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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240909BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240909BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H01L21/78 C
B24B49/12
B24B27/06 M
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019218757
(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公開番号】P2021089938
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 芳昌
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-223270(JP,A)
【文献】特開2009-224476(JP,A)
【文献】特開2010-082644(JP,A)
【文献】特開2010-165876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 49/12
B24B 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面と該一面とは反対側に位置する他面とを含み、該一面から該他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する板状の保持テーブルと、
表面側に所定のパターンを有する被加工物の該表面側が該保持テーブルの該一面で保持され、且つ、該被加工物の裏面側が上方に露出した状態で、該被加工物を加工する加工ユニットと、
該保持テーブルの上方において該一面に対向する様に設けられた第1撮像ユニットと、
該保持テーブルの下方において該他面に対向する様に設けられた第2撮像ユニットと、
該第1撮像ユニット及び該第2撮像ユニットの少なくともいずれかで取得された画像を表示する表示ユニットと、
該保持テーブルの該一面で該表面側が保持された該被加工物を該第2撮像ユニットで撮像することにより取得された該表面側の画像に含まれる該所定のパターンの位置情報を記憶する記憶部を含み、該被加工物の厚さ方向において該被加工物の該裏面側の第1領域に対応する該表面側の第2領域に含まれる該所定のパターンと、該第1領域の画像とを重ねて該表示ユニットに表示させる制御部と、を備え、
該第1領域の画像は、該裏面側の一部の領域の画像であり、該加工ユニットによって形成された加工溝を示す領域を含み、
該第2領域の画像は、該表面側の一部の領域の画像であり、
該制御部は、該加工溝を示す領域を含む該第1領域の画像に該第2領域における該所定のパターンを表示させる、又は、該第2領域の画像に該第1領域の画像の少なくとも該加工溝を示す領域を表示させることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該制御部は、X軸方向及びY軸方向の向きを、該第1領域の画像と該第2領域の画像とで同じにした状態で、該表示ユニットに該第1領域の画像と該第2領域の画像とを重ねて表示させることを特徴とする請求項に記載の加工装置。
【請求項3】
該加工ユニットは、切削ブレードが装着される切削ユニット、又は、レーザービームを照射するレーザー照射ユニットであることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面側に所定のパターンが形成された被加工物の表面側を保持した状態で、被加工物の裏面側を加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される半導体デバイスチップは、例えば、シリコン等の半導体材料で形成された円盤状のウェーハ(被加工物)を加工することで製造される。被加工物の表面側には複数の分割予定ラインが設定されており、複数の分割予定ラインで区画された各領域には、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイスが形成されている。
【0003】
被加工物からデバイスチップを製造するためには、例えば、被加工物の裏面側を研削することにより被加工物を所定の厚さに薄化した後、被加工物を各分割予定ラインに沿って切削することにより、被加工物をデバイス単位に分割してデバイスチップを製造する。
【0004】
被加工物を切削する切削工程では、スピンドルの一端に切削ブレードが装着された切削ユニットと、被加工物を吸引して保持する保持テーブルとを備える切削装置が使用される。通常の切削工程では、まず、被加工物の表面側を上向きにし、被加工物の裏面側を保持テーブルで吸引して保持する。
【0005】
裏面側を保持した後、保持テーブルの上方に設けられているカメラで被加工物の表面側を撮像することによりアライメントを行う。アライメントでは、被写体を可視光で撮像するためのCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を有するカメラが用いられる。
【0006】
このカメラで、アライメントマーク等が形成されている被加工物の表面側を撮像した結果に基づいて、被加工物の位置補正等のアライメントを行う。アライメント後に、各分割予定ラインに沿って切削ブレードで被加工物を切削する。
【0007】
しかし、近年、デバイスの多様化に伴い、被加工物の裏面側から被加工物を切削する場合がある(例えば、特許文献1参照)。この場合、被加工物の表面側は下向きに配置されて保持テーブルで保持されるので、保持テーブルの上方に設けられている上述のカメラで被加工物の裏面側を撮像しても、アライメントマーク等は撮像できない。
【0008】
そこで、可視光に対して透明な材料で形成された保持テーブルと、保持テーブルの下方に配置された可視光用のカメラとを備える切削装置が開発された(例えば、特許文献2参照)。この切削装置を用いれば、被加工物の表面側を保持テーブルで保持した状態で、保持テーブルの下方から被加工物の表面側を撮像できる。それゆえ、被加工物の裏面側を上向きにし、被加工物の表面側を保持テーブルで保持した場合でも、アライメントを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006-140341号公報
【文献】特開2010-87141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、保持テーブルの下方に上述のカメラが配置された切削装置を用いる場合であっても、被加工物に形成された切削溝が分割予定ラインに沿って形成されているかどうかを確認できない場合がある。
【0011】
例えば、被加工物の裏面側から被加工物の表面に達しない所定の深さまで部分的に被加工物が除去された切削溝(即ち、ハーフカット溝)が形成された場合、作業者は切削溝が表面側に設定された分割予定ラインに沿って形成されているかどうかを確認できない。
【0012】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、被加工物の裏面側に形成された溝が被加工物の表面側に設定された分割予定ラインに沿って形成されているかどうかを作業者が確認できる加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、一面と該一面とは反対側に位置する他面とを含み、該一面から該他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する板状の保持テーブルと、表面側に所定のパターンを有する被加工物の該表面側が該保持テーブルの該一面で保持され、且つ、該被加工物の裏面側が上方に露出した状態で、該被加工物を加工する加工ユニットと、該保持テーブルの上方において該一面に対向する様に設けられた第1撮像ユニットと、該保持テーブルの下方において該他面に対向する様に設けられた第2撮像ユニットと、該第1撮像ユニット及び該第2撮像ユニットの少なくともいずれかで取得された画像を表示する表示ユニットと、該保持テーブルの該一面で該表面側が保持された該被加工物を該第2撮像ユニットで撮像することにより取得された該表面側の画像に含まれる該所定のパターンの位置情報を記憶する記憶部を含み、該被加工物の厚さ方向において該被加工物の該裏面側の第1領域に対応する該表面側の第2領域に含まれる該所定のパターンと、表示される該第1領域の画像とを重ねて該表示ユニットに表示させる制御部と、を備え、該第1領域の画像は、該裏面側の一部の領域の画像であり、該加工ユニットによって形成された加工溝を示す領域を含み、該第2領域の画像は、該表面側の一部の領域の画像であり、該制御部は、該加工溝を示す領域を含む該第1領域の画像に該第2領域における該所定のパターンを表示させる、又は、該第2領域の画像に該第1領域の画像の少なくとも該加工溝を示す領域を表示させる加工装置が提供される。
【0016】
また、好ましくは、該制御部は、X軸方向及びY軸方向の向きを、該第1領域の画像と該第2領域の画像とで同じにした状態で、該表示ユニットに該第1領域の画像と該第2領域の画像とを重ねて表示させる。
【0017】
また、好ましくは、該加工ユニットは、切削ブレードが装着される切削ユニット、又は、レーザービームを照射するレーザー照射ユニットである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様に係る加工装置の保持テーブルは、一面から他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する。保持テーブルの上方において保持テーブルの一面に対向する様に第1撮像ユニットが設けられており、保持テーブルの下方において保持テーブルの他面に対向する様に第2撮像ユニットが設けられている。
【0019】
制御部は、記憶部を含み、この記憶部には、保持テーブルの一面で表面側が保持された被加工物を第2撮像ユニットで撮像することにより取得された表面側の画像に含まれる所定のパターンの位置情報が記憶される。
【0020】
更に、制御部は、被加工物の厚さ方向において被加工物の裏面側の第1領域に対応する表面側の第2領域に含まれる所定のパターンと、第1領域の画像とを表示ユニットに重ねて表示させる。それゆえ、作業者は、被加工物に形成される溝が分割予定ラインに沿って形成されているか否かを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】切削装置の斜視図である。
図2】被加工物ユニットの斜視図である。
図3】保持テーブル等の斜視図である。
図4】保持テーブル等の一部断面側面図である。
図5図4の領域Aの拡大図である。
図6】Z軸移動機構等の拡大斜視図である。
図7】切削ステップを示す図である。
図8】裏面表示ステップを示す図である。
図9図9(A)は第1領域の画像の一例であり、図9(B)は第2領域の画像の一例である。
図10】裏面表示ステップで表示される画像の一例である。
図11】裏面表示ステップで表示される画像の他の例である。
図12】レーザー加工装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る切削装置2の斜視図である。なお、図1では、構成要素の一部を機能ブロック図で示す。また、以下の説明に用いられるX軸方向(加工送り方向)、Y軸方向(割り出し送り方向)及びZ軸方向(鉛直方向、切り込み送り方向)は、互いに垂直である。
【0023】
切削装置(加工装置)2は、各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の前方(+Y方向)の角部には、開口4aが形成されており、この開口4a内には、カセットエレベータ(不図示)が設けられている。カセットエレベータの上面には、複数の被加工物11(図2参照)を収容するためのカセット6が載せられる。
【0024】
図1では、説明の便宜上、カセット6の輪郭のみを示している。被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハである。但し、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板等を被加工物11として用いることもできる。
【0025】
図2に示す様に、被加工物11の表面11a側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)13によって複数の領域に区画されている。表面11a側の各領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイス15、アライメントマーク(図9(B)のマーク98)等が形成されている。但し、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイス15が形成されていなくてもよい。
【0026】
被加工物11の表面11a側には、被加工物11よりも大径のテープ(ダイシングテープ)17が貼り付けられている。テープ17は、可視光を透過する透明材で形成されている。テープ17は、例えば、基材層と、粘着層(糊層)との積層構造を有する。
【0027】
基材層は、例えば、ポリオレフィン(PO)等で形成されている。粘着層は、例えば、紫外線(UV)硬化型のアクリル樹脂等の粘着性樹脂で形成されている。このテープ17の粘着層側が表面11a側に貼り付けられる。
【0028】
テープ17の外周部分には、金属で形成された環状のフレーム19が固定される。この様に、被加工物11は、テープ17を介してフレーム19で支持された被加工物ユニット21の状態でカセット6に収容される。図2は、被加工物ユニット21の斜視図である。
【0029】
図1に示す様に、開口4aの後方(-Y方向)には、X軸方向に長い開口4bが形成されている。開口4bには、保持テーブル(チャックテーブル)10が配置されている。保持テーブル10の外周部には、円周方向に沿って離散的に吸引口が形成された円環状のフレーム吸引板(不図示)が設けられる。
【0030】
ここで、図3から図5を参照して、保持テーブル10等について更に詳しく説明する。図3は、保持テーブル10等の斜視図であり、図4は、保持テーブル10等の一部断面側面図である。但し、図4では、便宜上、ハッチングを省略している。図5は、図4の領域Aの拡大図である。図5では、構成要素の一部を機能ブロック図で示す。
【0031】
保持テーブル10は、円盤状(板状)の保持部材12を有する。保持部材12は、概ね平坦な一面12aと、当該一面12aとは反対側に位置する他面12b(図5参照)とを含む。保持部材12は、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等の可視光を透過する透明材で形成されている。
【0032】
保持部材12の内部には、複数の流路が形成されている。本実施形態の保持部材12の内部には、保持部材12をZ軸方向から見た場合に、円盤の中心軸を横切る様に直線状の第1吸引路12cが形成されている。また、XY平面方向において第1吸引路12cと直交する態様で、直線状の第2吸引路12cが形成されている。
【0033】
第1吸引路12c及び第2吸引路12cは、円盤の中心軸に位置する交点12cで交わっており、互いに接続している。一面12aの外周部には、円周方向において互いに離れる様に、複数の開口部12dが形成されている。各開口部12dは、他面12bには達しない一面12aから所定の深さまで形成されている。
【0034】
第1吸引路12cの両端部と、第2吸引路12cの両端部とには、それぞれ開口部12dが形成されている。各開口部12dは、保持部材12の外周部の所定の深さに形成されている外周吸引路12eにより円周方向で接続されている。
【0035】
開口部12dの外周側には径方向に延びる吸引路12fが形成されており、吸引路12fには、エジェクタ等の吸引源14が接続されている(図5参照)。吸引源14を動作させて負圧を発生させると、開口部12dには負圧が発生する。それゆえ、一面12aは、被加工物ユニット21(被加工物11)を吸引して保持する保持面として機能する。
【0036】
ところで、第1吸引路12c、第2吸引路12c、開口部12d、外周吸引路12e、吸引路12f等の保持部材12の流路では、入射した光の一部が散乱又は反射される。それゆえ、保持部材12の流路は、一面12a又は他面12bから見た場合に、可視光に対して完全に透明ではなく、透光性を有する場合や不透明である場合がある。
【0037】
しかし、保持部材12の流路を除く所定の領域は、一面12aから他面12bまで透明である。具体的には、第1吸引路12c及び第2吸引路12cにより4分割され、且つ、保持部材12の径方向において外周吸引路12eよりも内側に位置する領域は、一面12aから他面12bまで透明である。
【0038】
保持部材12の外周には、ステンレス等の金属材料で形成された円筒状の枠体16が設けられている。枠体16の上部には開口部16aが形成されており(図5参照)、保持部材12は、この開口部16aを塞ぐ様に配置されている。
【0039】
枠体16は、図3及び図4に示す様に、X軸移動テーブル18に支持されている。X軸移動テーブル18は、Z軸方向から見た形状が長方形である底板18aを含む。底板18aの前方(+Y方向)の一端には、Y軸方向から見た形状が長方形である側板18bの下端が接続されている。
【0040】
側板18bの上端には、Z軸方向から見た形状が底板18aと同じ長方形である天板18cの前方の一端が接続されている。底板18aと天板18cとの間には、後方(-Y方向)の一端及びX軸方向の両端が開放された空間18dが形成されている。
【0041】
底板18aの下方(-Z方向)には、底板18aがスライド可能な態様で、X軸方向に概ね平行な一対のX軸ガイドレール20が設けられている。一対のX軸ガイドレール20は、静止基台(不図示)の上面に固定されている。
【0042】
X軸ガイドレール20に隣接する位置には、X軸移動テーブル18のX軸方向の位置を検出する際に使用されるX軸リニアスケール20aが設けられている。また、X軸移動テーブル18の下面側には読み取りヘッド(不図示)が設けられている。
【0043】
X軸移動テーブル18の移動時には、X軸リニアスケール20aの目盛りを読み取りヘッドで検出することにより、X軸移動テーブル18のX軸方向の位置(座標)や、X軸方向の移動量が算出される。
【0044】
X軸移動テーブル18の底板18aの下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレール20に概ね平行なX軸ボールネジ22が回転可能な態様で連結されている。
【0045】
X軸ボールネジ22の一端部には、X軸パルスモーター24が連結されている。X軸パルスモーター24でX軸ボールネジ22を回転させれば、X軸移動テーブル18は、X軸ガイドレール20に沿ってX軸方向に移動する。X軸ガイドレール20、X軸ボールネジ22、X軸パルスモーター24等は、X軸移動テーブル18を移動させるX軸移動機構26を構成する。
【0046】
X軸移動テーブル18の天板18cの上面側には、枠体16が、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転できる態様で、天板18cに支持されている。枠体16は、円筒状の側面であるプーリー部16bを含む。プーリー部16bは、枠体16がX軸移動テーブル18で支持された場合に、天板18cよりも上方に位置する。
【0047】
X軸移動テーブル18の側板18bには、モーター等の回転駆動源30が設けられている。回転駆動源30の回転軸には、プーリー30aが設けられている。プーリー30a及びプーリー部16bには、1つの回転無端ベルト(ベルト28)が掛けられている。
【0048】
回転駆動源30を動作させてプーリー30aを回転させると、ベルト28を介して伝達される力によって、枠体16は、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。プーリー30aの回転を制御することで、回転軸の周りで任意の角度だけ保持テーブル10を回転できる。
【0049】
X軸移動機構26のX軸方向の延長線上には、Y軸移動機構32が設けられている。Y軸移動機構32は、Y軸方向に概ね平行な一対のY軸ガイドレール34を備える。一対のY軸ガイドレール34は、静止基台(不図示)の上面に固定されている。
【0050】
Y軸ガイドレール34上には、Y軸移動テーブル36がスライド可能に取り付けられている。Y軸移動テーブル36の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール34に概ね平行なY軸ボールネジ38が回転可能な態様で連結されている。
【0051】
Y軸ボールネジ38の一端部には、Y軸パルスモーター40が連結されている。Y軸パルスモーター40でY軸ボールネジ38を回転させれば、Y軸移動テーブル36は、Y軸ガイドレール34に沿ってY軸方向に移動する。
【0052】
Y軸ガイドレール34に隣接する位置には、Y軸移動テーブル36のY軸方向の位置を検出する際に使用されるY軸リニアスケール(不図示)が設けられている。また、Y軸移動テーブル36の下面側には読み取りヘッド(不図示)が設けられている。
【0053】
Y軸移動テーブル36の移動時には、Y軸リニアスケールの目盛りを読み取りヘッドで検出することにより、Y軸移動テーブル36のY軸方向の位置(座標)や、Y軸方向の移動量が算出される。
【0054】
Y軸移動テーブル36の上面には、Z軸移動機構42が設けられている。図6は、Z軸移動機構42等の拡大斜視図である。Z軸移動機構42は、Y軸移動テーブル36の上面に固定された支持構造42aを有する。
【0055】
支持構造42aのX軸移動テーブル18側の側面には、Z軸方向に概ね平行な一対のZ軸ガイドレール44が固定されている。Z軸ガイドレール44には、Z軸移動プレート46がスライド可能に取り付けられている。
【0056】
Z軸移動プレート46の側面のZ軸ガイドレール44には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール44に概ね平行なZ軸ボールネジ48が回転可能な態様で連結されている。
【0057】
Z軸ボールネジ48の一端部には、Z軸パルスモーター50が連結されている。Z軸パルスモーター50でZ軸ボールネジ48を回転させれば、Z軸移動プレート46は、Z軸ガイドレール44に沿ってZ軸方向に移動する。
【0058】
Z軸ガイドレール44に隣接する位置には、Z軸リニアスケール(不図示)が設けられており、Z軸移動プレート46のZ軸ガイドレール44側には、読み取りヘッド(不図示)が設けられている。Z軸移動プレート46の移動時には、Z軸リニアスケールの目盛りを読み取りヘッドで検出することにより、Z軸移動プレート46のZ軸方向の位置(座標)等が算出される。
【0059】
Z軸移動プレート46には、X軸方向に長い支持アーム52を介して下方撮像ユニット(第2撮像ユニット)54が固定されている。本実施形態の下方撮像ユニット54は、保持テーブル10よりも下方に配置されており、撮像レンズ等が保持部材12の他面12bに対向する様にそれぞれ設けられた、低倍率カメラ56と、高倍率カメラ58とを含む。
【0060】
但し、下方撮像ユニット54は、低倍率カメラ56及び高倍率カメラ58の2つのカメラを有さなくてもよい。下方撮像ユニット54は、所定の倍率のカメラを1つだけ有してもよい。
【0061】
低倍率カメラ56及び高倍率カメラ58の各々は、所定の光学系と、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子とを有する。
【0062】
低倍率カメラ56の側方には、上方に位置する被写体(例えば、被加工物11)に対して可視光を照射する照明装置56aが設けられている。同様に、高倍率カメラ58の側方にも、照明装置58aが設けられている。
【0063】
下方撮像ユニット54で被写体を撮像する場合には、X軸移動テーブル18をY軸移動テーブル36側に移動させて、空間18dに下方撮像ユニット54を配置する。これにより、保持部材12の一面12a側に配置される被加工物11を、下方から撮像できる。
【0064】
次に、図1に戻り、切削装置2の他の構成要素について説明する。X軸移動テーブル18の天板18cよりも左方(+X方向)及び右方(-X方向)には、開口4bを覆う態様で伸縮自在な蛇腹状の防塵防滴カバーが取り付けられている。
【0065】
開口4bの上方には、開口4bを跨ぐ様に門型の支持構造4cが設けられている。支持構造4cの側面のうち開口4a側に位置する一側面には、2つの加工ユニット移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)60が設けられている。
【0066】
各加工ユニット移動機構60は、支持構造4cの一側面に固定され且つY軸方向に概ね平行な一対のY軸ガイドレール62を共有している。Y軸ガイドレール62には、2つのY軸移動プレート64が互いに独立にスライド可能な態様で取り付けられている。
【0067】
Y軸移動プレート64の支持構造4c側に位置する一面には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール62に概ね平行なY軸ボールネジ66が回転可能な態様で連結されている。なお、前方側に位置するY軸移動プレート64のナット部と、後方側に位置するY軸移動プレート64のナット部とは、それぞれ異なるY軸ボールネジ66に連結されている。
【0068】
各Y軸ボールネジ66の一端部には、Y軸パルスモーター68が連結されている。Y軸パルスモーター68でY軸ボールネジ66を回転させれば、Y軸移動プレート64は、Y軸ガイドレール62に沿ってY軸方向に移動する。
【0069】
各Y軸移動プレート64の支持構造4cとは反対側に位置する他面には、Z軸方向に概ね平行な一対のZ軸ガイドレール72がそれぞれ設けられている。Z軸ガイドレール72には、Z軸移動プレート70がスライド可能に取り付けられている。
【0070】
Z軸移動プレート70の支持構造4c側に位置する一面には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール72に平行なZ軸ボールネジ74が回転可能な態様で連結されている。
【0071】
Z軸ボールネジ74の一端部には、Z軸パルスモーター76が連結されている。Z軸パルスモーター76でZ軸ボールネジ74を回転させれば、Z軸移動プレート70は、Z軸ガイドレール72に沿ってZ軸方向に移動する。
【0072】
Z軸移動プレート70の下部には、切削ユニット(加工ユニット)78が設けられている。切削ユニット78は、筒状のスピンドルハウジング80を備えている。スピンドルハウジング80内には、円柱状のスピンドル82a(図7参照)の一部が回転可能な態様で収容されている。
【0073】
スピンドル82aの一端には、スピンドル82aを回転させるサーボモーター等の回転駆動機構(不図示)が連結されている。また、スピンドル82aの他端には、円環状の切り刃を有する切削ブレード82bが装着されている。
【0074】
Z軸移動プレート70の下部には、切削ユニット78に隣接する態様で、上方撮像ユニット(第1撮像ユニット)84が連結されている。上方撮像ユニット84は、保持テーブル10の上方に位置しており、撮像レンズ等が保持部材12の一面12aに対向する様に設けられている。上方撮像ユニット84は、被加工物11を上方から撮像するための所定の光学系と、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ等の撮像素子とを有する。
【0075】
開口4bに対して開口4aと反対側の位置には、開口4dが設けられている。開口4d内には、切削後の被加工物11等を洗浄するための洗浄ユニット86が設けられている。洗浄ユニット86は、被加工物11を保持する洗浄テーブル88と、洗浄テーブル88に対向するように噴射口が配置されたノズル90とを含む。
【0076】
基台4上には、不図示の筐体が設けられており、筐体の前方の側面には、入力装置と、表示装置とを兼ねるタッチパネル(表示ユニット)92が設けられている。タッチパネル92には、下方撮像ユニット54及び上方撮像ユニット84で撮像した画像、加工条件、GUI(Graphical User Interface)のボタン等が表示される。
【0077】
切削装置2は、制御部94を備える。制御部94は、吸引源14、X軸移動機構26、回転駆動源30、Y軸移動機構32、Z軸移動機構42、下方撮像ユニット54、加工ユニット移動機構60、上方撮像ユニット84、切削ユニット78、タッチパネル92等を制御する。
【0078】
制御部94は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリー、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御部94の機能が実現される。
【0079】
補助記憶装置の一部は、記憶部96として機能する。記憶部96には、パターンマッチング等の画像処理を行うソフトウェアが記憶されている。例えば、画像処理を行うソフトウェアを利用して、下方撮像ユニット54で撮像された表面11a側の画像から、表面11a側に形成されている所定のパターンが抽出される。
【0080】
所定のパターンは、例えば、分割予定ライン13、デバイス15、マーク98、及び、回路100(図9(B)等参照)の輪郭である。なお、マーク98は、アライメントマーク、キーパターン、ターゲットパターン等と称される場合もある。
【0081】
次に、図7から図10を利用して、被加工物11の加工方法について説明する。まず、裏面11b側が上方に露出する態様で被加工物ユニット21を保持テーブル10の一面12aに載置する(載置ステップ(S10))。
【0082】
載置ステップ(S10)後、吸引源14を動作させ、テープ17を介して被加工物11の表面11a側を一面12aで保持し、フレーム19をフレーム吸引板(不図示)で保持する(保持ステップ(S20))。保持ステップ(S20)後、ティーチステップ(S30)を行う。
【0083】
ティーチステップ(S30)では、例えば、下方撮像ユニット54を用いて表面11a側をタッチパネル92に表示させた状態で、作業者が、表面11a側のマーク98(図9(B)等参照)を探索する。
【0084】
作業者が任意のマーク98を発見した後、当該マーク98を含む表面11a側の画像を下方撮像ユニット54で撮像する。マーク98の形状、座標等は、パターンマッチングのテンプレートとして記憶部96に記憶される。また、マーク98及び分割予定ライン13の座標等を利用して算出された、マーク98と分割予定ライン13の中心線との距離が記憶部96に記憶される。
【0085】
加えて、マーク98の座標等を利用して算出された、Y軸方向において隣接する2つの分割予定ライン13の距離(ストリートピッチ)が記憶部96に記憶される。なお、記憶される各座標は、上述の交点12cを原点とするXY座標である。
【0086】
ティーチステップ(S30)後、被加工物11のアライメントを行う(アライメントステップ(S40))。アライメントステップ(S40)では、まず、X軸方向に沿う1つの分割予定ライン13における互いに離れた複数箇所で、下方撮像ユニット54を用いて表面11a側の画像を取得する。
【0087】
そして、複数箇所で取得された表面11a側の画像において、パターンマッチング等の所定の処理によりテンプレートとして記憶されたマーク98と同一のパターンを検出する。検出されたマーク98と同一のパターンに基づいて、保持部材12の中心軸周りにおける分割予定ライン13のθ方向のズレを特定する。
【0088】
その後、回転駆動源30を動作させて、ベルト28を所定量だけ回転させることで、保持部材12のθ方向のズレを補正する。これにより、分割予定ライン13をX軸方向と略平行に位置付ける。なお、アライメントステップ(S40)では、θ方向の補正以外の所定の処理、操作等が行われてもよい。
【0089】
アライメントステップ(S40)後、表面11a側が保持テーブル10で保持された被加工物11の表面11a側の略全体を、下方撮像ユニット54で撮像することにより、表面11a側の画像を取得する(画像取得ステップ(S50))。
【0090】
画像取得ステップ(S50)では、X軸移動機構26、Y軸移動機構32等を利用して、保持テーブル10及び下方撮像ユニット54の相対的位置を調整しながら、表面11a側を撮像する。但し、画像取得ステップ(S50)では、必ずしも、表面11a側の全体を撮像しなくてもよい。
【0091】
つまり、デバイス15が形成されているデバイス領域と、デバイス領域の外周部を囲む外周余剰領域とのうち、デバイス領域のみの全体の画像や、デバイス領域のうちマーク98が含まれている領域の画像のみを取得してもよい。撮像エリアを限定的にすれば、画像取得ステップ(S50)に要する時間を短縮できる。
【0092】
画像取得ステップ(S50)後、まず、制御部94が、画像処理を行い、取得された画像のエッジを検出する。次に、制御部94は、パターンマッチング等の所定の処理により、エッジで規定される幾何学形状と、予め登録された幾何学形状との一致度を算出することで、表面11a側に形成されている所定のパターンを抽出する。
【0093】
抽出された所定のパターン、当該所定のパターンの位置情報等は、記憶部96に記憶される(記憶ステップ(S60))。例えば、所定のパターンとして図9(B)等に示すマーク98が用いられる場合、マーク98の形状と、マーク98の分割予定ライン13側に位置する角部B,C,D等の座標とが、記憶部96に記憶される。
【0094】
このとき、マーク98に対して相対的な位置関係が予め定められている分割予定ライン13、デバイス15、及び、回路100の少なくともいずれかの座標も、記憶部に記憶される。
【0095】
表面11a側の画像は、例えば、裏面11b側を見た場合(即ち、被加工物11を上面視した場合)のX及びY軸方向の向きと同じにした状態で、記憶ステップ(S60)で記憶部96に記憶される。
【0096】
なお、表面11a側の画像のX及びY軸方向の向きを、裏面11b側の画像と同じ向きとするためには、例えば、制御部94が、表面11a側の画像に対して所定の座標変換(例えば、X軸に対して画像を反転させる鏡像変換)を施せばよい。所定の座標変換は、例えば、制御部94に記憶された所定のソフトウェアにより行われる。
【0097】
また、所定の座標変換を施すことに代えて、XZ平面でX軸に対して45度傾斜した鏡面を介して表面11a側を撮像することにより、X軸に対して鏡像変換された表面11a側の画像を撮像してもよい。
【0098】
下方撮像ユニット54の撮像レンズ(不図示)が他面12bに対向する様に設けられている本実施形態において、XZ平面でX軸に対して45度傾斜した鏡面は、例えば、下方撮像ユニット54の撮像レンズと撮像素子(不図示)との間の所定の位置に設けられる。これに代えて、当該傾斜した鏡面は、他面12bに対向する様に設けられたカバーガラス(不図示)と、光軸がX軸方向に沿って配置された撮像レンズとの間に設けられてもよい。
【0099】
なお、XZ平面でX軸に対して45度傾斜した鏡面は、下方撮像ユニット54に対する位置が固定された状態で下方撮像ユニット54の外部に設けられてもよい。この場合、下方撮像ユニット54の撮像レンズの光軸は、当該鏡面を向く様にX軸方向に沿って配置される。
【0100】
表面11a側の任意のXY座標位置は、交点12cを座標系の原点として特定可能であり、裏面11b側の任意のXY座標位置は、交点12cを座標系の原点として特定可能である。それゆえ、裏面11b側の第1領域に対応する表面11a側の第2領域は、特定可能である。
【0101】
記憶ステップ(S60)後、被加工物11を切削する(切削ステップ(S70))。図7は、切削ステップ(S70)を示す図である。切削ステップ(S70)では、まず、高速で回転している切削ブレード82bを分割予定ライン13の延長線上に位置付ける。このとき、切削ブレード82bの下端を、被加工物11の表面11aと裏面11bとの間に位置付ける。
【0102】
そして、X軸移動機構26で保持テーブル10と切削ブレード82bとをX軸方向に沿って相対的に移動させる。これにより、被加工物11の厚さ方向において裏面11b側から、表面11aに達しない所定の深さまで、被加工物11は切削ブレード82bにより部分的に切削(加工)され(即ち、ハーフカットされ)、分割予定ライン13に沿って溝(加工溝)11cが形成される。
【0103】
なお、切削ステップ(S70)での切削は、ハーフカットに限定されない。切削ステップ(S70)では、裏面11bから表面11aまで切断するように被加工物11を切削(即ち、フルカット)してもよい。
【0104】
X軸方向に平行な1つの分割予定ライン13に沿って被加工物11を切削した後、切削ユニット78を割り出し送りすることにより、Y軸方向に隣接する分割予定ライン13の延長線上に切削ブレード82bを位置付ける。そして、同様に、分割予定ライン13に沿って被加工物11を切削する。
【0105】
任意の数の分割予定ライン13を切削した後、作業者は、上方撮像ユニット84を用いて、裏面11b側の画像を取得して、タッチパネル92に表示させる(裏面表示ステップ(S80))。
【0106】
図8は、裏面表示ステップ(S80)を示す図である。図8では、制御部94等を機能ブロック図で示す。なお、下方撮像ユニット54は、X軸移動テーブル18の空間18dの外へ退避している。
【0107】
本実施形態の裏面表示ステップ(S80)では、制御部94が、被加工物11の厚さ方向において裏面11b側の第1領域に対応する表面11a側の第2領域に含まれるマーク98等の所定のパターンを、第1領域の画像に重ねてタッチパネル92に表示する。
【0108】
図9(A)は、裏面11b側の第1領域の画像の一例である。図9(A)では、裏面11b側に形成された溝11cを示す領域を黒塗の領域で示す。図9(B)は、裏面11b側の第1領域に対応する表面11a側の第2領域の画像の一例である。
【0109】
図9(B)では、デバイス15、分割予定ライン13、マーク98及び回路100の輪郭を示す。なお、図9(B)に示す表面11a側の第2領域の画像のX及びY軸方向の向きは、上述の様に、被加工物11の裏面11b側のX及びY軸方向の向きと同じである。
【0110】
制御部94は、裏面11b側の第1領域に対応する第2領域の画像を記憶部96から読み出し、裏面11b側の第1領域の画像に、この第2領域の画像の所定のパターンを重ねた画像102(図10参照)をタッチパネル92に表示させる。これにより、作業者は、被加工物11に形成される溝11cが分割予定ライン13に沿って形成されているか否かを確認できる。
【0111】
本実施形態において、タッチパネル92に表示される裏面11b側の画像は、上方撮像ユニット84により取得される裏面11b側のリアルタイム画像であるが、上方撮像ユニット84により取得される裏面11b側の静止画像であってもよい。
【0112】
図10は、裏面表示ステップ(S80)で表示される画像の一例(画像102)である。図10では、デバイス15、分割予定ライン13、マーク98及び回路100の輪郭を破線で示す。
【0113】
図10では、画像102にデバイス15、分割予定ライン13、マーク98及び回路100の全てを重ねて表示しているが、いずれかが(例えば、分割予定ライン13のみが)選択的に表示されてもよい。
【0114】
また、分割予定ライン13、マーク98等の輪郭は、表面11a側の画像を2値化処理した上で、目立つように所定の太さ、所定の色、所定の輝度に加工された状態で、画像102に表示されてもよい。
【0115】
なお、画像102には、図10に示す様に、分割予定ライン13、マーク98等の輪郭だけが表示されているが、輪郭ではなく、分割予定ライン13、マーク98等の画像が表示されてもよい。
【0116】
裏面表示ステップ(S80)後、全ての分割予定ライン13に沿って被加工物11が切削されていない場合には、切削ステップ(S70)に戻り、被加工物11を切削する。切削ステップ(S70)及び裏面表示ステップ(S80)は、複数回繰り返されてもよい。
【0117】
X軸方向に平行な全ての分割予定ライン13に沿って被加工物11を切削した後、回転駆動源30を動作させて、保持テーブル10を90度回転させる。そして、再び、切削ステップ(S70)を行う。このとき、切削ステップ(S70)及び裏面表示ステップ(S80)を複数回繰り返してもよい。
【0118】
なお、裏面表示ステップ(S80)では、第2領域に含まれるマーク98等の所定のパターンを含む画像に対して第1領域の画像の少なくとも溝11cを示す領域が重ねられた画像を、タッチパネル92に表示してもよい。図11は、裏面表示ステップ(S80)で表示される画像の他の例(画像102a)である。図11では、溝11cの輪郭を破線で示す。
【0119】
溝11cを示す領域を含む画像では、図11に示す様に溝11cの輪郭だけが表示されてもよく、撮像により得られた溝11cがそのまま表示されてもよい。いずれにしても、第1領域の画像では、少なくとも溝11cを示す領域が使用される。この様に、画像102aをタッチパネル92に表示させる場合でも、作業者は、被加工物11に形成される溝11cが分割予定ライン13に沿って形成されているか否かを確認できる。
【0120】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、切削装置2に代えてレーザー加工装置(加工装置)104を用いて、被加工物11を加工する。但し、上述の載置ステップ(S10)から裏面表示ステップ(S80)は、第1の実施形態と同様に行われる。
【0121】
図12は、第2の実施形態に係るレーザー加工装置104の斜視図である。なお、第1の実施形態に係る切削装置2と同じ構成要素には同じ符号を付す。以下では、切削装置2との差異を主として説明する。
【0122】
レーザー加工装置104では、静止基台106に下方撮像ユニット54が固定されている。また、X軸移動テーブル18の側板18bとは反対側に位置する領域から下方撮像ユニット54が空間18d内に進入できるように、XY平面における向きが90度回転した状態でX軸移動テーブル18が配置されている。
【0123】
レーザー加工装置104は、1対のX軸ガイドレール20が固定されるY軸移動テーブル108を有する。Y軸移動テーブル108は、静止基台106の上面に固定された一対のY軸ガイドレール110上に、スライド可能に取り付けられている。
【0124】
なお、Y軸ガイドレール110に隣接する位置には、Y軸移動テーブル108のY軸方向の位置を検出する際に使用されるY軸スケール110aが設けられている。Y軸移動テーブル108の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール110に概ね平行なY軸ボールネジ112が回転可能な態様で連結されている。
【0125】
Y軸ボールネジ112の一端部には、Y軸パルスモーター114が連結されている。Y軸パルスモーター114でY軸ボールネジ112を回転させれば、Y軸移動テーブル108は、Y軸ガイドレール110に沿ってY軸方向に移動する。Y軸ガイドレール110、Y軸ボールネジ112、Y軸パルスモーター114等は、Y軸移動テーブル108を移動させるY軸移動機構116を構成する。
【0126】
下方撮像ユニット54に隣接する位置には、静止基台106の上面から上方に突出する態様でコラム118が設けられている。コラム118には、X軸方向に略平行な長手部を有するケーシング120が設けられている。
【0127】
ケーシング120には、レーザー照射ユニット122の少なくとも一部が設けられている。レーザー照射ユニット122は、被加工物11に吸収される波長、又は、被加工物11を透過する波長を有するレーザービームを生成するレーザー発振器(不図示)等を有する。
【0128】
レーザー照射ユニット122のX軸方向の先端部には、集光器を含む照射ヘッド124が設けられている。レーザー照射ユニット122で生成された所定の波長のレーザービームは、所定の光学系を経て照射ヘッド124から下方に照射される。また、ケーシング120の先端部において照射ヘッド124に隣接する位置には、上方撮像ユニット84が設けられている。
【0129】
第2の実施形態の裏面表示ステップ(S80)でも、タッチパネル92に表示される裏面11b側の第1領域の画像に、画像取得ステップ(S50)で取得されたマーク98等の所定のパターンを重ねて表示させることができる。これにより、作業者は、被加工物11に形成される溝11cが分割予定ライン13に沿って形成されているか否かを確認できる。
【0130】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、第2の実施形態において、Y軸移動機構116を無くし、第1の実施形態と同様に、Z軸移動機構42をY軸方向に移動させるY軸移動機構を追加してもよい。
【符号の説明】
【0131】
2:切削装置(加工装置)
4:基台
4a,4b,4d:開口
4c:支持構造
6:カセット
10:保持テーブル
11:被加工物
11a:表面
11b:裏面
11c:溝(加工溝)
12:保持部材
12a:一面
12b:他面
12c:第1吸引路
12c:第2吸引路
12c:交点
12d:開口部
12e:外周吸引路
12f:吸引路
13:分割予定ライン
14:吸引源
15:デバイス
16:枠体
16a:開口部
16b:プーリー部
17:テープ
18:X軸移動テーブル
18a:底板
18b:側板
18c:天板
18d:空間
19:フレーム
20:X軸ガイドレール
20a:X軸リニアスケール
21:被加工物ユニット
22:X軸ボールネジ
24:X軸パルスモーター
26:X軸移動機構
28:ベルト
30:回転駆動源
30a:プーリー
32:Y軸移動機構
34:Y軸ガイドレール
36:Y軸移動テーブル
38:Y軸ボールネジ
40:Y軸パルスモーター
42:Z軸移動機構
42a:支持構造
44:Z軸ガイドレール
46:Z軸移動プレート
48:Z軸ボールネジ
50:Z軸パルスモーター
52:支持アーム
54:下方撮像ユニット(第2撮像ユニット)
56:低倍率カメラ
56a:照明装置
58:高倍率カメラ
58a:照明装置
60:加工ユニット移動機構
62:Y軸ガイドレール
64:Y軸移動プレート
66:Y軸ボールネジ
68:Y軸パルスモーター
70:Z軸移動プレート
72:Z軸ガイドレール
74:Z軸ボールネジ
76:Z軸パルスモーター
78:切削ユニット(加工ユニット)
80:スピンドルハウジング
82a:スピンドル
82b:切削ブレード
84:上方撮像ユニット(第1撮像ユニット)
86:洗浄ユニット
88:洗浄テーブル
90:ノズル
92:タッチパネル(表示ユニット)
94:制御部
96:記憶部
98:マーク
100:回路
102,102a:画像
104:レーザー加工装置(加工装置)
106:静止基台
108:Y軸移動テーブル
110:Y軸ガイドレール
110a:Y軸スケール
112:Y軸ボールネジ
114:Y軸パルスモーター
116:Y軸移動機構
118:コラム
120:ケーシング
122:レーザー照射ユニット(加工ユニット)
124:照射ヘッド
A:領域
B,C,D:角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12