(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】ポリマー、これを含む感光性樹脂組成物、そしてこれを用いた感光性樹脂膜、カラーフィルタおよびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
C09B 69/10 20060101AFI20240906BHJP
C08G 73/02 20060101ALI20240906BHJP
C09B 67/44 20060101ALI20240906BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240906BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240906BHJP
G03F 7/032 20060101ALI20240906BHJP
C09B 11/28 20060101ALN20240906BHJP
【FI】
C09B69/10 B
C08G73/02
C09B67/44 A
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/032
C09B11/28 C
(21)【出願番号】P 2022538789
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 KR2020018998
(87)【国際公開番号】W WO2021133059
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0173505
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0181294
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,イェジ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,イソ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ジヒュン
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-032754(JP,A)
【文献】特開2015-057487(JP,A)
【文献】特表2018-523007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 69/10
C08G 73/02
C09B 67/44
G02B 5/20
G03F 7/004
G03F 7/032
C09B 11/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記
化学式2A~化学式2Dおよび化学式2-3のうちのいずれか一つで表されるポリマー:
【化1】
【化2】
上記化学式2A~2Dおよび化学式2-3中、
R
9
およびR
10
は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換のアクリレート基であり、
n1は、1~10の整数であり、
n3は、1~20の整数であり、
n4およびn5は、それぞれ独立して、1~10の整数であるが、但し2≦n4+n5≦20であり、
X
5
~X
7
はそれぞれ独立して水素、SO
3
-
A
+
、またはSO
2
NHR
3
であるが、X
5
およびX
6
は互いに異なり、
前記A
+
は、1価金属陽イオンまたは下記化学式3で表される化合物であり、
前記R
3
は、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
【化3】
上記化学式3中、
R
4~R
7はそれぞれ独立して、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【請求項2】
前記ポリマーは、下記化学式2-1~2-6のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載のポリマー:
【化4】
【化5】
上記化学式2-1~化学式2-6中、
B
+は、[CH
3(CH
2)
11]
2N
+(CH
3)
2であり、
R
11は、2-ヒドロキシプロピル基(2-hydroxypropyl group)であり、
n3は、1~20の整数であり、
n4およびn5はそれぞれ独立して1~10の整数であるが、但し2≦n4+n5≦20である。
【請求項3】
前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)は1,000g/mol~15,000g/molである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
前記ポリマーは、500nm~600nmの波長範囲で最大吸光度を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
赤色染料含有着色剤を含み、
前記赤色染料は請求項1~
4のうちのいずれか一項のポリマーを含む、感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含む、請求項
5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂、またはこれらの組み合わせを含む、請求項
6に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記着色剤は顔料をさらに含む、請求項
5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物総量に対して、
前記着色剤1重量%~50重量%;
前記バインダー樹脂1重量%~30重量%;
前記光重合性単量体1重量%~15重量%;
前記光重合開始剤0.01重量%~10重量%および
前記溶媒残部量
を含む、請求項
6に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むシラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項
6に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項
5の感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜。
【請求項12】
請求項
11の感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ。
【請求項13】
請求項
12のカラーフィルタを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、ポリマー、これを含む感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置の一つである液晶ディスプレイ装置は軽量化、薄型化、低価、低消費電力駆動化および優れた集積回路との接合性などの長所を有していて、ノートパソコン、モニターおよびTV画像用にその使用範囲が拡大されている。このような液晶ディスプレイ装置は、遮光層、カラーフィルタおよびITO画素電極が形成された下部基板と、液晶層、薄膜トランジスタ、蓄電キャパシタ層から構成された能動回路部とITO画素電極が形成された上部基板を含んで構成される。カラーフィルタは、画素の間の境界部を遮光するために透明基板上に定められたパターンで形成された遮光層およびそれぞれの画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B))の三原色を定められた順に配列した画素部が順次に積層された構造をとっている。
【0003】
前記カラーフィルタは撮像素子、液晶ディスプレイ装置(LCD)、電界放出ディスプレイ(FED)および発光ディスプレイ(LED)などに広く用いられるものであって、その応用範囲が急速に拡大されている。特に最近は軽量、低電力、低い駆動電圧などの長所を有する液晶ディスプレイ装置に対する用途がさらに多様化しており、これにより液晶ディスプレイ装置の色調を再現することにおいてカラーフィルタは最も重要な部品の一つとして認識されている。
【0004】
ディスプレイ産業の特性上、高色再現率、高解像度、明確な明暗比などが要求されるにつれて液晶ディスプレイ装置の核心部品中でもカラーフィルタの重要性が強調されている。現在カラーフィルタに使用される顔料は耐熱性、耐光性、耐化学性などの特性は優れるが、溶解度が良くなくて顔料を分散させて粒子状態で使用するため、色の対比が良くなく明暗が鮮明でなくてディスプレイの色感が良くない短所がある。このような短所によって顔料の代わりに染料使用の必要性が高まっている。染料は顔料に比べて溶解性が良く高色再現に有利である。
【0005】
一方、染料がカラーフィルタに使用されるためには、波長、吸光度、透過度、耐熱性、耐光性、および耐化学性などの条件が適切でなければならない。赤色染料のうちのキサンテン(Xanthene)系化合物は吸光係数が大きくて着色に有利であり耐久性も優れるので赤色染料としてよく使用される。
【0006】
しかし、まだキサンテン系化合物を赤色染料として用いても、他染料に対比して高輝度および高耐久性の特性が満足するほどの水準に達することができなかったためキサンテン系化合物を改質してより優れた輝度および耐久性を達成しようとする試みが続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態は、染料として使用可能な共重合ポリマー化合物を提供するためのものである。
【0008】
他の一実施形態は、前記染料共重合ポリマーを含む感光性樹脂組成物を提供するためのものである。
【0009】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供するためのものである。
【0010】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成膜を含むカラーフィルタを提供するためのものである。
【0011】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態は、下記化学式1で表される構造単位を含むポリマーを提供する。
【0013】
【0014】
上記化学式1中、
R1およびR2はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン基、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
n1は、1~10の整数である。
【0015】
前記R1およびR2のうちの少なくとも一つは、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0016】
前記R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0017】
前記ポリマーは、前記化学式1で表される構造単位を2以上含むことができる。
【0018】
前記ポリマーは、下記化学式2で表される構造単位を含むことができる。
【0019】
【0020】
上記化学式2中、
X1およびX2はそれぞれ独立して、水素、SO3
-A+、またはSO2NHR3であり、
前記R3は、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
前記A+は、1価金属陽イオンまたは下記化学式3で表される化合物であり、
n1は、1~10の整数である。
【0021】
【0022】
上記化学式3中、
R4~R7はそれぞれ独立して、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0023】
前記ポリマーは、末端に下記化学式4で表される官能基を含むことができる。
【0024】
【0025】
上記化学式4中、
R8は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換のアクリレート基であり、
n2は、1~10の整数である。
【0026】
前記ポリマーの両末端のうちの一つは下記化学式5で表すことができる。
【0027】
【0028】
上記化学式5中、
X3およびX4はそれぞれ独立して、水素、SO3
-A+、またはSO2NHR3であり、
前記A+は、1価金属陽イオンまたは下記化学式3で表される化合物であり、
前記R3は、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R8は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換のアクリレート基であり、
n2は、1~10の整数であり、
【0029】
【0030】
上記化学式3中、
R4~R7はそれぞれ独立して、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0031】
前記ポリマーは、下記化学式2A~化学式2Dのうちのいずれか一つで表すことができる。
【0032】
【0033】
上記化学式2A~2D中、
R9およびR10はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換のアクリレート基であり、
n1は、1~10の整数であり、
n3は、1~20の整数であり、
n4およびn5はそれぞれ独立して1~10の整数であるが、但し2≦n4+n5≦20であり、
X5~X7はそれぞれ独立して水素、SO3
-A+、またはSO2NHR3であるが、X5およびX6は互いに異なり、
前記A+は、1価金属陽イオンまたは前記化学式3で表される化合物であり、
前記R3は、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0034】
前記ポリマーは、下記化学式2-1~2-6のうちのいずれか一つで表すことができる。
【0035】
【0036】
【0037】
上記化学式2-1~化学式2-6中、
B+は、[CH3(CH2)11]2N+(CH3)2であり、
R11は、2-ヒドロキシプロピル基(2-hydroxypropyl group)であり、
n3は、1~20の整数であり、
n4およびn5はそれぞれ独立して1~10の整数であるが、但し2≦n4+n5≦20である。
【0038】
前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)は1,000g/mol~15,000g/molであってもよい。
【0039】
前記ポリマーは、500nm~600nmの波長範囲で最大吸光度を有することができる。
【0040】
他の一実施形態は、赤色染料含有着色剤を含み、前記赤色染料は前記ポリマーを含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0041】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含むことができる。
【0042】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0043】
前記感光性樹脂組成物は、着色剤として顔料をさらに含むことができる。
【0044】
前記感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物総量に対して、前記着色剤1重量%~50重量%、前記バインダー樹脂1重量%~30重量%、前記光重合性単量体1重量%~15重量%、前記光重合開始剤0.01重量%~10重量%および前記溶媒残部量を含むことができる。
【0045】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むシラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0046】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0047】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を含むカラーフィルタを提供する。
【0048】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0049】
その他本発明の側面の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0050】
一実施形態によるポリマーは、有機溶媒に対する溶解度に優れ、蛍光制御力および分光整合性に優れて、前記化合物を含む着色剤を構成要素として含む感光性樹脂組成物を用いて、輝度、耐熱性、耐化学性などに優れたカラーフィルタを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0052】
本明細書で特別な言及がない限り、“置換”乃至“置換された”とは、本発明の官能基中の一つ以上の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(NH2、NH(R200)またはN(R201)(R202)であり、ここでR200、R201およびR202は同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式有機基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されたことを意味する。
【0053】
本明細書で特別な言及がない限り、“アルキル基”とは炭素数1~20のアルキル基を意味し、具体的には炭素数1~15のアルキル基を意味し、“シクロアルキル基”とは炭素数3~20のシクロアルキル基を意味し、具体的には炭素数3~18のシクロアルキル基を意味し、“アルコキシ基”とは炭素数1~20のアルコキシ基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルコキシ基を意味し、“アリール基”とは炭素数6~20のアリール基を意味し、具体的には炭素数6~18のアリール基を意味し、“アルケニル基”とは炭素数2~20のアルケニル基を意味し、具体的には炭素数2~18のアルケニル基を意味し、“アルキレン基”とは炭素数1~20のアルキレン基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルキレン基を意味し“アリーレン基”とは炭素数6~20のアリーレン基を意味し、具体的には炭素数6~16のアリーレン基を意味する。
【0054】
本明細書で特別な言及がない限り、“(メタ)アクリレート”は“アクリレート”と“メタクリレート”の両方とも可能であるのを意味し、“(メタ)アクリル酸”は“アクリル酸”と“メタクリル酸”の両方とも可能であるのを意味する。
【0055】
本明細書で別途の定義がない限り、“組み合わせ”とは、混合または共重合を意味する。また、“共重合”とはブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、“共重合体”とはブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0056】
本明細書内化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は前記位置に水素原子が結合されているのを意味する。
【0057】
本明細書で別途の定義がない限り、“*”は同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0058】
一実施形態は、下記化学式1で表される構造単位を含むポリマーを提供する。
【0059】
【0060】
上記化学式1中、
R1およびR2はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン基、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
n1は、1~10の整数である。
【0061】
前記*は、他の原子と連結される地点を意味する。
【0062】
顔料型感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルタでは顔料粒子大きさから始まる輝度と明暗比の限界が存在する。また、イメージセンサー用カラー撮像素子の場合には微細なパターン形成のためにさらに小さな分散粒度を要求するようになる。このような要求に応じようと顔料の代わりに粒子を成さない染料を導入して染料に適した感光性樹脂組成物を製造して輝度と明暗比が改善されたカラーフィルタを実現しようとする試みが続いている。
【0063】
一般に、キサンテン系化合物は電荷が分離されて、これを含む感光性樹脂組成物はPGMEAなどの有機溶媒に対する溶解度が低く、耐熱性および耐化学性などの耐久性が劣って、感光性樹脂組成物内着色剤として使用するのに限界があった。
【0064】
しかし、一実施形態による化合物、即ち、前記化学式1で表される構造単位を含むポリマーは有機溶媒に対する溶解度を改善することができ、さらに前記構造単位が重合された形態のポリマー構造を有することによって単量体形態の化合物より蛍光制御力および分光整合性に優れ、また、前記化合物を含む感光性樹脂組成物を用いて輝度および明暗比がさらに改善されたカラーフィルタを製造することができる。
【0065】
前記R1およびR2は置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよく、例えば、炭素数6~18のアリール基、炭素数6~14のアリール基、炭素数6~10のアリール基であってもよい。前記R1およびR2がフェニル基などのアリール基である場合、染料の耐久性が向上でき、これを含む感光性樹脂組成物から製造されたカラーフィルタはより高輝度および高明暗比を有することができる。
【0066】
前記R1およびR2のうちの少なくとも一つは、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。例えば、前記前記R1およびR2のうちの少なくとも一つは下記化学式Aで表される置換基であってもよい。
【0067】
【0068】
上記化学式A中、
Y1~Y4はそれぞれ独立して、水素または炭素数1~10のアルキル基であり、
Xは、SO3
-A+、またはSO2NHR3であり、
前記R3は、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
前記A+は、1価金属陽イオンまたは下記化学式3で表される化合物であり、
n1は、1~10の整数である;
【0069】
【0070】
上記化学式3中、
R4~R7はそれぞれ独立して、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0071】
ここで、前記R1およびR2はそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよく、例えば、前記R1およびR2両方とも前記化学式Aで表される置換基であってもよい。
【0072】
前記ポリマーは、前記化学式1で表される構造単位を2以上含むことができる。即ち、前記ポリマーは化学式1で表されながら、互いに異なる構造単位間の共重合から形成することができる。
【0073】
前記ポリマーは、下記化学式2で表される構造単位を含むポリマーであってもよい。
【0074】
【0075】
上記化学式2中、
X1およびX2はそれぞれ独立して、水素、SO3
-A+、またはSO2NHR3であり、
前記R3は、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
前記A+は、1価金属陽イオンまたは下記化学式3で表される化合物であり、
n1は、1~10の整数である。
【0076】
【0077】
上記化学式3中、
R4~R7はそれぞれ独立して、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0078】
前記1価金属陽イオンは例えば、Na+、K+などの1価金属陽イオンであってもよく、前記SO3
-と塩を成すことができる1価金属陽イオンであれば特に制限されない。
【0079】
前記R4~R7は、例えば、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、またはtert-ブチル基であってもよい。
【0080】
前記ポリマーは、末端に下記化学式4で表される官能基を含むことができる。
【0081】
【0082】
上記化学式4中、
R8は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換のアクリレート基であり、
n2は、1~10の整数である。
【0083】
前記R8は例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、またはtert-ブチル基などのアルキル基であってもよい。
【0084】
前記置換もしくは非置換のアクリレート基は例えば、下記化学式Eで表すことができる。
【0085】
【0086】
上記化学式E中
Raは、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
Rbは、単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0087】
前記R8が置換もしくは非置換のアクリレート基である場合、前記R8はメチル(メタ)アクリレート基、エチル(メタ)アクリレート基、ブチル(メタ)アクリレート基、プロピル(メタ)アクリレート基、ヘキシル(メタ)アクリレート基、へプチル(メタ)アクリレート基、オクチル(メタ)アクリレート基などのアクリレート基であってもよい。
【0088】
前記ポリマーが末端に前記化学式4で表される官能基を含むことによって前記ポリマーを含む感光性樹脂組成物の吸光特性が向上できる。例えば、ポリマーの末端がエチル基などのアルキル基である場合、吸光特性を大きく向上させることができる。
【0089】
前記ポリマーの両末端のうちの一つは、下記化学式5で表すことができる。
【0090】
【0091】
上記化学式5中、
X3およびX4はそれぞれ独立して、水素、SO3
-A+、またはSO2NHR3であり、
前記A+は、1価金属陽イオンまたは下記化学式3で表される化合物であり、
前記R3は、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R8は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換のアクリレート基であり、
n2は、1~10の整数である。
【0092】
【0093】
上記化学式3中、
R4~R7はそれぞれ独立して、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0094】
前記1価金属陽イオンは例えば、Na+、K+などの1価金属陽イオンであってもよく、前記SO3
-と塩を成すことができる1価金属陽イオンであれば特に制限されない。
【0095】
前記R4~R7は、例えば、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、またはtert-ブチル基であってもよい。
【0096】
前記R8は例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、またはtert-ブチル基などのアルキル基であってもよい。
【0097】
前記R8は例えば、メチル(メタ)アクリレート基、エチル(メタ)アクリレート基、ブチル(メタ)アクリレート基、プロピル(メタ)アクリレート基、ヘキシル(メタ)アクリレート基、へプチル(メタ)アクリレート基、オクチル(メタ)アクリレート基などのアクリレート基であってもよい。
【0098】
前記ポリマーは、下記化学式2A~化学式2Dのうちのいずれか一つで表すことができる。
【0099】
【0100】
上記化学式2A~2D中、
R9およびR10はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換のアクリレート基であり、
n1は、1~10の整数であり、
n3は、1~20の整数であり、
n4およびn5はそれぞれ独立して1~10の整数であるが、但し2≦n4+n5≦20であり、
X5~X7はそれぞれ独立して水素、SO3
-A+、またはSO2NHR3であるが、X5およびX6は互いに異なり、
前記A+は、1価金属陽イオンまたは前記化学式3で表される化合物であり、
前記R3は、水素または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0101】
即ち、X5およびX6が互いに異なる置換基となることによって、前記ポリマーは互いに異なる2以上の単量体を含むことができる。
【0102】
前記ポリマーは下記化学式2-1~2-9のうちのいずれか一つで表されるポリマーであってもよいが、これに限定されるのではない。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
上記化学式2-1~化学式2-9中、
B+は、[CH3(CH2)11]2N+(CH3)2であり、
R11は、2-ヒドロキシプロピル基(2-hydroxypropyl group)であり、
n3は、1~20の整数であり、
n4およびn5はそれぞれ独立して1~10の整数であるが、但し2≦n4+n5≦20である。
【0107】
前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)は1,000g/mol~15,000g/mol、例えば、1,000g/mol~14,000g/mol、例えば、1,000g/mol~13,000g/mol、例えば、1,000g/mol~12,000g/mol、例えば、1,000g/mol~11,000g/mol、例えば、1,000g/mol~10,000g/mol、例えば、1,000g/mol~9,000g/mol、例えば、1,000g/mol~8,000g/mol、例えば、1,000g/mol~7,000g/mol、例えば、1,000g/mol~6,000g/mol、例えば、1,000g/mol~5,000g/mol、例えば、1,000g/mol~4,000g/mol、例えば、2,000g/mol~15,000g/mol、例えば、3,000g/mol~15,000g/mol、例えば、4,000g/mol~15,000g/mol、例えば、5,000g/mol~6,000g/mol、例えば、7,000g/mol~15,000g/mol、例えば、8,000g/mol~15,000g/molであってもよく、これらに制限されない。前記ポリマーの重量平均分子量が前記範囲を逸脱する場合、溶媒に対する溶解度が低くなることがある。また、前記ポリマーが前記範囲の重量平均分子量(Mw)値を有する場合、これを含む感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタの輝度が向上できる。さらに、前記ポリマーが前記範囲の重量平均分子量値を有しながら同時にブチレン連結基を有する場合、赤色輝度に関連して580nm波長のピークの強度(intensity)が増加して、輝度をさらに向上させることができる。
【0108】
一実施形態によるポリマーは前記化学式1で表される構造単位を含むことによって、少量でもより鮮明な色の発現が可能で、着色剤として使用時、輝度や明暗比などの色特性に優れたディスプレイ素子の製造が可能である。例えば、前記化学式1で表される染料化合物は500nm~600nmの波長範囲で最大吸光度(λmax)を有することができる。
【0109】
一般に、染料はカラーフィルタ内に使用される構成成分のうちの最も高価の構成成分である。したがって、所望の効果、例えば、高輝度や高明暗比などを達成するためには高価の染料をさらに多く使用しなければならないため生産単価が上昇するしかなかった。しかし、前記一実施形態によるポリマーをカラーフィルタ内染料として使用する場合、少量でも高輝度、高明暗比などの優れた色特性を達成することができて生産単価の節減が可能である。
【0110】
他の一実施形態によれば、赤色染料含有着色剤を含み、前記赤色染料は一実施形態によるポリマーを含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0111】
前記一実施形態によるポリマーは、感光性樹脂組成物内で赤色染料(着色剤)としての役割を果たして、優れた色特性を発現することができる。
【0112】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含むことができる。即ち、前記感光性樹脂組成物は着色剤として一実施形態によるポリマーを含み、その他バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶媒を含むことができる。
【0113】
以下、前記成分について具体的に説明する。
【0114】
着色剤
前記感光性樹脂組成物は、前記ポリマーを赤色染料として含むこと以外に、顔料を着色剤としてさらに含むことができる。
【0115】
前記着色剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~45重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~35重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、1重量%~25重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば1重量%~15重量%、例えば1重量%~10重量%で含まれてもよく、これらに制限されない。前記範囲で一実施形態による着色剤が含まれる場合、色再現率および明暗比が優れるようになる。
【0116】
前記顔料は、青色顔料、バイオレット顔料、赤色顔料、緑色顔料、黄色顔料などを含むことができる。
【0117】
前記青色顔料の例としては、C.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料15、C.I.青色顔料15:1、C.I.青色顔料15:2、C.I.青色顔料15:3、C.I.青色顔料15:4、C.I.青色顔料15:5、C.I.青色顔料16、C.I.青色顔料22、C.I.青色顔料60、C.I.青色顔料64、C.I.青色顔料80またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0118】
前記バイオレット顔料の例としては、C.I.バイオレット顔料1、C.I.バイオレット顔料19、C.I.バイオレット顔料23、C.I.バイオレット顔料27、C.I.バイオレット顔料28、C.I.バイオレット顔料29、C.I.バイオレット顔料30、C.I.バイオレット顔料32、C.I.バイオレット顔料37、C.I.バイオレット顔料40、C.I.バイオレット顔料42、C.I.バイオレット顔料50またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0119】
前記赤色顔料の例としては、ペリレン系顔料、アントラキノン(anthraquinone)系顔料、アゾ系顔料、ジアゾ系顔料、キナクリドン(quinacridone)系顔料、アントラセン(anthracene)系顔料などが挙げられる。前記赤色系顔料の具体的な例としては、ペリレン顔料、キナクリドン(quinacridone)顔料、ナフトール(naphthol)AS、シコミン顔料、アントラキノン(anthraquinone)(sudanI、II、III、R)、ビスアゾ(visazo)、ベンゾピランなどが挙げられる。
【0120】
前記緑色顔料の例としては、C.I.顔料緑色58、C.I.顔料緑色59などのハロゲン化フタロシアニン系顔料などが挙げられる。
【0121】
前記黄色顔料の例としては、C.I.顔料黄色139、C.I.顔料黄色138、C.I.顔料黄色150などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0122】
前記顔料は、顔料分散液の形態で前記感光性樹脂組成物に含まれてもよい。
【0123】
前記顔料分散液は、固形分の顔料、溶剤、および前記溶剤内に前記顔料を均一に分散させるための分散剤を含むことができる。
【0124】
前記固形分の顔料は、顔料分散液総量に対して1重量%~20重量%、例えば8重量%~20重量%、例えば8重量%~15重量%、例えば10重量%~20重量%、例えば10重量%~15重量%で含まれてもよい。
【0125】
前記分散剤としては、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、陽イオン性分散剤などを使用することができる。前記分散剤の具体的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0126】
前記分散剤の市販される製品を例として挙げれば、BYK社のDISPERBYK-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など;EFKAケミカル社のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など;Zeneka社のSolsperse 5000、Solsperse 12000、Solsperse 13240、Solsperse 13940、Solsperse 17000、Solsperse 20000、Solsperse24000GR、Solsperse 27000、Solsperse 28000など;またはAjinomoto社のPB711、PB821などがある。
【0127】
前記分散剤は、顔料分散液総量に対して1重量%~20重量%で含まれてもよい。分散剤が前記範囲内に含まれる場合、適切な粘度を維持することができて感光性樹脂組成物の分散性に優れ、これによって製品適用時光学的、物理的および化学的品質を維持することができる。
【0128】
前記顔料分散液を形成する溶剤としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコール(モノ)メチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができる。
【0129】
バインダー樹脂
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂またはこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂であってもよい。
【0130】
前記アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0131】
前記第1エチレン性不飽和単量体は一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0132】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、前記アクリル系バインダー樹脂総量に対して、5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれてもよい。
【0133】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0134】
前記アクリル系バインダー樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0135】
前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量は、3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、前記感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ粘度が適切であり、カラーフィルタ製造時、基板との密着性に優れる。
【0136】
前記アクリル系バインダー樹脂の酸価は、15mgKOH/g~60mgKOH/g、例えば20mgKOH/g~50mgKOH/gであってもよい。アクリル系バインダー樹脂の酸価が前記範囲内である場合、ピクセルパターンの解像度が優れる。
【0137】
前記カルド系バインダー樹脂は、下記化学式6で表される繰り返し単位を含むことができる。
【0138】
【0139】
上記化学式6中、
R12およびR13はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基であり、
R14およびR15はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
Z1は単一結合、O、CO、SO2、CR16R17、SiR18R19(ここで、R16~R19はそれぞれ独立して水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である)または下記化学式6-1~化学式6-11で表される連結基のうちのいずれか一つであり、
【0140】
【0141】
(上記化学式6-5中、
Raは、水素原子、エチル基、C2H4Cl、C2H4OH、CH2CH=CH2またはフェニル基である。)
【0142】
【0143】
Z2は、酸二無水物残基であり、、
p1およびp2は、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【0144】
前記カルド系バインダー樹脂は、両末端のうちの少なくとも一つに下記化学式7で表される官能基を含むことができる。
【0145】
【0146】
上記化学式7中、
Z3は、下記化学式7-1~化学式7-7で表すことができる。
【0147】
【0148】
(上記化学式7-1中、 RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、エステル基またはエーテル基である。)
【0149】
【0150】
(上記化学式7-5中、RdはO、S、NH、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、炭素数1~20のアルキルアミン基または炭素数2~20のアルケニルアミン基である。)
【0151】
【0152】
前記カルド系バインダー樹脂は、例えば、9,9-ビス(4-オキシラニルメトキシフェニル)フルオレンなどのフルオレン含有化合物;ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフタル酸無水物などの無水物化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのアルコール化合物;プロピレングリコールメチルエチルアセテート、N-メチルピロリドンなどの溶媒類化合物;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;およびテトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ベンジルジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどのアミンまたはアンモニウム塩化合物のうちの二つ以上を混合して製造することができる。
【0153】
前記カルド系バインダー樹脂を前述のアクリル系バインダー樹脂と共に使用する場合、密着力に優れ、高解像度および高輝度特性を有する感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0154】
前記カルド系バインダー樹脂の重量平均分子量は、500g/mol~50,000g/mol、例えば3,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記カルド系バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、カラーフィルタ製造時、残渣なくパターン形成が良好に行われ、現像時、膜厚さの損失がなく、良好なパターンを得ることができる。
【0155】
前記カルド系バインダー樹脂は、100mgKOH/g~140mgKOH/gの酸価を有することができる。
【0156】
前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~30重量%、例えば、1重量%~25重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~7重量%、例えば、1重量%~5重量%で含まれてもよく、これらに制限されない。バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、カラーフィルタ製造時現像性に優れ架橋性が改善されて優れた表面平滑度を得ることができる。
【0157】
光重合性単量体
前記光重合性単量体は、少なくとも一つのエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0158】
光重合性単量体は、前記エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こすことによって耐熱性、耐光性および耐化学性に優れたパターンを形成することができる。
【0159】
光重合性単量体の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0160】
光重合性単量体の市販される製品を例として挙げれば次の通りである。前記(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-101(登録商標)、同M-111(登録商標)、同M-114(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-210(登録商標)、同M-240(登録商標)、同M-6200(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA(登録商標)、同HX-220(登録商標)、同R-604(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335HP(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-309(登録商標)、同M-400(登録商標)、同M-405(登録商標)、同M-450(登録商標)、同M-710(登録商標)、同M-8030(登録商標)、同M-8060(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA(登録商標)、同DPCA-20(登録商標)、同-30(登録商標)、同-60(登録商標)、同-120(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-295(登録商標)、同-300(登録商標)、同-360(登録商標)、同-GPT(登録商標)、同-3PA(登録商標)、同-400(登録商標)などが挙げられる。前記製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0161】
前記光重合性単量体は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0162】
前記光重合性単量体は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~7重量%、例えば、1重量%~5重量%で含まれてもよく、これらに制限されない。光重合性単量体が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時、硬化が十分に起こって信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れる。
【0163】
光重合開始剤
前記光重合開始剤は感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤であって、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0164】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0165】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0166】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0167】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0168】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0169】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0170】
前記光重合開始剤は、前記化合物以外にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0171】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起状態となったのち、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用されてもよい。
【0172】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0173】
前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して0.01重量%~10重量%、例えば、0.01重量%~9重量%、例えば、0.01重量%~7重量%、例えば、0.01重量%~5重量%、例えば、0.01重量%~3重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、3重量%~10重量%で含まれてもよく、これらに制限されない。光重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時、硬化が十分に起こって優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐化学性に優れ、解像度および密着性も優れ、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0174】
溶媒
前記溶媒は、一実施形態による(染料)化合物、前記顔料、前記バインダー樹脂、前記光重合性単量体および前記光重合開始剤との相溶性を有するが反応しない物質を使用することができる。
【0175】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類;2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0176】
これらのうち、良くは相溶性および反応性を考慮して、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類を使用することができる。
【0177】
前記溶媒は、前記感光性樹脂組成物総量に対して残部量、例えば、40重量%~90重量%で含まれてもよい。溶媒が前記範囲内に含まれる場合、前記感光性樹脂組成物が適切な粘度を有することによってカラーフィルタ製造時工程性に優れる。
【0178】
その他の添加剤
前記感光性樹脂組成物は、塗布時、染みや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;ラジカル重合開始剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0179】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0180】
前記シラン系カップリング剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部で含まれてもよい。シラン系カップリング剤が前記範囲内に含まれる場合、密着性、貯蔵性などに優れる。
【0181】
前記感光性樹脂組成物は、基板との密着性などを改善するためにエポキシ化合物をさらに含むことができる。
【0182】
前記エポキシ化合物の例としては、フェノールノボラックエポキシ化合物、テトラメチルビフェニルエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0183】
前記エポキシ化合物は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~20重量部、例えば0.1重量部~10重量部で含まれてもよい。エポキシ化合物が前記範囲内に含まれる場合、密着性、貯蔵性などに優れる。
【0184】
また、前記感光性樹脂組成物は必要によって、コーティング性向上および欠点生成防止効果のために界面活性剤をさらに含むことができる。
【0185】
前記界面活性剤としてはフッ素系界面活性剤を使用することができ、前記フッ素系界面活性剤の例としてはDIC社製のF-482、F-484、F-478、F-554などがあり、これに限定されるのではない。
【0186】
前記界面活性剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.001重量部~5重量部で使用することができる。界面活性剤が前記範囲内に含まれる場合、コーティング均一性が確保され、染みが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れる。
【0187】
また、前記感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤、安定剤などのその他の添加剤が一定量添加されてもよい。
【0188】
また他の一実施形態によれば、前記一実施形態による感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0189】
また他の一実施形態によれば、前記一実施形態による感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0190】
前記カラーフィルタ内パターン形成工程は次の通りである。
【0191】
前記感光性樹脂組成物を支持基板上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェットプリンティングなどで塗布する工程;前記塗布された感光性樹脂組成物を乾燥して感光性樹脂組成物膜を形成する工程;前記感光性樹脂組成物膜を露光する工程;前記露光された感光性樹脂組成物膜をアルカリ水溶液で現像して感光性樹脂膜を製造する工程;および前記感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含む。前記工程上の条件などについては当該分野で広く知られた事項であるので、本明細書で詳しい説明は省略する。
【0192】
また他の一実施形態によれば、前記一実施形態によるカラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。前記ディスプレイ装置は例えば、液晶表示装置(LCD)であってもよい。
【0193】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。但し、下記の実施例は本発明の好ましい一実施形態に過ぎず、本発明が下記実施例によって限定されるのではない。
【実施例】
【0194】
合成例:ポリマーの合成
合成例1:化学式2-1で表されるポリマーの合成
【0195】
【0196】
Acid red 289(1mol)、Dilauryldimethylammonium Bromide(1.5mol)をH2Oに入れて70℃で加熱して24時間攪拌した後、常温で冷ました後、MCで有機層を抽出して中間体を得た。この中間体(1mol)と1,2-Diiodoethane(1mol)、K2CO3(10mol)をNMP(N-methylpyrrolidone)に入れて100℃で加熱して24時間攪拌した後、混合物状態でiodoethaneを入れてquenchingした。この溶液にmethylene chlorideを入れ、水で2回洗浄して有機層を抽出した。抽出した有機層を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製およびHexaneで固形化(solidify)して下記化学式2-1で表されるポリマーを合成した。
【0197】
【0198】
合成例2:化学式2-2で表されるポリマーの合成
【0199】
【0200】
前記合成例1の反応でlinker chainを1,2-Diiodoethaneの代わりに1,4-Diiodobutaneを使用したことを除いて、前記合成例1と同様に行って、下記化学式2-2で表されるポリマー(GPC MS:5,003m/z)を合成した。
【0201】
合成例3:化学式2-3で表されるポリマーの合成
【0202】
【0203】
3’,6’-Dichlorospiro[3H-2,1-benzoxathiol-3,9’-[9H]xanthene]-1,1-dioxide(1mol)、2,6-dimethylaniline(2mol)、ZnCl2(1.7mol)をDMFに入れて常温で24時間攪拌した。この溶液にmethylene chlorideを入れ、水で2回洗浄して有機層を抽出した。抽出した有機層を減圧蒸留し、Hexaneで固形化(solidify)して中間体1(intermediate 1)を得た。その後、前記合成例1でAcid red 289を中間体1(intermediate 1)に換えて同様に行って下記化学式2-3で表されるポリマーを合成した。
【0204】
合成例4:化学式2-4で表されるポリマーの合成
前記合成例1の反応で中間体反応を省略し、Acid red 289とquenching materialであるiodoethaneの代わりにEthyl Methacrylateを使用したことを除いて、前記合成例1と同様に行って、下記化学式2-4で表されるポリマー(GPC MS:6,705m/z)を合成した。
【0205】
【0206】
合成例5:化学式2-5で表されるポリマーの合成
前記合成例3の反応でquenching materialであるiodoethaneの代わりに2-Iodobutaneを使用したことを除いて、前記合成例3と同様に行って、下記化学式2-5で表されるポリマーを合成した。
【0207】
【0208】
合成例6:化学式2-6で表されるポリマーの合成
前記合成例2の反応でDilauryldimethylammonium Bromideの代わりに1-Bromo-2-propanolを使用したことを除いて、前記合成例2と同様に行って、下記化学式2-6で表されるポリマーを合成した。
【0209】
【0210】
上記化学式2-6中、
R11は、2-ヒドロキシプロピル基
【0211】
【0212】
である。
【0213】
合成例7:化学式2-7で表されるポリマーの合成
前記合成例2の反応で中間体反応を省略し、Acid red 289と化学式2-2の中間体のmixture状態でquenching materialであるiodoethaneの代わりに2-Iodobutaneを使用したことを除いて、前記合成例2と同様に行って、下記化学式2-7で表されるポリマー(n4およびn5は1:1の比率を有する)を合成した。
【0214】
【0215】
Maldi-tof MS:8,264m/z
合成例8:化学式2-8で表されるポリマーの合成
前記合成例1の反応でlinker chainを1,2-Diiodoethaneの代わりに1,6-Diiodohexaneを使用したことを除いて、前記合成例1と同様に行って、下記化学式2-8で表されるポリマーを合成した。
【0216】
【0217】
合成例9:化学式2-9で表されるポリマーの合成
前記合成例1の反応でlinker chainを1,2-Diiodoethaneの代わりに1,8-Diiodooctaneを使用したことを除いて、前記合成例1と同様に行って、ポリマー(Maldi-tof MS:8,264m/z)を合成した。
【0218】
比較合成例1:化合物Xの合成
【0219】
【0220】
化合物A(CAS No.77545-45-0)10gを反応器に投入し、2-プロパノール100gで溶解させる。ジエチルアミン7.2gを投入した後、80℃で8時間攪拌した。反応物を冷却し、800mLの水を投入して沈殿物を生成させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し、水で追加洗浄した。ろ過物を乾燥して前記化合物Xを9.9g(84%収率)得た。
【0221】
Maldi-tof MS:478.2m/z。
【0222】
比較合成例2:化合物Yの合成
【0223】
【0224】
Acid red 289(1mol)、Dilauryldimethylammonium Bromide(1.5mol)をH2Oに入れ、70℃で加熱して24時間攪拌した後、常温で冷ました後、MCで有機層を抽出して中間体を得た。この中間体(1mol)と1,12-Diiodododecane(1mol)、K2CO3(10mol)をNMP(N-methylpyrrolidone)に入れ、100℃で加熱して24時間攪拌した後、混合物状態でiodoethaneを入れてquenchingした。この溶液にmethylene chlorideを入れ、水で2回洗浄して有機層を抽出した。抽出した有機層を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィー(column
chromatography)で精製およびHexaneで固形化(solidify)して前記化合物Yで表されるポリマーを合成した。
【0225】
実施例:感光性樹脂組成物の合成
(実施例1~実施例9、比較例1および比較例2)
下記表1に記載された組成で、溶媒に光重合開始剤を入れ、1時間常温で攪拌して溶解させた。その次に、バインダー樹脂および光重合性単量体を添加し、1時間常温で攪拌した。ここに、その他の添加剤を添加して1時間常温で攪拌した。ここに、前記合成例1~合成例9、比較合成例1および比較合成例2で製造した化合物を(または赤色顔料と共に)添加して2時間常温で攪拌した後、前記溶液に対して3回にわたってろ過を行って不純物を除去し実施例1~実施例9、比較例1および比較例2による感光性樹脂組成物を製造した。前記感光性樹脂組成物の製造時使用された成分は以下の通りである。
【0226】
(A)バインダー樹脂
(A-1)アクリル系バインダー樹脂(RY-25、Showadenko社)
(A-2)アクリル系バインダー樹脂(CRG-1000S、SMS社)
(B)光重合性単量体
(B-1)DPHA(Nippon KAYAKU)
(B-2)ABPE-20(Shin-nakamura社)
(C)光重合開始剤
(C-1)SPI-03(三養社)
(C-2)OXE-01(Basf社)
(D)着色剤
(D-1)合成例1によるポリマー
(D-2)合成例2によるポリマー
(D-3)合成例3によるポリマー
(D-4)合成例4によるポリマー
(D-5)合成例5によるポリマー
(D-6)合成例6によるポリマー
(D-7)合成例7によるポリマー
(D-8)合成例8によるポリマー
(D-9)合成例9によるポリマー
(D-10)比較合成例1による単量体
(D-11)比較合成例2による単量体
(D-12)C.I.pigment red 254(SANYO社)
(E)溶媒
プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(PGMEA、sigma-aldrich社)
(F)その他の添加剤
フッ素系界面活性剤(F-554、DIC社)
【0227】
【0228】
評価1:ベーキング前/後色変化評価
前記実施例1~実施例9、比較例1および比較例2で製造された感光性樹脂組成物を用いて製造したカラーフィルタ試片の色特性を230℃の熱風循環式オーブン(convection oven)で20分間3回にわたって追加的にベーキング(baking)してベーキング前/後の色変化を分光光度計(Otsuka Electronics社のMCPD3000)を使用して測定し、その結果を下記表2に示した。
【0229】
評価2:輝度特性評価
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に1μm~3μmの厚さで前記実施例1~実施例9、比較例1および比較例2で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。続いて、塗膜に365nmの主波長を有する高圧水銀ランプを使用して50mJ/cm2の条件で全面露光した。その後、230℃の熱風循環式乾燥炉中で20分間乾燥させて同一な厚さのサンプルを得た。画素層は分光光度計(MCPD3000、Otsuka electronic社)を用いて輝度を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0230】
評価3:耐化学性評価
前記実施例1~実施例9、比較例1および比較例2で製造された感光性樹脂組成物を用いて製造したカラーフィルタ試片のパターンを90℃のNMP溶液に10分間浸漬してPI溶液耐化学性を評価した。耐化学性は、NMP溶液の浸漬前後のカラーフィルタパターンの色変化および剥離液浸漬後のカラーフィルタパターンの剥離有無で評価した。カラーフィルタパターンの色特性変化は分光光度計(Otsuka Electronics社のMCPD3000)を使用して測定し、カラーフィルタパターンの剥離有無は光学顕微鏡で評価した。評価結果を下記表2に示した。
【0231】
評価4:耐熱性評価
前記実施例1~実施例9、比較例1および比較例2で製造された感光性樹脂組成物に溶解された染料をTGA(Discovery社)耐熱性測定器具を用いて耐熱性を評価した。空気条件で昇温速度は5℃/minとし、30℃から400℃まで温度区間を設定して実験を行った。評価結果を下記表2に示した。
【0232】
評価5:蛍光制御評価
前記実施例1~実施例9、比較例1および比較例2の染料を溶媒にdilutionした。この時、濃度はUV-visで0.02A.U未満とする。その後、溶液用積分半球測定装備を用いて蛍光特性を評価した。
【0233】
評価項目は、QY(Quantum Yield)、FWHM(Full Width
at Half Maximum)、Fluorescence intensity、λ_emission、その他の表面異常およびprocess別外観上issueなどである。QYは入射された光に対する放出された光の比率を示す指標であって、蛍光がどれくらい出るか知らせる指標である。FWHMは光の放出スペクトル上最大強さの半分値に該当する部分の二つの波長値が示す幅を読む項目であり、半値幅とも言い、狭いほど良い。Fluorescence intensityは放出スペクトルでy軸に該当する値であって、蛍光の強さを示し、QYにAbs(吸光度)をかけた厚さ補正値を勘案した値で判断する。
【0234】
【0235】
上記表2を通じて、一実施形態によるポリマー(赤色染料)を含む実施例1~実施例9の感光性樹脂組成物は、前記ポリマーを含まない比較例1および比較例2と比較して、輝度などの色特性だけでなく、耐熱性、耐化学性および蛍光制御特性も優れるのを確認することができる。
【0236】
上記において、本発明の特定の実施例が説明され図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるのではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せず多様に修正および変形できるのはこの技術の分野における通常の知識を有する者に自明なことである。したがって、そのような修正例または変形例は本発明の技術的な思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は本発明の特許請求の範囲に属すると言わなければならないはずである。