(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】鼻腔粘膜洗浄用液状組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/045 20060101AFI20240909BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20240909BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20240909BHJP
A61K 33/10 20060101ALI20240909BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240909BHJP
A61H 35/04 20060101ALI20240909BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240909BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240909BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
A61K31/045
A61K31/047
A61K31/122
A61K33/10
A61P11/02
A61H35/04
A61K9/08
A61P43/00 121
A61K45/00
(21)【出願番号】P 2020111519
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】大森 広太郎
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-196676(JP,A)
【文献】大久保 直美,ミントの葉における発散香気成分の解析と分類,花き研究所研究報告,2012年,Vol.12,Pages 103-112
【文献】矢口 善博,超臨界流体クロマトグラフィーを用いた香料化合物の光学異性体分離,生物工学,2010年,第88巻, 第10号,Pages 520-524
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/02
A61H 35/04
A61K 9/08
A61K 47/10
A61P 37/08
A61P 31/04
A61P 11/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)
炭酸水素ナトリウム、(B)
l-メントール及び/又はメントン、
並びに(C)
プロピレングリコール及び/又は1,3-ブチレングリコールを含む、鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
【請求項2】
さらに(D)抗菌又は殺菌剤を含有する、請求項
1に記載の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爽快感に優れた鼻腔粘膜洗浄用液状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
鼻腔粘膜は、直接外界に露出されており、外界からの刺激に対して敏感に反応する上皮組織である。鼻腔粘膜に、花粉、微生物、ハウスダスト等の異物が付着すると、耐え難い不快感を生じたり、アレルギー疾患や感染症等の各種疾患を発症したりすることが知られている。このような鼻腔粘膜症状を予防又は改善するには、洗浄液等によって粘膜に付着した異物を除去することが有効であると考えられている。
【0003】
また、鼻腔粘膜に適用される洗浄液は、鼻洗浄に適した容器又は器具に入れた状態で用いることができ、例えば、特許文献1には、塩化ナトリウム、グリセリン、香料等を含む洗浄液を所定形状の容器に収容し、容器を押圧し変形させることで洗浄液を鼻腔内へ噴射することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鼻腔内洗浄は、花粉症や風邪などでおこる鼻づまり、鼻水、ムズムズ感などのトラブルの原因となる鼻腔内の花粉、ハウスダスト、雑菌などを取り除くことができるため、すっきりとした感覚が得られる。近年、鼻腔内洗浄が広く浸透したことに伴い、鼻腔内洗浄液にさらなる爽快感を付与することが求められる。しかしながら、粘膜表面は敏感であるため、清涼成分を増量しなくてもより一層優れた爽快感を実感できることが求められる。
【0006】
そこで、本発明は、優れた爽快感を実感できる鼻腔粘膜洗浄液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討の結果、所定の無機塩及びモノテルペンを含む鼻腔粘膜洗浄用液状組成物において、二価アルコールを配合することによって、優れた爽快感が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)塩化アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、及びリン酸アルカリ金属塩からなる群より選択される無機塩、(B)モノテルペン化合物、及び(C)二価アルコールを含む、鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
項2. 前記(A)成分が、塩化ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムである、項1に記載の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
項3. 前記(B)成分が、アルコールモノテルペン及び/又はケトンモノテルペンである、項1又は2に記載の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
項4. 前記(C)成分が、プロピレングリコール及び/又は1,3-ブチレングリコールである、項1~3のいずれかに記載の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
項5. 前記(B)成分の含有量が0.01~1.7重量%である、項1~4のいずれかに記載の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
項6. 前記(B)成分1重量部に対する前記(C)成分の含有量が、1~80重量部である、請求項1~5のいずれかに記載の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
項7. さらに(D)抗菌又は殺菌剤を含有する、項1~6のいずれかに記載の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
項8. 前記(D)成分の含有量が0.001~0.17重量%である、項7に記載の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
項9. 前記(B)成分1重量部に対する前記(D)成分の含有量が、0.03~0.5重量部である、項7又は8に記載の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた爽快感を実感できる鼻腔粘膜洗浄用液状組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物は、(A)塩化アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、及びリン酸アルカリ金属塩からなる群より選択される無機塩(以下において、「(A)成分」とも記載する)、(B)モノテルペン化合物(以下において、「(B)成分」とも記載する)、及び(C)二価アルコール(以下において、「(C)成分」とも記載する)を含むことを特徴とする。以下、本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物について詳述する。
【0011】
(A)無機塩
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物は、(A)成分として所定の無機塩を含有する。
【0012】
無機塩は、塩化アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、及びリン酸アルカリ金属塩からなる群より選択される。塩化アルカリ金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。炭酸アルカリ金属塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。リン酸アルカリ金属塩としては、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられる。これらの無機塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
これらの無機塩の中でも、好ましくは塩化アルカリ金属塩及び/又は炭酸アルカリ金属塩が挙げられ、より好ましくは塩化ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
【0014】
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物における(A)成分の含有量としては、鼻腔粘膜洗浄用液状組成物がそのままで又は用時に適宜希釈することで鼻腔粘膜の洗浄に適した濃度となる限りにおいて特に限定されないが、例えば0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは0.6重量%以上が挙げられる。(A)成分の含有量の上限としては特に限定されないが、総量で、例えば16.25重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、又は9重量%以下が挙げられる。
【0015】
(B)モノテルペン化合物
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物は、(B)成分としてモノテルペン化合物を含む。モノテルペン化合物は、イソプレン単位2個からなるC10H16の炭化水素を基本骨格として有し、爽快感をもたらす成分として公知である。
【0016】
本発明で用いられるモノテルペン化合物としては、具体的には、メントール、ネオメントール、ネオイソメントール、イソメントール、テレピネオール、トランスツラノール、リナロール、イソプレゴール、チモール、ゲラニオール、ボルネオール等のアルコールモノテルペン;シトラール、シトロネラール、ペリルアルデヒド、サフラナール等のアルデヒドモノテルペン;ピネン、サビネン、ミルセン、テルピネン、パラシメン、リモネン、シスオシメン、テルピノレン等の炭化水素モノテルペン;メントン、イソメントン、プレゴン、ピペリトン、カルボメントン、ヨノン、カンフル等のケトンモノテルペン;シネオール等のエーテルテルペン;酢酸メンチル等のモノテルペンエステル;メントフラン等のフランモノテルペン等が挙げられる。
【0017】
これらのモノテルペン化合物に光学異性体が存在する場合には、d体、l体、dl体のいずれであってもよい。また、これらのモノテルペンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
これらのモノテルペン化合物の中でも、爽快感向上効果をより一層高める観点から、好ましくはアルコールモノテルペン及び/又はケトンモノテルペンが挙げられ、より好ましくはメントール及び/又はメントンが挙げられる。
【0019】
また、これらのモノテルペン化合物は、モノテルペン化合物を含む精油の状態で使用されてもよい。モノテルペン化合物を含む精油は、公知のものから適宜選択して使用することができるが、例えば、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油等が挙げられる。これらの精油の中でも、爽快感向上効果をより一層高める観点から、好ましくはペパーミント及びハッカ油が挙げられ、より好ましくはペパーミント油が挙げられる。
【0020】
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物における(B)成分の含有量については、鼻腔粘膜洗浄用液状組成物に備えさせるべき爽快感、又はさらに鼻腔粘膜洗浄用液状組成物の濃縮率等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01~1.7重量%、好ましくは0.03~1.6重量%、より好ましくは0.05~1.5重量%、0.45~1.4重量%、0.65~1.3重量%、0.75~1.2重量%、0.85~1.1重量%、0.05~1重量%、0.05~0.5重量%、0.05~0.1重量%、又は0.05~0.08重量%が挙げられる。
【0021】
また、本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物におけるメントールの含有量については、例えば0.0035~0.6重量%、好ましくは0.01~0.56重量%、より好ましくは0.018~0.53重量%、0.15~0.5重量%、0.23~0.45重量%、0.26~0.42重量%、0.3~0.38重量%、0.018~0.35重量%、0.018~0.18重量%、0.018~0.35重量%、又は0.018~0.028重量%が挙げられる。
【0022】
さらに、本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物におけるメントンの含有量については、鼻腔粘膜洗浄用液状組成物に備えさせるべき爽快感、又はさらに鼻腔粘膜洗浄用液状組成物の濃縮率等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.003~0.5重量%、好ましくは0.009~0.46重量%、より好ましくは0.015~0.43重量%、0.03~0.4重量%、0.19~0.37重量%、0.22~0.35重量%、0.25~0.32重量%、0.015~0.29重量%、0.015~0.14重量%、0.015~0.029重量%、又は0.015~0.023重量%が挙げられる。
【0023】
(C)二価アルコール
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物は、(C)成分として二価アルコールを含有する。本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物は、(C)成分を配合することで、優れた爽快感を発揮することができる。
【0024】
本発明で用いられる二価アルコールとしては特に限定されないが、例えばアルキレンジオール及びポリアルキレンエーテルジオールが挙げられる。アルキレンジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール等が挙げられる。ポリアルキレンエーテルジオールとしては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらの二価アルコールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
これらの二価アルコールの中でも、より優れた爽快感を得る観点から、好ましくはアルキレンジオールが挙げられ、より好ましくはプロピレングリコール及び/又は1,3-ブチレングリコールが挙げられ、さらに優れた爽快感を得る観点から、好ましくはプロピレングリコールが挙げられる。
【0026】
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物における(C)成分の含有量としては特に限定されないが、例えば0.1重量%以上が挙げられる。より優れた爽快感を得る観点から、(C)成分の含有量としては、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.4重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、0.7重量%以上、0.9重量%以上、1.2重量%以上、又は1.4重量%以上が挙げられる。(C)成分の含有量の上限としては特に限定されないが、例えば14重量%以下、好ましくは13重量%以下、より好ましくは12.5重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、2重量%以下、1.6重量%以下、1.4重量%以下、1.2重量%以下、0.9重量%以下、又は0.7重量%以下が挙げられる。
【0027】
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物において、(B)成分と(C)成分との比率については上記の各含有量に応じて定まるが、より優れた爽快感を得る観点から、(B)成分1重量部に対する(C)成分の含有量として、好ましくは1~80重量部、より好ましくは4~60重量部、さらに好ましくは6~40重量部、一層好ましくは7~30重量部、8~20重量部、又は8.5~10重量部が挙げられる。
【0028】
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物において、(B)成分中のメントールと(C)成分との比率については上記の各含有量に応じて定まるが、より優れた爽快感を得る観点から、(B)成分中のメントール1重量部に対する(C)成分の含有量として、好ましくは2.8~220重量部、より好ましくは11~165重量部、さらに好ましくは17~110重量部、一層好ましくは20~85重量部、22~55重量部、又は24~28重量部が挙げられる。
【0029】
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物において、(B)成分のメントンと(C)成分との比率については上記の各含有量に応じて定まるが、より優れた爽快感を得る観点から、(B)成分中のメントン1重量部に対する(C)成分の含有量として、好ましくは3.3~260重量部、より好ましくは13~200重量部、さらに好ましくは20~130重量部、一層好ましくは23~100重量部、26~66重量部、又は28~33重量部が挙げられる。
【0030】
(D)抗菌又は殺菌剤
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物は、爽快感をより一層向上させる観点から、(D)成分として抗菌又は殺菌剤をさらに含有することができる。
【0031】
抗菌又は殺菌剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に限定されない。例えば、第四級アンモニウム系抗菌剤、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、塩化リゾチーム、スルファジン等が挙げられる。第四級アンモニウム系抗菌剤としては、具体的には、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム等が挙げられる。これらの抗菌又は殺菌剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
これらの抗菌又は殺菌剤の中でも、爽快感の向上効果をより一層高める観点から、好ましくは、第四級アンモニウム系抗菌剤が挙げられ、より好ましくは、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、及び塩化セチルピリジニウムが挙げられ、更に好ましくは塩化ベンザルコニウムが挙げられる。
【0033】
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物が(D)成分を含む場合における(D)成分の含有量については、使用する抗菌又は殺菌剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.001~0.17重量%、好ましくは0.002~0.1重量%、より好ましくは0.0025~0.008重量%、さらに好ましくは0.003~0.006重量%が又は0.0035~0.0045重量%挙げられる。
【0034】
本発明の外用組成物が(D)成分を含む場合において、(B)成分と(D)成分の比率は、前述するこれらの両成分の各含有量に応じて定まるが、爽快感の向上効果をより一層高める観点から、好ましくは、(B)成分1重量部当たり、(D)成分が0.03~0.5重量部、より好ましくは0.04~0.35重量部、さらに好ましくは0.05~0.2重量部、一層好ましくは0.055~0.15重量部、0.06~0.1重量部、又は0.06~0.08重量部が挙げられる。
【0035】
他の成分
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物には、前記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、製剤化等に必要とされる他の基剤や添加剤が含まれていてもよい。このような基剤や添加剤については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、水、炭素数1~5の低級アルコール、及びグリセリン等の水性基剤、界面活性剤、防腐剤、着色剤、粘稠剤、pH調整剤、湿潤剤、防腐剤、安定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、保存剤等の添加剤が挙げられる。これらの基材や添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの基剤や添加剤の含有量は、製剤形態等に応じて適宜設定することができる。
【0036】
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物には、前記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の薬理成分を含有していてもよい。このような薬理成分としては、例えば、ビタミン類、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、抗炎症剤、皮膚保護剤、血行促進成分、清涼化剤、ムコ多糖類等が挙げられる。これらの薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの薬理成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬理成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0037】
用途
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物は、用時に、そのままで、又は、水等により各成分の濃度が鼻腔粘膜への使用に適するように希釈して調製した鼻腔粘膜洗浄液として、鼻腔粘膜を洗浄する目的で使用される。
【0038】
本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物の使用方法としては、洗浄効果が奏される限り特に限定されないが、鼻腔に流しこみ口から吐き出す方法や、一方の鼻腔に流しこみ他方の鼻腔から吐き出す方法等が挙げられる。
【0039】
また、本発明の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物の適用量としては、例えば10~30mL、好ましくは15~25mLが挙げられる。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
表1に示す組成の鼻腔粘膜洗浄用液状組成物を調製した。なお、ペパーミントオイルとしては、モノテルペンが94.5重量%、メントールが32.7重量%、メントンが27.5重量%含まれるものを用いた。得られた鼻腔粘膜洗浄用液状組成物20mLをスクイズボトルに収容して用い、モニター15名に鼻うがい(鼻腔洗浄)させた。鼻洗浄の爽快感を、「爽快感が高く心地よい」「爽快感がややありやや心地よい」「どちらでもない」「爽快感がやや足りない」及び「爽快感が足りない」の5段階で判定させた。比較例1について「爽快感が高く心地よい」と回答したモニター者の人数を100%とし、各実施例及び比較例において「爽快感が高く心地よい」と回答したモニター者の人数の相対値(%)を算出した(小数点第1位を四捨五入)。結果を表1に示す。
【0042】
【0043】
比較例1~3に示すように、所定の塩とモノテルペンとともにグリセリンを含む鼻腔粘膜洗浄用液状組成物では爽快感が乏しく、これに対し、実施例1~8に示すように、所定の塩とモノテルペンとともに二価アルコールを含む鼻腔粘膜洗浄用液状組成物では爽快感が顕著に向上し、実施例6~8に示すようにさらに塩化ベンザルコニウムを配合すると爽快感が一層顕著に向上した。また、ペパーミントオイルをハッカ油(モノテルペン量88.2重量%、メントール量34.6重量%、メントン量24.6重量%)に代えた以外は実施例5と同様に調製した鼻腔粘膜洗浄用液状組成物及び塩化ベンザルコニウムを塩化ベンゼトニウム又は塩化セチルピリジニウムに代えた以外は実施例6と同様に調製した鼻腔粘膜洗浄用液状組成物についても評価したところ、同様に比較例1に比べて爽快感が顕著であった。