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特許7550872化合物、それを含む反射防止フィルムおよびディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】化合物、それを含む反射防止フィルムおよびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C09B 47/24 20060101AFI20240906BHJP
   G02B 1/111 20150101ALI20240906BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240906BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C09B47/24 CSP
G02B1/111
G02B5/20
G02B5/20 101
G02B5/22
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022558180
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 KR2021003024
(87)【国際公開番号】W WO2021215659
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0050228
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,キュヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン,スンウン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ユンチョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ユン スン
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-149494(JP,A)
【文献】特開2001-131453(JP,A)
【文献】特開2016-066020(JP,A)
【文献】特開2016-110979(JP,A)
【文献】SOLOV'EVA, L. I. et al.,Phthalocyanine and related compounds XX. Alkyl amides of isomeric phthalocyaninetetra- and -octasulfonic acids,Zhurnal Obshchei Khimii,1982年,Vol.52, No.1,pp.90-101
【文献】YAHYA, Hazim K. et al.,Synthesis of some cobalt phthalocyanine-3,3',3'',3'''-tetrasulfonamides and spectroscopic studies of their application to cellulosic fibers,Journal of the Society of Dyers and Colourists,1988年,Vol.104, No.11,pp.432-434
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 47/24
G02B 1/111
G02B 5/20
G02B 5/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式3で表される化合物を含む、反射防止フィルム:
【化1】

化学式3において、
MはCuであり、
~nはそれぞれ独立して0または1の整数であり、
1または2であり、
ただし、n+n+n+n≠0である。
【請求項2】
前記化合物は下記化学式4~化学式14および化学式17のいずれか一つで表される化合物を含む、請求項1に記載の反射防止フィルム:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】
【請求項3】
前記化合物は赤色吸収染料である、請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
【請求項4】
前記染料は650nm~750nmの波長で最大吸収ピークを有する、請求項3に記載の反射防止フィルム。
【請求項5】
前記反射防止フィルムは粘着層および前記粘着層上に形成された反射防止層を含み、
前記化合物は前記粘着層に含まれる、請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
【請求項6】
前記反射防止フィルムは粘着層、染料含有層および前記染料含有層上に形成された反射防止層を含み、
前記化合物は前記染料含有層に含まれる、請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
【請求項7】
請求項1による反射防止フィルムを含む、ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記ディスプレイ装置は量子ドット含有層をさらに含む、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記ディスプレイ装置は光源、カラーフィルタおよび基材をさらに含む、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記ディスプレイ装置は、
前記光源上に前記量子ドット含有層が位置し、
前記量子ドット含有層上に前記カラーフィルタが位置し、
前記カラーフィルタ上に前記基材が位置し、
前記基材上に前記反射防止フィルムが位置する、請求項9に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記基材はガラス基材を含む、請求項9または10に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は化合物、それを含む反射防止フィルムおよび前記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の液晶ディスプレイ(LCD)では白色光源から出る光が各画素のRGBカラーフィルタを透過して各色の部分画素をなし、それを組み合わせることによってRGB範囲の色を出すことができる。
【0003】
近ごろ、各部分画素の色を発光する量子ドットや有機/無機燐光体のような発光体を使用する新規ディスプレイが開発されており、これらの青色、緑色、赤色の発光体を励起させる方法としてはUV光源を使用する方式と青色光源を使用する方式などが提起されている。
【0004】
UV光源を使用する場合は青色、緑色、赤色の発光体で各色を生成して実現するが、青色光源を使用する場合は緑色、赤色は発光体で各色を生成し、青色画素は光源をそのまま透過させる。
【0005】
最近、商品化されるか開発中の量子ドット含有ディスプレイ素材の場合、Blue光源またはWhite光源による緑色量子ドットおよび赤色量子ドットの発光を用いている。量子ドット含有ディスプレイ装置は、量子ドット素材を用いて色再現率および輝度を向上させようとするものであり、多様な方式の光源を用いた量子ドット発光を用いるパネルに対する開発が続けられている。また、パネルの構成中の量子ドット素材の適用位置によって視野角の改善も可能である。次世代量子ドットディスプレイ装置は、量子ドットの発光効率を増進させるために光源の強度を高めようとする方向またはBlue領域が拡張された光源開発の方向に開発が進められている。
【0006】
量子ドットディスプレイ装置は、量子ドット素材に到達する光源のスペクトルが量子ドットの効率に非常に密接な影響を及ぼし、現在の光源種類によってその特性が異なるので、各光源別の量子ドットの効率改善のために新たなアプローチを取り入れるために多方面での努力が続けられている。
【0007】
一方、発光体を使用した新規ディスプレイの場合、外光による反射率を下げるか散乱反射によるパネル色感を調整する必要がある。これを解決するためにパネルを構成する光学部材内に染料を使用しようとする試みがあったが、前記発光体として量子ドットを使用する場合、外光による反射率の低下やパネル色感調整が難しい問題があった。
【0008】
そのため、新規ディスプレイの場合、輝度損失の改善または色補正機能を追加した反射防止フィルムが導入されており、最近では反射防止フィルムの低反射特性を極大化するために特定の波長の光を吸収できる染料としてシアニン系染料やアゾ系染料を追加で適用しようとする試みが続いている。
【0009】
しかし、前記シアニン系染料やアゾ系染料は短波長領域の光吸収は可能であるが、耐光信頼性が低下する問題があり、反射防止フィルムに適用するのに困難性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、光源の赤色波長領域の光を吸収できる化合物を提供することにある。
【0011】
他の一実施形態は、前記化合物を含む反射防止フィルムを提供する。
【0012】
また他の一実施形態は、前記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置を提供する。
【0013】
本発明の他の目的は、色相補正の効果を高め、反射率を顕著に低下させることによって反射色感を改善して全体光透過率が高い光学部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態は下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0015】
【化1】
【0016】
前記化学式1において、
Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、水酸化金属原子または酸化金属原子であり、
~R16はそれぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換されたC1~C20アルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C20シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC6~C20アリール基、置換若しくは非置換されたC2~C20ヘテロアリール基、下記化学式2で表されるスルホニルアミド基、またはこれらの組み合わせであり、
~Rの少なくとも一つおよびR~R16の少なくとも一つは下記化学式2で表されるスルホニルアミド基である。
【0017】
【化2】
【0018】
前記化学式2において、
17およびR18はそれぞれ独立して水素、置換若しくは非置換されたC1~C20アルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C20シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC6~C20アリール基、または置換若しくは非置換されたC2~C20ヘテロアリール基であり、
17およびR18の少なくとも一つはC3~C20シクロアルキル基であり、
*は前記化学式1のベンゼン環に結合する部分を意味する。
【0019】
前記R17およびR18はそれぞれ独立して水素または置換若しくは非置換されたC3~C20シクロアルキル基であり、R17およびR18の少なくとも一つはC3~C20シクロアルキル基であり得る。
【0020】
前記MはCu、Co、Zn、V(=O)またはAgであり得る。
【0021】
前記R~Rの少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、前記R~Rの少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、前記R~R12の少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、前記R13~R16の少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり得る。
【0022】
前記R~Rの少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、残りは水素原子であり、前記R~Rの少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、残りは水素原子であり、前記R~R12の少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、残りは水素原子であり、前記R13~R16の少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、残りは水素原子であり得る。
【0023】
前記化合物は下記化学式3で表される化合物であり得る。
【0024】
【化3】
【0025】
化学式3において、
MはCu、Co、Zn、V(=O)またはAgであり、
~nはそれぞれ独立して0または1の整数であり、
は1~4の整数であり、
ただし、n+n+n+n≠0である。
【0026】
前記化合物は下記化学式4ないし化学式14のいずれか一つで表される化合物を含むことができる。
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
前記化合物は赤色吸収染料であり得る。
【0032】
前記染料は650nm~750nmの波長で最大吸収ピークを有し得る。
【0033】
他の一実施形態は前記化合物を含む反射防止フィルムを提供する。
【0034】
前記反射防止フィルムは粘着層および前記粘着層上に形成された反射防止層を含み、前記化合物は前記粘着層に含まれ得る。
【0035】
前記反射防止フィルムは粘着層、染料含有層および前記染料含有層上に形成された反射防止層を含み、前記化合物は前記染料含有層に含まれ得る。
【0036】
また他の一実施形態は前記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置を提供する。
【0037】
前記ディスプレイ装置は量子ドット含有層をさらに含み得る。
【0038】
前記ディスプレイ装置は量子ドット含有層、光源、カラーフィルタおよび基材をさらに含み得る。
【0039】
前記ディスプレイ装置は、前記光源上に前記量子ドット含有層が位置し、前記量子ドット含有層上に前記カラーフィルタが位置し、前記カラーフィルタ上に前記基材が位置し、前記基材上に前記反射防止フィルムが位置し得る。
【0040】
前記基材はガラス基材を含み得る。
【0041】
その他本発明の側面の具体的な内容は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0042】
一実施形態による化合物は、反射防止フィルムに含まれて近赤外線(650nm~750nm)領域の光源を吸収して非常に少量でも近赤外線領域の分光を遮断することができ、ディスプレイ装置の外光による反射率を低下させ、耐光信頼性を改善させるだけでなく、輝度損失の改善および色再現率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】それぞれ独立して一実施形態による反射防止フィルムを示す模式図である。
図2】それぞれ独立して一実施形態による反射防止フィルムを示す模式図である。
図3】それぞれ独立して一実施形態によるディスプレイ装置を示す模式図である。
図4】それぞれ独立して一実施形態によるディスプレイ装置を示す模式図である。
図5】合成例1および比較例2による染料の波長による光透過度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
[発明を実施するための最良の形態]
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇によってのみ定義される。
【0045】
本明細書で特に明記しない限り、「置換」とは化合物中の少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F、Cl,Br,I)、ヒドロキシ基、C1~C20アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸やその塩、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C6~C30アリール基、C3~C20シクロアルキル基、C3~C20シクロアルケニル基、C3~C20シクロアルキニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキル基、C2~C20ヘテロシクロアルケニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキニル基またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたものを意味する。
【0046】
本明細書で特に明記しない限り、「ヘテロシクロアルキル基」、「ヘテロシクロアルケニル基」、「ヘテロシクロアルキニル基」および「ヘテロシクロアルキレン基」とはそれぞれシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよびシクロアルキレンの環化合物内に少なくとも一つのN、O、SまたはPのヘテロ原子が存在するものを意味する。
【0047】
本明細書で特に明記しない限り、「組み合わせ」とは混合または共重合を意味する。
【0048】
本明細書内の化学式で別段の定義がない限り、化学結合が描かれるべき位置に化学結合が描かれていない場合は前記位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0049】
本明細書で特に明記しない限り、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」の両方とも可能であることを意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方とも可能であることを意味する。
【0050】
本明細書で特に明記しない限り、「アルキル基」とはC1~C20アルキル基を意味し、具体的にはC1~C15アルキル基を意味し、「シクロアルキル基」とはC3~C20シクロアルキル基を意味し、具体的にはC3~C18シクロアルキル基を意味し、「アルコキシ基」とはC1~C20アルコキシ基を意味し、具体的にはC1~C18アルコキシ基を意味し、「アリール基」とはC6~C20アリール基を意味し、具体的にはC6~C18アリール基を意味し、「アルケニル基」とはC2~C20アルケニル基を意味し、具体的にはC2~C18アルケニル基を意味し、「アルキレン基」とはC1~C20アルキレン基を意味し、具体的にはC1~C18アルキレン基を意味し、「アリーレン基」とはC6~C20アリーレン基を意味し、具体的にはC6~C16アリーレン基を意味する。
【0051】
本明細書で別段の定義がない限り、「*」は同一または異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0052】
本明細書で化合物(染料)の「最大吸収波長(λmax)」はシクロヘキサノン(Cyclohexanone)中の10ppm濃度の化合物(染料)溶液に対して吸光度を測定した時に最大吸光度が現れる波長を意味する。前記最大吸光度は当業者に知られている方法により測定されることができる。
【0053】
本明細書における「耐光信頼性」はディスプレイ装置に対してXenon Test Chamber(Q-SUN)で[光源ランプ:Xenonランプ、照射強度:0.35W/cm、照射温度:63℃、照射時間:500時間、照射方向:反射防止フィルム側からの照射]の条件で照射する前と照射した後を、染料の最大吸収波長で光透過率を測定した後光透過率変化量で評価したものである。
【0054】
一実施形態は下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0055】
【化8】
【0056】
前記化学式1において、
MはZn、CoまたはCuであり、
~R16はそれぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換されたC1~C20アルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C20シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC6~C20アリール基、置換若しくは非置換されたC2~C20ヘテロアリール基、下記化学式2で表されるスルホニルアミド基、またはこれらの組み合わせであり、
~Rの少なくとも一つおよびR~R16の少なくとも一つは下記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、
【0057】
【化9】
【0058】
前記化学式2において、
17およびR18はそれぞれ独立して水素、置換若しくは非置換されたC1~C20アルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C20シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC6~C20アリール基、または置換若しくは非置換されたC2~C20ヘテロアリール基であり、R17およびR18の少なくとも一つはC3~C20シクロアルキル基であり、*は前記化学式1のベンゼン環に結合する部分を意味する。
【0059】
従来のプラズマディスプレイで使用された近赤外線遮断染料(一般のZn-PC染料)を反射防止フィルムに適用する場合、色補正機能を達成するために使用量が増加し、それを使用した反射防止フィルムの場合、耐光信頼性の評価時、染料の消色によってフィルムの透過度が増加する問題があった。
【0060】
本発明は、特定の置換基の構造を有するCu-PC(phthalocyanine)を使用して反射防止フィルムに適用することによって近赤外線領域の光を強く吸収し、同時に波長整合性の改善により染料使用量を減らし、染料の構造的特性により一定水準以上の反射率および優れた耐光信頼性を達成することができるようにする。
【0061】
前記化学式1で表される化合物は染料として使用される場合、近赤外線、すなわち、650nm~750nm波長範囲で光を強く吸光してRed領域の色再現率を高めることができ、近赤外線遮断染料(一般のZn-PC染料)を使用した方法よりパネルの輝度損失を改善することができる。一実施形態による前記化学式1で表される化合物を反射防止フィルムに適用時、耐光信頼性の確保が可能である。
【0062】
具体的には、前記化学式1で表される化合物を染料として使用する場合、Blue領域(450nm~485nm)およびRed領域(625nm~740nm)の輝度が改善されることができる。
【0063】
一実施形態による化合物は前記化学式2で表される置換基を含むので、少量でもより鮮明な色の発現が可能であり、ディスプレイの輝度が改善されて色特性に優れたディスプレイ素子の製造が可能である。
【0064】
これと類似の目的を達成するために従来の染料を使用して750nm~850nm波長領域の光を吸収しようとする試みがあったが、この場合、前記従来の染料は相対的に多量が投入されなければならないので、全体組成物の工程マージンが確保されない問題があった。
【0065】
しかし、一実施形態による化合物を染料として使用する場合、化合物を少量だけ使用しても十分な高色再現が可能であるため、前記問題を解決することができる。
【0066】
前記R17およびR18はそれぞれ独立して水素、置換若しくは非置換されたC1~C10アルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C6シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC6~C14アリール基、または置換若しくは非置換されたC2~C14ヘテロアリール基であり、R17およびR18の少なくとも一つはC3~C10シクロアルキル基であり得る。
【0067】
前記R17およびR18はそれぞれ独立して水素、置換若しくは非置換されたC1~C6アルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C6シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC6~C10アリール基、または置換若しくは非置換されたC2~C10ヘテロアリール基であり、R17およびR18の少なくとも一つはC3~C6シクロアルキル基であり得る。
【0068】
前記R17およびR18はそれぞれ独立して水素または置換若しくは非置換されたC3~C20シクロアルキル基であり、R17およびR18の少なくとも一つはC3~C20シクロアルキル基であり得る。
【0069】
前記R17およびR18はそれぞれ独立して水素または置換若しくは非置換されたC3~C10シクロアルキル基であり、R17およびR18の少なくとも一つはC3~C10シクロアルキル基であり得る。
【0070】
前記R17およびR18はそれぞれ独立して水素または置換若しくは非置換されたC3~C6シクロアルキル基であり、R17およびR18の少なくとも一つはC3~C6シクロアルキル基であり得る。
【0071】
前記R~Rの少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、前記R~Rの少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、前記R~R12の少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、前記R13~R16の少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり得る。
【0072】
前記R~Rの少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、残りは水素原子であり、前記R~Rの少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、残りは水素原子であり、前記R~R12の少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、残りは水素原子であり、前記R13~R16の少なくとも一つは前記化学式2で表されるスルホニルアミド基であり、残りは水素原子であり得る。
【0073】
前記化合物は下記化学式3で表される化合物であり得る。
【0074】
【化10】
【0075】
化学式3において、
MはCu、Co、Zn、V(=O)またはAgであり、
~nはそれぞれ独立して0または1の整数であり、
は1~4の整数であり、
ただし、n+n+n+n≠0である。
【0076】
前記化学式3で表される化合物の構造のように、ベンゼン環に置換されるスルホニルアミド基の置換位置はα(隣接)、β(2番目)の両方の炭素すべて可能であり、一つの化合物に1~4個のスルホニルアミド基が置換され得、最も好ましくは3または4個のスルホニルアミド基が置換される時に赤色波長領域の光吸収効果が最も優れる。
【0077】
一例として、前記化学式3で表される化合物に4個のスルホニルアミド基が置換される場合、前記スルホニルアミド基はベンゼン環のα(隣接)またはβ(2番目)の炭素に置換され得るので、5個以上の構造異性体の混合物が生成されることができ、本発明は前記構造異性体の混合物をすべて含むことができる。
【0078】
例えば、前記化学式1で表される化合物は下記化学式4ないし化学式14のいずれか一つで表される化合物を含み得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0079】
【化11】
【0080】
【化12】
【0081】
【化13】
【0082】
【化14】
【0083】
本発明は前記化学式4ないし化学式14で表される化合物中の2個以上の化合物を混合物として同時に含むことができる。
【0084】
前記化合物は赤色吸収染料として使用することができる。
【0085】
前記染料は650nm~750nmの波長で最大吸収ピークを有することができ、具体的には650nm~700nmの波長で最大吸収ピークを有することができる。すなわち、前記化合物が反射防止フィルムに含まれる染料として使用される場合、近赤外線領域の光を最大に吸光して該当領域の分光を遮断することができる。
【0086】
他の一実施形態によれば、前記一実施形態による化合物を含む粘着組成物を提供する。
【0087】
前記粘着組成物は、粘着組成物総量に対して前記化学式1で表される化合物を0.0001重量%~1重量%、例えば、0.001重量%~1重量%、例えば、0.01重量%~1重量%、例えば、0.1重量%~1重量%、例えば、0.0001重量%~0.5重量%、例えば、0.001重量%~0.5重量%、例えば、0.01重量%~0.5重量%、例えば、0.1重量%~0.5重量%含むことができる。前記化学式1で表される化合物が前記含有量の範囲で含まれる場合のみ前記反射防止フィルムが適用されたディスプレイ装置のパネル色感を調整して耐光信頼性の改善に効果的である。
【0088】
他の一実施形態は前記化合物を含む反射防止フィルムを提供する。
【0089】
前記反射防止フィルムは粘着層および前記粘着層上に形成された反射防止層を含み、前記化学式1で表される化合物は前記粘着層に含まれ得る。
【0090】
また、前記反射防止フィルムは粘着層、染料含有層および前記染料含有層上に形成された反射防止層を含み、前記化学式1で表される化合物は前記染料含有層に含まれることもできる。
【0091】
すなわち、一実施形態による反射防止フィルムの積層構造において、前記化学式1で表される化合物は粘着層内に含まれることもでき、別途の染料含有層に含まれることもできる。(図1および図2参照)
前記反射防止層は低屈折層のみからなるか低屈折層を含むことができる。
【0092】
前記低屈折層は後述する基材および/または後述する高屈折層との屈折率差によって反射防止フィルムの反射率を下げることができる。
【0093】
前記低屈折層は硬化型バインダ樹脂、フッ素原子含有モノマーおよび平均粒子直径5nm~300nmの微粒子(例えば、中空シリカなど)を含有しており、前記低屈折層の厚さは0.01μm~0.15μmであり得る。低屈折層の屈折率は1.20~1.40であり得る。
【0094】
前記低屈折層の一面、すなわち前記低屈折層の上部面には機能性コート層がさらに形成されることによって反射防止フィルムに追加的な機能を提供することができる。前記機能性コート層は耐指紋性層、帯電防止層、ハードコート層、アンチグレア層、バリア層などを含み得るが、これに制限されない。
【0095】
前記反射防止層は高屈折層をさらに含むことができる。
【0096】
前記高屈折層は後述する基材と前記低屈折層の間に形成され、前記基材と前記低屈折層の間の屈折率を有することによって反射防止層の反射率を下げることができる。前記高屈折層は基材および前記低屈折層とそれぞれ直接形成されている。前記「直接形成」は、層と層の間に任意の他の層がないことを意味する。
【0097】
前記高屈折層は厚さが0.05μm~20μmで屈折率が1.45~2であり、JIS-K7361に規定されるヘイズ値が基材のヘイズ値と同じであるかまたは基材のヘイズ値との差が10%以下であることが透明性に優れ、反射防止性に優れる。
【0098】
前記ハードコート層は前記反射防止層の硬度を高めることによって反射防止層をディスプレイ装置の最外側に使用してもスクラッチなどの発生が無いようにすることができる。前記ハードコート層は必ずしも備えなければならないものではない。前記高屈折層または低屈折層で目標とする硬度を確保できればハードコート層は省略することができる。
【0099】
前記ハードコート層は基材と前記高屈折層の間または基材と前記低屈折層間に形成される。
【0100】
前記ハードコート層は平均粒子直径が1nm~30nmで粒度分布範囲が平均粒子直径±5nm以下の範囲にある金属酸化物超微粒子が硬化したバインダ中に均一に混合されてなる硬化層であり得る。前記ハードコート層は厚さが1μm~15μmであり得、前記ハードコート層の屈折率は1.54以上であり得る。
【0101】
前記反射防止層は厚さが50μm~500μm、例えば50μm~300μm、例えば50μm~150μmであり得る。前記反射防止層が前記範囲の厚さを有する場合、ディスプレイ装置に適用されるのに容易である。
【0102】
前記粘着層は前記反射防止層の下部面に形成されてディスプレイなどの光学部材をパネルなどに粘着させる。前記粘着層は前述したように前記化学式1で表される化合物(染料)を含むことができる。
【0103】
前記粘着層はガラス転移温度が-70℃~0℃、例えば-65℃~-20℃であり得る。前記粘着層のガラス転移温度が前記範囲を有する場合、パネルに対する接着力に優れる。
【0104】
前記粘着層は熱硬化性粘着層または光硬化性粘着層になる。好ましくは粘着層は熱硬化性粘着層になることにより前記化学式1で表される化合物(染料)の吸収波長による紫外線の影響を考慮する必要がなく粘着層の製造を容易にすることができる。前記「熱硬化性粘着層」は40℃~100℃の所定の熱処理により硬化する粘着層だけでなく、室温(例えば20℃~30℃)で硬化する粘着層も含むことができる。
【0105】
前記粘着層は粘着樹脂および硬化剤を含む粘着層用組成物で形成されることができる。
【0106】
前記粘着樹脂は前記粘着層のガラス転移温度を確保できれば種類に制限はない。例えば、前記粘着樹脂はシリコン系、ウレタン系、(メタ)アクリル系などであり得るが、好ましくは(メタ)アクリル系粘着樹脂を使用することができる。
【0107】
前記粘着樹脂はガラス転移温度が-70℃~0℃、好ましくは-65℃~-20℃であり得る。前記粘着樹脂のガラス転移温度が前記範囲を有する場合、パネルに対する接着力に優れる。
【0108】
前記粘着樹脂は重量平均分子量が500,000g/mol~2,000,000g/mol、例えば800,000g/mol~1,500,000g/molであり得る。前記粘着樹脂の重量平均分子量が前記範囲を有する場合、パネルに対する接着力に優れる。
【0109】
前記粘着樹脂はアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体;水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体;および芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体、脂環族を有する(メタ)アクリル系単量体、ヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体のうち1種以上の混合物の共重合体、好ましくはランダム共重合体を含むことができる。
【0110】
前記アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は非置換されたC1~C10アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。具体的には、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体はメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレートのうち一つ以上を含み得るが、これに制限されない。これらは単独または2種以上混合して含まれ得る。前記アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は単量体混合物中の60重量%~99.99重量%、例えば60重量%~90重量%、例えば80重量%~99.9重量%で含まれ得る。
【0111】
前記水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は一つ以上の水酸基を有するC1~C20アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体、一つ以上の水酸基を有するC3~C20シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体、一つ以上の水酸基を有するC6~C20芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体のうち一つ以上を含むことができる。具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は一つ以上の水酸基を有するC1~C20アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体が好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのうち一つ以上を含むことができる。これらは単独または2種以上混合して含まれ得る。前記水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は単量体混合物中の0.01重量%~20重量%、例えば0.1重量%~10重量%で含まれ得る。
【0112】
前記芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体はC6~C20アリール基またはC7~C20アリールアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。具体的には芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体はフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどを含み得るが、これに制限されない。前記芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体は単量体混合物中の0重量%~50重量%、例えば0重量%~20重量%で含まれ得る。
【0113】
本明細書で単量体のうち脂環族基とアルキル基が混在する場合、脂環族基を有する(メタ)アクリル単量体に分類した。
【0114】
前記脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体は、C5~C20単環はまたは複素環の脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしてシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのうち一つ以上を含むことができる。前記脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体は単量体混合物中の重量%~50重量%、例えば1重量%~30重量%、1重量%~20重量%で含まれ得る。
【0115】
前記ヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体は窒素、酸素または硫黄の一つ以上を含有するC4~C9ヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。具体的には、ヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体は(メタ)アクリロイルモルホリンを含み得るが、これに制限されない。前記ヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体は単量体混合物中の0重量%~50重量%、例えば0重量%~10重量%で含まれ得る。
【0116】
前記粘着樹脂は前記アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体70重量%~99.99重量%、例えば90重量%~99.5重量%、前記水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体0.01重量%~30重量%、例えば0.5重量%~10重量%を含む単量体混合物の(メタ)アクリル系共重合体を含むことができる。前記粘着樹脂を構成するそれぞれの単量体が前記範囲を有する場合、粘着力の確保が容易である。
【0117】
前記硬化剤はイソシアネート系硬化剤を含むことができる。前記硬化剤は前記粘着樹脂100重量部に対して0.01重量部~20重量部、例えば0.01重量部~10重量部、例えば0.1重量部~4重量部で含まれ得る。前記硬化剤が前記範囲を有する場合、組成物を架橋させて粘着層を形成し、過量使用による透明性の低下および信頼性の不良などを防止することができる。
【0118】
前記組成物はシランカップリング剤、酸化防止剤、粘着付与樹脂、可塑剤、帯電防止剤、リワーク剤、硬化触媒などの通常の添加剤をさらに含むことができる。前記シランカップリング剤は前記粘着樹脂100重量部に対して0.01重量部~20重量部、例えば0.01重量部~10重量部、例えば0.1重量部~4重量部で含まれ得る。前記シランカップリング剤が前記範囲を有する場合、粘着力の調節と信頼性の不良現象などを防止することができる。
【0119】
前記粘着層用組成物は無溶剤型であるか通常の有機溶媒をさらに含むことによってコーティング性を高めることができる。
【0120】
前記粘着層は厚さが1μm~50μm、例えば5μm~25μmであり得る。前記粘着層が前記範囲の厚さを有する場合、ディスプレイ装置に容易に使用することができる。
【0121】
また他の一実施形態によれば、前記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置を提供する。例えば前記反射防止フィルムおよび量子ドット含有層を含むディスプレイ装置を提供することができる。
【0122】
例えば、前記ディスプレイ装置は光源、カラーフィルタおよび基材をさらに含むことができる。
【0123】
例えば、前記ディスプレイ装置は、前記光源上に前記量子ドット含有層が位置し、前記量子ドット含有層上に前記カラーフィルタが位置し、前記カラーフィルタ上に前記基材が位置し、前記基材上に前記反射防止フィルムが位置する積層構造を有することができる(図3および図4参照)。
【0124】
例えば、前記光源は青色光源であり得る。
【0125】
例えば、前記基材はガラス基材であり得る。
【0126】
前記量子ドット含有層を構成する構成成分は量子ドットの他にバインダ樹脂、反応性不飽和化合物、光重合開始剤、拡散剤およびその他添加剤などをさらに含み得、これについては後述する。
【0127】
前記量子ドットは350nm~550nmの波長領域中の400nm~500nmで最大蛍光発光波長(fluorescenceλmax)を有することができる。
【0128】
前記量子ドットは20nm~100nm、例えば20nm~50nmの半値幅(Full width at half maximum;FWHM)を有することができる。前記量子ドットが前記範囲の半値幅を有する場合、色純度が高いことにより、カラーフィルタ内の色材料として使用する場合、色再現率が高くなる効果がある。
【0129】
前記量子ドットはそれぞれ独立して有機物であるか無機物または有機物と無機物のハイブリッド(混成物)であり得る。
【0130】
前記量子ドットはそれぞれ独立してコアおよび前記コアを包むシェルで構成され、前記コアおよびシェルはそれぞれ独立してII-IV族、III-V族などからなるコア、コア/シェル、コア/第1シェル/第2シェル、合金、合金/シェルなどの構造を有することができ、これに限定されるものではない。
【0131】
例えば、前記コアはCdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP、InAsおよびこれらの合金からなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の物質を含み得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。前記コアを囲むシェルはCdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe、HgSeおよびこれらの合金からなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の物質を含み得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0132】
一実施形態では、最近世界的に環境への関心が大きく増加し、かつ有毒性物質に対する規制が強化されているので、カドミウム系コアを有する発光物質に代わって、量子効率(quantum yield)は多少低いが環境に優しい非カドミウム系発光素材(InP/ZnS)を使用したが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0133】
前記量子ドットの構造は特に限定されないが、前記コア/シェル構造の量子ドットの場合、シェルを含む全体量子ドットそれぞれの大きさ(平均粒径)は1nm~15nm、例えば5nm~15nmであり得る。
【0134】
例えば、前記量子ドットは赤色量子ドット、緑色量子ドットまたはこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、前記量子ドットは緑色量子ドットおよび赤色量子ドットをすべて含むことができる。この時、前記緑色量子ドットは前記赤色量子ドットより多い含有量で含まれ得る。前記赤色量子ドットは10nm~15nmの平均粒径を有することができる。前記緑色量子ドットは5nm~8nmの平均粒径を有することができる。
【0135】
一方、前記量子ドットの分散安定性のために、分散剤が共に使用されることもできる。前記分散剤は量子ドットのような光変換物質が硬化性組成物内で均一に分散するように助けて、非イオン性、アニオン性またはカチオン性分散剤をすべて使用することができる。具体的には、ポリアルキレングリコールまたはそのエステル類、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記分散剤は量子ドットのような光変換物質の固形分に対して0.1重量%~100重量%、例えば10重量%~20重量%で使用することができる。
【0136】
前記量子ドットは量子ドット含有層を構成する構成成分100重量部に対して1重量部~40重量部、例えば1重量部~10重量部で含まれ得る。前記量子ドットが前記範囲内で含まれる場合、光変換率に優れ、パターン特性と現像特性を阻害せず優れた工程性を有することができる。
【0137】
前記バインダ樹脂はアクリル系樹脂、エポキシ樹脂またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0138】
前記アクリル系樹脂は第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂であり得る。
【0139】
前記第1エチレン性不飽和単量体は一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0140】
前記第1エチレン性不飽和単量体は前記アクリル系バインダ樹脂総量に対して重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれ得る。
【0141】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0142】
前記アクリル系樹脂の具体的な例としては、ポリベンジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0143】
前記アクリル系樹脂の重量平均分子量は1,000g/mol~15,000g/molであり得る。前記アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、基板との密着性に優れ、物理的、化学的物性が良く、粘度が適切である。
【0144】
前記エポキシ樹脂は熱によって重合され得るモノマー(monomer)またはオリゴマー(oligomer)として、炭素-炭素不飽和結合および炭素-炭素環状結合を有する化合物などを含むことができる。
【0145】
前記エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂および脂肪族ポリグリシジルエーテルなどがさらに含まれ得る。
【0146】
このような化合物の市販品として、油化シェルエポキシ(株)のYX4000、YX4000H、YL6121H、YL6640、YL6677;日本化薬(株)のEOCN-102、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1020、EOCN-1025、EOCN-1027および油化シェルエポキシ(株)のエピコート180S75;ビスフェノールA型エポキシ樹脂には油化シェルエポキシ(株)のエピコート1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010および828;ビスフェノールF型エポキシ樹脂には油化シェルエポキシ(株)のエピコート807および834;フェノールノボラック型エポキシ樹脂には油化シェルエポキシ(株)のエピコート152、154、157H65および日本化薬(株)のEPPN 201、202;その他の環状脂肪族エポキシ樹脂にはCIBA-GEIGY A.G社のCY175、CY177およびCY179、U.C.C社のERL-4234、ERL-4299、ERL-4221およびERL-4206、昭和電工(株)のショーダイン509、CIBA-GEIGY A.G社のアラルダイトCY-182、CY-192およびCY-184、大日本インキ工業(株)のエピクロン200および400、油化シェルエポキシ(株)のエピコート871、872およびEP1032H60、セラニーズコーティング(株)のED-5661およびED-5662;脂肪族ポリグリシジルエーテルには油化シェルエポキシ(株)のエピコート190Pおよび191P、共栄社油脂化学工業(株)のエポライト100MF、日本油脂(株)のエピオールTMPなどが挙げられる。
【0147】
前記バインダ樹脂は量子ドット含有層を構成する構成成分100重量部に対して1重量部~40重量部、例えば、5重量部~20重量部で含まれ得る。バインダ樹脂が前記範囲内で含まれる場合、優れた感度、現像性、解像度およびパターンの直進性を得ることができる。
【0148】
前記反応性不飽和化合物は従来の光硬化性組成物および熱硬化性組成物に一般に使用されるモノマーまたはオリゴマーを混合して使用することができる。
【0149】
前記反応性不飽和化合物はアクリレート系化合物であり得る。例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ノボラックエポキシアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートなどから1種以上を選択または混合して使用することができる。
【0150】
前記反応性不飽和化合物はより優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0151】
前記反応性不飽和化合物は量子ドット含有層を構成する構成成分100重量部に対して1重量部~10重量部、例えば1重量部~5重量部で含まれ得る。反応性不飽和化合物が前記範囲内で含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて信頼性に優れ、パターンの耐熱性、耐学性、耐化学性、解像度および密着性もまた優れる。
【0152】
前記光重合開始剤はアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物などを使用することができる。
【0153】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0154】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0155】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0156】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0157】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0158】
前記オキシム系化合物の例としてはO-アシルオキシム系化合物、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。
【0159】
前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0160】
前記光重合開始剤は前記化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0161】
前記光重合開始剤は光を吸収して励起状態になった後そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤とともに使用されることもできる。
【0162】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0163】
前記光重合開始剤は量子ドット含有層を構成する構成成分100重量部に対して0.1重量部~10重量部、例えば0.1重量部~5重量部で含まれ得る。光重合開始剤が前記範囲内で含まれる場合、露光時の感度と現像性のバランスに優れ、残膜なしの優れた解像度のパターンを得ることができる。
【0164】
前記量子ドット含有層は拡散剤をさらに含むことができる。
【0165】
例えば、前記拡散剤は硫酸バリウム(BaSO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、二酸化チタン(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0166】
前記拡散剤は前述した量子ドットに吸収されなかった光を反射させ、前記反射した光を量子ドットが再び吸収できるようにする。すなわち、前記拡散剤は量子ドットに吸収される光の量を増加させ、硬化性組成物の光変換効率を増加させることができる。
【0167】
前記拡散剤は平均粒径(D50)が150nm~250nmであり得、具体的には180nm~230nmであり得る。前記拡散剤の平均粒径が前記範囲内である場合、より優れた光拡散効果を有することができ、光変換効率を増加させることができる。
【0168】
前記拡散剤は量子ドット含有層を構成する構成成分100重量部に対して固形分を基準として0.1重量%~20重量%、例えば0.1重量%~5重量%で含まれ得る。前記拡散剤が量子ドット含有層を構成する構成成分100重量部に対して0.1重量%未満で含まれる場合、拡散剤の使用による光変換効率向上効果を期待することが難しく、20重量%を超えて含む場合にはパターン特性が低下する恐れがある。
【0169】
前記量子ドットの安定性および分散性向上のために、前記量子ドット含有層はチオール(thiol)系添加剤をさらに含むことができる。
【0170】
前記チオール系添加剤は前記量子ドットのシェル表面に置換され、溶媒に対する量子ドットの分散安定性を向上させて、量子ドットを安定化させることができる。
【0171】
前記チオール系添加剤はその構造によって末端に2個~10個、例えば2個~4個のチオール基(-SH)を有することができる。
【0172】
例えば、前記チオール系添加剤は末端に下記化学式15で表される官能基を少なくとも2個以上含むことができる。
【0173】
【化15】
【0174】
前記化学式15において、
およびLはそれぞれ独立して単結合、置換若しくは非置換されたC1~C20アルキレン基、置換若しくは非置換されたC3~C20シクロアルキレン基、置換若しくは非置換されたC6~C20アリーレン基または置換若しくは非置換されたC2~C20ヘテロアリーレン基である。
【0175】
例えば、前記チオール系添加剤は下記化学式16で表されることができる。
【0176】
【化16】
【0177】
前記化学式16において、
およびLはそれぞれ独立して単結合、置換若しくは非置換されたC1~C20アルキレン基、置換若しくは非置換されたC3~C20シクロアルキレン基、置換若しくは非置換されたC6~C20アリーレン基または置換若しくは非置換されたC2~C20ヘテロアリーレン基であり、
u1およびu2はそれぞれ独立して0または1の整数である。
【0178】
例えば、前記化学式15および化学式16において、前記LおよびLはそれぞれ独立して単結合または置換若しくは非置換されたC1~C20アルキレン基であり得る。
【0179】
前記チオール系添加剤の具体的な例としては、下記化学式16aで表されるペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(pentaerythritol tetrakis(3-mercaptopropionate))、下記化学式16bで表されるトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)(trimethylolpropane tris(3-mercaptopropionate))、下記化学式16cで表されるペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)Pentaerythritol tetrakis(mercaptoacetate)、下記化学式16dで表されるトリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)(trimethylolpropane tris(2-mercaptoacetate))、下記化学式16eで表されるグリコールジ-3-メルカプトプロピオネート(Glycol di-3-mercaptopropionate)およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれたいずれか一つが挙げられる。
【0180】
【化17】
【0181】
前記チオール系添加剤は量子ドット含有層を構成する構成成分100重量部に対して0.1重量部~10重量部、例えば0.1重量部~5重量部で含まれ得る。チオール系添加剤が前記範囲内で含まれる場合、量子ドットなどの光変換物質の安定性を向上させることができ、成分内のチオール基が樹脂または単量体のアクリル基と反応して共有結合を形成することによって量子ドットのような光変換物質の耐熱性の向上効果も有することができる。
【0182】
前記量子ドット含有層はヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせを含む重合抑制剤をさらに含むことができる。前記量子ドット含有層は前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせをさらに含むことにより、量子ドットなどを含む組成物を印刷(コーティング)後、露光する間常温架橋を防止することができる。
【0183】
例えば、前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせはヒドロキノン、メチルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ビス(1,1-ジメチルブチル)ヒドロキノン、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ヒドロキノン、カテコール、t-ブチルカテコール、4-メトキシフェノール、ピロガロール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-ナフトール、トリス(N-ヒドロキシ-N-ニトロソフェニルアミナト-O,O’)アルミニウム(Tris(N-hydroxy-N-nitrosophenylaminato-O,O’)aluminium)またはこれらの組み合わせを含み得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0184】
前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせは分散液の形態で使用することができ、前記分散液形態の重合抑制剤は量子ドットおよび蛍光染料含有層または量子ドット含有層(蛍光染料非含有)を構成する構成成分100重量部に対して0.001重量部~1重量部、例えば0.01重量部~0.1重量部で含まれ得る。安定剤が前記範囲内で含まれる場合、常温経時問題を解決すると同時に、感度低下および表面剥離現象を防止することができる。
【0185】
前記量子ドット含有層は前記チオール系添加剤、重合抑制剤の他にマロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;シラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0186】
例えば、前記量子ドット含有層は基板との密着性などを改善するためにビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン系カップリング剤をさらに含むことができる。
【0187】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0188】
前記シラン系カップリング剤は量子ドット含有層を構成する構成成分100重量部に対して0.01重量部~10重量部で含まれ得る。シラン系カップリング剤が前記範囲内で含まれる場合、密着性、貯蔵性などが優れる。
【0189】
また、前記量子ドット含有層は必要に応じてコーティング性の向上および欠点生成の防止効果のために界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0190】
前記フッ素系界面活性剤としては、BM Chemie社のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業(株)社のメガファックF 142D(登録商標)、同F 172(登録商標)、同F 173(登録商標)、同F 183(登録商標)など;住友スリーエム(株)のフロラードFC-135(登録商標)、同FC-170C(登録商標)、同FC-430(登録商標)、同FC-431(登録商標)など;旭硝子(株)のサーフロンS-112(登録商標)、同S-113(登録商標)、同S-131(登録商標)、同S-141(登録商標)、同S-145(登録商標)など;東レシリコーン(株)のSH-28PA(登録商標)、同-190(R)、同-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)など;DIC(株)社のF-482、F-484、F-478、F-554などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0191】
前記フッ素系界面活性剤は前記量子ドット含有層を構成する構成成分100重量部に対して0.001重量部~5重量部で使用することができる。前記フッ素系界面活性剤が前記範囲内で含まれる場合、コーティング均一性が確保され、シミが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れる。
【0192】
また、前記量子ドット含有層は物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤、安定剤などのその他添加剤を一定量さらに添加することもできる。
【0193】
前記量子ドット含有層それぞれの製造方法は、前述した構成成分などを含む硬化性組成物を基板の上にインクジェット噴射方法で塗布してパターンを形成する段階(S1);および前記パターンを硬化する段階(S2)を含む。
【0194】
(S1)パターンを形成する段階
前記硬化性組成物はインクジェット噴射方式で0.5~10μmの厚さで基板の上に塗布することが好ましい。前記インクジェット噴射は単一カラーのみ噴射して必要な色の数に応じて繰り返し噴射することでパターンを形成することができ、工程を減らすために必要な色の数を同時に噴射する方式でパターンを形成することもできる。
【0195】
(S2)硬化する段階
前記収得したパターンを硬化させて硬化樹脂膜を得ることができる。この時、硬化させる方法としては熱硬化工程が好ましい。前記熱硬化工程は約100℃以上の温度で約3分間加熱して硬化性組成物内の溶媒を先に除去した後、引き続き160℃~300℃の温度で加熱して硬化させる工程であり得、より好ましくは180℃~250℃の温度で約30分間加熱して硬化させる工程であり得る。
【0196】
また、前記量子ドット含有層それぞれはインクジェットなしで製造することもできる。この場合の製造方法は、前述した構成成分などを含む硬化性組成物を所定の前処理をした基板上にスピン塗布、ローラー塗布、スプレー塗布などの適当な方法を用いて、例えば、0.5μm~10μmの厚さで塗布し、カラーフィルタに必要なパターンを形成するように光を照射する。照射に使用される光源としてはUV、電子線またはX線を用いることができ、例えば、190nm~450nm、具体的には200nm~400nm領域のUVを照射することができる。前記照射する工程でフォトレジストマスクをさらに使用して実施することもできる。このように照射する工程を実施した後、前記光源が照射された組成物層を現像液で処理する。この時、組成物層で非露光部分は溶解することによってカラーフィルタに必要なパターンが形成される。このような工程を必要な色の数に応じて繰り返すことで所望するパターンを有するカラーフィルタを収得することができる。また、前記工程で現像によって収得された画像パターンを再び加熱または活性線照射などによって硬化させると耐クラック性、耐溶剤性などを向上させることができる。
【0197】
前記硬化性組成物は溶媒をさらに含むことができる。
【0198】
前記溶媒としてはメタノール、エタノールなどのアルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;メチルラクテート、エチルラクテートなどの乳酸アルキルエステル類;メチルヒドロキシアセテート、エチルヒドロキシアセテート、ブチルヒドロキシアセテートなどのヒドロキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシメチルアセテート、メトキシエチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシメチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどの酢酸アルコキシアルキルエステル類;メチル3-ヒドロキシプロピオネート、エチル3-ヒドロキシプロピオネートなどの3-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、メチル3-エトキシプロピオネートなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシプロピオネート、エチル2-ヒドロキシプロピオネート、プロピル2-ヒドロキシプロピオネートなどの2-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-エトキシプロピオネート、メチル2-エトキシプロピオネートなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-エトキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシエチルプロピオネート、2-ヒドロキシ-2-メチルエチルプロピオネート、ヒドロキシエチルアセテート、メチル2-ヒドロキシ-3-メチルブタノエートなどのエステル類;またはピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類の化合物があり、またN-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フェニルセロソルブアセテート、ジメチルアジペートなどを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0199】
例えば、前記溶媒はエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレンジグリコールメチルエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;エタノールなどのアルコール類またはこれらの組み合わせを使用することが好ましい。
【0200】
例えば、前記溶媒はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレンジグリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルアセトアミド、2-ブトキシエタノール、N-メチルピロリジン、N-エチルピロリジン、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、ジメチルアジペートまたはこれらの組み合わせを含む溶媒であり得る。
【0201】
前記溶媒は前記硬化性組成物総量に対して残部量で含まれ得る。
【0202】
[発明を実施するための形態]
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。ただし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例だけであり、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【0203】
(化合物の合成)
合成例1:化学式10で表される化合物の合成
(1)500ml丸底フラスコでchlorosulfonic acid(35g)を入れて攪拌して30℃未満に冷却する。CuPC(Copper(II) phthalocyanine)5gを50℃以下でゆっくり投入して反応温度90℃上で3時間の間攪拌する。反応物を再び30℃未満に冷却してThionyl chloride(4g)を30℃未満でゆっくり滴加する。投入が完了すると反応物を温度95℃条件で1時間の間攪拌する。その後常温に冷却して10℃以下の条件で水300mLを用いて中和する。そして複数回水を用いて固体を洗浄する。
【0204】
(2)濾過された固体形成物をフラスコに入れて100mL水を添加して攪拌して10℃に冷却する。cyclohexylamine(3.4g)をゆっくり滴加した後1時間の間攪拌する。そして反応温度65℃まで昇温後6時間の間反応する。反応物を濾過および洗浄して生成された固体化合物を乾燥して、下記化学式10で表される化合物(53g)を合成した。
【0205】
【化18】
【0206】
合成例2:化学式17で表される化合物の合成
前記合成例1で、cyclohexylamineの代わりにcyclopentylamineを使用したことを除いては合成例1と同様に行い、下記化学式17で表される化合物を合成した。
【0207】
【化19】
【0208】
比較合成例1:化学式18で表される化合物の合成
250mLフラスコに4-(2-phenylphenoxy)phthalonitrile(4g)、Diazabicycloundec-7-ene(2.5g)、1-ペンタノール(40mL)を入れて加熱して固体が溶けた後、Copper acetate(1.8g)を入れて加熱しながら還流する。反応終了後に溶媒を除去して、カラムクロマトグラフィーで精製する。得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後メタノールを添加して結晶化した。この時、得られた固体を濾過して真空乾燥して下記化学式18で表される化合物を合成した。
【0209】
【化20】
【0210】
比較合成例2:化学式19で表される化合物の合成
前記合成例1で、cyclohexylamineの代わりに2-ethylhexylamineを使用したことを除いては前記合成例1と同様に行い、下記化学式19で表される化合物を合成した。
【0211】
【化21】
【0212】
比較合成例3:化学式20で表される化合物の合成
前記合成例1で、cyclohexylamineの代わりにmethyl leucinateを使用したことを除いては前記合成例1と同様に行い、下記化学式20で表される化合物を合成した。
【0213】
【化22】
【0214】
製造例:粘着層用組成物の共重合体の製造
窒素ガスが還流して温度調節が容易なように冷却装置が設けられた1Lの反応器にn-ブチルアクリレート99重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート1重量部を含む単量体混合物100重量部、酢酸エチル150重量部を投入して攪拌しながら窒素ガスを1時間の間投入して反応器内の酸素を窒素に置換させた後反応器温度を70℃に維持した。開始剤として2,2-アゾビスイソブチロニトリル0.06重量部を投入して8時間の間反応させて(メタ)アクリル系共重合体含有溶液を製造した。前記(メタ)アクリル系共重合体はTgが-46℃、重量平均分子量は1,100,000g/molであった。酢酸エチルを添加して19.4重量%の(メタ)アクリル系共重合体溶液を製造した。
【0215】
実施例1
製造した熱硬化性コート層用組成物を反射防止フィルム(基材フィルムであるPETフィルムの上部面にハードコート層、高屈折率層、低屈折率層が順次積層された反射防止フィルム、反射率:0.2%、DNP社)の基材フィルムであるPETフィルムの下部面にバーコーターで直接塗布して90℃オーブンで4分間乾燥させて厚さ20μmの熱硬化コート層を含む光学部材用シートを製造した。
【0216】
製造例で製造された(メタ)アクリル系共重合体100重量部の固形分を基準としてXDI系イソシアネート系架橋剤(TD-75,固形分75%、綜研社)0.193重量部、シランカップリング剤3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403,ShinEtsu社)0.154重量部をそれぞれ混合した。選択的波長吸収染料を前記合成例1(化学式10で表示)の化合物0.06重量部をそれぞれ添加してメチルエチルケトン25重量部を投入して粘着層用組成物を製造した。製造した粘着層用組成物をPET離型フィルムに塗布して90℃オーブンで4分間乾燥させて厚さ20μmの粘着シートを製造した。
【0217】
反射防止フィルム(基材フィルムであるPETフィルムの上部面にハードコート層、高屈折率層、低屈折率層が順次積層された反射防止フィルム、反射率:0.2%、DNP社)の基材フィルムであるPETフィルムの下部面に前記製造した粘着シートを合紙して、離型フィルム、粘着層、反射防止フィルムが順次積層された実施例1による光学部材を製造した。
【0218】
実施例2
実施例1の合成例1の化合物(化学式10で表示)の代わりに合成例2の化合物(化学式17で表示)を使用したことを除いては実施例1と同様にして、光学部材を製造した。
【0219】
比較例1
実施例1の合成例1の化合物(化学式10で表示)の代わりに比較合成例1の化合物(化学式18で表示)を使用したことを除いては実施例1と同様にして、光学部材を製造した。
【0220】
比較例2
実施例1の合成例1の化合物(化学式10で表示)の代わりにフタロシアニン系染料(IN-88,旭成(ウクソン)化学社、最大吸収波長:752nm)を使用したことを除いては実施例1と同様にして、光学部材を製造した
比較例3
実施例1の合成例1の化合物(化学式10で表示)の代わりに比較合成例2の化合物(化学式19で表示)を使用したことを除いては実施例1と同様にして、光学部材を製造した。
【0221】
比較例4
実施例1の合成例1の化合物(化学式10で表示)の代わりに比較合成例3の化合物(化学式20で表示)を使用したことを除いては実施例1と同様にして、光学部材を製造した。
【0222】
評価1:透過率
前記実施例1および比較例2による光学部材をUV-vis分光光度計を用いて波長別の透過率を測定し、その結果を表1に示した。
【0223】
【表1】
【0224】
前記表1を参照すると、前記実施例1による光学部材と比較例2による光学部材は673nm領域で同等な程度の光を吸収して透過率がほぼ同一であるが、460nmおよび630nm領域で実施例1の透過率が比較例2の透過率より高いため、該当領域で輝度特性が改善されることを確認することができる。
【0225】
評価2:耐光信頼性
耐光信頼性改善の有無を確認するために、前記実施例1、実施例2および比較例1ないし比較例4による光学部材に対してXenon Test Chamber(Q-SUN)で[光源ランプ:Xenonランプ、照射強度:0.35W/cm、照射温度:63℃、照射時間:500時間、照射方向:反射防止フィルム側からの照射]の条件で照射する前と照射した後の各化合物の最大吸収波長で光透過率を測定した後光透過率変化量で耐光信頼性を評価して、その結果を下記表2に示した。
【0226】
【表2】
【0227】
前記表2を参照すると、実施例1および実施例2のように、環状置換基を有する染料を含む反射防止フィルムの場合、比較例1~比較例4に含まれる反射防止フィルムに比べて耐光信頼性がさらに優れることがわかる。
【0228】
特に、比較例2のようなZinc phthalocyanine構造の染料を含む反射防止フィルムの場合、耐光信頼性が非常に脆弱であることを確認することができる。
【0229】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の技術的思想はや必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0230】
10 青色光源
20 量子ドット含有層
30 カラーフィルタ
40 基材
50 粘着層
60 染料含有層
70 反射防止層
80 反射防止フィルム
100 ディスプレイ装置
図1
図2
図3
図4
図5