(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】薬物送達システムのための電子制御式取込みシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20240909BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61M5/315 550J
A61M5/315 550P
(21)【出願番号】P 2021573388
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2020066375
(87)【国際公開番号】W WO2020249777
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-04-19
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ブランケ
(72)【発明者】
【氏名】イエルク・ビガルケ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・トレーブナー
(72)【発明者】
【氏名】マウリス・トーポレク
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・アルト
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523001(JP,A)
【文献】特表2017-504906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0158268(US,A1)
【文献】特表2015-505682(JP,A)
【文献】特表2016-512442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達システム(1)によって薬物リザーバ(6)から排出または放出された薬物の量を表すデータ(126)を取り込む電子制御式取込みシステム(100)であって、電子回路(108)を含み、該電子回路は:
電気エネルギーリザーバ(117)を含む電気エネルギーユニット(116)と、
該電気エネルギーユニット(116)から得られた電力によって動作可能であり、データ(126)を取得するように動作可能な処理ユニット(114)と、
該処理ユニット(114)に接続され、取得データ(126)を記憶するように構成された電子記憶ユニット(118)とを含み、
処理ユニット(114)は、電子記憶ユニット(118)内に取得データ(126)を書き込むように動作可能であり、処理ユニット(114)は、電子記憶ユニット(118)からの記憶データ(126)を読み取り、電子記憶ユニット(118)からの記憶データ(126)を提供するように動作可能であり、
該電子回路はさらに、
処理ユニット(114)、電子記憶ユニット(118)、および電気エネルギーユニット(116)のうちの少なくとも1つに動作可能に接続され、起動状態に
不可逆的に切換え可能なデータ読取り無効化ユニット(160)を含み、該データ読取り無効化ユニット(160)は、起動状態で:
電子記憶ユニット(118)からの記憶データ(126)の読出し、または
電子記憶ユニット(118)からの記憶データ(126)の提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止する、前記取込みシステム。
【請求項2】
データ読取り無効化ユニット(160)は、起動状態にあるとき、電子記憶ユニット(118)および電気エネルギーユニット(116)のうちの少なくとも1つから処理ユニット(114)を切断するように動作可能である、請求項
1に記載の取込みシステム。
【請求項3】
データ読取り無効化ユニット(160)は、起動状態にあるとき、電気エネルギーユニット(116)を処理ユニット(114)から切断するように動作可能である、請求項1
または2に記載の取込みシステム。
【請求項4】
データ読取り無効化ユニット(160)は、起動状態にあるとき、電気エネルギーユニット(116)を放電するように動作可能である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の取込みシステム。
【請求項5】
データ読取り無効化ユニット(160)は、起動状態にあるとき、電子記憶ユニット(118)から記憶データ(126)を削除するように動作可能である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の取込みシステム。
【請求項6】
データ読取り無効化ユニット(160)は、起動状態にあるとき、電子記憶ユニット(118)内の取得データまたは記憶データ(126)を不可逆的に暗号化するように動作可能である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の取込みシステム。
【請求項7】
データ読取り無効化ユニット(160)は、起動状態にあるとき、記憶データ(126)の暗号化解除を防止するように動作可能であり、記憶データ(126)は、電子記憶ユニット(118)内に暗号化された形式で記憶される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の取込みシステム。
【請求項8】
暗号化鍵または暗号化解除鍵が、電子記憶ユニット(118)の揮発性メモリブロック(140)内に記憶され、データ読取り無効化ユニット(160)を起動したとき、暗号化または暗号化解除鍵は削除され、または電子記憶ユニット(118)のための電気エネルギーの供給が遮断される、請求項
7に記載の取込みシステム。
【請求項9】
処理ユニット(114)に接続され外部電子デバイス(40、60)に接続可能であるデータ伝送インターフェース(111)をさらに含み、データ読取り無効化ユニット(160)は、処理ユニット(114)とデータ伝送インターフェース(111)との間のデータ伝送接続を阻害または無効化するように動作可能である、請求項1~
8のいずれか1項に記載の取込みシステム。
【請求項10】
電子回路(108)は、寿命終了識別ユニット(120)をさらに含み、該寿命終了識別ユニットは、取込みシステム(100)および薬物送達システム(1)のうちの少なくとも1つの寿命終了を判定および/または示すように動作可能である、請求項1~
9のいずれか1項に記載の取込みシステム。
【請求項11】
寿命終了識別ユニット(120)は、データ読取り無効化ユニット(160)に動作可能に接続され、寿命終了識別ユニット(120)は、データ読取り無効化ユニット(160)を起動状態に設定するように動作可能である、請求項
10に記載の取込みシステム。
【請求項12】
寿命終了識別ユニット(120)は、電気エネルギーユニット(116)の電気エネルギーの利用可能な量を判定するように動作可能であり、寿命終了識別ユニット(120)は、電気エネルギーの利用可能な量を電気エネルギーユニット(116)の電気エネルギーの所定の最小量と比較するように動作可能である、請求項
10または11に記載の取込みシステム。
【請求項13】
処理ユニット(114)は、マイクロプロセッサ(113)によって提供され、または処理ユニット(114)は、マイクロプロセッサ(113)内で実装される、請求項1~
12のいずれか1項に記載の取込みシステム。
【請求項14】
データ読取り無効化ユニット(160)は、データ読取り無効化ユニット(160)を起動状態に切り換えるようにその各々が動作可能である電子スイッチ(152)および機械スイッチ(162)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~
13のいずれか1項に
記載の取込みシステム。
【請求項15】
薬物送達システム(1)に取り付けられるように構成されたデータ取込みデバイス(102)であって、薬物送達システム(1)の薬物容器(6)から排出または放出された薬物の量を示すデータ(126)を収集するように動作可能であり:
ハウジング(101)と、
請求項1~
14のいずれか1項に記載の取込みシステム(100)とを含む前記データ取込みデバイス。
【請求項16】
液体薬物の量を排出または放出する薬物送達システムであって:
液体薬物で充填された薬物容器(6)を収容するように構成されたハウジング(10)と、
薬物容器(6)から薬物の量を排出または放出するように動作可能な駆動機構(30)と、
ハウジング(10)内またはその上に配置された請求項1~
14のいずれか1項に記載のデータ取込みシステム(100)とを含む前記薬物送達システム。
【請求項17】
請求項1~
14のいずれか1項に記載のデータ取込みシステム(100)の電子記憶ユニット(118)からのデータ(126)の読出しまたは提供を無効にする方法であって:
データ読取り無効化ユニット(160)を起動状態に設定することと、
電子記憶ユニット(118)からのデータ(126)の読出しまたは該電子記憶ユニット(118)からのデータ(126)の提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止することとを含む前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達システムの分野に関し、より詳細には、薬物または薬剤の非経口投与のための薬物送達システムに関する。本開示はさらに、薬物送達システムによって薬物リザーバから排出または放出された薬物の量を表すデータを取り込むための電子制御式取込みシステムに関する。本開示はまた、薬物送達システムに接続されまたは取り付けられるように構成された独立型デバイスまたは別個のデバイスとして提供される電子制御式取込みシステムに関する。本開示はさらに、ペン型注射器または注入ポンプなどの注射デバイス、注入デバイスなど、薬物送達システムに一体化された電子制御式取込みシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体薬剤の単一または複数の用量を設定および投薬するための薬物送達システムおよび薬物送達デバイスは、それ自体、当技術分野ではよく知られている。概して、そのようなデバイスは、通常のシリンジの目的と実質的に類似の目的を有することができる。
【0003】
ペン型注射器などの薬物送達デバイスは、複数の使用者特有要件を満たさなければならない。たとえば、糖尿病などの慢性疾患を患っている患者の場合、患者は、身体的に弱い可能性があり、視覚障害を患っている可能性もある。したがって、特に家庭用医薬品向けの好適な薬物送達デバイスは、構造上頑強である必要があり、容易に使用できるべきである。さらに、デバイスおよびその構成要素の操作および一般的な取扱いは、分かりやすく容易に理解できるべきである。そのような注射デバイスは、可変サイズの薬剤の用量の設定および次の投薬を提供するべきである。さらに、用量設定ならびに用量投薬処置は、容易に動作できて明快でなければならない。
【0004】
典型的に、そのようなデバイスは、投薬または排出予定の薬剤で少なくとも部分的に充填されたカートリッジなどの薬物リザーバを受け入れるように適用されたハウジングまたは特定のカートリッジホルダを含む。デバイスは、駆動機構をさらに含み、駆動機構は通常、カートリッジの栓またはピストンに動作可能に係合する変位可能なピストンロッドを有する。駆動機構およびそのピストンロッドによって、カートリッジの栓またはピストンは、遠位または投薬方向に変位可能であり、したがって薬物送達デバイスのハウジングの遠位端部に解放可能に連結されるたとえば注射針の形態の穿孔アセンブリを介して、所定の量の薬剤を排出することができる。他の薬物送達システムは、たとえば注入によって、液体薬剤のかなり連続する非経口投与を提供するポンプを含むことができる。
【0005】
ペン型注射デバイスなどのいくつかの薬物送達デバイスでは、使用者は、用量ダイヤルおよび用量ダイヤルスリーブを注射デバイスの本体またはハウジングに対して時計回りまたは用量増分方向に回転させることによって、可変サイズの用量を設定しなければならない。液体薬剤の用量を注射および排出する場合、使用者は、トリガまたは用量ボタンを遠位方向に、したがって注射デバイスの本体またはハウジングの方へ押し下げなければならない。典型的に、使用者は、自身の親指を使用して、用量ダイヤルおよび用量ダイヤルスリーブの近位端に位置する用量ボタンに遠位方向の圧力をかけながら、同じ手の残りの指で注射デバイスのハウジングを保持する。
【0006】
ペン型注射器などのいくつかの薬物送達デバイスは、使い捨てデバイスとして構成される。これらのデバイスは、注射可能な薬剤で充填済みである。薬剤が使い尽くされたときは、薬物送達デバイス全体が廃棄されることが意図される。中に収容された薬剤が使い尽くされたときに交換されることが意図された薬物リザーバを装備した再利用可能な薬物送達デバイス、たとえばペン型注射器も存在する。そのような再利用可能な薬物送達デバイスまたは注射デバイスは、カートリッジなどの薬剤リザーバまたは薬剤容器の交換を有効にする。
【0007】
注射デバイスでは、薬物送達デバイスまたは注射デバイスの使用中に投与関連データ、たとえば注射関連データの正確で確実な準自動の監督および/または収集を有効にすることが望ましい。いくつかの薬物送達デバイスは、使用者によって誘起される注射デバイスの動作を監視するように構成された電子実施式のアドオンデバイスまたはデータ取込みデバイスを装備することができる。いくつかの他の薬物送達デバイスは、患者への薬剤の投与に関するデータを取り込み、および/または収集するように構成された一体式のデータ取込みユニットまたはデータ取込みデバイスを含むことができる。データ取込みユニットまたはデバイスは、身体的に弱い患者または投与予定の用量のサイズもしくは薬剤を投与しなければならない時間を正確に覚えることに問題を抱えている患者にとって、特に有用である。
【0008】
薬物送達システムまたは薬物送達デバイスとともに使用するためのデータ取込みシステムおよびデータ取込みデバイスは、かなり個人的なデータ、たとえば特定の患者に投与された特定の薬剤の量を示すデータを収集することができる。このかなり扱いに注意を要するデータは、関連する注射デバイスまたは注射システムが使用されなくなった場合でも、そのような取込みシステムの電子記憶装置内に残っていることがある。一体式のデータ取込みシステムまたはデータ取込みデバイスを含む薬物送達システムまたは薬物送達デバイスは、寿命終了に到達すると、その後は使用されるべきでない。これは特に、使用後は完全に廃棄されることが意図された使い捨ての薬物送達デバイスまたは注射デバイスに当てはまる。データ取込みシステムまたは関連する薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスのうちの少なくとも1つの寿命の終了に到達したとき、取込みシステム内に取り込み記憶されたデータは、無許可使用から保護されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、取込みシステムおよび/または関連する薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスの寿命の終了に到達したとき、取り込まれたデータの無許可使用の防止を提供する、薬物送達システムによって排出または放出された薬物の量に関するデータを取り込むための取込みシステムを提供することが望ましい。その限りにおいて、取込みシステムは、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスの使用中に取り込まれた個人データの無許可使用を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一例では、本開示は、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスによって薬物リザーバから排出または放出された薬物の量を表すデータを取り込むための電子制御式取込みシステムに関する。取込みシステムは、電子回路を含む。電子回路は、電気エネルギーリザーバを含む電気エネルギーユニットを含む。電子回路は、電気エネルギーユニットから得られた電力によって動作可能な処理ユニットをさらに含む。処理ユニットは、データを取得するように動作可能である。電子回路は、電子記憶ユニットをさらに含む。電子記憶ユニットは、処理ユニットに接続される。電子記憶ユニットは、取得データを記憶するように構成される。特に、電子記憶ユニットは、処理ユニットによって以前に取得されたデータを記憶するように構成される。処理ユニットは、取得データを電子記憶ユニット内に書き込むようにさらに動作可能である。処理ユニットはまた、電子記憶ユニットからの記憶データを読み取るように動作可能である。処理ユニットはまた、電子記憶ユニットからの記憶データを提供するように動作可能である。
【0011】
電子回路は、処理ユニット、電子記憶ユニット、および電気エネルギーユニットのうちの少なくとも1つに動作可能に接続されたデータ読取り無効化ユニットをさらに含む。データ読取り無効化ユニットは、起動状態に切換え可能である。起動状態で、データ読取り無効化ユニットは、電子記憶ユニットからの記憶データの読出しまたは電子記憶ユニットからの記憶データの提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止する。
【0012】
電子回路のデータ読取り無効化ユニットは、電子制御式取込みシステムの寿命中および/または電子制御式取込みシステムに関連する薬物送達システムの寿命中に、処理ユニットによって以前に取得されかつ/または電子記憶ユニット内に記憶されたデータへのデータアクセスの抑制を提供する。
【0013】
起動状態で、データ読取り無効化ユニットは、処理ユニットの動作を無効にするように構成することができる。ここで、データ読取り無効化ユニットは、処理ユニットを停止するように、または伝送インターフェースなどのさらなるデータ処理デバイスから処理ユニットを切断するように構成することができる。したがって、データ読取り無効化ユニットは、少なくとも処理ユニットからのデータ通信を無効にするように構成することができる。さらに、データ読取り無効化ユニットは、データ読取り無効化ユニットが電気エネルギーユニットおよび電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つから処理ユニットを切断することができるように、処理ユニットに動作可能に接続することができる。
【0014】
したがって、データ読取り無効化ユニットは、電気エネルギーユニットまたは電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つから処理ユニットを遮断するように構成することができる。このようにして、電子記憶ユニット内に記憶されたデータを電子記憶ユニットから取得することができなくなる。ここで、処理ユニットは、独自の電子記憶装置を有していない。加えて、電子記憶ユニットは、処理ユニットを介してのみアクセス可能である。電子記憶ユニットおよび処理ユニットは、電子回路の一体部材である。処理ユニット内に記憶されたデータは、処理ユニットを介してのみ取得して読み出すことができる。
【0015】
他の例では、データ読取り無効化ユニットが電子記憶ユニットに動作可能に接続されるとき、データ読取り無効化ユニットは、電子記憶ユニットと処理ユニットとの間のデータ接続を遮断するようにさらに構成することができる。
【0016】
追加または別法として、データ読取り無効化ユニットは、電子記憶ユニット内に記憶されたデータを破損および/または破壊するように動作可能とすることができる。いくつかの例では、データ読取り無効化ユニットは、データが実際的に使用不能になるように、電子記憶ユニット内の記憶データを修正するように構成することができる。さらに、データ読取り無効化ユニットは、電子記憶ユニット内の記憶データを削除するように動作可能とすることができる。データ読取り無効化ユニットはまた、電子記憶ユニットのメモリ管理部を再編成または解体するように動作可能とすることができる。このようにして、データは電子記憶ユニット内に残ることもあるが、制御された形で読み出すことはできなくなる。
【0017】
さらなる例では、データ読取り無効化ユニットが電気エネルギーユニットに動作可能に接続されるとき、データ読取り無効化ユニットは、起動状態に切り換えられたとき、処理ユニットおよび電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つから電気エネルギーユニットを切断するように構成することができる。処理ユニットから電気エネルギーユニットを切断することによって、処理ユニットは実質的に動作不能になる。データ読取り無効化ユニットが起動状態である限り、電気エネルギーユニットは、処理ユニットおよび電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つから切断されており、その状態を維持する。このようにして、データ読取り無効化ユニットは、処理ユニットおよび/または電子記憶ユニットに対する電力供給を遮断するように構成される。データ読取り無効化ユニットの起動によって処理ユニットが電気エネルギーユニットから遮断されたとき、電子記憶ユニット内に記憶されたデータの読出しおよび提供が実際的に無効にされる。他の場合、データ読取り無効化ユニットの起動によって、電子記憶ユニットが電気エネルギーユニットから切断または遮断されたとき、処理ユニットは、電子記憶ユニット内に割り当てられた記憶データにアクセスするように動作することができなくなる。
【0018】
他の例では、データ読取り無効化ユニットは、データ読取り無効化ユニットが、起動状態に切り換えられたとき、電気エネルギーユニットの電気エネルギーを枯渇させまたは解放するように動作可能になるように、電気エネルギーユニットに動作可能に接続される。
【0019】
データ読取り無効化ユニットが起動状態であり、その状態を維持する限り、データ読取り無効化ユニットは、電子記憶ユニットからの記憶データの読出しまたは電子記憶ユニットからの記憶データの提供を持続的に防止する。
【0020】
特に、起動状態に切り換えられたとき、データ読取り無効化ユニットは、電気エネルギーユニットと処理ユニットとの間、処理ユニットと電子記憶ユニットとの間、および/または電気エネルギーユニットと電子記憶ユニットとの間の通信または接続を切断または破壊するように動作可能である。さらなる例では、起動状態に切り換えられたとき、データ読取り無効化ユニットは、電気エネルギーユニット、処理ユニット、および電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つの構成、構造、または動作を修正するように構成される。
【0021】
いずれにしても、電子制御式取込みシステムのすべての例で、データ読取り無効化ユニットが起動された後、電子記憶ユニット内に記憶されたデータは、持続的にアクセス不能になり、その状態を維持する。データ読取り無効化ユニットが停止状態に切換え可能であった場合でも、データは持続的にアクセス不能な状態のままになるはずである。
【0022】
さらなる例では、データ読取り無効化ユニットは、起動状態に不可逆的に切換え可能である。典型的に、電子制御式取込みシステムおよび/または関連する薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスの寿命全体にわたって、データ読取り無効化ユニットは停止状態である。使用者の動作によって、または電子制御式取込みシステムもしくは薬物送達システムの寿命終了に到達したとき、データ読取り無効化ユニットは、停止状態から起動状態へ手動でまたは自律的に切り換えられ、それによって電子記憶ユニットからの記憶データの読出しまたは電子記憶ユニットからの記憶データの提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止する。データ読取り無効化ユニットが起動状態に切り換えられた後、データ読取り無効化ユニットを再び停止状態に切り換えることはできない。
【0023】
いくつかの例では、データ読取り無効化ユニットを停止状態から起動状態に切り換えることで、処理ユニットの不可逆的な停止、または電気エネルギーユニットおよび電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つからの処理ユニットの切断をもたらす。そのような停止または切断は、不可逆的である。言い換えれば、処理ユニットが停止を受けた後、処理ユニットを再び起動することはできない。さらに、処理ユニットが電子記憶ユニットまたはさらなるデータ処理デバイスから切断された後、処理ユニットを電子記憶ユニットに、またはたとえば伝送インターフェースとして実施されるさらなるデータ処理デバイスに再接続することはできない。
【0024】
さらに、データ読取り無効化ユニットの起動が、処理ユニットを電気エネルギーユニットから遮断することを含むとき、そのような遮断は不可逆的である。処理ユニットが電気エネルギーユニットおよび/または電子記憶ユニットから遮断された後、データ読取り無効化ユニットを起動状態から再び停止状態へ切り換えることが可能であった場合でも、そのような接続を再確立することはできない。
【0025】
したがって、データ読取り無効化ユニットの最初または1回の起動は、典型的に、電気エネルギーユニット、処理ユニット、および電子記憶ユニットのうちの1つに対して、ならびに/または電気エネルギーユニット、処理ユニット、および電子記憶ユニットのうちのいずれか2つの間の接続に対して、不可逆的な影響を有する。データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えることによって、記憶データの読出し、および/またはさらなるデータ処理デバイス、たとえば伝送インターフェースへのデータの提供が持続的に阻止され、したがって可能でなくなるように、処理ユニット、電子記憶ユニット、および処理ユニットのうちの少なくとも1つを不可逆的に修正または再構成することができる。
【0026】
さらなる例によれば、電気エネルギーリザーバは、有限の電気エネルギーリザーバである。追加または別法として、電気エネルギーリザーバは再充電不能である。特に、電気エネルギーリザーバは、交換不能および/または再充電不能のバッテリを含むことができる。特に、電気エネルギーリザーバは、交換不能および再充電不能の電気バッテリを含む。このようにして、電気エネルギーユニットの電力が消費された後、電力の消失により、電子制御式取込みシステムのさらなる動作は無効にされる。データ読取り無効化ユニットは、起動状態に切り換えられたとき、有限の電気エネルギーリザーバの早期の枯渇または切断を引き起こすように動作可能とすることができる。したがって、有限の電気エネルギーリザーバおよび、特に交換不能および再充電不能のバッテリによって、データ読取り無効化ユニットは、電子制御式取込みシステムのさらなる電気動作が無効になるように、電気エネルギーリザーバからの電気エネルギーを枯渇させるように構成することができる。
【0027】
別の実施形態によれば、データ読取り無効化ユニットは、起動状態にあるとき、電子記憶ユニットおよび電気エネルギーユニットのうちの少なくとも1つから処理ユニットを切断するように動作可能である。特に、データ読取り無効化ユニットは、起動状態に切り換えられたとき、電子記憶ユニットおよび電気エネルギーユニットのうちの少なくとも1つから処理ユニットを不可逆的に切断するように動作可能である。ここで、データ読取り無効化ユニットが起動状態に不可逆的に切換え可能であるときは特に有益である。したがって、データ読取り無効化ユニットが起動状態に切り換えられたとき、処理ユニットは、電子記憶ユニットおよび電気エネルギーユニットのうちの少なくとも1つから切断される。処理ユニットを電子記憶ユニットから切断することで、電子記憶ユニットからの記憶データの読出しを持続的および/または不可逆的に無効にする。処理ユニットを電気エネルギーユニットから切断することで、電子回路の完全な動作不能をもたらす。このようにして、電子記憶ユニット内に記憶されたデータはアクセス不能になり、その状態を維持する。
【0028】
さらなる例によれば、データ読取り無効化ユニットは、起動状態にあるとき、電気エネルギーユニットを処理ユニットから切断するように動作可能である。別法または追加として、データ読取り無効化ユニットは、起動状態にあるとき、電気エネルギーユニットを電子記憶ユニットから切断するように動作可能である。いくつかの特定の例では、データ読取り無効化ユニットは、起動状態にあるとき、処理ユニットおよび電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つから電気エネルギーユニットを不可逆的に切断するように動作可能である。電気エネルギーユニットを処理ユニットから切断することによって、処理ユニットを駆動するのに十分な電気エネルギーを処理ユニットに提供することができなくなる。いくつかの例では、電子記憶ユニットが揮発性記憶装置を含むとき、電気エネルギーユニットを電子記憶ユニットから切断することによって、記憶データの読出しが実際的に防止されるように、揮発性記憶装置内に記憶されたデータを自動的に削除または破損することができる。
【0029】
さらなる例によれば、データ読取り無効化ユニットは、起動状態にあるとき、電気エネルギーユニットを放電するように動作可能である。データ読取り無効化ユニットを起動することによって、電気エネルギーユニットを放電することができる。電気エネルギーユニット内に提供された電気エネルギーは、データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えることによって枯渇させることができる。このため、データ読取り無効化ユニットは、機械スイッチまたは微小機械スイッチを含むことができ、そのようなスイッチは、起動されたとき、電気エネルギーユニットの電気エネルギーの枯渇をもたらす。スイッチまたは微小機械スイッチは、データ読取り無効化ユニットを起動したとき、残りの電気エネルギーを電気エネルギーユニットから枯渇させるために、短絡またはバイパスを提供するように動作可能とすることができる。
【0030】
この例では、データ読取り無効化ユニットが電気エネルギーユニットからの電気エネルギーを放出しまたは枯渇させるように動作可能であるとき、電気エネルギーユニットは、典型的に、有限の電気エネルギーリザーバとして実施される。ここで、電気エネルギーユニットは、再充電不能および交換不能のバッテリからなることができる。電気エネルギーユニットの電気エネルギーが所定の程度まで枯渇しまたは放散されたとき、将来における電子制御式取込みシステムのさらなる動作は無効にされる。
【0031】
さらなる例によれば、データ読取り無効化ユニットは、起動状態にあるとき、電子記憶ユニットから記憶データを削除するように動作可能である。さらに、データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えることによって、電子記憶ユニット内の記憶データを削除することができ、特に不可逆的に削除することができる。ここで、データ読取り無効化ユニットは、電子記憶ユニットの多数の揮発性または不揮発性の記憶ブロックを書換えまたは上書きするように構成することができる。電子記憶ユニットの揮発性または不揮発性の記憶装置内で記憶データを上書きすることによって、電子記憶ユニット内に以前に記憶されたデータは回収不能に失われる。電子記憶ユニット内に取り込み記憶されたかなり扱いに注意を要する個人データの読出しは、恒久的に無効にされる。
【0032】
さらなる例では、データ読取り無効化ユニットは、起動状態にあるとき、電子記憶ユニット内の取得データまたは記憶データを暗号化するように動作可能である。典型的に、データ読取り無効化ユニットは、起動状態に切り換えられたとき、および/または起動状態に切り換えられた後、取得データまたは記憶データを不可逆的に暗号化するように動作可能である。
【0033】
ここで、データ読取り無効化ユニットを切り換えたとき、処理ユニットから得られるデータおよび/または電子記憶ユニット内に以前に記憶されたデータは不可逆的に暗号化される。このため、所定のビットサイズを有する暗号化鍵を使用して、暗号化ルーチンが提供および実行される。暗号化鍵の長さは、利用可能な計算能力に従って選択される。典型的に、暗号化鍵は、利用可能な最大の計算能力を有するスーパーコンピュータを使用した場合でも、暗号化コードまたは鍵を破るには数年を必要とするように選択される。
【0034】
この例では、処理ユニットによって取得されたデータは電子記憶ユニット内に記憶されており、その状態を維持する。しかし、データは不可逆的に暗号化されており、今日利用可能な計算手段では復号することができない。このようにして、暗号化された取得または記憶データの電子記憶装置からの読出しおよび/または提供を行うことはできなくなる。
【0035】
別の例によれば、データ読取り無効化ユニットは、起動状態にあるとき、記憶データの暗号化解除を防止するように動作可能であり、記憶データは、電子記憶ユニット内に暗号化された形式で記憶される。ここで、この例では、処理ユニットは、取得データを暗号化解除し、そのデータを処理ユニット内に暗号化された形式で記憶するように動作可能である。データ読取り無効化ユニットが非活動状態であり、したがって停止状態である限り、処理ユニットは、電子記憶ユニット内に暗号化された形式で記憶されたデータを暗号化解除するように動作可能である。しかし、データ読取り無効化ユニットを起動したとき、処理ユニットの暗号化解除能力は無効にされる。処理ユニットの暗号化解除能力は、典型的に、不可逆的に無効にされる。
【0036】
処理ユニットの暗号化解除能力を無効にすることは、多くの異なる方法で提供することができる。データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えたとき、処理ユニットの特定の機能を恒久的に停止状態にすることができる。ここで、データ読取り無効化ユニットは、データ読取り無効化ユニットの起動に応答して、処理ユニットの暗号化解除能力が恒久的に無効にされるように、処理ユニットを操作または再構成するように動作可能とすることができる。ここで、処理ユニットの暗号化解除能力を無効にすることは、ソフトウェアで実施することができる。たとえば、暗号化解除または暗号化鍵が回収不能に失われるように、処理ユニット内に局所的に記憶された暗号化解除または暗号化鍵を修正または破損することができる。
【0037】
別の例では、処理ユニットの暗号化解除能力を無効にすることは、それぞれの暗号化鍵または暗号化解除鍵を電子記憶ユニットの揮発性メモリブロック内に記憶することによって提供することができる。データ読取り無効化ユニットを起動することによって、電子記憶ユニットのための電気エネルギーの供給を遮断することができる。このようにして、揮発性メモリ内に記憶された暗号化または暗号化解除鍵が回収不能に失われる。それぞれの暗号化または暗号化解除鍵がなければ、電子記憶ユニット内に暗号化された形式で記憶されたデータを暗号化解除することはできない。実際上、暗号化解除または暗号化鍵へのアクセスがなければ、暗号化されたデータは回収不能に失われる。別の例では、データ読取り無効化ユニットを起動したとき、暗号化または暗号化解除鍵は簡単に削除される。
【0038】
別の例によれば、電子制御式取込みシステムは、処理ユニットに接続されたデータ伝送インターフェースをさらに含み、データ伝送インターフェースは、データを伝送するように外部電子デバイスに接続可能である。ここで、データ読取り無効化ユニットは、処理ユニットとデータ伝送インターフェースとの間のデータ伝送接続を阻害または無効化するように動作可能である。いくつかの例では、データ読取り無効化ユニットは、処理ユニットとデータ伝送インターフェースとの間のデータ伝送接続を不可逆的に阻害または不可逆的に無効化するように動作可能である。このようにして、処理ユニットは、電子記憶ユニットからデータを読み出すようにさらに動作可能とすることができるが、電子記憶ユニットから読み取ったデータをデータ伝送インターフェースへ提供することは不能になるはずである。別法として、データ読取り無効化ユニットは、電子制御式取込みシステムから外部電子デバイスへのデータの送信が可能でなくなるように、データ伝送インターフェースを修正または再構成するように構成することができ、またはそのように動作可能とすることができる。
【0039】
このため、データ読取り無効化ユニットは、処理ユニットとデータ伝送インターフェースとの間のデータ伝送接続を中断または破壊するように構成される。データ読取り無効化ユニットは、処理ユニットとデータ伝送インターフェースとの間のデータ伝送接続を不可逆的に中断または不可逆的に破壊するように構成することができる。追加または別法として、データ読取り無効化ユニットは、データ伝送インターフェースの動作または処理ユニットのデータ伝送能力を無効にするように構成することができる。追加またはさらなる代替として、データ読取り無効化ユニットは、データ伝送インターフェースおよび処理ユニットのうちの少なくとも1つのデータ伝送プロトコルを不可逆的に修正または不可逆的に再構成するように動作可能とすることができる。このようにして、処理ユニットとデータ伝送インターフェースとの間のデータ伝送通信を持続的および/または不可逆的に無効にすることができる。
【0040】
多数の例では、データ読取り無効化ユニットは電子的に実施される。いくつかの例では、データ読取り無効化ユニットは完全にソフトウェアで実施される。データ読取り無効化ユニットは、電気エネルギーユニット、処理ユニット、または電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つの論理ユニットとして実施することができる。他の例では、データ読取り無効化ユニットはハードウェアで実施される。データ読取り無効化ユニットは、電気エネルギーユニット、処理ユニット、および電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つと電気接続しているハードウェアによって実施することができる。さらに、データ読取り無効化ユニットは、処理ユニット、電子記憶ユニット、および電気エネルギーユニットのうちの少なくとも1つに動作可能に接続された別個の機械的または電気機械的構成要素として提供および実施することができる。データ読取り無効化ユニットは、ボタンまたは他のタイプの機械作動部材を簡単に押し下げることによって、使用者によって手動で起動可能とすることができる。データ読取り無効化ユニットを手動で起動することによって、電子制御式取込みシステムのハードウェア修正を容易に実施することができ、ハードウェア修正は典型的に不可逆的である。データ読取り無効化ユニットの起動によってハードウェアが修正された後、電気エネルギーユニット、処理ユニット、および電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つの動作が、記憶データの読出しが可能ではなくなるように修正される。
【0041】
追加または代替として、電気エネルギーユニット、処理ユニット、および電子記憶ユニットのうちの少なくとも2つの相互作用が、電子記憶装置からの記憶データの読出しが持続的に無効にされるように修正または再構成される。
【0042】
取込みシステムのいくつかの例では、取込みシステムが処理ユニットに接続されたデータ伝送インターフェースを含むとき、電子記憶ユニット内に記憶されたデータがデータ伝送インターフェースを介して外部電子デバイスへ伝送されない限り、データ読取り無効化ユニットの起動、したがってデータ読取り無効化ユニットの起動状態への切換えが阻止される。言い換えれば、データ読取り無効化ユニットの起動は、データ伝送インターフェースを介して、記憶データを電子記憶装置から外部電子デバイスへ伝送することを必要とする。このようにして、記憶ユニット内に記憶された取得データがさらに処理され、バックアップを受けることが保証される。特に、記憶データは、データ分析のために、たとえば処方された医薬品スケジュールの適合を確認するために、さらに処理することができる。
【0043】
いくつかの例では、電子記憶ユニットからの記憶データの読出しまたは記憶データ提供の防止は、記憶ユニット内に記憶されたデータの一部分にのみ適用される。データ読取り無効化ユニット、電子記憶ユニット、および処理ユニットのうちの少なくとも1つは、実際の時間に先行する所定の時間間隔より古いデータに対してのみ、記憶データの読出しまたは提供を無効にするように構成することができる。ここで、データ読取り無効化ユニットは、有効期間を画成するように構成することができる。このようにして、データ読取り無効化ユニットは、記憶データのうち失効期日より古い部分に対してのみ、電子記憶ユニットからの記憶データの読出しまたは電子記憶ユニットからの記憶データの提供のうちの少なくとも1つを防止するように動作可能とすることができる。
【0044】
失効期日は、可動の日または可動の時間とすることができ、実際の時間と比較した時間間隔によって画成することができる。このようにして、電子記憶ユニット内に最近取得および最近記憶されたデータが、早期のデータ削除または消去を受ける可能性がないことを保証および実現することができる。このようにして、薬物送達システムによる薬物リザーバからの薬物の量のかなり最近の放出または排出についての情報が、処理ユニットにとって可読になり、その状態を維持することを実現することができる。したがって、緊急の状況において、医療従事者などの人物に、少なくとも最近の記憶データを電子記憶ユニットから読み出す可能性が与えられる。これは、患者の瞬時の緊急状況を識別または分類するのに役立つことができる。
【0045】
さらなる例によれば、電子回路は、寿命終了識別ユニットをさらに含む。寿命終了識別ユニットは、取込みシステムおよび薬物送達システムのうちの少なくとも1つの寿命終了を判定および/または示すように動作可能である。寿命終了識別ユニットは、多くの異なる方法で実施することができる。寿命終了識別ユニットによって、その時点を過ぎると電子制御式取込みシステムまたは薬物送達システムが使用されるべきではなくなり、廃棄されるべきである時点を、自動的または自律的に識別することができる。寿命終了識別ユニットは、取込みシステムおよび/または関連する薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスの寿命終了の自動判定を有効にする。寿命終了の状況が識別または示された後、データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えることができる。寿命終了識別ユニットによって、寿命終了構成を識別することができる。これは、データ読取り無効化ユニットを起動し、電子記憶ユニットからの記憶データの読出しもしくは提供を持続的に無効化もしくは防止するのに役立つことができ、またはそのためのトリガとして使用することができる。
【0046】
寿命終了識別ユニットは、データ読取り無効化ユニット、処理ユニット、電子記憶ユニット、および電気エネルギーユニットのうちの少なくとも1つに動作可能に接続することができる。いくつかの例では、寿命終了識別ユニットは、薬物送達デバイスの寿命終了構成を示すように制限される。使用者は次いで、寿命終了構成に気付くことができ、電子制御式取込みシステムを廃棄する前に、データ読取り無効化ユニットを手動で起動することを決定することができる。他の例では、寿命終了識別ユニットは、寿命終了識別ユニットが、寿命終了構成を検出または判定したとき、データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えるように動作可能になりかつ/またはそのように構成されるように、データ読取り無効化ユニットに動作可能に接続される。しかしここではまた、データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えることは、さらなる使用者対話を必要とすることもできる。たとえば、寿命終了識別ユニットは、電子制御式取込みシステムの使用者と通信するように構成することができ、データ読取り無効化ユニットが寿命終了識別ユニットによって自動的に起動またはトリガされることについて、使用者からの承認を必要とすることができる。
【0047】
別の例によれば、寿命終了識別ユニットは、データ読取り無効化ユニットに動作可能に接続される。寿命終了識別ユニットは、データ読取り無効化ユニットを起動状態に設定するように動作可能である。寿命終了識別ユニットは、データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えるように動作可能とすることができる。寿命終了識別ユニットは、データ読取り無効化ユニットを起動状態に自動的に切り換えるように特に実施することができ、それによって電子記憶ユニットからの記憶データの読出しまたは電子記憶ユニットからの記憶データの提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止することができる。
【0048】
さらなる例によれば、寿命終了識別ユニットは、電気エネルギーユニットの電気エネルギーの利用可能な量を判定するように動作可能である。寿命終了識別ユニットは、電気エネルギーの判定された量または利用可能な量を、電気エネルギーユニットの電気エネルギーの所定の最小量と比較するようにさらに動作可能である。言い換えれば、寿命終了識別ユニットは、電気エネルギーユニットの電力または電気エネルギーの利用可能な量または残留量を自律的に検出または判定するように動作可能である。電気エネルギーの利用可能な量または残留量を所定の最小量と比較することによって、寿命終了識別ユニットは、取込みシステムおよび/または電気エネルギーユニットが電力不足または電気エネルギー不足の状態に近づいていることを、処理ユニット、電子記憶ユニット、またはデータ読取り無効化ユニットのうちの少なくとも1つに示すように動作可能とすることができる。
【0049】
たとえば、電気エネルギーの所定の最小量は、電子記憶ユニットの書込みまたは消去処置を開始または実行するために必要とされる電気エネルギーの最小量を反映することができる。ここで、寿命終了識別ユニットは、電子記憶装置の記憶データの削除または消去動作を開始および/または実行するように、処理ユニットおよびデータ読取り無効化ユニットのうちの少なくとも1つをトリガするように動作可能とすることができる。電気エネルギーユニットの電気エネルギーの利用可能な量または残留量を判定することによって、制御されていない電力の損失を回避することができる。このようにして、取込みシステムが電力または電気エネルギー不足になる前に、電子記憶ユニットからの記憶データの読出しまたは記憶データの提供を防止するために、データ読取り無効化ユニットを起動状態に自律的に切り換えることができる。
【0050】
電気エネルギーの利用可能な量と電気エネルギーの所定の最小量との比較により、利用可能な電力または残留電力が電気エネルギーの所定の最小量より小さいことが明らかになる限り、取込みシステムは、電子記憶ユニット内でデータを取得および記憶するように、通常どおり動作することができる。
【0051】
しかし、電気エネルギーの利用可能な量または残留量と電気エネルギーの所定の最小量との比較により、取込みシステムの電力または電気エネルギーを使い切りつつあることが明らかになったとき、寿命終了識別ユニット、処理ユニット、およびデータ読取り無効化ユニットのうちの少なくとも1つは、寿命終了ルーチンを自律的にトリガすることができる。寿命終了ルーチンは、多数の異なる方法で構成することができる。一例では、寿命終了ルーチンは、処理ユニットまたはデータ読取り無効化ユニット内でプログラムすることができる。寿命終了ルーチンは、取込みシステムが寿命終了構成に到達したときに実行または実施されなければならない多数の工程を画成することができる。
【0052】
いくつかの例では、寿命終了ルーチンは、電子記憶ユニットからの記憶データのバックアップを開始することを含むことができる。ここで、処理ユニットは、電子記憶ユニットから外部電子デバイスへの取得および/または記憶データの伝送を自律的にトリガすることができる。このため、電子記憶ユニットは、伝送インターフェースへの通信リンクを確立するように、または取込みシステムの伝送インターフェースと外部電子デバイスの相手側伝送インターフェースとの間の通信リンクを確立するように、動作可能とすることができる。データバックアップ処置が完了したとき、寿命終了ルーチンは、電子記憶ユニット内の記憶データを消去するさらなる工程を含むことができる。
【0053】
他の例では、寿命終了ルーチンは、電気エネルギーユニットおよび電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つから処理ユニットを不可逆的に切断する工程を含むことができる。他の例では、寿命終了ルーチンは、処理ユニットおよび電子記憶ユニットのうちの少なくとも1つから電気エネルギーユニットを切断する工程を含む。他の例では、寿命終了ルーチンは、電気エネルギーユニットから電力または電気エネルギーを不可逆的に枯渇させる工程を含む。さらなる例では、寿命終了ルーチンは、電子記憶ユニット内の取得データまたは記憶データの不可逆的な暗号化をトリガするように動作可能である。さらなる例では、寿命終了ルーチンは、電子記憶ユニット内に暗号化された形式で記憶されている記憶データの暗号化解除を不可逆的に防止する工程を含む。実際上、寿命終了ルーチンは、電子記憶ユニットからの記憶データの読出しまたは電子記憶ユニットからの記憶データの提供のうちの少なくとも1つを防止するために、上述した手段のいずれかを含むことができ、または提供することができる。
【0054】
さらなる例によれば、寿命終了識別ユニットは、薬物送達システムの使用回数、薬物送達システムおよび取込みシステムのうちの1つが最初に使用されてからの時間、ならびに薬物送達システムとともに使用された交換可能な薬物容器の数のうちの少なくとも1つを判定するように動作可能なカウンタを含む。カウンタおよび/または寿命終了識別ユニットは、取込みシステムの処理ユニットに一体化することができる。薬物送達システムの使用回数、薬物送達システムおよび取込みシステムのうちの1つが最初に使用されてからの時間、ならびに/または薬物送達システムとともに使用された交換可能な薬物容器の数は、薬物送達システムと組み合わせた取込みシステムの意図された使用中に、処理ユニットによって取得されたデータから導出することができる。
【0055】
さらに、カウンタは、取込みシステムの使用者および/または薬物送達システムの使用者によって作動可能とすることができる。ここで、カウンタおよび/または寿命終了識別ユニットに、薬物送達システムの所定の最大使用回数、薬物送達システムおよび取込みシステムのうちの1つが最初に使用されてからの最大時間、ならびに薬物送達システムとともに使用された交換可能な薬物容器の最大数を提供することができる。判定された数または判定された時間が所定の最大数または所定の最大時間に近く、等しく、またはそれを超える場合、寿命終了識別ユニットは、取込みシステムの、および/または薬物送達システムの、および/または薬物送達システムとともに使用された薬物容器の寿命終了構成に到達したことを示すように動作可能とすることができる。寿命終了識別ユニットは、取込みシステムの使用者および/または薬物送達システムの使用者に、この寿命終了状況を示すことができる。この特定の方法で寿命終了識別ユニットによって識別された寿命終了構成は、データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えるように、処理ユニットおよびデータ読取り無効化ユニットのうちの少なくとも1つをさらに自律的にトリガすることができ、それによって電子記憶ユニットからの記憶データの読出しおよび/または記憶データの提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止することができる。
【0056】
カウンタが、薬物送達システムの使用回数が薬物送達システムの所定の最大使用回数に近く、等しく、またはそれを超えると判定した後、寿命終了識別ユニットおよび/または処理ユニットは、上述した寿命終了ルーチンをトリガまたは実行するように動作可能とすることができる。同じことは、カウンタが、薬物送達システムおよび取込みシステムのうちの1つが最初に使用されてからの時間が、薬物送達システムおよび取込みシステムのうちの1つが最初に使用されてからの所定の最大時間に近く、等しく、またはそれを超えると判定したときにも適用される。
【0057】
それに対応して、寿命終了識別ユニット、処理ユニット、およびデータ読取り無効化ユニットのうちの少なくとも1つは、薬物送達システムとともに使用された交換可能な薬物容器の判定された数が、薬物送達システムとともに使用された交換可能な薬物容器の所定の最大数に近く、等しく、またはそれを超えるとき、寿命終了ルーチンを開始またはトリガするように構成することができる。
【0058】
さらなる例によれば、寿命終了識別ユニットは、少なくとも1つのセンサに動作可能に接続される。少なくとも1つのセンサは、薬物送達システムの温度、圧力、湿度、運動、向き、電磁放射の存在および/または強度、ならびに完全性のうちの少なくとも1つを判定するように動作可能である。このようにして、センサは、薬物送達システムの温度センサ、圧力センサ、湿度センサ、運動もしくは加速度センサ、向きセンサ、光検出センサ、または完全性センサを構成することができ、またはそのようなセンサとして実施することができる。寿命終了識別ユニットは、少なくとも1つのセンサから提供された信号を処理するようにさらに動作可能である。センサは、センサ信号を提供し、センサ信号は、寿命終了識別ユニットによって、センサデータを生成するように処理される。データ読取り無効化ユニット、処理ユニット、および寿命終了識別ユニットのうちの少なくとも1つは、寿命終了識別ユニットによって提供および/または処理されたセンサデータを、所定のセンサデータと比較し、たとえば薬物送達システムが使用されるべき環境または周囲条件を画成するように動作可能とすることができる。
【0059】
薬物送達システムがたとえば不適合な雰囲気または環境で使用または収納されている状況では、たとえば薬物送達システムが許容可能な最大時間間隔を上回って高い温度で維持されたとき、リザーバ内に収容された薬物が劣化する可能性があり、使用されるべきではなくなる。少なくとも1つのセンサによって、そのような不適合な周囲条件を検出することができる。環境条件が所定の周囲条件に整合しなくなったことが検出された場合、寿命終了識別ユニットは、薬物リザーバ内に提供された薬物が使用されるべきではなくなったこと、およびたとえば薬物送達システム全体が廃棄されるべきであることを、取込みシステムまたは薬物送達システムの使用者に示すことができる。これは特に、たとえば薬物送達システムが使い捨て薬物送達システムであるとき、および/または取込みシステムがそのような薬物送達システムに一体化されているときに当てはまる。そのような状況では、寿命終了識別ユニットは、データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えるように、処理ユニットおよびデータ読取り無効化ユニットのうちの少なくとも1つをトリガするように動作可能とすることができる。
【0060】
少なくとも1つのセンサは、環境センサとして実施することができる。注射デバイスなどの薬物送達システムとともに使用される環境センサの例は、たとえばWO2016/115372A1に開示されており、その開示を参照によって本明細書に組み入れる。
【0061】
さらなる例によれば、寿命終了識別ユニットは、薬物送達システムの使用者開始動作を検出するように動作可能なコントローラを含み、そのような使用者開始動作は、薬物の用量の投薬を含む。コントローラは、使用者開始動作を経時的に記録するようにさらに動作可能である。コントローラは、記録された使用者開始動作に基づいて、薬物送達システムの使用者開始動作に対する周期および時間または時間窓のうちの少なくとも1つを含む薬物のための投与方式を推定するようにさらに動作可能である。コントローラは、推定された投与方式に対する薬物送達システムの使用の不適合を判定するようにさらに動作可能である。したがって、コントローラを所定の医薬品スケジュールによって事前にプログラムすることができ、またはコントローラに所定の医薬品スケジュールを提供することができる。
【0062】
コントローラは、薬物送達システムの使用者開始動作を経時的に検出および記録するようにさらに動作可能である。このようにして、コントローラは、所定の医薬品または処方スケジュールに対する薬物送達システムの実際の使用の適合または不適合を推定するように動作可能である。コントローラが、薬物送達システムの使用の不適合を判定したとき、これは、使用者が薬物送達システムおよび/または取込みシステムへのアクセスを失ったという標示となることができる。推定された投与方式に対する不適合の検出は、上述した寿命終了ルーチンを自律的にトリガすることができ、かつ/またはデータ読取り無効化ユニットの起動状態への切換えをトリガすることができる。不適合の検出または判定は、使用者が薬物送達システムおよび/または取込みシステムを使用しなくなったという標示となることができる。したがって、電子記憶ユニットの記憶データの誤使用を防止するために、推定された投与方式に対する薬物送達システムの使用の不適合の判定または検出は、データ読取り無効化ユニットの起動状態への切換えを自律的にトリガすることができ、それによって電気エネルギーユニットからの記憶データの読出しまたは記憶データの提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止することができる。
【0063】
ここで実施される推定された投与方式に対する薬物送達システムの使用の不適合を判定する方法のいくつかの例は、EP2729202B1に記載されており、その開示を参考によって本明細書に組み入れる。
【0064】
さらなる例によれば、寿命終了識別ユニットのコントローラは、処理ユニットに一体化される。ここで、処理ユニットは、寿命終了識別ユニットのコントローラを含むことができる。また、寿命終了識別ユニット全体を、電子制御式取込みシステムの電子回路の処理ユニットに一体化することができる。寿命終了識別ユニットのコントローラは、処理ユニットの論理ユニットまたは論理モジュールとすることができる。寿命終了識別ユニットおよび/またはそのコントローラは、処理ユニットのハードウェア構成要素に一体化することができる。このようにして、電子回路のハードウェア構成要素を提供するための製作コストおよび費用をかなり低いレベルに抑えることができ、したがって使い捨ての電子制御式取込みシステムにおける電子回路の実装を有効にすることができる。
【0065】
さらなる例によれば、寿命終了識別ユニットは、データ交換検出器を含む。データ交換検出器は、取込みシステムと外部電子デバイスとの間のデータ通信の確立を経時的に検出および/または記録するように動作可能である。データ交換検出器は、寿命終了識別ユニットのコントローラに一体化することができる。したがって、データ交換検出器はまた、電子回路の処理ユニットに一体化することができる。データ交換検出器によって、取込みシステムと外部電子デバイスとの間の定期的なデータ通信を監視および調査することができる。データ交換検出器は、検出された使用者開始動作に基づいて、取込みシステムおよび外部電子デバイスに対するデータ交換方式を推定することができる。周期および/または所定のデータ交換ルーチンもしくは処置に基づいて、推定されたまたは所定のデータ交換方式を提供することができる。
【0066】
データ交換検出器によって、推定されたデータ交換方式に対するデータ交換の適合または不適合を検出することができる。このようにして、推定されたまたは所定のデータ交換方式に対する取込みシステムと外部電子デバイスとの間のデータ通信の不適合が検出された場合、寿命終了識別ユニットは、データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えるように、処理ユニットおよびデータ読取り無効化ユニットのうちの少なくとも1つをトリガするように動作可能とすることができる。外部電子デバイスは、取込みシステムの伝送インターフェースとの通信リンクを確立するように動作可能な相手側伝送インターフェースを備えた移動電子デバイスとして実施することができる。
【0067】
外部電子デバイスは、スマートフォン、スマートウォッチ、血糖測定デバイス、および/または有線もしくは無線データ交換環境を含むことができる。典型的な使用シナリオでは、データ交換検出器および/または寿命終了識別ユニットは、定期的に、選択されたまたは所定の外部電子デバイスとペアリングすることができる。データ交換検出器および/または寿命終了識別ユニットは、以前に判定または検出された外部電子デバイスのうちの少なくとも1つとの通信リンクを定期的に要求または定期的に確立するようにプログラムすることができる。そのような外部電子デバイスが、所定の時間間隔にわたって、たとえば数時間、数日、または数週間にわたって利用可能でない状況では、これは、委ねられたデータ交換環境において取込みシステムが使用されなくなったという標示となることができる。そのような状況は、データ交換検出器によって、データ交換方式に対する不適合として、自律的に識別することができる。不適合の検出に応答して、データ交換検出器は、データ読取り無効化ユニットの起動状態への切換えを開始および/または実行するように、処理ユニットおよびデータ読取り無効化ユニットのうちの少なくとも1つをトリガするように動作可能とすることができる。
【0068】
さらなる例によれば、寿命終了識別ユニットは、処理ユニットに一体化される。したがって、寿命終了識別ユニットおよび処理ユニットは、1つの同じハードウェア構成要素によって提供される。典型的に、電子回路は、マイクロプロセッサを含む。寿命終了識別ユニットおよび処理ユニットはどちらも、マイクロプロセッサ内に一体化される。処理ユニットおよび寿命終了識別ユニットは、マイクロプロセッサの別個の論理ブロックである。
【0069】
さらなる例によれば、処理ユニットは、マイクロプロセッサによって提供される。別法として、処理ユニットは、マイクロプロセッサ内で実装される。マイクロプロセッサは、少なくとも1つまたはいくつかのマイクロコントローラを含むことができる。マイクロプロセッサは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むことができる。
【0070】
さらなる例によれば、マイクロプロセッサは、データ読取り無効化ユニットを起動状態に設定するように構成される。ここで、データ読取り無効化ユニットの起動状態への切換えは、マイクロプロセッサによって実行およびトリガすることができる。このようにして、データ読取り無効化ユニットの起動状態への切換えは、マイクロプロセッサによって提供される電子信号処理によって実行することができる。データ読取り無効化ユニットの起動状態への切換えは、ソフトウェアによって排他的に実施することができる。使用者による作動によって開始され、または処理ユニットおよび/もしくは寿命終了識別ユニットによって自律的に開始されるソフトウェアコマンドは、データ読取り無効化ユニットの起動をもたらすことができる。このようにして、取込みシステムが好適な伝送インターフェースを装備するとき、遠隔データ接続を介してでも、データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えることができる。したがって、取込みシステムおよび/または取込みシステムを装備した薬物送達システムを見失った状況、ならびにそれぞれのシステムの使用者が、薬物送達システムおよび取込みシステムのうちの少なくとも1つへの物理的アクセスを失った状況では、伝送インターフェースおよび処理ユニットを介した遠隔データリンクまたはデータ通信を介して、データ読取り無効化ユニットを起動することができる。
【0071】
マイクロプロセッサが、データ読取り無効化ユニットを起動状態に設定するように構成されるとき、マイクロプロセッサおよびデータ読取り無効化ユニットは、別個のハードウェア構成要素として提供することができる。ここで、たとえばデータ読取り無効化ユニットは、電気エネルギーユニットから電気エネルギーまたは電力を放出しまたは枯渇させるように実施することができる。データ読取り無効化ユニットは、別個のコントローラとして、またはマイクロプロセッサから分離されているがマイクロプロセッサによって制御可能である電子的に起動可能なスイッチとして、提供することができる。他の例では、データ読取り無効化ユニットは、起動されたとき、取込みシステムの伝送インターフェースを離調するように動作可能とすることができる。そのような離調はまた、電子的に制御可能な別個のスイッチによって提供することができる。
【0072】
いくつかのさらなる例によれば、データ読取り無効化ユニットは、マイクロプロセッサに一体化される。ここで、マイクロプロセッサ自体は、電子記憶ユニットからの記憶データの読出しまたは電子記憶ユニットからの記憶データの提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止するように動作可能である。これは特に、データ読取り無効化ユニット、したがって処理ユニットが、電子記憶ユニット内の記憶データを消去または上書きするように動作可能である取込みシステムの例に適用することができる。他の例では、データ読取り無効化ユニットがマイクロプロセッサに一体化されるとき、マイクロプロセッサは、電子記憶ユニットからのデータの読出しが防止される状態に、不可逆的に切換え可能とすることができる。
【0073】
さらなる例によれば、データ読取り無効化ユニットは、電子スイッチおよび機械スイッチのうちの少なくとも1つを含む。電子スイッチおよび機械スイッチのうちの各々1つは、データ読取り無効化ユニットを起動するように動作可能である。したがって、少なくとも1つの電子スイッチおよび/または少なくとも1つの機械スイッチによって、データ読取り無効化ユニットは、起動状態に切換え可能である。スイッチ、すなわち電子スイッチおよび/または機械スイッチは、電子記憶ユニット内の記憶データを不可逆的に消去するように実施することができる。スイッチは、電子記憶ユニット内の記憶データの削除または消去動作を開始または実行するように、処理ユニットをトリガするように動作可能とすることができる。スイッチは、使用者作動可能とすることができる。このようにして、使用者は、自身の自由裁量で、データ消去動作を開始および/または実行することができる。
【0074】
スイッチは、処理ユニットによって作動可能とすることができる。したがって、スイッチの起動は、処理ユニットによって実行されるソフトウェアおよび/またはソフトウェアコマンドによって制御することができる。スイッチ、すなわち電子スイッチおよび機械スイッチのうちの少なくとも1つはまた、作動されたとき、電気エネルギーユニットから処理ユニットを切断し、かつ/または処理ユニットおよび電子記憶ユニットのうちのいずれかから電気エネルギーユニットを切断するように動作可能とすることができる。さらに、スイッチは、処理ユニットから電子記憶ユニットを切断するように実施することができ、または逆も同様である。電気エネルギーユニット、処理ユニット、および電子記憶ユニットのうちのいずれかの間の電子または電気接続のあらゆる切断は、不可逆的とすることができる。電気エネルギーユニット、処理ユニット、および電子記憶ユニットのうちの1つと、処理ユニット、電子記憶ユニット、および電気エネルギーユニットのうちのもう1つとの間の電子または電気接続が切断された後、この切断された接続を再確立または再接続することはできない。
【0075】
さらなる態様では、本開示は、薬物送達システムに取り付けられるように構成されたデータ取込みデバイスに関する。データ取込みデバイスは、薬物送達システムの薬物容器から排出または放出された薬物の量を示すデータを収集するように動作可能である。データ取込みデバイスは、上述したハウジングおよび取込みシステムを含む。取込みシステムは、ハウジング内に配置され、またはハウジング内に一体化される。
【0076】
いくつかの例では、データ取込みデバイスのハウジングは、薬物送達システムのハウジングに取付け可能および/または固定可能である。データ取込みデバイスのハウジングはまた、薬物送達システムのハウジングに一体化することができる。データ取込みデバイス全体を、薬物送達システムに一体化された構成要素またはユニットとして実施することができる。データ取込みデバイスおよび薬物送達システムのうちの両方または少なくとも一方を、それぞれ使い捨てデバイスまたはシステムとして実施または構成することができる。したがって、データ取込みデバイスおよび/または薬物送達システムの寿命終了に到達したとき、それぞれのデバイスまたはシステムは、完全に廃棄されることが意図される。取込みシステムのデータ読取り無効化ユニットの廃棄が起動される前、またはその間、特に電子制御式取込みシステムまたはそれぞれの薬物送達システムの寿命終了構成が検出または判定されたとき、使用者との直接もしくは遠隔の相互作用によって、または自律的に、データ読取り無効化ユニットの起動をトリガすることができる。
【0077】
さらなる態様によれば、本開示はまた、液体薬物の量を排出または放出する薬物送達システムに関する。薬物送達システムは、液体薬物で充填された薬物容器を収容するように構成されたハウジングを含む。薬物送達システムはまた、薬物容器から薬物の量を排出または放出するように動作可能な駆動機構を含む。薬物送達システムは、上述した取込みシステムをさらに含む。ここで、取込みシステムは、ハウジング内またはハウジング上に配置される。取込みシステムは、薬物送達システムに一体化することができる。さらに、取込みシステムは、薬物送達デバイスに一体化することができる。薬物送達デバイスは、注射もしくは注入デバイスを含むことができ、または注射もしくは注入デバイスとして実施することができる。薬物送達システムは、液体薬剤の皮下注射向けに構成された注射ペンを含むことができる。注射ペンとして実施されたとき、薬物送達デバイス、特に薬物送達デバイスの薬物機構は、遠位方向、したがって用量投薬方向に前進して、カートリッジ状の薬物容器のピストンに推力をかけ、薬物容器の遠位出口を介して薬剤の量、たとえば用量を排出するように構成されたピストンロッドまたはプランジャロッドを含む。
【0078】
注入デバイスとして実施されたとき、駆動機構は、たとえば吸引によって、薬物容器から薬物または薬剤の所定の量、たとえば用量を引き出しまたは排出するように構成されたポンプを含むことができる。ここで、ポンプは、蠕動ポンプまたは同様の圧送機構を構成することができる。
【0079】
さらなる例では、薬物送達システムは、薬物で充填されてハウジング内に配置された薬物容器をさらに含む。薬物送達システムおよび/またはそれぞれの薬物送達デバイスは、充填済み薬物送達システムまたは薬物送達デバイスとして構成または実施することができ、その中に薬物容器を容易に組み立てることができる。そのような充填済み薬物送達システムまたは薬物送達デバイス、特に充填済み薬物注射デバイスは、薬物容器内に提供された薬物が使い尽くされたとき、または使用されるべきではなくなったとき、完全に廃棄されることが意図された使い捨てシステムまたは使い捨てデバイスとして実施することができる。
【0080】
別の態様によれば、本開示は、上述したデータ取込みシステムの電子記憶ユニットからのデータの読出しまたは提供を無効にする方法に関する。この方法は、データ読取り無効化ユニットを起動状態に設定し、電子記憶ユニットからのデータの読出しまたは電子記憶ユニットからのデータの提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止する工程を含む。
【0081】
データの読出しまたは提供を無効にする方法は、上述した電子制御式取込みシステムによって実施可能である。その限りにおいて、電子制御式取込みシステムに関連して上述したいずれの構成、利益、および効果も、電子記憶ユニットからのデータの読出しまたは提供を無効にする方法に等しく適用され;逆も同様である。
【0082】
別の態様によれば、本開示はまた、電子制御式取込みシステムからのデータの読出しまたは提供を無効にする方法に関する。取込みシステムは、電子記憶ユニット内にデータを取り込むように動作可能である。データは、薬物送達システムによって薬物リザーバから排出または放出された薬物の量を表す。この方法は、薬物送達システムおよび取込みシステムのうちの少なくとも1つの寿命終了を検出する工程を含む。この方法は、寿命終了の検出に応答して、取込みシステムのデータ読取り無効化ユニットを起動する工程をさらに含み、この方法は、電子記憶ユニットからのデータの読出しまたは電子記憶ユニットからのデータの提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止する工程をさらに含む。典型的に、この方法はまた、上述した電子制御式取込みシステムによって実施されるように構成される。その限りにおいて、電子制御式取込みシステムに関連して上述したいずれの構成、利益、および効果も、電子記憶ユニットからのデータの読出しまたは提供を無効にする方法に等しく適用され;逆も同様である。
【0083】
データの読出しまたは提供を無効にする任意の方法によって、データ読取り無効化ユニットを起動状態に設定すること、またはデータ読取り無効化ユニットを起動することは、不可逆的である。データ読取り無効化ユニットが起動された後、データ読取り無効化ユニットを停止状態にすることはできず、またはデータ読取り無効化ユニットを停止状態にすることは、電子記憶ユニット内に提供された記憶データに対する復活効果をもたない。
【0084】
概して、本開示の範囲は、特許請求の範囲の内容によって画成される。注射デバイスは、特有の実施形態または例に限定されるものではく、異なる実施形態または例の要素のあらゆる組合せを含む。その限りにおいて、本開示は、請求項のあらゆる組合せ、および異なる例または実施形態に関連して開示する構成のあらゆる技術的に実行可能な組合せを包含する。
【0085】
この文脈で、「遠位」または「遠位端」という用語は、人間または動物の注射部位の方を向いている注射デバイスの端部に関する。「近位」または「近位端」という用語は、人間または動物の注射部位から最も離れている注射デバイスの反対の端部に関する。
【0086】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書で用いられる場合、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態では、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、かつ/あるいはペプチド、タンパク質、多糖、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモン、もしくはオリゴヌクレオチド、または上述した薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病もしくは糖尿病に伴う合併症、たとえば、糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害、たとえば、深部静脈血栓塞栓症もしくは肺血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチの治療および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病に伴う合併症、たとえば、糖尿病性網膜症の治療および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)もしくはそのアナログもしくは誘導体、もしくはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4またはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4のアナログもしくは誘導体を含む。
【0087】
インスリンアナログは、たとえば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0088】
インスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0089】
エキセンジン-4は、たとえば、H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2の配列のペプチドであるエキセンジン-4(1-39)を意味する。
【0090】
エキセンジン-4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H-(Lys)4-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)5-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39);もしくは
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
(ここで、基-Lys6-NH2が、エキセンジン-4誘導体のC-末端に結合していてもよい);
【0091】
もしくは、以下の配列のエキセンジン-4誘導体:
desPro36エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2(AVE0010)、
H-(Lys)6-desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desMet(O)14 Asp28 Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5 desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Lys6-desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(S1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン-4誘導体の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物
から選択される。
【0092】
ホルモンは、たとえば、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンである。
【0093】
多糖は、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化形たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩である。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。
【0094】
抗体は、基本構造を共有するイムノグロブリンとしても公知の球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位はイムノグロブリン(Ig)単量体(Ig単位のみを含む)であり、分泌型抗体は、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもありうる。
【0095】
Ig単量体は、4本のポリペプチド鎖;システイン残基間のジスルフィド結合によって結合した2本の同一の重鎖および2本の同一の軽鎖からなる「Y」字型の分子である。各重鎖は約440アミノ酸長であり、各軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化する鎖内ジスルフィド結合を含む。各鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインで構成される。これらのドメインは、70~110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に従って異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的なイムノグロブリン折り畳み構造を有する。
【0096】
α、δ、ε、γ、およびμで表される5タイプの哺乳動物Ig重鎖が存在する。存在する重鎖のタイプにより抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体中に見出される。
【0097】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)とを有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、αおよびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つのイムノグロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0098】
哺乳動物では、λおよびκで表される2タイプのイムノグロブリン軽鎖が存在する。軽鎖は、2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211~217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を含み、哺乳動物の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0099】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)について3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0100】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化により、Igプロトタイプが3つのフラグメントに切断される。1つの完全なL鎖と約半分のH鎖とをそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズは同等であるが鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶化可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH-H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合を、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域を融合して、単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することができる。
【0101】
薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類、たとえば、Na+、もしくはK+、もしくはCa2+から選択されるカチオン、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)、(式中、R1~R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1~C6アルキル基、場合により置換されたC2~C6アルケニル基、場合により置換されたC6~C10アリール基、または場合により置換されたC6~C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容可能な塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0102】
薬学的に許容可能な溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0103】
本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を本開示に加えることができることが、当業者にはさらに明らかである。さらに、添付の特許請求の範囲で使用されるあらゆる参照番号は、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0104】
以下、充填レベルインジケータを含む注射デバイスの多数の例について、図面を参照することによって、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【
図2】薬物送達デバイスおよび電子デバイスを含む薬物送達システムの一例を示す図である。
【
図4】電子デバイスが取り付けられた薬物送達デバイスの近位端の詳細図である。
【
図5】一体化された電子デバイスを有する薬物送達デバイスの別の例を示す図である。
【
図6】データ読取り無効化ユニットの一般動作原理のブロック図である。
【
図8】電子デバイスの電子記憶装置の一例のブロック図である。
【
図9】電子記憶装置内に記憶されたデータの概略図である。
【
図10】電子記憶装置からのデータ読出しを無効にする一例を概略的に示す図である。
【
図11】電子記憶装置からのデータ読出しを無効にする一例を概略的に示す図である。
【
図12】電子記憶装置からのデータ読出しを無効にする別の例を概略的に示す図である。
【
図13】電子記憶装置からのデータ読出しを無効にする別の例を概略的に示す図である。
【
図14】電子記憶装置からのデータ読出しを無効にする別の例を概略的に示す図である。
【
図15】データ読出しを無効にする方法の流れ図である。
【
図16】データ読出しを無効にするさらなる方法の別の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
図1および
図2に示す注射デバイス1は、ハウジング10を含む充填済みの使い捨て注射デバイスとして実施することができ、ハウジング10にはニードルアセンブリ15を取り付けることができる。ニードルアセンブリ15の注射針24は、内側ニードルキャップ16および外側ニードルキャップ17または保護キャップ18によって保護されており、保護キャップ18は、注射デバイス1のハウジング10の遠位セクションを密閉および保護するように構成される。ハウジング10は、駆動機構30を収容するように構成された主ハウジング部材を含むことができ、そのような部材を形成することができる。注射デバイス1は、薬物容器ホルダ14として示されている遠位ハウジング構成要素をさらに含むことができる。薬物容器ホルダ14は、主ハウジング10に恒久的または解放可能に連結することができる。薬物容器ホルダ14は、典型的に、液体薬剤で充填された薬物容器6を収容するように構成される。薬物容器6は、セプタムなどの穿孔可能な封止によって遠位端の方へ封止されたカートリッジを構成することができる。
【0107】
図1にさらに示すように、注射デバイス1は、ハウジング10と、液体薬剤で充填された容器6とを含む。容器6は、薬物リザーバまたは薬剤リザーバを提供する。容器6は、液体薬剤で充填された実質的に管形のバレルまたはボトルを構成することができる。薬剤リザーバ6は、近位方向3に向かって、変位可能な栓7またはストッパによって閉じることができる。栓7は、栓7をさらに遠位方向2に、したがって薬剤リザーバ6の遠位出口の方へ付勢するように段階的または連続的に遠位方向に変位するように構成された駆動機構30のピストンロッド26に機械的に接触することができる。出口またはその付近で、薬剤リザーバ6は、穿孔可能な膜を含むことができる。ニードルアセンブリ15は、薬物容器ホルダ14の遠位端に設けられたねじ付ソケット20にねじ連結するように構成されたねじ付ニードルハブ22を含む。
図2に示すように、薬物容器ホルダ14の遠位末端は、注射針24の近位先端部を受け入れるための貫通口21を含む。特に、ニードルアセンブリ15の注射デバイス針24は、ニードルハブ22と交差しており、両先端カニューレを構成する。
【0108】
駆動機構30は、栓を遠位方向に付勢して薬剤リザーバ6、たとえばカートリッジから薬剤を排出するように動作可能なピストンロッド26を含む。ピストンロッド26の遠位端は、典型的に、細長いピストンロッド26と比較すると径方向に広い構造を有する圧力片28を含む。圧力片28は、栓7を薬剤リザーバ6の側壁に対して変位させるために、栓7の近位面に直接機械的に接触するように構成される。ピストンロッド26は、ハウジング10にねじ係合するねじ付ロッドを含むことができる。
【0109】
データ取込みシステム100の一例が、
図2に示されている。データ取込みシステム100は、データ取込みデバイス102を含む。データ取込みデバイス102の構造および可能な構成は、
図3~
図14により詳細に示されている。データ取込みデバイス102は、ハウジング101を含む。データ取込みシステム100および/またはデータ取込みデバイス102は、薬物送達システムまたは薬物送達デバイス1のハウジング10に直接取付け可能および固定可能とすることができる。しかし、薬物送達デバイス1へのデータ取込みシステム100またはデータ取込みデバイス102の機械的な固定は、必ずしも必要であるとは限らない。データ取込みデバイス102またはデータ取込みシステム100が、伝送インターフェース、たとえば無線伝送インターフェースを介して薬物送達システムまたは薬物送達デバイス1に接続されまたは接続可能であれば十分である。このようにして、データ取込みシステム100またはデータ取込みデバイス102は、薬物送達システムまたは薬物送達デバイス1からデータ126を取得することができ、取得データは、薬物リザーバ6から排出または放出された薬物の量を表す。
【0110】
いくつかの例では、データ取込みデバイス102は、薬物送達デバイス1のハウジング10、14に取付け可能および/または固定可能である。このため、薬物送達デバイス1のハウジング10、14および取込みデバイス102のうちの少なくとも1つは、取込みデバイス102を薬物送達デバイス1に解放可能または解放不能に連結しかつ/または取り付けるための締め具を含む。
【0111】
薬物送達デバイス1は、用量ダイヤル12およびトリガ11を含む。
図1に示す例では、用量ダイヤル12およびトリガ11は、ハウジング10の近位端に設けられている。注射デバイス1は、投与量窓13をさらに含み、投与量窓13内には、現在設定されている薬剤の用量サイズが視覚的に示される。用量の設定の場合、使用者は単に、用量ダイヤル12をハウジング10に対して用量増分方向4に回転させる。用量の設定中、連続して増大する数字が投与量窓13内に現れる。現在設定されている用量が大きすぎる場合、使用者は、用量ダイヤル12を反対の方向、したがって用量減分方向5にダイヤル設定しまたは回転させることによって、用量のサイズを減少させる可能性も有する。適当なサイズの用量が設定または選択された後、トリガ11を押し下げることによって、たとえば注射デバイスの近位端面を形成することによって、用量投薬処置をトリガまたは制御することができる。トリガ11は、使用者の親指によって押し下げることができる。
【0112】
図7に関連して以下でさらに説明するように、データ取込みシステム100および/またはデータ取込みデバイス102は、データ伝送インターフェース111を含む。データ伝送インターフェース111は、
図2に示す少なくとも1つの外部電子デバイス40、60、90との通信リンクを確立するように実施することができる。ここでは、データ通信環境が概略的に示されている。データ伝送インターフェース111によって、データ取込みデバイス102は、外部電子デバイス40、60、90のうちのいずれかへの無線データ伝送リンクを設定することができる。
図2の例示では、外部電子デバイス40は、携帯型電子デバイスとして実施されている。外部電子デバイス40は、データ取込みデバイス102と無線で通信するように動作可能なスマートウォッチ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、または同様の携帯型電子デバイスとして実施することができる。さらなるまたは代替の外部電子デバイス60は、非携帯型または据置き型の外部電子デバイスとして実施することができる。外部電子デバイス60は、無線ネットワークアクセスを提供するルータまたはアクセスポイントとして実施することができる。
【0113】
外部電子デバイス40および外部電子デバイス60はどちらも、ネットワーク80、たとえばインターネット、したがってデータベース90へのさらなる通信リンクを確立するように構成することができる。データベース90は、患者または治療関連データのための電子記憶空間を提供することができる。データベース90は、データバックアップ、特に電子制御式取込みシステムによって取得および記憶されたデータのための電子記憶空間を提供することができる。無線伝送インターフェース111と外部電子デバイス40、60との間の無線通信は、Wi-Fi、NFC、RFID、またはBluetoothなどの複数の利用可能な無線データ伝送規格のうちの1つに基づくことができる。典型的に、データ取込みデバイス102と外部電子デバイス40、60のうちのいずれかとの間のデータの無線伝送は、RF放送技術に基づいている。
【0114】
典型的なシナリオでは、データ伝送インターフェース111は、Bluetooth式の無線接続を介して、外部電子デバイス40と通信するように構成することができる。データ伝送インターフェース111は、Wi-Fi無線通信プロトコルを介して、外部電子デバイス60と通信することができる。データ伝送インターフェース111と利用可能な外部電子デバイス40、60のうちのいずれか1つとの間の通信リンクは、単方向式とすることができる。この通信リンクはまた、双方向式とすることもできる。
【0115】
薬物送達デバイスの用量設定および用量投薬は、
図3を参照してより詳細に示されている。ここで、用量ダイヤル12およびトリガ11は、ダイヤル延長部50の一部である。用量の設定中、および/または用量の設定のために、用量ダイヤル12を回転させることで、ダイヤル延長部50をハウジング10に対して近位方向3に長手方向に変位させる。用量の投薬中、トリガ11を遠位方向2に押し下げたとき、ダイヤル延長部50は、
図1に示す初期構成に到達するまで、遠位方向2に長手方向の変位を受ける。ダイヤル延長部50は、多数の数字または記号を外面に含む用量ダイヤルスリーブ52をさらに含むことができる。
図3に示すそれらの数字または記号は、用量の設定中および/または投薬中に、投与量窓13に現れる。
【0116】
図4で、データ取込みシステム100およびデータ取込みデバイス102の別の例が与えられている。ここで、データ取込みデバイス102は、薬物送達デバイス1の用量ダイヤル延長部50に取付け可能なハウジング101を含む。データ取込みデバイス102は、薬物送達デバイス1のトリガ11に動作可能に連結されたまたは動作可能に連結可能なトリガ171を含む。
図4に示すデータ取込みデバイス102のハウジング101は、薬物送達デバイスの用量ダイヤル12に固定可能および取付け可能である。ハウジング101は、トルクを伝送するように、したがって滑らないように、用量ダイヤル12に接続される。したがって、ハウジング10に対するハウジング101の回転は、ハウジング10に対する用量ダイヤル12のそれぞれの回転をもたらす。駆動機構30の特有の実装例に応じて、用量ダイヤル12は、用量の設定および/または投薬中、ハウジング10に対して、長手方向および回転方向を組み合わせた運動を受けることができる。駆動機構30の他の実装例では、用量ダイヤル12は、ハウジング10に軸方向または長手方向に固定される。用量の設定のためおよび用量の設定中、用量ダイヤル12は、ハウジング10に対する回転運動を排他的に受けるが、ハウジング10に対して軸方向に固定されたままである。
【0117】
図5で、データ取込みシステム100およびデータ取込みデバイス102の別の例が示されている。ここで、データ取込みデバイス102およびデータ取込みシステム100は、薬物送達デバイス1のハウジング10に一体化される。ここでも、薬物送達デバイス1は、手持ち式の携帯型注射デバイスとして実施される。薬物送達デバイス1は、電子的または電気機械的に実施される。薬物送達デバイス1は、用量投薬のためおよび用量投薬中、ピストンロッド26を遠位方向2に変位させるように動作可能な電気駆動部を含むことができる。
【0118】
データ取込みデバイス102は、薬物送達デバイス1に一体化される。データ取込みデバイス102および/または薬物送達デバイスは、ディスプレイとして実施することができる視覚出力112を含む。データ取込みデバイス102および/または薬物送達デバイス1は、薬物送達デバイス1および/またはデータ取込みデバイス102の動作を制御または構成するために、たとえばボタンとして実施される少なくとも1つの入力110をさらに含む。
【0119】
図1~
図5に示す取込みシステム100およびデータ取込みデバイス102の任意の実装例では、電子制御式取込みシステム100またはそれぞれのデータ取込みデバイス102は、
図7に示す電子回路108を含む。電子回路108は、電気エネルギーリザーバ117を含む電気エネルギーユニット116を含む。電子回路108は、電気エネルギーユニット116から得られる電力によって動作可能な処理ユニット114をさらに含む。電子回路108は、処理ユニット114に接続された電子記憶ユニット118をさらに含む。処理ユニット114は、データ126を取得するように動作可能であり、データ126は、薬物送達システムまたは薬物送達デバイス1によって薬物リザーバ6から排出または放出された薬物の量、たとえば用量を表す。
【0120】
処理ユニット114は、取得データ126を電子記憶ユニット118内に書き込むように動作可能である。処理ユニット114は、電子記憶ユニット118からの記憶データ126を読み取り、電子記憶ユニット118からの記憶データ126を提供するようにさらに動作可能である。データ126を外部電子デバイス40、60へ提供するために、
図7に示す取込みシステム100は、データ伝送インターフェース111をさらに含む。取込みシステム100は、少なくとも1つの出力112を含む。出力112は、無線通信プロトコルを介して外部電子デバイス40、60のうちの少なくとも1つとのデータ通信リンクを設定または確立するように動作可能な無線データ伝送アンテナを含むことができる。
【0121】
このようにして、正常動作モード中、電子制御式取込みシステム100は、データ126を繰返し取り込み、または取得し、それぞれのデータを電子記憶ユニット118内に記憶するように動作可能である。定期的な時間間隔で、かつ/または要求に応じて、処理ユニット114は、データ126を電子記憶ユニット118から読み取り、典型的に出力112および/またはデータ伝送インターフェース111を介して、このデータ126を外部電子デバイス40、60のうちの少なくとも1つに利用可能にするように動作可能である。
【0122】
取込みシステム100、したがって取込みデバイス102は、データ読取り無効化ユニット160をさらに装備する。データ読取り無効化ユニット160は、処理ユニット114、電子記憶ユニット118、および電気エネルギーユニット116のうちの少なくとも1つに動作可能に接続される。データ読取り無効化ユニットは、起動状態に切換え可能である。起動状態で、データ読取り無効化ユニット160は、電子記憶ユニットからの記憶データ126の読出しまたは電子記憶ユニット118からの記憶データ126の提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止する。典型的な例では、データ読取り無効化ユニット160は、デフォルトで停止モードである。データ読取り無効化ユニット160は、停止状態から起動状態へ不可逆的に切換え可能である。したがって、データ読取り無効化ユニット160は、起動された後、再び停止状態にすることはできず、または停止状態にすることは、記憶データ126の読出しもしくは提供に対する復活効果をもたない。
【0123】
いくつかの例では、電気エネルギーユニット116は、有限の電気エネルギー源である。電気エネルギーユニットは、1つまたはいくつかの電気エネルギーリザーバ117を含むことができる。
図7に示す電気エネルギーリザーバ117は、バッテリセルを含むことができ、またはバッテリセルからなることができる。いくつかの例では、電気エネルギーユニット116および/または電気エネルギーリザーバ117は再充電不能であり、交換可能でない。この場合、電気エネルギーユニット116内に提供および貯蔵される電気エネルギーが放散または消費されたとき、電子回路108、したがって処理ユニット114は動作可能でなくなる。
【0124】
電子記憶ユニット118は、
図8により詳細に概略的に示されている。電子記憶ユニット118は、揮発性記憶装置140および不揮発性記憶装置142を含むことができる。揮発性記憶装置140および不揮発性記憶装置142はどちらも、多数のメモリブロックを含むことができる。他の例では、電子記憶ユニット118は、不揮発性記憶装置142のみを含み、または揮発性記憶装置140のみを含む。
【0125】
処理ユニット114は、典型的に、取得データ126に時間標示またはタイムスタンプを割り当てるための時間またはクロック信号を提供するように動作可能なクロック生成器122を含む。クロック生成器122は、処理ユニット114の一体部材とすることができる。クロック生成器122はまた、処理ユニット114から離れた別個の構成要素として提供することができる。
【0126】
データ読取り無効化ユニット160は、処理ユニット114、電気エネルギーユニット116、および電子記憶ユニット118のうちの少なくとも1つに動作可能に接続可能である。いくつかの実施形態では、データ読取り無効化ユニット160は、処理ユニット114、電子記憶ユニット118、および電気エネルギーユニット116のうちの1つのみまたは2つに接続される。他の例では、データ読取り無効化ユニット160は、処理ユニット114、電子記憶ユニット118、および電気エネルギーユニット116のうちのいずれか2つの間の接続またはデータリンクに動作可能に接続される。
【0127】
いずれにしても、データ読取り無効化ユニット160は、電気エネルギーユニット116、処理ユニット114、および電子記憶ユニット118のうちの少なくとも1つの完全性および/または動作性を修正、再構成、破損、または破壊するように動作可能である。同様に、データ読取り無効化ユニット160は、処理ユニット114、電気エネルギーユニット116、および電子記憶ユニット118のうちのいずれか2つの間の接続を切断または破壊するように動作可能とすることができる。
【0128】
図6に示すように、電気エネルギーユニット116は、供給接続115によって処理ユニット114に接続される。電気エネルギーユニット116からの電力または電気エネルギーは、供給接続115を介して処理ユニット114へ伝達可能である。供給接続115を介して電気エネルギーユニット116に適当に接続されたとき、処理ユニット114は、電気エネルギーユニット116によって提供される電気エネルギーによって駆動される。
【0129】
処理ユニット114は、書込みデータリンク106および読取りデータリンク103を介して、電子記憶ユニット118に接続または連結される。処理ユニット114に提供されまたは処理ユニット114によって処理された取得データ126は、書込みデータリンク106を介して、電子記憶ユニット118の好適なメモリブロック内に書き込むことができる。記憶データ126は、読取りデータリンク103を介して、電子記憶ユニット118から読み取ることができる。
【0130】
処理ユニット114は、データ伝送インターフェース111をさらに備える。データ伝送インターフェース111は、処理ユニット114と任意の外部電子デバイス40、60との間の任意のタイプの外部通信を有効にして提供する。このため、データ伝送インターフェース111は、ダウンリンクデータリンク105およびアップリンクデータリンク104を提供する。取込みシステム100のデータ取得システムによって取得されたデータ126、または用量サイズ測定センサから得られたデータ126は、ダウンリンクデータリンク105を介して、処理ユニット114へ提供される。ダウンリンクデータリンク105を介して得られたデータは、処理ユニット114によって処理することができ、書込みデータリンク106を介して電子記憶ユニット118内に記憶することができる。反対の方向では、電子記憶ユニット118から読み取られて読取りデータリンク103を介して処理ユニット114へ提供されるデータ126は、データ伝送インターフェース111を介して、アップリンクデータリンク104によって伝送することができる。
【0131】
取込みシステム100および/または薬物送達システム1の寿命終了の際、電子記憶ユニット118内に記憶された記憶データ126の誤使用を防止するために、データ読取り無効化ユニット160は、電子記憶ユニット上の記憶データ126の読出しまたは電子記憶ユニット118からの記憶データの提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止するための多数の手法のうちの少なくとも1つを提供する。
【0132】
1つの手法では、データ読取り無効化ユニット160は、電気エネルギーユニット116を操作または再構成するように動作可能である。ここで、データ読取り無効化ユニット160は、電気エネルギーユニットからの電気エネルギーを早い段階で放出しまたは枯渇させるように動作可能とすることができる。ここで、電気エネルギーユニット116は、有限の電気エネルギーリザーバである。電気エネルギーユニット116は再充電不能であり、電子回路に交換不能に一体化される。データ読取り無効化ユニット160は、起動されたとき、電気エネルギーユニット116を枯渇させまたは放電することができる。次いで取込みシステム100は、電子記憶ユニット118からデータ126を読み出すのに十分な電力をもたなくなる。
【0133】
別の例では、データ読取り無効化ユニット160は、電気エネルギーユニット116と処理ユニット114との間の供給接続115を切断または破損するように動作可能である。ここで、処理ユニット114は、独自のエネルギー供給を有していない。供給接続115を不可逆的に切断および/または不可逆的に破壊することによって、処理ユニット114は恒久的に停止され、再び動作モードに設定することはできない。このようにして、電子記憶ユニット118内に記憶されたデータ126の読出しが持続的に防止される。
【0134】
別の例では、データ読取り無効化ユニット160は、処理ユニット114をトリガまたは再構成するように動作可能である。したがって、データ読取り無効化ユニット160は、処理ユニット114をデータ消去モードに切り換えるように動作可能とすることができる。データ消去モードに切り換えられたとき、処理ユニット114は、電子記憶ユニット118内のデータ126を消去するように動作可能とすることができる。ここで、さらなるデータまたは乱データによって、データを上書きすることができる。メモリセルまたは記憶セルを上書きすることで、電子記憶ユニット118内に以前に記憶されたデータ126の持続的な削除を提供する。
【0135】
さらなる例では、処理ユニット114は、エンコーダ124またはデコーダを装備しまたは含む。エンコーダ124は、電子記憶ユニット118内に記憶されたデータ126を符号化または暗号化するように動作可能である。したがって、データ読取り無効化ユニット160によってトリガされたとき、処理ユニット114は、電子記憶ユニット118内に記憶されたデータ126を暗号化または符号化するように動作可能とすることができる。暗号化は、鍵に基づいて実行することができる。鍵は、処理ユニット114によってランダムに生成することができる。データ暗号化の完了後、鍵は処理ユニット114によって削除することができる。整合する鍵がなければ、電子記憶ユニット118内に記憶されたデータ126は復号不能であり、暗号化解除することができない。データ126がまだ電子記憶ユニット118内に暗号化された形式で記憶されている場合でも、データ126を読み出すことまたはアクセス可能にすることはできない。
【0136】
別の例では、処理ユニット114は、デフォルトで、電子記憶ユニット118内に暗号化された形式のみで取得データ126を記憶する。データ126を読み出す場合、データの暗号化解除が処理ユニット114によって実行された後、出力112を介して外部電子デバイス40、60へデータ126が伝送される。ここで、データ読取り無効化ユニットによって適当にトリガされたとき、処理ユニット114は、電子記憶ユニット118内に暗号化された形式で以前に記憶されたデータを暗号化解除することができなくなるように、復号または暗号化解除鍵を削除するように構成することができる。
【0137】
この文脈で、電子記憶ユニット118内に記憶されたデータが暗号化されており、または寿命終了に到達したときに暗号化されるとき、暗号化または暗号化解除のためのそれぞれの鍵144は、電子記憶ユニット118の揮発性記憶装置140内に記憶することができる。正常動作中、データ読取り無効化ユニットが停止状態にある限り、処理ユニット114は、データ読取り処置を実施または実行するときに記憶データ126を復号または暗号化解除するために、揮発性記憶装置140から鍵144を読み取りまたは取得することができる。この例では、データ読取り無効化ユニット160が、電気エネルギーユニット116から電気エネルギーを枯渇させもしくは放散するように構成されるとき、および/またはデータ読取り無効化ユニットを起動したときに電気エネルギーユニット116と電子記憶ユニット118との間のエネルギー供給が切断されたとき、揮発性記憶装置140内に提供された鍵144は不可逆的に失われる。したがって、処理ユニット114に電力を提供しようとした場合でも、記憶データ126の暗号化解除が可能ではなくなる。
【0138】
さらなる例によれば、データ読取り無効化ユニット160は、電子記憶ユニット118内の記憶データ126を消去しまたは無効にするように動作可能である。さらなる例では、データ読取り無効化ユニット160は、記憶データ126を電子記憶ユニット118から処理ユニット114へ伝送することができる読取りデータリンク103を切断または破損するように動作可能である。ここで、データ読取り無効化ユニット160は、読取りデータリンク103を不可逆的に切断または不可逆的に破壊するように構成することができる。電子記憶ユニット118は、記憶装置からデータを抽出するように構成されたさらなるデータリンクを有していないため、電子記憶ユニット118内に記憶されたデータの読出しが実際的に防止される。
【0139】
他の例では、データ読取り無効化ユニット160は、起動状態に切り換えられたとき、アップリンクデータリンク104を修正または再構成、たとえば離調するように動作可能である。このようにして、処理ユニット114は、データ読取り無効化ユニットが起動状態に切り換えられたときでも、電子記憶ユニット118から記憶データ126を読み出すことが有効にされたままとすることができる。しかし、処理ユニット114によって読み取られて処理ユニット114に利用可能にされたデータ126を、外部電子デバイス40、60のいずれかへ、さらにまたはこれ以上伝送することはできない。ここで、データ読取り無効化ユニット160は、データ伝送インターフェース111と外部電子デバイス40、60のうちの1つのそれぞれの相手側データ伝送インターフェースとの間の無線通信リンクのデータ伝送周波数またはキャリア周波数を離調するように動作可能とすることができる。
【0140】
図10~
図14で、データ読取り無効化ユニット160が起動状態に不可逆的に切り換わるように動作可能であり、記憶データのデータ読出しまたは伝送が持続的に阻止または防止されるいくつかの例が示されている。
【0141】
簡単にするために、
図10~
図14では、電子回路108のいくつかの構成要素のみが示されている。
図10の例で、電気エネルギーユニット116は、有限の電気エネルギーリザーバである。電気エネルギーユニット116は、再充電不能バッテリを含む。処理ユニット114は、電気エネルギーユニット116に電気的に接続されて電気エネルギーユニット116によって駆動されるマイクロプロセッサ113を含む。電子スイッチ152を含む電力管理部150がさらに提供される。電子スイッチは、電界効果またはバイポーラトランジスタ、たとえばMOSFETまたはJFETまたはFETトランジスタなどの1つまたはいくつかのトランジスタを含むことができる。電力管理部150は、ここではこれ以上詳細には示されていないが、抵抗器またはキャパシタなどの多数の個別の電子構成要素をさらに含むことができる。
【0142】
電子スイッチ152は、停止状態から起動状態へ切換え可能とすることができる。停止状態で、マイクロプロセッサ113の2つの入力ポートは、電気エネルギーリザーバ117の2つのポートまたは電極に電気的に接続される。電子スイッチ152が起動状態に切り換えられたとき、マイクロプロセッサ113の入力ポートは、電気エネルギーユニット116から、したがって電気エネルギーリザーバ117から、実際的に切断される。ここで、データ読取り無効化ユニット160は、電子スイッチ152を起動状態に切り換えることによって、起動状態に切り換えられる。
【0143】
処理ユニット114、したがってマイクロプロセッサ113は、電力から不可逆的に切断される。電子スイッチ152に対する代替として、
図5に示すように、機械スイッチ162を実施することもできる。電子スイッチ152および/または機械スイッチ162はどちらも、処理ユニット114を電気エネルギーユニット116から不可逆的に切断するために、取込みシステム100の使用者によって手動で作動可能とすることができる。
【0144】
図11に示す代替の例では、電力管理部150は、電力管理集積回路156(電力管理IC)を含み、電力管理ICは、処理ユニット114および/またはマイクロプロセッサ113のそれぞれの出力によって切換え可能とすることができる。したがって、寿命終了に到達したとき、または寿命終了が検出されたとき、処理ユニット114は、処理ユニット114を電気エネルギーユニット116から持続的に切断するように、電力管理IC156をトリガすることができる。電力管理ICは、DDSチップ、ステップアップコンバータおよびステップダウンコンバータ、低ドロップレギュレータ、バックコンバータ、ブーストコンバータ、または電流ドライバ回路のうちの1つを含むことができる。
【0145】
図12に示すデータ読取り無効化ユニット160のさらなる例では、処理ユニット114および/またはそれぞれのマイクロプロセッサ113は、それ自体をオフに切り換えるように動作可能とすることができる。ここで、マイクロプロセッサ113の1つまたはいくつかの出力ポートは、寿命終了の際、処理ユニット114が不可逆的に寿命終了モードに入り、そこから復活することができなくなるように、切り換えまたは起動することができる。たとえば、マイクロプロセッサ113は、マイクロプロセッサ113を恒久的にオフに切り換えまたは不可逆的にスリープモードに設定することができるリセットピンまたはオン/オフピンを含むことができる。
【0146】
図13に示すさらなる例では、データ読取り無効化ユニット160は、データ伝送インターフェース111の出力112を離調または修正するように構成される。このため、寿命終了に到達したとき、データ読取り無効化ユニット160および/または処理ユニット114は、アンテナ158のインピーダンスを恒久的に離調しまたは接地に接続することができる電子スイッチ152を起動するように動作可能とすることができる。アンテナ158は、アップリンクデータリンク104およびダウンリンクデータリンク105のうちの少なくとも1つを代表または提供することができる。アンテナ158を不可逆的に修正することによって、いずれの外部電子デバイス40、60との無線通信リンクの確立も実際的に防止することができる。電子記憶ユニット118内に記憶されたデータ126は、いずれの外部電子デバイス40、60へも伝送することができない。
【0147】
さらなる例として、
図14に示すように、データ読取り無効化ユニット160は、たとえば電気的に動作可能な光源、たとえばLEDの形態の電気負荷154を含む。処理ユニット114および/またはマイクロプロセッサ113によって起動可能な電子スイッチ152がさらに提供される。寿命終了または寿命終了構成を検出したとき、データ読取り無効化ユニット160、たとえば処理ユニット114は、電子スイッチをオンに切り換えるように構成することができ、それによって電気負荷154を介して電気エネルギーユニット116のショートカットを生じさせることができる。ここで、電気エネルギーユニット116内に提供された電気エネルギーは、早い段階で枯渇させられまたは放散される。電子回路108は電力を使い切る。
【0148】
図10~
図14のいずれかに示す電子スイッチ152のいずれかは、電子実施式とすることができ、マイクロプロセッサ113および/または処理ユニット114自体によって切換え可能または作動可能とすることができることに留意されたい。示されているすべての例では、概して、電子スイッチ152を、デバイスの使用者によって作動可能な機械スイッチ162に置き換えることが考えられる。機械スイッチ162は、再利用防止物または再起動防止物を備えまたは装備することができる。したがって、機械スイッチを作動させ、それによってデータ読取り無効化ユニット160を起動状態に切り換えたとき、データ読取り無効化ユニットを起動状態から再び停止状態へ逆方向に切り換えることは可能でない。機械スイッチの再利用防止物は、スイッチを作動したときに不可逆的に分解するように構成された穿孔式機械構造を含むことができる。さらに、機械スイッチ162は、不可逆的に取外し可能なフラップまたはストラップを含むことができ、そのようなフラップまたはストラップは、データ取込みデバイス102から取り外されまたは剥がされたとき、再びデータ取込みデバイス102に取り付けることはできない。
【0149】
図9に、電子記憶ユニット118内に記憶されたときの記憶データ126の構造の一例が示されている。連続する数字の行として示されている多数のメモリブロックを提供することができる。各行に対して、投与量または薬物送達情報が提供される。各行に、たとえばクロック生成器122によって生成されたタイムスタンプ、および薬物リザーバ6から実際に排出または放出された薬物の量が提供される。
図9の例では、用量サイズが整数で与えられている。
【0150】
各メモリブロックは、番号で示されている。たとえば、メモリブロック番号93は、20単位の量の薬剤または薬物が朝8:03に投与されたことを示す。次の記憶ブロック94は、30単位の量が夜20:05に投与されたことを示す。
図9に示すデータ126は、投与方式を表すこともできる。ここで、患者は、朝8:00に20単位、夜20:00に30単位の薬物を毎日投与しなければならない。データ126は、電子記憶ユニット118の不揮発性記憶装置142内に完全に記憶することができる。データ126の一部のみが不揮発性記憶装置142内に記憶され、他のデータ、たとえば記憶ブロック93、94、95などの最近でないまたはより古いデータは、揮発性記憶装置140内に記憶されることも考えられる。そのような構成では、データ読取り無効化ユニット160が、電力を早い段階で枯渇させ、または電気エネルギーユニット116を処理ユニット114および/もしくは電子記憶ユニット118から切断するように動作可能であるとき、最近のデータ、たとえば記憶ブロック99、98、97、96内のデータのみを原則的に読み出すことができる。このようにして、介護者には常に、最近の投与に関連するデータを電子記憶ユニット118から入手しまたは読み出す可能性を提供することができる。これは、実際または最近の医薬品に関する情報が非常に貴重および重要な緊急の状況で有用である。
【0151】
電子記憶ユニット118内に記憶されたデータ126は、投与方式を推定するためにさらに分析することができる。たとえば、
図9に示すデータによって、取込みシステムは、朝8:00に20単位の投与および夜20:00に30単位の投与など、投与方式を判定または推定するように動作可能とすることができる。次に、処理ユニット114によって取得されたデータ126が、推定された投与方式から大幅に逸脱する場合、特に期限日もしくは期限時間から数時間過ぎても、現在期限になっている投与動作が実施されないとき、またはそのような投与動作を検出することができないとき、これは、取込みシステムおよび/または薬物送達システムが使用されなくなったという標示となることができる。推定されたまたは所定の投与方式に対する薬物送達システムの使用の不適合のそのような判定は、取込みシステムおよび/または薬物送達システム1の寿命終了に到達したというトリガとして使用することができる。
【0152】
多数の例では、
図7に示す取込みシステム100は、寿命終了識別ユニット120を装備する。寿命終了識別ユニットは、取込みシステム100および薬物送達システムのうちの少なくとも1つの寿命終了を判定および/または示すように動作可能である。寿命終了識別ユニット120は、データ読取り無効化ユニット160に動作可能に接続される。寿命終了識別ユニット120は、データ読取り無効化ユニット160を起動状態に設定するように動作可能である。このようにして、薬物送達システム1および取込みシステム100のうちの少なくとも1つの寿命終了構成が検出または判定されたとき、寿命終了識別ユニット120によって、データ読取り無効化ユニット160を自律的に起動状態に切り換えることができ、それによって電子記憶ユニット118からの記憶データ126の読出しまたは提供を防止することができる。
【0153】
寿命終了識別ユニット120は、場合により、環境センサなどのセンサ130を装備することができる。センサ130は、薬物容器6の充填レベルを判定するようにさらに動作可能とすることができる。センサ130は、薬物送達システム1または薬物送達デバイスの駆動機構30の瞬時の構成を判定または検出するようにさらに実施することができる。特に、センサ130は、薬物容器6またはハウジング10に対するピストンロッド26の軸方向または長手方向の位置を判定するように構成することができる。
【0154】
さらに、センサ130は、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスの温度、圧力、湿度、運動、向き、電磁放射の存在および/または強度、ならびに完全性のうちの少なくとも1つを判定するように動作可能な環境センサとして実施することができる。たとえば、センサ130が薬物送達デバイスの解体を判定または検出するように動作可能である場合、薬物送達デバイスを解体するべきであるとき、検出器130によってこれを検出することができる。したがって、寿命終了識別ユニット120は、デバイスが解体されたこと、および寿命終了に到達したことを適当に検出する。したがって、寿命終了識別ユニット120は、データ読取り無効化ユニット160を起動状態に切り換えるように動作可能であり、それによって以前に取得および/または記憶されたデータの読出しまたは提供を無効にすることができる。
【0155】
寿命終了識別ユニット120は、場合により、コントローラ132および/またはデータ交換検出器134を含むことができる。このようにして、寿命終了の到達を示す多数の他の手法および状況も実施することができる。コントローラ132およびデータ交換検出器134によって、寿命終了識別ユニット120は、データ取込みシステム100と外部電子デバイス40、60との間のデータ通信の確立を経時的に判定または検出または記録することが有効にされる。ここで、データ交換の最大量を、寿命終了識別ユニット120内に設定および/または記憶することができる。許容可能な最大量のデータが入れ替えられた場合、寿命終了識別ユニット120は、データ読取り無効化ユニット160を起動状態に設定しまたは切り換えるように動作可能とすることができる。
【0156】
さらに、さらなる例では、寿命終了識別ユニット120は、カウンタ121を含むことができる。カウンタ121は、薬物送達システムもしくは薬物送達デバイス1の使用回数、薬物送達システムもしくはデバイスおよび取込みシステム100のうちの1つが最初に使用されてからの時間、ならびに/または薬物送達システムとともに使用された交換可能な薬物容器の数のうちの少なくとも1つを判定するように動作可能とすることができる。このようにして、取込みシステムおよび/または薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスの寿命終了を判定するための他の基準を実施することができる。たとえば、寿命終了識別ユニット120は、薬物送達システム1の用量の数または使用回数を計測するように構成することができる。たとえば、許容可能な所定の最大数、たとえば200回の使用を超え、またはそれに到達した場合、寿命終了識別ユニット120は、データ読取り無効化ユニット160を起動状態に切り換えるように動作可能とすることができ、それによって記憶データ126の読出しを無効にすることができる。
【0157】
同様に、電子制御式取込みシステム100が、取込みシステムの最初の起動から所定の時間間隔にわたって継続したことが知られている再充電不能の有限電気エネルギーリザーバ117を装備するとき、カウンタ121は、最初の起動日または時間からの時間を計測するように動作可能とすることができる。電気エネルギーユニットが継続することが保証された所定の時間に到達する前、またはその時間に到達したとき、寿命終了識別ユニット120は、電子記憶ユニット118内に記憶されたデータ126の最終バックアップ処置をトリガすることができ、データ読取り無効化ユニット160の次の起動をさらにトリガすることができる。
【0158】
寿命終了識別ユニット120は、データ読取り無効化ユニット160および処理ユニット114のうちの少なくとも1つに動作可能に接続される。いくつかの状況では、寿命終了識別ユニット120が処理ユニット114に排他的に接続されると有益である。次いで、処理ユニット114は、データ読取り無効化ユニット160が不可逆的に起動される前に、薬物送達デバイス1の使用者との最終の対話または通信をトリガすることができる。このようにして、使用者には、たとえばデータ読取り無効化ユニット160の自律的起動を無効にし、またはデータの最終的な消去を手動でトリガする可能性が与えられる。
【0159】
図7による取込みシステム100のブロック図は、単なる例示である。データ読取り無効化ユニット160は、処理ユニット114内へ完全に一体化することができる。処理ユニット114および電子記憶ユニット118は、電子回路108内へ完全に一体化することができる。電子回路108は、マイクロプロセッサ113内で実施することができる。
【0160】
図15で、データ取込みシステム100の電子記憶ユニット118からのデータの読出しまたは提供を無効にする方法の3つの連続する工程200、202、204が示されている。第1の工程200で、薬物送達システム1または薬物送達デバイスの寿命終了が、それぞれのデバイスの使用者によって検出または判定される。工程202で、データ読取り無効化ユニット160は、起動状態に切り換えられる。次に、工程204で、データ読取り無効化ユニット160は、起動されたとき、上述した電子記憶ユニット118からの記憶データ126の読出しまたは電子記憶ユニット118からの記憶データ126の提供のうちの少なくとも1つを持続的に防止する。工程200における寿命終了の検出は、上述した方法および手法のいずれかによって実行することができる。工程202におけるデータ読取り無効化ユニット160の起動は、上述した工程および手法のいずれかによって実行することができ、工程204におけるデータ読出しまたはデータ提供の防止もまた、上述した方法のいずれかによって実行することができる。
【0161】
図16に示す電子制御式取込みシステムからのデータの読出しまたは提供を無効にする方法のさらなる流れ図では、第1の工程300で、寿命終了識別ユニット120が、デフォルトでループモードであり、工程300および302を繰返し実行する。工程300で、センサデータまたは他の入力データが処理される。次の工程302で、処理データが認証され、たとえば寿命終了構成に到達したかどうかを判定するために、所定のまたは記憶されたデータと比較される。寿命終了構成に到達していない場合、この方法は工程300に戻り、薬物送達システムまたは薬物送達デバイス1の使用に関するさらなるデータが生成および/または処理される。工程302で、寿命終了識別ユニット120が、寿命終了構成に到達したと判定した場合、この方法は工程304へ進む。工程304で、データ読取り無効化ユニット160は、起動状態に切り換えられ、記憶データの読出しまたは提供に関して上述した結果が得られる。
【0162】
いくつかのさらなる例では、上述した機械スイッチ162または電子スイッチ152は、トリガ11および用量ダイヤル12のうちの1つに一体化または実施することができる。これは特に、
図5に示す注射デバイス1に適用することができる。ここで、トリガ11および/または用量ダイヤル12は、処理ユニット114に動作可能に接続された入力110に連結することができる。入力110は、トリガ11および/または用量ダイヤル12に機械的に連結された1つまたはいくつかのセンサまたはスイッチを含むことができる。
【0163】
データ読取り無効化ユニットを起動状態に切り換えるために、処理ユニット114によって解釈される用量ダイヤル12および/またはトリガ11の使用または動作の多数の符号化された手法が存在する。たとえば、トリガ11を所定の時間間隔内に2回押し下げて解放することは、処理ユニット114および寿命終了識別ユニット120のうちの1つによって、寿命終了信号として解釈することができる。検出されて正確に解釈されたとき、処理ユニット114および寿命終了識別ユニット120のうちの少なくとも1つは、データ読取り無効化ユニット160を起動状態に切り換えるように動作可能である。データ読取り無効化ユニット160の起動状態への切換えに応答して、電子記憶ユニット118内の記憶データ126を削除することができる。
【0164】
寿命終了構成を画成する別の手法では、第1の押下げ動作と第2の押下げ動作との間に用量をダイヤル設定することなく、トリガ11を2回押し下げて解放することができる。その後、用量ダイヤル12は、任意の単位に設定され、したがって用量増分方向に任意の単位にダイヤル設定される。その後、用量ダイヤル12は、反対方向にダイヤル設定され、ゼロ用量構成に戻る。削除または寿命終了構成を確認するために、トリガ11はもう一度押下される。
【0165】
さらなる例では、用量ダイヤル12は、1より大きい任意の単位にダイヤル設定される。所定の用量サイズに到達してから所定の時間間隔内で、用量ダイヤルは、用量減分方向に沿って後方にダイヤル設定され、その後、再びゼロ用量構成に到達する。このゼロ用量構成で、トリガがもう一度押し下げられる。次いで、所定の時間間隔が経過した後、トリガは2回目に押し下げられる。この使用シナリオは、処理ユニット114および/または寿命終了識別ユニット120が起動状態に切り換わるようにデータ読取り無効化ユニット160をトリガする寿命終了信号として等しく解釈することができる。
【0166】
さらなる例では、用量ダイヤル12は、用量増分方向に所定の用量サイズにダイヤル設定される。その後、用量ダイヤル12は、反対方向、すなわち用量減分方向に、最初のゼロ用量構成にダイヤル設定される。その後、トリガ11が1回押し下げられる。データ読取り無効化ユニット160の起動を確認するために、用量ダイヤル12は、所定の用量サイズにダイヤル設定され、次に反対方向にダイヤル設定され、その後、再びゼロ用量構成に到達する。
【0167】
上記その他の例は、典型的に、一体化された取込みシステム100を有する薬物送達デバイス1に適用され、用量ダイヤル12のダイヤル設定およびトリガ11の押下げは、電子的に検出および/または定量的に測定される。
【0168】
さらなる例では、取込みシステム100は、トルクセンサを装備する。そのようなトルクセンサは、
図7に示すように、寿命終了識別ユニット120に属するセンサ130の一例である。用量ダイヤルのゼロ用量位置を画成する触覚止め具を提供することができる。1つの使用シナリオでは、用量ダイヤル12は、ゼロ用量構成にあるとき、用量減分方向に回転させられる。ここで、止め具は、用量減分方向への用量ダイヤル12のダイヤル設定を防止する。しかし、使用者によって用量ダイヤル12および止め具に印加されるトルクは、トルクセンサによって測定される。使用者が、所定の時間間隔を超える期間にわたって、用量ダイヤル12を触覚端部止め具に対して保持しまたは回転させた場合、これは寿命終了信号として解釈される。したがって、処理ユニット114および/または寿命終了識別ユニット120は、データ読取り無効化ユニット160を起動状態に切り換えるように動作可能になる。
【0169】
さらなる例では、用量ダイヤルボタンは、たとえば1秒以上の所定の時間間隔中、触覚止め具に対して回転させられる。用量ダイヤル12は、このボタン構成で保持される。データ読取り無効化ユニット160の起動を確認するために、使用者は、トリガ11をその後もう一度押し下げなければならない。
【0170】
さらなる例では、用量ダイヤル12は、ゼロ用量止め具に対して回転させられ、このゼロ用量構成で、たとえば1秒以上の所定の時間間隔にわたって維持される。データ読取り無効化ユニットが起動状態に切り換えられる前に、用量ダイヤル12の検出された回転は、使用者によって、たとえば所定のまたは任意の用量が設定されるまで用量ダイヤル12を用量増分方向4に回転させ、その後、再びゼロ用量構成に到達するまで用量ダイヤルを反対の用量減分方向5に回転させることによって、確認されなければならない。
【0171】
データ読取り無効化ユニット160の起動状態への切換えを承認するために、所定の時間間隔にわたって機械止め具に対して回転させられた後、用量ダイヤル12が解放されることも考えられる。したがって、第2の所定の時間間隔にわたって、用量ダイヤル12にトルクが印加されるべきではない。その後、用量ダイヤル12は、止め具に対して繰返し回転させることができ、この止め具構成で第3の所定の時間間隔にわたって維持することができる。第1、第2、および第3の時間間隔は、1秒以上とすることができる。
【0172】
いくつかの他の例では、データ読取り無効化ユニット160の使用者作動式の寿命終了または使用者起動式の起動は、たとえば
図5に示すように、一体化された取込みシステム100を有する薬物送達デバイス1によって実施することができる。ここで、トリガ11は、特定の時間にわたって、たとえば所定の時間間隔中に押し下げることができ、その後、たとえばディスプレイの形態の出力112が、データ消去モードが起動されたことを使用者に示す。データの消去を確認するために、使用者は、トリガ11をもう一度押し下げなければならない。
【0173】
別の例では、トリガ11は、少なくとも1回押し下げられなければならない。その後、用量ダイヤル12は、ゼロ用量止め具に対して回転させられなければならない。用量ダイヤル12は、出力111に消去モードが示されるまで、ゼロ用量止め具で維持される。データの消去を確認するために、トリガ11は、少なくとももう一度押し下げられなければならない。
【0174】
さらなる例では、データ126の消去を起動するために、トリガ11は、少なくとも1回押し下げられなければならない。その後、用量ダイヤル12は、ゼロ用量止め具に対して回転させられ、消去モードが起動されるまで、このゼロ用量位置で維持される。消去動作を確認するために、用量ダイヤル12は、ゼロ用量止め具に対して再び回転させられて、この構成または位置で所定の時間間隔にわたって維持されなければならない。
【0175】
さらなる例では、使用者によって、用量ダイヤル12をゼロ用量止め具に対して、たとえば1秒以上の所定の時間間隔にわたって回転させることによって、データ126の消去または削除をトリガすることができる。用量ダイヤル12は、たとえば出力112によって、消去モードの起動が示されるまで、この構成で維持される。データの消去を確認するために、トリガ11は、少なくとも1回押し下げられなければならない。
【0176】
さらなる例では、データの消去を確認するために上述した消去モードを起動した後、用量ダイヤル12は、再びゼロ用量止め具に対して回転させられ、出力112によってデータの消去が確認されるまで、この構成で維持される。消去モードの起動および/またはデータ消去動作の完了を示すため、出力112は、ディスプレイ、または連続、断続、もしくは反復モードで点滅するように構成されたLEDなどの少なくとも1つもしくはいくつかの発光要素を含むことができる。多数または単一のLEDはまた、1つまたは異なる色で点灯し、したがってデータ消去モードの起動および/またはデータの削除もしくは消去の完了を示すように構成することができる。
【符号の説明】
【0177】
1 薬物送達デバイス
2 遠位方向
3 近位方向
4 用量増分方向
5 用量減分方向
6 薬物容器
7 栓
10 ハウジング
11 トリガ
12 用量ダイヤル
13 投与量窓
14 薬物容器ホルダ
15 ニードルアセンブリ
16 内側ニードルキャップ
17 外側ニードルキャップ
18 保護キャップ
19 窓
20 ねじ付ソケット
21 貫通口
22 ニードルハブ
24 注射針
26 ピストンロッド
28 圧力片
30 駆動機構
40 外部電子デバイス
50 ダイヤル延長部
52 用量ダイヤルスリーブ
60 外部電子デバイス
80 ネットワーク
90 データベース
100 取込みシステム
101 ハウジング
102 データ取込みデバイス
103 データリンク
104 データリンク
105 データリンク
106 データリンク
110 入力
111 データ伝送インターフェース
112 出力
113 マイクロプロセッサ
114 処理ユニット
115 供給接続
116 電気エネルギーユニット
117 電気エネルギーリザーバ
118 電子記憶ユニット
120 寿命終了識別ユニット
121 カウンタ
122 クロック生成器
124 エンコーダ/デコーダ
126 データ
130 センサ
132 コントローラ
134 データ交換検出器
140 揮発性記憶装置
142 不揮発性記憶装置
144 鍵
150 電力管理部
152 電子スイッチ
154 電気負荷
156 電力管理IC
158 アンテナ
160 データ読取り無効化ユニット
162 機械スイッチ
171 トリガ