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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】正極活物質の製造方法及び正極活物質
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20240909BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240909BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240909BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 C
C01G53/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023533757
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 KR2022001115
(87)【国際公開番号】W WO2022158899
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0008933
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ホ・オム
(72)【発明者】
【氏名】ノ・ウ・カク
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ヘ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・フン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ジン・イム
(72)【発明者】
【氏名】ナ・リ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ウォン・イ
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-048070(JP,A)
【文献】特開2010-211925(JP,A)
【文献】特開2020-136264(JP,A)
【文献】国際公開第2019/164313(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
C01G53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)全金属のうちニッケル(Ni)を70モル%以上含む正極活物質前駆体とリチウム含有原料物質を混合し、1次焼成して仮焼成品を製造する段階;
(B)前記仮焼成品とアルミニウム含有原料物質を混合し、酸素を20体積%から100体積%で含む酸素雰囲気下で2次焼成し、リチウム遷移金属酸化物を製造する段階;及び
(C)前記リチウム遷移金属酸化物とホウ素含有原料物質を混合し、熱処理してコーティング層を形成する段階;を含み、
前記2次焼成は、焼成時間に応じて酸素濃度を減少させながら行うことである、正極活物質の製造方法。
【請求項2】
前記正極活物質前駆体は、下記化学式1-1または化学式1-2で表される組成を有するものである、請求項1に記載の正極活物質の製造方法:
[化学式1-1]
Nia1Cob1Mnc1 d1(OH)
[化学式1-2]
Nia1Cob1Mnc1 d1O・OH
前記化学式1-1及び化学式1-2中、
は、Zr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、Ce、Hf、F、P、S及びLaのうちから選択される1種以上であり、
0.7≦a1≦1.0、0≦b1≦0.3、0≦c1≦0.3、0≦d1≦0.1である。
【請求項3】
前記(B)段階は、2次焼成後、2次焼成温度から常温に冷却する(b1)段階をさらに含み、
前記(b1)段階は、酸素を20体積%から75体積%で含む酸素雰囲気下で行われるものである、請求項1または2に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項4】
前記2次焼成時の焼成時間による酸素濃度減少率は、0.5体積%/時間から15体積%/時間である、請求項1から3のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項5】
前記1次焼成温度は、500℃から775℃である、請求項1から4のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項6】
前記2次焼成温度は、730℃から900℃である、請求項1から5のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項7】
前記2次焼成温度は前記1次焼成温度より高く、前記2次焼成温度と1次焼成温度の差は10℃から250℃である、請求項1から6のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項8】
前記アルミニウム含有原料物質は、Al(OH)、Al、AlF、AlBr、AlPO、AlCl、Al(NO、Al(NO・9HO、Al(SO・HO、Al(HPO、CAl、 Al(SO、NaAlO、AlCoO、LaAlO、及びMgAlのうちから選択される1種以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項9】
前記熱処理温度は、250℃から400℃である、請求項1から8のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項10】
前記ホウ素含有原料物質は、HBO、B、B、LiBO、Li及びAlBOのうちから選択される1種以上である、請求項1から9のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項11】
リチウムを除いた全金属のうちニッケル(Ni)を70モル%以上含み、1次粒子が凝集されて形成された2次粒子形態であるリチウム遷移金属酸化物;及び前記リチウム遷移金属酸化物上に形成されたAl及びBを含むコーティング層;を含み、
正極活物質の中心から正極活物質の全体積の60体積%に該当する領域であるコア部に含まれる1次粒子は、表面部から中心部まで減少するAlの濃度勾配を有し、前記1次粒子表面部のAlの濃度は、前記1次粒子中心部のAlの濃度対比2倍から6倍である、正極活物質。
【請求項12】
前記リチウム遷移金属酸化物は、下記化学式2で表される組成を有するものである、請求項11に記載の正極活物質:
[化学式2]
LiNia2Cob2Mnc2Ald2 e2
前記化学式2中、
は、Zr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、Ce、Hf、F、P、S及びLaのうちから選択される1種以上であり、
0.9≦x≦1.12、0.7≦a2≦1.0、0≦b2≦0.3、0≦c2≦0.3、0<d2≦0.2、0≦e2≦0.1である。
【請求項13】
前記コーティング層は、類似スピネル相(spinel-like phase)を含むものである、請求項11または12に記載の正極活物質。
【請求項14】
請求項11に記載の正極活物質を含むリチウム二次電池用正極。
【請求項15】
請求項14に記載のリチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年1月21日付け韓国特許出願第10-2021-0008933号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、リチウム二次電池用正極活物質の製造方法及び前記製造方法により製造された正極活物質、前記正極活物質を含むリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術の開発と需要の増加に伴い、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加している。かかる二次電池のうち、高いエネルギー密度と電圧を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化され、広く用いられている。
【0004】
リチウム二次電池の正極活物質としてはリチウム遷移金属酸化物が用いられており、中でも、作動電圧が高く、容量特性に優れたLiCoOのリチウムコバルト酸化物が主に用いられていた。しかし、LiCoOは、脱リチウムによる結晶構造の不安定化により熱的特性が非常に劣悪であり、また、高価であるため、電気自動車などのような分野の動力源として大量使用するには限界がある。
【0005】
前記LiCoOを代替するための材料として、リチウムマンガン複合金属酸化物(LiMnOまたはLiMnなど)、リン酸鉄リチウム化合物(LiFePOなど)またはリチウムニッケル複合金属酸化物(LiNiOなど)などが開発された。この中でも、約200mAh/gの高い可逆容量を有するため、大容量の電池の具現が容易なリチウムニッケル複合金属酸化物に対する研究と開発がより活発に行われている。しかし、前記LiNiOは、LiCoOと比較して熱安定性が劣り、充電状態で外部からの圧力などによって内部短絡が生じると、正極活物質そのものが分解され、電池の破裂及び発火をもたらす問題があった。これにより、LiNiOの優れた可逆容量は維持しつつも低い熱安定性を改善するための方法として、ニッケルの一部をコバルトで置換したLiNi1-αCoα(α=0.1~0.3)、または、ニッケルの一部をMn、CoまたはAlで置換したリチウムニッケルコバルト金属酸化物が開発された。
【0006】
しかし、前記リチウムニッケルコバルト金属酸化物の場合、容量が低いという問題点があった。前記リチウムニッケルコバルト金属酸化物の容量を増加させるために、リチウムニッケルコバルト金属酸化物に含まれるニッケルの含量を増加させる方法が研究されたが、この場合、表面に未反応の残留リチウムの存在により水洗の工程が必須であり、水洗の工程により正極活物質表面の欠陥(defect)が発生し、電池の寿命特性が低下した。
【0007】
これを克服するため、従来には、正極活物質の水洗後、低温で正極活物質の表面にコーティング層を形成する方法が研究されたが、高温寿命特性及び抵抗特性を改善するという側面で依然として限界がある。
【0008】
したがって、高温寿命特性及び抵抗特性が改善された正極活物質に対する開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高温寿命特性及び高温抵抗特性が改善された正極活物質を製造する方法、及びこれにより製造された正極活物質を提供することにある。
【0010】
但し、本発明が解決しようとする課題は、前記言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、(A)全金属のうちニッケル(Ni)を70モル%以上含む正極活物質前駆体とリチウム含有原料物質を混合し、1次焼成して仮焼成品を製造する段階;(B)前記仮焼成品とアルミニウム含有原料物質を混合し、酸素を20体積%から100体積%で含む酸素雰囲気下で2次焼成し、リチウム遷移金属酸化物を製造する段階;及び(C)前記リチウム遷移金属酸化物とホウ素含有原料物質を混合し、熱処理してコーティング層を形成する段階;を含み、前記2次焼成は、焼成時間に応じて酸素濃度を減少させながら行うことである正極活物質の製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、リチウムを除いた全金属のうちニッケル(Ni)を70モル%以上含み、1次粒子が凝集されて形成された2次粒子形態であるリチウム遷移金属酸化物;及び前記リチウム遷移金属酸化物上に形成されたAl及びBを含むコーティング層;を含み、正極活物質の中心から正極活物質の全体積の60体積%に該当する領域であるコア部に含まれる1次粒子は、表面部から中心部まで減少するAlの濃度勾配を有し、前記1次粒子表面部のAlの濃度は、前記1次粒子中心部のAlの濃度対比2倍から6倍である正極活物質を提供する。
【0013】
そして、本発明は、本発明による正極活物質を含むリチウム二次電池用正極を提供する。
【0014】
また、本発明は、本発明による正極を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、正極活物質の製造時、アルミニウムを仮焼成(1次焼成)した後、2次焼成前に投入し、特定の酸素雰囲気下で2次焼成を行うことで、正極活物質のコア部に含まれる1次粒子に存在するアルミニウムのドーピングの程度を調節することにより、製造される正極活物質が適用された電池の高温寿命特性及び高温抵抗特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1おいて、2次焼成時の酸素雰囲気を示したグラフである。
図2】実施例2において、2次焼成時の酸素雰囲気を示したグラフである。
図3】比較例1において、2次焼成時の酸素雰囲気を示したグラフである。
図4】比較例2において、2次焼成時の酸素雰囲気を示したグラフである。
図5】実施例1の正極活物質のTEM分析結果を示した図である。
図6】実施例1の正極活物質のTEM分析結果を示した図である。
図7】実施例1の正極活物質のTEM分析結果を示した図である。
図8】比較例1の正極活物質のTEM分析結果を示した図である。
図9】比較例1の正極活物質のTEM分析結果を示した図である。
図10】比較例1の正極活物質のTEM分析結果を示した図である。
図11】実施例1、2及び比較例1、2によるリチウム二次電池の高温(45℃)における容量維持率(単位:%)及び抵抗増加率(単位:%)を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に対する理解を助けるために本発明をより詳細に説明する。この際、本明細書及び特許請求の範囲に用いられている用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念として解釈されなければならない。
【0018】
本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするのであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらの組み合わせなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものとして理解されなければならない。
【0019】
本明細書において、「%」は、明示的な他の表示がない限り重量%を意味する。
【0020】
本明細書において、「上に」という用語は、ある構成が他の構成のすぐ上面に形成される場合だけでなく、これらの構成間に第3の構成が介在される場合まで含むことを意味する。
【0021】
本明細書において、「1次粒子」は、走査電子顕微鏡を介して正極活物質を観測した際に認識される粒子の最小単位を意味し、「2次粒子」は、複数の1次粒子が凝集されて形成された2次構造体を意味する。
【0022】
正極活物質の製造方法
以下、本発明による正極活物質の製造方法に対して具体的に説明する。
【0023】
本発明による正極活物質の製造方法は、(A)全金属のうちニッケル(Ni)を70モル%以上含む正極活物質前駆体とリチウム含有原料物質を混合し、1次焼成して仮焼成品を製造する段階;(B)前記仮焼成品とアルミニウム含有原料物質を混合し、酸素を20体積%から100体積%で含む酸素雰囲気下で2次焼成し、リチウム遷移金属酸化物を製造する段階;及び(C)前記リチウム遷移金属酸化物とホウ素含有原料物質を混合し、熱処理してコーティング層を形成する段階;を含み、前記2次焼成は、焼成時間に応じて酸素濃度を減少させながら行うことである。
【0024】
本発明者達は、正極活物質の製造時、アルミニウムを仮焼成(1次焼成)した後、2次焼成段階で投入し、特定の酸素雰囲気下で2次焼成を行うことで、正極活物質のコア部に含まれる1次粒子の表面に存在するアルミニウムのドーピングの程度を調節することにより、製造される正極活物質が適用された電池の高温寿命特性及び高温抵抗特性を改善することができることを見出した。
【0025】
以下、各段階別により詳細に説明する。
【0026】
(A)段階
(A)段階は、全金属のうちニッケル(Ni)を70モル%以上含む正極活物質前駆体とリチウム含有原料物質を混合した混合物を1次焼成し、仮焼成品を製造する段階である。
【0027】
前記正極活物質前駆体は、下記化学式1-1または化学式1-2で表される組成を有するものであってよい。
【0028】
[化学式1-1]
Nia1Cob1Mnc1 d1(OH)
[化学式1-2]
Nia1Cob1Mnc1 d1O・OH
前記化学式1-1及び化学式1-2中、
は、Zr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、Ce、Hf、F、P、S及びLaのうちから選択される1種以上であり、
0.7≦a1≦1.0、0≦b1≦0.3、0≦c1≦0.3、0≦d1≦0.1である。
【0029】
前記a1は、前駆体内の金属元素のうちニッケルの原子分率を意味するものであって、0.7≦a<1、0.7≦a≦0.98、または0.7≦a≦0.95であってよい。
【0030】
前記b1は、前駆体内の金属元素のうちコバルトの原子分率を意味するものであって、0<b≦0.3または0.01≦b≦0.3であってよい。
【0031】
前記c1は、前駆体内の金属元素のうちマンガンの原子分率を意味するものであって、0<c≦0.3または0.01≦c≦0.3であってよい。
【0032】
前記d1は、前駆体内の金属元素のうちMの原子分率を意味するものであって、0≦d≦0.1または0≦d≦0.05であってよい。
【0033】
前記リチウム含有原料物質は、水酸化リチウム水和物、炭酸リチウム及び水酸化リチウムのうち選択された1種以上を含むものであってよい。前記リチウム含有原料物質は、具体的に、水酸化リチウム水和物、より具体的に、LiOH・HOであってよい。この場合、前駆体内の金属元素のうちニッケルの原子分率が高い前駆体とリチウム含有原料物質の反応性が改善され得る。
【0034】
前記正極活物質前駆体と前記リチウム含有原料物質は、1:1.0から1:1.10、具体的には1:1.03から1:1.09、より具体的には1:1.05から1:1.09モル比で混合されてよい。リチウム含有原料物質が前記範囲未満で混合される場合、製造される正極活物質の容量が低下する虞があり、リチウム含有原料物質が前記範囲を超過して混合される場合、未反応の多量のLiが副産物として残るようになり、容量の低下、及び焼成後に正極活物質粒子の分離(正極活物質の接合現象誘発)が発生し得る。
【0035】
前記1次焼成温度は、500℃から775℃であってよい。前記1次焼成温度は、具体的には600℃から760℃であってよく、より具体的には620℃から700℃であってよい。1次焼成温度が前記範囲内である場合、仮焼成品の結晶構造を調節することができ、結果的に、2次焼成時のアルミニウムの拡散を適切に調節することができる。
【0036】
前記1次焼成は、酸素雰囲気で行うことであってよい。例えば、前記1次焼成は、酸素を90体積%以上、具体的に95体積%以上で含む酸素雰囲気下で行うことであってよい。この場合、構造的に安定した相を有する仮焼成品が形成され得る。
【0037】
前記1次焼成は、2時間から15時間行うことであってよい。前記焼成は、具体的には3時間から10時間、より具体的には3時間から8時間行うことであってよい。1次焼成時間が前記範囲内である場合、焼成位置別に偏差がないように、すなわち、均一に焼成がうまく行われ得る。
【0038】
前記仮焼成品には、表面に未反応の残留リチウムが存在するところ、このような残留リチウムの量は、本発明による(B)段階と(C)段階を経て最小化され得る。
【0039】
(B)段階
(B)段階は、前記(A)段階で製造した仮焼成品とアルミニウム含有原料物質を混合し、2次焼成温度まで昇温した後、酸素を20体積%から100体積%で含む酸素雰囲気下で2次焼成し、リチウムを除いた全金属のうちニッケル(Ni)を70モル%以上含み、1次粒子が凝集されて形成された2次粒子であるリチウム遷移金属酸化物を製造する段階である。このとき、前記2次焼成は、焼成時間に応じて酸素濃度を減少させながら行うことである。
【0040】
本発明は、前記(B)段階において、アルミニウム含有原料物質を混合し、特定の酸素雰囲気下で2次焼成を行うことにより、結果的に得られる正極活物質の中心から正極活物質の全体積の60体積%に該当する領域であるコア部に含まれる1次粒子の表面部にアルミニウムが高い濃度で存在するコーティング層が形成されるので、前記正極活物質を含む二次電池の高温寿命特性及び高温抵抗特性が改善され得る。
【0041】
前記アルミニウム含有原料物質は、Al(OH)、Al、AlF、AlBr、AlPO、AlCl、Al(NO、Al(NO・9HO、Al(SO・HO、Al(HPO、CAl、 Al(SO、NaAlO、AlCoO、LaAlO、及びMgAlのうち選択される1種以上であってよい。前記アルミニウム含有原料物質は、具体的にはAl(OH)、Alであってよく、より具体的にはAl(OH)であってよい。この場合、アルミニウム含有原料物質の融点が低いため、アルミニウムが均一に拡散され、リチウム遷移金属酸化物の表面側に豊かで均一に存在することができる。
【0042】
前記アルミニウム含有原料物質は、前記仮焼成品に対し、1,000ppmから10,000ppm、具体的には2,000ppmから8,000ppm、より具体的には4,000ppmから6,000ppmの含量で添加されてよい。アルミニウム含有原料物質の含量が前記範囲内である場合、製造される正極活物質を電池に適用する際に電池の容量低下が防止されるだけでなく、熱安定性が改善され得る。
【0043】
前記2次焼成温度は、730℃から900℃であってよい。前記2次焼成温度は、具体的には730℃から850℃であってよく、より具体的には750℃から800℃であってよい。2次焼成温度が前記範囲内である場合、適切な結晶大きさが形成され、製造される正極活物質を電池に適用する際に電池の寿命特性が改善され得る。
【0044】
前記2次焼成温度は、前記1次焼成温度より高く、前記2次焼成温度と前記1次焼成温度の差は10℃から250℃、具体的には20℃から150℃、より具体的には30℃から140℃であってよい。前記2次焼成温度と前記1次焼成温度の差が前記範囲内である場合、1次粒子の表面に存在するアルミニウムのドーピングの程度を調節するのに有利である。
【0045】
前記2次焼成は、酸素を20体積%から100体積%、具体的には20体積%から90体積%、より具体的には30体積%から90体積%で含む酸素雰囲気下で行うことである。そして、前記2次焼成は、焼成時間に応じて酸素濃度を減少させながら行うことである。この場合、高温焼成時に酸素雰囲気により現れる偏析現象がよく起こるという長所がある。一方、酸素雰囲気が20体積%未満の場合、ニッケルの含量が高い正極活物質の構造的不安定性のため、より安定した相を有する残留リチウムの量が増加する問題がある。
【0046】
前記2次焼成時の焼成時間に応じた酸素濃度の減少率は、0.5体積%/時間から15体積%/時間、具体的には1体積%/時間から10体積%/時間、より具体的には2体積%/時間から10体積%/時間であってよい。前記2次焼成時の焼成時間に応じた酸素濃度の減少率が前記範囲内である場合、高温焼成時に酸素雰囲気により現れる偏析現象がよく起こるという長所がある。
【0047】
前記2次焼成は、2時間から15時間行うことであってよい。前記焼成は、具体的には3時間から10時間、より具体的には3時間から8時間行うことであってよい。2次焼成時間が前記範囲内である場合、焼成位置別に偏差がなく、すなわち、均一に焼成がよく行われ得る。
【0048】
一方、前記(B)段階は、2次焼成後、2次焼成温度から常温に冷却する(b1)段階をさらに含んでよく、前記(b1)段階は、酸素を20体積%から75体積%、具体的には40体積%から60体積%で含む酸素雰囲気下で行われることであってよい。この場合、2次焼成の結果で生成されるリチウム遷移金属酸化物の物性、例えば、リチウム遷移金属酸化物に含まれる1次粒子に存在するAlの濃度勾配などが維持され得る。
【0049】
また、前記(B)段階は、2次焼成後、水洗及び乾燥する(b2)段階をさらに含むことができる。
【0050】
前記水洗は、未反応の残留リチウムを除去するための工程であり、2次焼成品と水洗溶液を混合して洗浄した後、水洗溶液から2次焼成品を分離する工程である。
【0051】
前記水洗溶液は、水、エタノールなどであってよいが、これに限定されるものではない。
【0052】
前記水洗溶液は、前記2次焼成品100重量部に対して60重量部から200重量部、具体的には60重量部から150重量部、より具体的には80重量部から120重量部の含量で混合されてよい。水洗溶液の含量が前記範囲内である場合、2次焼成品の表面に存在する残留リチウムを容易に除去することができる。水洗溶液の含量が前述した範囲より低い場合、2次焼成品の表面に存在する残留リチウムの含量が高いので、これを電池に適用する際にガスが発生する虞があり、逆に水洗溶液の含量が前述した範囲より高い場合、リチウム遷移金属酸化物の表面が損傷されるので、これを電池に適用する際に寿命が低下し、抵抗増加率が高くなり得る。
【0053】
前記水洗溶液から前記2次焼成品を分離する工程は、前記水洗溶液から分離された前記2次焼成品の含水率が3%から15%となるようにすることであってよい。具体的には、前記2次焼成品の含水率が5%から12%、より具体的には5%から10%となるようにすることであってよい。
【0054】
このとき、前記含水率は、水洗溶液から分離された後、乾燥する前の2次焼成品に含まれている水分の含量を意味するものであって、下記式1により計算され得る。
【0055】
[式1]
含水率(%)={[(乾燥前の2次焼成品の質量)-(乾燥後の2次焼成品の質量)]/(乾燥前の2次焼成品の質量)}×100
【0056】
このとき、前記乾燥は、水洗溶液から分離された2次焼成品を130℃で300分間乾燥させることであってよい。
【0057】
前記含水率が前記範囲内である場合、表面状態、すなわち、表面物性が制御され、リチウム遷移金属酸化物が表面に均一な組成及び均一な厚さを有するコーティング層を容易にコーティングすることができる。
【0058】
前記分離は、1μmから50μmの平均気孔を有する減圧フィルターを用いて行ってよい。この場合、短時間に前記水洗溶液から前記2次焼成品を分離することができる。
【0059】
前記乾燥は、水洗工程を経て水分を含むリチウム遷移金属酸化物から水分を除去するためのことであって、真空ポンプを用いて水分を除去した後、60℃から150℃で行うことであってよい。具体的に、前記乾燥は、60℃から150℃の温度条件下で3時間以上乾燥することであってよい。
【0060】
結果的に、(B)段階を介して製造される前記リチウム遷移金属酸化物は、リチウムを除いた全金属のうちニッケル(Ni)を70モル%以上含み、1次粒子が凝集して形成された2次粒子の形態であるリチウム遷移金属酸化物であってよく、具体的に、下記化学式2で表される組成を有するものであってよい。
【0061】
[化学式2]
LiNia2Cob2Mnc2Ald2 e2
前記化学式2中、
は、Zr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、Ce、Hf、F、P、S及びLaのうちから選択される1種以上であり、
0.9≦x≦1.12、0.7≦a2≦1.0、0≦b2≦0.3、0≦c2≦0.3、0<d2≦0.2、0≦e2≦0.1である。
【0062】
前記a2は、正極活物質内のリチウムを除いた金属元素のうちニッケルの原子分率を意味するものであって、0.7≦a2<1.0、0.7≦a2≦0.98、または0.7≦a2≦0.95であってよい。
【0063】
前記b2は、正極活物質内のリチウムを除いた金属元素のうちコバルトの原子分率を意味するものであって、0<b2≦0.3または0.01≦b2≦0.3であってよい。
【0064】
前記c2は、正極活物質内のリチウムを除いた金属元素のうちマンガンの原子分率を意味するものであって、0<c2≦0.3または0.01≦c2≦0.3であってよい。
【0065】
前記d2は、正極活物質内のリチウムを除いた金属元素のうちアルミニウムの原子分率を意味するものであって、0≦d2≦0.2、0≦d2≦0.1または0≦d2≦0.05であってよい。
【0066】
前記e2は、正極活物質内のリチウムを除いた金属元素のうちMの原子分率を意味するものであって、0≦e2≦0.1または0≦e2≦0.05であってよい。
【0067】
(C)段階
(C)段階は、前記(B)段階で製造したリチウム遷移金属酸化物とホウ素含有原料物質を混合し、熱処理してコーティング層を形成する段階である。
【0068】
(C)段階を介して前記リチウム遷移金属酸化物上にホウ素を含むコーティング層が形成される。具体的に、前記リチウム遷移金属酸化物の表面上にLi-Al-B-O固溶体を含むコーティング層が形成される。すなわち、前記リチウム遷移金属酸化物とホウ素含有原料物質を混合して熱処理する場合、Li-B-O固溶体だけでなく、Li-Al-B-O固溶体を含むコーティング層が形成される。この場合、コーティング層が強化され、正極活物質と電解液との間の副反応がさらに効果的に抑制され得る。追加的に、前記コーティング層にはアルミニウムが豊富なNi-Co-Mn-Al固溶体、アルミニウムが豊富なNi-Co-Mn-Al-B固溶体がさらに含まれてよい。そして、前記リチウム遷移金属酸化物の1次粒子の表面にアルミニウムが豊富に存在するので、コーティング層にもアルミニウムが豊富に存在し得る。
【0069】
前記ホウ素含有原料物質は、HBO、B、B、LiBO、Li及びAlBOのうちから選択される1種以上であってよい。前記ホウ素含有原料物質は、具体的にはHBO、Bであってよく、より具体的にはHBOであってよい。この場合、ホウ素含有原料物質の融点が低いため、均一なコーティング層が形成され得る。
【0070】
前記ホウ素含有原料物質は、前記リチウム遷移金属酸化物100重量部に対して、0.1重量部から1.5重量部、具体的には0.2重量部から1.0重量部、より具体的には0.4重量部から0.8重量部の含量で混合されてよい。ホウ素含有原料物質の含量が前記範囲内である場合、コーティング層が均一に形成されるだけでなく、適切な厚さのコーティング層が形成され、製造される正極活物質を電池に適用する際に電池の寿命特性を改善することができる。
【0071】
一方、前記リチウム遷移金属酸化物とホウ素含有原料物質の混合は、乾式混合であってよい。この場合、湿式混合する場合に比べて不純物を最小化させることができるという点において有利な側面がある。
【0072】
前記熱処理温度は、250℃から400℃であってよい。前記熱処理温度は、具体的には250℃から350℃であってよく、より具体的には260℃から330℃であってよい。熱処理温度が前記範囲内である場合、リチウム遷移金属酸化物上にコーティング層が均一に形成され、電池に適用する際に電池の寿命特性が改善され得る。一方、前記熱処理温度が前記範囲の下限値より低い場合、ホウ素含有原料物質の反応性が低いため、ホウ素含有原料物質がリチウム遷移金属酸化物の表面に残留して却って抵抗として作用することがあり、前記範囲の上限値より高い場合、リチウム遷移金属酸化物の表面に存在するリチウムとホウ素含有原料物質が過度に反応し、コーティング層内にリチウムが多量存在することがある。
【0073】
正極活物質
また、本発明による正極活物質は、リチウムを除いた全金属のうちニッケル(Ni)を70モル%以上含み、1次粒子が凝集して形成された2次粒子の形態であるリチウム遷移金属酸化物;及び前記リチウム遷移金属酸化物上に形成されたAl及びBを含むコーティング層;を含み、正極活物質の中心から正極活物質の全体積の60体積%に該当する領域であるコア部に含まれる1次粒子は、表面部から中心部まで減少するAlの濃度勾配を有し、前記1次粒子表面部のAlの濃度は、前記1次粒子中心部のAlの濃度に比べ2倍から6倍である。
【0074】
前記リチウム遷移金属酸化物は、下記化学式2で表される組成を有するものであってよい。
【0075】
[化学式2]
LiNia2Cob2Mnc2Ald2 e2
前記化学式2中、
は、Zr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、Ce、Hf、F、P、S及びLaのうちから選択される1種以上であり、
0.9≦x≦1.12、0.7≦a2≦1.0、0≦b2≦0.3、0≦c2≦0.3、0<d2≦0.2、0≦e2≦0.1である。
【0076】
前記a2は、正極活物質内のリチウムを除いた金属元素のうちニッケルの原子分率を意味するものであって、0.7≦a2<1.0、0.7≦a2≦0.98または0.7≦a2≦0.95であってよい。
【0077】
前記b2は、正極活物質内のリチウムを除いた金属元素のうちコバルトの原子分率を意味するものであって、0<b2≦0.3または0.01≦b2≦0.3であってよい。
【0078】
前記c2は、正極活物質内のリチウムを除いた金属元素のうちマンガンの原子分率を意味するものであって、0<c2≦0.3または0.01≦c2≦0.3であってよい。
【0079】
前記d2は、正極活物質内のリチウムを除いた金属元素のうちアルミニウムの原子分率を意味するものであって、0≦d2≦0.2、0≦d2≦0.1または0≦d2≦0.05であってよい。
【0080】
前記e2は、正極活物質内のリチウムを除いた金属元素のうちMの原子分率を意味するものであって、0≦e2≦0.1または0≦e2≦0.05であってよい。
【0081】
前記正極活物質は、前述した製造方法により製造され、正極活物質の中心から正極活物質の全体積の60体積%に該当する領域であるコア部に含まれる1次粒子表面部にアルミニウムが高い濃度で存在するので、前記正極活物質を含む二次電池の高温寿命特性及び高温抵抗特性を改善させることができる。
【0082】
正極活物質の中心から正極活物質の全体積の60体積%に該当する領域であるコア部だけでなく、前記正極活物質全体に含まれる1次粒子の全てが表面部から中心部まで減少するAlの濃度勾配を有してよく、前記正極活物質全体に含まれる1次粒子表面部のAlの濃度は、1次粒子中心部のAl濃度に比べ2倍から6倍であってよい。
【0083】
前記コーティング層は、類似スピネル相(spinel-like phase)を含むものであってよい。この場合、層状構造である場合よりも相が安定するので、電気化学反応時に表面から発生し得る副反応が抑制され得る。
【0084】
正極
また、本発明は、前記正極活物質を含むリチウム二次電池用正極を提供する。具体的に、前記二次電池用正極は、正極集電体、前記正極集電体上に形成された正極活物質層を含み、前記正極活物質層は、本発明による正極活物質を含む。
【0085】
このとき、前記正極活物質は、前述したところと同一なので、具体的な説明を省略し、以下、残りの構成に対してのみ具体的に説明する。
【0086】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが用いられてよい。また、前記正極集電体は、通常3μmから500μmの厚さを有してよく、前記集電体の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で用いられてよい。
【0087】
前記正極活物質層は、前記正極活物質とともに、導電材、及び必要に応じて選択的にバインダーを含んでよい。
【0088】
このとき、前記正極活物質は、正極活物質層の総重量に対して80重量%から99重量%、より具体的には85重量%から98.5重量%の含量で含まれてよい。前記含量範囲で含まれる際、優れた容量特性を示すことができる。
【0089】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために用いられるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こすことなく、電気伝導性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてよい。前記導電材は、正極活物質層の総重量に対して0.1重量%から15重量%で含まれてよい。
【0090】
前記バインダーは、正極活物質粒子同士の付着及び正極活物質と集電体との接着力を向上させる役割を担う。具体的な例としては、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてよい。前記バインダーは、正極活物質層の総重量に対して0.1重量%から15重量%で含まれてよい。
【0091】
前記正極は、前記正極活物質を用いることを除いては、通常の正極の製造方法により製造されてよい。具体的に、前記正極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を溶媒中に溶解または分散させて製造した正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に塗布した後、乾燥及び圧延することで製造してよい。
【0092】
前記溶媒としては、当該技術分野で一般的に用いられる溶媒であってよく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)または水などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてよい。前記溶媒の使用量は、スラリーの塗布厚さ、製造歩留まりを考慮して、前記正極活物質、導電材及びバインダーを溶解または分散させ、その後、正極を製造するための塗布時に優れた厚さ均一度を示すことができる粘度を有するようにする程度であれば十分である。
【0093】
また、他の方法として、前記正極は、前記正極活物質層形成用組成物を別途の支持体上にキャスティングした後、この支持体から剥離して得たフィルムを正極集電体上にラミネーションすることで製造されてもよい。
【0094】
リチウム二次電池
また、本発明は、前記正極を含む電気化学素子を製造することができる。前記電気化学素子は、具体的に、電池、キャパシタなどであってよく、より具体的にはリチウム二次電池であってよい。
【0095】
前記リチウム二次電池は、具体的に、正極、前記正極と対向して位置する負極、及び前記正極と負極の間に介在される分離膜及び電解質を含み、前記正極は前述で説明したところと同様であるので、具体的な説明を省略し、以下、残りの構成に対してのみ具体的に説明する。
【0096】
また、前記リチウム二次電池は、前記正極、負極、分離膜の電極組立体を収納する電池容器、及び前記電池容器を密封する密封部材を選択的にさらに含むことができる。
【0097】
前記リチウム二次電池において、前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体上に位置する負極活物質層を含む。
【0098】
前記負極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理を施したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが用いられてよい。また、前記負極集電体は、通常3μmから500μmの厚さを有してよく、正極集電体と同様に、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で用いられてよい。
【0099】
前記負極活物質層は、負極活物質とともに、選択的にバインダー及び導電材を含む。
【0100】
前記負極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションが可能な化合物が用いられてよい。具体的な例としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金またはAl合金などの、リチウムとの合金化が可能な金属質化合物;SiOβ(0<β<2)、SnO、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物のようにリチウムをドープ及び脱ドープ可能な金属酸化物;またはSi-C複合体またはSn-C複合体のように前記金属質化合物と炭素質材料を含む複合物などが挙げられ、これらのうち何れか1つまたは2つ以上の混合物が用いられてよい。また、前記負極活物質として金属リチウム薄膜が用いられてもよい。さらに、炭素材料は、低結晶性炭素及び高結晶性炭素などがいずれも用いられてよい。低結晶性炭素としては、軟化炭素(soft carbon)及び硬化炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては、無定形、板状、麟片状、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、メソ相ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、メソ炭素微小球体(meso-carbon microbeads)、メソ相ピッチ(Mesophase pitches)及び石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。
【0101】
前記負極活物質は、負極活物質層の全重量を基準に80重量%から99重量%で含まれてよい。
【0102】
前記バインダーは、導電材、活物質及び集電体の間の結合に助力する成分であって、通常、負極活物質層の全重量を基準に0.1重量%から10重量%で添加される。かかるバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの多様な共重合体などが挙げられる。
【0103】
前記導電材は、負極活物質の導電性をさらに向上させるための成分であって、負極活物質層の全重量を基準に10重量%以下、具体的には5重量%以下で添加されてよい。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてよい。
【0104】
例えば、前記負極活物質層は、負極集電体上に負極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を溶媒中に溶解または分散させて製造した負極活物質層形成用組成物を塗布して乾燥することにより製造されるか、または前記負極活物質層形成用組成物を別途の支持体上にキャスティングした後、該支持体から剥離して得たフィルムを負極集電体上にラミネーションすることで製造されてよい。
【0105】
一方、前記リチウム二次電池において、分離膜は、負極と正極を分離してリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常、リチウム二次電池で分離膜に用いられるものであれば、特に制限なく使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低い抵抗であり、かつ、電解液含湿能に優れるものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルム、またはこれらの2層以上の積層構造体が用いられてよい。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が用いられてもよい。また、耐熱性または機械的強度の確保のためにセラミックス成分または高分子物質が含まれているコーティングされた分離膜が用いられてもよく、選択的に単層または多層構造で用いられてよい。
【0106】
また、本発明で用いられる電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル状高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0107】
具体的に、前記電解質は、有機溶媒及びリチウム塩を含むことができる。
【0108】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割ができるものであれば、特に制限なく用いられてよい。具体的に、前記有機溶媒としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、ε-カプロラクトン(ε-caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジメチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、炭素数2から20の直鎖状、分岐状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含んでよい)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが用いられてよい。この中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度及び高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、約1:1から約1:9の体積比で混合して用いる方が電解液の性能が優れて現れ得る。
【0109】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池で用いられるリチウムイオンを提供可能な化合物であれば、特に制限なく用いられてよい。具体的に、前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiIまたはLiB(Cなどが用いられてよい。前記リチウム塩の濃度は、0.1Mから2.0Mの範囲内で用いることが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するため優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0110】
前記電解質には、前記電解質の構成成分の他にも電池の寿命特性の向上、電池の容量減少の抑制、電池の放電容量の向上などを目的に、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれてもよい。この際、前記添加剤は、電解質の総重量に対して0.1重量%から5重量%で含まれてよい。
【0111】
前記のように、本発明による正極活物質を含むリチウム二次電池は、優れた放電容量、出力特性及び寿命特性を安定的に示すため、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯用機器、及びハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などに有用である。
【0112】
これにより、本発明の他の一具現形態によると、前記リチウム二次電池を単位セルとして含む電池モジュール及びこれを含む電池パックが提供される。
【0113】
前記電池モジュールまたは電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車、及びプラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)を含む電気車;または電力貯蔵用システムのうち何れか1つ以上の中大型デバイスの電源として用いられてよい。
【0114】
本発明のリチウム二次電池の外形は、特に制限されないが、缶を用いた円筒形、角形、パウチ(pouch)型またはコイン(coin)型などであってよい。
【0115】
本発明によるリチウム二次電池は、小型デバイスの電源として用いられる電池セルに用いられ得るだけでなく、多数の電池セルを含む中大型電池モジュールに単位電池としても好ましく用いられ得る。
【0116】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は多様な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に詳述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0117】
実施例
実施例1
正極活物質前駆体であるNi0.88Co0.05Mn0.07(OH)とLiOH・HOをLi:遷移金属(Ni+Co+Mn)のモル比が1.05:1となるように混合し、90体積%以上の酸素雰囲気下、640℃で5時間1次焼成し、仮焼成品(Ni0.88Co0.05Mn0.07を含む)を製造した。
【0118】
前記仮焼成品とAl(OH)をNi:Co:Mn:Alのモル比が0.86:0.05:0.07:0.02となるように混合し、775℃で6時間2次焼成し、焼成品(LiNi0.86Co0.05Mn0.07Al0.02を含む)を製造した。このとき、2次焼成時の酸素雰囲気は、図1に示したとおりである。前記焼成品と水を1:1.2の重量比で混合して5分間水洗し、減圧フィルター処理して含水率が5%から15%となるようにした後、130℃で乾燥し、LiNi0.86Co0.05Mn0.07Al0.02の組成を有するリチウム遷移金属酸化物を製造した。
【0119】
次いで、前記リチウム遷移金属酸化物とHBOを100:0.57の重量比で混合し、300℃で4時間熱処理することで、表面にAl及びBを含むコーティング層が形成された正極活物質を製造した。
【0120】
実施例2
実施例1で2次焼成時の酸素雰囲気を図2に示すように調節したことを除いて、実施例1と同一の方法で正極活物質を製造した。
【0121】
比較例1
実施例1で酸素を90体積%で含む酸素雰囲気を維持(図3に示すように調節)しながら2次焼成したことを除いて、実施例1と同一の方法で正極活物質を製造した。
【0122】
比較例2
実施例1で2次焼成時の酸素雰囲気を図4に示すように調節したことを除いて、実施例1と同一の方法で正極活物質を製造した。
【0123】
実験例1:正極活物質のコア部に存在する1次粒子のAl元素濃度の確認
実施例1及び比較例1で製造した正極活物質をTEM(Titan Double Cs corrected TEM、Titan cubed G2 60-300、FEI Company)を用いて分析し、その結果を図5から図10に示した。
【0124】
図5は、実施例1の正極活物質のコア部ではない部分(A領域及びB領域)とコア部(C領域)それぞれの領域に存在する1次粒子の表面部(area 1)と中心部(area 3)の元素濃度(atomic%)を示した図である。
【0125】
図6は、実施例1の正極活物質のコア部ではない部分のSAEDパターンを示した図であり、図7は、実施例1の正極活物質のコア部のSAEDパターンを示した図である。
【0126】
図8は、比較例1の正極活物質のコア部ではない部分(A領域及びB領域)とコア部(C領域)それぞれの領域に存在する1次粒子の表面部(area 1)と中心部(area 3)の元素濃度(atomic%)を示した図である。
【0127】
図9は、比較例1の正極活物質のコア部ではない部分のSAEDパターンを示した図であり、図10は、比較例1の正極活物質のコア部のSAEDパターンを示した図である。
【0128】
図5から図10に示されているように、実施例1で製造された正極活物質の中心から正極活物質の全体積の60体積%に該当する領域であるコア部に含まれる1次粒子は、表面部から中心部まで減少するAlの濃度勾配を有し、前記1次粒子の表面部(図5のC領域のarea 1)のAlの濃度(atomic%)は、前記1次粒子の中心部(図5のC領域のarea 3)のAlの濃度(atomic%)の3.25倍(=5.2/1.6)であることを確認することができる。そして、実施例1で製造された正極活物質は、類似スピネル相を含むコーティング層を含むことを確認することができる。これに比べて、比較例1で製造された正極活物質の中心から正極活物質の全体積の60体積%に該当する領域であるコア部に含まれる1次粒子は、表面部のAlの濃度(atomic%)が中心部のAlの濃度(atomic%)の1.6倍であることを確認することができ、比較例1で製造された正極活物質は、層構造のコーティング層を含むことを確認することができる。
【0129】
実験例2:リチウム二次電池の高温寿命及び抵抗特性の評価
実施例1、2及び比較例1、2でそれぞれ製造した正極活物質を用いてリチウム二次電池をそれぞれ製造し、その高温寿命及び抵抗特性を確認した。この際、それぞれのリチウム二次電池は、前記実施例1、2及び比較例1、2でそれぞれ製造した正極活物質を用いたことを除いては、下記のような方法を用いて製造した。
【0130】
具体的に、前記実施例1、2及び比較例1、2でそれぞれ製造した正極活物質、導電材(カーボンブラック)、及びバインダー(ポリビニリデンフルオリド)を97.5:1.15:1.35の重量比でNMP溶媒中で混合することで、正極形成用組成物を製造した。前記正極形成用組成物を厚さが12μmであるAl集電体上に塗布し乾燥した後、圧延して正極を製造した。
【0131】
次に、負極活物質(天然黒鉛)、導電材(カーボンブラック)及びバインダー(SBR+CMC)を95:1.5:3.5の重量比で水中で混合することで、負極形成用組成物を製造した。前記負極形成用組成物を銅集電体上に塗布し乾燥した後、圧延して負極を製造した。
【0132】
前記で製造した正極と負極を多孔性ポリエチレン分離膜とともに積層し、これを電池ケースに入れてエチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)を3:4:3の比率で混合した混合溶媒に1MのLiPF及びその他の添加剤を溶解させた電解液を注入することで、前記実施例1、2及び比較例1、2によるリチウム二次電池(3cm×4cm)を製造した。
【0133】
前記リチウム二次電池のそれぞれに対し、45℃で0.33Cの定電流で4.25VまでCC/CVモード充電を実施した後(CV 0.05C)、3VとなるまでCCモード放電を実施した。前記充電及び放電挙動を1サイクルとし、このようなサイクルを200回繰り返し実施した後、前記により製造されたリチウム二次電池それぞれの高温(45℃)における容量維持率(単位:%)及び抵抗増加率(単位:%)を測定し、これを下記表1、図11に示した。
【0134】
図11は、実施例1、2及び比較例1、2によるリチウム二次電池の高温寿命特性及び高温抵抗特性を示したグラフである。具体的に、図10は、高温における容量維持率の関連データ及び抵抗増加率の関連データを示した図である。
【0135】
【表1】
【0136】
前記表1、図11に示されているように、実施例1、2による二次電池の場合、比較例1、2による二次電池に比べて高温寿命特性及び抵抗特性のいずれも遥かに優れていることを確認することができる。
【0137】
結論として、本発明は、正極活物質の製造時、アルミニウムを仮焼成(1次焼成)後、2次焼成段階で投入し、特定の酸素雰囲気下で2次焼成を行うことで、正極活物質のコア部に存在する1次粒子の表面部に存在するアルミニウムのドーピングの程度を調節することにより、製造される正極活物質が適用された電池の高温寿命特性を改善させることができるということが分かる。そして、前記正極活物質が適用された電池の高温における抵抗の増加を抑制させることができるということが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11