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特許7551275混合物、高分子、光学フィルム、光学異方体、偏光板、表示装置および反射防止フィルム、並びに、混合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】混合物、高分子、光学フィルム、光学異方体、偏光板、表示装置および反射防止フィルム、並びに、混合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/26 20060101AFI20240909BHJP
   G02B 1/11 20150101ALI20240909BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240909BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240909BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
C08F220/26
G02B1/11
G02B5/30
G02F1/1335 510
G02F1/13363
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018559034
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2017044935
(87)【国際公開番号】W WO2018123622
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-11-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2016252098
(32)【優先日】2016-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 圭
(72)【発明者】
【氏名】奥山 久美
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】北澤 健一
【審判官】近野 光知
(56)【参考文献】
【文献】特許第6055569(JP,B1)
【文献】特開平11-080081(JP,A)
【文献】特開2011-162678(JP,A)
【文献】特開2012-136652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F220/00-220/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類以上の重合性化合物の混合物であって、
下記式(I)で示される重合性化合物(I)と、下記式(II)で示される重合性化合物(II)とを含み、質量基準で、前記重合性化合物(I)の含有量が、前記重合性化合物(II)の含有量の0.210倍以上である
混合物。
【化1】
〔式(I)および式(II)中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基を表し、
は、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基を表し、
~Zは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH-、-CH-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、-CF-O-、-O-CF-、-CH-CH-、-CF-CF-、-O-CH-CH-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-CH-、-CH-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-CH-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH)-、-C(CH)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表し、R21は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
~AおよびB~Bは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、
~YおよびL~Lは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子を表し、
a、b、gおよびhは、それぞれ独立して、0または1であり、
c、d、iおよびjは、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
eおよびfは、一方が1~3の整数で、他方が0~3の整数であり、
およびRが複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【請求項2】
前記ArおよびArが、それぞれ独立して、下記式(III-1)~(III-3)のいずれかで表される基である、請求項1に記載の混合物。
【化2】
〔式(III-1)~(III-3)中、
Axは炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する有機基を表し、Axが有する芳香環は置換基を有していてもよく、
Ayは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基を表し、
Qは、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数1~6のハロゲン化アルキル基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、-C(=O)-R、-C(=O)-O-Rまたは-SOを表し、Raは、炭素数1~6のアルキル基、または、炭素数1~6のアルキル基若しくは炭素数1~6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素環基を表し、
n1は0~3の整数を表し、n2は0又は1を表し、n3は0~4の整数を表し、n4は0~2の整数を表し、
が複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【請求項3】
前記ArおよびArが、それぞれ独立して、下記式(IV-1)~(IV-3)のいずれかで表される基である、請求項2に記載の混合物。
【化3】
〔式(IV-1)~(IV-3)中、
Ay、Q、R、n1、n2、n3およびn4は、前記と同じ意味を表し、
11~R14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、または、-C(=O)-O-Rを表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数5~12の芳香族炭化水素環基を表し、環を構成する少なくとも1つのC-R11~C-R14は、窒素原子に置き換えられていてもよい。〕
【請求項4】
前記ArおよびArが、それぞれ独立して、下記式(V-1)~(V-4)の何れかで表される基である、請求項1に記載の混合物。
【化4】
〔式(V-1)~(V-4)中、
およびEは、それぞれ独立して、-CR2425-、-S-、-NR24-、-C(=O)-または-O-を表し、R24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、
Rcは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表し、
p0は0~2の整数であり、
およびDは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
Rcが複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【請求項5】
前記DおよびDが、それぞれ独立して、下記式(v-1)~(v-8)の何れかで表される基である、請求項4に記載の混合物。
【化5】
〔式(v-1)~(v-8)中、
Rdは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表し、
p1は、0~5の整数、p2は、0~4の整数、p3は、0~3の整数、p4は、0~2の整数を表し、
Rfは、水素原子またはメチル基を表し、
Rdが複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【請求項6】
前記ArおよびArが、それぞれ独立して、下記式(VI-1)~(VI-5)の何れかで表される基である、請求項4または5に記載の混合物。
【化6】
〔式(VI-1)~(VI-5)中、
、Rcおよびp0は、前記と同じ意味を表し、
Rdは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表し、
p1は、0~5の整数、p2は、0~4の整数、p3は、0~3の整数を表し、
RcおよびRdが複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【請求項7】
下記式(Ia)で示される化合物(Ia)と、下記式(IIa)で示される化合物(IIa)とを含み、
質量基準で、前記化合物(Ia)の含有量が、前記化合物(IIa)の含有量の0.2倍超である、混合物。
【化7】
〔式(Ia)および式(IIa)中、
、A、BおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、
、Y、LおよびLは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子を表し、
FGおよびFGは、それぞれ独立して、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を表し、
aおよびgは、それぞれ独立して、0または1であり、
cおよびiは、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
eは、1~3の整数であり、
が複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【請求項8】
前記FGおよびFGが水酸基であり、
前記aおよびgが0である、請求項7に記載の混合物。
【請求項9】
前記FGおよびFGがカルボキシル基であり、
前記aおよびgが1である、請求項7に記載の混合物。
【請求項10】
請求項1~6のいずれかに記載の混合物を重合して得られる、高分子。
【請求項11】
請求項10に記載の高分子を構成材料とする、光学フィルム。
【請求項12】
請求項10に記載の高分子を構成材料とする層を有する、光学異方体。
【請求項13】
請求項12に記載の光学異方体および偏光フィルムを含む、偏光板。
【請求項14】
請求項13に記載の偏光板を備える、表示装置。
【請求項15】
請求項13に記載の偏光板を含む、反射防止フィルム。
【請求項16】
請求項7~9の何れかに記載の混合物と、下記式(VII)で示される化合物とをエステル化反応またはアミド化反応させる工程を含む、混合物の製造方法。
【化8】
〔式(VII)中、Arは、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基を表し、
Dは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基、または、-C(=O)-R26を表し、R26は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
FGおよびFGは、それぞれ独立して、水酸基またはカルボキシル基を表す。〕
【請求項17】
下記式(VII)で示される化合物と、2.0当量未満の下記式(Ia)で示される化合物(Ia)、下記式(IIa)で示される化合物(IIa)若しくは請求項7~9の何れかに記載の混合物とをエステル化反応またはアミド化反応させる工程(A)と、
前記工程(A)の後に、後処理することなく、前記工程(A)の反応生成物と、前記工程(A)とは異なる、下記式(Ia)で示される化合物(Ia)、下記式(IIa)で示される化合物(IIa)若しくは請求項7~9の何れかに記載の混合物とをエステル化反応またはアミド化反応させる工程(B)と、
を含み、
下記式(VII)で示される化合物に対する、前記化合物(Ia)、前記化合物(IIa)および前記混合物の合計使用量が2.0当量以上3.0当量以下である、混合物の製造方法。
【化9】
〔式(Ia)および式(IIa)中、
、A、BおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、
、Y、LおよびLは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子を表し、
FGおよびFGは、それぞれ独立して、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を表し、
aおよびgは、それぞれ独立して、0または1であり、
cおよびiは、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
eは、1~3の整数であり、
が複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。
また、式(VII)中、
Arは、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基を表し、
Dは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基、または、-C(=O)-R26を表し、R26は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
FGおよびFGは、それぞれ独立して、水酸基またはカルボキシル基を表す。〕
【請求項18】
前記式(VII)で示される化合物として、互いに構造が異なる2種以上の化合物を使用する、請求項16または17に記載の混合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムおよび光学異方体、並びに、当該光学異方体を用いた偏光板、表示装置および反射防止フィルムに関するものである。
また、本発明は、上記光学フィルムおよび光学異方体の調製に使用し得る高分子、並びに、当該高分子の調製に使用し得る混合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示装置等の各種装置において用いられている位相差板には、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板や直線偏光の偏光振動面を90度変換する1/2波長板等がある。これらの位相差板は、ある特定の単色光に対しては正確に光線波長のλ/4あるいはλ/2の位相差を与えることが可能なものである。
しかしながら、従来の位相差板には、位相差板を通過して出力される偏光が有色の偏光に変換されてしまうという問題があった。これは、位相差板を構成する材料が位相差について波長分散性を有し、可視光域の光線が混在する合成波である白色光に対しては各波長ごとの偏光状態に分布が生じることから、入力光を全ての波長領域において正確なλ/4あるいはλ/2の位相差の偏光に調整することが不可能であることに起因する。
このような問題を解決するため、広い波長域の光に対して均一な位相差を与え得る広帯域位相差板、いわゆる逆波長分散性を有する位相差板が種々検討されている。
【0003】
一方、モバイルパソコン、携帯電話等の携帯型の情報端末の高機能化および普及に伴い、フラットパネル表示装置の厚みを極力薄く抑えることが求められてきている。その結果、構成部材である位相差板の薄層化も求められている。
薄層化の方法としては、低分子重合性化合物を含有する重合性組成物をフィルム基材に塗布して光学フィルムを形成することにより位相差板を作製する方法が、近年では最も有効な方法とされている。そのため、優れた逆波長分散性を有する光学フィルムを形成可能な重合性化合物またはそれを用いた重合性組成物の開発が多く行われている。
【0004】
そして、例えば特許文献1および2では、逆波長分散性に優れる光学フィルムを形成可能であると共に、加工に適した低い融点を有して基材に塗布することが容易であり、液晶性を示す温度範囲が広く、更に安価で合成可能な重合性化合物および重合性組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2014/010325号
【文献】特開2015-200877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、重合性化合物を用いた光学フィルムや光学異方体(以下、両者を合わせて「光学フィルム等」と称することがある。)の製造においては、逆波長分散性に優れる光学フィルム等を得ることに加え、生産性を向上させることも求められている。
【0007】
そこで、本発明は、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルム等の調製に使用し得る高分子を効率的に製造し得る手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記式(I)で示される所定の重合性化合物を多く含有する混合物、特には、下記式(I)で示される所定の重合性化合物と下記式(II)で示される所定の重合性化合物とを所定の比率で含有する混合物や、下記式(I)で示される所定の重合性化合物を2種類以上含有し、下記式(II)で示される所定の重合性化合物を実質的に含有しない混合物を使用すれば、逆波長分散性に優れる光学フィルム等を形成可能な高分子を効率的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記に示す混合物、高分子、光学フィルム、光学異方体、偏光板、表示装置および反射防止フィルムが提供される。
【0009】
〔1〕2種類以上の重合性化合物の混合物であって、
下記式(I)で示される重合性化合物(I)と、下記式(II)で示される重合性化合物(II)とを含み、
質量基準で、前記重合性化合物(I)の含有量が、前記重合性化合物(II)の含有量の0.2倍超である、混合物。
或いは、2種類以上の重合性化合物の混合物であって、
下記式(I)で示される重合性化合物(I)を2種類以上含み、且つ、下記式(II)で示される重合性化合物(II)を実質的に含有しない、混合物。
【化1】
〔式(I)および式(II)中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基を表し、
は、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基を表し、
~Zは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH-、-CH-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、-CF-O-、-O-CF-、-CH-CH-、-CF-CF-、-O-CH-CH-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-CH-、-CH-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-CH-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH)-、-C(CH)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表し、R21は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
~AおよびB~Bは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、
~YおよびL~Lは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子を表し、
a、b、gおよびhは、それぞれ独立して、0または1であり、
c、d、iおよびjは、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
eおよびfは、一方が1~3の整数で、他方が0~3の整数であり、
およびRが複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【0010】
〔2〕前記ArおよびArが、それぞれ独立して、下記式(III-1)~(III-3)のいずれかで表される基である、前記〔1〕に記載の混合物。
【化2】
〔式(III-1)~(III-3)中、
Axは炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する有機基を表し、Axが有する芳香環は置換基を有していてもよく、
Ayは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基を表し、
Qは、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数1~6のハロゲン化アルキル基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、-C(=O)-R、-C(=O)-O-Rまたは-SOを表し、Raは、炭素数1~6のアルキル基、または、炭素数1~6のアルキル基若しくは炭素数1~6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素環基を表し、
n1は0~3の整数を表し、n2は0又は1を表し、n3は0~4の整数を表し、n4は0~2の整数を表し、
が複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【0011】
〔3〕前記ArおよびArが、それぞれ独立して、下記式(IV-1)~(IV-3)のいずれかで表される基である、前記〔2〕に記載の混合物。
【化3】
〔式(IV-1)~(IV-3)中、
Ay、Q、R、n1、n2、n3およびn4は、前記と同じ意味を表し、
11~R14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、または、-C(=O)-O-Rを表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数5~12の芳香族炭化水素環基を表し、環を構成する少なくとも1つのC-R11~C-R14は、窒素原子に置き換えられていてもよい。〕
【0012】
〔4〕前記ArおよびArが、それぞれ独立して、下記式(V-1)~(V-4)の何れかで表される基である、前記〔1〕に記載の混合物。
【化4】
〔式(V-1)~(V-4)中、
およびEは、それぞれ独立して、-CR2425-、-S-、-NR24-、-C(=O)-または-O-を表し、R24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、
Rcは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表し、
p0は0~2の整数であり、
およびDは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
Rcが複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【0013】
〔5〕前記DおよびDが、それぞれ独立して、下記式(v-1)~(v-8)の何れかで表される基である、前記〔4〕に記載の混合物。
【化5】
〔式(v-1)~(v-8)中、
Rdは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表し、
p1は、0~5の整数、p2は、0~4の整数、p3は、0~3の整数、p4は、0~2の整数を表し、
Rfは、水素原子またはメチル基を表し、
Rdが複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【0014】
〔6〕前記ArおよびArが、それぞれ独立して、下記式(VI-1)~(VI-5)の何れかで表される基である、前記〔4〕または〔5〕に記載の混合物。
【化6】
〔式(VI-1)~(VI-5)中、
、Rcおよびp0は、前記と同じ意味を表し、
Rdは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表し、
p1は、0~5の整数、p2は、0~4の整数、p3は、0~3の整数を表し、
RcおよびRdが複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【0015】
〔7〕下記式(Ia)で示される化合物(Ia)と、下記式(IIa)で示される化合物(IIa)とを含み、
質量基準で、前記化合物(Ia)の含有量が、前記化合物(IIa)の含有量の0.2倍超である、混合物。
【化7】
〔式(Ia)および式(IIa)中、
、A、BおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、
、Y、LおよびLは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子を表し、
FGおよびFGは、それぞれ独立して、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を表し、
aおよびgは、それぞれ独立して、0または1であり、
cおよびiは、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
eは、1~3の整数であり、
が複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。〕
【0016】
〔8〕前記FGおよびFGが水酸基であり、前記aおよびgが0である、前記〔7〕に記載の混合物。
【0017】
〔9〕前記FGおよびFGがカルボキシル基であり、前記aおよびgが1である、前記〔7〕に記載の混合物。
【0018】
〔10〕前記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の混合物を重合して得られる、高分子。
【0019】
〔11〕前記〔10〕に記載の高分子を構成材料とする、光学フィルム。
【0020】
〔12〕前記〔10〕に記載の高分子を構成材料とする層を有する、光学異方体。
【0021】
〔13〕前記〔12〕に記載の光学異方体および偏光フィルムを含む、偏光板。
【0022】
〔14〕前記〔13〕に記載の偏光板を備える、表示装置。
【0023】
〔15〕前記〔13〕に記載の偏光板を含む、反射防止フィルム。
【0024】
〔16〕前記〔7〕~〔9〕の何れかに記載の混合物と、下記式(VII)で示される化合物とをエステル化反応またはアミド化反応させる工程を含む、混合物の製造方法。
【化8】
〔式(VII)中、Arは、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基を表し、
Dは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基、または、-C(=O)-R26を表し、R26は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
FGおよびFGは、それぞれ独立して、水酸基またはカルボキシル基を表す。〕
【0025】
〔17〕下記式(VII)で示される化合物と、2.0当量未満の下記式(Ia)で示される化合物(Ia)、下記式(IIa)で示される化合物(IIa)若しくは前記〔7〕~〔9〕の何れかに記載の混合物とをエステル化反応またはアミド化反応させる工程(A)と、
前記工程(A)の後に、後処理することなく、前記工程(A)の反応生成物と、前記工程(A)とは異なる、下記式(Ia)で示される化合物(Ia)、下記式(IIa)で示される化合物(IIa)若しくは前記〔7〕~〔9〕の何れかに記載の混合物とをエステル化反応またはアミド化反応させる工程(B)と、
を含み、
下記式(VII)で示される化合物に対する、前記化合物(Ia)、前記化合物(IIa)および前記混合物の合計使用量が2.0当量以上3.0当量以下である、混合物の製造方法。
【化9】
〔式(Ia)および式(IIa)中、
、A、BおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、
、Y、LおよびLは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子を表し、
FGおよびFGは、それぞれ独立して、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を表し、
aおよびgは、それぞれ独立して、0または1であり、
cおよびiは、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
eは、1~3の整数であり、
が複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。
また、式(VII)中、
Arは、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基を表し、
Dは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基、または、-C(=O)-R26を表し、R26は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
FGおよびFGは、それぞれ独立して、水酸基またはカルボキシル基を表す。〕
【0026】
〔18〕前記式(VII)で示される化合物として、互いに構造が異なる2種以上の化合物を使用する、前記〔16〕または〔17〕に記載の混合物の製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルム等の調製に使用し得る高分子、および、当該高分子を効率的に製造し得る混合物が提供される。
また、本発明によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムおよび光学異方体、並びに、それらを用いた偏光板、表示装置および反射防止フィルムが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、「置換基を有していてもよい」とは、「無置換の、または、置換基を有する」の意味である。また、一般式中に含まれるアルキル基や芳香族炭化水素環基等の有機基が置換基を有する場合、当該置換基を有する有機基の炭素数には、置換基の炭素数を含まないものとする。例えば、炭素数6~20の芳香族炭化水素環基が置換基を有する場合、炭素数6~20の芳香族炭化水素環基の炭素数には、このような置換基の炭素数を含まないものとする。更に、本発明において、「アルキル基」とは、鎖状(直鎖状または分岐状)の飽和炭化水素基を意味し、「アルキル基」には、環状の飽和炭化水素基である「シクロアルキル基」は含まれないものとする。
【0029】
ここで、所定の重合性化合物を含む本発明の混合物は、特に限定されることなく、例えば重合開始剤と混合して重合性液晶組成物を調製する際に用いることができる。
また、本発明の混合物および重合性液晶組成物は、特に限定されることなく、例えば本発明の高分子を調製する際に用いることができる。
そして、本発明の高分子は、特に限定されることなく、例えば本発明の光学フィルムの構成材料および本発明の光学異方体が有する層の構成材料として用いることができる。また、本発明の光学異方体は、特に限定されることなく、例えば本発明の偏光板に用いることができる。更に、本発明の偏光板は、特に限定されることなく、例えばフラットパネル表示装置および有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの表示装置、並びに反射防止フィルムに用いることができる。
【0030】
(1)重合性化合物を含む混合物
本発明の一形態の混合物は、下記式(I)で示される重合性化合物(I)と、下記式(II)で示される重合性化合物(II)とを含む混合物であり、例えば後述する重合性液晶組成物および高分子の製造に用いることができる。なお、重合性化合物(I)と重合性化合物(II)とを含有する混合物は、重合性化合物(I)を2種以上含有していてもよいし、重合性化合物(II)を2種以上含有していてもよい。
また、本発明の他の形態の混合物は、下記式(I)で示される重合性化合物(I)を2種類以上含む混合物であり、例えば後述する重合性液晶組成物および高分子の製造に用いることができる。
【化10】
【0031】
そして、混合物または混合物を用いて調製した重合性液晶組成物を使用して高分子を合成して光学フィルム等を形成する際の生産性を高める観点から、本発明の混合物は、重合性化合物(I)と重合性化合物(II)とを含有し、且つ、質量基準で、重合性化合物(I)の含有量(A)が、重合性化合物(II)の含有量(B)の0.2倍超(A/B>0.2)であるか、或いは、2種類以上の重合性化合物(I)を含有し、且つ、重合性化合物(II)を実質的に含有しないことが必要である。
なお、混合物が重合性化合物(I)と重合性化合物(II)とを含有する場合、高分子を合成して光学フィルム等を形成する際の生産性を更に高める観点からは、重合性化合物(I)の含有量(A)は、重合性化合物(II)の含有量(B)の0.3倍以上であることが好ましい。また、得られる光学フィルム等の逆波長分散性を高める観点からは、重合性化合物(I)の含有量(A)は、重合性化合物(II)の含有量(B)の100倍以下であることが好ましく、50倍以下であることがより好ましい。
また、本発明において、「重合性化合物(II)を実質的に含有しない」とは、重合性化合物(II)の含有量が検出下限以下、好ましくは0であることを指す。
【0032】
(1-1)重合性化合物(I)
ここで、式(I)中、aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり、1であることが好ましい。また、cおよびdは、それぞれ独立して、1~20の整数であり、2~12の整数であることが好ましく、4~8の整数であることがより好ましい。更に、eおよびfは、一方が1~3の整数で、他方が0~3の整数である。
【0033】
そして、Arは、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基である。また、Dは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基である。
【0034】
ここで、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基または少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基とは、Dが結合している芳香族炭化水素環またはDが結合している芳香族複素環の環部分からDが結合している炭素以外の炭素に結合している水素原子を2個取り除いた基である。そして、Arの2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基は、D以外の置換基を1つ以上有していてもよい。また、Arの2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基が有する置換基が複数の場合は、複数の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0035】
なお、Arの2価の芳香族炭化水素環基としては、特に限定されることなく、例えば1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、アントラセニル-9,10-ジイル基、アントラセニル-1,4-ジイル基、アントラセニル-2,6-ジイル基等が挙げられる。
【0036】
また、Arの2価の芳香族複素環基としては、特に限定されることなく、例えばベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、1,2-ベンゾイソチアゾール-4,7-ジイル基、ベンゾオキサゾール-4,7-ジイル基、インドーニル-4,7-ジイル基、ベンゾイミダゾール-4,7-ジイル基、ベンゾピラゾール-4,7-ジイル基、1-ベンゾフラン-4,7-ジイル基、2-ベンゾフラン-4,7-ジイル基、ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ジチアゾリル-4,8-ジイル基、ベンゾ[1,2-d:5,4-d’]ジチアゾリル-4,8-ジイル基、ベンゾチオフェニル-4,7-ジイル基、1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン-4,7-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:5,4-b’]ジチオフェニル-4,8-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェニル-4,8-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:5,4-b’]ジフラニル-4,8-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラニル-4,8-ジイル基、ベンゾ[2,1-b:4,5-b’]ジピロール-4,8-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:5,4-b’]ジピロール-4,8-ジイル基、ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ジイミダゾール-4,8-ジイル基等が挙げられる。
【0037】
更に、Arの2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基が有する、D以外の置換基としては、特に限定されることなく、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数1~6のハロゲン化アルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基、-C(=O)-R、-C(=O)-O-Rまたは-SOが挙げられる。ここで、Raは、炭素数1~6のアルキル基、または、炭素数1~6のアルキル基若しくは炭素数1~6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素環基である。また、D以外の置換基としては、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基も挙げられる。
【0038】
そして、D以外の置換基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0039】
以外の置換基の炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
【0040】
以外の置換基の炭素数2~6のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
【0041】
以外の置換基の炭素数1~6のハロゲン化アルキル基としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等の炭素数1~6のフルオロアルキル基が挙げられる。
【0042】
以外の置換基の炭素数1~6のN-アルキルアミノ基としては、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N-ブチルアミノ基、N-イソブチルアミノ基、N-sec-ブチルアミノ基、N-tert-ブチルアミノ基、N-ペンチルアミノ基、N-ヘキシルアミノ基等が挙げられる。
【0043】
以外の置換基の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基としては、N,N-ジメチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N,N-ジブチルアミノ基、N,N-ジイソブチルアミノ基、N,N-ジペンチルアミノ基、N,N-ジヘキシルアミノ基等が挙げられる。
【0044】
以外の置換基の炭素数1~6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0045】
以外の置換基の炭素数1~6のアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec-ブチルスルフィニル基、tert-ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基等が挙げられる。
【0046】
以外の置換基の炭素数1~6のチオアルキル基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等が挙げられる。
【0047】
以外の置換基の炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基としては、N-メチルスルファモイル基、N-エチルスルファモイル基、N-プロピルスルファモイル基、N-イソプロピルスルファモイル基、N-ブチルスルファモイル基、N-イソブチルスルファモイル基、N-sec-ブチルスルファモイル基、N-tert-ブチルスルファモイル基、N-ペンチルスルファモイル基、N-ヘキシルスルファモイル基等が挙げられる。
【0048】
以外の置換基の炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基としては、N,N-ジメチルスルファモイル基、N-メチル-N-エチルスルファモイル基、N,N-ジエチルスルファモイル基、N,N-ジプロピルスルファモイル基、N,N-ジイソプロピルスルファモイル基、N,N-ジブチルスルファモイル基、N,N-ジイソブチルスルファモイル基、N,N-ジペンチルスルファモイル基、N,N-ジヘキシルスルファモイル基等が挙げられる。
【0049】
また、Raの炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
更に、Raの、炭素数1~6のアルキル基若しくは炭素数1~6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素環基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基またはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基を置換基として有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0050】
更に、D以外の置換基の、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基としては、特に限定されることなく、Dとして以下に詳細に説明する有機基と同じものが挙げられる。
【0051】
なお、本発明において、「芳香環」とは、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造、すなわち、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造、および、チオフェン、フラン、ベンゾチアゾール等に代表される、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示す環状構造を意味する。
【0052】
そして、Dの芳香族炭化水素環としては、特に限定されることなく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等が挙げられる。
【0053】
また、Dの芳香族複素環としては、特に限定されることなく、例えば、1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン環、1-ベンゾフラン環、2-ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロフラン環、テトラヒドロフラン環等が挙げられる。
【0054】
なお、Dの芳香族炭化水素環および芳香族複素環は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基、または、-C(=O)-O-Rで置換されていてもよい。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数5~12の芳香族炭化水素環基である。
そして、芳香族炭化水素環および芳香族複素環は、上述した置換基から選ばれる1または複数の置換基を有していてもよい。そして、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0055】
ここで、Dの芳香族炭化水素環および芳香族複素環が有し得るハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基および炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基としては、D以外の置換基として上記したものと同じものが挙げられる。
【0056】
また、Dの芳香族炭化水素環および芳香族複素環が有し得る炭素数1~6のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec-ブチルスルホニル基、tert-ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基等が挙げられる。
【0057】
更に、Dの芳香族炭化水素環および芳香族複素環が有し得る炭素数1~6のフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
【0058】
また、Rの炭素数1~20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、1-メチルペンチル基、1-エチルペンチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基等が挙げられる。
【0059】
の炭素数2~20のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
【0060】
の炭素数3~12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0061】
の炭素数5~12の芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
【0062】
そして、Rの、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、および、置換基を有していてもよい炭素数5~12の芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基等の炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアキル基等が挙げられる。Rの炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、および、炭素数5~12の芳香族炭化水素環基は、上述した置換基から選ばれる1または複数の置換基を有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0063】
また、Rの、炭素数3~12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。Rの炭素数3~12のシクロアルキル基は、上述した置換基から選ばれる1または複数の置換基を有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0064】
そして、上述したAr(少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基)としては、式:-C(R)=N-N(R)R、あるいは式:-C(R)=N-N=C(Rg1)Rで表される基で置換されたフェニレン基、1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、5-(2-ブチル)-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4,6-ジメチル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、6-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4,6,7-トリメチル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4,5,6-トリメチル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、5-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、5-プロピル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、7-プロピル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、フェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4-フルオロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4-ニトロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4-トリフルオロメチルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4-シアノフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4-メタンスルホニルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、チオフェン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、チオフェン-3-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、5-メチルチオフェン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、5-クロロチオフェン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、チエノ[3,2-b]チオフェン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、2-ベンゾチアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4-ビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4-プロピルビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4-チアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、1-フェニルエチレン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、4-ピリジル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、2-フリル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、ナフト[1,2-b]フラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基、5-メトキシ-2-ベンゾチアゾリル基で置換された1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン-4,7-ジイル基、フェニル基で置換された1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン-4,7-ジイル基、4-ニトロフェニル基で置換された1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン-4,7-ジイル基、または、2-チアゾリル基で置換された1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン-4,7-ジイル基等が挙げられる。ここで、上記式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、または、メチル基、エチル基、プロピル基、およびイソプロピル基等の炭素数1~6のアルキル基を表す。また、上記式中、RおよびRg1は、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基を表す。ここで、炭素数1~30の有機基およびその置換基としては、後述するAyの炭素数1~30の有機基およびその置換基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。更に、上記式中、Rは、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する有機基を表す。ここで、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する有機基の具体例としては、後述するAxの炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する有機基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
【0065】
そして、Ar(少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基)としては、Dとして式:-C(Q)=N-N(Ax)Ayで表される基を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素環基または2価の芳香族複素環基が好ましく、Dとして式:-C(Q)=N-N(Ax)Ayで表される基を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素環基がより好ましく、下記式(III-1)~(III-3)のいずれかで表される基が更に好ましい。
【化11】
【0066】
ここで、上記Axは、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する有機基である。なお、Axが有する芳香環は置換基を有していてもよい。また、Axは、芳香環を複数個有していてもよい。
【0067】
なお、Axの炭素数6~30の芳香族炭化水素環としては、Dの芳香族炭化水素環として列記したものと同じものが挙げられる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が好ましい。
また、Axの炭素数2~30の芳香族複素環としては、Dの芳香族複素環として列記したものと同じものが挙げられる。中でも、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環等の単環の芳香族複素環;ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、1-ベンゾフラン環、2-ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピラジン環等の縮合環の芳香族複素環が好ましい。
【0068】
Axが有する芳香環は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、または、-C(=O)-O-Rが挙げられる。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数5~12の芳香族炭化水素環基である。
なお、Axは、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Axが複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
【0069】
ここで、Axが有する芳香環の置換基のハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、および、-C(=O)-O-Rとしては、Dの芳香族炭化水素環および芳香族複素環が有し得る置換基として列記したものと同じものが挙げられる。
これらの中でも、Axが有する芳香環の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、および、炭素数1~6のアルコキシ基が好ましい。
【0070】
そして、Rの、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基の炭素数は、1~12であることが好ましく、4~10であることが更に好ましい。
また、Rの、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基の炭素数は、2~12であることが好ましい。
更に、Rの、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
また、Rの、置換基を有していてもよい炭素数5~12の芳香族炭化水素環基の芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましい。
【0071】
更に、Rの、炭素数1~20のアルキル基の置換基、炭素数2~20のアルケニル基の置換基および炭素数5~12の芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアキル基が好ましい。
なお、Rの炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基および炭素数5~12の芳香族炭化水素環基は、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Rの炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基および炭素数5~12の芳香族炭化水素環基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0072】
また、Rの、炭素数3~12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が好ましい。
なお、Rの炭素数3~12のシクロアルキル基は、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Rの炭素数3~12のシクロアルキル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0073】
ここで、Axが有する芳香環は、同一の、または、相異なる置換基を複数有していてもよく、隣り合った二つの置換基が一緒になって結合して環を形成していてもよい。形成される環は単環であっても、縮合多環であってもよく、不飽和環であっても、飽和環であってもよい。
なお、Axの炭素数2~20の有機基の「炭素数」は、置換基の炭素原子を含まない有機基全体の総炭素数を意味する。
【0074】
そして、Axの、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する有機基としては、
1)少なくとも一つの炭素数6~30の芳香族炭化水素環を有する、炭素数6~40の炭化水素環基、
2)炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~40の複素環基、
3)炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも1つで置換された、炭素数1~12のアルキル基、
4)炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも1つで置換された、炭素数2~12のアルケニル基、および
5)炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも1つで置換された、炭素数2~12のアルキニル基、
が挙げられる。
【0075】
上述した1)の、「少なくとも一つの炭素数6~30の芳香族炭化水素環を有する、炭素数6~40の炭化水素環基」における芳香族炭化水素環の具体例としては、Axが有する芳香族炭化水素環の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。そして、上述した1)の炭化水素環基としては、例えば、炭素数6~30の芳香族炭化水素環基(フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、およびフルオレニル基等)、インダニル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、並びに、1,4-ジヒドロナフチル基が挙げられる。
【0076】
上述した2)の、「炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~40の複素環基」における芳香族炭化水素環および芳香族複素環の具体例としては、Axが有する芳香族炭化水素環および芳香族複素環の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。そして、上述した2)の複素環基としては、例えば、炭素数2~30の芳香族複素環基(フタルイミド基、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジニル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、2-チエニル基、3-チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ペンゾピラノンニル基、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロフラニル基、およびテトラヒドロフラニル基等)、2,3-ジヒドロインドーリル基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、1,2,3,4-テトラヒドロキノリル基が挙げられる。
【0077】
上述した3)の、「炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも1つで置換された、炭素数1~12のアルキル基」における炭素数1~12のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。そして、上述した3)における炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の具体例としては、上述した1)および2)において、炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
【0078】
上述した4)の、「炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも1つで置換された、炭素数2~12のアルケニル基」における炭素数2~12のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基などが挙げられる。そして、上述した4)における炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の具体例としては、上述した1)および2)において、炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
【0079】
上述した5)の、「炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも1つで置換された、炭素数2~12のアルキニル基」における炭素数2~12のアルキニル基の具体例としては、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。そして、上述した5)における炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の具体例としては、上述した1)および2)において、炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
【0080】
なお、上記1)~5)において列挙した有機基は、1または複数の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0081】
かかる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;-OCF;-C(=O)-R;-O-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-SO;等が挙げられる。ここでR、Rは、前記と同じ意味を表す。
これらの中でも、上記1)~5)において列挙した有機基が有する置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、および、炭素数1~6のアルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
【0082】
Axとしての、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する有機基の好ましい具体例を以下に示す。但し、本発明は以下に示すものに限定されるものではない。なお、下記式中、「-」は環の任意の位置からのびるN原子(Axと結合するN原子)との結合手を表す。
【0083】
1)少なくとも一つの炭素数6~30の芳香族炭化水素環を有する、炭素数6~40の炭化水素環基の具体例としては、下記式(1-1)~(1-21)で表される構造が挙げられ、式(1-9)~(1-21)等で表される炭素数6~30の芳香族炭化水素環基が好ましい。
【化12】
【0084】
2)炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~40の複素環基の具体例としては、下記式(2-1)~(2-51)で表される構造が挙げられ、式(2-12)~(2-51)等で表される炭素数2~30の芳香族複素環基が好ましい。
【化13】
〔各式中、Xは、-CH-、-NR-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO-を表し、
YおよびZは、それぞれ独立して-NR-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO-を表し、
Eは、-NR-、酸素原子または硫黄原子を表す。
ここで、Rは、水素原子、または、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基を表す。(但し、各式中において酸素原子、硫黄原子、-SO-、-SO-は、それぞれ隣接しないものとする。)〕
【0085】
3)炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも一つで置換された、炭素数1~12のアルキル基の具体例としては、下記式(3-1)~(3-8)で表される構造が挙げられる。
【化14】
【0086】
4)炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも一つで置換された、炭素数2~12のアルケニル基の具体例としては、下記式(4-1)~(4-5)で表される構造が挙げられる。
【化15】
【0087】
5)芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つで置換された、炭素数2~12のアルキニル基の具体例としては、下記式(5-1)~(5-2)で表される構造が挙げられる。
【化16】
【0088】
なお、上述したAxの好ましい具体例が有する環は、1または複数の置換基を有していてもよい。そして、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数1~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;-OCF;-C(=O)-R;-O-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-SO;等が挙げられる。
ここで、RおよびRは前記と同じ意味を表す。これらの中でも、Axが有する上記環が有する置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、および、炭素数1~6のアルコキシ基が好ましい。
【0089】
上述した中でも、Axは、炭素数6~30の芳香族炭化水素環基、炭素数2~30の芳香族複素環基、または、前記式(1-9)で示される基であることが好ましい。
そして、Axは、炭素数6~20の芳香族炭化水素環基、または、炭素数4~20の芳香族複素環基であることがより好ましく、上記式(1-14)、式(1-20)、式(2-27)~式(2-33)、式(2-35)~式(2-43)、および、式(2-51)で示される基のいずれかであることが更に好ましい。
【0090】
なお、前述した通り、上記の環は1または複数の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数1~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;-C(=O)-R;-O-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-SO;等が挙げられる。
ここで、RおよびRは前記と同じ意味を表す。
これらの中でも、上記環が有する置換基としてはハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、および、炭素数1~6のアルコキシ基が好ましい。
【0091】
そして、Axとしては、下記式(iv)で表される基が更に好ましい。
【化17】
即ち、Arは、下記式(IV-1)~(IV-3)のいずれかで表される基であることが好ましい。なお、式(IV-1)~(IV-3)中、Ay、Q、R、n1、n2、n3およびn4は、前記式(III-1)~(III-3)と同じ意味を表す。
【化18】
【0092】
ここで、式(iv)および式(IV-1)~(IV-3)中、R11~R14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、または、-C(=O)-O-Rである。ここで、Rは、前記と同じ意味を表す。
なかでも、R11~R14は、全て水素原子であるか、R11~R14のうちの少なくとも一つが置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルコキシ基であり、且つ残りが水素原子であることが好ましい。
【0093】
そして、C-R11~C-R14同士は、すべて同一であっても、相異なっていてもよい。また、環を構成する少なくとも1つのC-R11~C-R14は、窒素原子に置き換えられていてもよい。
【0094】
ここで、上記式(iv)で表される基のC-R11~C-R14のうちの少なくとも1つが窒素原子に置き換えられた基の具体例を下記に示す。但し、C-R11~C-R14のうちの少なくとも1つが窒素原子に置き換えられた基はこれらに限定されるものではない。
【化19】
〔各式中、R11~R14は、前記と同じ意味を表す。〕
【0095】
また、上記Ayは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基である。
【0096】
そして、Ayの、置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基としては、特に制限されることなく、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、-SO、-C(=O)-R、-CS-NH-R、置換基を有していてもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい炭素数2~30の芳香族複素環基が挙げられる。
ここで、RおよびRは、前記と同じ意味を表す。
【0097】
なお、Ayの、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基の炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基の炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基の炭素数3~12のシクロアルキル基としては、上述したRの置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基の炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基の炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基の炭素数3~12のシクロアルキル基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。さらに、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基の炭素数は、1~10であることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基の炭素数は、2~10であることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基の炭素数は、3~10であることが好ましい。
【0098】
更に、Ayの、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルキニル基の炭素数2~20のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチニル基、2-ペンチニル基、ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2-オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7-デカニル基等が挙げられる。
【0099】
そして、Ayの置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルキニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1~12のアルコキシ基で置換された炭素数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6~14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;-O-C(=O)-R;-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-SO;-SR;-SRで置換された炭素数1~12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。ここで、RおよびRは、前記と同じ意味を表す。
なお、Ayの炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルキニル基は、上述した置換基を複数有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0100】
また、Ayの、炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基、並びに、それらの置換基としては、それぞれAxの芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基、並びに、それらの置換基として列記したものと同じものが挙げられる。Ayの炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基は、上記列記したものから選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Ayの芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基が複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。さらに、Ayの上記芳香族炭化水素環基の炭素数は、6~20であることが好ましく、6~18であることがより好ましく、6~12であることがさらに好ましい。また、Ayの上記芳香族複素環基の炭素数は、2~20であることが好ましく、2~18であることがより好ましい。
【0101】
上述した中でも、Ayとしては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい炭素数2~18の芳香族複素環基が好ましい。さらに、Ayとしては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~18のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~18のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12の芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい炭素数2~18の芳香族複素環基がより好ましい。なかでも、Ayとしては、置換基を有していても良い炭素数1~18のアルキル基が特に好ましく、中でも、置換基を有していても良い炭素数2~12のアルキル基がさらに特に好ましい。
【0102】
更に、上記Qは、水素原子または炭素数1~6のアルキル基である。Qの炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル等が挙げられる。
【0103】
上記式(III-1)~(III-3)のRは、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、ターシャリーブチル基等の炭素数1~6のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基;炭素数1~6のハロゲン化アルキル基;炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;-C(=O)-Ra;-C(=O)-O-Ra;または-SOaである。ここで、Raは、メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基、または、フェニル基、4-メチルフェニル基、4-メトキシフェニル基等の、炭素数1~6のアルキル基若しくは炭素数1~6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素環基である。なお、Raの置換基が複数の場合は、複数の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロゲン化アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基が好ましい。
なお、(III-1)~(III-3)においてRが複数存在する場合、それらは、それぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。
【0104】
更に、上記式(III-1)~(III-3)のn1は0~3の整数であり、n2は0又は1であり、n3は0~4の整数であり、n4は0~2の整数である。そして、n1~n4は0であることが好ましい。
【0105】
また、Ar(少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基)としては、下記式(V-1)~(V-4)の何れかで表される基も好ましい。なお、下記式(V-1)~(V-4)で表されるArにおいては、DがDに相当する置換基となる。また、(V-3)および(V-4)において、DはD以外の置換基に相当する。
【化20】
【0106】
ここで、式(V-1)~(V-4)中、p0は、0~2の整数であり、0または1であることが好ましい。
【0107】
Rcは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基である。
なお、式(V-1)~(V-2)のそれぞれにおいて、Rcが複数存在する場合、それら複数のRcは、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
【0108】
ここで、Rcのハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基および炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基としては、D以外の置換基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
また、Rcの炭素数1~6のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec-ブチルスルホニル基、tert-ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基等が挙げられる。
【0109】
中でも、Rcのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
また、Rcの炭素数1~6のアルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、tert-ブチル基、メチル基が特に好ましい。
更に、Rcの炭素数1~6のアルキルスルフィニル基としては、炭素数1~4のアルキルスルフィニル基が好ましく、炭素数1~2のアルキルスルフィニル基がより好ましく、メチルスルフィニル基が特に好ましい。
また、Rcの炭素数1~6のアルキルスルホニル基としては、炭素数1~4のアルキルスルホニル基が好ましく、炭素数1~2のアルキルスルホニル基がより好ましく、メチルスルホニル基が特に好ましい。
更に、Rcの炭素数1~6のフルオロアルキル基としては、炭素数1~4のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1~2のフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
また、Rcの炭素数1~6のアルコキシ基としては、炭素数1~4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~2のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
更に、Rcの炭素数1~6のチオアルキル基としては、炭素数1~4のチオアルキル基が好ましく、炭素数1~2のチオアルキル基がより好ましく、メチルチオ基が特に好ましい。
また、Rcの炭素数1~6のN-アルキルアミノ基としては、炭素数1~4のN-アルキルアミノ基が好ましく、炭素数1~2のN-アルキルアミノ基がより好ましく、N-メチルアミノ基が特に好ましい。
更に、Rcの炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基としては、炭素数2~8のN,N-ジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数2~4のN,N-ジアルキルアミノ基がより好ましく、N,N-ジメチルアミノ基が特に好ましい。
また、Rcの炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基としては、炭素数1~4のN-アルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数1~2のN-アルキルスルファモイル基がより好ましく、N-メチルスルファモイル基が特に好ましい。
更に、Rcの炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基としては、炭素数2~8のN,N-ジアルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数2~4のN,N-ジアルキルスルファモイル基がより好ましく、N,N-ジメチルスルファモイル基が特に好ましい。
【0110】
そして、上述した中でも、Rcは、ハロゲン原子、tert-ブチル基、メチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、メチルスルホニル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルチオ基、N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-メチルスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、またはメチルスルフィニル基であることが好ましい。
【0111】
式(V-1)~(V-4)中、EおよびEは、それぞれ独立して、-CR2425-、-S-、-NR24-、-C(=O)-または-O-を表し、R24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。R24およびR25における炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、炭素数1~2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0112】
そして、EおよびEは、それぞれ独立して、-S-、-C(=O)-、-NH-または-N(CH)-であることが好ましい。
【0113】
式(V-1)~(V-4)中、DおよびDは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
【0114】
具体的には、DおよびDの芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
【0115】
また、DおよびDの芳香族複素環基としては、フタルイミド基、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、2-チエニル基、3-チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ペンゾピラノンニル基、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、2-チエニル基、3-チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、チアゾロピリジル基が好ましい。
【0116】
およびDの芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基で置換されていてもよい。
なお、芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基は、上述した置換基から選ばれる1または複数の置換基を有していてもよい。そして、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0117】
およびDの置換基のハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、および炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基、並びにそれらの好適例としては、Rcのハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、および炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基の具体例および好適例として列記したものと同じのものが挙げられる。
【0118】
そして、DおよびDは、それぞれ独立して、以下の式(v-1)~(v-8)で表されるいずれかの基であることが好ましい。
【化21】
【0119】
式(v-1)~(v-8)中、Rdは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表す。また、p1は、0~5の整数、p2は、0~4の整数、p3は、0~3の整数、p4は、0~2の整数を表し、中でも、p1、p3およびp4は、0または1であることが好ましく、p2は、0~3の整数であることが好ましい。更に、Rfは、水素原子またはメチル基を表す。
なお、式(v-1)~(v-8)のそれぞれにおいて、Rdが複数存在する場合、それら複数のRdは、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
【0120】
Rdのハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、および炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基、並びにそれらの好適例としては、Rcのハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、および炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基の具体例および好適例として列記したものと同じのものが挙げられる。
【0121】
そして、Rdとしては、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルチオ基、N,N-ジメチルアミノ基、またはN-メチルアミノ基が好ましい。
【0122】
また、DおよびDは、それぞれ独立して、式(v-1)、(v-3)、または(v-7)で表される基であることが、重合性化合物(I)の光学的な特性やコストの点で特に好ましい。
【0123】
そして、上記式(V-1)~(V-4)の何れかで表される基からなるArは、下記式(VI-1)~(VI-5)で表される基のいずれかであることがより好ましい。
【化22】
【0124】
ここで、式(VI-1)~(VI-5)中、E、Rc、Rd、p0~p3は前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
【0125】
ここで、上記式(V-1)~(V-4)の何れかで表される基からなるArの具体例を以下の式(ar-1)~(ar-94)に示す。
【化23】
【0126】
【化24】
【0127】
【化25】
【0128】
【化26】
【0129】
【化27】
【0130】
【化28】
【0131】
【化29】
【0132】
【化30】
【0133】
【化31】
【0134】
【化32】
【0135】
【化33】
【0136】
また、前述した式(I)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH-、-CH-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、-CF-O-、-O-CF-、-CH-CH-、-CF-CF-、-O-CH-CH-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-CH-、-CH-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-CH-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH)-、-C(CH)=N-、-N=N-、または、-C≡C-である。そして、R21は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基であり、R21の炭素数1~6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
中でも、Zは、-C(=O)-O-であることが好ましい。また、Zは、-O-C(=O)-であることが好ましい。
【0137】
更に、AおよびAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、AおよびAは、置換基を有していてもよい環状脂肪族基であることが好ましい。
【0138】
なお、置換基を有していてもよい環状脂肪族基は、無置換の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有する2価の環状脂肪族基である。そして、2価の環状脂肪族基は、炭素数が通常は5~20である、環状構造を有する2価の脂肪族基である。
およびAの2価の環状脂肪族基の具体例としては、シクロペンタン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,4-ジイル、1,4-シクロヘプタン-1,4-ジイル、シクロオクタン-1,5-ジイル等の炭素数5~20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン-1,5-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル等の炭素数5~20のビシクロアルカンジイル基等が挙げられる。
【0139】
また、置換基を有していてもよい芳香族基は、無置換の2価の芳香族基、または、置換基を有する2価の芳香族基である。そして、2価の芳香族基は、炭素数が通常は2~20である、芳香環構造を有する2価の芳香族基である。
およびAの2価の芳香族基の具体例としては、1,4-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基等の、炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素環基;フラン-2,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ピラジン-2,5-ジイル等の、炭素数2~20の2価の芳香族複素環基;等が挙げられる。
【0140】
更に、AおよびAの2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;等が挙げられる。前記環状脂肪族基および芳香族基は、上述した置換基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよい。なお、置換基を複数有する場合は、各置換基は同一でも相異なっていてもよい。
【0141】
また、aおよび/またはbが1の場合、LおよびLは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-である。ここで、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基である。中でも、LおよびLは、それぞれ独立して、-O-、-C(=O)-O-、または、-O-C(=O)-であることが好ましい。
なお、前記R22およびR23の炭素数1~6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
【0142】
また、aおよび/またはbが1の場合、BおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、BおよびBは置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
【0143】
ここで、置換基を有していてもよい環状脂肪族基は、無置換の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有する2価の環状脂肪族基である。そして、2価の環状脂肪族基は、炭素数が通常は5~20である、環状構造を有する2価の脂肪族基である。
およびBの2価の環状脂肪族基の具体例としては、前記Aの2価の環状脂肪族基として例示したものと同じものが挙げられる。
【0144】
また、置換基を有していてもよい芳香族基は、無置換の2価の芳香族基、または、置換基を有する2価の芳香族基である。そして、2価の芳香族基は、炭素数が通常は2~20である、芳香環構造を有する2価の芳香族基である。
およびBの2価の芳香族基の具体例としては、前記Aの2価の芳香族基として例示したものと同じものが挙げられる。
【0145】
更に、BおよびBの2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基としては、前記Aの2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
【0146】
また、YおよびYは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-である。ここで、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基である。中でも、YおよびYは、それぞれ独立して、-O-、-C(=O)-O-、または、-O-C(=O)-であることが好ましい。
なお、前記R22およびR23の炭素数1~6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
【0147】
そして、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子であり、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。なお、R~Rは、全て同一であることがより好ましく、R~Rは全て水素原子であることがさらに好ましい。
【0148】
なお、逆波長分散性に優れる光学フィルム等を得る観点からは、重合性化合物(I)は、Arを中心として左右が概ね対称な構造を有することが好ましい。具体的には、重合性化合物(I)では、R、aおよびcが、それぞれ、R、bおよびdと同じであり、-Y-[B-L-A-Z-(*)と、(*)-Z-A-[L-B-Y-とがArに結合する側(*)を対称中心とした対称構造を有することが好ましい。
なお、「(*)を対称中心とした対称構造を有する」とは、例えば、-C(=O)-O-(*)と(*)-O-C(=O)-や、-O-(*)と(*)-O-や、-O-C(=O)-(*)と(*)-C(=O)-O-などの構造を有することを意味する。
【0149】
上記重合性化合物(I)は、既知の合成反応を組み合わせて合成することができる。即ち、様々な文献(例えば、MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(WILEY)、サンドラー・カロ「官能基別有機化合物合成法」稲本直樹共訳(廣川書店))、特開2010-031223号公報に記載の方法を参照して合成できる。
【0150】
(1-2)重合性化合物(II)
また、上記式(II)中、gおよびhは、それぞれ独立して、0または1であり、1であることが好ましい。また、iおよびjは、それぞれ独立して、1~20の整数であり、2~12の整数であることが好ましく、4~8の整数であることがより好ましい。
【0151】
そして、上記式(II)のArとしては、Arの具体例および好適例として列記したものと同じものが挙げられる。
また、ZおよびZとしては、ZおよびZの具体例および好適例として列記したものと同じものが挙げられる。
更に、AおよびAとしては、AおよびAの具体例および好適例として列記したものと同じものが挙げられる。
また、gおよび/またはhが1の場合、LおよびLとしては、LおよびLの具体例および好適例として列記したものと同じものが挙げられる。
更に、gおよび/またはhが1の場合、BおよびBとしては、BおよびBの具体例および好適例として列記したものと同じものが挙げられる。
また、YおよびYとしては、YおよびYの具体例および好適例として列記したものと同じものが挙げられる。
更に、RおよびRとしては、RおよびRの具体例および好適例として列記したものと同じものが挙げられる。
【0152】
なお、逆波長分散性に優れる光学フィルム等を得る観点からは、重合性化合物(II)は、Arを中心として左右が対称な構造を有することが好ましい。具体的には、重合性化合物(II)では、R、gおよびiが、それぞれ、R、hおよびjと同じであり、-Y-[B-L-A-Z-(*)と、(*)-Z-A-[L-B-Y-とがArに結合する側(*)を対称中心とした対称構造を有することが好ましい。
なお、「(*)を対称中心とした対称構造を有する」とは、例えば、-C(=O)-O-(*)と(*)-O-C(=O)-や、-O-(*)と(*)-O-や、-O-C(=O)-(*)と(*)-C(=O)-O-などの構造を有することを意味する。
【0153】
上記重合性化合物(II)は、既知の合成反応を組み合わせて製造することができる。即ち、様々な文献(例えば、MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(WILEY)、サンドラー・カロ「官能基別有機化合物合成法」稲本直樹共訳(廣川書店))、特開2010-031223号公報に記載の方法を参照して合成できる。
【0154】
なお、特に限定されるものではないが、光学フィルム等の逆波長分散性を高める観点からは、本発明の混合物では、重合性化合物(I)のAr、Z、Z、A、A、B、B、Y、Y、L、L、R、R、およびa~dは、それぞれ、重合性化合物(II)のAr、Z、Z、A、A、B、B、Y、Y、L、L、R、R、およびg~jと同じであることが好ましい。
即ち、重合性化合物(II)は、「CHCRC(=O)O-」と「-(CH-」との間に「-(CHCHRC(=O)O)-」を有さず、「-OC(=O)CRCH」と「-(CH-」との間に「-(OC(=O)CHRCH-」を有さない以外は重合性化合物(I)と同じ構造を有していることが好ましい。
【0155】
(2)重合性化合物を含む混合物の調製
上述した重合性化合物を含む混合物は、特に限定されることなく、例えば、個別に調製した1種以上の重合性化合物(I)と1種以上の重合性化合物(II)とを所望の割合で混合することにより、或いは、重合性化合物(II)を使用することなく、複数種類の重合性化合物(I)のみを所望の割合で混合することにより、調製することができる。
【0156】
また、上述した重合性化合物(I)および重合性化合物(II)を含む重合性化合物を含む混合物は、特に限定されることなく、以下に説明する化合物(Ia)と化合物(IIa)との混合物を用いて調製することもできる。
【0157】
(2-1)化合物の混合物
本発明の化合物の混合物は、下記式(Ia)で示される化合物(Ia)と、下記式(IIa)で示される化合物(IIa)とを含む混合物である。なお、本発明の化合物の混合物は、特に限定されることなく、例えば、個別に調製した化合物(Ia)と化合物(IIa)とを所望の割合で混合することにより調製することができる。
【化34】
【0158】
そして、上述した重合性化合物を含む混合物を容易に調製する観点から、本発明の混合物は、質量基準で、化合物(Ia)の含有量が、化合物(IIa)の含有量の0.2倍超であることが必要である。
なお、化合物(Ia)の含有量は、化合物(IIa)の含有量の0.3倍以上であることが好ましく、100倍以下であることが好ましく、50倍以下であることがより好ましい。
【0159】
(2-1-1)化合物(Ia)
ここで、式(Ia)中、A、L、B、Y、R、R、a、cおよびeは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同様である。なお、Aは、aが0の場合には置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましく、aが1の場合には置換基を有していてもよい環状脂肪族基であることが好ましい。
【0160】
また、FGは、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基である。なお、aが0の場合、FGは水酸基であることが好ましく、aが1の場合、FGはカルボキシル基であることが好ましい。
【0161】
上記化合物(Ia)は、既知の合成反応を組み合わせて合成することができる。即ち、様々な文献(例えば、MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(WILEY)、サンドラー・カロ「官能基別有機化合物合成法」稲本直樹共訳(廣川書店))に記載の方法を参照して合成できる。
【0162】
(2-1-2)化合物(IIa)
また、式(IIa)中、A、L、B、Y、R、gおよびiは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同様である。なお、Aは、gが0の場合には置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましく、gが1の場合には置換基を有していてもよい環状脂肪族基であることが好ましい。
【0163】
また、FGは、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基である。なお、gが0の場合、FGは水酸基であることが好ましく、gが1の場合、FGはカルボキシル基であることが好ましい。
【0164】
上記化合物(IIa)は、既知の合成反応を組み合わせて合成することができる。即ち、様々な文献(例えば、MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(WILEY)、サンドラー・カロ「官能基別有機化合物合成法」稲本直樹共訳(廣川書店))に記載の方法を参照して合成できる。
【0165】
(2-2)重合性化合物を含む混合物の製造方法
本発明の化合物の混合物を使用して重合性化合物(I)および重合性化合物(II)を含む混合物を製造する方法としては、特に限定されることなく、例えば、上述した化合物の混合物と、下記式(VII)で示される化合物とをエステル化反応またはアミド化反応させる工程を含む製造方法が挙げられる。
なお、下記式(VII)で示される化合物としては、1種類を単独で使用してもよいし、互いに構造が異なる2種以上の化合物(互いに、FG、ArおよびFGの少なくとも一つ以上が異なっている化合物)を使用してもよい。
【化35】
【0166】
ここで、式(VII)中、Arは、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、少なくともDを置換基として有する2価の芳香族複素環基を表す。
【0167】
そして、Arの2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基としては、上記Arの2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基の具体例および好適例として列記したものと同じものが挙げられる。
【0168】
また、Dは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基、または、-C(=O)-R26である。ここで、R26は、水素原子、または、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基である。
【0169】
ここで、Dの、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基としては、上記Dの具体例および好適例として列記したものと同じものが挙げられる。
【0170】
また、Arが有し得るD以外の置換基としては、D以外の置換基の具体例および好適例として列記したものと同じものが挙げられる。
【0171】
更に、式(VII)中、FGおよびFGは、化合物(Ia)のFGおよび化合物(IIa)のFGとエステル結合またはアミド結合を形成し得るものであり、例えば、エステル化反応させる場合は、それぞれ独立して、水酸基またはカルボキシル基であり、アミド化反応させる場合は、それぞれ独立して、アミノ基またはカルボキシル基である。
【0172】
そして、上述した化合物の混合物と、式(VII)で示される化合物とをエステル化反応またはアミド化反応させた場合には、以下に示す重合性化合物の混合物が得られる。
【化36】
【0173】
上記式中、Ar、A、L、B、Y、R、R、a、cおよびe、並びに、A、L、B、Y、R、gおよびiは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同様である。また、上記式中、Zは、化合物(Ia)のFGと、式(VII)で示される化合物のFGおよび/またはFGとが形成したエステル結合(-O-C(=O)-または-C(=O)-O-)、あるいは、アミド結合(-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、ここでR21は、前記と同じ意味である)であり、Zは、化合物(IIa)のFGと、式(VII)で示される化合物のFGおよび/またはFGとが形成したエステル結合(-O-C(=O)-または-C(=O)-O-)、あるいは、アミド結合(-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、ここでR21は、前記と同じ意味である)である。
なお、Arが有するDが-C(=O)-R26である場合には、既知の手法を用いてDをDに変換することにより、重合性化合物(I)と重合性化合物(II)とを含む混合物を得ることができる。
【0174】
なお、上述したエステル化反応またはアミド化反応は、特に限定されず、公知の方法を用いて実施可能である。反応様式としては、脱水縮合剤を用いる縮合反応や、式(Ia)で示される化合物と式(IIa)で示される化合物とを酸ハロゲン化物や混合酸無水物に誘導体化して活性化させた後、塩基存在下で反応させる方法など、有機合成一般で行われる様式が適用可能である。
【0175】
ここで、上記反応に用いられる溶媒としては、不活性であれば特に制限はなく、例えば、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;及びこれらの溶媒の2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。中でも、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン等のエーテル類が好ましい。
【0176】
また、脱水縮合剤としては、特に制限されないが、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド等が挙げられる。中でも、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩が好ましい。
【0177】
なお、脱水縮合剤を用いる際には、4-(ジメチルアミノ)ピリジン等の活性化剤を共存させることもできる。
【0178】
酸ハロゲン化物への誘導体化は、特に制限されないが、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、塩化オキサリル等のハロゲン化剤を用いて行うことができる。中でも、塩化チオニル、塩化オキサリルが好ましい。
【0179】
混合酸無水物への誘導体化は、特に制限されないが、メタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド等のスルホニルハライド、及びトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基の存在下で行うことができる。
【0180】
エステル化反応またはアミド化反応に用いる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等が挙げられる。中でも、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
【0181】
また、エステル化反応またはアミド化反応の反応条件は、適宜に調整することができる。
【0182】
そして、上述した化合物の混合物と、式(VII)で示される化合物とのエステル化反応またはアミド化反応は、式(VII)で示される化合物のFGおよびFGを一括でエステル化反応またはアミド化反応させるように行ってもよい。
ここで、FGおよびFGを一括でエステル化反応またはアミド化反応させる場合は、式(VII)で示される化合物に対して、例えば2.0~3.0当量、好ましくは2.0~2.8当量、さらに好ましくは2.1~2.6当量の上述した化合物の混合物を使用することができる。
【0183】
なお、重合性化合物(I)および重合性化合物(II)を含む混合物を製造する方法としては、式(VII)で示される化合物と、上記式(Ia)で示される化合物(Ia)、上記式(IIa)で示される化合物(IIa)若しくは上述した化合物の混合物とをエステル化反応またはアミド化反応させる工程(A)を実施した後、後処理することなく、工程(A)の反応生成物と、工程(A)とは異なる、式(Ia)で示される化合物(Ia)、式(IIa)で示される化合物(IIa)若しくは上述した化合物の混合物とをエステル化反応またはアミド化反応させる工程(B)を実施する、段階的な反応による方法も挙げられる。
ここで、FGおよびFGを段階的にエステル化反応またはアミド化反応させる場合、1回目の反応(工程(A))では、式(VII)で示される化合物に対して、例えば2.0当量未満、好ましくは1.5当量未満、更に好ましくは0.05~1.0当量の化合物(Ia)、化合物(IIa)若しくは混合物を使用する。また、続いて行う2回目の反応(工程(B))では、式(VII)で示される化合物に対して、化合物(Ia)、化合物(IIa)および混合物の合計使用量(工程(A)の使用量と工程(B)の使用量との合計)が、例えば2.0~3.0当量、好ましくは2.0~2.6当量となるように、化合物(Ia)、化合物(IIa)若しくは混合物を使用する。具体的には、2回目の反応では、例えば0.5当量以上、好ましくは1.95~1.6当量の化合物(Ia)、化合物(IIa)若しくは混合物を使用する。なお、通常、工程(A)および工程(B)の少なくとも一方では、化合物(Ia)または混合物を使用する。
【0184】
(3)重合性液晶組成物
本発明の混合物を用いた重合性液晶組成物は、上述した重合性化合物を含む混合物(重合性化合物(I)および重合性化合物(II)を含む混合物、或いは、重合性化合物(II)を実質的に含有することなく2種類以上の重合性化合物(I)を含む混合物)と、重合開始剤とを含有する。
なお、本発明の混合物を用いた重合性液晶組成物は、後述するように、本発明の高分子、光学フィルム、光学異方体の製造原料として有用である。そして、本発明の混合物を用いた重合性液晶組成物によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルム等を効率的に製造することができる。
【0185】
ここで、重合開始剤は、重合性液晶組成物に含まれている重合性化合物の重合反応をより効率的に行う観点から配合される。
そして、用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤等が挙げられる。
【0186】
ラジカル重合開始剤としては、加熱することにより、重合性化合物の重合を開始し得る活性種が発生する化合物である熱ラジカル発生剤;や、可視光線、紫外線(i線など)、遠紫外線、電子線、X線等の露光光の露光により、重合性化合物の重合を開始しえる活性種が発生する化合物である光ラジカル発生剤;のいずれも使用可能であるが、光ラジカル発生剤を使用するのが好適である。
【0187】
光ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O-アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α-ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。これらの化合物は、露光によって活性ラジカルまたは活性酸、あるいは活性ラジカルと活性酸の両方を発生する成分である。光ラジカル発生剤は、一種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0188】
アセトフェノン系化合物の具体例としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシル・フェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1,2-オクタンジオン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-4’-モルフォリノブチロフェノン等を挙げることができる。
【0189】
ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0190】
なお、本発明においては、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度をさらに改良することができる点で好ましい。
ここで、「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、下記で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。
【0191】
メルカプタン系化合物としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-2,5-ジメチルアミノピリジン等を挙げることができる。アミン系化合物としては、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ジエチルアミノアセトフェノン、4-ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノベンゾニトリル等を挙げることができる。
【0192】
トリアジン系化合物としては、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0193】
O-アシルオキシム系化合物の具体例としては、1-〔4-(フェニルチオ)フェニル〕-ヘプタン-1,2-ジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-〔4-(フェニルチオ)フェニル〕-オクタン-1,2-ジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-〔4-(ベンゾイル)フェニル〕-オクタン-1,2-ジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン1-(O-アセチルオキシム)、1-[9-エチル-6-(3-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン1-(O-アセチルオキシム)、1-(9-エチル-6-ベンゾイル-9H-カルバゾール-3-イル)-エタノン1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロピラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0194】
また、光ラジカル発生剤として、市販品をそのまま用いることもできる。具体例としては、BASF社製の、商品名:Irgacure907、商品名:Irgacure184、商品名:Irgacure369、商品名:Irgacure651、商品名:Irgacure819、商品名:Irgacure907、および、商品名:IrgacureOXE02、並びに、ADEKA社製の、商品名:アデカアークルズN1919T等が挙げられる。
【0195】
前記アニオン重合開始剤としては、アルキルリチウム化合物;ビフェニル、ナフタレン、ピレン等の、モノリチウム塩またはモノナトリウム塩;ジリチウム塩やトリリチウム塩等の多官能性開始剤;等が挙げられる。
【0196】
また、前記カチオン重合開始剤としては、硫酸、リン酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズのようなルイス酸;芳香族オニウム塩または芳香族オニウム塩と、還元剤との併用系;が挙げられる。
【0197】
これらの重合開始剤は一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0198】
なお、本発明の混合物を用いた重合性液晶組成物において、重合開始剤の配合割合は、上述した重合性化合物を含む混合物100質量部に対し、通常、0.1~30質量部、好ましくは0.5~10質量部である。
【0199】
また、本発明の混合物を用いた重合性液晶組成物には、表面張力を調整するために、界面活性剤を配合するのが好ましい。当該界面活性剤としては、特に限定はないが、通常、ノニオン系界面活性剤が好ましい。当該ノニオン系界面活性剤としては、市販品を用いればよく、例えば、分子量が数千程度のオリゴマーであるノニオン系界面活性剤、例えば、ネオス社製、商品名:フタージェント208Gが挙げられる。
ここで、本発明の混合物を用いた重合性液晶組成物において、界面活性剤の配合割合は、全重合性化合物100質量部に対し、通常、0.01~10質量部、好ましくは0.1~2質量部である。
【0200】
更に、本発明の混合物を用いた重合性液晶組成物には、重合性化合物を含む混合物、重合開始剤、界面活性剤の他、本発明の効果に影響が出ない範囲で、他の成分が更に含まれていてもよい。他の成分としては、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。
また、他の成分としては、他の共重合可能な単量体も挙げられる。具体的には、特に限定されるものではなく、例えば、4-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸-4’-メトキシフェニル、4-(6-メタクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸ビフェニル、4-(2-アクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸-4’-シアノビフェニル、4-(2-メタクリロリルオキシエチルオキシ)安息香酸-4’-シアノビフェニル、4-(2-メタクリロリルオキシエチルオキシ)安息香酸-3’,4’-ジフルオロフェニル、4-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸ナフチル、4-アクリロイルオキシ-4’-デシルビフェニル、4-アクリロイルオキシ-4’-シアノビフェニル、4-(2-アクリロイルオキシエチルオキシ)-4’-シアノビフェニル、4-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)-4’-メトキシビフェニル、4-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)-4’-(4”-フルオロベンジルオキシ)-ビフェニル、4-アクリロイルオキシ-4’-プロピルシクロヘキシルフェニル、4-メタクリロイル-4’-ブチルビシクロヘキシル、4-アクリロイル-4’-アミルトラン、4-アクリロイル-4’-(3,4-ジフルオロフェニル)ビシクロヘキシル、4-(2-アクリロイルオキシエチル)安息香酸(4-アミルフェニル)、4-(2-アクリロイルオキシエチル)安息香酸(4-(4’-プロピルシクロヘキシル)フェニル)、商品名「LC-242」(BASF社製)、トランス-1,4-ビス〔4-[6-(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]フェニル〕シクロヘキサンジカルボキシレート、並びに、特開2007-002208号公報、特開2009-173893号公報、特開2009-274984号公報、特開2010-030979号公報、特開2010-031223号公報、特開2011-006360号公報および特開2010-24438号公報に開示されている化合物等の共重合可能な単量体が挙げられる。
これらの他の成分の配合割合は、全重合性化合物100質量部に対し、通常、0.1~20質量部である。
【0201】
本発明の混合物を用いた重合性液晶組成物は、通常、重合性化合物を含む混合物、重合開始剤、および、所望により配合される他の成分等の所定量を、適当な有機溶媒に混合・溶解させることにより、調製することができる。
なお、この場合、混合物としての2種類以上の重合性化合物(具体的には、重合性化合物(I)と重合性化合物(II)、或いは、複数種類の重合性化合物(I))は、予め混合した状態で添加してもよいし、別々に添加してもよい。
【0202】
用いる有機溶媒としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン等のエーテル類;等が挙げられる。
【0203】
(4)高分子
本発明の高分子は、上述した重合性化合物を含む混合物(重合性化合物(I)および重合性化合物(II)を含む混合物、或いは、重合性化合物(II)を実質的に含有することなく2種類以上の重合性化合物(I)を含む混合物)、または、上述した重合性液晶組成物を重合して得られるものである。
ここで、「重合」とは、通常の重合反応のほか、架橋反応を含む広い意味での化学反応を意味するものとする。
そして、本発明の一形態の高分子は、通常、重合性化合物(I)に由来する下記の単量体単位(繰り返し単位(I)’)と、重合性化合物(II)に由来する下記の単量体単位(繰り返し単位(II)’)とを有している。
また、本発明の他の形態の高分子は、重合性化合物(I)に由来する下記の単量体単位(繰り返し単位(I)’)を2種類以上有している。
【化37】
〔式(I)’および(II)’中のAr、Ar、Z~Z4、A~A4、B~B4、Y~Y4、L~L4、R~R6、およびa~jは、前記と同じ意味である。〕
【0204】
なお、本発明の高分子は、重合性化合物(I)を少なくとも含み、任意に重合性化合物(II)を更に含む混合物を用いて調製しているので、光学フィルム等の構成材料として良好に用いることができる。また、本発明の高分子は、重合性化合物中に占める重合性化合物(I)の割合が高い混合物を用いて調製しているので、短時間で効率的に合成することができる。具体的には、例えば露光光の露光により重合性化合物を重合させる場合には、重合に必要な露光時間を短縮することができる。また、例えば加熱により重合性化合物を重合させる場合には、重合に必要な加熱時間を短縮することができる。
【0205】
また、本発明の高分子は、特に限定されることなく、フィルム状、粉体状、粉体が集合した層状などの用途に応じた任意の形状にして使用することができる。
具体的には、高分子のフィルムは、後述する光学フィルムおよび光学異方体の構成材料として良好に用いることができ、高分子の粉は、塗料、偽造防止物品、セキュリティ物品等に利用することができ、高分子の粉よりなる層は、光学異方体の構成材料として良好に用いることができる。
【0206】
そして、本発明の高分子は、具体的には、(α)適当な有機溶媒中で、重合性化合物を含む混合物、または、重合性液晶組成物の重合反応を行った後、目的とする高分子を単離し、得られる高分子を適当な有機溶媒に溶解して溶液を調製し、この溶液を適当な基板上に塗工して得られた塗膜を乾燥後、所望により加熱することにより得る方法、(β)重合性化合物を含む混合物、または、重合性液晶組成物を有機溶媒に溶解し、この溶液を、公知の塗工法により基板上に塗布した後、脱溶媒し、次いで加熱または活性エネルギー線を照射することにより重合反応を行う方法等により好適に製造することができる。
【0207】
前記(α)の方法において重合反応に用いる有機溶媒としては、不活性なものであれば、特に制限されない。例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;等が挙げられる。
これらの中でも、取り扱い性に優れる観点から、沸点が60~250℃のものが好ましく、60~150℃のものがより好ましい。
【0208】
また、前記(α)の方法において、単離した高分子を溶解するための有機溶媒、および、前記(β)の方法で用いる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、1,3-ジオキソラン等のエーテル系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。これらの中でも、取り扱いが容易な点から、溶媒の沸点が60~200℃のものが好ましい。これらの溶媒は単独でも用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0209】
前記(α)および(β)の方法において用いる基板としては、有機、無機を問わず、公知慣用の材質のものを使用することができる。例えば、有機材料としては、ポリシクロオレフィン〔例えば、ゼオネックス、ゼオノア(登録商標;日本ゼオン社製)、アートン(登録商標;JSR社製)、および、アペル(登録商標;三井化学社製)〕、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース、三酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン等が挙げられ、無機材料としては、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
また、用いる基板は、単層のものであっても、積層体であってもよい。
基板としては、有機材料からなる基板が好ましく、有機材料をフィルム状にした樹脂フィルムが更に好ましい。
なお、基板としては、後述する光学異方体の作製に用いられる基板等も挙げられる。
【0210】
また、(α)の方法において高分子の溶液を基板に塗布する方法、および、(β)の方法において重合反応用の溶液を基板に塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、キャップコーティング法等を用いることができる。
【0211】
更に、前記(α)および(β)の方法における乾燥または脱溶媒の方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等を用いることができる。
【0212】
また、混合物および重合性液晶組成物を重合させる方法としては、活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられるが、加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。
【0213】
ここで、光の照射時の温度は、30℃以下とすることが好ましい。光照射強度は、通常、1W/m~10kW/mの範囲、好ましくは5W/m~2kW/mの範囲である。
【0214】
上述のようにして得られた高分子は、基板から転写して使用することも、基板から剥離して単体で使用することも、基板から剥離せずにそのまま光学フィルム等の構成材料等として使用することもできる。
また、基板から剥離した高分子は、既知の方法で粉砕して粉体状にしてから使用することもできる。
【0215】
以上のようにして得られる本発明の高分子の数平均分子量は、好ましくは500~500,000、更に好ましくは5,000~300,000である。該数平均分子量がかかる範囲にあれば、高い硬度が得られ、取り扱い性にも優れるため望ましい。高分子の数平均分子量は、単分散のポリスチレンを標準試料とし、テトラヒドロフランを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0216】
そして、本発明の高分子によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な、性能面で満足のいく光学フィルム等を効率的に得ることができる。
【0217】
(5)光学フィルム
本発明の光学フィルムは、本発明の高分子を用いて形成され、光学的な機能を有する層を含む。光学的な機能とは、単なる透過、反射、屈折、複屈折などを意味する。
【0218】
ここで、本発明の光学フィルムは、配向膜を有していてもよい配向基板上に形成されたままの形態(配向基板/(配向膜)/光学フィルム)、配向基板とは異なる透明基板フィルム等に光学フィルムを転写した形態(透明基板フィルム/光学フィルム)、または、光学フィルムに自己支持性がある場合には光学フィルム単層形態(光学フィルム)のいずれの形態であってもよい。
なお、配向膜および配向基板としては、後述する光学異方体と同じ基板および配向膜を用いることができる。
【0219】
そして、本発明の光学フィルムは、(A)重合性化合物を含む混合物の溶液、または、重合性液晶組成物の溶液を配向基板上に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、熱処理(液晶の配向)、並びに、光照射および/または加熱処理(重合)を行う方法や、(B)重合性化合物を含む混合物または液晶性組成物を重合して得られる液晶性高分子の溶液を配向基板上に塗布し、任意に得られた塗膜を乾燥する方法により製造することができる。
【0220】
本発明の光学フィルムは、光学異方体、液晶表示素子用配向膜、カラーフィルター、ローパスフィルター、光偏光プリズム、各種光フィルター等に用いることができる。
【0221】
なお、本発明の光学フィルムは、エリプソメーターで測定した波長449.9nm、548.5nm、650.2nmにおける位相差から求められる、下記α値およびβ値が所定の範囲内にあることが好ましい。具体的には、α値は、0.70~0.99であることが好ましく、0.75~0.90であることがより好ましい。また、β値は、1.00~1.25であることが好ましく、1.01~1.20であることがより好ましい。
α=(449.9nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
β=(650.2nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
【0222】
(6)光学異方体
本発明の光学異方体は、本発明の高分子を構成材料とする層を有する。
本発明の光学異方体は、例えば、基板上に配向膜を形成し、該配向膜上に、さらに、本発明の高分子からなる層(液晶層)を形成することによって、得ることができる。なお、本発明の光学異方体は、基板上に本発明の高分子からなる層(液晶層)を直接形成したものであってもよいし、本発明の高分子からなる層(液晶層)のみからなるものであってもよい。
なお、高分子からなる層は、フィルム状の高分子からなるものであってもよいし、粉体状の高分子の集合体であってもよい。
【0223】
ここで、配向膜は、重合性液晶化合物を面内で一方向に配向規制するために基板の表面に形成される。
配向膜は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリマーを含有する溶液(配向膜用組成物)を基板上に膜状に塗布し、乾燥させ、そして一方向にラビング処理等することで、得ることができる。
配向膜の厚さは0.001~5μmであることが好ましく、0.001~1μmであることがさらに好ましい。
【0224】
ラビング処理の方法は、特に制限されないが、例えばナイロン等の合成繊維、木綿等の天然繊維からなる布やフェルトを巻き付けたロールで一定方向に配向膜を擦る方法が挙げられる。ラビング処理した時に発生する微粉末(異物)を除去して配向膜の表面を清浄な状態とするために、ラビング処理後に配向膜をイソプロピルアルコール等によって洗浄することが好ましい。
また、ラビング処理する方法以外に、配向膜の表面に偏光紫外線を照射する方法によっても、面内で一方向に配向規制する機能を持たせることができる。
【0225】
配向膜を形成する基板としては、ガラス基板、合成樹脂フィルムからなる基板等が挙げられる。前記合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、および、脂環式オレフィンポリマーなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0226】
脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05-310845号公報、米国特許第5179171号明細書に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05-97978号公報、米国特許第5202388号明細書に記載されている水素添加重合体、特開平11-124429号公報(国際公開99/20676号)に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体およびその水素添加物等が挙げられる。
【0227】
本発明において、配向膜上に本発明の高分子からなる液晶層を形成する方法としては、前記本発明の高分子の項で記載したのと同じ方法(前記(α)および(β))が挙げられる。
得られる液晶層の厚みは、特に制限はないが、通常1~10μmである。
【0228】
なお、本発明の光学異方体の一種としては、特に限定されることなく、位相差板、視野角拡大板等が挙げられる。
【0229】
なお、本発明の光学異方体は、エリプソメーターで測定した波長449.9nm、548.5nm、650.2nmにおける位相差から求められる、下記α値およびβ値が所定の範囲内にあることが好ましい。具体的には、α値は、0.70~0.99であることが好ましく、0.75~0.90であることがより好ましい。また、β値は、1.00~1.25であることが好ましく、1.01~1.20であることがより好ましい。
α=(449.9nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
β=(650.2nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
【0230】
(7)偏光板等
本発明の偏光板は、本発明の光学異方体および偏光フィルムを含むものである。
本発明の偏光板の具体例としては、偏光フィルム上に、直接又はその他の層(ガラス板等)を介して、本発明の光学異方体が積層されてなるものが挙げられる。
【0231】
偏光フィルムの製造方法は特に限定されない。PVA系の偏光フィルムを製造する方法としては、PVA系フィルムにヨウ素イオンを吸着させた後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後にヨウ素イオンを吸着させる方法、PVA系フィルムへのヨウ素イオン吸着と一軸延伸とを同時に行う方法、PVA系フィルムを二色性染料で染色した後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に二色性染料で染色する方法、PVA系フィルムへの二色性染料での染色と一軸延伸とを同時に行う方法が挙げられる。また、ポリエン系の偏光フィルムを製造する方法としては、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に脱水触媒存在下で加熱・脱水する方法、ポリ塩化ビニル系フィルムを一軸に延伸した後に脱塩酸触媒存在下で加熱・脱水する方法などの公知の方法が挙げられる。
【0232】
本発明の偏光板においては、偏光フィルムと本発明の光学異方体とが、接着剤(粘着剤を含む)からなる接着層を介して接していてもよい。接着層の平均厚みは、通常0.01μm~30μm、好ましくは0.1μm~15μmである。前記接着層は、JIS K7113による引張破壊強度が40MPa以下となる層であることが好ましい。
【0233】
接着層を構成する接着剤としては、アクリル接着剤、ウレタン接着剤、ポリエステル接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリオレフィ系接着剤、変性ポリオレフィン接着剤、ポリビニルアルキルエーテル接着剤、ゴム接着剤、塩化ビニル・酢酸ビニル接着剤、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS共重合体)接着剤、その水素添加物(SEBS共重合体)接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびエチレン-スチレン共重合体などのエチレン接着剤、並びに、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体およびエチレン・アクリル酸エチル共重合体などのアクリル酸エステル接着剤などが挙げられる。
【0234】
本発明の偏光板は、本発明の光学異方体を用いていることから、低コストで製造可能で、反射輝度が低く、かつ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な、性能面でも優れたものである。
【0235】
また、本発明の偏光板を用いることにより、パネルおよび偏光板を供える表示装置や、反射防止フィルムを好適に製造することができる。なお、表示装置としては、パネルとして液晶パネルを用いたフラットパネル表示装置や、パネルとして有機エレクトロルミネッセンスパネルを用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置が挙げられる。
【実施例
【0236】
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0237】
(合成例1)化合物1の合成
【化38】
【0238】
ステップ1:中間体Aの合成
【化39】
【0239】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸17.98g(104.42mmol)とテトラヒドロフラン(THF)180mlを加えた。そこへ、メタンスルホニルクロリド6.58g(57.43mmol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、トリエチルアミン6.34g(62.65mmol)を、反応液内温を20~30℃に保持しながら、10分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに攪拌した。
得られた反応液に、4-(ジメチルアミノ)ピリジン0.64g(5.22mmol)、及び、4-(6-アクリロイルオキシ-ヘクス-1-イルオキシ)フェノール(DKSH社製)13.80g(52.21mmol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、トリエチルアミン6.34g(62.65mmol)を、反応液内温を20~30℃に保持しながら、10分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水1000mlと飽和食塩水100mlを加え、酢酸エチル400mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9(容積比、以下同じ))により精製を行った。高速液体クロマトグラフィーで分析を行い、純度が99.5%以上になるまでシリカゲルカラムクロマトグラフィーでの精製を繰り返した。その結果、白色固体として中間体Aを14.11g得た(収率:65モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0240】
H-NMR(500MHz,DMSO-d,TMS,δppm):12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、6.32(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.48-2.56(m,1H)、2.18-2.26(m,1H)、2.04-2.10(m,2H)、1.93-2.00(m,2H)、1.59-1.75(m,4H)、1.35-1.52(m,8H)
【0241】
ステップ2:中間体Bの合成
【化40】
【0242】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体A4.00g(9.56mmol)及びTHF60mlを入れ、均一な溶液とした。そこへ、メタンスルホニルクロリド1.12g(9.78mmol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、トリエチルアミン1.01g(9.99mmol)を、反応液内温を20~30℃に保持しながら、5分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間攪拌した。得られた反応液に、4-(ジメチルアミノ)ピリジン0.11g(0.87mmol)、及び、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド0.60g(4.35mmol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、トリエチルアミン1.10g(10.87mmol)を、反応液内温を20~30℃に保持しながら、5分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水400mlと飽和食塩水50mlを加え、酢酸エチル750mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をTHF100mlに溶解させた。その溶液にメタノール500mlを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体として中間体Bを2.51g得た(収率:62モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0243】
H-NMR(500MHz,DMSO-d,TMS,δppm):10.02(s,1H)、7.67(d,1H,J=3.0Hz)、7.55(dd,1H,J=3.0Hz,8.5Hz)、7.38(d,1H,J=8.5Hz)、6.99-7.04(m,4H)、6.91-6.96(m,4H)、6.32(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.56-2.81(m,4H)、2.10-2.26(m,8H)、1.50-1.76(m,16H)、1.33-1.49(m,8H)
【0244】
ステップ3:化合物1の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体B2.30g(2.45mmol)及びTHF25mlを入れ、均一な溶液とし、そこへ、濃塩酸0.49ml(0.25mmol)を加えた。この溶液に、2-ヒドラジノベンゾチアゾール0.40g(2.45mmol)のTHF5ml溶液を15分かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃にてさらに1時間撹拌した。反応終了後、反応液をメタノール400mlに投入して析出した固体をろ取した。ろ取した固体を真空乾燥機で乾燥させ、淡黄色固体として化合物1を2.4g得た(収率:90モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0245】
H-NMR(500MHz,DMSO-d,TMS,δppm):12.63(s,1H)、8.10(s,1H)、7.80(d,1H,J=5.0Hz)、7.60(d,1H,J=3.0Hz)、7.48(s,1H)、7.21-7.35(m,3H)、7.14(t,1H,J=7.5Hz)、6.98-7.05(m,4H)、6.91-6.97(m,4H)、6.32(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.18(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.12(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.56-2.83(m,4H)、2.11-2.30(m,8H)、1.52-1.80(m,16H)、1.33-1.49(m,8H)
【0246】
(合成例2)化合物2の合成
【化41】
【0247】
ステップ1:中間体Cの合成
【化42】
【0248】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)を入れ、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)20mlに溶解した。この溶液に炭酸カリウム8.36g(60.5mmol)、1-ヨードヘキサン3.08g(14.5mmol)を加え、50℃で7時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、反応液を水200mLに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。そして、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製し、白色固体として中間体Cを2.10g得た(収率:69.6モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0249】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.60(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、4.22(s,2H)、3.74(t,2H,J=7.5Hz)、1.69-1.76(m,2H)、1.29-1.42(m,6H)、0.89(t,3H,J=7.0Hz)
【0250】
ステップ2:化合物2の合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体C697mg(2.37mmol)、及び、合成例1のステップ2で合成した中間体B2.00g(2.13mmol)を入れ、エタノール3ml及びTHF20mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、(±)-10-カンファースルホン酸55.1mg(0.237mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を水150mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、白色固体を得た。この白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=90:10)により精製し、白色固体として化合物2を2.24g得た(収率:86.4モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0251】
H-NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.67-7.70(m,3H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,7.0Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.12(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=2.5Hz,9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58-2.70(m,4H)、2.31-2.35(m,8H)、1.66-1.82(m,18H)、1.31-1.54(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
【0252】
(合成例3)化合物3の合成
【化43】
【0253】
ステップ1:中間体Dの合成
【化44】
【0254】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2-クロロベンゾチアゾール3.00g(17.69mmol)とフェニルヒドラジン7.65g(70.74mmol)を入れ、エチレングリコール30mlに溶解させた。この溶液を140℃に加熱し5時間反応させた。その後、反応液に蒸留水300mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した後にTHF15mlを加えて溶解させ、その溶液を蒸留水300ml中に投入した。析出した固体をろ過し、蒸留水で洗浄後、真空乾燥させて黄色固体を得た。得られた黄色固体をフラスコに入れ、トルエン50mlを加えて30分攪拌した後に、ろ過を行うことでトルエンに不溶の固体成分を除去した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=2:50)により精製することで、黄色オイルとして中間体Dを0.94g得た(収率:22モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0255】
H-NMR(500MHz,DMSO-d,TMS,δppm):8.01(dd,2H,J=1.0Hz,9.0Hz)、7.78(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.51(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.43(dd,2H,J=7.5Hz,8.5Hz)、7.28(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.08-7.16(m,2H)、6.26(s,2H)
【0256】
ステップ2:化合物3の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ2で合成した中間体B1.00g(1.06mmol)を入れ、THF30mlに溶解させた。この溶液に、1N塩酸0.22ml(0.22mmol)と前記ステップ1で合成した中間体D0.38g(1.60mmol)を加え、40℃で2時間反応させた。その後、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=40:1)により精製することで、淡黄色固体として化合物3を1.14g得た(収率:95モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0257】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.82(d,1H,J=2.5Hz)、7.73(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.64-7.70(m,2H)、7.60(d,2H,J=7.5Hz)、7.35-7.42(m,3H)、7.30(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.18(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.03-7.12(m,2H)、7.00(d,2H,J=9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.90(d,2H,J=9.0Hz)、6.89(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.18(t,2H,J=6.5Hz)、4.18(t,2H,J=6.5Hz)、3.92-3.98(m,4H)、2.56-2.71(m,2H)、2.41-2.50(m,1H)、2.27-2.40(m,5H)、2.12-2.22(m,2H)、1.64-1.91(m,14H)、1.41-1.56(m,10H)、1.19-1.31(m,2H)
【0258】
(合成例4)化合物4の合成
【化45】
【0259】
ステップ1:中間体Eの合成
【化46】
【0260】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流下中、シクロヘキシルヒドラジン塩酸塩2.50g(16.6mmol)を入れ、トリエチルアミン8mlに溶解した。この溶液に2-クロロベンゾチアゾール5.63g(33.2mmol)を加え、80℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液150mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。そして、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製し、白色固体として中間体Eを1.02g得た(収率:22.3モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0261】
H-NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):7.58(d,1H,J=7.8Hz)、7.52(d,1H,J=8.2Hz)、7.26(dd,1H,J=7.4Hz,8.2Hz)、7.05(dd,1H,J=7.4Hz,7.8Hz)、4.25-4.32(m,1H)、4.04(s,2H)、1.84-1.88(m,4H)、1.68-1.73(m,1H)、1.43-1.59(m,4H)、1.08-1.19(m,1H)
【0262】
ステップ2:化合物4の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ2で合成した中間体B1.40g(1.49mmol)、前記ステップ1で合成した中間体E456mg(1.84mmol)、(±)-10-カンファースルホン酸38.6mg(0.166mmol)、THF16ml、及び、エタノール4mlを加え、均一な溶液とした。その後、40℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応液を水100mlに投入し、酢酸エチル200mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=97:3)により精製し、淡黄色固体として化合物4を1.24g得た(収率:71.4モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0263】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):8.15(s,1H)、7.72(d,1H,J=1.5Hz)、7.68(dd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz)、7.66(dd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz)、7.31-7.35(m,1H)、7.14-7.18(m,1H)、7.13(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=1.5Hz,9.0Hz)、6.96-7.00(m,4H)、6.86-6.90(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.0Hz,17.0Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.62-4.70(m,1H)、4.17(t,4H,J=6.5Hz)、3.94(t,4H,J=6.5Hz)、2.55-2.74(m,4H)、2.27-2.47(m,10H)、1.90-2.00(m,4H)、1.65-1.85(m,16H)、1.42-1.55(m,10H)、1.24-1.33(m,2H)
【0264】
(合成例5)化合物5の合成
【化47】
【0265】
ステップ1:中間体Fの合成
【化48】
【0266】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)を入れ、DMF30mlに溶解させた。この溶液に炭酸セシウム7.88g(24.2mol)を加えて0℃に冷却し、ブチル2-クロロエチルエーテル1.98g(14.5mmol)を5分かけて滴下し、その後反応液を室温(23℃、以下にて同じ)に戻して3時間攪拌した。反応終了後、反応液に水200mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製することで、白色固体として中間体Fを1.70g得た(収率53.0モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0267】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.61(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.50(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27-7.29(m,1H)、7.04-7.08(m,1H)、4.70(s,2H)、4.01(t,2H,J=5.0Hz)、3.82(t,2H,J=5.0Hz)、3.44(t,2H,J=7.0Hz)、1.52-1.57(m,2H)、1.31-1.39(m,2H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
【0268】
ステップ2:化合物5の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ2で合成した中間体B1.50g(1.60mmol)、前記ステップ1で合成した中間体F396mg(1.78mmol)、(±)-10-カンファースルホン酸41.4mg(0.178mmol)、THF16ml、及び、エタノール4mlを加え、均一な溶液とした。その後、40℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応液を水100mlに投入し、酢酸エチル200mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、淡黄色固体として化合物5を1.31g得た(収率:69.4モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0269】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):8.03(s,1H)、7.76(d,1H,J=1.5Hz)、7.65-7.71(m,2H)、7.34(ddd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.09-7.12(m,2H)、6.96-7.00(m,4H)、6.87-6.90(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.45(t,2H,J=5.5Hz)、4.18(t,4H,J=7.0Hz)、3.95(t,4H,J=7.0Hz)、3.79(t,2H,J=5.5Hz)、3.44(t,2H,J=7.0Hz)、2.55-2.74(m,4H)、2.28-2.40(m,8H)、1.65-1.83(m,16H)、1.42-1.55(m,10H)、1.25-1.34(m,2H)、0.85(t,3H,J=7.0Hz)
【0270】
(合成例6)化合物6の合成
【化49】
【0271】
ステップ1:中間体Gの合成
【化50】
【0272】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール5.04g(30.5mmol)を入れ、DMF50mlに溶解した。この溶液に炭酸セシウム14.9g(45.8mmol)、4-ブロモ-1-ブテン4.94g(36.6mmol)を加え、室温で7時間撹拌した。反応終了後、反応液を水200mLに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。そして、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=70:30)により精製し、白色固体として中間体Gを4.40g得た(収率:49.5モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0273】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.60(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.54(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.28(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、5.89(ddt,1H,J=7.0Hz,10.5Hz,17.0Hz)、5.17(ddt,1H,J=1.5Hz,3.0Hz,17.0Hz)、5.09(ddt,1H,J=1.0Hz,3.0Hz,10.5Hz)、4.26(s,2H)、3.85(t,2H,J=7.0Hz)、2.52(dddt,2H,J=1.0Hz,1.5Hz,7.0Hz,7.0Hz)
【0274】
ステップ2:化合物6の合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体G195mg(1.77mmol)、及び、合成例1のステップ2で合成した中間体B:1.50g(1.60mmol)を入れ、エタノール3ml及びTHF15mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、(±)-10-カンファースルホン酸41.2mg(0.177mmol)を加え、40℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応液を水150mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。そして、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=90:10)により精製し、白色固体として化合物6を1.26g得た(収率:69.3モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0275】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.76(d,1H,J=2.5Hz)、7.67-7.70(m,3H)、7.35(ddd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.18(ddd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.10-7.14(m,2H)、6.99(d,2H,J=9.5Hz)、6.98(d,2H,J=9.5Hz)、6.88(d,4H,J=9.5Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.89(ddt,1H,J=6.5Hz,10.5Hz,17.0Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.18(dd,1H,J=1.5Hz,17.0Hz)、5.15(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.38(t,2H,J=7.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58-2.68(m,4H)、2.51(dt,2H,J=6.5Hz,7.0Hz)、2.31-2.35(m,8H)、1.76-1.85(m,4H)、1.65-1.74(m,12H)、1.41-1.54(m,8H)
【0276】
(合成例7)化合物7の合成
【化51】
【0277】
ステップ1:中間体Hの合成
【化52】
【0278】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)を入れ、DMF30mlに溶解させた。この溶液に炭酸セシウム7.88g(24.2mol)を加えて0℃に冷却し、2-ブロモヘキサン2.39g(14.5mmol)を5分間かけて滴下し、その後反応液を室温に戻して3時間攪拌した。反応終了後、反応液に水200mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=93:7)により精製することで、白色固体として中間体Hを1.61g得た(収率53.4モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0279】
H-NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):7.59(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.52(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.24-7.30(m,1H)、7.05(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、3.97(s,2H)、1.47-1.74(m,3H)、1.20-1.41(m,7H)、0.89(t,3H,J=5.5Hz)
【0280】
ステップ2:化合物7の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ2で合成した中間体B1.50g(1.60mmol)、前記ステップ1で合成した中間体H444mg(1.78mmol)、(±)-10-カンファースルホン酸41.4mg(0.178mmol)、THF16ml、及び、エタノール4mlを加え、均一な溶液とした。その後、40℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応液を水100mlに投入し、クロロホルム200mlで抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=92:8)により精製し、淡黄色固体として化合物7を1.35g得た(収率:72.4モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0281】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):8.04(s,1H)、7.73(d,1H,J=1.5Hz)、7.69(dd,1H,J=1.5Hz,7.8Hz)、7.65(dd,1H,J=1.5Hz,7.8Hz)、7.33(ddd,1H,J=1.5Hz,7.8Hz,7.8Hz)、7.07-7.19(m,3H)、6.95-7.01(m,4H)、6.85-6.91(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.54-2.73(m,4H)、2.25-2.40(m,8H)、1.65-1.83(m,16H)、1.60-1.62(m,2H)、1.57(d,3H,J=7.5Hz)、1.24-1.55(m,13H)、0.87(t,3H,J=7.5Hz)
【0282】
(合成例8)化合物8の合成
【化53】
【0283】
ステップ1:中間体Iの合成
【化54】
【0284】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)を入れ、DMF30mlに溶解した。この溶液に炭酸セシウム7.88g(24.2mmol)、1-ブロモ-2-ブチン1.93g(14.5mmol)を加え、室温で20時間撹拌した。反応終了後、反応液を水200mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、褐色固体を得た。この褐色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=85:15)により精製し、白色固体として中間体Iを1.25g得た(収率:47.5モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0285】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.63(dd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz)、7.58(dd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz)、7.29(ddd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz,7.8Hz)、7.10(ddd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz,7.8Hz)、4.56(q、2H,J=2.5Hz)、4.36(s,2H)、1.84(t,3H,J=2.5Hz)
【0286】
ステップ2:化合物8の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ2で合成した中間体B1.50g(1.60mmol)、前記ステップ1で合成した中間体I387mg(1.78mmol)、(±)-10-カンファースルホン酸41.4mg(0.178mmol)、THF16ml、及び、エタノール4mlを加え、均一な溶液とした。その後、40℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応液を水100mlに投入し、クロロホルム200mlで抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、淡黄色固体として化合物8を1.54g得た(収率:84.9モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0287】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.90(s,1H)、7.78(d,1H,J=1.3Hz)、7.67-7.73(m,2H)、7.35(ddd,1H,J=1.3Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.18(ddd,1H,J=1.3Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.09-7.15(m,2H)、6.95-7.01(m,4H)、6.85-6.91(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.0Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.06(d,2H,J=2.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.0Hz)、3.95(t,4H,J=6.0Hz)、2.55-2.76(m,4H)、2.26-2.43(m,8H)、1.64-1.83(m,19H)、1.41-1.55(m,8H)
【0288】
(合成例9)化合物9の合成
【化55】
【0289】
ステップ1:中間体Jの合成
【化56】
【0290】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール5.00g(30.3mmol)を入れ、DMF100mlに溶解した。この溶液に炭酸カリウム20.9g(152mmol)、5-ブロモバレロニトリル5.17g(30.3mmol)を加え、60℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、反応液を水500mLに投入し、酢酸エチル500mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=60:40)により精製し、白色固体として中間体Jを3.41g得た(収率:45.7モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0291】
H-NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):7.60(d,1H,J=7.8Hz)、7.51(d,1H,J=8.1Hz)、7.28(dd,1H,J=7.3、8.1Hz)、7.07(dd,1H,J=7.3Hz,7.8Hz)、4.23(s,2H)、3.81(t,2H,J=6.9Hz)、2.46(t,2H,J=7.1Hz)、1.88-1.95(m,2H)、1.71-1.79(m,2H)
【0292】
ステップ2:化合物9の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ2で合成した中間体B1.50g(1.60mmol)、前記ステップ1で合成した中間体J438mg(1.78mmol)、(±)-10-カンファースルホン酸41.4mg(0.178mmol)、THF16ml、及び、エタノール4mlを加え、均一な溶液とした。その後、40℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応液を水100mlに投入し、酢酸エチル200mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=85:15)により精製し、淡黄色固体として化合物9を1.31g得た(収率:70.2モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0293】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.74(d,1H,J=1.5Hz)、7.64-7.72(m,3H)、7.35(ddd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.19(ddd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.10-7.14(m,2H)、6.96-7.01(m,4H)、6.86-6.91(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.12(dd,2H,J=10.5Hz,17.0Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.22(t,2H,J=6.5Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58-2.75(m,4H)、2.55(t,2H,J=6.5Hz)、2.26-2.40(m,8H)、1.96(tt,2H,J=6.5Hz,6.5Hz)、1.66-1.83(m,18H)、1.42-1.55(m,8H)
【0294】
(合成例10)化合物10の合成
【化57】
【0295】
ステップ1:中間体1の合成
【化58】
【0296】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、3、5-ジメチルフェノール20.0g(164mmol)およびアセトニトリル500mlを投入し、溶解した。この溶液に、塩化マグネシウム23.4g(246mmol)、トリエチルアミン58.1g(574mmol)を加え、25℃で30分撹拌した後、パラホルムアルデヒド14.8g(492mmol)を加えて75℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を30℃まで冷却し、1M塩酸を600ml加え、ジエチルエーテル800mlで抽出した。ジエチルエーテル層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300ml、飽和食塩水300mlで洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにてジエチルエーテルを減圧留去して、白色固体を得た。この白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10(容積比))により精製し、白色固体として中間体1を17.7g得た(収率:71.9モル%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0297】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):11.95(s、1H)、10.22(s、1H)、6.61(s、1H)、6.53(s、1H)、2.54(s、3H)、2.30(s、3H)
【0298】
【化59】
【0299】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体1:12.0g(79.9mmol)およびジメチルアセトアミド105mlを投入し、溶解した。この溶液に、炭酸カリウム11.0g(79.9mmol)を加えて80℃に昇温した後、ブロモ酢酸エチル13.3g(79.9mmol)を30分かけて加えた。この溶液を80℃で1時間撹拌した後、130℃に昇温して更に1時間撹拌した。この後、反応液を30℃まで冷却した後、1M塩酸300mlを加え、メチルイソブチルケトン120mlで抽出した。メチルイソブチルケトン層を硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにてメチルイソブチルケトンを減圧留去して、淡黄色固体を得た。この淡黄色固体をエタノール500mlに溶解した。この溶液に、水酸化カリウム12.0g(214mmol)を加え、80℃で1時間撹拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターにてエタノールを減圧留去して、淡黄色固体を得た。この淡黄色固体を水300mlに溶解した後、この溶液をトルエン300ml、ヘプタン300mlで洗浄した。この溶液に2M硫酸水溶液を加えてpHを3にした後、析出した固体をろ取し、ろ取した固体を真空乾燥させて、白色固体として中間体2を12.3g得た(収率:80.9モル%)。
構造はH-NMRで同定した。H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0300】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):13.42(brs、1H)、7.69(d、1H、J=1.0Hz)、7.30(s、1H)、6.98(s、1H)、2.48(s、3H)、2.41(s、3H)
【0301】
ステップ3:中間体3の合成
【化60】
【0302】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体2:12.0g(63.1mmol)、2、5-ジメトキシアニリン14.5g(94.6mmol)およびクロロホルム120gを投入し、溶解した。この溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩13.3g(69.4mmol)とクロロホルム120gとの混合液を加えて25℃で3時間撹拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターにてクロロホルムを減圧留去して、淡黄色油状物質を得た。この、淡黄色油状物質に1M塩酸200mlと水200mlとメタノール100mlの混合溶液を加えて25℃で撹拌した。析出した白色固体をろ取し、ろ取した固体を真空乾燥させて、白色固体として中間体3を16.7g得た(収率:81.2モル%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0303】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):8.28(d、1H、J=3.0Hz)、7.56(d、1H、J=1.0Hz)、7.26(s、1H)、7.22(s、1H)、6.94(s、1H)、6.86(d、1H、J=9.0Hz)、6.64(dd、1H、J=3.0Hz、9.0Hz)、3.97(s、3H)、3.81(s、3H)、2.51(s、3H)、2.49(s、3H)
【0304】
ステップ4:中間体4の合成
【化61】
【0305】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ3で合成した中間体3:16.0g(49.2mmol)およびトルエン200mlを投入し、溶解した。この溶液に2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン12.1g(23.0mmol)を加えて、4時間加熱還流した。反応終了後、反応液を30℃まで冷却した後、1M水酸化ナトリウム水溶液400mlを加え、トルエン500mlで抽出した。得られたトルエン層からロータリーエバポレーターにてトルエン500mlを減圧留去した後、ヘプタン500mlを加えた。析出した黄色固体をろ取し、ろ取した固体を真空乾燥させて、黄色固体として中間体4を14.7g得た(収率:87.5モル%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0306】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):10.45(s、1H)、9.13(d、1H、J=3.0Hz)、7.82(d、1H、J=1.0Hz)、7.18(s、1H)、6.93(s、1H)、6.91(d、1H、J=9.0Hz)、6.77(dd、1H、J=3.0Hz、9.0Hz)、3.97(s、3H)、3.83(s、3H)、2.51(s、3H)、2.46(s、3H)
【0307】
ステップ5:中間体5の合成
【化62】
【0308】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ4で合成した中間体4:13.2g(38.6mmol)、水220g、水酸化カリウム11.9g(212mmol)を加えて氷冷下で撹拌した。得られた混合液にフェリシアン化カリウム29.2g(88.8mmol)、メタノール12gを加えた後、60℃に昇温して6時間撹拌した。反応終了後、反応液を30℃まで冷却し、析出した黄色固体をろ取し、ろ取した固体を真空乾燥させて、黄色固体として中間体5を10.2g得た(収率:76.8モル%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0309】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):7.65(d、1H、J=1.0Hz)、7.21(s、1H)、6.91(s、1H)、6.84(d、1H、J=8.5Hz)、6.76(d、1H、J=8.5Hz)、4.04(s、3H)、3.97(s、3H)、2.51(s、3H)、2.46(s、3H)
【0310】
ステップ6:中間体6の合成
【化63】
【0311】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ5で合成した中間体5:7.2g(21.2mmol)にピリジン塩酸塩72gを加えて180℃で4時間撹拌した。反応終了後、反応液を30℃まで冷却した後、水300gを加えた。析出した固体をろ取し、水30g、トルエン30g、ヘキサン30gで洗浄した。得られた固体を真空乾燥させて、黄色固体として中間体6を6.38g得た(収率:96.6モル%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0312】
H-NMR(500MHz、DMSO-d、TMS、δppm):9.91(s、1H)、9.59(brs、1H)、7.76(d、1H、J=1.0Hz)、7.36(s、1H)、6.99(s、1H)、6.79(d、1H、J=8.5Hz)、6.74(d、1H、J=8.5Hz)、2.53(s、3H)、2.43(s、3H)
【0313】
ステップ7:化合物10の合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ6で合成した中間体6:1.00g(3.21mmol)およびクロロホルム50mlを加えた。この溶液に前記合成例1のステップ1で合成した中間体A:2.96g(7.07mmol)、4-ジメチルアミノピリジン39.2mg(0.321mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド972mg(7.70mmol)を加えて室温で1.5時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルをプレコートした濾材を用いて濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=90:10(容積比))により精製し、白色固体として化合物10を2.84g得た(収率:79.5%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0314】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):7.53(d、1H、J=1.0Hz)、7.23(s、2H)、7.21(s、1H)、6.999(d、2H、J=9.0Hz)、6.995(d、2H、J=9.0Hz)、6.94(s、1H)、6.89(d、4H、J=9.0Hz)、6.40(dd、2H、J=1.5Hz、17.5Hz)、6.12(dd、2H、J=10.5Hz、17.5Hz)、5.82(dd、2H、J=1.5Hz、10.5Hz)、4.18(t、4H、J=7.0Hz)、3.95(t、4H、J=6.5Hz)、2.84(tt、1H、J=3.5Hz、12.0Hz)、2.59-2.75(m、3H)、2.54(s、3H)、2.47(s、3H)、2.42-2.46(m、2H)、2.31-2.41(m、6H)、1.69-1.87(m、16H)、1.41-1.57(m、8H)
【0315】
(合成例11)化合物11の合成
【化64】
【0316】
ステップ1:中間体7の合成
【化65】
【0317】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2-テノイルクロリド5.00g(34.1mmol)、2、5-ジメトキシアニリン5.22g(34.1mmol)およびクロロホルム50gを投入し、溶解した。この溶液にトリエチルアミン6.90g(68.2mmol)を加えて60℃で2時間撹拌した。反応終了後、水50gを加えた後、クロロホルム100mlで抽出した。得られたクロロホルム層からロータリーエバポレーターにてクロロホルム100mlを減圧留去した後、ヘプタン100mlを加えた。析出した淡黄色固体をろ取し、ろ取した固体を真空乾燥させて、淡黄色固体として中間体7を7.79g得た(収率:86.7%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0318】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):8.45(s、1H)、8.20(d、1H、J=3.0Hz)、7.61(dd、1H、J=1.0Hz、3.5Hz)、7.54(dd、1H、J=1.0Hz、5.0Hz)、7.13(dd、1H、J=3.5Hz、5.0Hz)、6.83(d、1H、J=9.0Hz)、6.61(dd、1H、J=3.0Hz、9.0Hz)、3.89(s、3H)、3.81(s、3H)
【0319】
ステップ2:中間体8の合成
【化66】
【0320】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体7:7.00g(26.6mmol)およびトルエン100mlを投入し、溶解した。この溶液に2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン6.45g(15.9mmol)を加えて、4時間加熱還流した。反応終了後、反応液を30℃まで冷却した後、1M水酸化ナトリウム水溶液400mlを加え、トルエン500mlで抽出した。得られたトルエン層からロータリーエバポレーターにてトルエンを減圧留去した後、油状物質を得た。得られた油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=90:10(容積比))により精製し、橙色油状物質として中間体8を7.07g得た(収率:95.2%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0321】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):9.71(s、1H)、8.88(s、1H)、7.52(dd、1H、J=1.0Hz、5.0Hz)、7.47(dd、1H、J=1.0Hz、4.0Hz)、7.09(dd、1H、J=4.0Hz、5.0Hz)、6.86(d、1H、J=9.0Hz)、6.70(dd、1H、J=3.0Hz、9.0Hz)、3.89(s、3H)、3.78(s、3H)
【0322】
ステップ3:中間体9の合成
【化67】
【0323】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体8:7.00g(25.1mmol)、水120g、水酸化カリウム8.20g(146mmol)を加えて氷冷下で撹拌した。得られた混合液にフェリシアン化カリウム21.9g(66.5mmol)、メタノール6gを加えた後、25℃に昇温して15時間撹拌した。反応終了後、析出した黄色固体をろ取し、ろ取した固体を真空乾燥させて、黄色固体として中間体9を3.40g得た(収率:46.1%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0324】
H-NMR(400MHz、CDCl、TMS、δppm):7.67(dd、1H、J=1.2Hz、3.6Hz)、7.46(dd、1H、J=1.2Hz、5.2Hz)、7.11(dd、1H、J=3.6Hz、5.2Hz)、6.82(d、1H、J=8.8Hz)、7.30(d、1H、J=8.8Hz)、4.02(s、3H)、3.95(s、3H)
【0325】
ステップ4:中間体10の合成
【化68】
【0326】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ3で合成した中間体9:2.10g(7.72mmol)およびトルエン50mlを投入し、溶解した後、0℃に冷却した。この溶液に、1M三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液46.3ml(46.3mmol)を加えて1時間撹拌した。反応終了後、反応液を水200mlに加えて、析出した固体をろ取した。得られた固体を真空乾燥させて、黄色固体として中間体10を1.79g得た(収率:93.2%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0327】
H-NMR(500MHz、DMSO-d、TMS、δppm):9.82(s、1H)、9.48(s、1H)、7.83(dd、1H、J=1.0Hz、5.0Hz)、7.78(dd、1H、J=1.0Hz、3.5Hz)、7.23(dd、1H、J=3.5Hz、5.0Hz)、6.74(d、1H、J=8.5Hz)、6.68(d、1H、J=8.5Hz)
【0328】
ステップ5:化合物11の合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ4で合成した中間体10:1.50g(6.02mmol)およびクロロホルム90mlを加えた。この溶液に前記合成例1のステップ1で合成した中間体A:5.29g(12.63mmol)、4-ジメチルアミノピリジン147mg(1.20mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.82g(14.5mmol)を加えて室温で1.5時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルをプレコートした濾材を用いて濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣にメタノール150mlを加えて、析出した固体をろ取した。得られた固体を真空乾燥させて、白色固体として化合物11を4.69g得た(収率:74.2%)。
構造はH-NMRで同定した。 H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0329】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):7.63(dd、1H、J=1.0Hz、3.5Hz)、7.51(dd、1H、J=1.0Hz、5.0Hz)、7.18(s、2H)、7.12(dd、1H、J=3.5Hz、5.0Hz)、6.993(d、2H、J=9.0Hz)、6.987(d、2H、J=9.0Hz)、6.88(d、4H、J=9.0Hz)、6.40(dd、2H、J=1.5Hz、17.5Hz)、6.12(dd、2H、J=10.0Hz、17.5Hz)、5.82(dd、2H、J=1.5Hz、10.0Hz)、4.17(t、4H、J=6.5Hz)、3.94(t、4H、J=6.5Hz)、2.79(tt、1H、J=3.5Hz、11.5Hz)、2.58-2.71(m、3H)、2.42-2.45(m、2H)、2.31-2.36(m、6H)、1.66-1.89(m、16H)、1.42-1.54(m、8H)
【0330】
(合成例12)化合物12の合成
【化69】
【0331】
ステップ1:中間体11の合成
【化70】
【0332】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記合成例10のステップ6で合成した中間体6:4.0g(12.8mmol)およびTHF160mlを加えた後、0℃に冷却した。この溶液に、前記合成例1のステップ1で合成した中間体A:6.44g(15.4mmol)、4-ジメチルアミノピリジン156mg(1.28mmol)およびN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.94g(15.4mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。反応終了後、反応液に水200mlを加え、酢酸エチル400mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=90:10)により精製することで、肌色固体として中間体11を1.29g得た(収率:14.1モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0333】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.53(d、1H、J=1.0Hz)、7.21(s、1H)、7.10(d、1H、J=9.0Hz)、6.98-7.01(m、4H)、6.94(s、1H)、6.88(d、2H、J=9.0Hz)、6.41(dd、1H、J=1.5Hz、17.5Hz)、6.13(dd、1H、J=10.5Hz、17.5Hz)、6.13(dd、1H、J=1.5Hz、10.5Hz)、4.18(t、2H、J=7.0Hz)、3.95(t、2H、J=6.5Hz)、2.53(s、3H)、2.47(s、3H)、2.32-2.43(m、4H)、1.67-1.82(m、10H)、1.45-1.56(m、4H)。
【0334】
ステップ2:中間体12の合成
【化71】
【化72】
【0335】
冷却器及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、ハイドロキノン104.77g(0.9515mol)、6-クロロヘキサノール100g(0.7320mol)、蒸留水500g、o-キシレン100gを加えた。全容を攪拌しながら、さらに、水酸化ナトリウム35.15g(0.8784mol)を、内容物の温度が40℃を超えないように20分かけて少量ずつ加えた。水酸化ナトリウムの添加終了後、内容物を加熱し、還流条件下(96℃)で、さらに12時間反応を行った。
反応終了後、反応液の温度を80℃に下げ、蒸留水200gを加えた後、反応液を10℃に冷却することで、結晶が析出した。析出した結晶をろ過により固液分離し、得られた結晶を蒸留水500gで洗浄し、真空乾燥することで、褐色結晶123.3gを得た。
この褐色結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、褐色結晶に含まれる化合物の含有量比(モル比)は(ハイドロキノン/中間体12/副生成物12=1.3/90.1/8.1)であった。この混合物を精製することなく、そのままステップ3に用いた。
【0336】
ステップ3:中間体13の合成
【化73】
【0337】
ディーンスターク管付き冷却器及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ12で合成した中間体12を含む褐色結晶10.00g、トルエン100g、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.105g(0.476mmol)を加え、全容を撹拌した。溶液を80℃に加熱し、アクリル酸2-カルボキシエチル20.56g(0.1427mol)、メタンスルホン酸1.37g(14.3mmol)を加え、還流条件(110℃)で、生成する水を除去しながら脱水反応を2時間行った。次いで、反応液を30℃に冷却し、蒸留水500gを加え、全容を攪拌後、静置した。有機層を分取し、得られた有機層に5%食塩水500gを加え、分液した。有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=8:1)により精製することで、ステップ2~3のトータルで、白色固体として中間体13を7.93g得た(収率:40モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0338】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):6.77(d,2H,J=9.0Hz)、6.76(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.11(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.83(s,1H)、4.44(t,2H,J=6.5Hz)、4.13(t,2H,J=6.5Hz)、3.89(t,2H,J=6.5Hz)、2.69(t,2H,J=6.5Hz)、1.71-1.80(m,2H)、1.62-1.70(m,2H)、1.36-1.52(m,4H)
【0339】
ステップ4:中間体14の合成
【化74】
【0340】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸3.58g(0.0208mol)とTHF25mlを加えた。次に、メタンスルホニルクロリド1.25g(0.0109mol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を5℃とした。そして、トリエチルアミン1.15g(0.0114mol)を反応液内温が15℃以下となるように15分間かけて滴下した。反応液を5℃で1時間撹拌した後に、4-(ジメチルアミノ)ピリジン0.127g(1.04mmol)、前記ステップ3で合成した中間体13:3.51g(0.0104mol)を加え、トリエチルアミン1.15g(0.0114mol)を反応液内温が15℃以下となるように15分間かけて滴下した。その後、反応液を25℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液に蒸留水300mlと飽和食塩水30mlを加え、クロロホルム200mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=95:5)により精製することで、白色固体として中間体14を2.41g得た(収率:47モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0341】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):6.96(d,2H,J=9.0Hz)、6.86(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.11(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.44(t,2H,J=6.5Hz)、4.13(t,2H,J=6.5Hz)、3.93(t,2H,J=6.5Hz)、2.69(t,2H,J=6.5Hz)、2.47-2.57(m,1H)、2.34-2.43(m,1H)、2.12-2.28(m,4H)、1.73-1.82(m,2H)、1.36-1.71(m,10H)
【0342】
ステップ5:化合物12の合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体11:975mg(1.37mmol)およびクロロホルム20mlを加えた。この溶液に前記ステップ4で合成した中間体14:810mg(1.65mmol)、4-ジメチルアミノピリジン16.5mg(0.135mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド207mg(1.65mmol)を加えて室温で1.5時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルをプレコートした濾材を用いて濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣にメタノール80mlを加えた。析出した白色固体をろ取し、ろ取した固体を真空乾燥させて、白色固体として化合物12を1.35g得た(収率:82.8モル%)。
構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0343】
H-NMR(400MHz、CDCl、TMS、δppm):7.53(s、1H)、7.22(s、2H)、7.20(s、1H)、6.99(d、4H、J=9.0Hz)、6.94(s、1H)、6.88(d、4H、J=9.0Hz)、6.37-6.43(m、2H)、6.12(dd、1H、J=11.0Hz、17.6Hz)、6.11(dd、1H、J=10.8Hz、17.6Hz)、5.83(dd、1H、J=1.6Hz、11.0Hz)、5.81(dd、1H、J=1.6Hz、10.8Hz)、4.43(t、2H、J=6.4Hz)、4.17(t、2H、J=6.8Hz)、4.13(t、2H、J=6.4Hz)、3.94(t、4H、J=6.4Hz)、2.84(tt、1H、J=4.0Hz、11.6Hz)、2.59-2.75(m、5H)、2.54(s、3H)、2.41-2.48(m、5H)、2.29-2.39(m、6H)、1.64-1.87(m、16H)、1.38-1.55(m、8H)
【0344】
(合成例13)化合物13の合成
【化75】
【0345】
ステップ1:中間体15の合成
【化76】
【0346】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記合成例11のステップ4で合成した中間体10:4.0g(16.04mmol)およびTHF160mlを加えた後、0℃に冷却した。この溶液に、前記合成例1のステップ1で合成した中間体A:8.05g(19.25mmol)、4-ジメチルアミノピリジン196mg(1.60mmol)およびN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド2.43g(19.25mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。反応終了後、反応液に水200mlを加え、酢酸エチル400mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=90:10)により精製することで、淡黄土色固体として中間体15を1.55g得た(収率:14.9モル%)。
【0347】
ステップ2:化合物13の合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で得た中間体15:1.5g(2.31mmol)およびクロロホルム30mlを加えた。この溶液に前記合成例12のステップ4で合成した中間体14:1.36g(2.77mmol)、4-ジメチルアミノピリジン33.8mg(0.277mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド350mg(2.77mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルをプレコートした濾材を用いて濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣にメタノール100mlを加えた。析出した白色固体をろ取し、ろ取した固体を真空乾燥させて、白色固体として化合物13を1.88g得た(収率:72.5モル%)。
構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0348】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):7.63(dd、1H、J=1.0Hz、3.5Hz)、7.50(dd、1H、J=1.0Hz、5.0Hz)、7.17(s、2H)、7.11(dd、1H、J=3.5Hz、5.0Hz)、6.99(d、4H、J=9.0Hz)、6.88(d、4H、J=9.0Hz)、6.40(dd、2H、J=1.5Hz、17.5Hz)、6.12(dd、2H、J=10.0Hz、17.5Hz)、5.82(dd、2H、J=1.5Hz、10.0Hz)、4.43(t、2H、J=6.4Hz)、4.17(t、4H、J=6.5Hz)、3.93(t、4H、J=6.5Hz)、2.79(tt、1H、J=3.5Hz、11.5Hz)、2.58-2.71(m、5H)、2.41-2.46(m、2H)、2.29-2.34(m、6H)、1.62-1.89(m、16H)、1.40-1.52(m、8H)
【0349】
(合成例14)化合物14の合成
【化77】
【0350】
ステップ1:中間体Kの合成
【化78】
【0351】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ1で合成した中間体A:3.90g(8.85mmol)、DMF0.52g(7.1mmol)、トルエン39gを加えた。溶液を5℃に冷却し、塩化チオニル1.10g(9.3mmol)を10分間かけて滴下した後、5℃で1時間反応させた。その後、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮し、真空乾燥させることで白色固体を得た。
また、温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド6.10g(0.0443mol)と、トリエチルアミン0.985g(9.7mmol)と、THF35gとを投入し、溶解させた。溶液を5℃に冷却し、上記で得られた白色固体を加えて30分反応させた。その後、反応液に蒸留水200mlと飽和食塩水10mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:THF=95:5)により精製することで、白色固体として中間体Kを1.53g得た(収率:32モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0352】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):10.91(s,1H)、9.86(s,1H)、7.32(d,1H,J=3.0Hz)、7.24(dd,1H,J=3.0Hz,9.0Hz)、7.01(d,1H,J=9.0Hz)、6.97(d,2H,J=9.0Hz)、6.87(d,2H,J=9.0Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.12(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.17(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.51-2.65(m,2H)、2.20-2.35(m,4H)、1.75-1.83(m,2H)、1.63-1.75(m,6H)、1.36-1.55(m,4H)
【0353】
ステップ2:中間体Lの合成
【化79】
【0354】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記合成例12のステップ4で合成した中間体14:1.00g(2.04mmol)およびTHF15mlを投入し、溶解させた。次に、メタンスルホニルクロリド0.234g(2.04mmol)を加え、反応液を5℃に冷却し、トリエチルアミン0.236g(2.33mmol)を10分間かけて滴下した。反応液を5℃で1時間反応させた後、4-ジメチルアミノピリジン0.018g(0.15mmol)、前記ステップ1で合成した中間体K0.786g(1.46mmol)を加え、トリエチルアミン0.177g(1.75mmol)を10分間かけて滴下した。その後、反応液を25℃として2時間反応させた後、反応液に蒸留水200mlと飽和食塩水20mlを加え、クロロホルム100mlで2回抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=99:1)により精製することで、白色固体として中間体Lを1.15g得た(収率:78モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0355】
H-NMR(500MHz,DMSO-d,TMS,δppm):10.08(s,1H)、7.61(d,1H,J=3.0Hz)、7.37(dd,1H,J=3.0Hz,9.0Hz)、7.20(d,1H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.97(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.11(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.44(t,2H,J=6.5Hz)、4.17(t,2H,J=6.5Hz)、4.13(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.53-2.74(m,6H)、2.20-2.39(m,8H)、1.60-1.83(m,16H)、1.34-1.56(m,8H)
【0356】
ステップ3:化合物14の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体L:0.944g(0.934mmol)、合成例2のステップ1で合成した中間体C:0.279g(1.12mmol)、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.02gおよびTHF15mlを投入し、溶解させた。その溶液に(+)-10-カンファースルホン酸44mg(0.189mmol)とエタノール2mlを加え、40℃に加熱して5時間反応させた。反応終了後、反応液に蒸留水100mlと飽和食塩水15mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、得られた固体をクロロホルム10mlに溶解させた。その溶液にメタノール150mlを加えて結晶を析出させてろ過を行い、ろ取した結晶をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、淡黄色固体として化合物14を0.986g得た(収率:80モル%)。
目的物の構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0357】
H-NMR(500MHz,DMSO-d,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.65-7.71(m,3H)、7.34(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.17(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.07-7.14(m,2H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.11(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.44(t,2H,J=6.5Hz)、4.30(t,2H,J=7.5Hz)、4.18(t,2H,J=6.5Hz)、4.13(t,2H,J=6.5Hz)、3.95(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.54-2.74(m,6H)、2.25-2.40(m,8H)、1.62-1.84(m,18H)、1.28-1.56(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
【0358】
(合成例15)化合物15の合成
【化80】
【0359】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記合成例10のステップ6で合成した中間体6:0.5g(1.61mmol)およびクロロホルム30mlを加えた。この溶液に前記合成例12のステップ4で合成した中間体14:1.65g(3.37mmol)、4-ジメチルアミノピリジン39.3mg(0.32mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド486mg(3.85mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルをプレコートした濾材を用いて濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣にメタノール50mlを加えた。析出した白色固体をろ取し、ろ取した固体を真空乾燥させて、白色固体として化合物15を1.20g得た(収率:59.3モル%)。
構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0360】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.54(d、1H、J=1.0Hz)、7.23(s、2H)、7.21(s、1H)、7.001(d、2H、J=9.0Hz)、6.996(d、2H、J=9.0Hz)、6.94(s、1H)、6.89(d、4H、J=9.0Hz)、6.41(dd、2H、J=1.5Hz、17.5Hz)、6.11(dd、2H、J=10.5Hz、17.5Hz)、5.83(dd、2H、J=1.5Hz、10.5Hz)、4.44(t、4H、J=6.5Hz)、4.14(t、4H、J=6.5Hz)、3.95(t、4H、J=6.5Hz)、2.85(tt、1H、J=3.5Hz、11.5Hz)、2.56-2.77(m、7H)、2.55(s、3H)、2.42-2.51(m、5H)、2.29-2.40(m、6H)、1.65-1.87(m、16H)、1.39-1.57(m、8H)
【0361】
(合成例16)化合物16の合成
【化81】
【0362】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記合成例11のステップ4で合成した中間体10:1.0g(4.01mmol)およびクロロホルム60mlを加えた。この溶液に前記合成例12のステップ4で合成した中間体14:4.13g(8.42mmol)、4-ジメチルアミノピリジン98mg(0.80mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.21g(9.58mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルをプレコートした濾材を用いて濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣にメタノール100mlを加えた。析出した白色固体をろ取し、ろ取した固体を真空乾燥させて、白色固体として化合物16を3.51g得た(収率:73.3モル%)。
構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0363】
H-NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):7.64(dd、1H、J=1.0Hz、3.5Hz)、7.52(dd、1H、J=1.0Hz、5.0Hz)、7.18(s、2H)、7.13(dd、1H、J=3.5Hz、5.0Hz)、6.994(d、2H、J=9.0Hz)、6.988(d、2H、J=9.0Hz)、6.88(d、4H、J=9.0Hz)、6.41(dd、2H、J=1.5Hz、17.5Hz)、6.11(dd、2H、J=10.0Hz、17.5Hz)、5.83(dd、2H、J=1.5Hz、10.0Hz)、4.44(t、4H、J=6.5Hz)、4.13(t、4H、J=6.5Hz)、3.94(t、4H、J=6.5Hz)、2.80(tt、1H、J=3.5Hz、11.5Hz)、2.55-2.73(m、7H)、2.42-2.45(m、2H)、2.29-2.35(m、6H)、1.63-1.89(m、16H)、1.41-1.54(m、8H)
【0364】
(合成例17)化合物17の合成
【化82】
【0365】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド1.33g(9.64mmol)およびクロロホルム150mlを加えた。この溶液に前記合成例12のステップ4で合成した中間体14:11.81g(24.07mmol)、4-ジメチルアミノピリジン118mg(0.964mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド3.65g(28.88mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。その後、反応液を氷浴下にて冷却して、前記合成例2のステップ1で合成した中間体C:2.88g(11.57mmol)、1規定の塩酸水溶液19.1ml(19.09mmol)を加えた。その後、その溶液を40℃にて3時間撹拌した。反応終了後、10質量%の重曹水500mlに投入して、酢酸エチル500mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=90:10(容積比))により精製して、淡黄色固体として化合物17を9.11g得た(収率:71.9モル%)。
構造はH-NMRで同定した。結果を以下に示す。
【0366】
H-NMR(500MHz,DMSO-d,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.65-7.71(m,3H)、7.34(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.17(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.07-7.14(m,2H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.11(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.44(t,4H,J=6.5Hz)、4.30(t,2H,J=7.5Hz)、4.18(t,2H,J=6.5Hz)、4.13(t,2H,J=6.5Hz)、3.95(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.53-2.75(m,8H)、2.25-2.40(m,8H)、1.62-1.84(m,18H)、1.28-1.56(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
【0367】
(合成例18)混合物1の合成
【化83】
【0368】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記合成例10のステップ6で合成した中間体6:3.00g(9.64mmol)およびクロロホルム150mlを加えた。この溶液に前記合成例1のステップ1で合成した中間体A:7.63g(18.24mmol)、前記合成例12のステップ4で合成した中間体14:2.87g(5.86mmol)、4-ジメチルアミノピリジン118mg(0.964mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド2.92g(23.12mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルをプレコートした濾材を用いて濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=90:10(容積比))により精製し、白色固体として混合物1を8.5g得た。この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の含有量比(質量比)は下記の通りであった。
【化84】
【0369】
(合成例19)混合物2の合成
【化85】
【0370】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記合成例11のステップ4で合成した中間体10:2.4g(9.64mmol)およびクロロホルム150mlを加えた。この溶液に前記合成例1のステップ1で合成した中間体A:7.63g(18.24mmol)、前記合成例12のステップ4で合成した中間体14:2.87g(5.86mmol)、4-ジメチルアミノピリジン118mg(0.964mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.82g(14.5mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルをプレコートした濾材を用いて濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣にメタノール250mlを加えて、析出した固体をろ取した。得られた固体を真空乾燥させて、白色固体として混合物2を7.5g得た。この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の含有量比(質量比)は下記の通りであった。
【化86】
【0371】
(合成例20)混合物3の合成
【化87】
【0372】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド1.33g(9.64mmol)およびクロロホルム150mlを加えた。この溶液に前記合成例1のステップ1で合成した中間体A:7.63g(18.24mmol)、前記合成例12のステップ4で合成した中間体14:2.87g(5.86mmol)、4-ジメチルアミノピリジン118mg(0.964mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.82g(14.5mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。その後、反応液を氷浴下にて冷却して、前記合成例2のステップ1で合成した中間体C:2.88g(11.57mmol)、1規定の塩酸水溶液19.1ml(19.09mmol)を加えた。その後、その溶液を40℃にて3時間撹拌した。反応終了後、10質量%の重曹水500mlに投入して、酢酸エチル500mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=85:15(容積比))により精製して、淡黄色固体として混合物3を9.88g得た。この淡黄色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、淡黄色固体に含まれる化合物の含有量比(質量比)は下記の通りであった。
【化88】
【0373】
(合成例21)混合物4の合成
【化89】
【0374】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記合成例10のステップ6で合成した中間体6:3.00g(9.64mmol)およびクロロホルム150mlを加えた。この溶液に前記合成例12のステップ4で合成した中間体14:2.87g(5.86mmol)、4-ジメチルアミノピリジン29mg(0.237mmol)を加えた。この溶液を0℃に冷却した後、N、N’-ジイソプロピルカルボジイミド887mg(7.03mmol)をゆっくり加えて室温で2時間撹拌した。その後、得られた反応液に前記合成例1のステップ1で合成した中間体A:7.63g(18.24mmol)、4-ジメチルアミノピリジン89mg(0.73mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド2.76g(21.89mmol)を加えて室温で更に2時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルをプレコートした濾材を用いて濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=90:10(容積比))により精製し、白色固体として混合物4を8.2g得た。この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の含有量比(質量比)は下記の通りであった。
【化90】
【0375】
(合成例22)混合物5の合成
【化91】
【0376】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記合成例10のステップ6で合成した中間体6:2.22g(7.13mmol)、前記合成例11のステップ4で合成した中間体10:0.626g(2.51mmol)およびクロロホルム150mlを加えた。この溶液に前記合成例12のステップ4で合成した中間体14:2.87g(5.86mmol)、4-ジメチルアミノピリジン29mg(0.237mmol)を加えた。この溶液を0℃に冷却した後、N、N’-ジイソプロピルカルボジイミド887mg(7.03mmol)をゆっくり加えて室温で2時間撹拌した。その後、得られた反応液に前記合成例1のステップ1で合成した中間体A:7.63g(18.24mmol)、4-ジメチルアミノピリジン89mg(0.73mmol)を加えて、0℃に冷却した。その後、この溶液にN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド2.76g(21.89mmol)を加えて室温で更に2時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルをプレコートした濾材を用いて濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=90:10(容積比))により精製し、白色固体として混合物5を8.8g得た。この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の含有量比(質量比)は下記の通りであった。
【化92】
【0377】
(実施例1~66、比較例1~15)
合成例1~22で得た化合物1~17、混合物1~5のそれぞれを表1~5に示す割合で、重合開始剤として0.61質量%のBYK316N、レベリング剤として0.02質量%のイルガキュアー#819と共に、79.49質量%のシクロペンタノンに溶解させた。この溶液を0.45μmの細孔径を有するディスポーサブルフィルターでろ過し、重合性液晶組成物1~66及び1r~15rをそれぞれ得た。
【0378】
<液晶相の安定性評価>
(i)重合性液晶組成物による液晶層の形成
ラビング処理されたポリイミド配向膜の付与された透明ガラス基板(E.H.C.Co.,Ltd.製、商品名:配向処理ガラス基板)に、重合性液晶組成物1~66および1r~15rのそれぞれを♯4のワイヤーバーを使用して塗布した。塗膜を、下記表1~5に示す温度で1分間乾燥した後、表1~5に示す温度で1分間配向処理し、液晶層(厚み約2μm)を形成した。
(ii)光学異方体の形成と光重合感度の判定
上記(i)で作製した液晶層のそれぞれに対し、液晶層の塗布面側から、表1~5に示す温度で、1回500mJ/cmの紫外線を照射(露光)して重合させた、そして、指先での触診により、タック(べとつき)の有無を確認した。タックがある場合、再び500mJ/cmの紫外線を照射して重合させ、同様の方法でタックの有無を確認した。タックがなくなるまで紫外線照射を繰り返した。結果を表1~5にまとめた。その結果、それぞれ、透明ガラス基板付光学異方体を得た。
<光学特性の測定>
上記(ii)で得られた透明ガラス基板付光学異方体について、245.9nmから998.4nm間の位相差を、エリプソメーター(J.A.Woollam社製、M2000U型)を用いて測定した。また、測定した位相差を用いて以下のように算出されるα、β値から波長分散性を評価した。結果を表1~5に示す。
α=(449.9nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
β=(650.2nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
なお、広帯域性を示す理想的な波長分散性、即ち逆波長分散性を示す場合、α値は1より小となり、β値は1より大となる。フラットな波長分散性を有している場合、α値とβ値は同程度の値となる。一般的な(通常の)波長分散性を有している場合、α値は1より大となり、β値は1より小となる。即ち、α値とβ値が同程度の値となるフラットな波長分散性が好ましく、αが1より小となり、βが1より大となる逆波長分散性が特に好ましい。
ここで、光学異方体の膜厚は、透明ガラス基板付光学異方体の光学異方体に針で傷をつけ、その段差を表面形状測定装置DEKTAK150型(株式会社アルバック製)で測定して計測した。
【0379】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0380】
表1~5から、化合物12~17を所定の割合で含む重合性液晶組成物では、積算露光量が少なくてもタックがなくなることから、より高感度な重合性液晶組成物となっていることが分かる。その結果、生産性の向上が可能となる。
また、得られる光学異方体いずれも、αは1より小となり、βは1より大となることが分かる。従って、化合物12~17を添加しても、広帯域性を示す理想的な波長分散性、即ち逆波長分散性を維持していることが分かる。