏名】ヘウィングス, ダビト
(72)【発明者】
【氏名】ジェスキー, ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】クーン, ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ナゲル, イボンヌ アリス
(72)【発明者】
【氏名】オブスト ザンダー, ウルリーケ
(72)【発明者】
【氏名】リッチ, アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ルーハー, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー, サンドラ
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/115218(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/220149(WO,A1)
【文献】特許第7411588(JP,B2)
【文献】特表2022-537191(JP,A)
【文献】特表2022-537771(JP,A)
【文献】特表2022-538055(JP,A)
【文献】特表2022-538403(JP,A)
【文献】特表2022-537772(JP,A)
【文献】特表2022-537301(JP,A)
【文献】NATURE,2016年,534(7605),p.129-132
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/5377
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4,7-ジクロロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
及び
2-[4-クロロ-7-メトキシ-6-(4-モルホリン-4-イルフェニル)インダゾール-2-イル]-2-[rac-(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル]-N-(1,3-チアゾール-2-イル)アセトアミド;
から選択される化合物、又は
その薬学的に許容される塩。
【請求項2】
2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4,7-ジクロロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
及び
2-[4-クロロ-7-メトキシ-6-(4-モルホリン-4-イルフェニル)インダゾール-2-イル]-2-[rac-(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル]-N-(1,3-チアゾール-2-イル)アセトアミド
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項
1に記載の化合物
、若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項2に記載の化合物と、治療的に不活性な担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項4】
請求項
1に記載の化合物
、若しくは
その薬学的に許容される塩
、又は請求項2に記載の化合物を含む、がんを治療又は予防するための医薬。
【請求項5】
請求項
1に記載の化合物
、若しくは
その薬学的に許容される塩
、又は請求項2に記載の化合物を含む、非小細胞肺がんを治療又は予防するための医薬。
【請求項6】
がんの治療又は予防のための医薬を調製するための、請求項
1に記載の化合物
、若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項2に記載の化合物の使用。
【請求項7】
非小細胞肺がんの治療又は予防のための医薬を調製するための、請求項
1に記載の化合物
、若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項2に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EGFR突然変異体を含むT790M/L858R、T790M/L858R/C797S、L858R、L858R/C797Sの選択的アロステリック阻害剤である化合物、それらの製造、それらを含有する医薬組成物、及び治療的活性物質としてのそれらの使用を提供する。
【0002】
本発明は、下記から選択される新規な化合物を提供する。
2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4,7-ジクロロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-[4-クロロ-7-メトキシ-6-(4-モルホリン-4-イルフェニル)インダゾール-2-イル]-2-[rac-(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル]-N-(1,3-チアゾール-2-イル)アセトアミド;
又は薬学的に許容される塩。
【背景技術】
【0003】
受容体チロシンキナーゼのHERファミリは、細胞増殖、分化、及び生存のメディエータである。この受容体ファミリには、4つの異なるメンバ、すなわち、上皮増殖因子受容体(EGFR、ErbB1、又はHER1)、HER2(ErbB2)、HER3(ErbB3)、及びHER4(ErbB4)が含まれる。リガンドが結合すると、受容体はホモ二量体及びヘテロ二量体を形成し、続く内因性チロシンキナーゼ活性の活性化は、受容体の自己リン酸化及び下流シグナル伝達分子の活性化をもたらす(Yarden, Y., Sliwkowski, MX. Untangling the ErbB signalling network. Nature Review Mol Cell Biol. 2001 Feb;2(2): 127-37)。過剰発現又は突然変異によるEGFRの脱調節は、結腸直腸がん、膵臓がん、神経膠腫、頭頸部がん、及び肺がんを含む多くのヒトがんの種類、特に非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer:NSCLC)に関係しており、いくつかのEGFR標的化剤が長年にわたって開発されている(Ciardiello, F., and Tortora, G. (2008). EGFR antagonists in cancer treatment. The New England journal of medicine 358, 1160-1174)。EGFRチロシンキナーゼの可逆的阻害剤であるエルロチニブ(タルセバ(登録商標))は、再発NSCLCの治療薬として数多くの国で承認されている。
【0004】
腫瘍が体細胞キナーゼドメイン変異を有するNSCLC患者のサブセットでは、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤の顕著な単剤活性が観察されるものの、野生型EGFR患者における臨床的有益性は大幅に低下する(Paez, J. et al. (2004). EGFR mutations in lung cancer: correlation with clinical response to gefitinib therapy. Science (New York, NY 304, 1497-1500)。EGFRの最も一般的な体細胞変異は、最も一般的な突然変異であるデルタ746~750によるエキソン19欠失、及び最も高頻度な変異であるL858Rによるエキソン21アミノ酸置換である(Sharma SV, Bell DW, Settleman J, Haber DA. Epidermal growth factor receptor mutations in lung cancer. Nat Rev Cancer. 2007 Mar;7(3): 169-81)。
【0005】
治療抵抗性は高頻度で発生し、受容体のATP部位内の二次的T790M変異に起因することが多い。いくつかの開発された変異選択的不可逆性阻害剤は、T790M変異体に対して高度に活性であるが、その有効性はC797Sの後天性変異によって損なわれる可能性がある。C797Sは、重要な共有結合を形成するシステイン残基である(Thress, K. S. et al. Acquired EGFR C797S mutation mediates resistance to AZD9291 in non-small cell lung cancer harboring EGFR T790M. Nat. Med. 21, 560-562 (2015))。C797S変異は、T790Mを標的とするEGFR阻害剤に対する耐性の主要なメカニズムであることが、Wangによってさらに報告されている(Wang et al. EGFR C797S mutation mediates resistance to third-generation inhibitors in T790M-positive non-small cell lung cancer, J Hematol Oncol. 2016; 9: 59)。オシメルチニブに対する耐性を引き起こすさらなる変異(例えば、L718Q)がYangによって説明されている(Yang et al, Investigating Novel Resistance Mechanisms to Third-Generation EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Osimertinib in Non-Small Cell Lung Cancer Patients, Clinical Cancer Research, DOI: 10.1158/1078-0432.CCR-17-2310)。Luらは、NSCLC治療におけるEGFRL858R/T790M及びEGFRL858R/T790M/C797S耐性変異の標的化に関し総説において報告している(Targeting EGFRL858R/T790M and EGFRL858R/T790M/C797Sresistance mutations in NSCLC: Current developments in medicinal chemistry, Med Res Rev 2018; 1-32)。
【0006】
最も利用可能なEGFRチロシンキナーゼ阻害剤はキナーゼのATP部位を標的とするので、例えば薬剤耐性EGFR変異体を標的とすることによる、異なる働きをする新しい治療剤が必要である。
【0007】
最近の研究は、アロステリック部位を意図的に標的とすることが変異選択的阻害剤につながる可能性があることを示唆している(Jia et al. Overcoming EGFR(T790M) and EGFR(C797S) resistance with mutant-selective allosteric inhibitors, June 2016, Nature 534, 129-132)。
【0008】
がんの治療処置及び/又は予防処置に有用な、EGFR変異体を含有するT790M/L858R、T790M/L858R/C797S、L858R、L858R/C797S、特にEGFR突然変異体を含有するT790M及びC797Sを特異的に阻害する選択的分子の生成が、まさに必要とされている。
【0009】
国際公開第WO2009158369号には、ある特定の複素環式抗菌剤が記載されている。国際公開第WO2016183534号には、EBNA1阻害剤として好適なある特定の複素環式化合物が記載されている。国際公開第WO2011128279号には、mGluR5修飾物質として好適なある特定の複素環式化合物が記載されている。
【0010】
「薬学的に許容される塩」との用語は、生物学的に又は別様に望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸(特に塩酸)等の無機酸と、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等の有機酸で形成される。また、これらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を添加して調製してもよい。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩等が含まれるがこれらに限定されない。有機塩基から誘導される塩には、第1級、第2級及び第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等の塩が含まれるがこれらに限定されない。本発明の化合物の特に薬学的に許容される塩としては、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、クエン酸塩等が挙げられる。
【0011】
略語のuMはマイクロモルを意味し、記号μMに相当する。
【0012】
略語のuLはマイクロリットルを意味し、記号μLに相当する。
【0013】
略語のugはマイクログラムを意味し、記号のμgに相当する。
【0014】
本発明の化合物は、数個の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体又はジアステレオ異性のラセミ体の混合物として存在することができる。
【0015】
Cahn-Ingold-Prelog則によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置のものであり得る。
【発明の概要】
【0016】
本発明の実施形態はまた、本明細書に記載される化合物及びその薬学的に許容され得る塩、より特に本明細書に記載される化合物である。別の実施形態では、本明細書に記載される化合物が下記から選択される。
2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4,7-ジクロロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド;
2-[4-クロロ-7-メトキシ-6-(4-モルホリン-4-イルフェニル)インダゾール-2-イル]-2-[rac-(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル]-N-(1,3-チアゾール-2-イル)アセトアミド。
【0017】
本発明の化合物を製造するためのプロセスも本発明の対象である。
【0018】
酸を伴う対応する薬学的に許容される塩は、当業者に公知の標準的方法、例えば、本発明の化合物を、例えばジオキサン又はテトラヒドロフランのような好適な溶媒中に溶解し、適切な量の対応する酸を加えることによって得ることができる。生成物は通常、濾過又はクロマトグラフィによって単離できる。本発明の化合物を薬学的に許容される塩へと塩基によって変換することは、そのような化合物をそのような塩基で処理することによって行うことができる。そのような塩を形成する1つの可能な方法は、例えば、1/n当量の例えばM(OH)nといった塩基性塩(ここで、M=金属又はアンモニウムカチオン、及びn=ヒドロキシドアニオン数)を適当な溶媒(例えば、エタノール、エタノール-水混合物、テトラヒドロフラン-水混合物)中の化合物の溶液に加え、蒸発又は凍結乾燥によって溶媒を除去することによる方法である。特定の塩は、塩酸塩、蟻酸塩、及びトリフルオロ酢酸塩である。
【0019】
それらの調製が実施例に記載されていない限り、本発明の化合物及び全ての中間体生成物は、類似の方法又は本明細書に記載の方法に従って調製することができる。出発物質は市販されており、当技術分野で公知であるか、又は当技術分野で公知の方法によって、若しくはそれに類似する方法で調製することができる。
【0020】
本発明の化合物を官能基で誘導体化して、in vivoで親化合物に変換して戻すことができる誘導体を提供できることが、理解されるであろう。
【0021】
本発明のある特定の実施形態は、治療的活性物質として使用するための、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0022】
本発明のある特定の実施形態は、がん、特に非小細胞肺がんの治療処置及び/又は予防処置で使用するための、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0023】
本発明のある特定の実施形態は、非小細胞肺がんの治療処置及び/又は予防処置で使用するための、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0024】
本発明のある特定の実施形態は、がん、特に非小細胞肺がんの治療処置及び/又は予防処置のための薬品を製造するための、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0025】
本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される補助物質を含む、医薬組成物に関する。
【0026】
本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することによる、がん、特に非小細胞肺がんの治療処置及び/又は予防処置のための方法に関する。
【0027】
本発明のある特定の実施形態は、がん、特に非小細胞肺がんに罹患したEGFR活性化突然変異を有する患者の治療処置及び/又は予防処置において薬品として使用するための、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩に関し、該患者におけるEGFR活性化突然変異状態を決定し、次いで、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を該患者に投与することを含む。
【0028】
本発明のある特定の実施形態は、がん、特に非小細胞肺がんに罹患したEGFR突然変異T790M/L858R、T790M/L858R/C797S、L858R、及び/又はL858R/C797Sを有する患者の治療処置及び/又は予防処置において薬品として使用するのための、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩に関し、該患者におけるEGFR活性化突然変異状態を決定し、次いで、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を該患者に投与することを含む。
【0029】
本発明のある特定の実施形態は、がん、特に非小細胞肺がんに罹患した、cobas(登録商標)EGFR変異検出キットv2.0で決定されたEGFR活性化突然変異を有する患者の治療処置及び/又は予防処置において薬品として使用するための、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩に関し、該患者におけるEGFR活性化突然変異状態を決定し、次いで、本明細書に記載の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を該患者に投与することを含む。
【0030】
更に、本発明は、本発明の化合物の対応する重水素化形態の置換基を、適用可能な場合は全て含む。
【0031】
さらに、本発明は、適用可能な場合、本発明の化合物の全ての光学異性体、すなわち、ジアステレオ異性体、ジアステレオ異性混合物、ラセミ混合物、それらの全ての対応する鏡像異性体、及び/又は互変異性体、並びにそれらの溶媒和物を含む。
【0032】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含むことができ、したがって、ラセミ体、ラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオ異性混合物、及び個々のジアステレオマとして生じ得る。分子上の種々の置換基の性質に応じて、付加的な不斉中心が存在してもよい。このような不斉中心の各々は独立して2つの光学異性体を生成し、混合物及び純粋又は部分的に精製された化合物として可能性のある光学異性体及びジアステレオマの全てが、本発明に含まれることが意図される。本発明は、これらの化合物の全てのそのような異性体形態を包含することを意味する。これらのジアステレオマの独立した合成又はそれらのクロマトグラフィによる分離は、本明細書で開示されている方法を適切に修正することで、当技術分野で公知のように達成することができる。それらの絶対立体化学は、結晶生成物又は結晶中間体のX線結晶学によって決定することができ、これらは、必要であれば、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬で誘導体化される。所望であれば、化合物のラセミ混合物を分離して、個々の鏡像異性体を単離することができる。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオ異性混合物を形成し、続いて、分別再結晶化又はクロマトグラフィのような標準的方法によって個々のジアステレオマを分離するような、当該技術分野で公知の方法で行うことができる。
【0033】
一実施形態では、光学的に純粋な鏡像異性体が提供される場合、光学的に純粋な鏡像異性体とは、化合物が所望の異性体を90重量%超、具体的には所望の異性体を95重量%超、又はより具体的には所望の異性体を99重量%超含有することを意味し、該重量パーセントは、化合物の異性体の全重量を基準とする。キラル的に純粋な又はキラルに富化された化合物は、キラル選択的合成によって、又は鏡像異性体の分離によって調製することができる。鏡像異性体の分離は、最終生成物で、又は代替的に好適な中間体に対して行うことができる。
【0034】
また、本発明の一実施形態は、記載されるプロセスのいずれか1つに従って製造された場合の、本明細書に記載の本発明の化合物である。
【0035】
アッセイ手順
HTRFリン酸化EGFR(Phospho EGFR)TMLRアッセイ(細胞)
細胞株及び培地
H1975細胞株(CRL-5908;ロット番号BA70803)をAmerican Type Culture Collection(米国バージニア州マナッサス)から得た。細胞を完全培地RPMI 1640中の5%CO2で37℃に、グルタミン0.3mg/mL、ペニシリン100IU/mL、及びストレプトマイシン100mg/mL(Gibco、15140-122)を含有するフェノールレッドなしで、10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum:FBS、Gibco、10091-148)を補充して維持した。化合物を、グルタミン0.3mg/mL、ペニシリン100IU/mL、及びストレプトマイシン100mg/mL(Gibco)を含有するフェノールレッドを含まない、飢餓培地RPMI 1640 Media(Gibco、11835-030)中に希釈した。
【0036】
プロトコル
細胞を、24時間、384ウェルプレート(Greiner Bio-One、784-080号;5000細胞/ウェル)中において、8μLの完全培地/ウェルを用いて培養した。次いで、飢餓培地中の化合物又はDMSOの第3因子希釈系列を含有する4μL/ウェルの3倍化合物溶液を細胞に加えた(最終DMSO 0.33%)。37℃、5%CO2、相対湿度95%で16時間後、細胞を、4μL/ウェルの補充された溶解緩衝液(Cis-bio、リン酸化EGFR HTRFキット、64EG1PEH)の化合物混合物に添加することによって溶解し、続いて、振盪しながら(400rpm)30分間室温でインキュベートした。次いで、検出緩衝液中で調製した抗リン酸化EGFRクリプテートと抗リン酸化EGFR-d2抗体溶液との混合物4μLを加えた。次いで、プレートを4時間室温でインキュベートし、その後、Envisionリーダ(PerkinElmer)を用いて620及び665nmでの蛍光発光を読み取った。
【0037】
HTRFリン酸化EGFR(Phospho EGFR)TMLRCSアッセイ(細胞)
細胞株及び培地
BaF3-TMLRCS細胞株を、Crownbio(米国カリフォルニア州サンディエゴ)から得た。細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gibco)を補充したRPMI ATCC(Gibco 31870)+2mMグルタミン+ピューロマイシン0.5μg/mL中にて、37℃、5%CO2で維持した。
【0038】
プロトコル
プレートが、12.5nLの試験される化合物(用量反応)のDMSO溶液又はDMSOのみで予め充填された後、12.5μLの増殖培地/ウェル中において、20,000細胞/ウェルでGreiner Bio-Oneの第784-08号マイクロタイタープレートに上記のように細胞を移す。プレートを300×gで30秒間回転させた後、細胞を4時間、37℃、5%CO2、湿度95%でインキュベートした。細胞を、4μL/ウェルの補充された溶解緩衝液(Cis-bio、リン酸化EGFR HTRFキット、64EG1PEH)の化合物混合物に添加することによって溶解し、続いて、振盪しながら(400rpm)30分間室温でインキュベートした。次いで、プレートを凍結し-80℃で一晩保存した。 翌日、プレートを解凍した後に、補充した検出緩衝液中で調製した抗リン酸化EGFRクリプテートと抗リン酸化EGFR-d2抗体溶液との混合物4μLを、各ウェルに加えた。次いで、蓋をしたプレートを4時間室温でインキュベートし、その後、Envisionリーダ(PerkinElmer)を用いて616及び665nmでの蛍光発光を読み取った。データは、665対616の信号の正規化された比に10,000を乗じて、上記と同様の方法で分析した。
【0039】
【0040】
本発明の化合物及びその薬学的に許容される塩は、医薬 (例えば薬学的調製物の形態の)として使用することができる。本発明の医薬製剤は、経口投与(例えば、錠剤、被覆錠剤、ドラジェ、硬軟ゼラチンカプセル、溶液、乳剤又は懸濁液の形)、経鼻投与(例えば、鼻スプレーの形)、直腸投与(例えば、座薬の形)、又は眼局所投与(例えば、溶液、軟膏、ゲル又は水溶性高分子挿入剤の形)などの内服投与が可能である。
しかしながら、投与は、筋肉内、静脈内、眼内等の非経口的に(例えば、滅菌注射液の形態で)行うこともできる。
【0041】
本発明の化合物及びその薬学的に許容される塩は、錠剤、コーティングされた錠剤、ドラジェ、ハードゼラチンカプセル、注射液又は外用剤の製造のための薬学的に不活性な、無機又は有機アジュバントで処理することができる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などは、錠剤、ドラジェ及びハードゼラチンカプセルのためのそのようなアジュバントとして、例えば使用することができる。
【0042】
軟質ゼラチンカプセルに適したアジュバントとしては、例として、植物油、ワックス、油脂、半固形物、液体ポリオール等が挙げられる。
【0043】
溶液及びシロップ剤の製造に適したアジュバントは、例として、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコース等である。
【0044】
注射溶液のための適切なアジュバントは、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等である。
【0045】
坐剤のための適切なアジュバントは、例として、天然又は硬化した油、ワックス、油脂、半固体又は液体ポリオール等である。
【0046】
眼部外用剤形のための適切なアジュバントは、例として、シクロデキストリン、マンニトール、又は当該技術分野で知られている多くの他の担体及び賦形剤である。
【0047】
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、又は酸化防止剤を含有することができる。本発明の医薬製剤は更に、他の治療上価値のある物質を含むことができる。
【0048】
投薬量は広範に変化させることができ、当然、各特定の場合における個々の要件に適合させる。一般に、経口投与の場合、体重1kgあたり約0.1mg~約20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg~約4mg(例えば、1人あたり約300mg)を1日量として、好ましくは1~3回に分けて個別に投与し、これは、適切であれば、例えば、同量で構成することができる。局所投与の場合、製剤は、0.001重量%~15重量%の医薬を含むことができ、0.1~25mgの間であり得る必要量は、1日あたりの単回投与でも、1週間あたりの単回投与でも、1日あたりの複数回の投与(2~4回)でも、1週間あたりの複数回の投与でもよい。ただし、これが示されている場合は、ここに記載されている上限又は下限を超える可能性があることは明らかである。
【0049】
本発明の化合物からなる医薬組成物の調製
以下の組成の錠剤は、通常の方法で製造される。
【0050】
製造手順
1.材料1、2、3、及び4を混ぜ合わせ、精製水で造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な粉砕装置に通す。
4.材料5を加えて3分間混ぜ、適当なプレス機で圧縮する。
【0051】
【0052】
製造手順
1.材料1、2、及び3を適当なミキサーで30分ほど混ぜる。
2.材料4と5を加えて3分ほど混ぜる。
3.適切なカプセルに充填する。
【0053】
本発明の乳糖とコーンスターチの化合物は、まずミキサーで混合され、次にコミューン機で混合される。混合物をミキサーに戻し、そこにタルクを加えて近似的に混合する。この混合物は、機械によって適当なカプセル、例えば硬質ゼラチンカプセルに充填される。
【0054】
【0055】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
分取例がエナンチオマーの混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載されている方法、又は当技術分野の当業者に知られている方法、例えばキラルクロマトグラフィー又は結晶化によって得ることができる。
【実施例】
【0057】
以下の実施例は、本発明の例示のために提供される。これらは本発明の範囲を制限されるものとして考えられるべきではなく、単にこれらを代表するものとして理解されるべきである。
【0058】
中間体の合成
置換インダゾール(II)は既知であるか、既知の方法と類似の方法又は以下に説明する方法を使用して調製することができる。
【0059】
6-ブロモ-4,7-ジクロロ-1H-インダゾール
工程1:4-ブロモ-3,6-ジクロロ-2-フルオロベンズアルデヒド
テトラヒドロフラン(70ml)中の1-ブロモ-2,5-ジクロロ-3-フルオロベンゼン(9.414g)の溶液をドライアイス/アセトン浴で冷却した。THF(21.2ml)中のLDA 2mol/lを加え、混合物を-75℃で20分間撹拌した。N、N-ジメチルホルムアミド(2.82g)を滴下にて加え、1時間撹拌した。Et2O中のAcOH(1:1,10ml)の溶液を加えた。混合物を室温に温めた。水を加え、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮して、粗製の表題化合物(11.323g)を淡黄色の固体として得た。化合物を、更に精製することなく次の工程で使用した。
【0060】
工程2:6-ブロモ-4,7-ジクロロ-1H-インダゾール
ジオキサン(50ml)中の4-ブロモ-3,6-ジクロロ-2-フルオロベンズアルデヒド(10.5g)の溶液に、ヒドラジン水和物(3.86g)を加えた。混合物を室温で3日間撹拌した。ヒドラジン水和物(3.86g)を加え、混合物を70℃に7時間加温した。室温に冷却した後、水を加え、沈殿した固体を濾過により収集した。固体に少量のアセトニトリルを加え、2時間撹拌した。固体を濾過により収集し、少量のアセトニトリルで洗浄し、乾燥させて、表題化合物(7.842g)をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e=267.0([M+H]+,Br)。
【0061】
6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-2H-インダゾール
工程1:4-ブロモ-6-クロロ-2,3-ジフルオロベンズアルデヒド
4-ブロモ-3,6-ジクロロ-2-フルオロベンズアルデヒドの合成と同様に、1-ブロモ-5-クロロ-2,3-ジフルオロベンゼンを最初にテトラヒドロフラン中のLDAで-75℃にて処理し、次いでN、N-ジメチルホルムアミドで処理した。4-ブロモ-3,6-ジクロロ-2-フルオロベンズアルデヒドの合成と同様にワークアップし、粗製の表題化合物が薄茶色の固体として得た。
【0062】
工程2:6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-2H-インダゾール
4-ブロモ-6-クロロ-2,3-ジフルオロベンズアルデヒド(5g)をアルゴン下で1,4-ジオキサン(19.6ml)及びヒドラジン水和物(1.18g)と合わせ一晩撹拌した。Hunig塩基(2.53g)を加え、60℃で18時間、80℃で3時間、100℃で一晩撹拌した。混合物を室温に冷却し、濃縮した。CH2Cl2の添加後、固体が沈殿した。得られた固体を濾過により回収し、CH2Cl2で洗浄し、乾燥して、表題化合物(795mg、53%)をオフホワイトの固体として得た。
MS:m/e=251.0([M+H]+,Br)。
【0063】
6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-2H-インダゾール
工程1:4-ブロモ-6-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシベンズアルデヒド
4-ブロモ-3,6-ジクロロ-2-フルオロベンズアルデヒドの合成と同様に、1-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロ-2-メトキシベンゼンを最初にテトラヒドロフラン中のLDAで-75℃にて処理し、次いでN、N-ジメチルホルムアミドで処理した。4-ブロモ-3,6-ジクロロ-2-フルオロベンズアルデヒドの合成と同様にワークアップし、粗製の表題化合物が薄茶色の固体として得た。
【0064】
工程2:6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-2H-インダゾール
粗4-ブロモ-6-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシベンズアルデヒド(11.75g)をTHF(50ml)に溶解した。ヒドラジン水和物(3.83g)を加えた後、混合物を室温で42時間撹拌した。温度を70℃に上げ、混合物を36時間撹拌した。温度を90℃に上げ、混合物を7日間撹拌した。ヒドラジン水和物(15.3g)を加えた後、混合物を90℃で18時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水で希釈し30分間攪拌した。粘着性の固体を濾過により収集し、水で洗浄し、乾燥させ、わずかに不純な表題化合物(6.88g)を薄茶色の固体として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。MS:m/e=261.0([M+H]+,Br)。
【0065】
一般的な方法A:インダゾールのアルキル化
インダゾール(II、1当量)、メチル2-ブロモアセテート(2当量)およびN、N-ジメチルアセトアミド(溶液を生成するための少量)の混合物を、反応が完了するまで(通常は5~48時間)100℃に加熱する。室温まで冷却した後、氷を加え、沈殿した固体を濾過により収集し、水で洗浄する。所望の位置異性体の精製は、クロマトグラフィによって、あるいは特定の場合には、EtOH、アセトニトリル、又はジクロロメタンなどの溶媒からの再結晶化によって、達成することができる。
【0066】
一般的な方法Aを用いて以下の中間体(III)を調製した。
【0067】
実施例5
2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド
【0068】
工程1:tert-ブチル(2S、4R)-2-(3-エトキシ-2-(4-フルオロ-6-ブロモ-2H-インダゾール-2-イル)-3-オキソプロパノイル)-4-フルオロピロリジン-1-カルボキシレート
テトラヒドロフラン(23ml)中の(2S、4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-フルオロピロリジン-2-カルボン酸(3.6g、15.4mmol、1.55当量)の溶液を、氷浴で冷却した。カルボニルジイミダゾール(2.5g、15.4mmol、1.55当量)を加えた。冷却浴を取り外し、混合物を3時間撹拌して溶液Aを得た。テトラヒドロフラン(23ml)中のエチル2-(6-ブロモ-4-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)アセテート(3g、9.96mmol)の溶液を、-70℃に冷却した。テトラヒドロフラン中のLDA 2mol/l(7.7ml、15.4mmol、1.55当量)を5分以内に滴下した。混合物を-70℃で30分間撹拌した。溶液Aを5分以内で滴下にて加えた。混合物を冷却浴中で一晩室温まで温めた。飽和NH4Cl溶液を加えた後、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水で洗浄し、合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固して、粗製の表題化合物(定量的収率)を得て、これをさらに精製することなく次の工程に用いた。m/z 516.0/518.0,[M+H]+,ESI pos,Br isotopes。
【0069】
工程2:エチル2-((R)-6-フルオロ-3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-ブロモ-2H-インダゾール-2-イル)アセテート
ジオキサン(17ml)中のHCl 4M中のtert-ブチル(2S、4R)-2-(3-エトキシ-2-(4-フルオロ-6-ブロモ-2H-インダゾール-2-イル)-3-オキソプロパノイル)-4-フルオロピロリジン-1-カルボキシレートの溶液(実施例5、工程1)(5.14g、9.96mmol)を、室温で2時間撹拌した。混合物を濃縮乾固させた。残留物をエタノール(50ml)に溶解し、チオシアン酸カリウム(1.29g、13.2mmol、1.33当量)及びエタノール(10ml)中のHCl 1Mを加え、室温で16時間撹拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾燥して、粗製の表題化合物(定量的収率)を得て、これをさらに精製することなく次の工程に用いた。
m/z 457.1/459.1,[M+H]+,ESI pos,Br isotopes。
【0070】
工程3:エチル2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-ブロモ-2H-インダゾール-2-イル)アセテート
酢酸(12ml)中のエチル2-((R)-6-フルオロ-3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-ブロモ-2H-インダゾール-2-イル)アセテート(実施例5、ステップ2)(4.55g、9.96mmol)を10℃に冷却した。過酸化水素、35%(3.87g、3.49ml、39.8mmol、4当量)を滴下にて加えた。反応混合物を室温で40分間撹拌した。飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えることにより、過剰の過酸化水素を破壊した。いくらかの(全ての塩の溶解に十分な程度の)水及び酢酸エチルを加えた後、固体炭酸ナトリウムを注意深く加えることにより、混合物をpH9にした。その混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。生成物をクロマトグラフィ(SiO2、ヘプタン中の0~100%酢酸エチル)により精製して、表題化合物(1.8g、38%収率)を薄茶色の泡状物として得た。m/z 425.1/427.0,[M+H]+,ESI pos, Br isotopes。
【0071】
工程4:エチル2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)アセテート
エチル2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-ブロモ-2H-インダゾール-2-イル)アセテート(実施例5、工程3)(300mg、0.63mmol)、(4-モルホリノフェニル)ボロン酸(430mg、1.9mmol、3当量)及び炭酸セシウム(620mg、1.9mmol、3当量)をトルエン(8.5ml)と混合し、超音波処理下で混合物をアルゴンバブリングすることにより脱気した。[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(46mg、0.063mmol、0.1当量)を加え、混合物を密閉管内で110℃で90分間撹拌した。混合物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、半濃縮炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2,ジクロロメタン中の0%~10%メタノール)で精製し、表題化合物(282mg,85%)を淡黄色の無定形固体として得た。m/z 526.3,[M+H]+,ESI pos。
【0072】
工程5:2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド
テトラヒドロフラン(12ml)中のエチル2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)アセテート(実施例5、工程4)(280mg、0.53mmol)に、LiOH 1M(0.80ml、0.80mmol、1.5当量)を加えた。混合物を室温で90分間撹拌した。混合物を濃縮し乾燥させた。残留物をN、N-ジメチルホルムアミド(12.3ml)に溶解した。チアゾール-2-アミン(64mg、0.64mmol、1.2当量)、HATU(243mg、0.64mmol、1.2当量)及びHunig塩基(207mg、0.28ml、1.6mmol、3当量)の添加後、混合物を室温で3時間撹拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2,ジクロロメタン中0%~10%メタノール)で精製し、表題化合物(158mg,51%)をオフホワイトの固体として得た。m/z 580.4,[M+H]+,ESI pos。
【0073】
実施例10
2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド
【0074】
工程1:tert-ブチル(2S)-2-(2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)ピロリジン-1-カルボキシレート
実施例5、工程1と同様に、(tert-ブトキシカルボニル)-L-プロリンをカルボニルジイミダゾールで処理し、溶液Aを得た。エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)アセテートをLDAで脱プロトン化し、溶液Aにて-78℃で処理した。室温で一晩撹拌し、実施例5、工程1と同様にワークアップした後、粗製の表題化合物が得られ、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。
【0075】
工程2:エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程2と同様に、tert-ブチル(2S)-2-(2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)ピロリジン-1-カルボキシレートを、ジオキサン中のHClを使用して脱保護し、続いてチオシアン酸カリウムと反応させて、粗製の表題化合物を得、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。MS:m/e=475.1[M+H]+,Br)。
【0076】
工程3:エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程3と同様に、エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、AcOH中の過酸化水素で処理して、表題化合物を淡黄色の固体として得た。MS:m/e=443.2[M+H]+,Br)。
【0077】
工程4:エチル2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程4と同様に、エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、炭酸セシウム及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)の存在下、トルエン中の(4-モルホリノフェニル)ボロン酸で処理して、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e=524.5([M+H]+)
【0078】
工程5:2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド
実施例5、工程5と同様に、エチル2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ)[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、最初にLiOHで処理し、得られた酸性塩をHATU及びHunig塩基の存在下でチアゾール-2-アミンと反応させて、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e=576.4([M-H]-)
【0079】
実施例11
2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド
【0080】
工程1:tert-ブチル(2S)-2-(2-(6-ブロモ-4-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)ピロリジン-1-カルボキシレート
実施例5、工程1と同様に、(tert-ブトキシカルボニル)-L-プロリンをカルボニルジイミダゾールで処理し、溶液Aを得た。エチル2-(6-ブロモ-4-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)アセテートをLDAで脱プロトン化し、溶液Aにて-78℃で処理した。室温で一晩撹拌し、実施例5、工程1と同様にワークアップした後、粗製の表題化合物が得られ、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。MS:m/e=498.3([M+H]+)。
【0081】
工程2:エチル2-(6-ブロモ-4-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程2と同様に、tert-ブチル(2S)-2-(2-(6-ブロモ-4-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)ピロリジン-1-カルボキシレートを、ジオキサン中のHClを使用して脱保護し、続いてチオシアン酸カリウムと反応させて、粗製の表題化合物を得、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。MS:m/e=441.2([M+H]+)。
【0082】
工程3:エチル2-(6-ブロモ-4-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程3と同様に、エチル2-(6-ブロモ-4-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、AcOH中の過酸化水素で処理して、表題化合物を薄茶色の固体として得た。MS:m/e=407.2[M+H]+,Br)。
【0083】
工程4:エチル2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)アセテート
実施例5、工程4と同様に、エチル2-(6-ブロモ-4-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)及び炭酸セシウムの存在下、トルエン中の(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)ボロン酸と反応させ、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e=508.4([M+H]+)。
【0084】
工程5:2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド
実施例5、工程5と同様に、エチル2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-(4-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)アセテートを、最初にLiOHで処理し、得られた酸性塩をHATU及びHunig塩基の存在下でチアゾール-2-アミンと反応させて、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e=562.4([M+H]+)。
【0085】
実施例14
2-(4,7-ジクロロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド
【0086】
工程1:tert-ブチル(2S)-2-(2-(6-ブロモ-4,7-ジクロロ-2H-インダゾール-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)ピロリジン-1-カルボキシレート
実施例5、工程1と同様に、(tert-ブトキシカルボニル)-L-プロリンをカルボニルジイミダゾールで処理し、溶液Aを得た。エチル2-(6-ブロモ-4,7-ジクロロ-2H-インダゾール-2-イル)アセテートをLDAで脱プロトン化し、溶液Aにて-78℃で処理した。室温で一晩撹拌し、実施例5、工程1と同様にワークアップした後、粗製の表題化合物が得られ、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。MS:m/e=550.2([M+H]+)。
【0087】
工程2:エチル2-(6-ブロモ-4,7-ジクロロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程2と同様に、tert-ブチル(2S)-2-(2-(6-ブロモ-4,7-ジクロロ-2H-インダゾール-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)ピロリジン-1-カルボキシレートを、ジオキサン中のHClを使用して脱保護し、続いてチオシアン酸カリウムと反応させて、粗製の表題化合物を得、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。MS:m/e=491.1[M+H]+,Br)。
【0088】
工程3:エチル2-(6-ブロモ-4,7-ジクロロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程3と同様に、エチル2-(6-ブロモ-4,7-ジクロロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートをAcOH中の過酸化水素で処理して、表題化合物を淡黄色の固体として得た。MS:m/e=457.1[M+H]+,Br)。
【0089】
工程4:エチル2-(4,7-ジクロロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程4と同様に、エチル2-(6-ブロモ-4,7-ジクロロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、炭酸セシウム及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)の存在下、トルエン中の(4-モルホリノフェニル)ボロン酸で処理して、表題化合物を薄茶色の粘性物として得た。MS:m/e=540.3([M+H]+)。
【0090】
工程5:2-(4,7-ジクロロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド
実施例5、工程5と同様に、エチル2-(4,7-ジクロロ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、最初にLiOHで処理し、得られた酸性塩をHATU及びHunig塩基の存在下でチアゾール-2-アミンと反応させて、表題化合物を薄茶色の固体として得た。MS:m/e=594.3([M+H]+)。
【0091】
実施例17
2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド
【0092】
工程1:エチル2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程4と同様に、エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(実施例10、工程3)を、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)及び炭酸セシウムの存在下、トルエン中の(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)ボロン酸と反応させ、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e=542.3([M+H]+)。
【0093】
工程2:2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-(チアゾール-2-イル)アセトアミド
実施例5、工程5と同様に、エチル2-(4-クロロ-7-フルオロ-6-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ)[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、最初にLiOHで処理し、得られた酸性塩をHATU及びHunig塩基の存在下でチアゾール-2-アミンと反応させて、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e=594.4([M-H]-)
【0094】
実施例19
2-[4-クロロ-7-メトキシ-6-(4-モルホリン-4-イルフェニル)インダゾール-2-イル]-2-[rac-(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル]-N-(1,3-チアゾール-2-イル)アセトアミド
【0095】
工程1:tert-ブチル(2S,4R)-2-(2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-2H-インダゾール-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)-4-フルオロピロリジン-1-カルボキシレート
実施例5、工程1と同様に、(2S,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-フルオロピロリジン-2-カルボン酸をカルボニルジイミダゾールで処理し、溶液Aを得た。エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-2H-インダゾール-2-イル)アセテートをLDAで脱プロトン化し、溶液Aにて-78℃で処理した。室温で90分間撹拌し、実施例5、工程1と同様にワークアップした後、粗製の表題化合物が得られ、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。MS:m/e=564.2[M+H]+,Br)。
【0096】
工程2:エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-2H-インダゾール-2-イル)-2-((R)-6-フルオロ-3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程2と同様に、tert-ブチル(2S,4R)-2-(2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-2H-インダゾール-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)-4ーフルオロピロリジン-1-カルボキシレートを、ジオキサン中のHClを使用して脱保護し、続いてチオシアン酸カリウムと反応させて、粗製の表題化合物を得、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。MS:m/e=505.1[M+H]+,Br)。
【0097】
工程3:エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-2H-インダゾール-2-イル)-2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程3と同様に、エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-2H-インダゾール-2-イル)-2-((R)-6-フルオロ-3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、AcOH中の過酸化水素で処理して、表題化合物を薄茶色の固体として得た。MS:m/e=472.9[M+H]+,Br)。
【0098】
工程4:エチル2-(4-クロロ-7-メトキシ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
実施例5、工程4と同様に、エチル2-(6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-2H-インダゾール-2-イル)-2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)及び炭酸セシウムの存在下、トルエン中の(4-モルホリノフェニル)ボロン酸と反応させ、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e=554.3([M+H]+)。
【0099】
工程5:2-[4-クロロ-7-メトキシ-6-(4-モルホリン-4-イルフェニル)インダゾール-2-イル]-2-[rac-(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル]-N-(1,3-チアゾール-2-イル)アセトアミド
実施例5、工程5と同様に、エチル2-(4-クロロ-7-メトキシ-6-(4-モルホリノフェニル)-2H-インダゾール-2-イル)-2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ)[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテートを、最初にLiOHで処理し、得られた酸性塩をHATU及びHunig塩基の存在下でチアゾール-2-アミンと反応させて、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e=606.4([M-H]-)。