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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】高伝導処理キット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240909BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240909BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
C23C16/455
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022562026
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 US2021050040
(87)【国際公開番号】W WO2022060665
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】17/023,987
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニャ, サマルタ
(72)【発明者】
【氏名】ルボミルスキー, ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】サミール, メフメト トゥグリル
(72)【発明者】
【氏名】チュー, ララ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, マーティン ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】グェン, ソン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴーパール, プラナフ
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-503464(JP,A)
【文献】特開平07-130713(JP,A)
【文献】特開2007-103944(JP,A)
【文献】特開2004-200353(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0261453(US,A1)
【文献】特開平11-158632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/302
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/86
H05H 1/00-1/54
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバであって、該半導体処理チャンバは、
シャワーヘッドと、
半導体基板を支持するよう構成されたペデスタルであって、前記シャワーヘッド及び前記ペデスタルが、前記半導体処理チャンバ内の処理領域を少なくとも部分的に画定する、ペデスタルと、
前記シャワーヘッドと接触する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を特徴とするスペーサと、
前記スペーサと接触する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を特徴とするポンピングライナであって、前記ポンピングライナの前記第1の表面の内部の複数の開孔を画定するポンピングライナと、
を備え、
前記ポンピングライナが、内側環状側壁と、外側環状側壁と、を特徴とする環状部を含み、
前記ポンピングライナの前記内側環状側壁が垂直方向に延在して、当該内側環状側壁において前記ポンピングライナの前記第1の表面から突出するリムを画定する、半導体処理チャンバ。
【請求項2】
前記スペーサが環状部を含み、前記スペーサの前記第1の表面と前記スペーサの前記第2の表面との間に延在する前記スペーサの内側環状側壁が、前記処理領域を少なくとも部分的に画定する、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項3】
前記スペーサの前記内側環状側壁が、前記処理領域から遠ざかって前記スペーサの前記第2の表面に向かう方向に延びる弓状輪郭を、少なくとも部分的に特徴とする、請求項2に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項4】
前記スペーサの前記第2の表面における前記スペーサの前記内側環状側壁が、前記ポンピングライナの前記第1の表面の内部の前記複数の開孔の径方向外側に配置される、請求項3に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項5】
前記スペーサの前記第2の表面が、前記ポンピングライナに着座している、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項6】
記ポンピングライナが、前記内側環状側壁と前記外側環状側壁との間でプレナムを画定する、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項7】
前記複数の開孔が、前記ポンピングライナの前記第1の表面からの前記プレナムへの流体アクセスを提供する、請求項6に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項8】
前記ペデスタルが、前記半導体処理チャンバの前記処理領域内で垂直方向に平行移動可能であり、前記ペデスタルが、プラテンと、前記プラテンの裏側から延びるステムと、を含む、請求項に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項9】
前記ペデスタルが、前記シャワーヘッドの近傍の上昇動作ポジションにあるときには、前記プラテンの前記裏側の平面が、前記ポンピングライナの前記第1の表面から突出する前記リムの上面より下に維持される、請求項に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項10】
半導体処理チャンバポンピングライナであって、
環状部材を備え、
前記環状部材が、
第1の表面であって、複数の開孔が前記環状部材の前記第1の表面を貫通して画定される、第1の表面と、
前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、
内側環状側壁と、
外側環状側壁と、
を特徴と
前記環状部材の前記内側環状側壁が垂直方向に延在して、当該内側環状側壁において前記第1の表面から突出するリムを画定する、半導体処理チャンバポンピングライナ。
【請求項11】
前記第2の表面が、前記環状部材の周りのプレナムを画定し、前記プレナムが、前記内側環状側壁と前記外側環状側壁との間を前記第1の表面に向かって延在する、請求項10に記載の半導体処理チャンバポンピングライナ。
【請求項12】
前記複数の開孔が、前記環状部材の前記第1の表面を通る前記プレナムへの流体アクセスを提供する、請求項11に記載の半導体処理チャンバポンピングライナ。
【請求項13】
前記リムが、前記内側環状側壁の周りに連続的に延在する、請求項10に記載の半導体処理チャンバポンピングライナ。
【請求項14】
半導体処理方法であって、該方法は、
エッチャント前駆体を半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域内へと流すことと、
前記半導体処理チャンバの前記遠隔プラズマ領域内で前記エッチャント前駆体のプラズマ放出物を生成することと、
前記エッチャント前駆体の前記プラズマ放出物を、シャワーヘッドを介して前記半導体処理チャンバの処理領域内へと流すことと、
ペデスタルに着座している基板と、前記プラズマ放出物と、を接触させることと、
前記シャワーヘッドに面する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を特徴とするポンピングライナを介して、前記処理領域からエッチング副生成物を排出することであって、前記ポンピングライナが当該ポンピングライナの前記第1の表面の内部の複数の開孔を画定する、エッチング副生成物を排出することと、
を含
前記半導体処理チャンバが、前記シャワーヘッドと接触する第1の表面と、前記第1の表面の反対側にあって前記ポンピングライナと接触する第2の表面と、を特徴とするスペーサをさらに含み、前記スペーサが環状部を含み、前記スペーサの前記第1の表面と前記スペーサの前記第2の表面との間に延在する前記スペーサの内側環状側壁が、前記処理領域を少なくとも部分的に画定する、半導体処理方法。
【請求項15】
前記スペーサの前記内側環状側壁が、前記処理領域から遠ざかって前記スペーサの前記第2の表面に向かう方向に延びる弓状輪郭を、少なくとも部分的に特徴とする、請求項14に記載の半導体処理方法。
【請求項16】
前記スペーサの前記第2の表面における前記スペーサの前記内側環状側壁が、前記ポンピングライナの前記第1の表面の内部の前記複数の開孔の径方向外側に配置される、請求項15に記載の半導体処理方法。
【請求項17】
半導体処理方法であって、該方法は、
エッチャント前駆体を半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域内へと流すことと、
前記半導体処理チャンバの前記遠隔プラズマ領域内で前記エッチャント前駆体のプラズマ放出物を生成することと、
前記エッチャント前駆体の前記プラズマ放出物を、シャワーヘッドを介して前記半導体処理チャンバの処理領域内へと流すことと、
ペデスタルに着座している基板と、前記プラズマ放出物と、を接触させることと、
前記シャワーヘッドに面する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を特徴とするポンピングライナを介して、前記処理領域からエッチング副生成物を排出することであって、前記ポンピングライナが当該ポンピングライナの前記第1の表面の内部の複数の開孔を画定する、エッチング副生成物を排出することと、
を含み、
前記ポンピングライナが、内側環状側壁をさらに特徴とし、前記内側環状側壁が垂直方向に延在して、当該内側環状側壁において前記ポンピングライナの前記第1の表面から突出するリムを画定する、半導体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年9月17日に出願された「HIGH CONDUCTANCE PROCESS KIT」という名称の米国特許出願第17/023,987号の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本技術は、半導体プロセス及び装置に関する。より具体的には、本技術は、チャンバリッドスタック構成要素及び構成に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路は、基板表面上に複雑にパターニングされた材料層を生成するプロセスによって可能となる。基板上にパターニングされた材料を生成するには、露出した材料を除去するための制御された方法が必要である。化学的エッチングが、様々な目的に使用されており、当該目的には、フォトレジストのパターンを下層に転写すること、層を薄くすること、又は表面上に既に存在するフィーチャの横寸法を細くすることが含まれる。基板から材料を除去すると、処理チャンバ内で粒子が発生し、この粒子は、処理チャンバ及びペデスタルの表面に副生成物が蓄積するのを回避するために除去する必要がある。処理チャンバ内の乱流が、さらなる副生成物の蓄積を引き起こす可能性がある。ペデスタルのプラテンの下面に蓄積すると、基板温度に影響を与え、基板上のパターニングされた材料層の不均一性をもたらす可能性がある。
【0004】
したがって、高品質のデバイス及び構造を作製するために使用可能な改良されたシステム及び方法が必要とされている。本技術は、これら必要性及び他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0005】
例示的な半導体処理チャンバが、シャワーヘッドと、半導体基板を支持するよう構成されたペデスタルと、を備え、シャワーヘッド及びペデスタルが、半導体処理チャンバ内の処理領域を少なくとも部分的に画定する。半導体処理チャンバは、シャワーヘッドと接触する第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の表面と、を特徴とするスペーサも含みうる。半導体処理チャンバは、スペーサと接触する第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の表面と、を特徴とするポンピングライナも含むことができ、ポンピングライナが、当該ポンピングライナの第1の表面の内部の複数の開孔を画定する。
【0006】
幾つかの実施形態において、スペーサが環状部を含み、スペーサの第1の表面とスペーサの第2の表面との間に延在するスペーサの内側環状側壁が、処理領域を少なくとも部分的に画定する。スペーサの内側環状側壁が、処理領域から遠ざかってスペーサの第2の表面に向かう方向に延びる弓状輪郭を、少なくとも部分的に特徴としうる。スペーサの第2の表面におけるスペーサの内側環状側壁が、ポンピングライナの第1の表面の内部の複数の開孔の径方向外側に配置されうる。スペーサの第2の表面は、ポンピングライナに着座しうる。ポンピングライナは、内側環状側壁と、外側環状側壁と、を特徴とする環状部を含むことができ、ポンピングライナは、内側環状側壁と外側環状側壁との間でプレナムを画定しうる。複数の開孔が、ポンピングライナの第1の表面からのプレナムへの流体アクセスを提供しうる。ポンピングライナの内側環状側壁が垂直方向に延在して、当該内側環状側壁においてポンピングライナの第1の表面から突出するリムを画定しうる。ペデスタルが、半導体処理チャンバの処理領域内で垂直方向に平行移動可能であることができ、ペデスタルが、プラテンと、当該プラテンの裏側から延びるステムと、を含みうる。ペデスタルが、シャワーヘッドの近傍の上昇動作ポジションにあるときには、プラテンの背側全体の平面が、ポンピングライナの第1の表面から突出するリムの上面より下に維持される。
【0007】
本技術の幾つかの実施形態は、半導体処理システムを包含しうる。本システムは、半導体処理チャンバポンピングライナを含みうる。ポンピングライナは、第1の表面を特徴とする環状部材を含むことができ、複数の開孔が、環状部材の第1の表面を貫通して画定される。ポンピングライナは、第1の表面とは反対側の第2の表面も含みうる。ポンピングライナは、内側環状側壁及び外側環状側壁も含みうる。
【0008】
幾つかの実施形態において、ポンピングライナの第2の表面が、環状部材の周りのプレナムを画定し、プレナムが、内側環状側壁と外側環状側壁との間に第1の表面に向かって延在する。複数の開孔が、環状部材の第1の表面を通るプレナムへの流体アクセスを提供しうる。環状部材の内側環状側壁が垂直方向に延在して、当該内側環状側壁において第1の表面から突出するリムを画定しうる。リムは、内側環状側壁の周りに連続的に延在しうる。
【0009】
本技術の幾つかの実施形態は、半導体処理システムによって実行される方法を包含しうる。本方法は、エッチャント前駆体を半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域内へと流すことを含みうる。エッチャント前駆体のプラズマ放出物が、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域内で生成されうる。エッチャント前駆体のプラズマ放出物が、シャワーヘッドを介して半導体処理チャンバの処理領域内へと流されうる。プラズマ放出物が、ペデスタルに着座した基板と接触しうる。エッチング副生成物を、シャワーヘッドに面する第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の表面と、を特徴とするポンピングライナを介して処理領域から排出することができ、ポンピングライナが、当該ポンピングライナの第1の表面の内部の複数の開孔を画定する。
【0010】
幾つかの実施形態において、半導体処理チャンバが、シャワーヘッドと接触する第1の表面と、第1の表面の反対側にあってポンピングライナと接触する第2の表面と、を特徴とするスペーサをさらに含み、スペーサが環状部を含み、スペーサの第1の表面とスペーサの第2の表面との間に延在するスペーサの内側環状側壁が、処理領域を少なくとも部分的に画定する。スペーサの内側環状側壁が、処理領域から遠ざかってスペーサの第2の表面に向かう方向に延びる弓状輪郭を、少なくとも部分的に特徴としうる。スペーサの第2の表面におけるスペーサの内側環状側壁が、ポンピングライナの第1の表面の内部の複数の開孔の径方向外側に配置されうる。ポンピングライナが、内側環状側壁をさらに特徴とすることができ、内側環状側壁が垂直方向に延在して、当該内側環状側壁においてポンピングライナの第1の表面から突出するリムを画定しうる。
【0011】
こうした技術は、従来のシステム及び技術よりも数多くの利点をもたらしうる。例えば、本技術の実施形態は、処理チャンバ内のプラテンの下面上の副生成物の蓄積を低減することができ、処理チャンバ内のガス及び副生成物のより層流のパターンをもたらしうる。上記の実施形態及び他の実施形態、並びにこれらの利点及び特徴の多くが、以下の明細書の記載及び添付の図面に関連して、より詳細に記載される。
【0012】
開示される技術の性質及び利点は、本明細書の残りの部分及び図面を参照することによってさらに理解を深めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な処理システムの上面図を示す。
図2A】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な処理チャンバの概略的な断面図を示す。
図2B】本技術の幾つかの実施形態に係る、図2Aに示された処理チャンバの一部分の概略的な詳細図を示す。
図3】本技術の幾つかの実施形態に係る、例示的なシャワーヘッドの概略的な底面図を示す。
図4】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な処理チャンバの概略的な断面図を示す。
図5】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的なポンピングライナの斜視図を示す。
図6】本技術の幾つかの実施形態に係る、半導体エッチングプロセスを実行する方法の例示的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図のうちの幾つかが、概略図として含まれている。図は例示を目的としており、縮尺に関する明記がない限り、縮尺どおりとみなすべきではないと理解されたい。さらに、概略図として、図は理解を助けるために提供されており、写実的な描写と比べて全ての態様又は情報を含まないことがあり、例示のために強調された材料を含むことがある。
【0015】
添付の図面では、同様の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有しうる。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、参照符号の後に付けられた、同様の構成要素同士を区別する文字によって区別されうる。本明細書において第1の参照符号のみ使用されている場合には、その記載は、その文字が何であれ、同じ第1の参照符号を有するいずれの同様の構成要素にも適用されうる。
【0016】
半導体処理は、複数のマスキング層及び中間形成層のための形成工程及び除去工程を含むことが多い。マスキング材料が複数の材料と共にますます使用されるにつれて、改善されたエッチング選択性が、膜の修正された特性及びエッチングプロセスに対する調整を利用してもたらされうる。例えば、幾つかの例示的なシリコンマスク膜又はカーボンマスク膜は、ホウ素といった添加材料の濃度の増加を特徴とすることができ、このことで、幾つかの材料に対するエッチング選択性が改善されうる。さらに、マスク膜の膜厚を数百ナノメートル以上に増大させて、様々な材料選択性に対応することができる。
【0017】
エッチング、アニーリング、及び他のプロセスの間、パージガスが半導体処理チャンバ内に流され、当該チャンバから処理の副生成物が排出されうる。パージガスの流路は、半導体処理チャンバ内に乱流を発生させる可能性があり、結果的に、副生成物がチャンバ内のペデスタル及び他の表面の上に堆積しうる。チャンバ内に副生成物が蓄積すると、結果的に、基板上の温度が不均一になりうる。例えば、ペデスタルのプラテンの下面上の蓄積物は、当該プラテンの下面上の蓄積物とは反対側にある基板の領域の熱特性に影響を与える可能性がある。
【0018】
流れの不均一性は、プロセスガスの流量、処理チャンバ内の構成要素間の距離といったパラメータを最適化することによって緩和されうる。熱的な不均一性は、加熱ゾーンを備えたペデスタルを利用して緩和して、局所的な不均一性を補償することが可能である。副生成物の昇華温度を超えてチャンバ構成要素を加熱する洗浄プロセスを使用して、蓄積物を除去することが可能である。これらの仕組みは、チャンバ内の乱流及び副生成物の蓄積という根本的な問題を部分的に補償しうるが、根本的な原因には対処していない。
【0019】
本技術では、乱流及びそれに伴う副生成物の蓄積を発生させない流路を作るためのチャンバ構成要素及び構成を利用して、これらの問題を克服する。流路、及び構成要素の輪郭を調整することで、乱流が制限され、副生成物の再凝縮が制御又は制限されうる。このことによって、従来の技術に対して除去速度が上げられる一方、動作の改良及び基板均一性の向上のためのチャンバ構成要素及び設計が提供されうる。
【0020】
残りの開示では、開示された技術を利用した特定のエッチングプロセス、及びエッチングチャンバに組み込まれた構成要素を通常通りに特定していくが、システム及び方法が、記載されるチャンバで行われうる堆積プロセス及び洗浄プロセスに同様に適用可能であることが容易に理解されよう。さらに、記載される構成要素はいずれも、記載される技術から利益を受けうる他のチャンバに組み込むことができる。これに対応して、本技術は、エッチング処理又はエッチングチャンバのみでの使用に限定されるものと見做すべきではない。更に、例示的なチャンバが、本技術の基礎を提供するために記載されるが、本技術は、任意の数の半導体処理チャンバ及び除去すべき材料で適用可能であると理解されたい。
【0021】
図1は、実施形態に係る堆積チャンバ、エッチングチャンバ、ベーキングチャンバ、及び硬化チャンバの処理システム100の一実施形態の上面図を示しており、本技術の実施形態に係るチャンバ及び構成要素を支持するよう構成された基礎を示しうる。図に示されるように、一対の前方開孔統一ポッド(FOUP:front opening unified pod)102が、様々なサイズの基板を供給しうるが、この様々なサイズの基板は、ロボットアーム104によって受け取られて、低圧保持領域106に配置され、その後、タンデム区域109a~109c内に位置する基板処理チャンバ108a~108fのうちの1つの中に配置される。第2のロボットアーム110を使用して、基板を、上記保持領域106から基板処理チャンバ108a~108fへと、及び逆方向に移送することができる。各基板処理チャンバ108a~108fは、周期的層堆積、原子層堆積、化学気相堆積、物理的気相堆積、エッチング、予洗浄、ガス抜き、配向、及び他の基板処理に加えて、本技術において記載される除去プロセスを含む幾つかの基板処理工程を実施するために装備されうる。
【0022】
基板処理チャンバ108a~108fは、基板上に誘電膜を堆積し、アニールし、硬化し、及び/又はエッチングするための1つ以上のシステム構成要素を含みうる。一構成において、2対の処理チャンバ(例えば、108c~108d及び108e~108f)が、基板上に誘電材料を堆積させるために使用され、第3の対の処理チャンバ(例えば、108a~108b)が、堆積された誘電体をエッチングするために使用されうる。他の構成において、3対のチャンバの全てが、基板上の誘電体膜をエッチングするよう構成されうる。記載されるプロセスのうちの1つ以上の任意のものが、様々な実施形態で示される製造システムとは別体の1つ以上のチャンバ内で実施されうる。当然のことながら、システム100においては、誘電膜の堆積チャンバ、エッチングチャンバ、アニールチャンバ、及び硬化チャンバのさらなる構成が考えられる。
【0023】
図2Aは、処理チャンバ内部で区切られたプラズマ生成領域を有する例示的な処理チャンバシステム200の断面図を示しており、処理チャンバシステム200は、以下にさらに記載するような処理を実施するよう構成されうる。システム200は、上述のプラットフォームで動作可能なタンデムチャンバの半分でありうる。システム200は、本開示を通じて記載される詳細なシステムのうちの幾つかの概要を提供することが意図されており、本開示全体を通じて記載される構成要素及びチャンバ構成のうちの幾つか又は全てを含みうる。膜のエッチング(例えば、誘電体のエッチング、金属のエッチング、マスクのエッチング、又は他の除去プロセス)中に、プロセスガスが、ガス注入アセンブリ205を介して第1のプラズマ領域215内へと流されうる。遠隔プラズマ源ユニット201が、任意選択的にシステム内に含まれてよく、第1のガスを処理しうる。第1のガスは、その後、ガス注入アセンブリ205を通って移動する。ガス注入アセンブリ205は、2つ以上の異なるガス供給チャネルを含むことができ、第2のチャネルは、含まれる場合には、遠隔プラズマ源ユニット201を迂回しうる。
【0024】
ガスボックス203、面板217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、及び、基板255が載置された基板支持ペデスタル又はペデスタル265が示されており、それぞれが実施形態に従って含まれうる。ペデスタル265は、基板の温度を制御するための熱交換流体が貫流する熱交換チャネルを有しうる。熱交換チャネルは、処理工程中に基板又はウエハを加熱及び/又は冷却するよう作動しうる。アルミニウム、セラミック、又はこれらの組み合わせを含みうるペデスタル265のウエハ支持プラテンはまた抵抗加熱され得、埋め込まれた抵抗加熱素子を使用して、比較的高温(例えば、約100℃以下から約1100℃以上)に達しうる。
【0025】
面板217は、最上部が狭くて底部に向かって拡張して広くなるピラミッド形、円錐形、又は他の同様の構造でありうる。面板217は、追加的に、図示するように平坦であってよく、プロセスガスを分配するために使用される複数の貫通チャネルを含みうる。プラズマを生成するガス及び/又はプラズマ励起種は、遠隔プラズマ源ユニット201の使用に従って、面板217の、図2Bに示す複数の孔259を通過することができ、第1のプラズマ領域215の中にさらに均一に供給されうる。
【0026】
例示的な構成は、上記のガス/種が面板217の孔を通って第1のプラズマ領域215へと流れ込むように、ガス注入アセンブリ205が、面板217によって第1のプラズマ領域215から区切られたガス供給領域258に通じていることを含みうる。構造的及び動作的特徴が、第1のプラズマ領域215から供給領域258、ガス注入アセンブリ205、及び流体供給システム210へと戻るプラズマの大量逆流を防止するよう選択されうる。面板217又はチャンバの導電性上部、及びシャワーヘッド225は、それらの特徴の間に絶縁リング220が配置されている状態で示されており、これにより、シャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223に対して、面板217にAC電位を印加することを可能としうる。絶縁リング220は、面板217と、シャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223と、の間に配置することができ、これにより、第1のプラズマ領域内で容量結合プラズマを形成することが可能となる。バッフル(図示せず)が、追加的に、第1のプラズマ領域215内に位置してよく又はさもなければガス注入口アセンブリ205と結合されてよく、ガス注入口アセンブリ205を通って上記プラズマ領域に流れ込む流体の流れに影響を与えうる。幾つかの実施形態において、追加のプラズマ源を利用することができ、この追加のプラズマ源は、チャンバの周りに延在し又はチャンバと流体連通した誘導結合プラズマ源、及び、追加のプラズマ発生システムを含む。
【0027】
イオンサプレッサ223は、以下にさらに記載するように容量結合プラズマ領域の電極でありうるが、構造全体にわたって複数の開孔を画定するプレート又は他の形状を含むことができ、第1のプラズマ領域215を出たイオン的に帯電した種の移動を抑制しつつ、非帯電性の中性種又はラジカル種がイオンサプレッサ223を通過して、当該サプレッサとシャワーヘッドとの間の活性化されたガス供給領域内に入ることを可能にするよう構成されている。幾つかの実施形態において、イオンサプレッサ223が、様々な開孔構成を備えた有孔プレートであってよく又は当該有孔プレートを含んでよい。上記非帯電性の種には、反応性がより低いキャリアガスと共に、開孔を介して運ばれる反応性の高い種が含まれうる。上述したように、孔を介したイオン種の移動を減らすことができ、場合によっては、完全に抑えることができる。イオンサプレッサ223を通過するイオン種の量を制御することで、有利に、下にある基板と接触させられる混合ガスへの制御の向上をもたらすことができ、ひいては、混合ガスの堆積特性及び/又はエッチング特性の制御も向上させることができる。例えば、混合ガスのイオン濃度の調節によって、混合ガスのエッチング選択性、例えば、SiNx:SiOxのエッチング比率、Si:SiOxのエッチング比率、又は露出している2つの材料の間の任意の他のエッチング速度を大幅に変えることができる。堆積が行われる幾つかの実施形態において、誘電材料についてコンフォーマルな(conformal)堆積と、流動可能なスタイルでの堆積と、のバランスを変えることも可能である。
【0028】
イオンサプレッサ223の複数の開孔は、当該イオンサプレッサ223を介した活性ガス(イオン種、ラジカル種、及び/又は中性種を含みうる)の通過を制御するよう構成されうる。例えば、イオンサプレッサ223を通過する活性ガス中のイオン的に帯電した種の流量が低減されるように、孔のアスペクト比(すなわち、孔の長さに対する直径)及び/又は孔の外形が制御されうる。イオンサプレッサ223の孔は、第1のプラズマ領域215に面するテーパ状の部分と、シャワーヘッド225に面する円筒状の部分と、を含みうる。円筒状の部分は、シャワーヘッド225へと通過するイオン種の流量を制御するように、成形され及び寸法決定されうる。イオンサプレッサ223を通るイオン種の流量を制御する追加の手段として、調節可能な電気バイアスがイオンサプレッサ223に印加されてもよい。
【0029】
イオンサプレッサ223は、プラズマ生成領域から基板まで移動するイオン的に帯電した種の量を低減し又は無くすよう機能しうる。非帯電性の中性種及びラジカル種は、依然としてイオンサプレッサの開孔を通過して、基板と反応しうる。基板の周囲の反応領域内でのイオン的に帯電した種の完全な消去は、実施形態によっては実施されない場合があることに注意されたい。特定の工程において、イオン種は、エッチング及び/又は堆積プロセスを実施するために基板に到達することが意図されている。このようなプロセスにおいて、イオンサプレッサは、プロセスを支援する一定のレベルで反応領域内のイオン種の濃度の制御に役立ちうる。
【0030】
シャワーヘッド225が、イオンサプレッサ223と組み合わされることで、第1のプラズマ領域215内に存在するプラズマが、基板処理領域233内のガスを直接的に励起するのを回避することが可能となり、その一方で、励起された種が依然として、内部の遠隔プラズマ領域でありうるチャンバプラズマ領域215から、基板処理領域233内へと移動することが可能となる。このようにして、チャンバは、エッチングされている基板255にプラズマが接触するのを防止するよう構成されうる。これにより、有利に、基板上にパターニングされた様々な複雑な構造及び膜を保護することができ、当該複雑な構造及び膜は、生成されたプラズマが直接的に接触した場合には、損傷を受け、位置がずれ、又はさもなければ歪みうる。更に、プラズマが基板と接触し又は基板レベルに接近することが可能になると、酸化物種により行われるエッチングの速度が上がりうる。これに対応して、材料の露出した領域が酸化物である場合には、プラズマを基板から離して維持することで、この材料を更に保護することができる。
【0031】
処理システムは、処理チャンバに電気的に接続された電源240を更に含みうる。電源240は、第1のプラズマ領域215又は処理領域233内でプラズマを生成するために、面板217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、及び/又はペデスタル265に電力を供給する。電源は、実行される処理に従って、調節可能な電力量をチャンバに伝達するよう構成されうる。このような構成により、実行される処理において調節可能なプラズマを使用することが可能となりうる。オン又はオフ機能が与えられていることが多い遠隔プラズマユニットとは異なって、調整可能なプラズマは、特定の量の電力を第1のプラズマ領域215に伝達するよう構成されうる。これにより、ひいては、特定のやり方で前駆体が解離しうるように特定のプラズマ特性を開発することによって、前駆体が形成するエッチングプロファイルを強化することが可能となりうる。
【0032】
プラズマは、シャワーヘッド225の上の第1のプラズマ領域215、又はシャワーヘッド225の下の基板処理領域233のいずれかにおいて点火されうる。プラズマは、例えばフッ素含有前駆体又他の前駆体の流入からラジカル前駆体を生成するために、第1のプラズマ領域215内に存在しうる。典型的に高周波(「RF」)範囲内のAC電圧が、面板217といった、処理チャンバの導電性上部と、シャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223と、の間に印加されて、堆積中にチャンバプラズマ領域215内でプラズマが点火されうる。RF電源は、13.56MHzの高RF周波数を発生させうるが、単独で又は13.56MHzの周波数との組み合わせて他の周波数を発生させることもできる。
【0033】
図2Bは、面板217を介したプロセスガスの分配に影響を与えるフィーチャの詳細図253である。図2A及び図2Bに示されるように、面板217、ガスボックス203、及びガス注入アセンブリ205が交差することで、ガス供給領域258が画定される。ガス供給領域258には、ガス注入アセンブリ205からプロセスガスが供給されうる。ガスは、ガス供給領域258に充満し、面板217の開孔259を通って第1のプラズマ領域215に流れうる。開孔259は、実質的に単一方向に流れを導くよう構成されうる。これにより、プロセスガスが処理領域233に流入しうるが、面板217を横断した後にガス供給領域258内に逆流することが、部分的に又は完全に防止されうる。
【0034】
処理チャンバシステム200内で使用するための、シャワーヘッド225といったガス分配アセンブリは、デュアルチャネルシャワーヘッドと称することができ、図3で説明する実施形態においてさらに詳しく述べる。デュアルチャネルシャワーヘッドは、処理領域233の外でのエッチャントの分離を可能とするエッチングプロセスを促進することができ、処理領域内に送られる前のエッチャントとチャンバ構成要素との相互作用、及びエッチャント同士の相互作用の制限がもたらされる。
【0035】
シャワーヘッド225は、図1に示すように、上方プレート214と、下方プレート216と、を含みうる。プレートを互いに結合して、プレート間の空間218を画定することができる。プレート同士は、上方プレート及び下方プレートを貫通する第1の流体チャネル219、及び下方プレート216を貫通する第2の流体チャネル221を提供するように、結合されうる。形成されるチャネルは、第2の流体チャネル221のみを介した空間218から下方プレート216を通る流体的なアクセスをもたらすよう構成することができ、第1の流体チャネル219は、プレート間の空間218及び第2の流体チャネル221から流体的に分離されうる。空間218は、ガス分配アセンブリ又はシャワーヘッド225の側部を介して流体的にアクセス可能でありうる。
【0036】
図3は、幾つかの実施形態に係る、処理チャンバで使用するためのシャワーヘッド325の底面図である。シャワーヘッド325は、図2Aに示されたシャワーヘッド225に対応しうる。第1の流体チャネル219の図を示す貫通孔365は、シャワーヘッド225を通過する前駆体の流量を制御し当該流量に影響を与えるための複数の形状及び構成を有しうる。第2の流体チャネル221の図を示す小さな孔375は、貫通孔365の間でも、シャワーヘッドの表面上にほぼ均等に分散させることができ、前駆体がシャワーヘッドから出る際の前駆体の混合を、他の構成よりも均一にするための一助となりうる。
【0037】
前述のように、本技術は、半導体処理を実行するために、システム200に示されるようなチャンバに対する任意の数の変更を含みうる。幾つかの従来の構成は、スペーサ及びポンピングライナを含みうるが、スペーサの内側環状表面の輪郭を含んでおらず、さらに、シャワーヘッドに面するポンピングライナの表面上のリム又は開孔を含んでいない。これに対応して、これらの従来の設計の多くは、以下にさらに記載するように、プラテンの下面上での副生成物の蓄積と、ウエハの表面を横切る乱流と、を必然的に発生させうる。残りの開示では、上述のシステム200の1つ以上の構成要素との幾つかの組合せに含まれうる様々なチャンバ構成要素及び構成について説明する。1つ以上の変更された構成要素をシステム200に含めることで、副生成物の蓄積が制限され、処理チャンバ内の層流が改善されうる。
【0038】
図4は、例示的な処理チャンバシステム400の断面図を示しており、ここでは、層流を改善し、副生成物の蓄積を低減するための構成が実現されている。処理チャンバシステム400は、図2Aの処理チャンバシステム200に対応することができ、先に記載した構成要素又は構成のいずれかも含みうる。処理チャンバシステム400は、他の任意の半導体処理の中でも、エッチング、アニーリング、堆積を含む半導体製造プロセスのために使用されうる。
【0039】
処理チャンバ400は、スペーサ405を含む。スペーサ405は、シャワーヘッド450とポンピングライナ415との間に配置されており、シャワーヘッド450及びポンピングライナ415と接触している。スペーサ405は、当該スペーサ405の内側表面410が処理領域455の一部を画定しうるように、環状でありうる。スペーサ405の内側表面410は、湾曲していて空隙領域を形成することができ、処理領域455はこの空隙領域へと広がって、基板の径方向外側の外側流路を画定しうる。この空隙領域は、処理領域455から排出されるガス及び副生成物の流路460を改善することができる。言い換えれば、スペーサ405の内側環状表面410は、図示するように、処理領域455から遠ざかってポンピングライナ415に向かう方向に延びる弓状輪郭を、少なくとも部分的に有しうる。従来のスペーサ及び構成要素の構成は、流れている材料の渦を生成しうるノッチ及びコーナを含むことがあり、このことで、チャンバ内での副生成物材料の滞留時間が増大する可能性があり、チャンバ内の冷却された外面上での有害な再堆積のチャンスを増加させうる。上記の粒子は、その後、ウエハの搬送中又は後続の処理中に落下する可能性があり、このことによって、処理された基板上に欠陥を引き起こされ、潜在的なデバイス故障が引き起こされる可能性がある。チャンバの弓状のフィーチャを利用して流路460を形成することで、材料が、構成要素のフィーチャとの相互作用を制限することによって除去されうる。当該構成は、ウエハ全体でのプロセスガスの層流を促進するため、流れはまた、実行されているプロセスの均一性を改善することもでき、基板と接触する材料の滞留時間をより均一にすることで、工程を改善することができる。
【0040】
処理チャンバ400は、ポンピングライナ415を含みうる。ポンピングライナ415は、ポンピングライナ415の内側表面に沿って上方に延在するリム420を含みうる。ポンピングライナ415は、環状とすることができ、ポンピングライナ415の表面間でプレナム425が画定されるように中空構造を有しうる。ポンピングライナ415は、プレナム425への流体アクセスを提供する開孔430を画定する。従来のポンピングライナは、スペーサ及びその上にある構成要素の方に向いた表面に開孔を組み込むことで、ポンピングライナの側壁を介してポンピングプレナムへのアクセスを提供することができる一方で、流路が維持され、流動方向の変化を生じさせることができず、チャンバ内での再堆積の可能性が高まりうる。開孔430は、シャワーヘッド450の方を向いた、ポンピングライナ415の表面内に配置されている。ガス及び副生成物が、処理領域455から、開孔430を通ってプレナム425内に排出されうる。ポンピングライナが、ポンピングシステムと接続しうるシステムフォアラインと流体的に接続されうる。ポンピングシステムは、処理領域455からプレナム425の開孔430を介して、処理チャンバシステム400からガス及び副生成物を引き出すよう構成されうる。スペーサ405は、当該スペーサ405の内側環状表面410が、ポンピングライナ415の開孔430の径方向外側にあるように、ポンピングライナ415に着座しうる。このように、スペーサ405の内側表面410の弓状輪郭によって生成された空隙領域へと広がる処理領域455は、開孔430を介してプレナム425に流体的にアクセスすることが可能である。
【0041】
処理チャンバ400は、図2Aのシャワーヘッド225及び/又は図3のシャワーヘッド325に対応しうるシャワーヘッド450を含みうる。ガスが、上にあるガスボックスから流されて、前述のようにプラズマ領域内にプラズマを形成しうる。プラズマ放出物が、シャワーヘッド450の開孔を通って処理領域455に進入しうる。処理領域455は、図2Aの処理領域233に対応しうる。
【0042】
処理チャンバ400は、図2Aのペデスタル265に対応しうるペデスタル435も含みうる。ペデスタル435は、プラテン440と結合されたステム445を含みうる。プラテンは、上面475及び下面470を含みうる。基板が、プラテン440の上面475に載置されうる又は着座しうる。プラテン440の下面470は、処理チャンバ400の下方領域480の一部を画定しうる。不活性ガスが、パージのための処理中にプラテン440の下から流されうる。ペデスタル435が、処理チャンバシステム400内で実施される様々なプロセスに対応するために、垂直方向に平行移動可能であるよう構成されうる。ペデスタル435が、シャワーヘッド450の近傍など、チャンバ内で最も遠い位置まで上昇したときには、プラテン440の下面470が、ポンピングライナ415のリム420の上面より下に維持されうる。言い換えると、プラテン440の下面470から水平方向に延びる平面は、ペデスタルの垂直方向のポジションにかかわらず、ポンピングライナ415のリム420の上面より下に維持され得、又は少なくとも、ポンピングライナ415のリム420の上面より下の位置と交差しうる。プラテン440の下面470をポンピングライナのリム420より下に維持することで、代わりとなる流路を塞ぐのを助け、これにより、開孔430に向かって流れる処理領域の流路460を維持することが促進されうる。この場合、処理領域455からのガス及び副生成物が、プラテン440より下の処理チャンバの下方領域480に入ること、又はプラテン440の下からの不活性ガス流の流路465に干渉して乱流を生成することが制限又は防止されうる。上述のように追加の不活性ガス流を提供することで、あらゆる副生成物がチャンバの下方領域に流入することがさらに制限又は防止されうる。処理領域455からの副生成物が下方領域480に進入するのを防止することによって、プラテン440の下面470上の蓄積が緩和される。このことは、処理中の基板の熱均一性を改善することができ、チャンバのダウンタイムを削減することができる。
【0043】
使用中に、プラテン440の上面475に載置された基板は、シャワーヘッド450を通って処理領域455に進入するプラズマに曝露されうる。処理領域455からの副産物及びガスは、流路460に沿って排出することができ、流路460は、自然な流路に沿って開孔430により容易にアクセスするよう流線形を成しており、上記自然な流路は、基板を横切ってからの方向転換が制御されていてカーブしており、スペーサ405の内側環状表面410によって生じた空隙領域を介してポンピングプレナム内へと延びている。上記流路は、ポンピングライナの側壁への実質的に90度の転換といった、より鋭角のいかなる方向変化も含まなくてよい。下方領域480に進入した不活性ガスは、流路465に沿って下方領域480から排出することができ、このことが、開孔430及びプレナム425を介して処理チャンバ400を出るための、リム420のすぐ上の流路460と組み合わされる。
【0044】
図5は、半導体処理チャンバ内で使用するためのポンピングライナ500を示している。ポンピングライナ500は、図4のポンピングライナ415に対応することができ、先に記載したポンピングライナの特徴、構成要素、又は態様のいずれかを含みうる。ポンピングライナは環状とすることができ、内側環状表面505を含みうる。リム510は、内側環状表面505から垂直方向に、ポンピングライナ415の内側環状表面505に沿ってずっと延在しうる。リム510は、図4のリム420に対応することができ、上昇動作ポジションにおいてペデスタルの底面を越えて延在する稜線部を生成しうる。ポンピングライナ500は、図4の開孔430に対応しうる開孔515を画定しうる。開孔515は、先に示したように、ポンピングライナ500の内部で画定されたプレナムへの流体アクセスを提供しうる。開孔515は、内側環状表面505に対して直交して延在する表面に沿って配置されうる。開孔515は、ポンピングライナの周りに等距離に、又は、任意の均一若しくは不均一な間隔で配置されうる。加えて、開孔を同じサイズにして又は勾配に沿って寸法決定して、プレナムを通る流れを更に制御して均一性を改善することができる。例えば、システムフォアラインを、チャンバの周りの単一の位置と接続することができ、このことにより、その位置での廃水の流れに、フォアライン接続から離れた位置に対して影響を与えることができる。これに対応して、例えば、フォアライン接続から離れた位置でポンピングライナを貫通する開孔を、フォアライン接続の近傍の開孔よりも大きく形成することができ、このことによって、幾つかの実施形態では、処理領域からポンピングライナ内への流れの伝導度を等しくすることができる。開孔の位置及びサイズの任意の他の変更も同様に行われてよく、さらに本技術によって包含される。
【0045】
先に記載した構成及びシステムは、処理工程中に、基板全体でのガス及び処理副生成物の流れを改善し、チャンバ構成要素上での副生成物の再堆積又はペデスタルのプラテンより下の領域への進入を軽減又は制限するために利用されうる。図6は、幾つかの実施形態に係る例示的な処理方法600における選択された工程を示している。方法600は、方法の開始前に1つ以上の工程を含むことができ、1つ以上の工程には、フロントエンド処理、堆積、ゲート形成、エッチング、研磨、洗浄、又は記載した工程の前に実施されうる任意の他の工程が含まれる。本方法は、幾つかの任意選択的な工程を含んでよく、幾つかの任意選択的な工程は、本技術に係る方法の幾つかの実施形態に具体的と関連付けられよく又は関連付けられなくてよい。例えば、工程の多くは、実行されるプロセスのより広い範囲を提供するために記載されるが、本技術にとって重要ではなく、又は、以下でさらに述べるように代替的な方法によって実行することができる。
【0046】
方法600の第1の工程の前に、基板が、方法600を実行しうるチャンバの処理領域内に配置される前に、1つ以上のやり方で処理されうる。例えば、マスク層が基板上に形成された後で、エッチング工程が、マスクに関して1つ以上の材料を選択的にエッチングするために実施されうる。材料の層は、任意の基板材料又は半導体構造を含みうる。これらの工程の一部又は全てを、他の箇所で記載したように、チャンバ若しくはシステムツールにおいて実行することができ、又は、同じシステムツール上の異なるチャンバにおいて実行することができ、上記異なるチャンバには、方法600の工程を実行するチャンバが含まれうる。
【0047】
方法600は、工程605において、1つ以上のエッチャント前駆体を半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域内に流すことを含みうる。例示的なチャンバは、処理チャンバ内で画定された遠隔プラズマ領域、又は、処理チャンバと流体連結しており、かつ基板を収容しうる処理領域からは切り離された別個のユニット内の遠隔プラズマ領域を含みうる本開示の他の箇所で記載した構成要素又は構成のいずれかを含みうる。例示的な前駆体は、1つ以上のキャリアガスとともに、フッ素含有前駆体及び水素含有前駆体を含むことができるが、エッチングの際に使用される他の前駆体も同様に、本技術の実施形態に従って使用することができる。工程610において、遠隔プラズマ領域内でプラズマを形成することができ、これにより、エッチャント前駆体のプラズマ放出物が生成されうる。工程615において、プラズマ放出物が、半導体処理チャンバの処理領域へと流されうる。プラズマ放出物は、シャワーヘッドを介して流すことができ、基板を収容しうるチャンバの処理領域に進入しうる。
【0048】
工程620において、プラズマ放出物が、マスク材料、又はエッチングされる任意の他の材料と接触することができ、基板から材料を除去しうる。エッチング工程により、本技術の幾つかの実施形態においてホウ素含有副生成物を含みうる幾つかの副生成物が発生しうる。工程625において、エッチング工程からの副生成物が、処理領域から排気されうる。副生成物は、図4のポンピングライナ415又は図5のポンピングライナ500といったポンピングライナを通して排出されうる。シャワーヘッドに面するポンピングライナの第1の表面は、開孔、例えば、図5の開孔515又は図4の開孔430を含むことができ、これらの開孔を通して副生成物が排出される。前述したように、ポンピングライナの内側環状表面上のリムが、開孔を通る排気副生成物及びガスの流路をさらに促進し、ペデスタルのプラテンの下への流れを防止することができる。前述のようなスペーサも、ポンピングライナとシャワーヘッドとの間に含まれ得、このスペーサは、開孔を通る排気副生成物及びガスの流路を更に促進する、内部表面に沿った弓状輪郭を画定しうる。
【0049】
幾つかの実施形態において、不活性ガスが、前述のように、ペデスタルの下の処理チャンバの下方領域へと流されうる。この不活性ガスは、プレナムの開孔を介してチャンバから排出することができ、それにより、処理チャンバの下方領域への副生成物の流れがさらに制限されうる。ペデスタルの下から、ポンピングライナとプラテンとの間を上方に流れる不活性ガスの流路を考慮して、ポンピングライナのリムが、プラテンの下面の平面よりも上に維持され、処理チャンバの下方領域への副生成物の流れをさらに制限するように、チャンバが構成されうる。その結果、基板からの材料除去の均一性が、幾つかの要因によって改善されうる。例えば、チャンバ表面上に再堆積した粒子の上に落ちることが制限され、プラテンの下面上での副生成物の蓄積が制限又は防止され、このことにより、基板上の温度均一性が改善され、基板全体でのプロセス均一性がさらに改善されうる。
【0050】
先の記載では、説明を目的として、本技術の様々な実施形態の理解を促すべく、数多くの詳細事項を記載した。しかしながら、特定の実施形態が、これらの詳細事項の幾つかを含まずに又は更なる詳細事項を含んで実施されうることが当業者には明らかであろう。
【0051】
幾つかの実施形態を開示してきたが、当業者は、上記実施形態の思想から逸脱することなく、様々な変形例、代替構造、及び均等物が使用されうることが分かるであろう。加えて、本技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために、幾つかの周知のプロセス及び要素については記載していない。これに対応して、先の明細書の記載は、本技術の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0052】
値の範囲が与えられている場合に、文脈上そうでないと明示されていない限り、その範囲の上限値と下限値との間に介在する各値が、下限値の最も小さい単位まで具体的に開示されていると理解される。明記された範囲内の任意の明記された値又は明記されていない介在する値と、その明記された範囲内の他の明記された値又は他の介在する値と、の間の任意のより狭い範囲が包含される。これらのより狭い範囲の上限値及び下限値は、個別にその範囲内に含まれることも除外されることもあり、より狭い範囲内に限界値の一方又は両方が含まれる場合、又はどちらも含まれない場合の各範囲も、明記された範囲内の任意の特に除外された限界値に従って、本技術の範囲内に包含される。明記された範囲が、限界値の一方又は両方を含む場合、この含められた限界値の一方又は両方を除いた範囲も含まれる。
【0053】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上別途明示しない限り複数の指示物を含む。したがって、例えば、「開孔(an aperture)」が言及されている場合、複数のこのような開孔が含まれ、「その構成要素(the component)」が言及されている場合、当業者に周知の1つ以上の構成要素及び均等物への言及が含まれ、他についても同様のことが当てはまる。
【0054】
また、「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「含有する(contain(s))」、「含有している(containing)」、「含む(include(s))」、及び「含んでいる(including)」という単語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用されている場合、記載された特徴、整数、構成要素、又は工程の存在を特定することを意図しているが、1つ以上の他の特徴、整数、構成要素、工程、作動、又はグループの存在又は追加を排除するものではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6