(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置、プロセッサ、制御方法、非一時的コンピュータ可読記録媒体及び電源システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240909BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H05H1/46 R
H05H1/46 M
(21)【出願番号】P 2023191356
(22)【出願日】2023-11-09
(62)【分割の表示】P 2022160397の分割
【原出願日】2019-06-05
【審査請求日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2018119344
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】輿水 地塩
(72)【発明者】
【氏名】平野 太一
(72)【発明者】
【氏名】早坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】久保田 紳治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 幸児
(72)【発明者】
【氏名】道菅 隆
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-532549(JP,A)
【文献】特開2013-135159(JP,A)
【文献】特開2009-246091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
第1の周波数で振動するバイアス波形を供給し、前記バイアス波形のサイクルは、予め定められた期間持続し、前記バイアス波形は前記ステージに印加される、第1の高周波電源と、
前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で振動するソース波形を供給し、前記第2の周波数は、前記バイアス波形の前記サイクルの間、可変である、第2の高周波電源と、
前記バイアス波形の前記サイクルの間
において、
反射波パワーが小さくなるように前記第2の周波数を変更するとともに、前記ソース波形のパワーレベルを上げる期間を有するように前記第2の高周波電源を制御する制御部と、
を有する、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1の高周波電源は、0.1kHz~13.56MHzの範囲内で前記バイアス波形を供給する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の高周波電源は、低周波無線周波数電源である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1の高周波電源は、少なくとも複数の連続したサイクルの定期的波形として前記バイアス波形を供給する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記サイクルの第1部分の間、前記ソース波形の前記パワーレベルを、第1レベルから第2レベルまで上げるように前記第2の高周波電源を制御する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記サイクルの第2部分の間、前記ソース波形の前記パワーレベルを、前記第2レベルから第3レベルまで下げるように前記第2の高周波電源を制御し、前記サイクルの前記第1部分は、前記サイクルの前記第2部分の前に来る、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第2の高周波電源は、前記サイクルの前記第1部分の間、前記第2の周波数を増加させる、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第2の高周波電源は、前記サイクルの前記第1部分の間、前記第2の周波数を減少させる、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第2の高周波電源は、前記サイクルの前記第2部分の間、前記第2の周波数を増加させる、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記第2の高周波電源は、前記サイクルの前記第2部分の間、前記第2の周波数を減少させる、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記サイクルの第1部分の間、前記ソース波形の前記パワーレベルを、第1レベルから第2レベルまで下げるように前記第2の高周波電源を制御する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記サイクルの第2部分の間、前記ソース波形の前記パワーレベルを、前記第2レベルから第3レベルまで上げるように前記第2の高周波電源を制御し、前記サイクルの前記第1部分は、前記サイクルの前記第2部分の前に来る、請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記第2の高周波電源は、前記サイクルの前記第1部分の間、前記第2の周波数を減少させる、請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記第2の高周波電源は、前記サイクルの前記第1部分の間、前記第2の周波数を増加させる、請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記第2の高周波電源は、前記サイクルの前記第2部分の間、前記第2の周波数を減少させる、請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記第2の高周波電源は、前記サイクルの前記第2部分の間、前記第2の周波数を増加させる、請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記第2の周波数は、少なくとも13.56MHzである、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記第2の周波数は、100MHz以下である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記第2の高周波電源により前記ステージに供給される前記ソース波形の前記パワーレベルを、500Wまでに制限する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記第1の高周波電源により前記ステージに供給される前記バイアス波形のパワーレベルを、1000Wまでに制限する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記ステージに前記ソース波形を印加することにより前記プラズマ処理装置内にプラズマを生成し、前記ステージに前記バイアス波形を印加することによりイオンを前記プラズマ処理装置内に配置された基板に向けて引き込む、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項22】
前記ステージは、電極に含まれ、前記ソース波形は、前記電極に印加される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項23】
プラズマ処理装置のための制御方法であって、
前記制御方法は、
第1の高周波電源により第1の周波数で振動するバイアス波形を供給し、前記バイアス波形のサイクルは、予め定められた期間持続し、前記バイアス波形はステージに印加され、
第2の高周波電源により前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で振動するソース波形を供給し、前記第2の周波数は、前記バイアス波形の前記サイクルの間、可変であり、
前記バイアス波形の前記サイクルの間
において、
反射波パワーが小さくなるように前記第2の周波数を変更するとともに、前記ソース波形のパワーレベルを上げる期間を有するように前記第2の高周波電源を制御する、制御方法。
【請求項24】
プラズマ処理装置のためのプロセッサであって、
前記プロセッサは、メモリに接続され、
第1の高周波電源により第1の周波数で振動するバイアス波形を供給し、前記バイアス波形のサイクルは、予め定められた期間持続し、前記バイアス波形はステージに印加され、
第2の高周波電源により前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で振動するソース波形を供給し、前記第2の周波数は、前記バイアス波形の前記サイクルの間、可変であり、
前記バイアス波形の前記サイクルの間
において、
反射波パワーが小さくなるように前記第2の周波数を変更するとともに、前記ソース波形のパワーレベルを上げる期間を有するように前記第2の高周波電源を制御する、プロセッサ。
【請求項25】
コンピュータにプラズマ処理装置のためのプロセスを実行させるためのプログラムを保存する非一時的コンピュータ可読記録媒体であって、
前記プロセスは、
第1の高周波電源により第1の周波数で振動するバイアス波形を供給し、前記バイアス波形のサイクルは、予め定められた期間持続し、前記バイアス波形はステージに印加され、
第2の高周波電源により前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で振動するソース波形を供給し、前記第2の周波数は、前記バイアス波形の前記サイクルの間、可変であり、
前記バイアス波形の前記サイクルの間
において、
反射波パワーが小さくなるように前記第2の周波数を変更するとともに、前記ソース波形のパワーレベルを上げる期間を有するように前記第2の高周波電源を制御する、非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項26】
バイアス周波数を有するバイアス信号を生成するバイアス電源と、
前記バイアス周波数よりも高いソース周波数を有するソース高周波信号を生成するソース高周波電源であり、前記ソース周波数は、前記バイアス信号の
1周期において、反射波パワーが小さくなるように変更されるとともに、前記ソース高周波信号のパワーレベルは、前記バイアス信号の
1周期において、ソース波形のパワーレベルを上げる期間を有するように制御される、ソース高周波電源と、
を有する、電源システム。
【請求項27】
前記バイアス電源は、0.1kHz~13.56MHzの範囲内で前記バイアス信号を生成する、請求項26に記載の電源システム。
【請求項28】
前記バイアス電源は、低周波無線周波数電源である、請求項26に記載の電源システム。
【請求項29】
前記バイアス電源は、少なくとも複数の連続したサイクルの定期的波形として前記バイアス信号を生成する、請求項26に記載の電源システム。
【請求項30】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における第1部分の間、前記ソース高周波信号の前記パワーレベルを、第1レベルから第2レベルまで上げる、請求項26に記載の電源システム。
【請求項31】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における第2部分の間、前記ソース高周波信号の前記パワーレベルを、前記第2レベルから第3レベルまで下げ、前記バイアス信号の1周期における前記第1部分は、前記バイアス信号の1周期における前記第2部分の前に来る、請求項30に記載の電源システム。
【請求項32】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における前記第1部分の間、前記ソース周波数を増加させる、請求項30に記載の電源システム。
【請求項33】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における前記第1部分の間、前記ソース周波数を減少させる、請求項30に記載の電源システム。
【請求項34】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における前記第2部分の間、前記ソース周波数を増加させる、請求項31に記載の電源システム。
【請求項35】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における前記第2部分の間、前記ソース周波数を減少させる、請求項31に記載の電源システム。
【請求項36】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における第1部分の間、前記ソース高周波信号の前記パワーレベルを、第1レベルから第2レベルまで下げる、請求項26に記載の電源システム。
【請求項37】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における第2部分の間、前記ソース高周波信号の前記パワーレベルを、前記第2レベルから第3レベルまで上げ、前記バイアス信号の1周期における前記第1部分は、前記バイアス信号の1周期における前記第2部分の前に来る、請求項36に記載の電源システム。
【請求項38】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における前記第1部分の間、前記ソース周波数を減少させる、請求項36に記載の電源システム。
【請求項39】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における前記第1部分の間、前記ソース周波数を増加させる、請求項36に記載の電源システム。
【請求項40】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における前記第2部分の間、前記ソース周波数を減少させる、請求項37に記載の電源システム。
【請求項41】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス信号の1周期における前記第2部分の間、前記ソース周波数を増加させる、請求項37に記載の電源システム。
【請求項42】
前記ソース周波数は、少なくとも13.56MHzである、請求項26に記載の電源システム。
【請求項43】
前記ソース周波数は、100MHz以下である、請求項26に記載の電源システム。
【請求項44】
前記ソース高周波電源は、前記ソース高周波電源により前記ソース高周波信号の前記パワーレベルを、500Wまでに制限する、請求項26に記載の電源システム。
【請求項45】
前記ソース高周波電源は、前記バイアス電源により前記バイアス信号のパワーレベルを、1000Wまでに制限する、請求項26に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置、プロセッサ、制御方法、非一時的コンピュータ可読記録媒体及び電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エッチングの際、印加するイオン引き込み用の高周波電力をプラズマ生成用の高周波電力のオン・オフに同期させることでイオンを多結晶シリコン層上に到達させ、多結晶シリコン層のエッチングレートを均一にする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、プラズマ生成用の高周波電力であるソースパワー及びイオン引き込み用の高周波電力であるバイアスパワーの、異なる2つの周波数の高周波電力を処理容器内に印加してエッチングレートを制御する。
【0005】
本開示は、ラジカルとイオンの量と質を制御する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、ステージと、第1の周波数で振動するバイアス波形を供給し、前記バイアス波形のサイクルは、予め定められた期間持続し、前記バイアス波形は前記ステージに印加される、第1の高周波電源と、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で振動するソース波形を供給し、前記第2の周波数は、前記バイアス波形の前記サイクルの間、可変である、第2の高周波電源と、前記バイアス波形の前記サイクルの間、前記ソース波形のパワーレベルを制御するように前記第2の高周波電源を制御する制御部と、を有する、プラズマ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、ラジカルとイオンの量と質を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係るプラズマ処理装置の一例を示す図。
【
図2A】一実施形態に係る制御部の構成の一例を示す図。
【
図2B】一実施形態に係る給電系に付けたセンサーの位相信号で制御する場合、又はバイアスパワーの高周波の周期に同期する信号で制御する場合を示す図。
【
図3】一実施形態に係るLFの一周期内の位相に応じたHFの供給タイミングの一例を示す図。
【
図4】一実施形態に係るLFの一周期内の位相に応じたHFの供給タイミングの一例を示す図。
【
図5】一実施形態に係るLFの一周期内の位相とプラズマ密度Ne及び自己バイアスVdcとの関係の一例を示す図。
【
図6】一実施形態に係る反射波パワーの一例を示す図。
【
図7】一実施形態に係る反射波パワーの一例を示す図。
【
図8】一実施形態の変形例1に係る制御方法を説明するための図。
【
図9】一実施形態の変形例2に係る制御方法を説明するための図。
【
図10】一実施形態の変形例3に係る制御方法を説明するための図。
【
図11】一実施形態の変形例4に係る制御方法を説明するための図。
【
図12】一実施形態に係るIMD(相互変調歪)の一例を示す図。
【
図13A】一実施形態の変形例5-1に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【
図13B】一実施形態の変形例5-2に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【
図13C】一実施形態の変形例5-3に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【
図13D】一実施形態の変形例5-4に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【
図14】一実施形態の変形例6に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【
図15A】一実施形態の変形例7-1に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【
図15B】一実施形態の変形例7-2に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【
図15C】一実施形態の変形例7-3に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【
図15D】一実施形態の変形例7-4に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【
図16】一実施形態に係るソースパワーの反射波パワーの一例を示す図。
【
図17】一実施形態の変形例8に係る制御方法を説明するためのタイミングチャート。
【
図18】一実施形態の変形例9に係る制御方法を説明するためのタイミングチャート。
【
図19】一実施形態の変形例10係る制御方法を説明するためのタイミングチャート。
【
図20】一実施形態の変形例11係る制御方法を説明するためのタイミングチャート。
【
図21】一実施形態の変形例12に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【
図22】一実施形態の変形例13に係る制御方法を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0010】
以下、ソースパワーの周波数(高周波)を「HF」(High Frequency)ともいい、ソースパワーを「HF電力」ともいう。また、ソースパワーの周波数よりも低い周波数のバイアスパワーの周波数(高周波)を「LF」(Low Frequency)ともいい、バイアスパワーを「LF電力」ともいう。
【0011】
[はじめに]
プラズマ生成用の高周波電力であるソースパワーとイオン引き込み用の高周波電力であるバイアスパワーの、異なる2つ周波数の高周波電力を処理容器内に印加すると、IMD(Intermodulation distortion:相互変調歪)が反射波パワーとして発生する場合がある。
【0012】
IMDは、整合不良を発生するのみならず、反射耐性のため、かつプラズマの維持のために、本来必要な高周波電力よりも大きな電力を投入し得る容量の高周波電源が必要となる。このため、従来からIMDの発生を低減するために、高周波電源の給電ラインに使用される同軸ケーブルのケーブル長を最適化することが行われている。
【0013】
しかしながら、IMDは、HF電力の基本波及び/又は高調波と、LF電力の基本波及び/又は高調波との和や差の周波数に生じる。このため、同軸ケーブルのケーブル長を最適化する方法では、特定の周波数の高周波電力の反射波パワーを減少させることはできても、IMDに含まれるHF電力及びLF電力の基本波及び/又は高調波との和や差から生じる他の周波数の反射波パワーをなくすことはできない。
【0014】
また、LF電力の周波数が低い程、HF電力の基本波に近い周波数にてIMDが発生するため、できるだけLF電力の周波数を高くし、HF電力の基本波に近い周波数におけるIMDの発生を抑制することが考えられる。しかしながら、近年、特に高アスペクト比のエッチング処理では、LF電力の周波数を低くした方がプロセス結果がよい。つまり、高アスペクト比の穴を深くエッチングするほどエッチングレートが下がるため、LF電力の周波数をより低周波数にし、かつパワーを上げることが行われる。これにより、高アスペクト比のエッチングにおいてエッチングレートを上げることができる。ただし、このプロセス条件では更にIMDが増加するため、近年のLF電力の高パワーかつ低周波数化により高周波電力の反射波パワーは高くなっている。特に、LF電力とHF電力を同一電極に印加する場合に高周波電力の反射波パワーが増大する。
【0015】
例えば、
図12は、LF電力を印加した電極に所定の周波数のHF電力を印加したときに発生する反射波パワーの一例を示す。IMDはLFのVpp(Peak to Peak)の位相に同期して周期的に強度が変化する。例えば、
図12の例では、LFの電位が正の最大値付近でIMDはほぼ0W、つまり反射が生じていない状態となっている。また、LFの電位が負の範囲でIMDは比較的低くなっている。LFの電位が正の最大値を超えてから負に掛けて、最大の反射波パワーが生じ、IMDが最大となっている。
【0016】
そこで、発明者らは、IMDが発生するタイミングを考慮して、LFの位相に応じてIMDの発生を抑制する制御方法及び該制御方法を実行するプラズマ処理装置を提案する。更に、発明者らは、LF及びHFの異なる2つの周波数の高周波電力を制御してラジカルとイオンの量と質の制御する制御方法を提案する。
【0017】
[プラズマ処理装置の全体構成]
まず、一実施形態に係るプラズマ処理装置1の一例について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置の一例を示す図である。
【0018】
一実施形態にかかるプラズマ処理装置1は、容量結合型の平行平板プラズマ処理装置であり、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムからなる円筒状の処理容器10を有している。処理容器10は接地されている。
【0019】
処理容器10の底部には、セラミックス等からなる絶縁板12を介して円柱状の支持台14が配置され、この支持台14の上に例えばアルミニウムからなる載置台16が設けられている。載置台16は下部電極を構成し、その上に静電チャック18を介して被処理体の一例であるウェハWが載置される。
【0020】
載置台16の上面には、ウェハWを静電力で吸着保持する静電チャック18が設けられている。静電チャック18は、導電膜からなる電極20を一対の絶縁層または絶縁シートで挟んだ構造を有する。電極20には直流電源22が接続されている。直流電源22から出力された直流電圧は、電極20に印加される。これにより生じたクーロン力等の静電力によってウェハWが静電チャック18に吸着保持される。
【0021】
載置台16上であってウェハWの周囲には、例えばシリコンからなる導電性のエッジリング24が配置されている。エッジリング24はフォーカスリングともいう。載置台16および支持台14の側面には、例えば石英からなる円筒状の内壁部材26が設けられている。
【0022】
支持台14の内部には、例えば環状に冷媒室28が設けられている。冷媒室28には、外部に設けられたチラーユニットより配管30a,30bを介して所定温度の冷媒、例えば冷却水が循環供給され、冷媒の温度によって載置台16上のウェハWの処理温度が制御される。なお、冷媒は、配管30a,30bに循環供給される温度調整用の媒体の一例であり、温度調整用の媒体は、載置台16及びウェハWを冷却するだけでなく、加熱する場合もあり得る。
【0023】
さらに、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスがガス供給ライン32を介して静電チャック18の上面とウェハWの裏面との間に供給される。
【0024】
載置台16の上方には、載置台16と対向するように平行に上部電極34が設けられている。上部電極34と下部電極間の間はプラズマ処理空間となる。上部電極34は、載置台16上のウェハWと対向してプラズマ処理空間と接する面、つまり対向面を形成する。
【0025】
上部電極34は、絶縁性の遮蔽部材42を介して、処理容器10の上部に支持されている。上部電極34は、載置台16との対向面を構成しかつ多数のガス吐出孔37を有する電極板36と、この電極板36を着脱自在に支持し、導電性材料、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムからなる電極支持体38とを有する。電極板36は、例えばシリコンやSiCにより形成されてもよい。電極支持体38の内部には、ガス拡散室40が設けられ、このガス拡散室40からはガス吐出孔37に連通する多数のガス通流孔41が下方に延びている。
【0026】
電極支持体38にはガス拡散室40へ処理ガスを導くガス導入口62が形成されており、このガス導入口62にはガス供給管64が接続され、ガス供給管64には処理ガス供給源66が接続されている。ガス供給管64には、上流側から順にマスフローコントローラ(MFC)68および開閉バルブ70が設けられている。そして、処理ガス供給源66からエッチングのための処理ガスが供給される。処理ガスは、ガス供給管64からガス拡散室40に至り、ガス通流孔41を介してガス吐出孔37からシャワー状にプラズマ処理空間に吐出される。このようにして上部電極34は処理ガスを供給するためのシャワーヘッドとして機能する。
【0027】
上部電極34には、可変直流電源50が接続され、可変直流電源50からの直流電圧が上部電極34に印加される。可変直流電源50の極性および電流・電圧と、電流や電圧をオン・オフする電子スイッチの制御は、制御部200により制御される。
【0028】
載置台16には、給電棒47及び整合器46を介して第1の高周波電源48が接続されている。第1の高周波電源48は、載置台16にLF電力を印加する。これにより、載置台16上のウェハWにイオンが引き込まれる。第1の高周波電源48は、200kHz~13.56MHzの範囲内の周波数のLF電力を出力する。整合器46は第1の高周波電源48の内部インピーダンスと負荷インピーダンスとを整合させる。
【0029】
載置台16には、給電棒89及び整合器88を介して第2の高周波電源90が接続されている。第2の高周波電源90は、載置台16にHF電力を印加する。HFの周波数は、LFの周波数よりも高く、第2の高周波電源90から13.56MHz以上の周波数のHF電力が出力される。例えば400kHzのLF電力に対して、周波数が高い100MHzのHF電力を出力してもよい。整合器88は、第2の高周波電源90の内部インピーダンスと負荷インピーダンスとを整合させる。載置台16には、所定の高周波をグランドに通すためのフィルタ94が接続されてもよい。なお、第2の高周波電源90から供給されるHF電力を、上部電極34に印加してもよい。
【0030】
処理容器10の底部には排気口80が設けられ、この排気口80に排気管82を介して排気装置84が接続されている。排気装置84は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、処理容器10内は所望の真空度まで減圧可能である。また、処理容器10の側壁にはウェハWの搬入出口85が設けられており、この搬入出口85はゲートバルブ86により開閉可能である。また、処理容器10の内壁に沿って処理容器10にエッチング副生物(デポ)が付着することを防止するためのデポシールド11が着脱自在に設けられている。すなわち、デポシールド11が処理容器の壁を構成している。また、デポシールド11は、内壁部材26の外周にも設けられている。処理容器10の底部の処理容器の壁側のデポシールド11と内壁部材26側のデポシールド11との間には排気プレート83が設けられている。デポシールド11および排気プレート83としては、アルミニウム材にY2O3等のセラミックスを被覆したものを用いることができる。
【0031】
かかる構成のプラズマ処理装置1にてエッチング処理を行う際には、まず、ゲートバルブ86を開状態とし、搬入出口85を介してエッチング対象であるウェハWを処理容器10内に搬入し、載置台16上に載置する。そして、処理ガス供給源66からエッチングのための処理ガスを所定の流量でガス拡散室40へ供給し、ガス通流孔41およびガス吐出孔37を介して処理容器10内へ供給する。また、排気装置84により処理容器10内を排気し、その中の圧力を例えば0.1~150Paの範囲内の設定値とする。ここで、処理ガスとしては、従来用いられている種々のものを採用することができ、例えばC4F8ガス等のハロゲン元素を含有するガスを好適に用いることができる。さらに、ArガスやO2ガス等の他のガスが含まれていてもよい。
【0032】
このように処理容器10内にエッチングガスを導入した状態で、第2の高周波電源90からHF電力を載置台16に印加する。また、第1の高周波電源48からLF電力を載置台16に印加する。また、可変直流電源50から直流電圧を上部電極34に印加する。また、直流電源22から直流電圧を電極20に印加し、ウェハWを載置台16に吸着保持する。
【0033】
上部電極34のガス吐出孔37から吐出された処理ガスは、主にHF電力により解離及び電離しプラズマが生成される。プラズマ中のラジカルやイオンによってウェハWの被処理面がエッチングされる。また、載置台16にLF電力を印加することで、プラズマ中のイオンを制御し、高アスペクト比のホールのエッチングを可能とする等、プラズマの制御マージンを広くできる。
【0034】
プラズマ処理装置1には、装置全体の動作を制御する制御部200が設けられている。制御部200は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリに格納されたレシピに従って、エッチング等の所望のプラズマ処理を実行する。レシピには、プロセス条件に対する装置の制御情報であるプロセス時間、圧力(ガスの排気)、高周波電力や電圧、各種ガス流量、処理容器内温度(上部電極温度、処理容器の側壁温度、ウェハW温度、静電チャック温度等)、チラーから出力される冷媒の温度などが設定されている。なお、これらのプログラムや処理条件を示すレシピは、ハードディスクや半導体メモリに記憶されてもよい。また、レシピは、CD-ROM、DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で所定位置にセットされ、読み出されるようにしてもよい。
【0035】
HFの電力のオン・オフ又はHigh・Lowを、バイアスパワーの高周波の周期に同期する信号、又はバイアスパワーの給電系で測定された電圧、電流又は電磁界のいずれかの一周期内の位相に同期させるように制御してもよい。例えば、制御部200は、HFの電力のオン・オフ又はHigh・LowをLFの電圧又は電流の一周期内の位相に同期させるように制御してもよい。これにより、イオンとラジカルの量と質を制御することができる。また、IMDの発生を低減できる。
【0036】
バイアスパワーの給電系とは、第1の高周波電源48→整合器46→給電棒47→載置台16→(プラズマ)→上部電極34→(グランド)をいう。バイアスパワーの給電系で測定される電圧、電流又は電磁界のいずれかとは、第1の高周波電源48から整合器46の内部及び給電棒47を介して載置台16に至るまでのパーツと上部電極34で測定される電圧、電流又は電磁界をいう。
【0037】
また、バイアスパワーの高周波の周期に同期する信号の状態、又はバイアスパワーの給電系で測定された電圧、電流又は電磁界のいずれかを「基準電気状態」ともいう。HF電力(ソースパワー)は、基準電気状態の一周期内の位相と同期して後述する第1の状態と第2の状態とに交互に印加するように制御される。
【0038】
ただし、バイアスパワーの給電系で測定された電圧、電流又は電磁界のいずれかを「基準電気状態」とする場合、基準電気状態は、載置台16から給電棒47を介して接続される整合器の内部までのいずれかの部材において測定される電圧、電流又は電磁界のいずれかであることが好ましい。
【0039】
バイアスパワーの給電系で基準電気状態を測定する方法としては、バイアスパワーの給電系のいずれかのパーツの近傍に電圧プローブ、電流プローブ、BZプローブ(誘導磁場を測るプローブ)を設置することで各パーツの電圧、電流又は誘導磁場を計測する方法が一例として挙げられる。
【0040】
例えば、
図2B(a)は、バイアスパワーの給電系で測定された電圧、電流又は電磁界のいずれかを「基準電気状態」とする場合の一例である。例えば
図2B(a)では、プロセッサ100が給電系に取り付けられたVIプローブ等のセンサからHFの電圧又は電流、LFの電圧又は電流、HFの位相信号又はLFの位相信号のいずれかを入力する。プロセッサ100は、入力したHFの電圧又は電流、LFの電圧又は電流、HFの位相信号又はLFの位相信号のいずれかを示す基準電気状態の一周期内の位相と同期してソースパワーを第1の状態と第2の状態に交互に印加する。
【0041】
プロセッサ100は、センサからの信号に基づかずに第1の高周波電源48から出力されるバイアスパワーの高周波の周期に同期する信号を生成してもよい。この場合、該信号の状態を基準電気状態とすることができる。また、バイアスパワーの給電系で基準電気状態を測定する工程を省くことができる。例えば
図2B(b)では、プロセッサ100が、第1の高周波電源48からLFの位相信号(小電力波形)又はバイアスパワーの情報に関する信号を入力し、この入力信号に基づきバイアスパワーの高周波の周期に同期する信号を生成する。プロセッサ100は、生成した信号を第2の高周波電源90に出力する。第2の高周波電源90は、この信号に基づきソースパワーを第1の状態と第2の状態に交互に印加する。
【0042】
なお、プロセッサ100は、第1の高周波電源48からの信号に基づかずにバイアスパワーの高周波の周期に同期する信号を生成してもよい。この場合、プロセッサ100は、例えば
図3のLFに示す周期を有する信号を生成すると共に、この信号に同期する、例えば
図3のHFに示すオン・オフ信号を生成する。プロセッサ100は、生成した信号を第1の高周波電源48及び第2の高周波電源90に出力する。第1の高周波電源48は、この信号に基づきバイアスパワーを出力する。第2の高周波電源90は、この信号に基づきソースパワーを第1の状態と第2の状態に交互に印加する。
【0043】
なお、載置台16は、ウェハWを載置する第1の電極の一例である。上部電極は、第1の電極と対向する第2の電極の一例である。第1の高周波電源48は、第1の電極にLF電力を供給するバイアス電源の一例である。第2の高周波電源90は、第1の電極又は第2の電極にLF電力よりも高い周波数のHF電力を供給するソース電源の一例である。制御部200は、バイアス電源及びソース電源を制御する制御部の一例である。バイアスパワーを印加する下部電極(載置台16)の電位を、電極電位ともいう。
【0044】
[制御部の構成]
制御部200の具体的構成について、
図2Aを参照して説明する。制御部200は、プロセッサ100、信号発生回路102、方向性結合器105,108、反射検出器111、オシロスコープ112を有する。
【0045】
第1の高周波電源48の給電ラインには、第1の高周波電源48と整合器46の間に方向性結合器105が接続されている。第2の高周波電源90の給電ラインには、第2の高周波電源90と整合器88の間に方向性結合器108が接続されている。
【0046】
方向性結合器105は、LFの進行波パワー(Pf)の一部をオシロスコープ112に与える。また、方向性結合器108は、HFの進行波パワー及び反射波パワーの一部をオシロスコープ112に与える。
【0047】
一実施形態において、オシロスコープ112に表示されるLFの周波数は、例えば400kHzであり、HFの周波数は、例えば100MHzである。これにより、オシロスコープ112では、LFの進行波パワーの波形と、HFの進行波パワーの波形及びHFの反射波パワーの波形とを観察できる。
【0048】
また、方向性結合器108は、HFの反射波の一定割合を分離し、反射検出器111に与える。反射検出器111は、たとえば、スペクトルアナライザー、パワーメーター等から構成され、どんな波長のIMD(Intermodulation distortion:相互変調歪)がどのくらい発生しているかやどの程度の反射波パワーであるかを計測する。IMDは、プラズマ処理装置1の上部電極又は下部電極にHF電力を印加し(一実施形態では下部電極)、下部電極にLF電力を印加することで生じる、LFの基本波及び/又は高調波と、HFの基本波及び/又は高調波との和や差の周波数に応じて生じる、プラズマ側からの反射波パワーをいう。
【0049】
方向性結合器105は、LFの進行波パワーの一部をプロセッサ100に与える。プロセッサ100は、LFの進行波パワーに同期させるHF用の同期信号を作成する。例えば、プロセッサ100は、LFの進行波の正のタイミングに同期させてHF用の同期信号を作成してもよい。なお、方向性結合器105の替わりに、VIプローブ等のセンサを用いて検出したLFの波形をプロセッサ100に与えてもよい。
【0050】
プロセッサ100は、作成した同期信号を信号発生回路102に与える。信号発生回路102は、与えられた同期信号からLFの進行波パワーに同期する制御信号を生成し、第2の高周波電源90及び第1の高周波電源48に与える。
【0051】
制御信号の生成方法には、以下の2通りがある。第1の高周波電源48が一般的な電源の場合、方向性結合器105が第1の高周波電源48から出力されるLFの電圧又は電流の一部を波形として取り出し、プロセッサ100に入力する。ただし、これに限られず、プロセッサ100が、第1の高周波電源48から直接、LFの電力等の一部を入力してもよい。プロセッサ100は、入力した波形の信号から任意の遅延と任意の幅を有するオン信号を作成し、信号発生回路102に送信する。オン信号は、同期信号の一例である。
【0052】
信号発生回路102は、オン信号の間、HFの電力を発生させるために第2の高周波電源90に指令信号を送る。指令信号には、第2の高周波電源90の入力形態に応じて、オン信号の間、HFの電力を発生させる制御信号又はオン信号そのものが使用される。
【0053】
第1の高周波電源48がLFの電力、電圧又は電流を増幅するアンプの場合、方向性結合器105からの信号は使用せず、信号発生回路102が第1の高周波電源48から出力されるLFの電力等の一部を波形として取り出し、該波形の信号から任意の遅延と任意の幅を有するオン信号を作成してもよい。信号発生回路102は、該波形の信号及びオン信号を第2の高周波電源90に送信する。
【0054】
ただし、以上の制御信号の生成方法は一例であり、これに限らない。与えられた同期信号から基準電気状態の一周期内の位相(LFの電圧又は電流の一周期内の位相、電極電位等)と同期してHFの電力のオン・オフ又は、High・Lowが交互に印加されるように制御する制御信号を生成できれば、
図2Aに示す制御部200の回路に限られず、他のハードウェア又はソフトウェアを使用できる。
【0055】
第1の高周波電源48のアンプは、400kHzのLFの変調信号の振幅(AM:amplitude modulation)を増幅し、下部電極に供給する。第2の高周波電源90のアンプは、100MHzのHFの変調信号の振幅を増幅し、下部電極に供給する。
【0056】
図3は、LFの電圧又は電流の波形と、LFの電圧又は電流が正のタイミングに応じて印加するHFの電圧又は電流の一例を示す図である。下から2つ目の波形に示す電極電位が正のとき、HFの電圧又は電流は正の値に制御(オン)される。電極電位が負のとき、HFの電圧又は電流は0に制御(オフ)される。基本的には、LFの電圧又は電流によって電極電位が決まるため、LFの電圧又は電流が負のタイミングにHFの電圧又は電流はオフされ、LFの電圧又は電流が正のタイミングにHFの電圧又は電流はオンされる。
【0057】
プロセッサ100は、電極電位が正のタイミングを含む時間帯にHFの電力を制御する同期信号を作成してもよい。ただし、プロセッサ100は、これに限られず、電極電位が負に最も深くなるタイミングを含む短時間にHFの電力を制御する同期信号を作成してもよい。
【0058】
[HFの電力の供給タイミング]
次に、一実施形態におけるHFの電力の供給タイミングについて、
図4を参照しながら説明する。
図4は、一実施形態に係るHFの電力の供給タイミングの一例を示す図である。
【0059】
図4(a)~(c)の縦軸は、電極の電位を示す。電極の電位はウェハの電位とほぼ同一である。電極の電位はLF及びHFの電圧が重畳したときの電位である。ここで、LFの周波数が400kHzのLF電圧のVppは、HFの周波数が100MHzのHF電圧のVppよりもはるかに大きい。よって、基本的には、LFの電圧によって電極電位が決まり、HFの電圧のVppの幅(振幅)で振動する。
【0060】
電極上のシースについても、基本的にはLFの電圧に応じてシースの厚さが決まる。LFの電圧が負のときの電極電位は、いわゆる自己バイアス電圧VdcによりLFの電圧が正のときの電極電位よりも負に深くなる。電極電位がグランド電位に対して正電位にあるときにはプラズマ電位に近くなる為、高速な一部の電子が電極に流入可能となり、グランド電位に対して負電位にあるときにはイオンが流入する。
【0061】
電極はブロッキングコンデンサ(一実施形態では整合器)によりグランドからフローティングしているため、電極に流入した電子はグランドに流れない。よって、電極の表面がプラズマに対して正電位にある周期(半サイクル)に電子が電極に流入し蓄積していく。しかし、蓄積した電子のために電極の表面は負に帯電してプラズマに対して負のバイアスが発生する。その負のバイアスにより、イオンが電極の表面に流入するようになる。これにより、電極の表面にシースが形成される。
【0062】
最終的には、電極の表面はプラズマ電位に接近し、そのときに流入する電子と、負のバイアスにより定常的に流入するイオンとが平衡したときの電極の電位のDC成分が自己バイアス電圧Vdcである。
【0063】
図3は、LFの位相に対応した電極電位、LFの位相に対応したプラズマ電位、シース厚及びインピーダンスZを模式的に示す。プラズマ電位は、処理容器10内の最も高い電位よりもわずかに高くなる。よって、プラズマ電位は、電極電位が正のときには電極電位よりもわずかに高くなり、電極電位が負のときには処理容器10の壁の電位を0とすると、壁面の電位0よりもわずかに高くなる。
【0064】
自己バイアス電圧VdcによりLFの電圧が負のときに電極電位が負に深くなると、シースの厚さは電圧に比例するため、電極電位が負のときには電極に大きな電圧がかかり、シースの厚さが厚くなる。これに対して、電極電位が正のときには電極電位が負のときと比べて電極には小さい電圧がかかるためにシースの厚さは薄くなる。
【0065】
一実施形態では、載置台16(下部電極)にLF電力とHF電力とが印加されるから、
図4に示す電極電位は下部電極の電位となる。LFの位相に対応して載置台16上のシースの厚さはほぼフラットな薄い状態のタイミングと、シースが厚い状態のタイミングとがある。このため、シースをコンデンサと仮定すると、シースが薄いときにはコンデンサの容量は大きくなって、インピーダンスZ=1/ωCよりシースのインピーダンスZは低くなる。つまり、電極電位が正のときには、シースが薄いためにインピーダンスZは低く、かつほぼ一定である。一方、電極電位が負のときには、シースが厚いためにインピーダンスZは高く、かつ変化が大きくなる。更に、インピーダンスZは、LFの電圧によりほぼ決定される。以上から、HF電力のインピーダンス整合は難しくなる。特に、電極電位が負のとき、つまりLFの電圧が負のときには、インピーダンスは高くかつ変化が大きいため、HF電力のインピーダンス整合は難しくなる。
【0066】
このようなインピーダンスZの変動に対して、HF電力に対するインピーダンス整合を行う整合器88は、モータの稼働により最大1Hz程度の周波数までは追従できるが、それ以上の周波数になると追従して整合を取ることが困難となり、LFの位相によって刻々と変化するインピーダンスのうちの一つのタイミングに整合することになる。この状態では、整合器88は、整合した一つのタイミング以外の他の位相では整合できていないため、IMDの反射波パワーは大きい。
【0067】
そこで、一実施形態では、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、電極電位が正のときにHFの電力をオン又はHighに制御し、電極電位が負のときにHFの電力をオフ又はLowに制御する。
【0068】
一実施形態では、電極電位が正のときには、インピーダンスZはほぼ一定であるため、このタイミングでHFの電力を供給すれば整合が取り易い。このため、このタイミングではHF電力をオン又はHighに制御する。一方、電極電位が負のときには、インピーダンスは高くかつ変化が大きいため、このタイミングでHFの電力を供給しても整合が取り難い。このため、このタイミングではHF電力の供給をオフ又はLowに制御する。これにより、IMDの発生を低減できる。
【0069】
図4(b)に示すように、HFの電力をHigh又はLowに制御する場合、電極電位が負のタイミングにおいてHFの電力をオフにせずLowに保持するため、HFの電力をオン又はオフに制御する場合と比べてプラズマ密度の減少を抑制できる。また、電極電位が負のタイミングにおいて印加するHFの電力を、電極電位が正のタイミングにおいて印加するHFの電力よりも小さくすることで、IMDの発生を抑制できる。
【0070】
ただし、電極電位が正のタイミングに一致させてHFの電力をオン又はHighにする制御方法は一例であり、これに限らない。基準電気状態の位相の少なくとも一部が正のときにHFの電力をオン又はHighに制御してもよい。また、基準電気状態の位相の少なくとも一部が負のときにHFの電力をオン又はHighに制御してもよい。つまり、HF電力(ソースパワー)は第1の状態と第1の状態よりも小さい第2の状態とを有し、第1の状態の期間は、基準電気状態の位相がピークとなるタイミングを含んでいてもよい。この場合のピークは、正のピークであってもよいし、負のピークであってもよい。また、第1の状態の期間は、基準電気状態の位相の少なくとも一部が正のタイミングを含んでもよい。また、第1の状態の期間は、基準電気状態の位相の少なくとも一部が負のタイミングを含んでもよい。また、HFの電力は、基準電気状態の位相が正のタイミングに一致させた矩形波だけでなく、立ち上がりのスローアップ又は立ち下がりのスローダウンの少なくともいずれかを含む略矩形波を印加してもよい。また、HFの電力は、基準電気状態の位相が正のタイミングから所定時間だけ後にずらしたタイミング又は所定時間だけ前にずらしたタイミングの少なくともいずれかに印加してもよい。
【0071】
HFの電力を基準電気状態の位相が正のタイミングから所定時間だけずらす制御方法の利用例としては次の場合が挙げられる。基準電気状態の位相が正のときだけにHFの電力を印加すると、イオンエネルギーが小さくなる。エッチングの種類によっては、より大きなイオンエネルギーのプロセスが望まれる場合がある。その場合には、LFの基準電気状態が正から負になり、所望の大きさのイオンエネルギーが得られるタイミングまでHFの電力を印加する。これにより、イオンエネルギーの大きなプロセスを実現させることができる。
【0072】
また、基準電気状態の位相が正のタイミングを基準にして、HFの電力を所定時間だけ短く又は長くするようにHFの電力を供給する時間幅を調整してもよい。例えば、HFの電力は、基準電気状態の位相が正のタイミングに加えてその前と後に所定時間を加えて供給してもよい。
【0073】
基準電気状態の位相が負のタイミングでHFの電力を供給してもよい。ただし、基準電気状態の位相が負のタイミングではインピーダンスが高く、かつ時間により変化する。よって、この場合には基準電気状態の位相が負のタイミングであって、より短い時間幅にHFの電力をオンする制御が好ましい。例えばゲート機能やディレイ機能を有する回路でHFの電力を印加するタイミングや幅を調整することが好ましい。事前に、基準電気状態の一周期における反射強度を計測し、計測結果から、LFの電力の反射が少ないタイミングにHFの電力を印加するように自動調整機能を有する回路を用いて制御してもよい。
【0074】
例えば、
図4(c)に示すように、電極電位が負のタイミングで、電極の自己バイアスVdcが負に最も大きくなる時間を含む短い時間幅にHFの電力をオン又はHighにし、それ以外の時間帯にはHFの電力をオフ又はLowにしてもよい。また、反射波パワーを前もって検出してその大きさに応じて、反射波パワーの多い時間帯にはHFの電力をオフ又はLowにし、反射波パワーの少ない時間帯にはHFの電力をオン又はHighにしてもよい。
図4(c)に示す電極電位が負に最も大きくなる時間を含む時間幅にHFの電力を短時間印加することで、HARC(High Aspect Ratio Contact)等の特定のエッチングにおいて、強いイオンの打ち込みを実現できる。これにより、エッチング速度の向上やエッチング形状の向上を実現できる。
【0075】
以上に説明したように、一実施形態に係るプラズマ処理装置1の制御方法によれば、基準電気状態の一周期内の位相に同期してHFの電力のオン・オフ又はHigh・Lowを制御する。これにより、IMDの発生を低減できる。また、イオンエネルギーを制御し、ラジカルとイオンの量と質を制御することが可能になる。
【0076】
なお、
図3及び
図4(a)~
図4(c)に一例を示すように、HFの電力をオン又はHighに制御している状態は、第1の状態の一例であり、HFの電力をオフ又はLowに制御している状態は、第2の状態の一例である。
【0077】
一実施形態に係るプラズマ処理装置1の制御方法では、第1の状態と第2の状態とを基準電気状態の一周期内の位相と同期して交互に印加する第1制御工程を有する。第2の状態は第1の状態よりも小さければよく、第2の状態の電力は0であってもよいし、0以外の第1の状態よりも小さい値であってもよい。
【0078】
[効果の一例]
次に、基準電気状態の一周期内の位相に同期してHFの電力のオン・オフ又はHigh・Lowを制御する効果の一例について、
図5~
図7を参照して説明する。
図5のグラフは、一実施形態に係るLFの位相とプラズマ密度Neと自己バイアスの絶対値|Vdc|との関係の一例を示す図である。
図6及び
図7は、一実施形態に係る反射波パワーの一例を示す図である。
【0079】
図5のグラフは、基準電気状態の一周期に対し、HFの電力をその一周期の約40%の時間幅で、位相を変え周期的に印加し計測した実測結果であり、グラフの左の縦軸にプラズマ密度Ne(cm
-3)を示し、右の縦軸に自己バイアスの絶対値|Vdc|(V)を示す。プラズマ処理装置1の下部電極にHFの電力とLFの電力とを重畳して印加する場合、LFの周期で下部電極のシースが変動し、その結果、インピーダンスZが変化してプラズマ密度Ne及び自己バイアスVdcが変動する。
【0080】
電極電位が正のタイミングにHFの電力をオンし、電極電位が負のタイミングにHFの電力をオフする場合(
図5の左上図参照)、
図5の下のグラフの領域aに示すように、プラズマ密度Neが高くなっており、プラズマ生成効率を高くできる。また、領域aでは、自己バイアスの絶対値|Vdc|が低くなっており、IMDの発生を効果的に抑制できる。
【0081】
また、電極電位が正のタイミングにHFの電力をオフし、電極電位が負に最も大きくなるときを含む短時間にHFの電力をオンする場合(
図5の右上図参照)、
図5の下のグラフの領域bに示すように、プラズマ密度Neは中程度~高程度になり、プラズマ生成効率は中程度以上になる。これは、電極電位が負のときには電極に大きな電圧がかかり、シースの厚さが厚くなり、HFの電力をオンしたときのHFの電界が低下し、プラズマの生成効率が低下するためである。
【0082】
また、領域bでは、自己バイアスの絶対値|Vdc|が高くなっており、イオンエネルギーの単色化、つまり、イオンエネルギーが揃ったイオンをウェハWへ引き込むことができる。特に高アスペクト比のプロセスにおいて、単色化された高エネルギーのイオンをウェハWへ引き込むことができる。このときIMDの発生は高まるが、下部電極の電位が負に最も大きくなる短時間にHFの電力を印加することで、常時HFの電力を印加する場合と比較してトータルとしてIMDの発生を低減できる。
【0083】
以上、一実施形態に係るプラズマ処理装置1によれば、例えば電極電位が正のタイミングを基準にHFの電力をオン又はHighに制御することで、IMDの発生を低減できる。また、電極電位が負のタイミングではシースが厚くなることで、プラズマ生成効率が低下することを課題として、電極電位の正のタイミングにHFの電力を印加することで、プラズマ生成効率を上げることができる。
【0084】
また、電極電位が負であって最も深いタイミングに短時間だけHFの電力を印加することで、単色化された高エネルギーのイオンをウェハWへ引き込むことができる。
【0085】
例えば、
図6の左の上下のグラフ及び
図6の右の(a)及び(b)の画面の波形は、制御部200の反射検出器111による検出結果及びオシロスコープ112の表示結果の一例を示す。左の下側のグラフは、LFの一周期のVppとVdcを示す。Vdcが負に深い程シースが厚くなり、HFの電力を印加したときのプラズマ生成効率が低下する。上側のグラフは、LFの一周期のVppとVdcに対するHFの進行波パワー(Pf)と反射波パワー(Pr)を示す。
【0086】
図6の(a)のオシロスコープ112の表示の一例は、領域cに示すLFの位相が180°のときに測定されたLFの進行波パワーの波形A、ウェハ上の高周波電力の振幅B(すなわち、LF電力とHF電力の合算値)を示す。また、HFの進行波パワーの波形をCで示し、HFの反射波パワーの波形をDで示す。また、
図6の(b)のオシロスコープ112の表示の一例は、領域dに示すLFの位相が0°(=360°)のときに測定されたLFの進行波パワーの波形A、ウェハ上の高周波電力の振幅B、HFの進行波パワーの波形C及びHFの反射波パワーの波形Dを示す。
【0087】
これによれば、領域dでは、領域cよりも反射波パワーが小さい。よって、LFの位相が0°を含むようにバイアスパワーの高周波の周期に同期する信号、又はバイアスパワーの給電系で測定された基準電気状態の一周期内の位相と同期して、HFの電力を第1の状態(例えばオン又はHigh状態)と第2の状態(例えばオフ又はLow状態)にするように交互に印加することで、IMDの発生を抑制できることがわかる。例えば、上述したように、電極電位が正のタイミングに合わせてHFの電力を第1の状態にし、電極電位が負のタイミングに合わせてHFの電力を第2の状態にすることで、自己バイアスの絶対値|Vdc|に応じた制御を行い、IMDを抑え、プラズマ生成効率を高めることができる。また、電極電位に応じて任意のタイミングにHFの電力を第1の状態と第2の状態とに制御することで、プラズマ密度Neが高い領域と、自己バイアスの絶対値|Vdc|が大きい領域とを利用して高エネルギーイオンをウェハWへ引き込むことができる。また、この場合、HFの電力をパルス状に印加することでトータルとしてIMDの発生を低減できる。
【0088】
図7は、LF Vpp、LF |Vdc|、HFの進行波パワー(Pf)、HFの反射波パワー(Pr)の一例を示す。これによれば、HFの反射波パワー(Pr)は、LFの電圧の一周期の位相において最大で約5倍(約10W~約50W)に変化する。以上から、基準電気状態の一周期内の位相と同期してHFの電力を制御することにより、IMDを1/5程度に減少させることができる可能性がある。また、LF Vpp、LF |Vdc|についても、基準電気状態の一周期内の位相と同期してHFの電力を制御することにより、最小値に対して最大で約1.6倍となる範囲で変化させることができることがわかる。
【0089】
[変形例]
次に、一実施形態の変形例1~変形例4に係る制御方法について、
図8~
図11を参照して説明する。
図8は、一実施形態の変形例1に係る制御方法を説明するための図である。
図9は、一実施形態の変形例2に係る制御方法を説明するための図である。
図10は、一実施形態の変形例3に係る制御方法を説明するための図である。
図11は、一実施形態の変形例4に係る制御方法を説明するための図である。
【0090】
(変形例1)
上記に説明した実施形態では、基準電気状態の一周期内の位相と同期してHFの電力をパルス変調(
図3のHF AM変調参照)しようとすると、LFの周波数と同じ周波数でパルス変調させるHF電源が必要となり、コストが高くなる場合がある。
【0091】
そこで、変形例1に係るプラズマ処理装置1では、
図8(a)に示すように、第1の高周波電源48及び第2の高周波電源90に接続される給電ライン又は下部電極に、バイパスラインを構成する付加回路250が取り付けられる。付加回路250は、下部電極に接続される給電棒にコイル252及び可変コンデンサ251が直列に接続され、可変コンデンサ251は、処理容器10に接続され、接地される。
【0092】
付加回路250によりプラズマ側の負荷インピーダンスに対する処理容器10側のインピーダンスの割合を大きく見せることによって、付加回路250がない場合に比べてインピーダンスが変化しても、付加回路250により、付加回路250及び処理容器10側のインピーダンスを合算したインピーダンスZが大きく変化することを緩和できる。例えば、
図8(b)に示すように、付加回路250により、合算のインピーダンスZの変化を小さくすることで、基準電気状態の一周期内の位相と同期してHFの電力を印加したときに、IMDの発生をより抑制できる。また、付加回路250を取り付けるだけで、IMDを抑制する仕組みをシンプルで安価に構築できる。なお、付加回路250は、給電棒の分岐後の第2の高周波電源90側に挿入されると、HF電力がLF電力の影響を受けにくくなるため好ましい。第1の高周波電源48と第2の高周波電源90の間にフィルタを設ければ、さらにHF電力がLF電力の影響を受けにくくなり、合算のインピーダンスZの変動を小さくでき、IMDの発生をより抑制できる。付加回路250は、コイル、コンデンサ又はダイオードの少なくともいずれかの素子を含んでもよい。
【0093】
(変形例2)
変形例2に係るプラズマ処理装置1には、
図9(a)に示すように、第1の高周波電源48及び第2の高周波電源90に接続される給電ライン又は下部電極に、インピーダンス変化回路300が取り付けられる。インピーダンス変化回路300は、プラズマ側の負荷インピーダンスとインピーダンス変化回路300のインピーダンスの合成インピーダンスが一定になるようにインピーダンスを変化させるように機能する。又は、インピーダンス変化回路300は、整合器88から見たインピーダンスの変化を抑えるように、LFの位相に応じてインピーダンスを変化させる。これにより、反射波パワーを抑え、IMDの発生を低減できる。インピーダンス変化回路300は、LFの位相(又はインピーダンス)、LFのVdc又は反射波パワー等に応じて、インピーダンスを基準電気状態の一周期内で変化させ、これによりIMDを抑える。
【0094】
インピーダンス変化回路300の一例としては、コンデンサがアレイ状に設けられ、電子スイッチでコンデンサの接続を切り替える構成が挙げられる。制御部200は、電子スイッチの制御を行い、インピーダンス変化回路300のインピーダンスを変化させる。
【0095】
制御部200は、例えば
図9(b)に示すように、プラズマ側の負荷インピーダンスとインピーダンス変化回路300のインピーダンスとの合算のインピーダンスZの変化を小さくするように、インピーダンス変化回路300のコンデンサの接続を切り替える。これにより、基準電気状態の一周期内の位相と同期してHFの電力を印加したときに、インピーダンス整合が良好になりIMDの発生をより抑制できる。
【0096】
インピーダンス変化回路300は、整合器88の内部に挿入され、整合器88と一体化されてもよい。インピーダンス変化回路300は、給電棒の分岐後の第2の高周波電源90側に挿入されると、HF電力がLF電力の影響を受けにくくなるため好ましい。第1の高周波電源48と第2の高周波電源90の間にフィルタを設ければ、さらにHF電力がLF電力の影響を受けにくくなり、合算のインピーダンスZの変動を小さくでき、IMDの発生をより抑制できる。
【0097】
(変形例3)
変形例3では、
図10(a)に示すように、処理容器10の上部に電磁石350が設けられている。電磁石350の位置は、
図10(a)の位置に限られず、処理容器10の一部であればよく、例えば処理容器10の内部であってもよい。制御部200は、基準電気状態の位相(又はインピーダンス)、LFの位相、バイアスパワーが印加される電極電位、LF Vdc又はHFの反射波パワー等に応じて電磁石350の強弱を制御することで磁場の特性を変化させる。例えば
図10(b)に示すように、シースが厚くなるLF Vdcが負のときに磁場を強くし、シースが薄くなるLF Vdcが正のときに磁場を弱く又は無くしてインピーダンスZの変化を小さくする。これにより、IMDの発生をより抑制できる。なお、電磁石350は、マルチポール電磁石や固定磁石を用いることができ、磁場を発生させる磁場発生部の一例である。変形例3に示した電磁石350による制御は、変形例1の付加回路250又は変形例2のインピーダンス変化回路300による制御と併用してもよい。
【0098】
(変形例4)
シースの厚さが変わると、見かけ上の静電容量が変わり、HFの共振周波数が変化する。整合器88は、処理容器10内のインダクタンス(例えば給電棒等)及びコンダクタンス(例えばシース等)のすべてのL成分とC成分とを合算して、HFの周波数で共振するように機能し、整合を取る。
【0099】
よって、シースの厚さが変わるとC成分が変わるため、本来は整合器88が、シースの厚さの変化によるC成分の変化に対応して再度、整合を取らなければ反射波パワーが大きくなる。しかしながら、整合器88は、可変コンデンサを動かすのに1秒くらいかかるため、シースの厚さの変化に追従できず、正確に整合を取ることができない場合がある。
【0100】
そこで、変形例4では、制御部200は、シース厚さの変化によるC成分の変化分だけHFの周波数を変化させる。つまり、f(供給周波数)∝1/√LCの供給周波数の式に基づき、シースの厚さ分のC成分の変化に応じてHFの周波数fを変化させる。
【0101】
例えば電極上のシースの容量をCと仮定し、容量Cがシースの厚さの変化に応じて4倍に変化すると、HFの周波数を約2倍変化させる。これにより、シースの厚さの変化に応じて概ね整合がとれた状態とすることができる。
【0102】
また、容量Cがシースの厚さの変化に応じて10倍に変化すると、HFの周波数を約3.3倍変化させる。これにより、シースの厚さの変化に応じて概ね整合がとれた状態とすることができる。つまり、変形例4では、
図11(a)に示すように、LFの電圧の一周期の変化に応じたシースの厚さの変化に整合させるように、HFの周波数を上記共振周波数の式に基づき変化させる。これにより、シースの厚さの変化に応じて概ね整合がとれた状態となり、HFの反射波パワーを小さくすることができ、IMDの発生を抑制できる。なお、変形例4では、第2の高周波電源90は、HFの周波数を変えることが可能な周波数可変電源を用いる。なお、変形例4に示した制御は、変形例1の付加回路250、変形例2のインピーダンス変化回路300又は変形例3の電磁石350の少なくともいずれかと併用してもよい。
【0103】
また、上記実施形態及び上記変形例のすべての例に対して、LFの位相、電極電位、給電系の電位、Vdc、電極のシースの厚さ、プラズマの発光、HF電力の反射強度等のいずれかの元信号、計測信号に基づき、ゲート機能やディレイ機能を有する回路によるシフト時間や遅延幅の調整を行ってもよい。
【0104】
また、LFの電圧の一周期内の位相と同期してHFの電力を印加するタイミングを制御する替わりに、
図11(b)に示すように、LFの電圧のピークに対応するパルス状(以下、「LFパルス」ともいう。)のパワーを印加し、LFパルスに応じてHFの電力を印加するタイミングを制御してもよい。つまり、例えば400kHzのLFに応じたLFパルスをオン・オフして印加し、これに応じてHFの電力をパルス状(HFパルス)に制御してもよい。基準電気状態の位相のピークに対応するLFパルスのパワーを印加し、LFパルスに応じてHFの電力を印加するタイミングを制御してもよい。
【0105】
以上に説明したように、IMDはLFの電力に応じて発生の強度が異なる。このため、上記実施形態及び上記各変形例に係るプラズマ処理装置1の制御方法によれば、HFの反射波パワーの低いタイミングを選択して、そのタイミングにHFの電力を印加することにより、IMDの発生を低減できる。IMDの発生を低減することで、プロセスやプラズマ処理装置1の安定性の向上、さらに装置コストの低減を図ることができる。さらに、プラズマ密度や自己バイアスVdc等を制御することが可能である。
【0106】
ただし、HFの電力を印加する時間が少なくなると、HFの電力の絶対量が減り、プラズマ密度Neが低くなることが懸念される。そこで、基準電気状態が一周期内で2回ピークになるときを含む2回のタイミングのそれぞれにおいてLFの電力及びHF電力を印加してもよい。その他、HF電力の印加の制御方法を自由に変えることができる。なお、HF電力の印加は、下部電極に限らず、上部電極であってもよい。
【0107】
[制御方法]
以上に説明したように、一実施形態に係る平行平板型のプラズマ処理装置1の制御方法は、バイアスパワーを、ウェハWを載置する下部電極に供給する工程と、バイアスパワーよりも高い周波数を有するソースパワーを下部電極又は上部電極に印加することでプラズマ処理空間に供給する工程とを含む。該制御方法では、ソースパワーは、第1の状態と第2の状態とを有し、第1の状態と第2の状態とをバイアスパワーの高周波の周期に同期する信号、又はバイアスパワーの給電系で測定された電圧、電流又は電磁界のいずれかを示す基準電気状態の一周期内の位相と同期して交互に印加する第1制御工程を含む。
【0108】
上記制御方法は、平行平板型のプラズマ処理装置以外のプラズマ処理装置によっても実行することができる。平行平板型のプラズマ処理装置以外のプラズマ処理装置の制御方法は、バイアスパワーを下部電極に供給する工程と、バイアスパワーよりも高い周波数を有するソースパワーをプラズマ処理空間に供給する工程とを含む。該制御方法においても、ソースパワーは、第1の状態と第2の状態とを有し、第1の状態と第2の状態とを基準電気状態の一周期内の位相と同期して交互に印加する第1制御工程を含む。
【0109】
[変形例5-1~5-4]
次に、一実施形態の変形例5-1~5-4に係るプラズマ処理装置1の制御方法について説明する。変形例5-1~5-4では、ソースパワー及び/又はバイアスパワーを間欠的に停止する制御を行う。
図13A~
図13Dは、一実施形態の変形例5-1~5-4に係る制御方法を示すタイミングチャートである。
【0110】
図13Aの変形例5-1では、第1制御工程に加えて、ソースパワーをLF電圧により一例を示す基準電気状態の周期と独立した周期で間欠的に停止する第2制御工程を含む。第1制御工程と第2制御工程とは繰り返し実行される。
【0111】
変形例5-1では、LF電圧は、第1制御工程及び第2制御工程において同じ周期で印加される。一方、ソースパワーは、第1制御工程において第1の状態と第2の状態とを交互に1回以上繰り返し、第2制御工程において第1制御工程の間で間欠的に停止される。
【0112】
第1制御工程及び第2制御工程では、LFの周波数は、例えば0.1Hz~100Hzであってもよい。なお、ソースパワーのDuty比(=第4の状態/(第3の状態+第4の状態))は、1%~90%の範囲内であればよい。
【0113】
第1制御工程における基準電気状態の周期と同期したソースパワーの状態は、第3の状態の一例である。第2制御工程における基準電気状態の周期と独立したソースパワーの状態は、第3の状態と異なる第4の状態の一例である。
【0114】
図13Bの変形例5-2にかかる制御方法は、変形例5-1と同じ第1制御工程に加えて、バイアスパワーをHFの電圧又は電流の周期とは独立した周期で間欠的に停止する第3制御工程を含む。第3制御工程におけるバイアスパワーの状態は、第4の状態の一例である。
【0115】
変形例5-2では、第1制御工程と第3制御工程とが繰り返し実行される。変形例5-2では、第3制御工程におけるソースパワーは、第1制御工程と同じ周期で第1の状態と第2の状態とが繰り返される。
【0116】
なお、第1制御工程においてLFの周波数は、例えば0.1Hz~100Hzであってもよい。なお、バイアスパワーのDuty比(=第4の状態/(第3の状態+第4の状態))は、1%~90%の範囲内であればよい。
【0117】
図13Cの変形例5-3にかかる制御方法は、変形例5-1と同じ第1制御工程に加えて、変形例5-1の第2制御工程のソースパワーの制御と変形例5-2の第3制御工程のバイアスパワーの制御が行われる。つまり、変形例5-3におけるソースパワー及びバイアスパワーの両方を間欠的に停止した状態は、第4の状態の一例である。
【0118】
バイアスパワーを間欠的に停止する周期とソースパワーを間欠的に停止する周期とは同期させてもよい。この場合、ソースパワー及びバイアスパワーを間欠的に停止する周期は、
図13Cに示すように一致してもよいし、
図13Dに示すように、ソースパワーがバイアスパワーよりも後ろにずれていてもよいし、ソースパワーがバイアスパワーよりも前にずれていてもよい。ソースパワーの停止時間がバイアスパワーの停止時間よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0119】
[変形例5-1~5-4に係る制御方法の効果]
以上に説明したように、変形例5-1~変形例5-4に係る制御方法では、ラジカルとイオンの質と量を制御できる。具体的には、HFをオフするとプラズマ中のイオンはほぼ消滅するが、ラジカルは寿命が長いため、ある程度の時間消滅せずに存在する。よって、例えばHFをオフする間、ラジカルを均一に拡散させることができる。また、HFをオフ又はLowに制御する間、プラズマ中のイオンとラジカルとの比を変えることができる。これにより、ラジカルとイオンの量を制御できる。
【0120】
また、ガスの解離が進むと解離の進行に応じたラジカルが生成される。例えば、C4F8ガスは、C4F8→C4F7
*→・・・・→CF2と解離が進み、解離の程度に応じて異なるラジカル(C4F7
*等)が生成される。解離を進行させるパラメータとしては、イオンエネルギーや反応時間がある。よって、バイアスパワーやソースパワーの印加タイミングや印加時間を制御することでイオンエネルギー及び/又は反応時間を制御し、プロセスに適したラジカルの生成を促進することでラジカルとイオンの質を制御できる。
【0121】
また、バイアスパワーがオフの間、イオンエネルギーが減少するためエッチングが進まず、ホール等の底部に堆積した副生成物をホール外へ除去し、マスク上に堆積させることができる。また、バイアスパワーがオフの間、ウェハW上のパターン表面へラジカルを付着させることができる。これにより、マスク上に付着したラジカルがマスクを保護し、マスク選択比を向上させることができる。これにより、エッチングを促進し、エッチングレートを高めるとともに、エッチング形状を良好にすることができる。
【0122】
以上では、ソースパワーを間欠的に停止するときの効果の一例を説明したが、これに限られない。例えば、バイアスパワーによってもプラズマを生成できる場合があり、バイアスパワーを間欠的に停止するときにも同じ効果が得られる場合がある。つまり、バイアスパワーを間欠的に停止することで、ラジカルとイオンの質と量を制御することができる。これにより、エッチングレートを高めるとともにエッチング形状を良好にすることができる。
【0123】
なお、
図13A~
図13Dでは、第3の状態において、LF Vdcが負に深いタイミングに、ソースパワーをオンしているが、これに限られず、LF Vdcが正のタイミングやその他のタイミングに、ソースパワーをオンしてもよい。また、ソースパワーを周期的にオン・オフする替わりに、周期的にHigh・Lowに制御してもよい。
【0124】
[変形例6]
次に、一実施形態の変形例6に係る制御方法について、
図14を参照して説明する。
図14は、一実施形態の変形例6に係る制御方法を示すタイミングチャートである。
【0125】
例えば、変形例6に係る制御方法では、
図14に示すようにLFパルスが載置台16に印加される。LFパルスの正の値は、LF電圧の正のピークに一致し、LFパルスの負の値は、LF電圧の負のピークに一致する。
【0126】
この場合、変形例6に係る制御方法では、HFの第1の状態と第2の状態とをLFパルスの一周期内の位相と同期して交互に印加する。これによっても、ラジカルとイオンの量と質を制御できる。
【0127】
具体的には、LFパルスが正の間の一部又は全部においてソースパワーをオフまたはLowに制御し、LFパルスが負の間の一部又は全部においてソースパワーをオン又はHighに制御してもよい。これによれば、LFパルスが2値化されており、これに応じてソースパワーを2値化して制御するため、制御が容易になる。なお、
図14は、
図13AのLF電圧をパルス化したLFパルスに対応して
図13Aに示すHFの状態を制御したが、これに限られない。例えば、
図13B~
図13DのLF電圧をパルス化したLFパルスに対応して
図13B~
図13Dに示すHFの状態を制御してもよい。
【0128】
[変形例7-1~変形例7-4]
次に、一実施形態の変形例7-1~変形例7-4に係る制御方法について、
図15A~
図15Dを参照して説明する。
図15Aは、一実施形態の変形例7-1に係る制御方法を示すタイミングチャートである。
図15Bは、一実施形態の変形例7-2に係る制御方法を示すタイミングチャートである。
図15Cは、一実施形態の変形例7-3に係る制御方法を示すタイミングチャートである。
図15Dは、一実施形態の変形例7-4に係る制御方法を示すタイミングチャートである。
【0129】
図15A及び
図15Bに示す変形例7-1、変形例7-2に係る制御方法では、第1の制御工程において、ソースパワーの第1の状態と第2の状態とをLF電圧や電極電位を一例とする基準電気状態の一周期内の位相と同期して交互に印加する。変形例7-1では、電極電位の負のタイミングに同期して、ソースパワーの第1の状態が段階的に2つ以上の状態を有する。また、変形例7-2では、電極電位の負のタイミングに同期して、ソースパワーの第1の状態が滑らかに2つ以上の状態を有する。ただし、ソースパワーの第1の状態は、電極電位の正のタイミングに同期してもよい。
【0130】
図15C及び
図15Dに示す変形例7-3、変形例7-4に係る制御方法では、第1の制御工程に加えて第2の制御工程を有し、第1の制御工程においてソースパワーの第1の状態と第2の状態とをLF電圧を一例とする基準電気状態の一周期内の位相と同期して交互に印加する。変形例7-3では、電極電位の正のタイミングに同期して、ソースパワーの第1の状態が段階的に2つ以上の状態を有する。また、変形例7-4では、電極電位の正のタイミングに同期して、ソースパワーの第1の状態が滑らかに2つ以上の状態を有する。ただし、ソースパワーの第1の状態は、電極電位の負のタイミングに同期してもよい。
【0131】
変形例7-1~変形例7-4では、第1の状態におけるソースパワーを複数の値に制御することで、より精度良くラジカルとイオンの量と質を制御できる。なお、
図15C及び
図15Dに示す第1制御工程に加えて
図15C及び
図15Dの第2制御工程の替わりに
図13Bに示す第3制御工程を有してもよいし、
図13C及び
図13Dに示す第2及び第3制御工程を有してもよい。
【0132】
一実施形態の変形例3に係る制御方法では、基準電気状態の位相(又はインピーダンス)、LFの位相、バイアスパワーが印加される電極電位、LF Vdc又はHFの反射波パワー等に応じて電磁石350の強弱を制御する。これにより、整合器46,88から見たインピーダンスの変化を小さくすることで、IMDの発生を抑制できる。また、一実施形態の変形例4に係る制御方法では、シース厚さの変化によるC成分の変化分だけHFの周波数を変化させる。つまり、f(供給周波数)∝1/√LCの供給周波数の式に基づき、シースの厚さ分のC成分の変化に応じてHFの周波数fを変化させる。これにより、シースの厚さの変化に応じて概ね整合がとれた状態となり、HFの反射波パワーを小さくすることができ、IMDの発生を抑制できる。なお、変形例4では、第2の高周波電源90は、HFの周波数を変えることが可能な周波数可変電源を用いる。
【0133】
周波数可変電源は、負荷インピーダンスが一定の場合には、連続的に周波数を変え、ソースパワーの反射波パワーが極力小さくなるように制御している。ところが、LFの電圧又は電流の一周期内の位相に同期させてソースパワーを制御する場合において、LFの電圧又は電流の一周期内でHFの負荷は周期的に大きく変動する。よって、第2の高周波電源90は、一周期内のLFの位相に応じて周期的に大きく変動するシース厚さ、より好ましくはシース厚さに応じたインピーダンスに対応して周波数を変化させる必要がある。
【0134】
例えば、
図16は、一実施形態に係るHFの反射波パワー(HF-Pr)の一例を示す図である。HFの反射波パワーは、ガス種やLFの位相で変わる。例えば、
図16(a)は、処理容器10内にアルゴンガスを供給し、500WのHFの進行波パワー(HF-Pf)を印加し(A参照)、1000WのLFパワーを印加した場合のHFの反射波パワー(B参照)の一例を示す。
図16(b)は、処理容器10内にSF
6ガスを供給し、500WのHFの進行波パワーを印加し(A参照)、1000WのLFパワーを印加した場合のHFの反射波パワー(B参照)の一例を示す。なお、Cは載置台16上に搭載されたウエハの電位を示す。ウエハの電位は、LFの周波数が例えば400kHzのときのLF電圧のVppにほぼ等しく、HFの周波数が例えば100MHzのときのHFの電圧のVppの幅(振幅)が加算され、両方の電位で振動する。
【0135】
図16(a)及び(b)のBを見ると、アルゴンガスを供給した場合と、SF
6ガスを供給した場合とで、LFの一周期内の位相に対するHFの反射波パワーの出方が異なっていることが分かる。
【0136】
HFの反射波パワーの出方の違いに応じて第2の高周波電源90から出力するHFの出波数を、リアルタイムに最適な周波数に変えることは、第2の高周波電源90が最適な周波数を決めるには時間がかかるため、現実的ではない。例えば、通常の周波数可変電源は、周波数をずらして反射波パワーを計測する作業を、最高で1kHz~10kHzで行うことができる。一方、例えば400kHzのLFに対して、一周期を10分割すると4MHzとなり、更に分割内で10回波長をシフトさせるためには、40MHzで波長を変え、これに同期してリアルタイムにHFの反射量及び周波数の変化方向を決める必要がある。この作業は、通常の周波数可変電源の動作周波数では間に合わず、現実的ではない。
【0137】
そこで、一実施形態の変形例8~変形例11に係る制御方法では、基準電気状態の一周期内の位相(本変形例ではLFの位相)と同期してHFの反射波パワーを制御する際に、LFの一周期を分割した各位相においてHFの反射が少ない周波数を求め、HFの反射波パワーを最小限に抑える。変形例8~変形例11においてLFの各位相は、LFの一周期を最低でも10分割したときの各位相を示す。ただし、LFの一周期の分割数は、これに限られず、10分割~100分割のいずれでもよい。LFの一周期の位相の分割数が多い方が制御の精度が高くなり、HFの反射波パワーをより少なくすることができる。変形例8~変形例11の制御は、プロセッサ100により実行される。
【0138】
[変形例8]
まず、
図17を参照して、一実施形態の変形例8に係る制御方法について説明する。
図17は、一実施形態の変形例8に係る制御方法を説明するためのタイミングチャートである。一実施形態の変形例8に係る制御方法では、LFの一周期内を複数に分割した各位相に同期してHFの周波数を変える。そして、そのときのHFの反射波パワーをモニターし、モニター結果からそれぞれの位相においてHFの反射波パワーが少なくなるように第2の高周波電源90のHFの周波数が制御される。そして、この第2の高周波電源90から出力するHFの新たな周波数を見出すシーケンスを、プロセス前、プロセス中等に所定時間毎に実施し、その結果に基づき第2の高周波電源90が制御するHFの周波数を決定する。
【0139】
図17の横軸は時間を示し、縦軸の左はHFの進行波パワー(HF-Pf)及び反射波パワー(HF-Pr)を示し、縦軸の右はウエハ電位を示す。
【0140】
図17の1回目の周期では、LFの最初の一周期内(Cの1周期目)において第2の高周波電源90制御する周波数を初期周波数に設定したときのHFの反射波パワー(B参照)を示す。初期周波数は任意の値であり、例えば一つの基本周波数(例えば、40MHz)に設定されている。
【0141】
図17の2回目の周期では、LFの2番目の一周期内(Cの2周期目)において第2の高周波電源90が制御する周波数を初期周波数から他の周波数に変える。ただし、2回目では、LFの一周期の位相のうち分割数に応じた位相毎に周波数を上げ下げすることはせず、周波数を増やす又は減らす、のどちらかに設定し、反射量の位相依存結果を取得する。
図17の2回目の例では、周波数(2回目周波数)を上げた例を示しているが、下げてもよい。
【0142】
この結果、
図17の実線Bで示すHFの2回目反射波パワーは、破線Bで示すHFの1回目反射波パワーよりも、位相によって反射が減ったところと増えたところがあることがわかる。
図17では、LFが正の位相の場合にHFの反射波パワーが減り、LFが負の位相の場合にHFの反射波パワーが増えている時間帯がある。ただし、このときの反射波パワーは一例を示すものに過ぎず、これに限らない。
【0143】
図17の3回目の周期では、LFの3番目の一周期内において第2の高周波電源90が制御する周波数のシフト方向及びシフト量を、前回の位相毎のHFの反射波パワーの増減に基づき決定する。
図17に示す3回目周波数は、決定したシフト方向及びシフト量の一例である。また、このときの反射波パワーは一例を示すものに過ぎず、これに限らない。
【0144】
第2の高周波電源90が一度に制御する周波数のシフト量及び最初のシフト方向(3回目周波数の矢印の方向)は過去のデータに基づき決定してもよい。過去のデータに基づき制御する周波数のシフト量、最初のシフト方向を予めレシピに設定し、レシピに基づいて制御してもよい。過去のデータは、前回のHFの反射波パワーであってもよいし、前々回のHFの反射波パワーであってもよいし、前回及びそれ以前のHFの反射波パワーであってもよい。例えば、前回の反射波パワーの状態に基づいて、LFの一周期を分割した位相毎に各位相におけるHFの反射波パワーが減るように、次のLFの一周期を分割した位相毎の周波数のシフト方向及びシフト量を決定してもよい。前回の反射波パワーの状態に加えて、又は前回の反射波パワーの状態の替わりに前回よりも前の過去の反射波パワーの状態に基づいてシフト方向及びシフト量を決定してもよい。
【0145】
3回目の第2の高周波電源90が制御する周波数は反射が減る方向にシフトさせるが、その際の制御タイミングでは、例えばLFの一周期を10分割する場合、LFの一周期を10分割した時間間隔で周波数を変える。
【0146】
4回目以降、第2の高周波電源90は、3回目のデータ又はそれ以前に事前に得られたデータに基づき、最適な周波数でHFを発振させていく。第2の高周波電源90が制御する周波数は、許容周波数の範囲で、予め定められた指定回数又はHFの反射波パワーが予め定められた指定量になるまで繰り返すことで、LFの一周期の各位相においてHFの反射波パワーが小さい周波数を絞り込むことができる。
【0147】
一実施形態の変形例8に係る制御方法では、以上に説明したシーケンスを指定のタイミングで行う。これにより、LFの位相やガス種により変化するHFの反射波パワーを極力小さくすることができる。なお、指定のタイミングの一例としては、LFの一周期をn(n≧10)分割したときの時間間隔のシンクロパルス周期、レシピ内で指定された時間、予め定められた時間間隔等が挙げられる。
【0148】
[変形例9]
次に、
図18を参照して、一実施形態の変形例9に係る制御方法について説明する。
図18は、一実施形態の変形例9に係る制御方法を説明するためのタイミングチャートである。一実施形態の変形例9に係る制御方法では、変形例8と同様に、第2の高周波電源90がLFの一周期内の各位相に同期してHFの周波数を制御することに加えて、第2の高周波電源90が出力するソースパワーの値も制御する。
【0149】
例えば、
図18に示すように、Bにて示すHFの反射波パワーが小さいB1付近の時間帯には、第2の高周波電源90は、HFの周波数を制御し(
図17参照)、かつDで示すHFパワー(ソースパワー)の出力をD1に示すように大きくする。逆に、HFの反射波パワーが大きいB2の時間帯には、第2の高周波電源90は、HFの周波数を変え、かつソースパワーの出力をD2に示すように小さくする。
【0150】
一実施形態の変形例9に係る制御方法では、LFの位相やガス種により変化するHFの反射波パワーを極力小さくすることができ、かつ、HFの反射波パワーが小さいときにはソースパワーを上げることで、プラズマ密度の減少を抑制できる。なお、LFが正の位相であれば、第1のソースパワー~第2のソースパワーの範囲でソースパワーを制御し、LFが負の位相であれば、第3のソースパワー~第4のソースパワーの範囲でソースパワーを制御するようにしてもよい。第1のソースパワー~第2のソースパワーの範囲と第3のソースパワー~第4のソースパワーの範囲とは異なる範囲であってもよいし、同じ範囲であってもよいし、一方の範囲が他方の範囲に包含されてもよいし、一部において重複してもよい。
【0151】
[変形例10]
次に、
図19を参照して、一実施形態の変形例10に係る制御方法について説明する。
図19は、一実施形態の変形例10に係る制御方法を説明するためのタイミングチャートである。
【0152】
図19の横軸には、LFの一周期とRFパルスの一周期の一例が示されている。RFパルスの一周期は0.1~100kHzであってもよし、これより長くてもよいし、短くてもよいが、LFの一周期よりも長い時間帯に設定される。一実施形態の変形例10に係る制御方法では、第2の高周波電源90は、例えば周波数がRFパルスの一周期の位相を複数に分割した各位相に応じてHFの周波数を制御してもよい。RFパルスの一周期の位相を複数に分割した各位相に応じてHFの周波数とソースパワーとを制御してもよい。
【0153】
特に、RFパルスのオン及びオフの直後は、プラズマ密度Neの変化及び電極電位の変化が大きく、HFの反射波パワーがRFパルスの定常時とは異なる変化になり易い。そこで、
図19に示すように、一周期毎のRFパルスをオンした時刻Vの直後はLFの立ち上がりに時間がかかり、シース厚は薄い(つまり、シースの容量大)。このため、RFパルスをオンした時刻Vの直後、第2の高周波電源90は、HFの周波数を高く制御する(E参照)。
【0154】
また、
図19では、RFパルスの後半の時間にバイアスパワーがオフしている(C1参照)。この間、HFの反射波パワーは、B3にて示すように0に近く一定である。つまり、バイアスパワーがオフし、ソースパワーがオンしているタイミングでは、バイアスパワーがオフしているために、シースのインピーダンスは常に一定である。このためで、HFの反射波パワーは一定になる。よって、バイアスパワーがオフしている間、HFの反射波パワーが最小限になるように周波数が決定され、第2の高周波電源90は、決定した周波数のソースパワーを出力する。
【0155】
バイアスパワーがオフしている間、ソースパワーはオフに制御してもよいし、オンに制御してもよい。例えば、
図19のC1に示すように、バイアスパワーがオフしている間、前半はHFの周波数をE1の周波数に設定し、かつソースパワーをHigh(又はオン)に制御し、後半はHFの周波数をE2の周波数に変え、かつソースパワーをLow(又はオフ)に制御してもよい。なお、ソースパワー及びバイアスパワーを間欠的に停止する周期は、一致してもよいし、ソースパワーがバイアスパワーよりも後ろにずれていてもよいし、ソースパワーがバイアスパワーよりも前にずれていてもよい。ソースパワーの停止時間は、バイアスパワーの停止時間よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0156】
なお、変形例8~変形例10に係る制御方法は、
図2Aのプロセッサ100により実行され、信号発生回路102を介してHFの周波数及びHFのパワーを制御する制御信号が第2の高周波電源90に送られる。第2の高周波電源90は、制御信号に従い、出力するHFの周波数やパワーを変える。
【0157】
[変形例11]
次に、
図20を参照して、一実施形態の変形例11に係る制御方法について説明する。
図20は、一実施形態の変形例11に係る制御方法を説明するためのタイミングチャートである。
【0158】
変形例10において説明したように、RFパルスをオンした直後はLFの立ち上がりに時間がかかり、シース厚は薄い(つまり、シースの容量大)。このため、RFパルスの立ち上がりでは、プラズマ密度Neが大きく変化し、インピーダンスの変動が大きい。
【0159】
そこで、変形例11に係る制御方法では、第2の高周波電源90は、LFの一周期においてRFパルスの立ち上がりのタイミング、つまり、
図20のE3のときに複数の周波数の合成波を発振させる。
図2Aの反射検出器111は、複数の周波数のそれぞれに対するHFの反射波パワーを検出する。検出した周波数毎のHFの反射波パワーは、プロセッサ100に送られる。
【0160】
例えば、第2の高周波電源90が、周波数を35MHz~45MHzまで増幅できる場合であって、41、42、43、44、45MHzの5つの周波数の合成波を発振させたとする。このうち、反射検出器111は、5つの周波数のソースパワーに対する反射波パワーをそれぞれ検出し、プロセッサ100に送る。プロセッサ100は、このうちから反射波パワーの最も少ない周波数を選択する。
【0161】
例えば、反射波パワーの最も少ない周波数が41MHzであった場合、次のLFの一周期においてRFパルスの立ち上がりのタイミングには、41MHzに周波数を決定し、第2の高周波電源90から出力するHFの周波数としてもよい。また、
図20のE4では、例えば前回最も反射波パワーの少なかった41MHzの周波数を中心に、39、40、41、42、43MHzの5つの周波数のソースパワーを出力してもよい。
【0162】
これにより、第2の高周波電源90から出力するHFの周波数を、HFの反射波パワーが最も少ない、目標とする周波数に最速で到達できる。この結果、第2の高周波電源90から出力するソースパワーをより早くHFの反射波パワーが少ない周波数に持っていくことができ、より早くプラズマを着火させることができる。
【0163】
なお、プロセッサ100が変形例11に係る制御方法を実行する場合、
図2Aの反射検出器111が検出した複数の周波数に対応するHFの反射波パワーに基づき、信号発生回路102を介してHFの周波数を制御する制御信号が第2の高周波電源90に送られる。
【0164】
ただし、これに限られず、第2の高周波電源90が、上記プロセッサ100の機能を有してもよい。この場合、反射検出器111が検出した複数の周波数に対応するHFの反射波パワーは、反射検出器111から第2の高周波電源90に直接送られる。
【0165】
この場合、第2の高周波電源90は、プロセッサ100の機能を有する制御部を有する可変周波数電源として実現可能である。すなわち、この場合、可変周波数電源が有する制御部は、反射検出器111から複数のHFの周波数のそれぞれに対応するHFの反射波パワーを取得し、取得したHFの反射波パワーに基づき、最も反射波パワーの少ない周波数を選択する。そして、制御部は、選択した周波数のソースパワーを可変周波数電源から出力するように決定する。可変周波数電源は、ソースパワーの周波数を決定した周波数に変え、かつ所定のパワーで出力する。これにより、第2の高周波電源90は、プロセッサ100及び信号発生回路102を用いずに、出力するHFの周波数及びソースパワーを制御できる。これにより、第2の高周波電源90は、変形例8~変形例11の制御方法を、プロセッサ100を用いずに実行できる。
【0166】
変形例11の制御方法では、複数の周波数が合成された高周波を用いたが、変形例8~10の制御方法においても、複数の周波数が合成された高周波を用いることができる。また、複数の周波数の高周波の混合比率を変形例8~10の制御方法にて自由に変えたり、最適化するシーケンスを有してもよい。
【0167】
以上に説明した変形例8~変形例11の制御方法では、被処理体を載置する第1の電極を有するプラズマ処理装置の制御方法であって、バイアスパワーを前記第1の電極に供給する工程と、前記バイアスパワーよりも高い周波数を有するソースパワーをプラズマ処理空間に供給する工程と、を有し、前記ソースパワーは、第1の状態と第2の状態とを有し、前記第1の状態と前記第2の状態とを前記バイアスパワーの高周波の周期に同期する信号、又は前記バイアスパワーの給電系で測定された電圧、電流又は電磁界のいずれかを示す基準電気状態の一周期内の位相を複数に分割したときの各位相に応じて2以上の周波数に制御する第1制御工程を含む、制御方法が提供される。
【0168】
[変形例12]
変形例12では、HFの電圧の第1の状態が、2つ以上の電圧値を繰り返すパルス状の電圧値をとる。
図21の例では、HFの電圧の第1の状態は、正の電圧値と0の電圧値とを繰り返す。ただし、これに限られず、3つの電圧値を繰り返す等、2つ以上の電圧値を繰り返してもよい。
【0169】
[変形例13]
バイアスパワーは、サイン波形又はパルス波形のパワーであってもよいし、テイラード波形のパワーであってもよい。つまり、バイアスの電圧又は電流は、サイン波形であってもよいし、LFパルス波形であってもよいし、
図22に示すテイラード波形でもよい。テイラード波形では、
図22に示すHFが第2の状態のときにバイアスのパワーを変調してもよいし、第1の状態のときにバイアスのパワーを変調してもよい。
【0170】
なお、同様にして、HFの第1の状態が2つ以上の電圧値をとる場合、HFの波形は、
図15A~
図15D、
図21に示す波形の他、
図22に示すテイラード波形でもよい。
【0171】
今回開示された一実施形態に係るプラズマ処理装置及び制御方法は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得る。また、上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0172】
本開示に係るプラズマ処理装置は、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、Radial Line Slot Antenna(RLSA)、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、Helicon Wave Plasma(HWP)のどのタイプにも適用可能である。
【0173】
たとえば、被処理体を載置する第1の電極と、前記第1の電極に対向する第2の電極とを有するプラズマ処理装置の制御方法であって、バイアスパワーを前記第1の電極に供給する工程と、前記バイアスパワーよりも高い周波数を有するソースパワーをプラズマ処理空間に供給する工程とを有し、前記ソースパワーは、第1の状態と第2の状態とを有し、前記第1の状態と前記第2の状態とを前記基準電気状態の一周期内の位相と同期して交互に印加する第1制御工程を含んでもよい。
【0174】
被処理体を載置する第1の電極を有するプラズマ処理装置の制御方法であって、バイアスパワーを前記第1の電極に供給する工程と、前記バイアスパワーよりも高い周波数を有するソースパワーをプラズマ処理空間に供給する工程と、を有し、前記ソースパワーは、第1の状態と第2の状態とを有し、前記第1の状態と前記第2の状態とを前記基準電気状態の一周期内の位相と同期して交互に印加する第1制御工程を含む、制御方法を含んでもよい。
【0175】
前記バイアスパワーよりも高い周波数を有するソースパワーをプラズマ処理空間に供給する工程は、プラズマを生成するためのプラズマ生成源が、マイクロ波源、高周波電源等のソースパワーをプラズマ処理空間に供給することで実行されてもよい。
【0176】
本明細書では、被処理体の一例としてウェハWを挙げて説明した。しかし、基板は、これに限らず、LCD(Liquid Crystal Display)、FPD(Flat Panel Display)に用いられる各種基板、CD基板、プリント基板等であっても良い。
【符号の説明】
【0177】
1…プラズマ処理装置
10…処理容器
16…載置台(下部電極)
34…上部電極
47…給電棒
46…整合器
48…第1の高周波電源
50…可変直流電源
66…処理ガス供給源
84…排気装置
88…整合器
89…給電棒
90…第2の高周波電源
91…GNDブロック
100…プロセッサ
102…信号発生回路
105,108…方向性結合器
111…反射検出器
112…オシロスコープ
200…制御部
250…付加回路
300…インピーダンス変化回路
350…電磁石