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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】ホウ素膜の堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/314 20060101AFI20240906BHJP
   C23C 16/38 20060101ALI20240906BHJP
   C23C 16/28 20060101ALI20240906BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H01L21/314 A
C23C16/38
C23C16/28
C23C16/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023537265
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 US2021063482
(87)【国際公開番号】W WO2022132878
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】63/127,256
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/548,689
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リン, ユンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ラング, チ アイ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, ホー-ヤン デーヴィッド
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0350623(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0051818(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0266064(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0380302(US,A1)
【文献】国際公開第2013/161768(WO,A1)
【文献】特開2019-134062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/314
C23C 16/38
C23C 16/28
C23C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜を堆積させる方法であって、
基板上に膜を堆積させるために、前記基板をホウ素前駆体に曝露することであって、前記基板は、第1の材料及び第2の材料を含み、前記膜は、前記第1の材料上ではなく、前記第2の材料上に選択的に形成される、前記基板をホウ素前駆体に曝露すること、及び
ホウ素含有膜を形成するために、前記基板をプラズマに曝露して前記膜と反応させることを含む、方法。
【請求項2】
前記ホウ素前駆体は、ホウ素ハロゲン化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ホウ素ハロゲン化物は、三塩化ホウ素(BCl3)、三フッ化ホウ素(BF3)、及び三臭化ホウ素(BBr3)からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料は、酸素含有化合物、金属酸化物、炭素、及び窒化物のうちの1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料は、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化錫(SnOx)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、及び炭素(C)のうちの1以上を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の材料は、シリコン(Si)と窒化ケイ素(SiN)のうちの1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プラズマは、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、及びアンモニア(NH3)のうちの1以上から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ホウ素含有膜は、元素ホウ素膜、窒化ホウ素膜、及びホウ素炭素膜のうちの1以上から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ホウ素含有膜は、0.3nmから100nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基板を前記プラズマに曝露する前に、前記基板から前記ホウ素前駆体をパージすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基板からパージすることは、前記基板の上にパージガスを流すことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
膜を堆積させる方法であって、
基板をホウ素前駆体と反応物とに順次的に曝露することを含むプロセスサイクルにおいてホウ素含有膜を形成することを含み、前記基板は、第1の材料及び第2の材料を含み、前記ホウ素含有膜は、前記第1の材料上ではなく、前記第2の材料上に選択的に形成される、方法。
【請求項13】
前記ホウ素前駆体は、ホウ素ハロゲン化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ホウ素ハロゲン化物は、三塩化ホウ素(BCl3)、三フッ化ホウ素(BF3)、及び三臭化ホウ素(BBr3)からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の材料は、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化錫(SnOx)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、及び炭素(C)のうちの1以上を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の材料は、シリコン(Si)と窒化ケイ素(SiN)のうちの1以上を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記反応物は、プラズマを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記プラズマは、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、及びアンモニア(NH3)のうちの1以上から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ホウ素含有膜は、元素ホウ素膜、窒化ホウ素膜、及びホウ素炭素膜のうちの1以上から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記ホウ素含有膜は、0.3nmから100nmの範囲の厚さを有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、半導体デバイスの製造に関する。特に、本開示の実施形態は、ホウ素含有膜のインシトゥ(in situ:その場)選択的堆積を対象とする。
【背景技術】
【0002】
[0002] ホウ素含有材料は、半導体産業における使用を含む、幅広い様々な用途で使用され得る。ホウ素膜は、半導体デバイスの製造プロセスにおいて様々な用途を有してよい。
【0003】
[0003] 半導体デバイスのフィーチャサイズがより小さくなるにつれて、フィーチャの限界寸法(CD)の要件が、安定的で再現可能なデバイス性能のためのより重要な基準となる。基板全体にわたり許容可能なCDの変動もまた、フィーチャCDの拡大縮小(scaling)と共に拡大縮小する。側方寸法のスケーリングは垂直方向寸法よりも速く、デバイスキャパシタンスなどの課題があるので、業界では高アスペクト比(HAR)が、現在一般的になっている。
【0004】
[0004] 高アスペクト比を有する三次元構造のカバレージを示すことができるホウ素含有膜を提供する堆積プロセスが望まれている。更に、半導体デバイス内の1以上の他の材料に対する好適なエッチング選択性、並びに/又は、ドライエッチング及び/又は湿式エッチングプロセスにおける所望のエッチング速度を示す、ホウ素含有膜が望まれている。
【0005】
[0005] したがって、ホウ素含有膜を選択的に堆積させる方法が、当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の1以上の実施形態は、膜を堆積させる方法を対象とする。一実施形態では、膜を堆積させる方法が、基板上に膜を堆積させるために、基板をホウ素前駆体に曝露することを含む。基板は、第1の材料及び第2の材料を含む。膜は、第1の材料上ではなく、第2の材料上に選択的に形成される。該方法は更に、ホウ素含有膜を形成するために、基板をプラズマに曝露して膜と反応させることを含む。
【0007】
[0007] 本開示の1以上の実施形態は、膜を堆積させる方法を対象とする。一実施形態では、膜を堆積させる方法が、基板をホウ素前駆体と反応物とに順次的に曝露することを含むプロセスサイクルにおいてホウ素含有膜を形成することを含む。基板は、第1の材料及び第2の材料を含む。ホウ素含有膜は、第1の材料上ではなく、第2の材料上に選択的に形成される。
【0008】
[0008] 上述の本開示の特徴を詳細に理解し得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかし、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得るので、添付の図面は、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】[0009] 図1A及び図1Bは、1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図1B図1A及び図1Bは、1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図2A】[0010] 図2A及び図2Bは、1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図2B図2A及び図2Bは、1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図3A】[0011] 図3A及び図3Bは、1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図3B図3A及び図3Bは、1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図4A】[0012] 図4A及び図4Bは、1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図4B図4A及び図4Bは、1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図5】[0013] 1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図6A】[0014] 図6A及び図6Bは、1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図6B図6A及び図6Bは、1以上の実施形態による基板の断面図を示す。
図7】[0015] 本開示の1以上の実施形態による方法のプロセスフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016] 本発明の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は下記の説明において明記される構造又はプロセスステップの詳細事項に限定されないということを、理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、且つ様々な方法で実施又は実行することができる。
【0011】
[0017] ホウ素を含む膜は、化学的安定性、機械的強度、並びに熱的及び電気的特性を含む様々な所望の特性を有し得る。結果として、そのような膜は、半導体、医療、軍事、宇宙、及び原子力産業における用途を含む、多くの技術分野における多様な用途を有する。例えば、ホウ素炭素膜は、半導体デバイスの製造において、及び微小電気機械システム(MEMS)の製造において、中性子検出器として使用される。それらは、MEMS構成要素用の減摩コーティングにおいて、及び/又は、半導体デバイス製造プロセスにおける犠牲膜として使用されてよい。幾つかの実施形態では、ホウ素含有膜が、キャップ層、エッチング停止層として、フォトリソグラフィパターニングプロセスを促進するための層として、及び/又はドーピング層として(例えば、ホウ素ドーパント源として)使用され得る。半導体分野以外の用途も、当業者には明らかであろう。
【0012】
[0018] 1以上の実施形態では、ホウ素を含む膜が、そのような膜を作製するための方法と共に開示される。他の実施形態では、ホウ素含有膜が、半導体デバイスを製造するためのプロセスの一部であり得る。例えば、ホウ素含有膜は、半導体デバイス製造プロセス中に、三次元(3D)フィーチャ上に堆積され得る。1以上の実施形態では、ホウ素含有膜が、トランジスタゲートフィーチャ用のスペーサ材料として(例えば、FinFETなどのマルチゲートトランジスタ内のゲートフィーチャのスペーサ材料として)、及び/又は半導体デバイス製造プロセスにおける犠牲層として使用されてよい。
【0013】
[0019] 本明細書で説明されるように、ホウ素含有膜は、幾つかの実施形態では、半導体デバイス製造プロセスにおいてドーパント膜として使用され得る。例えば、ホウ素含有膜は、シリコン基板などの半導体基板のためのドーパント源を提供し得る。幾つかの実施形態では、ホウ素含有膜が、固体拡散(SSD)層として働き得る。その場合、ホウ素は、ドーパントとして働き得る。例えば、ホウ素含有膜は、基板の上に堆積され得る。堆積されたホウ素含有膜は、その後、アニールプロセスを受け得る。それによって、ホウ素含有膜からのホウ素が、下層の基板の中に押し込まれる。
【0014】
[0020] 本開示の1以上の実施形態は、有利なことに、第1の材料の上の第2の材料上にホウ素含有膜の選択的堆積を提供する。例えば、酸化ケイ素の上のシリコン上にホウ素を選択的に堆積することによって、更なるエッチング又はリソグラフィステップなしにホウ素層が好適に得られる。
【0015】
[0021] 本開示の1以上の実施形態は、基板表面上に少なくとも1つのフィーチャを有する基板表面が提供される処理方法を対象とする。これに関して使用されるときに、「提供される(provided)」という用語は、更なる処理のために基板がある位置又は環境の中に置かれることを意味する。図1A及び図1Bを参照すると、選択的堆積はまた、反応性イオンエッチング(RIE)チャンバ内での高選択性及び高アスペクト比のエッチングも可能にする。1以上の実施形態では、半導体デバイス100が提供される。デバイス100は、基板102の上面上に第1の材料104を有する基板102を含む。幾つかの実施形態では、デバイス100が、少なくとも1つのフィーチャ110を含む。フィーチャは、トレンチ、ビア、又はピラー(pillar)のうちの1以上から選択されてよい。幾つかの実施形態では、フィーチャ110が、少なくとも1つの側壁112及び下面114を有するトレンチを含む。
【0016】
[0022] 1以上の実施形態では、第1の材料104が、当業者に知られている任意の適切な材料を含んでよい。1以上の実施形態では、第1の材料104が、金属酸化物を含む。幾つかの実施形態では、第1の材料104が、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化錫(SnOx)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、及び炭素(C)のうちの1以上を含む。1以上の実施形態では、第2の材料106が、第1の材料104の上面上に形成される。第2の材料は、当業者に知られている任意の適切な材料を含んでよい。幾つかの実施形態では、第2の材料が、シリコン(Si)と窒化ケイ素(SiN)のうちの1以上を含む。
【0017】
[0023] 1以上の実施形態では、ホウ素含有層108が、第2の材料106の上面上に選択的に堆積され、第1の材料104上には形成されない。
【0018】
[0024] 1以上の実施形態では、ホウ素含有膜の選択的堆積が、有利なことに、スペーサエッチングプロセス中の停止層損失を低減させてよい。図2A及び図2Bを参照すると、1以上の実施形態では、半導体デバイス200が提供される。デバイス200は、基板202の上面上に第2の材料206を有する基板202を含む。幾つかの実施形態では、デバイス200が、少なくとも1つのフィーチャ220を含む。フィーチャ220は、トレンチ、ビア、又はピラー(pillar)のうちの1以上から選択されてよい。幾つかの実施形態では、フィーチャ220が、少なくとも1つの側壁222及び上面224を有するピラーを含む。
【0019】
[0025] 1以上の実施形態では、ピラー220が、第1の材料204によって取り囲まれた炭素層210を含む。幾つかの実施形態では、フィーチャ220がスペーサである。
【0020】
[0026] 1以上の実施形態では、第1の材料204が、当業者に知られている任意の適切な材料を含んでよい。1以上の実施形態では、第1の材料204が、金属酸化物を含んでよい。幾つかの実施形態では、第1の材料204が、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化錫(SnOx)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化チタン(TiN)、及び窒化タンタル(TaN)のうちの1以上を含む。1以上の実施形態では、第2の材料206が、当業者に知られている任意の適切な材料を含んでよい。幾つかの実施形態では、第2の材料206が、シリコン(Si)と窒化ケイ素(SiN)のうちの1以上を含む。
【0021】
[0027] 1以上の実施形態では、ホウ素含有層208が、第2の材料206の上面上に選択的に堆積され、第1の材料204上には形成されない。
【0022】
[0028] 1以上の実施形態では、ホウ素含有膜が、ハードマスクの上面上にのみ選択的に堆積され、基板上のトレンチ内には堆積されないように調整され得る。このような選択的堆積を使用して、高アスペクト比の構造内の選択的なエッチングを実現するために、ハードマスク又は上部構造を保護することができる。図3A及び図3Bを参照すると、1以上の実施形態では、半導体デバイス300が提供される。デバイス300は、基板302の上面上に形成された炭素層310を有する基板302を含む。第1のハードマスク層326が、炭素層310の上面上に形成され、第2のハードマスク層328が、第1のハードマスク層326の上面上に形成される。第1のハードマスク層326及び第2のハードマスク層328は、当業者に知られている任意の適切な材料を含んでよい。
【0023】
[0029] 幾つかの実施形態では、デバイス300が、少なくとも1つのフィーチャ312を含む。フィーチャは、トレンチ、ビア、又はピラー(pillar)のうちの1以上から選択されてよい。幾つかの実施形態では、フィーチャ312が、少なくとも1つの側壁314及び下面316を有するトレンチを含む。1以上の実施形態では、ホウ素含有層308が、第2のハードマスク層328の上面上に形成され、炭素層310上には形成されない。図3Bを参照すると、ホウ素含有膜308が、第2のハードマスク層328(及びデバイス300の上部)を保護する。それによって、選択的なエッチングが、高アスペクト比の構造内で実現され、少なくとも1つの側壁320及び下面322を有するフィーチャ318をもたらす。1以上の実施形態では、フィーチャ318が、フィーチャ312の深さよりも大きい深さを有する。
【0024】
[0030] 1以上の実施形態では、ボトムアップ堆積を実現して、デバイスの上面上のホウ素含有層の厚さと比較してフィーチャ内の厚さに大きな差をもたらすることができる。図4A及び図4Bを参照すると、1以上の実施形態では、半導体デバイス400が提供される。デバイス400は、基板402の上面上に形成された炭素層410を有する基板402を含む。第1のハードマスク層426が、炭素層410の上面上に形成され、第2のハードマスク層428が、第1のハードマスク層426の上面上に形成される。第1のハードマスク層426及び第2のハードマスク層428は、当業者に知られている任意の適切な材料を含んでよい。
【0025】
[0031] 幾つかの実施形態では、デバイス400が、少なくとも1つのフィーチャ412を含む。フィーチャは、トレンチ、ビア、又はピラー(pillar)のうちの1以上から選択されてよい。幾つかの実施形態では、フィーチャ412が、少なくとも1つの側壁414及び下面416を有するトレンチを含む。図4Bを参照すると、1以上の実施形態では、ホウ素含有層408が、第2のハードマスク層428の上面上に形成され、少なくとも1つのフィーチャ412内に間隙充填材料として形成される。図4Bを参照すると、ホウ素含有膜408のボトムアップ堆積が実現されて、少なくとも1つのフィーチャ412内のホウ素含有膜408の厚さと第2のハードマスク428の上面上のホウ素含有膜408の厚さとの間の大きな差をもたらすことができる。
【0026】
[0032] 1以上の実施形態では、シリコン上の選択的堆積又はボトムアップ堆積が、疎密(iso/dense)間の装荷(loading)を改善する。オープンエリアでは、堆積がわずかに厚い。側壁堆積は、高アスペクト比のエッチングでの反りを抑えることができる。図5を参照すると、1以上の実施形態では、半導体デバイス500が提供される。デバイス500は、基板502の上面上に形成されたハードマスク層510を有する基板502を含む。ハードマスク層510は、当業者に知られている任意の適切な材料を含んでよい。
【0027】
[0033] 幾つかの実施形態では、デバイス500が、少なくとも1つのフィーチャ512を含む。フィーチャは、トレンチ、ビア、又はピラー(pillar)のうちの1以上から選択されてよい。幾つかの実施形態では、フィーチャ512が、少なくとも1つの側壁514及び下面516を有するトレンチを含む。図5を参照すると、1以上の実施形態では、ホウ素含有層508が、少なくとも1つのフィーチャ512内に形成され、ハードマスク層510上には形成されない。
【0028】
[0034] 1以上の実施形態のホウ素含有膜は、実質的に正方形のスペーサ及び優れた限界寸法を実現するために、フィーチャの側壁を保護するよう使用されてよい。図6A及び図6Bを参照すると、1以上の実施形態では、半導体デバイス600が提供される。デバイス600は、基板602の上面上に第1の材料604を有する基板602を含む。幾つかの実施形態では、デバイス600が、少なくとも1つのフィーチャ620を含む。フィーチャ620は、トレンチ、ビア、又はピラー(pillar)のうちの1以上から選択されてよい。幾つかの実施形態では、フィーチャ620が、少なくとも1つの側壁622及び上面624を有するピラーを含む。
【0029】
[0035] 1以上の実施形態では、ピラー620が、第2の材料606によって取り囲まれた炭素層610を含む。幾つかの実施形態では、フィーチャ620がスペーサである。
【0030】
[0036] 1以上の実施形態では、第1の材料604が、当業者に知られている任意の適切な材料を含んでよい。1以上の実施形態では、第1の材料604が、金属酸化物を含んでよい。幾つかの実施形態では、第1の材料604が、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化錫(SnOx)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、及び炭素(C)のうちの1以上を含む。1以上の実施形態では、第2の材料606が、当業者に知られている任意の適切な材料を含んでよい。幾つかの実施形態では、第2の材料606が、シリコン(Si)と窒化ケイ素(SiN)のうちの1以上を含む。
【0031】
[0037] 1以上の実施形態では、ホウ素含有層608が、第2の材料606上に選択的に堆積され、第1の材料604上には形成されない。
【0032】
[0038] 本明細書で使用されるときに、「基板」とは、その上で製造プロセス中に膜処理が実行されるところの、任意の基板又は基板上に形成された材料表面のことを指す。例えば、処理が実施され得る基板表面には、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI:silicon on insulator)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアといった材料、並びに、金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料といった任意の他の材料が含まれる。基板は、半導体ウエハを含むが、それに限定されるものではない。基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、及び/又はベークするための前処理プロセスを、基板に受けさせてよい。本発明では、基板自体の表面に直接的に膜処理を行うことに加えて、開示される膜処理ステップのうちの任意のものが、以下でより詳細に開示するように、基板上に形成された下層でも実施され得る。「基板表面(substrate surface)」という用語は、文脈から分かるように、かかる下層を含むことを意図している。したがって、例えば基板表面上に膜/層又は部分的な膜/層が堆積している場合には、新たに堆積した膜/層の露出面が基板表面になる。
【0033】
[0039] 1以上の実施形態によれば、本方法は、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)プロセスを使用する。そのような実施形態では、基板表面が、順次的に又は実質的に順次的に前駆体(又は反応性ガス)に曝露される。本明細書の全体を通して使用されるときに、「実質的に順次的に」は、前駆体への曝露の期間の大部分が、共同試薬(co-reagent)への曝露と重ならないことを意味する。しかし、幾らかの重なりは存在してよい。
【0034】
[0040] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるときに、「前駆体」、「反応物質」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応することができる任意のガス種を指すために、相互交換可能に使用される。
【0035】
[0041] 本明細書で使用されるときに、「原子層堆積」又は「周期的堆積(cyclical deposition)」は、基板表面上に材料の層を堆積させるための、2つ以上の反応性化合物の順次的な曝露を指す。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「反応性化合物」、「反応性ガス」、「反応種」、「前駆体」、「処理ガス」などの用語は、交換可能に使用され、表面反応(例えば、化学吸着、酸化、還元)において基板表面又は基板表面上の材料と反応可能な種を有する物質を意味する。基板又は基板の一部分は、処理チャンバの反応区域の中に導入される2つ以上の反応性化合物に順次的に曝露される。時間領域ALDプロセスでは、各反応性化合物への曝露が、時間遅延によって分離されて、各化合物が基板表面上に付着し及び/又は基板表面上で反応することを可能にする。空間ALDプロセスでは、基板上の所与の点のいずれもが、実質的に、2つ以上の反応性化合物に同時に曝露されないように、基板表面又は基板表面上の材料の別々の部分が、2つ以上の反応性化合物に同時に曝露される。この明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるときに、これに関して使用される「実質的に」という用語は、当業者によって理解されることとなるように、拡散のために基板の小さい部分が同時に複数の反応性ガスに曝露され得る可能性が存在し、同時の曝露は意図されたものではないことを意味する。
【0036】
[0042] 時間領域ALD処理の一態様では、第1の反応性ガス(すなわち、第1の前駆体又は化合物A)が反応区域の中にパルス供給されてから、第1の時間遅延が伴う。次に、第2の前駆体又は化合物Bが反応区域の中にパルス供給された後に、第2遅延が発生する。各時間遅延の間に、アルゴンなどのパージガスが、処理チャンバの中に導入されて、反応区域をパージし、又は他の方法で任意の残留反応性化合物若しくは反応副生成物を反応区域から除去する。代替的に、反応性化合物のパルス(pluse)の間で時間遅延中に、パージガスのみが流れるように、パージガスが堆積プロセスの全体を通して連続的に流れてもよい。反応性化合物は、基板表面上に所望の膜又は膜厚が形成されるまで交互にパルス供給される(pulsed)。何れのシナリオでも、化合物A、パージガス、化合物B、及びパージガスをパルス供給する(pulsing)ALDプロセスは、サイクルである。サイクルは、化合物A又は化合物Bのいずれかで開始し得、所望の厚さの膜が得られるまで、サイクルのそれぞれの順序を継続し得る。
【0037】
[0043] ホウ素(B)は、多くの用途で原子層堆積又は化学気相堆積によって成長させることができる。本開示の1以上の実施形態は、有利なことに、ホウ素含有膜を形成するために、原子層堆積又は化学気相堆積用のプロセスを提供する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるときに、「ホウ素含有膜」は、ホウ素原子を含み、約1原子%以上のホウ素、約2原子%以上のホウ素、約3原子%以上のホウ素、約4原子%以上のホウ素、約5原子%以上のホウ素、約10原子%以上のホウ素、約15原子%以上のホウ素、約20原子%以上のホウ素、約25原子%以上のホウ素、約30原子%以上のホウ素、約35原子%以上のホウ素、約40原子%以上のホウ素、約45原子%以上のホウ素、約50原子%以上のホウ素、又は約60原子%以上のホウ素を有する膜を指す。幾つかの実施形態では、ホウ素含有膜が、ホウ素金属(元素ホウ素)、ホウ素炭素(BC)、又は窒化ホウ素(BN)のうちの1以上を含む。BNなどの分子式の使用は、元素間の特定の化学量論的関係を意味するものではなく、単に膜の主要な構成要素の同一性を意味することを、当業者は認識するであろう。例えば、BNは、主要な組成物がホウ素及び窒素原子を含む膜を指す。幾つかの実施形態では、特定の膜の主要な組成物(すなわち、特定の原子の原子パーセントの合計)が、原子ベースで膜の約95%、98%、99%、又は99.5%以上である。
【0038】
[0044] 図7を参照すると、本開示の1以上の実施形態は、膜を堆積させる方法700を対象とする。図7で示されている方法は、原子層堆積(ALD)プロセスを表し、基板又は基板表面が、反応性ガスの気相反応を防止し又は最小限に抑えるやり方で、反応性ガスに順次的に曝露される。幾つかの実施形態では、該方法が、化学気相堆積(CVD)プロセスを含み、反応性ガスが処理チャンバ内で混合されて、反応性ガスの気相反応及び薄膜の堆積を可能にする。
【0039】
[0045] 幾つかの実施形態では、方法700が、前処理動作705を含む。前処理は、当業者に知られている任意の適切な前処理であり得る。適切な前処理は、予熱、洗浄、浸漬、自然酸化物除去、又は接着層(例えば、窒化チタン(TiN))の堆積を含むが、それらに限定されない。1以上の実施形態では、窒化チタンなどの接着層が、動作705で堆積される。
【0040】
[0046] 堆積710では、基板(又は基板表面)上にホウ素含有膜を堆積させるためのプロセスが実行される。堆積プロセスは、基板上に膜を形成するための1以上の動作を含み得る。動作712では、基板(又は基板表面)上に膜を堆積させるために、基板(又は基板表面)がホウ素前駆体に曝露される。ホウ素前駆体は、基板表面上にホウ素含有種を残すために、基板表面と反応する(すなわち、基板表面上に吸着又は化学吸着する)ことができる任意の適切なホウ素含有化合物であり得る。幾つかの実施形態では、動作712が気相吸着を含む。幾つかの実施形態では、動作712がプラズマ強化プロセスであり、したがって、プラズマが含まれる。
【0041】
[0047] 1以上の実施形態では、ホウ素前駆体が、ホウ素ハロゲン化物を含む。本明細書中で使用されるときに、「ハロゲン化物」という用語は、二相を指し、その一方の部分はハロゲン原子であり、他方の部分は、ハロゲンよりも電気陰性の少ない元素又はラジカルであり、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又はアスタチド化合物を作る。ハロゲン化物イオンは、負電荷を帯びたハロゲン原子である。当業者に知られているように、ハロゲン化物アニオンは、フッ化物(F-)、塩化物(Cl-)、臭化物(Br-)、ヨウ化物(I-)、及びアスタチド(At-)を含む。
【0042】
[0048] 1以上の実施形態では、ホウ素ハロゲン化物が、三塩化ホウ素(BCl3)、三フッ化ホウ素(BF3)、及び三臭化ホウ素(BBr3)からなる群から選択される。
【0043】
[0049] 本明細書で使用されるときに、「基板表面(substrate surface)」は、その上に層が形成されてよい任意の基板表面を指す。基板表面は、その内部に形成された1以上のフィーチャ、その上に形成された1以上の層、及びこれらの組み合わせを有してよい。基板(又は基板表面)は、ホウ素含有層の堆積前に、例えば、研磨、エッチング、還元、酸化、ハロゲン化、ヒドロキシル化、アニーリング、ベーキングなどによって前処理されてよい。
【0044】
[0050] 基板は、例えば、シリコン基板、III‐V化合物基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、エピ基板、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板、ディスプレイ基板(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセンス(EL)ランプディスプレイ)、太陽電池アレイ、ソーラーパネル、発光ダイオード(LED)基板、半導体ウエハなどの、上部に材料を堆積することが可能な任意の基板であってよい。幾つかの実施形態では、ホウ素含有層が少なくとも部分的に上部に形成され得るように、1以上の更なる層が基板上に配置されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、金属、窒化物、酸化物など、又はこれらの組み合わせを含む層が、基板上に配置されてもよく、このような1以上の層の上にホウ素含有層が形成されてよい。
【0045】
[0051] 動作714では、未反応のホウ素前駆体、反応生成物、及び副生成物を除去するために、処理チャンバが任意選択的にパージされる。このように使用されるときに、「処理チャンバ」という用語はまた、処理チャンバの完全な内部空間を包含することなく、基板表面に隣接する処理チャンバの部分も含む。例えば、空間的に分離された処理チャンバのセクターにおいて、ホウ素前駆体を全く含まないか又は実質的に含まない処理チャンバの一部分又はセクターにガスカーテンを通して基板を移動させることを含むが、これに限定されない任意の適切な技法によって、基板表面に隣接する処理チャンバの一部分から、ホウ素前駆体がパージされる。幾つかの実施形態では、処理チャンバをパージすることが、基板上にパージガスを流すことを含む。幾つかの実施形態では、処理チャンバの一部分が、処理チャンバ内の微容量又は小容量の処理ステーションを指す。基板表面に言及する「隣接する」という用語は、表面反応(例えば、前駆体吸着)が起こるのに十分な空間を提供することができる、基板の表面に近接する物理的空間を意味する。1以上の実施形態では、パージガスが、窒素(N2)、ヘリウム(He)、及びアルゴン(Ar)のうちの1以上から選択される。
【0046】
[0052] 動作716では、基板(又は基板表面)が、プラズマに曝露されて、基板上にホウ素含有膜のうちの1以上を形成する。ホウ素含有膜を形成するために、基板表面上で反応物がホウ素含有種と反応し得る。1以上の実施形態では、プラズマが、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、及びアンモニア(NH3)のうちの1以上を含む。幾つかの実施形態では、プラズマが遠隔プラズマである。他の実施形態では、プラズマが直流プラズマである。
【0047】
[0053] 1以上の実施形態では、プラズマが、遠隔で又は処理チャンバ内で生成されてよい。1以上の実施形態では、プラズマが、誘導結合プラズマ(ICP)又は導電結合プラズマ(CCP)である。例えば、反応物、又は他のプロセス条件に応じて、任意の適切な電力を使用することができる。幾つかの実施形態では、プラズマが、約10Wから約3000Wの範囲のプラズマ出力で生成される。幾つかの実施形態では、プラズマが、約3000W以下、約2000W以下、約1000W以下、約500W以下、又は約250W以下のプラズマ出力で生成される。
【0048】
[0054] 動作718では、処理チャンバが、任意選択的に、プラズマへの曝露後にパージされる。動作718において処理チャンバをパージすることは、動作714におけるパージと同じプロセスであり得、又は異なるプロセスであり得る。処理チャンバ、処理チャンバの一部分、基板表面に隣接するエリアなどをパージすることにより、基板表面に隣接するエリアから未反応の反応物、反応生成物、及び副生成物が除去される。
【0049】
[0055] 判定720では、堆積されたホウ素含有膜の厚さ、又はホウ素前駆体及びプラズマのサイクル数が考慮される。堆積されたホウ素含有膜が所定の厚さに到達した場合、又は所定の数のプロセスサイクルが実行された場合、方法700は、任意選択的な後処理動作730に移動する。堆積された膜の厚さ又はプロセスサイクルの数が所定の閾値に到達していない場合、方法700は、動作710に戻り、動作712で再び基板表面をホウ素前駆体に曝露して、継続する。
【0050】
[0056] 任意選択的な後処理動作730は、例えば、膜特性を改修するためのプロセス(例えば、アニーリング)、又は更なる膜を成長させるための更なる膜堆積プロセス(例えば、更なるALD又はCVDプロセス)であり得る。幾つかの実施形態では、任意選択的な後処理工程730が、堆積された膜の特性を修正するプロセスであり得る。幾つかの実施形態では、任意選択的な後処理工程730が、堆積されたままの膜をアニーリングすることを含む。幾つかの実施形態では、アニーリングが、約300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、又は1000℃の範囲の温度で行われる。幾つかの実施形態のアニーリング環境は、不活性ガス(例えば、分子窒素(N2)、アルゴン(Ar))、若しくは還元ガス(例えば、分子水素(H2)若しくはアンモニア(NH3))、又は酸化剤(例えば、限定されないが、酸素(O2)、オゾン(O3)、若しくは過酸化物)のうちの1以上を含む。アニーリングは、任意の適切な長さの時間にわたって実行され得る。幾つかの実施形態では、膜が、約15秒から約90分の範囲、又は約1分から約60分の範囲の所定の時間にわたってアニールされる。幾つかの実施形態では、堆積されたままの膜をアニーリングすることが、密度を増加させ、抵抗を減少させ、及び/又は膜の純度を高める。
【0051】
[0057] 方法700は、例えば、デバイスのホウ素前駆体、反応物、又は熱収支に応じて、任意の適切な温度で実行され得る。1以上の実施形態では、高温処理の使用が、論理デバイスなどの温度に敏感な基板にとっては望ましくない場合がある。幾つかの実施形態では、ホウ素前駆体への曝露(動作712)とプラズマへの曝露(動作716が)が、同じ温度で行われる。幾つかの実施形態では、基板が、約20℃から約400℃、又は約50℃から約650℃の範囲の温度で維持される。
【0052】
[0058] 幾つかの実施形態では、ホウ素前駆体への曝露(動作712)が、プラズマへの曝露(動作716)とは異なる温度で行われる。幾つかの実施形態では、基板が、ホウ素前駆体への曝露のために、約20度から約400℃又は約50℃から約650℃の範囲の第1の温度で維持され、反応物への曝露のために、約20℃から約400℃又は約50℃から約650℃の範囲の第2の温度で維持される。
【0053】
[0059] 図7で示されている一実施形態では、堆積動作710において、基板(又は基板表面)が、ホウ素前駆体とプラズマとに順次的に曝露される。図示されていない別の一実施形態では、基板(又は基板表面)が、CVD反応において、ホウ素前駆体とプラズマとに同時に曝露される。CVD反応では、基板(又は基板表面)が、所定の厚さを有するホウ素含有膜を堆積させるために、ホウ素前駆体と反応物との気体混合物に曝露され得る。CVD反応では、ホウ素含有膜が、混合された反応性ガスへの1回の曝露、又は間にパージを挟んで混合された反応性ガスへの複数回の曝露で堆積され得る。
【0054】
[0060] 幾つかの実施形態では、形成されたホウ素含有膜が元素ホウ素を含む。別の言い方をすれば、幾つかの実施形態では、ホウ素含有膜が、ホウ素を含む金属膜を含む。幾つかの実施形態では、金属膜が本質的にホウ素からなる。このやり方で使用されるときに、「本質的にホウ素からなる」という用語は、ホウ素含有膜が、原子ベースで、約80%、85%、90%、95%、98%、99%、又は99.5%以上のホウ素であることを意味する。ホウ素含有膜の組成物の測定値は、隣接する膜からの元素の拡散が起こり得る接触面領域を除いた、膜のバルク部分に言及している。
【0055】
[0061] 他の実施形態では、ホウ素含有膜が、原子ベースで、約5%、7.5%、10%、12.5%、又は15%以上の炭素含有量を有するホウ素炭素(BC)を含む。幾つかの実施形態では、ホウ素含有膜が、原子ベースで、約2%から約30%の範囲、若しくは約3%から約25%の範囲、又は約4%から約20%の範囲の炭素含有量を含む。
【0056】
[0062] 他の実施形態では、ホウ素含有膜が、原子ベースで、約5%、7.5%、10%、12.5%、又は15%以上の窒素含有量を有する窒化ホウ素(BN)を含む。幾つかの実施形態では、ホウ素含有膜が、原子ベースで、約2%から約30%の範囲、若しくは約3%から約25%の範囲、又は約4%から約20%の範囲の窒素含有量を含む。
【0057】
[0063] 堆積動作710は、所定の厚さを有するホウ素膜、ホウ素炭素膜、及び窒化ホウ素膜のうちの1以上を形成するために繰り返され得る。幾つかの実施形態では、堆積動作710が、約0.3nmから約100nmの範囲、又は約1nmから約15nmの範囲の厚さを有する、ホウ素膜、ホウ素炭素膜、及び窒化ホウ素膜のうちの1以上を提供するために繰り返される。
【0058】
[0064] 本開示の1以上の実施形態は、高アスペクト比のフィーチャ内にホウ素含有膜を堆積させる方法を対象とする。高アスペクト比のフィーチャは、約10、20、又は50以上の高さと幅との比を有する、トレンチ、ビア、又はピラーである。幾つかの実施形態では、ホウ素含有膜が、高アスペクト比のフィーチャ上にコンフォーマルに堆積される。このやり方で使用されるときに、コンフォーマルな膜は、フィーチャの下部における厚さの約80%~120%の範囲のフィーチャの上部付近での厚さを有する。
【0059】
[0065] 本開示の幾つかの実施形態は、フィーチャのボトムアップ間隙充填のための方法を対象とする。ボトムアップ間隙充填プロセスは、下部及び側部からフィーチャを充填するコンフォーマルなプロセスに対して、下部からフィーチャを充填する。幾つかの実施形態では、フィーチャが、下部に第1の材料(例えば、酸化ケイ素)を有し、上面上に第2の材料(例えば、窒化ケイ素)を有する。ホウ素含有膜は、第1の材料に対して第2の材料上に選択的に堆積される。それによって、ホウ素膜は、ボトムアップ方式でフィーチャを充填する。
【0060】
[0066] 1以上の実施形態によれば、基板は、層を形成する前及び/又は形成した後に処理を受ける。この処理は、同じチャンバ内又は1以上の別個の処理チャンバ内で実行されてよい。ある実施形態では、基板が、第1のチャンバから、更なる処理のために別の分離した第2のチャンバに移される。基板は、第1のチャンバから別の処理チャンバへ直接的に移動されてよく、又は第1のチャンバから1以上の移送チャンバへ移動され、次いで、別の処理チャンバへ移動されてよい。したがって、処理装置は、移送ステーションに連通する複数のチャンバを備えてよい。この種の装置は、「クラスタツール」又は「クラスタシステム」などと呼ばれてよい。
【0061】
[0067] 一般的に、クラスタツールは、基板の中心検出及び配向、ガス抜き、アニーリング、堆積、並びに/又はエッチングを含む、様々な機能を実行する複数のチャンバを備えたモジュール式システムである。1以上の実施形態によれば、クラスタツールは、少なくとも第1のチャンバ及び中央移送チャンバを含む。中央移送チャンバは、処理チャンバとロードロックチャンバとの間で基板を往復搬送することができるロボットを収容してよい。移送チャンバは、通常、減圧状態に維持され、基板を、あるチャンバからクラスタツールの前端に配置された別のチャンバ及び/又はロードロックチャンバへ往復搬送するための中間段階を設ける。本開示に適合し得る2つのよく知られたクラスタツールは、両方ともカリフォルニア州サンタクララにあるアプライドマテリアルズ社から購入可能なCentura(登録商標)とEndura(登録商標)である。しかし、チャンバの正確な配置及び組み合わせは、本明細書で説明される処理の特定のステップを実行する目的で変更され得る。使用可能な他の処理チャンバは、限定されないが、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、予洗浄、化学洗浄、RTPなどの熱処理、プラズマ窒化、ガス抜き、配向、ヒドロキシル化、及びその他の基板処理を含む。クラスタツール上でチャンバ内の処理を実施することにより、後続膜を堆積する前に、酸化を伴わずに、空気中の不純物による基板の表面汚染を回避することができる。
【0062】
[0068] 1以上の実施形態によると、基板は、継続的に減圧条件又は「ロードロック」条件の下にあり、あるチャンバから次のチャンバへと移動されるときに周囲空気に曝露されない。したがって、移送チャンバは、減圧下にあり、減圧下で「ポンプダウン」される。処理チャンバ又は移送チャンバ内に不活性ガスが存在し得る。幾つかの実施形態では、反応物(例えば、反応物質)の一部又は全部を除去するために、パージガスとして不活性ガスが使用される。1以上の実施形態によれば、パージガスを堆積チャンバの出口で注入して、反応物(例えば、反応物質)が、堆積チャンバから移送チャンバ及び/又は更なる処理チャンバへ移動することを防止する。したがって、不活性ガスの流れが、チャンバの出口でカーテンを形成する。
【0063】
[0069] 基板は、単一の基板堆積チャンバ内で処理されてよく、この単一の基板堆積チャンバでは、別の基板が処理される前に、単一の基板がロードされ、処理され、アンロードされる。基板は、複数の基板が個々に、チャンバの第1の部分の中へロードされ、チャンバを通って移動し、チャンバの第2の部分からアンロードされる、コンベヤシステムに類似した連続的なやり方で処理されることも可能である。チャンバ及び関連するコンベヤシステムの形状は、直線経路又は曲線経路を形成することができる。更に、処理チャンバは、複数の基板が、中心軸の周りを移動し、カルーセル経路の間中、堆積、エッチング、アニーリング、洗浄などの処理を受ける、カルーセルであってよい。
【0064】
[0070] 処理の間、基板を加熱又は冷却することができる。そうした加熱又は冷却は、限定されないが、基板支持体の温度を変化させること、及び、基板表面へ加熱された又は冷却されたガスを流すことを含む、任意の適切な手段によって達成することができる。ある実施形態では、基板支持体が、伝導的に基板温度を変化させるように制御することができるヒータ/クーラを含む。1以上の実施形態では、基板温度を局所的に変化させるため、使用するガス(反応性ガス又は不活性ガスのいずれか)が加熱又は冷却される。ある実施形態では、基板温度を対流によって変化させるため、ヒータ/クーラが、チャンバ内部で基板表面に隣接するように配置される。
【0065】
[0071] 基板はまた、プロセス中に、静止又は回転させることができる。回転する基板は、連続的又は非連続に段階的に(基板軸の周りを)回転され得る。例えば、処理全体を通して基板を回転させてもよく、又は、様々な反応性ガス又はパージガスへの曝露の合間に基板を少しずつ回転させてもよい。処理中に基板を(連続的に又は段階的にのいずれかで)回転させることにより、例えば、ガス流形状の局所的可変性の影響が最小限に抑えられ、より均一な堆積又はエッチングの生成に役立つことができる。
【0066】
[0072] 次に、本開示は、以下の複数の実施例を参照して説明される。本開示の幾つかの例示的な実施形態が説明される前に理解するべきことは、本開示が以下の説明で提示される構成又は処理ステップの詳細に限定されないということである。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々なやり方で実施又は実行することができる。
【0067】
[0073] 複数の実施例
【0068】
[0074] 実施例1ホウ素含有薄膜の原子層堆積
【0069】
[0075] 一般的な手順シリコン上に酸化ケイ素の層及び酸化ケイ素上に窒化ケイ素の層を有するシリコン基板が、処理チャンバ内に配置される。ホウ素前駆体であるBCl3が、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希釈ガスの雰囲気中で処理チャンバの中のシリコン基板の上に流入されて、ホウ素前駆体で終端した表面を残す。次いで、未反応の前駆体と副生成物は、チャンバからパージされる。次に、プラズマN2が、チャンバの中に導入され、表面に結合したホウ素種と反応する。再び、余剰なプラズマと副生成物は、チャンバから除去される。基板上に結果として生じる材料は、ホウ素含有膜である。
【0070】
[0076] 「下」、「下方」、「下側」、「上」、「上方」、「上側」などの、空間的な相対語は、図面中で示されているように、1つの要素又はフィーチャの、別の(1以上の)要素又は(1以上の)フィーチャに対する関係を説明することを容易にするために、本明細書で使用されてよい。空間的な相対語は、図面中で描かれている配向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの種々の配向を包含することが意図されていることを理解されたい。例えば、図面内のデバイスがひっくり返された場合、他の要素又はフィーチャの「下方」又は「下」として説明された要素は、他の要素又はフィーチャの「上方」に配向されることになる。したがって、例示的な用語「下」は、上と下の両方の配向を含んでよい。デバイスは、他の方法で配向され(90度又は他の配向に回転され)てよく、本明細書で使用される空間的な相対記述語がそれに応じて解釈され得る。
【0071】
[0077] 本明細書で説明される材料及び方法を説明する文脈において(殊に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」並びに「その(the)」と、類似の指示物の使用は、本明細書でその逆が示されているか又は明らかに文脈から矛盾する場合を除いて、単数と複数の両方をカバーすると解釈される。本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書で特に明記しない限り、範囲内に入る各個別の値を個別に参照する略記法として機能することを単に意図しており、各個別の値は、本明細書で個別に引用されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書で説明される全ての方法は、本明細書でその逆が示されているか又はさもなければ文脈から明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行されてよい。本明細書で提供されている任意の及び全ての実施例又は例示的な言葉(例えば、「などの」)の使用は、単に材料及び方法をより良く説明することを意図したものであり、特に請求されない限り、範囲を限定しない。明細書中の言葉は、開示された材料及び方法の実施に不可欠であると主張されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0072】
[0078] この明細書全体を通じて、「一実施形態(one embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、「1以上の実施形態(one or more embodiments)」、又は「実施形態(an embodiment)」に対する言及は、実施形態に関連して説明されている特定のフィーチャ、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。故に、この明細書全体の様々な箇所での「1以上の実施形態で」、「特定の実施形態で」、「一実施形態で」、又は「実施形態で」などの表現は、必ずしも、本開示の同一の実施形態に言及するものではない。1以上の実施形態では、特定のフィーチャ、構造、材料、又は特質が、任意の適切なやり方で組み合わされ得る。
【0073】
[0079] 本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の例示にすぎないことを理解されたい。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して様々な改変及び変形を行い得ることが、当業者には明らかになろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7