(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】少なくとも1つの4-(2-オキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オン単位を含むモノマー及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 317/36 20060101AFI20240909BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20240909BHJP
C08G 18/83 20060101ALI20240909BHJP
C08G 63/91 20060101ALI20240909BHJP
C08G 64/42 20060101ALI20240909BHJP
C08G 65/32 20060101ALI20240909BHJP
C08G 69/48 20060101ALI20240909BHJP
C09J 123/00 20060101ALI20240909BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20240909BHJP
C09J 135/00 20060101ALI20240909BHJP
C09J 171/00 20060101ALI20240909BHJP
C09J 175/00 20060101ALI20240909BHJP
C09J 177/00 20060101ALI20240909BHJP
C09J 201/06 20060101ALI20240909BHJP
D06M 13/352 20060101ALI20240909BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240909BHJP
【FI】
C07D317/36 CSP
C08F8/00
C08G18/83
C08G63/91
C08G64/42
C08G65/32
C08G69/48
C09J123/00
C09J133/00
C09J135/00
C09J171/00
C09J175/00
C09J177/00
C09J201/06
D06M13/352
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020564616
(86)(22)【出願日】2019-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2019061774
(87)【国際公開番号】W WO2019219469
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-06
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャウブ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】リヒト,ウルリケ
(72)【発明者】
【氏名】モームル,ベレナ
(72)【発明者】
【氏名】ダブラル,サウミア
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/034648(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0072842(US,A1)
【文献】国際公開第2018/065715(WO,A1)
【文献】特開平04-339878(JP,A)
【文献】特表2015-512909(JP,A)
【文献】国際公開第2015/164692(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C08F
C08G
C09J
D06M
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
R
1は、水素、又は1~100個の炭素原子を有する有機基であり、
R
2、R
3は、互いに独立して、水素、又は1~100個の炭素原子を有する有機基であり、
Xは、化学的単結合、又は1~40個の炭素原子を有する二価の有機基であり、
nが、2、3又は4であり、
mが0であり、
Zが、化学的単結合、又は-CH
2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-及び-C(=O)-N(R
5)-からなる要素の群から選択される二価の有機基であり、
Aが、C
1-C
12-アルカン、飽和C
3-C
60-複素環、芳香族C
6-C
40-炭化水素、C
2-C
40-ヘテロアレーン及びC
7-C
30-アリールアルカンからなる群から選択される有機化合物(上記群の各員において、1個以上の水素原子は、ハロゲン、-OH、-NR
6
2又は-CNで置換されていてもよく、1つ以上のCH
2基は、-O-、-S-、-N(R
6)-、PO
2-、-SO
2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-N(R
5)-で置換されていてもよく、R
5は水素、C
1-C
4アルキル又はフェニルであり、R
6は水素、C
1-C
4アルキル又はフェニルである
)から誘導される、n価の有機基である)
の化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I):
【化2】
の化合物を調製するための方法であって、以下の方法ステップ:
a) 式(II):
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
3、Z、A、X、n及びmは、式Iにおける意味と同じ意味を有する)
の4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体を、少なくとも1種の遷移金属触媒TMC1(この触媒は、IUPACによる元素の周期表の10、11及び12族の金属から選択される遷移金属と、式(III)の化合物及び式(IV)の化合物:
【化4】
(式中、
Dは、P、As又はSbであり、
R
7は、1~40個の炭素原子を有する有機基であり、
R
8、R
9は、同一であるか又は異なり、且つそれぞれ1~40個の炭素原子を有する有機基であり、
R
10は、1~40個の炭素原子を有する有機基であるか、又はR
7と同一であり、
Zは、-CR
12=CR
13-、-CR
12=N-、-CR
12R
14-CR
13R
15-及び-CR
12R
14-CR
13R
15-CR
16R
17-から選択される二価の架橋基(ここで、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16及びR
17は、互いに独立して、水素、又はR
10として定義されるとおりであるか、あるいは2つの隣接するR
12基とR
13基及び/又はR
15基とR
16基は、それらを結合している原子と一緒になって、4~40個の炭素原子を有し且つ元素Si、Ge、N、P、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子も含み得る単環式又は多環式、置換又は非置換の脂肪族又は芳香族環系を形成する)である)
からなる配位子の群から選択される少なくとも1つの嵩高い配位子とを含む)
の存在下で、二酸化炭素と反応させるステップ
を含む、前記方法。
【請求項3】
請求項1に記載の式(I):
【化5】
の化合物を調製するための方法であって、以下の方法ステップ:
b) 式(VI):
【化6】
のアルコールを、式(VII):
【化7】
(式中、R
1、R
2、R
3、A、X、n及びmは、式Iにおける意味と同じ意味を有する)
の化合物と反応させるステップ
を含み、ここで
Jは、1~100個の炭素原子を有する二価の有機基であり、
Qは、-O-Q(-H)-A単位の形成下で付加反応において式(VI)のアルコールのヒドロキシ基と反応することができる官能基であるか、又は、Qは、H-Qの形成下で式(VI)のアルコールのヒドロキシ基の酸素により置換される脱離基であり、
oは、
0である、
前記方法。
【請求項4】
Qが、-N=C=O、2-オキシラニル、-C=N-、ハロゲン化物イオン(halide)、及び有機スルホネート、並びにOH、R
aC(=O)O、R
aO及びイミダゾールからなる官能基の群(ここでR
aは、C
1-C
4アルキル、又は置換若しくは非置換フェニルである)から選択される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
重合反応又はオリゴマー化反応における中間体若しくは架橋剤としての、又はモノマーとしての、請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項6】
第1成分として、請求項1に記載の少なくとも1種の式(I)の化合物と、第2成分として、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシ基、ホスフィン基、ホスホネート基、並びにカルボキシ-及びメルカプタン基からなる群から選択される少なくとも2つの官能基を含む少なくとも1種の多官能性硬化剤とを含む、2成分組成物。
【請求項7】
1つ以上のモノマーから形成されるポリマーであって、少なくとも1つのモノマーが、請求項1に記載の式(I)の化合物である、前記ポリマー。
【請求項8】
請求項7に記載のポリマーであって、該ポリマーが、請求項1に記載の式(I)の化合物と、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシレート基、ホスフィン基、ホスホネート基及びメルカプタン基からなる群から選択される少なくとも2つの官能基を含む1種以上の化合物との反応生成物である、前記ポリマー。
【請求項9】
第1成分として、請求項7に記載のポリマーと、第2成分として、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシ基、ホスフィン基、ホスホネート基及びメルカプタン基からなる群から選択される少なくとも2つの官能基を含む少なくとも1種の多官能性硬化剤とを含む、2成分組成物。
【請求項10】
金属、プラスチック、紙、板紙、織物、ガラス、皮革、木材及び無機材料製の剛性部品及び可撓性部品用の接着剤及び/又はシーラントの成分としての、請求項1に記載の化合物、請求項6若しくは9に記載の2成分組成物、又は請求項7若しくは8に記載のポリマーの使用。
【請求項11】
金属、プラスチック、紙、板紙、織物、ガラス、皮革、木材及び無機材料製の剛性基材及び可撓性基材用のコーティングの成分としての、請求項1に記載の化合物、請求項6若しくは9に記載の2成分組成物、又は請求項7若しくは8に記載のポリマーの使用。
【請求項12】
繊維、粒子及び顔料用の結合剤の成分としての、請求項1に記載の化合物、請求項6若しくは9に記載の2成分組成物、又は請求項7若しくは8に記載のポリマーの使用。
【請求項13】
(オリゴ/多)官能性求核剤を式(I)の化合物と反応させることによる多価不飽和化合物の調製のための中間体としての、請求項1又は6~9のいずれか1項に記載の任意の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【0002】
【化1】
(式中、R
1は、水素、又は1~100個の炭素原子を有する有機基であり、R
2、R
3は、互いに独立して、水素、又は1~100個の炭素原子を有する有機基であり、Zは、化学的単結合、又は1~100個の炭素原子を有する二価の有機基であり、Aは、1~1 000 000個の炭素原子を有する(n+m)価の有機基であり、Xは、化学的単結合、又は1~40個の炭素原子を有する二価の有機基であり、nは、1~1000の整数であり、mは、0、1又は2であり、ここでn+mの和は、2~1002の整数である)
の化合物に関する。
【0003】
本発明はさらに、式(I)の化合物を調製するための方法、式(I)の化合物の調製のための出発物質としての特定の4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体、重合反応又はオリゴマー化反応における中間体若しくは架橋剤としての、又はモノマーとしての式(I)の化合物の使用、第1成分として少なくとも1種の式(I)の化合物と、第2成分として少なくとも1種の多官能性硬化剤とを含む2成分組成物、1つ以上のモノマーから形成されるポリマーであって、少なくとも1つのモノマーが式(I)の化合物である上記ポリマー、及び(オリゴ/多)官能性求核剤を式(I)の化合物と反応させることによる多価不飽和化合物の調製のための中間体としての、前に記載した任意の化合物の使用に関する。その反応生成物はその後、さらなる硬化(例えば、ラジカル誘導硬化)に利用される。
【背景技術】
【0004】
エキソビニレンカーボネートは、特に、WO 2015/164692 A1、WO 2013/144299 A1、WO 2015/039807及びWO 2011/157671 A1に記載されているような高分子利用(polymer application)におけるモノマーとしての使用のために有用な化合物である。
【0005】
大規模な高分子利用のためには、安価で且つ容易に入手可能な出発物質をベースとしてエキソビニレンカーボネートを製造することが望ましい。エキソビニレンカーボネートへの最も原子効率的なアクセスは、4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体のCO2によるカルボキシル化を介したアクセスである。
【0006】
最も大規模に工業的に製造される4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体は、1,4-ブチンジオールである。従って、この4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体もまた、最も入手可能且つ最も安価な4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体である。従って、容易に入手可能な1,4-ブチンジオールをベースとする4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体を、高分子利用において使用し得るエキソビニレンカーボネートの製造のための出発物質として使用することが極めて魅力的である。
【0007】
4,4-位に置換基を有するエキソビニレンカーボネートは、金属又は塩基などの様々な触媒を用いた、第二級又は第三級プロパルギルアルコールとCO2との反応を介して入手可能である。
【0008】
【0009】
現在まで、銀-、銅-、コバルト-又はグアニジン触媒環化のような、文献中に記載されているプロトコルはいずれも、単純な第一級プロパルギルアルコールとCO2の、4,4-位に2つの水素を有する単純なエキソ-ビニレンカーボネートへの変換に利用することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO 2015/164692 A1
【文献】WO 2013/144299 A1
【文献】WO 2015/039807
【文献】WO 2011/157671 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、高分子利用におけるモノマーとして使用することが可能であり、且つ容易にアクセス可能な4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体をベースとする(好ましくは1,4-ブチンジオールをベースとする)、少なくとも1つの4-(2-オキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オンを含む新たな化合物を提供することである。本発明の別の目的は、高分子利用における中間体として、架橋剤として、又はモノマーとして使用し得る前記化合物を製造するための経済的な方法であって、その出発物質が、容易にアクセス可能な4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体をベースとする(好ましくは1,4-ブチンジオールをベースとする)、上記方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、式(I):
【0013】
【化3】
(式中、
R
1は、水素、又は1~100個、好ましくは1~40個の炭素原子を有する有機基(好ましくは水素、C
1-C
4アルキル、CH
2COOR
4、フェニル又はフェニル-C
1-C
4アルキル)であり;
R
2、R
3は、互いに独立して、水素、又は1~100個、好ましくは1~40個の炭素原子を有する有機基(好ましくは水素又はC
1-C
4アルキル)であるか、又はR
2基若しくはR
3基の一方がCOOR
4若しくはCH
2COOR
4であってもよく、
R
4は、存在する場合、水素、又は1~100個、好ましくは1~40個の炭素原子を有する有機基(好ましくは水素又はC
1-C
6)であり、
Zは、化学的単結合、又は1~100個、好ましくは1~40個の炭素原子を有する二価の有機基であり、
Aは、1~1 000 000個の炭素原子を有する(n+m)価の有機基であり、
Xは、化学的単結合、又は1~40個の炭素原子を有する二価の有機基であり、
nは、1~1000の整数であり、
mは、0、1又は2であり、
ここでn+mの和は、2~1002の整数である)
の化合物により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による置換基は、さらに限定されない限り、以下のとおりに定義される:
本明細書中で使用される用語「1~100個の炭素原子を有する有機基」又は「1~40個の炭素原子を有する有機基」は、例えば、C1-C40-アルキル基、C1-C10-フルオロアルキル基、C1-C12-アルコキシ基、飽和C3-C20-複素環式基、C6-C40-アリール基、C2-C40-複素芳香族基、C6-C10-フルオロアリール基、C6-C10-アリールオキシ基、3~24個の炭素原子を有するシリル基、C2-C20-アルケニル基、C2-C20-アルキニル基、C7-C40-アリールアルキル基又はC8-C40-アリールアルケニル基を指す。有機基は、いずれの場合も有機化合物から誘導される。このため、有機化合物であるメタノールは、原理上、1つの炭素原子を有する3つの異なる有機基(すなわちメチル(H3C-)、メトキシ(H3C-O-)及びヒドロキシメチル(HOC(H2)-))を生じ得る。従って、用語「1~100個の炭素原子を有する有機基」は、アルコキシ基に加えて、例えば、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基又はアルキルチオ基も含む。
【0015】
本明細書において、提示される式中の可変要素Rxを定義する場合、用語「基(radical)」は、用語「基(group)」と互換的に使用される。
【0016】
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、直鎖又は単分岐若しくは多分岐の飽和炭化水素(環状であってもよい)を包含する。好ましいのはC1-C18-アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、イソヘキシル、sec-ブチル又はtert-ブチルである。
【0017】
本明細書中で使用される用語「アルケニル」は、1つ以上のC-C二重結合(累積二重結合であってもよく、又は交互二重結合であってもよい)を有する直鎖又は単分岐若しくは多分岐の炭化水素を包含する。
【0018】
本明細書中で使用される用語「飽和複素環式基」は、例えば、1個以上の炭素原子、CH基及び/又はCH2基が、好ましくは、元素O、S、N及びPからなる群から選択されるヘテロ原子で置換されている、単環式又は多環式、置換又は非置換の脂肪族又は部分不飽和炭化水素基を指す。置換又は非置換の飽和複素環式基の好ましい例は、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニルなど、さらにまた、それらのメチル-、エチル-、プロピル-、イソプロピル-及びtert-ブチル-置換誘導体である。
【0019】
本明細書中で使用される用語「アリール」は、例えば、直鎖又は分岐鎖のC1-C18-アルキル、C1-C18-アルコキシ、C2-C10-アルケニル又はハロゲン(特にフッ素)で一置換又は多置換されていてもよい、芳香族炭化水素基及び任意選択的に縮合した多価芳香族炭化水素基を指す。置換及び非置換のアリール基の好ましい例は、特に、フェニル、ペンタフルオロフェニル、4-メチルフェニル、4-エチルフェニル、4-n-プロピルフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、4-メトキシフェニル、1-ナフチル、9-アントリル、9-フェナントリル、3,5-ジメチルフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル又は4-トリフルオロメチルフェニルである。
【0020】
本明細書中で使用される用語「複素芳香族基」は、例えば、1個以上の炭素原子又はCH基が、窒素、リン、酸素若しくは硫黄原子又はそれらの組み合わせで置換されている芳香族炭化水素基を指す。これらは、アリール基と同様に、直鎖又は分岐鎖のC1-C18-アルキル、C2-C10-アルケニル又はハロゲン(特にフッ素)で任意選択的に一置換又は多置換されていてもよい。好ましい例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリミジニル、ピラジニルなど、さらにまた、それらのメチル-、エチル-、プロピル-、イソプロピル-及びtert-ブチル-置換誘導体である。
【0021】
本明細書中で使用される用語「アリールアルキル」は、例えば、アリール含有置換基であって、そのアリール基がアルキル鎖を介して分子の残りの部分に結合している上記置換基を指す。好ましい例は、ベンジル、置換ベンジル、フェネチル、置換フェネチルなどである。
【0022】
用語「フルオロアルキル」及び「フルオロアリール」は、対応する基の少なくとも1個の水素原子、好ましくは2個以上、及び最大で全ての水素原子がフッ素原子で置換されていることを意味する。好ましいフッ素含有基の例は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、4-ペルフルオロ-tert-ブチルフェニルなどである。
【0023】
本発明の好ましい実施形態に関して、式(I)の化合物における基(radical)、基(group)又は可変要素R1、R2、R3、R4、Z、A、n及びmは、好ましくは、それぞれ独立して、以下の定義の1つ以上又は全てを有する:
【0024】
R1は、水素、又は1~100個、好ましくは1~40個の炭素原子を有する有機基である。好ましくは、R1は、水素、C1-C4アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル又はsec.-ブチル)であるか、又はR1は、CH2COOR4、フェニル又はフェニル-C1-C4アルキルである。特に好ましくは、R1は、水素又はメチルである。
【0025】
R2は、水素、又は1~100個、好ましくは1~40個の炭素原子を有する有機基である。好ましくは、R2は、水素、C1-C4アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル又はsec.-ブチル)であるか、又はR2は、COOR4又はCH2COOR4である。特に好ましくは、R2は水素である。
【0026】
R3は、水素、又は1~100個、好ましくは1~40個の炭素原子を有する有機基である。好ましくは、R3は、水素、C1-C4アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル又はsec.-ブチル)であるか、又はR3は、COOR4又はCH2COOR4である。特に好ましくは、R3は水素である。
【0027】
R4は、存在する場合、水素、又は1~100個、好ましくは1~40個の炭素原子を有する有機基である。好ましくは、R4は、水素、又はC1-C6アルキル(例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec.-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル又はシクロヘキシル)である。特に好ましくは、R4はC1-C4アルキルである。
【0028】
Zは、化学的単結合、又は1~100個、好ましくは1~40個の炭素原子を有する二価の有機基である。好ましくは、Zは、化学的単結合、又は-CH2-、-PO2-、-SO2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-及び-C(=O)-N(R5)-からなる要素の群から選択される二価の有機基(ここでR5は、水素、C1-C4アルキル又はフェニル、好ましくは水素である)である。
【0029】
Aは、1~1 000 000個の炭素原子を有する(n+m)価の有機基である。好ましくは、(n+m)価の有機基Aは、C1-C40-アルカン、C1-C40-アルケン、飽和C3-C100-複素環、芳香族C6-C40-炭化水素、C2-C40-ヘテロアレーン、C7-C40-アリールアルカン及びC8-C40-アリールアルケンからなる群から選択される有機化合物(上記群の各員において、1個以上の水素原子は、ハロゲン、OH、-NR6
2又は-CNで置換されていてもよく、1つ以上のCH2基は、-O-、-S-、-N(R6)-、PO2-、-SO2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-N(R5)-で置換されていてもよく、ここでR6は、水素、C1-C4アルキル又はフェニルである)、並びにポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリオレフィンからなるポリマーの群から選択されるポリマーから誘導される。
【0030】
Xは、化学的単結合、又は1~40個の炭素原子を有する二価の有機基である。好ましくは、Xは、化学的単結合、又は-C(=O)-、-O-C(=O)-及び-N(R5)-C(=O)-からなる要素の群から選択される二価の有機基(ここでR5は、水素、C1-C4アルキル又はフェニル、好ましくは水素である)である。
【0031】
可変要素nは、1~1000の整数である。好ましくは、nは、1、2、3、4、5又は6、より好ましくは2、3又は4、さらにより好ましくは2又は3、特に2である。
【0032】
可変要素mは、0、1又は2、好ましくは0又は1、特に0である。
【0033】
n+mの和は、2~1002の整数である。好ましくは、n+mの和は、2、3、4、5又は6、より好ましくは2又は3、特に2である。
【0034】
可変要素nが2以上である場合、2つ以上のZ基は全て同一であってもよく、又は互いに独立して異なっていてもよい。好ましくは、2つ以上のZ基は、有機基中の化学元素の異なる同位体を無視すれば同一である。本発明の文脈において、有機基-12C(=O)-及び-13C(=O)-は同一であるとみなされる。
【0035】
mが2である場合、2つのX基もまた、同一であってもよく、又は異なっていてもよい。
【0036】
本発明の一実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、
R1が、水素、C1-C4アルキル、CH2COOR4、フェニル又はフェニル-C1-C4アルキルであり;
R2、R3が、互いに独立して、水素又はC1-C4アルキルであるか、又はR2基若しくはR3基の一方がCOOR4若しくはCH2COOR4であってもよく、
R4が、存在する場合、水素又はC1-C6アルキルである
ことを特徴とする。
【0037】
本発明の一実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、
Zが、化学的単結合、又は-CH2-、-PO2-、-SO2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-及び-C(=O)-N(R5)-からなる要素の群から選択される二価の有機基(ここでR5は、水素、C1-C4アルキル又はフェニル、好ましくは水素である)である
ことを特徴とする。
【0038】
本発明の一実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、
Xが、化学的単結合、又は-C(=O)-、-O-C(=O)-及び-N(R5)-C(=O)-からなる要素の群から選択される二価の有機基(ここでR5は、水素、C1-C4アルキル又はフェニル、好ましくは水素である)である
ことを特徴とする。
【0039】
本発明の一実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、
nが、1、2、3、4、5又は6、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2又は3、特に2であり、
mが、0、1又は2、好ましくは0又は1、特に0であり、
ここでn+mの和が、2、3、4、5又は6、好ましくは2又は3、特に2である
ことを特徴とする。
【0040】
本発明の一実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、(n+m)価の有機基Aが、C1-C40-アルカン、C1-C40-アルケン、飽和C3-C100-複素環、芳香族C6-C40-炭化水素、C2-C40-ヘテロアレーン、C7-C40-アリールアルカン及びC8-C40-アリールアルケンからなる群から選択される有機化合物(上記群の各員において、1個以上の水素原子は、ハロゲン、-NR6
2、CN又はOHで置換されていてもよく、1つ以上のCH2基は、-O-、-S-、-N(R6)-、PO2-、-SO2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-N(R5)-で置換されていてもよく、ここでR5は、水素、C1-C4アルキル又はフェニル、好ましくは水素であり、R6は、水素、C1-C4アルキル又はフェニルである)、並びにポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリヒドロキシエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリオレフィンからなるポリマーの群から選択されるポリマーから誘導されることを特徴とする。
【0041】
本発明の一実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、
R1が、水素、C1-C4アルキル、CH2COOR4、フェニル又はフェニル-C1-C4アルキルであり、好ましくはR1が水素又はメチルであり、
R2、R3が、互いに独立して、水素又はC1-C4アルキルであるか、又はR2基若しくはR3基の一方が、COOR4若しくはCH2COOR4であってもよく、好ましくは、R2、R3がいずれも水素であり、
R4が、存在する場合、水素又はC1-C6アルキルであり、好ましくは、R4がC1-C4アルキルであり、
Zが、化学的単結合、又は、-CH2-、-PO2-、-SO2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-及び-C(=O)-N(R5)-からなる要素の群から選択される二価の有機基であり、
Aが、C1-C40-アルカン、C1-C40-アルケン、飽和C3-C20-複素環、芳香族C6-C40-炭化水素、C2-C40-ヘテロアレーン、C7-C40-アリールアルカン及びC8-C40-アリールアルケンからなる群から選択される有機化合物(上記群の各員において、1個以上の水素原子は、ハロゲン、OH、-NR6
2又は-CNで置換されていてもよく、1つ以上のCH2基は、-O-、-S-、-N(R6)-、PO2-、-SO2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-N(R5)-で置換されていてもよい)から誘導される二価の有機基であり、
Xが、化学的単結合、又は-C(=O)-、-O-C(=O)-及び-N(R5)-C(=O)-からなる要素の群から選択される二価の有機基
(ここでR5は、水素、C1-C4アルキル又はフェニル、好ましくは水素であり、R6は、水素、C1-C4アルキル又はフェニルである)であり、
nが1であり、
mが1である
ことを特徴とする。
【0042】
mが0であり、且つnが、2、3、4、5又は6、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2又は3、特に2である式(I)の化合物もまた、重合反応における有用なモノマーであり、又は求核剤との反応における中間体として、特に、ポリ(ケトウレタン)、ポリ(ケトカーボネート)、ポリ(ケトチオカーボネート、ポリ(ケトエーテル)、又は、ケトウレタン、ケトカーボネート、ケトチオカーボネート及びケトエーテルからなる群から選択される官能基の混合物を含むポリマーの形成のためのモノマーとして有用である。
【0043】
mが1又は2、好ましくは1であり、且つn=1である式(I)の化合物もまた、多価不飽和ウレタン、多価不飽和カーボネート、多価不飽和チオカーボネート、又は、不飽和ウレタン、不飽和カーボネート、不飽和チオカーボネートからなる群から選択される官能基の混合物を含むポリマーの形成のためのモノマーとして有用である。
【0044】
本発明の一実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、
nが、2、3、4、5又は6、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2又は3、特に2であり、
mが0であり、
Zが、化学的単結合、又は-CH2-、-PO2-、-SO2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-及び-C(=O)-N(R5)-からなる要素の群から選択される二価の有機基であり、
Aが、C1-C40-アルカン、C1-C40-アルケン、飽和C3-C100-複素環、芳香族C6-C40-炭化水素、C2-C40-ヘテロアレーン、C7-C40-アリールアルカン及びC8-C40-アリールアルケンからなる群から選択される有機化合物(上記群の各員において、1個以上の水素原子は、ハロゲン、OH、-NR6
2又は-CNで置換されていてもよく、1つ以上のCH2基は、-O-、-S-、-N(R6)-、PO2-、-SO2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-N(R5)-で置換されていてもよい)、並びにポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリオレフィンからなるポリマーの群から選択されるポリマーから誘導されるn価の有機基
(ここでR5は、水素、C1-C4アルキル又はフェニル、好ましくは水素であり、R6は、水素、C1-C4アルキル又はフェニルである)である
ことを特徴とする。
【0045】
本発明の一実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、
nが、2、3又は4、より好ましくは2又は3、特に2であり、
mが0であり、
Zが、化学的単結合、又は-CH2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-及び-C(=O)-N(R5)-からなる要素の群から選択される二価の有機基であり、
Aが、C1-C12-アルカン、飽和C3-C60-複素環、芳香族C6-C40-炭化水素、C2-C40-ヘテロアレーン及びC7-C30-アリールアルカンからなる群から選択される有機化合物(上記群の各員において、1個以上の水素原子は、ハロゲン、OH、-NR6
2又は-CNで置換されていてもよく、1つ以上のCH2基は、-O-、-S-、-N(R6)-、PO2-、-SO2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-N(R5)-で置換されていてもよい)、並びにポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリオレフィンからなるポリマーの群から選択されるポリマーから誘導されるn価の有機基
(ここでR5は、水素、C1-C4アルキル又はフェニル、好ましくは水素であり、R6は、C1-C4水素、アルキル又はフェニルである)である
ことを特徴とする。
【0046】
本発明の一実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、式(I)の化合物が、以下:
【0047】
【化4】
からなる群から選択されることを特徴とする。
【0048】
式(I)の化合物は、1つ以上の式(Ia):
【0049】
【化5】
の官能基を含み、ここで上記の式(Ia)の官能基は、各シス異性体若しくはトランス異性体を表すか、又は式(I)の化合物中に2つ以上の式(Ia)の官能基が存在する場合、式(Ia)は、前記シス-トランス異性体の混合物も表す。
【0050】
【0051】
本発明の式(I)の化合物は、容易にアクセス可能な4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体をベースとする(好ましくは1,4-ブチンジオールをベースとする)出発物質から調製することが可能であり、ここで式(Ia)の官能基は、遷移金属触媒の存在下における、式(IIa):
【0052】
【化7】
(式中、Z及び#は、上記のとおりに定義される)
の官能基の、二酸化炭素との反応によって得られる。
【0053】
あるいは、mが1又は2、好ましくは1である式(I)の化合物は、mが0である新たな式(I)の化合物を形成することによる、式(Ib);
【0054】
【化8】
(式中、R
1、R
2、R
3及びXは、上記の式(I)における意味と同じ意味を有する)
の官能基のC=C二重結合の反応により、重合、オリゴマー化又はダイマー化することができる。式(Ib)の官能基のC=C二重結合の好適な反応の例は、ラジカル重合反応若しくはラジカルオリゴマー化反応、ディールス・アルダー(Diels-Alder)反応又はチオール-エン反応である。あるいは、アミンとの反応も、求核的開環並びに二重結合に対するマイケル型付加(アザ-マイケル)をもたらし得る。
【0055】
このような式(I)のポリマー、オリゴマー又はダイマーは、脂肪族ヒドロキシル基、第一級及び第二級アミノ基、ホスフィン基、ホスホネート基及びメルカプタン基の群に属する官能基Fを有する化合物と比較して、イソシアネートに伴う欠点を有することなく、高い反応性を有する。従って、これらは、数多くの利用における多官能性イソシアネートの代替として(特に、一部の官能基Fの活性化(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)のようなアミンによるヒドロキシ基の活性化など)のために触媒が必要とされ得る、WO 2013/144299 A1に記載されているような2K結合剤の代替として)、特に好適である。
【0056】
本発明のさらなる態様は、上記の式(I)の化合物:
【0057】
【化9】
を調製するための方法であって、以下の方法ステップ:
a) 式(II):
【化10】
(式中、R
1、R
2、R
3、Z、A、X、n及びmは、上記と同じ意味を有する)
の4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体を、少なくとも1種の遷移金属触媒TMC1(この触媒は、IUPACによる元素の周期表の10、11及び12族の金属から選択される遷移金属と、式(III)の化合物及び式(IV)の化合物:
【化11】
(式中、
Dは、P、As又はSbであり、
R
7は、1~40個の炭素原子を有する有機基であり、
R
8、R
9は、同一であるか又は異なり、且つそれぞれ1~40個の炭素原子を有する有機基であり、
R
10は、1~40個の炭素原子を有する有機基であるか、又はR
7と同一であり、
Tは、-CR
12=CR
13-、-CR
12=N-、-CR
12R
14-CR
13R
15-及び-CR
12R
14-CR
13R
15-CR
16R
17-から選択される二価の架橋基(ここで、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16及びR
17は、互いに独立して、水素、又はR
10として定義されるとおりであるか、あるいは2つの隣接するR
12基とR
13基及び/又はR
15基とR
16基は、それらを結合している原子と一緒になって、4~40個の炭素原子を有し且つ元素Si、Ge、N、P、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子も含み得る単環式又は多環式、置換又は非置換の脂肪族又は芳香族環系を形成する)である)
からなる配位子の群から選択される少なくとも1つの嵩高い配位子とを含む)
の存在下で、二酸化炭素と反応させるステップ
を含む、上記方法である。
【0058】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、
DがPであり、
R7が、C3-C40シクロアルキル基、C2-C40ヘテロシクロアルキル基、C6-C40アリール基又はC2-C40複素芳香族基、
好ましくはC6-C40アリール基又はC2-C40複素芳香族基であり
(ここで、R7が、P又はNに対する2つのオルト位の少なくとも1つにおいて、R11基(この基は1~40個の炭素原子を有する有機基である)、ハロゲン(特にCl又はBr)、ヒドロキシ、SO3H又はニトロで置換されているか、又は、隣接する基と一緒になってR7をメタ位で置換しているR11が、それらを結合している原子と一緒になって、4~40個の炭素原子を有し且つ元素Si、Ge、N、P、O及びS(好ましくはN及びO)からなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子も含み得る単環式又は多環式、置換又は非置換の脂肪族又は芳香族環系を形成する)、
R8、R9、R10及びTが、上記のとおりに定義される
ことを特徴とする。
【0059】
本発明の方法では、式(II)の4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体を、少なくとも1種の遷移金属触媒TMC1の存在下で二酸化炭素と反応させる。遷移金属触媒TMC1は、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd及びHgなどのIUPACによる元素の周期表の10、11及び12族の金属から選択される遷移金属、好ましくはCu、Ag及びAuから選択される遷移金属、より好ましくはCu又はAgから選択される遷移金属、特にAgを含む。
【0060】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、遷移金属触媒TMC1の遷移金属がAgであることを特徴とする。
【0061】
本発明の方法の遷移金属触媒TMC1は、上記に示されるとおり、遷移金属と、式(III)の化合物及び式(IV)の化合物からなる配位子の群から選択される少なくとも1つの嵩高い配位子(好ましくは式(III)の化合物)とを含む、予め形成された金属錯体の形態で利用することができる。あるいは、遷移金属触媒TMC1は、任意の嵩高い配位子を含まない金属化合物(本明細書中プレ触媒とも呼ばれる)を1つ以上の好適な嵩高い配位子と組み合わせて触媒的に活性な金属錯体である遷移金属触媒TMC1を反応媒体中で形成することによって、in situで反応媒体中に形成される。上記の嵩高い配位子が式(IV)のN-複素環式カルベン配位子(NHC配位子)である場合、対応する式(IV)のNHC配位子にin situで変換される1つ以上のNHC前駆体(特にプロトン化形態のNHC配位子)にプレ触媒を組み合わせて、反応媒体中で触媒的に活性な金属錯体を形成することによって、遷移金属触媒TMC1を反応媒体中にin situで形成することも可能である。
【0062】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、任意の嵩高い配位子を含まない遷移金属化合物、嵩高い配位子としての式(III)若しくは式(IV)の化合物、又は式(V):
【0063】
【化12】
(式中、R
7、R
10及びTは上記のとおりに定義され、X
-はアニオン均等物である)
により表されるプロトン化形態の式(IV)の化合物を、塩基と共に用いることにより、遷移金属触媒TMC1をin situで調製することを特徴とする。
【0064】
プロトン化形態の様々な式(V)によるNHC配位子を脱プロトン化するための好適な塩基は、de Fraemontらにより、Coordination Chemistry Reviews 253 (2009) 876-881に記載されている。プロトン化形態のNHC配位子の脱プロトン化は、アンモニア中で、又はTHF又はエーテルなどの非プロトン性溶媒中で行うことができる。脱プロトン化は、無水条件、及び14超のpKa値を有する強塩基の使用を必要とする。通常、水素化カリウム又は水素化ナトリウムが触媒量のtert-ブトキシドと共に用いられるが、tert-ブトキシド自体、水素化リチウムアルミニウム、n-ブチルリチウム、MeLi、t-BuLi、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)もまた効率的な代替物である。
【0065】
好適なプレ触媒は、元素の周期表の10、11及び12族の金属の、中性の金属錯体、酸化物及び塩から選択される。好ましいプレ触媒は、銅、銀及び金、特に銀の金属錯体、酸化物及び塩から選択される。
【0066】
プレ触媒として有用な銀化合物は、例えば、Ag(OAc)、AgF、AgNO3、トリフルオロ酢酸銀、Ag2O、Ag2CO3である。
【0067】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、遷移金属化合物(プレ触媒とも呼ばれる)が、AgOAc、AgF、Ag2O及びAg2CO3から選択されることを特徴とする。
【0068】
上記の遷移金属に加えて、遷移金属触媒TMC1は、式(III)の化合物及び式(IV)の化合物:
【0069】
【化13】
からなる配位子の群から選択される少なくとも1つの嵩高い配位子(好ましくは式(III)の化合物)を含む。
【0070】
上記の嵩高い配位子が、式(III):
【0071】
【化14】
の化合物である場合、可変要素は、好ましくは以下のとおりに定義される:
Dは、P、As又はSb、好ましくはP又はAs、特にPであり、
R
7は、1~40個の炭素原子、好ましくは2~40個の炭素原子を有し、好ましくは少なくとも1つの環式環を含む有機基であり、
より好ましくは、R
7は、C
3-C
40シクロアルキル基、C
2-C
40ヘテロシクロアルキル基、C
6-C
40アリール基、C
2-C
40複素芳香族基、C
3-C
40シクロアルコキシ基、C
2-C
40ヘテロシクロアルコキシ基、C
6-C
40アリールオキシ基、C
2-C
40ヘタリールオキシ基であり、
さらにより好ましくは、R
7は、C
3-C
40シクロアルキル基、C
2-C
40ヘテロシクロアルキル基、C
6-C
40アリール基又はC
2-C
40複素芳香族基、好ましくはC
6-C
40アリール基又はC
2-C
40複素芳香族基であり(ここでR
7は、Dに対する2つのオルト位の少なくとも1つにおいて、R
11基(この基は、1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくはC
6-C
40アリール基、C
1-C
10アルコキシ基又はC
2-C
12ジアルキルアミノ基である)で置換されているか、又は、隣接する基と一緒になってR
7をメタ位で置換しているR
11が、それらを結合している原子と一緒になって、4~40個の炭素原子を有し且つ元素Si、Ge、N、P、O及びS(好ましくはN、O及びS)からなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子も含み得る単環式又は多環式、置換又は非置換の脂肪族又は芳香族環系を形成する)、
R
8、R
9は、同一であるか又は異なり、好ましくは同一であり、それぞれ、1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくはC
3-C
20環式又は非環式アルキル、特にtert.-ブチル若しくはシクロヘキシル、又はC
6-C
14アリール、特にフェニルである。
【0072】
嵩高い配位子が式(IV)の化合物
【0073】
【化15】
である場合、可変要素は、好ましくは以下のとおりに定義される:
R
7は、1~40個の炭素原子、好ましくは2~40個の炭素原子を有し、好ましくは少なくとも1つの環式環を含む有機基であり、
より好ましくは、R
7は、C
6-C
40アリール基又はC
2-C
40複素芳香族基であり、好ましくは、R
7は、Nに対する2つのオルト位の少なくとも1つにおいて、R
11基(この基は、1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくはC
1-C
10アルキル基、特にイソプロピルである)で置換されており、
R
10は、1~40個の炭素原子を有する有機基であるか、又はR
7と同一であり、好ましくはR
10はR
7と同一であり、
Tは、-CR
12=CR
13-、-CR
12=N-、-CR
12R
14-CR
13R
15-及び-CR
12R
14-CR
13R
15-CR
16R
17-(好ましくは-CR
12=CR
13-及び-CR
12R
14-CR
13R
15-)から選択される二価の架橋基(ここで、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16及びR
17は、互いに独立して、水素、又はR
10として定義されるとおり(好ましくは水素)であるか、あるいは2つの隣接するR
12基とR
13基及び/又はR
15基とR
16基は、それらを結合している原子と一緒になって、4~40個の炭素原子を有し且つ元素Si、Ge、N、P、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子も含み得る単環式又は多環式、置換又は非置換の脂肪族又は芳香族環系を形成する)である。
【0074】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、嵩高い配位子が式(III)の化合物であることを特徴とする。
【0075】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、嵩高い配位子が、式(III):
【0076】
【化16】
(式中、可変要素は以下に定義されるとおりである:
DはPであり、
R
7は、C
6-C
40アリール基又はC
2-C
40複素芳香族基であり(ここで、R
7が、Dに対する2つのオルト位の少なくとも1つにおいて、R
11基(この基は、C
6-C
40アリール基、C
1-C
10アルコキシ基(特にメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ若しくはシクロヘキシルオキシ)、又はC
2-C
12ジアルキルアミノ基(特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N-モルホリニル若しくはN-ピペリジル)である)で置換されているか、又は、隣接する基と一緒になってR
7をメタ位で置換しているR
11が、それらを結合している原子と一緒になって、4~40個の炭素原子を有し且つ元素Si、Ge、N、P、O及びS(好ましくはN、O及びS)からなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子も含み得る単環式又は多環式、置換又は非置換の脂肪族又は芳香族環系を形成する)、
R
8、R
9は、同一であるか又は異なり、好ましくは同一であり、それぞれ、1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくはC
3-C
20環式又は非環式アルキル(特にtert.-ブチル、アダマンチル若しくはシクロヘキシル)、又はC
6-C
14アリール(特にフェニル)である)
の化合物であることを特徴とする。
【0077】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、嵩高い配位子が、式A~Pの化合物及びそれらの混合物(好ましくは式A~Dの化合物及びそれらの混合物)から選択されることを特徴とする。
【0078】
【0079】
遷移金属触媒TMC1の遷移金属に対する嵩高い配位子のモル比は、広範囲に変動し得る。好ましくは、遷移金属に対する嵩高い配位子のモル比は、2未満である。より好ましくは、遷移金属に対する嵩高い配位子の比は、0.2~1.8の範囲内、さらにより好ましくは0.3~1.5の範囲内、特に0.4~1.2の範囲内である。
【0080】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、遷移金属触媒TMC1の遷移金属に対する嵩高い配位子のモル比が、0.4~1.2の範囲内であることを特徴とする。
【0081】
本発明の方法において、式(II)の4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体の量に対する、方法ステップa)において使用される遷移金属触媒TMC1の量は、広範囲に変動し得る。通常、遷移金属触媒TMC1は、式(II)の4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体に対して準化学量論的量で使用される。典型的には、遷移金属触媒TMC1の量は、式(II)の4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体の量に対して、50 mol%以下、多くの場合20 mol%以下、特に10 mol%以下又は5 mol%以下である。式(II)の4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体の量に対して、0.001~50 mol%、多くの場合0.001 mol%~20 mol%、特に0.005~5 mol%の遷移金属触媒TMC1の量が、好ましくは本発明の方法において使用される。0.01~5 mol%の遷移金属触媒TMC1の量を使用するのが好ましい。示される遷移金属錯体触媒の全量が遷移金属として計算されるが、これは4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体の量に対する量である。
【0082】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、式(II)の4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体の量に対する、方法ステップa)において使用される遷移金属触媒TMC1の量が、0.005~5 mol%の範囲内であることを特徴とする。
【0083】
上記の反応は、基本的には、第一級プロパルギルアルコールとCO2との反応に好適な、当業者に公知の全ての方法に従って行うことができる。
【0084】
カルボキシル化-環化反応に使用されるCO2は、純粋形態で使用することもできるし、又は所望の場合、他のもの(好ましくは窒素若しくはアルゴンなどの不活性ガス)との混合物の形態で使用することもできる。CO2を無希釈形態で使用するのが好ましい。
【0085】
この反応は、典型的には、0.1~200バール(10~20000kPa)の範囲内、好ましくは1~50バール(100~5000kPa)の範囲内、より好ましくは1~40バー(100~4000kPa)ルの範囲内のCO2圧で行われる。
【0086】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、方法ステップa)が、1~50バール(100~5000kPa)の範囲内、より好ましくは1~40バール(100~4000kPa)の範囲内の圧力で行われることを特徴とする。
【0087】
上記の反応は、基本的には、連続的に、半連続的に又は不連続的に行うことができる。好ましいのは連続プロセスである。
【0088】
この反応は、基本的には、このタイプの反応についての当業者に公知の全ての反応器中で行うことが可能であり、従って、当業者は反応に応じて反応器を選択するであろう。好適な反応器は、関連の先行技術文献、例えば、US 6639114 B2、第16段、第45-49行において言及されているような、適切な研究書及び参照研究に記載及び概説されている。好ましくは、上記の反応のため、内部スターラー及び内部ライニング(例えばテフロン(登録商標)ライニング)を有し得るオートクレーブが用いられる。
【0089】
本発明のカルボキシル化-環化反応において得られる組成物は、少なくとも1つの4-(2-オキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オン単位を含む式(I)の化合物を含む。
【0090】
本発明の方法の方法ステップa)は、幅広い温度範囲で行うことができる。好ましくは、方法ステップa)は、0℃~150℃の範囲内、特に好ましくは10℃~80℃の範囲内の温度で行われる。驚くべきことに、100℃未満の温度が特に有利であることが見出された。
【0091】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、方法ステップa)が、0℃~100℃の範囲内、好ましくは10℃~80℃の範囲内の温度で行われることを特徴とする。
【0092】
本発明の方法は、溶媒の存在下で行うことができる。好適な溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミド、尿素、ニトリル、スルホキシド、スルホン、エステル、カーボネート、エーテル、アルコール及びそれらの混合物から選択される。好ましい溶媒は、以下のとおりである:
- 脂肪族炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン又はシクロヘキサン);
- 芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン又はベンゾトリフルオリド);
- ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)、
- アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン又はジメチルアセトアミド);
- 尿素(例えば、テトラメチル尿素、N,N-ジメチルイミダゾリノン(DMI)及びN,N-ジメチルプロピレン尿素(DMPU));
- ニトリル(例えば、アセトニトリル又はプロピオニトリル);
- スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド);
- スルホン(例えば、スルホラン);
- エステル(例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、t-ブチルアセテート);
- カーボネート(例えば、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート);及び
- エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテル)。
【0093】
所望の場合、2種以上の前述の溶媒の混合物も使用することができる。
【0094】
ジクロロメタン、アセトン、ジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを溶媒として使用するのが好ましい。
【0095】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、反応が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミド、尿素、ニトリル、スルホキシド、スルホン、エステル、カーボネート、エーテル、アルコール及びそれらの混合物から選択される溶媒(好ましくは、ジクロロメタン、アセトン、ジメチルホルムアミド又はアセトニトリルから選択される溶媒)の存在下で行われることを特徴とする。
【0096】
あるいは、本発明の方法は、上記の有機溶媒のいずれかの不存在下(いわゆるニート条件)で、好ましくは液体又は超臨界二酸化炭素の存在下で、特に超臨界二酸化炭素の存在下で行うことができる。
【0097】
あるいは、本発明の方法は、液体又は超臨界二酸化炭素の存在下で、特に上記の有機溶媒の1種と混合した超臨界二酸化炭素(いわゆるCO2膨張溶媒(CO2-expanded solvent))の存在下で行うことができる。
【0098】
本発明のカルボキシル化-環化において得られた組成物は、少なくとも1つの4-(2-オキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オン単位を含む化合物である式(I)の化合物を含む。
【0099】
本発明の方法の反応混合物の後処理及び式(I)の化合物の単離は、慣用の方法で、例えば、濾過、水性抽出後処理により、又は(例えば減圧下での)蒸留によって行われる。式(I)の化合物は、このような手段又はそれらの組み合わせを利用することにより十分な純度で得ることが可能であり、さらなる精製ステップを不要とする。あるいは、さらなる精製は、クロマトグラフィーなどの当技術分野において一般的に用いられる方法により達成することができる。
【0100】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、式(I)の化合物が、方法ステップa)の後で、蒸留、抽出、沈殿又はクロマトグラフィーを介して遷移金属触媒TMC1から分離されることを特徴とする。
【0101】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、式(I)の化合物が蒸留、抽出、沈殿又はクロマトグラフィーを介して除去された後で、遷移金属触媒TMC1が反応ステップa)に再利用されることを特徴とする。
【0102】
あるいは、本発明の式(I)の化合物は、4-(2-ヒドロキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オン(VIa):
【0103】
【化18】
を、式(VIa)のアルコールのヒドロキシ基と反応することができる1つ以上の官能基を含む適切なリンカーと反応させて式(I)の化合物を得ることによって調製することができる。
【0104】
式(VIa)のアルコールである4-(2-ヒドロキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オンは、上記に詳細に記載されているか、又はEP出願第17186136.2号に記載されているとおり、少なくとも1種の遷移金属触媒TMC1の存在下における1,4-ブチンジオールの二酸化炭素との反応によって直接入手することができる。ヒドロキシ基OHがエーテル-ヒドロキシ基-O-J-OHで置換されている式(VIa)のアルコールの誘導体は、続いて説明するとおり、容易に入手することが可能である。
【0105】
本発明のさらなる態様は、上記の式(I)の化合物:
【0106】
【化19】
を調製するための方法であって、以下の方法ステップ:
b) 式(VI):
【0107】
【0108】
【化21】
(式中、R
1、R
2、R
3、A、X、n及びmは、式Iにおける意味と同じ意味を有する)
の化合物と反応させるステップ
を含み、ここで
Jは、1~100個の炭素原子(好ましくは1~40個の炭素原子)を有する二価の有機基であり、
Qは、-O-Q(-H)-A単位の形成下で付加反応において式(VI)のアルコールのヒドロキシ基と反応することができる官能基であるか、又は、Qは、H-Qの形成下で式(VI)のアルコールのヒドロキシ基の酸素により置換される脱離基であり、
oは、0又は1である、
上記方法である。
【0109】
Jは、1~100個の炭素原子(好ましくは1~40個の炭素原子)を有する二価の有機基である。好ましくは、Jは、C1-C40-アルカン、C1-C40-アルケン、飽和C3-C20-複素環、芳香族C6-C40-炭化水素、C2-C40-ヘテロアレーン、C7-C40-アリールアルカン及びC8-C40-アリールアルケンからなる群から選択される有機化合物(上記群の各員において、1個以上の水素原子は、ハロゲン、OH、-NR6
2又は-CNで置換されていてもよく、1つ以上のCH2基は、-O-、-S-、-N(R6)-、PO2-、-SO2-、-C(=O)-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-N(R5)で置換されていてもよく、ここでR5は、水素、C1-C4アルキル又はフェニル(好ましくは水素)であり、R6は、水素、C1-C4アルキル又はフェニルである)から誘導される二価の有機基である。より好ましくは、Jは、1つ以上のCH2基が-O-で置換されていてもよいC1-C40-アルカンからなる群から選択される有機化合物から誘導される二価の有機基である。
【0110】
Jの、好ましい、しかし非限定的な例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH2-C(MeH)-、-(CH2)4-、-(CH2)6-、-CH2-C6H6-CH2-、-(CH2-O)1-20-CH2-、-(CH2-CH2-O)1-20-CH2-CH2-、-(CH2-C(MeH)-O)1-20-CH2-C(MeH)-又は-((CH2)4-O-)1-20-(CH2)4-、特に-CH2-CH2-、-CH2-C(MeH)-、-(CH2)4-、-(CH2-CH2-O)1-3-CH2-CH2-、-(CH2-C(MeH)-O)1-3-CH2-C(MeH)-又は-((CH2)4-O-)1-3-(CH2)4-である。指数範囲1-3は、指数1、2又は3を表し、指数範囲1-20は、指数1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20を表す。
【0111】
フラグメントHO-CH2-又はHO-CH(Me)-の第一級又は第二級ヒドロキシ基と反応することができる好適な官能基Q、及び対応する式(VII)のリンカーは、当業者に公知である。
【0112】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、
Qが、-N=C=O(又は誘導体)、2-オキシラニル、-C=N-、C=C=O、ハロゲン化物イオン(halide)(好ましくはCl、Br又はI)、及び有機スルホネート(好ましくは、トシラート、メシラート、トリフラート又はノナフラート)、並びにOH、RaC(=O)O、RaO及びイミダゾール(ここでRaは、C1-C4アルキル又は置換若しくは非置換フェニルである)からなる官能基の群から選択され、好ましくは-N=C=O、Cl、Br及びイミダゾールからなる官能基の群から選択される
ことを特徴とする。
【0113】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、式(VII)の化合物が、
【0114】
【化22】
からなる化合物の群から選択されることを特徴とする。
【0115】
本発明のさらなる態様は、式(II):
【0116】
【化23】
(式中、R
1、R
2、R
3、Z、A、X、n及びmは、上記の式Iにおける意味と同じ意味を有する)
の化合物である。
【0117】
式(II)の化合物は、1,4-ブチンジオールを適切なリンカー(好ましくは上記の式(VII)の化合物)と反応させることによって入手可能である。好ましくは、1,4-ブチンジオールを一官能化して式(II)の化合物を得る。
【0118】
式(VII)の化合物は、式(II)の化合物を得るために、1,4-ブチンジオールの2つのヒドロキシ基の1つと反応することができる1つ以上の官能基Qを含む。このような官能基の例は、重合可能な、オレフィン官能基、ホスゲン若しくは誘導体、CDI、カーボネート、クロロホルメート(chloroformiate)、カルボン酸官能基及びその誘導体(例えばエステル、無水物官能基)、ケトン若しくは酸塩化物官能基、さらにアルコール官能基、保護されたアミン官能基(例えばイミン)、イソシアネート官能基(又は誘導体)、アルキルカーボネート官能基、ウレトジオン官能基、アルキン官能基、ビニルエーテル官能基、エポキシ官能基、ジイミド官能基、環状カーボネート官能基、ビニレン-1,3ジカルボニル官能基若しくは別の環状エキソビニレンカーボネート官能基、又はアルデヒドである。別のエキソビニレンカーボネート単位の場合、この基を、上記の触媒系を用いることによって組み込むことも好ましく、従って、ジ-エキソビニレンカーボネートを得るための基材として、2つの4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体官能基を有する基材を使用しなければならない。
【0119】
式(VII)の化合物の非限定的な例は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、アジピン酸塩化物、芳香族酸塩化物(例えば、テレフタロイルクロリド)、ジエチル(メチル)カーボネート、ジフェニルカーボネート、アルキン、一官能性及び二官能性マイケル受容体(例えば、BDO-ビス-(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリルアミド、(ビス)マレイド、ジビニルエーテル、シアノアクリレート、メチレンマロネート、ホスゲン、メタクリル酸無水物、2-(メタクリルオキシ)エチルイソシアネート、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、ビス(2-クロロエチレン)エーテル、ビス(2-クロロエチル)アミン、1,4-ビス-クロロメチルベンゼン、1,4-ビス-ブロモ-モメチルベンゼン、1,2-ビス-クロロメチルベンゼン、1,2-ビス-ブロモ-モメチルベンゼン、1,3-ビス-クロロメチルベンゼン、1,3-ビス-ブロモ-メチルベンゼン又は1,1-カルボニルジイミダゾール(1,1-Carbonyldidimidazol))である。さらに、シリケート(例えば、トランスエステル化を介した)、スルフェート(例えば、トランスエステル化又はジビニルスルフェートへの付加を介した)、スルホネート、ホスフェート及びホスホネートなどの無機化合物が、リンカーとして使用されるであろう。
【0120】
本発明の一実施形態において、本発明の式(II)の化合物は、式(II)の化合物が、以下:
【0121】
【化24】
からなる群から選択されることを特徴とする。
【0122】
本発明のさらなる態様は、上記の式(II)の化合物を調製するための方法であって、以下の方法ステップ:
c) ジオールである式(VIII):
【0123】
【化25】
の1,4-ブチンジオールを、式(VII):
【0124】
【化26】
(式中、R
1、R
2、R
3、A、X、n及びmは、式Iにおける意味と同じ意味を有する)
の化合物と反応させるステップ
を含み、ここで
Qは、-O-Q(-H)-A単位の形成下で付加反応において式(VI)のアルコールのヒドロキシ基と反応することができる官能基であるか、又はQは、H-Qの形成下で式(VI)のアルコールのヒドロキシ基の酸素により置換される脱離基である、
上記方法である。
【0125】
フラグメントHO-CH2-の第一級ヒドロキシ基と反応することができる好適な官能基Q及び対応する式(VII)のリンカーは当業者に公知であり、上述されている。
【0126】
本発明のさらなる態様は、式(I)の化合物の調製のための、好ましくは、任意の官能基の保護を伴わないか又は当業者に周知の官能基についての任意の保護化学の使用を伴わない式(I)の化合物の調製のための、1,4-ブタ-2-イン-ジオールの使用である。
【0127】
あるいは、mが1又は2(好ましくは1)である式(II)の化合物は、mが0である新たな式(II)の化合物を形成することによる、式(Ib):
【0128】
【化27】
(式中、R
1、R
2、R
3及びXは、上記の式Iにおける意味と同じ意味を有する)
の官能基のC=C二重結合の反応により、重合、オリゴマー化又はダイマー化することができる。式(Ib)の官能基のC=C二重結合の好適な反応の例は、ラジカル重合反応若しくはラジカルオリゴマー化反応、ディールス・アルダー(Diels-Alder)反応又はチオール-エン反応である。
【0129】
式(II)の化合物は、式(II)の化合物の式(IIa):
【0130】
【化28】
(式中、Z及び#は上記のとおりに定義される)
の官能基のHO-CH
2-基が、対応する式(IIb):
【0131】
【化29】
の官能基から最終ステップにおいて調製される、マルチステップ合成において調製することもできる。
【0132】
以下のスキームは、この合成戦略の1つの可能な例を示す。
【0133】
【0134】
本発明の式(I)の化合物は、序文において記載されている、関連の、高級置換されたより複雑なエキソビニレンカーボネートと同様の方法で使用することができる。
【0135】
従って、本発明のさらなる態様は、重合反応における又はオリゴマー化反応における(特にダイマー化反応における)、中間体若しくは架橋剤として又はモノマーとしての(特に、ポリ(ケトウレタン)、ポリ(ケトカーボネート)、ポリ(ケトチオカーボネート)、ポリ(ケトエーテル)、又は、ケトウレタン、ケトカーボネート、ケトチオカーボネート、ケトエーテル、多価不飽和ウレタン及び多価不飽和カーボネートからなる群から選択される官能基の混合物を含むポリマーの形成のためのモノマーとしての)、上記の式(I)の化合物の使用である。
【0136】
本発明の一実施形態において、上記の本発明の式(I)の化合物の使用は、重合反応におけるモノマーとして、特に、ポリ(ケトウレタン)、ポリ(ケトカーボネート)、ポリ(ケトチオカーボネート)、ポリ(ケトエーテル)、又は、ケトウレタン、ケトカーボネート、ケトチオカーボネート、ケトエーテル、多価不飽和ウレタン及び多価不飽和カーボネートからなる官能基の混合物を含むポリマーの形成のためのモノマーとして、nが2、3、4、5又は6、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2又は3、特に2であり、且つmが0であることを特徴とする。
【0137】
本発明のさらなる態様は、接着剤組成物又はシーリング組成物における、コーティング材用の組成物(例えばラミネート加工(laminating process)における、ラッカー、塗料、インク、建材、エラストマー、発泡体)における、又は繊維若しくは粒子又はエンジニアリングプラスチックの結合用の組成物における反応性成分としての、上記の式(I)の化合物の使用である。
【0138】
本発明の式(I)の化合物は、例えば、WO 2006/010408、WO 2016/2026652 A1、WO 2017/207461 A1、WO 2018054713 A1又はWO 2018054609 A1中に記載されている、2成分結合剤系(2パック接着剤とも呼ばれる)における第2成分としての多官能性硬化剤と共に使用することができる。あるいは、本発明の式(I)の化合物は、例えばWO 2008110394中に記載されている1成分結合剤系(1パック接着剤とも呼ばれる)において使用することができる。
【0139】
本発明のさらなる態様は、第1成分として、少なくとも1種の上記の式(I)の化合物(好ましくは、式(I)におけるnは2、3、4、5又は6、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2又は3、特に2であり、且つmは0である)と、第2成分として、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシ基、ホスフィン基、ホスホネート基、カルボキシ基及びメルカプタン基からなる群から選択される少なくとも2つの官能基を含む少なくとも1種の多官能性硬化剤とを含む2成分組成物である。好ましくは、硬化剤の官能基は、脂肪族ヒドロキシル基、脂肪族第一級アミノ基、脂肪族第二級アミノ基、脂肪族ホスフィン基、脂肪族ホスホネート基及び脂肪族メルカプタン基から選択され、より好ましくは、脂肪族ヒドロキシル基、脂肪族第一級アミノ基及び脂肪族第二級アミノ基、並びに、水との反応後にアミノ基を遊離する各保護された官能基(例えばイミン)から選択される。
【0140】
本発明の2成分組成物は、以下、2パック接着剤組成物又は2パック結合剤組成物とも呼ぶ。
【0141】
本発明の2成分組成物(2パック結合剤組成物)は、多官能性硬化剤の反応性官能基の性質により公知の方法で導かれる硬化のための、1種以上の好適な触媒も含み得る。2パック接着剤は、好ましくは有機溶媒中の溶液の形態又は無溶媒の形態のいずれかで利用される。「無溶媒」とは、5重量%未満、より好ましくは2重量%未満若しくはゼロの有機溶媒又は水が存在することを意味する。
【0142】
2パック接着剤(以下、2パック結合剤組成物とも呼ばれる)は、互いに反応して結合を形成し、そうすることによって高分子ネットワークを形成する少なくとも2つの多官能性結合剤構成成分を含む結合剤を意味すると理解される。本発明のポリマーは、その中に存在するアルキリデン-1,3-ジオキソラン-2-オン基により、多数の求核性基と反応して結合を形成することができる。このような求核性基の例は、特に、脂肪族ヒドロキシル基、脂肪族第一級及び第二級アミノ基、ホスフィン基(特に脂肪族ホスフィン基)、ホスホネート基(特に脂肪族ホスホネート基及び類似のリン化合物)、カルボキシレート基、さらにまたメルカプタン基(特に脂肪族メルカプタン基)である。
【0143】
従って、2パック結合剤組成物は、本発明の少なくとも1種の式(I)の化合物だけでなく、好ましくはさらに、少なくとも2つの官能基F(例えば、脂肪族ヒドロキシル基、脂肪族第一級又は第二級アミノ基、脂肪族ホスフィン基、脂肪族ホスホネート基、カルボキシレート基及び類似の基、並びに脂肪族メルカプタン基から選択される2、3、4、5、6、7、8、9つ又は10の官能基F)を有する少なくとも1種の化合物も含む。これらの化合物は、以下、硬化剤とも呼ばれる。好ましい官能基Fは、脂肪族ヒドロキシル基及び脂肪族第一級及び第二級アミノ基である。好ましくは、硬化剤の量は、硬化剤中の官能基Fに対する式Iの官能性アルキリデン-1,3-ジオキソラン-2-オン基のモル比が、1:10~10:1の範囲内、特に5:1~1:5の範囲内、とりわけ1:2~2:1の範囲内であるように選択される。本発明の式(I)の化合物は、式(I)の化合物と同様に反応する公知の環状エキソビニルカーボネートと混合し得るか、又はビニル官能基を含まない他の環状カーボネートと混合することもできる。
【0144】
上記の硬化剤は、低分子量物質(その分子量が500g/mol未満であることを意味する)であってもよく、又は、500g/mol超の数平均分子量を有するオリゴマー性物質若しくはポリマー性物質であってもよい。
【0145】
本発明による好ましい硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤(すなわち、少なくとも2つの第一級又は第二級アミノ基を有する硬化剤)、及びアルコール系硬化剤(すなわち、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物)などが挙げられる。
【0146】
アミン系硬化剤(以下、アミン硬化剤とも呼ばれる)としては、例えば、脂肪族及び脂環式ポリアミン、芳香族及び芳香脂肪族ポリアミン並びに高分子アミン(例えば、アミノ樹脂、PEI又はポリリジン(PEIor polylysine)及びポリアミドアミン)などが挙げられる。アミン硬化剤は、1,3-ジオキソラン-2-オン基を有するポリマー(以下、カーボネートポリマーとも呼ばれる)を、ポリアミンの第一級又は第二級アミノ官能基と上記カーボネートポリマーの1,3-ジオキソラン-2-オン基との反応によって架橋し、ウレタン官能基を形成する。好ましいポリアミン硬化剤は、1分子当たり平均で少なくとも2つの第一級又は第二級アミノ基(例えば、1分子当たり2、3又は4つの第一級又は第二級アミノ基)を有する。これらは、さらに1つ以上の第三級アミノ基も含み得る。好適なポリアミンは、例えば、以下のとおりである:
- 脂肪族ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、1,2-及び1,3-プロパンジアミン、ネオペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、2,2-ジメチルプロピレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロパン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)プロパン、4-エチル-4-メチルアミノ-1-オクチルアミンなど);
- 脂環式ジアミン(例えば、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,2-、1,3-、1,4-ビス(アミノ-メチル)シクロヘキサン、1-メチル-2,4-ジアミノシクロヘキサン、N-シクロヘキシルプロピレン-1,3-ジアミン、4-(2-アミノプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-アミン、イソホロンジアミン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(Dicykan)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3',5,5'-テトラメチル-4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,8-ジアミノトリシクロ[5.2.1.0]デカン、ノルボルナンジアミン、メンタンジアミン、メンテンジアミンなど);
- 芳香族ジアミン(例えば、トリエンジアミン、キシリレンジアミン、特にメタ-キシリレンジアミン(MXDA)、ビス(4-アミノフェニル)メタン(MDA又はメチレンジアニリン)、ビス(4-アミノフェニル)スルホン(DADS、DDS又はダプソンとしても公知)など);
- 環状ポリアミン(例えば、ピペラジン、N-アミノエチルピペラジンなど);
- ポリエーテルアミン、特に、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレンオキシド、ポリ(1,4-ブタンジオール)、ポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)又はポリペンチレンオキシドをベースとする二官能性及び三官能性第一級ポリエーテルアミン、例えば、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,3-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン(Huntsman製XTJ-504)、1,10-ジアミノ-4,7-ジオキサデカン(Huntsman製XTJ-590)、1,12-ジアミノ-4,9-ジオキサドデカン(BASF SE製)、1,3-ジアミノ-4,7,10-トリオキサトリデカン(BASF SE製)、平均モル質量230を有する、ポリプロピレングリコールをベースとする第一級ポリエーテルアミン(例えばポリエーテルアミンD 230(BASF SE製)又はJeffamine(登録商標) D 230(Huntsman製))、平均モル質量400を有する、ポリプロピレングリコールをベースとする二官能性の第一級ポリエーテルアミン(例えば、ポリエーテルアミンD 400(BASF SE製)又はJeffamine(登録商標)XTJ 582(Huntsman製))、平均モル質量2000を有する、ポリプロピレングリコールをベースとする二官能性の第一級ポリエーテルアミン(例えば、ポリエーテルアミンD 2000(BASF SE製)、Jeffamine(登録商標)D2000又はJeffamine(登録商標)XTJ 578(それぞれ Huntsman製))、平均モル質量4000を有する、プロピレンオキシドをベースとする二官能性の第一級ポリエーテルアミン(例えば、ポリエーテルアミンD 4000(BASF SE製))、プロピレンオキシドをトリメチロールプロパンと反応させてその後末端OH基をアミノ化することによって調製される、平均モル質量403を有する三官能性の第一級ポリエーテルアミン(例えば、ポリエーテルアミンT 403(BASF SE製)又はJeffamine(登録商標)T 403(Huntsman製))、プロピレンオキシドをグリセロールと反応させてその後末端OH基をアミノ化することによって調製される、平均モル質量5000を有する三官能性の第一級ポリエーテルアミン(例えば、ポリエーテルアミンT 5000(BASF SE製)又はJeffamine(登録商標)T 5000(Huntsman製))、プロピレンオキシド-グラフト化ポリエチレングリコールから形成され、平均モル質量600を有する脂肪族ポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)ED-600又はJeffamine(登録商標)XTJ 501(それぞれHuntsman製))、プロピレンオキシド-グラフト化ポリエチレングリコールから形成され、平均モル質量900を有する脂肪族ポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)ED-900(Huntsman製))、プロピレンオキシド-グラフト化ポリエチレングリコールから形成され、平均モル質量2000を有する脂肪族ポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)ED-2003(Huntsman製))、プロピレンオキシド-グラフト化ジエチレングリコールのアミノ化により調製され、平均モル質量220を有する二官能性の第一級ポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)HK-511(Huntsman製))、平均モル質量1000を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとのコポリマーをベースとする脂肪族ポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)XTJ-542(Huntsman製))、平均モル質量1900を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとのコポリマーをベースとする脂肪族ポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)XTJ-548(Huntsman製))、平均モル質量1400を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとのコポリマーをベースとする脂肪族ポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)XTJ-559(Huntsman製))、平均モル質量400を有する、ブチレンオキシド-グラフト化(少なくとも三価)アルコールをベースとするポリエーテルトリアミン(例えば、Jeffamine(登録商標) XTJ-566(Huntsman製))、ブチレンオキシド-グラフト化アルコールのアミノ化により調製され、平均モル質量219を有する脂肪族ポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)XTJ-568(Huntsman製))、平均モル質量600を有する、ペンタエリスリトールとプロピレンオキシドをベースとするポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)XTJ-616(Huntsman製))、平均モル質量148を有する、トリエチレングリコールをベースとするポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)EDR-148(Huntsman製))、プロピレンオキシド-グラフト化エチレングリコールのアミノ化により調製される、平均モル質量176を有する二官能性の第一級ポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)EDR-176(Huntsman製))、さらにまた、ポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)のアミノ化により調製される、平均モル質量250を有するポリエーテルアミン、例えば、PolyTHF-amine 350(BASF SE)、及びこれらのアミンの混合物;
- 二量体脂肪酸(例えば二量体リノール酸)と、低分子量のポリアミン(例えばジエチレントリアミン、1-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロパン若しくはトリエチレンテトラミン)、又は他のジアミン(例えば、上述の脂肪族若しくは脂環式ジアミン)との反応によって得られる、ポリアミドアミン(アミドポリアミン);
- アミン(特にジアミン)と、エポキシ樹脂の欠陥(deficiency of epoxy resin)との反応によって得られる付加物(エポキシ基の約5%~20%がアミン(特にジアミン)と反応している付加物を用いることが好ましい);
- エポキシド化学から公知のフェナルカミン(phenalkamines);
- 例えば、アルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)を有するポリアミン(好ましくは ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)と、少なくとも1つのアルデヒド-反応性コア部位を有する一価又は多価フェノール(例えば、種々のクレゾール及びキシレノール、p-tert-ブチルフェノール、レソルシノール)、4,4'-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニル-2,2-プロパン(しかし好ましくはフェノール)との縮合により調製されるマンニッヒ塩基、
並びに上述のアミン硬化剤の混合物、特に、脂肪族アミン、脂環式アミン及び芳香族アミンの群に属する二官能性アミンと上述のポリエーテルアミンとの混合物。
【0147】
好ましいアミン系硬化剤は、脂肪族ポリアミン(特に2,2-ジメチルプロピレンジアミン、芳香族ジアミン(特にm-キシリレンジアミン(MXDA))及び脂環式ジアミン(特にイソホロンジアミン、N-シクロヘキシルプロピレン-1,3-ジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン及び4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(Dicykan))である。また、ポリプロピレングリコールをベースとする二官能性又は三官能性第一級ポリエーテルアミン、例えば、Jeffamine(登録商標)D 230又はJeffamine(登録商標)T 403も好ましい。特に好ましいのは、アミノ基の周囲の可動性が高く且つ立体障害が低いポリアミン、例えば、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、PolyTHF Amine 350(BASF SE)である。
【0148】
また、好ましいと特定されたアミンの混合物、例えば、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミンとイソホロンアミンとを含む混合物も好ましい。
【0149】
本発明の組成物は、水分により活性化され得る少なくとも1種の潜在性硬化剤を有する1成分混合物として使用することも可能であり、前記硬化剤は、オキサゾリジン、アルジミン、ケトイミン及びエナミンからなる群から選択される。
【0150】
アルコール系硬化剤としては、特に低分子量及び高分子量の脂肪族及び脂環式アルコールなどが挙げられる。アルコール系硬化剤は、第一級又は第二級アルコール官能基をカーボネートポリマーの1,3-ジオキソラン-2-オン基と反応させて炭酸のジエステルを形成することによってカーボネートポリマーを架橋する。好ましいアルコール系硬化剤は、1分子当たり平均で少なくとも2つの第一級又は第二級ヒドロキシル基(例えば、1分子当たり2、3又は4つの第一級又は第二級ヒドロキシル基)を有する。好適な低分子量のアルコール系硬化剤は、例えば、ブタン-1,4-ジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロパン-1,3-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、グリセロール、ジグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、イソソルビド、糖アルコール(例えば、ソルビトール及びマンニトール)である。
【0151】
好適なアルコール系硬化剤はまた、高分子量ポリマーポリオール(例えばポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリレートポリオール及びポリビニルアルコール)でもある。好適なポリマーポリオール硬化剤は、好ましくは、少なくとも1.5モル、特に少なくとも1.8モル、例えば1.5~10モルの範囲内、特に1.8~4モルの範囲内の平均OH官能性を有する。「平均OH官能性」は、1ポリマー鎖当たりのOH基の平均数を意味すると理解される。典型的なポリマーポリオール成分は、好ましくは約250~50 000g/mol、好ましくは約500~10 000g/molの数平均分子量を有する。好ましくは、ポリマーポリオール成分中に存在するヒドロキシル基の少なくとも50 mol%は、第一級ヒドロキシル基である。
【0152】
好ましくは、ポリエステルポリオールは、ポリマー骨格中にエステル基を有し、且つポリマー鎖の末端に遊離ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐鎖のポリマー化合物である。好ましくは、これらは、任意選択的に高級多価アルコール(例えば、三価、四価、五価又は六価アルコール)及び/又は高級多塩基ポリカルボン酸の存在下における、二価アルコールと二塩基性カルボン酸との重縮合によって得られるポリエステルである。ポリエステルポリオールの調製のため、遊離のジ-又はポリカルボン酸ではなく、低級アルコールの対応するジ-若しくはポリカルボン酸無水物又は対応するジ-若しくはポリカルボン酸エステル、あるいはそれらの混合物を使用することも可能である。上記のジ-又はポリカルボン酸は、好ましくは2~50個、特に4~20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族又は複素環式のジ-又はポリカルボン酸であってよく、例えばハロゲン原子で任意選択的に置換されていてもよく、及び/又は不飽和であってもよい。これらの例としては、以下:スベリン酸、アザライン酸、フタル酸、イソフタル酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、アルケニルコハク酸、フマル酸及び二量体脂肪酸などが挙げられる。ポリエステルポリオールの調製のための有用なジオールとしては、特に、好ましくは2~40個、特に2~20個の炭素原子を有する脂肪族及び脂環式ジオール、例えば、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブテン-1,4-ジオール、ブチン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(例えば、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン)、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、さらにまた、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコールなどが挙げられる。好ましいのは、一般式HO-(CH2)x-OHのアルコール(ここでxは2~20の数、好ましくは2~12の偶数)である。その例は、エチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール及びドデカン-1,12-ジオールである。さらに好ましいのは、ネオペンチルグリコール及びペンタン-1,5-ジオールである。
【0153】
好適なアルコール系硬化剤はまた、ラクトンベースのポリエステルポリオール(これらは、ラクトンのホモポリマー又はコポリマー、好ましくは、好適な二官能性出発分子上への、末端にヒドロキシルを含むラクトンの付加生成物である)でもある。有用なラクトンは、好ましくは、一般式HO-(CH2)z-COOHの化合物(ここでzは1~20の数であり、1つのメチレン単位の1個の水素原子は、C1-C4-アルキル基で置換されていてもよい)から誘導されるラクトンである。例は、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン及び/又はメチル-ε-カプロラクトン並びにそれらの混合物である。好適な出発分子は、例えば、ポリエステルポリオールの形成成分としての、上記の低分子量二価アルコールである。ε-カプロラクトンの対応するポリマーが特に好ましい。ラクトンポリマーの調製のための開始剤として、低級ポリエステルジオール又はポリエーテルジオールを使用することも可能である。ラクトンのポリマーではなく、ラクトンに対応するヒドロキシカルボン酸の対応する化学的に等価な重縮合体を使用することも可能である。
【0154】
好適なポリエステルポリオールの例は、例えば、Ullmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie, 第4版、第19巻、62-65頁から公知のポリエステルポリオールである。
【0155】
さらに、ポリカーボネートポリオールもまた、例えば、ホスゲンと、ポリエステルポリオールの形成成分として言及される過剰の低分子量アルコールとの反応によって得ることができるため有用である。
【0156】
上記のポリエーテルポリオールは、特に、例えばBF3の存在下における、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンとそれら自体との重合により、あるいは、これらの化合物の、反応性水素原子を有する二官能性又は多官能性開始剤成分(ポリオール又は多官能性アミンなど、例えば、水、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ソルビトール、エタノールアミン又はエチレンジアミン)上への、任意選択的な混合物中での添加又は連続した添加によって調製可能なポリエーテルポリオールである。同様に有用なのは、スクロースポリエーテル(DE 1176358及びDE 1064938を参照)、及びホルミトール-又はホルモース-開始ポリエーテル(DE 2639083及びDE 2737951を参照)である。
【0157】
同様に好適なのは、ポリヒドロキシオレフィンであり、好ましくは、2つの末端ヒドロキシル基を有するポリヒドロキシオレフィン(例えば、α,ω-ジヒドロキシポリブタジエン)である。
【0158】
同様に好適なのは、ポリヒドロキシポリアクリレートであり、ここでヒドロキシル基は、側方に配置されていてもよく、又は末端に配置されていてもよい。その例は、OH基を含む調整剤(例えばメルカプトエタノール又はメルカプトプロパノール)の存在下におけるアクリル酸及び/又はメタクリル酸のアルキルエステルのホモポリマー化又はコポリマー化、及びその後の低分子量ポリオール(例えば、ブタンジオールのようなアルキレングリコール)とのトランスエステル化によって得られるα,ω-ジヒドロキシポリ(メタ)アクリルエステルである。このようなポリマーは、例えば、EP-A 622 378から公知である。それらの例はさらに、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のアルキルエステルと、エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート又はヒドロキシブチルメタクリレート)とのコポリマー化によって得られるポリマーである。
【0159】
さらにまた、好ましくはポリビニルエステルの完全な又は部分的な加水分解によって得ることができるポリビニルアルコール(特にポリビニルアセテート)も好適である。ポリビニルエステル(好ましくはポリビニルアセテート)が部分的に加水分解された形態である場合、好ましくはエステル基の50%~95%以下がヒドロキシル基として加水分解された形態である。ポリビニルエステル(好ましくはポリビニルアセテート)が完全に加水分解された形態である場合、一般的には、エステル基の95%超~100%が、ヒドロキシル基として加水分解された形態である。
【0160】
高分子量ポリマーポリオールの中でも好ましいアルコール系硬化剤は、特にポリアクリレートポリオールであり、これらは、例えば、BASF SEから、Joncryl(登録商標)ブランド名(例えば、Joncryl(登録商標)945)の下で得ることができる。
【0161】
アミノ酸(例えばリジン、アルギニン、グルタミン及びアスパラギン)、並びにそれらの立体異性体及びそれらの混合物もまた、好適な硬化剤である。
【0162】
異なる硬化剤の混合物、例えば、1種以上のアミン系硬化剤と1種以上のアルコール系硬化剤との混合物、1種以上のアミン系硬化剤と1種以上のアミノ酸との混合物、又は1種以上のアルコール系硬化剤と1種以上のアミノ酸との混合物を使用することも可能であることが理解されるであろう。
【0163】
本発明の結合剤組成物において、硬化剤の総量は、好ましくは、使用されるカーボネートポリマーと硬化剤の総量に対して、0.1重量%~50重量%、多くの場合0.5重量%~40重量%、特に1重量%~30重量%である。
【0164】
上記の結合剤組成物は、本発明のポリマーと硬化剤との混合物を、混合温度を上回る温度に加熱することにより、熱的に硬化することができる。硬化は、比較的低い温度で行うこともできる。典型的には、本発明の結合剤組成物は、0~200℃の範囲内、好ましくは5~180℃の範囲内、特に10~150℃の範囲内の温度で硬化する。好適な温度は、各硬化剤、及び所望の硬化率によって決定され、個々のケースにおいて、当業者が、例えば、簡単な予備試験によって決定することができる。上記の比較的低い温度範囲内(5℃~約35℃)(当然のことながら、通常は一般的な周囲温度に対応する)では、当然のことながら、本発明のポリマーと硬化剤とを混合するのは十分である。あるいは、上記の硬化は、好ましくはマイクロ波誘導される。
【0165】
2パック結合剤組成物は、反応性官能基Fの性質によって公知の方法で導かれる硬化のための1種以上の好適な触媒も含み得る。上記の触媒は、所望の場合、式Iの官能性アルキリデン-1,3-ジオキソラン-2-オン基を有する本発明のポリマー及び硬化剤の総重量に対して0.01重量%~約10重量%の割合で使用される。一構成において、特に官能基としてアミノ基を有する硬化剤の場合、触媒は必要とされず、これは、この場合の組成物中の触媒の含有量が0.01重量%未満であることを意味する。触媒は、硬化剤がアミノ基以外に反応性基Fを有する場合、特に硬化剤がヒドロキシル基を有する場合に、好みで使用される。
【0166】
好みで使用される触媒は、塩基性触媒、より好ましくは有機アミン及び有機ホスフィンである。有機アミンの中でも特に、アミジン塩基(例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN))、並びにモノ-C1-C6-アルキル-、ジ-C1-C6-アルキル-及びトリ-C1-C6-アルキルアミン、特にトリエチルアミン及びtert-ブチルアミンが好ましい。有機ホスフィンの中でも特に、トリアルキルホスフィン及びトリアリールホスフィン、例えばトリ-n-ブチルホスフィン及びトリフェニルホスフィンが好ましい。上記の触媒は、当然のことながら、任意選択的に、トリ-C1-C6-アルキルアンモニウムハライド及び銅塩と組み合わせた混合物(例えば、トリ-C1-C6-アルキル-アンモニウムハライド及び銅塩(例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(II)又は硫酸銅(II))と組み合わせたトリフェニルホスフィン)として使用することもできる。グアニジン、フェノラート、ベンゾエート。
【0167】
前述の構成成分だけでなく、2パック結合剤組成物は、それに慣用される添加剤を含み得る。本発明の組成物用の好適な従来の添加剤の選択は、2パック結合剤組成物の特定の最終用途によって決まり、個々のケースにおいて、当業者により決定され得る。
【0168】
好適な添加剤は、例えば、抗酸化剤、UV吸収剤/光安定剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、強化剤、充填剤、防曇剤、発泡剤、殺生物剤、可塑剤、滑沢剤、乳化剤、着色剤、顔料、流動剤(rheology agent)、耐衝撃強化剤(impact toughener)、接着力調整剤(adhesion regulator)、光学的光沢剤(optical brightener)、難燃剤(flame retardant)、滴下防止剤(antidripping agent)、核形成剤、湿潤剤、増粘剤、保護コロイド、消泡剤、粘着性付与剤、溶媒及び反応性希釈剤、並びにそれらの混合物を包含する。
【0169】
充填剤は、性質的に有機及び無機であり得る;好ましい無機充填剤は、整列して液体及び気体に対する強化された障壁作用を有する層を形成し得るプレートレット(platelet)の形態をとる。例は、例えばWO 2011/089089、WO 2012/175427又はWO 2012/175431に記載されているモンモリロナイト及びヘクトライトなどの層状シリケート(sheet silicate)である。少なくとも50、少なくとも400、又は少なくとも1000、特に10 000以上のアスペクト比を有する層状シリケートが好ましい。その層厚さは、例えば、約1nmである。上記の層状シリケートは、天然由来であってもよく、又は合成由来であってもよい。好適な層状シリケートは、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイト、マイカ、ヘクトライト、フルオロヘクトライト、サポナイト、ベイデライト、ノントロナイト、ステベンサイト、バーミキュライト、フルオロバーミキュライト、ハロイサイト、フォルコンスコイト(volkonskoite)、スコナイト(suconite)、マガダイト、ソーコナイト、スチベンサイト(stibensite)、スティプルガイト(stipulgite)、アタパルジャイト(attapulgite)、イライト(illite)、ケニアイト、スメクタイト、アレバルダイト、ムスコバイト、パリゴルスカイト、セピオライト、シリナイト(silinaite)、グルマンタイト(grumantite)、レブダイト(revdite)、ゼオライト、フラー土(fuller’s earth)、天然若しくは合成のタルク又はマイカ、あるいはパーミュタイトである。特に好ましいのは、モンモリロナイト(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、ヘクトライト(ケイ酸マグネシウムリチウム)、合成フルオロヘクトライト及び剥離した有機修飾スメクタイトである。層状シリケートは、修飾されていてもよく、又は非修飾であってもよい。好ましいのは、カチオン的に修飾された層状シリケートである。「カチオン的に修飾された」とは、層状シリケート中の無機カチオンが、例えばイオン交換法により、少なくとも部分的に有機カチオンに交換されていることを意味する。有機カチオンは、少なくとも1つのカチオン基を有する有機化合物(例えば、第四級アンモニウム基、ホスホニウム基、ピリジニウム基等、又はカチオン性アミン塩)である。
【0170】
使用される任意の光安定剤/UV吸収剤、抗酸化剤及び金属不活性化剤は、好ましくは、高い移動安定性及び熱安定性を有する。これらは、例えば群a)~t)から選択される。群a)~g)及びi)の化合物は、光安定剤/UV吸収剤であり、化合物j)~t)は、安定剤として作用する。
a) 4,4-ジアリールブタジエン、
b) 桂皮エステル、
c) ベンゾトリアゾール、
d) ヒドロキシベンゾフェノン、
e) ジフェニルシアノアクリレート、
f) オキサミド、
g) 2-フェニル-1,3,5-トリアジン、
h) 抗酸化剤、
i) ニッケル化合物、
j) 立体障害アミン、
k) 金属不活性化剤、
l) ホスファイト及びホスホナイト、
m) ヒドロキシルアミン、
n) ニトロン、
o) アミンオキシド、
p) ベンゾフラノン及びインドリノン、
q) チオ相乗剤、
r) 過酸化物破壊化合物、
s) ポリアミド安定剤、並びに
t) 塩基性共安定剤。
【0171】
2パック接着剤は、好ましくはイソシアネート非含有(2パック接着剤が、好ましくは、硬化剤としての任意のイソシアネート化合物を含まないことを意味する)である。上記の2パック接着剤は、好ましくは有機溶媒中の溶液の形態であるか、又は無溶媒である。「無溶媒」とは、5重量%未満、より好ましくは、2重量%未満若しくはゼロの有機溶媒又は水が存在することを意味する。
【0172】
本発明の2成分組成物は、特にアミン硬化剤を用いる場合、通常、既に室温において短時間で高い結合強度を発現する。
【0173】
本発明の2成分組成物は、WO 2017/207461 A1の20~25頁に詳細に記載されているとおり、ラミネート加工における接着剤として利用することができる。
【0174】
本発明の2成分組成物はまた、木材、金属、様々なプラスチック、複合材、紙、ボール紙、繊維強化材、コンクリート又は様々な鉱物建築資材のような固体基材の結合のために利用することもできる。
【0175】
本発明の式(I)の化合物は、WO 2015/039807に記載されているように、金属表面又は非金属表面のコーティング用のコーティング材組成物の成分としての多官能性アミン又はポリオールと組み合わせて使用することができる。
【0176】
本発明の式(I)の化合物は、上記の適切な硬化剤と共に、意図される用途を満たすポリマーを形成する。あるいは、mが1又は2である本発明の式(I)の化合物は、単独で重合することもできるし、又は少なくとも1つの重合可能な炭素-炭素二重結合を含む好適なさらなるモノマーと共にポリマー(ホモポリマー又はコポリマーを意味する)を形成することもできる。
【0177】
従って、本発明のさらなる態様は、1つ以上のモノマーから形成されるポリマーであって、少なくとも1つのモノマーが上記の式(I)の化合物である、上記ポリマーである。
【0178】
本発明の一実施形態において、本発明のポリマーは、上記ポリマーが、上記の式(I)の化合物と、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシレート基、ホスフィン基、ホスホネート基及びメルカプタン基からなる群から選択される(好ましくは、ポリオール、ポリ酸、ポリアミン、ポリアミド-アミン及びそれらの混合物から選択される)少なくとも2つの官能基を含む1種以上の化合物との反応生成物であることを特徴とする。
【0179】
本発明のさらなる態様は、第1成分として、上記のポリマーと、第2成分として、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシ基、ホスフィン基、ホスホネート基及びメルカプタン基からなる群から選択される少なくとも2つの官能基を含む少なくとも1種の多官能性硬化剤とを含む、2成分組成物である。
【0180】
本発明のさらなる態様は、金属、プラスチック、紙、板紙、織物、ガラス、皮革、木材及び無機材料製の剛性部品及び可撓性部品用の接着剤及び/又はシーラントの成分としての、式(I)の化合物、上記の2成分組成物、又は上記のポリマーの使用である。
【0181】
本発明のさらなる態様は、金属、プラスチック、紙、板紙、織物、ガラス、皮革、木材及び無機材料製の剛性基材及び可撓性基材用のコーティングの成分としての、式(I)の化合物、上記の2成分組成物、又は上記のポリマーの使用である。
【0182】
本発明のさらなる態様は、繊維、粒子及び顔料用の結合剤の成分としての、式(I)の化合物、上記の2成分組成物、又は上記のポリマーの使用である。
【0183】
本発明のさらなる態様は、フォームラバー(foam rubber)の成分としての、式(I)の化合物、上記の2成分組成物、又は上記のポリマーの(好ましくは適切な発泡剤と一緒の)使用である。
【0184】
本発明のさらなる態様は、(オリゴ/多)官能性求核剤を式(I)の化合物と反応させることによる多価不飽和化合物の調製のための中間体としての、上記の任意の化合物(式(I)の化合物、式(I)の化合物を単独で又はさらなるモノマーと共に重合することにより得られるポリマー、及び上記の2成分組成物を意味する)の使用である。得られた反応生成物はその後、さらなる硬化(例えば、ラジカル誘導硬化)に利用される。
【実施例】
【0185】
本発明は以下に続く実施例により説明されるが、これらは本発明を限定するものではない。
【0186】
パーセントの数字は、別段に明示的に記載されていない限り、それぞれ重量%に基づく。
【0187】
一般
全ての化学物質及び溶媒を、Sigma-Aldrich又はABCRから購入し、さらなる精製を行うことなく使用した。
1H及び13C NMRスペクトルを、Bruker Avance 200 MHz及び400 MHZ分光計上で記録し、溶媒の残留プロトン(1H)又は炭素(13C)共鳴ピークについて参照した。
化学シフト(δ)はppmで報告される。
使用した略語:Davephos-Ligand A = 2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2′-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル;DCM = ジクロロメタン;DIPEA = N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DMAP = 4-ジメチルアミノピリジン;DMF = ジメチルホルムアミド;PE = 石油エーテル;THF = テトラヒドロフラン;TMEDA = テトラメチルエチレンジアミン;
【0188】
I. 出発物質及び式(II)の化合物の合成
【0189】
I.1 4-ヒドロキシブタ-2-イン-1-イルメタクリレート
【0190】
【0191】
蒸留したEt3N(5.6mL、40.6mmol、1.4当量)を、乾燥DCM/THF(12mL/4mL)中のブタ-2-イン-1,4-ジオール(2.5g、29.0mmol、1.0当量)の溶液に加え、得られた懸濁液を、溶解が完了するまで室温で撹拌した。次いで、メタクリル酸無水物(4.75mL、31.9mmol、1.1当量)を、反応混合物に0℃で30分間かけて滴下添加した。その後、反応混合物を室温に温め、一晩攪拌した。水を加え、反応混合物をDCM(3022x2mL)で抽出した。回収した有機層を乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物のフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/PE 2:3)により、純粋な生成物を無色油状物(2.3g、52%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ = 6.12 - 6.13 (m, 1 H), 5.60 - 5.58 (s, 1 H), 4.76 - 4.75 (m, 2 H), 4.28 - 4.27 (m, 2 H)、2.61 (br.s, 1 H)、1.93 - 1.92 (m, 3 H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 166.9, 135.7, 126.7, 85.2, 79.7, 52.6, 50.9, 18.3. HRMS (ESI, 70 eV):C8H10O3についてのm/z計算値:154.0625 [M+];実測値:154.0618。
【0192】
I.2 2-((((4-ヒドロキシブタ-2-イン-1-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)エチルメタクリレート
【0193】
【0194】
蒸留したEt3N(8.9mL、63.8mmol、1.1当量)を、乾燥DCM/THF(24mL/8mL)中のブタ-2-イン-1,4-ジオール(5.0g、58.0mmol、1.0当量)の溶液に加え、得られた懸濁液を、溶解が完了するまで室温で撹拌した。次いで、2-イソシアナトエチルメタクリレート(8.6mL、58.0mmol、1.0当量)を、反応混合物に0℃で30分間かけて滴下添加した。その後、反応混合物を室温に温め、一晩攪拌した。水を加え、反応混合物をDCM(3044x4mL)で抽出した。回収した有機層を乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させた。粗製物のフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/PE 7:3)により、純粋な生成物(Rf = 0.35)を無色油状物(8.4g、60%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 6.13 - 6.12 (m, 1 H), 5.61 - 5.60 (s, 1 H), 5.06 (br.s, 1 H), 4.73 (s, 2 H), 4.31 - 4.30 (m, 2 H), 4.26 - 4.23 (m, 2 H), 3.54 - 3.50 (m, 2 H)、1.95 (s, 3 H)、1.73 (br.s, 1 H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 167.2, 155.5, 135.9, 126.1, 84.9, 80.2, 63.6, 52.9, 51.1, 40.4, 18.3。
【0195】
I.3 4,4'-((1,4-フェニレンビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(ブタ-2-イン-1-オール)
【0196】
【化33】
無水THF(10mL)中に溶解させたブタ-2-イン-1,4-ジオール(2.6g、30.2mmol、4.0当量)を、無水THF(12mL)中のNaH(0.37g、15.2mmol、2.0当量)の溶液を含有する100mL三つ首丸底フラスコ中に滴下添加した。30分間攪拌した後、1,4-ビス(ブロモメチル)ベンゼン(2.0g、7.58mmol、1.0当量)を加え、混合物を一晩還流した。この溶媒を真空中で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/PE 7:3)により精製し、所望の生成物を白色固体(1.62g、78%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ = 7.35 - 7.27 (m, 4 H), 4.60 (s, 4 H), 4.33 (br.s, 4 H), 4.22 - 4.20 (m, 4 H)、1.99 (br.s, 2 H)。
13C NMR (101 MHz, CDCl
3): δ = 137.2 (2 C)、128.4 (4 C), 84.9 (2 C), 81.9 (2 C), 71.6 (2 C), 57.6 (2 C), 51.3 (2 C)。IR (KBr): 3279, 3201, 2914, 1402, 1368, 1342, 1236, 1138, 1069, 1007, 989, 839, 759, 585, 537。HRMS (EI):C
16H
18O
4についてのm/z計算値:274.1176 [M
+];実測値:274.1199。
【0197】
I.4 ビス(4-ヒドロキシブタ-2-イン-1-イル)(4-メチル-1,3-フェニレン)ジカルバメート
【0198】
【化34】
無水DMF(5.0mL)中に溶解させた2,4-ジイソシアナト-1-メチルベンゼン(1.0g、5.8mmol、1.0当量)を、アルゴンパージした、ブタ-2-イン-1,4-ジオール(1.5g、17.4mmol、3.0当量)を含有する100mL三つ首丸底フラスコ中に120℃で滴下添加した(2滴/秒)。添加が完了した後、反応混合物をさらに120℃で1時間攪拌し、その後、この混合物を室温に低下させた。その後、蒸留水(90mL)を上記の反応混合物に加え、生成物をフリーザー中で一晩結晶化させた。この結晶を濾過し、150mLの水を含有する250mL丸底フラスコ中で再回収した。次いで、この混合物を110℃で還流し、その後加温濾過(hot filtration)した。オリゴマーを濾過により分離しながら底にある濾液を冷却し、生成物を白色固体(1.2g、60%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3CN): δ = 7.79 (br.s,1 H), 7.73 (br.s, 1 H), 7.21 (s, 1 H), 7.18 - 7.15 (m, 1 H), 7.13 - 7.11 (m, 1 H), 4.78 - 4.75 (m, 4 H), 4.21 - 4.18 (m, 4 H), 3.18-3.14 (m, 2 H)、2.18 (s, 3 H)。
13C NMR (101 MHz, CD
3CN): δ = 154.4, 153.9, 137.8, 137.2, 131.6, 126.0, 116.2, 114.4, 86.5 (2 C), 80.0 (2 C), 53.6 (2 C), 53.4, 50.6, 17.3。IR (KBr): 3292, 1704, 1605, 1539, 1498, 1451, 1429, 1318, 1283, 1235, 1185, 1144, 1060, 1015, 882, 817, 762。HRMS (ESI): C
17H
18N
2O
6についてのm/z計算値:369.106 [M+Na
+];実測値:369.106。
【0199】
I.5 1,8-ビス(4-ヒドロキシ-2-ブチン-1-オキシ)-3,6-ジオキサオクタン
【0200】
【0201】
上記のジオールを2ステップで合成した。
【0202】
I.5.a 4,7,10,13-テトラオキサヘキサデカ-1,15-ジインの合成
アルゴンフラッシュした100mL三つ首丸底フラスコ中に、THF(5.0mL)中の2,2'-(エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(2.13g、14.2mmol、1当量)の溶液を入れ、30mLのTHF中のt-BuOK(3.77g、32.0mmol、2.3当量)の冷却(0℃)懸濁液に加えた。得られた反応混合物を室温に温め、次いで120mLのTHF中の臭化プロパルギル(6.3mL、56.5mmol、4.0当量)の氷冷溶液(0℃)に、アルゴン雰囲気下で滴下添加した。反応混合物をさらに18時間撹拌し、反応物を室温に温めた。その後、3:1のブライン/水(75mL)溶液を上記の混合物に加え、水性層をEtOAc(35050x50mL)で抽出し、その後真空中で乾燥した。残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/PE 1:1)により精製し、ビス(プロパルギルエーテル)(2.24g、70%)を黄色油状物として得た。
【0203】
I.5.b 1,8-ビス(4-ヒドロキシ-2-ブチン-1-オキシ)-3,6-ジオキサオクタンの合成
アルゴンフラッシュした250mL三つ首丸底フラスコ中に、91mLのTHF中のビス(プロパルギル)エーテル(2.5g、10.9mmol、1当量)の溶液及びTMED(16.7mL、11.8mmol、10当量)を加えた。次いで、この混合物を-78℃に冷却し、その後n-BuLi(16.0mL、1.6M溶液、26.6mmol、2.4当量)を滴下添加した。さらに5分間撹拌した後、アルゴン下で、7mLのTHF中のパラホルムアルデヒド(7.2g、22mmol)の懸濁液を、シリンジを介して加えた。反応混合物をゆっくりと室温に温め、さらに1時間撹拌し、その後150mLの飽和NaH2PO4水溶液で希釈した。水性層をEtOAc(6033x3mL)で抽出し、合わせた有機層を、120mLの飽和NaHCO3と120mLのブラインで洗浄した。乾燥及び濃縮した残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH 98:2)により精製し、ジオール(Rf 0.35)を薄黄色固体(1.3g、42%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 4.25 - 4.24 (m, 4 H), 4.20 - 4.19 (m, 4 H), 3.67 - 3.63 (m, 12 H), 3.05 (br.s, 2 H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 85.2 (2 C), 81.3 (2 C), 70.6 (2 C), 70.5 (2 C), 69.1 (2 C), 58.7 (2 C), 50.7 (2 C)。HRMS (ESI, 70 eV): C14H22O6についてのm/z計算値:309.131 [M+Na+];実測値:309.131。
【0204】
II. 出発物質及び式(I)の化合物の合成
一般的反応手順
鋼オートクレーブに、アルキノール(特に一般式(II)の化合物)(5.0mmol)、AgOAc(1又は2 mol%)、並びにDavephos-Ligand A(1又は2 mol%)及びMeCN(10mL)を入れた。反応混合物をCO2(20バール(2000kPa))で加圧し、室温で18時間攪拌した。次いで、CO2過圧を注意深く放出し、溶媒を蒸発させた。得られた粗混合物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/PE勾配)により精製した。
【0205】
単離生成物
II.1 (Z)-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オン
【0206】
【0207】
無色油状物、収率:0.45g (65%)。1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 4.97 - 4.88 (m, 3 H), 4.18 - 4.15 (m, 2 H), 3.33 (s, 1 H)。13C NMR (50 MHz, CDCl3): δ = 152.9, 143.2, 102.4, 67.6, 55.7。HRMS (EI): C5H6O4についてのm/z計算値:130.0260 [M+];実測値:130.0259。
【0208】
II.2 (Z)-2-(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イリデン)エチルメタクリレート
【0209】
【0210】
白色固体、収率:0.81g (82%)。融点:36.1 - 36.3℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 6.12 - 6.11 (m, 1 H), 5.59 - 5.58 (m, 1 H), 5.02-4.99 (m, 3 H), 4.80 - 4.78 (m, 2 H)、1.94 (s, 3 H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ = 167.2, 152.1, 145.4, 136.1, 126.2, 98.1, 67.4, 58.0, 18.4. IR (KBr): 3402, 2933, 2356, 216.9, 1818, 1707, 1723, 1632, 1534, 1455, 1400, 1383, 1326, 1288, 1229, 1156, 1133, 1088, 1045, 1011, 971, 920, 868, 841, 817, 766, 732, 645, 617, 571。HRMS (EI):C9H10O5についてのm/z計算値:198.0523 [M+];実測値:198.0519。C9H10O5についての分析計算値:C 54.55%、H 5.09%、実測値:C 54.77%, H 5.13%。
【0211】
II.3 (Z)-2-(((2-(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イリデン)エトキシ)カルボニル)アミノ)エチルメタクリレート
【0212】
【0213】
白色固体、収率:1.34g (94%)。融点:86.5-86.7℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 6.12-6.11 (m, 1 H), 5.59-5.57 (m, 1 H), 5.00-4.97 (m, 3 H), 4.71-4.69 (m, 2 H), 4.24-4.21 (m, 2 H), 3.51-3.47 (m, 2 H)、1.94 (s, 3 H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ = 167.4, 156.2, 152.1, 145.2, 136.1, 126.2, 98.6, 67.4, 63.7, 58.3, 40.4, 18.4。IR (KBr): 3360, 3060, 1826, 1726, 1690, 1632, 1539, 1471, 1437, 1385, 1327, 1306, 1253, 1217, 1139, 1046, 1012, 967, 936, 873, 805, 760, 736, 621, 557。HRMS (ESI):C12H15NO7についてのm/z計算値:308.074 [M+Na+];実測値:308.074。C12H15NO7についての分析計算値:C 50.53%、H 5.30%、N 4.91%、実測値:C 50.24%、H 5.06%、N 5.06%。
【0214】
II.4 (4Z,4'Z)-4,4'-(((1,4-フェニレンビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2-イル-1-イリデン))ビス(1,3-ジオキソラン-2-オン)
【0215】
【0216】
白色固体、収率:1.56g (86%)。融点:108.6-109.0℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.33-7.26 (m, 4 H), 5.00-4.93 (m, 6 H), 4.52 (m, 4 H), 4.21-4.16 (m, 4 H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ = 152.2 (2 C)、144.0 (2 C)、137.4 (2 C)、128.0 (4 C)、100.3 (2 C), 72.5 (2 C), 67.3 (2 C), 63.3 (2 C)。IR (KBr): 2855, 1833, 1702, 1461, 1385, 1295, 1212, 1134, 1085, 1055, 1035, 976, 905, 835, 821, 763。HRMS (ESI): C18H18O8についてのm/z計算値:363.107 [M+H+];実測値:363.107。C18H18O8についての分析計算値:C 59.67%、H 5.01%、実測値:C 59.54%、H 4.76%。
【0217】
II.5 ビス((Z)-2-(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イリデン)エチル)(4-メチル-1,3-フェニレン)ジカルバメート
【0218】
【0219】
白色固体、収率:2.02g (93%)。融点:175.5-176.1℃。1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ = 7.75-7.70 (m, 2 H), 7.12-7.11 (m, 3 H), 5.05-5.00 (m, 6 H), 4.76-4.69 (m, 4 H)、2.15 (s, 3H)。13C NMR (101 MHz, CD3CN) δ = 154.9, 154.4, 153.7, 147.3 (2C)、138.1, 137.4, 131.6 (2 C)、125.7, 116.1, 114.4, 98.2 (2 C), 68.9 (2 C), 59.2, 59.0, 17.3. IR (KBr): 3360, 1830, 1723, 1606, 1542, 1457, 1387, 1284, 1224, 1179, 1130, 1098, 1042, 874, 815, 764, 730, 566。HRMS (ESI): C19H18N2O10についてのm/z計算値:457.086 [M+Na+];実測値:457.085。C19H18N2O10についての分析計算値:C 52.54%、H 4.18%、N 6.45%、実測値:C 52.62%、H 4.22%、N 6.55%。
【0220】
II.6 (4Z,4'Z)-4,4'-(3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン-1,14-ジイリデン)ビス(1,3-ジオキソラン-2-オン)
【0221】
【0222】
無色油状物、収率:1.78g (95%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ = 5.00-4.90 (m, 6 H), 4.20-4.15 (m, 4 H), 3.65-3.58 (m, 12 H)。
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ = 152.4 (2 C)、144.1 (2 C)、100.4 (2 C), 70.8 (2 C), 70.7 (2 C), 69.9 (2 C), 67.5 (2 C), 64.3 (2 C)。IR (KBr): 2872, 1833, 1723, 1464, 1381, 1297, 1214, 1131, 1106, 1046, 949, 870, 765, 733。HRMS (ESI): C
16H
22O
10についてのm/z計算値:397.110 [M+Na
+];実測値:397.110。C
16H
22O
10についての分析計算値:C 51.34%、H 5.92%、実測値:C 51.48%、H 6.00%。
本発明の態様として、例えば以下を挙げることができる。
[項1]
式(I):
【化42】
(式中、
R
1
は、水素、又は1~100個の炭素原子を有する有機基であり、
R
2
、R
3
は、互いに独立して、水素、又は1~100個の炭素原子を有する有機基であり、
Zは、化学的単結合、又は1~100個の炭素原子を有する二価の有機基であり、
Aは、1~1 000 000個の炭素原子を有する(n+m)価の有機基であり、
Xは、化学的単結合、又は1~40個の炭素原子を有する二価の有機基であり、
nは、1~1000の整数であり、
mは、0、1又は2であり、
ここでn+mの和は、2~1002の整数である)
の化合物。
[項2]
R
1
が、水素、C
1
-C
4
アルキル、CH
2
COOR
4
、フェニル又はフェニル-C
1
-C
4
アルキルであり;
R
2
、R
3
が、互いに独立して、水素若しくはC
1
-C
4
アルキルであるか、又はR
2
基若しくはR
3
基の一方がCOOR
4
若しくはCH
2
COOR
4
であってもよく、
R
4
が、存在する場合、水素、又は1~100個の炭素原子を有する有機基である、
項1に記載の式(I)の化合物。
[項3]
Zが、化学的単結合、又は-CH
2
-、-PO
2
-、-SO
2
-、-C(=O)-、-C(=O)-O-及び-C(=O)-N(R
5
)-からなる要素の群から選択される二価の有機基(ここでR
5
は、水素、C
1
-C
4
アルキル又はフェニル、好ましくは水素である)である、項1又は2に記載の式(I)の化合物。
[項4]
Xが、化学的単結合、又は-C(=O)-、-O-C(=O)-及び-N(R
5
)-C(=O)-からなる要素の群から選択される二価の有機基(ここでR
5
は、水素、C
1
-C
4
アルキル又はフェニル、好ましくは水素である)である、項1~3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
[項5]
nが、1、2、3、4、5又は6、好ましくは2、3又は4、より好ましくは2又は3、特に2であり、
mが、0、1又は2、好ましくは0又は1、特に0であり、
ここでn+mの和が、2、3、4、5又は6、好ましくは2又は3、特に2である、
項1~4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
[項6]
項1~5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物であって、(n+m)価の有機基Aが、C
1
-C
40
-アルカン、C
1
-C
40
-アルケン、飽和C
3
-C
100
-複素環、芳香族C
6
-C
40
-炭化水素、C
2
-C
40
-ヘテロアレーン、C
7
-C
40
-アリールアルカン及びC
8
-C
40
-アリールアルケンからなる群から選択される有機化合物(上記群の各員において、1個以上の水素原子は、ハロゲン、-NR
6
2
、OH又は-CNで置換されていてもよく、1つ以上のCH
2
基は、-O-、-S-、-N(R
6
)-、PO
2
-、-SO
2
-、-C(=O)-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-N(R
5
)-で置換されていてもよく、ここでR
6
は、水素、C
1
-C
4
アルキル又はフェニルである)、並びにポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリチオカーボネート及びポリオレフィンからなるポリマーの群から選択されるポリマーから誘導される、
前記化合物。
[項7]
項1に記載の式(I)の化合物であって、
nが、2、3又は4、より好ましくは2又は3、特に2であり、
mが0であり、
Zが、化学的単結合、又は-CH
2
-、-C(=O)-、-C(=O)-O-及び-C(=O)-N(R
5
)-からなる要素の群から選択される二価の有機基であり、
Aが、C
1
-C
12
-アルカン、飽和C
3
-C
60
-複素環、芳香族C
6
-C
40
-炭化水素、C
2
-C
40
-ヘテロアレーン及びC
7
-C
30
-アリールアルカンからなる群から選択される有機化合物(上記群の各員において、1個以上の水素原子は、ハロゲン、-NR
6
2
又は-CNで置換されていてもよく、1つ以上のCH
2
基は、-O-、-S-、-N(R
6
)-、PO
2
-、-SO
2
-、-C(=O)-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-N(R
5
)-で置換されていてもよい)、並びにポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリオレフィンからなるポリマーの群から選択されるポリマーから誘導されるn価の有機基であり、
ここでR
5
は、水素、C
1
-C
4
アルキル又はフェニル、好ましくは水素であり、
R
6
は、C
1
-C
4
水素、アルキル又はフェニルである、
前記化合物。
[項8]
項1~7のいずれか1項に記載の式(I):
【化43】
の化合物を調製するための方法であって、以下の方法ステップ:
a) 式(II):
【化44】
(式中、R
1
、R
2
、R
3
、Z、A、X、n及びmは、式Iにおける意味と同じ意味を有する)
の4-オキシ-ブタ-2-イン-1-オール誘導体を、少なくとも1種の遷移金属触媒TMC1(この触媒は、IUPACによる元素の周期表の10、11及び12族の金属から選択される遷移金属と、式(III)の化合物及び式(IV)の化合物:
【化45】
(式中、
Dは、P、As又はSbであり、
R
7
は、1~40個の炭素原子を有する有機基であり、
R
8
、R
9
は、同一であるか又は異なり、且つそれぞれ1~40個の炭素原子を有する有機基であり、
R
10
は、1~40個の炭素原子を有する有機基であるか、又はR
7
と同一であり、
Zは、-CR
12
=CR
13
-、-CR
12
=N-、-CR
12
R
14
-CR
13
R
15
-及び-CR
12
R
14
-CR
13
R
15
-CR
16
R
17
-から選択される二価の架橋基(ここで、R
12
、R
13
、R
14
、R
15
、R
16
及びR
17
は、互いに独立して、水素、又はR
10
として定義されるとおりであるか、あるいは2つの隣接するR
12
基とR
13
基及び/又はR
15
基とR
16
基は、それらを結合している原子と一緒になって、4~40個の炭素原子を有し且つ元素Si、Ge、N、P、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子も含み得る単環式又は多環式、置換又は非置換の脂肪族又は芳香族環系を形成する)である)
からなる配位子の群から選択される少なくとも1つの嵩高い配位子とを含む)
の存在下で、二酸化炭素と反応させるステップ
を含む、前記方法。
[項9]
項1~7のいずれか1項に記載の式(I):
【化46】
の化合物を調製するための方法であって、以下の方法ステップ:
b) 式(VI):
【化47】
のアルコールを、式(VII):
【化48】
(式中、R
1
、R
2
、R
3
、A、X、n及びmは、式Iにおける意味と同じ意味を有する)
の化合物と反応させるステップ
を含み、ここで
Jは、1~100個の炭素原子を有する二価の有機基であり、
Qは、-O-Q(-H)-A単位の形成下で付加反応において式(VI)のアルコールのヒドロキシ基と反応することができる官能基であるか、又は、Qは、H-Qの形成下で式(VI)のアルコールのヒドロキシ基の酸素により置換される脱離基であり、
oは、0又は1である、
前記方法。
[項10]
Qが、-N=C=O、2-オキシラニル、-C=N-、ハロゲン化物イオン(halide)(好ましくはCl、Br又はI)、及び有機スルホネート(好ましくはトシラート、メシラート、トリフラート又はノナフラート)、並びにOH、R
a
C(=O)O、R
a
O及びイミダゾールからなる官能基の群(ここでR
a
は、C
1
-C
4
アルキル、又は置換若しくは非置換フェニルである)から選択される、
項9に記載の方法。
[項11]
式(II):
【化49】
(式中、R
1
、R
2
、R
3
、Z、A、X、n及びmは、式Iにおける意味と同じ意味を有する)
の化合物。
[項12]
項11に記載の式(II):
【化50】
の化合物を調製するための方法であって、以下の方法ステップ:
c) ジオールである式(VIII):
【化51】
の1,4-ブチンジオールを、式(VII):
【化52】
(式中、R
1
、R
2
、R
3
、A、X、n及びmは、式Iにおける意味と同じ意味を有する)
の化合物と反応させるステップ
を含み、ここで
Qは、-O-Q(-H)-A単位の形成下で付加反応において式(VIII)のジオールの2つのヒドロキシ基の1つと反応することができる官能基であるか、又はQは、H-Qの形成下で式(VIII)のジオールの2つのヒドロキシ基の2個の酸素の1つにより置換される脱離基である、
前記方法。
[項13]
重合反応又はオリゴマー化反応における中間体若しくは架橋剤としての、又はモノマーとしての、項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の使用。
[項14]
第1成分として、項1~7のいずれか1項に記載の少なくとも1種の式(I)の化合物(式中、nは、2、3、4、5又は6であり、且つmは0である)と、第2成分として、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシ基、ホスフィン基、ホスホネート基、並びにカルボキシ-及びメルカプタン基からなる群から選択される少なくとも2つの官能基を含む少なくとも1種の多官能性硬化剤とを含む、2成分組成物。
[項15]
1つ以上のモノマーから形成されるポリマーであって、少なくとも1つのモノマーが、項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物である、前記ポリマー。
[項16]
項15に記載のポリマーであって、該ポリマーが、項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物と、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシレート基、ホスフィン基、ホスホネート基及びメルカプタン基からなる群から選択される(好ましくはポリオール、ポリ酸、ポリアミン、ポリアミド-アミン及びそれらの混合物から選択される)少なくとも2つの官能基を含む1種以上の化合物との反応生成物である、前記ポリマー。
[項17]
第1成分として、項15に記載のポリマーと、第2成分として、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシ基、ホスフィン基、ホスホネート基及びメルカプタン基からなる群から選択される少なくとも2つの官能基を含む少なくとも1種の多官能性硬化剤とを含む、2成分組成物。
[項18]
金属、プラスチック、紙、板紙、織物、ガラス、皮革、木材及び無機材料製の剛性部品及び可撓性部品用の接着剤及び/又はシーラントの成分としての、項1~7又は14~17のいずれか1項に記載の任意の化合物の使用。
[項19]
金属、プラスチック、紙、板紙、織物、ガラス、皮革、木材及び無機材料製の剛性基材及び可撓性基材用のコーティングの成分としての、項1~7又は14~17のいずれか1項に記載の任意の化合物の使用。
[項20]
繊維、粒子及び顔料用の結合剤の成分としての、項1~7又は14~17のいずれか1項に記載の任意の化合物の使用。
[項21]
(オリゴ/多)官能性求核剤を式(I)の化合物と反応させることによる多価不飽和化合物の調製のための中間体としての、項1~7又は14~17のいずれか1項に記載の任意の化合物の使用。