(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】注射デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/50 20060101AFI20240906BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20240906BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20240906BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A61M5/50
A61M5/315 550P
A61M5/31 520
A61M5/24
(21)【出願番号】P 2021576852
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2020067392
(87)【国際公開番号】W WO2020260220
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-04-28
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ユーグル
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ポメラウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン・シュミット
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-524970(JP,A)
【文献】特表2018-509234(JP,A)
【文献】特表2013-533074(JP,A)
【文献】特開平07-289639(JP,A)
【文献】特表2012-510330(JP,A)
【文献】特開2010-268883(JP,A)
【文献】米国特許第04048997(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0361528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/50
A61M 5/315
A61M 5/31
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射デバイスであって、
用量設定機構を含むハウジング(2)と、
薬剤を含むカートリッジを含むカートリッジホルダ(3)と、
薬剤についての情報(9)および/または記号を含む熱収縮性ラベル(8)と
を含み、
カートリッジホルダ(3)は、ハウジング(2)に分離不能にロックされ、熱収縮性ラベル(8)は、ハウジング(2)およびカートリッジホルダ(3)
ならびにカートリッジホルダ(3)とハウジング(2)との間のインターフェイスまたは橋渡し部を少なくとも部分的に覆うように、ハウジング(2)およびカートリッジホルダ(3)上で熱収縮されることを特徴とする前記注射デバイス。
【請求項2】
熱収縮性ラベル(8)は、ハウジング(2)およびカートリッジホルダ(3)を少なくとも部分的に包むジャケットの形態を有することを特徴とする、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項3】
熱収縮性ラベル(8)は、ハウジング(2)に設けられた窓(6)と重なり合ってハウジング(2)上に位置する少なくとも1つの透明または半透明な部分を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の注射デバイス。
【請求項4】
情報(9)および/または記号は、熱収縮性ラベル(8)の内面に印刷されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項5】
情報および/または記号は、カートリッジホルダ(3)上に位置する目盛(9)と、ハウジング(2)上に位置する、薬剤についての情報とを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項6】
熱収縮性ラベル(8)の外面は、部分的にラッカー塗装されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項7】
熱収縮性ラベル(8)は、PETまたはOPPからなることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項8】
熱収縮性ラベル(8)は、化学光の透過を阻止する層からなる、および/またはそれを備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項9】
熱収縮性ラベル(8)は、電子構成要素を含む、ならびに/または、電子構成要素をハウジング(2)および/もしくはカートリッジホルダ(3)上に維持することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項10】
熱収縮性ラベル(8)は、温度測定ストリップを含むことを特徴とする、請求項9に記載の注射デバイス。
【請求項11】
熱収縮性ラベル(8)は、該熱収縮性ラベル(8)の部分(11、12)の分離および除去を可能にする少なくとも1つの弱化線(10)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項12】
カートリッジホルダ(3)は、針を該カートリッジホルダ(3)に取り付けるためのインターフェース(7)を含み、熱収縮性ラベル(8)は、針の取り付けのためのインターフェース(7)を覆う第1のキャップ部分(11)を含み、少なくとも1つの弱化線(10)は、第1のキャップ部分(11)の分離および除去を可能にする位置にあることを特徴とする、請求項11に記載の注射デバイス。
【請求項13】
用量設定機構は、ハウジング(2)から突出している用量設定部材(5)を含み、熱収縮性ラベル(8)は、用量設定部材(5)を覆う第2のキャップ部分(12)を含み、少なくとも1つの弱化線(10)は、第2のキャップ部分(12)の分離および除去を可能にする位置にあることを特徴とする、請求項11または12に記載の注射デバイス。
【請求項14】
熱収縮性ラベル(8)は、ハウジング(2)および/またはカートリッジホルダ(3)に糊付けまたは溶接されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項15】
薬剤は、インスリンまたは成長ホルモンであることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、薬剤のいくつかの使用者可変用量を選択し投薬するためのたとえば注射デバイスである薬物送達デバイスを対象とし、詳細には、使い捨て注射デバイスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
ペン型薬物送達デバイスには、正式な医療訓練を受けていない者によって定期的な注射が行われる適用例がある。こうした適用例は、糖尿病の患者の間でますます一般的になっており、自己治療により、このような患者は自身の疾患の効果的な管理を行うことが可能である。実際、このような薬物送達デバイスでは、使用者は、薬剤のいくつかの使用者可変用量を個別に選択し投薬することができる。本発明は、さらに、自動注射器、シリンジ、および設定用量の増減ができない所定用量の投薬のみ可能ないわゆる固定用量デバイスも対象とする。
【0003】
基本的に、2つのタイプの薬物送達デバイス、すなわち:再設定可能デバイス(すなわち、再使用可能なもの)、および再設定不可能な(すなわち、使い捨ての)ものがある。たとえば、使い捨てペン送達デバイスは独立型デバイスとして供給される。そのような独立型デバイスには、着脱可能な充填済みカートリッジがない。というより、その充填済みカートリッジは、デバイス自体を壊さなければこれらのデバイスから取り出し、取り替えることができない。したがって、このような使い捨てデバイスは、再設定可能な用量設定機構を有する必要がない。本発明は、使い捨てデバイスを対象とする。
【0004】
これらのタイプのペン送達デバイスは(拡大された万年筆に似ていることが多いのでこのように名づけられた)、一般に、3つの主な要素、すなわち:多くの場合ハウジングまたはホルダに含まれるカートリッジを含むカートリッジセクション;カートリッジセクションの一方端に連結されたニードルアセンブリ;およびカートリッジセクションの他方端に連結された用量投与セクションを含む。カートリッジ(アンプルと呼ばれることが多い)は、典型的には、医薬品(たとえば、インスリン)が充填されているリザーバと、カートリッジリザーバの一方端に位置する可動のゴムタイプの栓またはストッパと、他方の多くの場合くびれている端部に位置し穿孔可能なゴム封止部を有する上部とを含む。典型的には、圧着環状金属バンドが、ゴム封止部を所定位置に保持するのに使用される。典型的には、カートリッジハウジングはプラスチックで作られるが、カートリッジリザーバは従来よりガラスで作られている。
【0005】
ニードルアセンブリは、典型的には、交換可能な両頭針アセンブリである。注射の前に、交換可能な両頭針アセンブリをカートリッジアセンブリの一方端に取り付け、用量を設定してから、設定用量を投与する。このような着脱可能なニードルアセンブリは、カートリッジアセンブリの穿孔可能な封止端にねじ留めする、または押し付ける(すなわち、カチッと留める)ことができる。
【0006】
用量投与セクションまたは用量設定機構は、典型的には、ペンデバイスの、用量の設定(選択)に使用される部分である。注射の間、用量設定機構に含まれているスピンドルまたはピストンロッドがカートリッジの栓またはストッパを押す。この力によって、カートリッジに含まれている医薬品が取り付けられたニードルアセンブリを通って注射される。注射の後、大部分の薬物送達デバイスおよび/またはニードルアセンブリ製造業者および供給者によって一般に推奨されるように、ニードルアセンブリを取り外して廃棄する。
【0007】
薬物送達デバイスタイプの別の区分は、駆動機構に関連する:たとえば使用者が注射ボタンに力を加えることによって手で駆動されるデバイス、ばねなどによって駆動されるデバイス、およびこれら2つの概念を組み合わせたデバイス、すなわち使用者が注射力を及ぼすことがやはり必要とされるばね補助式デバイスがある。ばねタイプのデバイスは、予荷重が掛けられているばね、および用量選択中に使用者によって負荷が掛けられるばねを含む。蓄積エネルギーデバイスには、ばね予荷重と、たとえば用量設定中に使用者によってもたらされる追加のエネルギーとの組合せを用いるものがある。
【0008】
特許文献1には、薬剤充填済みのカートリッジまたは同様のリザーバを含むカートリッジホルダを含む再使用可能薬物送達デバイスが開示されている。カートリッジ内の薬剤が排出されたら、カートリッジを取り替えることができる。空のカートリッジを交換するため、使用者には、用量設定機構からカートリッジホルダを除去することが求められる。熱収縮性ラベルは、リザーバ上にコネクタを維持するようにカートリッジの一部分およびコネクタの一部分の上に位置する。コネクタは、不注意によるカートリッジアセンブリの交差使用、したがって不注意による薬剤の交差使用を防止するように、薬物送達デバイス、すなわち薬物送達デバイスのカートリッジホルダか用量設定部材のどちらかと協働するように寸法設定されている。
【0009】
用量設定機構を含む外側ハウジングを有する使い捨て注射デバイスの一例は、特許文献2から知られている。このデバイスでは、外側ハウジングは、一般にカートリッジを受けるカートリッジホルダを形成する遠位部材と、外側本体を形成する近位部材を有する略管状要素である。外側ハウジングは透明であり、外側本体は、不透明層を備える。不透明層は、透明窓を除いて外側本体の大部分を覆っている。
【0010】
使い捨て薬物送達デバイスでは、使用者が薬物送達デバイスにより薬剤のある量を正確に設定し投薬することができるように、用量設定機構は、典型的には、カートリッジおよび中に含まれる薬剤に対して適用される。したがって、カートリッジを変えることは、用量精度に悪影響を及ぼすことがあり、ひいては健康問題になることがある。使用者が、使い捨て薬物送達デバイス内の空のカートリッジをそれぞれの用量設定機構に適さないカートリッジに取り替えることを防ぐことが必要とされている。さらに、薬物送達デバイスを操作するあらゆる試みを見えるようにすることが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】WO2012/020084A2
【文献】WO2014/033197A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、操作されたデバイスの非意図的な使用を防ぐ機構を有する改善された注射デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1に定められるような注射デバイスによって解決される。
【0014】
注射デバイスは、好ましくは、用量設定機構を含むハウジングと、薬剤を含むカートリッジを含むカートリッジホルダと、薬剤についての情報および/または記号を含む熱収縮性ラベルとを含む。本発明の1つの態様による使い捨て注射デバイスでは、カートリッジホルダは、ハウジングに分離不能にロックされる。換言すると、そのような使い捨て注射デバイスでは、ハウジングとカートリッジホルダは、注射デバイスの使用者によるハウジングからのカートリッジホルダの取り外しが想定されないように、単一的に形成、互いにロック、または互いに恒久的に取り付けられる。熱収縮性ラベルが、ハウジングおよびカートリッジホルダを少なくとも部分的に覆うようにハウジングおよびカートリッジホルダ上で熱収縮される場合、ラベルは、デバイスがその本来の状態であるかどうかを示すことに使用することができる。ラベルが破れているということは、デバイスが操作された可能性を示す。一実施形態によれば、ハウジングおよびカートリッジホルダを少なくとも部分的に覆うラベルは、カートリッジホルダとハウジングとの間のインターフェース、またはカートリッジホルダとハウジングとの間を橋渡しするゾーンもしくは移行ゾーンを少なくとも覆うラベルとすることができる。
【0015】
使い捨て注射デバイスでは、ハウジングとカートリッジホルダは、一体構成要素部材として形成することができる。別法として、カートリッジホルダは、たとえばスナップ機能、溶接、糊付けなどによって、ハウジングに恒久的に取り付けてもよい。熱収縮性ラベルを設けることは、デバイスが操作された可能性があるかどうかのインジケーションに加えて、ハウジングからカートリッジホルダが外れることを防止する追加の強度をもたらす。
【0016】
従来の注射デバイスでは、薬剤についての情報および/または記号はしばしば、接着ラベルによって、またはデバイスの外面における印刷によって提供される。接着ラベルをデバイスの正しい位置に置くことは往々にして難しく、また、ハウジングまたはカートリッジホルダに使用される材料によっては、印刷により情報および/または記号を恒久的に提供することが難しいことがある。それとは対照的に、熱収縮性ラベルには、情報および/または記号を恒久的に提供しやすいというさらなる利点がある。情報および/または記号は、薬剤および/または製造業者および/または配給業者の名称、有効成分の名称、濃度および/または量、製造日および/または有効期限のような薬剤についての情報を含むだけでなく、少なくとも1つのカラーコード、少なくとも1つの目盛、少なくとも1つのフレーム、少なくとも1つのポインタなどをさらに含むことができる。情報および/または記号は、見えるおよび/またはたとえば点字により触知することができる。さらに、触覚的な区別を可能にする情報および/または記号を設けることもできる。
【0017】
本発明の一態様によれば、熱収縮性ラベルは、ハウジングおよびカートリッジホルダを少なくとも部分的に包むジャケットの形態を有する。ラベルがそのようなスリーブ様構成の場合、ラベルが所定位置にくるようにデバイスをジャケットに挿入することが簡単である。ジャケットのスリーブ様形態は、デバイスの、カートリッジホルダがハウジングに取り付けられる領域またはカートリッジホルダがハウジング内へと続いている領域を完全に包むことに適している。したがって、ジャケットの形態のラベルは、デバイスの操作が行われる可能性が最も高い領域を遮蔽することに適している。
【0018】
熱収縮性ラベルは、ハウジングに設けられた窓と重なり合ってハウジング上に位置する、少なくとも1つの透明または半透明な部分を含むことができる。加えて、または別法として、熱収縮性ラベルは、ハウジングのアパーチャを覆う窓を形成することもできる。そのような窓は、典型的には、デバイスの現在設定されている用量を表示するために、用量設定機構と組み合わせて使用される。たとえば、数字スリーブまたは表示スリーブは、設定用量に相当する数字または記号がハウジングの窓またはアパーチャから見えるように、デバイスの用量設定中にハウジングに対して動くことができる。
【0019】
情報および/または記号は、熱収縮性ラベルの内面に印刷されることが好ましい。従来の接着ラベルとは対照的に、これは、ラベル上の情報が水および露滴により失われることを防ぐ。たとえば、情報および/または記号は、カートリッジホルダ上に位置する目盛、およびハウジング上に位置する薬剤についての情報を含む。したがって、カートリッジホルダおよびハウジングに情報および/または記号を別々にもたらし位置合わせの必要がないことから、カートリッジホルダおよびハウジングが生産しやすくなる。さらに、熱収縮性ラベルの外面は、デバイスをもたらすように完全または部分的にラッカー塗装することができる。
【0020】
好ましくは、熱収縮性ラベルは、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはOPP(配向ポリプロピレン)からなる。加えて、または別法として、熱収縮性ラベルは、化学光(actinic light)の透過を阻止する層からなる、および/またはそれを備える。これには、カートリッジに含まれる薬剤を保護するという利点がある。さらに、熱収縮性ラベルは、たとえば太陽光線に曝されることにより色の変化をもたらす光変色性機能を有してもよい。さらに、熱収縮性ラベルは、生分解性材料からなってもよい。
【0021】
さらに、熱収縮性ラベルは、電子構成要素を含むことができる、ならびに/もしくは、ハウジングおよび/またはカートリッジホルダ上に電子構成要素を維持する。たとえば、熱収縮性ラベルは、温度測定ストリップを含むことができる。さらなる一例では、熱収縮性ラベルは、使い捨て注射デバイス内または上、好ましくはそのハウジング上にアドオンデバイスまたは構成要素部材を位置させ維持することができる。そのようなアドオンデバイスまたは構成要素部材は、データの送信および/または受信のための通信ユニット、目標用量値および/または実際用量値を示す表示ユニット、値を記録するための読み出しユニット、注射デバイスの少なくとも1つの構成要素部材の位置、状態、動き、運動方向および/または加速度を検出するための少なくとも1つのセンサなどを含むことができる。熱収縮性ラベルは、そのような構成要素のための唯一の締結具として使用してもよく、または、さらなる取り付け手段に加えて使用してもよい。
【0022】
本発明のさらなる一態様によれば、熱収縮性ラベルは、熱収縮性ラベルの一部分の分離および除去を可能にする少なくとも1つの弱化線を含むことができる。弱化線は、ミシン目、切目線、破線および/もしくは厚さが薄くなった線とすることができ、または、より脆弱な材料から作ってもよい。少なくとも1つの弱化線は、所定の線に沿った熱収縮性ラベルの分離を容易にする引き裂きストリップまたはタップを備えてもよい。少なくとも1つの弱化線は、たとえば軸方向、円周方向および/または径方向に延びることができる。
【0023】
たとえば、カートリッジホルダは、針をカートリッジホルダに取り付けるためのインターフェースを含み、熱収縮性ラベルは、針の取り付けのためのインターフェースを覆う第1のキャップ部分を含み、少なくとも1つの弱化線は、第1のキャップ部分の分離および除去を可能にする位置にある。加えて、または別法として、用量設定機構は、ハウジングから突出している用量設定部材を含むことができ、熱収縮性ラベルは、用量設定部材を覆う第2のキャップ部分を含み、少なくとも1つの弱化線は、第2のキャップ部分の分離および除去を可能にする位置にある。さらに、使い捨て注射デバイスは、用量設定手順および/または用量投薬手順の開始のために起動および/または操作される必要のある構成要素部材を含むことができる。この構成要素部材は、用量設定部材とは別個の構成要素部材としてもよく、または同一であってもよい。この構成要素部材が別個の部材である場合、弱化線が設けられる熱収縮性ラベルの一部分は、この構成要素部材を覆うことができる。換言すると、熱収縮性ラベルの一部分は、デバイスまたはその一部分についての不正開封明示クロージャとして使用することができる。
【0024】
本発明によれば、ラベルは、注射デバイス上で熱収縮される。加えて、熱収縮性ラベルは、ハウジングおよび/またはカートリッジホルダに糊付けまたは溶接することができる。
【0025】
本発明の一実施形態では、注射デバイスの用量設定機構は、全体的に、特許文献2に記載されるように設計され機能する。
【0026】
注射デバイスは、典型的には、薬剤を含むカートリッジを含む。「薬剤」という用語は、本明細書で用いられる場合、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態では、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、かつ/あるいはペプチド、タンパク質、多糖、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモン、もしくはオリゴヌクレオチド、または上述した薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病もしくは糖尿病に伴う合併症、たとえば、糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害、たとえば、深部静脈血栓塞栓症もしくは肺血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチの治療および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病に伴う合併症、たとえば、糖尿病性網膜症の治療および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)もしくはそのアナログもしくは誘導体、もしくはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4またはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4のアナログもしくは誘導体を含む。
【0027】
インスリンアナログは、たとえば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0028】
インスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0029】
エキセンジン-4は、たとえば、H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2の配列のペプチドであるエキセンジン-4(1-39)を意味する。
【0030】
エキセンジン-4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H-(Lys)4-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)5-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39);もしくは
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
(ここで、基-Lys6-NH2が、エキセンジン-4誘導体のC-末端に結合していてもよい);
【0031】
もしくは、以下の配列のエキセンジン-4誘導体:
desPro36エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2(AVE0010)、
H-(Lys)6-desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desMet(O)14 Asp28 Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5 desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Lys6-desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(S1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン-4誘導体の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物
から選択される。
【0032】
ホルモンは、たとえば、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンである。
【0033】
多糖は、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化形たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩である。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。
【0034】
抗体は、基本構造を共有するイムノグロブリンとしても公知の球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位はイムノグロブリン(Ig)単量体(Ig単位のみを含む)であり、分泌型抗体は、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもありうる。
【0035】
Ig単量体は、4本のポリペプチド鎖;システイン残基間のジスルフィド結合によって結合した2本の同一の重鎖および2本の同一の軽鎖からなる「Y」字型の分子である。各重鎖は約440アミノ酸長であり、各軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化する鎖内ジスルフィド結合を含む。各鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインで構成される。これらのドメインは、70~110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に従って異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的なイムノグロブリン折り畳み構造を有する。
【0036】
α、δ、ε、γ、およびμで表される5タイプの哺乳動物Ig重鎖が存在する。存在する重鎖のタイプにより抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体中に見出される。
【0037】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)とを有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、αおよびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つのイムノグロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0038】
哺乳動物では、λおよびκで表される2タイプのイムノグロブリン軽鎖が存在する。軽鎖は、2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211~217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を含み、哺乳動物の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0039】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)について3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0040】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化により、Igプロトタイプが3つのフラグメントに切断される。1つの完全なL鎖と約半分のH鎖とをそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズは同等であるが鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶化可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH-H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合を、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域を融合して、単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することができる。
【0041】
薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類、たとえば、Na+、もしくはK+、もしくはCa2+から選択されるカチオン、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)、(式中、R1~R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1~C6アルキル基、場合により置換されたC2~C6アルケニル基、場合により置換されたC6~C10アリール基、または場合により置換されたC6~C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容可能な塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0042】
薬学的に許容可能な溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0043】
次に、添付の図面を参照して本発明の非限定的な例示的実施形態について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】従来技術による注射デバイスの概略図である。
【
図2】キャップが取り去られある用量が設定されている、従来技術による注射デバイスの概略図である。
【
図3】
図1による注射デバイス上で熱収縮されるラベルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1および
図2を参照すると、特許文献2に開示されるような使い捨て注射デバイスが示されている。デバイスは、遠位端(
図1における上側端)および近位端(
図1における下側端)を有する。注射デバイス1は、ハウジング2、およびハウジング2にしっかりと連結される、またはハウジング2の一体部材であるカートリッジホルダ3を含む。薬剤を含むカートリッジ(図示せず)は、カートリッジホルダ3に受け入れられる。
図1では、取り外し可能キャップ4がカートリッジホルダ3を覆っている。
図2では、キャップ4は取り去られている。
【0046】
使い捨て注射デバイス1は、ハウジング2に設けられる用量設定機構をさらに含む。用量設定機構の用量設定部材5は、ハウジング2から突出しており、使用者は用量設定中に用量設定部材5を把持してそれをハウジング2に対して動かすことができる。
図1は、ハウジング2の窓またはアパーチャ6を通して見える用量がゼロ設定用量の状態、すなわちデバイスの休止状態を示している。それとは対照的に、
図2では、用量設定部材5をハウジング2に対して動かす、たとえば回転させることによってより大きな用量が設定されている。
【0047】
カートリッジホルダ3の遠位端は、針装置(図示せず)をカートリッジホルダに取り付けるためのねじ付インターフェース7を備える。
【0048】
図3は、ハウジング2およびカートリッジホルダ3を挿入することができる、透明ジャケットの形態の透明熱収縮性ラベル8を示している。熱収縮性ラベル8は、ラベル8をハウジング2およびカートリッジホルダ3上で熱収縮させることによって注射デバイス1にしっかりと取り付けることができる。ラベル8に熱を加えると、ラベルは収縮し、ハウジング2およびカートリッジホルダ3の外輪郭に適用する。こうして、ラベル8は、ハウジング2およびカートリッジホルダ3の上にしっかりと適合する。加えて、ラベル8はさらに、接着剤によってハウジング2およびカートリッジホルダ3に固定することができる。ラベル8がハウジング2およびカートリッジホルダ3を少なくとも部分的に覆う場合、ハウジング2からカートリッジホルダ3を強制的に取り外すまたは壊す前に、ラベル8を除去する必要がある。
【0049】
熱収縮性ラベル8は、デバイスの所期の使用のために使い捨て注射デバイス1上でラベル8を維持するのに十分に強く耐久性のある材料から作られる。適当な材料としては、これらに限定されないが、PETまたはOPPが挙げられる。熱収縮性ラベル8は、化学光の透過を阻止する材料からなってよく、および/または化学光の透過を阻止する層を備えてもよい。熱収縮性ラベル8は、印刷および/またはラッカー塗装できる材料の単一層からなることが好ましい。別法として、熱収縮性ラベル8は、材料のいくつかの層を含んでもよい。
【0050】
図3に示される例示的な実施形態では、目盛9は、透明ラベル8を通して見えるようにラベル8の内面に印刷される。さらに、透明ラベル8によって、ハウジング2の窓またはアパーチャ6を通して見える用量数字を使用者が読むことが可能になる。加えて、または別法として、たとえば薬剤についての、さらなる情報および/または記号をラベル8の内面に印刷してもよい。さらに、ラベル8の外面は、少なくとも部分的にラッカー塗料することができる。ラベル8の遠位端近くおよび近位端近くにはそれぞれミシン目の形態の弱化線10が設けられる。
【0051】
図3に示される例示的な実施形態では、ラベル8は、注射デバイス1上で熱収縮されると、ハウジング2とカートリッジホルダ3だけでなく、用量設定部材5とねじ付インターフェース7もさらに覆うのに適した長さを有する。こうして、ラベル8は、ねじ付インターフェース7を覆う第1のキャップ部分11、および用量設定部材5を覆う第2のキャップ部分12を形成する。それぞれの弱化線10は、ラベル8の残り部分からのキャップ部分11、12の分離および除去を可能にするように設計される。換言すると、ラベル8はさらに、注射デバイス1についての不正開封明示クロージャを形成する。
【0052】
図3の実施形態は、2つの弱化線10がラベル8のそれぞれのキャップ部分に対して形成されるとして説明してきたが、代替実施形態は、単一の弱化線10だけを含んでもよく、または弱化線10がなくてもよい。
【0053】
図3に示されないが、熱収縮性ラベル8は、使い捨て注射デバイス1内および/または上に構成要素部材を位置させる、固定する、および/または維持することに使用することができる。特に、熱収縮性ラベル8は、ハウジング2またはカートリッジホルダ3上に、たとえば温度感知ストリップである電子構成要素部材を維持することに使用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 注射デバイス
2 ハウジング
3 カートリッジホルダ
4 キャップ
5 用量設定部材
6 窓
7 インターフェース
8 熱収縮性ラベル
9 目盛
10 弱化線
11 第1のキャップ部分
12 第2のキャップ部分